(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(54)【発明の名称】少なくとも2本の吸引ラインを備えた、最小限の侵襲的治療のための医療器具
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61M1/00 150
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532833
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 DE2019000336
(87)【国際公開番号】W WO2020135900
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】102018010008.2
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シュニュートゲン,スタン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD03
4C077DD07
4C077DD10
4C077DD12
4C077DD15
4C077EE02
4C077EE04
(57)【要約】
本発明の主題は、少なくとも2つの独立したデバイスによって、最小限の侵襲的手術に使用するための、吸引を生成する医療器具であり、それは調整された流量によって、膨張の安定及び観察条件の安定を有利に生じさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小限の侵襲的手術において空洞を洗浄するための医療器具であって、
(i)洗浄液のための貯蔵容器(1)と、
(ii)洗浄液を体腔(11)の中に供給するための供給ライン(2)と、
(iii)液体供給のための制御されたポンプ(3)と、
(iv)制御された第1の負圧ポンプ(4)と、
(v)制御された第2の負圧ポンプ(5)と、
(vi)第1の吸引ライン(7)を伴う第1の医療器具(6)と、
(vii)第2の吸引ライン(9)を伴う第2の医療器具(8)と、
(viii)前記第1の吸引ライン(7)及び前記第2の吸引ライン(9)に接続された、廃棄容器(10)と
を含む、医療器具。
【請求項2】
前記廃棄容器(10)は、ライン(12)によって、前記第1の吸引ライン(7)、前記第2の吸引ライン(9)、及び前記制御された第2の負圧ポンプ(5)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
液体供給のための前記制御されたポンプ(3)は、ローラホイールポンプであることを特徴とする、請求項1または2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記制御された第1の負圧ポンプ(4)及び/または前記制御された第2の負圧ポンプ(5)は、ローラホイールポンプであることを特徴とする、請求項1、2または3のうちいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項5】
前記制御された第1の負圧ポンプ(4)及び/または前記制御された第2の負圧ポンプ(5)は、異なることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
最小限の侵襲的手術に使用するための医療器具は、少なくとも2本の、別々で独立した制御可能な吸引ラインを備える。好ましくは、これらの吸引ラインは異なる吸引特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
最小限の侵襲的手術において、空洞(生来の、または人工的に準備された体腔)は、空洞を加圧して膨張を可能にする流体を導入することによって、膨張されることが多い。挿入された医療器具(以下を参照)によって、例えば軟骨の平滑化などの治療処置が実施される。例として、このようなデバイスが、欧州特許出願公開第1382291号明細書に示される。本明細書では、意図された目的に従って、この流体は、それぞれの医療器具の機能を保証するため、または膨張された空洞に対する副作用を最小銀に抑えるために、それぞれの医療器具によって吸い出される。このような医療器具の例として、動翼を伴う器具が挙げられる。その吸引は、分離される組織を引き寄せ、組織の残部を空洞から除去して(シェーバ、モルセレータ)、それらを空洞から運び出す。このような医療器具の別の例は、高周波電流を伴う除去デバイス(RF器具)がある。ここで、水蒸気または排気ガスなどの適用によって発生した副産物は、吸い出される。加えて、発生した熱は、器具本体の流体吸引によって、空洞から排出することができる。圧力、及びそれによる空洞の膨張の維持を可能にするため、空洞への流体の供給は、調整された制御プロセスによって、すなわち少なくとも追加で吸い出された体積だけ、対応して増加される。吸い出された流体の、このフィードバックは困難である。なぜなら、医療器具を介して吸い出された、吸引量または吸引時間は、執刀医によって、ハンドピースのバルブを開けることで、または医療器具のバルブによる連結された方法で実現されるためであり、センサに基づいて、流体管理を可能にするための医療デバイスは、知られていない。通常、流体管理を可能にする医療デバイスは、流入側における圧力センサしか有さない。この圧力センサは、空洞で終端する供給ラインに沿った流体連通によって、空洞内の圧力を判断することができ、かつ圧力センサにおける制御プロセスに基づくことができる。
【0003】
間接的に連結された圧力センサのみに基づいて、医療器具の吸引によって膨張の減少をもたらす流体の再供給が実現され得ることは、さらなる不利点である。この課題を解決するために、先行技術において、吸引システムに接続された医療器具の作動を検出するための試み、及び対応する再供給または供給の増加を開始する試みが、確認できる。検出は、現在の必要条件(例えば欧州特許第2 165 720号明細書)を介して、医療器具を、流体管理を提供するための医療デバイスの供給ポートに直接的に接続することによって行なわれる。医療器具の動作を検出するための、別の可能性が知られている。この解決策の不利点は、動作条件を検出するために非常に複雑でありながら、漏洩量についての情報を得られないことである。したがって、(例えばシェーバを使用することによる)突然多くの排出が発生する場合に、空洞の崩壊を防止するための、吸引プロセスの制御は、この補填のために、やはり別のセンサまたはデバイスを利用する必要がある。なぜなら、流出時間が判っていても、漏洩量は、使用される医療器具のフロー抵抗に依拠するためである。これら医療器具は、通常は取り換えられ、医療器具の制御ユニットに堅固に接続されない。
【0004】
別の困難は、可能な限り安定した圧力で、同時に空洞を流れ抜ける流体の量を保証することである。流量は、除去した組織を取り除く必要、及び空洞内の観察条件を保証する必要がある。
【0005】
流量は一定に保持することができ、執刀医によって予め選択されるか、または執刀医の要求によって、個々にまたは追加で一次的もしくは恒久的な増加量(洗浄/清掃)で提供される。膨張した空洞の開口部を介した漏洩が存在する場合、流体は漏れ出て圧力は低下する。そのため、導入される流体の量によってフローは安定するが、いくつかの状況において、多すぎる流出量のために圧力を維持することができない。
【0006】
別の取り組みは、圧力を一定に保持することである。したがって、漏洩の場合に流量は非常に大きい。なぜなら、いくつかの状況において、追加の切断及び器具の取り外しなど、一旦状態が変化すると、流出抵抗が非常に低いか、または流出の断面積が非常に大きくなるからである。
【0007】
このような吸引システムが使用される別の状態は、流体の導入量と吸い出し量とのバランスを必要とする。これは、受け入れる流体によって空洞が膨張される患者に対する、負荷を評価するために役立つ。この目的のため、患者から流出する部分は、真空容器の底部吸引機による治療部位下の底部からの流体部分と同様に、真空容器及び漏斗への管接続が設けられた底層に集積される。この真空容器は、吸引システムに接続され、真空容器に搬送するために必要な負圧を生成する。供給の1つが流体(この場合流体は液体)で満たされず、しかし雰囲気に開かれている場合、負圧は非常に急激に損なわれ、やはりこの負圧源に接続された他の容器が適用可能な場合、流体を搬送することはできない。なぜなら、好ましくは最低抵抗(ここでは空気の搬送を通した真空容器と雰囲気との間)の部分を超え、負圧が補填されるためである。したがって、負圧ブランチで補填された負圧の状態において、接続された医療器具は、真空容器への吸引ラインを介して制御されず、かつ必要な範囲に進められないが、膨張の圧力によって押しやられる流体を介してのみ制御される。医療器具が、動翼を伴って動作する器具であり、その吸引システムが分離される組織を引き付ける場合(シェーバ、モルセレータ)、その機能は阻害される。そのとき解決策は、雰囲気に接続された吸引ラインを押し込むか、設けられたバルブを閉じて、負圧の補填を防止する。しかしそれによって、吸い出されない流体の量の中間集積によるバランスは、少なくとも接続が再確立されるまで崩される。結局、これは執刀医の大きい労力を必要とする。
【0008】
さらに、吸引に使用する流体ポンプには、技術的設計による特定の特徴が提供される。蠕動ポンプが使用されるとき、フローの特徴(圧力及びフロー)は、より容易に制御可能であり、組織の残りによる吸引ラインの目詰まりを、より容易かつ迅速に検出することができる。ポンプデバイス自体は、より小さく、ベンチュリポンプまたは隔膜ポンプよりもノイズが小さい。蠕動ポンプは、フローシンクと見做すことができ、正確で非常に明確なフローが必要とされる場合に有利である。
【0009】
ベンチュリポンプまたは隔壁ポンプの利点は、圧力パルスのない均一なフロー、及び非常に速い上昇時間である。ベンチュリポンプまたは隔壁ポンプは、本発明に関連して、通常はガス状流体の移動によって負圧を生成するために、最小限の侵襲的手術に使用され、吸引のために、吸い出された流体が集積される堅固な負圧容器を必要とする。他の適用が考えられるが、そのときこのポンプは、吸い出された流体に接触することになり、使い捨て製品として設計する必要があるか、または洗浄する必要がある。ベンチュリポンプまたは隔壁ポンプは、圧力シンクと見做すことができ、高いフロー抵抗を伴い有利である。これらの種類のポンプは、負圧生成ポンプデバイスと呼ばれる。
【0010】
蠕動ポンプは、開いた容器の中に挿入された管を介して、吸い出された流体に直接ポンプを使うことができるが、ローラで管部分を押し込む動作原理によって、加えられた負圧に対する遮断機構としても作用することになる。したがって、蠕動ポンプは、その移動側を用いて別のポンプの吸引側(例えば負圧容器)に接続させることができる。
【0011】
2つの異なるポンプデバイスを用いるコンセプトは、国際公開第93/17729号で知られている。国際公開第93/17729号は、連結された大小の負荷容器の解決策を開示しており、それぞれの容器は、眼内治療において吸引洗浄器具として使用するための、他の接続されたポンプを伴う。これらのポンプデバイスは、代替として使用され、負圧容器を介して、1本のみの吸引ラインを伴う吸引洗浄器具に接続される。本発明が基づく状態に対する主な違いは、国際公開第93/17729号に記載されたように、1つのみの器具が使用され、異なる吸引ポンプの特徴を伴うことである。本発明が基づく状態は、吸引ラインに異なる必要条件を課することであり、そのためそれらの吸引ラインは、異なる医療器具に接続される。国際公開第93/17729号は吸引洗浄器具を記載しており、その特性は公知であり、管用カセットにしっかりと接続される。本発明が基づく状態は、本発明による、個々の吸引ラインを使用する複数構成が有利であり、本発明による、流体管理を提供するための医療デバイスに接続された医療器具の特性は、当技術分野では知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1382291号明細書
【特許文献2】欧州特許第2 165 720号明細書
【特許文献3】国際公開第93/17729号
【発明の概要】
【0013】
空洞を洗浄するための流体管理を提供する医療デバイスの、本発明による解決策は、液体供給のための少なくとも1つのポンプデバイスを伴うデバイスと、互いに別々に制御可能な2つの吸い出しデバイスと、から成る。
【0014】
したがって、本発明は、最小限の侵襲的手術において、空洞を洗浄するための医療デバイスに関し、
(i)洗浄液のための貯蔵容器(1)と、
(ii)洗浄液を体腔(11)の中に供給するための供給ライン(2)と、
(iii)液体供給のための制御されたポンプ(3)と、
(iv)制御された第1の負圧ポンプ(4)と、
(v)制御された第2の負圧ポンプ(5)と、
(vi)第1の吸引ライン(7)を伴う第1の医療器具(6)と、
(vii)第2の吸引ライン(9)を伴う第2の医療器具(8)と、
(viii)第1の吸引ライン(7)及び第2の吸引ライン(9)に接続された、廃棄容器(10)と
を含む。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、廃棄容器(10)は、ライン(12)によって、第1の吸引ライン(7)、第2の吸引ライン(9)、及び制御された第2の負圧ポンプ(5)に接続される。
【0016】
本発明の別の実施形態を、以下で説明する。
【0017】
液体供給のための好ましいポンプデバイスは、先行技術で説明したような非常に多くの種類の、ローラホイールポンプを含む。本発明によるデバイスとして、2.5L/分の流体フローを移動させることができ、かつ300mmHgの圧力を作り出すことができるポンプが使用される。代替として、液体供給の目的のため、同じ流体フロー及び圧力を作り出すことができるなら、隔壁ポンプまたはインペラポンプなど、別の容量型ポンプを使用することができる。
【0018】
吸引デバイスとして、ローラホイールポンプ、ベンチュリポンプ、または隔壁ポンプを使用することができ、さらに全ての種類の往復圧縮器、スクリュー圧縮器、及び本発明によるターボ圧縮機を使用することができる。
・ローラホイールポンプは、先行技術に関連して既に上記で説明した。
・隔壁ポンプにおいて、隔壁の分離は、周期的にチャンバのサイズを増減させるために、機械的に動かされる。チャンバの入口及び出口に配設された2つのバルブは、流体フローが一定方向のみに生じ得るように準備する。本発明の目的のために、隔壁はブラシレスDC電気モータによって駆動される。
・ベンチュリポンプ(ジェットポンプとも呼ばれる)において、駆動ジェットはポンプ作用を生成するために使用される。駆動ジェットは、液体(好ましくは水)またはガス(例えば空気または窒素)から成り得る。本発明の目的のために、駆動ジェットとして空気を使うことが好ましい。
【0019】
いずれの場合も、吸引デバイスに使用されるポンプは、450mmHgの負圧、及び1.5L/分の液体フローを生成することができる。ローラホイールポンプ及び隔壁ポンプは、非常に精確に制御可能であるという利点を有する。対照的に、ベンチュリポンプは精確性に劣る。制御性の改善は、バルブ制御によって実現することができる。
【0020】
本発明によるデバイスは、2つのローラホイールポンプまたは2つのベンチュリポンプなど、吸引のための、2つの同一のポンプを含み得る。好ましくは、本発明によるデバイスは、例えばローラホイールポンプ及びベンチュリポンプ、またはローラホイールポンプ及び隔壁ポンプ、またはベンチュリポンプ及び隔壁ポンプなど、吸引のために2つの異なるポンプを含む。
【0021】
特に好ましくは、本発明によるデバイスは、吸引のために、ローラホイールポンプ及びベンチュリポンプ、またはローラホイールポンプ及び隔壁ポンプを含む。
【0022】
本発明の特別の実施形態は、蠕動ポンプとして、管を押し込む少なくとも2つのローラホイールと、ベンチュリポンプまたは隔壁ポンプとして、負圧を生成するための少なくとも1つのポンプデバイスと、を含む。ローラホイール(流入)は、膨張させる空洞を流体にさらすために使用される。流入ローラホイールには、回転速度のためのセンサが設けられる。圧力センサは、隔壁または類似の解決策を介して、管のセットに連結される。圧力センサは、間接的に空洞圧を検出する。回転は、間接的に移動量を検出する。第2のローラホイール(流出)も、回転速度のセンサを備えてよく、少なくとも1本の管を用いて流体を空洞から吸い出すために使用される。
【0023】
ベンチュリポンプまたは隔壁ポンプとして、負圧を生成するためのポンプデバイスは、負圧容器を介して管から流体を吸い出すために使用される。これは、流出ローラホイールによって、吸引と同時、または独立して行なわれ得る。
【0024】
本発明によるデバイスを使用することによって、最も簡単な事例では、洗浄プロセスのための流体フロー(流量)の一定の要求は、吸引ラインを介して実現することができる。追加の洗浄のための流体フローのさらなる要求は、少なくとも1本の別の吸引ラインを介して実現できる。この目的のため、最も簡単な事例では、バルブは必要とされない。なぜなら、蠕動ポンプは封止されて、何も吸い出されないので、負圧を生成するポンプデバイスを減らすことができる。純粋な二重ローラポンプに対する利点は、高いフロー抵抗による吸引のための高い与圧を容易に生成すること、及び移動速度が制御不能に変化する高速の事例における、ローラホイールでの滑りを防止することからもたらされる。高速は、吸引のために高い与圧の生成する必要があるときに必要である。この場合、与圧とは、負圧ポンプを用いて吸引によって実現される、ポンプデバイスにおける負圧を意味する。関節腔と負圧容器との間の圧力差によって、使用される器具のフロー抵抗に依拠したフローをもたらす。
【0025】
空洞内における安定した圧力での、フローの基本的機能は、負圧ポンプを介した吸引と流入ローラホイールとの組み合わせによる実施形態において実現することができる。本明細書において、制御プロセスのための入力として、空洞における所与の圧力は、先行技術のように制御される。制御のための入力として、センサは、空洞と流体接触した隔壁によって、流体圧を検出する。このセンサは、流入ローラホイールの後ろで流体経路に位置付けられる。一定のフローは、この流入ローラホイールを、生成された負圧によって排出される体積と連結させることによって生成される。流入及び流出が同一である場合、安定した空洞圧を伴うフローが実現される。執刀医によるより多いフローの要求など、別の動きが起こるとき、追加の吸引ラインが開けられる。したがって、例えば流出ローラホイールを使用して、別の吸引ラインにおいて対応する(追加の)負圧を生成することができる。この別の吸引ラインは、負荷容器にも接続される。流出ローラホイールによって生成された負荷は、流入ローラホイールによって、例えば流出ローラホイールの回転速度によって流入ローラホイールの回転速度を増加させることで、直接的に補填される。より良好な方法で移動された体積フローに近似する、他の解決策も考えられる。時間単位当たりの移動された体積(体積流量率)は、管径及び管壁の厚さ、ならびに使用する材料によって変化する場合がある。流出ローラホイールの作動に対応した、流入側の直接的な体積増加によって、空洞からのより多い流体の除去による圧力破壊は、効果的に防止される。
【0026】
個々に制御可能な蠕動ポンプなどの、少なくとも2本の吸引ラインを伴うか、または別々に制御可能な隔壁ポンプもしくはベンチュリポンプ、もしくは他の組み合わせの少なくとも2本の吸引ラインを伴う別の実施形態も、本発明の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の侵襲的治療のための医療器具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を、以下の実施例を参照して、より詳細に説明する。これら実施例によるいかなる限定も意図されない。当業者は、本明細書に基づいて、必要な発明性なしで、本発明の実施形態をさらに発展させることができる。
【0029】
ポンプデバイス及び空洞の、考えられる構成は、流入ポンプが供給ラインを介して、空洞を観察するための内視鏡に接続されるもの、及び流出ローラホイールが負圧側で、RF器具、ならびにピンチデバイスまたは個々の管のためのバルブによって制御することができる、動翼を伴う医療器具(例えばシェーバ)に接続されるもの、であってよい。負圧を生成するポンプデバイスは、負圧容器を介して空洞に直接的に接続される(第3の吸引ライン。本セクションの最後を参照)。流出ローラホイールも、正圧側で、負圧容器に接続される。負圧容器は、集積容器として役立ち、典型的な手順の間に、取り換えまたは空にする必要はないように、対応して十分大きく設計することができる。ローラホイールにおける吸引ブランチは、負圧がローラホイールの動作条件によって影響を受けないように、動作中に閉じられて停止する。流出ローラホイールにおける2本の吸引ラインを、ピンチデバイスによって個々に塞ぐことができ、それによって以下の条件すなわち、
1-0(負圧ポンプオフ-流出ローラホイール停止)
0-1(負圧ポンプ閉鎖-流出ローラホイール稼働)
1-1ピンチデバイス及び条件ごとに(負圧ポンプオフ-流出ローラホイール稼働)
0-0(負圧ポンプ閉鎖-流出ローラホイール停止)
が、ローラホイールの停止を介して生成され得る。
【0030】
第3の吸引ラインの条件は、負圧ポンプの制御を介して制御することができる。
【0031】
流出ローラホイールと医療器具との間にピンチデバイスを配置すること、及びそのピンチデバイスを、執刀医が接近可能な引き外しデバイスを介して制御することは、有利である。この解決策は、デバイスが、ピンチデバイスの条件を検出するための流体管理を提供すること、ならびにそれを圧力及びフロー制御プロセスに含むことを可能にする。
【実施例1】
【0032】
上記で要約した実施形態において、医療器具(例えばシェーバまたはRF)を使用するとき、流入/流出管理を、医療器具の動作条件の検出に依拠することなく、実施することができる。流出ローラホイールポンプ、及び流体管理を提供するための設計コンセプトにおいて提供された、負圧を生成するためのポンプデバイスは、吸引ラインすなわちデバイスへの空洞の流体接続のための、それぞれ必要な負圧を別々に制御可能に提供することができる。両方のポンプデバイスは制御可能であり、例えば流出ローラホイールは、医療器具(例えばシェーバ/RF)のより高い吸引を受け入れ可能で、負圧を生成するポンプデバイスは連続的なフローを保証する。接続の変更、または内視鏡を導入するために使用される、通常のスリーブであるトロカールの、コックを閉じることを省くことができることは、執刀医によって大きい利点である。
【0033】
関節鏡検査の状況において、この実施例では、急激な圧力変化は回避される。なぜなら先行技術の解決策において、医療器具(例えばシェーバ/RF)への吸引ラインが開いたときに、流入ローラホイールのセンサにおいて圧力低下を起こすことによって、再供給の大きい要求が生じる。これによって、比較的遅く補填される場合がある。それによって、圧力ピークにために、本発明による解決策よりも、流体のより大きい溢出をもたらすことになる。溢出は、膨張した空洞の環境において、不利な隆起をもたらす。本発明による解決策の、この実施形態は、関節の30mmHgよりも僅かに大きい空洞圧を伴う「低圧関節鏡検査」を、初めて可能にする。なぜなら、先行技術では、圧力変動が大きすぎて、空洞が崩壊することになるからである。
【実施例2】
【0034】
上記で要約した実施形態において、高い流量を要求する医療器具(例えばシェーバ、モルセレータ、または組織片を分離及び/または吸い出す他のデバイス)を、負圧容器の中に移動する流出ローラホイールに、直接的に接続させることができ、高いフロー抵抗を伴う医療器具(例えばRF器具)を、負圧を生成するポンプデバイスに直接的に接続させ、かつ同じ吸引ラインを介して、空洞に接続させることができる。高いフロー抵抗を伴う医療器具は、バルブを介して外され、作動の際のみ吸引ラインが医療器具に通される。
【0035】
非常に安定した空洞圧で、高いフロー抵抗を伴う医療器具における迅速な吸引効果と、空洞圧で独立して調整可能なフローとは、利点である。加えて、この実施例において、接続の変更またはトロカールのコックを閉じるのを省略できることは、執刀医にとって有利である。
【実施例3】
【0036】
上記で要約した実施形態において、流出ローラホイールを、空洞に直接的に接続することができ、負圧を生成するポンプデバイスを、動翼を伴う医療器具(例えばシェーバ、モルセレータ、または組織片を分離及び/もしくは吸い出す他のデバイス)に接続することができる。したがって、空洞圧を容易に監視することができ、流入及び流出を適切に制御することができる。動翼を伴う医療器具が作動されると、ポンプ使用の原理により、圧力変動はなく安定した空洞壁がもたらされる。これは、子宮などの非常に弾力性のある壁を伴う空洞において、特に役立つ。
【実施例4】
【0037】
上記で要約した実施形態において、流出ローラホイール及び流入ローラホイールを、流入及び流出のために分離されたチャネルを用いて、連続したフローを生成するために空洞内に位置された内視鏡に、直接的に接続することができる。負圧を生成するポンプユニットを、吸引器具またはバルブを介して取り外し可能に内視鏡に追加的に接続することができる。泌尿器科において、尿管領域または腎杯における石を除去するために、石を掴んで動かす器具を用いて、石は固定される(石抽出バスケット)。掴んで動かす手順は、負圧を生成するポンプユニットによって作り出される追加の吸引パルスを伴う、吸引ラインの作動によって促進することができ、それによる追加の吸引プロセスによって、石は器具に位置付けられる。このパルス状吸引の増加は、非常に有利である。なぜなら、空洞内の状況は変化せず、吸引開口部の方向における追加の吸引のみが生成され、その影響は、増加した流入によって補填されるからである。管の長さ及び径(すなわちフロー抵抗)のため、大きい与圧が必要とされ、与圧は、負圧を生成するポンプユニットのポンプ作用原理を伴い、最も良好に生成することができる。通常の手術において、最小量に対する正確な圧力制御が、(腎杯領域に対する損傷の危険のために)必要とされ、それは、蠕動ポンプを用いて最も良好に実現できるが、それらは吸引パルスのために必要な与圧を十分迅速に生成することができないか、またはそうした場合、大幅に必要以上となる。
【符号の説明】
【0038】
1 洗浄液のための貯蔵容器
2 洗浄液を体腔(11)の中に供給するための供給ライン
3 液体供給のための制御されたポンプ
4 制御された第1の負圧ポンプ
5 制御された第2の負圧ポンプ
6 第1の医療器具
7 第1の医療器具における第1の吸引ライン
8 第2の医療器具
9 第2の医療器具における第2の吸引ライン
10 廃棄容器
11 体腔
12 廃棄容器から制御された第2の負圧ポンプまでのライン
【国際調査報告】