(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】統合ラジエータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20220210BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20220210BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20220210BHJP
F28D 1/03 20060101ALI20220210BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20220210BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F1/02 A
F28F21/08 A
F28D1/03
F28D1/053 A
F25B39/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537215
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2019130150
(87)【国際公開番号】W WO2020140882
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】201811649247.0
(32)【優先日】2018-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521278287
【氏名又は名称】浙江吉智新能源汽車科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】曹 蘭宝
(72)【発明者】
【氏名】劉 忠剛
(72)【発明者】
【氏名】徐 秀娟
(72)【発明者】
【氏名】雷 霖
(72)【発明者】
【氏名】胡 時通
(72)【発明者】
【氏名】劉 艶林
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA32
3L103BB38
3L103CC02
3L103CC17
3L103CC22
3L103DD32
3L103DD42
(57)【要約】
本発明は、統合ラジエータアセンブリ(100)を提供し、車両の分野に属するものである。統合ラジエータアセンブリは、複数の冷媒フラット管(10)からなるグループと、冷媒収集管(20)と、複数の冷却液フラット管(30)からなるグループと、冷却液収集管(40)と、を備える。冷媒フラット管(10)のそれぞれは、複数の冷媒流路が配置されている。冷媒収集管(20)は、複数の冷媒フラット管のそれぞれの両端位置に配置され、冷媒流路(11)のそれぞれに連通されている。冷却液フラット管(30)のそれぞれは、冷媒フラット管のそれぞれの外側を覆っている。冷却液収集管(40)は、冷媒収集管(20)とは分離されて、複数の冷却液フラット管(30)のそれぞれの両端位置に配置され、冷却液流路(31)のそれぞれに連通されている。これにより、冷媒が冷媒フラット管(10)内及び冷媒収集管(20)内を循環し、冷却液が冷却液フラット管(30)内及び冷却液収集管(40)内を流れるよう構成される。本発明の統合ラジエータアセンブリによると、外気補充やエンタルピーの増加なしに、ヒートポンプシステムの暖房使用要件を満たすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷媒フラット管からなるグループと、冷媒収集管と、複数の冷却液フラット管からなるグループと、冷却液収集管と、を備え、
前記冷媒フラット管のそれぞれは、複数の冷媒流路が配置されており、
前記冷媒収集管は、複数の前記冷媒フラット管のそれぞれの両端位置に配置され、前記冷媒流路のそれぞれに連通されており、
前記冷却液フラット管のそれぞれは、前記冷媒フラット管のそれぞれの外側を覆っており、前記冷却液フラット管の外面と前記冷媒フラット管の外面との間に複数の冷却液流路が形成されており、
前記冷却液収集管は、前記冷媒収集管とは分離されて、複数の前記冷却液フラット管のそれぞれの両端位置に配置され、前記冷却液流路のそれぞれに連通されており、
これにより、冷媒が前記冷媒フラット管内及び前記冷媒収集管内を循環し、冷却液が前記冷却液フラット管内及び冷却液収集管内を流れるよう構成されている、
統合ラジエータアセンブリ。
【請求項2】
前記冷却液フラット管の間にエアフィンが配置されている、
請求項1に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項3】
前記冷媒収集管と前記冷却液収集管とは、同一の側方液体収集管に統合されて構成されている、
請求項2に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項4】
前記側方液体収集管は、アルミニウム板を打ち抜いてから溶接することによって形成されている、
請求項3に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項5】
前記側方液体収集管の内部に分離層が配置され、
前記分離層は、前記冷却液収集管として機能する第一空洞部と、前記冷媒収集管として機能する第二空洞部と、に前記側方液体収集管を分離する、
請求項3又は4に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項6】
前記冷却液流路内の冷却液が前記第一空洞部に収集されるよう、前記冷却液フラット管の端部が前記第一空洞部内に延在して構成されている、
請求項5に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項7】
前記冷媒流路内の冷媒が前記第二空洞部に収集されるよう、前記冷媒フラット管の端部が前記第二空洞部内に延在して構成されている、
請求項5に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項8】
前記冷媒フラット管は、第一の方向に延在し、第二の方向に並列に配列されており、前記第一の方向は前記第二の方向に直交している、
請求項7に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項9】
前記冷媒流路は、前記第一の方向に延在し、第三の方向に並列に連続して配列されており、前記第三の方向は前記第一の方向と前記第二の方向との両方に直交しており、
前記冷却液流路と前記冷媒流路とは、同一方向に配列されている、
請求項8に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【請求項10】
前記冷媒収集管と前記冷却液収集管との両方は、前記第二の方向に延在している、
請求項9に記載の統合ラジエータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の分野に関し、特に、統合ラジエータアセンブリに関連する。
【背景技術】
【0002】
車両のヒートポンプシステムは、冷却と加熱の2つのモードで動作可能である。このため、ヒートポンプシステムの熱交換器は、加熱の際にはエバポレータとして使用され、冷却の際にはコンデンサとして使用される。一方、自動車には、従来の自動車のラジエータウォータータンクや新エネルギー自動車のモータラジエータなどのような、システムの温度を冷却するためのラジエータも装備されている。
【0003】
従来の技術では、ヒートポンプシステムの熱交換器と冷却システムのラジエータとは、通常別々に配置されている。冬の低温環境下では、既存のヒートポンプシステムは、通常、外気補助と正常暖房使用要件を満たすためにエンタルピーの増加とを必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、外気補助やエンタルピーの増加なしに、ヒートポンプシステムの暖房使用要件を満たすことができる統合ラジエータアセンブリを提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、モータと電気制御システムの熱を有効に活用して、省エネルギーと消費削減を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明における統合ラジエータアセンブリは、特に、
複数の冷媒フラット管からなるグループと、冷媒収集管と、複数の冷却液フラット管からなるグループと、冷却液収集管と、を備える。
そして、前記冷媒フラット管のそれぞれは、複数の冷媒流路が配置されており、
前記冷媒収集管は、複数の前記冷媒フラット管のそれぞれの両端位置に配置され、前記冷媒流路のそれぞれに連通されており、
前記冷却液フラット管のそれぞれは、前記冷媒フラット管のそれぞれの外側を覆っており、前記冷却液フラット管の外面と前記冷媒フラット管の外面との間に複数の冷却液流路が形成されており、
前記冷却液収集管は、前記冷媒収集管とは分離されており、複数の前記冷却液フラット管のそれぞれの両端位置に配置され、前記冷却液流路のそれぞれに連通されており、
これにより、冷媒が前記冷媒フラット管内及び前記冷媒収集管内を循環し、冷却液が前記冷却液フラット管内及び冷却液収集管内を流れるよう構成されている。
【0007】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷却液フラット管の間にエアフィンが配置されている。
【0008】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷媒収集管と前記冷却液収集管とは、同一の側方液体収集管に統合されて構成されている。
【0009】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記側方液体収集管は、アルミニウム板を打ち抜いてから溶接することによって形成されている。
【0010】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記側方液体収集管の内部に分離層が配置され、
前記分離層は、前記冷却液収集管として機能する第一空洞部と、前記冷媒収集管として機能する第二空洞部と、に前記側方液体収集管を分離する。
【0011】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷却液流路内の冷却液が前記第一空洞部に収集されるよう、前記冷却液フラット管の端部が前記第一空洞部内に延在して構成されている。
【0012】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷媒流路内の冷媒が前記第二空洞部に収集されるよう、前記冷媒フラット管の端部が前記第二空洞部内に延在して構成されている。
【0013】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷媒フラット管は、第一の方向に延在し、第二の方向に並列に配列されており、前記第一の方向は前記第二の方向に直交している。
【0014】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷媒流路は、前記第一の方向に延在し、第三の方向に並列に連続して配列されており、前記第三の方向は前記第一の方向と前記第二の方向との両方に直交しており、
前記冷却液流路と前記冷媒流路とは、同一方向に配列されている。
【0015】
好ましくは、統合ラジエータアセンブリでは、前記冷媒収集管と前記冷却液収集管との両方は、前記第二の方向に延在している。
【0016】
本発明の統合ラジエータアセンブリによると、共通並流熱交換器の冷媒フラット管は、冷却液フラット管に外側が覆われており、分離されている冷媒収集管と冷却液収集管とが、それぞれ冷媒と冷却液とを収集するよう設けられていることにより、熱交換器とラジエータとを全体的に統合しているよう構成されている。このような構造により、冷媒フラット管内の冷媒と冷却液フラット管内の冷却液との間における熱交換が可能になる。冷媒フラット管の外側を流れる冷却液がモータと電気制御システムの大量の熱を運んでいる間に、冷却が必要な場合、エバポレータとして機能する熱交換器の冷媒が外部熱を吸収する必要がある。このとき、冷媒フラット管内の冷媒は、冷却液フラット管内の冷却液によって運ばれる熱を吸収することができるため、これにより暖房要件が満たされている。このため、追加の外気補充とエンタルピーの増加はもはや必要とされない。また、モータや電気制御システムの熱を有効活用することで、自動車の省エネルギーや消費量の削減を実現している。
【0017】
さらに、熱交換器とラジエータが全体的に統合されているため、独立した機械加工と製造、および独立した輸送と管理が不要になり、コストを効果的に削減することができる。また、統合ラジエータアセンブリは、システムのセット全体の配置の困難性を軽減し、生産時間を加速することができる。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における具体的な実施例を詳しく説明する。当業者は、本発明における上記及び他の目的、利点及び特性を明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
下記に、図面を参照して、例示的かつ非限定的な形態に基づいて、本発明におけるいくつかの具体的な実施例を詳しく説明する。図面には、同一の符号により、同一又は類似な部品や部分を示す。当業者にとって理解すべきところは、これらの図面が、必ずしも一定の縮尺で描かれたものである必要はないことである。
【
図1】本発明の一実施形態における統合ラジエータアセンブリの概略構成図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態における統合ラジエータアセンブリの冷媒フラット管及び冷却液フラット管の概略構成図を示す。
【
図3】本発明の他の実施形態における統合ラジエータアセンブリの概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態における統合ラジエータアセンブリの概略構成図を示す。
図2は、本発明の一実施形態における統合ラジエータアセンブリの冷媒フラット管及び冷却液フラット管の概略構成図を示す。
図1に示すように、本実施形態では、主に、複数の冷媒フラット管10のグループと、冷媒収集管20と、複数の冷却液フラット管30のグループと、冷却液収集管40と、を含む統合ラジエータアセンブリ100を提供する。
【0021】
図2に示すように、冷媒フラット管10のそれぞれには、複数の冷媒流路11が配置されている。冷媒収集管20は、グループを形成する複数の冷媒フラット管10の両端位置に配置され、各冷媒流路11と連通している。
図2に示すように、各冷媒フラット管10は、各冷却液フラット管30によって外側が覆われており、冷却液フラット管の外面と冷媒フラット管の外面との間に複数の冷却液流路31が形成されている。冷却液収集管40は、グループを形成する複数の冷却液フラット管30の両端に配置され、各冷却液流路31と連通している。冷却液収集管40は、冷媒収集管20とは分離されており、冷媒は、冷媒フラット管10内および冷媒収集管20内を循環し、冷却液は、冷却液フラット管30内および冷却液収集管40内を流れる。
【0022】
本実施形態におけるグループを形成する複数の冷媒フラット管10および冷媒収集管20は、実際には、従来技術における並流熱交換器と同様のものである。本実施形態における統合ラジエータアセンブリ100においては、共通並流熱交換器の冷媒フラット管10は、冷却液フラット管30によって外側が覆われており、分離している冷媒収集管20と冷却液収集管40とが、それぞれ冷媒と冷却液とを収集するよう設けられていることによって、熱交換器とラジエータとを全体的に統合していると言える。このような構造により、冷媒フラット管10内の冷媒と冷却液フラット管30内の冷却液との間において熱交換が可能となる。冷媒フラット管10の外側を流れる冷却液がモータおよび電気制御システムの大量の熱を運んでいる間に、冷却が必要な場合には、エバポレータとして機能する熱交換器の冷媒が外部熱を吸収する必要がある。このとき、冷媒フラット管10内の冷媒は、冷却液フラット管30内の冷却液によって運ばれる熱を吸収することができ、その結果、それによる暖房要件が満たされる。このとき、追加の外気補充とエンタルピーの増加はもはや必要とされない。また、モータと電気制御システムの熱が有効活用されることで、自動車の省エネルギーや消費量の削減が実現される。
【0023】
さらに、熱交換器とラジエータが全体的に統合されており、独立した機械加工と製造、および独立した輸送と管理が不要になり、コストを効果的に削減することができる。また、統合ラジエータアセンブリ100は、システムのセット全体の配置の困難さを軽減し、製造時間を加速することができる。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、統合ラジエータアセンブリ100は、さらにエアフィン50を備える。エアフィン50は、隣接する冷却液フラット管30の間に配置される。エアフィン50は、統合ラジエータアセンブリ100と空気との熱交換に有益である。
【0025】
冬季に暖房が必要な場合には、冷媒フラット管10内の冷媒が、冷却液内の熱と自動車内の空気の熱とを吸収することで、自動車全体の熱を有効に活用し、暖房要件を満たすことができる。夏季に冷房が必要な場合には、冷媒フラット管10内の冷媒と冷却液フラット管30内の冷却液が、エアフィン50を介して外部に熱を放出して放熱要件を満たす。つまり、本実施形態における統合ラジエータアセンブリ100は、冷媒、冷却液、および空気の間の熱交換を実現し、冷却の際の放熱要件を満たすだけでなく、暖房の際の熱吸収要件も満たすことができ、自動車全体の熱が完全に利用される。
【0026】
図3は、本発明の他の実施形態における統合ラジエータアセンブリの概略構成図を示す。
図3に示すように、この実施形態では、冷媒収集管20と冷却液収集管40とは、同一の側方液体収集管60として統合されて構成されている。一例として、側方液体収集管60は、アルミニウム板を打ち抜き加工し、その後、溶接することによって形成される。
【0027】
この実施形態では、
図3に示すように、側方液体収集管60の内部に分離層61が配置される。分離層61は、側方液体収集管60を、冷却液収集管40として機能する第一空洞部601と、冷媒収集管20として機能する第二空洞部602とに分離する。
図3に示すように、一例として、冷却液フラット管30の端部が第一空洞部601内に延在し、これにより、冷却液流路31内の冷却液が第一空洞部601に収集される。また、
図3に示すように、一例として、冷媒フラット管10の端部は、第二空洞部602内に延在し、これにより、冷媒流路11内の冷媒が第二空洞部602に収集される。
【0028】
この実施形態では、
図3に示すように、冷媒フラット管10は、第一の方向F1に延在し、第二の方向F2に並列に配置されている。第一の方向F1は、第二の方向F2に直交している。一例として、第一の方向F1は水平方向であり、第二の方向F2は垂直方向である。
【0029】
冷媒流路11は、第一の方向F1に延在し、第三の方向F3に連続して並列に配置されている。第三の方向F3は、第一の方向F1および第二の方向F2の両方に直交している。冷却液流路31と冷媒流路11とは同一方向に配置されている。一例として、第三の方向F3は、水平面上において第一の方向F1に対して垂直方向である。また、冷媒収集管20と冷却液収集管40の両方が、第二の方向F2に延在している。
【0030】
以上、本明細書に詳しく説明する上で、本発明における複数の例示的実施例を記載したが、当業者にとって理解するべきところは、本発明に係る趣旨及び範囲を逸脱しない限り、依然として、本発明に開示されている内容に基づいて、本発明に係る原理に該当する数多くの他の変形や修正を直接に特定し又は導出することが可能である。従って、理解可能なことは、本発明の範囲において、あらゆるこれらの他の変形や修正を含むと考えられるべきである。
【国際調査報告】