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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】特に運動靴のための靴アッパー
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A43B23/02 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021531124
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2018086032
(87)【国際公開番号】W WO2020125983
(87)【国際公開日】2020-06-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス トムソン
(72)【発明者】
【氏名】リリー コックス
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC36
4F050HA30
4F050JA01
4F050LA01
(57)【要約】
靴(2)のための、特に運動靴のための靴アッパー(1)に関する。好ましい外観で、最適な紐通しを可能にするアッパーをもたらすため、アッパーが、平面基部材料層(3)と、基部層(3)の外面(5)上に配置され、靴(2)の着用者の足から離れて面する構造化層(4)とを備え、構造化層(4)が、複数のトンネル区分(6)を備え、各トンネル区分(6)は、トンネル区分(6)の第1の側(8)から第2の側(9)に延在する少なくとも1つのトンネル(7)を有し、トンネル区分(6)は、トンネル(7)をトンネル区分(6)の外面(11)と接続する少なくとも1つの接続通路(10)を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴(2)のための、特に運動靴のための靴アッパー(1)において、前記靴アッパー(1)は、
平面基部材料層(3)と、
前記基部層(3)の外面(5)上に配置され、前記靴(2)の着用者の足から離れて面する構造化層(4)とを備え、
前記構造化層(4)は、複数のトンネル区分(6)を備え、各前記トンネル区分(6)は、前記トンネル区分(6)の第1の側(8)から第2の側(9)に延在する少なくとも1つのトンネル(7)を有し、前記トンネル区分(6)は、前記トンネル(7)を前記トンネル区分(6)の外面(11)と接続する少なくとも1つの接続通路(10)を備える
ことを特徴とする靴アッパー(1)。
【請求項2】
厳密に1つの前記接続通路(10)は、各前記トンネル区分(6)内に配置される
請求項1に記載の靴アッパー。
【請求項3】
2つの前記接続通路(10)は、並んで配置される状態で、各前記トンネル区分(6)内に配置される
請求項1に記載の靴アッパー。
【請求項4】
4つの隣接する前記トンネル区分(6)は、前記基部層(3)が前記トンネル区分(6)から覆われていない領域(12)を囲む
請求項1ないし3のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項5】
前記領域(12)は、細長い形状を有する
請求項4に記載の靴アッパー。
【請求項6】
前記領域(12)は、楕円形状を有する
請求項5に記載の靴アッパー。
【請求項7】
前記領域(12)は、多角形形状、特に長方形又は五角形又は六角形又は八角形又はダイヤモンド状形状、又はハチの巣状形状を有する
請求項5に記載の靴アッパー。
【請求項8】
前記領域(12)は、5.0mmから40.0mmの間、特に10.0mmから35.0mmの間の最大長さ(L)を有する
請求項4ないし7のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項9】
2つの隣接する前記トンネル区分(6)は、隆起部(13)によって互いに接続され、前記隆起部(13)は、好ましくは、前記トンネル区分(6)と同じ厚さを有する
請求項1ないし8のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項10】
前記基部層(3)は、0.5から4.0mmの間の厚さ(t)を有する
請求項1ないし9のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項11】
前記トンネル区分(6)は、1.0から4.0mmの間の厚さ(T)を有する
請求項1ないし10のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項12】
前記接続通路(10)は、1.0から3.0mmの間の直径(D)を有する
請求項1ないし11のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項13】
前記基部層(3)及び前記トンネル区分(6)は、編成工程によって作製される
請求項1ないし12のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項14】
前記基部層(3)及び前記トンネル区分(6)は、単一編成構造を形成する
請求項13に記載の靴アッパー。
【請求項15】
前記基部層(3)は、第1の編成糸から作製され、前記トンネル区分(6)は、少なくとも1本の第2の編成糸から作製され、前記少なくとも1本の第2の編成糸は、前記第1の編成糸とは異なる
請求項13又は14に記載の靴アッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴のための、特に運動靴のための靴アッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
靴アッパーは当技術分野において周知である。一例は、WO2016/095938A1(特許文献1)において開示されている。この例では、アッパーは、編成工程によって作製される。通常、靴紐は、アッパー内に機械加工される開口に通される。したがって、靴紐がアッパーに接触する場所は、画定されており、後で変更することができない。
【0003】
アッパーに沿った又はアッパーを通る靴紐の通り道を修正又は調節可能とすることが望ましいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/095938A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、最適な紐通しを可能にする、靴のための、特に運動靴のためのアッパーを生成することである。即ち、アッパーは、靴紐を締める際に所望の紐通し効果が得られるように、靴紐をアッパーの特定の場所に通すことが可能であるはずである。更に、アッパーは、好ましい外観を有するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるこの目的の解決策は、アッパーが、平面基部材料層と、基部層の外面上に配置され、靴の着用者の足から離れて面する構造化層とを備え、構造化層は、複数のトンネル区分を備え、各トンネル区分は、トンネル区分の第1の側から第2の側に延在する少なくとも1つのトンネルを有し、トンネル区分は、トンネルをトンネル区分の外面と接続する少なくとも1つの接続通路を備えることを特徴とする。
【0007】
トンネルは、好ましくは、着用者の足の表面領域に平行な平面内に延びる通路又は管を形成する。また、トンネルは、好ましくは、平坦又は平面基部層の平面に平行な平面内に延びる通路又は管を形成する。
【0008】
接続通路を1つだけ各トンネル区分内に配置し得る。一代替形態は、2つの接続通路が、並んで配置される状態で、各トンネル区分内に配置されることを提案する。
【0009】
好ましくは、4つの隣接するトンネル区分は、基部層がトンネル区分から覆われていない領域を囲み、したがって、意図する使用の間に靴を見ると、基部層が見える。前述の領域は、好ましくは、細長い形状を有する。ここでは、楕円形状が好ましい。また、多角形形状、特に長方形又は五角形又は六角形又は八角形又はダイヤモンド状形状、又はハチの巣状形状が好ましい。
【0010】
該領域は、好ましくは、5.0mmから40.0mmの間、特に10.0mmから35.0mmの間の最大長さを有する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、2つの隣接するトンネル区分が、隆起部によって互いに接続されている。隆起部は、好ましくは、トンネル区分と同じ厚さを有する。
【0012】
基部層は、好ましくは、0.5から4.0mmの間の厚さを有する。トンネル区分は、好ましくは、1.0から4.0mmの間の厚さを有する。接続通路は、好ましくは、1.0から3.0mmの間の直径を有する。
【0013】
基部層及びトンネル区分は、編成工程によって作製されることが特に好ましい。基部層及びトンネル区分は、好ましくは、編成工程による単一編成構造を形成する。
【0014】
基部層は、第1の編成糸から作製し得る一方で、トンネル区分は、少なくとも1本の第2の編成糸から作製され、これにより、少なくとも1本の第2の編成糸は、第1の編成糸とは異なる。
【0015】
更に、使用する編成糸に関し、耐水性編成糸、特に、ポリエステル編成糸を使用することが好ましい。特に、耐水性コーティングを有するポリエステル編成糸とナイロン・バンディ(Nylon Bundy)編成糸とのミックスが好ましい。耐水性編成糸を生成するには、通常のポリエステル編成糸を、ある時間期間の間、完全にコーティングされるまで液体はっ水剤に浸漬する。次に、編成糸を乾燥させると、使用/編成の準備が整う。
【0016】
以下で説明する靴アッパーの更なる材料層を配置することができ、これらの更なる層は、着用者の足に面する。
【0017】
提案する靴アッパーの設計によって、個々に選択し得る場所で上述のトンネルに靴紐を通すことが可能になり、このため、紐通し効果は、靴着用者の特定の希望に従って最適化される。
【0018】
更に、提案する構造設計のために、かなり好ましい外観の靴がもたらされる。特に、靴の外観は、靴の上述の機能によって妨害されない。
【0019】
図面において、本発明の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】運動靴の概略側面図である。
図2図1による細部「X」の図である。
図3】同様に、本発明の第1の実施形態による細部「X」の一部の図である。
図4】本発明の第2の実施形態による細部「X」の一部の図である。
図5】本発明の第1の実施形態のための図2による断面A-Bに沿った断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態のための図2による断面A-Bに沿った断面図である。
図7】本発明の別の実施形態のための図1による細部「X」の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、靴アッパー1を有する靴2が示される。図示の実施形態では、靴アッパーは、基本的に編成工程によって作製される。アッパー1は、靴2の着用者の足Fを覆い、したがって、着用者の足Fに面する内面と、着用者の足Fから離れて面する外面とを有する。
【0022】
図2図3及び図5は、靴アッパー1の第1の実施形態の細部を示す。図4及び図6は、靴アッパー1の第2の実施形態を示す。最後に、図7は、靴アッパー1の更なる第3の実施形態を示す。
【0023】
符号は、全ての実施形態において常に同じである。このため、以下の説明は、基本的に全ての描写される実施形態に対して適用される。
【0024】
図2図3及び図5から分かるように、靴アッパー1は、構造化層4が上に配置される基部層3を有する。基部層3は、着用者の足Fの一方の側(内側)に面し、足Fから離れた一方の側(外側)に面する。基部層は、外面5を有する。基部層3の外面5に、構造化層4が配置される。
【0025】
構造化層4は、複数のトンネル区分6を有する。各トンネル区分6は、トンネル7(図5を参照)を有し、トンネル7は、トンネル区分6の第1の側8から第2の側9に延在する。更に、トンネル区分6は、1つの接続通路10を備え、1つの接続通路10は、トンネル7をトンネル区分6の外面11と接続する。
【0026】
好ましくは、トンネル区分6、したがってトンネル区分6に沿って延在するトンネル7の長さは、1.0cmから2.0cmの間である。接続通路10は、好ましくは、唯一の接続通路10がトンネル区分6内に設けられる限り、トンネル区分6の延在部の中間に配置される。
【0027】
2つの接続通路10が各トンネル区分6に対して設けられる場合、各接続通路10の場所は、好ましくは、トンネル区分の第1の側8又は第2の側9から、トンネル区分7の全長の20%から40%の間の距離を置かれる。
【0028】
したがって、靴紐14の経路が与えられ、この経路に沿って、靴紐14をトンネル区分6に通すことができる。複数のトンネル区分6が利用可能であるため、靴の着用者は、靴紐14を通すのに個々のトンネルを選択することができる。
【0029】
更に、常に4つのトンネル区分6が隆起部13を介して接続されるため、均質構造が得られることがわかる(図2からわかる)。4つのトンネル区分6は、隆起部13と共に領域12を囲み、この領域12では、基部層3は、トンネル区分6及び隆起部13によって覆われていない。これらの領域12の最大長さは、Lで示される。2.0から3.0cmの間のLの値が好ましい。
【0030】
図5には、基部層3の厚さt及びトンネル区分6の厚さTも示される。通常、基部層3の厚さtは、1.0から2.0mmの間である。トンネル区分6の厚さTは、好ましくはより大きく、好ましくは2.0から3.0mmの間の値を有する。
【0031】
図4及び図6において、ここでは2つの隣接する接続通路10が並んで設けられていることのみが基本的に異なる代替設計が示される。
【0032】
接続通路の直径Dは、図7に示され、好ましくは、1.0から3.0mmの間である。
【0033】
図5から分かるように、トンネル7の(基部層3に隣接する)下側は、トンネル区分6の材料から形成することができる。一代替形態として、トンネル7の下側を基部層3の材料によって直接形成することも可能である(図6を参照)。
【0034】
好ましくは、2つの異なる編成糸を使用し、一方の編成糸で基部層3を編成し、もう一方の編成糸で隆起部13を含むトンネル区分6を編成する。このことにもかかわらず、上述の層及び区分の両方を含む単一編成構造が好ましい。
【0035】
図7において、本発明の更なる実施形態を示す。(実質的に楕円の形状を有する領域12を有する)上記で説明した実施形態とは異なり、図7による解決策の領域12は、細長い八角形の形状を有する。図7に示す断面A-Bは、やはり図5に示される。
【0036】
領域12は、完全に空いたままにすることができるが、代替的に、特に靴の視覚的な外観に影響を及ぼすように、更なる構造又はパターンを備えることもできる。
【0037】
当然、3つの説明した実施形態の特徴を組み合わせることが可能である。したがって、例えば、図7による構成は、2つ(以上)の接続通路10を備えることもできる。
【0038】
説明した靴アッパーの製造は、編成機により経済的に実行することができ、横編工程が好ましい。
【0039】
使用する編成糸は、靴アッパーの好ましい外観を支持するように様々な色を有することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 靴アッパー
2 靴
3 基部層
4 構造化層
5 基部層の外面
6 トンネル区分
7 トンネル
8 トンネル区分の第1の側
9 トンネル区分の第2の側
10 接続通路
11 トンネル区分の外面
12 囲まれた領域
13 隆起部
14 靴紐
L 領域の最大長さ
t 基部層の厚さ
T トンネル区分の厚さ
D 接続通路の直径
F 着用者の足
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2019-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴(2)のための、特に運動靴のための靴アッパー(1)において、前記靴アッパー(1)は、
平面基部材料層(3)と、
前記基部層(3)の外面(5)上に配置され、前記靴(2)の着用者の足から離れて面する構造化層(4)とを備え、
前記構造化層(4)は、複数のトンネル区分(6)を備え、各前記トンネル区分(6)は、前記トンネル区分(6)の第1の側(8)から第2の側(9)に延在する少なくとも1つのトンネル(7)を有し、前記トンネル区分(6)は、前記トンネル(7)を前記トンネル区分(6)の外面(11)と接続する少なくとも1つの接続通路(10)を備え
また、前記基部層(3)及び前記トンネル区分(6)は、編成工程によって作製されたものであり、
前記基部層(3)及び前記トンネル区分(6)は、単一編成構造を形成する
ことを特徴とする靴アッパー(1)。
【請求項2】
厳密に1つの前記接続通路(10)は、各前記トンネル区分(6)内に配置される
請求項1に記載の靴アッパー。
【請求項3】
2つの前記接続通路(10)は、並んで配置される状態で、各前記トンネル区分(6)内に配置される
請求項1に記載の靴アッパー。
【請求項4】
4つの隣接する前記トンネル区分(6)は、前記基部層(3)が前記トンネル区分(6)から覆われていない領域(12)を囲む
請求項1ないし3のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項5】
前記領域(12)は、細長い形状を有する
請求項4に記載の靴アッパー。
【請求項6】
前記領域(12)は、楕円形状を有する
請求項5に記載の靴アッパー。
【請求項7】
前記領域(12)は、多角形形状、特に長方形又は五角形又は六角形又は八角形又はダイヤモンド状形状、又はハチの巣状形状を有する
請求項5に記載の靴アッパー。
【請求項8】
前記領域(12)は、5.0mmから40.0mmの間、特に10.0mmから35.0mmの間の最大長さ(L)を有する
請求項4ないし7のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項9】
2つの隣接する前記トンネル区分(6)は、隆起部(13)によって互いに接続され、前記隆起部(13)は、好ましくは、前記トンネル区分(6)と同じ厚さを有する
請求項1ないし8のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項10】
前記基部層(3)は、0.5から4.0mmの間の厚さ(t)を有する
請求項1ないし9のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項11】
前記トンネル区分(6)は、1.0から4.0mmの間の厚さ(T)を有する
請求項1ないし10のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項12】
前記接続通路(10)は、1.0から3.0mmの間の直径(D)を有する
請求項1ないし11のいずれかに記載の靴アッパー。
【請求項13】
前記基部層(3)は、第1の編成糸から作製され、前記トンネル区分(6)は、少なくとも1本の第2の編成糸から作製され、前記少なくとも1本の第2の編成糸は、前記第1の編成糸とは異なる
請求項1に記載の靴アッパー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴のための、特に運動靴のための靴アッパーに関し、靴アッパーは、平面基部材料層と、基部層の外面上に配置され、靴の着用者の足から離れて面する構造化層とを備え、構造化層は、複数のトンネル区分を備え、各トンネル区分は、トンネル区分の第1の側から第2の側に延在する少なくとも1つのトンネルを有し、トンネル区分は、トンネルをトンネル区分の外面と接続する少なくとも1つの接続通路を備える。
【背景技術】
【0002】
靴アッパーは当技術分野において周知である。一例は、WO2016/095938A1(特許文献1)において開示されている。この例では、アッパーは、編成工程によって作製される。通常、靴紐は、アッパー内に機械加工される開口に通される。したがって、靴紐がアッパーに接触する場所は、画定されており、後で変更することができない。
【0003】
アッパーに沿った又はアッパーを通る靴紐の通り道を修正又は調節可能とすることが望ましいことがある。
【0004】
上述の種類の靴アッパーは、WO2017/067566A1(特許文献2)に開示されている。ここでは、靴アッパーは、2つの単一層から作製され、上層は、複数のトンネルが2つの層の間に形成されるように網形状構造として設計される。同様の解決策は、FR2835405A1(特許文献3)及びUS2018/0255877A1(特許文献4)から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2016/095938A1
【特許文献2】WO2017/067566A1
【特許文献3】FR2835405A1
【特許文献4】US2018/0255877A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、最適な紐通しを可能にする、靴のための、特に運動靴のためのアッパーを生成することである。即ち、アッパーは、靴紐を締める際に所望の紐通し効果が得られるように、靴紐をアッパーの特定の場所に通すことが可能であるはずである。更に、アッパーは、好ましい外観を有するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるこの目的の解決策は、基部層及びトンネル区分が、編成工程によって作製され、基部層及びトンネル区分は、単一編成構造を形成することを特徴とする。
【0008】
トンネルは、好ましくは、着用者の足の表面領域に平行な平面内に延びる通路又は管を形成する。また、トンネルは、好ましくは、平坦又は平面基部層の平面に平行な平面内に延びる通路又は管を形成する。
【0009】
接続通路を1つだけ各トンネル区分内に配置し得る。一代替形態は、2つの接続通路が、並んで配置される状態で、各トンネル区分内に配置されることを提案する。
【0010】
好ましくは、4つの隣接するトンネル区分は、基部層がトンネル区分から覆われていない領域を囲み、したがって、意図する使用の間に靴を見ると、基部層が見える。前述の領域は、好ましくは、細長い形状を有する。ここでは、楕円形状が好ましい。また、多角形形状、特に長方形又は五角形又は六角形又は八角形又はダイヤモンド状形状、又はハチの巣状形状が好ましい。
【0011】
該領域は、好ましくは、5.0mmから40.0mmの間、特に10.0mmから35.0mmの間の最大長さを有する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、2つの隣接するトンネル区分が、隆起部によって互いに接続されている。隆起部は、好ましくは、トンネル区分と同じ厚さを有する。
【0013】
基部層は、好ましくは、0.5から4.0mmの間の厚さを有する。トンネル区分は、好ましくは、1.0から4.0mmの間の厚さを有する。接続通路は、好ましくは、1.0から3.0mmの間の直径を有する
【0014】
基部層は、第1の編成糸から作製し得る一方で、トンネル区分は、少なくとも1本の第2の編成糸から作製され、これにより、少なくとも1本の第2の編成糸は、第1の編成糸とは異なる。
【0015】
更に、使用する編成糸に関し、耐水性編成糸、特に、ポリエステル編成糸を使用することが好ましい。特に、耐水性コーティングを有するポリエステル編成糸とナイロン・バンディ(Nylon Bundy)編成糸とのミックスが好ましい。耐水性編成糸を生成するには、通常のポリエステル編成糸を、ある時間期間の間、完全にコーティングされるまで液体はっ水剤に浸漬する。次に、編成糸を乾燥させると、使用/編成の準備が整う。
【0016】
以下で説明する靴アッパーの更なる材料層を配置することができ、これらの更なる層は、着用者の足に面する。
【0017】
提案する靴アッパーの設計によって、個々に選択し得る場所で上述のトンネルに靴紐を通すことが可能になり、このため、紐通し効果は、靴着用者の特定の希望に従って最適化される。
【0018】
更に、提案する構造設計のために、かなり好ましい外観の靴がもたらされる。特に、靴の外観は、靴の上述の機能によって妨害されない。
【0019】
図面において、本発明の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】運動靴の概略側面図である。
図2図1による細部「X」の図である。
図3】同様に、本発明の第1の実施形態による細部「X」の一部の図である。
図4】本発明の第2の実施形態による細部「X」の一部の図である。
図5】本発明の第1の実施形態のための図2による断面A-Bに沿った断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態のための図2による断面A-Bに沿った断面図である。
図7】本発明の別の実施形態のための図1による細部「X」の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、靴アッパー1を有する靴2が示される。図示の実施形態では、靴アッパーは、基本的に編成工程によって作製される。アッパー1は、靴2の着用者の足Fを覆い、したがって、着用者の足Fに面する内面と、着用者の足Fから離れて面する外面とを有する。
【0022】
図2図3及び図5は、靴アッパー1の第1の実施形態の細部を示す。図4及び図6は、靴アッパー1の第2の実施形態を示す。最後に、図7は、靴アッパー1の更なる第3の実施形態を示す。
【0023】
符号は、全ての実施形態において常に同じである。このため、以下の説明は、基本的に全ての描写される実施形態に対して適用される。
【0024】
図2図3及び図5から分かるように、靴アッパー1は、構造化層4が上に配置される基部層3を有する。基部層3は、着用者の足Fの一方の側(内側)に面し、足Fから離れた一方の側(外側)に面する。基部層は、外面5を有する。基部層3の外面5に、構造化層4が配置される。
【0025】
構造化層4は、複数のトンネル区分6を有する。各トンネル区分6は、トンネル7(図5を参照)を有し、トンネル7は、トンネル区分6の第1の側8から第2の側9に延在する。更に、トンネル区分6は、1つの接続通路10を備え、1つの接続通路10は、トンネル7をトンネル区分6の外面11と接続する。
【0026】
好ましくは、トンネル区分6、したがってトンネル区分6に沿って延在するトンネル7の長さは、1.0cmから2.0cmの間である。接続通路10は、好ましくは、唯一の接続通路10がトンネル区分6内に設けられる限り、トンネル区分6の延在部の中間に配置される。
【0027】
2つの接続通路10が各トンネル区分6に対して設けられる場合、各接続通路10の場所は、好ましくは、トンネル区分の第1の側8又は第2の側9から、トンネル区分7の全長の20%から40%の間の距離を置かれる。
【0028】
したがって、靴紐14の経路が与えられ、この経路に沿って、靴紐14をトンネル区分6に通すことができる。複数のトンネル区分6が利用可能であるため、靴の着用者は、靴紐14を通すのに個々のトンネルを選択することができる。
【0029】
更に、常に4つのトンネル区分6が隆起部13を介して接続されるため、均質構造が得られることがわかる(図2からわかる)。4つのトンネル区分6は、隆起部13と共に領域12を囲み、この領域12では、基部層3は、トンネル区分6及び隆起部13によって覆われていない。これらの領域12の最大長さは、Lで示される。2.0から3.0cmの間のLの値が好ましい。
【0030】
図5には、基部層3の厚さt及びトンネル区分6の厚さTも示される。通常、基部層3の厚さtは、1.0から2.0mmの間である。トンネル区分6の厚さTは、好ましくはより大きく、好ましくは2.0から3.0mmの間の値を有する。
【0031】
図4及び図6において、ここでは2つの隣接する接続通路10が並んで設けられていることのみが基本的に異なる代替設計が示される。
【0032】
接続通路の直径Dは、図7に示され、好ましくは、1.0から3.0mmの間である。
【0033】
図5から分かるように、トンネル7の(基部層3に隣接する)下側は、トンネル区分6の材料から形成することができる。一代替形態として、トンネル7の下側を基部層3の材料によって直接形成することも可能である(図6を参照)。
【0034】
好ましくは、2つの異なる編成糸を使用し、一方の編成糸で基部層3を編成し、もう一方の編成糸で隆起部13を含むトンネル区分6を編成する。このことにもかかわらず、上述の層及び区分の両方を含む単一編成構造が好ましい。
【0035】
図7において、本発明の更なる実施形態を示す。(実質的に楕円の形状を有する領域12を有する)上記で説明した実施形態とは異なり、図7による解決策の領域12は、細長い八角形の形状を有する。図7に示す断面A-Bは、やはり図5に示される。
【0036】
領域12は、完全に空いたままにすることができるが、代替的に、特に靴の視覚的な外観に影響を及ぼすように、更なる構造又はパターンを備えることもできる。
【0037】
当然、3つの説明した実施形態の特徴を組み合わせることが可能である。したがって、例えば、図7による構成は、2つ(以上)の接続通路10を備えることもできる。
【0038】
説明した靴アッパーの製造は、編成機により経済的に実行することができ、横編工程が好ましい。
【0039】
使用する編成糸は、靴アッパーの好ましい外観を支持するように様々な色を有することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 靴アッパー
2 靴
3 基部層
4 構造化層
5 基部層の外面
6 トンネル区分
7 トンネル
8 トンネル区分の第1の側
9 トンネル区分の第2の側
10 接続通路
11 トンネル区分の外面
12 囲まれた領域
13 隆起部
14 靴紐
L 領域の最大長さ
t 基部層の厚さ
T トンネル区分の厚さ
D 接続通路の直径
F 着用者の足
【国際調査報告】