(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】熱傷、創傷、および皮膚の障害を処置するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/81 20060101AFI20220210BHJP
A61K 33/44 20060101ALI20220210BHJP
A61K 31/718 20060101ALI20220210BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A61K36/81
A61K33/44
A61K31/718
A61P17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538121
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019067432
(87)【国際公開番号】W WO2020139689
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521281944
【氏名又は名称】キム, キャサリン エコー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キム, キャサリン エコー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086HA06
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA43
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C088AB48
4C088AC13
4C088BA07
4C088BA32
4C088CA02
4C088MA28
4C088MA43
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
本発明は、熱傷、創傷、および皮膚の障害を処置するための組成物および方法を提供する。上記組成物は、植物の塊茎部分(例えば、ジャガイモ)を高温で処理することに由来する黒い粉砕した粉体、すなわち、灰に基づく。他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を調製するための方法であって、上記方法は、(a)塊茎植物の塊茎部分を薄くスライスする工程、(b)乾燥および炭化されるまで、上記スライスを約450°Fの温度へと加熱するか、または上記スライスを直火に置く工程、(c)得られる燃やした物質を、およそ室温へと冷却する工程、(d)上記得られた炭化物質を粉砕して、微細な黒い粉末を生成する工程、を包含する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、塊茎植物の塊茎部分に由来する炭化粉末を含む組成物。
【請求項2】
前記塊茎植物は、以下の属および/または種:Solanum tuberosum、Ipomoea batatas、Manihot esculenta、およびDioscorea(例えば、Dioscorea rotundata、Dioscorea cayenensis、Dioscorea alata、Dioscorea polystachya、Dioscorea bulbifera、Dioscorea esculenta、Dioscorea dumetorum、およびDioscorea trifida)のうちの1またはこれより多くから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記塊茎植物は、Solanum tuberosumから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミロース、アミロペクチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるデンプンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の総重量に基づいて、約20重量%未満、または約15重量%未満、または約10重量%未満、または約5重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満、または約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満の水分含有量を有し、ここで残留水分は、0.01%またはこれ未満であり得る、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約0.1~約100,000マイクロメートル、または約1~約10,000マイクロメートル、または約10~約1000マイクロメートルの平均粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
局所組成物として製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物を調製するための方法であって、前記方法は、
(a)塊茎植物の塊茎部分を薄くスライスする工程、
(b)乾燥および炭化されるまで、前記スライスを約450°Fの温度へと加熱するか、または前記スライスを直火に置く工程、
(c)得られた炭化物質を、およそ室温へと冷却する工程、
(d)前記得られた炭化物質を粉砕して、黒い粉末を生成する工程、
を包含する方法。
【請求項9】
工程(b)は、加熱する前と比較して、サンプルの重量にさらなる変化がなくなるまで行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
皮膚の熱傷、皮膚の創傷、または皮膚の障害から選択される状態を処置するための方法であって、前記方法は、
(a)請求項1に記載の組成物を、罹患被験体の皮膚に塗布する工程、
(b)前記組成物を、前記罹患被験体の皮膚と接触した状態に留めておく工程、
(c)前記組成物に、膿様排出物を吸収させ、痂皮へと固め、次いで、これが前記罹患被験体の皮膚から落ちるまたは剥がれる工程、
を包含する方法。
【請求項11】
前記処置した皮膚を被覆物で覆うさらなる工程(d)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)、(b)、および(c)を、所望の治療結果が達成されるまで、1回もしくはそれより多くのさらなる回数反復する工程を包含する、請求項10に記載の方法、または工程(a)、(b)、(c)、および(d)を、所望の治療結果が達成されるまで、1回もしくはそれより多くのさらなる回数反復する工程を包含する、請求項9および10に記載の方法。
【請求項13】
皮膚の熱傷、皮膚の創傷、または皮膚の障害から選択される状態を処置するための方法であって、前記方法は、
(a1)前記熱傷、創傷、または障害からデブリを除去する工程、
(b1)請求項1に記載の組成物を、罹患被験体の皮膚に塗布する工程、
(c1)前記組成物を、前記罹患被験体の皮膚と接触した状態に留めておく工程、
(d1)前記組成物に、前記熱傷、創傷、または障害からの膿様排出物をできるだけ多く吸収および保持させる工程、
(e1)前記組成物および全ての滲出物から、固い痂皮を形成させる工程、
(f1)前記組成物が、前記痂皮の下で前記創傷を湿った状態にしてなお、前記創傷への全ての進入点を覆うことを可能にし、天然の保護バリアを作り出す工程、
(g1)皮下層が再生/治癒する間に、前記組成物が前記皮膚に接着したままであることを可能にする工程、
(h1)前記組成物を、デブリドマンまたは他の干渉なしに前記罹患被験体の皮膚から自然に落ちるまたは剥がれることを可能にして、瘢痕化の機会を妨げる工程、
を包含する方法。
【請求項14】
クリーム、スプレー、ゲル軟膏、創傷被覆物として、請求項1に記載の組成物を塗布して、塗布および付着をより容易になるようにする工程を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、熱傷、創傷、および皮膚の障害を処置するための組成物および方法を提供する。上記組成物は、植物(例えば、ジャガイモ)の塊茎部分を高温で処理することに由来する炭化粉末、すなわち、灰に基づく。
【背景技術】
【0002】
背景
皮膚の熱傷および創傷を処置する、より有効な治療薬の探求がこれまで継続されている。現在の熱傷処置はしばしば、寒冷療法、冷水、冷湿布、および治療薬の取り合わせの使用を含むが、本発明の新規性は、「同類は同類を処置する」という治療原理-焼いた組成物を塗布して、皮膚熱傷を処置すること、に依拠する。例えば、「同類は同類を治癒する」という概念は、紀元前400年頃、ヒポクラテスが、マンドレイク根が遙かに大きな用量において躁を生じることを知って、躁を処置するために少用量のマンドレイク根を処方することにより示唆された可能性がある(Hemenway, Henry Bixby (1894). 「Modern Homeopathy and Medical Science」. JAMA: The Journal of the American Medical Association. XXII (11): 367. doi:10.1001/jama.1894.02420900001001.を参照のこと)。同様に、16世紀には、パラケルススは、「同種のもので同種のものを治す(similia similibus curantur)」(後にハーネマンによって使用された叙想法に類似する)と書き記し、これは、しばしば「ヒトを病気にするものは、ヒトを治癒するものでもある」と翻訳された(Paracelsus (German-Swiss physician). Britannica Online Encyclopedia. Encyclopedia Britannicaを参照のこと)。
【0003】
医学、生態学、調理などでは、「同類は同類を処置する」には長い歴史が存在する。火に灰をかけることによって、火は直ぐに消え得ることが周知である。本質的に、本発明は、植物ベースの炭化物質を利用して、熱傷、皮膚の創傷、および他の皮膚の障害を処置する。
【0004】
生態学では、木材を火から守る、最も古くかつ最も有効な方法のうちの1つは、火そのものである。熱および火を木材製品の外部に短時間適用するというプロセスは、木材の細胞構造および熱力学的伝導性の両方を変化させる。木材が燃やされる場合、より軟らかく、反応性がより高いセルロースは気化し、燃え尽きるが、より硬いリグニンは、燃えるのにより長い時間がかかる。さらに、炭化木材の外側相は、絶縁材として作用する。例えば、木材表面を炭化させるという日本の建築技術は、焼杉板として公知である。この化学物質を含まない保存技術は、糸状菌、昆虫、水、さらには火の侵襲に高度に耐える炭素の層で木材を覆うことから、評価されている(Burning wood preserves it ”Shou Sugi Ban: The Traditional Art of Charred Cedar” https://permaculturenews.org/2016/12/05/shou-sugi-ban-preserve-wood-using-fire/を参照のこと)。また、燃やした丸太は、パーマカルチャーでは林床に残される。制御された火はまた、森林が育つのを助ける。野火は、森林をやせさせることなく、自然に癒やすために放置される。
【0005】
食品の製造および保存の分野では、炭化させた植物の灰は、汚染および昆虫の侵入からチーズを保護するためにチーズ製造において使用される。植物の灰は、チーズの表面pHを中和すると考えられている(https://food.good.is/features/cheese-vegetable-ashを参照のこと)。灰は、微生物および糸状菌胞子を妨げることによって、チーズを保存すると考えられている。また、灰は、チーズの表面をしっかりと乾かす傾向にあることも観察されている。チーズに適用される灰は、かつて、火から直接とっていたが、現在は主に塩および植物の灰(乾燥され、灰にされた植物)から作製される。灰は無菌、無臭および無味である。それは、微細に粉末化され、食品グレードの無菌構成要素であり、実際には、医療の世界では、毒素を制御および吸収する能力があるとあがめられている(https://www.thespruceeats.com/why-is-ash-used-in-cheesemaking-591201を参照のこと)。
【0006】
熱傷、創傷、および皮膚の障害は、全世界で重大な健康上の問題を示している。古くから種々の処置および薬物療法が利用可能であり、継続して開発されているが、これらの処置および薬物療法(疼痛性のデブリドマン法を含む)には、感染リスクがより高い、および瘢痕化を含め、しばしば欠点が存在する。従って、調製および使用が比較的容易であり、安全かつ有効である新たな処置および薬物療法があることは、非常に有用である。
【0007】
さらに明確にするために、熱傷には主に3つのタイプ: I度、II度、およびIII度が存在する。各程度は、皮膚に対する損傷の重篤度に基づいている。I度は、最も軽微であり、III度は、最も重篤である。損傷は、以下を含む:
-I度熱傷:赤い、水疱化していない皮膚
-II度熱傷:水疱および皮膚がいくらか肥厚化する
-III度熱傷:白い革のような外見を伴う広範な肥厚化
-IV度熱傷もまた存在する。このタイプの熱傷は、III度熱傷の症状の全てを含み、皮膚を超えて腱および骨へも拡がっている(https://www.healthline.com/health/burns#burn-levels)。
【0008】
従って、熱傷、創傷、および皮膚の障害を処置するための組成物および方法を提供する必要があることが理解される。本発明は、現在の組成物および方法論の欠点に対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hemenway, Henry Bixby (1894). 「Modern Homeopathy and Medical Science」. JAMA: The Journal of the American Medical Association. XXII (11): 367. doi:10.1001/jama.1894.02420900001001.
【非特許文献2】Paracelsus (German-Swiss physician). Britannica Online Encyclopedia. Encyclopedia Britannica
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、塊茎植物の塊茎に由来する、燃やした黒い粉砕した粉体に基づいて、ある範囲の熱傷、創傷、および皮膚の障害を処置するための組成物および方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の組成物を調製するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、活性成分として、塊茎植物の塊茎部分を高温に加熱するか、または燃やすことに由来する粉末、すなわち、灰を含む組成物に関する。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、上記塊茎植物が、以下の属および/または種:Solanum tuberosum、Ipomoea batatas、Manihot esculenta、およびDioscorea(例えば、Dioscorea rotundata、Dioscorea cayenensis、Dioscorea alata、Dioscorea polystachya、Dioscorea bulbifera、Dioscorea esculenta、Dioscorea dumetorum、およびDioscorea trifida)のうちの1またはこれより多くから選択され得る組成物に関する。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、上記塊茎植物がSolanum tuberosumから選択される組成物に関する。
【0015】
他の実施形態において、本発明は、アミロース、アミロペクチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるデンプンを含む組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、上記組成物の総重量に基づいて、約20重量%未満、または約15重量%未満、または約10重量%未満、または約5重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満、または約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満の水分含有量を有し、ここで残留水分は、0.01%またはこれ未満であり得る組成物に関する。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、約0.1~約100,000マイクロメートル、または約1~約10,000マイクロメートル、または約10~約1000マイクロメートルの平均粒度を有する組成物に関する。
【0017】
他の実施形態において、本発明は、局所組成物として製剤化される本発明の組成物に関する。
【0018】
他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を調製するための方法であって、上記方法は、
(a)塊茎植物の塊茎部分を薄くスライスする工程、
(b)乾燥および炭化されるまで、上記スライスを約450°Fの温度へと加熱するか、または上記スライスを直火に置く工程、
(c)得られる燃やした物質を、およそ室温へと冷却する工程、
(d)上記得られた炭化物質を粉砕して、微細な黒い粉末を生成する工程、
を包含する方法に関する。
【0019】
他の実施形態において、本発明は、工程(b)が、加熱する前と比較して、サンプルの重量にさらなる変化がなくなるまで行われる方法に関する。
【0020】
他の実施形態において、本発明は、皮膚の熱傷、皮膚の創傷、または皮膚の障害から選択される状態を処置するための方法であって、上記方法は、
(a)請求項1に記載の組成物を、罹患被験体の皮膚に塗布する工程、
(b)上記組成物を、上記罹患被験体の皮膚と接触した状態に留めておく工程、
(c)上記組成物に、膿様排出物を吸収させ、痂皮へと固め、次いで、これが上記罹患被験体の皮膚から落ちるまたは剥がれる工程、
を包含する方法に関する。
【0021】
他の実施形態において、本発明は、上記処置した皮膚を被覆物で覆うさらなる工程(d)を含む方法に関する。
【0022】
他の実施形態において、本発明は、工程(a)、(b)、および(c)を、所望の治療結果が達成されるまで、1回もしくはそれより多くのさらなる回数反復する工程を包含する方法、または工程(a)、(b)、(c)、および(d)を、所望の治療結果が達成されるまで、1回もしくはそれより多くのさらなる回数反復する工程を包含する方法に関する。
【0023】
他の実施形態において、本発明は、皮膚の熱傷、皮膚の創傷、または皮膚の障害から選択される状態を処置するための方法であって、上記方法は、
(a1)上記熱傷、創傷、または障害からデブリを除去する工程、
(b1)請求項1に記載の組成物を、罹患被験体の皮膚に塗布する工程、
(c1)上記組成物を、上記罹患被験体の皮膚と接触した状態に留めておく工程、
(d1)上記組成物に、上記熱傷、創傷、または障害からの膿様排出物をできるだけ多く吸収および保持させる工程、
(e1)上記組成物および全ての滲出物から、固い痂皮を形成させる工程、
(f1)上記組成物が、上記痂皮の下で上記創傷を湿った状態にしてなお、上記創傷への全ての進入点を覆うことを可能にし、天然の保護バリアを作り出す工程、
(g1)皮下層が再生/治癒する間に、上記組成物が上記皮膚に接着したままであることを可能にする工程、
(h1)上記組成物を、デブリドマンまたは他の干渉なしに上記罹患被験体の皮膚から自然に落ちるまたは剥がれることを可能にして、瘢痕化の機会を妨げる工程、
を包含する方法に関する。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、クリーム、スプレー、ゲル軟膏、創傷被覆物として、上記組成物を塗布して、塗布および付着をより容易になるようにするさらなる工程を包含する方法に関する。
【0025】
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中の開示から明らかになる。
【0026】
本発明の組成物
多くのタイプの塊茎植物が存在する。塊茎は、ある特定の植物の茎または根茎の肥大化した地中部分である。一般的な塊茎は、ジャガイモである。植物学的には、ジャガイモおよびサツマイモは、まったく近縁でない。ジャガイモ(Solanum tuberosum)は、Solanaceae科の中にあり、ベラドンナとともに、トマト、トウガラシ、およびナスに近縁である。サツマイモは、つる植物の種(Ipomoea batatas)に近縁であり、ヒルガオまたはアサガオの仲間(Convolvulaceae)の中にある双子葉植物である。米国およびカナダでは、サツマイモはしばしば、(紛らわしいが)ヤマノイモといわれる。しかし、サツマイモは、ヤマノイモとは近縁でない。
【0027】
全世界で、約5,000のジャガイモ品種が存在する。それら品種のうちの3000が、アンデス地方、主にペルー、ボリビア、エクアエドル、チリ、コロンビアだけで見出されている。それらは、分類学の流派に拠って、8~9つの種に属する。5,000の栽培品種の他に、約200の野生品種および異種交配であり得る亜種が存在する(https://en.wikipedia.org/wiki/Potato)。ジャガイモは、80%が水分であり、20%が固形分である。
【0028】
本発明の組成物は、熱傷および創傷のような皮膚の状態を処置するために有用である。これらの組成物は、塊茎植物の塊茎部分に由来する炭化粉末に基づく。本明細書で有用な塊茎植物の塊茎としては、ジャガイモ(白色)(例えば、Solanum tuberosum)、サツマイモ(例えば、Ipomoea batatas)、キャッサバイモ(例えば、Manihot esculenta)、ヤマノイモ(例えば、Dioscorea属のもの(例えば、Dioscorea rotundata、Dioscorea cayenensis、Dioscorea alata、Dioscorea polystachya、Dioscorea bulbifera、Dioscorea esculenta、Dioscorea dumetorum、およびDioscorea trifida))、ハス(例えば、Nelumbo nucifera)、タロイモ(例えば、Colocasia esculenta)、チョウセンニンジン(例えば、Panax)、ダイコン(例えば、Raphanus属のもの)、ショウガ(例えば、Zingiber originalis)などが挙げられる。白色のジャガイモ、特に、ネットリ系の白色のジャガイモ品種は、主に2種類のジャガイモデンプン、すなわち、アミロースおよびアミロペクチンを生じる。これらのデンプンに由来する炭化粉末は、本発明の組成物を調製するために有用であると考えられる。
【0029】
組成物を作製する方法
本発明の組成物は、従来の調製技術および装置を使用して調製される。本発明の方法の一実施形態は、以下の工程を包含する:
(a)所望の量の塊茎植物の塊茎部分を薄くスライスする工程、
(b)乾燥および炭化されるまで、上記スライスを約450°Fの温度(塊茎植物の量および予測される調製時間に応じて、より高温またはより低温が使用され得る)へと加熱するか、または上記スライスを直火に置く工程、
(c)得られた炭化物質を、およそ室温へと冷却する工程、
(d)上記得られた炭化物質を粉砕して、黒い粉末を生成する工程。
【0030】
概して、工程(b)は、加熱する前と比較して、サンプルの重量にさらなる変化がなくなるまで行われる。その目的は、残留水分がほとんどないかまたは全くない脱水した物質を得ることである。上記組成物は、上記組成物の総重量に基づいて、約20重量%未満、または約15重量%未満、または約10重量%未満、または約5重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満、または約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満の水分含有量を有し得る。残留水分に関して、具体的な下限はないが、概して水分含有量の下限レベルは、0.01%またはこれより小さくあるべきである。
【0031】
その目的は、容易にくずれ、微細な黒い粉末へと押しつぶされ得るかまたは粉砕され得る軽量の炭のフレークを得ることである。粒度は、約0.1~約100,000マイクロメートル、または約1~約10,000マイクロメートル、または約10~約1000マイクロメートルの平均粒度を有する組成物の範囲に及び得る。
【0032】
得られた粉末は、そのまま使用され得るか、または局所送達のための適切なビヒクルへとさらに製剤化され得る。このようなビヒクルの例としては、油、溶液、懸濁物、エマルジョン、および熱傷創傷ケア被覆物(例えば、絆創膏)が挙げられる。
【0033】
熱傷、創傷および他の皮膚の障害を処置する方法
本発明の組成物は、特に、ヒトのような哺乳動物において、種々の皮膚の傷害を処置するために有用である。これらの皮膚の傷害としては、熱傷および創傷が挙げられる。本発明の組成物は、上記熱傷または創傷に直接塗布されて、それを覆い得る。次いで、上記組成物は、風乾され、保護層または痂皮を形成することを可能にする。より多くの組成物が、膿様滲出物を、全ての排出が止まるまで吸収するために塗布されるべきである。上記組成物は、一般に、それが、自然に剥がれるかまたは落ち、所望の治療結果が達成されるまで、皮膚または被験体に留めておかれる。
【実施例】
【0034】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態をさらに記載し、示す。実施例は、単に例証目的で示され、本発明の限定として解釈されるべきではない。なぜならその多くのバリエーションは、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく可能だからである。
【0035】
実施例1-白色ジャガイモ組成物および方法
生ジャガイモの所望の量を、薄いスライスに切る。そのスライスを、直火に置くか、または代わりに、耐熱容器の中に入れ、熱源上で加熱する。そのジャガイモのスライスを加熱して、いかなる水分をも蒸発させ、そのスライスを黒化または燃やした。その熱源または火元を、軽量の黒い乾燥炭タイプのフレークが得られるまで適用する。その得られた燃やしたフレークを、室温へと冷却する。その冷却したフレークを、微細な黒い粉末へと粉砕する。その得られた組成物を、皮膚の熱傷または創傷に直接塗布し、静置していかなる膿様排出物をも吸収させ、乾燥させ、痂皮へと固め、固く覆い、すると自然に剥がれる。その組成物は、皮膚の熱傷または創傷を処置するために有用である。その組成物の塗布は、必要な場合に、その皮膚の熱傷または創傷を処置するために反復され得る。代替の実施形態において、その組成物および方法は、白色のジャガイモを他の塊茎の所望の量で置き換えることによって作製および行われ得る。
【0036】
参考文献
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中国特許第CN1293897C号、Jinfeng Chen、Burn- and Scald-treating powder(2007年1月10日発行)
Hemenway, Henry Bixby (1894). 「Modern Homeopathy and Medical Science」. JAMA: The Journal of the American Medical Association. XXII (11): 367. doi:10.1001/jama.1894.02420900001001.
Burning wood preserves it ”Shou Sugi Ban: The Traditional Art of Charred Cedar” https://permaculturenews.org/2016/12/05/shou-sugi-ban-preserve-wood-using-fire/.
援用の表示
【0037】
特許文書の各々の開示全体は、訂正証明書、特許出願文書、科学論文、政府報告書、ウェブサイト、および本明細書で言及される他の参考文献を含め、全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される。用語法において矛盾する場合、本明細書が優先する。
【0038】
均等物
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態において具現化され得る。前述の実施形態は、本明細書に記載される発明に対する限定ではなく、全ての点で例証であると見做されるべきである。本発明の方法およびシステムの種々の実施形態において、含まれる用語が、記載される工程または構成要素に関連して使用される場合、上記方法およびシステムが、その記載される工程または構成要素から本質的になるか、またはそれらからなることも、企図される。さらに、工程の順序またはある特定の行為を行うための順序は、本発明がなおも機能する限りにおいて、重要ではない。さらに、2またはこれより多くの工程または行為は、同時に行われ得る。
【0039】
本明細書において、単数形はまた、文脈が別段明らかに規定しなければ、複数形をも含む。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0040】
さらに、ある特定の場合に、組成物が、混合する前に構成要素から構成されると記載され得ることは、認識されるべきである。なぜなら混合の際に、ある特定の構成要素は、さらなる物質と反応するかまたはさらなる物質へと転換され得るからである。
【0041】
本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび比は、別段示されなければ、重量による。
【国際調査報告】