(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】複数のエネルギービームのための輪郭形成を最適化する三次元プリントシステム
(51)【国際特許分類】
B22F 12/45 20210101AFI20220210BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220210BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220210BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220210BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20220210BHJP
B22F 10/80 20210101ALI20220210BHJP
B22F 10/31 20210101ALI20220210BHJP
【FI】
B22F12/45
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F10/28
B22F10/80
B22F10/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537185
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019064440
(87)【国際公開番号】W WO2020139526
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520106345
【氏名又は名称】レイヤーワイズ エヌヴェ
【氏名又は名称原語表記】LayerWise NV
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ナチケタ
(72)【発明者】
【氏名】プラス,ジャン
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
三次元(3D)物品を形成するためのシステム(2)は、粉末ディスペンサ(14)、溶融装置(16)、およびコントローラ(20)を備える。複数のエネルギービーム(18)は、第1のビームおよび第2のビームを含む。コントローラは、粉末ディスペンサを作動して粉末層(15)を分配し、溶融装置を作動して当該粉末層を選択的に溶融するよう構成される。溶融装置を作動する工程は、第1のビームを作動して粉末層の第1の領域の上に第1のハッチパターン(32)を溶融する工程、および、少なくとも第2のビームを作動して当該ハッチパターンの境界となる輪郭(30)を溶融する工程を含む。輪郭は、当該輪郭に沿ったN回の走査から形成される。Nは、少なくとも1つに等しい整数である。Nは、エネルギービームの少なくとも2つの間の側方アラインメント不確実性により決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)物品を形成するシステムであって、該システムが、
個々の粉末層を連続的に分配する粉末ディスペンサ;
第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査し、前記粉末層を選択的に溶融する溶融装置;および
コントローラ
を備え、
前記コントローラは、非揮発性メモリに接続されたプロセッサを含み、前記メモリはソフトウェア命令を記憶し、前記プロセッサによる実行に応じて前記ソフトウェア命令によって前記コントローラは、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融する工程は、
前記第1のビームを作動して前記粉末層の第1の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動して前記第1のハッチパターンの境界となる輪郭を溶融する工程であって、前記輪郭は該輪郭に沿ったNの走査から形成され、Nは1以上の整数であり、Nは前記エネルギービームの少なくとも2つの間の側方アラインメント不確実性により特定される、工程
を含む、システム。
【請求項2】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記コントローラがさらに、前記第3のビームを作動して、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記溶融装置が、構築平面の上で粉末を処理および溶融するよう動作可能であり、前記複数のエネルギービームの少なくとも1つが、構築平面全体を処理するよう動作可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラがさらに、
前記側方アラインメント不確実性を特定または受信し;かつ
前記側方アラインメント不確実性に基づいてNを計算する
よう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に概して比例することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のビームが第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
三次元(3D)物品を製造する方法であって、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定する工程;および
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定する工程
を含み、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配する工程;および
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程
をさらに含み、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記方法がさらに、前記第3のビームを作動して前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融する工程を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
三次元(3D)物品を製造するためのコンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータ可読記憶媒体が、非一過性であり、内部に記憶されるコンピュータ可読プログラムコード部分を有し、プロセッサによる実行に応じて前記コンピュータ可読プログラムコード部分によって三次元(3D)プリントシステムは、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定し;かつ
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定し、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記プロセッサによる実行に応じてさらに、三次元(3D)プリントシステムが、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;かつ
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記プロセッサによる実行によってさらに、前記三次元(3D)プリントシステムが、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この非仮特許出願は、U.S.C.119(e)の下でここに参照することによって援用される、2018年12月27日出願のNachiketa Rayらによる「THREE-DIMENSIONAL PRINTING SYSTEM OPTIMIZING CONTOUR FORMATION FOR MULTIPLE ENERGY BEAMS」と題された米国仮特許出願第62/785,317号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、粉末材料を用いて三次元(3D)物品をデジタル製作するための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、物品の表面および表面下の品質および精度を改良する製造シーケンス(sequence)に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元(3D)プリンタシステムは、試作および製造の目的で使用が急速に増加している。三次元プリンタの1つの種類は、層ごとの(layer-by-layer)処理を用いて、粉末材料から製造対象の三次元物品を形成する。粉末材料の各層は、レーザ、電子、または粒子ビームのようなエネルギービームを用いて選択的に溶融される。より高い生産性のプリンタは、複数のエネルギービームを利用しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のエネルギービームを用いる1つの課題は、境界または輪郭における1つのエネルギービームの使用から別のエネルギービームへの移行である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様において、三次元(3D)物品を形成するためのシステムは、粉末ディスペンサ、溶融装置、およびコントローラを備える。粉末ディスペンサは、個々の粉末層を連続的に分配するためのものである。溶融装置は、分配された粉末層の上面である構築平面に亘って複数のエネルギービームを生成および走査するよう構成される。複数のエネルギービームは、第1のビームおよび第2のビームを含む。コントローラは、粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し、溶融装置を作動して当該粉末層を選択的に溶融するよう構成される。溶融装置を作動する工程は、第1のビームを作動して粉末層の第1の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程、および、少なくとも第2のビームを作動して当該ハッチパターンの境界となる輪郭を溶融する工程を含む。輪郭は、当該輪郭に沿ったN回の走査から形成される。走査は、様々の方向の軸Sに沿って走査され、しばしばSに垂直な横軸Tによってオフセットされて、横軸に関して輪郭を広げる。Nは、少なくとも1に等しい整数である。Nは、エネルギービームの少なくとも2つの間の側方アラインメント不確実性(lateral alignment uncertainty)により決定される。
【0006】
側方アラインメント不確実性は、較正処理中に特定できる。較正処理は、連続的に行われてもよく、周期的に行われてもよい。較正処理は、複数のエネルギービームを互いに関して側方にアラインメントをとる工程を含む。側方にアラインメントをとるとは、所定のセットの入力座標について、複数のビームが概して構築平面上の単一の位置に衝突することを意味する。較正処理はまた、平均位置の周りにおけるビームのアラインメントの側方の位置変動を特定する工程を含む。任意の2つのビームについてのアラインメント不確実性は、2つのビームの結合側方位置変動と等しい。この結合位置変動は、1、2または3標準偏差と等しくてもよい(ガウス変動(gaussian variability)を想定して)。
【0007】
複数のエネルギービームの数は変動しうる。複数のエネルギービームは、第3のビームを含んでもよい。コントローラは、第2のビームを作動して、輪郭を溶融する前または後に、第2のハッチパターンを溶融することができる。コントローラは、第3のビームを作動して、粉末層の第3の領域の上に第3のハッチパターンを溶融することができる。溶融装置は、側方構築平面の上で粉末を処理し溶融するよう動作可能である。エネルギービームの少なくとも1つは、構築平面全体を処理するように動作可能である。複数のエネルギービームの作動は、同時でもよい。
【0008】
1つの実装形態において、コントローラは、側方アラインメント不確実性を特定し、当該アラインメント不確実性に基づいてNを計算するよう動作可能である。Nは、側方アラインメント不確実性に単調に関連しうる。Nは、側方アラインメント不確実性に概して比例してもよい。Nに輪郭走査の溶融幅を乗じたものは、側方アラインメント不確実性に少なくとも等しい。
【0009】
別の実装形態において、コントローラは、粉末ディスペンサおよび溶融装置を含む3Dプリンタハードウェアと物理的に一体化するまたはそれに収容される統合モジュールである。
【0010】
さらに別の実装形態において、コントローラは、ローカルコントローラ、ホストデバイス、モバイルデバイス、および遠隔サーバの2つ以上を含む多くの異なるデバイス間に割り当てられる。ローカルコントローラは、粉末ディスペンサおよび溶融装置を含む3Dプリンタハードウェアと物理的に一体化するまたはそれに収容されてもよい。ホストデバイスは、3Dプリンタハードウェアと別個に収容されるデスクトップコンピュータでもよい。モバイルデバイスは、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または別の携帯型クライアント装置でもよい。遠隔サーバは、3Dプリンタハードウェアに局所的なシステムの部分によりインターネットによってアクセス可能でありうる。
【0011】
本開示の第2の態様において、3D物品を製造する方法は、システムについて側方アラインメント不確実性を特定する工程およびハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定する工程を含む。システムは、粉末ディスペンサおよび溶融装置を含む。粉末ディスペンサは、個々の粉末層を連続的に分配するためのものである。溶融装置は、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査し、粉末層を選択的に溶融するためのものである。側方アラインメント不確実性は、少なくとも第1のビームおよび第2のビームに関する。数Nは、少なくとも0に等しい整数である。決定は、側方アラインメント不確実性に基づく。複数のエネルギービームは、第3のビームを含んでもよい。
【0012】
1つの実装形態において、本発明の方法はさらに、粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配する工程、および、溶融装置を作動して分配された粉末層を選択的に溶融する工程を含む。溶融装置を作動する工程は、複数のエネルギービームを作動する工程を含み、少なくとも第1のビームを作動して粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程および少なくとも第2のビームを作動して輪郭に沿ってN回の連続的な走査を用いて輪郭を溶融する工程を含む。複数のエネルギービームは、第3のビームを含んでもよい。ビームを作動する工程は、少なくとも部分的に同時でもよい。溶融装置を作動する工程は、第2のビームを作動して、輪郭を溶融する前または後に、第2のハッチパターンを溶融する工程を含んでもよい。溶融装置を作動する工程は、第3のビームを作動して第3のハッチパターンを溶融する工程を含んでもよい。
【0013】
別の実装形態において、Nは、側方アラインメント不確実性に単調に関連しうる。Nは、側方アラインメント不確実性に比例してもよい。Nに溶融幅を乗じたものは、側方アラインメント不確実性に少なくとも等しくなりうる。
【0014】
本開示の第3の態様において、コンピュータ可読記憶媒体が、三次元(3D)物品を製造するためのものである。コンピュータ可読記憶媒体は、非一過性であり、内部に記憶されるコンピュータ可読プログラムコード部分を有する。プロセッサによる実行に応じて、コンピュータ可読コード部分は、3Dプリントシステムに、システムについての側方アラインメント不確実性を特定させ、輪郭を形成するための走査の数Nを決定させる。システムは、粉末ディスペンサおよび溶融装置を含む。粉末ディスペンサは、個々の粉末層を連続的に分配するためのものである。溶融装置は、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査し、粉末層を選択的に溶融するためのものである。側方アラインメント不確実性は、少なくとも第1のビームおよび第2のビームに関する。数Nは、少なくとも0に等しい整数である。決定は、側方アラインメント不確実性に基づく。複数のエネルギービームは、第3のビームを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】三次元(3D)物品を作製するための三次元(3D)プリントシステムの概略ブロック図
【
図2】複数のエネルギービーム間の側方アラインメント不確実性に基づき輪郭を形成するために必要な輪郭走査の数を特定するための、コントローラによって実行される方法の実施形態を示すフローチャート
【
図3】選択的に溶融されている粉末層の水平断面の実施形態を示す図
【
図4】輪郭走査の数Nが1に等しい、輪郭およびハッチパターンを示す図
【
図5A】ハッチパターンが輪郭の溶融幅の外側に伸長し表面粗さを増加する、単一の走査輪郭およびハッチパターンを示す図
【
図5B】ハッチパターン溶融パターンが輪郭溶融パターンと交わらず表面欠陥が生じる、単一の走査輪郭およびハッチパターンを示す図
【
図6】輪郭が3つの輪郭走査から形成される、輪郭およびハッチパターンを示す図であって、3つの輪郭走査は、変動軸Sに沿って走査され、横軸Tに沿って互いに相互オフセットされる、図
【
図7】輪郭が5つの輪郭走査から形成される、輪郭およびハッチパターンを示す図であって、5つの輪郭走査は、変動軸Sに沿って走査され、横軸Tに沿って互いに相互オフセットされる、図
【
図8】三次元(3D)物品を製造する方法を示すフローチャート
【
図9】三次元(3D)物品を製造する特定の方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、三次元物品4を作製するための三次元プリントシステム2の概略ブロック図である。システム2の説明において、互いに直交する軸X、Y、およびZを用いてもよい。軸XおよびYは横軸であり、概して水平方向である。さらに、互いに直交する軸SおよびTを用いてもよい。軸Sは、輪郭に沿って変動する方向を説明するために使用される。軸Tは、Sを横切る。軸Zは垂直軸であり、概して重力参照(gravitational reference)とアラインメントされる。「概して」によって、量、寸法の比較、または方向の比較のような測定が、設計によるものでありかつ製作公差内であるが、したがって正確ではないかもしれないことが意味される。
【0017】
システム2は、電動プラットフォーム8を有する構築モジュール6を備える。電動プラットフォーム8は支持表面10を有し、その上に三次元物品4が形成される。電動プラットフォーム8は、最適な高さで上面12(物品4の上面または表面10のいずれか)を垂直方向に位置付けるように構成され、粉末ディスペンサ14が上面の上に粉末15の層を分配することを可能にする。例示的な実施形態において、電動プラットフォーム8は、粉末15の層が分配される前または後に下降される。
【0018】
例示的な実施形態において、ディスペンサ14は、電動プラットフォーム8の上に金属粉末の層を分配する。層は任意の実用的な厚さでもよいが、典型的な層厚は10~100マイクロメートルの範囲内でありうる。より詳細には、典型的な厚さは20~50マイクロメートルの範囲内でありうる。
【0019】
溶融装置16は、分配された粉末15の上面12に亘って複数のエネルギービーム18を形成および走査し、粉末15を選択的に溶融するよう構成される。エネルギービーム18は、高出力光ビーム、粒子ビーム、または電子ビームでありうる。金属粉末の溶融のために、100ワット超の出力レベルを有するビームを出力するレーザが典型的である。いくつかのレーザは、500ワット、1000ワット、または1キロワット超を出力しうる。溶融装置16は、表面12に亘ってレーザビーム18を形成および走査するためのレーザ形成オプティクスおよび走査オプティクスを含んでもよい。
【0020】
ある実施形態において、複数のエネルギービーム18は、少なくとも第1のビームおよび第2のビームを含む。複数のエネルギービームはさらに、第3のビーム、または任意の数のビームを含んでもよい。複数のエネルギービーム18はそれぞれ、独立しておよび同時に制御および走査されてもよい。溶融装置16は、分配された粉末15の上面12に概して近接するまたは一致する、横方向に伸長する「構築平面」19の上にエネルギービームを走査するよう構成される。構築平面19は、横方向の範囲を画定し、その上で複数のエネルギービーム18が動作しうる。特定の実施形態において、少なくとも1つのエネルギービーム18が構築平面19全体を処理しうる。いくつかの実施形態において、2つ以上のエネルギービーム18がそれぞれ構築平面19全体を処理してもよい。
【0021】
複数のエネルギービームは、側方アラインメント不確実性を有する。これは、2つのビームについて画定しうる。2つのビーム(重心により画定される)を用いて構築平面上の同じ位置を処理しようとする場合、側方アラインメント誤差が存在する。この誤差は、他の機械公差と共に操作メカニズムの動きの可変性によって変化しうる。各ビームを特定の点に繰り返し集めるようとする場合、側方アラインメント公差は、実際の位置の3標準偏差によって境界付けられる円と同等でありうる。
【0022】
電動プラットフォーム8、粉末ディスペンサ14、および溶融装置16は全て、コントローラ20の制御下である。コントローラ20は、情報記憶装置に接続されるプロセッサを含む。情報記憶装置は、ソフトウェア命令を記憶する非一過性または非揮発性記憶装置を含む。プロセッサにより実行される際に、ソフトウェア命令は、電動プラットフォーム8、粉末ディスペンサ14、および溶融装置16を含むシステム2のさまざまの部分を制御する。ソフトウェア命令は、コンピュータ可読のコード部分とも称される。情報記憶装置は、コンピュータ可読記憶媒体とも称される。
【0023】
コントローラ20は、統合モジュールでもよく、互いに電気的にまたは無線で接続される複数のコンピュータを含んでもよい。特定の実施形態において、コントローラ20は、システム2の他の部分、ホストコンピュータ、および遠隔サーバと物理的に統合されたローカルコントローラを含む。したがって、コントローラ20が複数コンピュータ間に分配される場合、コントローラ20の動作中にアクセスされ利用されるプロセッサおよび情報記憶装置が分配されうる。
【0024】
図2は、コントローラ20により実行される方法22の実施形態を示すフローチャートである。24に従って、コントローラは、複数のエネルギービーム18の少なくとも2つの異なるエネルギービーム18間の側方アラインメント不確実性を評価する。アラインメント不確実性は通常、構築平面19内で軸Tに沿って画定される。ある実施形態において、側方アラインメント不確実性は、エネルギービーム18の2つ以上の対について評価できる。代替的な実施形態において、ユーザは、側方アラインメント不確実性を入力できる。
【0025】
26に従って、横方向のオフセット走査の数Nが、輪郭を形成するために選択される。数Nは、少なくとも部分的に側方アラインメント不確実性に基づいて選択される。1つの実施形態において、Nについて選択された値は、側方アラインメント不確実性の単調に増加する関数でもよい。別の実施形態において、Nについて選択された値は、側方アラインメント不確実性に概して比例してもよい。さらに別の実施形態において、Nについて選択された値に溶融幅を乗じたものは、側方アラインメント不確実性に少なくとも等しい。溶融幅は、エネルギービームが軸Sに沿って走査する際の横軸Tに沿った融合幅として画定される。
【0026】
工程24の一部として、溶融装置16は、較正処理を用いて較正されてもよい。較正処理の一部は、エネルギービーム18を側方にアラインメントをとることである。ビーム18を側方にアラインメントをとるために使用できる多くの技術がある。1つの実施形態において、検出システム(図示せず)を提供して、構築平面19に位置する基板表面上のどこにエネルギービームが衝突するかを検出する。個々のビームについて、コントローラは、溶融装置16を方向づけ、表面上の特定の位置に衝突するようビームを方向付ける。次いで、検出システムは、衝突の実際の位置を特定する。コントローラ20は、実際の位置を意図された位置と比較し、次いで、XおよびYにおける横方向の誤差を計算する。これは、平均誤差および標準偏差を特定するために何度も繰り返されてもよい。異なるビーム18についての平均誤差を用いてビームのアラインメントをとることができる。標準偏差(単一の意図された位置についての横方向の変動)を用いて側方アラインメント不確実性を特定することができる。
【0027】
図3は、選択的に溶融されている粉末層15の水平断面を示す図である。図示された実施形態において、ハッチパターン32を囲む外側輪郭30を用いて、楕円形状が溶融されている。図示された実施形態において、矢印は、輪郭を形成するための可変走査方向Sを示す。図示された実施形態において、ハッチパターン32は、第1のエネルギービーム18により形成される。
【0028】
図示された実施形態において、ハッチパターン32は、ビーム走査の往復処理およびシーケンスを含み、ハッチパターン内の粉末15の全領域を固化する。往復処理は、隣接する走査について反対のまたは逆の矢印の方向によって
図3に示される。図示されたハッチパターンは、ハッチパターン32の全高さを下方に走査し、次いで、溶融幅だけ右側に増分して、ハッチパターン32の全高さについて上方に走査し、次いで、溶融幅だけ右側に増分し、以下同様である。走査は垂直なものとして図示されるが、水平方向の走査間で垂直方向の増分的な移動をする水平方向でもよい。走査はまた、XおよびYに関して斜めでもよい。増分的な溶融幅移動は、概して、走査方向に必ずしも正確に横方向ではない。
【0029】
輪郭30は、第2のエネルギービーム18によって形成される。輪郭30を形成するために使用される走査数Nは、第2のビーム18に関する第1のビーム18の側方アラインメント不確実性の関数である。別の例示的な実施形態において、第1のエネルギービーム18を利用して、ハッチパターン32の第1の部分を形成する。第2のエネルギービーム18を使用して、輪郭30およびハッチパターン32の第2の部分を形成する。第1および第2のエネルギービーム18は、同時に作動する。
【0030】
図4は、輪郭走査の数Nが1に等しい、輪郭30およびハッチパターン32を示す図である。ハッチパターン32は、第1のエネルギービーム18の走査の連続シーケンス34から形成される。エネルギービーム18が走査をする際、走査方向に横方向であり、走査間の横方向距離以上である大きさを有する溶融幅が存在する。
【0031】
軸Sに沿った第2のエネルギービーム18の単一の輪郭走査36は、輪郭30を画定する。この実施形態において、第1と第2のエネルギービーム18間の側方アラインメント不確実性は十分に小さく、単一の走査によって優れた材料特性および輪郭30に沿った円滑な仕上げが提供される。
【0032】
図5Aおよび5Bは、側方アラインメント不確実性を示す図であり、2つ以上の輪郭走査36が必要とされるが、単一の輪郭走査のみが説明のために用いられる。
図5Aについて、ハッチ走査34は、+T方向に極端にかつ単一走査36輪郭30の外側の領域に伸長する。その結果、3D物品4の外面における表面粗さが増加する。
図5Bについて、ハッチ走査34は、+T方向に十分には伸長しない。ハッチ走査34の溶融ゾーンは、輪郭走査36の溶融ゾーンに到達しない。その結果、輪郭30とハッチパターン32との間に未溶融の粉末が存在する。その結果、表面下の欠陥が生じ、3D物品4の表面近くの材料が該して弱くなる。
【0033】
図6は、N=3であるハッチパターン32および輪郭30を示す図である。ハッチ走査34の名目上の(nominal)(指定の)アラインメントも図示される。N=3にすることによって、Tに沿った側方アラインメント不確実性が、最大で輪郭走査36の溶融幅の1~1.5倍に概ね等しくなることが可能となる。実際には、輪郭走査36はオーバーラップを有し、3つの輪郭走査36が輪郭30の幅の少なくとも2倍である。
【0034】
図7は、N=5であるハッチパターン32および輪郭30を示す図である。ハッチ走査34の名目上の(指定の)アラインメントも図示される。N=5にすることによって、Tに沿った側方アラインメント不確実性が、最大で輪郭走査36の溶融幅の1.5~2.5倍になることが可能となる。実際には、輪郭走査36はオーバーラップを有し、5つの輪郭走査36が、単一の走査に関する輪郭30の幅の少なくとも3倍である。
【0035】
図8は、3D物品4を製造する方法40を示すフローチャートである。42に従って、コントローラ20は、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービーム18間の側方アラインメント不確実性を評価する。44に従って、輪郭走査の数Nは、少なくとも側方アラインメント不確実性に基づいて決定される。
【0036】
46に従って、コントローラ20は粉末ディスペンサ14を作動し、粉末層15を分配する。48に従って、コントローラ20は少なくとも第1のエネルギービームを作動し、構築平面19の上でハッチパターン32を走査して3D物品4の領域を固化する。50に従って、コントローラ20は少なくとも第2のエネルギービームを作動し、変動する輪郭軸Sに沿ったNの別個の走査を用いて輪郭30を固化する。Nの別個の走査は、横軸Tに沿って互いに横方向にオフセットされる。横軸Tに沿った輪郭Sの全体の幅は、Nに溶融幅を乗じたものから走査の累積オーバーラップを減じたものに等しい。工程46~50は、選択的に溶融された粉末のそれぞれの層について繰り返される。
【0037】
ある実施形態において、工程48は工程50の前に起こる。別の実施形態において、工程48および50は同時に起こる。さらに別の実施形態において、工程48は工程50の後に起こる。異なるバリエーションが可能である。これらの工程に必要な時間を最小限にするために、工程48と50との間の時間的なオーバーラップまたは並行処理が好ましい。
図9は、そのようなバリエーションをより詳細に説明することを意図される。
【0038】
図9は、3D物品4を製造する特定の方法60を示すフローチャートである。
図9の工程62~66は、
図8の工程42~46とそれぞれ同様である。
【0039】
工程68は、工程68A、68B、68C、および68Dのグループであり、これらの工程は、時間的な効率化のために少なくとも部分的に同時に起こり、特定の順序ではない。68Aに従って、第1のビーム18は第1のハッチパターン18を溶融する。68Bに従って、第2のビーム18は、変動する輪郭Sに沿ってNの別個の走査を用いて輪郭30を溶融する。Nの別個の走査は、横軸Tに沿って互いに横方向にオフセットされる。横軸Tに沿った輪郭Sの全体の幅は、Nに溶融幅を乗じたものから走査の累積オーバーラップを減じたものに等しい。68Cに従って、第2のビーム18を用いて第2のハッチパターン32を溶融する。68Dに従って、第3のビーム18を用いて第3のハッチパターン32を溶融する。工程66~68は、選択的に溶融された粉末層について繰り返される。
【0040】
上記で説明した具体的な実施形態およびそのアプリケーションは、専ら説明目的のためのものであり、特許請求の範囲に包含される変更形態およびバリエーションを除外するものではない。
【符号の説明】
【0041】
2 三次元プリントシステム
4 三次元物品
6 構築モジュール
8 電動プラットフォーム
14 粉末ディスペンサ
15 粉末
16 溶融装置
18 エネルギービーム
20 コントローラ
30 輪郭
32 ハッチパターン
34 ハッチ走査
36 輪郭走査
【手続補正書】
【提出日】2021-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)物品を形成するシステムであって、該システムが、
個々の粉末層を連続的に分配する粉末ディスペンサ;
第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査し、前記粉末層を選択的に溶融する溶融装置;および
コントローラ
を備え、
前記コントローラは、非揮発性メモリに接続されたプロセッサを含み、前記メモリはソフトウェア命令を記憶し、前記プロセッサによる実行に応じて前記ソフトウェア命令によって前記コントローラは、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融する工程は、
前記第1のビームを作動して前記粉末層の第1の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動して前記第1のハッチパターンの境界となる輪郭を溶融する工程であって、前記輪郭は該輪郭に沿ったNの走査から形成され、Nは1以上の整数であり、Nは前記エネルギービームの少なくとも2つの間の側方アラインメント不確実性により特定され
、該側方アラインメント不確実性は前記2つのビームの結合側方位置変動と等しい、工程
を含む、システム。
【請求項2】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記コントローラがさらに、前記第3のビームを作動して、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記溶融装置が、構築平面の上で粉末を処理および溶融するよう動作可能であり、前記複数のエネルギービームの少なくとも1つが、構築平面全体を処理するよう動作可能であることを特徴とする、請求項1
または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラがさらに、
前記側方アラインメント不確実性を特定または受信し;かつ
前記側方アラインメント不確実性に基づいてNを計算する
よう構成されることを特徴とする、請求項1
~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に
比例することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のビームが第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、請求項1
~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
三次元(3D)物品を製造する方法であって、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定する工程;および
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定する工程
を含み、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し
かつ前記2つのビームの結合側方位置変動に等しく、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配する工程;および
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程
をさらに含み、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記方法がさらに、前記第3のビームを作動して前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融する工程を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項9
~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、請求項9
~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項9
~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
三次元(3D)物品を製造するためのコンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータ可読記憶媒体が、非一過性であり、内部に記憶されるコンピュータ可読プログラムコード部分を有し、プロセッサによる実行に応じて前記コンピュータ可読プログラムコード部分によって三次元(3D)プリントシステムは、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定し;かつ
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定し、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記プロセッサによる実行に応じてさらに、三次元(3D)プリントシステムが、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;かつ
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記プロセッサによる実行によってさらに、前記三次元(3D)プリントシステムが、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、請求項15
または16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、請求項15
~17のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、請求項15
~17のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、請求項15
~17のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
上記で説明した具体的な実施形態およびそのアプリケーションは、専ら説明目的のためのものであり、特許請求の範囲に包含される変更形態およびバリエーションを除外するものではない。
他の実施形態
1. 三次元(3D)物品を形成するシステムであって、該システムが、
個々の粉末層を連続的に分配する粉末ディスペンサ;
第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査し、前記粉末層を選択的に溶融する溶融装置;および
コントローラ
を備え、
前記コントローラは、非揮発性メモリに接続されたプロセッサを含み、前記メモリはソフトウェア命令を記憶し、前記プロセッサによる実行に応じて前記ソフトウェア命令によって前記コントローラは、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末層を選択的に溶融する工程は、
前記第1のビームを作動して前記粉末層の第1の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動して前記第1のハッチパターンの境界となる輪郭を溶融する工程であって、前記輪郭は該輪郭に沿ったNの走査から形成され、Nは1以上の整数であり、Nは前記エネルギービームの少なくとも2つの間の側方アラインメント不確実性により特定される、工程
を含む、システム。
2. 前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記コントローラがさらに、前記第3のビームを作動して、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融するよう構成されることを特徴とする、実施形態1に記載のシステム。
3. 前記溶融装置が、構築平面の上で粉末を処理および溶融するよう動作可能であり、前記複数のエネルギービームの少なくとも1つが、構築平面全体を処理するよう動作可能であることを特徴とする、実施形態1に記載のシステム。
4. 前記コントローラがさらに、
前記側方アラインメント不確実性を特定または受信し;かつ
前記側方アラインメント不確実性に基づいてNを計算する
よう構成されることを特徴とする、実施形態1に記載のシステム。
5. Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、実施形態4に記載のシステム。
6. Nが、前記側方アラインメント不確実性に概して比例することを特徴とする、実施形態4に記載のシステム。
7. Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、実施形態4に記載のシステム。
8. 前記第2のビームが第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、実施形態1に記載のシステム。
9. 三次元(3D)物品を製造する方法であって、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定する工程;および
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定する工程
を含み、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、方法。
10. 前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配する工程;および
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程
をさらに含み、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
11. 前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記方法がさらに、前記第3のビームを作動して前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融する工程を含むことを特徴とする、実施形態10に記載の方法。
12. Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
13. Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
14. Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
15. 三次元(3D)物品を製造するためのコンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータ可読記憶媒体が、非一過性であり、内部に記憶されるコンピュータ可読プログラムコード部分を有し、プロセッサによる実行に応じて前記コンピュータ可読プログラムコード部分によって三次元(3D)プリントシステムは、
システムについて側方アラインメント不確実性を特定し;かつ
ハッチパターンの境界となる輪郭を形成するための走査の数Nを特定し、
前記システムは、個々の粉末層を連続的に分配するための粉末ディスペンサ、および、第1のビームおよび第2のビームを含む複数のエネルギービームを生成および走査して前記粉末層を選択的に溶融するための溶融装置を備え、前記側方アラインメント不確実性は、少なくとも前記第1のビームおよび前記第2のビームに関し、
Nは、少なくとも1に等しい整数であり、前記Nの特定は、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
16. 前記プロセッサによる実行に応じてさらに、三次元(3D)プリントシステムが、
前記粉末ディスペンサを作動して粉末層を分配し;かつ
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融し、
前記溶融装置を作動して前記粉末を選択的に溶融する工程が、
少なくとも前記第1のビームを作動して前記粉末層の領域の上に第1のハッチパターンを溶融する工程;および
少なくとも前記第2のビームを作動してNの走査を用いて輪郭を溶融する工程
を含むことを特徴とする、実施形態15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
17. 前記複数のエネルギービームが第3のビームを含み、前記プロセッサによる実行によってさらに、前記三次元(3D)プリントシステムが、前記粉末層の第2の領域の上に第2のハッチパターンを溶融することを特徴とする、実施形態15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
18. Nが、前記側方アラインメント不確実性に単調に関連することを特徴とする、実施形態15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
19. Nが、前記側方アラインメント不確実性に実質的に比例することを特徴とする、実施形態15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
20. Nに溶融幅を乗じたものが、前記側方アラインメント不確実性に少なくとも等しいことを特徴とする、実施形態15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】