(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】伸縮性のある衣服とその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 31/00 20190101AFI20220210BHJP
A41D 31/18 20190101ALI20220210BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20220210BHJP
A41D 27/06 20060101ALI20220210BHJP
A41H 43/04 20060101ALI20220210BHJP
A41D 1/06 20060101ALI20220210BHJP
A41D 1/14 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A41D31/00 503G
A41D31/18
A41D31/00 503K
A41D31/00 503F
A41D31/00 502W
A41D27/00 A
A41D27/06 G
A41H43/04
A41D1/06 B
A41D1/06 501D
A41D1/14 E
A41D1/14 501D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537892
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2019087145
(87)【国際公開番号】W WO2020136280
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ファティー コヌコウルー
(72)【発明者】
【氏名】ムラト ダイ
(72)【発明者】
【氏名】エルドアン バルシュ オッデン
(72)【発明者】
【氏名】セルカン メルツ
(72)【発明者】
【氏名】アルペル ジェスィト
(72)【発明者】
【氏名】ムラト ジフトジ
(72)【発明者】
【氏名】ディララ ユルダギュル
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA07
3B035AB05
3B035AC09
3B035AC16
3B035AD04
(57)【要約】
1つのサイズで全てに対応できる衣服は、PBT糸で結合された伸縮性のある複数の生地部分で構成されている。この衣服は、紙の溶着技術を使用して、紙の裏打ちシートからの溶着材料を、PBT糸を使用して複数の伸縮性のある生地部分に結合されているウエストバンドに溶着する1つのウエストバンドを含んでいる。
衣服を形成する方法は、融着材料の複数の個別のドット等の融着材料を含むキャリア紙のシートをウエストバンドに使用し、複数の伸縮性のある生地部分を一緒に縫い合わせ、PBT糸を使用してウエストバンドに縫うことを含んでいる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性のある衣服であって、
PBT(ポリブチレンテレフタレート)糸で結合された複数の伸縮性のある生地部分と、
前記PBT糸によって前記複数の伸縮性のある生地部分の1つ又は複数に結合された弾性のある1つのウエストバンドとを含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項2】
請求項1において、
前記伸縮性のある衣服は、さらなる材料が供給され、好ましくは前記さらなる材料が融着された、伸縮性の前記ウエストバンドを有することを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項3】
請求項1において、
前記ウエストバンドの異なる部分が、その中にさらなる層を挿入することなく、前記さらなる材料を介して互いに直接結合されていることを特徴とする請求項2に記載の伸縮性のある衣服。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記複数の伸縮性のある生地部分が、好ましくはスパンデックスの繊維を含む弾性及び/又はエラストマー糸を含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項、少なくとも請求項2において、
前記複数の伸縮性のある生地部分が、横糸方向に少なくとも50%、好ましくは60%の伸縮性を有する材料で形成されていることを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記複数の伸縮性のある生地部分が、チェーン縫い目構成により前記PBT糸によって一緒に接合されていることを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項において、
前記PBT糸が100%PBTであることを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項、少なくとも請求項2において、
前記ウエストバンドに供給された前記さらなる材料が、互いに間隔を置いて配置された複数の離散要素、好ましくはドットを含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
前記複数の伸縮性のある生地部分がデニムを含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項において、
前記さらなる材料がポリアミドベースのナイロン材料を含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項において、
前記衣服が、ぴったりとフィットするレッグウェアを含むことを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項において、
チェーン縫い目構成により前記ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸によって結合された伸縮性デニム生地部分と、
前記PBT糸によって前記伸縮性デニム生地部分の1つ又は複数に結合された弾性のある1つのウエストバンドと、
前記PBT糸で形成された裾とを含み、
前記弾性のあるウエストバンドは、それに融着された、ポリアミドベースのナイロン材料の複数の離散した要素、好ましくはドットを有することを特徴とする伸縮性のある衣服。
【請求項13】
1つのサイズで全てに対応できる衣服を製造するための方法であって、前記方法は、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸を使用して、複数の伸縮性のある生地部分を縫い合わせるステップと、
前記衣服の少なくとも1つのウエストバンドの部分に材料を供給するステップと、
前記ウエストバンド又は前記衣服の他の部分を、PBT糸で縫うことにより、前記複数の伸縮性のある生地部分の1つ又は複数に接合するステップとを含むことを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記複数の伸縮性のある生地部分が、弾性及び/又はエラストマー糸を含む生地で形成され、
前記融着材料が、ポリアミドベースの材料を含むことを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項15】
請求項13又は14において、
前記複数の伸縮性のある生地部分が、横糸方向に少なくとも60%の伸縮を有する材料で形成されていることを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか1項において、
さらに、前記複数の伸縮性のある生地部分を、PBT糸で縫うことによって縁取りすることを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか1項において、
前記PBT糸が100%PBTであり、前記ウエストバンド及び前記複数の伸縮性のある生地部分が同じ材料で形成されていることを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか1項において、
前記材料が、複数の別個の間隔を置いた要素として前記ウエストバンドに、好ましくは融着することによって供給されることを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか1項において、
前記複数の伸縮性のある生地部分がデニムを含むことを特徴とする衣服を製造するための方法。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか1項において、
前記ウエストバンドの異なる部分が前記融着材料を介して接合され、その結果、前記異なる部分が、その中にさらなる層を挿入することなく、前記材料によって直接接合されることを特徴とする衣服を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性のある衣服、及びそれを製造するための方法に関する。より具体的には、本発明は、伸縮性のある1つのサイズで、全てのサイズに対応できる衣服及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の非常に競争の激しい繊維産業において、伸縮性のある生地材料から作られた伸縮性のある衣服は、トレーニングやスポーツやその他の運動活動への参加、さらにはカジュアルな服装やフォーマルな服装としてもぴったりの服装を提供するものであるため、非常に人気がある。
特定の衣服を様々なボディサイズの着用者に合うように伸ばすことができる、衣服全体に弾力性のある衣服を製造することができると有利である。伸縮性のある衣服は、伸縮性のある複数の生地部分を接合することによって形成することができる。
衣服の製造に必要なサイズの数が少なくなると、製造コストが節約される。単一の衣服が、様々なサイズの複数の着用者が伸ばして着用できる特定の衣服サイズとして製造される場合、すなわち、一着の衣服を様々なサイズの人々が着用できる場合、必要なサイズの数は少なくなる。複数の衣服が、製造施設で同じ特定の衣服サイズとして製造される場合も、必要なサイズの数は少なくなる。しかし、様々なサイズの複数の着用者に対応さるために、様々なサイズに変更したり修正したりされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
衣服の伸縮性、従って特定のサイズの衣服が異なるサイズに対応できる数は、伸縮性のある生地材料自体の弾性、及び複数の伸縮性のある生地部分を一緒に接合するために使用される材料及び技術によって決定される。弾性/伸縮性のある生地は、特定の最大伸びしか達成できないエラストマーの糸又は糸状のもの(スレッド)で形成されている。
【0004】
エラストマー糸が最大伸びに達した後にさらに伸ばすと、それらは破断するか、そうでなければ元の寸法に回復できない点まで変形し、その生地材料は事実上破壊される。
【0005】
本発明の課題は、裂けたり変形したりすることなく、かなりの量まで伸びることができ、しかも、伸ばす前の状態に復元することができる、完全な衣服を提供することである。
開示された本発明は、これらの課題に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1つのサイズであらゆるサイズに対応できる衣服、すなわち、その衣服と一緒に同じ程度に伸ばすことができる糸、好ましくはポリブチレンテレフタレート(PBT)糸、によって一緒に結合された伸縮性のある複数の生地部分から形成され、ボディサイズが異なる複数のユーザが着用できる衣服を提供するものである。
この衣服は、好ましくはこの衣服の残りの部分と同じ材料の1つのウエストバンドを含んでおり、このウエストバンドは、紙の融着技術を使用して、それに融着されたさらなる材料を有している。好ましくは、このウエストバンドはまた、前記PBT糸を使用して、複数の伸縮性のある生地部分に接合される。
【0007】
この衣服を形成するための方法は、次のステップを含んでいる。
融着材料を、紙キャリアシートからウエストバンドへ、融着熱可塑性材料、好ましくは複数の別個の断片として、融着する。そして、
PBT糸を使用して、複数の伸縮性のある生地部分を一緒に、ウエストバンドに縫い付ける。
【0008】
PBT糸は、複数の伸縮性のある生地部分の弾性以上の優れた弾性を有し、従って、複数の伸縮性のある生地部分が一緒に接合されるときに形成される複数の縫い目は、衣服全体の伸縮性を制限しない。融着熱可塑性材料は、生地の伸び特性を損なうことなく、高弾性生地部分(ウエストバンド等)に追加の強度を提供するために使用される。
本発明に適したPBT糸は市販されており、例えば、Eloflex(英のCoats社製)及びAneflex(米国のAmerican&Efird社製)の名称のものがある。
本発明のPBT糸は、少なくともPBTのフィラメントを含んでいるので、必要な伸縮性及び伸長性が提供される。PBTミシン糸は、米国特許出願公開第2006/0213176号に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による衣服を、正面から見た平面図である。
【
図3】本発明の実施形態による衣服用のウエストバンドの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による紙が融着されたウエストバンドの斜視図である。
【
図5】本発明による紙の融着段階における、ウエストバンドの実施形態の断面図である。
【
図5A】本発明によるウエストバンドの、可能な実施形態を示す図である。
【
図5B】本発明によるウエストバンドの、可能な実施形態を示す図である。
【
図5C】本発明によるウエストバンドの、可能な実施形態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、別の衣服の正面平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸のチェーン縫い目を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による1つの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読むと、本発明を最もよく理解しうると思う。一般的な慣行により、図面の様々な特徴は、必ずしも縮尺どおりではないことを強調しておく。明確にするために、図面において、様々な特徴の寸法を任意に拡大又は縮小してある。同様の参照符号は、仕様及び図面全体を通して同様の特徴を示している。
【0011】
幾つかの実施形態において、本発明は、伸縮性のある一着の衣服であって、以下を含むものを提供する。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)糸によって一緒に結合された、複数の伸縮性のある生地部分;及び、
PBT糸によって、前記1つ又は複数の伸縮可能な生地部分に結合されている弾性のある、1つのウエストバンド。
【0012】
幾つかの態様において、伸縮性のある衣服は、さらに、伸縮性ウエストバンド、又は衣服の別の部分を含み、かつ、それに供給され、好ましくはそれに融着されるさらなる材料(いわゆる融着材料)を有する。この材料は通常、キャリア紙から転写することによって生地の側面に供給される熱可塑性材料である。
適切な融着材料はポリアミド(PA)である。この材料は、その外観を改善すべくより大きな強度を与えるために、生地の一部に供給される。ウエストバンドは通常、衣服の外観を良くするための部分である。同時に、融着材料を担う衣服の生地部分は、この融着材料が供給されている補強部分に取り付けられている衣服の部分と一緒に伸びるのに十分な弾性を維持しなければならない。
【0013】
幾つかの態様において、伸縮性のある衣服は、スパンデックス又は他のエラストマーで形成された複数の伸縮性のある生地部分、すなわち、エラストマー糸を含む生地部分を含んでいる。
【0014】
幾つかの態様では、複数の伸縮性のある生地部分は、ASTM D3107に従って、横糸方向に少なくとも50%、好ましくは60%伸縮する特徴を有する生地材料で形成されている。この生地材料は、好ましくは織物である。
幾つかの態様では、伸縮性のある衣服は、チェーン縫い目構成でPBT糸によって一緒に結合された複数の伸縮性のある生地部分を含んでいる。幾つかの態様では、PBT糸は100%PBTである。伸縮性のある衣服は、さらにPBT糸で形成された裾を含んでいても良い。
【0015】
この伸縮性のある衣服は、さらに、ウエストバンド又は衣服の別の部分に供給又は融着された、生地を強化するための材料を含むことができ、この材料は、複数の別個のドット又は材料の部分を含んでいる。この材料は、好ましくは、熱可塑性材料である。融着を行う理由は、ウエストバンドの形状を、より「強固」に保ち、人の体をよりしっかりと包み込み、ズボンを所定の位置に保持するのに役立つようにするためでもある。
【0016】
上記のように、キャリア紙上のドット又は材料の一部(「糖」とも呼ばれる)の使用を含む、一種の融着のために、その材料が供給される。この融着材を生地に塗布した後、例えば熱プレスによって、紙が除去され、間隔のある複数のドット、又は融着材料の間隔のある部分のみがウエストバンド上に残る。複数のドットは、ウエストバンド(又は衣服の生地の別の部分)に必要な剛性を与えているが、これらのドットは互いに離れており、それらの間に接続がないため、ウエストバンドの弾性は十分なレベルに維持され、高いストレッチを可能にする。
この特徴及び上記製造工程により、本発明によるサイズ24の1つの衣服は、サイズ40まで伸ばすことができ、そのサイズでも使用することができる。一方、市場の現在の製品は、サイズ32まで伸ばすことができるだけである。
【0017】
幾つかの態様によれば、伸縮性のある衣服は、デニムを含む複数の伸縮性のある生地部分を含んでいる。
【0018】
幾つかの態様によれば、伸縮性のある衣服は、ポリアミドベースのナイロン材料を含む、少なくともウエストバンドに供給されるさらなる材料を含んでいる。
【0019】
幾つかの態様によれば、伸縮性のある衣服は、ぴったりとフィットするレッグウェアである。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、本発明の開示は、以下を含む伸縮性のある衣服を提供する。
チェーン縫い目構成でポリブチレンテレフタレート(PBT)糸によって一緒に結合された伸縮性デニム生地部分と;
PBT糸によって1つ又は複数の伸縮性デニム生地部分に接合された弾性のある、1つのウエストバンドと;
PBT糸で形成された裾とを有し;
上記弾性のあるウエストバンドには、ポリアミドベースのナイロン材料の複数の別個のドットが融着されている。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、本発明は、1つのサイズで全てに対応できる衣服を製造するための方法を提供するもので、この方法は、次のステップを含んでいる。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸を使用して、伸縮性のある複数の生地部分を縫い合わせ、
衣服の一部、好ましくはウエストバンドに、材料を塗布又は融着し、そして、
上記ウエストバンドを、PBT糸で縫って、1つ又は伸縮性のある複数の生地部分に結合する。
【0022】
幾つかの態様において、縫製は、チェーン縫い目構成を使用する縫製を含んでいる。
【0023】
幾つかの態様において、複数の伸縮性のある生地部分は、エラスタンを含む生地から形成され、融着材料は、ポリアミドベースのナイロン材料を含んでいる。
【0024】
幾つかの態様では、複数の伸縮性のある生地部分は、横糸方向に少なくとも50%、好ましくは60%の伸縮速度を有する材料で形成されている(ASTM D3107)。この材料は、好ましくは織物である。好ましい実施形態では、この生地は横糸ストレッチである。
【0025】
幾つかの実施形態では、縦糸は、約Nm 16~Nm 150、好ましくは30~140Nmの間のイングリッシュコットン番号に包括されるものである。横糸ストレッチ生地の横糸として、又は、バイストレッチ生地の縦糸及び横糸として使用される弾性糸は、約30~240dTex、好ましくは、40~150dTex又は40~200dTexのデニールを有している。
【0026】
幾つかの態様において、本発明の製造方法は、PBT糸で縫うことによって複数の伸縮性のある生地部分を縁取りすることを含んでいる。幾つかの態様では、PBT糸は100%PBTであり、衣服のウエストバンド及び複数の伸縮性のある生地部分は同じ材料で形成されている。
【0027】
幾つかの態様では、製造方法は、融着のステップを含み、このステップは、複数の別個のドットをウエストバンド又は衣服の別の部分に融着することを含んでいる。
【0028】
幾つかの態様において、製造方法は、デニムを含む複数の伸縮性のある生地部分を含んでいる。
【0029】
幾つかの態様において、製造方法は、タイツを含む衣服を含んでいる。
【0030】
本発明は、マルチサイズ、又は1つのサイズで全てに対応できる衣服、あるいは、万能のワンサイズ衣服とも呼ばれる、衣服を提供する。この衣服は、様々な伸び率を持ち、あるものは65~75%もの高い伸び率を持つ、伸縮性のある生地で形成されている。別の言い方をすれば、この衣服を形成するために使用される伸縮性のある生地を形成するのに使用される生地材料は、様々な実施形態において、裂け目又は他の変形なしに、元の長さの65~75%まで伸ばすことができる。
【0031】
延伸後、伸縮性のある生地材料は、元の寸法に回復するか、又は実質的に回復することができる。ある衣服のサイズよりも大きいサイズの着用者が、この衣服を着用することができ、その後、この衣服は、実質的に欠陥なく元の衣服のサイズに復帰する。本発明で開示された衣服は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸を使用して、縫い合わされるか、あるいは一緒に接合された、伸縮性のある複数の生地部分からなっている。
【0032】
様々な実施形態において、伸縮性のある生地材料は、弾性糸、好ましくは少なくとも横糸を含んでいる。この弾性糸は、エラスタン、ライクラ、スパンデックス、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又は以下に記載されるように伸長する他の合成繊維材料を含んでいる。伸縮性のある生地の素材は、2方向に伸縮可能な生地、すなわち一方向に伸縮するもの、又はスパンデックスから得られるような横方向及び縦方向の両方向に伸縮する4方向に伸縮可能な生地でも良い。
スパンデックスは、ポリエーテル-ポリ尿素共重合体で形成されたエラストマーの伸縮性材料である。伸縮性のある生地は、横糸方向、縦糸方向、又は横糸方向と縦糸方向の両方に伸びる少なくとも幾つかの伸縮性糸で作られた生地である。
様々な実施形態において、エラストマーヤーンは、約40~140デニールの範囲のデニールを有しているが、他のエラストマーヤーンを、他の実施形態において使用することができ、他のタイプのエラストマーヤーンから形成された伸縮性のある生地材料を、他の実施形態において使用しても良い。
【0033】
生地は、この生地の全体において一定の弾性を有する任意の適切な伸縮性のある生地でも良い。幾つかの実施形態では、縦糸方向の弾性は、横糸方向の弾性とは異なる場合があり、他の実施形態では、弾性は、縦糸及び横糸方向の両方で同じである。幾つかの実施形態では、伸縮可能な生地は未処理の生地である。幾つかの実施形態では、伸縮性のある生地はコーティングされていない生地であり、幾つかの実施形態では、生地は未処理のコーティングされていない生地であるが、他の実施形態では、生地は処理及び/又はコーティングされていても良い。
【0034】
生地は、本開示の様々な態様による、織布である伸縮性のある生地から形成されるのが良い。伸縮性のある生地は、非弾性及び弾性繊維を有する織布材料でも良い。生地は、様々な有利な実施形態による伸縮性デニムでも良いが、他の実施形態として、この生地は、様々な他の適切な伸縮性のある生地のいずれかのうちの1つでも良い。
本発明に適した伸縮可能な生地は、それ自体が当技術分野で知られている。良く知られている適切な生地の例としては、EP 15177938.6、EP16714831.1及びEP2832907Aに記載のものがあり、かつ、これらの生地が、ASTM D3107で測定して、横糸方向に少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%の伸びを有するという要件を満たしている場合に限られる。
【0035】
高度の弾性を提供するエラストマー繊維の幾つかの例として、エラスタン及びスパンデックス、T400、PTT、PBT及びエラストマルチエステル(又はエラストエステル)、ならびに二成分ポリエステルポリ(トリメチレンテレフタレート)/ポリエチレンテレフタレート(PTT/PET)及び他の同様の材料がある。弾性コアのシースに適した繊維の幾つかの例として、綿、羊毛、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリエステル等の天然繊維及び合成繊維が含まれる。特定されたエラストマー繊維は、例としてのみ提供され、様々な実施形態において、適切な様々なエラストマー繊維のいずれか、又は異なるエラストマー繊維の組み合わせを、伸縮性のある生地に使用しても良い。
【0036】
この生地は、複数の繊維を含む様々な糸に形成された繊維を含んだ様々な繊維から形成しても良い。幾つかの実施形態では、非弾性繊維と弾性繊維の両方が、生地の縦糸方向と横糸方向の両方に伸びる。様々な実施形態において、エラストマー材料は、モノフィラメントに鋳造されることができ、及び/又はステープル繊維に配置されることができ、そしてそのまま又は糸の他の繊維と共に、利用しても良い。
【0037】
幾つかの実施形態では、伸縮性のある生地は、コアを覆う非弾性シースを備えた1つ又は複数の弾性繊維又はフィラメントの弾性コアを含む弾性糸で形成されている。この非弾性シースは、綿又は他の天然材料で形成することができ、幾つかの実施形態では、非弾性シースは、合成材料で形成することができる。
【0038】
弾性特性を有する1つ又は複数の繊維を含む伸縮性コアを絶縁シースカバーと組み合わせることによって糸を形成するための様々な方法が、米国特許出願公開第2013/0260129号に開示されている。その内容は、その全体が記載されている通りに、参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの弾性コアヤーンの実施形態では、コアは、1つ又は複数の繊維の束を含み、それらの幾つか又は全ては弾性である。コアを構成する繊維は、ねじり、混合、又は共押し出し(又は共供給)によって互いに接続することができる。繊維が絡み合っている幾つかの実施形態では、それらは様々な程度で絡み合うことができる。エラストマーコアは、1つ又は複数のコア繊維によって提供される優れた回復性と弾力性を有することを特徴としている。
【0039】
様々な実施形態において、生地糸は、同じ又は異なる程度の弾性を有する、同じ又は異なる材料で形成できる、複数の弾性繊維を含んでいる。幾つかの実施形態では、繊維の1つは、元の長さの400%の長さまで伸ばすことができ、他の繊維の1つは、弾力性は低いが、元の長さの少なくとも約20%まで伸ばすことができる。他の実施形態では、使用される繊維は、異なる程度の弾性を有する繊維の他の組み合わせである。
幾つかの実施形態では、伸縮性のある生地は、熱可塑性弾性繊維で形成されている。幾つかの実施形態では、軟質及び硬質の建物セグメントがうまく組み合わされた構造を有する、熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリウレタン(TPU)が使用され、優れた弾性を提供する。総称してエラスタンと呼ばれる、様々な弾性ポリウレタン材料を使用することもできる。
【0040】
コア紡糸及びリング紡糸技術は、繊維産業において知られており、広く使用されているプロセスであり、異なる特徴を有する2つ以上の繊維を組み合わせて、1つの糸部材を形成することを含んでいる。繊維を紡糸して糸を製造するためのこれら及び他の様々な方法を使用して、伸縮性のある生地を形成することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%の伸び率を有する伸縮可能な織物片が使用される。例えば、ASTM D310で測定した場合、横糸方向に60%~200%、縦糸方向に0%~200%、好ましくは4~200%の織物片が使用される。他の実施形態では、他の適切な伸縮性のある生地材料を使用することができる。
【0042】
衣服は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)糸によって一緒に結合された伸縮性のある複数の生地部分を含んでいる。このPBT糸は、最大85~90%の伸縮性を有する弾力性を備えている特徴が有る。幾つかの実施形態では、糸は100%PBTであり、他の実施形態では、糸は主にPBTで形成されている。
他の実施形態では、PBTと同様の弾性特性を有する他の適切なミシン糸、例えば、50%を超える弾性(伸縮性)を有するナイロン等の適切な材料との組み合わせを使用することができる。一般に、ミシン糸は、生地の弾性に匹敵するか、それよりも大きい弾性を有している。
【0043】
様々な方法及び様々な構成を使用して、PBTを使用して複数の伸縮性のある生地部分を縫い合わせて、衣服に様々な縫い目を形成することができる。PBT糸はまた、衣服の伸縮性のある弾性生地部分を、ウエストバンド、ベルトループ、ライザー、他の様々なパネル、裾、及び他の衣服の特徴部分等の、衣服の他の部分に結合するために使用しても良い。様々なタイプの縫い目及び様々なタイプの縫い目構成を使用して、複数の伸縮性のある生地部分を一緒に、又は衣服の他の部分に結合することができる。様々な実施形態において、衣服の様々な裾はまた、PBT糸又は上記と同等の材料の糸を使用して形成される。
【0044】
様々な実施形態において、衣服は、一着のズボン、一着のショートパンツ、入浴服、下着、ランニングタイツ、フィットネスタイツ、靴下、シャツ、及び他の上半身及び下半身の衣服でも良い。衣服が伸縮性ウエストバンドを含む様々な実施形態では、伸縮性ウエストバンドは、ボディ生地と同じ材料で形成できるが、他の実施形態として他の適切な弾性材料を使用することもできる。伸縮性ウエストバンドは、PBT糸によって1つ又は伸縮性のある複数の生地部分に結合されている。
【0045】
別の態様によれば、強化する必要がある伸縮性ウエストバンド又は生地の別の部分は、ウエストバンド又は生地部分にさらなる材料を供給するプロセスを受ける。この場合、ウエストバンドの弾性特性に悪影響を及ぼさない特定のプロセスが使用される。適切な技術は、融着によってプラスチック材料を供給することである。融着とは、まるで一緒に溶けるかのように材料を完全にブレンドすることであり、接着剤の使用の有無にかかわらず、熱と圧力を加えることによって材料の層を組み合わせるプロセスと見なすことができる。
【0046】
融着された材料は、よりコンパクトな形態を提供するためにウエストバンドの内側に融着するのが良いが、他の実施形態では、融着された材料は、代替的又は追加的に、ウエストバンドの外側にあっても良い。ウエストバンドが2つの部分を縫い合わせて又は折りたたんだ部分でできている場合、その材料はウエストバンドの内部に塗布することができる。供給された素材は、ウエストバンド(又は衣服の別の部分)にある程度の剛性を提供するため、弛緩しすぎずに元の形状を維持し、緩くなりすぎることはない。
幾つかの実施形態では、好ましくは不連続な複数の材料片が、ウエストバンドの片側又は両側に融着されている。他の実施形態では、融着材料の幾つかの個別の別個の部分が、ウエストバンドの片側又は両側に供給されるか、又は融着されても良い。熱可塑性材料の複数の別個の部分は、好ましくは、複数のドット又は小さな領域の形態である。前記複数の別個の部分は、ウエストバンドの材料又は材料が追加された衣服の他の部分の元の伸縮特性(伸びASTM D3107)を実質的に維持するのに十分な長さの間隔が空けられている。
ラミネート紙を含む様々なタイプの紙を、融着材料が最初に結合される裏紙又はキャリアシートとして使用することができる。様々なタイプの定着機械が利用可能であり、ウエストバンドの弾性を低下させないように、様々な温度設定、圧力設定、定着時間、及びその他のパラメータで使用することができる。前記したように、剛性を向上させるために、すなわち、そうでなければ緩い生地部分を強化するのに必要な場合、追加の材料を衣服の他の部分に供給することができる。
【0047】
前記の態様により、一着の衣服は単一のサイズに製造することができるが、この衣服は、それを変更する必要なしに、様々なサイズの複数のユーザに対応するために、様々な他のサイズに伸ばすことができる。これは様々な衣服に当てはまり、タイトフィットのレッグウェアに特に有利である。女性のレッグウェア、すなわちより一般的には女性のボトム製品と呼ばれる一実施形態では、衣服は、標準の衣服サイズ24に製造されるが、サイズ40の着用者でも快適に着用できるように引伸ばされる。従来技術の弾性衣服は、サイズ24を、サイズ31-32までしか引伸ばすことができない。
【0048】
ここで、
図1に着目すると、衣服10は、
図1の実施形態において、ランニング、サイクリング、又は他の様々なトレーニング又は他の運動活動で使用されるような、タイツである。あるいは、この衣服10は、ファッションタイツでも良い。この衣服10は、伸縮性のある複数の生地部分2で形成されている。この複数の伸縮性のある生地部分2は、伸縮性のある生地パネル2と呼ばれることもある。この伸縮性のある生地材料は、様々な種類の衣服を形成するために使用され、様々な種類の弾力性を有している。
【0049】
壊れることなく、かなりの長さに伸ばすことができるポリウレタン繊維等の、様々なエラストマー材料を使用して、高い弾性を有する衣服を得ることができる。このエラストマー繊維の例としては、ライクラ、エラスタン、スパンデックス、及び上記と同様の材料がある。複数の伸縮性のある生地部分2は、エラスタン、スパンデックス、ライクラ、PBT等の前記伸縮性のある生地材料等の材料で形成されているが、これらに限定されない。他の実施形態として、他の適切な伸縮性のある生地材料を複数の伸縮性のある生地部分2として使用することができる。幾つかの実施形態では、複数の伸縮性のある生地部分2は、伸縮性デニムで形成される。
【0050】
図1に示した実施形態では、2つの伸縮性のある生地部分2は、PBT糸を使用して縫い目4で互いに結合されている。幾つかの実施形態では、PBT糸は100%PBTであり、他の実施形態では、PBTと同様の弾性特性を有する他の適切な材料を使用することができる。PBT糸は、単一の繊維でも良く、又は組み合わされてPBT糸を形成する複数の繊維でも良い。幾つかの実施形態では、PBT糸は、縫製性を改善するために、適切な潤滑剤で処理又はコーティングされている。
【0051】
PBT糸の様々な例は、次の表1に示されているような寸法及び品質を含んでいても良い。表1から明らかなように、幾つかの実施形態では、PBT糸は、最大90%の最大伸びを有する。
【0052】
【0053】
「テックス(Tex)」は、糸又は繊維の線形質量密度の単位であり、メートルあたりのミリグラムとして定義される。「伸び%」は、縫い糸破断試験方法が破断時の伸び率を提供する、縫い糸の標準試験方法ASTM D204-02に従って得ることができる。前記表1は、例としてのみ提供されており、他の実施形態では、他の物理的特性を備えたPBT糸を使用することができる。
【0054】
様々な縫い目タイプを使用することができる。例えば、2重又は3重縫い目又はロック縫い目、チェーン縫い目、裁ち目かがり縫い目、カバー縫い目、フラットロック縫い目、ジグザグ縫い目、ブラインド縫い目、安全縫い目等の縫い目タイプを使用できる。
他の実施形態では、他の縫い目タイプを使用することができる。縫い目は手縫いでもミシン縫いでもかまわない。様々な実施形態において、縫い目4は、プレーン縫い目、チェーン縫い目、フレンチ縫い目、フラット又はアバットメント縫い目、又はラップ縫い目でも良いが、さらに他の縫い目タイプも使用しても良い。
【0055】
裾12が、衣服10を構成する複数の伸縮性のある生地部分2の端部に形成される。様々な構成の裾を使用することができ、裾12もまた、PBT糸で形成される。
【0056】
ウエストバンド6は弾性材料で形成され、ウエストバンド縫い目8で2つの伸縮性のある生地部分2に接合される。ウエストバンド縫い目8を形成するために、様々なタイプの縫い目技術及び構成を使用することができる。ウエストバンド縫い目8では、PBT糸を使用して、1つのウエストバンド6を1つ又は複数の伸縮性材料の生地部分2に結合する。様々な縫い目タイプを使用することができる。
図1及び
図2の実施形態では、1つのウエストバンド6が、4つの伸縮性のある生地部分2に結合されている。
【0057】
図2は、
図1の衣服10の側面図である。1つの縫い目4は、衣服10の側面に沿って伸び、2つの伸縮性のある生地部分2を結合している。他の全ての縫い目と同様に、縫い目4はPBT糸で形成されている。縫い目4、裾12及びウエストバンド縫い目8を形成するために、様々な縫い目構成を使用することができる。
【0058】
PBT糸によって一緒に結合される、複数の伸縮性のある生地部分を使用して形成されたこの衣服の利点は、この衣服の伸縮性が、縫い目を形成し伸縮性のある複数の生地部分2を一緒に結合するために使用される材料によって、制限されないことである。このようにして、衣服の伸縮性が最大化され、特定のサイズに製造された衣服は、はるかに大きなサイズまで、快適に伸ばすことができる。
【0059】
一実施形態では、複数の伸縮性のある生地部分を接合するために使用される縫い糸によって、生地の伸びが制限されず、この生地が65~75%伸びるために、従来型のサイズ24を、サイズ40まで快適に伸ばすことができる。
一例として、サイズ24に製造された女性のボトム製品の衣服は、生地の繊維又は縫い目が裂けたり、さもなければ劣化したりすることなく、サイズ40の着用者でも、快適に着用することができる。このようにして、サイズ40のある着用者が衣服を着用した後、この衣服は元の緩んだ衣服サイズ24に復帰し、これをサイズ24の他の着用者が着用することもできる。
サイズ24及び40の例示的なサイズは、例としてのみ提示されるものであり、他の実施形態では、衣服は、様々な緩んだ衣服サイズに製造でき、それらを様々な最大着用者サイズに快適に伸ばすことができ、これは、本開示に従って製造される様々なタイプの衣服に供給される。
【0060】
図3は、ウエストバンド6の斜視図である。このウエストバンド6には、様々な異なるタイプの合成ポリマーで形成された様々な織布又は不織布を使用することができる。このウエストバンド6は、内側部分14及び外側部分16を含んでいる。ウエストバンド6は、複数の伸縮性のある生地部分2を作るために使用される生地と組み合わせて選択され、ウエストバンド6は、複数の伸縮性のある生地部分2と少なくとも同じ程度まで伸ばすことができる。様々な実施形態において、ウエストバンド6は、複数の伸縮性のある生地部分2を作るために使用される生地と同じ生地又は材料で形成される。
幾つかの実施形態では、ウエストバンド6は、生地部分2の説明で上記に言及した様々な材料のいずれかで形成しても良いが、他の実施形態では、さらに他の材料をウエストバンドに使用しても良い。
【0061】
ウエストバンド6には、本発明の有利な態様として、紙が融着される。幾つかの実施形態では、材料は内側部分14に融着され、幾つかの実施形態では、材料は外側部分16に融着され、幾つかの実施形態では、材料は内側部分14及び外側部分16の両方に融着される。紙の融着には、連続的な接着剤又は接着剤の複数の別個の部分が配置される、キャリア層としての紙が使用される。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態による、融着段階において紙が融着されたウエストバンドの斜視図である。融着材料20は、紙キャリアシート18上にあり、ウエストバンド6の外側部分16に融着されている。融着材料20は、ウエストバンド6の上部22及び下部24の縁までほぼ伸びることができる材料である。他の実施形態では、ウエストバンド6及び融着材料20の他の配置及び他の相対寸法も使用される。融着されたウエストバンドの実施形態によれば、融着材料20は、ウエストバンド6に融着されて、ウエストバンド6に沿って好ましくは不連続なラミネートを形成する。融着材料20は、元々、紙キャリアシート18に貼り付けられており、これは、
図4に示されるプロセス段階の後に後で除去される。融着材料20は、粘着性のポリアミドベースのナイロン材料で良いが、弾性又は非弾性の生地材料等の他の材料でも良く、あるいはまた、他の実施形態では、他の適切な非生地材料をウエストバンド6に融着しても良い。
【0063】
図5は、全ての紙キャリアシートが除去される前の融着操作中の段階での、ウエストバンド6の断面図である。
図5は、材料が融着された内側部分14、及び材料が融着された外側部分16を示すウエストバンド6を示している。様々なタイプの紙を、融着される材料のキャリアとして使用することができ、この紙は、融着操作の後に除去されるが、
図4及び
図5には示されている。
生地用の様々な定着機が市販されており、これは、生地と別の材料等の2つの材料を、加熱しながらローラー間で一緒に押し付けるように機能する。幾つかの実施形態では、材料の連続シートが裏紙にセットされ、融着機を通過してウエストバンドに融着される。幾つかの実施形態では、融着材料は、その片面又は両面に接着剤を含んでいる。幾つかの実施形態では、接着ドットのシートが紙キャリアシートに貼り付けられ、ウエストバンドに融着される。
【0064】
図5は、ウエストバンド6の内側部分14に融着され、紙キャリアシート18A上に配置された、融着材料20Aを示している。対照的に、ウエストバンド6の外側部分16では、融着された材料は、複数の別個の融着されたドット20Dの形態となっている。融着ドット20Dは、紙キャリアシート18Bを取り除いた後、ウエストバンド6に貼り付けられたものが示されている。幾つかの実施形態では、内側部分14及び外側部分16の夫々は、それらに融着された材料を有し、他の実施形態では、内側部分14及び外側部分16のうちの一方のみが、材料をそれに融着する紙が融着される。内側部分14及び外側部分16のいずれか又は両方は、20A等の連続融着材料を有していても良い。又は、内側部分14及び外側部分16のいずれか又は両方が、離散融着ドット20D等の融着材料の離散部分を有していても良い。紙キャリアシートは、その表面の1つに接着剤を含んだ連続紙シートでも良い。
【0065】
可能な実施形態では、
図5A及び
図5Bに示されているように、融着材料20(例えば、
図5A中の融着ドット20Dの形態)が、最初にキャリアシート18に塗布され、続いてウエストバンド6の片側に塗布される。続いて、キャリアシートが除去され、融着材料20がウエストバンド6上に残る。
【0066】
可能な実施形態では、
図5Bに示されるように、ウエストバンドが、融着材料20が提供されたサイズに沿って折り畳まれ、その結果、融着材料20Dを介してウエストバンド6の関連する側の屈曲部分を接合する。
【0067】
可能な代替案では、ウエストバンドは、複数の別個の部片を備えている。融着材料は、少なくとも1つの部片に供給され、続いて、異なる部片が、融着材料を介して互いに接合される。
【0068】
好ましい実施形態では、ウエストバンドの2つの部分(すなわち、折り畳まれたウエストバンドの部分又は以前に分離された部片)が、融着材料を介して、すなわち、その中にさらなる層を挿入することなく、互いに直接結合されるように、キャリアが除去される。
【0069】
融着材料は、ウエストバンド6に対してより低い弾性(すなわち、伸縮性)を有していても良い。その結果、ウエストバンド6の弾性は、融着材料20を介して接合された点において、減少する。既に述べたように、十分な弾力性を維持するために、好ましくは、融着した素材は、ウエストバンドに沿って連続的に配置されていない。言い換えれば、ウエストバンド全体の弾性は、融着材料20の存在によってダメージを受けることはない。さらに、融着材料20の配置を決定することにより、それが最終的なウエストバンドの弾性にどの程度影響するかを決定することができる。
一例として、
図5Aでは、融着材料20が実質的にウエストバンドの全領域に沿って供給される(より詳細には、一度、キャリアシートの全領域に、従って、ウエストバンド6の全領域に、キャリアシートが供給され、続いて、それがウエストバンド6から取り外される)。
【0070】
しかしながら、融着材料20は、折り畳まれる前に、ウエストバンド6の1つ又は複数の異なる領域に塗布しても良い。結果として、ウエストバンドの別の部片と折り畳む又は結合する前に、ウエストバンドに、融着材料20を含まない少なくとも幾つかの部分が存在する。幾つかの例示的な実施形態として、
図5Cに、融着材料20がウエストバンド6に部分的に(又はウエストバンドの一部の部片に)供給され、他の部分は融着材料を含まない例が示されている。
【0071】
上記した事項は例示的な実施形態にすぎず、他の解決策(例えば、より複雑なパターン、ウエストバンド6の周囲にのみ供給される融着材料20等)が可能であることは、明らかである。ウエストバンド6は、典型的には二次元であり、実質的に長方形であり、長辺と短辺を有する。幾つかの実施形態では、融着材料20が離散要素(例えば、ドット20D)を介してウエストバンド(又はウエストバンドの部片)に供給される場合、ウエストバンド又はウエストバンドの部片に、融着材料20を含まない第1の正方形の領域と、融着材料20を含む第2の正方形の領域とを有し、これら第1及び第2の正方形は、ウエストバンド6の短辺の長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%の長さの辺を有する。言い換えれば、融着材料20がドット20Dとして供給される実施形態では、自由部分は、ドット20D間の距離よりも大きい寸法を有する。すなわち、ドット間のスペースは、現在の意味において、自由な部分を形成しない。自由な部分は、実際には、融着材料が供給されていないウエストバンド6(又はウエストバンドの部片)のより広い領域である。
【0072】
議論を容易にするために、離散要素を「ドット」として議論してきたことに留意されたい。より一般的には、複数の離散した部分がウエストバンドに融着されている実施形態では、これらの複数の離散した部分又は要素は、点、正方形、ひし形、及び他の様々な幾何学的形状の形態でも良い。
これらの離散した幾何学的形状は、ウエストバンド6の内側部分14又は外側部分16に沿った様々な配置でも良い。融着操作において、これらの離散した幾何学的形状は、紙キャリアシート等の解放材料の層上に配置することができ、次に、この離散した幾何学的形状がウエストバンドに融着され、解放材料の層が除去される。紙の融着は、ウエストバンドに滑らかな外観を与え、ウエストバンドの元の形を維持する。解放材料の層は紙でも良いが、他の適切な材料を他の実施形態で使用しても良い。
【0073】
一般に、離散要素(例えば、ドット)を介して供給される融着材料の使用は、生地を維持しながら、ウエストバンドの生地に、より大きな強度及び一貫性を提供する。
【0074】
ウエストバンドの開始生地、及び一般に本発明の衣服の生地は、ASTM D3776に従って測定して、80g/m2~500g/m2の範囲の重量、好ましくは100g/m2~400g/m2の重量を有する。
【0075】
融着手順は、使用される融着条件のために、ウエストバンドの弾性特性に悪影響を及ぼさない。本発明によれば、特殊な融着プロセスは、紙キャリアシート上に形成された融着材料をウエストバンド材料に接合し、融着プロセスを使用して、それらを一緒に融着する。幾つかの実施形態では、融着プロセスは、約115~135℃で、約10秒~20秒の範囲の時間、約2~5N/cm2の範囲の圧力を使用して行われる。他の実施形態では、他の温度、時間、及び圧力を使用することができ、融着条件、特に圧力は、使用される融着プレスのタイプによって少なくとも部分的に決定される。ナイロン等のポリアミドベースの材料で形成されたドット、正方形等の離散した部分が融着される場合、又は他の適切な材料が融着される場合、紙等の裏打ち材料は、融着直後、つまり材料がまだ熱いうちに、取り除くことができる。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態による、一着のズボンの、別の実施形態を示している。ズボン30は、上記の様々な伸縮性のある生地材料のいずれかで形成される。幾つかの有利な実施形態として、ズボン30は、伸縮性デニムで形成されたジーンズである。ズボン30は、上記のように様々な縫い目4を含み、これらの縫い目4は、ズボン30の様々な伸縮性のある生地部分2を一緒に結合するために使用される。ベルトループ32、ポケット34及び他の様々な伸縮性のある複数の生地部分は、複数の縫い目4によって互いに結合されている。
【0077】
また、複数の裾12が、
図6に示した伸縮性のある複数の生地部分2の縁部に形成されている。これらの縫い目4と裾12は両方ともPBT糸で形成されており、ループ又はチェーンステッチ又は他の様々な適切なタイプの縫い目構成等の様々なタイプの縫目技術を使用することができる。
ウエストバンド6は、ウエストバンド縫い目8を形成するPBT糸を使用して複数の伸縮性のある生地部分2に縫い付けられている。縫い目4、裾12及びウエストバンド縫い目8を形成するために、様々な縫い目構成を使用することができる。このズボン30の実施形態において、ウエストバンド6は、複数の伸縮性のある生地部分2とは異なる弾性材料で形成されてもよく、あるいは、ウエストバンド6が、複数の伸縮性のある生地部分2と同じ材料で形成されてもよい。
【0078】
図7は、前記したPBT糸38を示している。このPBT糸38は、縫い目方向の様々な実施形態のうちの1つを表すチェーン縫い目40の方向にあり、前記したように、これを、縫い目4及び8、又は裾12を形成するために使用しても良い。
【0079】
本発明はまた、伸縮性のある衣服を製造するための方法を提供する。幾つかの実施形態において、1つのサイズで全てに対応できる衣服を製造する方法は、
PBT(ポリブチレンテレフタレート)糸を使用して複数の伸縮性のある生地部分を縫い合わせ、
紙の裏打ちシートからウエストバンドに別の素材を融着し、
このウエストバンドを、PBT糸で縫うことにより、1つ又は伸縮性のある複数の生地部分に結合する。
縫製は機械で行うか、あるいは、縫い目と裾を手縫いで行うこともできる。
【0080】
図8に、本発明の実施形態による製造方法のフローチャートを示す。ステップ100で、複数の伸縮性のある生地部分を提供する。この複数の伸縮性のある生地部分は、上記の様々な生地及び糸で形成することができ、生地の様々な製造方法を使用して製造することができる。この伸縮性のある生地は、仕立てられ、様々なパネル又は部分にカットされて結合され、伸縮性のある生地の衣服を形成する。様々な緩んだ基本サイズを有する様々な衣服が製造され、そして様々な複数の伸縮性のある生地部分が、それに応じてサイズ決定される。
この衣服は、様々な伸縮性のある生地の部片を互いに結合し、また、糸を使用して縫うことによって生地片を一緒に結合するための様々な適切な技術を使用し、1つのウエストバンドに結合することによって形成される。糸はPBTで形成され、これは裾の形成にも使用される。
【0081】
ステップ102で、複数の伸縮性のある生地部分を接合する。この複数の伸縮性のある生地部分は、PBT糸で縫うことによって互いに接合される。
【0082】
ステップ104のウエストバンドへの紙の融着において、この製造方法は、ウエストバンドの弾性に悪影響を及ぼさない条件で、粘着性ポリアミドベースのナイロン又は他の適切な材料を、紙のキャリア層からウエストバンドに融着することを提供する。弾性材料の連続シートをウエストバンドに融着させることができる。又は、好ましくは、材料の離散した部分をウエストバンドに融着させることができる。ウエストバンドの異なる部分又は部片は、融着材料を介して結合することができる。
次に、ステップ106で、ウエストバンドは、PBT糸を使用して複数の伸縮性のある生地部分に結合される。
【0083】
本発明の有利な態様として、上記の衣服は、伸ばされていない、すなわち緩んだ1着の「ベース」サイズの衣服として製造でき、かつ、これを様々なサイズのユーザが快適に着用できる。なぜなら、この衣服は、縫い目に関して、伸縮性のある生地と同じ程度に伸びることができないことによる制限がないので、様々なサイズの着用者に対応できるためである。
本発明によれば、PBT糸で形成された縫い目は、ウエストバンド及び伸縮性のある生地と同じかそれ以上に伸縮することができる。従って、衣服の伸縮性が縫い目の伸縮性によって制限される、という問題を回避することができる。
幾つかの実施形態では、PBT糸は、85又は90%もの高い伸びを達成することができる。また、本発明によれば、特定の緩んだ衣服サイズに製造された衣服が、より大きなサイズの着用者によって着用された後、この衣服は元の緩んだ衣服サイズに実質的に回復し、別の緩んだ衣服サイズの着用者がこれを着用することができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、ヨーロッパのサイジングによれば、伸縮性のある1つの衣服は、静止しており伸長していない1つの「ベース」サイズの、女性のレッグウェアサイズ24として製造することができる。この伸縮性のある、伸長していない、1つの「ベース」サイズ24の衣服は、サイズの測定値がサイズ24~サイズ40の着用者が快適に着用できる。
これにより、製造施設は、単一のベースサイズの伸縮性のある衣服、この例ではヨーロッパの女性のレッグウェアのサイズ24、を製造することができ、この衣服は、様々なサイズの着用者が着用することができ、着用後は元の緩んだベースサイズ24に復帰することができる。この実施形態では、製造業者は、本質的に、全ての着用者に適合するワンサイズの衣服を製造することができる。
【0085】
他の実施形態では、製造業者は、異なるベース、すなわち伸伸ばされていない異なるサイズを有する複数の衣服を製造することができ、さらに他の実施形態では、製造業者は、出荷用に、2つのベースサイズを有する伸縮性のある衣服を製造することもできる。
【0086】
上記した事項は、本開示の実施形態の原理を単に例示するものである。従って、当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具体化し、その精神及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解されると思う。さらに、本明細書に記載されている全ての例及び条件付き表現は、主に、理解の目的のものであり、読者が本発明の原理を理解するのを助けることを明確に意図しており、当技術分野を促進するために、発明者によって提供された概念は、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらの構造的及び機能的同等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような同等物には、現在知られている同等物と将来開発される同等物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行するべく開発された要素の両方が含まれることが意図されている。
【0087】
例示的な実施形態のこの説明は、添付の図面の図に関連して読まれることを意図しており、これらは、この説明全体の一部と見なされるべきである。上記説明において、「下側」、「上側」、「水平な」、「垂直な」、「上に」、「下に」、「上へ」、「下へ」、「頂点」及び「底」等の相対的な用語、ならびにその派生語(例えば、「水平方向に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、その時点で説明されている方向、又は議論中の図面に示されている方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためであり、装置が特定の方向で構築又は操作されることを必要としない。「接続された」及び「相互接続された」等の取り付け、結合等に関する用語は、特に明記されていない限り、複数の構造が、間に介在する構造を介して直接的又は間接的に互いに固定又は取り付けられている関係、ならびに可動又は固定の両方の取り付け又は関係を指すものである。
【0088】
本発明を、例示的な実施形態に関して説明されてきたが、本発明はそれに限定されない。添付の特許請求の範囲は、本発明の同等物の範囲及び領域から逸脱することなく、当業者によって実施しうる、本発明の他の変形及び実施形態を含むように、広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
2 伸縮性のある生地部分
4 縫い目
6 ウエストバンド
8 ウエストバンド縫い目
10 衣服
12 裾
14 ウエストバンドの内側部分
16 ウエストバンドの外側部分
18 キャリアシート
18A 紙キャリアシート
20 融着材料
20D 融着材料のドット
22 ウエストバンドの上部
24 ウエストバンドの下部
32 ベルトループ
34 ポケット
38 PBT糸
40 チェーン縫い目
【国際調査報告】