(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ソケットを備えたインプラント可能な構成要素
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20220210BHJP
A61M 60/165 20210101ALI20220210BHJP
A61M 60/216 20210101ALI20220210BHJP
A61M 60/416 20210101ALI20220210BHJP
【FI】
A61F2/08
A61M60/165
A61M60/216
A61M60/416
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533677
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019065890
(87)【国際公開番号】W WO2020123762
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル ラッドスピナー
(72)【発明者】
【氏名】イアン スミス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エス.ヤング
【テーマコード(参考)】
4C077
4C097
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077EE01
4C077FF04
4C097AA21
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC11
4C097CC18
4C097DD01
4C097DD04
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD11
4C097EE02
4C097FF11
(57)【要約】
インプラント可能なデバイスは、単一の第一の構成要素、又は、第一の構成要素及び第二の構成要素などの複数の構成要素を含むことができ、前記第二の構成要素は前記第一の構成要素に可撓的に結合されている。ソケットは、1つ以上の構成要素上に延在しており、前記ソケットは、構成要素間の相互作用を向上させるように構成され、及び/又は、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の露出面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の構成要素に沿って第一の半径方向変動を画定する第一の外側プロファイルを有する第一の構成要素、及び
前記第一の構成要素の第一の外側プロファイル上に延在して、前記第一の半径方向変動に比べて低減された第二の半径方向変動を有する第二の外側プロファイルを画定するソケット
を含んでなるインプラント可能なデバイスであって、
前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む、インプラント可能なデバイス。
【請求項2】
第一の構成要素、
前記第一の構成要素に可撓的に結合された第二の構成要素、及び
前記第一の構成要素及び前記第二の構成要素上に延在しているソケット
を含んでなるインプラント可能なデバイスであって、
前記ソケットは、前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の相対運動を低減させることによって、前記インプラント可能なデバイスの前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の構成要素間相互作用を向上させるように構成されており、かつ、前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む、インプラント可能なデバイス。
【請求項3】
前記1つ以上の外側露出面は、細胞外マトリックス統合を含む異物反応を示すように構成されている、請求項1又は2記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項4】
前記ソケットは、細胞統合に対して不透過性である材料の1つ以上の層を含む、請求項1~3のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項5】
前記ソケットは、前記ソケットの1つ以上の部分に長手方向の強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する材料の1つ以上の層を含む、請求項1~4のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項6】
前記ソケットは、前記ソケットの1つ以上の部分に周方向の強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する材料の1つ以上の層を含む、請求項1~5のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項7】
前記ソケットは1つ以上の補強リングを含む、請求項1~6のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項8】
前記1つ以上の補強リングのうちの少なくとも1つは、拡張直径に対して弾性変形可能であり、該拡張直径から前記1つ以上の補強リングは弾性的に回復する、請求項7記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項9】
前記1つ以上の補強リングは、連続的ならせん状の起伏のあるパターンを画定する、請求項7又は8記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項10】
前記ソケットは外向きにフレア状の端部を含む、請求項1~9のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項11】
前記ソケットは補強された端部を含む、請求項1~10のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項12】
前記第一の構成要素はアンカー構成要素であり、かつ、前記第二の構成要素はテザー構成要素である、請求項2~11のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項13】
第三の構成要素及び第四の構成要素をさらに含み、前記ソケットは、前記第三の構成要素及び第四の構成要素を受け入れて、前記インプラント可能なデバイスの第一の構成要素及び第三の構成要素間の構成要素間相互作用を向上させるように構成されている、請求項2~12のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項14】
前記第三の構成要素はテザーロック構成要素であり、かつ、前記第四の構成要素はテザー構成要素である、請求項13記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項15】
前記ソケットの外面及び内面のうちの少なくとも1つは、組織の内部成長を促進するように構成された材料を含む、請求項1~14のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項16】
前記ソケットは、フィブリル配向が前記ソケットの長手方向軸に整列された方向にあるフィルムミクロ構造を含む材料の1つ以上の層から形成されている、請求項1~15のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項17】
前記ソケットは、ePTFEグラフト材料、エラストマー材料、他のポリマー材料、又は2種以上のそのような材料の組み合わせを含む、材料セットから形成されている、請求項1~16のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項18】
前記ソケットはePTFEストレッチグラフト材料を含む、請求項1~17のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項19】
前記ソケットは、部分的又は完全に生体再吸収性及び/又は部分的又は完全に生体吸収性である材料を含む、請求項1~18のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項20】
前記ソケットは、時間とともに部分的又は完全に分解する、身体組織に一時的な固定を提供するように構成されている、請求項1~19のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項21】
前記ソケットは、移植後の生体適合性及び線維形成を向上させるように適合された材料のメッシュ又はネットワークとして構成された1つ以上の層を含む、請求項1~20のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項22】
前記材料のメッシュ又はネットワークは、材料のストランドを交差させることにより、又は材料の1つ以上の層における断続的なボイド又は開口部により、形成されている、請求項21記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項23】
経カテーテル僧帽弁腱索修復デバイス又は血液ポンプデバイスとして構成された、請求項1~22のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月12日に出願された仮出願第62/778,654号の利益を主張する、2019年12月11日に出願された米国特許出願第16/710,637号の優先権を主張し、これらの両方とも、すべての目的のためにそれらの全体を参照により本明細書に取り込む。
【0002】
本開示は、一般に、インプラント可能なメディカルデバイス用のカバー、レセプタクル、シュラウド、カプラー、コンストレイナーなど(総称してソケット)に関し、より具体的には、インプラント可能なデバイスの構成要素間及び/又は環境間の相互作用を向上させるように構成されたソケットに関する。
【背景技術】
【0003】
インプラント可能なデバイスの構成要素は、経カテーテル僧帽弁腱索修復デバイスなどの様々な状況で実装される。インビボでの複数のデバイス構成要素間の相互作用、ならびに複数のデバイス構成要素と身体環境との間の相互作用の改善は、なおも実現されるべきである。
【発明の概要】
【0004】
様々な例は、第一の構成要素(例えば、アンカー構成要素)及び該第一の構成要素に結合された第二の構成要素(例えば、テザー構成要素)を含むインプラント可能なメディカルデバイス(例えば、経カテーテル僧帽弁腱索デバイス)に関する。第一の構成要素と第二の構成要素との間の相互作用(例えば、相対運動、屈曲、摩耗又は他の機械的相互作用)は、制御される(例えば、最小化される)ことから利益を得ることができ、第一の構成要素及び/又は第二の構成要素及び身体環境の間の相互作用は向上されうる(例えば、組織の内部成長を促進すること及び/又は血栓形成を最小限に抑えることによって)。さらなる例において、第一の構成要素及び/又は第二の構成要素及び第三の構成要素(例えば、テザーロック構成要素)の間の相互作用は改善され(例えば、相対運動を低減すること及び/又は構成要素間のドッキングを容易にすることによって)、そして第三の構成要素と身体環境との間の相互作用は改善される(例えば、組織の内部成長を促進すること及び/又は血栓形成を最小限に抑えることによって)。本明細書で提供される様々な例は、インプラント可能なデバイスのそのような構成要素間及び環境間相互作用を向上させるためのカバー、レセプタクル、シュラウド、カプラー、コンストレイナー、保持部材など(本明細書で総称して「ソケット」と呼ぶ)に関する。
【0005】
第一の例(「例1」)によれば、インプラント可能なデバイスは、第一の構成要素、該第一の構成要素に可撓的に結合された第二の構成要素、及び、前記第一の構成要素及び前記第二の構成要素上に延在しているソケットであって、前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の相対運動を低減することによって、前記インプラント可能なデバイスの前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の構成要素間相互作用を向上させるように構成されたソケットを含み、前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む。
【0006】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、前記1つ以上の外側露出面は、細胞外マトリックス統合を含む異物反応を示すように構成される。
【0007】
別の例(「例3」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、細胞統合に対して不透過性である材料の1つ以上の層を含む。
【0008】
別の例(「例4」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、前記ソケットの1つ以上の部分に長手方向の強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する材料の1つ以上の層を含む。
【0009】
別の例(「例5」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、前記ソケットの1つ以上の部分に周方向の強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する材料の1つ以上の層を含む。
【0010】
別の例(「例6」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、1つ以上の補強リングを含む。
【0011】
別の例(「例7」)によれば、例6に加えて、前記1つ以上の補強リングのうちの少なくとも1つは拡大直径まで弾性変形可能であり、該拡大直径から前記1つ以上の補強リングは弾性的に回復する。
【0012】
別の例(「例8」)によれば、例6又は7に加えて、前記1つ以上の補強リングは、連続的ならせん状の起伏のあるパターンを画定する。
【0013】
別の例(「例9」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、外向きにフレア状の端部を含む。
【0014】
別の例(「例10」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは補強された端部を含む。
【0015】
別の例(「例11」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記第一の構成要素はアンカー構成要素であり、前記第二の構成要素はテザー構成要素である。
【0016】
別の例(「例12」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、先行の請求項のインプラント可能なデバイスは、第三の構成要素及び第四の構成要素をさらに含み、前記ソケットは前記第三の構成要素及び前記第四の構成要素を受け入れて、前記インプラント可能なデバイスの第一の構成要素と第三の構成要素との間の構成要素間の相互作用を向上させるように構成されている。
【0017】
別の例(「例13」)によれば、例12に加えて、前記第三の構成要素はテザーロック構成要素であり、前記第四の構成要素はテザー構成要素である。
【0018】
別の例(「例14」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットの外面及び内面のうちの少なくとも1つは、組織の内部成長を促進するように構成された材料を含む。
【0019】
別の例(「例15」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、フィブリル配向が前記ソケットの長手方向軸に整列した方向であるフィルムミクロ構造を含む材料の1つ以上の層から形成されている。
【0020】
別の例(「例16」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、ePTFEグラフト材料、エラストマー材料、他のポリマー材料又は2つ以上のそのような材料の組み合わせを含む材料セットから形成されている。
【0021】
別の例(「例17」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、ePTFEストレッチグラフト材料を含む。
【0022】
別の例(「例18」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、部分的又は完全に生体再吸収性及び/又は部分的又は完全に生体吸収性である材料を含む。
【0023】
別の例(「例19」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、時間とともに部分的又は完全に分解する、身体組織への一時的な固定を提供するように構成されている。
【0024】
別の例(「例20」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ソケットは、移植後の生体適合性及び線維形成を向上させるように適合された材料のメッシュ又はネットワークとして構成された1つ以上の層を含む。
【0025】
別の例(「例21」)によれば、例20に加えて、前記材料のメッシュ又はネットワークは、材料のストランドを交差させることによって、又は、材料の1つ以上の層における断続的なボイド又は開口部によって形成される。
【0026】
別の例(「例22」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記インプラント可能なデバイスは、経カテーテル僧帽弁腱索修復デバイス又は血液ポンプデバイスとして構成されている。
【0027】
別の例(「例23」)によれば、先行の例のいずれかのインプラント可能なデバイスを使用する治療方法は、前記インプラント可能なデバイスを患者の体内のある位置にデリバリーすることを含む。
【0028】
別の例(「例24」)によれば、例23に加えて、この方法は、例12の第三の構成要素などの別の構成要素をインビボで前記ソケット中に挿入することをさらに含む。
【0029】
別の例(「例25」)によれば、インプラント可能なデバイスは、第一の構成要素に沿った第一の半径方向変動を画定する第一の外側プロファイルを有する第一の構成要素と、前記第一の半径方向変動と比較して低減された第二の半径方向変動を有する第二の外側プロファイルを画定する、前記第一の構成要素の前記第一の外側プロファイル上に延在しているソケットとを含み、前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む。例1~24の特徴のいずれも、適宜に、例25に適用可能であることができる。
【0030】
別の例(「例26」)によれば、前記ソケットは、インプラント可能なデバイスの第一の構成要素の第一の外側プロファイル上に延在して、前記第一の構成要素の第一の半径方向変動に比べて低減された第二の半径方向変動を有する第二の外側プロファイルを画定するように構成されており、前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む。
【0031】
別の例(「例27」)によれば、ソケットは、インプラント可能なデバイスの第一の構成要素及び第二の構成要素上に延在するように構成され、前記ソケットは、前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の相対運動を低減させることによって前記インプラント可能なデバイスの前記第一の構成要素と前記第二の構成要素との間の構成要素間の相互作用を向上させるように構成されており、前記ソケットは、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む。
【0032】
別の例(「例28」)によれば、方法は、複数構成要素デバイスを患者の体内のある位置にデリバリーすること、ここで、前記複数構成要素デバイスは、第一の構成要素に沿って第一の半径方向変動を画定する第一の外側プロファイルを有する第一の構成要素、及び、前記第一の構成要素の第一の外側プロファイル上に延在して、前記第一の半径方向変動に比べて低減された第二の半径方向変動を有する第二の外側プロファイルを画定するソケットであって、可能な異物反応の範囲内の異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含むソケットを含む、及び、第三の構成要素を前記ソケットに挿入して、インプラント可能なデバイスの前記第一の構成要素と前記第三の構成要素との間の構成要素間の相互作用を向上させることを含む。
【0033】
別の例(「例25」)によれば、例24の方法に加えて、前記第三の構成要素はテザーロック構成要素である。
【0034】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれの範囲をも制限し又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。様々な追加又は代替の特徴及び利点のいずれも考えられ、以下の開示及び図を参照して明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに、本開示の原理を説明する。
【0036】
【
図1】
図1は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスを示す。
【0037】
【
図2A】
図2Aは、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスを示す。
【
図2B】
図2Bは、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスを示す。
【0038】
【
図3】
図3は、幾つかの例による、ソケットを形成しそして該ソケットをインプラント可能なデバイスの第一の構成要素に結合する幾つかの方法の図である。
【
図4】
図4は、幾つかの例による、ソケットを形成しそして該ソケットをインプラント可能なデバイスの第一の構成要素に結合する幾つかの方法の図である。
【
図5】
図5は、幾つかの例による、ソケットを形成しそして該ソケットをインプラント可能なデバイスの第一の構成要素に結合する幾つかの方法の図である。
【
図6】
図6は、幾つかの例による、ソケットを形成しそして該ソケットをインプラント可能なデバイスの第一の構成要素に結合する幾つかの方法の図である。
【0039】
【
図7】
図7は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスのソケットの特徴を示す。
【0040】
【
図8】
図8は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスのソケットの特徴、ならびに製造方法を示す。
【
図9】
図9は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスのソケットの特徴、ならびに製造方法を示す。
【0041】
【
図10】
図10は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイスの第一の構成要素にソケットを組み立てる様子を示す。
【0042】
【
図11】
図11は、幾つかの例による、ソケットを利用するインプラント可能なデバイスを示す。
【0043】
【
図12】
図12は、幾つかの例による、ソケットを利用するインプラント可能なデバイスを示す。
【0044】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0045】
定義及び用語
本開示は、限定的な方法で読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0046】
「実質的に」及び「一般的に」という用語は、当業者によって理解され、容易に確認できる程度の不正確さを伝えるために、本開示において使用される。
【0047】
測定値に関する不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用され、該測定値は、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために行われる小さな調整に起因することができる。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断される場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味するものと理解してよい。
【0048】
本明細書で使用されるときに、「チューブ」という用語は、特に断りのない限り、連続壁を有する構成要素であることを必要とせず、メッシュ、フレームワーク、穿孔構造、環状又はリング構造などを含むことができる。
【0049】
本明細書で使用されるときに、「ソケット」という用語は、以下の用語:カバー、レセプタクル、シュラウド、カプラー、コンストレイナー、保持部材などのいずれかを含み、それらと交換可能に使用されうる。
【0050】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0051】
図1は、幾つかの例による、インプラント可能なデバイス10を示している。示されるように、インプラント可能なデバイス10は、第一の構成要素22、第二の構成要素24などの複数の構成要素20、及び、第一の構成要素22及び第二の構成要素24上に延在するソケット30を含む。ソケット30は、一般に、インプラント可能なデバイスの構成要素間及び環境間の相互作用を向上させるように構成されている。下にある構成要素の図解及び視覚化を容易にするために、ソケット30は、破線で示される透視様式で示されている。示されるように、ソケット30は、一般に、連続チューブ、又は材料のシリンダーの形態であるが、不連続チューブ、環状チューブその他のチューブ変種が考えられる。
【0052】
インプラント可能なデバイス10は、次いで、経カテーテル僧帽弁腱索修復デバイスに関連しうる構成要素(例えば、米国特許出願公開第2018/0185151号明細書「METHOD FOR TRANSVASCULAR IMPLANTATION OF NEO CHORDAE TENDINAE」に開示のもの等)に関して記載されるが、同様の原理は、所望に応じて様々なインプラント可能なデバイスのいずれにも適用することができる(例えば、
図11及び関連記載を参照されたい)。
【0053】
図示したように、幾つかの例において、第一の構成要素22は、本体40及び棘(barb)42を有するアンカー構成要素として構成されている。幾つかの例において、本体構成要素は、管腔内に(例えば、経カテーテル技術を介して)デリバリーされるように構成されており、例えば、生体適合性金属又はポリマー材料から形成されている。棘42は、本体40と同じ、類似の又は異なる材料から形成されることができ、回転され又は組織(例えば、心臓の心室壁に関連するものなどの心臓組織)にねじ込まれるように構成されている。次に、第二の構成要素24は、比較的に可撓性の長尺材料(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、編組物又は他の材料)から形成されたテザー構成要素として構成されうる。幾つかの例において、第二の構成要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から形成されているが、様々な材料のいずれかを所望に応じて使用することができる。棘42は、らせん状のねじ型アンカーとして示されているが、様々なアンカー又は係合特徴部のいずれかが、棘42を代用し、又は棘42に加えて追加されうることを理解されたい。例えば、針、矢印成形された棘、拡張コイル又は傘型アンカー、綿撒糸組織アンカー、又は、任意の他の様々な組織アンカー設計が考えられる。
【0054】
図1に示されるように、第二の構成要素24は、第一の構成要素22に結合され、そして第一の構成要素22から延在する。使用中、第二の構成要素24は、移植後に自然に屈曲又は偏向しうる。
図1に示されるように、ソケット30は、第一の構成要素22及び第二の構成要素24を含む複数の構成要素20上に延在する。ソケット30は、複数の構成要素20上に部分的に又は複数の構成要素20上に完全に延在することができる。
【0055】
図1に示されるように、ソケット30は、第二の構成要素24が第一の構成要素22から延在している場所に隣接して第二の構成要素24の屈曲/たわみを最小化するように構成されている。特に、ソケット30は、第一の構成要素22(アンカー構成要素)の本体40の近くで第二の構成要素24を圧縮し、挟み込み、案内し及び/又は押すことによって、第二の構成要素24(テザー構成要素)を定位置に保持するように構成されうる。第一の構成要素22と第二の構成要素24との間の界面での相対的な動き、及び可能な摩耗/摩擦/集中的な屈曲を最小化することによって、ソケット30は、インプラント可能なデバイス10の第一の構成要素22と第二の構成要素24との間の構成要素間の相互作用を向上させるのに役立つ。
【0056】
追加的又は代替的に、後で記載されるように、ソケット30は、第一の構成要素22及び第二の構成要素24と身体環境(図示せず)との間の環境間相互作用を向上させるように適合されうる。例えば、ソケット30は、インプラント可能なデバイス10と、インプラント可能なデバイス10が移植される身体環境との間の望ましい相互作用を促進又は向上させるために、組織内部成長を促進し、組織内部成長を阻害し、血栓形成を低減し、そしてそれらの組み合わせを行うように構成された1つ以上のコーティング、層、表面処理剤又は他の向上剤を含むことができる。
【0057】
図2A及び2Bは、インプラント可能なデバイス10のさらなる任意的な特徴を示す。示されるように、複数の構成要素20は、第三の構成要素26及び第四の構成要素28を含む。第三の構成要素26は調整可能なテザーロック構成要素として構成されることができ、第四の構成要素28は第二のテザー構成要素として構成されることができる。第三の構成要素26は、第二の構成要素24(第一のテザー構成要素)及び第四の構成要素28(第二のテザー構成要素)に沿ってスライドし、配置されたら所望のようにさらなるスライドをロック又は阻止するように構成されうる。適切なテザーロック構成要素の例は、上述の米国特許出願公開第2018/0185151号明細書「METHOD FOR TRANSVASCULAR IMPLANTATION OF NEO CHORDAE TENDINAE」に記載されているが、任意の様々な構成が考えられる。
図2A及び2Bに示されるように、第三の構成要素26は、インプラント可能なデバイス10のデリバリーの一部として、ソケット30内に長手方向にスライドするように構成されている。
【0058】
図2Bに示されるように、ソケット30は、上述のように、第二の構成要素24が第一の構成要素22から延在している場所に隣接する第二の構成要素24の屈曲/たわみを最小化するように構成されている。さらに、ソケット30は、第四の構成要素28の1つ以上の部分を第三の構成要素26に対して挟むことによって、第三の構成要素(テザーロック)と第四の構成要素(第二のテザー構成要素)との間の屈曲を最小限に抑えるのに同様に役立つように構成されうる。さらに、ソケット30は、第一の構成要素22(アンカー構成要素)と第三の構成要素26(テザーロック構成要素)との間の相対運動(例えば、屈曲及び/又は長手方向の動き)を低減するのを助けることができる。特に、ソケット30は、第三の構成要素26を第一の構成要素22に対して所定の位置に保持し(例えば、一般に軸方向に整列し、長手方向に近位に及び/又は係合して)、そして2つの間の屈曲又は移動の量を低減するように構成されうる。複数の構成要素20間の相対運動及び可能な摩耗/摩擦/集中的な屈曲を最小限に抑制することにより、ソケット30は、ここでも、インプラント可能なデバイス10の構成要素間の相互作用を向上させるのに役立つ。追加的に又は代替的に、上記し、そして続いて下記に詳細に記載されるように、ソケット30は、複数の構成要素20のうちの1つ以上と患者の身体又は身体環境との間の環境間相互作用を向上させるように適合されうる。
【0059】
図3~6は、幾つかの例による、ソケット30を形成して該ソケット30を第一の構成要素22に結合する幾つかの方法の図である。
【0060】
幾つかの方法は、次にソケット30に加工される前駆体チューブ100を形成することを含む。したがって、幾つかの製造方法は、最初に前駆体チューブ100を提供することを含む。前駆体チューブ100は、巻き付け技術(例えば、前駆体チューブ100を形成するために、マンドレル上にらせん状に巻き付けられるテープ材料及び/又はマンドレル上にタバコ巻きされるシート材料)、押出技術、モールド成形技術、それらの組み合わせ、又は所望に応じて他の製造技術を用いて形成される。前駆体チューブは、所望に応じて、単層又は多層構造として形成することができる。前駆体チューブ100は、上記に記載されたもののいずれかを含む、様々な方法のいずれかを使用して、様々な材料のいずれかから形成されうる。1つの例において、前駆体チューブ100は、フルオロポリマー(例えば、ePTFE)材料の1つ以上の層を含む。前駆体チューブ100は、一般に、中空の直柱体の形態であることができ、テーパー又はステップを含むことができ、又は、任意の様々な追加又は代替の特徴を有することができる。
図3に示されるように、前駆体チューブ100は、一般に、長尺であり、長さを画定し、第一の構成要素22を受け入れることができる開放された内腔を含む。
【0061】
ソケット30を形成し、該ソケット30を第一の構成要素22に結合する幾つかの方法は、
図3から参照して理解することができる。
図3に示すように、前駆体チューブ100を、第一の構成要素22の本体40上で受け取る。次に、
図4に示されるように、リテイナー102を、前駆体チューブ及び本体40の上に受け取り、リテイナー102は、本体40に形成された相補的特徴(例えば、くぼみ)で受け取られる。リテイナー102は、材料のリング又はラップであることができる。幾つかの例において、リテイナー102は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の連続リング又は部分リングとして形成されうるが、様々な材料及び物理的構成が考えられる。
【0062】
図5に示されるように、前駆体チューブ100の一端は、前駆体チューブ100を反転するように、それ自体の上に折り返されることができる。次に、反転した前駆体チューブ100を二重にして、材料の1つ以上の層を含むことができる内側部分104及び材料の1つ以上の層を含むことができる外側部分106を形成する。外側部分は内側部分を覆い、リテイナー102は内側部分と外側部分との間に受け入れられる。
【0063】
次に、
図6に示されるように、前駆体チューブ100は、次いで、それ自体及び/又はリテイナー102に(例えば、圧縮、接着、焼結、ボンディング又はそれらの組み合わせによって)結合されうる。とにかく、
図6は、ソケット30を形成するために組み合わされた前駆体チューブ100及び他の材料(すなわち、リテイナー102)を示し、ソケット30は、第一の構成要素22に結合されている。幾つかの例において、反転プロセス及び二重層の形成は、単層構造と比較して、半径方向に順応性のある構造ならびに長手方向に剛性(例えば、比較的に高いカラム強度)を達成するのを支援し、このことは、第三の構成要素26がソケット30に挿入される例(例えば、インビボ)において、ソケット30の座屈を防止するのを支援する。半径方向の順応性はまた、ソケット30内での第三の構成要素26の保持を支援することができる(例えば、第三の構成要素26をソケット30に挿入した後に)。
【0064】
図7は、幾つかの例による、ソケット30の追加又は代替の特徴を示している。参考までに、
図7によるソケット30の形成は、
図3~6に関して上記した製造方法を使用する必要はないが、所望に応じてこのような方法を確かに使用することもできる。とにかく、
図7に示されるように、ソケット30は、補強され及び/又は外向きにフレア状の端部200を含み、それは構成要素(例えば、第三の構成要素26)をソケット30に受け入れることを容易にしうる。端部200は、材料のリング又はラップなどの補強部材202で補強され及び/又はフレア化されうる。。幾つかの例において、補強部材202は、ソケット30のチューブ状材料に内側に結合され、外側に結合され又は埋め込まれた材料(例えば、FEP)のリングである。外向きにフレア化され及び/又は補強された端部200の取り込みは、例えば、第三の構成要素26をソケット30内に案内するのを助けること、端部200が開いたままであること、及び、端部200が所望されない量のたわみ、座屈及び/又は折り畳みなどを伴わずに、第三の構成要素26によって係合されるのに十分に堅牢であることを確保するのを支援する。
【0065】
図8及び9は、ソケット30の代替又は追加の特徴を示し、さらに、上記の任意の特徴又は製造技術と組み合わせることができる別の製造方法を示している。
【0066】
図8に示されるように、ソケット30は、所望の直径の下にあるマンドレル300を用いた巻き付け技術を使用して形成されうる。幾つかの例において、内側部分302をマンドレル300の上に配置する。内側部分302は、巻き付けられ(例えば、テープ巻き付けされ)、押出され、成形され又は他の方法で形成されることができる。内側部分302は、所望に応じて1つの層又は複数の層(例えば、又はより多くのパス又は材料の層)を含むことができる。1つ以上の任意要素の補強リング304(例えば、連続したらせん構造又は個々のリング構造として形成される)を、所望に応じて内側部分302に適用することができる。
【0067】
補強リング304は、連続的(例えば、連続的ならせん状の起伏のあるパターン)又は不連続的(例えば、離散的な起伏のあるパターン)であるかどうかにかかわらず、弾性変形可能(例えば、膨張可能)である材料から形成されることができ、その結果、外側の半径方向の力が補強リング304から除去されると、1つ以上の補強リング304は元の直径に戻る。1つ以上の補強リング304は、所望に応じて、金属材料(例えば、ニチノール又はステンレス鋼)又はポリマー材料(例えば、エラストマー)などの任意の適切な材料から形成することができる。
【0068】
示されるように、次に、外側部分306は、内側部分202及び1つ以上の補強リング304の上に配置されうる。外側部分306は、巻き付けられ(例えば、テープ巻きされ)、押出され、成形され又は他の方法で形成され、所望に応じて、1つの層又は複数の層であることができる。
図9は、1つ以上の補強リング304(示されるように、ソケット30の長さに沿った複数の補強リング)を含むように構築された完成したソケット30の例の図である。
【0069】
上記の例において、ソケット30は、ソケット30の1つ以上の部分が拡張直径に拡張され、次いでそのような拡張から弾性的に回復する能力を備えて構成されている。そのような例は、弾性的に回復可能なステント様構造を組み込むことによってこの特徴に対処するが、ソケット30は、直径方向の拡張に続くそのような弾力収縮を達成するために追加又は代替の特徴を取り込むことができる。例えば、ソケット30の材料は、ソケット30が直径方向に膨張し、次いで弾性的に回復する能力を示すように、ソケット30を形成する材料の1つ以上の層にエラストマー材料を含ませることができる。1つの選択肢は、エラストマー材料(例えば、FEP)のソケット30の1つ以上の層を形成することを含む。別の選択肢は、エラストマー材料をソケット30の1つ以上の層に取り込むことを含む(例えば、ePTFEなどの拡張可能な基材材料をエラストマー材料でコーティング又は吸収することによって)。
【0070】
組み立て及び弾性回復特性を組み込むことの潜在的な利点に関して、
図10は、そのような弾性回復特性を利用して、ソケット30を第一の構成要素22にどのように組み立てることができるかを示している。示されるように、ソケット30は、第一の構成要素22上を通過するときに膨張又は拡張されうる。次に、より大きな直径の第一の構成要素22上のソケット30の部分は、第一の構成要素22に対して能動的に係合するか又はバイアスされる。追加的に又は代替的に、膨張された後により小さい直径に戻ることができるソケット30の部分は、ソケット30を第一の構成要素に保持又は固定するのを支援する。特に、ソケット30の1つ以上の部分は第一の構成要素22の隣接する部分よりも小さい直径にネックダウンし又は回復し、それによってソケット30を所定の位置に固定する。
【0071】
ソケット30の上述の例のいずれかのために実装される材料は、所望の機械的特性を示すように、及び/又は、身体環境から所望の応答を生成するように構成されうる。幾つかの例において、ソケット30は、軸方向又はカラム強度のために、長手方向に配向された材料の1つ以上の層を含む。例えば、層は、長手方向の強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する延伸フルオロポリマーを含むことができる。1つのそのような材料は、ソケット30に対して長手方向に配向されてソケット30の長手方向又はカラム強度を向上させるフィブリル構造を有する延伸フルオロポリマー(例えば、ePTFE)を含むことができる。ソケットの材料はまた、半径方向又はフープ強度を得るために周方向に配向された材料の1つ以上の層を含むことができる。例えば、ソケット30は、半径方向又はフープ強度を得るために周方向に配向された材料の1つ以上の層を含むことができる。例えば、層は、半径方向又はフープ強度を提供するように配向されたミクロ構造を有する延伸フルオロポリマーを含むことができる。1つのそのような材料は、ソケット30に対して周方向に配向されてソケット30の半径方向又はフープ強度を向上させるフィブリル構造を有する延伸フルオロポリマー(例えば、ePTFE)を含むことができる。追加的に又は代替的に、所望の特性を達成するために、複数の配向(例えば、長手方向及び周方向の両方)を組み合わせ又は含むことができる。
【0072】
追加的又は代替的に、1つ以上の内層又は外層のミクロ構造は、耐摩耗性及び摩耗抵抗性を促進するように配向されうる。例えば、摩耗がソケット30に対して長手方向で遭遇する可能性が高い場合に、フィブリルミクロ構造を有するePTFEなどの延伸フルオロポリマーは、長手方向、すなわち摩耗又は摩擦の方向に配向されたフィブリルを有することができる。これは、一軸配向フィブリルミクロ構造の例において特に有利であることができる。さらに、比較的に密度の高い(例えば、多孔性の低い)ミクロ構造を使用して、ソケット30の内層又は外層の全体的な耐摩耗性及び摩耗抵抗性を向上させることができる。ソケット30の耐摩耗性及び摩耗抵抗性は、他の追加又は代替的な特徴によって促進されうる。例えば、耐摩耗性コーティングは、ソケット30の外面又は内面に適用されうる。1つのそのようなコーティングは、テトラフルオロエチレン(TFE)及びペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)のコポリマーであることができる。耐摩耗性/摩耗抵抗性コーティングの別の例として、ヒドロゲルコーティングなどの親水性及び/又は潤滑性材料を使用することができる。これらはほんの幾つかの例であり、他の耐摩耗性特徴は耐摩耗性又は摩耗抵抗性のミクロ構造に加えて又はその代わりに使用できる。
【0073】
少なくとも上述の観点から、様々な例は、組織の内部成長を促進するソケット30を形成する材料を含む(例えば、血栓形成を低減するために又は複数構成要素のインプラント可能なデバイス10を所望の移植位置に固定するのを支援するために)。さらに、幾つかの実施形態において、ソケット30を形成する材料は、フィブリル配向がソケット30の長手方向軸に実質的に平行な方向であるフィルムミクロ構造を含む。そのような構成は、複数の構成要素20(例えば、アンカー構成要素、テザー構成要素及び/又はテザーロック構成要素)のうちの1つ以上又はそれぞれの長手方向運動をフィブリル配向と整列させ、構成要素の摩擦及び/又は摩耗を低減するのを支援するのを確実に支援することができる。
【0074】
様々な例において、ソケット30は、ePTFEグラフト材料、エラストマー材料、他のポリマー材料又はそのような材料の組み合わせを含む材料セットから形成されうる。幾つかの実施形態において、ソケット30は、W.L. Gore & Associates, Inc.から「GORE-TEX」ブランド「Stretch Vascular Grafts」の商品名で入手可能なものと同様の材料などのePTFEストレッチグラフト材料から構築されている。ソケット30は、カラム強度を向上させるように(例えば、比較的に密度が高い又は多孔性が低い材料の1つ以上の層を含めることによって)変性された材料を含むことができる。ソケット30はまた、部分的又は完全に生体再吸収性又は生体吸収性である材料を含むことができる。そのような例において、ソケット30は、時間とともに部分的又は完全に分解する一時的な固定(例えば、構成要素間及び/又は体との)を提供するように構成されうる。
【0075】
幾つかの実施形態において、ソケット30は、移植後の生体適合性及び線維形成を向上させるように適合された材料のメッシュ又はネットワークとして構成された1つ以上の層を含む。そのようなメッシュ又はネットワークは、材料のストランドを交差させることによって、又は、材料の層に断続的なボイド又は開口部を形成することによって形成することができる。そのようなメッシュ又はネットワーク構成は、メッシュ又はネットワーク表面上及び/又はメッシュ又はネットワーク表面を通した組織成長を促進するように実装されうる。幾つかの例において、組織成長は、比較的に粗い及び/又は多孔性の外面及び/又は内面をソケット30に組み込むことによって促進されうる。所望ならば、1つ以上の穴をソケット材料中に又はソケット材料を通して形成することができ、それは(例えば、組織への強い固定を促進するための)瘢痕組織線維細胞の形成を促進することができる。
【0076】
インプラント可能なデバイス10の他の構成要素は、それらの構成要素の耐摩耗性又は摩耗抵抗性を向上させるために同様の特徴を使用しうることを理解されたい。例えば、上述のように、第二の構成要素24は、比較的に可撓性の長尺材料(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、編組物又は他の材料)から形成されたテザー構成要素として構成されうる。ソケット30に対して長手方向に摩耗が発生する可能性が高い場合に、フィブリルミクロ構造を有するePTFEなどの延伸フルオロポリマーは、長手方向、すなわち摩耗又は摩擦の方向に配向されたフィブリルを有することができる。ここでも、これは、一軸配向のフィブリルミクロ構造の例において特に有利であることができる。ここでも、比較的に密度の高い(例えば、多孔性の低い)ミクロ構造を使用して(例えば、比較的に密度の高いePTFE又は延伸(フルオロ)ポリマー)、第二の構成要素24の全体的な耐摩耗性及び摩耗抵抗性を向上させることができる。
【0077】
ソケット30と同様に、耐摩耗性及び摩耗抵抗性はまた、他の追加又は代替の特徴を介して促進されうる。例えば、耐摩耗性コーティングを第二の構成要素24に適用することができる。1つのそのようなコーティングは、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)とのコポリマーであることができる。耐摩耗性/摩耗抵抗性コーティングの別の例として、ヒドロゲルコーティングなどの親水性及び/又は潤滑性材料を使用することができる。ここでも、これらはほんの幾つかの例であり、他の耐摩耗性特徴は耐摩耗性又は摩耗抵抗性ミクロ構造に加えて又はその代わりに使用できる。同様の原理が、第四の構成要素28などのインプラント可能なデバイス10の他の構成要素に適用されうることも理解されたい。
【0078】
幾つかの例において、ソケット30の1つ以上の層は、所望の透過性を有する材料から形成されうる。例えば、幾つかの例において、ソケットは、細胞統合に対して不透過性であるか、又は、血液又は血清などの体液に対して不透過性であり、全体的な機械的特性及び/又は生物学的応答を所望に応じて改善する1つ以上の層を含む。
【0079】
幾つかの例において、最外層は、6マイクロメートル以上のノード間距離又は間隔を有することができる。
【0080】
幾つかの例において、最外層又は露出面層は、生物学的又は異物反応の範囲内で1つ以上の段階を達成するように構成されうる。
【0081】
異物反応の第一の段階(例えば、第一の相対的な材料の多孔性で)は、血漿及び血清に対する不透過性を含むであろう。
【0082】
異物反応の第二の段階(例えば、第二の相対的な材料の多孔性で)は、露出面への血漿及び/又は血清の浸潤を含むであろう。
【0083】
異物反応の第三の段階(例えば、第三の、より高い相対的な材料の多孔性で)は、最小レベル又は幾らかのレベルの細胞外マトリックス統合を含むであろう。
【0084】
異物反応の第四の段階(例えば、第四の、さらに高い相対的な材料の多孔性で)は、細胞の統合を含むであろう。
【0085】
異物反応の第五の段階(例えば、第五の最も高い相対的な材料の多孔性で)は、完全な組織の内部成長及び組織に供給する血管を含む血管統合を含むであろう。最外又は露出面は、例えば、材料のミクロ構造、コーティング及び/又は表面処理を選択することによって、所望に応じて異物反応のこれらの相対的な段階を示すように調整することができる。
【0086】
材料が異物反応の特定の段階を示しているかどうかの評価は、様々な技術を使用して行うことができる。異物反応の1つ以上の段階の存在を評価するための測定技術は、ASTM規格に従って記載されているような透過性試験を含むことができる。様々な例において、組織学的評価は、上述の様々な段階の下で異物反応を評価するための適切なツールであることができる。
【0087】
最外層又は表面の異物反応は、コーティング及び/又は表面処理の使用を通じて、追加的又は代替的に調整することができる。例えば、最外層は、ヘパリン結合で処理することができる(例えば、W.L. Gore & Associates, Inc.及びCarmeda ABによって商品名「CBAS」で販売されているものを含み、持続的な血栓抵抗性のためのヘパリン結合技術である)。別の例として、ソケット30は、薬物溶出技術などの1つ以上の溶出技術を含むように調整することができる。様々な生物学的コーティングのいずれかをソケット30の外面及び/又は内面上に含めることができ、例えば、治癒及び/又は組織成長の促進を含む、所望の生物学的応答を達成することができる。
【0088】
上記したように、ソケット30及び上述の特徴及びその例のいずれかは、様々なデバイス環境で適用されうる。例えば、
図11は、幾つかの例によれば、ソケット30を利用する別のインプラント可能なデバイス410を示している。示されるように、インプラント可能なデバイス410は、第一の構成要素422、第二の構成要素424などの複数の構成要素420及び前記第一の構成要素422及び前記第二の構成要素424上に延在しているソケット30を含む。ソケット30は、ここでも、一般に、インプラント可能なデバイスの構成要素間及び/又は環境間の相互作用を向上させるように構成されている。下にある構成要素の図解及び視覚化を容易にするために、ソケット30は、ここでも、破線で示される透視様式で一般的に示されている。
【0089】
図11の例におけるインプラント可能なデバイス410は、患者(図示せず)の体内に移植するように構成された左心室補助デバイス(LVAD)などのインプラント可能な血液ポンプである。示されるように、第一の構成要素422は、場合により、ポンプ装置であり、第二の構成要素424は、(例えば、ポンプ装置に電力供給するか又は制御するために)第一の構成要素422から延在しているリード(例えば、電気的又は機械的コネクタ)である。第一の構成要素422は、本体440と、該本体440によって収容又は維持されるインペラ及びモータサブアセンブリ442とを含む。インプラント可能なデバイス410は、
図11に一般的に示されており、ソケット30の使用から利益を得るであろう様々な構成要素のいずれかを備えた様々な血液ポンプ設計のいずれかであることができる。示されるように、ソケット30は、(例えば、第一の構成要素422と第二の構成要素424との間の境界面での所望されない屈曲又は運動を回避するために)第一の構成要素422に対する第二の構成要素424の物理的な位置を維持することを支援することができる。ソケット30は、本明細書に記載の他の例のいずれかに関連して言及された環境間相互作用(例えば、不透過性、血栓形成の減少、組織内部成長、組織内部成長の防止及びそれらの組み合わせ又は他のもの)のいずれかを追加的又は代替的に促進することができる。
【0090】
上述の例のいずれかのインプラント可能なデバイスを使用する様々な治療方法は、インプラント可能なデバイスを患者の体のある位置に(例えば、患者の心臓に)デリバリーすることを含む。様々な例において、別の構成要素(例えば、第三の構成要素26)は、インビボでソケット30に受け入れられる(例えば、経カテーテル僧帽弁腱索修復法に関連する張力又は他のプロセスの一部としてソケット30内にスライドさせることによって)。
【0091】
上記の様々な例は、インプラント可能なデバイスの関係でキャストされているが、上記の様々な概念及び特徴はまた、所望に応じて、単一構成要素の関係で適用されうる。疑義を避けるために、本発明の範囲は、複数構成要素のインプラント可能なデバイスに限定されない。具体的には、幾つかの例において、ソケット30は、単一構成要素に関連して実装されることができ、追加の個別構成要素を受け入れるように構成され及び/又は実際に受け入れる必要はない。例えば、ソケット30は、半径方向のプロファイル変動を滑らかにする又は低減するのを支援するために使用することができる。外側プロファイルの周囲部分に対して突出する構成要素の横断方向要素は、例えば、血栓形成又は周囲組織への損傷をもたらすことができる。
【0092】
図12は、第一の構成要素に沿った第一の半径方向の変動を画定する第一の外側プロファイルを有する第一の構成要素522を含むインプラント可能なデバイス510を示している。第一の構成要素522はまた、横断方向に突出し、第一の外側プロファイルの一部及び第一の外側プロファイルの関連する半径方向の変動を画定する、第一の構成要素(例えば、一体型アンカー、アンテナ又は他の特徴)に一体である任意要素の半径方向突出部524を含む。第一の構成要素522は、所望に応じて、インプラント可能なセンサ、血液ポンプ又は他のデバイスであることができる。示されるように、インプラント可能なデバイス510は、第一の構成要素の第一の外側プロファイル524上に延在するソケット30を含み、第一の半径方向変動に比べて低減された第二の半径方向変動を有する第二の外側プロファイルを画定する。言い換えれば、任意要素の半径方向突起部524を含む第一の構成要素の外側プロファイル524は、ソケット30によって滑らかにされており、その結果、第一の外側プロファイルの半径方向変動は低減される。他の例と同様に、ソケット30は、場合により、可能な異物反応の範囲内で異物反応の1つ以上の段階を示すように構成された1つ以上の外側露出面を含む。
【0093】
本出願の発明の概念は、一般的及び特定の実施形態/実施例の両方に関して上記で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
【国際調査報告】