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特表2022-515598オフセットコア光ファイバを用いた高分解能分布センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(54)【発明の名称】オフセットコア光ファイバを用いた高分解能分布センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
G01D5/353 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531902
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019061942
(87)【国際公開番号】W WO2020117457
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/775,123
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】アーマド,ラジャ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェダー,ケネス,エス.
(72)【発明者】
【氏名】コ,ウィング
(72)【発明者】
【氏名】ウェストブルック,ポール
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA37
2F103CA08
2F103CA09
2F103EB02
2F103EB06
2F103EB11
2F103EC09
(57)【要約】
内接Bragg格子を有するオフセットコアを有する延長された長さの光ファイバを、光周波数領域リフレクトメモリ(OFDR)と組み合わせて分布センサに使用して、ファイバに加えられるようなスモールスケールの歪みおよび力の測定を可能にする。オフセットコアは、測定の空間分解能を改善するために、光ファイバの中心軸の周りに螺旋状に配置されてもよい。基準面は、所定のテクスチャを示し、センサファイバの長手方向部分に隣接して配置される。プレートとファイバとの組み合わせに力を加えると、ファイバのオフセットコアに沿って形成された格子に局所的な歪みが生じ、グレーティングのブラッグ波長がシフトする。ODFR測定技術を用いて、Bragg波長シフトの解析により高分解能力測定が可能になった。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのオフセットコア領域を有する変形センシング光ファイバと、
前記変形センシング光ファイバに結合された光周波数領域リフレクトメモリ(OFDR)とを備えることを特徴とする分布センシングシステム。
【請求項2】
前記変形センシング光ファイバは、前記少なくとも1つのオフセットコア領域に沿って内接する連続的なファイバブラッググレーティング(FBG)を含み、
前記連続的なFBGは、所定のブラッグ波長λBraggを示すように形成され、
前記システムは、光学検出器に結合され、光学検出出力信号をフーリエ変換してローカルブラッグ波長の測定値を生成するために利用されるフーリエアナライザをさらに備え、
前記所定のブラッグ波長と前記ローカルブラッグ波長との間の波長の所定のシフトは、前記変形センシング光ファイバへの力の印加に対応することを特徴とする請求項1に記載の分布センシングシステム。
【請求項3】
前記光ファイバは、前記光ファイバの中心軸から半径Rで変位された単一のオフセットコアを備えることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記オフセットコアは、前記中心軸の周りに螺旋状に配置され、
前記螺旋は所定の周期Λspiralで周期的であることを特徴とする請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバは、複数のオフセットコアを備え、
前記複数のオフセットコアのそれぞれは、中心軸から同じ変位Rを有し、隣接するオフセットコア間で同様の離間を示すことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
前記複数のオフセットコアは、前記中心軸の周囲に螺旋状に配置され、各オフセットコアは実質的に同一の螺旋周期Λspiralを示すことを特徴とする請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記変形センシング光ファイバの長さに隣接して配置された参照デバイスをさらに備え、前記参照デバイスは前記加えられた力に変換できるファイバの変形を生成するために規定されたパターンの波形表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項8】
前記参照デバイスは、
波形表面を有する剛性板と、
前記剛性板と平行であり、離間して配置される平板とを備え、
前記変形センシング光ファイバは、前記剛性板と前記平板との間に配置され、
前記波形表面が前記変形センシング光ファイバに隣接するように、前記剛性板は配向され、
前記変形センシング光ファイバの長手軸が前記剛性板および前記平板と平行に配列されることを特徴とする請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
前記変形センシングファイバは、連続的なFBGを含むように形成され、
FBGの変化は、前記参照デバイスによって生成されることを特徴とする請求項7に記載の監視システム。
【請求項10】
前記参照デバイスは一対のプレートを備え、
各プレートは、所定の同一の周期Λcontorの周期波形を形成する波形表面を有し、
前記プレートは前記波形が整列するように互いに配置され、
前記変形センシング光ファイバが前記整列された波形のセット間に配置されることによって、前記参照デバイスに対する前記外力の印加は、前記波形の周期に関連する前記光ファイバの前記FBGに局所的な歪みを生じることを特徴とする請求項9に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月4日に出願された米国仮特許出願第62号/775,123号の利益を主張するものであり、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、分布センサとして延長された長さの光ファイバの使用に関し、より詳細には、スモールスケール(サブミリメートル)の変形および加えられた力の光周波数領域リフレクトメトリ(OFDR)測定を行うための内接格子を有するオフセットコア光ファイバの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、通信信号経路としての使用の他に、センシング用途にも使用され、環境条件の変化がファイバの特性を変化させて、伝搬する光信号が測定可能な変化を受け、次いで特定の環境変化(例えば、温度、歪み、加えられた力、変形等の変化)に相関される。有利には、延長された長さの光ファイバを分布センサとして使用して、その全長に沿って1つまたは複数の選択された測定値を検出することができ、その全長は数十キロメートルに及ぶことがある。
【0004】
このような光ファイバセンサに沿って離散的または連続的なブラッググレーティングが内接するとセンサの性能を大幅に向上させることができ、ファイバに沿って測定された変化を得る方法および使用する方法を簡略化することができる。多くの分布ファイバセンサの用途には、建物や橋の全長などの構造的完全性を監視するために使用される長い光ファイバが含まれる。油井/ガス井のダウンホールセンシング、セキュリティ監視(環境中の不要なガスまたは液体の存在の検出を含む)は、他の有用な用途の例である。
【0005】
これらのほとんどの場合、ブラッググレーティングは、ファイバの中心軸に沿って配置されたコア領域内に内接する。他のファイバ構成では、オフセットコア、またはオフセットコアのセット(マルチコアオフセットファイバとも呼ばれる)を利用して、ファイバに沿った様々な点における曲がりを検出し、測定する。したがって、オフセットコアを含むように形成されたファイバセンサは、ファイバに沿って生成された軸外歪(曲がり方向に応じて正または負である)を測定することができる。したがって、中心軸からオフセットされた導光コアを有するファイバを使用して、オフセットコア内のブラッググレーティング波長のシフトにおける局所的な歪み測定を行うことによって、ファイバに沿った曲がりおよび変形(すなわちツイスト)を検出することができる。
【0006】
さらに、中心軸の周りに対称的に配置されたこのようなコアのトリプレット(triplet)(すなわち、マルチコアオフセットファイバ)を使用して、対象となる物体にかかる曲率および変形に関する完全な三次元情報を得ることができる。
【0007】
これまでの研究では、センチメートルからメートルの長さの範囲で曲げおよび他の変形を調べてきたが、利用可能なセンサファイバは、変形または加えられた力におけるサブミリメートルの変化を認識し、測定する能力を欠いている。
【発明の概要】
【0008】
従来技術に残る要求は本発明によって対処され、この発明は分布センサとして延長された長さの光ファイバの使用に関し、より詳細には、スモールスケール(例えば、サブミリメートル)の変形および加えられた力の光周波数領域リフレクトメモリ(OFDR)測定を実行するための内接格子を有するオフセットコア光ファイバの使用に関する。
【0009】
1つまたは複数の例示的な実施形態では、変形センシング光ファイバは、センサファイバとして使用される光ファイバの中心軸の周りに螺旋状に配置されたオフセットコアを含む(時には「ツイスト」構成とも呼ばれる)。「可変レーザ光源(TLS)」を含むOFDRを空間フーリエアナライザと組み合わせて使用し、光ファイバの長さに沿った曲がりと変位とに関する情報を得る。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、複数のオフセットコアを利用することができ、各コアは同じ螺旋周期を示すが、互いに間隔を置いている。例えば、3つのオフセットコアのセットは全てセンサファイバの中心から同じ半径方向変位に配置され、各コア間で均一に120°で空間的に離れており、したがって全方向におけるサブミリメートルの変形の測定が可能となる。さらに他の実施形態は、センサファイバの長さに沿った単一の方位角線に沿って配置された単一のオフセットコアを利用することができる(すなわち、センサファイバの中心軸の周りに螺旋状に形成されない)。このような実施形態は、オフセットコアが、加えられた力の平面に垂直な平面内に配置されない限り、使用されてもよい。螺旋状でない複数のオフセット光源を使用することもできる。
【0011】
センサファイバは、従来のガラス材料から形成されてもよいが、他の実施形態はより弾性の少ない材料から形成されたファイバセンサが利用され、より細かい測定分解能を可能にするより小さいヤング率を有する。
【0012】
実施形態は、変形測定を提供するためにセンサファイバと組み合わせて使用される、所定の表面トポロジー(すなわち、所定の変形パターン)を有する参照デバイスを利用することができる。
【0013】
本発明の例示的な実施形態は、変形センシング光ファイバおよび関連するOFDRシステムを備える分布力センシングシステムの形態である。変形センシング光ファイバは、少なくとも1つのオフセットコア領域を有するように形成され、少なくとも1つのオフセットコア領域に沿って内接する連続的なファイバブラッググレーティング(FBG)を含み、所定のブラッグ波長λBraggを示すように形成された連続的なファイバブラッググレーティングを含む。OFDRシステムは、所定のブラッグ波長λBraggを含む波長範囲を有する波長掃引光監視ビームを生成するための可変波長レーザ光源を含み、波長掃引光監視ビームの第1の部分は、変形センシング光ファイバの少なくとも1つのオフセットコア領域への入力として適用され、所定のブラッグ波長λBraggで反射光ビームを生成する。OFDRは、波長掃引光監視ビームの第2の残りの部分および変形センシング光ファイバからの反射ビームに応答して、両方の入力の合成の光出力信号を生成する光学検出器と、光学検出器に結合され、光学検出器の出力信号をフーリエ変換してローカルブラッグ波長の測定値を生成するために利用されるフーリエアナライザとを含み、所定のブラッグ波長とローカルブラッグ波長との間の波長の所定のシフトは、変形センシング光ファイバへの力の印加に対応する。
【0014】
本発明の他のさらなる実施形態および特徴は、以下の説明の過程で、添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0015】
図面を参照すると、いくつかの図において同様の参照番号が同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、螺旋配置のオフセットコアを有し、コアの長さに沿って内接する連続的なFBGを含む例示的なセンサファイバを示す。
図2図2は、図1に示されるようなファイバをOFDRシステムと組み合わせて使用して、センサファイバによって経験されるものとして変形および力のサブミリメートル分解能測定を提供する、本発明の分布変形システムの例示的実施形態を示す。
図3図3は、図2に示されるようなOFDRシステムからの出力のプロットであり、加えられた力が存在しない場合、出力は一定であり、力の印加は、出力におけるスパイク(spike)として示される。
図4図4は、本発明の代替実施形態を示しており、この場合、変形センシング光ファイバと組み合わせて参照「センシング」デバイスを使用している。
図5図5は、図4に示されるような例示的な参照センシングデバイスの断面図であり、参照デバイスを形成する一対のプレート間の変形センシング光ファイバの位置決めを示す。
図6図6は、図5と同じ断面図であり、ここでは、光ファイバをプレートの対向面に形成された波形に押し込むために、参照デバイスの上板に外力を加えることを示している。
図7図7は、参照デバイス上の外力の存在によって影響された場合の変形センシング光ファイバの結果として生じる成形を示す。
図8図8は、586μmの変形周期を有する波形を有する参照デバイスに配置された場合の、変形センシング光ファイバの長さに沿って測定されたローカルブラッグ波長のグラフである。
図9図9は、650μmの変形周期を有する波形を有する参照デバイスに配置された場合の変形センシング光ファイバの長さに沿って測定されたローカルブラッグ波長のグラフである。
図10図10は、図8および図9のセンシングデバイスに関連する空間周波数の関数としてフーリエスペクトルをプロットする。
図11図11は、図10のスペクトルの支配的なフーリエ振幅の振幅変化を、図8および図9のセンシングデバイスに加えられた力の変化の関数として示すグラフである。
図12図12は、本発明のセンサファイバの加えられた力とブラッグ波長におけるシフトとの関係を導出するのに役立つ単純な三点力図である。
図13図13は、変形周期にわずかな差しかない参照デバイスを利用する本発明の実施形態のフーリエスペクトルの差を示すプロットを含む。
図14図14は、いくつかの異なる波形周期の参照デバイスに関連するプロットのセットを含み、これらは全て、外力の変化とブラッグ波長のシフトとの間の線形関係を示す。
図15図15は、センサファイバの代替構成を示し、この場合、ファイバの中心軸に平行に配置された単一のオフセットコアを含む。
図16図16は、センサファイバのさらに別の構成を示し、この場合、複数のオフセットコアを含み、各オフセットコアは、ファイバの中心軸に平行に配置され、ファイバの中心軸から離れて配置される。
図17図17は、中心軸の周りに120°離れて配置され、螺旋配置で構成され、各オフセットコアが同一の螺旋周期を示す、3つのオフセットコアのセットを含むように形成された特定のセンサファイバを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
表面上に分布され、または任意の三次元経路に沿って屈曲しているように見えるミクロンスケールの変形(以下「変形」という)を高分解能で正確に検出する能力は、様々な用途において有用である。例示的な変形センシングデバイスは、空間分解能、感度、および正確性の点で例示的な特性を示す一方で、拡張された距離にわたって分布された変形測定を提供することも可能である。以下に詳細に説明するように、本発明は、オフセットコア光ファイバを、光周波数領域リフレクトメモリシステムおよび関連するフーリエ解析と組み合わせて使用して、サブミリメートルスケールの微小変形の分布および対象に加えられた力の測定を実行する光ファイバベース分布変形センサに関する。
【0018】
オフセットコア光ファイバは、コア(ファイバは、以下に説明するように、複数のオフセットコアを含むことができ、感知された変形の空間分解能を改善する)に沿って内接する連続的なファイバブラッググレーティングを含むように形成される。空間フーリエ解析を伴う光周波数領域リフレクトメモリ(OFDR)を、ファイバに沿って伝搬(および反射)する波長掃引光ビームに適用すると、ファイバによって経験されるあらゆる変形(少なくともサブミリメートルの分解能、好ましくはサブミクロンの分解能を有する)の存在に関する情報が明らかになる。サブミクロンレベルを達成する能力には、基準面を変形センシング光ファイバと組み合わせて使用すること、ファイバの材料システムを修正すること、ファイバに形成されるオフセットコアの数を増加させることなどの要因が含まれ得る。以下、本発明の要旨を理解した上で、詳細を説明する。
【0019】
図1は、本発明の原理に従って形成された分布変形センシングシステムで使用するための例示的な変形センシング光ファイバ10を示す。図1に示す特定の実施形態では、変形センシング光ファイバ10は、ファイバ10の中心縦軸14に沿って螺旋構成に配置された単一のオフセットコア12を含む。オフセットコア12は、中心軸14から半径Rだけ変位しているように示されており、ここで、Rの値は、コア12自体が縦軸14に沿って螺旋状になるとき一定のままである。変位半径Rは、コアに沿って形成される格子構造のブラッグ波長における測定可能なシフトを生じさせるために、変形センシング光ファイバ10に加えられる力の空間的変化を許容するのに十分な任意の値であり得ることを理解されたい。Rの許容範囲は、ファイバの実際の半径の10~90%以内であることが分かっている。例えば、被覆されたシリカベース光ファイバの外径が約200μmのオーダーである例示的な一実施形態では、コア12は、R=35μmの量だけ中心軸14からオフセットされてもよい。
【0020】
オフセットコア12は、この特定の実施形態では、ファイバ10の長さに沿って周期的な形で螺旋状になっているように示されており、本明細書で示されている螺旋は、固定の周期Λspiralを有するように示されている。説明の目的のために、Λspiralは、数センチメートルのオーダーであってもよく、ある例示的な値として2cmである。ファイバ10のセンシング機能性に従って、オフセットコア12は、弱い、準連続的なブラッググレーティング16(以下、ファイバブラッググレーティング16または単にFBG16と称する)で内接され、内接格子の周期ΛBraggは、ファイバ10によって反射される波長(λBragg)を規定するように選択され、λBraggにおける反射ビームは、光ビームが導入されたのと同じ端面(例えば端面11)でオフセットコア12を出る。
【0021】
ファイバ10への外力の印加/変形が、オフセットコア12(FBG16を含む)の屈折率の応力変化を与えるので、関連するブラッグ波長は、加えられた力の大きさの関数としてシフトする。ファイバ10と組み合わせてOFDRシステムを利用することにより、本発明のセンサは、反射ビームと参照ビームとの間のスペクトルのうなり(干渉)の変化を認識し、このスペクトルのうなりの変化をファイバ10への力の印加と関連付けることができる。
【0022】
図2は、これらの概念を示しており、微小変形/ファイバ10に加えられた力のサブミリメートルスケールの測定を提供するために、光周波数領域リフレクトメモリ(OFDR)システム20と組み合わせて上述したような変形センシング光ファイバ10を示している。OFDRの原理に従って、波長掃引入力ビームは、変形センシング光ファイバ10に導かれ、その後、反射ビームは、参照信号(本明細書では、波長掃引入力ビームのコピー)を用いて干渉ビーム出力を生成し、この干渉ビーム出力はその後、組み合わされたビームの周波数領域解析を実行することによってファイバ10のブラッグ波長の変化を認識するために使用される。従って、ブラッグ波長のいかなる変化(ファイバ10に加えられる力に起因する)も、反射ビームと参照ビームとの間の干渉におけるうなり周波数パターンの変化を引き起こす。次に、うなり周波数パターンの変化の周波数領域解析を使用して、この望ましくない外力の存在とその大きさを認識する(感知する)。次に、OFDRシステム20の個々の構成要素の詳細と、この周波数領域解析を実行するための機能について説明する。
【0023】
引き続き図2を参照すると、OFDRシステム20は、可変レーザ光源22を備え、このレーザ光源は、変形センシング光ファイバ10のブラッグ波長(λBragg)を中心とする掃引波長(周波数)光源として構成される。例示的な一実施形態では、可変レーザ光源22は、λBraggのプラスマイナス10nmの波長範囲を掃引される出力を提供するように構成されてもよい。例えば、λBragg=1541nmであるならば、可変レーザ光源は、1531nmから1551nmの波長範囲にわたって走査される出力ビームを提供するように構成されてもよい。
【0024】
その後、可変レーザ光源22からの出力ビームは、OFDR20の第1のビームスプリッタ24を通過し、ビームの大部分(「メジャービーム」と呼ばれることもある)を第1の信号経路26に沿って誘導し、最終的には、変形センシング光ファイバ10に入る。第1のビームスプリッタ24からの残りの出力ビーム(「マイナービーム」または「参照ビーム」と呼ばれることもある)は、信号経路28に沿ってOFDRシステム20の光学検出器30に向けられる。ビームの「大部分」に従って、50%を超える任意の割合が十分であることが意図される。しかしながら、本発明の好ましい実施形態は、特に分布変形センシングが光ファイバの比較的長いスパンに沿って行われる場合、出力信号のより大きな割合(例えば、約60%よりも大きい、好ましくは80~95%)を利用する。
【0025】
信号経路26に沿って伝搬するメジャービームは、最終的にセンサファイバ10のオフセットコア12に結合される(この結合は、メジャービームが以下に説明するビームスプリッタを通過した後に起こる)。上述のように、変形センシング光ファイバ10のオフセットコア12に沿ったFBG16の存在は、ブラッグ波長λBraggにおいて反射するように機能し、他の波長で伝搬する任意の光が妨害されずに通過し続けることを可能にする。従って、可変レーザ光源22からの波長掃引されたビームがブラッグ波長値に達すると、ビームはコア12に沿って反射されて戻り、端面11で出射する。可変レーザ光源22からの出力は、周期的にブラッグ波長を囲む波長範囲に沿って連続的にスキャンするように構成されているため、反射ビームも、スキャンサイクル中のブラッグ波長の各出現においてピークを有する形で周期的である。
【0026】
図2に示されるように、反射ビームは、OFDR20の第2のビームスプリッタ32に導かれ、このビームスプリッタは、反射ビームを信号経路34に沿ってビーム合成装置36に導くように構成される。反射ビームは、ビーム合成装置36内の第1のビームスプリッタ24から出力された参照(「マイナー」)ビームと結合され、その後、2つのビームの合成(すなわち、結果として生じる2つのビームの干渉)が検出器30への入力として加えられる。
【0027】
光周波数領域リフレクトメモリの動作原理によれば、可変レーザ光源22によって利用される波長掃引は周期的な形態であるので、周期的な参照ビームは、既知の方式で反射ビーム(周期的でもある)と干渉する。外力が変形センシングファイバ10に加えられない限り、λBraggは変化しないままであり、反射ビーム(以下、
【数1】
として表すこともある)も周期的であり、スキャン中にλBraggの各インスタンスで発生する反射パワーのピークを有する「ノイズフロア」値を有する。
【0028】
参照ビーム(以下、
【数2】
として表すこともある)は、可変レーザ光源22からの出力と同じ掃引波長、周期的形態を示す。したがって、
【数3】

【数4】
との合成は、一定のうなり周波数パターン出力として光学検出器30によって記録される。その後、光学検出器30からの出力が入力としてフーリエアナライザ38に印加され、周波数領域解析を行い、この周波数領域測定値を、変形センシングファイバ10に沿った長さの関数としての位相および振幅の空間領域測定値に変換する。この特定の場合では、光学検出器30からの出力の周波数成分に変化がないので、フーリエアナライザ38は、「乱されていない」変形センシングファイバ10を示す一定の線形出力信号を提供する。フーリエアナライザ38からの出力は、OFDRシステム20からの出力センシング信号とみなされる。
【0029】
図3は、ファイバ10の長さに沿ったOFDR由来の空間的に分解されたローカルブラッグ波長の形態で、フーリエアナライザ38からの例示的な出力を示す。ファイバ10が乱されていない限り、FBG16のブラッグ波長は変化せず、OFDRシステム20からの出力センシング信号は一定値である。図3のプロットにおいて、初期ブラッグ波長は、1541nmのλBraggでの一定の応答によって示される。加えて、図3に示されるようなプロットは、変形センシング光ファイバ10からの「ベースライン」応答として考えることができ(すなわち、加えられる力が存在しない)、「変形センシング」プロセスの以下の説明において有用である。
【0030】
すなわち、変形センシング光ファイバ10に加えられる外力の存在下において、力に近接するファイバ部分は、屈折率の応力変化を示す(ここで、屈折率の変化の大きさは、加えられる力の大きさの関数であることが知られている。)。したがって、変形センシング光ファイバ10のこの局所領域におけるFBG16の部分は、そのブラッグ波長において応力変化を受ける。したがって、反射信号のブラッグ波長におけるこの変化は、反射ビームと参照ビームとの合成(うなり周波数応答)に乱れを導入する。図3を参照すると、外力を加えた結果は、空間領域測定において局所的なスパイクを生成するように示されている。
【0031】
数学的には、オフセットコア12における局所変形εとその結果生じるローカルブラッグ波長シフトΔλBraggは、以下のように関連している。
【数5】
ここでηは、光ファイバの歪みに対する光応答に結び付く(従来のシリカファイバの場合、ηは0.78程度である)。したがって本発明の原理によれば、OFDRシステム20は、FBG16に含まれるブラッグ波長をシフトさせるので、変形センシングファイバ10に与えられる変形の高分解能(例えばサブミリメートル)測定を提供する。
【0032】
図4は、本発明の別の実施形態を示しており、この場合、既知の「テクスチャ付き」表面を有する参照デバイス40が、変形センシング光ファイバ10と組み合わせて使用される。図4の特定の配置では、ファイバ10は、参照デバイス40を通過するように示されている。一般に、参照デバイス40は、数学的形式(例えば、周期的または非周期的な波形)で定義することができる、テクスチャ付きの表面を含む任意のタイプのファイバ支持配置を備えることができる。単一の要素からなる参照デバイスを使用することができ、ファイバ10は、要素の非平坦な表面に沿って配置される。別の実施形態では、参照デバイスは、ファイバ10の反対側に配置された一対の要素を使用することができ、一方の要素は非平坦な表面を有し、他方の要素は実質的に平坦な表面を有する。図4に示される特定の構成では、参照デバイスは、一対の要素を含み、各要素はテクスチャ付き表面を有する。
【0033】
説明の目的のために、参照デバイス40は、一対の平行なプレート42および44を備え、プレート間にファイバ10が配置されているように示されている。図5は、参照デバイス40の切断側面図であり、ファイバ10が「荷重されていない」場合であり、プレート42および44との間隔を置いた関係に配置されている状態を示す。すなわち、ファイバ10は、参照デバイス40に外力が加えられていなくても、乱されていないままであり、平行なプレート42および44に形成された波形と関係をもたない。上述のように、外力が変形センシング光ファイバ10に加えられない限り、ファイバ10のオフセットコア12のFBG16のブラッグ波長は一定のままである。したがって、この場合、OFDRシステム20からの(すなわちフーリエアナライザ38からの)出力は、図3に示したものと同じになる。
【0034】
図6は、図5に示されるものと同じ構成要素の切断側面図であり、この場合、参照デバイス40のプレート42に外力が加えられ、ファイバ10がプレート間に「スクイーズされる(squeezed)」。参照デバイス40への外力の印加中にプレート42および44の間で成形されるような変形センシングファイバ10の描写は、図7に示される。
【0035】
図4図6に示されるように、プレート42および44は、それぞれの対向面43および45に、相互に正弦波状に変化する変形Cを含むように形成される。変形Cは、周期Λcontorで変化するものとして定義される。ファイバ10は、プレート42および44の対向面43および45の間に配置されるように示されており、ファイバ10の遠端13は、様々な力が参照デバイス40に加えられるときに自由に動く。参照デバイス40に外力Fを加えると、プレート42と44が一緒になり、図6および図7に示されるように、ファイバ10が押し込まれ変形Cとなる。特に、外力の印加は、ファイバ10を周期的に曲げて、一対の変形に追従させる。この周期的な屈曲の結果として、オフセットコア12のFBG16は、変形センシングファイバ10のブラッグ波長を周期的な形でシフトさせる局所的な歪みを受ける。したがって、局所的な歪みがこの単一の場所におけるFBG16のブラッグ波長のみを修正した図2の実施形態とは対照的に、印加された歪みの周期的な性質(ε(z)として示される)によって、FBG16のブラッグ波長の周期変化をもたらす。オフセットコア12が中心軸14の周りを螺旋状に回転する実施形態では、コア12のこの局所歪みε(z)は、cos(kspirz)cos(kcorz)として変化し、ここで、kspir=2π/Λspirであり、kcontor=2π/Λcontorである。この空間的に変化する局所的な屈曲は、対応する位置に依存するブラッグ波長シフトを生じ、次いで、検出器30で得られた干渉データから生じたスペクトルのうなりのフーリエ解析を行うことによって、加えられた力の特定の値に相関させることができる。グレーティング反射係数の位相成分φFBG(z)の空間導関数は、次の定義を使用して、局所的な(シフトされた)ブラッグ波長λBragg(z)に関連付けることができる。
【数6】
ここで、nは、導波モードのグループ係数とすることができる。
【0036】
図8図11に示すグラフは、ブラッグ波長のローカルシフトを利用して、変形センシング光ファイバに加えられたサブミリメートルの変形(本明細書では、ミクロンスケールの変形)を測定するという発明の概念の詳細を理解するために有用である。図8は、プレート42、44を有する参照デバイス40を使用する一実施形態に関連する位置依存性ブラッグ波長を示し、586μmの周期Λcontorを有する変形を含むように形成される。特に、測定は参照デバイス40の長さLに沿って実行され、図8において、光学検出器30によって記録されたスペクトルうなり/干渉として示されるプロットを作成し、長さLの関数としてΔλBraggを示す。図8のプロットAは、プレート42、44の「デフォルト」位置に関連しており、すなわち参照デバイス40に外力を加えられていない位置に関連する(すなわち図5に示される構成)。この場合、変形センシングファイバ10は、乱されていないままであり(すなわち、外力は存在しない)、プロットAのノイズ様のトレースは、ファイバ10のFBG16に関連する実際のブラッグ波長を表す。図8のプロットBは、2つのプレートがともにスクイーズされるように4.5kgの力(荷重)がプレート42に加えられるときに、光学検出器30によって記録される応答の差を示す。これが生じると、変形センシングファイバ10は、プレート42および44に形成された変形の周期に従うように変形を生じる。この変形の結果として、FBG16のローカルブラッグ波長は、変形周期Λcontorについての局所歪みε(z)のプロファイルに従う変調を受け、ここで、本例ではΛcontor=586μmである。
【0037】
図9は、同じ2つのプロットAおよびB(すなわち「印加力なし」と4.5kgの力で「スクイーズされた」もの)を示しており、この場合参照デバイスはΛcontor=650μmの周期をもつ変形を有する。ブラッグ波長のわずかに速い変調(図10のプロットBを図8のプロットBと比較したとき)は、ブラッグ波長の変調がプレート42、44に形成された周期的な歪みを追跡するという推定を確認する。
【0038】
図10は、図8および図9からのプロットB波形のフーリエ変換を示し、OFDR20のフーリエアナライザ38からの出力として提供される。上述のように、フーリエアナライザ38は、検出器30からの位置に依存する出力を周波数ベースの表現に変換し、図10は、両方の変形周期の周波数スペクトルを示す。特に、プロットIは、図8のプロットB(すなわち586μmのΛcontor)に関連し、プロットIIは、図9のプロットB(すなわち650μmのΛcontor)に関連する。両方の場合について、参照デバイス40のためのブラッグ波長は、kcontorプラスマイナスkspirに対応する2つの特定の周波数で変調されることが明確に示される。したがって、これら2つの周波数成分の平均は、変形のみの空間周期に対応し、螺旋構造の影響は互いに相殺し合う。プロットIの平均は、587μmの空間周期をもたらし、プロットIIの平均は、651μmの空間周期をもたらし、両方の値は、十分に許容可能な誤差範囲内である。実際の値と計算値との間のわずかな差は、部分的には、グループ係数nに対する仮定値の誤差に起因する可能性がある。
【0039】
図11は、プレート42に加えられる力が変化するとき(すなわち加えられる荷重が変化するとき)の両者の変形周期についての測定値のセットを含む。特定のデータ点は、図10を参照して上述したように、2つの支配的なフーリエ成分の平均値を表す。図11を参照すると、印加荷重を1kg~4.5kgの範囲で変化させたことを示している。各曲線の勾配はほぼ線形であり、最大荷重量でも減少しない。この結果は、荷重を加えている間、加えられた荷重(少なくとも4.5kgの値まで)が意図しない周波数の発生に寄与しないという推定を確認するものである。さらに、傾きはより長い周期の変形(ここでは650μm対586μm)の場合に大きく、これはより長い周期の変形の場合には、変形センシングファイバ10がより容易に変形されるという仮定に従う。
【0040】
したがって、図10および図11のレビューから、本発明の原理によれば、参照デバイス40が経験するブラッグシフトは、変形センシング光ファイバ10が経験する変形だけでなく、ファイバにこれらの変形を与える力の大きさにも関連することは明らかである。加えられた力とブラッグ波長の変化との間の関係を決定する際には、図12に示すように、単純な三点ビーム曲げモデルで解析を開始することができる。たわみδは次のように定義される。
【数7】
ここで、Fは加えられた力(図12に示されるように)、Lはファイバの長さ、Eはファイバを形成する材料のヤング率、Iは断面の慣性モーメントで、次のように定義される。
【数8】
fiberはファイバの半径である。この単純なモデルを、コアが中心軸からオフセットされた螺旋形状に配置される例示的な実施形態に拡張する場合、スケーリングは同じであるが、必要な力は係数1/ηだけ大きいと仮定される。変形されたファイバ10(例えば図6に示されるようにプレート42と44との間で力が加えられたとき)のオフセットコア12内の変形されたFBG16によって生成される反射信号の振幅の変化は、周期的に間隔を置いて配置された点での力Fから以下を通って発生する。
【数9】
ここでΛcor=Lである。
【0041】
この理解で、点における力Fは、以下のようにブラッグ波長シフトに関連することができる。
【数10】
点における力Fは、センシングデバイスにおける周期の総数Nsdおよびセンシングデバイスの長さLsdを用いて全体の力Ftotalに置き換えてもよく、ここでFtotal=Nsdrであり、Lsd=NsdrΛcorである。これらの値に代えて、全体の力とブラッグ波長シフトとの間の関係を以下のように表すことができる。
【数11】
したがって、ブラッグ波長のシフトは、単位面積当たりの力に関しては線形であり、センシングデバイスの変形周期に関しては二次であり、ファイバ半径の三乗に反比例することを示される。例えば、変形センシング光ファイバ10が35μmだけオフセットされたコア12を有し、FBG16が1541nmのブラッグ波長を有するように形成され、参照デバイス40が700μmのΛcontorを有する変形を有するように構成されると仮定すると、約1nmの記録されたブラッグ波長シフトは、約0.3μmの物理変位yと等しくすることができる。
【0042】
本発明のファイバベースの変形センサの結果としての感度を、ミクロンスケールの差のみを有する参照デバイスに関連する測定値を比較することによって分析した。特に、第1の周期Λが500μmである変形を有するプレート42、44を用いた第1の構成が研究され、参照デバイス40の「荷重されていない」および5kgの荷重の両方に対するフーリエ応答が提供された。第2の構成は、508μmの変形周期Λを有するプレートから形成され、同じ対の「荷重されていない」および5kgの荷重条件を受けた。両方の構成に対するアナライザ38から出力されたフーリエスペクトルを図13に示す。本発明のセンサは、サブミリメートルであり、2%未満の差がある空間周波数の加えられた変形を区別することができることは明らかである。
【0043】
参照デバイス40に加えられる外力の非常にわずかな変化を測定する能力も同様に研究されている。図14は、参照デバイス40の様々な構成に対して加えられた力の関数としてブラッグ波長のシフトの変化を示すプロットのセットを含む(「様々な構成」とは、プレート42、44に形成された変形に対する異なる周期のセットを意味する)。フーリエ振幅は、ほとんどの力について、加えられた力および変形周期に対して線形依存性を示す。
【0044】
ここまでの議論では、単一のオフセットコア(螺旋状に配置される)を有する変形センシングファイバの使用を前提としている一方、本発明の他の実施形態は1つまたは複数のオフセットコアの他の構成を利用する。例えば、中心軸14に平行に配置されたオフセットコア12Aを利用することが可能である。図15は、単一の「リニア」オフセットコア12Aを示す例示的なセンサファイバ10Aの等角図である。オフセットコア12Aが、加えられた力の平面に垂直な平面に沿って配置されない限り、オフセットコア12AのFBG16からの反射によって生成される測定値は、正確な結果を提供する。別の実施形態では、センサファイバは、マルチコア構成を含むことができる。ある場合には、図16に示されるように、複数のコア12Bは、互いに(およびセンサファイバ10Bの中心軸14から)等距離に配置された「リニア」コアのセットを含むことができる。本実施形態の別の構成は、図17に示されるように、すべてのオフセットコアが中心軸14の周りを螺旋状に配置されたオフセットコア12Cのセットを利用することができる。3つのオフセットコアのセットを利用するこの特定の構成では、任意の局所的な変形(または加えられた力)は、オフセットコアの間の方位角θ=120°で、オフセットコアに等しい量の歪み(しかし符号が逆)をもたらす。全てが同一の螺旋周期、Λspirを示すように配置され、全てが同一の格子構造を示すように形成される。
【0045】
光ファイバ自体は、従来のガラスベースのファイバであってもよく、ポリマーまたは他の弾性材料(または材料の組み合わせ)から形成されてもよく、非ガラスベースのファイバの使用は、加えられた力の変化に対してより大きな感度を示すことが見出されている。例えば、選択されたポリマー材料は、ガラスの50倍以上小さいヤング率を示すことができる。その結果、ポリマーファイバの使用に基づく力センサは、感度および分解能を同程度に高めることができる(すなわち、標準的なガラスファイバセンサの50倍の感度と分解能)。
【0046】
上述のように、本発明のセンサは、1mm未満の空間分解能を提供し、中立軸(すなわち、上述の「中心軸」)からサブミクロンのファイバ変位を検出することができる。25gm以下の力感度と5gm以下の力分解能を達成した。さらに、ファイバの全直径を10倍減少させることによって、検出分解能を少なくとも二桁改善することが可能であると考えられる。
【0047】
加えて、上述の実施形態は、変形を測定するためにFBGを使用することを対象としているが、他のタイプの後方散乱(例えばレイリー散乱)も、同様にOFDR構成で使用することができる。レイリー散乱の場合、FBGベースファイバである格子Iの存在によって生成される弾性散乱の代わりに、固有弾性後方散乱を使用することができる。
【0048】
当業者には明らかなように、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく、種々の修正および変形を本発明に対して行うことができる。したがって、本発明は、上述した実施形態の修正および変形をカバーすることを意図しており、それらのすべては、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の主旨および範囲内にあると考えられる
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図16
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【国際調査報告】