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特表2022-515482ディスプレイに使用するための装置、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ディスプレイに使用するための装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20220210BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220210BHJP
   G03H 1/04 20060101ALI20220210BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/18
G03H1/04
B60K35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537719
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 FI2018050982
(87)【国際公開番号】W WO2020136306
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ヤルヴェンパー,トニ
(72)【発明者】
【氏名】キンメル,ユルキ
(72)【発明者】
【氏名】サルミマ,マルヤ
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
2K008
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA17
2H199DA25
2H199DA27
2H249AA02
2H249AA06
2H249AA16
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2K008AA14
2K008CC03
2K008HH18
2K008HH19
3D344AA03
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
本発明の一実施例は、ディスプレイに使用するための装置、方法、及びシステムに関する。一実施例は、複数の回折手段(401a,401c)を含む導波路(401)を備え、入力光ビーム(402)を導波路(401)内に結合し、入力光ビームを拡張し、拡張光ビーム(403)を導波路から出力するように構成された導波路を備え、拡張出力光ビームを反射ベースのヘッドアップディスプレイシステム(404)で使用するために構成された拡張出力光ビームを提供し、ここで拡張出力光ビームは、ユーザの眼に反射するために、ゼロでない光パワーを有する湾曲した反射面(405)に向けられる装置(400)を提供する。導波路(401)は、湾曲した反射面(405)の光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビーム(406)をユーザの眼に提供するように拡張出力光ビーム(403)を調整するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回折手段を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、ユーザの眼に反射するように、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有するように構成された、導波路を備え、
前記導波路は、前記湾曲した反射面の前記光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される装置。
【請求項2】
前記導波路は、前記湾曲した反射面の光パワーと反対の光パワーを有するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導波路の少なくとも一部の形状は、前記湾曲した反射面の光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記導波路の上面及び前記導波路の下面の形状は、前記湾曲した反射面の光パワーを補償する光パワーを提供するように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記導波路は、前記湾曲した反射面の光パワーを補償する光パワーを提供するように構成された曲率を有するように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記導波路は、前記湾曲した反射面の光パワーを補償する光パワーを提供するように構成された曲率半径を有するように構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記導波路は、第1の方向における第1の曲率半径及び第2の方向における第2の異なる曲率半径を有するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記導波路は、第1の方向における第1の曲率半径及び第2の方向における第2の異なる曲率半径を有するように構成され、前記第1及び第2の曲率半径は、前記第1及び第2の方向における前記湾曲した反射面の異なる光パワーを補償するように構成される、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記導波路は、第1の方向における第1の曲率半径及び第2の方向における第2の曲率半径を有するように構成され、前記第1の曲率半径は、前記導波路に対する前記湾曲した反射面の傾斜角を補償するように構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記結合入力する回折手段は、前記結合入力する回折手段に垂直でない入射入力光を前記導波路内に受けかつ結合入力するために最適化された入射光角度を有するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記結合入力する回折手段は、前記導波路に対する前記湾曲した反射面の傾斜角度に応じて構成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記結合出力する回折手段は、前記結合出力する回折手段に垂直でない前記導波路からの出力光を結合出力するために最適化された出力光角度を有するように構成される、前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記結合出力する回折手段は、前記導波路に対する前記湾曲した反射面の傾斜角度に応じて構成される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記導波路の上面及び前記導波路の下面の一方の形状は、前記湾曲した反射面の形状に応じた形状を有するように構成され、前記上面及び前記下面の他方の形状は、実質的に平面であるように構成される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
複数の回折手段を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有し、そこから反射され、コリメートされ、反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように構成された、導波路を備え、
前記導波路は、第1の方向における第1の曲率と、第2の異なる方向における第2の異なる曲率とを有するように構成される装置。
【請求項16】
前記反射面が車両のウインドスクリーンである、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置を含むモジュール。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置、又は請求項17に記載のモジュールと、
湾曲した反射面とを有するシステム。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置、又は請求項17に記載のモジュールを含む車両用のヘッドアップディスプレイ。
【請求項20】
湾曲した反射面を有する請求項19に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項21】
前記反射面が車両のウインドスクリーンである、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
導波路において、入力光ビームを受けることと、
前記導波路の第1の回折手段を介して、前記導波路内への入力光ビームを結合入力することと、
前記導波路の第2の回折手段を介して、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供すること、
の少なくとも部分的に、作用を生じさせる方法であって、
前記導波路は、前記反射型ヘッドアップディスプレイの湾曲した反射面のゼロでない光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される方法。
【請求項23】
複数の回折光学素子を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、ユーザの眼に反射するように、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有するように構成された、導波路を備え、
前記導波路は、前記湾曲した反射面の前記光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、ディスプレイで使用するための装置、方法、及びシステムに関する。いくつかの実施例は、上述に矛盾しない、車両の反射ベースのヘッドアップディスプレイに使用するための装置、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスプレイは必ずしも最適とは限らない。反射ベースのヘッドアップディスプレイ(HUD)のようなディスプレイのための改良された装置を提供することは有用である。
【0003】
典型的には、従来のHUDは、投影ユニットと半反射透明コンバイナとを含む。投影ユニットは、観察者の真正面に位置する半反射透明コンバイナに向けて投影される焦点ずれ画像を生成する。半反射透明コンバイナ、例えば角度を付けられた湾曲ガラス片は、投影された画像をプロジェクタユニットから観察者の目に反射/リダイレクト及び再焦点化して、観察者が視準された仮想イメージを見ることができるようにするとともに、半反射透明コンバイナを通して背景の実世界を見ることもできるようにする。このような例では、コンバイナは、プロジェクタと共に最適化され、コリメートされた仮想イメージを提供する。コリメートされた仮想イメージは、観察者によって、無限遠にある焦点を有すると知覚される。このようなコリメートされた画像によって、コリメートされた仮想イメージコンテンツ(例えば、拡張現実、バーチャルコンテンツ)と背景の実世界ビューとを切り替える際に、観察者の目は、近距離での視野から遠距離での視野に再び焦点を合わせる必要がなくなる。
【0004】
HUDの一部の実装では、投影ユニットは、平面コンバイナから観察者の目に反射/リダイレクトされる投影コリメート画像を生成する。ここでも、視準された仮想イメージは、無限遠にある焦点を有するように観察者によって知覚される。
【0005】
車両HUDにおいて、車両のウインドスクリーンの平坦でない/平坦でない/湾曲した形状及びそのゼロでない光パワーは、そこから反射される投影されたコリメートされた画像に歪みを導入する。これは、視聴者に表示される投影画像を歪ませ、また、表示される画像の全体又は一部を焦点が合わなくする可能性がある。したがって、車両のウインドスクリーンを反射面として使用するのではなく、別個の反射構成要素(すなわち透明結合器)を使用して、投影された平行画像を観察者の眼に反射させるのが一般的である。しかしながら、ユーザとフロントガラスとの間に配置されたこのような別個の反射構成要素は、例えば車両が衝突に巻き込まれた場合に、ユーザにとって潜在的な危険となり得る。
【0006】
過去に公表された文書又は本明細書に記載されている背景の記載又は考察は、必ずしも、その文書又は背景が到達水準の一部である、又は周知の一般知識であることの自認と解釈すべきではない。本開示の1つ又は複数の態様/例は、背景問題の1つ又は複数に対処してもしなくてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の開示の種々の実施例によれば、必ずしもすべてではないが、複数の回折手段を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力(in-couple)し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力(out-couple)し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、ユーザの眼に反射するように、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有するように構成された、導波路を備え、前記導波路は、前記湾曲した反射面の前記光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される装置が提供される。
【0008】
本開示の様々な実施例によれば、必ずしもすべてではないが、複数の回折手段を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有し、そこから反射され、コリメートされ、反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように構成された、導波路を備え、前記導波路は、第1の方向における第1の曲率と、第2の異なる方向における第2の異なる曲率とを有するように構成される装置が提供される。
【0009】
本開示の様々な実施例によれば、必ずしもすべてではないが、複数の回折光学素子を備えた導波路であって、前記導波路内に入力光ビームを結合入力し、前記入力光ビームを拡張し、前記導波路からの前記拡張光ビームを結合出力し、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供するように構成され、前記拡張出力光ビームが、ユーザの眼に反射するように、湾曲した反射面に向けられ、ゼロでない光パワーを有するように構成された、導波路を備え、前記導波路は、前記湾曲した反射面の前記光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される装置が提供される。
【0010】
すべてではないが種々の開示例によれば、上記装置を含むモジュール及び/又はシステムが提供される。
【0011】
本開示の様々な実施例によれば、導波路において、入力光ビームを受けることと、前記導波路の第1の回折手段を介して、前記導波路内への入力光ビームを結合入力することと、前記導波路の第2の回折手段を介して、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された拡張出力光ビームを提供すること、の少なくとも部分的に、作用を生じさせる方法であって、前記導波路は、前記反射型ヘッドアップディスプレイの湾曲した反射面のゼロでない光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように、前記拡張出力光ビームを調整するように構成される方法が提供される。
【0012】
すべてではないが様々な開示の例によれば、添付の特許請求の範囲に記載された例が提供される。
【0013】
本発明の詳細な説明及び特定の実施形態を理解するのに有用な本開示の様々な例をよりよく理解するために、ここでは、以下の添付図面のみを例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の詳細な説明及び特定の実施形態を理解するのに有用な本開示の様々な例をよりよく理解するために、ここでは、以下の添付図面のみを例として参照する。
【0015】
図1図1は、コリメートされた画像出力を有する平坦な平面回折導波路及び平坦な平面反射面を含むHUDシステムの例を概略的に示す。
図2図2は、図1のHUDシステムにおいて使用される回折導波路を概略的に示す。
図3図3は、コリメートされた画像出力を有する平坦な平面回折導波路と、画像を歪ませる湾曲した反射面とを含むHUDシステムの一例を概略的に示す。
図4A図4Aは、本開示による装置の一例を概略的に示す。
図4B図4Bは、装置から結合出力され、湾曲した反射面から反射される光線の平面図を概略的に示す。
図4C図4Cは、湾曲した反射面から反射された光線を概略的に示す。
図5図5は、本開示による装置の別の例の図を概略的に示す。
図6図6は、本開示による装置のさらに別の例を概略的に示す。
図7図7は、第1の傾斜角を有する本開示による装置の構成例を概略的に示す。
図8図8は、第2の傾斜角を有する本開示による装置の別の構成例を概略的に示す。
図9図9は、第3の傾斜角を有する本開示による装置のさらに別の構成例を概略的に示す。
図10図10は、本開示による装置の代替例を概略的に示す。
図11図11は、図10の装置の構成を概略的に示す。
図12図12は、本開示による方法の一例を概略的に示す。
【0016】
図は必ずしも拡張縮小する必要はない。図の特定の特徴及び図は、明瞭性及び簡潔性のために、概略的に又は誇張して示すことができる。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、説明を容易にするために他の要素と比較して誇張されてもよい。図面では、同様の特徴を示すために同様の参照番号が使用されている。なお、全ての図において全ての参照番号を表示する必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図4図11は、導波路/光ガイド401を含む装置400を概略的に示す。導波路は、複数の回折手段401a、401cを備え、入力光ビーム402を導波路内に結合入力(in-couple)させ、結合入力された光ビームを拡張し、拡張光ビームを導波路外に結合出力(out-couple)させて、拡張された出力光ビーム403を提供する。拡張された出力光ビームは、反射ベースのヘッドアップディスプレイシステム404で使用するように構成され、ここで、拡張された出力光ビームは、ゼロでない光パワーを有する湾曲した反射面405に向けられ、そこからユーザの眼に反射される。導波路は、湾曲した反射面の光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビーム406をユーザの眼に提供するように、拡張出力光ビームを調整するように構成される。一部の実施例では、必ずしも全てではないが、導波路の少なくとも一部の形状は、湾曲した反射面の光パワーを補償し、コリメートされ反射された拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するために、拡張出力光ビームを調整するように構成される。
【0018】
請求項の範囲を限定することなく、本開示の様々な(必ずしもすべてではない)実施例の技術的利点/技術的効果は、湾曲した反射面を利用することができる、HUDシステムのようなコリメートされた画像表示システムのための装置を提供することである。好都合なことに、すべてではないがいくつかの実施例において、自動車及び航空電子工学アプリケーションで使用される場合、別個の専用反射コンポーネント(例えばコンバイナ)を提供する代わりに、自動車/飛行機のウインドスクリーン/コックピット窓を反射面として使用することができる。有利には、これは、専用コンバイナのような別個の追加の構成要素の必要性を回避することができる。或いは、反射面に専用の別個のコンバイナが使用される場合、湾曲したコンバイナが使用されてもよい。
【0019】
さらに、(湾曲した反射面の歪みを補償することに加えて)回折導波路を用いることにより、投影像の射出瞳を拡張し、かつ補正された投影像を出力することにより、出力光ビームのアイボックスを効果的に拡張/拡大することができ、従来のHUDの投影ユニット/光学エンジンと比較して、より小さな入力ビーム(従って、より小さな投影ユニット/光学エンジン)を利用することができる。したがって、投影ユニット/光学エンジンに必要とされるサイズ、スペース量(及び重量)は、より少なくてよい。
【0020】
図1は、HUDシステム104において使用される平坦/平面回折射出瞳拡張器(EPE)導波路101を含む装置100の側面断面図を概略的に示す。投光ユニット/光学エンジン(未図示)は、平坦な回折EPE導波路101に入射するコリメートされた入力ビーム102を提供する。平坦な回折EPE導波路101は、複数の回折手段101a、101b、及び101cを備え、入力平行光ビーム102を結合入力、拡張、及び結合出力して、拡張出力平行光ビーム103を提供するように構成されている。コリメートされた拡張出力光ビーム103は平坦な平面反射面105に向けられ、それはコリメートされた拡張出力光ビームを観察者の目に向けて反射し、それによって、コリメートされ反射された拡張出力光ビーム106を観察者の目(示されない)に提供する反射ベースのHUDシステム104を提供し、観察者は無限遠に焦点を合わせた仮想イメージを知覚することができる。
【0021】
図2は、平坦な回折EPE導波路101の平面図を示す。平坦な回折EPE導波路101は、光学媒体からなる基板201と、複数の回折手段101a,101b,101cを備える。第1の回折手段101aは、プロジェクタ(未図示)からの入力光ビーム102を導波路基板201に結合入力させるように構成される。結合入力された光ビームは、全内部反射を介して、結合入力された光ビームを拡張するように構成された第2の回折手段101bに導かれる(1つの次元/方向に)。拡張された結合された光ビームは、全内部反射を介して、結合された光ビーム(別の次元/方向に)をさらに拡張し、また、拡張された光ビームを導波路から取り出して、拡張された出力光ビーム103を提供するように構成された第3の回折手段101cに導かれる。
【0022】
一部の実施例では、必ずしもすべてではないが、回折手段は、回折光学素子(DOE)、例えば、入力光ビームを受け取り、回折を介して導波路の基板内にそれを結合入力するように構成された入射DOE、回折を介して1つ以上の方向に入射光ビームを拡張するように構成された1つ以上の中間DOE、及び出力光ビームを提供するために回折を介して導波路の基板から結合入力及び拡張された光ビームを結合出力するように構成された結合出力DOEである。いくつかの例では、必ずしもそうではないが、回折手段は、回折格子、例えば導波路基板上の平行線/溝/ルーリングの表面レリーフパターンである。
【0023】
図3は、非平坦/非平面/湾曲した反射面305と共に使用される場合における、平坦な回折EPE導波路101の側面図を概略的に示す。湾曲した反射面305は、ゼロでない光パワーを有する。従って、コリメートされた拡張出力光ビーム103が湾曲した反射面305(この例では、凹面の反射面)から反射するとき、それは反射光ビーム306を歪ませて、反射光ビームがもはやコリメートされない、すなわち平行光線を含まず、代わりに収束光線を含むようにする。事実上、湾曲した反射面は、反射光ビームの集束効果を与え、その結果、反射光ビームは発散し、もはやコリメートされない。ビューワは、仮想イメージに焦点を合わせることができない(焦点が事実上無限遠を超えているので)。したがって、このような平坦な回折EPE導波路101は、湾曲した反射面を有する反射型HUDに使用するために最適化されない。
【0024】
図4Aは、本開示の第一の態様による装置400の側面図を概略的に示す。図4は、装置400の動作を説明するために必要な機能構成要素に焦点を当てている。装置400は、反射型ヘッドアップディスプレイシステム404に使用するための回折導波路401を含み、回折導波路401は、ゼロでない光パワーを有する湾曲した反射面405の利用を可能にするように構成される。以下により詳細に説明するように、回折導波路401の少なくとも一部の形状は、回折導波路から結合出力された出力光ビーム403を調整して、湾曲反射面405の光パワーを補償し、コリメートされた反射出力光ビーム406をユーザの眼(未図示)に提供するように構成される。
【0025】
導波路401は、例えば、その湾曲した形状によって、湾曲した反射面及びそのゼロでない光パワーによって導入された歪みを補償/矯正するように構成される。導波管は、湾曲した反射面の形状と一致/相補する形状を有することによって、湾曲した反射面の歪みを本質的に補償し、その結果、湾曲した表面からの反射によってもたらされる歪みを整流する。このような歪みを補償することにより、観察者の眼への平行ビームの提供及び(又はその近く)無限遠に焦点を合わせた仮想イメージの知覚を維持しながら、湾曲した反射面を反射型HUDシステムに使用することが有利に可能になる。非限定的な例として、反射面は、-1ジオプターの光パワーを有することができ、したがって、導波路は、導波路及び反射面の全光パワーが0であるように、+1の視度補正(diopter)の光パワーを有するように構成することができる。
【0026】
この装置はモジュールとして構成されてもよい。ここで用いられる「モジュール」とは、最終製造者又は使用者によって追加される特定の部品/構成要素(例えば、少なくとも反射面自体)を除外するユニット又は装置を意味する。
【0027】
一部の実施例では、導波路は、湾曲した反射面の光パワーと反対の光パワーを有するように構成される。一部の実施例では、必ずしも全てではないが、導波路401の少なくとも一部の形状は、湾曲した反射面の光パワーを補償するために、湾曲した反射面の形状に依存する形状を有するように構成される。
【0028】
プロジェクタ(未図示)は、湾曲した回折導波路401に入射する入力ビーム402を提供する。湾曲した回折導波路は拡張し、拡張した出力光ビーム403を出力する。しかし、湾曲した回折導波路401の凸形状のために、出力結合された光ビーム403はコリメートされず、代わりに発散する。湾曲した回折導波路401の形状は、出力光ビーム403に、湾曲した反射面405の光パワーを補償し、そのような発散拡張した出力光ビーム403によって与えられた収束/合焦を打ち消す程度の発散を与えるように構成され、一旦湾曲した反射面405から反射されると、コリメートされた拡張出力光ビーム406が観察者の眼の方に向けられるようにコリメートされる。好都合には、例を反射ベースHUDシステム404で使用して、コリメートされた反射拡張出力光ビーム406を湾曲した反射面405、例えば車両のウインドスクリーン又は湾曲した別個のコンバイナ/リフレクタを介して観察者の目に提供し、それによって観察者が無限遠に焦点を合わせた仮想イメージを知覚できるようにすることができる。
【0029】
いくつかの実施例では、必ずしもすべての実施例ではないが、導波路は、反射面の光パワーを補償するように構成された湾曲EPEではあるが、例えば、図1図3のものと同様の回折射出瞳拡張器(EPE)である。
【0030】
一の実施例では、導波路は、湾曲した反射面の光パワーと反対の光パワーを有するように構成される。
【0031】
一の実施例では、導波路及び反射面の両方の組み合わせは、それらの光パワーの合計が実質的に0であるように構成される。
【0032】
必ずしもすべてではないが、いくつかの実施例では、導波路の光パワーは、表面曲率以外の他の手段によって制御される。
【0033】
一の実施例では、導波路の上面及び下面の形状は、湾曲した反射面の光パワーを補償するように構成され、すなわち、上面及び下面の形状は、湾曲した反射面の形状に少なくとも依存する。
【0034】
いくつかの実施例では、必ずしもすべてではないが、導波路は、湾曲した反射面の光パワーを補償するように構成された曲率を有するように構成される、すなわち、導波路の曲率は、湾曲した反射面の曲率に少なくとも依存する。一部の実施例では、必ずしも全てではないが、導波路は、湾曲した反射面の光パワーを補償するように構成された局所曲率半径を有するように構成される。すなわち、導波路の局所曲率半径は、湾曲した反射面の曲率半径に少なくとも依存する。
【0035】
すべてではないがいくつかの実施例では、反射面は、車両又はコックピットのウインドスクリーン、ウインドシールド又は窓である。全てではないがいくつかの例では、車両は自動車であり、例えば、少なくとも例えば、自動車、バス、コーチ、又はオートバイである。いくつかの例では、車両は航空機であり、少なくとも例えば、航空機又はヘリコプター(すなわち、反射面/ウインドスクリーンはコックピットのガラス窓又は透明ポリマーである)である。いくつかの例では、車両は鉄道車両であってもよく、例えば、電車又は路面電車であってもよい。一部の実施例では、必ずしもすべてではないが、反射面は別個の結合器構成要素であり、すなわち、車両に対してレトロな建具類を可能にするために車両にとって不可欠ではない。必ずしもすべてではないが、いくつかの例では、反射面は凹面である。
【0036】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、投影ユニットは、それが使用される特定の湾曲した回折導波路に最適化された出力投影光ビーム402を提供するように構成される。いくつかの例では、投影ユニットは、湾曲した回折導波路401の焦点距離に一致/実質的に一致する焦点距離を有する出力投影光ビーム402を提供するように構成される。いくつかの例では、投影されたビームの焦点距離は、結合入力回折手段101aの形状/焦点距離と一致/実質的に一致するように構成される(これは、結合入力された投影ビームのMTF(変調伝達関数)を減少させないようにし、それによって、湾曲した結合入力回折手段の異なる部分が異なる内部角度で結合入力されている平行光線を減少/回避するためであり、この内部角度は、システムの後の方でぼやけて認識される)。
【0037】
図4Bは、装置400の結合出力回折手段401cから出力結合され、湾曲した反射面405から反射されて、反射光ビーム406がユーザの眼に向けられるようにコリメートされる光線403の平面図を概略的に示す。
【0038】
図4Cは、湾曲した反射面405及び湾曲した回折導波路401から出力された光ビーム/光線403のうち、湾曲した反射面405に入射して反射してユーザの眼407に入射する部分の斜視図を示す。
【0039】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、回折導波路401は、図1図3の平坦/平面回折EPE導波路101と多くの点で類似してもよい。すなわち、回折導波路401は、同様に、投影ユニット/光学エンジン(未図示)からの入力光ビーム402を結合入力し、光ビームを拡張して結合出力し、拡張された出力光ビーム403を提供するように構成された複数の回折手段(未図示)を含む。しかしながら、そのような回折EPE導波路401が、図1に示すような平坦/平面回折EPE導波路100である代わりに、回折EPE導波路401の少なくとも一部の形状は、非平坦/非平面/湾曲である。
【0040】
例えば、図1の平坦なEPE導波路101は、平坦なユークリッド平面/幾何学において互いに平行である回折溝/規則線を含む回折格子101a、101b、101cを有してもよい。図4Aの湾曲した(例えば球形)回折EPE導波路401は、回折手段401a及び401c(例えば回折格子の表面層)を有してもよく、この回折手段は、湾曲した幾何学的形状、例えば球面幾何学において「平行」である回折溝/ルーリングの線を含み、回折溝/ルーリングが球面幾何学において緯度又は経度の子午線の平行に沿って走るようにする(他の曲線形状、例えば、1つの軸/方向/寸法の曲率が異なる/直交軸/方向/寸法の曲率と異なる曲線形状又は円筒形状を採用してもよい)。
【0041】
図5は、コリメートされた出力ビーム/画像506をユーザの眼507に提供する反射HUDシステム504で使用するための本開示による装置500の別の実施例の一部の図(正面図、側面図、平面図、斜視図)を概略的に示す。反射HUDシステム504は、2Dの湾曲した反射面505、すなわち、第1の軸/方向に第1の曲率半径r1を有し、第2の軸/方向に第2の異なる曲率半径r2を有する。すなわち、反射面が第1の直交方向と第2の直交方向に異なる曲率を有する曲線状であるように構成される。装置500は、図4Aと同様の回折EPE導波路501、すなわち、結合入力回折手段(未図示)と、伸張回折手段(未図示)と、結合出力回折手段501cとを備える。
【0042】
この実施例では、2D湾曲反射面505は、傾斜角t、例えば45度だけEPE導波路に対して傾斜している。傾斜角のために、結果として生じる反射面の有効光パワーは、異なる軸/方向に沿って異なる。これを補償するために、反射面505の曲率は、二つの異なる軸/方向に対して異なる。具体的には、反射面505は、一方の軸/方向r1における局所曲率半径及び直交軸/方向r2における局所曲率半径を有する二次元曲率を有するように構成される。
【0043】
湾曲したEPEプレートは、ある有限距離で集光された光503を結合出力するように構成された、曲率半径rを有する球状に湾曲している。有限距離/合焦度は反射面の曲率とその光パワーに基づいている。球状に湾曲したEPEプレート501は、その形状を介して、光が2D湾曲(内側から凹む)反射面505から反射されたときに焦点距離が無限大にシフトするように、光に合焦度を与えるように構成される。
【0044】
図6は、本開示に係る装置600のさらに他の実施例であって、図5と同様のもの、すなわち、結合入力回折手段、拡張回折手段(未図示)及び結合出力回折手段601cを有するものを概略的に示す。図5では、湾曲した回折EPE導波路501は、湾曲した反射面の曲率/光パワーを補償するために、2Dの湾曲した反射面505を補完するように球状に湾曲しているが、図6においては、反射面は球状に湾曲し、湾曲した回折EPE導波路601は2Dに湾曲している。特に、2Dの湾曲EPE導波路は、湾曲反射面の曲率/光パワーを補償するだけでなく、回折EPE導波路601に対する湾曲反射面605の傾斜角t1をさらに補償するように構成される。傾斜角は、反射面によって画定される第1の主平面と、EPE導波路によって画定される第2の主平面との交差角によって画定されてもよい。
【0045】
球状に湾曲した反射面605は、曲率半径rを有する。反射面605は、回折EPE導波路601の光路上にあり、傾斜角t1だけ傾斜している。このため、反射面の実効的な光パワーは、異なる軸/方向に沿って異なる。これを補償するために、回折EPE導波路601の曲率は、二つの異なる軸/方向に対して異なる。特に、回折EPE導波路は、1つの軸/方向r1における曲率半径と、直交する軸/方向r2における曲率半径とを有する2次元曲率を有するように構成される。
【0046】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、導波路は、第1の方向に第1の曲率半径を有し、第2の方向に第2の異なる曲率半径を有するように構成される。
【0047】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、導波路は、第1の方向における第1の曲率半径及び第2の方向における第2の曲率半径を有するように構成され、第1及び第2の曲率半径は、第1及び第2の方向における湾曲反射面の異なる光学的パワーを補償するように構成される。
【0048】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、導波路は、第1の方向における第1の曲率半径及び第2の方向における第2の曲率半径を有するように構成され、第1の曲率半径は、導波路に対する湾曲反射面の傾斜角を補償するように構成され、すなわち、第1の曲率半径は、導波路に対する湾曲反射面の傾斜角に少なくとも依存する。
【0049】
このような2D湾曲EPE導波路が使用されるいくつかの実施例では、プロジェクタ(未図示)は、サジタル焦点(x軸とy軸の異なる焦点距離、すなわち非点出力)を有するように構成される。ここで、投影ビームの焦点距離(x軸とy軸/方向のそれぞれで)は、MTFの低下を回避し、得られた像がぼやけることを回避するために、結合入力回折手段101a(x軸とy軸/方向のそれぞれで)の形状/焦点距離と一致/実質的に一致するように構成されている。
【0050】
必ずしもすべてではないが、いくつかの実施例において、より複雑な非球形の形状を利用することができることを理解されたい。例えば、反射面は、曲線状又は円筒状のような非球面湾曲形状を有してもよく、1つの軸/方向/寸法における曲率は、異なる/直交軸/方向/寸法における曲率と異なる。次に、導波路は、このような複雑な湾曲形状の反射面の光パワーを補償するように、拡張された出力光ビームを調整するように適切に構成されてもよい。例えば、導波路自体は、複雑な形状の反射面の光パワーを補償するように適切に整合/構成された対応する複雑な形状を有してもよい。
【0051】
図7は、水平に位置合わせされたEPE導波路701に対して45度又はそれに近い傾斜角を有する湾曲した反射面705を有するHUDシステム704で使用され、水平に位置合わせされたユーザに反射ビーム706を提供するための湾曲したEPE導波路701を備える装置700の例示的な構成を概略的に示す。この点に関して、結合入力回折手段は、結合入力回折手段に法線方向に入射する光702の入力ビームを結合入力するように最適化されるように構成されてもよい。同様に、結合出力回折手段は、光ビーム703を結合出力回折手段に法線方向に出力結合するように最適化されるように構成されてもよい。このような構成は、導波路のDOEの格子周期、深さ、形状、配向、コーティング及び材料特性(例えば屈折率)に関係する。
【0052】
明らかに、例えば、車両ダッシュボード/コックピットの構造、最適化された空気力学、最適化された画像品質、又は単純化された光学系設計のために、異なる角度を選択することが可能であることが理解されるべきである。一の実施例では、必ずしもすべてではないが、湾曲したEPE導波路及び湾曲した反射面を含む反射ベースHUDシステムは、反射面の曲率及び相対的配向/アライメントが調整されるように、すなわち湾曲した反射面が湾曲したEPE導波路に対して特定の所定の傾斜角/相対的アライメントを有するように設計されてもよい。
【0053】
図8は、EPE導波路801を水平方向(例えば、装置が車両のHUDで使用される場合、EPE導波路801は、車両のグレアシールド(未図示)と整合するようにタイトルを付けることができる)に対して20度傾けた状態を示している。その結果、反射面805自体は、反射された画像ビーム806の水平方向を維持するように、以前の45度の上にさらに10度、すなわち55度まで傾斜してもよい。このような幾何学的配置は、種々の光学構成要素、例えば、EPE導波路の形状及び反射面の形状の両方を、実質的に球形にすることができる設計を容易にすることができる。
【0054】
結合入力回折手段(すなわち、水平線に対して70°の角度で入射する光の入力ビーム802)の法線方向に入射する光802の入力ビームは、対応して、結合外回折手段(すなわち、水平線に対して70°の角度)に法線方向に光803の出力ビームを提供するように結合される。
【0055】
図9において、湾曲したEPE導波路901上の結合入力及び結合出力回折手段901a、901bは、それぞれの表面に対して垂直/垂直以外の最適化された光入力及び出力角度を有するように構成される。このような構成は、導波路のDOEの格子周期、深さ、形状、配向、コーティング及び材料特性(例えば屈折率)に関係する。これにより、反射面905の傾斜角度を調整することなく、湾曲したEPE導波路901を水平方向(例えば、車両のグレアシールド(示されない)に合うように20°動かす)に対して傾斜させることができる。標記の湾曲EPE導波路901は、垂直方向から入力される入力ビーム902を結合入力し、垂直方向(すなわち、図4Aから図7の垂直光出力と同様)に結合出力するように構成されている。湾曲したEPE導波路の最適化された結合入力角度及び結合出力角度を調整する能力を使用して、HUDシステムの光学設計をさらに最適化/単純化することができる。
【0056】
一の実施例では、必ずしもすべてではないが、結合入力回折手段は、結合入力回折手段に法線でない導波路への入射入力光を受信し、結合入力回折手段に法線でない入射入力光を結合するために最適化された入力光角度を有するように構成される。すべてではないがいくつかの例では、結合入力回折手段は、導波路に対する湾曲した反射面の傾斜角に従って構成される。一の実施例では、必ずしもすべてではないが、出力結合回折手段は、出力結合回折手段に垂直でない導波路からの出力光を結合出力するために最適化された出力光角度を有するように構成される。一の実施例では、必ずしもすべてではないが、結合出力回折手段は、導波路に対する湾曲した反射面の傾斜角に従って構成される。このような回折手段の構成は、回折手段の格子周期、深さ、形状、方位、コーティング及び材料特性(例えば屈折率)に関連する。
【0057】
図10は、本開示の第二の態様による装置1000の一例を概略的に示す。本発明の第1の態様の上記実施例では、反射面の曲率を考慮してEPE導波路の形状を構成した。EPE板を平坦にする代わりに、湾曲したEPE板を用い(例えば、球状に湾曲した)、湾曲面に接する2つの直交方向における局所的な曲率半径を同じにし(例えば、図5)、または、曲面に接する直交する2方向の局所的な曲率半径を異ならせ得る(例えば、図6)。本開示の第2の態様の例では、EPEプレートの一方の側面1001’の形状は平坦/平面のままであり、EPEプレート1001の反対側の側面1001’’は、湾曲した反射面1005の曲率を補償するように調整/湾曲される。
【0058】
補償面1001b’’は、EPEプレート1001の裏面1001’’に、結合出力回折手段1001b(意図する視聴者[例えば、自動車又はアビオニクス用のHUDに装置が使用される場合は、航空機の車両/パイロットの運転者]に目的のアイボックスと視野を提供するのに十分な大きさである)に対向して適用される。補償面1001b’’は、湾曲した反射面1005(フロントガラスやコックピットガラスなど)からの反射において生じる歪みに対抗する前歪み面として作用する。また、反射面1005に反射膜(未図示)を塗布し、HUDで用いられる波長帯域の反射を高めることもできる。
【0059】
一の実施例では、導波路の上面及び下面の一方の形状は、湾曲した反射面の形状に依存する形状を有するように構成され、上面及び下面の他方の形状は、実質的に平面状に構成される。
【0060】
図11は、車両用HUD1004に用いられる図10の装置1000を概略的に示す。視聴者1008に提示される画像/視覚情報1002は、投影ユニット/光学エンジン1010のマイクロディスプレイ装置1009内で生成され、これは、画像1002をEPE導波路1001に向けて、結合入力、拡張、及び結合出力し、ユーザが歪みのない画像/視覚情報を見ることができるように、フロントガラスから反射する拡張出力画像を提供し、これにより、拡張現実ディスプレイをユーザに提供する。
【0061】
図10に示されるように、補償表面領域1001b’’におけるEPE導波路の裏面の形状は、光がEPE導波路からフロントガラスに向けて回折される前に、裏面からの光の唯一の「バウンス」を提供するように構成される。歪みのない反射像(拡張された視野/アイボックス)を生成するために、フロントガラスの正確な形状を考慮して、特定のフロントガラスに対するEPE導波路1001の裏面補償表面1001b’を設計することが可能である。
【0062】
フロントガラスの形状はy=f(z)で表される。EPE導波路の裏面補償表面領域1001b’の形状はy=g(z)で表される。光がフロントガラスから反射する角度をβで表される。
【0063】
一般的なケースでは、フロントガラスの形状は、関数がy=g(x、z)となるように2方向に湾曲することができる。ここで示す計算は、単純化するために一方向にのみ示している。Z軸を主光軸として定義するのが通例であり、この場合、フロントガラスを通してユーザの視界に向かう方向である。以下ように仮定することができる。
【0064】
・光はフロントガラスからユーザに向かってz軸方向に反射される。
・EPE導波路の回折格子は周期dを有し、回折次数はmであり、光の波長はlである。
・EPE導波路内の光は、ある角度aで全内部反射するように方向付けられる。
【0065】
ここで、回折格子について、以下のように定義することが可能である。
h=ml/d
【0066】
これはg(z)の計算で格子について把握する必要がある唯一のパラメータであり、格子については格子方程式を用いる。
sinq-sinq=h
ここで、qは入射光、qは回折光(m次)である。
【0067】
ジオメトリから以下の式が得られる。
=p/2-2b
角度bは、関数fの傾きf’(微分)の法線を基準に定義されるため、次のようになる。
=p/2-atan(-1/y’)
【0068】
よって、以下の式が得られる。
=asin(sinq-h)
=asin(sin(p/2-atan(-1/y’)-h) (1)
【0069】
表面gでは、入射光は設計全内部反射方向aによって定義され、表面gからの反射は、表面fに対する以前の処理と同様に計算することができる。
=atan(-1/y’)-a (2)
【0070】
式(1)と式(2)は、y’をy’に関連付ける式であり、この式から関数yh=g(z)について解くことができる。
【数1】
【0071】
ここで、t=cos(2atan(1/y’))―h)
【0072】
したがって、ウインドシールド形状を記述する関数y=f(z)が既知であれば、ウインドシールドから反射した光が眼箱内で平行な方向を向いているという要件を満たすように、導波板の底部の形状y=g(z)を算出することができる。
【0073】
もちろん、同様の計算をフロントガラス表面に適用して、数メートル離れたところなどの別の焦点距離を設計することも可能である。ウインドシールド曲率を補償する導波管形状を実装し、知覚された画像を無限遠からユーザに近づけるような光パワーを追加する。
【0074】
いくつかの例では、次のようになる。
・導波路の上面には表面y=g(x、z)が形成され、下面には回折格子(2方向で同じ計算)が形成されている。
・面y=g(z)は底面/上面に形成され、対応する面y=g(x)はプレート(g(z)側の反対側)の回折格子側に形成され、光線が格子線に垂直な方向に到達するように格子を形成する。
・表面からの修正された反射の結果としての複合効果がフロントガラスからの反射で達成されるように、導波路の2つ以上の部分に同じ計算が連続的に適用される。この場合、導波路の表面トポロジーの非常に緩やかな連続的修正が必要である。
・積層EPE溶液(複数の波長を使用する場合など)では、形成された表面は、各導波路に対して異なる側面及び/又は位置にあり得る。
・フロントガラス又はコックピットのガラス表面は、投影された画像の所望の波長帯域をガラスからユーザに向けて優先的に反射させるために、適切なダイクロイックフィルタ構造でコーティングされ、これにより、光学エンジンに対する電力要求を有利に低減することができる。
【0075】
必ずしも全てではないがいくつかの例において、修正された形状は、ガラス上の精密研削、ダイヤモンド旋削、又は光学ポリマー又はガラスのための押出又は他の成形技術に使用できる(ダイヤモンド旋削)型を作製することによって実現することができる。同じ型は、回折格子マスターを組み込むことができる。
【0076】
本開示の態様の利点は、無限遠で歪みのない画像を提供することにより、改善されたユーザ体験を提供することを含む。さらに、反射を提供するために追加のコンポーネントは必要ありません(例えば、フロントガラス又はコックピットガラスは車両の不可欠な部品であるため、)。さらに、EPEベースの導波路の使用は、HUDセットアップにおいて、すなわち従来のHUDシステムと比較して、比較的小型/平坦/低フットプリントのプロジェクタの使用を可能にする。
【0077】
図12は、方法1200を概略的に示す。ブロック1201では、入力光ビームが導波路で受信される。ブロック1202において、入力光ビームは、導波路の第一の回折手段を介して、導波路内に結合される。ブロック1203において、結合された入力光ビームは、導波路の少なくとも第二の回折手段を介して、導波路から伸張され、出力光ビームを提供し、反射型ヘッドアップディスプレイシステムにおいて使用するように構成された伸張された出力光ビームを提供し、導波路の少なくとも一部の形状は、反射型ヘッドアップディスプレイの湾曲した反射面のゼロでない光パワーを補償するように伸張された出力光ビームを調整し、コリメートされ反射拡張出力光ビームをユーザの眼に提供するように構成される。
【0078】
本開示の例は、様々な手段及び構成要素を含む、又は方法の動作を実行/適用する機能を提供する方法及び対応する装置の両方を提供する。
【0079】
上記の例は、実施可能な構成要素として、自動車システム、民生用電子製品を含む電子システム、分散コンピューティングシステム、オーディオ、ビジュアル及びオーディオビジュアル・コンテンツ並びに混合、仲介、仮想及び/又は拡張現実を含むメディア・コンテンツを生成又はレンダリングするためのメディア・システム、航法システム、ヒューマン・マシン・インターフェースとも呼ばれるユーザ・インターフェースなどの適用可能である。
【0080】
構造的特徴が記述されている場合、それは、その機能又はそれらの機能が明示的又は暗示的に記述されているか否かにかかわらず、構造的特徴の1つ又は複数の機能を実行する手段によって置き換えられてもよい。
【0081】
本明細書では特定の用語が使用されるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【0082】
前述の説明で説明した特徴は、明示的に説明した組合せ以外の組合せで使用することができる。
【0083】
機能は、特定の特徴を参照して説明されてきたが、これらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の特徴によって実行可能であり得る。
【0084】
特徴は、特定の実施例を参照して記載されているが、これらの特徴は、記載されているか否かにかかわらず、他の実施例においても存在し得る。したがって、本開示の1つの実施例/実施形態に関連して記載される特徴は、相互に矛盾しない範囲で、本開示の別の実施例/実施形態に関連して記載される特徴のいずれか又は全てを含み、逆も同様である。
【0085】
本開示の様々な実施例を前の段落で説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、与えられた実施例の修正を行うことができることを理解されたい。
【0086】
本文書では、「含む」という用語は排他的な意味ではなく包括的な意味で使用されている。すなわち、Yを構成するXへの言及は、Xが1つのYのみを構成してもよく、又は複数のYを構成してもよいことを示している。排他的な意味で「構成する」を使用することが意図されている場合は、「1つのみを構成する・・・」を参照することにより又は「構成する」を使用することにより、文脈において明確にされる。
【0087】
本説明では、種々の例を参照した。例に関連する特徴又は機能の説明は、それらの特徴又は機能がその例に存在することを示す。本文中の「例」又は「例えば」又は「例えば」という用語の使用は、明示的に記載されているか否かに拘らず、そのような特徴又は機能は、少なくとも記載された例において、例として記載されているか否かに拘らず、存在していること、及びそれらは、一部又は全ての他の例において存在し得るが、必ずしも存在しているとは限らないことを示す。したがって、「例」、「例えば」又は「得る」は、実施例のクラスにおける特定のインスタンスを指す。インスタンスのプロパティは、そのインスタンスのみのプロパティ、クラスのプロパティ、又はクラス内の一部のインスタンスを含むがすべてのインスタンスを含まないクラスのサブクラスのプロパティである。
【0088】
なお、本明細書において、「一つの」/「前記」「特徴、要素、構造、手段・・・」は、特に明記しない限り、「特徴、要素、コンポーネント、手段・・・」と解釈する。すなわち、Yを含むXへの任意の言及は、文脈が明らかに反対のことを示さない限り、Xが1つのYのみを含み得るか、又は複数のYを含み得ることを示す。「一つの」又は「前記」を排他的な意味で使用することが意図されている場合は、文脈において明確にされる。状況によっては、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の使用は、包含的な意味を強調するために使用することができるが、これらの用語がないことは、排他的な意味を推論するものと解釈されるべきではない。
【0089】
特許請求の範囲における特徴(又は機能の組み合わせ)の存在は、その特徴又は特徴の組合せ)それ自体及び実質的に同一の技術的効果を達成する特徴(同等の機能)への言及である。同等の特徴は、例えば、変形例であり、実質的に同じ結果を実質的に同じ方法で達成する特徴を含む。同等の特徴は、例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して実質的に同じ結果を達成する特徴を含む。
【0090】
この説明では、例の特徴を記述するために形容詞又は形容詞句を用いて種々の例を参照した。ある実施例に関連するこのような特徴の記述は、その特徴がある実施例では正確に記述されたように存在し、他の実施例では実質的に記述されたように存在することを示す。
【0091】
上記の説明は、本開示のいくつかの実施例を説明しているが、当業者は、上記の構造及び特徴の特定の実施例と同等の機能を提供し、簡潔さ及び明確さのために上記の説明から省略されている可能な代替の構造及び方法の特徴を認識するであろう。それにもかかわらず、上記の説明は、そのような代替構造又は方法の特徴が本開示の例の上記の説明において明示的に除外されない限り、同等の機能を提供するそのような代替構造及び方法の特徴への言及を暗黙的に含むものとして読まれるべきである。
【0092】
前述の明細書では、特に重要であると考えられる本開示の実施例の特徴に注意を喚起するよう努めているが、出願人は、特に強調されているか否かにかかわらず、本明細書中で前述した及び/又は図面に示された特許可能な特徴又は特徴の組み合わせに関して保護を請求することが理解されるべきである。
【0093】
本開示の実施例及び添付の特許請求の範囲は、当業者に明らかな任意の方法で適切に組み合わせることができる。
【0094】
各請求項は、さらなる開示として明細書に組み込まれ、請求項は本発明の実施形態である。さらに、本明細書の請求項は、特定の依存性を含むものとして提供されるが、任意の請求項は、任意の他の請求項に依存することができ、任意の代替実施形態が、様々な請求項の特徴を組み合わせ、統合し、及び/又は省略すること、及び/又は請求項の依存性を変更することから生じ得る範囲で、任意のかかる代替実施形態及びそれらの均等物も、開示の範囲内にあることが企図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】