(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】缶とそのための付勢部材
(51)【国際特許分類】
B65D 1/16 20060101AFI20220210BHJP
B65D 17/34 20060101ALI20220210BHJP
B65D 77/02 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B65D1/16 111
B65D17/34
B65D77/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537214
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 IL2019051427
(87)【国際公開番号】W WO2020141508
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2018-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(32)【優先日】2019-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521278210
【氏名又は名称】カニエル インダストリーズ エー.ティー.ジー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リーザー,タル
(72)【発明者】
【氏名】ギャベイ,アリー
(72)【発明者】
【氏名】イェミニ,リオル
(72)【発明者】
【氏名】アブラモヴィチ,オファー
(72)【発明者】
【氏名】サラン,メナヘム
(72)【発明者】
【氏名】ゴロドニツキー,パベル
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
3E093
【Fターム(参考)】
3E033AA07
3E033BA07
3E033CA20
3E033DD20
3E033FA01
3E033GA03
3E067AA04
3E067AA11
3E067AB01
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3E067FB13
3E067FC01
3E067GC02
3E067GC05
3E067GD01
3E093AA04
3E093BB01
3E093DD02
3E093EE05
(57)【要約】
少なくともの固形成分と少なくともの液状成分とを含む製品を缶に収容するために、付勢部材と、そのような付勢部材を缶の基部として使用する缶とを提供する。製品を有する缶は、少なくとも販売準備完了状態で、缶を気密封止し、かつ缶から製品を少なくとも部分的に取り出しできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、付勢部材によって構成される蓋の反対側の基部と、その間に延在する側壁と、を含む。付勢部材は、蓋が少なくとも部分的に開かれたときの缶の少なくとも使用時に、ユーザが付勢部材に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、ユーザによって付勢部材の状態を、缶が第1の収容容積を有する第1の状態と、缶が第1の収容容積よりも小さい第2の収容容積を有する第2の変形状態と、の間で変化させることを可能にするように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容する缶の基部として使用するための付勢部材であって、前記製品を有する前記缶が、販売準備完了状態にあるときに、前記基部に加えて、側壁と、前記缶を気密封止しかつ前記缶からの前記製品の少なくとも部分的な取り出しを可能にするように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、を有し、前記付勢部材が、金属材料を含みかつ基準面内にある周縁を有する本体を有し、前記周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが前記本体に、前記周縁から離間した場所で、付勢力を付与することによって、前記本体が所定の方向に付勢され、それにより、前記付勢部材の状態を第1の状態から第2の変形状態に変化させるように構成されており、両方の状態が、(a)前記本体と、(b)前記基準面に平行であり、かつ前記基準面から前記方向に、前記基準面と前記変形状態にある前記本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)前記第1の仮想面に垂直であり、かつ前記第1の仮想面と前記周縁との間に延在する、第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、前記容積が、前記本体の前記第1の状態における第1の容積、および前記本体の前記第2の変形状態における、前記第1の容積よりも小さい第2の減少した容積であり、前記付勢部材が、前記所定の付勢方向が前記缶の内側に向けられて、前記蓋が接続される端部とは反対側の端部で前記缶の前記側壁に前記付勢部材の周縁で固定的に接続されて、前記販売準備完了状態にある前記製品の入った前記缶に基部を構成するように構成されており、前記基部が、前記蓋が少なくとも部分的に開かれたときの前記缶の少なくとも使用時に、ユーザが前記基部に前記付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、前記缶の容積を、前記付勢部材の前記第1の状態での前記缶の第1の容積と前記付勢部材の前記第2の変形状態での前記第1の容積よりも小さい前記缶の第2の減少した容積との間で変化させるように構成されている、付勢部材。
【請求項2】
前記付勢部材が、前記製品を有する前記缶が前記販売準備完了状態にあるとき、前記蓋が少なくとも部分的に開いた後のみに、前記缶が最小の収容容積を有する最大変形状態になるように構成されている、請求項1に記載の付勢部材。
【請求項3】
前記本体が別個に製作され、その前記周縁で前記側壁に一体的に取り付けられるように構成されている、請求項1または2に記載の付勢部材。
【請求項4】
前記付勢部材が、ユーザによる前記付勢力の対応する付与および解放時に、前記第1の状態と前記第2の状態との間で繰り返し弾性変形するように構成されている、請求項1、2または3に記載の付勢部材。
【請求項5】
前記付勢部材が、ある回数の前記付勢力のそれぞれの付与および解放によって、前記第1の状態と前記第2の状態との間で弾性変形するように構成されており、前記回数が少なくとも20回超である、請求項4に記載の付勢部材。
【請求項6】
前記付勢部材が、ユーザによる前記第1の状態から前記第2の状態への前記付勢部材の前記付勢を可能にする構成を有し、前記本体が作られている前記金属が、同じ厚さのこの部材が前記構成を有しない場合に、前記付勢部材の前記付勢を防ぐのに十分に堅い、請求項1~5のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項7】
前記本体が、中央領域と、前記中央領域と前記周縁との間に延在する中間領域とをさらに含み、
前記中央領域および前記周縁に対する前記中間領域の向きが、前記付勢部材の前記第1の状態と前記第2の状態で異なり、
任意選択で、前記第1の状態では、前記中間領域が、前記周縁から前記缶の外部に向かって延在しており、前記付勢部材の前記第2の変形状態では、前記中間領域が、前記缶の内部に向かって延在している、請求項1~6のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項8】
前記付勢部材の前記初期状態では、前記付勢部材の前記本体が、略凸状の形状であり、前記付勢部材の前記変形状態では、前記付勢部材の前記本体が、略凹状の形状である、請求項7に記載の付勢部材。
【請求項9】
前記中央領域の形状が、前記付勢部材の前記第1の状態と前記第2の状態との間で変化しないままであるように構成されている、請求項7または8に記載の付勢部材。
【請求項10】
前記本体の前記構成が、前記ユーザによる前記付勢部材への前記付勢力の前記付与の下で、前記中間領域が前記中央領域よりも優先的に変形するようなものである、請求項7または8に記載の付勢部材。
【請求項11】
前記缶の前記販売準備完了状態は、製造プロセス全体を経た後の、前記製品を有する前記缶が有する状態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項12】
前記プロセス中、前記製品を有する前記缶が、座屈することなく、前記缶の内側と外側との間の150KPaの圧力差に耐えるように構成されている、請求項11に記載の付勢部材。
【請求項13】
前記缶の前記減少した容積と前記初期の容積との間の比は、少なくとも0.5~0.95である、請求項1~12のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項14】
前記缶の販売準備完了状態にある前記缶が、(a)前記固形成分が前記缶から出ないようにしながら前記液状成分が前記蓋から押し出されるのに十分な範囲まで前記蓋の一部分を開き、(b)前記蓋の前記開いた部分が、少なくとも部分的に下に向くように前記缶を向け、(c)前記缶の前記基部に繰り返し付勢力を付与し解放するようにという、ユーザへの指示が記載された外面を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項15】
缶の基部として使用するための付勢部材であって、前記製品を有する前記缶が、販売準備完了状態にあるときに、前記基部に加えて、側壁および蓋を有し、前記付勢部材が、金属を含み、かつ基準面内にある周縁を有する本体を備え、前記周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが前記本体に付勢力を繰り返し付与し解放することによって、前記本体が繰り返し弾性変形し、それにより、前記付勢部材の状態を第1の状態と第2の変形状態との間で繰り返し変化させるように構成されており、両方の状態が、(a)前記本体と、(b)前記基準面に平行であり、かつ前記基準面から前記方向に、前記基準面と前記変形状態にある前記本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)前記第1の仮想面に垂直であり、かつ前記第1の仮想面と前記周縁との間に延在する、第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、前記容積が、前記本体の前記第1の状態における第1の容積、および前記本体の前記第2の変形状態における、前記第1の容積よりも小さい減少した容積であり、前記付勢部材が、少なくとも前記蓋が部分的に開かれたときの前記缶の少なくとも使用時に、前記付勢力のそれぞれの繰り返しの付与および解放時にそれぞれ前記第1の状態と前記第2の変形状態との間で繰り返し、内向きに変形し、かつ弾性的に戻ることを可能とし、前記缶の前記収容容積の対応する変化を生じさせるように、前記所定の付勢方向が前記缶の内側に向けられて前記缶の前記側壁に固定的に取り付けられるように構成されている、付勢部材。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の付勢部材の形態の基部を備える、缶。
【請求項17】
少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶であって、少なくとも販売準備完了状態の前記製品を有する前記缶が、前記缶を気密封止し、前記缶から前記製品を少なくとも部分的に取り出すことできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、前記蓋の反対側の基部と、前記蓋と前記基部との間に延在する側壁と、を備え、
前記基部が、金属材料を含む本体の形態であり、かつ付勢部材を構成し、前記付勢部材が、前記付勢部材が、前記蓋が少なくとも部分的に開かれたときの前記缶の少なくとも使用時に、ユーザが前記付勢部材に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、前記ユーザによって前記付勢部材の状態を、前記缶が第1の収容容積を有する第1の状態と、前記缶が前記第1の収容容積よりも小さい第2の収容容積を有する第2の変形状態と、の間で変化させることを可能にするように構成されている、缶。
【請求項18】
前記基部が、周縁を有し、前記周縁に沿って前記本体が前記側壁に固定的に接続されている、請求項17に記載の缶。
【請求項19】
前記付勢部材が、ユーザによる前記付勢力の対応する付与および解放時に、前記第1の状態と前記第2の状態との間で繰り返し弾性変形して、前記缶の前記収容容積の対応する繰り返される変化を生じさせるように構成されている、請求項17または18に記載の缶。
【請求項20】
前記付勢部材が、ある回数の前記付勢力のそれぞれの付与および解放によって、前記第1の状態と前記第2の状態との間で弾性変形するように構成されており、前記回数が20回超である、請求項19に記載の缶。
【請求項21】
前記付勢部材が、前記ユーザによる前記第1の状態から前記第2の状態への前記付勢部材の前記付勢を可能にする構成を有し、前記本体が作られる前記金属が、同じ厚さのこの部材が前記構成を有しない場合に、前記付勢部材の前記付勢を防ぐのに十分に堅い、請求項17~20のいずれか一項に記載の缶。
【請求項22】
前記製品が食品である、請求項16~21のいずれか一項に記載の缶、または請求項1~15のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項23】
前記製品がツナである、請求項16~22のいずれか一項に記載の缶、または請求項1~15のいずれか一項に記載の付勢部材。
【請求項24】
前記缶および前記付勢部材が丸い形状を有する、請求項22または23に記載の缶または付勢部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固形成分の取り出しの前に少なくとも液状成分の一部の取り出しを容易にするように構成された、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を付勢部材および/または蓋で収容するための缶に関する。
【背景技術】
【0002】
二相成分用の缶は、食品産業などの産業で長い間使用されている。これらの相が、保存された肉、魚、野菜、果物、または他の固形物など、固体と液体である場合、通常、固形の食用成分を使用する前に保存液を排出することが望ましい。保存液は、油、水、塩水、砂糖水、または他の物質であり得る。
【0003】
そのような缶の開封は、典型的および慣例的には、蓋または缶の側壁を切断するための缶開封デバイスなどの外部ツールを使用するか、または事前に形成された切り込み線に沿って缶の蓋を切り開くためのリングプルか、もしくはピールバック薄箔カバーなどの蓋自体に設けられた設備を使用することによって行われる。これらの場合のいずれにおいても、缶を排水するために、液状物が排出されている間に固形物の流出を防ぐための濾過の手段として蓋が使用される。しかしながら、これは厄介な手順であり、多くの場合、油、塩水などが、缶を絞る人の指を汚したり、多方向に飛び散ったりする可能性がある。
【0004】
ユーザへの飛び散りを減らすために、缶の外部にさまざまなデバイスが提案されている。US2003/0230202A1は、蓋が缶の側壁から分離されたが取り外せなかった後に、開いた缶の上に嵌め込むことができる可撓蓋を教示している。可撓蓋には穴があり、分離した金属製の蓋を缶の底に向かって押す方向に可撓蓋を絞ると、排出液がその穴を通るように特に方向付けられ、穴から離れて位置している場合のユーザの指の上を流れないようにする。同様のタイプの可撓蓋がJP3169582に開示されており、蓋を取り外した状態で開いた缶から排出される液状物の流れを方向付けるための注ぎ口がある。US3,995,544は、蓋が取り外された開いた缶から液状物を絞り出すために使用することができる排水器具を開示している。
【0005】
US5,706,721は、開封後または最初に密封される前のいずれかに缶に入れることができるストレーナを開示している。ストレーナは中央に穴があり、ストレーナを缶の内容物に押し付けると、液状物がそれらの穴から流出する。
【0006】
WO2015/171876は、側壁および基部の可撓部分を含むプラスチック容器を開示している。密封されたプラスチック容器に差圧がかかると、基部の可撓部分がたわむ。基部の可撓部分のたわみは、容器の内部容積を変化させ、それにより差圧を低減するように作用する。容器はレトルト可能な容器であり、内側と外側のプラスチック層、および内側と外側のプラスチック層の間のコア層を射出成形することができる。
【0007】
US6,333,060は、液状環境に貯蔵された固形食品を包装するための容器を開示している。容器の一端には、容器から液状物を排出するための有孔の排水蓋がある。排水蓋には、容器の内容物を排出する際にユーザにしぶきがかかるのを防ぐための縁が付いている場合がある。容器は、容器の内容物が汚染されるのを防ぐために密封されている。容器は、ユーザが容器を絞って容器からの液状物の排出を容易にできるように、可撓性材料で作られ得る。液状物が容器から排出されたら、排水蓋を取り外して、容器から固形食品を抽出できるようにする。
【0008】
US2006/0006133は、真空圧吸収に適合された基部を有するプラスチック容器を開示している。基部は、上げ底と、上げ底に略外接する反転リングとによって少なくとも部分的に画定される中央部分を含む。上げ底と反転リングは、容器内で発生する真空関連の力に対応するために移動可能である。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶を提供し、缶は、製品を有する缶の少なくとも販売準備完了状態で以下の特徴を備える、すなわち、缶を気密封止し、缶から製品を少なくとも部分的に取り出すことできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、蓋の反対側の基部と、それらの間に延在する側壁と、を備え、基部が、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに、ユーザが基部に所定の閾値を超える付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、基部の状態を、缶が第1の収容容積を有する第1の状態と、缶が第1の収容容積よりも小さい減少した収容容積を有する第2の変形状態と、の間で変化させるように構成された付勢部材を構成する。
【0010】
本開示の別の態様によれば、缶の基部として使用するための付勢部材を提供し、缶が、販売準備完了状態において、その一端で側壁に固定的に接続された基部と、側壁の他端で缶を気密封止する蓋と、を備え、付勢部材が、その周縁が基準面内にある連続した中実本体を備え、本体が、周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが本体に、周縁から離間した場所で、所定の閾値を超える付勢力を付与することによって所定の方向に付勢され、それにより、付勢部材の状態を第1の状態から第2の変形状態に変化させるように構成され、両方の状態が、(a)本体と、(b)基準面に平行であり、かつその方向においてそこから、基準面と変形状態にある本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)第1の仮想面に垂直であり、かつ第1の仮想面と周縁との間に延在する、第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、容積が、本体の第1の状態における第1の容積、および本体の第2の変形状態における、第1の容積よりも小さい第2の減少した容積であり、付勢部材が、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに、ユーザが付勢力を基部に付与することによって、缶内で内向きに付勢可能であるように、所定の付勢方向が缶の内側に向けられた状態で、缶の側壁に固定的に接続されるように構成されている。
【0011】
上記の両方の態様における付勢部材は、1回の付勢力の付与時のその初期状態からその変形状態への変形が、塑性変形であるように構成することができる。
【0012】
あるいは、上記の両方の態様における付勢部材は、所定の閾値力Fplasticよりも小さい付勢力の付与時に弾性変形し、その時点で、付勢部材が塑性変形を受け、付勢力が解放されると、初期の、変形していない、または変形の少ない状態に戻るように構成することができる。この場合、付勢部材は、付勢部材が毎回変形状態からその初期状態と同じか、またはそれに近い状態に戻るように繰り返し弾性変形するのに適した弾性特性を有する材料で作られ、かつそれを可能にする構成を有するべきである。
【0013】
したがって、本開示のさらなる態様によれば、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶が提供され、缶は、少なくとも製品を有する缶の販売準備完了状態で以下の特徴を備える、すなわち、缶を気密封止し、缶から製品を少なくとも部分的に取り出すことができるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、蓋の反対側の基部と、それらの間に延在する側壁と、を備え、基部が、付勢部材であって、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに、ユーザが基部に所定の閾値を超える付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、基部の状態を、缶が第1の収容容積を有する第1の状態から、缶が第1の収容容積よりも小さい減少した収容容積を有する第2の変形状態へと変化させるように構成された、付勢部材を構成しており、基部が、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに、付勢力の付与時に第1の状態から第2の変形状態へと繰り返し弾性変形し、かつ付勢力が解放されると、毎回第2の状態から第1の状態に戻るように構成され、第1の状態と第2の状態との間の基部の状態のそのような繰り返しの変化が、缶の収容容積の対応する繰り返しの変化をもたらす。
【0014】
本開示のさらなる態様によれば、側壁および缶を気密封止する蓋を有する缶の基部として使用するための付勢部材が提供され、付勢部材が、その周縁が基準面内にある連続した中実本体を備え、本体が、周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが本体に、周縁から離間した場所で、所定の閾値を超える付勢力を付与することによって所定の方向に付勢され、それにより、付勢部材の状態を第1の状態から第2の変形状態に変化させるように構成され、両方の状態が、(a)本体と、(b)基準面に平行であり、かつ基準面から該方向に、基準面と変形状態にある本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)第1の仮想面に垂直であり、かつ第1の仮想面と周縁との間に延在する第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、容積が、本体の第1の状態における第1の容積、および本体の変形状態における第1の容積よりも小さい第2の減少した容積であり、付勢部材が、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに、付勢力の付与時に第1の状態から第2の変形状態へと繰り返し弾性変形可能であり、かつ付勢力が解放されると、第2の状態から第1の状態に戻るように、所定の付勢方向が缶の内側に向けられる状態で缶の側壁に固定的に接続されるように構成されており、2つの状態の間の基部の状態のそのような繰り返しの変化が、缶の収容容積の対応する変化を生じさせる。
【0015】
本開示の主題の上記の態様のいずれか1つに従って、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するために構成された、蓋付きの缶の基部を構成する場合の缶または付勢部材は、少なくともその使用前に、固形成分が缶から出ないようにしながら、液状成分が蓋の開いた領域を通過するのに十分な程度まで蓋を開いた後に、基部に1回または繰り返し、付勢力を付与するようにというユーザへの指示が記載され得る外面を有する。
【0016】
本開示のさらなる態様によれば、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶が提供され、缶は、少なくとも製品を有する缶の販売準備完了状態で以下の特徴を備える、すなわち、缶から製品を少なくとも部分的に取り出すことできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、蓋の反対側の基部と、それらの間に延在する側壁と、を備え、基部が、付勢部材であって、ユーザが付勢部材に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、付勢部材の状態を、缶が初期の収容容積を有する第1の状態から、缶が初期の収容容積よりも小さい減少した収容容積を有する第2の変形状態へと変化させるように構成された、付勢部材を構成し、任意選択で、付勢部材が、付勢力の付与および解放に対応して繰り返し缶の収容容積を変化させることによって繰り返し弾性変形するように構成されており、缶が、少なくとも蓋を開く前に、固形成分が缶から出ないようにしながら、液状成分が通過するのに十分な程度まで蓋を開いた後に、基部に、任意選択で繰り返し、付勢力を付与するようにというユーザへの指示が記載された外面をさらに有する。
【0017】
上記の指示は、蓋の開いた部分が少なくとも部分的に下を向くように缶を向ける指示をさらに含むことができる。
【0018】
本説明および実施形態では、「第1の状態」という用語は、初期状態または初期状態に近い、すなわち変形状態よりも初期状態に近い状態のいずれかを意味することができる。
【0019】
付勢部材は、金属製であり得、弾性変形可能であるように設計された場合、ユーザによる付勢力の対応する繰り返しの付与およびの解放時に、ある回数だけ非変形状態と変形状態との間でその向きを変えるように構成することができる。この回数は、10回超、より具体的には、20回超、さらにより具体的には、30回超、さらにより具体的には、少なくとも50回とすることができる。
【0020】
付勢部材がその状態を弾性的に変化させる上記の能力のおかげで、それは、ポンプ、例えば、ドージングポンプの膜として機能することを可能にし、付勢力が基部に付与されたときに固形成分が缶から出ないようにしながら、液状製品成分が缶から押し出されるのに十分な範囲まで、かつ付勢力が解放されたときに、缶の外部からの空気がその後に缶に吸い込まれるのに必要な範囲以下の範囲まで蓋が開かれる場合、缶から液状成分を徐々に制御可能に排出し得る。この場合、所望の開封範囲は、ユーザが最初に蓋を最小限開き、基部を膜として動作させようとし、その後、必要に応じて、基部の所望の膜のような機能が達成されるまでその範囲を増やすことによって到達することができる。あるいは、蓋は、そのような事前定義された構成を有する事前に製造された初期アクセス領域で形成することができ、蓋を開いてこの領域を露出させ、それを通して缶の内部への初期アクセスを提供するとき、このアクセスは、一方では、液状成分を缶から押し出すのに続いてまたはそれと同時に、空気が缶に吸い込まれることを可能にし、それにより、ユーザによる基部への付勢力の付与時に缶内の液状成分を置き換えるようなものであり、他方では、このアクセスが固形製品成分によって詰まるのを防ぐようなものである。そのような初期アクセス領域の形状の一例は、非軸対称、例えば非円形の形状である。初期アクセス領域の寸法に関しては、缶の収容容積ならびに製品の液状成分および固形成分の特性に応じて、適切な機械的特性を有する所与の材料を用いた試行錯誤の実験によって決定することができる。
【0021】
本開示のさらなる態様によれば、上記のような任意の付勢部材の形態の基部を含む缶を提供する。
【0022】
基部は、蓋が少なくとも部分的に開かれたときにのみ、付勢部材として機能するその能力を利用するように動作するように構成することができる。あるいは、基部は、蓋が開かれたときにのみ、缶が最小の収容容積を有する最大に変形した状態になるように構成することができる。
【0023】
缶の減少した収容容積は、初期の容積よりも実質的に小さくすることができ、その最小値は、製品の固形成分の最小値に等しい。例えば、それは、初期の収容容積よりも少なくとも10%小さく、特に、初期の容積よりも少なくとも15%小さく、さらにより具体的には、初期の容積よりも少なくとも20%小さくすることができる。缶の最大減少容積は、初期の容積より少なくとも25%小さく、より具体的には、缶の初期の容積より約30%小さくすることができる。
【0024】
ユーザによる付勢力の付与は、通常、そのような力を手動で付与することを指すが、一般に、付勢部材に付勢力を繰り返し付与するための何らかの単純な機械的デバイスを考えることができる。
【0025】
製品を有する缶の販売準備完了状態とは、周囲または他の保管条件で、製品の貯蔵寿命の間、すなわち製品を使用するために缶を開く直前の任意の期間、保管された、製品を含む完成した気密封止缶を指す。「製品を有する完成した缶」という句は、製品が入った缶が、必要に応じて低温殺菌、レトルト、滅菌などの任意の密封後処理を含む、製品を有する缶を販売状態にするために必要なすべての製造段階を経ていることを意味する。
【0026】
基部には、通常の使用で缶を開けたり、缶から取り外したりする能力はない。むしろ、缶は、缶の内部への所望のアクセスを提供するために、例えば、蓋の少なくとも一部を側壁から分離することによって、または蓋の一部を蓋の別の部分から分離することによって、蓋を開くことによってのみ開くように構成される。
【0027】
蓋は開くことができ、かつ基部は付勢部材を構成するので、ユーザは、缶内の収容容積を減らすように基部を付勢することができ、缶内の製品の少なくとも一部、通常は液状成分の少なくとも一部が、缶内の収容容積を減らすことにより、開いた蓋から押し出され、缶の内部に向かって付勢部材を付勢したり押したりするときに、指を汚したり、その他の方法で散らかったりすることはない。したがって、液状成分は、ユーザの指が付勢力を付与する場所とは異なる缶の部分で缶から出ることができ、その結果、よりきれいな、汚れの少ない操作がもたらされる。さらに、液状製品成分および固形製品成分を収容する缶内で上記のように動作可能な付勢部材として基部を使用することにより、固形成分への影響を排除するか、少なくとも本質的に低減することができ、その大部分は、したがって、液状成分が缶から押し出されている間、その初期状態を実質的に維持することができる。これは、少なくとも部分的に分離された蓋を内向きに押すことによって(液状製品成分および固形製品成分を収容する従来の缶のユーザによってしばしば行われるように)、または例えば、US6,333で提案されているように缶の側壁を絞ることによって、缶から液状物が絞り出される状況とは反対である。
【0028】
缶の基部、蓋、および側壁はその構成要素であり、これらはすべて別個に製作され、その後互いに密封固定することができる。この場合、基部は、周縁を有する本体として別個に製作することができ、それに沿って、本体は、側壁に一体的に取り付けられるように構成される。あるいは、基部と側壁は、例えば、スタンピング操作などで単一体として形成することができる。
【0029】
上記の態様のいずれかによる付勢部材を備えた缶または付勢部材は、以下に提示される任意の態様および実施形態の特徴のうちの任意の1つ以上をさらに有することができる。
【0030】
2つの状態の間で付勢される付勢部材の能力は、付勢部材が作られる材料の機械的特性に起因する、または/およびその本体の構成に起因する可能性がある。後者の場合、その構成を有する付勢部材は、同じ厚さのこの部材がその構成を含まない場合に、付勢部材の付勢を防ぐのに十分に堅い材料で作ることができる。
【0031】
そのような堅い材料は、それから作られた基部が、その上記の付勢能力を変えることなく、高温または低温、偶発的な落下による衝撃、重い缶または木枠が缶の上に積み重ねられている場所などの長期的なストレス、およびより高いまたはより低い圧力を含む、通常、缶が気密封止状態でさらされる条件に耐えることができるように、十分に構造的に剛性および頑丈であり得る。
【0032】
材料は、金属、任意選択でスズを含むことができ、またはそれらであり得る。金属、および任意選択でスズは、定期的に缶またはその部品に使用され、すなわちそれらを形成するために使用される。特にシート状の金属は、強度と重量の比率が高いだけでなく、さまざまな形状に簡単に成形でき、気密封止容器を作成するために接合できる。金属はまた、変形に耐えるように構造的に堅く、缶の気密封止を破ることなくある程度の変形に耐えることができるほど十分に延性がある。さらに、金属缶は、元の構成/向きを本質的に変更することなく、密封後処理に耐える固有の能力があるため、缶詰食品に好ましい選択肢である。
【0033】
付勢部材の本体は、中央領域と、中央領域と周縁との間に延在する中間領域とを含むことができる。中央領域および周縁に対する中間領域の向きは、付勢部材の初期状態および変形状態で異なり得る。初期状態では、中間領域は、周縁から缶の外部に向かって延在することができ、付勢部材の変形状態では、中間領域は、缶の内部に向かって延在することができる。
【0034】
この配置により、中間領域は、収容容積を減らすために、その延在方向を変えることができる。これは、基部の本体の効果的な少なくとも部分的な反転を構成する。
【0035】
付勢部材の初期状態では、付勢部材の本体は、略凸状の形状とすることができ、付勢部材の変形状態では、付勢部材の本体は、略平面または凹状の形状とすることができる。
【0036】
付勢部材の初期状態では、実質的にドーム型であり得る。ドーム型の本体は、概して、缶の製作、充填、気密封止、またはその後の処理中に缶に加えられ得る静水圧などの圧力に耐えるのに効率的である。
【0037】
中央領域の形状は、付勢部材の初期状態と変形状態との間で変化しないままでいるように構成することができる。
【0038】
本体の中央領域は、中間領域よりも堅くすることができ、その結果、中間領域は、付勢部材への付勢力の付与の下で、中央領域よりも優先的に変形する。
【0039】
このようにして、中央領域を取り囲む中間領域の変形にもかかわらず、缶の安定性および形状の維持を容易にすることができる。
【0040】
本体の中央領域と中間領域との間の堅さの違いは、それに対応する構成によって得ることができる。特に、中間領域は、必要に応じてその変形を容易にする形状/幾可学的形状で形成することができる。例えば、本体の中間領域は、中央領域から周縁に向かって互いに間隔を置いて延在するいくつかの溝で形成して、中間領域を対応する数のセクションに分割することができ、それらは、環状セクターの形状とすることができ、中間領域への付勢力の付与の下で、それらの相互の向きを変化させる。
【0041】
この配置では、溝は、各溝の両側に配設されたセクションが、付勢力の付与時にそれらの相互の向きを変えることを可能にするように構成することができ、それにより、初期状態からその変形状態にもたらされたときの本体の反転および/または形状の変化を容易にする。
【0042】
本体の中央領域は、中間領域の少なくとも隣接する部分に対して凹むことができる。そのような階段状の構成はまた、付勢部材の初期状態から変形状態への形状のより容易な変化を可能にすることができる。
【0043】
缶は、低温殺菌、レトルト、滅菌などのいずれか1つなど、密封後処理の温度および圧力差条件を受けるように構成され得る。
【0044】
より具体的には、缶は、座屈することなく、缶の内側と外側との間の150KPaの圧力差に耐えるように構成することができる。
【0045】
缶は、最高145℃の高温、および缶詰食品などに許容される周囲および冷蔵条件に耐えるように構成することができる。
【0046】
本開示の主題による、付勢部材および缶の異なる態様および特徴もまた、以下の実施形態で提示され得る。
【0047】
1.少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶であって、缶は、少なくとも製品を有する缶の販売準備完了状態で、缶を気密封止し、缶から製品を少なくとも部分的に取り出すことできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、蓋の反対側の基部と、それらの間に延在している側壁と、を備え、
基部が、金属材料を含む本体の形態であり、かつ付勢部材であって、付勢部材が、蓋が少なくとも部分的に開かれたときの、缶の少なくとも使用時に、ユーザが付勢部材に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、ユーザが付勢部材の状態を、缶が第1の収容容積を有する第1の状態と、缶が第1の収容容積よりも小さい減少した収容容積を有する第2の変形状態と、の間で変化させることを可能にするように構成された、付勢部材を構成する、缶。
【0048】
2.基部が、周縁を有し、それに沿って本体が側壁に固定的に接続されている、実施形態1による缶。
【0049】
3.少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容する缶の基部として使用するための付勢部材であって、製品を有する販売準備完了状態である缶が、側壁と、缶を気密封止しかつ少なくとも缶からの製品の部分的な取り出しを可能にするように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、を有し、付勢部材が、金属材料を含みかつその周縁が基準面内にある本体の形態であり、本体が、周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが本体に、周縁から離間した場所で、付勢力を付与することによって、所定の方向にユーザによって付勢され、それにより、付勢部材の状態を第1の状態から第2の変形状態に変化させるように構成されており、両方の状態が、(a)本体と、(b)基準面に平行であり、かつ基準面から該方向に、基準面と変形状態にある本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)第1の仮想面に垂直であり、かつ第1の仮想面と周縁との間に延在する、第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、容積が、本体の第1の状態における第1の容積、および本体の第2の変形状態における、第1の容積よりも小さい第2の減少した容積であり、付勢部材が、所定の付勢方向が缶の内側に向けられて、蓋が接続される端部とは反対側の端部で缶の側壁に付勢部材の周縁で固定的に接続されるように構成されて、製品を有する缶において、基部であって、蓋が少なくとも部分的に開かれたときの缶の少なくとも使用時に、ユーザが基部に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、缶の容積を、付勢部材の第1の状態での第1の容積と付勢部材の第2の変形状態での第1の容積よりも小さい第2の減少した容積との間で変化させるように構成された、基部を構成する、付勢部材。
【0050】
4.付勢部材が、蓋が少なくとも部分的に開かれたときにのみ、缶が最小の収容容積を有する最大の変形状態になるように構成されている、実施形態1もしくは2による缶、または実施形態3による付勢部材。
【0051】
5.本体が別個に製作され、その周縁で側壁に一体的に取り付けられるように構成されている、実施形態2もしくは4による缶、または実施形態3もしくは4による付勢部材。
【0052】
6.付勢部材が、ユーザによる付勢力の対応する付与および解放時に、第1の状態と第2の状態との間で繰り返し変形して、缶の収容容積の対応する繰り返される変化を生じさせるように構成されている、実施形態2もしくは4による缶、または実施形態2もしくは4による付勢部材。
【0053】
7.ある回数の付勢力のそれぞれの付与および解放によって、付勢部材が、第1の状態と第2の状態との間で弾性変形するように構成され、その回数が20回超である、実施形態6による缶または付勢部材。
【0054】
8.付勢部材が、ユーザによって第1の状態から第2の状態への付勢部材の付勢を可能にする構成を有し、本体を作る金属が、同じ厚さのこの部材が構成を有しない場合に、付勢部材の付勢を防ぐのに十分に堅い、実施形態1、2および4~7のいずれか1つによる缶、または実施形態3~7のいずれか1つによる付勢部材。
【0055】
9.
本体がさらに、中央領域と、中央領域と周縁との間に延在する中間領域とを含み、
中央領域および周縁に対する中間領域の向きが、付勢部材の第1の状態と第2の状態で異なり、
任意選択で、第1の状態では、中間領域が、周縁から缶の外部に向かって延在しており、付勢部材の第2の変形状態では、中間領域が、缶の内部に向かって延在している、実施形態1、2および4~8のいずれかによる缶、または実施形態3~8のいずれか1つによる付勢部材。
【0056】
10.付勢部材の初期状態では、付勢部材の本体が、略凸状の形状であり、付勢部材の変形状態では、付勢部材の本体が、略凹状の形状である、実施形態9による缶または付勢部材。
【0057】
11.中央領域の形状が、付勢部材の第1の状態と第2の状態との間で変化しないままであるように構成されている、実施形態9または10による缶または付勢部材。
【0058】
12.本体の構成が、ユーザによる付勢部材への付勢力の付与の下で、中間領域が中央領域よりも優先的に変形するようなものである、実施形態8~11のいずれか1つによる缶または付勢部材。
【0059】
13.実施形態3~12のいずれか1つによる付勢部材の形態の基部を備える缶。
【0060】
14.缶の販売準備完了状態は、製造プロセス全体を経た後の、製品を有する缶が有する状態である、実施形態1、2、および4~13のいずれか1つによる缶、ならびに実施形態3~12のいずれか1つによる付勢部材。
【0061】
15.プロセス中に、製品を有する缶が、座屈することなく、缶の内側と外側との間の150KPaの圧力差に耐えるように構成されている、実施形態14による缶または付勢部材。
【0062】
16.缶の減少した容積と初期の容積との間の比は、少なくとも0.5~0.95である、実施形態1、2、および4~15による缶もしくは付勢部材、または実施形態3~12および14もしくは15のいずれか1つによる付勢部材。
【0063】
17.販売準備完了状態の缶が、(a)固形成分が缶から出ないようにしながら液状成分が蓋から押し出されるのに十分な程度まで蓋の一部分を開き、(b)蓋の開いた部分が、少なくとも部分的に下に向くように缶を向け、(c)缶の基部に繰り返し付勢力を付与し解放するようにという、ユーザへの指示が記載された外面を有する、実施形態1、2、および4~16のいずれか1つによる缶、または実施形態3~12および14~16のいずれか1つによる付勢部材。
【0064】
18.少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶であって、缶が、製品を有する缶の少なくとも販売準備完了状態で以下の特徴、すなわち、
缶を気密封止し、缶から製品を少なくとも部分的に取り出すことできるように少なくとも部分的に開くことができる蓋と、蓋の反対側の基部と、それらの間に延在する側壁と、を備え、
基部が、金属を含み、蓋が少なくとも部分的に開かれたときの缶の少なくとも使用時に、付勢部材であって、蓋が少なくとも部分的に開かれたときの缶の少なくとも使用時に、ユーザが付勢部材に付勢力を付与することによって内向きに付勢され、それにより、付勢部材の状態を、缶が第1の収容容積を有する第1の状態から、缶が初期の収容容積よりも小さい減少した収容容積を有する第2の変形状態へと変化させるように構成された、付勢部材を構成しており、
付勢部材が、付勢力の付与時に第1の状態から第2の状態へと繰り返し弾性変形し、かつ付勢力が解放されると、毎回第2の状態から第1の状態に戻るように構成されており、第1の状態と第2の状態との間の基部の状態のそのような繰り返しの変化が、缶の収容容積の対応する繰り返しの変化を生じさせる、缶。
【0065】
19.側壁および蓋を有する缶の基部として使用するための付勢部材であって、付勢部材が、金属を含み、かつその周縁が基準面内にある本体を備え、本体が、周縁が定位置に固定的に保持されているときに、ユーザが本体に付勢力を繰り返し付与し解放することによって、繰り返し弾性変形し、それにより、付勢部材の状態を第1の状態と第2の変形状態との間で変化させるように構成されており、両方の状態が、(a)本体と、(b)基準面に平行であり、かつ基準面から該方向に、基準面と変形状態にある本体の任意の点との間の距離よりも大きい距離まで離間した、第1の仮想面と、(c)第1の仮想面に垂直であり、かつ第1の仮想面と周縁との間に延在する、第2の仮想面と、の間に収容される容積を特徴とし、容積が、本体の第1の状態における第1の容積、および本体の変形状態における第1の容積よりも小さい減少した容積であり、付勢部材が、少なくとも蓋が部分的に開かれたときに缶の少なくとも使用時に、付勢力のそれぞれの付与および解放時にそれぞれ第1の状態と第2の変形状態との間で繰り返して、内向きに変形し、弾性的に戻り、缶の収容容積の対応する変化を生じさせることが可能となるように、所定の付勢方向が缶の内側に向けられて缶の側壁に固定的に取り付けられるように構成されている、付勢部材。
【0066】
上記の態様および実施形態のいずれか1つによる缶では、製品は、食品、例えば、ツナであり得、缶は、製品を含むことができる。
【0067】
上記の態様および実施形態のいずれかによる缶および付勢部材は、平面図において丸い形状を有することができる。
【0068】
上記の態様および実施形態のいずれかによる付勢部材は、その周縁に隣接して少なくとも1つの強化リブを有することができる。
【0069】
上記の態様および実施形態のいずれかによる付勢部材および/または缶は、同じ製品に従来使用されているものと同じ技術を使用して製作することができる。例えば、食品が現在主に丸い金属製のツナ缶で販売されているツナである場合、従来のツナ缶と同じように、同じ構成を有し、かつ同じ缶の側壁に接続されるように構成された周縁を有する付勢部材を製作することができる。
【0070】
上記の態様および実施形態のいずれかによる缶は、蓋および基部のそれぞれを通過し、かつそれらの間に延在する中心軸と、その動作中に、固形成分の取り出しを防ぎながら液状成分の取り出しを可能にするように構成された第1の開口部配置と、その動作中に、固形成分の取り出しを可能にするように構成され、かつ少なくとも蓋の初期状態において、蓋の一部を介して少なくとも固形成分の通過を妨げる蓋のその一部によって第1の開口部配置から離間された第2の開口部配置であって、その離間は中心軸に垂直な平面内にある、第2の開口部配置と、をさらに含むことができる。
【0071】
この配置により、固形成分が保持されている間に液状成分を缶から取り出すことができ、続いて、液状成分が排出された固形成分を取り出すことができる。第1および第2の開口部配置は、互いに離間しているので、第2の開口部配置は、第1の開口部配置から出る液状成分によって汚れることはない。
【0072】
少なくとも第1および第2の開口部配置の動作において、第1の開口部配置は、蓋に形成された少なくとも1つの第1の開口を含むことができ、第2の開口部配置は、蓋に形成され、かつ第1の開口とは異なる少なくとも1つの第2の開口を含むことができる。
【0073】
各開口部配置に別個の開口を提供することにより、それらの開口は、そこから取り出される適切な材料に合わせて調整することができる。例えば、開口のサイズおよび寸法は、缶詰にされる製品の成分の少なくとも1つ、例えば、缶内の固形成分の形状およびサイズに適合するように選択および最適化することができる。
【0074】
第1の開口は、第2の開口よりも小さくすることができ、任意選択で、少なくとも1つの第1の開口は、複数の第1の開口とすることができ、少なくとも1つの第2の開口は、第1の開口のそれぞれよりも大きい単一の開口とすることができる。
【0075】
第1の開口(複数可)は、濾過効果を提供するように構成することができ、その結果、固形成分が缶を出ることができなくなり、一方、液状成分が第1の開口(複数可)から容易に流出することができる。第2の開口は、缶からそこを通る固形成分の取り出しを容易にするように構成することができる。複数の第1の開口が提供される場合、液状成分は、固形成分が缶から出ることができなくても、缶からより速くより効率的に排出することができるであろう。
【0076】
第1の開口部配置は、蓋の第1の部分を蓋の残りの部分から切り離すように操作可能に構成されたプルタブを備え、それにより、少なくとも1つの開口を生成するか、または少なくとも1つの第1の開口が事前に製造されている場合、それを露出することができる。
【0077】
(事前に製造されるのではなく)少なくとも1つの第1の開口が生成される場合、これは、蓋を引き裂くことによって達成することができ、一方、少なくとも1つの第1の事前に製造された開口の露出は、蓋の被覆部分または被覆層を引き剥がすことによって達成することができる。
【0078】
プルタブは、第1および第2の開口部配置の一部を構成する単一のプルタブとすることができ、これは、プルタブを操作して、蓋の残りの部分から蓋の少なくとも第1の部分を切り離すことにより、蓋を切り離す範囲と順番で、最初に少なくとも1つの第1の開口、次に少なくとも1つの第2の開口を生成または露出させるように構成されている。
【0079】
この配置により、単一のプルタブは、第1および第2の開口部配置を順番に動作させ、最初に液状成分を缶から排出し、続いて固形成分を缶から取り出すことを可能にするデュアル機能を提供することができる。
【0080】
第1の開口部配置の上記プルタブは、蓋の残りの部分から蓋の第1の部分を切り離すように操作されるように構成された第1のプルタブとすることができ、第2の開口部配置は、蓋の残りの部分から、蓋の第1の部分以外の蓋の第2の部分を切り離し、それにより少なくとも1つの第2の開口を生成するか、または事前に製造されている場合はそれを露出させるように操作されるように構成された第2のプルタブを備えることができる。この配置により、液状成分の排出によって最初のプルタブが汚れた場合、第2のプルタブは清潔なままであり、手を汚さずに缶からの固形成分の取り出しを可能にする。
【0081】
蓋は、缶の残りの部分と同じ材料を含むか、またはそれで作ることができ、プルタブは、リングプルの形態をとることができる。これにより、缶を提供する際の処理および接合のコストと操作を簡素化することができる。
【0082】
蓋は、金属箔の層を含むことができ、プルタブ(複数可)は、プルタグ(複数可)の形態をとることができる。蓋は、少なくとも箔層、および任意選択でポリマー層も有する積層構造の形態をとることができる。
【0083】
蓋の第1の部分は、蓋の第2の部分の面積よりも小さい面積を有することができ、それにより、蓋の第1の部分を第1の範囲まで切り離す第1のプルタブの操作を可能にし、第1の範囲は、蓋の第2の部分が第2のプルタブの操作によって切り離し可能である第2の範囲よりも小さい。
【0084】
そのようなより少ない第1の範囲の切り離しは、偶発的な露出または第2の開口の生成を防止し、それにより、缶からの固形成分の偶発的な放出を防止し得る。さらに、結果として、第2の開口は、液状成分が缶から排出されると、缶から固形成分をより容易に取り出すことを可能にするために、より大きな面積を有するように形成することができる。
【0085】
蓋は、蓋の領域の大部分を占める単一の開口を取り囲む支持面と、開口を覆い、かつ支持面に固定された被覆層であって、開口の第1の部分を露出させるために支持面から選択的に切り離し可能であり、それにより第1の開口部配置を提供し、開口の第2の部分を露出するために支持面から選択的に切り離し可能であり、その少なくとも一部が、第2の開口部配置を提供するために第1の部分から離間されており、任意選択で、第1の部分が第2の部分よりも小さい、被覆層と、をさらに含むことができる。
【0086】
この配置は、2つの離間した開口部配置を依然として有している単純化された缶を提供する。
【0087】
缶はまた、第1の開口部配置を介した液状成分の移送中に液状成分の流れの方向を制御するために、第1の開口部配置に関連する方向制御構成要素を備えることができる。
【0088】
そのような方向制御構成要素は、特定の経路に沿って缶から出てくる液状物の流れをリダイレクトすることができ、したがって、汚れおよび液状成分のユーザの手、または第1の開口部配置の任意のプルタブへの拡散を回避することができる。
【0089】
方向制御構成要素は、例えば、引き裂いたり剥がしたりすることにより、蓋から取り外すことができる。
【0090】
缶は、蓋に近接して缶内に配設されたストレーナをさらに備えることができ、ストレーナは、缶内に固形成分を保持しながら缶から液状物を排出するように構成された少なくとも1つ以上の小さな開口と、缶から固形成分を取り出すように構成された単一のより大きな開口と、をさらに備える。
【0091】
ストレーナは、缶内で動かないように、缶の側壁に対して固定して配置することができる。
【0092】
本開示のさらなる態様によれば、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶が提供され、缶は、以下の特徴、すなわち、蓋、基部、および、それらの間に延在する側壁と、蓋および基部のそれぞれを通過し、それらの間に延在する中心軸と、その動作中に、固形成分の取り出しを防ぎながら液状成分の取り出しを可能にするように構成された第1の開口部配置と、その動作中に、固形成分の取り出しを可能にするように構成され、かつ少なくとも蓋の初期状態において、蓋の一部を介して少なくとも固形成分の通過を妨げる蓋のその一部によって第1の開口部配置から離間された第2の開口部配置であって、その離間は中心軸に垂直な平面内にある、第2の開口部配置と、を備える。
【0093】
本開示のさらなる態様によれば、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容するための缶と共に使用するための蓋が提供され、缶は、基部および側壁と、2つの側面を有する蓋であって、蓋が缶の側壁に取り付けられたときに一方の側面が缶の内部に面するように構成された、蓋と、2つの側面の間に延在する中心軸と、を備え、蓋は、その動作中に、液状成分と一緒に固形成分の取り出しを防ぎながら蓋の一方の側面から蓋の他方の側面に液状成分を移送させることができるように構成された第1の開口部配置と、その動作中に、蓋の一方の側面から蓋の他方の側面に固形成分の取り出しを可能にするように構成された第2の開口部配置であって、少なくとも蓋の初期状態において、蓋の一部を介して少なくとも固形成分の通過を妨げる蓋のその一部によって第1の開口部配置から離間され、その離間は中心軸に垂直な平面内にある、第2の開口部配置と、蓋の周縁であって、その周縁に沿って蓋が、基部が側壁に接続されている方とは反対側の側壁の端部で缶の側壁に取り付けられるように構成された、蓋の周縁と、をさらに備える。
【0094】
缶の蓋は、缶の製作中に缶の側壁に一体的に取り付けられるように、缶の残りの構成要素とは別個に形成することができる。
【0095】
本開示のさらなる態様によれば、少なくとも1つの第1の開口および少なくとも1つの第2の開口を含む缶のためのストレーナが提供され、第1および第2の開口は、固形成分のそのような通過を妨げながら液状製品成分が少なくとも1つの第1の開口を通過することを可能にし、続いて固形製品成分が少なくとも1つの第2の開口から取り出されることを可能にするように、サイズおよび形状のうちの少なくとも1つが異なる。ストレーナは、缶の一体部分または缶に挿入可能な部分とすることができる。
【0096】
第1および第2の開口は、上記の第1および第2の開口部配置の開口/開口部の任意の特徴を有することができる。
【0097】
本開示の主題の上記の態様のいずれか1つに従って、付勢部材の変形状態(すなわち、初期の収容容積)と付勢部材の初期状態(すなわち、減少した収容容積)との間の、缶の容積比またはその基部を構成する付勢部材を有する缶の容積比は、0.5~0.95である。明細書全体を通して、固形成分を指すときに「固形」という用語を使用することは、固形成分の固体性の程度を反映するのではなく、むしろ、固形成分が液状成分よりも固形化した状態にあることを意味する相対的な用語である。
【0098】
明細書全体を通して、「開口部配置」という用語の意味は、その開口部が事前に製造されたものであるか、または配置の操作で生成されるかどうかに依存する。前者の場合、「開口部配置」という用語は、事前に製造された開口部を含み、これらの開口部を缶の外部に露出させるように操作可能な配置を意味する。この場合、第1の開口部配置と第2の開口部配置との間の離間は、これらの2つの配置の開口部間の離間であると見なすことができる。
【0099】
後者の場合、缶に事前に製造された開口部がない場合、「開口部配置」という用語は、缶の外部への開口部、例えば、蓋の開口部を生成するように操作可能であり、そうすることで露出する缶の要素を意味する。この場合、第1の開口部配置と第2の開口部配置との間の離間は、これらのそれぞれの操作可能な要素間の離間であると見なすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例証するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【0101】
【
図1A】本開示の主題を使用することができる典型的な缶の上面斜視図を示す。
【
図1B】缶の対称中心面A-Aに沿って取られた、缶の内容物を含む
図1Aの缶の断面図を示す。
【
図1C】対称中心面に沿って取られた基部の断面図における、本開示の主題の一実施形態による、缶の付勢可能な基部のプロファイルの概略図であり、プロファイルは、基部の変形状態を実線で、基部の初期状態を点線で示している。
【
図1D-1E】本開示の主題を使用できる他の典型的な缶の上面斜視図を示す。
【
図1F】対称中心面に沿って取られた断面図における、本開示の主題のさらなる実施形態による、別個の連続した中実本体として製作されたときの付勢可能な基部のプロファイルの概略図であり、プロファイルは、基部の変形状態を実線で、基部の初期状態を点線で示している。
【
図2A】本開示の主題のさらなる実施形態による、初期状態での付勢可能な基部の平面図を示す。
【
図2B】
図2Aの基部のプロファイルを、対称中心面B-Bに沿って取った断面で示す。
【
図2C】
図2Aの基部のプロファイルを、平面C-Cに沿って取った部分断面で示す。
【
図2F】
図2Bの説明で参照される断面における
図2Aの基部のプロファイルの概略図であり、プロファイルは、基部の変形状態を実線で、基部の初期状態を点線で示す。
【
図3A】本開示の主題のさらなる実施形態による、初期状態での付勢可能な基部を平面図で示す。
【
図3B】
図3Aの基部のプロファイルを、対称中心面D-Dに沿って取った断面で示す。
【
図3C】
図3Aの基部の部分プロファイルを、平面E-Eに沿って取った断面で示す。
【
図4A】本開示の主題のさらなる実施形態による、初期状態での付勢可能な基部の平面図で示す。
【
図4B】
図4Aの基部のプロファイルを、対称中心面F-Fに沿って取った断面で示す。
【
図4D】
図4Bの説明で参照される断面におけるプロファイルでの、
図4Aの基部のプロファイルの概略図であり、プロファイルは、基部の変形状態を実線で、基部の初期状態を点線で示す。
【
図5A】本開示の主題のさらなる実施形態の、初期状態での付勢可能な基部の上面斜視図を示す。
【
図6】本開示の主題のさらなる実施形態による、第1および第2の開口部配置を有する缶の上面斜視図を示す。
【
図7】本開示の主題のさらなる実施形態による、第1および第2の開口部配置を有する缶の蓋の上面斜視図を示す。
【
図8A】本開示の主題のさらなる実施形態による、缶の蓋の被覆層の平面図を示す。
【
図9A】本開示の主題のさらなる実施形態による、缶の蓋の被覆層の平面図を示す。
【
図9B】
図9Aの被覆層とストレーナ層とを含む蓋の平面図を示す。
【
図10】本開示の主題のさらなる実施形態による、缶の蓋の被覆層の平面図を示す。
【
図12A】第1および第2の開口部配置を有する缶の蓋の上面斜視図を示す。
【
図12B-12C】第1および第2の開口部配置を有する缶の蓋の平面図を示す。
【
図13】本開示の主題のさらなる実施形態による、方向制御構成要素を有する蓋の概略上面斜視図を示す。
【
図14A】その対称中心面に沿って取られた基部部材の断面図における、本開示の主題のさらなる実施形態による、初期状態での弾性付勢部材のプロファイルの概略図である。
【0102】
上記のリストおよび以下の説明において、缶、その蓋、および/またはその基部などの要素の「対称中心面」という用語は、蓋もしくは基部が水平に向けられているときに、または缶が直立しているときに、要素の中心を通過し、かつ垂直に向いた平面を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1Aおよび
図1Bは、少なくとも1つの固形成分および少なくとも1つの液状成分を含む製品を収容する典型的な缶10を示している。製品は、食用または他の保存製品とすることができ、すなわち、缶は、食品貯蔵用の缶であり得、製品を含むことができる。缶は、製品を有して、その販売準備完了の気密封止状態で示され、固形成分および液状成分が
図1Bに示され、それぞれ12および14で指定されている。
【0104】
上記の状態の缶10は、製品、例えば、液状成分14もしくは固形成分12のみ、またはその両方の一部または全部の、缶10からの少なくとも部分的な取り出しを可能にするために少なくとも部分的に開くことができる(図示せず)蓋20を含む。缶10は、蓋20の反対側に基部30と、基部30と蓋20との間に延在する側壁40と、をさらに有する。
【0105】
缶の基部30および側壁40は、単一体を構成することができ、または基部は、蓋が缶10を形成するために気密封止して取り付けられるように構成されたレセプタクル(図示せず)を形成するように、側壁に固定的に接続されて一体の本体を形成することができる。
【0106】
缶10または少なくともその基部30は、ある材料で作られており、座屈または他の本質的な変形なしで、低温殺菌、またはレトルト、または滅菌のうちのいずれか1つ以上などの当技術分野で知られている缶詰食品を処理するために必要な缶の密封後処理を受け、かつそれに耐えるように構成されている。これらには、差圧、すなわち、缶の内側と外側の間の少なくとも150KPaの圧力差が含まれ得る。
【0107】
缶はまた、最高145℃の高温、および缶詰食品などに許容される周囲および冷蔵条件に耐えるように構成することができる。
【0108】
缶10内の固形製品12は、例えば、肉、魚、ペットフード、果物、野菜などの任意の食用品とすることができ、缶10内の液状製品14は、例えば、油、水、塩水、シロップ、フルーツジュースなどの任意の保存液であり得る。より具体的な例では、缶はツナ缶であり得る。
【0109】
缶10のすべての構成要素、すなわち蓋20、基部30、および側壁40、またはそれらの少なくともいくつかは、金属材料、または金属材料を含む材料で作ることができる。例えば、アルミニウム、鋼、またはスズのうちの少なくとも1つを、任意選択でポリマーの1つ以上の層と共に含むプレートの形態の積層材料を使用してもよい。あるいは、蓋20、基部30、および側壁40のうちの1つ以上を、ポリマーまたはポリマー含有材料で作ることができる。缶のさまざまな部分をさまざまな材料で作ることができる。例えば、側壁は、基部および/もしくは蓋とは異なる材料で作ることができ、または蓋、側壁、および基部は、すべて異なる材料で作ることができる。缶またはその任意の部分を作ることができる材料は、ポリマーを含む金属または非金属材料とすることができる。金属の例は、アルミニウム、スズ、鉄、またはスズでコーティングされた鋼であり、非金属材料の例は、有機ポリマーから作られた硬質合成材料である。
【0110】
缶10は円筒形の容器として示されているが、これは限定ではなく、他の形状、例えば、
図1Dおよび
図1Eに示されるような丸い角および/もしくは縁を有する直方体、細長い円筒、または他の形状が想定される。
【0111】
蓋20は、任意の従来の設計のものとすることができる。特に、それは、缶切りまたは他の切断デバイスを使用して開くことができるか、または切り込み線と、切り込み線に沿って蓋20を引き裂いて開くためのリングプルとを備えることができる。あるいは、蓋20は、缶を気密封止するための剥離可能な金属箔またはポリマーフィルムの被覆層の接着剤または他の手段による取り付けのために、側壁40の周囲の少なくとも一部の周りに配置された支持面を備えることができる。
【0112】
缶10は、いくつかの方法で製造することができる。例えば、基部30および/または蓋20は、例えば、スタンピング操作において、缶10の側壁40と一体的に形成され得るか、または別個に形成され、その後、例えば、シームとの接合などの既知の方法およびプロセスで缶10の側壁40に取り付けられ得る。他のプロセスも好適であり、当業者に知られている。
【0113】
開くことができる蓋によって気密封止された販売準備完了状態にある典型的な缶10の上記の説明は、本例の基部が金属製であり、かつユーザによって缶の内部に向かって付勢されたときに少なくとも一度変形して、缶の蓋が少なくとも部分的に開いた後に少なくとも缶の収容容積を減らすような構成を有する点を除き、本例の缶に完全に適用される。さらに、本例では、この金属基部(以下、缶の「付勢部材」と称する)は、同じ厚さを有する一方で上記の構成を有していない場合にその変形を防ぐのに十分な堅さの材料でできている。内向きに付勢される上記の付勢部材の能力の文脈で「構成」という用語は、少なくとも缶の外側から見たその構成を意味する。
【0114】
図1Cは、本開示の主題の一実施形態による、基部30によって構成される缶10の付勢部材の上記の機能を示している。
図1Cでは、基部30は、所定の閾値力F
Threshを超える付勢力Fの付与によって内向きに付勢されたことが示され、その文字は、所望の変形がまだ得られない力である(基部30の初期状態を示す点線ではなく、実線を参照されたい)。力Fは、基部30の1つ以上の場所に付与することができ、力Fの所定の閾値F
Threshは、ユーザが、他のデバイスまたはガジェットを必要とすることなく、例えば、指を使用して、基部30を容易に変形できるように、適度に低くなければならない。
図1Cは、基部30が変形状態にある缶10を示しており、基部30の実線を見ると、そこでは、缶10は、缶10の基部30の初期状態(点線で示されている)における初期の収容容積50よりも小さい収容容積60を有する。
【0115】
缶に予期される通常の正当な使用の下で、基部は、蓋20が、すなわち、缶10の内容物の少なくとも一部、例えば、液状成分14を取り出すことができるように十分な範囲まで開かれたときにのみ、十分な外力の付与によって、上記のように、すなわち、その最終形状に、または変形状態に変形可能であり得る。そうでなければ、缶10は、必要とされるはるかに大きな低温殺菌および滅菌条件に構造的に耐えることができないであろう。逆に、缶が気密封止されて閉じているとき、初期状態から変形状態へのそのような変形は、缶内の液状物および固形物の圧縮に対する物理的抵抗によって妨げられる。
【0116】
動作中、ユーザは、蓋20を少なくとも部分的に開いて、重力によって製品を下向きに加速させるために缶10を反転させ、閾値力FThreshよりも大きい力Fを缶10の基部30に付与する。この付勢の結果として、基部30は、缶10が第1の容積50を有する初期状態から、缶が第2の減少した容積60を有する変形状態に移る。
【0117】
上記のように、基部30は、別個の本体として製作され、次いで缶の側壁に固定的に取り付けることができるか、または少なくとも缶の側壁40と単一体として形成することができる。
図1Fは、周縁34を有する別個の連続した中実本体32として製作されたときの基部30の上記の動作を概略的に示し、それに沿って、本体32は、
図1A~
図1Eを参照して上で説明された缶10の側壁40などの缶の側壁に固定的に接続されるように構成されている。
【0118】
本体32は、中央領域36と、中央領域36と周縁34との間に延在する中間領域38とを有する。本体32は、周縁34から離間した本体32の場所で本体32に力Fを付与することにより、本体32の周縁34が定位置に固定して保持されたときに、所定の付勢方向Dに付勢されるように構成されている。本体32が付勢されるためには、それに付与される力Fは、閾値力FThreshよりも大きく、すなわち、F>FThreshでなければならない。周縁34から離間した場所は、本体32の中心、例えば、中央領域36、および/または中心と周縁34との間の任意の場所であり得る。
【0119】
缶の基部として使用されたときのその挙動を模倣する本体32の動作は、
図1Fを参照して以下に説明され、ここで、本体32は、点線で示された初期状態に対し、その変形状態が実線で示されている。
図1Fでは、以下の仮想面が、本体32の動作の説明のために使用される。
-本体32の周縁34がある基準面P
R
-基準面P
Rに平行であり、かつ基準面P
Rと変形状態での本体32の任意の点との間よりも大きな距離まで、付勢方向Dで基準面P
Rから離間した第1の仮想面S
I1
-第1の仮想面S
I1に垂直であり、かつ第1の仮想面S
I1と周縁34との間に延在する第2の仮想面S
I2
【0120】
本体32の初期状態では、初期の容積50が、本体32と、第1の仮想面SI1と、第2の仮想面SI2と間に収容されている。本体32の変形状態では、減少した容積60が、本体32と、第1の仮想面SI1と、第2の仮想面SI2との間に収容されている。減少した容積60は、初期の容積50よりも小さい。
【0121】
図1A~
図1Eの缶10の側壁40など、缶の側壁に、付勢部材としての本体32が固定的に取り付けられるか、または一体的に形成されている場合、その配置は、基部30の付勢方向である方向Dが缶10の内側に向かうようなものである。
【0122】
図1Fでわかるように、本体32の初期状態では、中間領域38は、周縁34から中央領域36に向かって、付勢方向Dとは反対の方向に延在する。本体32が缶の側壁に取り付けられた場合、この延在方向は、缶の外側に向かう、すなわち缶の内側から離れる。逆に、点線で示されるように、本体32の変形状態では、中間領域38は、周縁34から中央領域36に向かって略下向きに、すなわち、付勢方向と同じ方向Dに延在する。本体32が缶の側壁に取り付けられた場合、この延在方向は、缶の内部に向かう、すなわち、缶の内側に向かうことになる。
【0123】
説明された例では、本体32は、その初期状態では、略凸状の形状であるように見えるが、その変形状態では、本体32は略凹状の形状である。凹凸が意味することは、付勢方向Dに略湾曲することと、付勢方向Dとは反対の方向に略湾曲することである。
図1Fでは、これらの方向は、それぞれ、基準面P
Rの下方および上方である。
【0124】
この特定の例では、初期状態では、本体32は実質的にドーム型である。ドーム型が意味することは、球の上部に少なくとも部分的に概して類似していることであり、すなわち、表面は、周縁34から中央領域36に向かって、付勢方向Dと反対の方向に延在することによって、中心点に向かって略湾曲し、その曲面の勾配は、周縁34に向かって増加し、中央領域36に向かって減少する。
【0125】
本体32の中央領域36は、中間領域38よりも堅くすることができる。この場合、本体32への閾値力F
Threshよりも大きい付勢力Fの付与の下で、その周縁が定位置に固定されている場合、中間領域38は中央領域36に対して優先的に変形することができる。この場合(
図1Fには示されていない、中央領域36は、本体32の両方の状態でその形状を維持することができ、すなわち、本体32の変形状態でも変形しないままであり得るが、中間領域38は、本体32の初期状態から変形状態に移るときに、その形状または構成を変化させる、すなわち、変形させる。
【0126】
図1Cおよび
図1Fにおける基部30の初期状態および変形状態の特定の形状は単なる例示であり、他の可能性が想定されていることを理解されたい。例えば、限定されないが、基部30は、初期状態では初期凸状構成を有することができ、変形状態ではそれほど凸状でない、平面状、または凹状の構成を有することができる。
【0127】
本体32のさまざまな構成が提供され得、これは、缶の基部としての使用を可能にし、初期状態から変形状態への閾値力F
Thresh超の付与された力Fの下で付勢される。これらの構成は、本体32の少なくとも中間領域36に、その初期状態と変形状態との間で少なくとも部分的に変化する形状を提供することを含むことができる。そのような構成の非限定的な例は、
図2A~
図2F、
図3A~
図3C、
図4A~
図4D、および
図5A~
図5Cに示されている。
【0128】
図2A、
図2D、および
図2Eは、缶(図示せず)の基部130として使用されるように構成され、本体132がそれに沿って缶の側壁、中央領域136、および中間領域138に固定される周縁134を有する本体132を示している。本体132は、
図2Aおよび
図2Dに見られる第1の側面を有し、これは、本体132が缶の側壁、および第1の側面と反対側の第2の側面に取り付けられたときに、缶の外側に向く側面である。
【0129】
その第1の側面に見られるように、本体132は、中間部分の円周方向に互いから離間した複数のチャネルまたは溝137で形成される。溝137は、中央領域136から周縁134に向かって延在し、中間領域138を、それぞれが環状扇形の形状を有するセクション139に分割する。6つの溝137および対応する6つのセクション139が示されているが、任意の他の数が想定される。本体132の第2の側面から、基部の本体132が、金属薄板または他の積層体および/もしくは缶詰材料で標準であるように、小さな貫通厚さを有するので、溝137は突起であるように見える。
【0130】
図2Fは、その変形状態(実線で示される)および初期状態(点線で示される)における本体132を概略的に示し、それは、
図2Dの初期状態と
図2Eの変形状態との比較によって、ならびに
図2Fのプロファイルから、各溝137の両側に配設された各2つの隣接するセクション139の相互配向は、2つの状態間で変化することが、わかる。特に、
図2Gに示される変形構成では、本体132がその状態を変形状態に変化させると、各溝137の両側の2つのセクション139が互いに接近する、すなわち、それらの間の角度またはそれに接する平面間の角度が変化する。
【0131】
図3A、
図3B、および
図3Cは、本体132とほぼすべての点で類似し、周縁234、中央領域236、および中央領域236と周縁234との間に延在する中間領域238を有する、本体232の代替配置を示している。本体232は、4つの溝237しかなく、かつ中間領域238が4つのセクション239に分割されているという点で本体132とは異なる。溝237は、中央領域236から周縁234に向かって延在するが、溝137が中央領域136から基部130の周縁134まで延在するほどには延在しない。しかしながら、溝237は、本体132に関して上で詳細に説明された溝137と同じ機能を提供する。
【0132】
図4A~
図4Cは、周縁334、中央領域336、および中央領域336と周縁334との間に延在する中間領域338を有する本体332を示している。中間領域338は、閾値力F
Threshよりも大きい付勢力Fが中央領域336にまたは隣接して付与されたときに、本体332の中心軸Xに対してその半径方向の延在を変化させるように構成された同心の連続する複数のピーク339およびトラフまたは溝337を有する隆起形成を含む。より具体的には、ピーク339およびトラフ337の隆起形成は、一連の同心の凹状のステップに変わる。
【0133】
本体332の初期状態および変形状態に示されるように、中央領域336は、本体の両方の状態で同じ形状または構成を有するように見え、すなわち、変形されないままであるが、中間領域338は、初期状態から変形状態に移るときに、その形状または構成を変化させる、すなわち、変形させる。中央領域336は、中間領域338の隣接部分に対して凹んでいる。
【0134】
図5A~
図5Cは、周縁434、中央領域436、および中央領域436と周縁434との間に延在する中間領域438を有する本体432を示している。本体432は、その中間領域438が、変形状態にある本体432が一連の同心の凹状のステップ、すなわち、付勢方向Dに凹んだステップに変わる、同心の連続する複数のピーク439と中央領域436を取り囲むトラフまたは溝437とを有する、隆起形成を含むという点で、上記の本体332と同様である。
【0135】
本体432は、中間領域438の隣接部分と比較して、付勢方向Dに凹んでいる中央領域436が平坦であり、かつ丸みを帯びた短い縁を有する長方形の形状を有する細長い形状を有するという点で、本体332とは異なる。
【0136】
上記の実施形態は、缶に収容される容積が初期の収容容積から減少した収容容積に減るように、初期状態から変形状態に変形可能な付勢部材を構成する缶の基部に言及しているが、そのような容積減少の他の可能性が想定される。したがって、付勢部材は、缶の側壁によって構成することができ、内向きに変形して、収容容積を初期の容積からより小さな容積、すなわち初期の容積よりも小さくなるように構成することができる。例えば、そのような側壁は、変形可能な金属またはポリマー材料を含むことができるが、これらに限定されない変形可能な材料で作ることができる。そのような変形可能な側壁を備えた缶は、上記の例のいずれか1つに記載されているように、従来のまたは変形可能な基部を含むことができる。
【0137】
上記のような変形可能な付勢部材を有する缶は、従来の蓋、または2つの開口部配置、すなわち、一方は、固形成分の取り出しを防ぎながら液状成分の取り出しを可能にし、他方は、固形成分のその後の取り出しを可能にする配置であって、少なくとも第1および第2の開口部配置が動作中にあるときに、配置は、蓋の分離部分によって互いに離間して、少なくとも固形成分がこの部分を通過するのを防ぐ、2つの開口部配置を有する蓋を備えることができる。
【0138】
開口部配置は、液状成分を取り出すための少なくとも1つの第1の開口部および固形成分を取り出すための少なくとも1つの第2の開口部を生成することによって、または開口部が、既存のものであり、すなわち、蓋に事前に製造され、かつ蓋の動作まで露出されない状態を維持することができる場合において、そのような開口部をユーザに露出することによって、蓋の動作中に操作されるように構成することができる。これらの2つのオプションを1つの蓋に組み合わせることもでき、この場合、開口部配置の一方は、オプションの1つに従って設計され、他方は、他のオプションに従って設計される。いずれにせよ、少なくとも蓋の初期状態では、2つの配置間の離間は、少なくとも缶/蓋の中心軸に垂直な方向の分離部分によって提供される。その、またはそれぞれの、第1の開口部の幅および長さは、少なくとも1つの第2の開口部よりも本質的に小さくすることができ、これは、第2の開口部配置における単一の開口部とすることができる。概して、第2の開口部は、蓋の領域の少なくとも30%、任意選択で蓋の領域の少なくとも50%を占めることができ、一方、そのまたはそれぞれの第1の開口部は、蓋のはるかに小さい領域を占めることができる。概して、限定されないが、第2の開口部を横切る最小寸法は、例えば、第1の開口部の最小寸法の少なくとも2倍、任意選択で少なくとも3倍、任意選択で少なくとも5倍、または任意選択で第1の開口部の最小寸法の少なくとも10倍であり得る。
【0139】
図6は、510として指定された缶を示しており、これは、蓋の設計を除いて、
図1Aおよび
図1Bに示した缶10と同様である。したがって、蓋20の説明を除いて、缶10について上で提供されたすべての説明は、蓋520、基部530、およびそれらの間に延在する側壁540、ならびに蓋520および基部530のそれぞれを通過する中心軸Xを有する、缶510に適用可能である。
【0140】
缶510の蓋520は、上記の第1の開口部配置および第2の開口部配置を有し、
図6において、それぞれ点線550および点線560で概略的に表され、分離部分は570として指定されている。
【0141】
蓋520は、少なくとも側壁540と、任意選択で基部530との単一体として形成することができる。あるいは、それは別個に製作して、側壁540に取り付けることができる。
図7は、後者のオプションを示しており、蓋620は、蓋の中心軸Xに沿って異なる方向を向いている2つの側面622、624を有する。蓋620は、上記の第1の開口部配置、第2の開口部配置、およびそれらの間の分離部分を有する。
図7では、第1の開口部配置は、点線650で概略的に表され、第2の開口部配置は、点線660で概略的に表され、それらの間の分離部分は、670として指定されている。この例では、第1の開口部配置650は、固形成分が液状成分とともに移送されるのを防ぎながら、蓋の一方の側面622、すなわち第1の側面から蓋の他方の側面624、または第2の側面への液状成分の移送を可能にするように構成されており、第2の開口部配置は、蓋620の第1の側面622から蓋620の第2の側面624への固形成分の移送を可能にするように構成されており、分離部分670は、少なくとも第1および第2の開口部装置650、660が動作中であるときは、少なくとも固形成分の移送を防ぐように構成されている。蓋620はまた、周縁626を有し、それに沿って、蓋は、基部530に関連する端部とは反対側の側壁540の端部で側壁540に取り付けられるように構成されている。
【0142】
図6および
図7に示される蓋520の開口部配置550および560、ならびに蓋620の650および660は、上記の蓋に第1および第2の開口部を生成するために、または事前に製造されている場合はそれらを露出するために操作されるように構成されたいくつかの構成要素を含むことができる。そのようなオプションの非限定的な例を以下に提示する。
【0143】
図8A、
図8B、および
図8Cは、蓋520または620の代わりに缶510で使用することができ、かつ2つの部分、すなわち、上記の第1および第2の開口部で形成された連続被覆層720aおよびストレーナ層720b、を含む、蓋720を示している。したがって、ストレーナ層の既存の、または事前に製造された開口部は、被覆層720aで操作することによって、上記のように液状成分および固形成分の取り出しのために露出されるように構成される。
【0144】
被覆層720aは、金属箔もしくはポリマーフィルムのシート、またはこれらの材料のいずれかと他の材料との組み合わせで作ることができる。ストレーナ層720bは、ストレーナ層720bの周縁726を介してそれと接合されるように構成された側壁540と同じ材料で作ることができる。例えば、ストレーナ層は、剛性の金属シート材料で形成することができる。
【0145】
ストレーナ層720bは、蓋の周縁726に近位の支持面728を備える。支持面728は、被覆層720aの外縁721をストレーナ層720bに接着または他の方法で固定するように構成される。
【0146】
示されるように、蓋720は、全体として2つの側面722、724を有し、その一方は、722で指定され、ストレーナ層720bの下側または第1の側面であり、蓋720が缶の側壁に取り付けられときに缶の内部に向くように構成されており、724で指定される他方の第2の側面は、被覆層720aの外面に関連付けられる。この場合、第1の開口部配置は、固形成分の通過を防ぎながら、蓋720の第1の側面722からその第2の側面724への液状成分の通過を可能にするように構成された2つの層の部分によって構成され、一方、第2の開口部配置は、蓋720の第1の側面722からその第2の側面724への固形成分の通過を可能にするように構成された2つの層の他の部分によって構成される。第1および第2の配置では、ストレーナ層のこれらの部分は、上記の第1および第2の開口部に関連する部分である。
【0147】
概して、ストレーナ層の第1および第2の開口部は、任意の構成を有することができ、それらが上記のように機能することを可能にする任意の数とすることができる。
図8A~
図8Cの例では、ストレーナ層720bの開口部は、第1の開口部配置の一部を構成する細長い比較的狭いスリット725の形態であり、第2の開口部配置の一部を構成する、蓋の平面図におけるそのすべての寸法において、第1の開口725よりも大きい単一の大開口727である。特に、単一の大開口727は、細長い狭いスリット725よりも幅広く、固形成分が容易に通過できるように、著しくかつ十分に広い。
【0148】
概して、限定されないが、大きな開口を横切る最小寸法は、例えば、スリットの幅の少なくとも2倍、スリットの幅の少なくとも3倍、スリットの幅の少なくとも5倍、またはスリットの幅の少なくとも10倍であり得る。
【0149】
スリット725は、固形成分の通過を防ぎながら、蓋720の第1の側面722からその第2の側面724への液状成分の通過を可能にするためのものであり、一方、単一の大きな開口727は、蓋720の第1の側面722からその第2の側面724への固形成分の通過を可能にするためのものである。
【0150】
本例では、ストレーナ層720bは、スリット725の代わりに、またはスリット725に加えて、固形成分の通過を防ぎながら、蓋720の第1の側面722からその第2の側面724への液状成分の通過を可能にするために使用できる小開口729をさらに含む。これらの小開口の少なくともいくつかは、蓋720の第2の側面724からその第1の側面722への周囲空気などの気体の通過を可能にするために使用することができる。スリット725は、蓋720の分離部分770によって大開口727および小開口729から離間しており、固形成分および液状成分がこの部分770を通過するのを防いでいる。
【0151】
概して、被覆層720aは、スリット725および/または小開口729を蓋の外向きの第2の側面724に露出させて、それにより第1の開口部配置を動作させ、続いて大開口727を蓋の外向きの第2の側面724に露出させて、それにより第2の開口部配置を動作させるためにストレーナ層から被覆層を引き離すためにその少なくとも一部を把持することを可能にする任意の配置で形成することができる。
【0152】
本例では、被覆層720aは、プルタグ723を備え、この層720aは、プルタグ723が大開口727よりもスリット725の近くに配設されるように、ストレーナ層720bに固定されるように構成される。
【0153】
概して、第1および第2の配置の第1および第2の開口部は、事前に製造されたものかこれらの配置の動作によって生成されたものであろうと、蓋の外面に向くその平面図で見たときに蓋のどこにでも配設することができる。しかしながら、第2の開口部(複数可)の配置よりも蓋の中心から離れた第1の開口部(複数可)の配置、および/または可能な限り最大限の互いからの離間は、第1の開口部を介した液状成分の移送を可能にすると同時に、第2の開口部から液状物および/または固形物が誤って移送される可能性を低くする。さらに、第1の開口部を介した液状成分の移送が、第2の開口部配置の任意の部分および/またはユーザの指を汚す可能性がより少ない。
【0154】
本例では、ストレーナ層720bのスリット725および大開口727は、互いから最大限離間するように位置付けられ、すなわち、円周方向に互いから最大距離で離間され、被覆層720aのプルタグ723は、被覆層720aがストレーナ層720bに固定されている場合、スリット725によって位置付けられ、大開口727と正反対に配置される。
【0155】
動作中、ユーザは、プルタグ723を引っ張って、蓋720の第1の部分、すなわち、被覆層720aの第1の部分を、蓋720の残りの部分から、すなわち、ストレーナ層720bから切り離し、それにより、既存の、または事前に製造されたスリット725、および場合によっては、既存の、または事前に製造された小開口729の一部または全部を露出させることができる。そのような切り離しは、接着剤の剥離または被覆層720aの外縁721の引き裂きを伴い得る。この場合、少なくとも蓋720の初期状態では、被覆層720aの第1の部分は、少なくともスリット725と共に、および任意選択で、小開口729と共に、第1の開口部配置であると見なすことができる。
【0156】
被覆層720aの第1の部分が切り離された状態で、その蓋として蓋720を有する缶は、重力の下などで、缶内の液状成分が蓋720の第1の側面722から第2の側面724へと通過することを可能にするように傾けることができる。スリット725は弧状の比較的狭くて細長い形状を有するので、液状成分は、その中央領域から流出し、スリットの端部は、液状物が流出した際に缶の収容容積が減少しない場合に缶の内側と外側で等しい圧力を確保するために、必要に応じて空気が反対方向に流れることを可能にすることができる。代替的または追加的に、小開口729が被覆層720aのさらなる切り離しによって露出される場合、液状成分は、それらの少なくともいくつか/1つから流出することができ、および/または空気は、液状物が流出した際に缶の収容容積が減少しない場合に缶の内側と外側で等しい圧力を確保するために、必要に応じて、少なくとも他のもの(複数可)を介して反対方向に流れることができる。
【0157】
液状成分が取り出されると、ユーザは、プルタグ723を引っ張り続けて、蓋720の第2の部分、すなわち、被覆層720aの第2の部分を、蓋720の残りの部分から、すなわちストレーナ層720bから切り離して、それにより、既存の、または事前に製造された大開口727を露出させることができる。そのような切り離しは、接着剤の剥離または被覆層720aの外縁721の引き裂きを伴い得る。場合によっては、そのような切り離しにより、被覆層720aをストレーナ層720bから完全に取り外すことができ、一方、他の場合には、被覆層720aの少なくとも一部は、ストレーナ層720bに取り付けたままにすることができる。少なくとも蓋710の初期状態では、被覆層720aの第2の部分は、大開口727と共に、少なくとも分離部分770によって第1の開口部配置から離間した第2の開口部配置であると見なすことができる。大開口727が露出した状態で、固形成分を缶から取り出すことができ、すなわち、蓋720の第1の側722から蓋720の第2の側面724に移送または通過させることができる。
【0158】
上記の構成では、単一のプルタブ723のみが、蓋720の切り離しの範囲の順で、オプションの小開口729を備えた第1の開口725、それに続いて第2の開口727を露出するために必要である。
【0159】
図9Aおよび
図9Bは、上記の蓋720と同様であり、その被覆層820aが2つのプルタグ、すなわち、単一のプルタグ723の代わりに、第1のプルタグ823aおよび第2のプルタグ823bを有するという点でのみ異なる蓋820を示している。
【0160】
概して、そのような2つのプルタグが使用される場合、それらは、被覆層820aの外縁821に沿って離間している限り、それぞれの第1および第2の開口部の配置に対応する任意の配置を有することができる。本例では、第1および第2のプルタグ823a、823bは、互いに正反対に配置され、第1のプルタグ823aは、大開口727よりもスリット725に近く、第2のプルタグ823bは、スリット725よりも大727に近い。
【0161】
蓋820の動作は、まず第1のプルタグ823aで作られた缶を使用して蓋820の第1の部分をストレーナ層720bから切り離し、それによりスリット725および場合によっては、小開口729の一部をその外側面724にある蓋の外部に露出させ、次いで、第2のプルタグ823bで作られた缶を使用して蓋820の第2の部分をストレーナ層720bから切り離し、それにより大開口727をその外側面724にある蓋の外部に露出させることを除いて、蓋720に対して上記したことと同じである。
【0162】
本例では、互いに離間した2つのプルタグ823a、823bがあり、この場合、正反対にあるので、第2のプルタグ823bは、缶を傾けて液状成分を取り出すときに第1のプルタグ823aが誤って汚れた場合でも、液状成分によって誤って汚れることはない。このようにして、ユーザは、缶から液状成分を排出し、続いて固形成分を取り出すプロセスで手を汚さないようにすることができる。
【0163】
概して、別のオプションは、被覆層の関連部分を完全に引き剥がして、少なくとも1つの第1の既存の、または事前に製造された開口を露出させることができるように配置された少なくとも1つのプルタグを有する被覆層を提供することである。任意選択で、被覆層の引き裂かれた部分は、プルタグを除いて、被覆層の面積の3分の1未満である。
【0164】
図10は、被覆層920aが上記の被覆層820aに類似しており、被覆層920aにおいて第1のプルタグ923aが、実質的に接線方向、すなわち、被覆層920aの半径方向外向き方向に対して横方向において、被覆層920aの外縁921から突出している点のみが異なるオプションの一例を示している。この配置では、第1のプルタグ923aと被覆層920aの外縁921の隣接部分との間に鋭角αが形成され、これにより、第1のプルタグ923aを引っ張ると、角度αの頂点に高い応力が加わり、被覆層920aの一部が、例えば、
図10に示される破線925にほぼ沿って引き剥がされる。当然のことながら、これは、被覆層が適切な厚さのアルミ箔などの容易に引き裂かれる材料でできている場合に可能である。その箔はさらに、
図10に示される概略線925以外の線に沿って1つ以上の裂け目を提供するように構成することができる、例えば、溝、半穴あき線などのようなその引き剥がしを容易にする構成を提供することができる。次に、第2のプルタグ923bを使用して、第2の既存の、または事前に製造された開口を露出させることができる。
【0165】
異なる事前に製造された開口部を有するストレーナ層およびそれらすべてを覆う被覆層を含む、上記の種類の2層蓋の1つの代替設計は、被覆層が、ストレーナ層の全領域に沿って延在する連続層ではなく、それぞれが独自の開口部または開口部のグループを被覆するいくつかの個別の層部分であるとすることができる。
【0166】
2層蓋の別の代替設計では、ストレーナ層の代わりに、蓋は、単一の大開口部を有するフレームの形態の内層、蓋が缶の側壁に合流するまたは取り付けられる周縁、および被覆層を支持するためにそれらの間に延在する支持面を有することができる。この場合、被覆層は、蓋の第2の側面で、それらの間に延在する被覆層の領域によって互いから離間した単一の既存の、または事前に製造された開口部の異なる部分を露出させるように、支持面から選択的に分離されるように構成することができる。
【0167】
本開示の主題による蓋のさらなる代替設計は、蓋が、その個々の被覆層によって覆われる少なくとも1つの第1の事前に製造された開口部を有する第1の領域と、少なくとも1つの第2の開口部を第2の領域の少なくとも一部を蓋から切り離すことによって生成することができる、少なくとも1つの第2の領域とを有するとすることができる。
【0168】
上記の代替設計のいくつかの例を以下に説明する。
【0169】
図11は、缶の側壁に接合するための周縁1026と、リング層1020bの領域の大部分を占める単一の大開口1025と、それらの間に延在する支持面1028と、を備えるリング1020bの形態を有するフレーム層を示している。リング層1020bでは、被覆層820aおよび920aのうちの1つをそれぞれの外縁821、921で支持面1028に接着または他の方法で接合することによって、蓋を形成することができる。
【0170】
リング層1020bの周縁1026が液状成分および固形成分を含む缶の側壁に接合されたときに液状物の排出を可能にするように蓋を動作させるために、被覆層820a、920aのそれぞれのプルタグ823a、823b、または923aのうちの1つを引っ張って、それぞれの蓋の第1の部分、すなわち、それぞれの外縁821、921でのそれぞれの被覆層の第1の部分を、リング層1020bの支持面1028からそれぞれ切り離すまたは引き裂く。被覆層は、支持面からの被覆層820aのわずかな切り離し、または被覆層920aの一部のわずかな取り外しのみを可能にして、缶内の固形成分の通過を防ぐのに十分小さいが、傾けたときに液状物が缶から流出するのに十分大きい開口1025の一部を露出させるように、支持面1028に取り付けられるべきである。プルタグ823a、823b、または923aは、被覆層820a、920aのわずかに切り離し可能または取り外し可能な部分と共に、および任意選択で、開口のそれぞれのわずかに露出可能な部分と共に、第1の開口部配置と見なすことができる。
【0171】
続いて缶から固形成分を取り出すために、被覆層を切り離すために以前に引っ張られなかった他のプルタグを引っ張り、少なくともその外縁の大部分に沿ってそれぞれの被覆層を切り離して、少なくとも既存の、または事前に製造された開口1025の大部分を露出させ得る。次に、固形成分を、露出した開口から取り出すことができる。開口の露出された少なくとも大部分は、他のプルタグ823a、823b、または923bと、それぞれの被覆層の切り離された部分と共に、第2の開口部配置であると見なすことができる。
【0172】
図12Aを参照すると、中央部分1120aと、それに沿って蓋が側壁に取り付け、接合、または他の方法で取り付けられるように構成された周縁1126を有する円周部分1120bと、を含む蓋1120が示されている。蓋1120は、2つの側面1122、1124、缶の内部に向くように構成された内側面または第1の側面1122と、蓋が缶の側壁に取り付けられたときに缶の外部に向くように構成された外側面または第2の側面1224とを有する。
【0173】
蓋1120は、中央部分1120aに事前に形成された既存の、または事前に製造された小さな第1の開口を露出させるために、第2の側面1224で蓋の残りの部分から剥離可能なタブ1123aを含む第1の開口部配置を有する。剥離可能タブ1123aは、例えば、金属またはポリマーで形成することができ、第1の開口を気密封止するために接着または他の方法で接合することができる。剥離可能タブ1123aを少なくとも部分的に取り外して第1の開口の少なくとも一部を露出させることによる第1の開口部配置の動作において、第1の開口部配置は、液状成分と共に固形成分の取り出しを防ぎながら、蓋1122の第1の側面から蓋1124の第2の側面への液状成分の移送を可能にする。
【0174】
蓋1120はまた、蓋の初期状態において、中央部分1120aに取り付けられたリングプル1123bと、中央部分1120aと円周部分1120bとの間で中央部分1120aの少なくとも大部分を取り囲む切り込みまたは半穴あき溝1127とを含む第2の開口部配置を有する。第2の開口部配置の動作において、リングプル1123bは、蓋1120の中央部分1120aの少なくとも大部分が分離され、蓋の残りの部分から、すなわち、その円周部分から切り離されて蓋1120の領域の大部分を占める単一の大開口を提供するように、溝1127の少なくとも大部分に沿って蓋1120を引き裂くように動作する。単一の大開口、すなわち第2の開口の露出は、蓋1120の第1の側面1122から蓋1120の第2の側面1124への固形成分の取り出しを可能にするように構成される。蓋1120の初期状態では、第2の開口部構成は、第1の開口部配置から、蓋1120の部分1170によって離間しており、固形成分および液状成分がこの部分1170を通過するのを防いでいる。
【0175】
図12Bおよび
図12Cは、蓋1220の代替配置を示している。蓋1220は、中央部分1220aおよび円周部分1220bを含む。円周部分1220bは、周縁1226を備え、それに沿って蓋が、基部が側壁に接続されるように構成されている方とは反対側の側壁の端部で缶の側壁に取り付け、結合、または他の方法で取り付けられるように構成される。蓋1220は、2つの側面を有し、その一方は、蓋が缶の側壁に取り付けられたときに缶の内部に向くように構成される。
【0176】
概して、蓋は、蓋の中央部分の少なくとも一部を取り囲む2つの別個の切り込みまたは半穴あき溝を含み得、それぞれは、リングプルなどの別個の開口部配置によって開くように配置される。引き裂かれたり、切り取られたりすると、開口部が小さくなるように、一方の溝を他方の溝よりも短くし得る。あるいは、2つの別個のリングプルなどの2つの別個の開口部機構によって2つの離間した場所で引き裂くか切り取ることによって開くことができる単一の溝があり得る。
【0177】
この例では、蓋1220は、蓋1220の中央部分1220aを取り囲む切り込みまたは半穴あき単一溝1225の隣の第1の位置に配置された第1のリングプル1223aを含む第1の開口部配置を有する。蓋1220はまた、第1の位置から離間した第2の位置で、切り込みまたは半穴あきの単一溝1225の隣に配置された第2のリングプル1223bを含む第2の開口部配置を有する。蓋の初期状態では、第2の開口部配置は、第1の開口部配置から、蓋1220の中央部分1220aの部分1270によって離間しており、固形成分および液状成分がこの部分1270を通過するのを防いでいる。離間は、中心軸Xに垂直な平面内にある。各開口部配置、すなわち、リングプル1223a、1223bは、溝1225のそれ自体の部分に関連付けられている。
【0178】
第1の開口部配置の動作において、第1のリングプル1223aは、蓋1220を引き裂くように、すなわち、蓋1220の中央部分1220aを、蓋の残りの部分から、すなわち、第1のリングプル1223aに関連する溝1225の部分に沿った円周部分1220bから引き裂いて切り離し、缶内の固形成分の通過を防ぐのに十分小さいが、傾けたときに液状成分が缶から流出するのに十分大きい第1の開口を提供するように動作する。提供された第1の開口は、第1の開口部配置の一部であると見なすことができ、すなわち、第1のリングプル1223aと共にあると見なすことができる。
【0179】
第2の開口部配置の動作において、第2のリングプル1223bは、蓋1220を引き裂くように、すなわち、蓋1220の中央部分1220aを、蓋の残りの部分から、すなわち、第2のリングプル1223bに関連する溝1225の少なくとも大部分に沿った円周部分1220bから引き裂いて切り離し、缶からの固形成分の通過を可能にするのに、すなわち、蓋1220の第1の側面から蓋1220の第2の側面への固形成分の取り出しを可能にするのに十分大きい第2の開口を提供するように動作する。提供された第2の開口は、第2の開口部配置の一部であると見なすことができ、すなわち、第2のリングプル1223bと共にあると見なすことができる。
【0180】
いくつかの配置では、第1の開口部配置の動作中に切り離し可能な蓋の部分が、第2の開口部配置の動作中に切り離し可能な蓋の部分よりも小さくなるように、蓋が構成される。
【0181】
上記の実施形態の少なくともいくつかでは、第1の開口部配置は、必要に応じて、動作中および液状物が取り出されているときに、そこを通る空気の通過を可能にし得る。
【0182】
上記の配置のいずれかでは、第1の開口部配置に近接する蓋の少なくとも一部に、缶から取り出されている液状物の流路を提供するように配置された細長い舌部などの方向制御構成要素を提供、接着、またはその他の方法で接合し得る。この細長い舌部は、液状成分による蓋の他の部分の偶発的な汚れを回避するように、液状成分の流れを制御および方向付けることができる。使用後、細長い舌部は、第2の開口部配置を動作させる前または後に、引き裂くまたは剥がすことなどによって、蓋から切り離し可能であり得る。
図13は、2つのリングプル1323a、1323bを有する蓋1320の一例を示している。リングプル1323aの1つに取り付けられているのは、細長い舌部1327である。
【0183】
上記の配置のいずれにおいても、初期状態から変形状態への付勢部材の変形は、塑性変形とすることができる。このような場合、所定の閾値を超える付勢力を付与することにより、付勢部材の状態を初期状態から変形状態に変化させ、付勢力が解放された後、すなわち、もはや付勢力が付与されなくなった後、この状態を維持する。あるいは、初期状態から変形状態への付勢部材の変形は、弾性変形とすることができる。このような場合、ユーザによる付勢力の付与により、付勢部材が変形状態に変形し、付勢力が解放された後、付勢部材は、付勢されて、初期状態に戻ることができる。また、毎回初期状態または変形状態よりも初期状態に近い状態に戻るようにしながら、このように繰り返し弾性変形するように構成することができる。
【0184】
概して、付勢力Fの繰り返しの付与および解放の下で、上記の弾性的な方法で動作するのに適した弾性特性を有するように構成することができる。
【0185】
この場合、付勢部材は、付勢部材が上記の弾性動作に適した特性を有することができる付勢力Fが、以下の条件:Fplastic>F>Threshを満たすように構成されるべきであり、ここで、Fplasticは、材料が、初期位置またはその近くに戻るのを妨げる塑性変形を受ける、所定の閾値であり、FThreshは、上記のように、付勢部材がまだ所望の程度まで変形できない付勢力である。
【0186】
上記の弾性変形を繰り返し受けることができるようにするために、付勢部材は、対応する弾性特性を有することができ、その断面図では、初期状態では凸状であるが、弾性変形状態ではそれほど凸状でない、または平面状、または凹状である。
【0187】
開くことができる蓋によって気密封止された、販売準備完了状態の缶内の基部を構成する場合、少なくとも蓋が少なくとも部分的に開かれたときに、付勢部材を上記の弾性的な方法で動作するように構成することができる。
【0188】
上記のいずれかの例の缶内でのそのような弾性付勢部材の動作において、蓋の一部が開いた後(前述のように)、およびユーザが弾性付勢部材に付勢力を付与するのをやめた後、その弾性特性は、缶の収容容積が変形状態の付勢部材での容積に比べて増加することに起因して、弾性付勢部材を初期状態に戻るように付勢をする。
【0189】
付勢部材は、鋼、アルミニウム、スズなどの金属製の薄板の形態とすることができ、凸状の形状および、その中央領域での付勢力の付与時に繰り返し弾性的に曲がって、力が解放されるたびに戻ることができるような寸法を有する。
【0190】
このような金属板が液状成分および固形成分を有する製品を収容する缶の基部を構成する場合、蓋がその一部で適切に開いた後、板を繰り返し付勢することにより、ますます多くの液状成分が蓋の開いた部分を通って缶から排出され、板がその変形状態から戻ったときに缶に吸い込まれた空気に置き換わり、板の動作をドージングポンプの膜の動作と同様にさせることができる。このような動作は、液状成分が缶から徐々にかつ制御可能に取り出される結果となり得る。
【0191】
製品が消費者向け食品である場合、金属板は、平均的な消費者の指(複数可)によって基部に常に付与されて、必要に応じて基部を容易に変形させることができる付勢力Fで弾性的に曲げられるように構成することができる。例えば、このような力は約20N(または2Kgの力)とすることができる。
【0192】
上記の金属板は、その平面図において任意の所望の構成を有することができ、付勢部材が基部として使用される缶の構成に一致し、例えば、円形、楕円形、正方形、または長方形などの定形を有することができる。
【0193】
金属板は、欧州規格EN10202:2001に準拠したTS275~TH620の範囲のテンパー度、または他の対応する規格に準拠した同様のテンパー度を有し、かつ0.16mm~0.21mmの範囲の厚さを有する、スズコーティングまたはクロムコーティングされた鋼板の形態にすることができる。
【0194】
金属板は、その厚さと平面図の最大寸法との間の比を、0.001~0.005の範囲、より具体的には、0.002~0.003とすることができる。このような板は、初期および最大弾性曲げ状態でのその中心点の場所の間の最大変形距離を5~10mmの範囲、より具体的には6~8mmの範囲とすることができる。
【0195】
金属板の形態の基部を有する缶の1つの特定の例は、0.16mmの標準的な厚さおよび80mmの標準的な直径の基部を有する丸いツナ缶である。缶の基部は、上記のタイプのうちの1つのスズでコーティングされた鋼板で作ることができ、初期状態で凸形状を有し、その中央部で約20Nの付勢力の付与時に実質的に平面(または少なくとも凸よりも平たい)形状に内向きに弾性的に曲げることができる。初期状態でのその凸状は、2つの状態間の最大変形距離が約7mmになり得るようにすることができる。
【0196】
図14Aおよび
図14Bは、缶1400の基部1430を構成し、かつ周縁1434を有する金属の一例を示し、周縁1434で、基部1430が缶1400の側壁1410と、中央領域1436と、それらの間の中間領域1438とに接続される。
【0197】
図14Aおよび
図14Bに示されるその初期状態および変形状態における基部1430の特定の形状は単なる例示であり、他の可能性が想定されていることを理解されたい。例えば、限定されないが、基部1430は、初期状態で初期の凸面または平面構成を有すことができ、それぞれ、変形状態において、それほど凸状でない、または平面の、または凹状の構成を有することができる。
【0198】
図14Aは、例えば、ツナ缶などの食品用の金属缶1400を概略的に示しており、基部1430は、その周縁1434に隣接する缶の側壁1410に接続されている。金属缶1400は、蓋1440を有し、蓋1440は、任意の従来の方法または前の例に記載された任意の方法でわずかに開いており、開いた部分1441を提供する。開いた部分1441は、そこを通過するのに、製品の液状成分(例えば、油)にとっては十分なサイズであるが、製品の固形成分(例えば、ツナチャンク)にとっては不十分なサイズで構成される。見てわかるように、缶1400は、その基部1430が上向きであり、その蓋1440が下向きである状態で、ひっくり返った位置で保持されている。
【0199】
基部1430は、初期状態では凸形状を有する(
図14Aに実線で示されている)。
図14Aに見られるように、本例では、凸状であるにもかかわらず、基部は、缶の周縁から外向きに突出せず、その従来の包装を可能にする。
【0200】
缶1400は、基部1430をその初期の凸状形状からその変形された平面状態に向かって内向きに曲げるために、付勢力Fがその中央領域1436に付与された状態で
図14Aに示されている(
図14Aに破線で示されている)。本体の塑性変形を防ぐために、基部1430に付与される付勢力Fは、基部1430のF
plasticよりも低くなければならない。弾性変形の間、缶1400の収容容積は、付勢部材がその初期状態でのその容積に比べて減少し、そのため液状成分は、矢印Oの方向で蓋1440内の開いた部分1441を通って缶1440から押し出される。
【0201】
図14Bは、
図14Aの缶1400を概略的に示しており、付勢力Fが解放されたときに基部1430が変形状態(実線で示されている)であり、内向きに曲げられたときに生じたひずみと応力により、方向Dとは反対の方向D’で基部1430に戻り力F’が発現し、基部がその初期状態に戻る(
図14Bの破線で示されている)。このとき、缶の収容容積は、付勢部材が変形状態での容積に比べて増加し、空気は、蓋1440の開いた部分1441を通って矢印Iの方向に缶1400に押し込まれる。
【0202】
力Fを付与し、この力を解放することによって基部1430を内向きに繰り返し付勢して、基部1430を変形させ、その非変形状態またはその非変形状態に近い状態に戻すことを可能にすることで、蓋1440の開いた部分1441を出て缶1400からますます多くの液状成分が取り出され、基部1430の戻り運動によって缶1400に吸い込まれた空気によって置き換えられる。蓋1440の開いた部分1441から液状成分が押し出されなくなったら、缶1400をひっくり返し、蓋1440をさらに開いて固形成分を取り出すことができる。
【国際調査報告】