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特表2022-515335置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20220210BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/444
A61K31/5377
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532190
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 CN2019122674
(87)【国際公開番号】W WO2020114388
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】201811527134.3
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811488548.X
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519263556
【氏名又は名称】深▲チェン▼市塔吉瑞生物医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen TargetRx, Inc.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building A1, Kexing Science Park, No.15 of Keyuan Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】王 義漢
(72)【発明者】
【氏名】任 興業
【テーマコード(参考)】
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB262
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用を提供し、前記の置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物は、式(I)で表われる化合物或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物である。本発明化合物およびその組成物は、RETキナーゼによって媒介される疾患または病症の治療に用いられ、また、より優れた薬物動態学的特性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化1】
ここで、
Yは、CHまたはNから選択され、さらに、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;
Wは、CR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
Xは、CH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
Zは、
【化2】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の重水素によって置換されていてもよく;
*は、母核に接続された結合を表し;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである、
式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項2】
式(II-A)で表われる化合物であって、
【化3】
ここで、
Wが、CR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
およびXが、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
好ましくは、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であり;
好ましくは、XがCDであり;
好ましくは、XがCDであり;
好ましくは、RおよびRが重水素であり;
請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項3】
式(II-B)で表われる化合物であって、
【化4】
ここで、
WがCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
好ましくは、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であり;
好ましくは、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19が水素であり;
好ましくは、XがCDであり;
好ましくは、RおよびRが重水素であり;
請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項4】
式(II-B-a)で表われる化合物であって、
【化5】
ここで、
WがCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
好ましくは、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であり;
好ましくは、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19が水素であり;
好ましくは、XがCDであり;
好ましくは、RおよびRが重水素であり;
請求項3に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項5】
式(II-C)で表われる化合物であって、:
【化6】
ここで、
WがCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R20およびR21が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
X、XおよびXが、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が水素であり;
好ましくは、R20およびR21が水素であり;
好ましくは、XおよびXがCHであり;
好ましくは、XがCDであり;
好ましくは、RおよびRが重水素であり;
請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
からなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項7】
薬学的に許容される賦形剤と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、
を含む、医薬組成物であって、
好ましくは、他の治療薬をさらに含み;
好ましくは、前記の他の治療薬が、細胞毒性化学療法剤、キナーゼ標的治療剤、アポトーシス調節剤、またはシグナル伝達阻害剤から選択され;
好ましくは、前記の他の治療薬が、1種または複数種のキナーゼ標的治療剤から選択される、医薬組成物。
【請求項8】
RET関連癌を治療するための医薬品の調製における、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記のRET関連癌が、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルが調節不全である癌であり;
好ましくは、前記のRET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全が、RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異であり;
好ましくは、RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異が、S32L、D34S、L40P、P64L、R67H、R114H、V145G、V292M、g321R、R330Q、T338I、R360W、F393L、A510V、E511K、C515S、C531R、g533C、g533S、g550E、V591I、g593E、I602V、R600Q、K603Q、K603E、Y606C、C609Y、C609S、C609G、C609R、C609F、C609W、C611R、C611S、C611G、C611Y、C611F、C611W、C618S、C618Y、C618R、C618Y、C618G、C618F、C618W、F619F、C620S、C620W、C620R、C620G、C620L、C620Y、C620F、E623K、D624N、C630A、C630R、C630S、C630Y、C630F、D631N、D631Y、D631A、D631G、D631V、D631E、E632K、E632G、C634W、C634Y、C634S、C634R、C634F、C634G、C634L、C634A、C634T、R635G、T636P、T636M、A640G、A641S、A641T、V648I、S649L、A664D、H665Q、K666E、K666M、K666N、S686N、g691S、R694Q、M700L、V706M、V706A、E713K、g736R、g748C、A750P、S765P、P766S、P766M、E768Q、E768D、L769L、R770Q、D771N、N777S、V778I、Q781R、L790F、Y791F、V804L、V804M、V804E、E805K、Y806E、Y806F、Y806S、Y806G、Y806C、E818K、S819I、g823E、Y826M、R833C、P841L、P841P、E843D、R844W、R844Q、R844L、M848T、I852M、A866W、R873W、A876V、L881V、A883F、A883S、A883T、E884K、R886W、S891A、R897Q、D898V、E901K、S904F、S904C、K907E、K907M、R908K、g911D、R912P、R912Q、M918T、M918V、M918L、A919V、E921K、S922P、S922Y、T930M、F961L、R972G、R982C、M1009V、D1017N、V1041GまたはM1064Tからなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸で置換されたRETタンパク質の翻訳をもたらし;
好ましくは、前記のRET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全がRET遺伝子融合体であり;
好ましくは、前記のRET融合体が、BCR-RET、CLIP1-RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、NCOA4-RET、TRIM33-RET、ERC1-RET、ELKS-RET、RET-ELKS、FGFR1OP-RET、RET-MBD1、RET-RAB61P2、RET-PCM1、RET-PPKAR1A、RET-TRIM24、RET-RFG9、RFP-RET、RET-GOLGA5、HOOK3-RET、KTN1-RET、TRIM27-RET、AKAP13-RET、FKBP15-RET、SPECC1L-RET、TBL1XR1/RET、CEP55-RET、CUX1-RET、KIAA1468-RET、PPKAR1A-RET、RFG8/RET、RET/RFG8、H4-RET、ACBD5-RET、PTCex9-RET、MYH13-RET、PIBF1-RET、KIAA1217-RET、またはMPRIP-RETなる群から選択される、
請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記のRET関連癌が、肺癌、乳頭状甲状腺癌、甲状腺髄様癌、分化型甲状腺癌、再発性甲状腺癌、難治性分化型甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍2Aまたは2B型(それぞれMEN2AまたはMEN2B)、フェオクロモサイトーマ、副甲状腺過形成、乳癌、膵臓癌、結腸直腸癌、乳頭状腎細胞癌、胃腸粘膜神経節細胞腫、または子宮頸癌からなる群から選択され;
好ましくは、前記の癌症が、RET融合体肺癌、RET融合体乳頭状甲状腺癌または甲状腺髄様癌からなる群から選択され;
好ましくは、前記の肺癌が、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、細気管支癌または肺腺癌である、
請求項8または9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に属し、特に、置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用に関する。具体的に、本発明は、重水素置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物に関し、これらの重水素置換化合物およびそれらの組成物は、RETキナーゼによって媒介される疾患または病症の治療に用いられ、また、これらの重水素置換化合物は、より優れた薬物動態学的特性を有する。
【背景技術】
【0002】
RET(Rearranged during transfection、トランスフェクション再編成)は、受容体チロシンキナーゼタンパク質ファミリーに属し、細胞の成長と分化のシグナルを伝達する細胞表面分子である。RETキナーゼの細胞外部分には、リガンド結合に関与する4つのカルシウム依存性カドヘリン様リピートおよびRET細胞外ドメインの正しい折り畳みに必要な近位膜システインリッチ領域が含まれ、また、受容体の細胞質部分には2つのチロシンキナーゼサブドメインが含まれる。
【0003】
RETタンパク質の主なリガンドは、GDNF、ニュールツリン(NTRN、神経成長因子)、アルテミン(ARTN、アルテミン因子)、およびペルセフィン(PSPN、ペルセフィン因子)を含むグリア細胞株由来神経栄養因子(Glial cell line derived neurotrophic factor,GDNF)ファミリーに属する。RET受容体がそのリガンドに結合すると、細胞内チロシンキナーゼはリン酸化され、さらにRETの二量体化、自己リン酸化、および基質リン酸化を誘導することで、Ras-MAPKおよびPI3K-Akt/mTOR経路を含む細胞内の複数の下流シグナル伝達経路を活性化するか、またはRETを介する機能のRETダウンレギュレーションで役割を果たすユビキチンリガーゼのCBLファミリーの動員につながる。
【0004】
RET遺伝子変異またはRET遺伝子融合は、一部の癌の促進因子として特定される。非小細胞肺癌におけるRET遺伝子融合の発生率は約2%であり、乳頭状甲状腺癌(Papillary Thyroid Cancers,PTCs)における発生率は10%~20%である。最も一般的な融合パートナーには、KIF5B、TRIM33、CCDC6およびNCOA4が含まれる。甲状腺髄様癌(Medullary Thyroid Cancers,MTC)におけるRET遺伝子変異の発生率は約60%であり、最も一般的な変異部位はM918Tである。RET阻害剤耐性変異には、アミノ酸位置804(V804M、V804L、V804E)、アミノ酸位置805(E805K)、およびアミノ酸位置806(Y806C、Y806E)が含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
国際公開番号WO2007/011776A1およびWO2018/071447A1は、RETキナーゼによって媒介される疾患または病症を治療および予防するために使用することができる、RETキナーゼ阻害剤としての一連の置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物を開示した。
【0006】
多くの薬剤候補について、それらの吸収、分布、代謝および/または排泄(ADME)特性が乏しいことが、臨床試験の失敗の主な原因であることは知られている。現在、多くの市販薬は、乏しいADME特性によって適用範囲が限られている。薬物の急速な代謝は、そもそも効率的に疾患を治療できる多くの薬物が体内からあまりにも早く代謝、除去されるため、薬物として使用できないことにつながる。また、頻繁または高用量の投与により、急速な薬物クリアランスの問題を解決できる可能性があるが、この方法は、患者のコンプライアンスの低下、高用量投与による副作用、および治療コストの増加などの問題につながる可能性がある。さらに、急速に代謝される薬物は、患者を有害な毒性または反応性代謝物にさらす可能性もある。
【0007】
今まで、RET阻害剤の販売は承認されていないので、この分野ではまだ深刻なアンメットメディカルニーズがある。良好な経口バイオアベイラビリティおよび創薬可能性を有するRETに関連する疾患を治療できる新規化合物の発見は、依然として困難な課題である。したがって、この分野では、選択的阻害活性および/またはより優れた薬力学/薬物動態学的特性を備える、RET阻害剤に適する化合物を開発することが依然として必要である。本発明は、このような化合物を提供する。
【発明の概要】
【0008】
上記の技術的問題について、本発明は、細胞または患者におけるRET、RET遺伝子変異およびRET遺伝子融合を阻害する活性を有し、且つ副作用が低く、薬物動態学的特性がより優れており、RETキナーゼによって媒介される関連疾患または病症の治療に使用することができる新規の重水素置換ピラゾロ[1,5-a]ピリジン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用を開示する。
【0009】
本明細書において、「本発明化合物」という用語は、式(I)および式(II)(例えば式(II-A)、式(II-B-a)などのサブセットを含む)で表われる化合物を指す。また、この用語は、その互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む。
【0010】
この点に関して、本発明は、以下の技術構成を採用する。
【0011】
第1局面では、本発明は、式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
【化1】
ここで、
Yは、CHまたはNから選択され、さらに、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;
Wは、CR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
Xは、CH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
Zは、
【化2】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の重水素によって置換されていてもよく;
*は、母核に接続された結合を表し;
追加の条件は、前記の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する。
【0012】
別の態様において、本発明は、本発明化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、有効量で上記の医薬組成物に提供される。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、治療有効量で提供される。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、予防有効量で提供される。特定的な実施形態において、医薬組成物は、他の治療剤をさらに含む。特定的な実施形態において、他の治療剤は、細胞毒性化学療法剤、キナーゼ標的治療剤、アポトーシス調節剤またはシグナル伝達阻害剤から選択される。特定的な実施形態において、他の治療剤は、1つまたは複数のキナーゼ標的治療剤から選択される。
【0013】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤と本発明の化合物とを混合して医薬組成物を形成する工程を含む、上記の医薬組成物の調製方法を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、RET関連癌を治療するための医薬品の調製における、本発明化合物化合物或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、或いは上記の医薬組成物の使用を提供する。特定の実施形態において、RET関連癌は、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルが調節不全である癌である。特定の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異である。特定の実施形態において、RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異は、1つまたは複数の以下のアミノ酸で置換されたRETタンパク質の翻訳をもたらす。前記のアミノ酸は、S32L、D34S、L40P、P64L、R67H、R114H、V145G、V292M、G321R、R330Q、T338I、R360W、F393L、A510V、E511K、C515S、C531R、G533C、G533S、G550E、V591I、G593E、I602V、R600Q、K603Q、K603E、Y606C、C609Y、C609S、C609G、C609R、C609F、C609W、C611R、C611S、C611G、C611Y、C611F、C611W、C618S、C618Y、C618R、C618Y、C618G、C618F、C618W、F619F、C620S、C620W、C620R、C620G、C620L、C620Y、C620F、E623K、D624N、C630A、C630R、C630S、C630Y、C630F、D631N、D631Y、D631A、D631G、D631V、D631E、E632K、E632G、C634W、C634Y、C634S、C634R、C634F、C634G、C634L、C634A、C634T、R635G、T636P、T636M、A640G、A641S、A641T、V648I、S649L、A664D、H665Q、K666E、K666M、K666N、S686N、G691S、R694Q、M700L、V706M、V706A、E713K、G736R、G748C、A750P、S765P、P766S、P766M、E768Q、E768D、L769L、R770Q、D771N、N777S、V778I、Q781R、L790F、Y791F、V804L、V804M、V804E、E805K、Y806E、Y806F、Y806S、Y806G、Y806C、E818K、S819I、G823E、Y826M、R833C、P841L、P841P、E843D、R844W、R844Q、R844L、M848T、I852M、A866W、R873W、A876V、L881V、A883F、A883S、A883T、E884K、R886W、S891A、R897Q、D898V、E901K、S904F、S904C、K907E、K907M、R908K、G911D、R912P、R912Q、M918T、M918V、M918L、A919V、E921K、S922P、S922Y、T930M、F961L、R972G、R982C、M1009V、D1017N、V1041GまたはM1064Tからなる群から選択される。特定の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RET遺伝子融合体である。特定の実施形態において、前記のRET遺伝子融合体は、BCR-RET、CLIP1-RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、NCOA4-RET、TRIM33-RET、ERC1-RET、ELKS-RET、RET-ELKS、FGFR1OP-RET、RET-MBD1、RET-RAB61P2、RET-PCM1、RET-PPKAR1A、RET-TRIM24、RET-RFG9、RFP-RET、RET-GOLGA5、HOOK3-RET、KTN1-RET、TRIM27-RET、AKAP13-RET、FKBP15-RET、SPECC1L-RET、TBL1XR1/RET、CEP55-RET、CUX1-RET、KIAA1468-RET、PPKAR1A-RET、RFG8/RET、RET/RFG8、H4-RET、ACBD5-RET、PTCex9-RET、MYH13-RET、PIBF1-RET、KIAA1217-RET、またはMPRIP-RETからなる群から選択される。特定の実施形態において、前記のRET関連癌は、肺癌、乳頭状腺癌、甲状腺髄様癌、分化型甲状腺癌、再発性甲状腺癌、難治性分化型甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍2Aまたは2B型(それぞれMEN2AまたはMEN2B)、フェオクロモサイトーマ、副甲状腺過形成、乳癌、結腸直腸癌、乳頭状腎細胞癌、胃腸粘膜神経節細胞腫、または子宮頸癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、前記の化合物は、経口、皮下、静脈内、または筋肉内で投与される。特定の実施形態において、前記の化合物は長期投与される。
【0015】
本発明の他の目的および利点は、後記の特定的な実施形態、実施例、および特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書において、特に明記しない限り、「重水素化」とは、化合物または基における1つまたは複数の水素が重水素で置換されていることを意味する。「重水素化」は、重水素によって一置換、二置換、多置換、または完全に置換されていてもよい。「1つ以上の重水素で置換された」および「重水素で1回以上置換された」という用語は互換的に使用できる。
【0017】
本明細書において、特に明記しない限り、「非重水素化化合物」とは、重水素原子の含有割合が天然重水素同位体含有量(0.015%)を超えない化合物である。
【0018】
本明細書において、用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該分野において周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機酸や有機酸と塩基に由来するものが含まれる。
【0019】
本発明の化合物は、アモルファスまたは結晶形態であってもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数種の結晶体で存在し得る。従って、本発明は、本発明の化合物の全てのアモルファス又は結晶形態をその範囲内に含む。「結晶体」という用語は、薬物分子の異なる配置を指し、一般に、薬物原料が固体状態で存在する形態として現される。1つの薬物は、複数種の結晶体で存在し得る。同じ薬物の異なる結晶体は、体内での溶解や吸収が異なり、製剤の溶解および放出に影響を与える可能性がある。
【0020】
本明細書において、「被験者」という用語とは、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児被験者(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験者(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、被験者は、ヒトである。一部の実施形態において、被験者は、非ヒト動物である。
【0021】
「疾患」、「障害」および「病状」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0022】
他に特定されない限り、本明細書中で使用される用語「治療」は、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患している間に行われ、その疾患、障害または病状の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または病状の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療性治療」)を想定し、そしてまた、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患し始める前に行われる行為(「予防性治療」)を想定する。
【0023】
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を惹起するために充分な量を指す。当業者によって理解されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的目標、化合物の薬物動態学、治療される疾患、投与様式、ならびに被験者の年齢、健康状態、および病状などの要因に依存して、変わり得る。有効量とは、治療有効量および予防性治療有効量を含む。
【0024】
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「治療有効量」とは、疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供するか、あるいはその疾患、障害または病状に関連する1つまたは複数の症状を遅延させるかまたは最小にするために充分な量である。化合物の治療有効量とは、その疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供する、単独でまたは他の治療法と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、治療全体を改善させる量、疾患または病状の症状または原因を減少させるかまたは回避する量、あるいは別の治療剤の治療効果を増強する量を含む。
【0025】
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは病状、またはその疾患、障害もしくは病状に関連する1つもしくは複数の症状を予防するため、あるいはその再発を予防するために充分な量である。化合物の予防有効量とは、その疾患、障害または病状の予防において予防上の利点を提供する、単独でまたは他の薬剤と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、予防全体を改善させる量、または別の予防剤の予防効果を増強する量を含む。
【0026】
「組み合わせ」及び関連用語は、本発明の治療剤を同時に又は順次投与することを意味する。例えば、本発明の化合物は、別々の単位製剤として他の治療剤と同時に又は順次に投与したり、単一の単位製剤として他の治療剤と同時に投与したりすることができる。
【0027】
化合物
一実施形態において、本発明は、式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化3】
ここで、
YはCHまたはNから選択され、さらに、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
Zは、
【化4】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の重水素によって置換されていてもよく;
*は母核に接続された結合を表し;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0028】
本発明の好ましい実施形態として、重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態として、本発明は、少なくとも1個の重水素原子、より好ましくは2個の重水素原子、より好ましくは3個の重水素原子、より好ましくは4個の重水素原子、より好ましくは5個の重水素原子、より好ましくは6個の重水素原子、より好ましくは7個の重水素原子、より好ましくは8個の重水素原子、より好ましくは9個の重水素原子、より好ましくは10個の重水素原子、より好ましくは11個の重水素原子、より好ましくは12個の重水素原子、より好ましくは13個の重水素原子、より好ましくは14個の重水素原子、より好ましくは15個の重水素原子、より好ましくは16個の重水素原子、より好ましくは17個の重水素原子、より好ましくは18個の重水素原子、より好ましくは19個の重水素原子、より好ましくは20個の重水素原子を含む。
【0030】
一部の実施形態において、YはCHまたはNから選択され、さらに、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;別の一部の実施形態において、YはCH、N、CD、CFまたはCFから選択され;別の一部の実施形態において、YはCHであり;別の一部の実施形態において、YはNである。
【0031】
一部の実施形態において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;別の一部の実施形態において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、Fまたはトリフルオロメチルから選択され;別の一部の実施形態において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素であり;別の一部の実施形態において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して重水素である。
【0032】
一部の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、Rは水素であり;別の一部の実施形態において、Rは重水素であり;別の一部の実施形態において、R10は水素であり;別の一部の実施形態において、R10は重水素である。
【0033】
一部の実施形態において、XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;別の一部の実施形態において、XはCHであり;別の一部の実施形態において、XはCDであり;別の一部の実施形態において、XはCHDであり;別の一部の実施形態において、XはCHDである。
【0034】
一部の実施形態において、Zは、
【化5】
から選択され、さらに、1、2、3、4または5個の重水素によって置換されていてもよく;一部の実施形態において、Zは、
【化6】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは
【化7】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは
【化8】
から選択される。
【0035】
一部の実施形態において、Zは
【化9】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の重水素によって置換されていてもよく;別の一部の実施形態において、Zは、
【化10】
【化11】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化12】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化13】
【化14】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化15】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化16】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化17】
から選択される。
【0036】
一部の実施形態において、Zは、
【化18】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7または8個の重水素によって置換されていてもよく;別の一部の実施形態において、Zは、
【化19】
【化20】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化21】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化22】
から選択され;別の一部の実施形態において、Zは、
【化23】
から選択される。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、式(II)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化24】
ここで、
YはCHまたはNから選択され;
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
Zは、
【化25】
から選択され、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の重水素によって置換されていてもよく;
*は母核に接続された結合を表し;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化26】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y10’およびY11’は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
およびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0039】
本発明の好ましい実施形態として、重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
【0040】
特定の実施形態において、「R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択される」とは、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、このように類推して、R10が水素または重水素から選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、このように類推して、R10が水素またはR10が重水素であるまでの技術構成を含む。
【0041】
別の特定の実施形態において、「Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y10’およびY11’は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択される」とは、Y’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Y’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Y’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、このように類推して、Y11’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Y’が水素、Y’が重水素、Y’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’がトリフルオロメチルであり、Y’が水素、Y’が重水素、Y’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’がトリフルオロメチルであり、Y’が水素、Y’が重水素、Y’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’がトリフルオロメチルであり、このように類推して、Y11’が水素、Y11’が重水素、Y11’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY11’がトリフルオロメチルであるまでの技術構成を含む。
【0042】
別の特定の実施形態において、「XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される」とは、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される技術構成を含む。より具体的に、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDであり、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDである技術構成を含む。
【0043】
一部の実施形態において、好ましくは、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y’、Y10’およびY11’は、それぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0044】
一部の実施形態において、好ましくは、XおよびXは、それぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0045】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0046】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-Rが重水素であり、R、R、RおよびR10がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0047】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、RおよびR10が重水素であり、R-Rがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0048】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0049】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0050】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、Xがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0051】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、Xがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0052】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、Rが重水素であり、Rがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0053】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’-Y11’が水素であり、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0054】
別の実施形態において、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化27】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
およびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0055】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-Rが重水素であり、R、R、RおよびR10がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0056】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、RおよびR10が重水素であり、R-Rは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0057】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0058】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXは、それぞれ独立してCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0059】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、Xがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0060】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、Xがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0061】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、Rが重水素であり、Rがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0062】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-A)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0063】
好ましい実施形態において、Rは重水素であり;好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0064】
好ましい実施形態において、Rは重水素であり;好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0065】
好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0066】
好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0067】
好ましい実施形態において、R-Rは重水素であり;好ましい実施形態において、R-Rは水素である。
【0068】
好ましい実施形態において、RおよびR10は重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびR10は水素である。
【0069】
好ましい実施形態において、XはCHであり;好ましい実施形態において、XはCDである。
好ましい実施形態において、XはCHであり;好ましい実施形態において、XはCDである。
【0070】
別の実施形態において、本発明は、式(I-B)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化28】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0071】
本発明の好ましい実施形態として、重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
【0072】
特定の実施形態において、「R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して水素または重水素から選択される」とは、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、このように類推して、R19が水素または重水素から選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、このように類推して、R19が水素またはR19が重水素であるまでの技術構成を含む。。
【0073】
別の特定の実施形態において、「Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択される」とは、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、このように類推して、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチルであり、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチルであり、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチルであり、このように類推して、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチルであるまでの技術構成を含む。
【0074】
別の特定の実施形態において、「XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択される」とは、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される技術構成を含む。より具体的に、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDである技術構成を含む。
【0075】
別の特定の実施形態において、本発明は、式(I-B-a)または式(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化29】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0076】
一般式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)の一部の実施形態において、好ましくは、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0077】
一般式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)の一部の実施形態において、好ましくは、XはCHまたはCDである。
【0078】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0079】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が重水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0080】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が重水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0081】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0082】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0083】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0084】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0085】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0086】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、R11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0087】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R-R10が水素であり、R11およびR12が重水素であり、R、RおよびR13-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0088】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0089】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0090】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が水素であり、XがCDであり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0091】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が水素であり、RおよびRが重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0092】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-B)、(I-B-a)および(I-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y-Yが水素であり、R13-R19が水素であり、R11およびR12が重水素であり、R-R10がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、式(II-B)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化30】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0094】
別の特定の実施形態において、本発明は、式(II-B-a)または式(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化31】
【化32】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
XはCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0095】
一般式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)の一部の実施形態において、好ましくは、XはCHまたはCDから選択される。
【0096】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0097】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が重水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0098】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が重水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0099】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0100】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0101】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0102】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0103】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、RおよびR11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0104】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、R11-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0105】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R11およびR12が重水素であり、R、RおよびR13-R19がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0106】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0107】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0108】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が水素であり、XがCDであり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0109】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が水素であり、RおよびRが重水素であり、R-R12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0110】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R13-R19が水素であり、R11およびR12が重水素であり、R-R10がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、R、R、R11およびR12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0111】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、XがCDであり、R、R、R11およびR12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0112】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、XがCDであり、RおよびRが重水素であり、R11およびR12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0113】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、XがCDであり、R11およびR12が重水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0114】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、RおよびRが重水素であり、R11およびR12がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0115】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、RおよびRが重水素であり、R11およびR12が重水素であり、XがCHまたはCDから選択される。
【0116】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-B)、(II-B-a)および(II-B-b)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR13-R19が水素であり、R11およびR12が重水素であり、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0117】
好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0118】
好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0119】
好ましい実施形態において、R-Rは重水素であり;好ましい実施形態において、R-Rは水素である。
【0120】
好ましい実施形態において、RおよびR10は重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびR10は水素である。
【0121】
好ましい実施形態において、R11およびR12は重水素であり;好ましい実施形態において、R11およびR12は水素である。
【0122】
好ましい実施形態において、R13は重水素であり;好ましい実施形態において、R13は水素である。
【0123】
好ましい実施形態において、R14-R19は重水素であり;好ましい実施形態において、R14-R19は水素である。
【0124】
好ましい実施形態において、XがCHであり;好ましい実施形態において、XがCDである。
【0125】
別の実施形態において、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化33】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R20およびR21は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’およびY’’は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択され;
X、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0126】
本発明の好ましい実施形態として、重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
【0127】
特定の実施形態において、「R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R20およびR21は、それぞれ独立して水素または重水素から選択される」とは、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、このように類推して、R10が水素または重水素から選択され、ならびにR20が水素または重水素から選択され、R21が水素または重水素から選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、Rが水素またはRが重水素であり、このように類推して、R10が水素またはR10が重水素であり、ならびにR20が水素またはR20が重水素であり、R21が水素またはR21が重水素であるまでの技術構成を含む。
【0128】
別の特定の実施形態において、「Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’およびY’’は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルから選択される」とは、Y’’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Y’’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、Y’’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され、このように類推して、Y’’が水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Y’’が水素、Y’’が重水素、Y’’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’’がトリフルオロメチルであり、Y’’が水素、Y’’が重水素、Y’’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’’がトリフルオロメチルであり、Y’’が水素、Y’’が重水素、Y’’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’’がトリフルオロメチルであり、このように類推して、Y’’が水素、Y’’が重水素、Y’’がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはY’’がトリフルオロメチルであるまでの技術構成を含む。
【0129】
別の特定の実施形態において、「X、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される」とは、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、およびXがCH、CD、CHDまたはCHDから選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDであり、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDであり、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDであるまでの技術構成を含む。
【0130】
一般式(I-C)の一部の実施形態において、好ましくは、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’、Y’’およびY’’は、それぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0131】
一般式(I-C)の一部の実施形態において、好ましくは、X、XおよびXは、それぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0132】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0133】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が重水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0134】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が重水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0135】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0136】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、R、R、R20およびR21が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0137】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0138】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0139】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0140】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0141】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(I-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、Y’’-Y’’が水素であり、R-R10が水素であり、R20およびR21が重水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0142】
別の実施形態において、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化34】
ここで、
WはCR10から選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R20およびR21は、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
X、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0143】
一般式(II-C)の一部の実施形態において、好ましくは、X、XおよびXは、それぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0144】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が重水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される。
【0145】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が重水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0146】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0147】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0148】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0149】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0150】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、XがCDであり、R、R、R20およびR21が、それぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0151】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、RおよびRが重水素であり、R20およびR21がそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0152】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10が水素であり、R20およびR21が重水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0153】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10、R20およびR21が水素であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され、追加の条件は、前記化合物が少なくても1個の重水素原子を含むことである。
【0154】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10、R20およびR21が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0155】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10、R20およびR21が水素であり、XがCDであり、RおよびRが重水素であり、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0156】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10、R20およびR21が水素であり、XおよびXがCDであり、RおよびRが重水素であり、XがCHまたはCDから選択される。
【0157】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10、R20およびR21が水素であり、XおよびXがCDであり、RおよびRが重水素であり、XがCHまたはCDから選択される。
【0158】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、XおよびXがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0159】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、X、XおよびXがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択される。
【0160】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、XおよびXがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0161】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、RおよびRが重水素であり、X、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0162】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、RおよびRが重水素であり、XがCDであり、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0163】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、RおよびRが重水素であり、XがCDであり、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0164】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
【0165】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、XおよびXがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XがCHまたはCDから選択される。
【0166】
一部の実施形態において、好ましくは、本発明は、式(II-C)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関し、ここで、R-R10およびR20およびR21が水素であり、XがCDであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXがそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0167】
好ましい実施形態において、RおよびRは重水素であり;好ましい実施形態において、RおよびRは水素である。
【0168】
好ましい実施形態において、R-Rは重水素であり;好ましい実施形態において、R-Rは水素である。
【0169】
好ましい実施形態において、R20およびR21は重水素であり;好ましい実施形態において、R20およびR21は水素である。
【0170】
好ましい実施形態において、XがCHであり;好ましい実施形態において、XがCDである。
【0171】
好ましい実施形態において、XがCHであり;好ましい実施形態において、XがCDである。
【0172】
好ましい実施形態において、XがCHであり;好ましい実施形態において、XがCDである。
【0173】
本発明の好ましい実施形態として、前記の化合物は、以下の構造またはその薬学的に許容される塩のいずれかであるが、これらに限定されない。
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【0174】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでも良く、したがって、例えば鏡像異性体および/またはジアステレオマー形態のような様々な「立体異性体」の形態で存在し得る。例えば、本発明の化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマーまたは幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)の形態であってもよく、或いはラセミ混合物および1つ以上の立体異性体に富んだ混合物を含む立体異性体混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成や結晶化を含む当業者に公知の方法によって混合物から分離することができ;または、好ましい異性体は、非対称合成により調製することができる。
【0175】
当業者は、有機化合物が、溶媒中で反応するか、または溶媒から沈殿あるいは結晶化して、当該溶媒と複合体を形成し得ることを理解できる。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
【0176】
「溶媒和物」という用語とは、一般的に、加溶媒分解反応により形成された、溶媒と組み合わせた化合物またはその塩の形態を指す。この物理的な会合は、水素結合が含まれる。通常の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが含まれる。本発明の化合物は、例えば結晶形態で調製され、且つ溶媒和されることができる。適切な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。特定の実施形態において、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、前記の溶媒和物が単離される。「溶媒和物」は、溶液状態の溶媒和物と分離可能な溶媒和物が含まれる。代表的な溶媒和物として、水和物、エタノレート、およびメタノレートが挙げられる。
【0177】
「水和物」という用語は、水と組み合わせた化合物を指す。通常、化合物の水和物に含まれる水分子の数の、該水和物中の該化合物分子の数に対する比率は、一定である。したがって、化合物の水和物は、たとえば、一般式ROで表れる。ここで、Rは該化合物であり、xは0より大きい数である。所定の化合物は、複数のタイプの水和物を形成する可能性がある。例えば、一水和物(xは1)、低次水和物(xは0より大きく1より小さい数、例えば、半水和物(R0.5O))、および多水和物(xは1より大きい数、例えば、二水和物(RO)および六水和物(RO))が挙げられる。
【0178】
本発明の化合物は、非晶質または結晶質(結晶多形)のいずれでもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶として存在してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての非晶質または結晶形をその範囲に含む。「結晶多形」という用語とは、特定の結晶が堆積して並んだ化合物の結晶形(あるいはその塩、水和物または溶媒和物)を指す。すべての多形体は同じ元素組成を有する。異なる結晶形は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光電特性、安定性、および溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の要因により、優勢な結晶形が生じる可能性がある。化合物の様々な多形体は、異なる条件下で結晶化することによって調製できる。
【0179】
また、本発明には、本発明化合物として記載されたものと同等の同位体標識化合物を含むが、1つ以上の原子は、原子質量または質量数が天然に典型的に見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換されている。本発明の化合物に導入できる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げる。上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にある。放射性同位体(例えばHおよび14C)を導入したものなどの一部の同位体標識された本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分布に関する測定に用いられる。トリチウム(即ち、H)と炭素-14(即ち、14C)の同位体は、その製造と検出が容易であるため特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHのようなより重い同位体での置換は、代謝安定性が優れているため、治療で利点がある。例えば、インビボでの半減期の延長や投与量の削減ができるので、状況に応じて優先に考えられることがある。通常、同位体標識された本発明の式(I)の化合物およびそのプロドラッグは、以下のスキームおよび/または実施例および調製例で開示されるプロセスが行われる場合、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより調製することができる。
【0180】
さらに、プロドラッグも本発明の明細書に含まれる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで、例えば血液中での加水分解によって医学的な効果を有する活性形態に変換される化合物を指す。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S.Symposium SeriesのVol.14,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987、ならびにD.Fleisher、S.RamonおよびH.Barbra“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”,Advanced Drug Delivery Reviews(1996)19(2)115-130に記載されたが、それらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【0181】
プロドラッグは、患者に投与されると、インビボで母体化合物を放出する、任意の共有結合の本発明の化合物である。プロドラッグは、典型的には、通常の操作またはインビボで切断されて母体化合物を生じることができるように官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、例えば、水酸基、アミノ基またはメルカプト基が任意の基に結合している本発明の化合物が含まれ、それらを患者に投与すると、切断されて、水酸基、アミノ基またはメルカプト基を形成することができる。したがって、プロドラッグの代表例としては、式(I)で表される化合物の水酸基、アミノ基またはメルカプト基とのアセテート/アセトアミド、ホルメート/ホルムアミドおよびベンゾエート/ベンズアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、カルボン酸(-COOH)の場合は、メチルエステル、エチルエステル等のエステルを用いることができる。エステル自体は活性を有してもよく、および/またはヒトの体内の条件下で加水分解されてもよい。適切な薬学的に許容されるインビボで加水分解可能なエステル基には、人体中で容易に分解して母体酸またはその塩を放出する基が含まれる。
【0182】
本発明の化合物を調製する方法
本発明の化合物(その塩を含む)は、既知の有機合成技術で調製され、以下のスキームのような様々な可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。本発明の化合物を調製する反応は、有機合成分野の技術者によって容易に選択される適切な溶媒中で実施される。適切な溶媒は、反応が行われる温度(例えば、溶媒の凍結温度から沸点までの範囲の温度)で、出発物質(反応物)、中間体または生成物と実質的に反応しない。所望の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で実施しても良い。当業者は、特定の反応工程に応じて、特定の反応工程用の溶媒を選択することができる。
【0183】
本発明の化合物の調製は、異なる化学基の保護および脱保護を含んでも良い。当業者は、保護および脱保護の必要性ならびに適切な保護基の選択を容易に決定することができる。保護基の化学性質は、例えば、Wuts and Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、4th Ed.,John Wiley&Sons:New Jersey、(2006)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
本発明の化合物は、化合物のラセミ混合物を光学異性体分離剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物を形成した後、ジアステレオマーを分離し、光学純度のエナンチオマーを回収することにより、個々の立体異性体として調製することができる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物のジアステレオマー誘導体、好ましくは解離可能な複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)を使用して実施することができる。ジアステレオマーは、物理特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)が大きく異なるため、これらの非類似性を利用して簡単に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィー、好ましくは溶解度の差異に基づく分離/分割技術によって分離することができる。さらに、光学純度のエナンチオマーが、ラセミ化をしない実用的な手段によって、分割用試薬とともに回収される。ラセミ混合物の分離によって化合物の立体異性体を得ることに適用可能な技術のさらなる詳細な説明は、Jean Jacques、Andre Collet、Samue1 H. Wilen、「Enantiomers、Racemates and Resolutions」、John Wiley And Sons、Inc.,1981に記載されている。
【0185】
反応は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って監視することができる。例えば、生成物の形成は、分光学的手段(例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えばHまたは13C)、赤外(IR)分光法、分光光度法(例えば、UV-可視光)、質量分析(MS))、またはクロマトグラフィー法(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC))によって監視することができる。
【0186】
医薬組成物、製剤およびキット
他の様態では、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、予防有効量の活性成分を含む。
【0187】
本発明の薬学的に許容される賦形剤とは、配合される化合物の薬理学的活性を無効にしない非毒性担体、アジュバントまたは媒体を指す。本発明の組成物に使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0188】
本発明は、キット(例えば、医薬パック)も含む。提供されるキットは、本発明の化合物、他の治療剤、ならびに本発明の化合物、他の治療剤を含有する第1および第2の容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散パッケージ、あるいは他の適切な容器)を含む。また、一部の実施形態において、提供されるキットは、本発明の化合物および/または他の治療薬を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第3の容器も有しても良い。一部の実施形態において、第1の容器および第2の容器内の本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて単位製剤を形成して提供する。
【0189】
本発明によって提供される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔投与、口腔投与、膣内投与、インプラントによる投与または他の投与方法などの様々な方式によって投与することができるが、これらに限定されない。例えば、本発明で用いる非経口投与として、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑膜腔内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内の注射や輸液技術が挙げられる。
【0190】
通常、有効量で本発明によって提供する化合物を投与する。治療される病状、選択される投与方式、実際に投与される化合物、患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む状況に応じて、実際に投与される化合物の量は医師によって決定される。
【0191】
前記した本発明の病状を予防するために使用される場合、本発明によって提供される化合物は、前記の病状を発症するリスクのある被験者に投与され、典型的には、医師の推奨に基づいて上記の用量レベルで投与される。特定の病状を発症するリスクのある被験者には、典型的に、前記の病状の家族歴史を有する被験者、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって前記の病状を発症しやすい被験者が含まれる。
【0192】
本発明によって提供される医薬組成物(「長期投与」)は長期的に投与することもできる。長期投与とは、例えば3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって化合物またはその医薬組成物を投与できるか、または、例えば被験者の余生において無期限に連続的に投与できることを指す。一部の実施形態において、長期投与は、例えば治療ウィンドウ内で、長期間にわたって血液中に一定レベルの前記の化合物を提供することを意図している。
【0193】
本発明の医薬組成物は、様々な投与方式を用いてさらに送達することができる。例えば、一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度が有効レベルまで速く増加させるために、ボーラス注射によって投与することができる。ボーラス用量の配置は、身体全体で望まれる活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学組成物は、連続注入、例えば、IV滴注によって投与されて、被験者の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供する。さらに、他の実施形態において、医薬組成物は、最初にボーラス用量で投与され、続いて連続して注入される。
【0194】
経口投与用の組成物は、バルク液体の溶液もしくは懸濁液またはバルク粉末の形態をとり得る。しかしながら、一般的に、上記組成物は、精確な投薬量で投与できるために、単位投与量で提供される。用語「単位製剤」とは、ヒト被験者および他の哺乳動物への単位投与量に好適な物理的な不連続単位を指し、各単位は、好適な薬学賦形剤と、所望の治療効果をもたらすのに適合な活性物質とを所定量で含む。典型的な単位製剤としては、液体組成物が予め測定されて予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物において、上記の化合物は、通常、少量の成分(約0.1~約50重量%または好ましくは約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々な担体または賦形剤および加工助剤である。
【0195】
経口投与の用量について、1日あたり1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを使用するとき、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、好ましい用量は、それぞれ約0.1~約10mg/kg、特に、約1~約5mg/kgを提供する。
【0196】
一般に、経皮用量は、注射用量を使用して達成されるレベルと類似であるかまたはより低い血液中レベルを提供するように選択され、通常、約0.01重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%~約15重量%の範囲の量である。
【0197】
注射剤の用量レベルは、約1~約120時間、特に、24~96時間にわたって約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲である。約0.1mg/kg~約10mg/kgまたはそれ以上の前負荷ボーラス(preloading bolus)も、適切な定常状態レベルを達成するために投与されてもよい。最大総用量は、40~80kgのヒト患者にとって約2g/日を超えない。
【0198】
経口投与に適した液体の形態は、好適な水性または非水性の担体、および緩衝剤、懸濁剤、分散剤(dispensing agents)、着色剤、香料などを含み得る。固体の形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)。
【0199】
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌された食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水または当該分野で公知の他の注射可能な賦形剤に基づくものである。以上のとおり、そのような組成物における活性化合物は、典型的には、約0.05~10重量%である少量の成分であり、残りは、注射可能な賦形剤などである。
【0200】
経皮の組成物は、典型的には、活性成分を含む局所用軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化される場合、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混合性軟膏基剤と混合される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤とともに、クリームとして製剤化される。このような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力または安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような公知の経皮の製剤および成分のすべてが、本発明の範囲内に含まれる。
【0201】
本発明の化合物は、経皮的デバイスによっても投与され得る。従って、経皮的投与は、レザバー(reservoir)タイプもしくは多孔質膜タイプ、または多種の固体マトリックスのパッチを用いて実現される。
【0202】
経口投与、注射、または局所的な投与のための組成物の上述の構成要素は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart8(参照により本明細書中に組み入れられる)に示されている。
【0203】
また、本発明の化合物は、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0204】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される製剤にも関する。1つの実施形態において、上記の製剤は、水を含む。別の実施形態において、上記の製剤は、シクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、連結される糖部分上に必要に応じて1つ以上の置換基(メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化およびスルホアルキルエーテル置換が挙げられるが、これらに限定されない)を含む、それぞれ6、7および8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-およびγ-シクロデキストリンである。一部の実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリン、例えば、Captisolとしても知られるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。例えば、米国特許第5,376,645号を参照する。一部の実施形態において、上記の製剤は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、水において10~50%)を含む。
【0205】
適応症
本発明化合物は、RETキナーゼの阻害剤であり、RETキナーゼ阻害剤で治療するできる疾患および病症の治療に用いられる。前記の疾患および病症は、例えば、増殖性病症(血液癌および固形腫瘍を含む癌)および胃腸疾患(IBS)などのRET関連疾患および病症である。
【0206】
本明細書で使用される「RET関連疾患または病症」という用語は、RET遺伝子、RETキナーゼ(本明細書においてRETキナーゼタンパク質またはRETキナーゼとも呼ばれる)、或いはそれらの任意の(例えば、1つ以上)の発現または活性またはレベルの調節不全(例えば、本明細書に記載されているRET遺伝子、RETキナーゼ、RETキナーゼドメイン、またはそれらのいずれかの発現またはレベルの調節不全の任意のタイプ)に関連する疾患または病症を指す。RET関連疾患または病症の非限定的な例としは、例えば、癌および過敏性腸症候群(IBS)などの胃腸病症が含まれる。
【0207】
本明細書で使用される「RET関連癌」という用語は、RET遺伝子、RETキナーゼ(本明細書においてRETキナーゼタンパク質またはRETキナーゼとも呼ばれる)、或いはそれらのいずれかの発現または活性またはレベルの調節不全に関連する癌を指す。また、RET関連癌の非限定的な例も本明細書に記載されている。
【0208】
「RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれかの発現または活性またはレベルの調節不全」とは、遺伝子変異(例えば、融合タンパク質の発現をもたらすRET遺伝子転座、野生型RETタンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸の欠失を含むRETタンパク質の発現をもたらすRET遺伝子における欠失、または1つまたは複数の点突然変異を伴うRETタンパク質の発現をもたらすRET遺伝子における変異、または野生型RETタンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸を欠失したRETタンパク質をもたらすRET mRNAの選択的スプライシング形態)、またはRET遺伝子増幅を指す。前記の遺伝子増幅は、RETタンパク質の過剰発現または細胞のRET遺伝子の過剰発現によるオートクリン活性をもたらし、細胞内のRETタンパク質のキナーゼドメインの活性を病原的に増加させる(例えば、RETタンパク質のキナーゼドメインの恒常的活性化)。別の例として、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、変異を含まないRET遺伝子によってコードされるタンパク質と比較して恒常的活性または増加した活性を有するRETタンパク質をコードするRET遺伝子の変異であり得る。例えば、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、機能的キナーゼドメインを含むRETの第1部分およびパートナータンパク質である第2部分(即ち、RETではない)を含む融合タンパク質の発現をもたらす遺伝子または染色体の転位の結果である。一部の例では、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、あるRET遺伝子と別のRET遺伝子との遺伝子翻訳の結果である可能性がある。本明細書には、融合タンパク質の非限定的な例およびRETキナーゼタンパク質の点突然変異/挿入の非限定的な例が記載されている。RETキナーゼタンパク質の点突然変異の他の例は、RET阻害剤耐性変異である。本明細書には、RET阻害剤耐性変異の非限定的な例が記載されている。
【0209】
「野生型」という用語は、以下のような核酸(例えば、RET遺伝子またはRET mRNA)またはタンパク質(例えば、RETタンパク質)を説明する。このような核酸またはタンパク質は、例えばRET関連癌のようなRET関連疾患(任意選択で、RET関連疾患を発症するリスクが増加しない、および/またはRET関連疾患を有する疑いがない)を持たない対象に見られるか、または例えばRET関連癌のようなRET関連疾患(任意選択で、RET関連疾患を発症するリスクが増加しない、および/またはRET関連疾患を有する疑いがない)を持たない対象由来の細胞または組織に見られる。
【0210】
一部の実施形態において、血液癌(例えば、RET関連癌である血液癌)は、白血病、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、ホジキンリンパ腫、および骨髄腫から選択される、例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、3血球系骨髄異形成症候群を伴うAML(AML/TMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、および多発性骨髄腫(MM)からなる群から選択される。その他の血液癌の例としては、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、および特発性・原発性骨髄線維症(IMF/IPF/PMF)などの骨髄増殖性疾患(MPD)が含まれる。一実施形態において、血液癌(例えば、RET関連癌である血液癌)は、AMLまたはCMLである。
【0211】
一部の実施形態において、癌(例えばRET関連癌)は固形腫瘍である。固形腫瘍(例えば、RET関連癌である固形腫瘍)の例としては、例えば、甲状腺癌(例えば乳頭状甲状腺癌、甲状腺髄様癌)、肺癌(例えば肺腺癌、小細胞肺癌)、膵臓癌、膵管癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、頭頸部腫瘍、神経芽細胞腫および黒色腫が含まれる。例えば、Nature Reviews Cancer,2014,14,173-186を参照する。
【0212】
一部の実施形態において、癌は、肺癌、乳頭状甲状腺癌、甲状腺髄様癌、分化型甲状腺癌、再発性甲状腺癌、難治性分化型甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍2A型または2B型(それぞれMEN2AまたはMEN2B)、フェオクロモサイトーマ、副甲状腺過形成、乳癌、結腸直腸癌、乳頭状腎細胞癌、胃腸粘膜神経節細胞腫、および子宮頸癌からなる群から選択される。
【0213】
また、本発明化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、または本発明化合物やその薬学的に許容される塩や溶媒和物を含む医薬組成物もRET関連癌の治療に使用される。
【0214】
したがって、本発明は、本明細書に記載されている本発明の化合物、その薬学的に許容される塩または溶媒和物、或いはその医薬組成物を、治療有効量で患者に投与すること含む、RET関連癌(例えば、本明細書に開示される任意の例示的なRET関連癌)と診断または同定された患者を治療するための方法を提供する。
【0215】
RETキナーゼ、RET遺伝子、或いはそれらの任意(例えは1種または複数種)の発現または活性またはレベルの調節不全は、腫瘍形成に寄与する可能性がある。例えば、RETキナーゼ、RET遺伝子、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RETキナーゼ、RET遺伝子、またはRETキナーゼドメインの転座、過剰発現、活性化、増幅、または変異であってもよい。転座は、RETキナーゼドメインが関与する転座を含んでもよく、変異は、RETリガンド結合部位が関与する変異を含んでもよく、増幅は、RET遺伝子のものであってもよい。他の調節不全としては、RET mRNAスプライシングバリアントおよびRETオートクリン/パラクリンシグナル伝達が含まれ、これらも腫瘍形成に寄与する可能性がある。
【0216】
一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RET遺伝子の融合をもたらす1つまたは複数の染色体の転座または逆位を含む。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、遺伝子転座の結果であり、ここで、発現されるタンパク質は、非RETシャペロンタンパク質由来の残基を含む融合タンパク質であり、且つ最小の機能性RETキナーゼドメインを含む。
【0217】
一部の実施形態において、RET融合タンパク質の非限定的な例としては、BCR-RET、CLIP1-RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、NCOA4-RET、TRIM33-RET、ERC1-RET、ELKS-RET、RET-ELKS、FGFR1OP-RET、RET-MBD1、RET-RAB61P2、RET-PCM1、RET-PPKAR1A、RET-TRIM24、RET-RFG9、RFP-RET、RET-GOLGA5、HOOK3-RET、KTN1-RET、TRIM27-RET、AKAP13-RET、FKBP15-RET、SPECC1L-RET、TBL1XR1/RET、CEP55-RET、CUX1-RET、KIAA1468-RET、PPKAR1A-RET、RFG8/RET、RET/RFG8、H4-RET、ACBD5-RET、PTCex9-RET、MYH13-RET、PIBF1-RET、KIAA1217-RET、またはMPRIP-RETが挙げられる。
【表1】
【0218】
一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RETキナーゼにおける1つまたは複数の欠失(例えば4位のアミノ酸の欠失)、挿入または点突然変異を含む。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RETキナーゼドメインの恒常的活性をもたらすRETキナーゼにおける1つまたは複数の残基の欠失を含む。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、野生型RETキナーゼと比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を伴うRETキナーゼの産生をもたらす、RET遺伝子における少なくとも1つの点突然変異を含む。一部の実施形態において、例示的なRET点突然変異は、S32L、D34S、L40P、P64L、R67H、R114H、V145G、V292M、G321R、R330Q,T338I、R360W、F393L、A510V、E511K、C515S、C531R、G533C、G533S、G550E、V591I、G593E、I602V、R600Q、K603Q、K603E、Y606C、C609Y、C609S、C609G、C609R、C609F、C609W、C611R、C611S、C611G、C611Y、C611F、C611W、C618S、C618Y、C618R、C618Y、C618G、C618F、C618W、F619F、C620S、C620W、C620R、C620G、C620L、C620Y、C620F、E623K、D624N、C630A、C630R、C630S、C630Y、C630F、D631N、D631Y、D631A、D631G、D631V、D631E、E632K、E632G、C634W、C634Y、C634S、C634R、C634F、C634G、C634L、C634A、C634T、R635G、T636P、T636M、A640G、A641S、A641T、V648I、S649L、A664D、H665Q、K666E、K666M、K666N、S686N、G691S、R694Q、M700L、V706M、V706A、E713K、G736R、G748C、A750P、S765P、P766S、P766M、E768Q、E768D、L769L、R770Q、D771N、N777S、V778I、Q781R、L790F、Y791F、V804L、V804M、V804E、E805K、Y806E、Y806F、Y806S、Y806G、Y806C、E818K、S819I、G823E、Y826M、R833C、P841L、P841P、E843D、R844W、R844Q、R844L、M848T、I852M、A866W、R873W、A876V、L881V、A883F、A883S、A883T、E884K、R886W、S891A、R897Q、D898V、E901K、S904F、S904C、K907E、K907M、R908K、G911D、R912P、R912Q、M918T、M918V、M918L、A919V、E921K、S922P、S922Y、T930M、F961L、R972G、R982C、M1009V、D1017N、V1041G、またはM1064Tが含まれるが、これらに限定されない。
【0219】
一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、野生型RETキナーゼに比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を伴い、且つ野生型RETキナーゼまたは同一変異を持たないRETキナーゼに比較して本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物に対する耐性が増加しているRETキナーゼの産生をもたらす、RET遺伝子における少なくとも1つ点突然変異を含む。このような実施形態において、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の存在下で、RET阻害剤耐性変異は、増加したVmax、減少したKmおよび減少したKDのうちの1つ以上を有するRETキナーゼ(本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の存在下での野生型RETキナーゼまたは同一変異を持たないRETキナーゼに比較する)をもたらすことができる。
【0220】
RET阻害剤耐性変異の例としては、例えば、RETキナーゼの三次構造におけるATP結合部位内およびその付近の点突然変異、挿入または欠失を含んでもよい。ゲートキーパー(gatekeeper)残基、Pループ残基、またはDFGモチーフ内またはその付近の残基、およびATPクレフト溶媒先端(ATP cleft solvent front)アミノ酸残基が含まれるが、これらに限定されない。これらのタイプの変異の他の例は、酵素活性および/または薬物結合に影響を及ぼし得る残基の変化が含まれる。活性化ループ内の残基、活性化ループ付近の残基または活性化ループに相互作用する残基、活性または不活性な酵素コンフォメーションに寄与する残基が含まれるが、これらに限定されなく、CヘリックスのループおよびCヘリックスにおける変異、欠失および挿入を行う変化が含まれる。変更可能の特定の残基または残基領域(且つRET阻害剤耐性変異である)としては、ヒト野生型RETタンパク質配列(例えば、配列番号1)が含まれるが、これらに限定されない。RET阻害剤耐性変異は、アミノ酸位置804(V804M、V804L、V804E)、アミノ酸位置804/805(V804M/E805K)、アミノ酸位置806(Y806C,Y806E)が含まれるが、これらに限定されない。これらの残基への変更には、単一または複数のアミノ酸の変更、配列内または配列の隣接領域の挿入、および配列内または配列の隣接領域の欠失を含んでもよい。
【0221】
一部の実施形態において、本発明化合物およびその薬学的に許容される塩や溶媒和物は、RET阻害剤耐性変異(本発明化合物または薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないRET阻害剤、例えばアミノ酸位置804での置換、例えばV804M、V804L、またはV804Eに対する耐性が増加する)を有する癌を発症した患者の治療に有用である。前記の治療は、組み合わせて投与するか、または既存の薬物治療(例えば、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないその他のRETキナーゼ阻害剤)のフォローアップ療法とする。本明細書に、例示的なRETキナーゼ阻害剤(例えば、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないその他のRETキナーゼ阻害剤)を記載している。一部の実施形態において、RETキナーゼ阻害剤は、カボザンチニブ、バンデタニブ、アレクチニブ、ソラフェニブ、レンバチニブ、ポナチニブ、ドビチニブ、スニチニブ、フォレチニブ(foretinib)、BLU667およびBLU6864からなる群から選択される。
【0222】
一部の実施形態において、本発明化合物およびその薬学的に許容される塩や溶媒和物は、1つ以上のRET阻害剤耐性変異(本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないRET阻害剤、例えばアミノ酸位置804での置換、例えばV804M、V804L、またはV804Eに対する耐性が増加する)を有すると同定された癌を治療するために有用である。
【0223】
したがって、本発明は、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物を治療有效量で患者に投与することを含む、癌(例えばRET関連癌)(例えば、1つ以上のRET阻害剤耐性変異を含むRET関連癌)と診断(または同定)された患者を治療するための方法を提供する。さらに、本発明は、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物或いはその医薬組成物を治療有效量で患者(例えば、規制当局が承認した、例えばFDA承認の試験またはアッセイの使用により、RET関連癌を有すると同定または診断された患者であり、ここで、前記の試験またはアッセイは、患者または患者由来の生検サンプルにおけるRET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全を同定するために用いられる)に投与することを含む、RET関連癌と同定または診断された患者を治療するための方法を提供する。
【0224】
また、本発明は、必要とする患者またはRET関連癌と同定または診断された患者(例えば、規制当局が承認した、例えばFDA承認のキットで、RET関連癌と同定または診断された患者であり、ここで、前記のキットは、患者または患者由来の生検サンプルにおけるRET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全を同定するために用いられる)の癌(例えばRET関連癌、例えば1つ以上のRET阻害剤耐性変異を含むRET関連癌)(例えば、本明細書に記載されているかまたは当技術分野で知られている任意のRET関連癌)の治療に使用するための、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物を提供する。さらに、本発明は、RET関連癌と同定または診断された患者(例えば、規制当局が承認した、例えばFDA承認のキットで、RET関連癌と同定または診断された患者であり、ここで、前記のキットは、患者または患者由来の生検サンプルにおけるRET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全を同定するために用いられる)の癌(例えばRET関連癌、例えば1つ以上のRET阻害剤耐性変異を含むRET関連癌)(例えば、本明細書に記載されているかまたは当技術分野で知られている任意のRET関連癌)の治療に使用するための医薬品の調製における、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0225】
また、本明細書は、対象を治療する方法も提供する。この方法は、対象から得られたサンプルを測定することで、対象がRET遺伝子、RETタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現またはレベルの調節不全(例えば、1つ以上のRET阻害剤耐性変異)を有するかどうかを決定することを含む。さらに、この方法は、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全(例えば、1つ以上のRET阻害剤耐性変異)を有すると決定された対象に、一般式(I)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物を治療有效量で投与することを含む。一部の実施形態において、RET融合体は、KIF5B-RET融合体およびCCDC6-RET融合体から選択されてもよい。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、またはその発現または活性のにおける調節不全は、RET融合タンパク質(例えば、前記の任意のRET融合タンパク質)の発現をもたらす遺伝子または染色体転座である。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異(例えば、前記の任意の1つまたは複数のRET点突然変異のいずれか)である。RET遺伝子における1つまたは複数の点突然変異は、M918T、M918V、C634W、V804LおよびV804Mから選択されるアミノ酸のうちの1つまたは複数で置換されたRETタンパク質の翻訳をもたらすことができる。一部の実施形態において、RET遺伝子、RETキナーゼタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全は、1つまたは複数のRET阻害剤耐性変異(例えば、前記の1つまたは複数のRET阻害剤耐性変異の任意の組み合わせ)である。これらの方法の一部の実施形態は、対象に別の抗癌剤(例えば、別のRET阻害剤、例えば一般式(I)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないRET阻害剤、或いは別の本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物であるRET阻害剤)を投与することをさらに含む。。
【0226】
併用療法
腫瘍医学の分野では、通常、異なる形態の治療の組み合わせを使用することで、各癌患者を治療する。腫瘍医学では、本明細書で提供される組成物に加えて、そのような併用治療または療法における他の成分は、例えば、手術、放射線療法、およびキナーゼ阻害剤、シグナル伝達阻害剤および/またはモノクローナル抗体などの化学療法剤であってもよい。したがって、本発明化合物は、癌治療のアジュバントとして使用してもよく、即ち、それらは、1種または複数種の他の治療法または治療薬(例えば、同じまたは異なるメカニズムによって作用する化学療法薬)と併用してもよい。
【0227】
本明細書に記載の任意の方法の一部の実施形態において、本発明化合物(またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物)は、治療有效量の少なくとも1つの他の治療薬と併用される。前記の少なくとも1つの他の治療薬は、1種または複数種の他の治療法または治療薬(例えば化学療法薬)から選択される。他の治療薬の非限定的な例としては、他のRET標的治療薬(即ち、他のRETキナーゼ阻害剤;本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物ではないRET阻害剤)、受容体チロシンキナーゼを標的とした治療薬、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路モジュレーター(例えばObataclax);細胞毒性化学療法剤、血管新生を標的とした治療薬、免疫標的治療薬および放射線治療法が挙げられる。
【0228】
一部の実施形態において、他のRET標的治療薬は、RET阻害活性を示すマルチキナーゼ阻害剤である。一部の実施形態において、他のRET標的治療性阻害剤は、RETキナーゼに対して選択的である。例示的なRET標的治療薬は、約1000nM未満、約500nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約10nM未満、または約1nM未満のRETキナーゼに対する阻害活性(IC50)を示すことができる。
【0229】
RET標的治療薬の非限定的な例は、アレクチニブ、アパチニブ、カボザンチニブ(XL-184)、ドビチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、シトラバチニブ(sitravatinib)、スニチニブ、ソラフェニブ、バタラニブ、バンデタニブ、AUY-922(5-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-N-エチル-4-[4-(モルホリノメチル)フェニル]イソキサゾール-3-カルボキサミド)、BLU6864、BLU-667、DCC-2157、NVP-AST487(1-[4-[(4-エチルピペラジン-1-イル)メチル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-3-[4-[6-(メチルアミノ)ピリミジン-4-イル]オキシフェニル]尿素)、PZ-1、RPI-1(1,3-ジヒドロ-5,6-二メトキシ-3-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]-H-インドール-2-オン)、RXDX-105(1-(3-(6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソキサゾール-3-イル)尿素)、SPP86(1-イソプロピル-3-(フェニルエチニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン)およびTG101209(N-(1,1-ジメチルエチル)-3-[[5-メチル-2-[[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)フェニル]アミノ]-4-ピリミジニル]アミノ]ベンゼンスルホンアミド)を含む。
【0230】
そして、本発明は、(a)本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物、(b)他の治療薬、および(c)必要に応じて少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含み、且つ同時、別個または順次に使用される癌を治療するための医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む、癌の治療法を提供する。ここで、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の量および他の治療薬の量は、癌治療の面で共に有効である。
【0231】
一部の実施形態において、他の治療薬は、上記の治療法または治療薬のいずれか1つを含む。ここで、前記の治療法または治療薬は、RET遺伝子、RETタンパク質、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全を有する癌における標準治療である。これらの他の治療薬は、同一または別個の剤形の一部として、同じまたは異なる投与経路および/または当業者に知られている標準的な薬学の実践に従った同じまたは異なる投与レジメンにより、1つまたは複数の用量で、一般式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物或いはその医薬組成物と共に投与してもよい。
【0232】
また、本発明は、以下の(i)~(iv)をさらに提供する。(i)必要とする患者における癌(例えば、RET関連癌(例えば、1つ以上のRET阻害剤耐性変異を含むRET関連癌))を治療するための医薬の組み合わせ((a)本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物、(b)少なくとも1つの他の治療薬(例えば本明細書に記載されているまたは当技術分野で知られている任意の例示的な他の治療薬)、および(c)必要に応じて少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含み、且つ同時、別個または順次に使用される癌を治療するための医薬の組み合わせであり、ここで、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の量および他の治療薬の量は、癌治療の面で共に有効である);(ii)このような組み合わせを含む医薬組成物;(iii)癌を治療するための医薬品の調製における、このような組み合わせの使用;および(iv)同時、別個または順次に使用するための組み合わせ製剤としてこのような組み合わせを含む市販のパッケージまたは製品;必要とする患者における癌を治療する方法にも関する。
【0233】
本明細書において、「医薬の組み合わせ」という用語は、複数の有効成分の混合または組み合わせからなり、且つ有効成分の固定および非固定の組み合わせを含む医薬治療法を指す。「固定の組み合わせ」という用語は、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物および少なくとも1つの他の治療薬(例えば、化学療法薬)が、単一の組成物または投与量で同時に患者に投与されることを意味する。「非固定の組み合わせ」という用語は、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物および少なくとも1つの他の治療薬(例えば、化学療法薬)が、異なる間隔時間制限で、同時、並行または順次に必要とする患者に投与されるように、別個の組成物または投薬量として調製されることを意味する。ここで、このような投与は、患者の体内に、有効レベルの2つ以上の化合物を提供する。これらは、例えば3つ以上の有効成分の投与のようなカクテル療法にも適用される。
【0234】
そして、本発明は、必要とする患者に医薬の組み合わせを投与することを含む、癌(例えば、RET関連癌(例えば、1つ以上のRET阻害剤耐性変異を含むRET関連癌))を治療する方法を提供する。ここで、前記の医薬の組み合わせは、(a)本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物、(b)他の治療薬、および(c)必要に応じて少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含み、且つ同時、別個または順次に使用され、癌を治療する。また、他の治療薬、および本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の量は、癌治療の面で共に有効である。一実施形態において、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物および他の治療薬は、別々の投薬量で同時に投与される。一実施形態において、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物および他の治療薬は、別々の投与量として、任意の順序、併用療法の有効量(例えば、毎日または断続的な投与量)で投与される。一実施形態において、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物および他の治療薬は、組み合わせの投与量として同時に投与される。
【0235】
また、本発明は、本発明化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物或いはその医薬組成物を治療有效量で患者に投与すること含む、必要とする患者におけるRETによって媒介される疾患または病症(例えば、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全、例えば1つまたは複数のRET阻害剤耐性変異)を治療する方法を提供する。RETによって媒介される疾患または病症(例えば、RET遺伝子、RETキナーゼ、或いはそれらのいずれか1つの発現または活性またはレベルの調節不全、例えば1つまたは複数のRET阻害剤耐性変異)は、RETの発現または活性に直接的または間接的に関連する(過剰発現および/または異常な活性レベルを含む)任意の疾患、障害または病症を含んでもよい。一実施形態において、前記の疾患は癌(例えばRET関連癌)である。一実施形態において、癌は、前記の任意の癌またはRET関連癌である。
【0236】
実施例
以下、特定的な実施形態によって本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解しべきである。以下の実施例において、特定の条件を明記しない実験方法は、一般に、通常の条件または製造業者が推奨する条件に従う。特に明記しない限り、部およびパーセンテージは、重量部および重量パーセントである。
【0237】
本発明で使用される略語は、以下の表2に示す。
表2
【表2】



【0238】
中間体P1:4-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化40】
以下の経路で合成した。
【化41】
【0239】
工程1 4-メトキシ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(692mg)を、6-ブロモ-4-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(2.5g)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(2.49g)および炭酸ナトリウム(3.15g)のジオキサン(33mL)と水(15mL)の混合溶媒に加え、窒素ガス保護下、80℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMで洗浄し、フィルターケーキを、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して2.3gの淡黄色の固体を得た。LC-MS (APCI):m/z=254.1(M+1)H NMR (400MHz,DMSO) δ 8.87(d,J=1.0Hz,1H),8.54(s,1H),8.37(s,1H),8.10(d,J=0.6Hz,1H),7.28(d,J=0.8Hz,1H),4.07(s,3H),3.89(s,3H)。
【0240】
工程2 4-ヒドロキシ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
室温下で三塩化アルミニウム(4.06g)を4-メトキシ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(2.3g)の無水DCE(44mL)に加え、還流下で一晩反応させ。室温に冷却した後、DCE(25mL)で反応系を希釈し、反応を水(25mL×2)でクエンチした。室温で3hrs撹拌した。固体を濾過し、40℃、真空で乾燥させ、1.5gの淡黄色の固体を得た。LC-MS (APCI):m/z=240.1(M+1)
【0241】
工程3 3-シアノ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イルトリフラート
N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(2.46g)を、4-ヒドロキシ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1.5g)およびDIPEA(2.18mL)のDMA(12.5mL)に加え、室温で反応を2hrs撹拌した。水(150mL)に注ぎ、反応をクエンチし、固体を濾過し、水(20mL×3)で洗浄した。固体をDCM(150mL)溶液に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=50%)によって精製して濃縮し、2.1gの土灰色の固体を得た。H NMR (300MHz,CDCl) δ 8.66(d,J=1.0Hz,1H),8.29(s,1H),7.78(s,1H),7.71(s,1H),7.56(d,J=0.9Hz,1H),4.01(s,3H)。
【0242】
工程4 4-(6-フルオロピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(155.6mg,0.13mmol)を、3-シアノ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イルトリフラート(1.00g,2.70mmol)、2-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(902mg,4.04mmol)および炭酸ナトリウム(707mg,6.73mmol)のジオキサン(26mL)と水(3.4mL)の混合溶媒に加え、窒素ガス保護下、90℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、水(25mL)を添加し、3hrs十分に撹拌し、固体を濾過し、水(10mL×3)および冷MTBE(5mL×2)で洗浄し、真空で乾燥させ、740mgの淡黄色の固体を得た。収率:87%。LC-MS (APCI):m/z=319.1(M+1)
【0243】
工程5 3-(5-(3-シアノ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチルの合成
室温で、KCO(780mg,5.65mmol)を、4-(6-フルオロピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(600mg,1.88mmol)および6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(374mg,1.88mmol)の無水DMSO(8mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回洗浄した。有機層を合わせ、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10%)によって精製して800mgの淡黄色の固体を得た。収率:85.4%。LC-MS (APCI):m/z=497.2 (M+1)
【0244】
工程6 4-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
氷浴で、TFA(10mL)を、3-(5-(3-シアノ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチル(600mg,1.21mmol)のDCM(10mL)溶液に加え、室温で3hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、アンモニア・メタノール溶液でpHを塩基性に調整し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=12%)によって精製して425mgの白色固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=397.2(M+1)
【0245】
中間体P2:4-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化42】
以下の経路で合成した。
【化43】
【0246】
工程1 1-(メチル-d3)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの合成
室温で、重水素化されたヨウ化メチル(28.38mmol,1.77mL)を、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(5g,27.78mmol)および炭酸セシウム(10.11g,31.11mmol)の無水DMF(100mL)に加え、室温で反応を3hrs撹拌した。EtOAc(300mL)で反応を希釈し、水(100mL×3)および飽和食塩水(100mL×3)でそれぞれ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、4.0gの淡黄色の固体を得た。収率:68.22%。LC-MS (APCI):m/z=212.3(M+1)H NMR (500MHz,CDCl): δ 7.76(s,1H),7.64(s,1H),1.31(s,12H).
【0247】
工程2 4-メトキシ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(600mg,4.73mmol)を、6-ブロモ-4-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(3.96g,15.78mmol)、1-(メチル-d)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(4.00g,18.94mmol)および炭酸ナトリウム(5.00g,47.34mmol)のジオキサン(52mL)と水(22mL)の混合溶媒に加え、窒素ガス保護下、80℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、室温で2hrs激しく撹拌した。固体を濾過し、水(100mL)およびMTBE(15mL×3)でそれぞれ洗浄し、真空で乾燥させ、3.3g淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=257.1(M+1)
【0248】
工程3 4-ヒドロキシ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
室温で、三塩化アルミニウム(5.12g)を、4-メトキシ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(3.3g)の無水DCE(66mL)に加え、還流下で一晩反応させた。室温に冷却した後、DCE(60mL)を添加して反応系を希釈し、水(25mL×2)で反応をクエンチした。室温で、3hrs撹拌し、固体を濾過し、40℃、真空で乾燥させ、2.87gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=243.1(M+1)
【0249】
工程4 3-シアノ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イルトリフラート
N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(4.71g)を、4-ヒドロキシ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(2.87g,11.21mmol)およびDIPEA(4.17mL)のDMA(25mL)に加え、室温で反応を2hrs撹拌した。水(300mL)に注ぎ、反応をクエンチし、固体を濾過し、水(50mL×3)で洗浄した。固体をDCM(250mL)溶液に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=50%)によって精製して濃縮し、2.4gの土灰色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=375.2(M+1)
【0250】
工程5 4-(6-フルオロピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(185mg,0.16mmol)を、3-シアノ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イルトリフラート(1.2g,3.20mmol)、2-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.08g,4.80mmol)および炭酸ナトリウム(1.70g,16mmol)のジオキサン(32mL)と水(8mL)の混合溶媒に加え、窒素ガス保護下、90℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、水(30mL)を添加して3hrs十分に撹拌し、固体を濾過し、水(10mL×3)および冷MTBE(5mL×2)で洗浄し、真空で乾燥させ、750mgの淡黄色の固体を得た。収率:72.8%。LC-MS(APCI):m/z=322.1(M+1)
【0251】
工程6 3-(5-(3-シアノ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチルの合成
室温で、KCO(1.24g,9.00mmol)を、4-(6-フルオロピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(580mg,1.80mmol)および6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(380mg,1.90mmol)の無水DMSO(9mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回洗浄した。有機層を合わせ、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、700mgの淡黄色の固体を得た。収率:77.9%。LC-MS (APCI):m/z=500.2(M+1)
【0252】
工程7 4-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
氷浴で、TFA(10mL)を、3-(5-(3-シアノ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチル(700mg,1.40mmol)のDCM(10mL)溶液に加え、室温で3hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、アンモニア・メタノール溶液でpHを塩基性に調整し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=12%)によって精製して、560mgの白色の固体を得た。LC-MS (APCI):m/z=400.2(M+1)
【0253】
中間体P3:(R)-2-(((3-シアノ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチル
【化44】
以下の経路で合成した。
【化45】
【0254】
工程1 4-ブロモ-6-ヒドロキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
窒素ガス保護下で、無水三塩化アルミニウム(950mg,7.15mmol)を、4-ブロモ-6-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(600mg,2.38mmol)の無水DCE(10mL)に加え、75℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、100mLのテトラヒドロフランで反応液を希釈した後、反応系を硫酸ナトリウム十水和物(10eq)でクエンチした。室温で8hrs撹拌した後、濾過し、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。濃縮物をMTBE(2mL)でスラリー化し、一晩精製し、固体を濾過し、冷MTBE(1mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、540mgの固体を得た。収率:95.7%。LC-MS (APCI):m/z=235.9(M-1)
【0255】
工程2 (R)-2-(((4-ブロモ-3-シアノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルの合成
室温で、CsCO(2.2g,6.75mmol)を、4-ブロモ-6-ヒドロキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(540mg,2.25mmol)および(R)-2-(ブロモメチル)-4-モルホリンカルボン酸tert-ブチル(630mg,2.25mmol)の無水DMA(4mL)溶液に加え、60℃、窒素ガス保護下で、一晩反応した。室温に冷却し、DCM(50mL)で反応系を希釈し、HO(25mL×3)および飽和食塩水(25mL×2)でそれぞれ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で濃縮し、濃縮物をMTBE(2mL)スラリー化して精製し、固体を濾過し、冷MTBE(1mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、630mgの固体を得た。収率:64.2%。LC-MS (APCI):m/z=437.2 (M+1)
【0256】
工程3 (R)-2-(((3-シアノ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(100mg)を、(R)-2-(((4-ブロモ-3-シアノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチル(510mg,1.16mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.97g,11.68mmol)およびKOAc(580mg,5.92mmol)の無水ジオキサン(12mL)に加え、窒素ガス保護下、80℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、DCM(150mL)で反応系を希釈し、シリカゲルクロマトグラフィーで濾過し、DCM(150mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物をn-ペンタン(50mL)でスラリー化して精製し、固体を濾過し、真空で乾燥させ、400mgの固体を得た。これを精製せずにそのまま次の反応に使用した。LC-MS (APCI):m/z=485.2(M+1)
【0257】
中間体P4:4-ブロモ-6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化46】
以下の経路で合成した。
【化47】
【0258】
室温で、KCO(2.2g,6.75mmol)を、4-ブロモ-6-ヒドロキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(720mg,3.00mmol)およびジメチルエチレンオキシド(2.2g,30.00mmol)の無水DMF(5mL)溶液に加え、60℃、窒素ガス保護下、封管で8hrs反応させた。80℃に昇温し、一晩反応させた。室温に冷却し、50mLの水を添加して1hr撹拌し、固体を濾過し、冷MTBE(1mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、800mgの固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=310.0(M+1)
【0259】
中間体R1:5-(クロロメチル)-2-(メトキシ-d)ピリジン
【化48】
以下の経路で合成した。
【化49】
【0260】
工程1 6-クロロニコチン酸(メチル-d)の合成
氷浴で、塩化オキサリル(4.90g)および2滴のDMFを、6-クロロニコチン酸(5g)の無水DCM(75mL)に加え、室温で反応を24hrs撹拌した。反応液を加圧して濃縮し、無水DCM(35mL)を添加した。氷浴で重メタノール(5mL)を添加し、自然昇温し、さらに30min反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、MTBEで希釈し、水、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10%)によって精製して、5.34gの淡黄色の固体を得た。H NMR (500MHz,CDCl) δ 9.04-8.96(m,1H),8.26(dd,J=8.3,2.4Hz,1H),7.43(dd,J=8.3,0.5Hz,1H).
【0261】
工程2 6-(メトキシ-d)ニコチン酸(メチル-d)の合成
氷浴で、NaH(1.62g,60%)を数回分けて重メタノール(1.34g)の無水THF(50mL)溶液に加え、室温で反応を1hrs撹拌し後、さらに氷浴で6-クロロニコチン酸(メチル-d)(5.3g)を反応系に加え、室温で4hrs反応させた。水で反応をクエンチし、EtOAcで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=30%)によって精製して、4.5gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=174.1(M+1)
【0262】
工程3 化合物(6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メタノールの合成
氷浴で、水素化アルミニウムリチウム(402mg)を、6-(メトキシ-d)ニコチン酸(メチル-d)(1.5g)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。硫酸ナトリウム十水和物で反応をクエンチし、テトラヒドロフラン(150mL)を添加し、4hrs十分に撹拌し濾過し、THFで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=40%)によって精製して、840mgの淡黄色の油を得た。液体収率:72.9%.LC-MS(APCI):m/z=143.1(M+1)
【0263】
工程4 5-(クロロメチル)-2-(メトキシ-d)ピリジンの合成
氷浴で、MsCl(1.02g)を、(6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メタノール(840mg)のTEA(1.19g)の無水DCM(20mL)に加え、室温で一晩反応させた。水で反応をクエンチし、DCMで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=16%)によって精製して、800mgの淡黄色の油を得た。LC-MS(APCI):m/z=161.1(M+1)H NMR (300MHz,CDCl) δ 8.15(d,J=2.4Hz,1H),7.63(dd,J=8.6,2.5Hz,1H),6.76(d,J=8.6Hz,1H),4.55(s,2H).
【0264】
中間体R2:5-(クロロメチル-d)-2-メトキシピリジン
【化50】
以下の経路で合成した。
【化51】
【0265】
工程1 (6-メトキシピリジン-3-イル)メタン-d-オールの合成
氷浴で、テトラ重水素アルミニウムリチウム(1.00g)を、6-メトキシニコチン酸メチル(3.78g)の無水テトラヒドロフラン(50mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。硫酸ナトリウム十水和物で反応をクエンチし、テトラヒドロフラン(200mL)を添加し、4hrs十分に撹拌し濾過し、濾過し、THFで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=40%)によって精製して、1.56gの淡黄色の油を得た。LC-MS (APCI):m/z=142.1(M+1)
【0266】
工程2 化合物5-(クロロメチル-d)-2-メトキシピリジンの合成
氷浴で、MsCl(1.52g,13.27mmol)を、(6-メトキシピリジン-3-イル)メタン-d-オール(1.56g,11.06)のTEA(1.68g,16.59mmol)の無水DCM(40mL)に加え、室温で一晩反応させた。水で反応をクエンチし、DCMで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=16%)によって精製して、1.2gの淡黄色の油を得た。LC-MS (APCI): m/z =163.1(M+1)H NMR (400MHz,CDCl) δ 8.17(d,J=2.3Hz,1H),7.64(dd,J=8.6,2.5Hz,1H),6.78(d,J=8.6Hz,1H),3.96(s,3H).
【0267】
中間体R3:5-(クロロメチル-d)-2-(メトキシ-d)ピリジン
【化52】
以下の経路で合成した。
【化53】
【0268】
工程1 (6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メタン-d-オールの合成
氷浴で、テトラ重水素アルミニウムリチウム(444mg)を、6-(メトキシ-d)ニコチン酸(メチル-d)(1.5g)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。硫酸ナトリウム十水和物で反応をクエンチし、テトラヒドロフラン(150mL)を添加し、4hrs十分に撹拌して、濾過し、THFで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=40%)によって精製して、670mgの淡黄色の油を得た。液体収率:58.2%. LC-MS (APCI):m/z=145.1(M+1)
【0269】
工程2 5-(クロロメチル-d)-2-(メトキシ-d)ピリジンの合成
氷浴で、MsCl(803mg)を、(6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メタン-d-オール(670mg)のTEA(940mg)の無水DCM(20mL)に加え、室温で一晩反応させた。水で反応をクエンチし、DCMで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=16%)によって精製して、560mgの淡黄色の油を得た。LC-MS (APCI):m/z=163.1(M+1)H NMR (500MHz,CDCl) δ 8.22-8.05(m,1H),7.63(dd,J=8.6,2.5Hz,1H),6.76(dd,J=8.6,0.6Hz,1H).
【0270】
中間体R4:3-(5-クロロピラジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化54】
以下の経路で合成した。
【化55】
【0271】
工程1 3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチルの合成
室温で、KCOを、2,5-ジクロロピラジン(2.60g,17.4mmol)および6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(3.10g,15.66mmol)の無水DMSOに加え、85℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=15-30%)によって精製して、4.0gの淡黄色の固体を得た。収率:62.83%。LC-MS(APCI):m/z=313.1(M+1)
【0272】
工程2 3-(5-クロロピラジン-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
氷浴で、TFA(15mL)を、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチル(2.3g,7.37mmol)の無水DCM(15mL)に加え、室温で4hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性pHに調整し、DCMで3回抽出し、飽和食塩水で有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、1.34gの淡黄色の固体を得た。収率:86.5%。LC-MS (APCI):m/z=211.1(M+1)
【0273】
工程3 3-(5-クロロピラジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
室温で、CsCO(1.55g)を、3-(5-クロロピラジン-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(500mg,)および5-(クロロメチル-d)-2-メトキシピリジン(405mg)の無水DMF(10mL)に加え、90℃で反応を5hrs撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、600mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=334.1(M+1)
【0274】
中間体R5:3-(5-クロロピラジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化56】
以下の経路で合成した。
【化57】
【0275】
室温で、CsCO(1.55g)を、3-(5-クロロピラジン-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(295mg)および5-(クロロメチル)-2-(メトキシ-d3)ピリジン(240mg)の無水DMF(5mL)に加え、90℃で反応を5hrs撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、320mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=335.1(M+1)
【0276】
中間体R6:3-(5-クロロピラジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化58】
以下の経路で合成した。
【化59】
【0277】
室温で、CsCO(1.55g)を、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(359mg,1.85mmol)および5-(クロロメチル-d)-2-(メトキシ-d)ピリジン(300mg,1.85mmol)の無水DMF(5mL)に加え、90℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、400mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=337.2(M+1)
【0278】
中間体R7:6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化60】
以下の経路で合成した。
【化61】
【0279】
工程1 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチルの合成
室温で、KCOを、5-ブロモ-2-フルオロピリジン(919mg,5.22mmol)および6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.00g,5.22mmol)の無水DMSO(8mL)に加え、90℃で反応を24hrs撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10%)によって精製して、1.6gの淡黄色の固体を得た。収率:86.8%。LC-MS(APCI):m/z=354.1(M+1)
【0280】
工程2 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
氷浴で、TFA(10mL)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチル(1.5g,4.25mmol)の無水DCM(10mL)に加え、室温で4hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性pHに調整し、DCMで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、1.05gの淡黄色の固体を得た。収率:97.6%。LC-MS (APCI):m/z=254.1(M+1)
【0281】
工程3 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
室温で、CsCO(1.30g,4.00mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(504mg,2.00mmol)および5-(クロロメチル-d)-2-メトキシピリジン(400mg,2.40mmol)の無水DMF(8mL)に加え、90℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、540mgの淡黄色の固体を得た。収率:71.6%。LC-MS(APCI):m/z=377.0(M+1)
【0282】
工程4 6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(115mmol,0.14mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(540mg,1.43mmol)、B(Pin)(1.10g,4.29mmol)およびKOAc(429mg,4.29mmol)のジオキサン(16mL)溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、250mgの淡黄色の固体を得た。収率:41.1%。LC-MS(APCI):m/z=425.2(M+1)
【0283】
中間体R8:6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化62】
以下の経路で合成した。
【化63】
【0284】
工程1 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
室温で、CsCO(1.30g,4.00mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(504mg,2.00mmol)および5-(クロロメチル)-2-(メトキシ-d)ピリジン(400mg,2.40mmol)の無水DMF(8mL)に加え、90℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、470mgの淡黄色の固体を得た。収率:62.3%。LC-MS(APCI):m/z=378.1(M+1)
【0285】
工程2 6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(100mg)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(470mg,1.24mmol)、B(Pin)(950mg,3.73mmol)およびKOAc(370mg,3.73mmol)のジオキサン(15mL)溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcで洗浄し、フィルターケーキを、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、270mgの淡黄色の固体を得た。収率:51.1%。LC-MS(APCI):m/z=426.2(M+1)
【0286】
中間体R9:6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化64】
以下の経路で合成した。
【化65】
【0287】
工程1 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
室温で、CsCO((1.30g,4.00mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(504mg,2.00mmol)および5-(クロロメチル-d)-2-(メトキシ-d)ピリジン(400mg,2.40mmol)の無水DMF(8mL)に加え、90℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、450mgの淡黄色の固体を得た。収率:70.6%。LC-MS (APCI):m/z=380.1(M+1)
【0288】
工程2 6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(100mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(450mg,1.18mmol)、B(Pin)(900mg,3.55mmol)およびKOAc(350mg,3.55mmol)のジオキサン(15mL)溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、236mgの淡黄色の固体を得た。収率:46.7%。LC-MS(APCI):m/z=428.1(M+1)
【0289】
中間体R10:6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化66】
以下の経路で合成した。
【化67】
【0290】
工程1 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
氷浴で、数滴の酢酸を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.05g,3.94mmol)および6-メトキシニコチンアルデヒド(594mg,4.33mmol)の無水DCM(25mL)に滴下し、室温で反応を30min撹拌し、氷浴でNaBH(OAc)(1.25g,5.91mmol)を加え、反応を一晩撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応をクエンチし、水層をDCM(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、1.15gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=375.1(M+1)H NMR (400MHz,CDCl) δ 8.26(d,J=2.2Hz,1H),8.07(d,J=1.9Hz,1H),7.66-7.57(m,2H),6.72(d,J=8.5Hz,1H),6.46(d,J=9.0Hz,1H),3.92(s,3H),3.79-3.69(m,4H),3.53(s,2H),3.48(d,J=11.7Hz,2H),2.68(dd,J=13.8,6.8Hz,1H),1.61(d,J=8.6Hz,1H).
【0291】
工程2 6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(228mg,0.28mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.05g,2.80mmol)、B(Pin)(2.13g,8.40mmol)およびKOAc(825mg,8.40mmol)のジオキサン(28mL)溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、840mgの淡黄色の固体を得た。収率:71.1%。LC-MS(APCI):m/z=423.4(M+1)
【0292】
実施例1 4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化68】
以下の経路で合成した。
【化69】
【0293】
室温で、CsCO(392mg)を、中間体P1(160mg,60%)および中間体R1(76mg)の無水DMF(5mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、68mgの白色の固体を得た。純度:99.36%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=521.4(M+1)
【0294】
実施例2 4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化70】
以下の経路で合成した。
【化71】
【0295】
室温で、CsCO(488mg,1.50mmol)を、中間体P1(200mg,0.50mmol,60%)および中間体R2(100mg,0.60mmol)の無水DMF(5mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、90mgの白色の固体を得た。純度:99.74%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=520.4(M+1)
【0296】
実施例3 4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化72】
以下の経路で合成した。
【化73】
【0297】
室温で、CsCO(592mg)を、中間体P1(160mg,60%)および中間体R3(80mg)の無水DMF(5mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、40mgの白色の固体を得た。純度:98.84%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=523.4(M+1)
【0298】
実施例4 4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化74】
以下の経路で合成した。
【化75】
【0299】
室温で、CsCO(196mg,0.60mmol)を、中間体P2(80mg,0.20mmol)および中間体R1(38mg,0.24mmol)の無水DMF(3mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、63mgの白色の固体を得た。収率:60.2%,純度:98.51%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=524.4(M+1)
【0300】
実施例5 4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化76】
以下の経路で合成した。
【化77】
【0301】
室温で、CsCO(1.6g,3.00mmol)を、中間体P2(400mg,1.00mmol,純度30%)および中間体R2(160mg,1.00mmol)の無水DMF(5mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、50mgの白色の固体を得た。純度:99.29%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=523.4(M+1)
【0302】
実施例6 4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化78】
以下の経路で合成した。
【化79】
【0303】
室温で、CsCO(196mg,0.60mmol)を、中間体P2(80mg,0.2mmol)および中間体R3(40mg,0.24mmol)の無水DMF(3mL)に加え、95℃で反応を一晩撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、33mgの白色の固体を得た。収率:31.5%,純度:98.95%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=526.4(M+1)
【0304】
実施例7 4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化80】
以下の経路で合成した。
【化81】
【0305】
窒素ガス保護下で、Pd(dba)(37mg)およびX-phos(38mg)を、中間体R10(204mg,0.48mmol)、3-シアノ-6-(1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イルトリフラート(150mg,0.40mmol)および炭酸ナトリウム(216mg,2.06mmol)のジオキサン(4mL)と水(1mL)の混合溶媒に加え、窒素ガス保護下、85℃で反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、140mgの白色の固体を得た。純度:93.99%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=521.4(M+1)
【0306】
実施例8 4-(5-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化82】
以下の経路で合成した。
【化83】
【0307】
工程1 (2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(dba)(20mg)およびX-Phos(20mg)を、中間体R4(80mg)、中間体P3(100mg)およびKPO(127mg)のジオキサン(2mL)と水(0.5mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、45mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=656.4(M+1)
【0308】
工程2 4-(5-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
氷浴で、TFA(1mL)を、(2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチル(45mg)のDCM(2mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、アンモニア・メタノール溶液でpHを塩基性に調整し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、30mgの灰色の固体を得た。純度:96.45%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=556.4(M+1)
【0309】
実施例9 4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化84】
以下の経路で合成した。
【化85】
【0310】
工程1 (2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(dba)(35mg)およびX-Phos(35mg)を、中間体R5(120mg)、中間体P3(150mg)およびKPO(220mg)のジオキサン(2mL)と水(0.5mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMで洗浄し、フィルターケーキを、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、60mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=657.3(M+1)
【0311】
工程2 4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
氷浴で、TFA(1mL)を、(2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチル(60mg)のDCM(2mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、アンモニア・メタノール溶液でpHを塩基性に調整し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、36mgの灰色の固体を得た。純度:98.00%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=557.2(M+1)
【0312】
実施例10 4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化86】
以下の経路で合成した。
【化87】
【0313】
工程1 (2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルの合成
窒素ガス保護下で、Pd(dba)(35mg)およびX-Phos(35mg)を、中間体R6(120mg)、中間体P3(150mg)およびKPO(220mg)のジオキサン(2mL)と水(0.5mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃、封管で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、98mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=659.3(M+1)
【0314】
工程2 4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)-6-(((R)-モルホリン-2-イル)メトキシ))ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルの合成
氷浴で、TFA(1mL)を、(2R)-2-(((3-シアノ-4-(5-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピラジン-2-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチル(98mg)のDCM(2mL)溶液に加え、室温で2hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、アンモニア・メタノール溶液でpHを塩基性に調整し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、35mgの灰色の固体を得た。純度:97.92%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=559.2(M+1)
【0315】
実施例11 6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化88】
以下の経路で合成した。
【化89】
【0316】
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(60mg,0.05mmol)を、中間体R7(250mg,0.59mmol)、中間体P4(150mg,0.48mmol)およびKCO(166mg,1.2mmol)のジオキサン(9mL)と水(3mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、85℃で反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、110mgの淡黄色の固体を得た。収率:43.5%。純度:96.61%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=528.1(M+1)H NMR(500MHz,DMSO) δ 8.70(s,1H),8.61(s,1H),8.47-8.38(m,1H),8.09(s,1H),7.86(d,J=8.6Hz,1H),7.70(d,J=7.2Hz,1H),7.32(s,1H),6.87-6.73(m,2H),4.74(s,1H),3.90(s,2H),3.84(s,3H),3.79-3.65(m,4H),3.63-3.50(m,2H),2.50-2.44(m,1H),1.65-1.54(m,1H),1.25(s,6H).
【0317】
実施例12 6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化90】
以下の経路で合成した。
【化91】
【0318】
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(60mg,0.05mmol)を、中間体R8(270mg,0.63mmol)、中間体P4(150mg,0.48mmol)およびKCO(170mg,1.2mmol)のジオキサン(9mL)および水(3mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、85℃で反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、70mgの淡黄色の固体を得た。純度:96.83%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=529.2(M+1)H NMR (500MHz,DMSO) δ 8.69(s,1H),8.61(s,1H),8.48-8.36(m,1H),8.08(s,1H),7.86(dd,J=8.8,1.8Hz,1H),7.69(dd,J=8.2,1.3Hz,1H),7.32(s,1H),6.86-6.72(m,2H),4.74(s,1H),3.90(s,2H),3.79-3.66(m,4H),3.61-3.46(m,4H),2.53-2.43(m,1H),1.63-1.57(m,1H),1.25(s,6H).
【0319】
実施例13 6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-(6-(6-((6-(メトキシ-d)ピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化92】
以下の経路で合成した。
【化93】
【0320】
窒素ガス保護下で、Pd(PPh(60mg,0.05mmol)を、中間体R9(236mg,0.55mmol)、中間体P4(150mg,0.48mmol)およびKCO(166mg,1.2mmol)のジオキサン(9mL)と水(3mL)の混合溶媒に加えた。窒素ガス保護下、85℃で反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、DCMでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、120mgの淡黄色の固体を得た。収率:47.2%。純度:96.12%(HPLC)。LC-MS(APCI):m/z=531.2(M+1)H NMR(500MHz,DMSO) δ 8.70(s,1H),8.61(s,1H),8.43(s,1H),8.08(s,1H),7.86(d,J=8.5Hz,1H),7.70(d,J=7.9Hz,1H),7.32(s,1H),6.85-6.71(m,2H),4.74(s,1H),3.90(s,2H),3.79-3.65(m,4H),3.63-3.48(m,2H),2.51-2.51(m,1H),1.64-1.54(m,J=8.3Hz,1H),1.25(s,6H).
【0321】
生物活性試験
(1)代謝安定性の評価
ミクロソーム実験:ヒト肝臓ミクロソーム(HLM):0.5mg/mL,Xenotech;ラット肝臓ミクロソーム(RLM):0.5mg/mL,Xenotech;マウス肝臓ミクロソーム(MLM):0.5mg/mL,Xenotech;補酵素(NADPH/NADH):1mM,Sigma Life Science;塩化マグネシウム:5mM、100mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)。
【0322】
ストック溶液の調製:一定量の実施例化合物および対照化合物の粉末を正確に秤量し、それぞれDMSOで5mMに溶解した。
【0323】
リン酸塩緩衝液(100mM,pH7.4)の調製:予め用意された0.5Mのリン酸二水素カリウム150mLと0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液700mLとを混合し、更に0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液で混合液のpH値を7.4に調整し、使用前に超純水で5倍に希釈し、塩化マグネシウムを加えて、リン酸カリウム100mM、塩化マグネシウム3.3mMを含む、pHが7.4であるリン酸塩緩衝液(100mM)を得た。
【0324】
NADPH再生系溶液(6.5mMのNADP、16.5mMのG-6-P、3U/mLのG-6-PD、3.3mMの塩化マグネシウムを含む)を調製し、使用前に湿った氷上に置いた。
【0325】
停止液の調製:50ng/mLの塩酸プロプラノロールと200ng/mLのトルブタミド(内部標準)を含むアセトニトリル溶液。25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mLの遠心管に入れ、ヒト肝臓ミクロソームをそれぞれ812.5μL添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLの肝臓ミクロソーム希釈液を得た。25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mLの遠心管に入れ、SDラット肝臓ミクロソームをそれぞれ812.5μL添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLの肝臓ミクロソーム希釈液を得た。25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mLの遠心管に入れ、マウス肝臓ミクロソームをそれぞれ812.5μL添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLの肝臓ミクロソーム希釈液を得た。
【0326】
サンプルのインキュベーション:対応する化合物のストック溶液を、70%アセトニトリルを含む水溶液でそれぞれ0.25mMに希釈し、作業溶液として使用した。398μLのヒト肝臓ミクロソームまたはラット肝臓ミクロソームまたはマウス肝臓ミクロソームの希釈液を96ウェルのインキュベーションプレート(N=2)にそれぞれ加え、0.25mMの作業溶液2μLにそれぞれ添加して均一に混合した。
【0327】
代謝安定性アッセイ:予め冷却された停止液300μLを96ウェルのディープウェルプレートの各ウェルに添加し、氷上に置いて停止プレートとした。96ウェルのインキュベーションプレートおよびNADPH再生系を37℃の水浴に置いて、100rpmで振とうし、5分間プレインキュベートした。インキュベーションプレートの各ウェルから80μLのインキュベーション溶液を取出し、停止プレートに加え、均一に混合し、NADPH再生系溶液20μLを補充して0分間サンプルとした。インキュベーションプレートの各ウェルに80μLのNADPH再生系溶液を更に添加し、反応を開始し、時間を計り始めた。対応する化合物の反応濃度は1μMで、タンパク濃度は0.5mg/mLである。反応の10分間、30分間、90分間に、それぞれ100μLの反応液を採取し、停止プレートに加え、3分間ボルテックス操作を行い、反応を停止させた。5000×g、4℃の条件下で停止プレートを10分間遠心分離した。予め100μLの蒸留水を入れた96ウェルプレートに、100μLの上清を加え、均一に混合し、LC-MS/MSを用いてサンプルを分析した。
【0328】
データ分析:LC-MS/MSシステムによって対応する化合物および内部標準のピーク面積を検出し、化合物と内部標準のピーク面積の比を計算した。時間に対する化合物残存量の百分率の自然対数をプロットすることによって、傾きを測定して、以下の式に従ってt1/2及びCLintを計算した。ここで、V/Mは1/タンパク質濃度に等しい。
【数1】
1/2(min);CLint(μL/min/mg)
【0329】
上記のインビトロ安定性アッセイで本発明化合物を試験した結果、本発明化合物が優れた代謝安定性を有することを見出した。肝臓ミクロソーム実験における代表的な実施例の結果を以下の表3にまとめる。
【0330】
表3
【表3】



【0331】
(2)ラットにおける薬物動態実験
6匹のSprague-Dawleyラット(オス、7-8週齢、体重約210g)を2グループに分け、各グループ3匹ずつ、それぞれに、経静脈または経口(経口10mg/kg)で単回投与量の化合物を投与し、その薬物動態学の差異を比較した。
【0332】
標準飼料でラットを飼育し、水を与えた。試験の16時間前から絶食させた。薬物をPEG400およびジメチルスルホキシドで溶解した。投与した後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で眼窩採血を行った。
【0333】
ラットにエーテルを吸入させて一時麻酔を行い、眼窩から300μLの血液サンプルを採取して試験管に入れた。試験管中には1%のヘパリン塩溶液30μLがある。使用前に、試験管を60℃で一晩乾燥させた。最後の時点の血液サンプルの採取が完了した後、エーテルで麻酔した後にラットを殺処分した。
【0334】
血液サンプルを採取した直後に、穏やかに試験管を少なくとも5回転倒させ、十分に混合し、氷上に置いた。血液サンプルを4℃、5000rpmで5分間遠心分離して、赤血球と血漿を分離した。100μLの血漿をピペットで清潔なプラスチック遠心管に入れ、化合物の名称と時点を表記した。分析まで血漿を-80℃で保存した。血漿中の本発明の化合物濃度をLC-MS/MSにより測定した。薬物動態パラメーターは、異なる時点における各動物の血中濃度に基づいて計算した。
【0335】
実験は、本発明の化合物が動物の体内でより優れた薬物動態特性を有し、したがってより優れた薬力学および治療効果を有することを示す。
【0336】
(3)キナーゼ抑制作用
試薬および材料:Ret wt (Carna、カタログ番号08-159-10μg)、RET(V804M)、Active(Signalchem、カタログ番号R02-12GG)、HTRF KinEASE-TKキット(Cisbio、カタログ番号62TK0PEC)、CEP-32496(MCE、カタログ番号HY-15200)、ATP(Sigma、カタログ番号A7699)、DMSO(Sigma、カタログ番号D8418-1L)、DTT(Sigma、カタログ番号D0632)、MgCl(Sigma、カタログ番号M1028)、384ウェルプレート(Labcyte、カタログ番号P-05525-BC)。
【0337】
具体的な実験法:
化合物の調製:試験化合物をDMSOに溶解して、10mMのストック溶液を調製した。次に、DMSOによって3倍の勾配で10回希釈した。医薬品を添加する場合、緩衝液で10倍希釈した。
【0338】
Ret wtおよびRET V804Mキナーゼアッセイ:5×キナーゼ緩衝液Aで、Ret wtまたはRET V804Mキナーゼを、異なる濃度を事前に希釈した化合物と10分間混合した。実験は、濃度ごとに2回ずつ行った。対応する基質およびATPを加え、室温で20分間反応させた(陰性対照と陽性対照の両方を設置し、陰性対照はブランク対照であり、陽性対照はCEP-32496である)。反応が完了した後に、検出試薬(HTRF KinEASE-TKキット内の試薬)を添加し、室温で30分間インキュベートした後、Envision ELISAリーダーを使用して、異なる濃度の本発明化合物の存在下で酵素活性を検出し、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性を算出した。Graphpad 5.0ソフトウェアによって、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性をフィットさせ、IC50値を算出した。
【0339】
上記のキナーゼ阻害実験で本発明化合物を試験した結果、本発明化合物がRet wtおよびRET V804Mに対する強い活性を示すことを見出した。代表的な実施例化合物の結果を以下の表4にまとめた。
【0340】
表4
【表4】



【0341】
(4)細胞毒性アッセイ
Ba/F parental、Ba/F KIF5B-RET、Ba/F KIF5B-RETV804Mの細胞生存率に対する実施例化合物の阻害効果を試験した。
【0342】
試薬および材料:ウシ胎児血清FBS(GIBCO、カタログ番号10099141)、CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega、Cat#G7572)、96ウェル透明平底黒色壁プレート(Corning(登録商標)、Cat#3603)。
【0343】
実験方法:
細胞培養および接種:
1.対数増殖期の細胞を回収し、血小板カウンターを使用してカウントした。トリパンブルー排除法をで細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%以上であることを確保した。
2.細胞濃度を3000細胞/ウェルに調整し、90μLの細胞懸濁液を96ウェルプレートにそれぞれ添加した。
3.96ウェルプレートの細胞を37℃、5%CO、95%湿度の条件で一晩インキュベートした。
【0344】
医薬の希釈および投与:
1.最高濃度10μMの10倍薬液を調製し、3.16倍で9個の濃度に希釈し、細胞を接種した96ウェルプレートの各ウェルに10μLの薬液を添加した。実験は、濃度ごとに3回ずつ行った。
2.医薬を添加した96ウェルプレート中の細胞を37℃、5%CO、95%湿度の条件でさらに72時間インキュベートした後、CTG分析を行った。
【0345】
終点の読み取り:
1.CTG試薬を解凍し、細胞プレートを室温で30分間平衡化した。
2.等量(10μL)のCTG溶液を各ウェルに加えた。
3.オービタルシェーカーでプレートを5分間振動させ、細胞を溶解した。
4.発光シグナルを安定させるために、セルプレートを室温で20分間置いた。
5.発光値を読み取った。
【0346】
データ処理
GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用してデータを分析し、非線形S曲線回帰でデータをフィットさせて用量-反応曲線を取得し、IC50値を算出した。
【0347】
細胞生存率(%)=(Lum試験薬剤-Lum培地対照)/(Lum細胞対照-Lum培地対照)×100%。
【0348】
上記の細胞毒性アッセイで本発明化合物を試験した結果、本発明化合物は、細胞株Ba/F KIF5B-RETおよびBa/F KIF5B-RETV804Mに対して強力な活性を有し、Ba/F parentalよりも優れた選択性を有することを見出した。癌細胞のインビトロ増殖に対する代表的な実施例化合物の阻害効果の結果を以下の表5にまとめる。
【0349】
表5
【表5】



【0350】
上記の内容は、特定の好ましい実施形態を参照して本発明に対するさらなる詳細な説明であるが、本発明の実施形態はこれらの記載に限定されない。当業者にとって明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、すべてが本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
一部の実施形態において、YはCHまたはNから選択され、さらに、重水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;別の一部の実施形態において、YはCH、N、CD、CFまたはCFから選択され;別の一部の実施形態において、YはCHであり;別の一部の実施形態において、YはNである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0272
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0272】
工程2 3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
氷浴で、TFA(15mL)を、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボン酸tert-ブチル(2.3g,7.37mmol)の無水DCM(15mL)に加え、室温で4hrs反応させた。減圧下で反応液を濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性pHに調整し、DCMで3回抽出し、飽和食塩水で有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して、1.34gの淡黄色の固体を得た。収率:86.5%。LC-MS (APCI):m/z=211.1(M+1)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0273
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0273】
工程3 3-(5-クロロピラジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル-d)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
室温で、CsCO(1.55g)を、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(500mg,)および5-(クロロメチル-d)-2-メトキシピリジン(405mg)の無水DMF(10mL)に加え、90℃で反応を5hrs撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、600mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=334.1(M+1)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0275
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0275】
室温で、CsCO(1.55g)を、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(295mg)および5-(クロロメチル)-2-(メトキシ-d3)ピリジン(240mg)の無水DMF(5mL)に加え、90℃で反応を5hrs撹拌した。室温に冷却し、HOで反応系を希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、320mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=335.1(M+1)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0290
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0290】
工程1 3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
氷浴で、数滴の酢酸を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.05g,3.94mmol)および6-メトキシニコチンアルデヒド(594mg,4.33mmol)の無水DCM(25mL)に滴下し、室温で反応を30min撹拌し、氷浴でNaBH(OAc)(1.25g,5.91mmol)を加え、反応を一晩撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応をクエンチし、水層をDCM(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=6%)によって精製して、1.15gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=375.1(M+1)H NMR (400MHz,CDCl) δ 8.26(d,J=2.2Hz,1H),8.07(d,J=1.9Hz,1H),7.66-7.57(m,2H),6.72(d,J=8.5Hz,1H),6.46(d,J=9.0Hz,1H),3.92(s,3H),3.79-3.69(m,4H),3.53(s,2H),3.48(d,J=11.7Hz,2H),2.68(dd,J=13.8,6.8Hz,1H),1.61(d,J=8.6Hz,1H).
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0291
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0291】
工程2 6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの合成
窒素ガス保護下で、PdCl(dppf)DCM(228mg,0.28mmol)を、3-(5-ブロモピリジン-2-イル)-6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.05g,2.80mmol)、B(Pin)(2.13g,8.40mmol)およびKOAc(825mg,8.40mmol)のジオキサン(28mL)溶媒に加えた。窒素ガス保護下、80℃で一晩反応させた。室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcでフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、840mgの淡黄色の固体を得た。収率:71.1%。LC-MS(APCI):m/z=423.4(M+1)
【国際調査報告】