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特表2022-515437アシスタントシステムの軌道計画を実施するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】アシスタントシステムの軌道計画を実施するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20220210BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W30/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537116
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 DE2020200005
(87)【国際公開番号】W WO2020164670
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】102019201800.9
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D-90411 Nuernberg, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー・ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】スタンチェフ・ラドイ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA11
3D241BA62
3D241BB01
3D241BB06
3D241CD11
3D241CD16
3D241CD26
3D241CD27
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC01Z
(57)【要約】
アシスタントシステム、特に縦方向及び/或いは横方向帰還制御を実施するための車両アシスタントシステムの軌道計画を実施するための方法では:
予め設定自在な総継続時間(t)を有する軌道(T1,T3-T7)を割出し、
該軌道(T3,T5,T7)をセグメントに分割する、但し、
各セグメントは、可変なセグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)を有している、且つ
セグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)の合計は、軌道(T3,T5,T7)の予め定めた総継続時間(t)に対応している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシスタントシステム、特に縦方向及び/或いは横方向帰還制御を実施するためのアシスタントシステムの軌道計画を実施するための方法であって:
予め設定自在な総継続時間(t)を有する軌道(T1,T3-T7)を割出し、
該軌道(T3,T5,T7)をセグメントに分割する、但し、
各セグメントは、可変なセグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)を有している、且つ
セグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)の合計は、軌道(T3,T5,T7)の予め定めた総継続時間(t)に対応している
ことを特徴とするアシスタントシステムの軌道計画を実施するための方法。
【請求項2】
軌道(T3,T5,T7)のセグメントへの分割が、各々の加速及び/或いは速度に依存して実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加速を高めるためのセグメント、加速を維持する及び/或いは変更するためのセグメント、並びに、加速を減衰するためのセグメントが設けられていることを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
軌道(T3,T5,T7)の第一及び第三セグメント内の加速が、それぞれ、高次、特に好ましくは、三次乃至五次の多項式によって記述されていることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
各々のセグメントのセグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)が、クオリティゲージに基づいて定められることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
第一セグメントのセグメント継続時間(Δt)の割出しが、第三セグメントのセグメント継続時間(Δt)に依存して、或いは、その逆に実施されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
追従走行用に三分割軌道(T7)が、軌道(T7)の第一及び第二セグメントの部分軌道が、本質的にフリー走行計画(T3,T5)の部分軌道に対応させることにより算出される一方、第三セグメントは、該軌道によって加速、速度(v)、並びに、路程に関して望まれる最終状態に移行できる様に、他の次元、特に好ましくは、五次の多項式によって記述されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
セグメントのセグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)が、三分割軌道(T3,T5,T7)のクオリティゲージが最少になるように選択されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
セグメントのセグメント継続時間(Δt,Δt,Δt)を選択するための下位の最適化が設けられることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
軌道(T1,T3-T7)の計画が、各々の軌道の総継続時間(t)の変更によって実施されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
軌道ターゲット状態を与えるためにラスタ点を有するアダプティブなサーチ空間が設けられ、最適な軌道(T1,T3-T7)の割出しが、ラスタ点のシフトによって、特に好ましくは、ラスタ点を割出される軌道(T1,T3-T7)側にシフトすることによって実施されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
ラスタ点の調整が、複数のタイムステップを介して回帰的に実施されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
追従走行用の移動手段のターゲット走行状態の生成のためにスプリング・ダンパ・システムが設けられていることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
追従走行用の間隔制御を実施するために、スプリング・ダンパ・システムを、移動手段とその前方を動いている移動手段との間のバーチャル・バンパとして配置し、移動手段間の予め設定自在な間隔のバーチャル・バンパを配置するために速度及び/或いはスプリングトラベルが考慮されることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一つの加速プラトー及び/或いは速度プラトーが、制御誤差の補正のために設けられていることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
軌道(T1-T7)を割出すための軌道計画手段が設けられていることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
軌道計画手段が、複数のモジュール及び/或いはレベルを包含していることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
軌道計画手段が、状況や機能に応じたターゲット状態の設定を実施するための調整レベル(1)と、ターゲット状態に応じて軌道を割出すための計画レベル(2)を包含していることを特徴とする請求項16或いは17に記載の方法。
【請求項19】
方法が、アルゴリズムとして実装されていることを特徴とする先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
以下:
ターゲット状態を規定するための調整レベル(1)、
ターゲット状態に基づいて軌道(T1-T7)を割出すための計画レベル(2)、
各々の軌道(T1-T7)を選択するための軌道選択モジュール(3)
を包含し、
該軌道計画手段が、軌道計画が、先行請求項のうち少なくとも何れか一項に記載の方法によって実施されることを特徴とするアシスタントシステム用の軌道計画手段。
【請求項21】
特に縦方向及び/或いは横方向帰還制御を実施するための移動手段用のアシスタントシステムであって、該アシスタントシステムにおいて、軌道計画が、請求項1から19のうち少なくとも何れか一項に記載の方法によって実施されることを特徴とするアシスタントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動手段乃至車両用のアシスタントシステム、特に、縦方向及び/或いは横方向制御を実施するためのドライバーアシストシステムの軌道計画を実施するための方法、並びに、本発明に係る方法を実施するための軌道計画手段、及び、本発明に係る方法によって軌道計画が実施されるアシスタントシステム乃至ドライバーアシスタントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両、自転車、二輪車、飛行機、ドローン、船舶、ボートなどの現代的な移動手段には、益々アシスタントシステム乃至ドライバーアシストシステムが装備されるようになってきている。特に車両技術の分野では、道路使用・利用者乃至他の車両、歩行者などの認識、並びに、路面標示の検出乃至推定(例えば、道路境界や路面標示)が、最新のドライバーアシストシステムにおける本質的な機能であり、例えば、横方向及び縦方向を実施する制御アシスタントシステム(lateral and longitudinal functions)、例えば、Adaptive Cruise Control (ACC)や自動的車間制御(ADR)、レーン維持システム(LKA,lane keep assist)や緊急ブレーキアシスタント(EBA,emergency brake assist)などにおいて採用されている。これにより、例えば、走行すべき軌道や、各々の移動手段や車両のそれぞれの移動経路を割出すことが可能である。適したセンサ類を用いることによって、静的なターゲット乃至オブジェクトを検出でき、これにより、例えば、先行車との間隔や道路の推移を推定することができる。オブジェクト認識を実施するには、例えば、レーダやライダ乃至カメラセンサを使用することができる。
【0003】
アシスタントシステム用の帰還制御コンセプトや類するものは、例えば、最適化を行うことによる軌道計画を基にしている。更には、この様なアシスタントシステムは、例えば、(レーダ)制御装置など頻繁に制限された計算リソースしか持っていないため、効率の良い最適化方法と組み合わせて採用されるべきである。例えば、WERLING(Werling, Moritz著: “Ein neues Konzept fur die Trajektoriengenerierung und -stabilisierung in zeitkritischen Verkehrsszenarien”. KIT Scientific Publishing, Karlsruhe, 2011)やRATHGEBER(Rathgeber, Christian著: “Trajektorienplanung und -folgeregelung fur assistiertes bis hochautomatisiertes Fahren”. Technische Universitat Berlin, 2016)は、この件に関して、簡略化された最適化問題の解析学的な解決方法を提案している。そのため第一ステップでは、先ず全ての制限(急激な動きや加速)を無視し、軌道の終了時間と終了状態を既知として見なす。この際、軌道用のソリューションとしては、三次から七次の多項式が得られる。続いて、終了時間と最終速度乃至終了位置に跨がるサーチ空間が、ラスタライズされ、ラスタ点毎に軌道が算出される。その際、各々の軌道に対して、クオリティゲージが算出される。該クオリティゲージは、その際、軌道を評価する判断基準であるが、例えば、加速の推移を評価することができる。第二ステップでは、軌道は、制限に対する抵触に関して確認され、場合によっては、有効な軌道の集合から排除される。そして、残っている軌道の中で最もクオリティゲージが低い軌道が、最適化の結果である。WERLINGと同様、一つの多項式だけによって軌道を記述しているため、加速の制限は、点でのみ達成できる。そこで、RATHGEBERは、以下の様な三分割された軌道を提案している:それぞれ一つの多項式からなる加速の増加、維持、減衰。しかしながら、加速の増加と減衰用の軌道は、予め定められた一定の継続時間を有しているため、実用においては、状況に応じて短所が顕著になり得る。また、例えば多項式に基づいた軌道計画用に対して、対象となる類に属するアシスタントシステム(例えば、ACCなど)固有の機能拡張は、考慮されない。
【0004】
更に、GORJESTANI等(Gorjestani, A.; Shankwitz, C. Donath, M.著: “Impedance Control for Truck Collision Avoidance”; In: Proceedings of the American Control Conference, 2000)は、間隔制御を実施するためのバーチャル・ダンパを記述している。
【0005】
DE 10 2017 200 580 A1は、車両のマヌーバ計画を最適化するための方法を記載している。該方法は、計画レベルの全ての計画レイヤにおいて、少なくとも三つの異なる抽象化レベルに分割された本方法を実施するための計画レベルを包含している。その際、多数の割出されたマヌーバオプションをグループ化することにより、継続的計画と意味論的情報の組み合わせが実施される。更には、マヌーバを実施するために最善である戦略を選択するために、各々のマヌーバオプションの成功評価が、他の交通参加者の不確定性を考慮しつつ、実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明が解決しようとする課題は、ドライバーアシストシステムの軌道計画を実施するための改善された方法、並びに、従来の技術における欠点が、解決された改善されたアシスタントシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、請求項1及びその他の請求項の総合的な教えによって解決される。本発明の目的にかなった実施形態は、従属請求項において請求される。
【0008】
本発明では、ドライバーアシストシステムの、特に縦方向及び/或いは横方向制御を実施するためのシステム(例えば、ACC-,ADR-,EBA-,LKAシステムなど)の軌道計画は、先ず、総継続時間を定められるセグメント、好ましくは、三つのセグメントに分割された少なくとも一本の軌道を割出す。各々のセグメントは、変更自在なセグメント継続時間を有しているが、各々のセグメント継続時間の合計は、軌道の予め定められた総継続時間に対応している、言い換えれば、個々のセグメント継続時間は、可変であるが、総継続時間乃至軌道の全長は、不変である。各々のアシスタントシステムにおいて、例えば、カーブにおける予測的速度調整、検出された交通標識に対する予測的速度調整、加速による追越マヌーバのサポート、及び/或いは、例えば、(右側通行の)アウトバーンの右車線など「低速車線を走行時」に追い抜きをしないようにするなど、固有の機能拡張を達成するために、基本機能を拡張することも容易に可能である。
【0009】
軌道を分割する際は、簡略的に、第一セグメントを加速の増加、第二セグメントを加速の維持、第三セグメントを加速の減衰に割り当てることが可能である。これらのセグメントは、各々更なるサブセグメントに分割する、及び/或いは、更なるセグメントをその前方、後方、乃至、その間に設けることも可能である。特に、加速を増加及び減衰するセグメントが、予め定められた一定のセグメント継続時間を有していない場合、容易にそれぞれの状況に適応させることが出来る。これにより、システム全体の柔軟性や稼働性を有意に改善することができる。
【0010】
尚、速度制御には、軌道の増加する及び減衰するセグメント内の加速が、それぞれ三次の多項式によって記述されることが好ましい。その結果として、この様な記述乃至計算を非常に簡略的に実施することができると言う長所が得られる。
【0011】
特に、各々のセグメントのセグメント継続時間は、クオリティゲージを用いて定められることが理にかなっている。例えば、該クオリティゲージを、分割されていないワンピースの軌道の軌道を評価するためのクオリティゲージの積分部分に相当する様に選択すれば、これにより、三部分に分けられた軌道によって、分割されていないワンピースの軌道を直接的に置き換えることが可能である。
【0012】
更に、第一セグメントのセグメント継続時間の割出しは、第三セグメントのセグメント継続時間に応じて、或いは、その逆の方法で実施できる、即ち、第一セグメントのセグメント継続時間は、例えば、第三セグメントのセグメント継続時間に依存した二次方程式によって求めることができる。
【0013】
間隔制御の目的からは、該軌道により、システムが、望まれる最終状態(加速、速度、位置)に達することができるように、第一及び第二セグメントが、速度制御用のセグメントに対応し、第三セグメントが、他の次元の多項式によって、特に好ましくは、五次多項式によって記述される三つのセグメントに分けられた軌道を計算することは理にかなっている。
【0014】
尚、一つの乃至複数のセグメントのセグメント継続時間は、三つに分割された軌道のクオリティゲージが、最小になる乃至低減される様に選択されることが好ましい。
【0015】
また、一つの乃至複数のセグメントのセグメント継続時間を選択するための下位の最適化が実施されることは、特に有利である。これにより、選択をより一層簡略化できる。
【0016】
軌道の計画は、各々の軌道の総継続時間を変更することによって実施されることが理にかなっている。
【0017】
更には、軌道を割出すために、ラスタ点を有するアダプティブな検索空間を想定することも可能であるが、該検索空間内における軌道のターゲット状態の選択は、ラスタ点のシフトによって実施可能である。これにより、特に、ラスタ点が、最適な軌道にシフトされる、要するに、ラスタ点の集中が、最適な軌道を示す。
【0018】
尚、ラスタ点の調整は、複数のステップを介して回帰的に実施されることが好ましい、即ち、ターゲットポイントのバリエーションやアダプテーションは、回帰的な(複数のステップによる)アプローチで実施されることができる。
【0019】
移動手段の恒常的乃至首尾一貫した、軌道プラン及び/或いは制動プランのターゲットポイントを表す目標状態(道程、速度及び加速)を生成するためのスプリング・ダンパ・システムやマス・スプリング・ダンパ・システムを設けることも目的にかなっており可能である。
【0020】
本方法の特別な形態では、間隔制御のために、状況(例えば、略停止している領域など)に応じて、スプリング・バンパ・システムが、該移動手段と前方を移動している移動手段との間のバーチャル・バンパとして、補完的に軌道計画を実施するために配置される。バーチャル・バンパのダイナミクスは、設定自在な移動手段の(例えば、自車両と前方を走行中の車両との)間隔、速度、加速、移動手段の質量、及び/或いは、(バーチャル)スプリングトラベルなどによって定義されることができる。
【0021】
少なくとも一つの加速プラトー及び/或いは速度プラトーを起こり得る制御誤差に対するバッファとすることが目的にかなっている。例えば、移動手段が静止する前の、軌道計画に、可能なターゲット状態範囲を与える、加速プラトーを設けることも可能である。そのプラトーから始めて、移動手段を、静止工程において穏やかに且つドライバーが慣れている加速推移(例えば、緩慢なブレーキング)を実現するために、定義に沿って(乃至、制御して)静止状態へと移行させることができる。この様にすることで、例えば、急激且つ意図しないブレーキング・マヌーバを回避することができる。
【0022】
尚、軌道計画手段を、軌道を割出すために設けることも目的にかなっている。例えば、この様な軌道計画手段は、ハードウェア乃至ソフトウェア・モジュールとして構成されることにより、各々のシステムに容易な方法で製造時点に先もって設定しておくことができる。
【0023】
該軌道計画手段は、実践的には、複数のモジュール及び/或いはレベルを包含している。これは、例えば、固定的にコンフィギュレーション乃至モジュール的に交換及び/或いは付加自在であることができ、これによりモジュールやレベルの個々の機能を用途乃至機能に応じて選択することができる。これにより、機能範囲や各々の軌道計画手段を予め設定できることが、非常に簡略化できるため、コストや時間も非常に節約できることができる。
【0024】
更に、該軌道計画手段は、状況や機能に応じたターゲット状態を規定する調整レベルとターゲット状態から軌道を割出すための計画レベルを包含していることができる。更に、調整レベル及び/或いは計画レベルは、モジュール構成を有していることができる。例えば、調整レベルは、速度を設定するための速度モジュール、並びに、間隔乃至路程又はルートを設定するための間隔アシスタントモジュールを包含していることができる。同様に、例えば、速度モジュールも、更なる機能をデザインするための乃至機能アーキテクチャ用のモジュール、例えば、速度制御モジュール及び/或いはカーブアシスタントモジュールを包含していることができる。更に、計画レベルもモジュール構成であることができ、個々のモジュールは、例えば、速度計画手段及び/或いは間隔計画手段を包含していることができる。更に、それぞれの軌道を選択するための軌道選択モジュールも、レベルうちの一つのモジュールとして、或いは、独立したレベルとして設けられていることができる。また、調整レベル全体や間隔モジュールも、更なるモジュールや下位のモジュールを包含していることができる。ここに例として挙げられている各々のモジュールは、実装可能なモジュールの限定されない選択肢の一つに過ぎない。誤解の無いように説明すると、例えば、軌道計画を実施するための従来の技術から既知の機能などの例示されていない他の(サブ・)モジュールも、これらに包含される。その結果、直感的且つ容易なパラメータ化乃至アプリケーションが可能になるという長所を得られる。加えて、各々のシステムや機能範囲の計算能力に関する拡張・縮小性を飛躍的に改善できる。この様なモジュール構成を採用することにより、例えば、調整レベルにおいて、同じプレーナ・アーキテクチャを使用しつつ、独立したパラメータ化と個々の機能のアプリケーションを実施することが可能になる。これにより、システム(例えば、後のアップグレードと言う方法も含め)、将来的な機能拡張を容易に実施できる方法が提供される。
【0025】
本方法は、実用的且つ容易にアルゴリズムとして実装されることができる。これにより、非常に簡単且つ低コストで、新しいシステムに実装できるという長所が得られる。加えて、現存のシステムも、同様な方法で、アップグレードされることが可能である。
【0026】
本発明は、更に、対応するアシスタントシステム乃至ドライバーアシストシステム用の、軌道計画を本発明に係る方法によって実施できるように構成されていることが特に好ましい軌道計画手段も特許請求している。ここでは、ターゲット状態を設定するための調整レベル、ターゲット状態を基にした軌道を割出すための計画レベル、並びに、各々の軌道を選択するための軌道選択モジュールが、想定されている。
【0027】
本件の発明は、更に、該アシスタントシステムが、本発明に係る方法によって軌道計画を実施する及び/或いは本発明に係る軌道計画手段を包含する、特に縦方向及び/或いは横方法制御を実施するための(例えば、ACCシステム、LKAシステム乃至EBAシステムなど)移動手段用のアシスタントシステム乃至ドライバーアシストシステムも特許請求している。
【0028】
即ち、本発明に係る方法により、アシスタントシステム用の軌道計画を実施するための、従来用いられてきたアプローチに取って代われる新しい制御コンセプトが提供される。よって本発明は、ドライバーアシストシステムの分野における非常に特別な貢献であると言える。また、本発明が、個々には記述されていない従属請求項の特徴の組み合わせも包含していることは、明記しておく。
【0029】
以下、目的にかなった実施例によって、本発明をより詳しく説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明に係る軌道計画手段のストラクチャの簡略化された模式的な図;
図2図2は、従来の技術に係るフリー走行用の軌道の簡略化された図;
図3図3は、図2のワンピースの軌道用の本発明の趣旨に沿った軌道(点線)の簡略化された図;
図4図4は、本発明に沿って計画された軌道の更なる簡略化された図;
図5図5は、本発明に沿って計画された間隔帰還制御を実施するための軌道の更なる簡略化された図;
図6図6は、追従走行時の目標状態プリセットの簡略化された図;
図7図7は、車両において目標状態を生成させるためのマス・スプリング・ダンパ・システムの簡略化された図;並びに、
図8図8は、自車両と前方を走行中の車両との間のバーチャル・バンパの簡略化された図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、複数の軌道を算出するための本発明に係る実施例を説明する。一つの軌道は、システム状態を、その初期値から定義された終了値へと導く。システム状態は、ポジションs、速度v、加速a、並びに、システムモデルにもよるが、衝撃rによって記述される。軌道算出を実施するために、車両は、質点としてモデリングされる。システムモデルとしては、一般的に、多段の積分チェーンが採用されることが特に好ましい。尚、該軌道算出は、従来の技術では、解析学的に解決される最適化問題である。しかし、この様な解決策は、通常、システム状態を多項式として記述するが、この方法では、衝撃と加速の最大値は、点としてのみ達成され、区間毎に一定に保つことはできない。
【0032】
図1には、ドライバーアシストシステム用の本発明に係る軌道計画手段のストラクチャの一実施例が示されている。尚、この様な軌道計画手段は、(飛行手段、水上/水中移動手段などの)他の移動手段用のアシスタントシステムにも使用することができることを、明記しておく。該軌道計画手段は、調整レベル1(乃至、調整レイヤ)及び計画レベル2(乃至、計画レイヤ)を包含している。該計画レベル2は、車両を現時点の状態から望まれるターゲット状態へと移行させるための軌道を総合的に最適化しつつ算出するが、一方の該調整レベル1は、状況や機能に応じて軌道計画のターゲット状態や最適化条件、最適化制限を設定するためのインターフェースを提供するものである。
【0033】
ターゲット・オブジェクト無しのフリー走行用(速度軌道)やターゲット・オブジェクトが有る追従走行用(間隔制御)では、最適化目標が異なっているため、計画レベル2は、速度軌道用の計画手段(速度計画手段9)と間隔軌道用の複数であり得る(マルチオブジェクトACC)計画手段(間隔/路程・計画手段10)から構成されている。ここで言う「フリー走行」とは、自車線がフリーである、乃至、先行車が注意しなければならないターゲット・オブジェクトとして捕捉されず、ドライバーが設定したターゲット速度において何ら問題なく走行できる車両の走行状況を意味している。しかし、例えば、アシスタントシステムが、フリー走行を阻害する先行車両を捕捉した場合は、速度が、状況に合わせて制御され、先行車両の速度に合わせて調整される。同様にここで言う「追従走行」では、一般的には、先行車両に対しての設定自在な目標間隔になるように速度調整が実施される。フリー走行と追従走行との間の切り替えのために、様々な計画手段には、軌道選択モジュール3が接続されている。その際、現時点の軌道加速を基に該軌道選択を実施することができる。代案的に、全軌道を基に軌道の選択を実施することもできる。
【0034】
調整レベル1は、好ましくは、モジュール構成であり、システムの分割化できる機能毎に、個別の独立したモジュール、乃至、複数の独立したモジュール、例えば、速度モジュール4や間隔モジュール5を包含している。その際、各々のモジュールは、各々の機能を実装するための直感的インターフェースを提供している。そのために、各々のモジュールは、制御されている軌道計画手段の多数の最適化パラメータ(クオリティゲージの加重、状況制限、サーチ空間境界)は、各々の機能の目的にかなったパラメータ化を実施するために、少数のパラメータに翻訳、乃至、削減する。ここでは、全シナリオにおける挙動を制御するために複雑なアルゴリズムも考え得る。各モジュールもまた、モジュール構成とすることができ、下位の機能乃至モジュールを包含することができる。図1に例示する如く、速度モジュール4は、少なくとも三つの更なる(下位の)モジュール:速度制御モジュール6、速度制限アシスタントモジュール7及びカーブアシスタントモジュール8、を包含している。これにより、個々のモジュールは、下位の計画手段の状況に応じたアプリケーションとその結果得られる軌道、乃至、望まれる軌道のための直感的なインターフェースを提供している。その際、軌道計画の多数の最適化パラメータ(例えば、クオリティゲージの加重、状況制限、サーチ空間の選択)は、調整レベル1の機能モジュールによって、アプリケーション出力が、先もって望まれる軌道挙動を目的にかなった設定とするための少数のパラメータに翻訳され、削減されるため、アプリケーションに直接的には承認されない。
【0035】
更に、調整レベル1は、先もって、様々な機能間において調停する(DE原文: arbitrieren, EN: arbitrate)能力を提供する、或いは、該調整レベル1が、様々な機能間の調停(DE原文: Arbitrierung, EN: arbitration)を請け負うことができる。例えば、ターゲット・オブジェクト無しの速度制御を実施するための機能の要求やターゲット状態(例えば、ドライバーの設定、予測的交通標識認識や予測的カーブ認識など)を予め比較することにより、例えば、速度軌道のクリティカルな要求を速度計画手段9へ転送することができる。
【0036】
同様に、安全機能や快適機能の調停も実施されることができる。例えば、EBA要求は、常に、ACC要求を上書する、要するに、安全クライテリアの観点から、ある機能を優先することができる。逆に、間隔制御においては、頻繁に、直接的車両周辺部(該車両の前方乃至隣接する車線)に複数のターゲット・オブジェクトがあり、予めクリティカルなオブジェクトが既知ではなく、計画のために選択することができないため、距離軌道乃至間隔軌道用に複数の計画手段が並列計算することが、必要となり得る。例えば、自車線乃至隣接車線にターゲット・オブジェクトがある場合の「低速車線」上での(右通行における、右からの)追い越しと言ったシナリオは、回避されなければならない。この際、距離軌道用の付加的な計画手段は、関連するオブジェクトの数が増えてもリソース需要を制限するため、快適性を最大にするように最適化されたメイン計画手段よりも、可能であればより簡単に(例えば、サーチ空間を限定する/ラスタを大雑把に設定するなど)構成できる。
【0037】
図2は、従来の技術におけるフリー走行用のワンピースの軌道T1例の速度v(上)と加速a(下)を示している。速度は、この例では、10m/sから20m/sに上げられるが、加速制限は、2m/s2が設定されている。よって、算出されたワンピースの軌道は、加速制限に抵触しているため、従来の技術では、容認できないと判定され、却下される。車両の加速能力をより良く活かせるようにするためには、三つのセグメントに分けられた軌道を用いる事ができる。図2では、この様な三分割軌道T2も、ワンピースの軌道T1に加えて図示されている。ここでは、第一軌道セグメントは、加速を最大乃至最小値acstに、第二セグメントは、加速は一定に保たれ、第三セグメントでは、加速は低減される。第一及び第三軌道セグメントの継続時間は、一定に保たれ、第二セグメントの継続時間は、望まれる最終速度に達するように変更される。その結果、三分割軌道の継続時間tは、一般的に、ワンピースの軌道T1の継続時間とは、図2に示す如く異なっている。よって、軌道長は、クオリティゲージに含まれるため、ワンピースの軌道T1と三分割軌道T2との比較は、矛盾している。また、具体的な状況に合わせることができないため、第一及び第三セグメントの継続時間が一定であることも更なる短所である。
【0038】
一方、三セグメントの速度軌道の算出は、本発明では、総継続時間tを維持した全セグメントの可変な継続時間において実施することが提案されている。各々のセグメントの継続時間は、クオリティゲージを最小化することによって実施される。クオリティゲージは、路程モデル乃至積分チェーンの入り口における制御変数の使用を評価し、この観点において、ワンピースの軌道を評価するためのクオリティゲージの積分部分に相当している。ここでは、ワンピース軌道と三分割軌道の軌道継続時間もクオリティゲージも矛盾していないため、重ねられた最適化は、直接的に交換できる。
【0039】
該三分割軌道が、予め定められた速度変化v-vを達成するためには、以下の等式が成り立たなければならない:
【0040】
【数1】
【0041】
軌道全長tは、セグメント継続時間Δt,ΔtとΔtの合計に相当する。第一及び第三セグメントの加速a及び加速aは、三次の多項式によって記述することができる。そして、上記の式のaとaを置き換えることで、Δtの二次方程式:
【0042】
【数2】
【0043】
が得られる。即ち、Δtとtをパラメータとして見なし、Δtを理にかなった値のΔt用に算出することで、三分割された軌道の要求される長さtが得られる。ここでは、Δtに二つの有効な解が得られた場合、小さい方の値が、より小さいクオリティゲージとなることが示されている。尚、継続時間Δtは、三分割軌道のクオリティゲージが最少となるように選択される。そのために、下位の最適化が実施される。第一ステップでは、Δt用の存在し得る解の範囲が割出される。初期値としては、ゼロ以下では無く、軌道長tよりも短い値とすることができる。Δtの二次方程式を解く際、実数且つ正の解のみが採用されるため、二つの不等式が得られる。三つ目の不等式は、Δtも正で無ければならないという条件から得られる。最適なΔtを見つけるため、第二ステップでは、二分法が採用される。これにより、数少ない計算ステップによって、ワンピース軌道に対する、最適化され且つそれに矛盾しない代替えが得られる。図3には、図2の例用の本発明に係る三分割軌道T3が示されている。図4は、ワンピース軌道T4の代替えとしての非対称な軌道T5が算出される更なる例が示されている。
【0044】
上述の問題は、路程軌道の場合においても重要である。路程軌道の場合、多項式が高次であるため、軌道は、加速制限の下限と上限の双方に抵触する可能性を有している。この様なケースでは、代替え軌道は、最多五つの軌道セグメントを有し、よって解析学的には計算することができない。実践においては、加速制限の下限を有効に利用することの方が大事である(例えば、駐車場へ出入りするシナリオ)。一方の加速制限のみを用いれば、速度軌道の場合と同様に、三分割軌道によって算出できる。
【0045】
その際、第一及び第二軌道セグメントaとacstは、速度軌道の場合と同じであるが、第三セグメントは、五次多項式によって、望まれる最終速度vの最終状態へと導かれる。この三分割軌道が、予め定められた距離s-sを達成できるためには、以下の等式が満たされていなければならない:
【0046】
【数3】
【0047】
加速aを開始後に得られる速度vは、Δtの二次方程式:
【0048】
【数4】
【0049】
から得られる。即ち、Δtとtは、パラメータとして見なされている。但し、路程軌道では、Δtに二つの有効な解があっても、小さい方がより小さなクオリティゲージとなるか否かは、予見できない。よって、双方の解を調べなければならない。Δtの解の範囲は、不等式を用いることで限定できる。図5には、ワンピースの路程軌道T6を、三分割軌道T7によって置き換えた実施例が示されている(上:路程、中:速度、下:加速)。本発明に係る三分割軌道T7(点線)は、一例として、以下の軌道から構成されている:
【0050】
【数5】
【0051】
複数分割の路程軌道を計画する代案的方法は、三分割の速度軌道を積分することによって得られる。軌道最終時点のバリエーションと結果として得られる最終的間隔から、ワンピース路程軌道を近似する、即ち、ワンピース軌道に似通った軌道を見つけることができる。
【0052】
更に、軌道計画用にターゲット状態を予め与えることができる。この際、追従走行時の目標間隔は、以下の等式によって割出すことができる:
【0053】
【数6】
【0054】
式中、dstopは、停止中のターゲット車両に対する間隔、速度vは、ターゲット車両の速度、「headway」は、時間的空白を表している。更に、ターゲット車両の未来の動きも、加速at,0が一定であると仮定すれば、予測できる。
【0055】
【数7】
【0056】
ここでは、測定された間隔は、dと表記される。自車両の目標位置sから、予測されたターゲット車両の位置と目標間隔から、以下の式に従って割出される:
【0057】
【数8】
【0058】
この式の微分は、残っている目標状態であるv(速度)やa(加速)を、例えば、以下の式によって算出できる:
【0059】
【数9】
【0060】
図6は、一台のターゲット車両の状態の推移(路程乃至間隔(上)、速度(中)及び加速(下))とそこから得られる目標状態が示されている。ターゲット車両の状態は、黒の実線、間隔方程式の軌道計画用のターゲット状態は、黒の点棒線、そして、マス・スプリング・ダンパ・システムのフィルタ(破線)で示されている。ターゲット車両の加速が変化した場合、予測された目標速度は、-a*「headway」分、ジャンプする。よって、ターゲット車両の制動開始時(例えば、12sから17s)では、突然、ターゲット車両のそれよりも高いターゲット速度が要求される。その結果、軌道計画は、この高い速度に達するための解を見つける、即ち、該車両は、徐々に縮小する目標間隔に引き寄せられる。逆に、予測されたターゲット車両が停止する場合、目標速度はゼロにジャンプする。この目標状態プリセットにおけるジャンプは、不利なことに、車両が、高い速度且つ狭い間隔で、制動している乃至停止しているターゲット車両に接近する結果につながる。更には、ターゲット車両が停止状態から発進する時は、目標間隔が、大きくなり、計画用の設定値が、一定時間、負の速度になり、よって、停止している車両をバックさせる可能性がある。
【0061】
この際、本方向のある実施形態バリエーションでは、ターゲット車両に帰属するバーチャルなマス・スプリング・ダンパ・システムが挿入される、乃至、設けられる(図7)。目標間隔dは、その際、スプリング長Iに相当するが、cは、ばね定数を表している。マスmの状態xが、計画用の新しい目標状態として用いられる。これは、全ての状態において矛盾しないターゲット車両状態のフィルタである。図6には、フィルタリングされた目標状態が示されている。ターゲット車両が制動する場合(12sから17sの間)、目標速度は、ジャンプすること無く徐々に目標値に移行する。これにより、予め定められている間隔は、算出された目標間隔より多少大きくなり、目標速度と目標加速に非恒常性が現れること無く、停止状態までの制動を可能にする。本発明には、他の具体的には挙げられていない形態やスプリングとダンパの組み合わせも包含されることは明記しておく。この様なフィルタリングを実施することにより、隊列安定性を達成できる。
【0062】
尚、ダイナミックなサーチ空間を設けることは、理にかなっている。サーチ空間をラスタ化することにより、算出された軌道により、最適化問題の解が、いかに正確に近似できたかを割出すことができる。細かいラスタは、低い計算要求と常に相反している。しかし、特定の状況下では、サーチ空間内に有効な解を得るために非常に細かいラスタが必要とされる。
【0063】
一定且つ荒いラスタの短所は、最適化パラメータが、見つかった軌道に、連続的に影響を与えられないことである。パラメータの変更は、他のラスタ点が、現在のラスタ点よりも低いクオリティゲージを示すまでは、軌道の変更に寄与しない。この挙動は、アプリケーションを阻害し、直感的な行動を妨害する。よって、アダプティブなサーチ空間が、提案される。これは、ラスタ点は、最善の解の近傍に遠い領域よりもより多くのラスタ点が存在するように移動されると解釈できる。一方、ターゲット状態のジャンプするような変化に迅速に反応できる様に、ラスタ点が、サーチ空間全体にあることも重要である(例えば、ターゲット・オブジェクトが変わる、ターゲット・オブジェクトの急ブレーキなど)。最適化の複数のサイクルに渡るラスタ点の回帰的な適合により、選択された点の周りのラスタ化を細かくし、これにより、「最適」に近づけることができる。しかしながら、有効な解が見つからない場合もあり得る。現在の解の周りのラスタ点への集中は、静的乃至動的に実施できる。他の方法としては、発生的最適化が挙げられる。ここでは、固定的な、フリーにロードされた、及び、フリーにロードされ得ていない粒子が用いられる。固定的粒子は、サーチ空間を限定し、フリーな粒子は、最適への方向に繰り返し、ロードされた粒子は、解の領域をカバーする。ここでは、各々のタイムステップが、一つの世代を示している。尚、粒子は、数百の繰り返し後も、一点には集中しないことが実用的である。発生的最適化においては、時間の経過による「最適」のシフトも考慮されることができる。
【0064】
本発明のある更なる実用的な形態によれば、「STOP&GO機能」、特に好ましくは、ACC制御を設けることも可能である。尚、この様なSTOP&GO機能用の車両は、先行車の停止状態まで追従し、先行車が発進した場合、再び発進する。停止プロセスは、停止直前の定義された「徐行」(即ち、非常に低速な前進)によって、快適且つ再現可能に設定することが可能である。
【0065】
ターゲット車両状態の上述のフィルタリングは、好ましくはドライバーが熟知している、目標状態を生成する。フィルタリングされていないターゲット車両データを基にしたこの様なターゲット状態の予測が、停止状態から発進するターゲット車両に追従する場合、負のターゲット速度にジャンプしてしまう一方、本件において開発されたターゲット車両データのフィルタリングによれば、常に正であるターゲット速度とターゲット路程設定の連続的な目標状態が得られる。通常の追従(速度v>0km/h)において、ターゲット車両加速が(正あるいは負に)急激に変化した際も、同様のことが言える。
【0066】
ターゲット車両の後ろで、停止状態まで制動した場合、荒すぎるラスタ化が原因で、ターゲット点の集合内に適切なターゲット点が存在しないことが起こり得る。早すぎる場合、急激な制動が必要となるが、遅すぎる場合は、短期的な後進につながる。常に変化するターゲット車両データとそれによって必要となる軌道の調整のために、適した解がサーチ空間内に見つからないタイムステップが存在し得る。通常これは、停止寸前の制動の最終段階で起こるが、クリティカルな状況につながる。常に妥当なターゲット点を最適化のサーチ空間内に確保できるように、サーチ空間のラスタ点は、アダプティブに、例えば、粒子群によって、変化される。前述のターゲット車両データのフィルタリングとの組み合わせにおいてこれは、変化するターゲット状態に対する計画の堅牢性を高め、且つ、停止挙動も改善する。
【0067】
更に、「潜る」と言う選択肢がないため停止プロセスの設定、乃至、制御は非常に困難である。生じ得る制御誤差(計画された軌道と実際に走行した軌道との誤差)を修正することは、負の速度を有する(後進する)区間を前提としなければならないことが多々あるため、非常に困難となり得る。発生した制御誤差を補正するために、様々な拡張が考えられ、且つ、個別に用いる或いはそれらを組み合わせることによって、例えば、低速時には、軌道計画のターゲット状態を調整する、及び/或いは、一定速度のプラトーを実装する、及び/或いは、非常に低速な場合は、軌道計画をバーチャル・バンパによってオーバーライトすることなどによって、停止挙動を改善できる。
【0068】
加速プラトーを実装する場合、計画に、最終的な停止状態になる前に定義された中間状態をとることができる。そしてこれを、場合によっては存在している制御誤差、特に、ターゲット車両に対する間隔をその中で調整できる言うならば「バッファゾーン」とすることで、安全な発進を保証できる。プラトーからのターゲットに対して正確な停止状態への移行は、例えば、先もって制御される加速プロファイルによって実施できる。この様な手順の付加的な長所は、一般的な軌道計画とは別に個別の停止挙動を実装できると言う選択肢が得られることである。
【0069】
バーチャル・バンパは、自車両(xego)とターゲット車両との間にバーチャル的に固定された乃至配置されたスプリング・ダンパ・システムを示している(図8参照)。適切に設計することによって、車両は、停止に至るまで、予め与えられているターゲット車両までの間隔内において制動し、低速時には追従し、ターゲット車両の後ろでも、再発進できる様になる。目標間隔の前もった乃至前ステップにおける例えば、スプリング・ダンパ・システムを用いたフィルタリングにより、バーチャル・バンパへの転送に適した状態を得ることができる。更にバーチャル・バンパは、第一計画において、解空間内に軌道を見つけることができない場合における、確実なフォールバック・レベルも提供する。
【0070】
要約すれば、調整レイヤのモジュール構成は、独立したパラメータ化と個々の機能の実装を、同じパラメータ・アーキテクチャの使用において可能にし、これにより、将来的な機能に対するシステムの容易な拡張性も可能にする。従来の技術を基にして、三分割軌道のコンセプトは、以下の如く、刷新される乃至拡張される:これまでは、例えば、加速軌道の勾配は、予め固定的に与えられていたが、ここでは、下位の最適化によって、軌道の任意の開始条件と終了条件に常にマッチするように選択される。また、量産用途における実装性の更なる向上のために、軌道計画の調整乃至パラメータ化レイヤと計画レイヤの二つのレイヤ乃至レベルへが分割されている。計画レイヤが、フリー走行と追従走行用の軌道の実際の計算、並びに、これら作動モード間の切り替えを実現しているが、一方のパラメータ化レイヤは、軌道特性の状況に応じた、例えば、最適化パラメータのゲインやスケジューリングなどによる調整を可能にしている。パラメータ化レイヤが非常に重要であることは、特に、人の走行プロファイルを観察することによって明確になる。該最適化は、クオリティゲージの観点からは最適な軌道を提供することはできるが、その推移は、人であるドライバーにとって慣れ親しんだものでない可能性もある。これは、特に、軌道推移の数学的な最適と人が感じる最適に差異があるために起こる。そのため、車両が、例えば、非常に低速で走行していたとしても(例えば、停止する前や徐行時)、最適に制御されるように、例えば、本発明に係る軌道計画と他の制御手段(例えば、バーチャル・バンパのコンセプト)との間を切り替えることができる様に設定された「Full-Speed-Range-ACC」が設けられていることも可能である。特に低速領域では、良好に緩衝する制御挙動は、例えば、最適化に基づいたACC制御コンセプトによる隊列安定性を保証するためには、重要である。加えて、例えば、低速車線上での追い抜きを回避すること、或いは、カーブ前でのブレーキングなど、各々のアシスタント・システム(例えば、ACC,EBAなど)の基本機能の拡張を、想定することも可能である。また、本発明に係る方法は、各々の移動手段の制御ストラクチャに依存することなく、採用することができ、該移動手段の横方向への動きを考慮する方法を提供し、例えば、ACCシステムを、自動化された走行、或いは、自律走行の起点とすることに貢献できる。
【符号の説明】
【0071】
T1 ワンピースの軌道(従来の技術)
T2 三分割の軌道(従来の技術)
T3 三分割の軌道
T4 ワンピースの軌道(従来の技術)
T5 三分割の軌道
T6 ワンピースの軌道(従来の技術)
T7 三分割の軌道
1 調整レベル
2 計画レベル
3 軌道選択モジュール
4 速度モジュール
5 間隔アシスタントモジュール
6 速度制御モジュール
7 速度制限アシスタントモジュール
8 カーブアシスタントモジュール
9 速度計画手段
10 間隔計画手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】