IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェアチャイルド ファスナーズ ヨーロッパ − ファウエスデー ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2022-515324構成要素の集合を構築するための方法及びシステム
<>
  • 特表-構成要素の集合を構築するための方法及びシステム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】構成要素の集合を構築するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20220210BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20220210BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220210BHJP
【FI】
B23P21/00 307P
B23P21/00 303Z
B23P19/00 301K
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021531067
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2019085516
(87)【国際公開番号】W WO2020127175
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18214264.6
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519395189
【氏名又は名称】フェアチャイルド ファスナーズ ヨーロッパ - ファウエスデー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルリネッケ、バート
(72)【発明者】
【氏名】ドーマイアー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】レージング、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ティンペ、トシュテン
【テーマコード(参考)】
3C030
5L049
【Fターム(参考)】
3C030AA12
3C030AA20
3C030AA24
3C030DA01
3C030DA09
5L049CC04
(57)【要約】
本発明は、構成要素の集合を構築する方法及びシステム(100)に関し、特に、航空宇宙または自動車産業または他の産業で使用される構成要素(2)のユーザ固有の集合に関し、複数の構成要素の集合(2)は、パッケージユニット又はトレイ(1)で組み立てられ、構成要素の集合の個々の構成要素の各々には、該当する構成要素(2)を追跡することができる識別子が割り当てられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素の集合、特に航空宇宙産業または自動車産業または他の産業において組立中に使用される構成要素(2)のユーザ固有の集合を構築するための方法であって、複数の構成要素(2)の集合が、パッケージユニットに構築されるか、またはトレイ(1)に構築され、前記構成要素の集合の個々の構成要素の各々は、対応する前記構成要素(2)を追跡することを可能にする識別子が割り当てられる、方法。
【請求項2】
前記構成要素の集合を構築するために、提供されるトレイ(1)は、構成要素(2)と適合し、前記トレイ(1)に装備された前記構成要素(2)の各々は、対応する前記構成要素(2)を追跡することを可能にする識別子が割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別子は、前記トレイ(1)がそれぞれの前記構成要素(2)を装備した後に割り当てられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別子は、前記複数の構成要素(2)の集合が前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)で構築される前に、特に、前記構成要素(2)の生産中または生産後に割り当てられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記識別子を割り当てる際の微分係数として、それぞれの前記構成要素(2)の表面微細構造が用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
特徴的なビットシーケンスが、前記識別子または前記識別子の少なくとも一部を形成するか、または前記識別子が割り当てられる、各構成要素(2)の明確な前記表面微細構造に基づいて生成され、前記表面微細構造が、好ましくは、所定の、または定義可能な所定の構成要素位置に高解像度で記録される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記集合が前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築される前に、完全に空であるか、または前記集合が前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築される前に、先行して構築された集合からいくつかの構成要素(2)が留まり、先行する前記集合の各構成要素(2)に対応する識別子が割り当てられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
初期の集合の構成要素(2)を識別するために、表面微細構造が、所定の又は定義可能な構成要素の位置で高解像度で記録され、前記構成要素(2)の識別子が定義される前記表面微細構造を介して、特徴的なビットシーケンスが、記録された前記表面微細構造に基づいて生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各識別子は、特徴的な構成要素IDを構成し、各構成要素IDは、対応する前記構成要素(2)を追跡するために必要な全ての情報を割り当てられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
各構成要素IDは、さらなる情報、特に、構成要素生産、特に技術仕様データの経過にわたって、またはそれに続いて得られるデータを割り当てられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築された前記集合のうちの構成要素(2)の集合が、前記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出され、前記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出された前記構成要素(2)を追跡するために、前記構成要素(2)の所定の領域が、高解像度で選択され、記録され、数値特性が、特定の表面微細構造およびその位置の取得された画像から計算され、構成要素IDが割り当てられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記計算された特性および割り当てられた前記構成要素IDは、各構成要素(2)について、好ましくはさらなるデータ、特に測定および/または生産データと共に、データベースのペアリングとして記憶される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出された前記構成要素(2)を追跡するために、前記計算された特性および割り当てられた構成要素IDが、前記構成要素(2)ごとのペアリングとして記憶されたデータベースのデータ調整部が、前記構成要素IDを返信し、好ましくは、前記構成要素(2)のさらなる個別の特性を返信する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記構成要素(2)は、金属、特にチタン、アルミニウム、鋼、ニッケル及び/又はそれらの合金からなる接続要素であり、航空宇宙及び/又は自動車産業で使用される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
構成要素の集合、特に、航空宇宙あるいは自動車あるいは他の産業において組立中に使用される構成要素(2)のユーザ固有の集合を構成するためのシステム(100)であって、システム(100)は、構成要素供給ステーション(10)を含み、任意に、ピックアンドプレースロボット(11)または手動ワークステーションを備え、複数の構成要素(2)の集合を、パッケージユニットにまたはトレイ(1)に自動または手動で構築するためのものであって、システム(100)は、前記構成要素(2)の識別、認証および/または追跡のための装置(20)を含み、
構成要素(2)の識別、認証および/または追跡のための前記装置(20)は、前記構成要素(2)の所定の領域を選択し、前記構成要素(2)の追跡のために高解像度で記録するように設計されたカメラ(21)を備え、 前記装置(20)は、前記構成要素(2)の識別、認証及び/又は追跡のための数値特性を、前記構成要素(2)の特定の表面微細構造の取得された画像から計算し、かつ構成要素IDを割り当てるように設計された評価ユニットをさらに含み、前記評価ユニットは、さらに、前記構成要素IDを返信するように設計され、さらに、前記構成要素(2)のさらなる個々の特性は、データ調整部を介して、前記計算された特性及び割り当てられた構成要素(2)のIDが各構成要素(2)のペアリングとしてデータベースに記憶される、システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、構成要素の集合を構築する方法に関する。特に、本発明は、航空宇宙または自動車または他の産業における組立中に使用される構成要素のユーザ固有の集合を構築するための方法に関する。
【0002】
本発明の実施形態によれば、これは、例えば、ピックアンドプレースロボットのようなピックアンドプレースマシンの構成要素の供給、又は構成要素が手動で取り付けられる手動ワークステーションの構成要素の供給に関する。
【0003】
他の実施形態によれば、本発明は、構成要素の集合を構築する方法に関し、複数の構成要素の集合は、パッケージユニットに構築される。
【0004】
他の実施形態によれば、本発明は、特に航空宇宙または自動車または他の産業における組立中に使用される構成要素のためのトレイの提供に関する。このトレイは、一般に、構成要素が挿入される適切な凹部を有するトレイである。これにより、特に後続の組立において種々の異なる構成要素が必要とされる場合に、種々のタイプの構成要素を収容することがトレイにとって一般的である。原則として、構成要素はトレイの指定領域でタイプ固有の方法でトレイに挿入される。
【0005】
トレイの最初の充填のために、構成要素は、所定の生産ロットから取り出され、構成要素のためにトレイに設けられた置き場所に挿入される。次いで、トレイは、所定の方法でピックアンドプレースマシンまたは手動組立ステーションに供給される。これにより、個々の構成要素は、トレイから取り出され、組立の過程にわたってトレイは部分的または完全に空にされる。
【0006】
トレイは、適宜、構成要素供給ステーションの構成要素と再び適合する。トレイも同様に所定の生産ロットから補充される。構成要素供給ステーションは、通常、構成要素の供給元に配置されているのに対して、集合、つまりトレイからの構成要素の取り出しは、サプライヤの顧客にて行われる。
【背景技術】
【0007】
航空宇宙または自動車またはその他の産業において、組立中にその後使用されるトレイを準備するために、通常、構成要素供給ステーションまたは構成要素供給業者でそれぞれ従来使用されている方法の欠点は、供給業者が、組立中にトレイから全ての構成要素が取り出された訳ではない場合、トレイに残っている構成要素が、正しい場所でトレイに戻されているということを確実に判断できないということである。特に課題は、ロットのトレーサビリティが、トレイを準備する従来の方法では実用的に実現不可能であるということである。
【0008】
同じことは、航空宇宙または自動車または他の産業における組立中に使用される構成要素のユーザ固有の集合の構築にも、形式的には適用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の課題に基づいて、構成要素の集合、特に航空・宇宙または自動車または他の産業における組立中に使用される構成要素のユーザ固有の集合を構築するための最適化された方法を指定するというタスクに基づいており、構成要素集合の個々の構成要素の確実な識別および認証が提供される。
【0010】
本発明のさらなるタスクは、準備されたトレイが装備された個々の構成要素の確実な識別および認証が提供される、航空宇宙または自動車または他の産業で組立中に使用されるトレイの準備、ならびに対応するシステムのための最適化された方法を提供するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
方法に関して、このタスクは、独立請求項1の主題により、また、システムに関しては、独立請求項15の主題により、発明として解決され、それにより、それぞれの従属クレームにおいて、優位性のあるさらなる発展が特徴付けられる。
【0012】
従って、本発明は、特に、構成要素の集合を構築する方法に関し、特に、航空宇宙または自動車または他の産業において組立中に使用される構成要素のユーザ固有の集合であって、複数の構成要素の集合がパッケージユニットにまとめられるか、またはトレイにまとめられ、構成要素の集合の個々の構成要素の各々に、対応する構成要素を追跡することを可能にする識別子が割り当てられている。
【0013】
本発明の実施形態によれば、特に、航空・宇宙または自動車または他の産業において組立中に使用されるトレイの準備のための方法に関し、提供されたトレイは、構成要素を備え、それにより、トレイに装備された構成要素の各々には、対応する構成要素を追跡することを可能にする識別子が割り当てられている。
【0014】
構成要素の集合において個々の構成要素を対応する識別子を割り当てることにより、品質管理のための欠陥のない構成要素のトレーサビリティを実現する。特に、異なる生産プロセスに由来する類似の構成要素は、後の時点においても、欠陥なく差別化することができる。さらに、特に品質保証の目的のために、例えばトレイが装備されている、または装備されていた構成要素の生産ロットを確認することも可能である。これに加えて、OEMの構成要素および不正コピーを識別することが可能である。また、構成要素の識別に加えて、生産ロットを識別することもできる。
【0015】
構成要素に対応する識別子を割り当てるための種々の方法が可能である。例えば、構成要素に、国際出願公開WO2011/101001A1公報に提案されているような蛍光マーキングを設けることが考えられる。
【0016】
または、各構成要素に取引透かしを割り当てる方法もある。取引電子透かしは、一般に、秘密鍵を用いた埋め込みアルゴリズムを用いて、データ素材(ここでは、識別すべき構成要素)に導入された透明な知覚不能パターンとして理解される。
【0017】
特に高価な部品または構成要素の場合に、RFIDタグ、識別目的のためのデータマトリックスコード、化学マーカーもさらに公知である。
【0018】
しかしながら、これまで部品または構成要素を識別するために使用されてきたこれらのアプローチは、生産履歴のシームレスなトレーサビリティが意味を持つにもかかわらず、大量生産された構成要素、特にスクリュまたはボルトには適していない。構成要素が一旦取付けられると、わずかしかコストがかからないスクリュであっても、複雑で高価な最終製品の機能性および寿命を損なう可能性がある。航空宇宙産業や自動車産業用のスクリュやボルトのような小型で価格に敏感な部品の場合、タグや特殊なマーキングは、あまりにも高価であったり、技術的に不可能であったりすることが多い。
【0019】
その結果、複雑な製品、特にネットワーク化の進んだ生産チェーンやグローバルなサプライチェーンにおいて、小型で価格に敏感な部品の個々の構成要素をトレースすることは難しい。
【0020】
この課題を考慮に入れると、本発明の1つの態様は、識別子を割り当てる際の差別化要因として、それぞれの構成要素の表面微細構造を使用することを提供する。この方法により、各構成要素を装備したトレイの構成要素を明確に認識(認証)することができる。このように、組立中に再びトレイに戻される各構成要素も明確に識別することができ、必要に応じて、トレイで選別または再配置することができる。
【0021】
この技術は、それぞれの構成要素が個々の微視的に特徴的な表面構造またはカラーテクスチャを有するという事実に基づいている。構成要素の所定の領域が選択され、それぞれの場合にカメラによって高解像度で記録される。数値特性が、特定の表面微細構造およびその位置の取得された画像から計算され、識別子が割り当てられる。このペアリングが、好ましくは、測定または生産データなどの他のデータとともにデータベースに保存される。全プロセスが後続の識別のために反復され、データ調整部は、識別子及び任意で構成要素の他の個々の特性を返信する。
【0022】
金属の構成要素は、このタイプの確率的な「指紋」に特に適しており、それによって、ロットサイズが数十万個であっても、個々の構成要素を秒単位で明確に識別することができ、それによって、生産サイクルにおける構成要素関連のデータ割り当てを可能にする。
【0023】
製品には追加のマーカーやID が貼付されていないため、本システムは偽造防止機能を有している。量に依存するコストが全くかからないという事実は、システムを経済的に実行可能にし、特に大量生産される構成要素に対しても実行可能にする。
【0024】
発明の方法において、識別子は、トレイがそれぞれの構成要素に適合された後、又はトレイがそれぞれの構成要素に適合される前、特に構成要素の生産中又は生産後に割り当てられる。
【0025】
これに関連して考えられるのは、供給されたトレイが充填される前に完全に空になるためである。あるいは、これに代えて、本発明の方法は、装備される前に、提供されたトレイが、初期の装備からの構成要素を部分的に装備し、それによって、個々の構成要素の表面微細構造が識別子を割り当てる際の差別化要素として使用される状況においても使用することができる。
【0026】
装備されたトレイからの構成要素の組立に関しては、それぞれの構成要素がトレイから取り出され、それによって、構成要素の所定の領域が選択され、トレイから取り出された構成要素を追跡するように、高解像度で記録される。数値特性は、特定の表面微細構造およびその位置の取得された画像から計算され、構成要素の識別子が割り当てられる。
【0027】
ここで考慮される構成要素は、特に、金属、特にチタン、アルミニウム、鋼、ニッケルおよびそれらの対応する合金で作られた接続要素であり、それによって、これらの接続要素は、特に、航空宇宙および/または自動車産業において使用される。
【0028】
本発明は、さらに、構成要素の集合、特に航空宇宙または自動車または他の産業における組立中に使用される構成要素のユーザ固有の集合を構築するための独立請求項15に従ったシステムに関する。
【0029】
このシステムは、航空宇宙または自動車産業において、例えば組立中に使用されるトレイを準備するのにも特に適しており、このシステムは、組立に必要な個々のトレイが、好ましくは、自動または手動の方法で対応する構成要素を備えている構成要素供給ステーションを備えている。
【0030】
集合の側では、ピックアンドプレースマシンが、例えば、ピックアンドプレースロボットのように、構成要素をトレイから取り出し、それに従って取り付けるように使用される。しかし、構成要素をトレイから手動で取り出して取り付ける(手動ワークステーション)ために、集合の側で任意に行うことも考えられる。
【0031】
発明のシステムの構成要素供給ステーションには、そこに収容されるか、またはトレイに収容される構成要素を識別し追跡するための装置が割り当てられる。
【0032】
トレイから取り出された構成要素を追跡するか、トレイから取り外された構成要素を追跡した後におそらくトレイに戻すには、構成要素の所定の領域を選択し、高解像度で記録する。数値特性は、特定の表面微細構造およびその位置の取得された画像から計算され、構成要素の識別子を割り当てる。ここで、計算された特性および割り当てられた構成要素の識別子が、各構成要素に対するペアリングとして記憶されているデータベースのデータ調整部は、構成要素の識別子および好ましくは構成要素の他の個々の特性を返信する。
【0033】
本発明をより詳細に説明するにあたり、以下では、対応するトレイを調製するシステムの例示的な実施形態の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】航空宇宙産業または自動車産業における組立中に使用されるトレイを準備するための発明のシステムの例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の解決手段は、複雑な工業製品の品質の課題に基づいており、特に個々の構成要素の品質に依存している。例えば、接続要素(スクリュ、ボルトなど)のような欠陥のある単一の構成要素は、複雑な構造物の機能性および寿命を損なう可能性がある。組み立てられた(欠陥のある)構成要素が機能チェックを合格しなかった場合、通常、製品全体とその取り付けられた半完成構成要素は全て不合格となる。これは、高いコストをもたらし、これと同じ条件では、通常、機能チェック中に構成要素の故障につながる誤動作が正確にどこであるかを検証することができない。
【0036】
したがって、本発明は、小さな構成要素や半完成の構成要素でさえも、可能であれば、可能な限り初期のバリューチェーンにさかのぼって追跡することができるように署名を与えることができる解決手段を提供する。その後でのみ、インライン検査装置の助けを借りて、生産上の再発する欠陥の原因を特定し、恒久的に排除することができる。
【0037】
本発明のシステム100は、例示的な実施形態の形態で図1に模式的に示すように、特に航空・宇宙産業または自動車産業での組立中に使用されるトレイ1を準備するためのシステム100である。このシステム100は、図1に概略的に示すように、ピックアンドプレースロボット11を有する構成要素供給ステーション10を備え、トレイ1が異なる生産ロット3からの対応する構成要素2と自動的に適合することによって、トレイ1が構成要素供給ステーション10に供給される。しかし、本明細書では、手動ワークステーションが、トレイ1を構成要素2と手動で取り付けるために設けられることも考えられる。
【0038】
本発明のシステム100は、特に、トレイ1が、異なる構成要素2(ここでは、接続要素)と適合することを特徴とする。そのために、ピックアンドプレースロボット11は、前記生産ロット3から個々の構成要素2を抽出し、特定の位置(凹部)でトレイ1に挿入するために、異なる所定の生産ロット3を把持する。
【0039】
構成要素供給ステーション10に供給されるトレイ1は、完全に空にすることができる。しかしながら、図1に示すように、ピックアンドプレースロボット11に供給されるトレイ1は、装備される前に、先行して装備されてから構成要素2をまだ部分的に装備していることも考えられる。
【0040】
図1に概略的に示すように、本発明によるシステム100は、ピックアンドプレースロボット11によってトレイ1にセットされた構成要素2および/またはピックアンドプレースロボット11によってトレイ1にセットされた構成要素2を識別、認証および/または追跡するための装置20を備える。
【0041】
選択的に、または付加的に、装置20は、先行する装備からトレイ1に留まる構成要素2の識別、認証及び/又は追跡のために使用される。
【0042】
これに関連して、単一の装置20によって両方のタスクを実行できるように、これらの装置を一緒に組み合わせることが考えられる。
【0043】
特にピック・アンド・プレイス型ロボット11によってトレイ1に設定される構成要素またはトレイ1に設定される構成要素の識別、認証および/または追跡のための装置20は、高解像度カメラ21を構成し、その手段によって、識別されかつ/または認証されるべき各構成要素2の表面の所定の領域が記録される。高解像度カメラ21は、トレイ1にセットされた全ての構成要素2が、識別及び/又は認証のために対応して走査され得るように、トレイ1の供給方向Tに沿って移動することができる。
【0044】
数値特性は、特定の構造プロファイルの取得された画像及びそれらの位置の相対的な相互の位置から評価ユニットに計算され、データベースに記憶される。
【0045】
プロセス全体は、後続の識別のために繰り返される。マッチング特性は、求められた構成要素2を意味する。装置20は、平滑なプラスチックから精密加工されたアルミニウム、鋳鉄、塗装された表面に至るまでの広範囲の材料が、生産サイクル中に1つのおよび同じハードウェアで記録できるように設計されている。
【0046】
特に、トレーサビリティのために、ピックアンドプレースロボット11によって適合されたトレイ1の各構成要素2のそれに応じた固有の識別が確認される。このようにして、ピックアンドプレースロボット11によって新たに挿入される各構成要素2が認識される。組立中に再配置される構成要素2も同様に認識され、適用可能であれば、交換することも可能である。
【0047】
本発明は、図1による例示的な実施形態の特徴に限定されるものではなく、むしろ、本明細書で開示される全ての特徴の総合的な考察から生じるものである。
図1
【手続補正書】
【提出日】2020-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素の集合、特に、航空宇宙あるいは自動車あるいは他の産業において組立中に使用される構成要素(2)のユーザ固有の集合を構築するためのシステム(100)であって、システム(100)は、
異なる生産ロット(3)からの対応する構成要素(2)と共に構成要素トレイ(1)を有する構成要素供給ステーション(10)と、
パッケージユニットへの、または集合トレイ(1)への、複数の構成要素(2)の集合の自動的な構築のためのピックアンドプレースロボット(11)と、
前記構成要素(2)の識別、認証および/または追跡のための装置(20)と、を含み、
前記構成要素(2)の識別、認証および/または追跡のための前記装置(20)は、
前記構成要素(2)の所定の領域を選択し、前記構成要素(2)の追跡のために高解像度で記録するように設計されたカメラ(21)と、
前記構成要素(2)の識別、認証及び/又は追跡のための数値特性を、前記構成要素(2)の特定の表面微細構造の取得された画像から計算し、かつ構成要素IDを割り当てるように設計された評価ユニットと、を含み、
前記評価ユニットは、さらに、前記構成要素IDを返信するように設計され、好ましくは、さらに、前記構成要素(2)のさらなる個々の特性は、データ調整部を介して、前記計算された特性及び割り当てられた構成要素(2)のIDが各構成要素(2)のペアリングとしてデータベースに記憶される、システム(100)。
【請求項2】
構成要素の集合、特に航空宇宙産業または自動車産業または他の産業において組立中に使用される構成要素(2)のユーザ固有の集合を構築するための方法であって、複数の構成要素(2)の集合が、パッケージユニットに構築されるか、またはトレイ(1)に構築され、前記構成要素の集合の個々の構成要素の各々は、対応する前記構成要素(2)を追跡することを可能にする識別子が割り当てられ、
前記構成要素の集合を構築するために、提供されるパッケージユニットまたは提供されるトレイ(1)は、構成要素(2)と適合し、装備される前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)の各々は、対応する前記構成要素(2)を追跡することを可能にする識別子が割り当てられ、請求項1に記載のシステム(100)において行われる、方法。
【請求項3】
記識別子は、前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)がそれぞれの前記構成要素(2)を装備した後に割り当てられる、請求項2に記載の方法
【請求項4】
記集合が前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築される前に、完全に空であるか、または前記集合が前記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築される前に、先行して構築された集合からいくつかの構成要素(2)が留まり、先行する前記集合の各構成要素(2)に対応する識別子が割り当てられる、請求項2または3に記載の方法
【請求項5】
期の集合の構成要素(2)を識別するために、表面微細構造が、所定の又は定義可能な構成要素の位置で高解像度で記録され、前記構成要素(2)の識別子が定義される前記表面微細構造を介して、特徴的なビットシーケンスが、記録された前記表面微細構造に基づいて生成される、請求項に記載の方法
【請求項6】
構成要素IDは、さらなる情報、特に、構成要素生産、特に技術仕様データの経過にわたって、またはそれに続いて得られるデータを割り当てられる、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法
【請求項7】
記パッケージユニットまたは前記トレイ(1)に構築された前記集合のうちの構成要素(2)の集合が、前記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出され、前記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出された前記構成要素(2)を追跡するために、前記構成要素(2)の所定の領域が、高解像度で選択され、記録され、数値特性が、特定の表面微細構造およびその位置の取得された画像から計算され、構成要素IDが割り当てられる、請求項2~6のいずれか1項に記載の方法
【請求項8】
記計算された特性および割り当てられた前記構成要素IDは、各構成要素(2)について、好ましくはさらなるデータ、特に測定および/または生産データと共に、データベースのペアリングとして記憶される、請求項に記載の方法
【請求項9】
記パッケージユニット/トレイ(1)から取り出された前記構成要素(2)を追跡するために、前記計算された特性および割り当てられた構成要素IDが、前記構成要素(2)ごとのペアリングとして記憶されたデータベースのデータ調整部が、前記構成要素IDを返信し、好ましくは、前記構成要素(2)のさらなる個別の特性を返信する、請求項7または8に記載の方法
【請求項10】
記構成要素(2)は、金属、特にチタン、アルミニウム、鋼、ニッケル及び/又はそれらの合金からなる接続要素であり、航空宇宙及び/又は自動車産業で使用される、請求項2~9のいずれか1項に記載の方法
【国際調査報告】