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特表2022-515428低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20220210BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L29/80 C
H01L21/28 301B
H01L29/58 Z
H01L29/44 S
H01L29/44 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536808
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2019126517
(87)【国際公開番号】W WO2020135207
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811585004.5
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502041886
【氏名又は名称】▲東▼南大学
【氏名又は名称原語表記】SOUTHEAST UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.2 Sipailou,Xuanwu Nanjing,Jiangsu 210096 China
(71)【出願人】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ スーヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ クイ
(72)【発明者】
【氏名】スン グイペン
(72)【発明者】
【氏名】ワン デジン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ジャーシン
(72)【発明者】
【氏名】ルー リー
(72)【発明者】
【氏名】スン ウェイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ルー シェンリ
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104CC03
4M104EE06
4M104FF06
4M104FF11
4M104GG11
4M104GG12
4M104GG18
5F102FA01
5F102GB04
5F102GC08
5F102GD01
5F102GD04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR06
5F102GS10
(57)【要約】
低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスが開示される。ヘテロ接合半導体デバイスは、金属ドレイン電極(1)と、基板(2)と、緩衝層(3)と、を備える。電流ブロック層(4)が、緩衝層(3)内に配列され、ゲート構造が、緩衝層(3)上に配列され、ゲート構造は、金属ゲート電極(10)と、GaNピラー(5)と、AlGaN層(6)と、を備えており、金属ソース電極(8)は、金属ゲート電極(10)上方に配列され、電流ブロック層(4)は、電流ブロック層の多数の段を備え、層の対称中心は、共線的であり、全ての段における電流ブロック層の環内開口は、最上部から底部まで次第により小さくなることにより、ピーク電界を有効に制限して、それをチャネルから離れたところに維持し、それでデバイスの耐圧性能を保証し、電流損失を低減する。AlGaN層(6)及びGaNピラー(5)は、緩衝層(3)上方にハニカム状に分布させられ、多数のチャネル電流が発生させられることにより、電流性能を有効に改善し、その結果、デバイスは、伝導中により高いオン状態電流を達成してもよく、デバイスのオン抵抗は、それで低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ドレイン電極(1)と、前記金属ドレイン電極(1)上に配設された基板(2)と、前記基板(2)上に配設された緩衝層(3)と、前記緩衝層(3)内部に配設された電流ブロック層(4)と、前記緩衝層(3)上に配設され金属ゲート電極(10)を備えるゲート構造と、前記金属ゲート電極(10)上方に配設された金属ソース電極(8)と、前記金属ゲート電極(10)と前記金属ソース電極(8)との間に配設された第1不活性化層(11a)と、前記金属ゲート電極(10)と前記緩衝層(3)との間に配設された第2不活性化層(11b)と、を備え、前記電流ブロック層(4)は、最上部から底部まで順に配列されている、第1段の環状電流ブロック層(4a)と、第2段の環状電流ブロック層(4b)と、第3段の環状電流ブロック層(4c)と、を備え、前記層のそれぞれの対称中心が共線的であり、前記第1段の環状電流ブロック層(4a)の環内開口が、前記第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口よりも大きく、前記第2段の環状電流ブロック層(4b)の前記環内開口は、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の環内開口よりも大きく、前記環内開口は、段毎により小さくなる傾向を表す、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項2】
前記ゲート構造は、前記緩衝層(3)の上面上に立設されているGaNピラー(5)と、前記GaNピラー(5)の側面上に巻かれたAlGaN層(6)と、を備え、垂直チャネル(7)が、互いに接触している前記GaNピラー(5)と前記AlGaN層(6)との間の界面に形成されており、前記金属ゲート電極(10)は、前記AlGaN層(6)の外側に位置し、前記金属ソース電極(8)は、前記GaNピラー(5)及び前記AlGaN層(6)の上面上に位置し、ショットキー接触が、前記金属ソース電極(8)と前記AlGaN層(6)との間に形成されている、請求項1に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項3】
前記電流ブロック層(4)は、第4段の環状電流ブロック層を更に備え、前記第4段の環状電流ブロック層の対称中心が、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の前記対称中心と共線的であり、前記第4段の環状電流ブロック層の環内開口が、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の前記環内開口よりも小さい、請求項1に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項4】
前記AlGaN層(6)の断面が正六角形形状であり、N型ドープGaNピラー(5)をその中に有する少なくとも4つのAlGaN層(6)が、前記緩衝層(3)の前記上面上に配設され、ハニカム形状に分布させられ配列されている、請求項2に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項5】
前記金属ゲート電極(10)の下面と前記緩衝層(3)の上面との間の垂直距離が、0.25μm~0.4μmであり、前記金属ゲート電極(10)の厚さが、0.2μmである、請求項1に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項6】
金属ドレイン電極(1)と、
前記金属ドレイン電極(1)上に配設された基板(2)と、
前記基板(2)上に配設された緩衝層(3)と、
前記緩衝層(3)内部に配設された電流ブロック層(4)と、
前記緩衝層(3)上に配設されたヘテロ接合構造と、
前記緩衝層(3)上に配設されたゲート構造と、
前記緩衝層(3)上に配設された金属ソース電極(8)と、を備え、
前記電流ブロック層(4)は、最上部から底部まで順に配列されている、第1段の環状電流ブロック層(4a)と、第2段の環状電流ブロック層(4b)と、第3段の環状電流ブロック層(4c)と、を備え、前記環状電流ブロック層のそれぞれの対称中心が共線的であり、前記第1段の環状電流ブロック層(4a)の環内開口が、前記第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口よりも大きく、前記第2段の環状電流ブロック層(4b)の前記環内開口は、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の環内開口よりも大きい、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項7】
前記ゲート構造は、
前記緩衝層(3)の上面上に立設されているGaNピラー(5)と、
前記GaNピラー(5)の側面上の、前記GaNピラー(5)を巻いているAlGaN層(6)であって、垂直チャネル(7)が、互いに接触している前記AlGaN層(6)と前記GaNピラー(5)の間の界面に形成されている、AlGaN層(6)と、
前記AlGaN層(6)の外側に配設された金属ゲート電極(10)と、
を更に備え、
前記金属ソース電極(8)は、前記金属ゲート電極(10)上方で、前記GaNピラー(5)及び前記AlGaN層(6)の上面上に位置し、ショットキー接触が、前記金属ソース電極(8)と前記AlGaN層(6)との間に形成されている、請求項6に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項8】
前記金属ゲート電極(10)と前記金属ソース電極(8)との間に配設された第1不活性化層(11a)と、
前記金属ゲート電極(10)と前記緩衝層(3)との間に配設された第2不活性化層(11b)と、
を更に備える、請求項7に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項9】
前記AlGaN層(6)の断面は、正六角形形状であり、GaNピラー(5)をその中に有する少なくとも4つのAlGaN層(6)が、前記緩衝層(3)の上面上に配設され、前記AlGaN層(6)のそれぞれは、ハニカム形状に分布させられ配列されている、請求項7に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項10】
前記GaNピラー(5)は、N型ドープGaNピラーである、請求項9に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項11】
前記GaNピラー(5)及び前記AlGaN層(6)は、前記緩衝層(3)上方にマトリクス状に配列されており、前記GaNピラー(5)及び前記AlGaN層(6)は、水平断面が長方形である、請求項7に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項12】
前記ゲート構造は、前記金属ゲート電極(10)と前記AlGaN層(6)との間に配設されたP型ドープGaNキャップ層(13)を更に備える、請求項7に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項13】
前記金属ゲート電極(10)の下面と前記緩衝層(3)の上面との間の垂直距離が、0.25μm~0.4μmであり、前記金属ゲート電極(10)の厚さが、0.2μmである、請求項7に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項14】
前記電流ブロック層(4)は、Mgイオン注入によって形成されている、請求項6に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【請求項15】
前記電流ブロック層(4)は、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)下方に位置する第4段の環状電流ブロック層を更に備え、前記第4段の環状電流ブロック層の対称中心が、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の前記対称中心と共線的であり、前記第4段の環状電流ブロック層の環内開口が、前記第3段の環状電流ブロック層(4c)の前記環内開口よりも小さい、請求項6に記載の低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して高電圧パワー半導体デバイスの分野に関し、より詳細には、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)は、第3世代のワイドバンドギャップ半導体の代表として、より高い逆耐圧性能、より高い2次元電子ガス濃度、より高い高温作動性能、より低い正方向オン抵抗、より高いスイッチング周波数、より高いパワー密度等を含む良好な電気特性を有する。ヘテロ接合半導体は、異なるバンドギャップ幅を有する2種類の半導体材料を接触させることによって形成されたヘテロ接合であり、電子が、より広いバンドギャップを有する半導体からより狭いバンドギャップを有する半導体まで流れることにより、量子井戸が、より狭いバンドギャップを有する半導体の側にある半導体の断面に形成される。ヘテロ接合半導体内の電子は、より広いバンドギャップを有する半導体内の不純物のクーロン散乱から受ける影響がより少ないことにより、ヘテロ接合半導体がより高い電子移動度を有する。AlGaN/GaNベースのヘテロ接合半導体が、半導体分野で広く用いられてきた。
【0003】
垂直ヘテロ接合半導体デバイスは、横方向ヘテロ接合半導体デバイスを上回る利点を有し、その理由は、垂直ヘテロ接合半導体デバイスが緩衝層にわたる電圧に耐えることができ、同時に、横方向ヘテロ接合半導体デバイスが、金属ゲート電極と金属ドレイン電極との間の活性領域に主に依存する電圧に耐えるからである。同じ耐圧性能の下では、垂直ヘテロ接合半導体デバイスは、横方向ヘテロ接合半導体デバイスよりも小さい横方向面積を占め、それが、半導体デバイスにおけるヘテロ接合半導体デバイスの開発を小型化及び集積の方向に加速化する。しかし、垂直ヘテロ接合半導体デバイスは、横方向ヘテロ接合半導体デバイスのようには高移動度2次元電子ガスを通るソース電極とドレイン電極との間の電流伝導を直接実現することができず、そして、電流は、緩衝層を通って流れなければならず、これがデバイスのオン抵抗を大いに増加させる。しかし、緩衝層の集中を増大させることは、デバイスの耐圧性能の減少という問題を生じさせる。そのため、垂直ヘテロ接合半導体デバイスの主要な問題は、比較的大きいオン抵抗が存在するということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題を考慮して、本開示は、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスを提案し、それは、デバイスの正方向伝導性能を有効に改善し、デバイスのオン抵抗を低減し、同時にデバイスのより高い逆方向耐圧値を維持する。
【0005】
本開示は、以下の技術的解決策を採用する。
【0006】
低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスが、金属ドレイン電極と、金属ドレイン電極上に配設された基板と、基板上に配設された緩衝層と、緩衝層内部に配設された電流ブロック層と、電流ブロック層上に配設され金属ゲート電極を含むゲート構造と、金属ゲート電極上方に配設された金属ソース電極と、金属ゲート電極と金属ソース電極との間に配設された第1不活性化層と、金属ゲート電極と緩衝層との間に配設された第2不活性化層と、を含む。電流ブロック層は、最上部から底部まで順に配列されている、第1段の環状電流ブロック層と、第2段の環状電流ブロック層と、第3段の環状電流ブロック層と、を含み、そして、層のそれぞれの対称中心が共線的である。第1段の環状電流ブロック層の環内開口は、第2段の環状電流ブロック層の環内開口よりも大きく、第2段の環状電流ブロック層の環内開口は、第3段の環状電流ブロック層の環内開口よりも大きく、段毎により小さくなる傾向を示す。
【0007】
低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスが、金属ドレイン電極(1)と、金属ドレイン電極(1)上に配設された基板(2)と、基板(2)上に配設された緩衝層(3)と、緩衝層(3)内部に配設された電流ブロック層(4)と、緩衝層(3)上に配設されたヘテロ接合構造と、緩衝層(3)上に配設されたゲート構造と、緩衝層(3)上に配設された金属ソース電極(8)と、を含む。
【0008】
この場合、電流ブロック層(4)は、最上部から底部まで順に配列される、第1段の環状電流ブロック層(4a)と、第2段の環状電流ブロック層(4b)と、第3段の環状電流ブロック層(4c)と、を含み、環状電流ブロック層のそれぞれの対称中心は、共線的である。第1段の環状電流ブロック層(4a)の環内開口は、第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口よりも大きく、第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口は、第3段の環状電流ブロック層(4c)の環内開口よりも大きい。
【0009】
本開示の1つ又は複数の実施形態についての詳細が、以下の添付図面及び説明に記述される。本開示の別の特徴、目的、及び利点が、説明、添付図面、及びクレームから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書で開示された発明についての実施形態及び/又は例をよりよく説明及び例示するために、1つ又は複数の添付図面に参照がなされてもよい。添付図面を説明するために用いられる追加の詳細又は例は、開示された発明、後に説明される実施形態及び/又は例、並びに後に理解される本発明の好ましいモードの範囲を限定するように解釈されてはならない。
図1】例示的な垂直ヘテロ接合半導体デバイスの正面断面図である。
図2】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての斜視図である。
図3】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスの簡略斜視図であり、図中、本デバイスの不活性化層及び金属ソース電極の部分が示されていない。
図4】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての簡略正面部分斜視図であり、図中、本デバイスの不活性化層及び金属ソース電極の部分が示されていない。
図5】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての正面断面図である。
図6】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての水平断面図であり、図中、デバイスの不活性化層及び金属ソース電極の部分が示されていない。
図7】実施形態1における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスの緩衝層内の電流ブロック層部分についての水平断面図である。
図8】ゲート構造がマトリクス状に配列されている実施形態2における低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての正面断面図であり、図中、デバイスの不活性化層及び金属ソース電極の部分が示されていない。
図9】実施形態3におけるP型ゲートを含む低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての簡略正面部分斜視図であり、図中、デバイスの不活性化層及び金属ソース電極の部分が示されていない。
図10図9に示す低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスについての正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示についての理解を容易にするために、本開示は、関係する添付図面を参照して以下においてより完全に説明される。本開示の好ましい実施形態が、添付図面に表される。しかし、本開示は、多くの異なる形式で具現化されてもよく、本明細書に記述された実施形態に限定されない。むしろ、これらの実施形態は、本開示の内容についての理解が、より完全になるように提供される。
【0012】
本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、別途規定されない限り、本開示が当てはまる当業者のうちの一人によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。ここで本開示の明細書内で用いられる用語は、特定の実施形態を記述することだけを目的とし、本開示を限定することを目的としない。本明細書で用いられる用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のいずれか及び全ての組合せを含む。
【0013】
理解すべきは、要素又は層が、別の要素又は層「の上にある」、それ「に隣接している」、それ「に接続している」、又はそれ「に結合されている」と記述されるとき、それは、別の要素又は層の直接上にあってもよく、それに隣接していてもよく、それに接続されていてもよく、又はそれに結合されていてもよく、あるいは、中間要素が存在してもよいということである。対照的に、要素が別の要素又は層「の直接上にある」、それ「に直接隣接している」、それ「に直接接続されている」、又はそれ「に直接結合されている」ように記述されるとき、中間要素又は層が存在しない。「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又は部分を記述するために用いられるけれども、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分は、これらの用語によって限定されてはならないことを理解すべきである。これらの用語は、単に、要素、構成要素、領域、層、又は部分を別の要素、構成要素、領域、層、又は部分から識別するように用いられる。したがって、以下で論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、又は部分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又は部分として記述されてもよい。
【0014】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を記述するためだけのものであり、そして、本開示についての限定を目的としていない。本明細書で用いられるとき、文脈が別の形式を明確に示さない限り、単数形の「1つの」、「1つの」、及び「上記の/前記の」は、また複数形を含むことが意図されている。明細書で用いられるときの用語「構成する」及び/又は「含む」は、特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を予定するけれども、1つ又は複数の別の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又は群の存在又は追加を除外しないこともまた理解すべきである。本明細書で用いられるとき、用語「及び/又は」は、関係する列挙された項目のうちのいずれか及び全ての組合せを含む。
【0015】
垂直ヘテロ接合半導体デバイスのオン抵抗問題を解決することは、非常に重大な意味を持つ問題である。例示的な垂直GaNヘテロ接合半導体デバイスが、図1に示されており、それのデバイス構造は、主として、金属ドレイン電極1、基板2、GaN緩衝層3、GaNピラー5、AlGaN層6、電流ブロック層4、金属ソース電極8、金属ゲート電極10、及び不活性化層11を含む。デバイスがオン状態にあるとき、電流が、GaN緩衝層3を通って流れなければならない。例示的な垂直ヘテロ接合半導体デバイスは、耐圧とオン抵抗との間に有意な矛盾を有する。
【0016】
本開示は、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスを提供し、それは、金属ドレイン電極(1)と、金属ドレイン電極(1)上に配設された基板(2)と、基板(2)上に配設された緩衝層(3)と、緩衝層(3)内部に配設された電流ブロック層(4)と、緩衝層(3)上に配設されたヘテロ接合構造と、緩衝層(3)上に配設されたゲート構造と、緩衝層(3)上に配設された金属ソース電極(8)と、を含む。
【0017】
電流ブロック層(4)は、第1段の環状電流ブロック層(4a)と、第2段の環状電流ブロック層(4b)と、第3段の環状電流ブロック層(4c)と、を含み、それらは、最上部から底部まで順に配列され、そして、環状電流ブロック層の対称中心は共線的である。第1段の環状電流ブロック層(4a)の環内開口が、第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口よりも大きく、そして、第2段の環状電流ブロック層(4b)の環内開口は、第3段の環状電流ブロック層(4c)の環内開口よりも大きい。
【0018】
本開示において用いられる電流ブロック層は、多段の電流ブロック層へと分割され、この場合、電流ブロック層のそれぞれの段は、それぞれの段が位置する水平面内において「中空正方形」の形状に分布させられている。電流ブロック層のそれぞれの段の環内開口は、最上部から底部まで段毎により小さくなり、それに加えて、電流ブロック層のそれぞれの段は、緩衝層内に段階形状に分布させられている。段階形状の電流ブロック層は、電界の分布を有効に改善することにより、電界のピーク値がチャネルから遠く離れており、平均電界が増加させられることにより、デバイスの耐圧性能を保証する。GaNピラーにより近い電流ブロック層は、より大きい環内開口を有し、そして、チャネルを通って緩衝層に入る電流がより大きい。電流ブロック層の段の数の増加とともに、環内開口がより小さくなる。空乏層が、電流の流路を制限し、電流は、最小のチャネル開口だけを通って流れてもよい。図8に示すように、2つのタイプ(環内開口が段毎により小さくなるタイプと、環内開口が段毎により大きくなるタイプと)の「中空正方形」分布を有する電流ブロック層の電界分配図が比較される。段毎により小さくなる環内開口を有する段階形状の電流ブロック層は、GaNピラー側から遠く離れているようにピーク電界をうまく制限し、デバイスの正方向電流伝導性能に対する犠牲を可能な限り低減し、同時にデバイスの耐圧性能を向上させる。それに加えて、電流ブロック層を製作する例示的なプロセスは、Mgイオン注入である。Mgイオン注入は、特定の格子損傷を生じさせ、特に電流ブロック層により大きい漏電を生じさせることになる。他方、Mgは、強い記憶効果を有し、2次エピタキシープロセスにおいて大きい希釈効果を有する。段階形状の電流ブロック層、特にGaNピラーにより近い電流ブロック層によって占められた面積は、より小さく、それが、チャネル層及びバリヤ層でのMgイオン注入への影響を低減することができ、そして、特定の電流コラプス影響を軽減しながら漏電を低減することができる。
【0019】
本開示の実施形態が、以下で更に説明される。
【0020】
実施形態1
図2~6を参照すると、図4は、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスの正面部分斜視図であり、図5は、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスの正面断面図である。この実施形態では、低いオン抵抗を有するヘテロ接合半導体デバイスは、金属ドレイン電極1と、金属ドレイン電極1上に配設された基板2と、基板2上に配設された緩衝層3と、緩衝層3内部に配設された電流ブロック層4と、電流ブロック層4上に配設されたゲート構造と、を含み、そして、金属ゲート電極10と、金属ゲート電極10上方に配設された金属ソース電極8と、金属ゲート電極10と金属ソース電極8との間に配設された第1不活性化層11aと、金属ゲート電極10と緩衝層3との間に配設された第2不活性化層11bと、を含む。また、図7を参照すると、電流ブロック層4は、第1段の環状電流ブロック層4aと、第2段の環状電流ブロック層4bと、第3段の環状電流ブロック層4cと、を含み、これらは、最上部から底部まで順に配列されており、層のそれぞれの対称中心は共線的である。第1段の環状電流ブロック層4aの環内開口は、第2段の環状電流ブロック層4bの環内開口よりも大きく、そして、第2段の環状電流ブロック層4bの環内開口は、第3段の環状電流ブロック層4cの環内開口よりも大きく、段毎により小さくなる傾向を示す。
【0021】
この実施形態では、ゲート構造は、緩衝層3の上面上に立設されているGaNピラー5と、GaNピラー5の側面上に巻き付けられたAlGaN層6と、を含み、垂直チャネル7が、互いに接触している、GaNピラー5とAlGaN層6との間の界面に形成されている。金属ゲート電極10は、AlGaN層6の外面上に設置され、金属ソース電極8は、GaNピラー5及びAlGaN層6の上面上に設置されており、そして、ショットキー接触が、金属ソース電極8とAlGaN層6との間に形成されている。
【0022】
電流ブロック層4は、3つの段、4つの段、5つの段、又はより多い段を含んでもよく、この実施形態は、3つの段を用いている。電流ブロック層4が4つの段のものである一実施形態では、電流ブロック層4が、第4段の環状電流ブロック層を更に含み、第4段の環状電流ブロック層の対称中心が、第3段の環状電流ブロック層4cの対称中心と共線的であり、そして、第4段の環状電流ブロック層の環内開口は、第3段の環状電流ブロック層4cの環内開口よりも小さい。一実施形態において、電流ブロック層のそれぞれの段は、互いに平行であって、緩衝層3内に段階状に分布させられている。
【0023】
AlGaN層6は、水平断面形状が六角形であることを含むが、これに限定されるものではなく、そして、別の多角形構造又は円形構造を含む。GaNピラー5は、水平断面形状が円形であることを含むが、これに限定されるものではなく、別の多角形構造を含む。この実施形態におけるAlGaN層6の断面は、正六角形形状であり、そして、N型ドープGaNピラー5を内有する少なくとも4つのAlGaN層6が、緩衝層3の上面上に配設され、そして、AlGaN層6のそれぞれが、ハニカム形状に分布させられ配列されている。
【0024】
金属ゲート電極10の下面と緩衝層3の上面との間の垂直距離は、0.25~0.4μmであり、金属ゲート電極10の厚さは、0.2μmである。
【0025】
実施形態2
図8を参照して、実施形態1と比較すると、この実施形態のゲート構造がマトリクス状に配列されて分布させられている。GaNピラーとAlGaN層とが緩衝層上方でマトリクス状に配列されて分布させられ、そして、GaNピラーとAlGaN層とは、水平断面が長方形である。別の構造は、実施形態1のものと同じである。
【0026】
実施形態3
図9及び10を参照して、実施形態1と比較すると、この実施形態のゲート構造は、P型ゲート構造である。P型GaNキャップ層13は、金属ゲート電極10とAlGaN層6との間に存在し、そして、別の構造は、実施形態1のそれらと同じである。P型ゲート構造は、ノーマリーオフチャネルを実現する。
【0027】
先行技術と比較すると、本開示は、以下の利点を有する。
【0028】
(1)本開示において、GaNピラーとAlGaN層とが互いに接触して2次元電子ガスを形成することにより、デバイスに必要な横方向占有面積を大いに低減する。それに加えて、GaNピラーとAlGaN層の両方の側壁は、接触面を有し、GaNピラーは、水平断面が円形であり、それで、GaNピラーの側壁に電流伝導経路が存在し、そして、チャネル密度が増加させられて、電流性能が有効に改善され、その結果、デバイスがオン状態のときに、より高いオン状態電流が達成されることにより、デバイスのオン抵抗を低減する。
【0029】
(2)本開示において、GaNピラー及びAlGaN層は、緩衝層の上面上にハニカム形状に分布させられていることにより、プロセス条件における貫通孔の最小サイズの要件を満足させて、デバイスの横方向面積を最大限利用することができる。複数の離散したGaNピラーが緩衝層上に存在することにより、チャネル電流の複数の区画を発生させ、これが、電流性能を有効に向上させて、デバイスがオン状態のときに、より高いオン状態電流を可能にすることにより、デバイスのオン抵抗を低減する。
【0030】
(3)本開示において用いられる電流ブロック層は、多段の電流ブロック層に分割されており、この場合、電流ブロック層のそれぞれの段は、それぞれの段が位置する水平面内に「中空正方形」の形状に分布させられており、そして、環内開口は、段毎により小さくなり、それに加えて、電流ブロック層のそれぞれの段は、互いに平行であり、緩衝層内に段階状に分布させられている。段階形状の電流ブロック層は、電界の分布を有効に改善することにより、電界のピーク値が、チャネルから遠く離れており、平均電界が増加することにより、デバイスの耐圧性能を保証する。GaNピラーにより近い電流ブロック層は、より大きい環内開口を有し、それでチャネルを通って緩衝層に入る電流はより大きい。電流ブロック層の段の数が増加するにつれて、環内開口はより小さくなる。空乏層は、電流の流路を制限し、電流は、最小のチャネル開口だけを通って流れてもよい。本発明者によるソフトウェアシミュレーションによって、2つのタイプ(環内開口が段毎により小さくなるタイプ及び環内開口が段毎により大きくなるタイプ)の「中空正方形」の分布を有する電流ブロック層の電界分配図が比較される。段毎により小さくなる環内開口を有する段階形状の電流ブロック層は、ピーク電界をGaNピラー側から遠く離れているようにうまく制限し、デバイスの正方向電流伝導性能の犠牲をできる限り低減し、同時にデバイスの耐圧性能を向上させる。それに加えて、電流ブロック層を製作する例示的なプロセスは、Mgイオン注入である。Mgイオン注入は、特定の格子損傷を生じさせ、特に、電流ブロック層により大きい漏電を生じさせることになる。一方、Mgは、強い記憶効果を有し、2次エピタキシープロセスにおいて大きい希釈効果を有する。段階形状の電流ブロック層、特にGaNピラーにより近い電流ブロック層によって占められた面積がより小さく、それが、チャネル層及びバリヤ層へのMgイオン注入の影響を低減してもよく、そして、特定の電流コラプス効果を軽減しながら漏電を低減することができる。
【0031】
(4)本開示において、垂直GaNピラーとAlGaN層とが互いに接触することにより、2次元電子ガスを形成し、チャネルの長さがデバイス自体の横方向面積から影響を受けず、短チャネル効果が克服されることにより、デバイスの特性周波数が有意に増加させられ、そして、GaN材料のより高い動作周波数の長所が十分に発揮される。
【0032】
(5)例示的なヘテロ接合半導体構造は、高電圧下において明らかな電流コラプス現象を有する。本開示は、長手方向チャネルと基板とが同じ方向になく、基板部分の欠陥が、高電圧下におけるデバイスチャネルにほとんど影響を及ぼさないという特徴を有する。本開示の構造は、電流コラプス効果を有効に軽減することができる。
【0033】
上記の実施形態は、本開示のいくつかの実施形態を単に表すだけで、それの説明がより具体的で詳細であるけれども、それらの実施形態は、本開示の範囲を限定するように解釈されてはならない。留意されるべきは、当業者が、本開示の趣旨から逸脱することなく、いくつかの修正及び改善を行ってもよく、これらは、全てが本開示の保護範囲内にあることである。そのため、本開示の保護範囲は、添付クレームの対象でなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】