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特表2022-515411産業炉を燃焼させるためのペレットの調製プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】産業炉を燃焼させるためのペレットの調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/40 20060101AFI20220210BHJP
   B09B 3/20 20220101ALI20220210BHJP
   B02C 13/04 20060101ALI20220210BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
C10L5/40 ZAB
B09B3/00 301W
B02C13/04
B29B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536324
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019085939
(87)【国際公開番号】W WO2020127473
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】2022251
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2024064
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268646
【氏名又は名称】サブコール・インターナショナル・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェニッセン,ラルス
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
4F401
4H015
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004BA03
4D004CA04
4D004CA07
4D004CA14
4D004CB13
4D004DA03
4D065AA01
4D065EB11
4D065EB14
4D065EE02
4F401AA02
4F401BA01
4F401CA18
4F401CA79
4F401CA82
4H015AA01
4H015AA06
4H015AA12
4H015AA16
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB05
4H015BB06
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、産業炉を燃焼させるのに好適な自由流動性粉末を提供することができるペレットを、都市廃棄物および/または他の廃棄物から生成するための方法であって、そのプロセスは、(i)廃棄物の総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料、および廃棄物の総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含む廃棄物材料を提供するステップであって、廃棄物が、80%超が5mmより大きく、95%超が60mmより小さい粒径分布を有する、ステップと、(ii)4~16mmの穴および2超の長さ比を有するペレタイザーに廃棄物材料を通して、4~10mmの穴および2超の長さ比を有する第2のペレタイザーにペレットを通して、4~10mmの直径および3~50mmの長さを有するペレットを提供するステップと、を含む、方法に関する。本発明はまた、有利な特性が得られ、かつそれを有するペレットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業炉を燃焼させるのに好適な自由流動性粉末を提供することができるペレットを、都市廃棄物および/または他の廃棄物から生成するための方法であって、そのプロセスが、(i)前記廃棄物の総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料、および前記廃棄物の総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含む廃棄物材料を提供するステップであって、前記廃棄物が、80%超が5mmより大きく、95%超が60mmより小さい粒径分布を有する、ステップと、(ii)4~16mmの穴および2超の長さ比を有するペレタイザーに前記廃棄物材料を通して、4~10mmの穴および2超の長さ比を有する第2のペレタイザーにペレットを通して、4~10mmの直径および3~50mmの長さを有するペレットを提供するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法で得ることが可能な、好ましくは請求項1に記載の方法で得られる、ペレット。
【請求項3】
以下の特性:
a.直径4~10mmの直径
b.前記廃棄物材料を2度ペレット化することによって得られる、または得ることが可能な実質的に均質に溶融したプラスチックを含む、および
c.ハンマーミルで粉砕すると、得られる粉末が良好な流動特性を有する、を備える、ペレット。
【請求項4】
前記ペレットが、8~40kgfのカール硬度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項5】
前記ペレットが、470g/L以上のかさ密度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項6】
ハンマーミルで粉砕された後の前記ペレットが、220g/L以上のかさ密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項7】
前記ペレットのカロリー量(LCV)が、約19~28GJ/トンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項8】
前記ペレットの水素含有量が、乾燥重量ペレットの7~8重量%の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項9】
前記ペレットの酸素含有量が、乾燥重量ペレットの20~30重量%の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項10】
前記ペレットが、
-前記ペレットの総乾燥重量に基づいて、40~70重量%の量の1つ以上の熱可塑性材料と、
-前記ペレットの総乾燥重量に基づいて、30~50重量%超の1つ以上のセルロース材料と、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項11】
前記ペレットが、6~10mmの直径および4~40mmの長さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法またはペレット。
【請求項12】
好ましくは25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するように、粒子に粉砕された後の産業炉用燃料としての、請求項2~11のいずれか一項に記載のペレットの使用。
【請求項13】
産業炉を燃焼させるプロセスであって、
請求項2~11のいずれか一項に記載のペレットを提供するステップと、
ミルで前記ペレットを粉砕して、好ましくは、25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するような粒径を達成するステップと、
粉末状の前記燃料を前記炉の火炎に送り込むステップと、を含み、
前記燃料が、前記炉のエネルギー要件の70%超、好ましくは前記炉のエネルギー要件の90%超を提供する量で使用される、プロセス。
【請求項14】
前記産業炉が、発電するためのプロセスで使用される、請求項12または13に記載の使用またはプロセス。
【請求項15】
前記ペレットが、ハンマーミルで粉砕される、請求項12~14のいずれか一項に記載の使用またはプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物材料からペレットを調製するためのプロセス、該プロセスで得ることが可能なペレット、および産業炉を燃焼させるためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
産業炉を燃焼させるためのプロセスは、例えば発電に使用されるプロセスである。発電するための炉は、現在使用されている最も要求が厳しく、かつ効率的な炉である。高いプロセス安定性を必要とする他の産業炉は、鉄鋼生産の高炉ならびにセメントおよび石灰窯である。
【0003】
炉は、一般に、粉末状の(微粉)炭、石油、またはガスが供給される。燃料は、一般に、多くのバーナー、ランス(または羽口)を通して供給される。炉が発電するために使用される場合、燃焼の熱は、タービンを駆動するために使用される蒸気を生成するために使用される。
【0004】
注入できる微粉炭の量は、石炭およびコークスの品質、炉の形状、ならびに操作慣行に依存する。さらに、微粉炭は、かさ密度が低く、貯蔵特性が悪い。そのため、石炭は、使用直前に微粉化される。微粉炭の主な欠点は、それが再生不可能な供給源からのものであり、したがってかなりのCO2排出を引き起こすという事実である。
【0005】
CO2排出の負担を軽減するために、代替燃料が提案されており、ある程度使用されてもいる。そのような代替燃料は、シームレスな処理でのその使用を可能にする必要がある。代替燃料は、製粉の前後に輸送可能でなければならない。さらに、代替燃料は、火炎中での注入を可能にする必要があり、良好な燃焼特徴(完全に燃焼する時間、ホットスポットで実質上完全に燃焼する時間)を示す必要がある。
【0006】
ハイエンド産業炉に使用することが提案されている代替燃料は、プラスチックペレット、混合プラスチック/バイオマスペレット、木質ペレット、下水汚泥ペレットなどである。
【0007】
プラスチックのみの廃棄物を使用する利点の1つは、一般に、プラスチック廃棄物の熱伝導率が低く、エネルギー含有量が高いことである。プラスチックのみの廃棄物を使用することの欠点は、例えば、家庭廃棄物、アーバン廃棄物、または都市廃棄物に由来するそのような混合物が、(リサイクルされた)プラスチック製品を作製するために使用することができる比較的価値のある製品であるということである。さらなる欠点は、高いカロリー量にもかかわらず、廃プラスチックペレットを好適な粒径分布が得られるように処理することが困難であることである。製粉は、極低温製粉が必要となる程度まで、プラスチックの温度上昇、ゴム状の挙動を引き起こす。しかしながら、極低温製粉は、費用がかかり過ぎる。
【0008】
代替燃料の炉への送達は、廃棄物材料の性質および供給される炉のタイプに応じて、変動し得る。炉技術で代替燃料を直接使用する方法はいくつか存在する。そのような技術には、ランスを介してまたはランスのレベルで粉末代替燃料を注入することによる直接使用、WO2015/155193に記載されているようにペレットを石炭と共粉砕すること、または混合物を炉に注入する前に石炭と粉末代替燃料とを混合することが含まれる。
【0009】
炉中で直接使用される代替燃料には、粉塵形成、粉末の輸送などのような処理に伴う問題がある。好ましくは、そのような燃料は、家庭廃棄物、アーバン廃棄物、または都市廃棄物の選択された廃棄物画分から作製される。しかしながら、そのような廃棄物画分は、ペレットが作製される非常に異種な材料を表す。しかし、産業炉は、スムーズに操作できるようにするために比較的均質な材料を必要とする。
【0010】
したがって、これらの代替燃料は、実際には、ハイエンド炉中の化石燃料を部分的に置き換えるためにのみ使用される。一般的に、実際には代替燃料の量は、30%未満であるが、いずれの場合も粉末炭に対して50%未満である。粉末炭は、比較的均質な材料であり、石炭のかなりのベースロードは、ごみ由来のペレット材料における変動を減衰させる。
【0011】
US2010/116181は、プラスチックの量が比較的少ない(40重量%未満)プラスチック/セルロース材料のペレット化について説明しており、これは、WO2008/107042によれば、粉末炭と組み合わせて二次燃料として使用することができる、大部分が2mm未満の粒子に製粉することができる。プラスチックの量が少ない二次燃料は、燃焼値が比較的低く、これは、そのような燃料が石炭を完全に置き換える必要がある場合には不利である。
【0012】
EP1083212Aは、粉末炭と組み合わせて二次燃料として使用することができるプラスチックおよびセルロース材料のペレットの調製について説明している。
【0013】
したがって、石炭を完全に置き換えるためにさえ、産業炉、特に発電するための産業炉に供給されるのに好適であるような代替燃料を生成することができるプロセスが現場で必要とされている。
【0014】
さらに、粉末の確実な輸送など、取り扱い特性が改善された代替燃料を生成することができるプロセスが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2015/155193号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/116181号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/107042号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1083212号明細書
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、発電するための最新の設備で使用されるハイエンド産業炉で化石燃料を完全に確実に置き換えるために使用することができるプラスチックおよびバイオマス(セルロース繊維)を含むペレットを作製するプロセスを提供することである。
【0017】
さらなる目的は、取り扱い特性が改善された代替燃料でハイエンド産業炉を確実に運転するためのプロセスを提供することである。
【0018】
第1の態様では、本発明は、産業炉を燃焼させるのに好適な自由流動性粉末を提供することができるペレットを、都市廃棄物および/または他の廃棄物から生成する方法であって、このプロセスは、(i)廃棄物の総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料、および廃棄物の総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含む廃棄物材料を提供するステップであって、廃棄物が、80%超が5mmより大きく、かつ95%超が60mmより小さい粒径分布を有する、ステップと、(ii)4~16mm、好ましくは6~16mmの穴および2超の長さ比を有するペレタイザーに廃棄物材料を通して、4~10mmの穴および2超の長さ比を有する第2のペレタイザーにペレットを通して、4~10mmの直径および3~50mmの長さを有するペレットを提供するステップと、を含む、方法に関する。
【0019】
第1の態様のプロセスで得られたペレットは、良好な流動特性を示す粉末が得られるようにハンマーミルで製粉することができる。好ましくは、粉末の25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有する。
【0020】
これらのペレットは、予期せぬことに、発電所で使用される炉などのハイエンド産業炉中の粉末炭を完全に置き換えることを可能にする。したがって、本発明はまた、2度のペレット化によって得られる特定の特性を有するペレットに関する。
【0021】
本発明の一実施形態では、ペレットは、本発明のプロセスによって得ることが可能であるが、好ましくは、2つのペレット化ステップを含むプロセスで得られる。
【0022】
ペレットは、好ましくは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
-直径4~10mmの直径
-8~40kgfのカール硬度
-廃棄物材料を2度ペレット化することによって得られる、または得ることが可能な実質的に均質に溶融したプラスチックを含む
-および/または470g/L以上のかさ密度
【0023】
より好ましくは、本発明のペレットは、以下の特性の組み合わせを有する:
-4~10mmの直径
-乾燥廃棄物と比較して、40重量%超のプラスチック材料および30重量%超のセルロース材料を含む
-470g/L以上、好ましくは約500g/L以上、より好ましくは550g/L以上のかさ密度
-220g/L以上の密度を有する粉砕材料を得るために、以下に定義するようにハンマーミルでペレットを製粉することで分析できるように、実質的に均質に溶融したプラスチックを含む。
【0024】
ペレットは、例えば、6.4mmのスクリーンおよび108m/sの先端速度を有するハンマーミル(カリフォルニアペレットミルなど、11.5x28)で効果的に粉砕することができる。2度ペレット化された材料から得られる粒子は、1度ペレット化された材料から生じる粒子よりもはるかにより良い流動特性を有する。そのような条件で1度ペレット化された材料は、効果的に粉砕するには高過ぎるエネルギー入力を必要とする。
【0025】
2度ペレット化されたペレットは、ハンマーミルで粉砕された場合、比較的低く、好ましくは実質上プラスチックフィルムまたは繊維状材料の断片を含有しない。これは、良好な流動特性を達成するために重要であるため、これは有利であるそのような理論に拘束されることなく、この改善された製粉挙動は、繊維材料をさらに含浸させた溶融プラスチックによって引き起こされると考えられる。
【0026】
本発明のさらなる態様では、本発明による産業炉を燃焼させるプロセスは、(i)(a)廃棄物の総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料、および廃棄物の総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含む廃棄物材料を提供することであって、廃棄物が、80%超が5mmより大きく、95%超が60mmより小さい粒径分布を有する、提供すること、(b)4~16mm、好ましくは6~16mmの穴および2超の長さ比を有するペレタイザーに廃棄物材料を通すこと、ならびに(c)4~10mmの穴および2超の長さ比を有する第2のペレタイザーにペレットを通すこと、によって調製されるか、またはそれらによって得ることが可能なペレットを提供するステップと、(ii)25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するようにミルでペレットを製粉するステップと、(iii)粉末状燃料を炉の火炎に送り込むステップであって、燃料が、該炉のエネルギー要件の70%超を提供する量で使用される、ステップと、を含む。
【0027】
本発明による粉末状燃料は、好ましくは、該炉のエネルギー要件の約90%以上の量で使用され、さらにより好ましくは、実質的にすべての(al)エネルギー要件が、本発明による粉末状燃料によって得られる。
【0028】
本発明のさらなる態様では、ペレットの総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料およびペレットの総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含むペレットの使用であって、ペレットが、4~16mm、好ましくは6~16mmの穴および2超の長さ比を有するペレタイザーに該プラスチックおよびセルロース材料を含む廃棄物材料を通し、4~10mmの穴および2超の長さ比(length ration)を有する第2のペレタイザーにペレットを通すことによって生成または生成可能であり、好ましくは25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するように粉砕した後、産業炉用の燃料としての、使用に関する。
【0029】
2度のペレット化プロセスの後に得られたペレットは、通常のペレットよりも有利な特性を有し、そのようなさらなる処理ステップが、石炭を完全に置き換えるためにさえ最も要求の厳しいプロセスのうちの1つで使用することができるペレットにつながることは予想外であった。
【0030】
2度ペレット化されたペレットは、例えばハンマーミルなどの標準的な設備で粉砕することにより、非常に良好な流動性および走行性を有する粉末に変換することができる。それにより、1度ペレット化された材料と比較して、改善されたバルク、輸送、およびより良い投薬特性が達成される。
【0031】
ペレットは、非常に高い冷間圧壊強度を有するため、ストックハウスでの微粉の発生はごくわずかであり、輸送中の崩壊に対する良好な耐性をもたらす。
【0032】
したがって、本発明のプロセスによって得ることが可能なペレットは、産業炉を燃焼させるのに有利に使用することができる多くの新しい特性を有する。
【0033】
本発明のさらなる恩恵および利点は、添付の図面を適切に参照して詳細な説明で明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
第1の態様では、本発明は、産業炉を燃焼させるのに好適な自由流動性粉末を提供することができるペレットを、都市廃棄物および/または他の廃棄物から生成する方法であって、このプロセスは、(i)廃棄物の総乾燥重量に基づいて、40%超の1つ以上の熱可塑性材料、および廃棄物の総乾燥重量に基づいて、30%超の1つ以上のセルロース材料を含む廃棄物材料を提供するステップであって、廃棄物が、80%超が5mmより大きく、95%超が60mmより小さい粒径分布を有する、ステップと、(ii)4~16mm、好ましくは6~16mmの穴および2超の長さ比(length ration)を有するペレタイザーに廃棄物材料を通して、4~10mmの穴および2超の長さ比を有する第2のペレタイザーにペレットを通して、4~10mmの直径および3~50mmの長さを有するペレットを提供するステップと、を含む、方法に関する。
【0035】
ペレタイザーのダイは、好ましくは円筒形のダイであるが、平らなダイが知られており、同様に使用することができる。また、第1の平らなダイおよび第2の円筒形のダイ、または第1の円筒形のダイおよび第2の平らなダイを使用することができる。
【0036】
「熱可塑性材料」という用語は、熱可塑性ポリマーを意味する。本発明のペレットの調製に使用される廃棄物材料は、少なくとも40%の熱可塑性材料、好ましくは少なくとも45重量%または少なくとも50重量%の熱可塑性材料、例えば約55重量%または約60重量%の熱可塑性材料を含む。
【0037】
一般的に、ペレット中のプラスチック材料の量は、約80%以下、好ましくは70%以下である。したがって、好適な範囲は、40~80重量%のプラスチック、または最も好ましくは50~70重量%のプラスチックを含む。
【0038】
本明細書で使用される熱可塑性ポリマーの例は、US2010/0116181に記載されている。典型的には、熱可塑性材料または成分は、パッキング材料または任意のタイプのプラスチック廃棄物であり得る。
【0039】
好ましくは、熱可塑性材料の少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも60重量%は、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーである。
【0040】
本発明で使用される「セルロース材料」という用語は、例えば、紙、カートン、木材、段ボール、綿、レーヨンおよび/またはビスコースなどの繊維に関する。本発明で使用される廃棄物材料は、少なくとも30重量%のセルロース材料、好ましくは35重量%以上のセルロース材料を含む。一般的に、セルロース材料の量は、ペレットの総乾燥重量に基づいて、約60重量%以下、好ましくは約50重量%以下のセルロース材料である。好適な範囲には、30~60重量%のセルロース材料、好ましくは30~50重量%のセルロース材料が含まれる。セルロース材料は、バイオマスとしても表すことができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ペレット」または「ペレット(複数可)」という用語は、1つ以上の熱可塑性材料および1つ以上のセルロース材料を含む本発明のペレットを指す場合に使用される。ペレットは、不均質性の程度によって制限されない。本発明のペレットは、2度ペレット化することができる市販のSubcoal(登録商標)ペレットであり得る。
【0042】
ペレットを作製するための好適なプロセスは、例えば、US6635093に記載されているように、当技術分野に記載されている。しかしながら、(溶融)プラスチックおよびセルロース材料に関して十分に均質なペレットを得るために、ペレットは、2度ペレット化されるべきであることに留意されたい。それにもかかわらず、本発明のペレットの必要な最終特性を知ることにより、特別なダイまたは他のプロセスを使用することによってそのような特性を得ることが可能である場合がある。
【0043】
ペレットは、一般に、4~10mm、好ましくは6~10mmの範囲内の均一なサイズ範囲(直径)を有する。ペレットの長さは、一般に、3~50mm、好ましくは4~40mm、さらにより好ましくは5~30mmである。
【0044】
ペレットは、ごみまたは紙のリサイクルプラントなどから廃プラスチックおよびバイオマスを選択することによって生成することができる。プラスチックとセルロース材料との必要な混合を達成するために、異なる選択された廃棄物の流れを組み合わせて使用することが可能である。原料は、好ましくは、最大寸法が5cm以下のサイズ、好ましくは4cm以下のサイズに細断される。さらなる実施形態では、原料は、約3.5cm以下、好ましくは約2.5cmのサイズに細断される。
【0045】
好ましくは、廃棄物は、80%超が5mmよりも大きく、95%超が60mmよりも小さい粒径分布を有する。好ましくは、90%超は、40mmよりも小さい。さらに好ましい実施形態では、廃棄物は、約20重量%以上が30mm超のサイズを有するような粒径を有する。
【0046】
材料は、約2~15重量%、好ましくは5~15重量%、より好ましくは10重量%未満の水分含有量まで乾燥することができ、材料は、適切な穴を有するダイを通して加圧される。乾燥は、好ましくは、細断後に行われる。
【0047】
ダイの穴は、約4~20mmの直径、および2~20、好ましくは少なくとも4のアスペクト比を有することができる。好ましい寸法は、第1のペレット化装置については4~16mm、より好ましくは6~16mmの直径であり、第2のペレット化装置については6~10mmの直径である。アスペクト比または長さ比(これらのフレーズは、同じ意味で使用される)は、少なくとも2である。これは、ダイの厚さ(材料がダイを通過する経路の長さを定義する)が穴の直径の少なくとも2倍である。アスペクト比(長さを直径で割ったもの、または長さ比)は、好ましくは約4~15、より好ましくは約6~12である。
【0048】
第1および第2のペレット化装置における穴は、同じであっても異なっていてもよく、第1のペレット化装置における穴は、同じ直径またはそれよりも大きい。別の実施形態では、第1のペレタイザーにおける穴は、第2のペレタイザーにおける穴よりも小さい。
【0049】
2つのペレット化ステップにより、繊維状またはフィルム状の材料を含浸させるプラスチックの効果的な溶融が可能になり、粉砕性の改善に役立つ。第1のペレット化ステップ中、材料は、一般に100℃以下または約100℃、好ましくは70~90℃まで加熱され、これにより原料の剪断および粉砕が可能になる。第2のペレット化ステップ中、ペレットの温度は、好ましくは約100℃以上、好ましくは約105℃以上まで上昇し、最大約120℃まで上昇し得る。第2のペレット化ステップ中の温度は、一般に、第1のペレット化ステップよりも、約5℃以上、好ましくは約10℃以上、例えば最大20℃または30℃高くなる。第2のペレット化ステップでのこの比較的高い温度により、プラスチックのさらなる溶融が可能である。改善された溶融および含浸ペレットは、かなり高いかさ密度を示し、従来技術のペレットと比較的容易に区別することができる。
【0050】
任意の燃料の発熱量またはカロリー量またはカロリー発熱量は、燃料が完全に燃焼したときに燃料の単位質量または単位体積あたりに放出されるエネルギーである。量は、すべての燃焼生成物を元の燃焼前温度に戻し、特に生成された任意の蒸気を凝縮することによって決定される。つまり、その指定量の完全燃焼中に放出される熱量である。
【0051】
熱量測定は、より高い発熱量(HHV)を測定し、以下の手順を使用する。純粋な酸素を使用してサンプルを完全に燃焼させた後、二酸化炭素および水を生成する。水は、最初は蒸気として生成される。しかしながら、サンプル全体が燃焼すると(つまり、試験が完了すると)、水蒸気が凝縮する。この凝縮プロセスにより、追加の熱が放出される。技術的には、この追加の熱は、蒸気から液相への水の変換による潜熱である。サンプルの燃焼中に放出される熱と、水蒸気の液体への変換中に放出されるその後の熱との組み合わせは、得ることができる最大の熱を提供する。これは、高位カロリー量(HCV)または高位発熱量(HHV)として知られている。
【0052】
プロセスが、生成された水を蒸気状態に維持する場合、潜熱は、回収されない。これは、低位カロリー量(LCV)または低位発熱量(LHV)として知られている。LHVは、燃焼熱のみであり、水蒸気の凝縮中に放出される熱は含まれていない。LHVは、熱を電力またはエネルギーに変換するほとんどの燃焼システムの重要な測定値である。
【0053】
HHVおよびLHVは、COおよびHOへの燃料の完全燃焼のために有効である。
【0054】
ペレットのカロリー量(LCV)は、一般に約19~28GJ/トンであり、これは、一般に31~35GJ/トン(乾燥重量)のカロリー量を有する完全なプラスチック材料よりも低い。
【0055】
好ましくは、塩素のようなハロゲン元素は、1重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満の量でペレット中に存在する。この元素の高入力は、乾式および/または湿式ガス洗浄システムの腐食につながる場合があり、加えて上部ガススクラバーの排水による塩素放出につながる場合もある。
【0056】
ペレットの酸素含有量は、好ましくは、乾燥重量ペレットの20~30重量%の範囲である。
【0057】
ペレットの水素含有量は、好ましくは、乾燥重量ペレットの6~8重量%の範囲である。
【0058】
好ましくは、ペレットは、1~10重量%、より好ましくは約5重量%以下の水分を含み得る。水分量は、2%未満または1%未満であり得る。
【0059】
好ましくは、ペレットの強度は、約8kgf以上、より好ましくは約10kgf以上である。一般的に、強度は、約40kgf以下、多くの場合約25kgf以下である。しかしながら、例えば、最大70kgf以下、例えば、60kgf以下の強度を有する、さらに硬いペレットを有することは可能である。約30kgf以下の強度を有することが好ましい場合がある。
【0060】
硬度は、ハンブルクのAmandus Kahl GmbH&Co KGから入手可能なカールペレット硬度計で測定することができる。十分な強度には、ペレットが比較的高い密度を有することにより、効率的な輸送が可能であり、この強度が、輸送中に大量の微粉の形成を妨げるという利点がある。カールペレット硬さ試験機は、業界の標準的な試験方法のうちの1つである。
【0061】
本発明のプロセスで得られた、または得ることが可能なペレットは、粉末が良好な流動特性を示し、かつ好ましくは粉末の25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するように、ハンマーミルで製粉することができる。
【0062】
これらのペレットは、予想外に、ハイエンド産業炉で粉末炭を完全に置き換えることさえ可能にする。ペレットは、好ましくは、2度のペレット化によって得られる特定の特性のうちの1つ以上を有する。
【0063】
好ましい特性は、以下のうちの1つ以上を含む:
-直径4~10mmの直径
-8~40kgfのカール硬度
-廃棄物材料を2度ペレット化することによって得られた実質的に均質に溶融したプラスチック
-470g/L以上のかさ密度
【0064】
ペレットは、ハンマーミルで粉砕することができる(例えば、カリフォルニアペレットミルのように、6.4mmのスクリーンおよび108m/sの先端速度を有する11.5x28)。得られる粒子は、好ましくは、220g/L以上のかさ密度(タップ)を有する。
【0065】
ハンマーミルで粉砕した場合、ペレットは、プラスチックフィルムまたは繊維状のストランドを実質上ほとんど含有せず、これらが流動特性に有害になるであろうためである。
【0066】
ペレットは、3.15mm未満の比較的小さな粒子に粉砕される。一般に、3.15mmより大きい粒子の重量パーセントは、約15重量%以下、好ましくは約10重量%以下、さらにより好ましくは約7.5重量%以下である。より好ましくは、95重量%超、より好ましくは98重量%超の粉砕材料は、3.15mmよりも小さい。しかし、粒子は、ほこりっぽくない。好ましくは、25重量%超が、2mmより大きく、より好ましくは30重量%超が、2mmよりも大きい。加えて、好ましくは約75重量%以上が1mmより大きい。
【0067】
一実施形態では、好ましくは、粉砕材料は、2~3.15mm、さらにより好ましくは、約40重量%以上のサイズを有する約30重量%の材料を含む。
【0068】
(タップ)かさ密度は、以下のように測定される:ある量のペレットが100mLシリンダー(直径2.5cm)に注がれ、グラム単位で存在するペレットの量を測定する。タッピングは、ビーカーを振動面(0.5mmの垂直振動、1分間に240回)に5分間置くことによって行われ、ペレットの量を測定する。タップ密度は、グラム量を測定量で割った量である。
【0069】
2度ペレット化することによって得られる、または得ることが可能なペレットは、より高いかさ密度を有する。1度ペレット化することによって得られるペレットは、一般に、460g/L未満のかさ密度を有する。本発明によるペレットは、一般に、470g/L以上、好ましくは480g/L以上のかさ密度を有する。一般的に、密度は、700g/L以下である。ペレットのかさ密度は、より好ましくは約500g/L以上であり、さらにより好ましくは約550g/L以上である。
【0070】
粉砕は、6.4mmのスクリーンおよび108m/sの先端速度を有するハンマーミル(カリフォルニアペレットミル、11.5x28)で試験され、製造業者の説明に従って使用される。
【0071】
粉砕ペレット(粒子状物質)のかさ密度(タップ)は、一般に220g/L以上、好ましくは230g/L以上である。これは、一般に、製粉後にかさ密度が多くの場合200g/L未満である従来技術の標準的なペレット化された材料とは対照的である。
【0072】
好ましくは、粉砕粒子の平均粒径は、2.5mm未満、好ましくは1mmより大きい。
【0073】
工業環境での粉砕は、一般に、ハンマーミル、ジェットミルなどのような好適なミルで行われる。好ましくは、ハンマーミルが使用される。
【0074】
そのような装置で単独でペレット化されたペレットを3mmより小さい粒径に粉砕すると、粒子ならびにかなりの量の小さなプラスチック綿毛材料(プラスチックフィルム部品および繊維材料)を有する材料が得られるようである。この綿毛材料は、流動および取り扱い特性に激しく悪影響を及ぼす。それにより、粒子の炉への輸送および送り込みの両方が妨害される。また、燃焼は安定しない。本発明によるペレットに対して粉砕を実行する場合、綿毛材料は実質上観察されない。
【0075】
本発明による産業炉を燃焼させるプロセスは、(i)上記のようにペレットを提供するステップと、(ii)好ましくは25~70重量%が、2~3.15mmの粒径を有するように、ミルでペレットを製粉するステップと、(iii)粉末状燃料を炉の火炎に送り込むステップであって、燃料が、該炉のエネルギー要件の70%超を提供する量で使用される、ステップと、を含む
【0076】
好ましくは、燃料は、該炉のエネルギー要件の80%超、より好ましくは90%超を提供する量で使用される。
【0077】
さらにより好ましい実施形態では、該ペレットは、発電における化石燃料の完全な代替物として提供される。
【0078】
本発明のさらなる態様では、本発明は、好ましくは粒子の25~70重量%が、2~3.15mmのサイズを有するように、粉砕後の産業炉用燃料としての上記のペレットの使用に関する。
【0079】
粒子は、約1200℃~約2500℃の範囲の断熱火炎温度および1280~2000Nm/kg*1000の範囲の風量で産業炉の軌道に吹き込まれる。温度は、一般に、産業炉のタイプに依存する。
【0080】
以下、本発明をより詳細に、具体的には実施例を参照して説明するが、本発明を限定することを意図しない。
【実施例
【0081】
実施例1~2および比較実験A
一連の試験は、約45%のプラスチック、約40%のバイオマス、約5%の他の材料、および約10%の水分を含むRDFを用いて実施した。
【0082】
第1および第2(該当する場合)のペレット化は、6mmの穴および70mmの長さ(アスペクト比11.7)を有するダイを通して行った。ダイ速度は、約200rpmであった。
【0083】
第1のペレット化ステップ後に得られたペレットは、460g/Lのかさ密度を有したが、2度ペレット化されたペレットは、508g/Lのかさ密度を有した。以下の試験を行った。
【0084】
シングルペレット化された
【数1】
のペレットを粉砕して比較する:
-96Hzの速度で
【数2】
の穴スクリーンを有するハンマーミルスクリーンを用いる。
この速度では(高いエネルギー消費量から結論付けることができるように)問題が発生したため、より低い先端速度でも試験することは有用ではなかった。
【0085】
ダブルペレット化された
【数3】
のペレットを粉砕して比較する:
-48Hzの速度で
【数4】
の穴スクリーンを有するハンマーミルスクリーンを用いる。
-96Hzの速度で
【数5】
の穴スクリーンを有するハンマーミルスクリーンを用いる。
【0086】
スクリーン、消費電力、および速度は、かさ密度とともに下の表に示す。
【表1】
【0087】
実施例1および2の生成物は、DIN18123:2011-04およびDIN-EN15149-1&-2:2011-01の方法に従って粒径分布について分析した。0.5mm、1mm、2mm、3.15mm、および>3.15mmに対するふるい分画では、以下の結果が得られた:
【表2】
【0088】
これらの結果から、シングルペレット化されたペレットの粉砕と比較(実験Aを2と比較)して、
【数6】
の穴を有するスクリーンを備えたハンマーミルでダブルペレット化されたペレットを粉砕すると、ペレットの量(kg)あたりのエネルギー消費量が減少したようである。
さらに、綿毛の代わりに粒子が生成され、かさ密度が約200から230に増加した(15%増加)。エネルギー消費量が少ないため、ダブルペレット化されたペレットを粉砕する場合により高い容量が可能である。
【0089】
実施例3
エネルギー含有量が23GJ/トンで、サイズが50mm未満に縮小された、選択された固形塵芥から、直径6mm、およびアスペクト比約11の穴を有するダイに対して2度ペレット化することによってペレットを調製した。
【0090】
ペレットは、625g/Lの密度を示し、第1のペレット化ステップ後に得られたペレットよりも実質的に暗く、より均質なテクスチャーを示した。
【0091】
製粉は、108m/sの先端速度および6.4mmのスクリーンを有するカリフォルニアハンマーミルで実行した。結果を次の表に示す。さらに、粉砕材料を手で振って3mmのスクリーンふるいの上でふるいにかけた。これにより、綿毛がスクリーン上に留まることが可能になった。綿毛の量は、非常に少なかった。
【表3】
【国際調査報告】