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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(54)【発明の名称】磁気化粧品アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20220214BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20220214BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A46B15/00 D
A46B5/00 Z
A45D34/04 510D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531573
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2019067572
(87)【国際公開番号】W WO2020141026
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】102018010013.9
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518406770
【氏名又は名称】ゲーカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GEKA GMBH
【住所又は居所原語表記】Waizendorf 3 91572 Bechhofen,Germany
(71)【出願人】
【識別番号】521238993
【氏名又は名称】ベネフィット コスメティックス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BENEFIT COSMETICS LLC
【住所又は居所原語表記】225 Bush Street 20th Floor San Francisco,94104 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】バンドシュア,ラモナ
(72)【発明者】
【氏名】シェネイダー,ファビアン クート
(72)【発明者】
【氏名】キュッセオー,サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ビスター,ヴィエト フォン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン ジャン,エリカ
(72)【発明者】
【氏名】モニカル,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】モウミーヌ,ミラ
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA14
3B202AB15
3B202BA03
3B202GA03
3B202GA30
(57)【要約】
プラスチックからなり、ブラシ毛担持体と、単一部分として前記ブラシ毛担持体と一体的に結合されたブラシ毛とを備える化粧品アプリケータであって、ブラシ毛担持体が永久磁石である一方、ブラシ毛自体は非磁性であり、ブラシ毛担持体が、磁気粒子で充填された第1のプラスチックからなり、少なくともその外周に境界部を形成するコアを含み、境界部が非磁性の第2のプラスチックの層によって覆われており、第1のプラスチック及び第2のプラスチックが好ましくは相互に溶接されており、第2のプラスチックが好ましくは第1のプラスチックよりも硬く、第2のプラスチックが単一部分としてブラシ毛に一体的に接続されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックからなり、ブラシ毛担持体と、単一部分として前記ブラシ毛担持体と一体的に結合されたブラシ毛とを備える化粧品アプリケータであって、
前記ブラシ毛担持体が永久磁石であり、前記ブラシ毛自体は非磁性であり、
前記ブラシ毛担持体は、コアを備え、前記コアは、磁気粒子で充填された第1のプラスチックからなり、少なくとも前記コアの外周に境界部を形成し、前記境界部は、非磁性の第2のプラスチックの層によって覆われており、
前記第1のプラスチック及び第2のプラスチックが好ましくは相互に溶接されており、前記第2のプラスチックが好ましくは前記第1のプラスチックよりも硬く、
前記第2のプラスチックが単一部分として前記ブラシ毛に一体的に接続されている、化粧品アプリケータ。
【請求項2】
プラスチックからなり、ブラシ毛担持体と、単一部分として前記ブラシ毛担持体と一体的に結合されたブラシ毛とを備える化粧品アプリケータであって、
前記ブラシ毛担持体が永久磁石であり、前記ブラシ毛自体は略非磁性であり、
前記ブラシ毛担持体が、磁気粒子で充填された第1のプラスチックからなるコアを備え、
前記コアが、中空の円筒形状を有し、前記コアの中心が、非磁性である第2のプラスチック又は第3の非磁性プラスチックで充填又はライニングされ、
前記ブラシ毛が、前記コアの中心を形成する前記第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなり、筒形状の前記コアと前記コアの外周で前記コアを覆う任意のコーティング層とを放射方向に貫通し、前記コーティング層を超えて放射方向外方に突出するという点で、ブラシ毛は一体部分として接続されている、化粧品アプリケータ。
【請求項3】
前記コアが、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%の割合で磁気粒子を含む高充填プラスチックからなる、請求項1又は2による化粧品アプリケータ。
【請求項4】
前記コア内の前記磁気粒子が整列し、前記プラスチック材料の注入中で前記プラスチック材料の硬化前に印加される磁場を実質的に形成する、請求項1から3のいずれか一項による化粧品アプリケータ。
【請求項5】
前記コアが複数の磁気のN極及びS極を備え、各極が、前記コアの前記プラスチック材料に埋め込まれた磁気粒子の群からなる、請求項1から4のいずれか一項による化粧品アプリケータ。
【請求項6】
前記コアが、外径が小さい接続部によって相互に接続される、外径が大きい少なくとも2つの異なる極性部を備え、前記極性部がそれぞれ、相互に離れて対向する端面において、外径が小さい接続部によって前記アプリケータの残りの部分に接続されている、請求項1から5のいずれか一項による化粧品アプリケータ。
【請求項7】
前記コアが、前記コアの外周面に、相互に離間した複数の固定凹部又は固定凸部を備える、請求項1から6のいずれか一項による化粧品アプリケータ。
【請求項8】
ブラシ毛が一体的に接続された筒が第2のプラスチック材料から射出成形され、次いで、前記筒の中心に、磁気粒子又は磁化可能粒子が追加された第1のプラスチック材料が完全に又は部分的に注入される、化粧品アプリケータの製造方法。
【請求項9】
好ましくは磁気粒子が埋め込まれた第1のプラスチック材料からなる磁石が、型空隙に配置され、一体的に接続されたブラシ毛を備える、第2のプラスチック材料からなる筒が、前記磁石の周りに導入される、化粧品アプリケータの製造方法。
【請求項10】
磁気粒子が埋め込まれた第1のプラスチック材料からなる筒が最初に製造され、次いで、前記筒の中心に、磁気粒子又は磁化可能粒子が追加されていない第2のプラスチック材料が完全に又は部分的に注入されて、前記筒を放射方向に貫通するブラシ毛を形成し、前記ブラシ毛は、前記筒の中心を充填又はライニングする前記プラスチック材料に接続される、化粧品アプリケータの製造方法。
【請求項11】
前記磁気コアを形成する前記第1のプラスチック材料における前記磁気粒子又は磁化可能粒子が、前記アプリケータが完全に製造された後にのみ、対応する外部磁場を印加することによって強力に磁化される、請求項8から10のいずれか一項による方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する主請求項のプリアンブルによる化粧品アプリケータ、及び方法の請求項のプリアンブルによる上記アプリケータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状又は粘性の化粧品を塗布し、大きな貯蔵容量を有し、それにより、化粧品容器に浸したり、化粧品容器から引き出したり、再度拭い取ったりする必要なく、睫毛のアーチ全体へのマスカラの完全な塗布などの塗布全てを対象とすることができる化粧品アプリケータが、基本的かつ実用的に必要とされている。
【0003】
上記の課題を解決するために、一又は複数の永久磁石がこの目的で組み込まれた、磁気コアを備える化粧品アプリケータが提案されている。
【0004】
このようなアプリケータが鉄粉末などの磁気的に引き付けられる粒子を有する化粧品物質と共に使用される場合、必要に応じて化粧品物質がブラシ毛(ブリッスル)から入念に拭い取られて、塗布の過程を通じて徐々に塗布されていくときでも、増加する量の化粧品物質をコア表面に直接蓄えることができる。というのは、概して、拭うときにブラシ毛が屈曲し急速に傷むのを回避するため、ワイパーが表面にくっついている物質を拭い大量に除去するときにワイパーがブラシ毛を集中的に寝かしている間、ワイパーがブラシ毛の根本、特にコアの円筒面から幾分離間した状態を保っているからである。
【0005】
しかしながら、標準的な材料から成り、例えば、特定のサイズを有する棒状磁石をブラシ毛担持体に埋め込む従来のやり方は十分ではない。これは、ブラシ毛担持体が完全に硬質であるからである。塗布動作、ひいては製品の容認度が、概ね又は少なくとも触覚的に低下する。
【0006】
マスカラアプリケータのように、小コア径のアプリケータを構築する際、このような設計の高い破損リスクがこれに加わる。
【0007】
また、内部で試験されてきたように、小さな磁気粒子で充填された(満たされた)プラスチックからアプリケータコア全体を射出成型することも容認しがたい。ブラシ毛を形成する際に必要とされるように、十分な弾性を有するプラスチックがこの目的で使用される場合、高可撓性の基材形成プラスチックと完全に硬質で小さな磁気粒子との間の面近傍の境界部において、しばしば微小な亀裂が形成される。上記の課題は、現行の基準では衛生的に許容されない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的
本発明の目的は、過度に硬質でない磁気ブラシ毛担持体を備え、そのため、より厳格な衛生要件を遵守しつつより一層破損に強いアプリケータを提供することである。
【0009】
本発明による解決策
本発明による解決策は、請求項1の特徴によって提供され得る。
【0010】
プラスチックからなり、ブラシ毛担持体と、単一部分としてブラシ毛担持体と一体的に結合されたブラシ毛とを備える、化粧品アプリケータが提案されている。本発明によると、ブラシ毛担持体は永久磁石であり、ブラシ毛自体は非磁性である。ブラシ毛担持体は、磁気粒子で充填された第1のプラスチックからなるコアを備える。コアは、少なくともコアの外周に境界部を形成する。境界部は、非磁性の第2のプラスチックからなる層によって、好ましくは完全に又は略完全に囲まれる。それにより、第1のプラスチック及び第2のプラスチックは好ましくは、相互に溶接される。第2のプラスチックは好ましくは、第1のプラスチック(それ自体)よりも軟らかい、及び/又は弾性が高い。第2のプラスチックは、ブラシ毛に一体的に接続される。
【0011】
磁気コアを備えるブラシ毛担持体はこのように製造される。コアは、典型的には永久磁石であり、磁気的に引き付けられる粒子で充填された化粧品又はマスカラ物質(以下、化粧品物質という)を引き付け、その結果、化粧品物質は次第にブラシ毛の根本に付着し、ワイパーを通過するときでも100%拭い取られない。むしろ、非磁性ワイパーと比べて、化粧品物質がより多く化粧品の蓄えを形成する。ブラシ毛の根本の領域にブラシ毛担持体に磁気的に保持される化粧品物質を受け入れるために、処理対象の領域、髪、又は睫毛をブラシ毛の間に適宜より深く誘導するという点で、所望するように塗布中に上記の蓄えにアクセスすることができる。
【0012】
本発明によると、睫毛とアプリケータのブラシ毛との接触が向上する。好ましくは上記の場合のようにアプリケータが磁化されている場合、磁場の影響下で磁化可能化粧品の塊によって湿らされた睫毛をブラシ毛の根本へコアに向けて引っ張ることによってこれが実現される。
【0013】
ブラシ毛担持体のコアは硬質な磁石ではなく、弾性プラスチックによって結合された典型的には200超の複数の永久磁気粒子からなるため、コアは、コアの破損を防ぐように元来の可撓性を有する。このため、多くの場合、コアの少なくとも触覚的な塗布動作も向上する。
【0014】
同時に、ブラシ毛担持体は衛生的にも申し分ない。磁気粒子と、磁気粒子を結合し、ブラシ毛担持体の反復的屈曲中に拡張するプラスチック材料との間に存在する微小な亀裂は問題とはならない。というのは、磁気粒子を有するブラシ毛担持体のコアは、少なくともコアの外周にわたって第2のプラスチックで覆われており、それにより化粧品物質に対して保護されるためである。
【0015】
第2のプラスチックが第1のプラスチックに対して適切に選択される場合、永久磁気粒子が内部で略均一に分散されたコアを覆う外側筒(管)も大きな支持効果を提供する。
【0016】
本発明の更なる目的
本発明の代替的な又は更なる目的は、特定の用途に関する。この目的は、過剰な剛性を有さず、化粧品物質の保持を向上させる磁気ブラシ毛担持体を備えるアプリケータを提供することである。
【0017】
本発明による更なる解決策
後者の目的は、請求項1とは別に、及び請求項1と組み合わせて保護を求める請求項2の特徴によって本発明により達成される。
【0018】
プラスチックからなり、ブラシ毛担持体と単一部品としてブラシ毛担持体と一体的に結合されたブラシ毛とを備える、化粧品アプリケータが提案されている。本発明によると、ブラシ毛担持体は永久磁石であり、ブラシ毛自体は少なくともほぼ非磁性である。ブラシ毛担持体は、磁気粒子で充填された第1のプラスチックからなるコアを備える。コアは、筒(管)形状を有する。コアの中心は、非磁性プラスチックで充填されるか、又はライニングされている。ブラシ毛は、コアを満たしライニングするプラスチックからなる。上記のブラシ毛は、筒形状のコアとコアの外周でコアを覆う任意のコーティング層とを放射(半径)方向に貫通し、それらを超えて放射(半径)方向外方に突出するという点で、ブラシ毛は一体部分として接続されている。
【0019】
磁気領域は外側領域にあり、化粧品物質が磁気保持力によって保持される表面まで直接延在するため、特に吸引力のある磁場を含むアプリケータがこのようにして製造され得る。
【0020】
ブラシ毛担持体のコアは硬質な磁石ではなく、弾性プラスチックによって結合された典型的には200超の複数の強力な磁気粒子から成り、またコアは主にプラスチックと磁気粒子との混合物からなるのではなく、プラスチックと磁気粒子の混合物が任意で高可撓性プラスチックで充填された中空の筒を形成するので、コアは元来の可撓性を保持する。これにより、少なくとも触覚的な塗布動作が向上する。
【0021】
同時に、支持コアが存在し、ブラシ毛担持体が過剰に曲がるのを防止することができる。これにより、請求項1と併せて微小な亀裂の課題にも対処し、改善することができる。支持コアはこの目的で寸法設定されているため、適切な使用下でのアプリケータの耐用寿命中、支持プラスチック材料と埋め込まれた磁気粒子との間の結合が外れて許容し難い微小な亀裂が形成される事態が発生しない(又は実質的な範囲で発生しない)程度の、ブラシ毛担持体の弾性変形のみが生じる。
本発明の好適な実施形態オプション
以下の実施形態オプションは、本発明の上記実施形態のいずれにとっても賢明であり適用可能である。
【0022】
コアが高充填プラスチックから製造されるのが特に有利であることが判明している。高充填プラスチックは、具体的には、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の磁気粒子を含むプラスチックである。このようなプラスチックは、柔軟性のない単一部分のフェライト磁石の吸引力と同等の磁力を生成する。このような高充填材料は、実際には特定の状況下で微小な亀裂を形成しがちであり得る。しかしながら、本発明によると、磁気粒子で充填されないプラスチックからなる外側保護筒(管)又は典型的には膜状の外側保護層が外周に設けられる場合、このような微小な亀裂は補償される。
【0023】
理想的には、磁気粒子はコア内で整列して配置される。上記粒子は、射出成形中でプラスチック材料の硬化前に確立される磁場を形成する。次いで、粒子は、次の工程において、対応する強力な形成磁場を印加することによって磁化された後、現在の要件を精密に満たす特別な磁場を形成することができる。
【0024】
コアが複数の極を備え、各極が、群、即ち、相互に分離されプラスチック材料内に埋め込まれた複数の磁気粒子から成ることが特に有利である。例えば、プラスチック材料内への最終的な埋め込み後、無数の磁気粒子の群を例えば、2~6個、より好ましくは3~6個のS極と、2~6個、より好ましくは3~6個のN極とに磁化することが適当であり得る。化粧品物質中に存在する磁気粒子の種類に応じて、化粧品物質が多く収容されるブラシ毛担持体の領域と、化粧品物質が少なく収容される他の領域とを作ることができる。
【0025】
理想的には、コアは、外径の小さい接続部によって互いに接続される、外径の大きい少なくとも2つの異なる極性部を備える。上記極性部はそれぞれ、相互に離れて対向する端面において、外径の小さい接続部によってアプリケータの残りの部分に接続される。このように、より強い磁気領域及び強くない磁気領域をブラシ毛担持体に適用することができる。
【0026】
コアが中空の円筒形状を有し、コアの中心が非磁性である第2又は第3のプラスチックで充填されるか、又はライニングされることが特に好ましい。第2又は第3のプラスチックで充填されるコアは、外側領域に対する支持効果を提供することができ、第1のプラスチックと磁気粒子が混合されているために外側領域は磁性を有し、コアは磁気粒子を有する第1のプラスチックの外側領域を安定させることができる。このように、コアとブラシ毛担持体全体とが可撓性を保つ。それにより、触覚的塗布特性が向上する。コア又はインナーライナーの支持効果はまた、コア又はブラシ毛担持体が通常の使用時に過負荷がかかり、微小な亀裂又は更には完全な破損を形成するのを防ぐこともできる。
【0027】
第2又は第3のプラスチックが任意で外周に設けられ、外周において筒(管)状又は膜状に第1のプラスチック及び磁気粒子を囲み密閉することができる。インナーライナー又は充填は、上記第2のプラスチック又は別のプラスチック、即ち、第3のプラスチックを用いてなされる。
【0028】
ブラシ毛が磁気領域の中心又はライナーを形成する第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなることが特に有利である。次に、ブラシ毛が、磁気領域又は磁気領域をライニング又は充填するプラスチックの中心に一体部分として接続される。この目的で、上記ブラシ毛は、磁気領域と磁気領域の外周を囲む任意の筒状又は膜状のコーティング層とを貫通する。
【0029】
第1のプラスチックと第1のプラスチックに混合される磁気粒子とから成る領域は、理想的には、第1のプラスチックの外周上に成形される第2又は別のプラスチックを確実に固定するための凹部、孔、又は溝を備える。
【0030】
本発明による更なる可能な実施形態、効果及び利点、又は本発明の変形は、図面に基づく具体的な実施形態の例の以下の説明から発生する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明によるアプリケータの基本的な例を示す図である。
図2図1に示すアプリケータの製造プロセスを示す図である。
図2a】コアを引き出し、磁気粒子を含むプラスチック材料を注入した後の図2の製造プロセスを示す図である。
図3図1のアプリケータの側面図である。
図4図3のアプリケータの中心長手方向部分を示す図である。
図5】磁気コア3が外側にある、代替的なアプリケータの製造プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例1
図1は、本発明によるアプリケータ1の一般的な例を示す、本発明の十分な概要を提供する。
【0033】
明らかに分かるように、アプリケータ1はブラシ毛担持体2を備える。ブラシ毛担持体2は、磁気コア3から成る。次に、磁気コア3は、第1のプラスチック材料に埋め込まれた100超の硬質な磁気粒子で充填された第1のプラスチック材料からなる。磁気コア3の外側、好ましくは磁気コア3の露出された端面も、第2のプラスチック材料10からなる。第2のプラスチック材料は好ましくは、熱可塑性エラストマー、即ち、TPEである。第2のプラスチック材料10は、第1のプラスチック材料に典型的には溶接され、又は少なくとも薄層状に接着される。これに基づき、ブラシ毛担持体は、単一部分として製造されると言える。この目的で、化学的に適合するプラスチック材料が理想的に使用される。
【0034】
また、第2のプラスチック材料10は典型的には、単一部分として一体的にブラシ毛11を形成する。このことは、図1でよく示されるように実施される。ブラシ毛担持体2は更に好ましくは、連結部4を備える。連結部4は理想的には、ブラシ毛と同じ材料から製造される(図1を参照)。他の応用では、連結部4は、磁気コアと同じ材料から製造されることがより好適である(図4を参照)。
【0035】
ここでよく示されるように、第1のプラスチック材料に埋め込まれた硬質な磁気粒子は、複数の異なる磁気のS極及びN極を局所的に実現するように磁化されている。このようにして、強力な磁場を達成することができる。
【0036】
かかるアプリケータを製造するために様々な方法が使用される。
【0037】
図1に示すアプリケータは好ましくは、例えば、図2に示すように製造される。
【0038】
図2において太線で示される第2のプラスチックはまず、対応する射出成形型5に注入される。射出成形型5は、ブラシ毛担持体用の中央空隙6とブラシ毛を成形するために中央空隙から現れる複数の空隙7とを含む。成形コア(モールドコア)8が好ましくは使用されることによって、初めはブラシ毛担持体2の中央領域に材料がない状態が保たれる。このように、典型的には、密な筒形状が最初に射出成形され、ここからブラシ毛が単一材料として一体的に延在する。
【0039】
より少量のプラスチック材料が注入されるだけで、成形コアを使用することなく、コアに材料がある状態の場合、次いでコアが引き出される。次に、中央領域に残る空隙に第1のプラスチックが注入され、このプラスチックには磁気粒子9が充填されており、磁気粒子を埋め込み保持している(図2を参照)。注入中、磁場による凝集又は凹凸を回避するため、磁気粒子は好ましくは、まだ磁化されていない。
【0040】
好ましくは、製造プロセスは、磁気粒子が非磁化状態で「支持」プラスチック材料と混合されて、その後、型に注入されるように実行される。
【0041】
磁場は、注入中、又は好ましくは注入の直後、かつ磁気粒子を担持するプラスチックの固化による磁気粒子の固定前に印加される。磁場は好ましくは、針状の磁気粒子を、それらを担持するプラスチック内で整列させるのに利用される。磁場は通常、このような後の段階で調節される、及び/又は印加されるため、磁気粒子はプラスチック材料内で整列し得るが、完全に非局在化して分離したり凝集したりすることがない。
【0042】
その後、多くの場合、磁気粒子は、完全に又は略完全に磁気粒子を消磁する磁場にさらされる。これにより、互いに磁気吸引されて分離しにくくなることなく、支障なく一括してアプリケータを確実に移送又は処理することができる。
【0043】
次いで、アプリケータは、通常は更なる処理又は組み立て及びアプリケータハンドルへの固定後に再び磁場にさらされる。この磁場は非常に強力であるため、所望の形態で、即ち、塗布特性を決定する磁力線連鎖で、磁気粒子への永久磁性をもたらす。
【0044】
このようにして製造された完成状態のアプリケータの外観を、図3及び4に示す。第1のプラスチックからなるコア3と、コア3を完全に覆うブラシ毛担持体2の第2のプラスチック10とが、これらの図でよく分かる。また、特に図4でよく分かるように、ブラシ毛11は、磁気コア3を覆う第2のプラスチック10からなる筒形スリーブに、単一部分として一体的に接続される。
【0045】
着目すべきは、コア3が外径の大きい複数の異なる極性部12を備えることである。極性部12はそれぞれ、外径の小さい接続部13によって相互に接続されている。また、極性部12はそれぞれ、好ましくは、相互に離れて対向する端面において、小径の接続部13によってアプリケータの残りの部分に接続されていることが容易に見てとれる。
【0046】
図示されるように、極性部12と接続部13は相互作用して外周スロットを形成することで、磁気粒子を含む第1のプラスチックからなるコア上への第2のプラスチックからなるスリーブの向上した確実な固定をもたらす。
【0047】
例2
図5は、本発明によるアプリケータの代替的な製造方法を示す。この場合、筒形状14はまず、磁気粒子を含む第1のプラスチックから製造され、ここでは磁気コアとして機能する。加えて、この筒形状は、第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなる膜状又は筒状密閉層15によって外周面で覆われ得る。次に、筒形状14は、外周にブラシ毛空隙7を有する射出成形型5に配置される。その後、第2のプラスチック材料が、高圧で内部から筒形状14の中央領域に注入される。筒形状14は射出成形型と全面接触せず、ブラシ毛空隙7の開放領域に交差するところでは、第2のプラスチック材料によって穿孔され、その後、第2のプラスチック材料は反対側でブラシ毛空隙7に入る。このようにして、ブラシ毛は、第2のプラスチックからなるコアと一体の単一部分として製造される。
【0048】
よって、図5においてクロスハッチングで示される中央領域は、完全に充填され得る、又は対応する成形コアを使用する場合は筒状被覆のみを示し得る。
【0049】
好適な製造方法に関する更なる詳細
本発明による射出成形磁石は、熱可塑性プラスチックへの硬質フェライト又は希土類磁気粉末の埋め込みから生じる典型的な複合材料である。磁気粉末の量の割合が、磁気及び機械特性を決定する。
【0050】
充填度は、好ましくは84%~94%の磁気粉末(質量百分率)の範囲で変動する。
【0051】
ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、及びポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましくは、プラスチック基材として使用される。
【0052】
プラスチック結合され射出成形される磁石の製造プロセスでは、磁気化合物が最初に製造される。この目的で、プラスチック粒と磁気粉末が熱ミキサ又は二軸スクリュー押出し機内で混合され、その後、押出成形され粒状化される。次の工程は、変更された射出成形機での化合物の処理である。異方性磁石を任意で射出成形する際、磁気粒子がまだ柔軟なプラスチック材料内でまだいくらかの運動の自由を有している間、磁場を追加で軸方向、放射方向、正反対方向、又は多極方向に印加することができ、磁気材料の好適な方向が、特定の配向に平行に生成され得る。さもなければ、磁気粒子に強い磁気特性、即ち、永久磁性を与えるために、磁場が冷却後のみ印加される。
【0053】
プラスチック結合され射出成形された磁石は、プラスチック結合され加圧された磁石と比べて弾性が高い。しかしながら、高充填度のため、上記磁石は、エンジニアリングプラスチックの機械特性を十分に実現しない。
【0054】
一般的な実施形態
以下の段落の任意の一又は複数の段落によるアプリケータに関しての保護が、前に列挙した請求項と独立して及び/又は共に請求される。
【0055】
化粧品アプリケータは、少なくともその外周に境界部を形成し、境界部は非磁性の第2のプラスチックからなる層に囲まれ、第1のプラスチック及び第2のプラスチックは好ましくは相互に溶接されており、第2のプラスチックは好ましくは第1のプラスチック(それ自体)よりも軟らかく弾性が高く、第2のプラスチックは単一部分としてブラシ毛に一体的に接続されている。
【0056】
先行する段落のうちの1つによる化粧品アプリケータは、コアが中空の円筒形状を有し、コアの中心が非磁性である第2のプラスチック又は第3の非磁性プラスチックで充填又はライニングされていることを特徴とする。
【0057】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、ブラシ毛が、磁気領域の中心を形成する第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなり、ブラシ毛が、磁気領域と磁気領域の外周を囲む任意のコーティング層とを貫通するという点で、単一部分として一体的に接続されていることを特徴とする。
【0058】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、少なくともその外周に境界部を形成し、境界部は非磁性の第2のプラスチックからなる層によって、好ましくは完全又は略完全に囲まれ、第1のプラスチック及び第2のプラスチックは好ましくは相互に溶接されており、第2のプラスチックは好ましくは第1のプラスチックよりも硬く、第2のプラスチックは単一部分としてブラシ毛に一体的に接続されていることを特徴とする。
【0059】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、コアが中空の円筒形状を有し、コアの中心が非磁性である第2のプラスチック又は第3のプラスチックで充填又はライニングされていることを特徴とする。
【0060】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、ブラシ毛が、磁気領域の中心を形成する第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなり、ブラシ毛が、磁気領域と磁気領域の外周を囲む任意のコーティング層とを貫通するという点で、単一部分として一体的に接続されることを特徴とする。
【0061】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、ブラシ毛担持体が、磁気粒子で充填されたプラスチックからなるコアを備えることを特徴とする。
【0062】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%の割合で磁気粒子を含む高充填プラスチックからなることを特徴とする。
【0063】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、コアが、第1のプラスチックからなり、少なくともその外周に境界部を形成し、境界部が、非磁性の第2のプラスチックからなる層によって囲まれており、第1のプラスチック及び第2のプラスチックが好ましくは相互に溶接されていることを特徴とする。
【0064】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、プラスチックコーティング層が単一部分としてブラシ毛に一体的に接続されていることを特徴とする。
【0065】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、コアが中空の円筒形状を有し、コアの中心が非磁性である第2のプラスチック又は第3のプラスチックで充填又はライニングされていることを特徴とする。
【0066】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、ブラシ毛が、磁気領域の中心を形成する第2のプラスチック又は第3のプラスチックからなり、磁気領域と磁気領域の外周を囲む任意のコーティング層とを貫通するという点で、単一部分として一体的に接続されていることを特徴とする。
【0067】
本セクションの先行する段落による化粧品アプリケータは、磁気コアがプラスチック材料からなり、磁気粒子が注入されるのではなく、プラスチック内に押し込まれることを特徴とする。
【0068】
任意で本セクションの先行する段落による、独自の化粧品アプリケータは、磁気コアが、磁気粒子を有し第2のプラスチック材料がまだ液体状又は柔軟である間に第2のプラスチックの中心領域に注入された第1のプラスチック材料からなり、第2のプラスチックは製造プロセスにおいて最初に型に注入されており、第2のプラスチック材料がブラシ毛を形成し、ブラシ毛が、磁気粒子が埋め込まれた第1のプラスチック材料の周囲に第2のプラスチック材料によって形成された筒、スリーブ、又は膜状スリーブに一体的に接続されていることを特徴とする。
【0069】
なお、概して「磁気粒子」という用語は全体にわたって好ましくは「磁化可能粒子」として解釈されるべきであり、強磁性粒子が好ましくは使用される際、アプリケータが製造された後でのみ外部磁場を印加することによって、強い磁気特性が与えられ得る。
【符号の説明】
【0070】
1 アプリケータ
2 ブラシ毛担持体
3 磁気コア
4 連結部
5 射出成形型
6 射出成形型の中央空隙
7 射出成形型のブラシ毛空隙
8 成形コア
9 磁気粒子
10 第2のプラスチック材料
11 ブラシ毛
12 極性部
13 接続部
14 筒形状
15 密閉層
L 中心長手方向軸
S S極
N N極

図1
図2
図2a
図3
図4
図5
【国際調査報告】