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特表2022-515631通信システムにおけるアンテナ選択のための方法、装置及びコンピュータプログラム製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(54)【発明の名称】通信システムにおけるアンテナ選択のための方法、装置及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/02 20090101AFI20220214BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20220214BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20220214BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
H04W88/02 140
H04W16/28
H04W24/10
H04B7/08 802
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537896
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 US2018067787
(87)【国際公開番号】W WO2020139360
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン,ジノン
(72)【発明者】
【氏名】ボリン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ザンダー,オロフ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE08
5K067EE10
5K067EE53
5K067JJ37
5K067KK03
(57)【要約】
無線通信システムにおいてユーザ機器UEによって実行されるアンテナ選択のための方法は、UEによって受信された信号の信号性能を決定することを含む。信号は、無線通信システムのネットワークノードと通信するためのUEのアレイアンテナによって受信される。この方法は、信号の信号性能に関連付けられた信号減衰率を決定すること、及びこの信号減衰率に基づいて、アレイアンテナを、ネットワークノードと通信するためのUEの全方向性アンテナに置き換えることを含む。関連の装置についても記載される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて、ユーザ機器UEにより実行されるアンテナ選択のための方法であって、
前記UEにより受信された信号の信号性能を決定し(710)、ここでの前記信号は、前記無線通信システムのネットワークノードと通信するためのUEのアレイアンテナによって受信されるということと、
前記信号の信号性能に関連する信号減衰率を決定すること(720)と、
前記信号減衰率に基づいて、前記アレイアンテナを、前記ネットワークノードと通信するための前記UEの全方向性アンテナに置き換えること(730)とを含む、方法。
【請求項2】
前記アレイアンテナがビーム形成アンテナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アレイアンテナを、前記ネットワークノードと通信するための前記UEの全方向性アンテナに置き換えること(730)が、前記信号の信号減衰率のプロファイルに更に基づく、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アレイアンテナを前記全方向性アンテナに置き換えること(730)が、
前記ビーム形成アンテナに関連付けられた減衰率閾値よりも大きい信号減衰率に応答して、前記ビーム形成アンテナを、前記ネットワークノードとの通信のために前記全方向性アンテナに置き換えること(810)を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記減衰率閾値は前記ビーム形成アンテナの応答速度に基づいている、請求項2~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記信号が第1の信号を含み、前記信号性能が第1の信号性能を含み、前記信号減衰率が第1の信号減衰率を含み、前記減衰率閾値が第1の減衰率閾値を含む、請求項4又は5に記載の方法であって、この方法は、
第2の信号の第2の信号性能を決定し(910)、ここでの前記第2の信号は、前記ビーム形成アンテナを前記全方向性アンテナに置き換えた後に、当該全方向性アンテナによって受信されるということと、
前記全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値未満である前記第2の信号性能に応答して、前記全方向性アンテナを、前記ネットワークノードとの通信のためのビーム形成アンテナに置き換えること(920)と、
全方向性アンテナに関連付けられた前記第2の信号性能閾値よりも大きい第2の信号性能に応答して、前記前記全方向性アンテナを使用して前記UEと前記ネットワークノードとの間の通信を維持すること(930)とをさらに含む、方法。
【請求項7】
前記第2の信号性能が前記全方向性アンテナに関連付けられた前記第2の信号性能閾値よりも大きいことに応答して、前記第2の信号性能に基づく第2の信号減衰率を記憶すること(1010)をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ビーム形成アンテナに関連付けられた前記第1の減衰率閾値が信号品質フィードバックに応答して調整される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビーム形成アンテナに関連付けられた前記第1の減衰率閾値が、前記第1の信号減衰率及び/又は前記第2の信号減衰率に応答して調整される、請求項6~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記全方向性アンテナ性能閾値及び/又は前記ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値が、先の切替え情報に基づいて調整される、請求項6~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記全方向性アンテナを前記ビーム形成アンテナに置き換えるための切替え決定をトリガーした前記第2の信号性能に基づいて、前記ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値が調整される、請求項6~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記UEによって受信された信号の信号性能の決定が、1つ又は複数のセンサからのセンサデータに基づいてトリガーされ、
前記センサデータは、前記UEの回転、前記信号の遮断、及び/又は、前記UEによって受信された信号の特性の変化を示す、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記ビーム形成アンテナは、利用可能なビームのサブセットを使用して、前記UEと前記ネットワークノードとの間の通信のビームステアリングを実行するように構成される、請求項2~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
無線通信システムで使用される無線電子装置(103)であって、この無線電子装置はアンテナ制御モジュールを具備し、当該モジュールは、
前記無線電子装置によって受信された信号の信号性能を決定し(710)、ここでの前記信号は、前記無線通信システムのネットワークノードとの通信のための前記無線電子装置のアレイアンテナによって受信されるということと、
前記信号の信号性能に関連する信号減衰率を決定すること(720)と、
前記信号減衰率に基づいて、前記アレイアンテナを、前記ネットワークノードと通信するための前記無線電子装置の全方向性アンテナに置き換えること(730)とを含む動作を実行するように構成される、無線電子装置(103)。
【請求項15】
前記アレイアンテナはビーム形成アンテナを含み、
前記信号減衰率は、前記無線電子装置によって受信された信号の信号強度の導関数に対応する、請求項14に記載の無線電子装置(103)。
【請求項16】
前記アレイアンテナを前記全方向性アンテナに置き換えること(730)は、
前記信号減衰率が前記ビーム形成アンテナに関連付けられた減衰率閾値よりも大きいことに応答して、前記ビーム形成アンテナを、前記通信のための全方向性アンテナに置き換えること(810)を含む、請求項15に記載の無線電子装置(103)。
【請求項17】
前記信号が第1の信号を含み、前記信号性能が第1の信号性能を含み、前記信号減衰率が第1の信号減衰率を含み、前記減衰率閾値が第1の減衰率閾値を含み、前記アンテナ制御モジュールは、
前記第2の信号の第2の信号性能を決定し(910)、ここでの前記第2の信号は、前記ビーム形成アンテナを前記全方向性アンテナで置き換えた後に、前記全方向性アンテナによって受信されるということと、
前記第2の信号性能が前記全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値未満であることに応答して、前記全方向性アンテナを前記ネットワークノードとの通信のための前記ビーム形成アンテナに置き換えること(920)と、
前記第2の信号性能が前記全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きいにことに応答して、前記全方向性アンテナを使用して、前記UEと前記ネットワークノードとの間の通信を維持すること(930)とを含む動作を実行するようにさらに構成される、請求項15又は16に記載の無線電子装置(103)。
【請求項18】
前記アンテナモジュールは、
前記第2の信号性能が前記全方向性アンテナに関連付けられた前記第2の信号性能閾値よりも大きいことに応答して、前記第2の信号性能に基づく第2の信号減衰率を記憶すること(1010)を含む動作を実行するようにさらに構成される、請求項15~17のいずれか1つに記載の無線電子装置(103)。
【請求項19】
前記ビーム形成アンテナの前記第1の減衰率閾値が、信号品質フィードバックに応答して調整される、請求項14~18のいずれか1つに記載の無線電子装置(103)。
【請求項20】
前記全方向性アンテナを前記ビーム形成アンテナに置き換えること(920)は、ビーム探索を開始して(1110)、前記無線電子装置と前記ネットワークノード間の通信のために、前記ビーム形成アンテナによって使用されるビームを識別することを含む、請求項15~19のいずれか1つに記載の無線電子装置(103)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の様々な実施形態は、通信システムにおけるアンテナの選択に関する。
【背景技術】
【0002】
5G新無線(New Radio:NR)ネットワークにおいて、通信は、基地局、例えばgNBと、ユーザ機器(User Equipment:UE)のような無線電子装置との間で生じ得る。基地局とユーザ機器との間の通信には、様々なタイプのアンテナを使用することができる。ただし、ユーザ機器の可動性及び/又はチャネル条件の変更は、アンテナの性能に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明概念の様々な実施形態には、アンテナ選択のための方法が含まれる。この方法は、無線通信システムにおいてユーザ機器UEにより実行することができ、UEによって受信された信号の信号性能を決定することが含まれる。信号は、無線通信システムのネットワークノードと通信するためのUEのアレイアンテナによって受信される。この方法には、信号のシグナル性能に関連する信号減衰率を決定することと、当該信号減衰率に基づいて、UEのアレイアンテナを、ネットワークノードと通信するためのUEの全方向性アンテナに置き換えることが含まれる。
【0004】
アレイアンテナは、ビーム形成アンテナを含み得る。アレイアンテナを、ネットワークノードと通信するためのUEの全方向性アンテナに置き換えることは、ある期間に亘る信号の信号減衰率プロファイルに更に基づくことができる。アレイアンテナを全方向性アンテナに置き換えることは、ビーム形成アンテナに関連付けられた減衰率閾値よりも大きい信号減衰率に応答して、ビーム形成アンテナを、ネットワークノードと通信するための全方向性アンテナに置き換えることを含み得る。この減衰率閾値は、ビーム形成アンテナの応答速度に基づくことができる。信号は第1の信号であり得、信号性能は第1の信号性能であり得、信号減衰率は第1の信号減衰率であり得、そして減衰率閾値は第1の減衰率閾値であり得る。この方法は、第2の信号の第2の信号性能を決定することを含むことができ、第2の信号は、ビーム形成アンテナを全方向性アンテナに置き換えた後に、全方向性アンテナによって受信される。この方法は、全方向性アンテナを、全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値未満である第2の信号性能に応答して、ネットワークノードと通信するためのビーム形成アンテナに置き換えること、及び全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きい第2の信号性能に応答して、全方向性アンテナを使用してUEとネットワークノードの間の通信を維持することを含み得る。
【0005】
幾つかの実施形態において、この方法は、全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きい第2の信号性能に応答して、第2の信号性能に基づく第2の信号減衰率を記憶することを含み得る。ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値は、信号品質フィードバックに応答して調整することができる。ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値は、第1の信号減衰率及び/又は第2の信号減衰率に応答して調整することができる。全方向性アンテナ性能閾値及び/又はビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値は、以前のスイッチング情報に基づいて調整することができる。ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値は、全方向性アンテナをビーム形成アンテナに置き換えるための、スイッチング決定をトリガーした第2の信号性能に基づいて調整することができる。UEによって受信された信号の信号性能を決定することは、1つ又は複数のセンサからのセンサデータに基づいてトリガーされ得る。このセンサデータには、UEの回転、信号の遮断、及び/又はUEによって受信された信号の特性変化が含まれ得る。ビーム形成アンテナは、利用可能なビームのサブセットを使用して、UEとネットワークノードとの間の通信のビームステアリングを実行するように構成できる。
【0006】
本発明概念の様々な実施形態には、無線通信システムで使用される無線電子装置が含まれる。無線電子装置には、当該無線電子装置が受信した信号の信号性能の決定を含む動作を実行するように構成された、アンテナ制御モジュールが含まれる。信号は、無線通信システムのネットワークノードと通信するための、当該無線電子装置のアレイアンテナによって受信される。動作は、信号の信号性能に関連する信号減衰率を決定すること、及び信号減衰率に基づいて、アレイアンテナをネットワークノードと通信するための無線電子装置の全方向性アンテナに置き換えること(730)を含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、アレイアンテナは、ビーム形成アンテナを含み得る。信号減衰率は、無線電子装置によって受信された信号の信号強度の導関数に対応し得る。アレイアンテナを全方向性アンテナに置き換えることは、ビーム形成アンテナに関連付けられた減衰率閾値よりも大きい信号減衰率に応答して、通信のためのビーム形成アンテナを全方向性アンテナに置き換えることを含み得る。信号は第1の信号であり得、信号性能は第1の信号性能であり得、信号減衰率は第1の信号減衰率であり得、そして減衰率閾値は第1の減衰率閾値であり得る。この方法は、第2の信号の第2の信号性能を決定することを含み得、第2の信号は、ビーム形成アンテナを全方向性アンテナに置き換えた後、全方向性アンテナによって受信される。この方法は、第2の信号性能が全方向性アンテナに関連付けられた閾値未満であることに応答して、全方向性アンテナを、ネットワークノードとの通信のためのビーム形成アンテナに置き換えること、及び、第2の信号性能が全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きいことに応答して、全方向性アンテナを使用してUEとネットワークノードとの間の通信を維持することを含み得る。アンテナモジュールは、第2の信号性能が全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きいことに応答して、第2の信号性能に基づいて第2の信号減衰率を記憶することを含む動作を実行するように更に構成され得る。ビーム形成アンテナの第1の減衰率閾値は、信号品質フィードバックに応答して調整することができる。全方向性アンテナをビーム形成アンテナに置き換えることは、無線電子装置とネットワークノードとの間の通信のために、ビーム形成アンテナにより使用されるビームを識別するためのビーム検索を開始することを含み得る。
【0008】
一実施形態に関して説明された本発明の概念の態様は、それに関して具体的に説明されていなくとも、異なる実施形態にも組み込まれ得ることに留意されたい。即ち、任意の実施形態の全ての実施形態及び/又は特徴は、任意の方法及び/又は組み合わせにおいて組み合わせることができる。本明細書に記載した実施形態のいずれかによる他の操作も実行することができる。本発明概念のこれら及び他の態様は、以下に記載の明細書において詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本明細書に記載の様々な実施形態に従って、無線通信システムにおいて使用され得る様々なアンテナを示す。
図1B図1Bは、本明細書に記載の様々な実施形態に従って、無線通信システムにおいて使用され得る様々なアンテナを示す。
図1C図1Cは、本明細書に記載の様々な実施形態に従って、無線通信システムにおいて使用され得る様々なアンテナを示す。
図1D図1Dは、本明細書に記載の様々な実施形態に従って、無線通信システムにおいて使用され得る様々なアンテナを示す。
図2A図2Aは、本明細書に記載の様々な実施形態に従った、通信システムにおけるアンテナ選択を示している。
図2B図2Bは、本明細書に記載の様々な実施形態に従った、通信システムにおけるアンテナ選択を示している。
図3図3は、本明細書に記載の様々な実施形態に従った、通信システムにおけるアンテナ選択を示している。
図4A図4Aは、本明細書に記載の様々な実施形態に従った動作のフローチャートである。
図4B図4Bは、本明細書に記載の様々な実施形態に従った動作のフローチャートである。
図5図5は、本明細書に記載の様々な実施形態に従った信号減衰状況のグラフである。
図6図6は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図7図7は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図8図8は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図9図9は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図10図10は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図11図11は、本明細書に記載の様々な実施形態に従ったアンテナ選択のための動作のフローチャートである。
図12図12は、本明細書に記載の様々な実施形態に従った無線電子装置のブロック図である。
図13図13は、本明細書に記載の様々な実施形態に従った無線電子装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、様々な実施形態をより完全に説明する。他の実施形態は多くの異なる形態をとることができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0011】
5G新無線(NR)ネットワークにおける通信は、gNBのような基地局と、ユーザ機器(UE)とも称される無線電子装置との間で生じ得る。基地局と無線電子機器との間の通信には、様々なタイプのアンテナを使用することができる。無線ネットワークで使用されるアンテナには、アレイアンテナ、プリント回路基板アンテナ、格納式アンテナ、及び/又は全方向性アンテナが含まれ得る。UEのような無線電子装置は、同じ装置内に、通信に利用可能な複数のタイプのアンテナを含むことができる。全方向性アンテナは、無線電子装置の回りの殆ど又は全ての方向に放射パターンを提供することができ、50メートルの射程を有することができる。本明細書で使用する場合、「全方向性アンテナ」は近全方向性アンテナを指す場合もある。アレイアンテナはビーム形成を実行して、操縦可能なビームに基づく指向性放射パターンを提供することができる。無線電子装置が利用できる様々なアンテナの中からアンテナを選択することに関する決定は、通信の開始時に行うことができる。しかしながら、通信の過程において、使用しているアンテナの性能が変化する可能性がある。例えば、その後の無線電子装置の移動及び/又はチャネル状態の変化は、基地局と通信しているアンテナの性能を低下させる可能性がある。例えば、UEのユーザが不注意にアンテナ上に指を置き、それによって、UEから基地局への通信の信号性能を変化させる可能性がある。UEは、異なる場所及び/又は異なる方向へと移動する可能性があり、したがって信号性能が変化する可能性がある。本明細書に記載の様々な実施形態は、性能条件が変化するときのインテリジェントアンテナ選択が、通信の品質を改善し得るという認識から生じ得る。具体的には、信号強度、信号対雑音比、信号エラー率、信号減衰率、及び他の様々な信号品質の測定値は、通信中に変化する可能性がある。アンテナ選択の様々な実施形態は、条件が変化するときの信号性能を改善することができる。加えて、インテリジェントアンテナの選択は、信号減衰率及び/又は信号強度変化率のような性能因子に基づいた、人工知能学習手順に基づくことができる。例えば、無線通信装置は、高い信号減衰率を有する劣化する信号性能に基づいて、アレイアンテナを、ネットワークノードとの通信のための全方向性アンテナに置き換えることができる。換言すれば、通信は、更に詳細に述べるように、アレイアンテナと全方向性アンテナとの間で切替えることができる。
【0012】
3GPP RAN4新無線仕様TS38.101-2、周波数範囲2(Frequency Range 2:FR2)(24.25GHz~52.6GHz)電力クラス3ハンドセットについてのセクション6.2.1.3において、最小ピーク実効等方性放射電力は22.4dBm(174mW)に指定されており、また最大許容可能な総放射電力は23dBm(200mW)を超えないように指定されている。これらの仕様は、実効等方性放射電力(Effective Isotropic Radiated Power:EIRP)と全放射電力(Total Radiated Power:TRP)との間に放射電力窓を残し、そこでは仕様を満たし得る適切な動作アンテナとして、全方向性又は全方向性未満のアンテナが使用される。しかしながら、全方向性アンテナは、アンテナの送信電力の大部分を基地局に集中させ、それによってバッテリーのエネルギーを節約し、及び/又は空間内の他の方向における不要な放射を削減又は最小化して、干渉を回避することを目的としているため、NRハンドセットにとって望ましいソリューションではない可能性がある。デフォルトのハンドセット初期化ネットワーク検索手順は、指向性アンテナを利用することができ、指向性アンテナを使用して可能な限り長く基地局を追跡しよう試みる場合がある。通信リンクが切断された場合には、通信を回復するために、ビーム障害ルーチンを実行できる。しかしながら、ビーム追跡又はビーム形成の速度は所望よりも遅くなる可能性があり、ビーム形成回復手順は、着信波信号レベルの突然の変化に適切に応答しない可能性がある。例えば、ユーザがハンドセットを空間内で素早く回転させたり、アンテナを手や指で覆ったりすれば、ビーム形成アンテナの通常の手順は、基地局とハンドセットの両方から検索又はビーム掃引を繰り返し実行する。これらのビーム掃引は、UEによる余分な電力消費を引き起こし、遅延の追加又は接続の喪失をもたらす可能性がある。
【0013】
例えば、電磁スペクトルにおけるミリ波帯域ラジオ波周波数又はmm波チャネルは、10GHz~300GHzで動作することができる。典型的なm波チャネル及び波動伝搬シナリオは、密集した都市又は屋内環境での使用などの適用では、一方向から供給される支配的なエネルギーを有する可能性がある。これらの適用におけるmm波通信には、大略での見通し線条件が必要とされる可能性がある。6GHz未満で動作し、より全方向性のアンテナを有する2G/3G/4Gネットワークの場合、ダウンリンク波散乱の豊富さにより、ハンドセットはその空間内での向きに対する感度が低くなり得る。しかしながら、ミリ波周波数はアンテナの動き、向き、又はブロッキングの影響を受け易い。異なるアンテナ間での切替えは、良好で信頼性の高いネットワーク接続を提供するために、加速度計、コンパス、又は身体近接検出器からのセンサ情報、又は受信信号強度測定データに依存する可能性がある。
【0014】
本明細書に記載の様々な実施形態によれば、条件が変化するときに、アレイアンテナを全方向性アンテナに置き換えることによって、より低い全体的な電力消費を伴った信頼できる通信を提供することができる。信号性能に基づいて動的に、アレイアンテナを全方向性アンテナで置き換え、及び/又は全方向性アンテナをアレイアンテナに置き換えることにより、変化する条件に合わせて通信を適応的に調整することができる。人工知能がサポートするUEアンテナ切替えアルゴリズムは、ネットワーク接続の信頼性及び/又はバッテリー寿命が改善又は最適化されるように、経時的な信号レベルにおける着信波の変化に基づき、及び/又は様々なセンサ入力の影響を受ける可能性がある。
【0015】
NR・FR2ハンドセット又は他のFR2モバイルUEは、ネットワークにおけるシグナリングオーバーヘッドを低減すること、及び/又はUEにおける検索手順を低減し、それによって接続の信頼性及び/又はバッテリー寿命を改善することを目的として、指向性アレイアンテナと全方向性アンテナとの間で送信ビームを切替えるアルゴリズムを装備することができる。幾つかの実施形態において、アレイアンテナは、異なる組のアレイアンテナ素子のより広いビームのためのアレイアンテナに切替えることができる。
【0016】
受信信号強度の変化率に基づいて、人工知能の学習手順を採用することができる。全方向性アンテナは、例えば、信号強度の導関数が特定の限界又は閾値を超えたときに接続できる。信号強度導関数は信号減衰率を示すことができ、これは信号性能がどれだけ速く劣化しているかに相関し得る。遅い信号劣化は、無線通信(特にアレイアンテナのビーム追跡)の速い信号劣化ほどには問題にならない可能性がある。信号強度の導関数は、AI学習手順への入力として機能することができる。例えば、突然の信号レベル低下によって引き起こされる高い微分値は、ユーザが装置を主な入力波の方向から迅速に移動及び/又は回転させていることを示す可能性がある。このシナリオは、レガシーシステムにおけるビーム検索手順の再開を導く可能性がある。本発明概念の様々な実施形態は、ビーム探索手順の代わりに、全方向性アンテナへの切替えを示唆する。全方向性アンテナへの切替えは、ビーム掃引(これには数ミリ秒を要し得る)を実行するよりも、遥かに短い遅延(約1マイクロ秒など)で生じ得る。したがって、このアンテナ切替え技術によって提供される接続の信頼性は、低利得アンテナを使用するときに許容される可能性がある。そのような切替えの後にも、接続が満足のいく信号レベル/品質のままであれば、UEは、成功した切替えが実行された条件を学習することができる。信号減衰率の異なる値(即ち、微分値)は、ユーザが指又は手でアンテナをブロックしていることを示す可能性がある。切替えアルゴリズムは他のアンテナに切替えることができ、またディスプレイ上の視覚的表示及び/又は音声表示を用いて、手又は指を取り除くための指示をユーザに通知することができる。信号品質が向上したら、AIは、信号減衰率の値又はその他の性能指標に基づいて、修正動作が実行されたことを学習することができる。
【0017】
本発明概念の幾つかの実施形態において、AIアルゴリズムは、学習プロセスのためにセンサ入力(加速度計、コンパス、GNSSなど)を使用することができる。信号レベルの変化はセンサ入力データを用いてマッピングできるので、UEは最終的にはチャネル内におけるその向きを認識するに至り、それによって空間内での動きの変化に対してより正確に応答するようになる。
【0018】
図1A図1Dは、無線通信システムにおいて使用できる様々なアンテナを示している。図1Aは、UEとも呼ばれる無線電子装置103を示しており、これはアレイアンテナ120を含む。アレイアンテナ120は、アンテナ素子105a~105hのアレイを含む。アンテナ素子105a~105hは、第1のグループ101のアンテナ素子105a~105d及び第2のグループ102のアンテナ素子105e~105hのように、一緒にグループ化することができる。無線電子装置103は、図1B図1C、及び/又は図1Dに示されるような全方向性アンテナを含み得る。
【0019】
図1Bは、無線通信装置におけるPCBの縁部に、一対のエッジダイポールアンテナを含んだ全方向性アンテナを示している。図1C及び図1Dは、無線通信装置103から延出できる円筒形の延長アンテナ130b及び130cを示している。
【0020】
図2Aは、アレイアンテナ120及び/又は全方向性アンテナ130を使用して無線信号を送受信するように構成された、ラジオ波送信機230を含む無線電子装置103を示している。アレイアンテナ120及び/又は全方向性アンテナ130を、無線電子装置103に統合することができる。アレイアンテナ120は、ビーム選択又はビーム形成を使用して、基地局と通信するためのビーム220を送信することができる。全方向性アンテナ130は、無線電子装置103の周りの殆どの方向又は全ての方向に放射パターン210を送信することができる。スイッチ240は、アレイアンテナ120と全方向性アンテナ130との間で通信を切替えるために、無線電子装置103によって使用され得る。スイッチ240は、100ナノ秒のような高速スイッチング時間を有する半導体スイッチであることができる。アレイアンテナ120と全方向性アンテナとの間の切替えは、通信に使用されるビームを変更するためのビーム形成よりも遥かに短い時間で発生する可能性があり、これには100ピコ秒から500ピコ秒を要し得る。アレイアンテナ120は、全方向性アンテナ130と比較した場合、許容可能な通信のためのより大きな範囲射程能力を有し得る。通信の範囲は、所与の通信中に使用するように構成されたアレイアンテナ120におけるアレイアンテナ素子の数に依存し得る。アレイアンテナ及び/又は全方向性アンテナは、送信機電力、動作周波数のような要因に依存した送信範囲を有し得る。例えば、アレイアンテナ120は、5Gネットワークにおいて200メートルの送信範囲を有することができ、ここでの全方向性アンテナ130は50メートルの送信範囲を有し得る。
【0021】
図2Bは、アレイアンテナ240及び/又は全方向性アンテナ250を使用して無線信号を送受信するための、複数のラジオ波送信機を備えたスイッチング構成を示している。RF信号290は、スイッチ280によって第1のラジオ波送信機260又は第2のラジオ波送信機270に切替えることができる。第1のラジオ波送信機260はアレイアンテナ240に関連付けられ、第2のラジオ波送信機270は全方向性アンテナ250に関連付けられる。
【0022】
図3は、基地局310と通信している無線電子装置103を示している。動作中に、ユーザは、通信に使用されていたビーム220がもはや基地局220に向けられないように、無線電子装置103を回転又は移動させる可能性がある。アレイアンテナを引き続き使用するために、異なるビーム320を構成する必要がある場合がある。しかしながら、上記で述べたように、基地局310との通信に使用するために異なるビームを構成するためのビーム形成には、20ミリ秒から80ミリ秒を要し得る。基地局によって実行されるビーム検索手順は、最大80ミリ秒を要し得る。基地局は、最初はより広いビームを利用して20ミリ秒間、又は水平空間の各90度セクターにおいて各20ミリ秒ブロックのバーストで、同期信号(Synchronization Signals:SSB)を送信することができる。したがって、基地局タワー回りの全ターンを掃引するためには、20ミリ秒×4セクション、合計で最大80ミリ秒を要し得る。この場合、UEがそのビームを同時に掃引していると想定される。基地局310が無線電子装置103の全方向性アンテナの範囲内にある場合、約100~200ナノ秒のより短い時間を使用して通信を切替えることができる。スイッチング時間の顕著な短縮により、通信接続の信頼性が向上し、接続の切断は最小限に抑制される。
【0023】
通信信号の受信信号強度の変化速度が遅い場合、アンテナの切替えは生じないであろう。換言すれば、変化速度がビーム形成手順の最大速度能力よりも遅い場合、UEはアレイアンテナを使用してダウンリンクビームを追跡できると想定される。信号レベルが使用する全方向性アンテナに適していれば、受信信号減衰率(dB/ピコ秒)がUEビーム形成器の応答速度よりも大きいときには、ビーム形成アンテナは通信のための全方向性アンテナで置き換えられる。本明細書に記載の幾つかの実施形態において、UEは、信号減衰率に基づいて接続を喪失するリスクが識別されたときに、通信接続を全方向性アンテナに切替える。人工知能(Artificial Intelligence:AI)は、一定期間に亘る信号減衰率及び/又は変化率プロファイルを含む、受信信号強度変化の導関数を監視するために適用される。
【0024】
切替えは、UEが経験する様々なシナリオによってトリガーされる可能性がある。UEのユーザが、ハンドセットを主な着信波方向から遠ざけるように動かしたり回したりすれば、基地局との通信を維持するために切替えが必要になることがある。ユーザが誤ってアレイアンテナに指や手を置くと、信号強度が低下する可能性がある。基地局からのチャネル及び/又は波動伝搬の条件は、物体の位置における反射の変化に起因して変化する可能性がある。幾つかの実施形態においては、加速度計、ジャイロスコープ、又は他のセンサを使用して、動き及び/又は回転を検出することができる。幾つかの実施形態では、信号強度及び/又は信号の減衰率を測定することができ、及び/又は信号減衰の導関数を計算して、様々なシナリオによって引き起こされる信号劣化を決定することができる。人工知能の学習は、切替えが実行された後の受信信号レベル及び/又は信号品質のフィードバックの結果として生じ得る。以前の切替えシナリオからのフィードバックに基づいて、信号減衰率の閾値を調整することができる。例えば、全方向性アンテナに切替えても通信接続を維持できない場合、このシナリオは失敗したケースとして保存され、ビーム形成アンテナに関連した信号減衰率の閾値が高くなる可能性がある。信号減衰率の閾値を調整することによって、望まない切替え、例えば全方向性アンテナの低い性能に起因してアレイアンテナへの復帰切替えを導いた切替えを除去できる。言い換えれば、成功した切替えの事例及び/又は失敗した切替えの事例が記録され、閾値を調整するために使用される。
【0025】
図4A及び図4Bは、アレイアンテナと全方向性アンテナとの間での切替えを行うための動作を示すフローチャートである。ここで図4Aを参照すると、UEのような、図1A図2、及び/又は図3の無線通信装置103で受信された信号について、信号性能が決定され得る。ブロック410では、信号減衰率を測定して、信号減衰率が全方向性アンテナに切替えるのに十分高いかどうかを決定することができる。切替え動作は、ブロック420において生じることができる。切替え動作は、現在使用されているアレイアンテナを、ネットワークノードとの通信のためのUEの全方向性アンテナに置き換えることを伴うことができる。全方向性アンテナを使用するのであれば、アレイアンテナを構成するためのビーム掃引は不要であり、切替えの時間を節約できる。通信が生じるときには、ブロック430において、新しい信号レベル(即ち、信号性能)を測定することができる。切替え動作が成功し、基地局との通信が成功したら、ブロック440において、切替えが成功したときの信号減衰率を記憶することができる。失敗した切替え事例に関連する情報もまた、人工学習プロセスを改善するために記憶することができる。例えば、全方向性アンテナへの切替えが生じる信号減衰率は、通信接続の切断をもたらす可能性がある。この失敗した信号減衰率に関する情報は保存されて、閾値信号減衰率を調整する際に使用することができる。したがって、失敗した切替え動作により、閾値信号減衰率はより高い値に調整される可能性がある。
【0026】
ここで図4Bを参照すると、加速度計又はジャイロスコープのようなセンサからのセンサ入力データは、ブロック450において、信号減衰率と共に周期的にマッピングされ得る。センサデータは、ブロック460において、成功した切替え操作について記憶されることができ、失敗した切替え操作については任意選択で記憶することができる。失敗した切替え動作は、ブロック470において信号減衰率に悪影響を及ぼし得る。成功した事例についての信号減衰率は、AI学習メカニズムに提供するために、ブロック480において記憶することができる。アンテナをいつ切替えるかを決定するための、より高い精度の決定基準が徐々に作成され得る。こうして、ビーム形成アンテナで適切に追跡されない可能性のある信号強度の急激な変化によって、別のアンテナへの切替えがトリガーされる。
【0027】
図5は、信号減衰状況のグラフである。曲線510は、アレイアンテナからの送信をブロックする指をモデル化している。曲線520は、移動又は回転するUEをモデル化している。曲線530は、通信のために現在使用されているビーム形成アンテナの最大処理速度をモデル化している。減衰率曲線が最大処理曲線530、即ち閾値曲線よりも急であれば、アンテナは切替えられるであろう。したがって、減衰率の閾値は、UEのビーム形成アンテナの応答速度に基づいている。
【0028】
図6は、本明細書で説明される様々な実施形態による、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。図6を参照すると、UEで受信される信号が、アレイアンテナのビーム形成器の能力仕様よりも急な信号減衰率を有するかどうかを、ブロック610において決定することができる。受信信号がビーム形成器の能力よりも急な減衰率を持たなければ、ブロック660において、通信のための送信はビーム形成アンテナを用いて続行される。受信信号が、ビーム形成器の能力よりも急勾配である減衰率を有するならば、ブロック620において、通信は全方向性アンテナに切替えられる。ブロック630においては、受信信号レベルが全方向性アンテナへの接続を維持するのに適しているかどうかのチェックが行われる。信号強度が接続を維持するのに適していなければ、ブロック670において、ビーム形成アンテナによってビーム検索が開始される。信号強度が接続を維持するのに適していれば、ブロック640において、信号減衰率に基づく減衰導関数が、受信信号電力レベルでの成功例として記憶される。決定パラメータは、ブロック650において、いつアンテナを切替えるかをより広く許容するために徐々に調整することができる。幾つかの実施形態において、センサデータは、ブロック680において人工知能学習のための入力として利用することができる。センサデータは、ビーム形成アンテナの信号減衰率閾値を調整するために、信号性能情報と共に利用することができる。
【0029】
図7は、本明細書に記載の幾つかの実施形態による、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。ここで図7を参照すると、ブロック710において、無線通信システムのネットワークノードと通信するための、ユーザ機器のアレイアンテナにより受信された信号の信号性能が決定され得る。信号の信号性能に関連する信号減衰率は、ブロック720において決定することができる。ブロック730では、信号減衰率に基づいて、アレイアンテナをネットワークノードとの通信のための全方向性アンテナに置き換えることができる。言い換えれば、信号の減衰率に応じて、通信はアレイアンテナから全方向性アンテナへと切替えることができる。増大した信号減衰率は、通信チャネルの劣化を示している可能性がある。したがって、信号遅延率が図5の曲線530に示されるような閾値を超えたならば、アレイアンテナを使用したときには通信の信号対雑音比が不十分であるか、又は他の性能問題があり、全方向性アンテナへの切替えをトリガーすると判断され得る。
【0030】
図8は、本明細書に記載の幾つかの実施形態による、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。幾つかの実施形態において、通信をアレイアンテナから全方向性アンテナに切替えることは、ブロック810において、ビーム形成アンテナの減衰率閾値よりも高い信号減衰率に応答して、ビーム形成アンテナを全方向性アンテナに置き換えることを含むことができる。
【0031】
図9は、本明細書に記載の幾つかの実施形態に従った、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。ここで図9を参照すると、ブロック910において、全方向性アンテナに関連付けられた信号性能を決定することができる。通信はブロック920において、全方向性アンテナの信号性能が全方向性アンテナの信号性能閾値未満であることに応答して、全方向性アンテナからビーム形成アンテナに置き換えられることができる。
【0032】
図10は、本明細書で説明される幾つかの実施形態に従った、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。ここで、図10を参照すると、ブロック1010では、全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値よりも大きい第2の信号性能に応答して、第2の信号性能に基づく第2の信号減衰率を記憶することができる。
【0033】
図11は、本明細書に記載の幾つかの実施形態に従った、アンテナ選択のための動作のフローチャートである。ここで図11を参照すると、全方向性アンテナをビーム形成アンテナに置き換えることは、ブロック1110において、無線電子装置とネットワークノードとの間の通信のために、ビーム形成アンテナによって使用されるビームを識別するためのビーム検索を開始することを含み得る。
【0034】
図12は、図1のUE又は無線電子装置103のような、無線電子装置1200のブロック図である。無線電子装置1200は、本明細書に開示される1つ又は複数の実施形態による動作を実行するように構成することができる。図12を参照すると、無線電子装置1200は、ネットワークインターフェース1220、トランシーバ1230、アンテナ1240、プロセッサ回路1202、及びコンピュータ可読プログラムコード1212を含んだメモリ又はメモリ回路1210を含む。プロセッサ又はプロセッサ回路1202は、汎用及び/又は特殊目的のプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサのような1つ又は複数のデータ処理回路を含むことができ、これらは1つ又は複数のネットワークに亘って併置又は分散され得る。プロセッサ回路1202は、メモリ1210内のコンピュータ可読プログラムコード1212を実行して、本明細書では無線電子装置1200により実行されるものとして記載された動作及び方法の少なくとも幾つかを実行するように構成される。無線インターフェースは、プロセッサ回路1202に結合されることができ、サーバー又は他の外部ネットワークエンティティと直接的又は間接的に通信することができる。
【0035】
図13は、本明細書に開示された動作を実行するための、幾つかの実施形態によるアンテナ選択モジュールのためのモジュールを示す。図12のコンピュータ可読プログラムコード1212は、1つ又は複数のモジュールを含むことができる。ここで図13を参照すると、コンピュータ可読プログラムコード1212は、信号性能決定モジュール1312、信号減衰率モジュール1316、及びアンテナ置き換えモジュール1324を含み得る。信号性能決定1312は、UEによって受信された信号の信号性能を決定するためのものである(図7のブロック710)。信号減衰率モジュール1316は、信号の信号性能に関連する信号減衰率を決定するためのものである(図7のブロック720)。アンテナ置き換えモジュール1320は、信号減衰率に基づいて、アレイアンテナをUEの全方向性アンテナに置き換えるためのものである(図7のブロック730)。モジュール1312、1316、及び1320は、本明細書に開示される他の対応する操作及び方法を実行することができる。
【0036】
[更なる実施形態]
本開示の様々な実施形態の上記説明において、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものでないことを理解されたい。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されている用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、ここで明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味には解釈されないであろう。
【0037】
ある要素が別の要素に「接続され」、「結合され」、「応答する」、又はそれらの変形で呼ばれるとき、それは他の要素に直接接続され、結合され、又は応答することができ、あるいは介在する要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続され」、「直接結合され」、「直接応答する」、又はそれらの変形で呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。更に、本明細書で使用する「結合された」、「接続された」、「応答する」、又はそれらの変形は、無線で結合された、接続された、又は応答することを含み得る。本明細書で使用する場合、単数形の不定冠詞(「a」、「an」)及び定冠詞(「the」)は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。周知の機能又は構造は、簡潔さ及び/又は明確化のために詳細には説明されない場合がある。「及び/又は」の用語は、関連する列挙された項目の1つ又は複数のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0038】
本明細書で使用するとき、「具備する」、「具備している」、「具備する(三人称単数)」、「含む」、「含んでいる」、「含む(三人称単数)」、「有する」、「有する(三人称単数)」、「有している」、又はそれらの変形になる用語は、オープンエンドであり、1つ又は複数の記載された特徴、完全体、要素、ステップ、コンポーネント、又は機能を含むが、1つ又は複数の他の特徴、完全体、要素、ステップ、コンポーネント、機能、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0039】
本明細書において、例示的実施形態は、コンピュータで実施される方法、機器(システム及び/又は装置)、及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図及び/又はフローチャート図を参照して説明される。ブロック図及び/又はフローチャート図のブロック、ならびにブロック図及び/又はフローチャート図中のブロックの組み合わせは、1つ又は複数のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令により実装できることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ回路、特殊目的のコンピュータ回路、及び/又はマシンを製造する他のプログラム可能なデータ処理回路におけるプロセッサ回路に提供されて、当該命令(これはコンピュータ及び/又は他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサを介して実行される)が、トランジスタ、メモリ位置に格納された値、及びそのような回路内の他のハードウェアコンポーネントを変換及び制御して、ブロック図及び/又はフローチャートブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装し、それによってブロック図及び/又はフローチャートブロックにおいて指定された機能/行為を実施するための手段(機能)及び/又は構造を創出させるようになっている。
【0040】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理機器に対して特定の方法で機能するように指示できる有形のコンピュータ可読媒体に格納されることができ、その結果、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、ブロック図及び/又はフローチャートブロックで指定された機能/動作を実装する命令を含んだ製品を生成させる。
【0041】
有形の非一時的コンピュータ可読媒体には、電子、磁気、光学、電磁気、又は半導体によるデータ記憶システム、機器、又は装置が含まれ得る。コンピュータ可読媒体のより具体的な例には、ポータブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)回路、読取り専用メモリ(Read-Only Memory:ROM)回路、消去可能でプログラム可能な読取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory:EPROM又はフラッシュメモリ)回路、ポータブルコンパクトディスク読取り専用メモリ(Compact Disc Read-Only Memory:CD-ROM)及びポータブルデジタルビデオディスク読取り専用メモリ(Digital Video Disc Read-Only Memory:DVD/ブルーレイ)が含まれる。
【0042】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ及び/又は他のプログラム可能なデータ処理機器にロードされて、コンピュータ及び/又は他のプログラム可能な機器上で一連の動作ステップを実行させることができ、当該コンピュータ又は他のプログラム可能な機器上で実行する当該命令は、ブロック図及び/又はフローチャートブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するための一連の動作ステップを提供するようになっている。したがって、本開示の実施形態は、デジタル信号プロセッサなどのプロセッサ上で実行されるハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)で具体化することができ、これらは一纏めに「回路」、「モジュール」又はそれらの変形と称することができる。
【0043】
本開示の態様は、本開示の実施形態に従った方法、機器(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して、本明細書に記載される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサに提供されてマシンを生成することができ、コンピュータ又は他のプログラム可能な命令実行機器のプロセッサを介して実行される当該命令は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック(複数可)で指定された機能/動作を実装するためのメカニズムを創出するようになっている。
【0044】
これらコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に格納されることができ、これは実行されたときに、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理機器又は他の装置に対して特定の方法で機能するように指令することができ、その結果として、当該コンピュータ可読媒体に格納された命令は、実行されると、当該コンピュータに対して、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能/動作を実装させるための命令を含んだ工業製品を生成するようになっている。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能な命令実行機器、又は他の装置にロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な機器、又は他の装置上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成でき、その結果として、当該コンピュータ又は他のプログラム可能な機器上で実行される命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供する。
【0045】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な態様によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の、可能な実装アーキテクチャ、機能及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含んだモジュール、セグメント又はコードの一部を表すことができる。幾つかの代替実装においては、ブロックに示されている機能が、図に示されている順序とは異なり得ることにも留意すべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行される場合があり得、又は、関連する機能に応じて、ブロックが逆の順序で実行される場合があり得る。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する特定目的のハードウェアベースのシステム、又は、特定目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実装できることにも留意すべきである。
【0046】
一部の代替実装では、ブロックに記載されている機能/動作が、フローチャートに記載されている順序とは異なり得ることにも留意すべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行される場合があり得、又は、関連する機能/動作に応じて、ブロックが逆の順序で実行される場合があり得る。更に、フローチャート及び/又はブロック図の所与のブロックの機能は、複数のブロックに分離されることができ、及び/又はフローチャート及び/又はブロック図の2つ以上のブロックの機能は、少なくとも部分的に統合されることができる。最後に、他のブロックを、図示されているブロックの間に追加/挿入することができる。
【0047】
更に、一部の図には、通信の主な方向を示すために通信経路上に矢印が含まれているが、通信は、描かれた矢印とは反対の方向に発生する可能性があることを理解されたい。
【0048】
本明細書には、上記の説明及び図面に関連して、多くの異なる実施形態が開示されている。これらの実施形態の組み合わせ及びサブコンビネーションを、文字通り全て説明することは、過度に反復的で難読化させるであろうことが理解されよう。したがって、図面を含む本明細書は、実施形態の種々の例示的な組み合わせ及びサブコンビネーション、ならびにそれらを作成及び使用する方法及びプロセスの完全な書面による説明を構成すると解釈され、そのような組み合わせ又はサブコンビネーションに対するクレームをサポートするものである。本明細書に記載の原理から実質的に逸脱することなく、実施形態に多くの変形及び修正を加えることができる。そのような全ての変形及び修正は、本明細書の範囲内に含まれることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて、ユーザ機器UEにより実行されるアンテナ選択のための方法であって、
前記UEにより受信された信号の信号性能を決定し(710)、ここでの前記信号は、前記無線通信システムのネットワークノードと通信するためのUEのアレイアンテナによって受信されるということと、
前記信号の信号性能に関連する信号減衰率を決定すること(720)と、
前記信号減衰率に基づいて、前記アレイアンテナを、前記ネットワークノードと通信するための前記UEの全方向性アンテナに置き換えること(730)とを含む、方法。
【請求項2】
前記アレイアンテナがビーム形成アンテナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アレイアンテナを、前記ネットワークノードと通信するための前記UEの全方向性アンテナに置き換えること(730)が、前記信号の信号減衰率のプロファイルに更に基づく、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アレイアンテナを前記全方向性アンテナに置き換えること(730)が、
前記ビーム形成アンテナに関連付けられた減衰率閾値よりも大きい信号減衰率に応答して、前記ビーム形成アンテナを、前記ネットワークノードとの通信のために前記全方向性アンテナに置き換えること(810)を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記減衰率閾値は前記ビーム形成アンテナの応答速度に基づいている、請求項2~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記信号が第1の信号を含み、前記信号性能が第1の信号性能を含み、前記信号減衰率が第1の信号減衰率を含み、前記減衰率閾値が第1の減衰率閾値を含む、請求項4又は5に記載の方法であって、この方法は、
第2の信号の第2の信号性能を決定し(910)、ここでの前記第2の信号は、前記ビーム形成アンテナを前記全方向性アンテナに置き換えた後に、当該全方向性アンテナによって受信されるということと、
前記全方向性アンテナに関連付けられた第2の信号性能閾値未満である前記第2の信号性能に応答して、前記全方向性アンテナを、前記ネットワークノードとの通信のためのビーム形成アンテナに置き換えること(920)と、
全方向性アンテナに関連付けられた前記第2の信号性能閾値よりも大きい第2の信号性能に応答して、前記前記全方向性アンテナを使用して前記UEと前記ネットワークノードとの間の通信を維持すること(930)とをさらに含む、方法。
【請求項7】
前記ビーム形成アンテナに関連付けられた前記第1の減衰率閾値が信号品質フィードバックに応答して、又は、
前記第1の信号減衰率及び/又は前記第2の信号減衰率に応答して調整される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記全方向性アンテナ性能閾値及び/又は前記ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値が、先の切替え情報に基づいて調整される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記全方向性アンテナを前記ビーム形成アンテナに置き換えるための切替え決定をトリガーした前記第2の信号性能に基づいて、前記ビーム形成アンテナに関連付けられた第1の減衰率閾値が調整される、請求項6~のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記ビーム形成アンテナは、利用可能なビームのサブセットを使用して、前記UEと前記ネットワークノードとの間の通信のビームステアリングを実行するように構成される、請求項2~のいずれか1つに記載の方法。
【国際調査報告】