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2022-515652キナーゼ阻害剤化合物及び組成物ならびに使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤化合物及び組成物ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20220214BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20220214BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20220214BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20220214BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220214BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220214BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220214BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D401/14
C07D405/14
C07D409/14
C07D413/14
A61K31/4439
A61K31/444
A61P3/10
A61P25/00
A61P25/28
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538213
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 US2019069057
(87)【国際公開番号】W WO2020142485
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/786,966
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513321467
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディシン アット マウント サイナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】デヴィータ ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート アンドリュー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】スプスウォン チャラダ
(72)【発明者】
【氏名】クマール クナル
(72)【発明者】
【氏名】ワン ペン
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス ロベルト ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン フイ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC26
4C063CC52
4C063CC75
4C063CC92
4C063DD06
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA19
4C084AA23
4C084NA05
4C084ZC202
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC39
4C086BC69
4C086GA02
4C086GA03
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZB21
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
構造(I)を有するキナーゼ阻害剤化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物が本明細書に開示され、式中、R、R、R、R、R、R、R、X、Y、Z、及び(AA)は、本明細書に定義される通りである。本キナーゼ阻害剤化合物を含有する組成物、細胞におけるキナーゼの活性を阻害する方法、膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させる方法、不十分なインスリン分泌に関連する状態について対象を治療する方法、及び神経障害について対象を治療する方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する式(I)の化合物:
またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物であって、
式中、
及びRが、独立して任意に存在し、存在する場合は、各々が独立して、置換または非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり、
が、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、カルボニルを形成する酸素、または置換もしくは非置換C-Cアルキルであり、
が、NH、カルボニル、または任意に置換された分岐もしくは非分岐C-Cアルキルであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、ピリジンN-酸化物を形成する酸素であり、
が、単結合または二重結合であり、
Xが、C、CH、O、またはNであり、
Yが、結合、NH、または分岐もしくは直鎖C-C置換もしくは非置換アルキルであり、
Zが、H、または置換もしくは非置換アリール、ビアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、もしくはアルキルであり、置換基が、ヒドロキシル、-CF、-OCF、ハロゲン、ニトリル、アリール、C-Cアルコキシ、アミド、アミノ、アルキル、アミノカルボキサミド、置換もしくは非置換カルボキサミド、またはC-Cアルキルエステルから選択される、
前記化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物。
【請求項2】
及びRが、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
が、単結合であり、
Xが、Nである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが、非置換フェニル環、またはヒドロキシル、-OCF、ハロゲン、ニトリル、ベンゼン環、C-Cアルコキシ、もしくは-CONHで置換されたフェニル環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Zが、ピリジニル及びナフタレンから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Yが、結合、CH、CH(CH)、CHCH、CHCH(CH)、及びCH(CH)CHから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
及びRが、Hであり、
が、NHであり、
Yが、CHまたはCH(CH)であり、
Xが、CHまたはNであり、
Zが、非置換フェニル環、またはハロゲンで置換されたフェニル環である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、CHであり、
が、Hであり、
が、NHであり、
Yが、CHまたはCH(CH)であり、
Xが、Nである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
からなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、Hであり、
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
Yが、CHであり、
Zが、ヘテロアリールである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
からなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、Hであり、
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、置換または非置換C-Cアルキルであり、
Zが、非置換フェニル環、またはハロゲンもしくはメトキシで置換されたフェニル環である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
Yが、CHであり、
Zが、フェニル環である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
からなる群から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
細胞におけるキナーゼの活性を阻害する方法であって、
前記細胞における前記キナーゼの活性を阻害するのに有効な条件下で、前記細胞を請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項19】
前記キナーゼが、二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ(DYRK)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記キナーゼが、二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ1A(DYRK1A)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エクスビボで実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
インビボで実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させる方法であって、
前記膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させるのに有効な条件下で、前記膵臓ベータ細胞の集団を請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項24】
前記膵臓ベータ細胞の集団を、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記膵臓ベータ細胞の集団を、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤、またはそれらの組み合わせと接触させることをさらに含む、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
エクスビボで実施される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
インビボで実施される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物及び前記TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤の両方を含む組成物を用いて実施される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤が、TGFβ/TGFβ受容体結合、アクチビンまたはインヒビン/アクチビン受容体結合、及び骨形成タンパク質(BMP)/BMP受容体結合の阻害剤からなる群から選択される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤が、SB431542及びAlk5阻害剤IIからなる群から選択される、アクチビンまたはインヒビン/アクチビン受容体結合の阻害剤である、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤が、SMADシグナル伝達経路阻害剤である、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物と、前記グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤、または前記GLPR1アゴニスト及びDPP4阻害剤の組み合わせとを含む組成物を用いて実施される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記GLP1Rアゴニストが、GLP1類似体、エクステンジン-4、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記DDP4が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、及びアナグリプチンからなる群から選択される、請求項25または請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記膵臓ベータ細胞が、初代ヒト膵臓ベータ細胞である、請求項23~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記接触が、ベータ細胞死またはDNA損傷を誘導しない、請求項23~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記接触が、ベータ細胞分化を誘導する、請求項23~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記接触が、グルコース刺激インスリン分泌を増加させる、請求項23~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
請求項1に記載の化合物と、
担体と
を含む、組成物。
【請求項40】
形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤をさらに含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項39または請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記担体が、薬学的に許容される担体である、請求項39~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
不十分なインスリン分泌に関連する状態について対象を治療する方法であって、
不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態の治療を必要とする対象に、前記状態について前記対象を治療するのに有効な条件下で、請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項44】
形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤を投与することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤、またはそれらの組み合わせを投与することをさらに含む、請求項43または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記投与が、前記対象における膵臓ベータ細胞質量を増加させるのに有効な条件下で実施される、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、I型糖尿病(T1D)、II型糖尿病(T2D)、妊娠糖尿病、先天性糖尿病、成人発症糖尿病(MODY)、嚢胞性線維症関連糖尿病、ヘモクロマトーシス関連糖尿病、薬物誘発性糖尿病、または単一遺伝子糖尿病のうちの1つ以上を有すると診断されている、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が、代謝症候群またはインスリン抵抗性を有すると診断されている、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、膵切除、膵臓移植、または膵島移植を受けたことがある、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記投与が、経口、経皮、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内で実施される、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象が、哺乳動物対象である、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が、ヒト対象である、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
神経障害について対象を治療する方法であって、
神経障害の治療を必要とする対象に、前記状態について前記対象を治療するのに有効な条件下で、請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項54】
形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤を投与することをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤、またはそれらの組み合わせを投与することをさらに含む、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、糖尿病、ダウン症候群、または神経変性疾患のうちの1つ以上を有すると診断されている、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記投与が、経口、経皮、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内で実施される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、哺乳動物対象である、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、ヒト対象である、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/786,966号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
この発明は、国立衛生研究所により付与された助成金番号DK015015及びDK116904の下、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、キナーゼ阻害剤化合物及び組成物ならびにそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
二重特異性チロシン調節キナーゼ(「DYRK」)は、CDK様キナーゼ(CLK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、及びマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)を含む真核生物タンパク質キナーゼのCMCGファミリーに属する。DYRKファミリータンパク質は、活性化ループ内の保存されたチロシン残基の自己リン酸化によって自己活性化し、その後、セリン及びスレオニン残基上でのみ基質をリン酸化する(Lochhead et al.,“Activation-Loop Autophosphorylation is Mediated by a Novel Transitional Intermediate Form of DYRKs,”Cell 121(6):925-936(2005)、Walte et al.,“Mechanism of Dual Specificity Kinase Activity of DYRK1A,”FEBS J.280(18):4495-4511(2013)、及びBecker et al.,“Activation,Regulation,and Inhibition of DYRK1A,”FEBS J.278(2):246-256(2011))。DYRKファミリーは、1A、1B、2、3、及び4を含む5つのサブタイプからなる。その中で、DYRK1Aは、最も広範に研究されているサブタイプである。それは普遍的に発現し、脳の発達及び機能(Becker et al.,“DYRK1A:A Potential Drug Target for Multiple Down Syndrome Neuropathologies,”CNS Neurol.Disord.:Drug Targets 13(1):26-33(2014))、神経変性疾患(Wegiel et al.,“The Role of DYRK1A in Neurodegenerative Diseases,”FEBS J.278(2):236-245(2011)、及びSmith et al.,“Recent Advances in the Design,Synthesis,and Biological Evaluation of Selective DYRK1A Inhibitors:A New Avenue for a Disease Modifying Treatment of Alzheimer’s?,”ACS Chem.Neurosci.3(11):857-872(2012))、腫瘍形成、アポトーシス(Ionescu et al.,“DYRK1A Kinase Inhibitors With Emphasis on Cancer,” Mini-Rev.Med.Chem.12(13):1315-1329(2012)、及び Fernandez-Martinez et al.,“DYRK1A:The Double-Edged Kinase as a Protagonist in Cell Growth and Tumorigenesis,”Mol.Cell.Oncol.2(1):e970048(2015))、ならびにヒト膵臓β細胞増殖(Wang et al.,“A High-Throughput Chemical Screen Reveals That Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication,”Nat.Med.21(4):383-388 (2015)、Shen et al.,“Inhibition of DYRK1A and GSK3B Induces Human β-cell Proliferation,”Nat.Commun.6:8372 (2015)、Rachdi et al.,“Dyrk1A Induces Pancreatic β Cell Mass Expansion and Improves Glucose Tolerance,”Cell Cycle 13(14):2221-2229 (2014)、及びDirice et al.,“Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta-Cell Proliferation,”Diabetes 65:(6):1660-1671(2016))において重要な役割を果たすことが示されている。
【0005】
胎児、出生後生活の間、ならびに成人におけるDYRK1Aの制御された発現は、正常な神経発達及び脳機能に不可欠である。DYRK1Aは、最も一般的かつ頻繁なヒト遺伝性障害のうちの1つであるダウン症候群(「DS」)の病因において重要な役割を有するゲノム領域である、ヒト染色体21のダウン症候群責任領域(「DSCR」)に位置する(Becker et al.,“Activation,Regulation,and Inhibition of DYRK1A,”FEBS J.278(2):246-256(2011)、及びBecker et al.,“Structural and Functional Characteristics of Dyrk,a Novel Subfamily of Protein Kinases With Dual Specificity,”Prog.Nucleic Acid Res.Mol.Biol.62:1-17(1999))。マウス及びショウジョウバエモデルにおけるDYRK1Aの過剰発現は、DSに関連する神経発達異常を模倣する(Becker et al.,“DYRK1A:A Potential Drug Target for Multiple Down Syndrome Neuropathologies,”CNS Neurol.Disord.:Drug Targets 13(1):26-33(2014)、Wegiel et al.,“The Role of DYRK1A in Neurodegenerative Diseases,”FEBS J.278(2):236-245(2011)、Park et al.,“Function and Regulation of Dyrk1A:Towards Understanding Down Syndrome,”Cell.Mol.Life Sci.66(20):3235-3240(2009)、及びOgawa et al., “Development of a Novel Selective Inhibitor of the Down Syndrome-Related Kinase Dyrk1A,”Nat.Commun.1:Article Number 86(2010))。最近の証拠はまた、DYRK1Aを、アルツハイマー病(「AD」)、レビー小体型認知症、及びパーキンソン病のタウ機能障害及びタウ病理に関連付けている(Wegiel et al.,“The Role of DYRK1A in Neurodegenerative Diseases,”FEBS J.278(2):236-245(2011)、Smith et al.,“Recent Advances in the Design,Synthesis,and Biological Evaluation of Selective DYRK1A Inhibitors:A New Avenue for a Disease Modifying Treatment of Alzheimer’s?,”ACS Chem.Neurosci.3(11):857-872(2012)、及びStotani et al.,“DYRK1A Inhibition as Potential Treatment for Alzheimer’s Disease,”Future Med.Chem.8(6):681-696(2016))。DYRK1Aは、卵巣癌、結腸癌、肺癌、及び膵臓癌などの様々な腫瘍において過剰発現されることが報告されており、腫瘍形成及び制御されない細胞増殖におけるその役割を示している(Ionescu et al.,“DYRK1A Kinase Inhibitors With Emphasis on Cancer,”Mini-Rev.Med.Chem.12(13):1315-1329(2012)、及びFernandez-Martinez et al.,“DYRK1A:The Double-Edged Kinase as a Protagonist in Cell Growth and Tumorigenesis,”Mol.Cell.Oncol.2(1):e970048(2015))。DYRK1Aの阻害は、膠芽腫におけるEGFRの不安定化及びEGFR依存性腫瘍の成長の低減につながる(Pozo et al.,“Inhibition of DYRK1A Destabilizes EGFR and Reduces EGFR-Dependent Glioblastoma Growth,”J.Clin.Invest.123(6):2475-2487(2013))。また、DYRK1A阻害は、カスパーゼ9の活性化を誘導し、これにより、特定のがん細胞型で大規模なアポトーシスが生じる(Seifert et al.,“DYRK1A Phosphorylates Caspase 9 at an Inhibitory Site and is Potently Inhibited in Human Cells by Harmine,”FEBS J.275(24):6268-6280(2008))。最近、DYRK 1Aは、ヒトβ細胞増殖に関連する分子経路に関与することが示され、それにより、1型及び2型糖尿病におけるβ細胞再生の潜在的な治療標的となる(Wang et al.,“A High-throughput Chemical Screen Reveals That Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication,” Nat.Med.21(4):383-388(2015)、Shen et al., “Inhibition of DYRK1A and GSK3B Induces Human β-cell Proliferation,” Nat.Commun.6:8372(2015)、Rachdi et al., “Dyrk1A Induces Pancreatic β Cell Mass Expansion and Improves Glucose Tolerance,”Cell Cycle 13(14):2221-2229 (2014)、及びDirice et al.,“Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta-cell Proliferation,”Diabetes 65:(6):1660-1671(2016))。DYRK1A阻害は、転写因子の活性化T細胞(NFAT)ファミリーの核因子の核への転座を誘導することによって、β細胞の増殖を駆動し、後にヒトβ細胞の増殖を活性化する遺伝子のプロモーターへのアクセスを可能にすることが提案されている(Wang et al.,“A High-throughput Chemical Screen Reveals That Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication,”Nat.Med.21(4):383-388(2015)、及びRachdi et al.,“Dyrk1A Induces Pancreatic β Cell Mass Expansion and Improves Glucose Tolerance,”Cell Cycle 13(14):2221-2229(2014))。
【0006】
神経変性疾患、がん、及び糖尿病へのその関与のため、DYRK1Aは、可能性のある治療標的としてますます関心を集めている。疾患におけるその根本的な役割を理解するだけでなく、新規のDYRK1A阻害剤を特定するために、相当な研究が行われている(Becker et al.,“Activation,Regulation,and Inhibition of DYRK1A,”FEBS J.278(2):246-256(2011)、Becker et al., “DYRK1A:A Potential Drug Target for Multiple Down Syndrome Neuropathologies,”CNS Neurol.Disord.:Drug Targets 13(1):26-33(2014)、Wegiel et al.,“The Role of DYRK1A in Neurodegenerative Diseases,”FEBS J.278(2):236-245(2011)、Smith et al.,“Recent Advances in the Design,Synthesis,and Biological Evaluation of Selective DYRK1A Inhibitors:A New Avenue for a Disease Modifying Treatment of Alzheimer’s?,”ACS Chem.Neurosci.3(11):857-872(2012)、Ionescu et al.,“DYRK1A Kinase Inhibitors with Emphasis on Cancer,”Mini-Rev.Med.Chem.12(13):1315-1329(2012)、Fernandez-Martinez et al.,“DYRK1A:The Double-Edged Kinase as a Protagonist in Cell Growth and Tumorigenesis,”Mol.Cell.Oncol.2(1):e970048(2015)、Wang et al.,“A High-throughput Chemical Screen Reveals That Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication,”Nat.Med.21(4):383-388(2015)、Shen et al.,“Inhibition of DYRK1A and GSK3B Induces Human β-cell Proliferation,”Nat.Commun.6:8372(2015)、及びDirice et al.,“Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta-cell Proliferation,”Diabetes 65:(6):1660-1671(2016))。
【0007】
天然源由来のいくつかのDYRK1A阻害剤、ならびに小分子薬物発見プログラムが同定され、特徴付けられている。全てのDYRK1A阻害剤の中でも、ハルミン及びその類似体(β-カルボリン)は、最も一般的に研究されており、依然としてこれまでに取り上げられた最も強力で経口的に生物学的利用可能なクラスの阻害剤である(Becker et al.,“Activation,Regulation,and Inhibition of DYRK1A,”FEBS J.278(2):246-256(2011)、及びSmith et al.,“Recent Advances in the Design,Synthesis,and Biological Evaluation of Selective DYRK1A Inhibitors:A New Avenue for a Disease Modifying Treatment of Alzheimer’s?,”ACS Chem.Neurosci.3(11):857-872 (2012))。
【0008】
ハルミンとは別に、EGCg及び他のフラバン-3-オール(Guedj et al.,“Green Tea Polyphenols Rescue of Brain Defects Induced by Overexpression of DYRK1A,”PLoS One 4(2):e4606(2009)、及びBain et al.,“The Specificities of Protein Kinase Inhibitors:An Update,”Biochem.J.371(1):199-204 (2003))、ロイセチン(leucettines)(Tahtouh et al.,“Selectivity,Cocrystal Structures,and Neuroprotective Properties of Leucettines,a Family of Protein Kinase Inhibitors Derived from the Marine Sponge Alkaloid Leucettamine B,”J.Med.Chem.55(21):9312-9330 (2012)、及びNaert et al.,“Leucettine L41,a DYRK1A-preferential DYRKs/CLKs Inhibitor,Prevents Memory Impairments and Neurotoxicity Induced by Oligomeric Aβ25-35 Peptide Administration in Mice,”Eur.Neuropsychopharmacol.25(11):2170-2182 (2015))、キナリザリン(Cozza et al.,“Quinalizarin as a Potent,Selective and Cell-permeable Inhibitor of Protein Kinase CK2,”Biochem.J.421(3):387-395(2009))、ペルトギノイドアカニロール(peltogynoids Acanilol)A及びB (Ahmadu et al,“Two New Peltogynoids from Acacia nilotica Delile with Kinase Inhibitory Activity,”Planta Med.76(5):458-460(2010))、ベンゾクマリン(dNBC)(Sarno et al.,“Structural Features Underlying the Selectivity of the Kinase Inhibitors NBC and dNBC:Role of a Nitro Group that Discriminates Between CK2 and DYRK1A,”Cell.Mol.Life Sci.69(3):449-460 (2012))、ならびにインドロカルバゾール(スタロスポリン、レベッカマイシン、及びそれらの類似体) (Sanchez et al.,“Generation of Potent and Selective Kinase Inhibitors by Combinatorial Biosynthesis of Glycosylated Indolocarbazoles,” Chem.Commun.27:4118-4120(2009)が、DYRK1A及び他のキナーゼを阻害することが示されている他の天然物である。
【0009】
小分子薬物の発見の試みから特定された他の骨格の中でも、INDY(Ogawa et al.,“Development of a Novel Selective Inhibitor of the Down Syndrome-Related Kinase Dyrk1A,”Nat.Commun.1:Article Number 86(2010))、DANDY(Gourdain et al., “Development of DANDYs, New 3,5-Diaryl-7-Azaindoles Demonstrating Potent DYRK1A Kinase Inhibitory Activity,”J.Med.Chem.56(23):9569-9585(2013))、及びFINDY(Kii et al., “Selective Inhibition of the Kinase DYRK1A by Targeting its Folding Process,” Nat.Commun.7:11391(2016))、ピラゾリジン-ジオン(Koo et al.,“QSAR Analysis of Pyrazolidine-3,5-Diones Derivatives as Dyrk1A Inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.19(8):2324-2328(2009)、Kim et al.,“Putative Therapeutic Agents for the Learning and Memory Deficits of People with Down Syndrome,”Bioorg.Med.Chem.Lett.16(14):3772-3776(2006))、アミノ-キナゾリン(Rosenthal et al.,“Potent and Selective Small Molecule Inhibitors of Specific Isoforms of Cdc2-Like Kinases(Clk)及びDual Specificity Tyrosine-Phosphorylation-Regulated Kinases (Dyrk),”Bioorg.Med.Chem.Lett.21(10):3152-3158(2011))、メリオリン(Giraud et al.,“Synthesis,Protein Kinase Inhibitory Potencies,and In Vitro Antiproliferative Activities of Meridianin Derivatives,” J.Med.Chem.54(13):4474-4489(2011)、Echalier et al., “Meriolins (3-(Pyrimidin-4-yl)-7-Azaindoles):Synthesis,Kinase Inhibitory Activity,Cellular Effects,and Structure of a CDK2/Cyclin A/Meriolin Complex,” J.Med.Chem.51(4):737-751(2008)、及びAkue-Gedu et al.,“Synthesis and Biological Activities of Aminopyrimidyl-Indoles Structurally Related to Meridianins,”Bioorg.Med.Chem.17(13):4420-4424(2009))、ピリジン及びピラジン(Kassis et al.,“Synthesis and Biological Evaluation of New 3-(6-hydroxyindol-2-yl)-5-(Phenyl) Pyridine or Pyrazine V-Shaped Molecules as Kinase Inhibitors and Cytotoxic Agents,”Eur.J.Med.Chem.46(11):5416-5434(2011))、クロメノイドール(Neagoie et al.,“Synthesis of Chromeno[3,4-b]indoles as Lamellarin D Analogues:A Novel DYRK1A Inhibitor Class,”Eur.J.Med.Chem.49:379-396(2012))、11H-インドロ[3,2-c]キノリン-6-カルボン酸、37チアゾロ[5,4-f]キナゾリン(EHT 5372)(Foucourt et al.,“Design and Synthesis of Thiazolo[5,4-f]quinazolines as DYRK1A Inhibitors,Part I.,”Molecules 19(10):15546-15571 (2014)、及びCoutadeur et al.,“A Novel DYRK1A(Dual Specificity Tyrosine Phosphorylation-Regulated Kinase 1A) Inhibitor for the Treatment of Alzheimer’s Disease:Effect on Tau and Amyloid Pathologies In Vitro,”J.Neurochem.133(3):440-451(2015))、及び5-ヨードツベルシジン(Dirice et al.,“Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta-cell Proliferation,”Diabetes 65:(6):1660-1671(2016)、及びAnnes et al.,“Adenosine Kinase Inhibition Selectively Promotes Rodent and Porcine Islet β-cell Replication,”Proc.Natl.Acad.Sci.109(10):3915-3920(2012))は、異なる程度のキナーゼ選択性を有する強力なDYRK1A活性を示した。
【0010】
これらの化合物のほとんどは、DYRK1Aの非選択的阻害剤であり、CNS活性またはアポトーシスなどの薬理学的副作用を示し、それによって、それらの治療上の有用性及び医薬品開発の可能性が制限される。この非選択性は、これらのDYRK1A阻害剤の全てが、高度に保存されたATP結合ポケットに結合するI型キナーゼ阻害剤であるという事実に起因し得る。
【0011】
本発明は、当該技術分野における欠陥を克服することを対象とする。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様は、以下の構造を有する式(I)の化合物:
またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物であって、
式中、
及びRが、独立して任意に存在し、存在する場合は、各々が独立して、置換または非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり、
が、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、カルボニルを形成する酸素、または置換もしくは非置換C-Cアルキルであり、
が、NH、カルボニル、または任意に置換された分岐もしくは非分岐C-Cアルキルであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、ピリジンN-酸化物を形成する酸素であり、
が、単結合または二重結合であり、
Xが、C、CH、O、またはNであり、
Yが、結合、NH、または分岐もしくは直鎖C-C置換もしくは非置換アルキルであり、
Zが、H、または置換もしくは非置換アリール、ビアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、もしくはアルキルであり、置換基が、ヒドロキシル、-CF、-OCF、ハロゲン、ニトリル、アリール、C-Cアルコキシ、アミド、アミノ、アルキル、アミノカルボキサミド、置換もしくは非置換カルボキサミド、またはC-Cアルキルエステルから選択される、
化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、細胞におけるキナーゼの活性を阻害する方法に関する。この方法は、細胞におけるキナーゼの活性を阻害するのに有効な条件下で、細胞を本発明の式(I)の化合物と接触させることを含む。
【0014】
本発明のさらなる態様は、膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させる方法に関する。この方法は、膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させるのに有効な条件下で、膵臓ベータ細胞の集団を本発明による式(I)の化合物と接触させることを含む。
【0015】
本発明の別の態様は、本発明による式(I)の化合物及び担体を含む組成物に関する。
【0016】
本発明の追加の態様は、不十分なインスリン分泌に関連する状態について対象を治療する方法に関する。この方法は、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態の治療を必要とする対象に、本発明の化合物または組成物を投与することを含む。
【0017】
本発明のさらなる態様は、神経障害について対象を治療する方法に関する。この方法は、神経障害の治療を必要とする対象に、状態について対象を治療するのに有効な条件下で、本発明による式(I)の化合物を投与することを含む。
【0018】
強力で選択的なDYRK1A阻害剤の発見に向けて努力がなされているが、それらのほとんどは依然としてリード同定の初期段階にある。
【0019】
非常に強力で新規のクラスのキナーゼ阻害剤化合物の同定及び評価が、本明細書の下記に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】N-ベンジル-ハロアニリン中間体化合物の合成を示す概略図である。
図2】インドール、オキシンドール、及びベンズイミダゾロン-ボロン酸ピナコールエステル中間体化合物の合成を示す概略図である。
図3】インドール、ベンジミダゾール、及びベンジミダゾロンベンジル複素環式アミン化合物の合成を示す概略図である。
図4-1】N-ベンジルピリジン-2-アミンまたはN-(ナフタレニルメチル)ピリジン-2-アミン中間化合物の合成を示す概略図である。
図4-2】N-ベンジルピリジン-2-アミンまたはN-(ナフタレニルメチル)ピリジン-2-アミン中間化合物の合成を示す概略図である。
図5】ベンズイミダゾロンベンジルまたはナフチル複素環式アミン化合物の合成を示す概略図である。
図6】ベンズイミダゾールピリジン-3-イルアミノメチルベンズアミド化合物の合成を示す概略図である。
図7】N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)アニリン及び5-ブロモ-N-フェニルニコチンアミド化合物の合成を示す概略図である。
図8】5-(5-((フェニルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン及び5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-N-フェニルニコチンアミド化合物の合成を示す概略図である。
図9】5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
図10】5-(5-((3-アルコキシベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
図11】5-(5-(((複素環)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
図12】5-(5-((フェニルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン誘導体の合成を示す概略図である。
図13】置換ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オンピリジル(ベンジルアミン)化合物の合成を示す概略図である。
図14】5-(5-(1-アミノ-2-フェニルエチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
図15】5-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
図16】3-(ベンジルアミノ)-5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン1-オキシド化合物の合成を示す概略図である。
図17】ベンジルアミノピリジニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン化合物の合成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、以下の構造を有する式(I)の化合物:
またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物であって、
式中、
及びRが、独立して任意に存在し、存在する場合は、各々が独立して、置換または非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり、
が、H、置換もしくは非置換C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、-CF、または-OCFであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、カルボニルを形成する酸素、または置換もしくは非置換C-Cアルキルであり、
が、NH、カルボニル、または任意に置換された分岐もしくは非分岐C-Cアルキルであり、
が、任意に存在し、存在する場合は、ピリジンN-酸化物を形成する酸素であり、
が、単結合または二重結合であり、
Xが、C、CH、O、またはNであり、
Yが、結合、NH、または分岐もしくは直鎖C-C置換もしくは非置換アルキルであり、
Zが、H、または置換もしくは非置換アリール、ビアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、もしくはアルキルであり、置換基が、ヒドロキシル、-CF、-OCF、ハロゲン、ニトリル、アリール、C-Cアルコキシ、アミド、アミノ、アルキル、アミノカルボキサミド、置換もしくは非置換カルボキサミド、またはC-Cアルキルエステルから選択される、
化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、酸化物、もしくは溶媒和物に関する。
【0022】
上記及び本発明の明細書全体で使用される場合、以下の用語は、特に指定のない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。本明細書で特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、この技術が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0024】
「アルキル」という用語は、鎖中に約1~約6個の炭素原子(またはnが炭素原子の数値範囲である「Cn-」で示される炭素の数)を有する、直鎖または分岐であり得る脂肪族炭化水素基を意味する。分岐とは、メチル、エチル、またはプロピルなどの1つ以上の低級アルキル基が直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、及び3-ペンチルが含まれる。
【0025】
「アルコキシ」という用語は、酸素を介して親構造に結合している、直線、分岐、または環状配置及びそれらの組み合わせの1~6個の炭素原子の基を意味する。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。アルコキシには、メチレンジオキシ及びエチレンジオキシも含まれ、各酸素原子は、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基がペンダントされている原子、鎖、または環と結合し、それによって環を形成する。したがって、例えば、アルコキシによって置換されたフェニルは、例えば、
であり得る。
【0026】
「シクロアルキル」という用語は、約3~約7個の炭素原子、または約5~約7個の炭素原子の非芳香族、飽和もしくは不飽和、単環式もしくは多環式環系を意味し、少なくとも1つの二重結合を含み得る。例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロフェニル、抗ビシクロプロパン、及びシントリシクロプロパンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「アリール」という用語は、6~約19個の炭素原子または6~約10個の炭素原子の芳香族単環式または多環式(multi-cyclic)(多環式(polycyclic))環系を意味し、アリールアルキル基を含む。アリール基の環系は、任意に置換され得る。本発明の代表的なアリール基には、フェニル、ナフチル、アズレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニル、ピレニル、トリフェニレニル、クリセニル、及びナフタセニルなどの基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ビアリール」という用語には、ビフェニルなどの従来のビアリール基だけでなく、その縮合変異体、そのナフチル含有変異体及びヘテロ原子含有変異体、ならびにそのベンズヒドリル変異体が含まれる。
【0029】
「ヘテロアリール」という用語は、約5~約19個の環原子、または約5~約10個の環原子の芳香族単環式もしくは多環式環系を意味し、そこで、環系内の原子のうちの1つ以上は、例えば、窒素、酸素、または硫黄などの炭素以外の元素(複数可)である。多環式環系の場合、環系が「ヘテロアリール」として定義されるためには、環のうちの1つだけが芳香族である必要がある。好ましいヘテロアリールは、約5~6個の環原子を含有する。ヘテロアリールの前の接頭辞であるアザ、オキサ、チア、またはチオは、少なくとも窒素、酸素、または硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール環中の窒素、炭素、または硫黄原子は、任意に酸化され得、窒素は、任意に四級化され得る。代表的なヘテロアリールには、ピリジル、2-オキソ-ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、2-オキソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジン、キノキサリニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,2,3]トリアジニル、ベンゾ[1,2,4]トリアジニル、4H-クロメニル、インドリジニル、キノリジニル、6aH-チエノ[2,3-d]イミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[3,2-b]ピリジニル、フロ[2,3-b]ピリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、フロ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピラジニル、5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジニル、6,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[5,1-c][1,4]オキサジニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、3,3-ジメチル-2-オキソインドリニル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、3-オキソ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-2(3H)-イルなどが含まれる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「複素環」は、炭素原子、ならびに窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子の安定した3~18員環(ラジカル)を指す。複素環は、単環式または多環式環系であり得、これには、縮合、架橋、またはスピロ環系が含まれ得、複素環中の窒素、炭素、または硫黄原子は任意に酸化され得、窒素原子は、任意に四級化され得、環は、部分的または完全に飽和され得る。そのような複素環の例には、アゼピニル、アゾカニル、ピラニルジオキサニル、ジチアニル、1,3-ジオキソラニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピロリジニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、及びチアモルホリニルスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
さらなる複素環及びヘテロアリールは、Katritzky et al.,eds.,Comprehensive Heterocyclic Chemistry:The Structure,Reactions,Synthesis and Use of Heterocyclic Compounds,Vol.1-8,Pergamon Press,N.Y.(1984)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
本明細書で使用される「カルボキサミド」または「アミド」という用語は、C(O)NRを指し、式中、R及びRは各々独立して、水素、アルキル、または任意の他の好適な置換基である。
【0033】
「アミノカルボキサミド」という用語は、NHXC(O)NRを意味し、式中、Xは、フェニルまたは複素環であり、R及びRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、または任意の他の化学的に好適な置換基である。
【0034】
「置換または非置換」及び「任意に置換された」という句は、基が、基の各置換可能な原子(単一の原子上の2つ以上の置換基を含む)に置換基を有し得る(ただし必ずしもそうではない)ことを意味し、各置換基の同一性は、その他のものから独立している。
【0035】
「置換される」という用語は、指定された原子の通常の原子価を超えないという条件で、指定された原子上の1つ以上の水素が、示される基からの選択で置き換えられることを意味する。「非置換」原子は、それらの原子価によって決まる全ての水素原子を有する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2つの水素が置き換えられる。置換基及び/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物をもたらす場合にのみ許容可能である。「安定した化合物」とは、反応混合物及び製剤から有効な治療剤への有用な純度の単離まで生き残るのに十分にロバストな化合物を意味する。
【0036】
「本発明の化合物」及び同等の表現は、本明細書に記載される化合物を意味し、その表現には、文脈が許す限り、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、酸化物、及び媒和物、例えば、水和物が含まれる。
【0037】
本明細書に開示される化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じ得る。各キラル中心は、絶対立体化学に関して(R)-または(S)-として定義され得る。本発明は、ラセミ形態及び光学的に純粋な形態を含む、全てのそのような可能な異性体、ならびにそれらの混合物を含むことを意味する。光学的に活性な(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製することができるか、または従来の技術を使用して分割することができる。全ての互変異性形態も含まれることが意図される。
【0038】
当業者によって理解されるように、「化合物」の列挙は、その化合物の塩、溶媒和物、酸化物、及び包接錯体、ならびに任意の立体異性体形態、または任意の比率にあるそのような任意の形態のその化合物の混合物を含むことが意図される。したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、薬学的組成物、治療方法、及び化合物それ自体の文脈を含む、本明細書に記載される化合物は、塩形態として提供される。
【0039】
「溶媒和物」という用語は、好適な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれている、固体状態の化合物を指す。治療的投与に好適な溶媒は、投与された用量で生理学的に許容可能である。治療的投与に好適な溶媒の例は、エタノール及び水である。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物と称される。一般に、溶媒和物は、化合物を適切な溶媒に溶解し、冷却または貧溶媒を使用して溶媒和物を単離することにより形成される。溶媒和物は、典型的には、周囲条件下で乾燥または共沸される。
【0040】
包接錯体は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.1:176-177(1995)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。最も一般的に使用される包接錯体は、シクロデキストリンを有するものであり、天然及び合成の全てのシクロデキストリン錯体は、本発明によって具体的に包含される。
【0041】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無機酸または無機塩基ならびに有機酸及び有機塩基を含む、薬学的に許容される非毒性の酸または塩基から調製される塩を含む。
【0042】
「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答などを起こさずに、ヒト及び下等動物の細胞と接触させて使用するのに好適であり、かつ合理的な利益/リスク比と釣り合う塩を指す。
【0043】
式(I)の化合物の一実施形態では、
及びRが、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
が、単結合であり、
Xが、Nである。
【0044】
この実施形態によれば、Zは、ヒドロキシル、-OCF、非置換フェニル環、またはハロゲン、ニトリル、ベンゼン環、C-Cアルコキシ、もしくは-CONHで置換されたフェニル環であり得る。本実施形態の化合物には、限定されないが、
が含まれる。
【0045】
さらなる実施形態では、Zは、ピリジニル及びナフタレンから選択され得る。本実施形態の化合物には、限定されないが、
が含まれる。
【0046】
いくつかの実施形態では、Yは、結合、CH、CH(CH)、CHCH、CHCH(CH)、及びCH(CH)CHから選択され得る。さらに、他の実施形態では、Yは、二重結合酸素で置換されてカルボニルを形成するCアルキルである。
【0047】
式(I)の化合物の別の実施形態では、
及びRが、Hであり、
が、NHであり、
Yが、CHまたはCH(CH)であり、
Xが、CHまたはNであり、
Zが、非置換フェニル環またはハロゲンで置換されたフェニル環である。
【0048】
この実施形態によれば、化合物は、
から選択され得る。
【0049】
式(I)の化合物のさらなる実施形態では、
が、CHであり、
が、Hであり、
が、NHであり、
Yが、CHまたはCH(CH)であり、
Xが、Nである。
【0050】
例示的な化合物には、限定されないが、
が含まれる。
【0051】
式(I)の化合物のさらなる実施形態では、
が、Hであり、
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
Yが、CHであり、
Zが、ヘテロアリールである。
【0052】
この実施形態によれば、化合物は、
から選択され得る。
【0053】
式(I)の化合物の別の実施形態では、
が、Hであり、
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、置換または非置換C-Cアルキルであり、
Zが、非置換フェニル環、またはハロゲンもしくはメトキシで置換されたフェニル環である。
【0054】
この実施形態によれば、化合物は、
から選択され得る。
【0055】
式(I)の化合物のさらに別の実施形態では、
が、Hであり、
が、カルボニルであり、
が、NHであり、
Yが、CHであり、
Zが、フェニル環である。
【0056】
この実施形態によれば、化合物は、
から選択され得る。
【0057】
本発明の別の態様は、細胞におけるキナーゼの活性を阻害する方法に関する。この方法は、細胞内のキナーゼの活性を阻害するのに有効な条件下で、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む。
【0058】
一実施形態では、二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ(「DYRK」)である。キナーゼは、二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ1A(「DYRK1A」)であり得る。
【0059】
細胞は、哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物細胞には、例えば、マウス、ハムスター、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマ、サル、イヌ(例えば、カニス・ファミリアリス(Canis familiaris))、ネコ、ウサギ、モルモット、及びヒトを含む霊長類からの細胞が含まれる。例えば、細胞は、ヒト細胞であり得る。
【0060】
一実施形態では、細胞は、膵臓ベータ細胞である。必要な場合、細胞が膵臓ベータ細胞表現型を有するかどうかを決定する方法は、当該技術分野で知られており、限定されないが、細胞をグルコースとともにインキュベートし、細胞におけるインスリン発現が増加または誘導されるかどうかを試験することを含む。他の方法には、ベータ細胞特異的転写因子が発現されるかどうかを試験すること、RNA定量的PCRの補助によるベータ細胞特異的遺伝子生成物の検出、糖尿病マウスにおける候補細胞の移植、ならびに当該移植後の生理学的応答をその後に試験すること及び電子顕微鏡で細胞を分析することが含まれる。
【0061】
別の実施形態では、細胞は、がん細胞である。
【0062】
さらに別の実施形態では、細胞は、神経細胞である。
【0063】
本発明の方法は、エクスビボまたはインビボで実施され得る。エクスビボで実施される場合、細胞の集団は、一実施形態によれば、膵臓から細胞を得て、哺乳動物細胞、特にヒト細胞のインビトロまたはエクスビボ培養に好適な液体培地で細胞を培養することによって提供され得る。例えば、限定されないが、好適で非限定的な培養培地は、InvitrogenからのRPMI1640などの市販の培地に基づくことができる。
【0064】
本発明のさらなる態様は、膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させる方法に関する。この方法は、膵臓ベータ細胞の集団を、膵臓ベータ細胞の集団における細胞増殖を増加させるのに有効な条件下で、式(I)の化合物と接触させることを含む。
【0065】
一実施形態では、接触は、化合物を含む組成物(すなわち、単一の組成物)を用いて実施される。
【0066】
方法は、膵臓ベータ細胞の集団を、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤と接触させることをさらに含み得る。本実施形態によれば、方法は、化合物及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤を含む組成物を用いて実施され得る。別の実施形態では、式(I)の化合物及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は別個に、膵臓ベータ細胞の集団と同時にまたは順番に接触する。
【0067】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤には、小分子及び受容体のBMPファミリーの他(例えば、中和モノクローナル抗体、合成/組み換えペプチド阻害剤、及びsiRNA)の阻害剤、アクチビン及びインヒビン受容体、ならびにGDF11受容体及び関連受容体が含まれる。
【0068】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤がさらに当該技術分野で知られており、限定されないが、SB431542、SB505124、A-83-01、デコリン、可溶性TGF-β受容体、エルデリムマブ、メテリムマブ、AP-12009、フォリスタチン、FLRG、GAST-1、GDF8プロペプチド、MYO-029、ノギン、コーディン、Cer/Dan、エクトジン、及びスクレロスチンを含む(Tsuchida et al.,“Inhibitors of the TGF-beta Superfamily and their Clinical Applications,”Mini Rev.Med.Chem.6(11):1255-61(2006)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0069】
TGF-βシグナル伝達の他の阻害剤には、2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1,5ナフチリジン、[3-(ピリジン-2-イル)-4-(4-キノイル)]-1H-ピラゾール、3-(6-メチルピリジン-2-イル)-4-(4-キノリル)-1-フェニルチオカルバモイル-1H-ピラゾール、SB-431542、SM16、SB-505124、及び2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1,5ナフチリジン(ALK5阻害剤II)が挙げられるが、これらに限定されない(参照により全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第8,298,825号を参照されたい)。
【0070】
TGF-βシグナル伝達の阻害剤は、Callahan et al.,J.Med.Chem.45:999-1001(2002)、Sawyer et al.,J.Med.Chem.46:3953-3956(2003)、Gellibert et al.,J.Med.Chem.47:4494-4506(2004)、Tojo et al.,Cancer Sci.96:791-800(2005)、Valdimarsdottir et al.,APMIS 113:773-389(2005)、Petersen et al.,Kidney International 73:705-715(2008)、Yingling et al.,Nature Rev.Drug Disc.3:1011-1022(2004)、Byfield et al.,Mol.Pharmacol.65:744-752(2004)、Dumont et al.,Cancer Cell 3:531-536(2003)、PCT公開第WO2002/094833号、PCT公開第WO2004/026865号、PCT公開第WO2004/067530号、PCT公開第WO2009/032667号、PCT公開第WO2004/013135号、PCT公開第WO2003/097639号、PCT公開第WO2007/048857号、PCT公開第WO2007/018818号、PCT公開第WO2006/018967号、PCT公開第WO2005/039570号、PCT公開第WO2000/031135、PCT公開第WO1999/058128号、米国特許第6,509,318号、米国特許第6,090,383号、米国特許第6,419,928号、米国特許第9,927,738号、米国特許第7,223,766号、米国特許第6,476,031号、米国特許第6,419,928号、米国特許第7,030,125号、米国特許第6,943,191号、米国特許出願公開第2005/0245520号、米国特許出願公開第2004/0147574号、米国特許出願公開第2007/0066632号、米国特許出願公開第2003/0028905号、米国特許出願公開第2005/0032835号、米国特許出願公開第2008/0108656号、米国特許出願公開第2004/015781号、米国特許出願公開第2004/0204431号、米国特許出願公開第2006/0003929号、米国特許出願公開第2007/0155722号、米国特許出願公開第2004/0138188号、及び米国特許出願公開第2009/0036382号に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0071】
TGF-βシグナル伝達の例示的な阻害剤には、AP-12009(TGF-β II型受容体アンチセンスオリゴヌクレオチド)、レルデリムマブ(CAT 152、TGF-β II型受容体に対する抗体)GC-1008(ヒトTGF-βの全てのアイソフォームに対する抗体)、ID11(マウスTGF-βの全てのアイソフォームに対する抗体)、可溶性TGF-β、可溶性TGF-β II型受容体、ジヒドロピロロイミダゾール類似体(例えば、SKF-104365)、トリアリールイミダゾール類似体(例えば、SB-202620(4-(4-(4-フルオロフェニル)-5-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)安息香酸)及びSB-203580(4-(4-フルオロフェニル)-2-(4-メチルスルフィニルフェニル)-5-(4-ピリジル)-1H-イミダゾール))、RL-0061425、1,5-ナフチリジンアミノチアゾール及びピラゾール誘導体(例えば、4-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-(1,5-ナフチリジン-2-イル)-1,3-チアゾール-2-アミン及び2-[3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)、SB-431542(4-(5-ベンゾール[1,3]ジオキソール-5-イル-4-ピリジン-2-イル-1H-イミダゾール-2-イル)-ベンズアミド)、GW788388(4-(4-(3-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ベンズアミド)、A-83-01(3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド)、デコリン、レフティ1、レフティ2、フォリスタチン、ノギン、コーディン、ケルベロス、グレムリン、インヒビン、BIO(6-ブロモ-インジルビン-3’-オキシム)、Smadタンパク質(例えば、SMAD6、Smad7)、ならびにシスタチンCが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
TGF-βシグナル伝達の阻害剤にはまた、TGF-β I型受容体を阻害する分子も含まれる。TGF-β I型受容体の阻害剤には、可溶性TGF-β I型受容体、AP-11014(TGF-β受容体 I型アンチセンスオリゴヌクレオチド)、メテリムマブ(CAT 152、TGF-β I型受容体抗体)、LY550410、LY580276(3-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジヒドロ-2-(6-メチルピリジン-2-イル)-4H-ピロロ[1,2-b]ピラゾール)、LY364947(4-[3-(2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-4-イル]-キノリン)、LY2109761、LY573636(N-((5-ブロモ-2-チエニル)スルホニル)-2,4-ジクロロベンズアミド)、SB-505124(2-(5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-2-tert-ブチル-3H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン)、SD-208(2-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-[(4-ピリジル)アミノ]プテリジン)、SD-093、KI2689、SM16、FKBP12タンパク質、及び3-(4-(2-(6-メチルピリジン-2-イル)H-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)キノリン-7-イルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
TGF-β受容体I型の阻害剤は、Byfield and Roberts,Trends Cell Biol.14:107-111(2004)、Sawyer et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.14:3581-3584(2004)、Sawyer et al.,J.Med.Chem.46:3953-3956(2003)、Byfield et al., Mol.Pharmacol.65:744-752(2004)、Gellibert et al.,J.Med.Chem.47:4494-4506(2004)、Yingling et al.,Nature Rev.Drug Disc.3:1011-1022(2004)、Dumont et al.,Cancer Cell 3:531-536(2003)、Tojo et al.,Cancer Sci.96:791-800(2005)、PCT公開第WO2004/026871号、PCT公開第WO2004/021989号、PCT公開第WO2004/026307号、PCT公開第WO2000/012497号、米国特許第5,731,424号、米国特許第5,731,144号、米国特許第7,151,169、米国特許出願公開第2004/00038856号、及び米国特許出願公開第2005/0245508号に記載され、これらは全て、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0074】
一実施形態では、TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤には、TGFβスーパーファミリーリガンド、受容体、及び/または下流シグナル伝達分子(例えば、SMAD)または核標的(例えば、クロマチン修飾錯体及び転写因子)が含まれる。
【0075】
一実施形態では、TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、例えば、TGFβリガンドを中和する抗血清であり得る。
【0076】
別の実施形態では、TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、TGFβ/TGFβ受容体結合、アクチビンまたはインヒビン/アクチビン受容体結合、及び骨形成タンパク質(BMP)/BMP受容体結合の阻害剤からなる群から選択される。
【0077】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、LY364947及びGW788388からなる群から選択されるTGFβ/TGFβ受容体結合の阻害剤であり得る。
【0078】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、SB431542及びAlk5阻害剤IIからなる群から選択されるアクチビンまたはインヒビン/アクチビン受容体結合の阻害剤であり得る。アクチビンまたインヒビン/アクチビン受容体結合の追加の例示的な阻害剤は、SB-505124、BYM388、フォリスタチン、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP)、フォリスタチンドメイン(すなわち、Fs2、Fs12、Fs123)、A-83-01、クリプト(Cripto)、GW788388、BAMBI、及びソタテルセプト(Sotatercept)からなる群から選択される(Byfield et al.,“SB-505124 is a Selective Inhibitor of Transforming Growth Factor-Beta Type I Receptors ALK4,ALK5,and ALK7,”Mol.Pharmacol.65(3):744-52(2004)、Lach-Trifilieffa et al.,“An Antibody Blocking Activin Type II Receptors Induces Strong Skeletal Muscle Hypertrophy and Protects from Atrophy,”Mol.Cell.Biol.34(4):606-18(2014)、Zhang et al.,“Inhibition of Activin Signaling Induces Pancreatic Epithelial Cell Expansion and Diminishes Terminal Differentiation of Pancreatic β-Cells,”Diabetes 53(8):2024-33(2004)、Harrington et al.,“Structural Basis for the Inhibition of Activin Signalling by Follistatin,”EMBO J.25(5):1035-45(2006)、Tojo et al.,“The ALK-5 Inhibitor A-83-01 Inhibits Smad Signaling and Epithelial-to-Mesenchymal Transition by Transforming Growth Factor-Beta,”Cancer Sci.96(11):790-800(2005)、Yan et al.,“Human BAMBI Cooperates with Smad7 to Inhibit Transforming Growth Factor-Beta Signaling,”J.Biol.Chem.284(44):30097-104(2009)、Tan et al.,“Targeted Inhibition of Activin Receptor-Like Kinase 5 Signaling Attenuates Cardiac Dysfunction Following Myocardial Infarction,”Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.298(5):H1415-25(2010)、及びGokoffski et al.,“Activin and GDF11 Collaborate in Feedback Control of Neuroepithelial Stem Cell Proliferation and Fate,”Develop.138(19):4131-42(2011)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0079】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、BMP/BMP受容体結合の阻害剤であり得る。BMP/BMP受容体結合の例示的な阻害剤は、LDN193189である。追加の例示的なBMP阻害剤は、ノギン、スクレロスチン、コーディン、CTGF、フォリスタチン、グレムリン、インヒビン、DMH1、DMH2、ドルソモルフィン、K02288、LDN212854、DM 3189、BMP-3、及びBAMBIからなる群から選択され得る(WO2014/018691(A1)、及びMohedas et al.,“Development of an ALK2-Biased BMP Type I Receptor Kinase Inhibitor,”ACS Chem. Biol.8(6):1291-302(2013)、Yan et al.,“Human BAMBI Cooperates with Smad7 to Inhibit Transforming Growth Factor-Beta Signaling,”J.Biol.Chem.284(44):30097-104(2009)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0080】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、SMADシグナル伝達経路阻害剤であり得る。例示的なSMADシグナル伝達経路阻害剤は、限定されないが、SMAD3 siRNA、SMAD 2/3 siRNA、PD169316、SB203580、SB202474、Smad3(SIS3)の特定の阻害剤、HSc025、及びSB525334を含む群から選択され得る(Qureshi et al.,“Smad Signaling Pathway is a Pivotal Component of Tissue Inhibitor of Metalloproteinases-3 Regulation by Transforming Growth Factor Beta in Human Chondrocytes,”BBA Mol.Cell Res.1783(9):1605-12(2008)、Hasegawa et al.,“A Novel Inhibitor of Smad-Dependent Transcriptional Activation Suppresses Tissue Fibrosis in Mouse Models of Systemic Sclerosis,”Arthritis Rheum.60(11):3465-75(2009)、及びRamdas et al.,“Canonical Transforming Growth Factor-β Signaling Regulates Disintegrin Metalloprotease Expression in Experimental Renal Fibrosis via miR-29,”Am.J.Pathol.183(6):1885-96(2013)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0081】
追加の例示的なSMADシグナル伝達経路阻害剤には、限定されないが、miR-100、LDN 193189、SMAD結合ペプチドアプタマー(例えば、Trx-FoxH1、Trx-Le1、Trx-CBP、Trx-SARA)、ピルフェニドン、及びLDN193189が含まれる(Fu et al.,“MicroRNA-100 Inhibits Bone Morphogenetic Protein-Induced Osteoblast Differentiation by Targeting Smad,”Eur.Rev.Med.Pharmacol.Sci.20(18):3911-19(2016)、Boergermann et al.,“Dorsomorphin and LDN-193189 Inhibit BMP-Mediated Smad,p38 and Akt signalling in C2C12 Cells,”Int.J.Biochem.Cell Biol.42(11):1802-7(2010)、Cui et al.,“Selective Inhibition of TGF-Responsive Genes by Smad-Interacting Peptide Aptamers from FoxH1,Lef1 and CBP,”Oncogene 24:3864-74(2005)、Zhao et al.,“Inhibition of Transforming Growth Factor-Beta1-Induced Signaling and Epithelial-to-Mesenchymal Transition by the Smad-Binding Peptide Aptamer Trx-SARA,”Mol. Biol.Cell 17:3819-31(2006)、Li et al.,“Oral Pirfenidone Protects Against Fibrosis by Inhibiting Fibroblast Proliferation and TGF-β Signaling in a Murine Colitis Model,”Biochem.Pharmacol.117:57-67 (2016)、及びCook et al.,“BMP Signaling Balances Murine Myeloid Potential Through SMAD-Independent p38MAPK and NOTCH Pathways,”Blood 124(3):393-402(2014)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0082】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、トライソラクス複合体の阻害剤であり得る。例示的なトライソラクス複合体阻害剤には、WDR5-0103、MI-1、MI-2、MI-2-2、MLS001171971-01、ML227、MCP-1、RBB5 siRNA、及びMLL1 siRNAが挙げられるが、これらに限定されない(Senisterra et al.,“Small-Molecule Inhibition of MLL Activity by Disruption of its Interaction with WDR5,”Biochem.J.449(1):151-9 (2013)、Cierpicki et al.,“Challenges and Opportunities in Targeting the Menin-MLL Interaction,”Future Med.Chem.6(4):447-62 (2014)、Lee et al.,“Roles of DPY30 in the Proliferation and Motility of Gastric Cancer Cells,”PLOS One 10(7):e0131863 (2015)、及びZhou et al.,“Combined Modulation of Polycomb and Trithorax Genes Rejuvenates β Cell Replication,”J.Clin.Invest.123(11):4849-4858(2013)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0083】
TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、ポリコーム抑制複合体2(「PRC2」)の阻害剤であり得る。例示的なPRC2阻害剤には、GSK926、EPZ005687、GSK126、GSK343、E11、UNC1999、EPZ6438、コンステレーション化合物3、EZH2 siRNA、及び3-デアザネプラノシンAが含まれる(Verma et al.,“Identification of Potent,Selective,Cell-Active Inhibitors of the Histone Lysine Methyltransferase EZH2,”ACS Med.Chem.Lett.3:1091-6(2012)、Xu et al.,“Targeting EZH2 and PRC2 Dependence as Novel Anticancer Therapy,”Exp.Hematol.43:698-712(2015)、Knutson et al.,“A Selective Inhibitor of EZH2 Blocks H3K27 Methylation and Kills Mutant Lymphoma Cells,”Nat.Chem.Biol.8:890-6 (2012)、Qi et al.,“Selective Inhibition of Ezh2 by a Small Molecule Inhibitor Blocks Tumor Cells Proliferation,”Proc.Natl Acad.Sci.USA 109:21360-65(2012)、McCabe et al.,“EZH2 Inhibition as a Therapeutic Strategy for Lymphoma with EZH2-Activating Mutations,”Nature 492:108-12(2012)、Nasveschuk et al.,“Discovery and Optimization of Tetramethylpiperidinyl Benzamides as Inhibitors of EZH2,”ACS Med.Chem.Lett.5:378-83(2014)、Brooun et al.,“Polycomb Repressive Complex 2 Structure with Inhibitor Reveals a Mechanism of Activation and Drug Resistance,”Nature Comm.7:11384 (2016)、Fiskus et al.,“Histone Deacetylase Inhibitors Deplete Enhancer of Zeste 2 and Associated Polycomb Repressive Complex 2 Proteins in Human Acute Leukemia Cells,”Mol.Cancer Ther.5(12):3096-104 (2006)、及びFiskus et al.,“Combined Epigenetic Therapy with the Histone Methyltransferase EZH2 Inhibitor 3-Deazaneplanocin A and the Histone Deacetylase Inhibitor Panobinostat Against Human AML Cells,”Blood 114(13):2733-43(2009)(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0084】
方法は、膵臓ベータ細胞の集団を、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト及び/またはジペプチジルペプチダーゼIV(「DDP4」)阻害剤と接触させることをさらに含み得る。この実施形態によれば、方法は、式(I)による化合物と、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニスト及び/またはDDP4阻害剤、ならびに任意にTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤とを含む組成物を用いて実施され得る。別の実施形態では、式(I)の化合物、GLP1Rアゴニスト、及び/またはDDP4阻害剤、及び任意にTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤はそれぞれ、膵臓ベータ細胞の集団と同時にまたは順番に接触する。
【0085】
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストは、食物摂取に応答して腸から放出されるインクレチンホルモンGLP-1の効果を模倣する。それらの効果には、インスリン分泌を増加させること、グルカゴン放出を減少させること、満腹感を増加させること、及び胃排出を遅延させることが含まれる。血液中のGLP1濃度を増強するための別のアプローチは、酵素DPP4によるその分解の防止である。GLP1受容体アゴニスト及びDDP4阻害剤は、2型糖尿病の治療のために最も広く使用される薬物のうちの1つである(Campbell et al.,“Pharmacology,Physiology and Mechanisms of Incretin Hormone Action,”Cell Metab.17:819-37 (2013)、Guo X-H.,“The Value of Short- and Long-Acting Glucagon-Like Peptide Agonists in the Management of Type 2 Diabetes Mellitus:Experience with Exenatide,”Curr.Med.Res.Opinion 32(1):61-76(2016)、Deacon et al.,“Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors for the Treatment of Type 2 Diabetes:Comparison,Efficacy and Safety,”Expert Opinion on Pharmacotherapy 14:2047-58(2013)、Lovshin,“Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists:A Class Update for Treating Type 2 Diabetes,”Can.J.Diabetes 41:524-35(2017)、及びYang et al.,“Lixisenatide Accelerates Restoration of Normoglycemia and Improves Human Beta Cell Function and Survival in Diabetic Immunodeficient NOD-scid IL2rg(null)RIP-DTR Mice Engrafted With Human Islets,”Diabetes Metab.Syndr.Obes.8:387-98(2015))。
【0086】
好適なGLP1Rアゴニストには、例えば、エクセナチド、リラグルチド、エクセナチドLAR、タスポグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、及びセマグルチドが挙げられるが、これらに限定されない。エクセナチド及びエクセナチドLARは、アメリカドクトカゲ(Heloderma suspectum)の唾液から得られる合成エキセンディン-4類似体である。リラグルチドは、皮下注射部位からの吸収を遅らせる七量体構造に自己会合するGLP-1のアシル化された類似体である。タスポグルチドは、天然GLP-1と3%の相同性を共有し、DPP-4分解に完全に耐性である。リキシセナチドは、ヒトGLP1Rアゴニストである。アルビグルチドは、DPP-4分解に対して耐性である長時間作用型GLP-1模倣体である。デュラグルチドは、長時間作用型GLP1類似体である。セマグルチドは、T2Dの使用に承認されたGLP1Rアゴニストである。臨床的に利用可能なGLP1Rアゴニストには、例えば、エクセナチド、リラグルチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドが含まれる。
【0087】
本発明の方法及び組成物のいくつかの実施形態では、GLP1Rアゴニストは、GLP1(7-36)、エクステンジン-4、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
追加の好適なGLP1アゴニストには、二置換-7-アリール-5,5-ビス(トリフルオロメチル)-5,8-ジヒドロピリミド[4,5-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン化合物及びその誘導体、例えば、7-(4-クロロフェニル)-1,3-ジメチル-5,5-ビス(トリフルオロメチル)-5,8-ジヒドロピリミド[4,5-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Nance et al.,“Discovery of a Novel Series of Orally Bioavailable and CNS Penetrant Glucagon-like Peptide-1 Receptor(GLP-1R)Noncompetitive Antagonists Based on a 1,3-Disubstituted-7-aryl-5,5-bis(trifluoromethyl)-5,8-dihydropyrimido[4,5-d]pyrimidine-2,4(1H,3H)-dione Core,”J.Med.Chem.60:1611-1616 (2017)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0089】
さらなる好適なGLP1アゴニストには、GLP1Rのポシティブアロステリック調節因子(「PAMS」)、例えば、(S)-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[l,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-2-シクロペンチル-N-((l-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[l,2-a]インドール-4-カルボキサミド、2-シクロペンチル-N-(((S)-1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、N-(((S)-1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-2-((S)-テトラフドロフラン-3-イル)-1,2-ジヒドロピラジノ[l,2-a]インドール-4-カルボキサミド、N-(((R)-1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-2-((S)-テトラフドロフラン-3-イル)-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-2-シクロペンチル-8-フルオロ-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-2-シクロペンチル-8-フルオロ-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-2-シクロペンチル-N-(((S)-1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-2-シクロペンチル-N-(((S)-1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-10-クロロ-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-10-クロロ-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-10-ブロモ-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-10-ブロモ-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-N-((l-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-10-シアノ-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[l,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-1-オキソ-10-ビニル-1,2-ジヒドロピラジノ[l,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(S)-N-((1-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-2-(ピリジン-3-イル)-l,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、(R)-N-((l-イソプロピルピロリジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-2-(ピリジン-3-イル)-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、N-(アゼチジン-2-イルメチル)-2-シクロペンチル-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、及び2-シクロペンチル-N-((1-イソプロピルアゼチジン-2-イル)メチル)-10-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロピラジノ[1,2-a]インドール-4-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩が含まれる(PCT公開第WO2017/117556号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0090】
好適なDDP4阻害剤には、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、及びアナグリプチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
一実施形態によれば、「膵臓ベータ細胞」は、初代ヒト膵臓ベータ細胞である。
【0092】
本発明の本方法及び他の方法を実施する一実施形態では、接触は、ベータ細胞死またはDNA損傷を誘導しない。さらに、接触は、ベータ細胞の分化を誘導し、グルコース刺激インスリン分泌を増加させ得る。
【0093】
別の実施形態では、方法は、細胞生存を増強するために実施される。例えば、方法は、未処理の細胞の集団と比較して、処理された細胞の集団の細胞生存を増強するために実施され得る。あるいは、方法は、未処理の細胞の集団と比較して、処理された細胞の集団の細胞死またはアポトーシスを減少させるために実施され得る。
【0094】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物及び担体を含む組成物に関する。
【0095】
組成物は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤をさらに含み得る。
【0096】
別の実施形態では、組成物は、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニストまたはジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤をさらに含み得る。
【0097】
担体は、薬学的に許容される担体であり得る。
【0098】
式(I)の化合物が、未加工の化学物質として投与されることが可能であり得るが、それらは、薬学的組成物として投与されてもよい。本発明の一実施形態によれば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、その1つ以上の薬学的担体、及び任意に1つ以上の他の治療成分と一緒に含む薬学的組成物が提供される。
【0099】
担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントに有害でないという意味において「許容され」なければならない。さらに、その「塩」もまた含む「化合物」という用語に関する本明細書の記述にも関わらず、「化合物」を引用する独立請求項は、独立請求項で化合物またはその薬学的に許容される塩に対して言及される場合、その塩も参照するとして理解されるように、従属請求項の塩に対して明示的な言及がされていなくても、そのような化合物を指すその独立請求項に従属する請求項はまた、化合物の薬学的に許容される塩を含むことが理解されるであろう。
【0100】
製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、及び関節内を含む)、直腸、及び局所(皮膚、頬側、舌下、及び眼内を含む)投与に好適なものが含まれる。最も好適な経路は、レシピエントの状態及び障害に依存し得る。製剤は、好都合に単位剤形で提供することができ、薬学の分野において周知である方法のうちのいずれかによって調製することができる。そのような方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(「活性成分」)を、1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要な場合、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0101】
経口投与に好適な製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の単位として、粉末もしくは顆粒として、水性液体または非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として提供されてもよい。活性成分はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして提供されてもよい。
【0102】
錠剤は、圧縮または成形によって、任意に1つ以上の副成分とともに、作製され得る。圧縮された錠剤は、好適な機械内で、任意に、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、滑沢剤、表面活性剤、または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することよって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は、任意に、コーティングされるか、または切れ目を入れられてもよく、その中の活性成分の除法、遅延、または制御された放出を提供するように製剤化され得る。
【0103】
薬学的組成物は、「薬学的に許容される不活性担体」を含むことができ、この表現は、例えば、限定されないが、デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む、1つ以上の不活性賦形剤を含むことが意図される。所望である場合、開示される組成物の錠剤投与量は、標準的な水性または非水性技術によってコーティングされ得る。「薬学的に許容される担体」はまた、制御放出手段を包含する。
【0104】
薬学的組成物はまた、任意に、他の治療成分、固化防止剤、保存剤、甘味剤、着色剤、香料、乾燥剤、可塑剤、染料などを含んでもよい。そのような任意の成分は、製剤の安定性を保証するために、式(I)の化合物と適合性でなければならない。組成物は、必要な場合、例えば、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノース、マルチトール、メレジトース、スタキオース、ラクチトール、パラチナイト、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトールなどを含む他の添加剤、及びその水和物、ならびにアミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、及びベタイン、ならびにペプチド及びタンパク質、例えば、アルブメン(albumen)を含有し得る。
【0105】
薬学的に許容される担体及び薬学的に許容される不活性担体及び前述の追加の成分として使用するための賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、抗細菌剤、及びコーティング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
成人の用量範囲は様々であるが、一般的には経口で約0.005mg~10g/日であり得る。個別の単位で提供される錠剤または他の形態の提示は、そのような投与量またはその複数として、例えば、5mg~500mg、または約10mg~200mgを含有する単位で有効である式(I)の化合物の量を好都合に含有し得る。患者に投与される化合物の正確な量は、主治医の責任である。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢及び性別、治療されている正確な障害、及びその重症度を含むいくつかの要因に依存するであろう。
【0107】
投与量単位(例えば、経口投与量単位)は、例えば、1~30mg、1~40mg、1~100mg、1~300mg、1~500mg、2~500mg、3~100mg、5~20mg、5~100mg(例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg)の本明細書に記載される化合物を含み得る。
【0108】
薬学的組成物及びそれらの製剤についてのさらなる情報は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0109】
薬剤は、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、局所、舌下、関節内(関節中)、皮内、頬側、眼(眼内を含む)、鼻腔内(カニューレの使用を含む)で、または他の経路によって投与することができる。薬剤は、例えば、所定量の活性成分、ゲル、ペレット、ペースト、シロップ、ボーラス、舐剤、スラリー、カプセル、粉末、顆粒を含有する錠剤またはカシェ剤として、水性液体または非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、水中油型液体乳剤または油中水型液体乳剤として、ミセル製剤を介して(例えば、PCT公開第WO97/11682号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、リポソーム製剤を介して(例えば、欧州特許第736299号、PCT公開第WO99/59550号、及びPCT公開第WO97/13500号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、PCT公開第WO03/094886号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている製剤を介して、またはいくつかの他の形態で、経口で投与することができる。薬剤はまた、経皮的に投与することもできる(すなわち、リザーバー型またはマトリックス型パッチ、マイクロニードル、サーマルポレーション、皮下注射針、イオントフォレシス、電気穿孔法、超音波、もしくは他の形態のソノフォレシス、ジェット注射、または前述の方法のうちのいずれかの組み合わせ(Prausnitz et al.Nature Reviews Drug Discovery 3:115 (2004)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を介する)。薬剤は、局所的に投与することができる。
【0110】
薬剤は、坐剤の形態で、または他の膣手段もしくは直腸手段によって投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO90/07923号に記載されているように、膜貫通製剤で投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,485,706号に記載されている脱水粒子を介して非侵襲的に投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO02/49621号に記載されているように、腸溶性コーティング薬物製剤で投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,179,079号に記載されている製剤を使用して、鼻腔内投与することができる。非経口注射に好適な製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO00/62759号に記載されている。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0206939号及びPCT公開第WO00/06108号に記載されているカゼイン製剤を使用して投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0034536号に記載されている粒子状製剤を使用して投与することができる。
【0111】
薬剤は、単独で、または他の好適な成分と組み合わせて、気管内滴下(シリンジによる肺への溶液の送達)、リポソームの気管内送達、充填(シリンジによる粉末製剤または任意の他の同様の装置の肺への投与)、及びエアロゾル吸入を含むがこれらに限定されないいくつかの技法を利用して、肺経路によって投与することができる。エアロゾル(例えば、ジェットまたは超音波ネブライザ、定用量吸入器(「MDI」)、及び乾燥粉末吸入器(「DPI」))は、鼻腔内用途でも使用することができる。エアロゾル製剤は、気体媒体中の固体材料及び液滴の安定した分散液または懸濁液であり、ハイドロフルオロアルカン(HFA、すなわち、HFA-134a及びHFA-227、またはそれらの混合物)、ジクロロジフルオロメタン(または、推進剤11、12、及び/または114の混合物などの他のクロロフルオロカーボン推進剤)、プロパン、窒素などの加圧された許容される推進剤に投入され得る。肺製剤には、脂肪酸、及び糖類、キレート剤、酵素阻害剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤)、アジュバント(例えば、グリココール酸塩、サーファクチン、スパン85、及びナファモスタット)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウムまたはクロロブタノール)、及びエタノール(通常は、最大5重量%であるが、おそらく最大20重量%)などの透過増強剤が含まれ得る。エタノールは、計量バルブの機能を改善することができ、場合によっては分散体の安定性も改善することができるため、エアロゾル組成物に一般的に含まれる。
【0112】
肺製剤はまた、胆汁酸塩、ならびに参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,524,557号及びその中の参考文献に記載されているものを含むがこれらに限定されない、界面活性剤も含み得る。米国特許第6,524,557号に記載の界面活性剤、例えば、C-C16脂肪酸塩、胆汁塩、リン脂質、またはアルキル糖類は、それらのうちのいくつかがまた、製剤中の化合物の吸収を増強することが報告されている点で有利である。
【0113】
本発明ではまた、適切な担体とブレンドされ、乾燥粉末吸入器と関連して使用するように適合された治療有効量の活性化合物を含む乾燥粉末製剤も好適である。乾燥粉末製剤に添加され得る吸収促進剤には、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,632,456号に記載されているものが含まれる。参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO02/080884号は、粉末の表面改質のための新しい方法を記載している。エアロゾル製剤には、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,230,884号及び同第5,292,499号、PCT公開第WO017/8694号及び同第01/78696号、ならびに米国特許出願公開第2,003/019437号、同第2003/0165436号、及びPCT公開第WO96/40089号(植物油を含む)に記載されているものが含まれ得る。吸入に好適な徐放性製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2001/0036481号、同第2003/0232019号、及び同第2004/0018243号、ならびにPCT公開第WO01/13891号、同第02/067902号、同第03/072080号、及び同第03/079885号に記載されている。
【0114】
微粒子を含有する肺用製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO03/015750号、特許出願公開第2003/0008013号、及びPCT公開第WO00/00176号に記載されている。安定したガラス状の粉末を含有する肺製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0141945号及び米国特許第6,309,671号に記載されている。他のエアロゾル製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、欧州特許第1338272号、PCT公開第WO90/09781号、米国特許第5,348,730号及び同第6,436,367号、PCT公開第WO91/04011号、ならびに米国特許第6,294,153号及び同第6,290,987号に記載されており、それらはエアロゾルまたは他の手段を介して投与することができるリポソームベースの製剤を記載している。
【0115】
吸入用の粉末製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0053960号及びPCT公開第WO01/60341号に記載されている。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2001/0038824号に記載されているように、鼻腔内投与することができる。
【0116】
緩衝食塩水及び類似のビヒクル中の医薬溶液は、ネブライザでエアロゾルを生成するために一般的に用いられている。簡単なネブライザは、ベルヌーイの原理に基づいて動作し、空気または酸素の流れを用いて噴霧粒子を生成する。より複雑なネブライザは、超音波を用いて噴霧粒子を作成する。両方のタイプが当該技術分野で周知であり、Sprowls’American Pharmacy及びRemington’s The Science and Practice of Pharmacyなどの標準的な薬学の教科書に記載されている。
【0117】
エアロゾルを生成するための他の装置は、圧縮ガス、通常はハイドロフルオロカーボン及びクロロフルオロカーボンを用い、これらは、加圧容器内で医薬及び任意の必要な賦形剤と混合される。これらの装置も同様に、SprowlsやRemingtonなどの標準的な教科書に記載されている。
【0118】
薬剤は、リポソームに組み込まれて、半減期を改善することができる。薬剤はまた、ポリエチレングリコール(「PEG」)鎖にコンジュゲートすることができる。ペグ化の方法及びPEGコンジュゲート(PEGベースのヒドロゲル、PEG修飾リポソーム)を含有する追加の製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Harris and Chess,Nature Reviews Drug Discovery 2:214-221、及びその中の参考文献に見出され得る。薬剤は、ナノ渦巻状または渦巻状の送達ビヒクル(BioDelivery Sciences International)を介して投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,204,108号に記載されているような製剤を使用して、経粘膜的に(すなわち、膣、眼、または鼻などの粘膜表面にわたって)送達することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO88/01165に記載されているように、マイクロカプセルに製剤化することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0055496号、PCT公開第WO00/47203号、及び米国特許第6,495,120号に記載されている製剤を使用して口腔内投与することができる。薬剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO01/91728号に記載されているナノ乳剤製剤を使用して送達することができる。
【0119】
本発明の別の態様は、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態について対象を治療する方法に関する。この方法は、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態の治療を必要とする対象に、本発明の化合物または組成物を投与することを含む。
【0120】
一実施形態では、本発明の治療方法は、不十分なレベルのインスリン分泌について対象を治療するために、対象における膵臓ベータ細胞質量を増加させるのに有効な条件下で実施される。
【0121】
一実施形態では、化合物または組成物は、TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤と一緒にまたは同時に投与され得る。好適な形質転換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、上に詳細に記載されている。
【0122】
別の実施形態では、化合物または組成物は、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニストまたはジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤と一緒にまたは同時に投与され得る。好適なグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)アゴニストまたはジペプチジルペプチダーゼIV(DDP4)阻害剤は、上に詳細に記載されている。この実施形態によれば、投与は、不十分なレベルのインスリン分泌について対象を治療するために、対象における膵臓ベータ細胞質量の相乗的増加を引き起こすのに有効な条件下で実施される。
【0123】
本明細書で使用される場合、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態とは、対象が、血液中の正常なグルコースレベルを維持するのに必要とされるよりも低い血漿レベルのインスリンを生成し、その結果、不十分なインスリン分泌に関連する状態を有する対象が高血糖になる状態を意味する。そのような状態では、罹患した対象の膵臓ベータ細胞は、血液中のグルコースの正常な濃度の存在を維持するのに不十分なレベルのインスリンを分泌する(すなわち、正常血糖)。
【0124】
一実施形態によれば、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態のうちの1つは、インスリン抵抗性である。インスリン抵抗性は、対象の細胞がインスリンのグルコース低下作用に対して感受性がより低くなる状態である。筋肉及び脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は、グルコースの取り込み(したがって、グリコーゲン及びトリグリセリドとしてのグルコースの局所的貯蔵)を低減するが、肝細胞におけるインスリン抵抗性は、グリコーゲンの合成及び貯蔵を低減させ、グルコース生成の抑制及び血液中の放出の失敗をもたらす。インスリン抵抗性は、通常、インスリンのグルコース低下作用の低減を指す。しかしながら、インスリンの他の機能も影響され得る。例えば、脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は、脂質に対するインスリンの正常な影響を低減し、循環する脂質の取り込みの低減、及び貯蔵されたトリグリセリドの加水分解の増加をもたらす。これらの細胞において貯蔵された脂質の動員が増加すると、血漿中の遊離脂肪酸が上昇する。血中脂肪酸濃度の上昇、筋肉のグルコース取り込みの低減、及び肝臓のグルコース生成の増加は全て、血中グルコースレベルの上昇に寄与する。インスリン抵抗性が存在する場合、より多くのインスリンが膵臓から分泌される必要がある。この賠償的な増加が起こらない場合、血中グルコース濃度が増加し、II型糖尿病が発生する。
【0125】
別の実施形態によれば、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態のうちの1つは、糖尿病である。糖尿病は、大きく2種類の疾患:I型(T1D)及びII型(T2D)に分類することができる。「糖尿病」という用語は、I型糖尿病(T1D)、II型糖尿病(T2D)、妊娠糖尿病、先天性糖尿病、成人発症糖尿病(MODY)、嚢胞性線維症関連糖尿病、ヘモクロマトーシス関連糖尿病、薬物誘発性糖尿病(例えば、ステロイド糖尿病)、及び単一遺伝子糖尿病のうちのいくつかの形態を含む高血中グルコースレベルを患者が有する一群の代謝疾患を本明細書で指す。
【0126】
したがって、一実施形態では、対象は、I型糖尿病(T1D)、II型糖尿病(T2D)、妊娠糖尿病、先天性糖尿病、成人発症糖尿病(MODY)、嚢胞性線維症関連糖尿病、ヘモクロマトーシス関連糖尿病、薬物誘発性糖尿病、または単一遺伝子糖尿病のうちの1つ以上を有すると診断されている。
【0127】
別の実施形態によれば、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態は、代謝症候群である。代謝症候群は、概して、II型糖尿病及びアテローム性動脈硬化症の発症のリスクの増加に関連する異常群を定義するために使用される。関連する状態及び症状には、空腹時高血糖症(II型真性糖尿病もしくは空腹時グルコース障害、耐糖能障害、またはインスリン抵抗性)、高血圧;主に腰周りの脂肪沈着を伴う過体重を意味する、中心性肥満(内臓、男性型、またはリンゴ型肥満としても知られている);HDLコレステロールの減少;及びトリグリセリドの上昇が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
一実施形態では、対象は、代謝症候群またはインスリン抵抗性を有すると診断されている。
【0129】
不十分なレベルのインスリン分泌に関連し得る他の状態には、高尿酸血症、非アルコール性脂肪肝疾患に進行する脂肪肝(特に同時肥満の場合)、多嚢胞性卵巣症候群(女性における)、及び黒色表皮腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
正常範囲外の血中または血漿グルコースレベル、好ましくは高血糖症に関連する任意の疾患を含むがこれらに限定されない、関連する障害も、本発明の治療方法に従って治療され得る。したがって、「関連障害」という用語には、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、インスリン抵抗性、代謝症候群、食後高血糖、及び過体重/肥満が含まれる。そのような関連疾患はまた、異常な血中及び/または血漿インスリンレベルによって特徴付けることができる。
【0131】
本明細書に記載される方法は、ベータ細胞不全または欠乏に関連する状態を有する対象を治療するために実施され得る。そのような状態には、I型糖尿病(T1D)、II型糖尿病(T2D)、妊娠糖尿病、先天性糖尿病、成人発症糖尿病(MODY)、嚢胞性線維症関連糖尿病、ヘモクロマトーシス関連糖尿病、薬物誘発性糖尿病、または単一遺伝子糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。薬物誘発性糖尿病は、ベータ細胞に毒性のある薬物(例えば、ステロイド、抗うつ剤、第2世代抗精神病剤、及び免疫抑制剤)の使用によって引き起こされる状態に関する。例示的な免疫抑制薬には、コルチゾンファミリーのメンバー(例えば、プレドニゾン及びデキサメタソーム)、ラパマイシン/シロリムス、エベロリムス、及びカルシニューリン阻害剤(例えば、FK-506/タクロリムス)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
ベータ細胞欠乏に関連する追加の状態には、膵切除、部分膵切除、膵移植、及び膵島移植が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書に記載される方法は、II型糖尿病を発症するリスクのある対象を治療するために実施され得る。例えば、II型糖尿病を発症するリスクのある患者は、前糖尿病/代謝症候群を有する。II型糖尿病を発症するリスクのある患者は、うつ病、強迫性障害(「OCD」)などに対する選択的セロトニン再取り込み阻害剤(「SSRI」)を含むがこれらに限定されない向精神薬で治療されている場合がある。
【0134】
治療方法の実施において、式(I)の化合物またはそのような化合物を含有する組成物、及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、不十分なレベルのインスリン分泌に関連する状態について対象を治療するために、対象における膵臓ベータ細胞質量を増加させるのに有効な条件下で投与される。
【0135】
本明細書に記載される化合物もしくは組成物、及び/またはTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、対象における膵臓ベータ細胞質量を増加させるために投与され得、これにより対象におけるインスリン分泌レベルの増加がもたらされる。
【0136】
化合物及び/または組成物ならびにTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤は、式(I)の化合物及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤の両方を含む別個の薬学的組成物または単一の薬学的組成物として製剤化され得る。そのような薬学的組成物(複数可)は、治療的有効量の式(I)の化合物及び/またはTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤を含み得る。
【0137】
したがって、式(I)の化合物及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤の組み合わせまたは併用療法もしくは併用治療が投与され得る。「組み合わせ」または「併用療法」または「併用治療」という用語は、少なくとも2つの化合物が、対象に同時投与され、生物学的効果、この場合は相乗効果を引き起こす治療を意味する。併用療法では、少なくとも2つの薬物は、一緒にまたは別個に、同時にまたは逐次的に投与され得る。薬物が対象において相乗効果を生成し、対象の状態を改善する限り、同時投与は必須ではない。また、少なくとも2つの薬物は、異なる経路及びプロトコルを介して投与され得る。結果として、それらは一緒に製剤化されてもよいが、組み合わせの薬物はまた、別個に製剤化されてもよい。
【0138】
さらなる態様は、神経障害について対象を治療する方法に関する。この方法は、神経障害の治療を必要とする対象に、状態について対象を治療するのに有効な条件下で、式(I)の化合物を投与することを含む。
【0139】
対象は、糖尿病を有し得るか、及び/またはダウン症候群及び神経変性疾患のうちの1つ以上を有すると診断されている。
【0140】
治療方法の実施において、対象への化合物の投与は、化合物(複数可)(すなわち、式(I)のDYRK1A阻害剤及びTGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤)を含有する薬学的組成物を、対象における示された状態及び/または障害を治療するのに有効な化合物の量を意味する治療有効量で投与することを含み得る。そのような量は、概して、十分に当業者の対応範囲内でのいくつかの要因に従って変化する。これらには、特定の対象、ならびにその年齢、体重、身長、一般的な健康状態、及び病歴、使用される特定の化合物、ならびにそれが製剤化される担体及びそのために選択された投与経路、治療の長さまたは期間、ならびに治療されている状態の性質及び重症度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
投与は、典型的には、本明細書に記載される化合物の剤形を意味し、例えば、錠剤、糖衣錠、粉末、エリキシル、シロップ、懸濁液、噴霧、吸入剤錠剤、ロゼンジ、乳剤、溶液を含む液体製剤、顆粒、カプセル、及び坐剤、ならびにリポソーム製剤を含む注射用の液体製剤を含む薬学的に許容される剤形を投与することを含む。技術及び製剤は、一般に、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,latest editionに見出され得る。
【0142】
治療方法を実施することにおいて、薬物(すなわち、式(I)の化合物、及び任意に、TGFβスーパーファミリーシグナル伝達経路阻害剤)は、任意の適切な量で、任意の好適な担体物質に含有され得る。薬物は、組成物の総重量の最大99重量%の量で存在し得る。組成物は、経口、非経口(例えば、皮下、静脈内)、直腸、皮膚、鼻腔、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または眼の投与経路に好適な剤形で提供され得る。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、懸濁液、乳剤、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、水薬、浸透圧送達デバイス、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、噴霧、またはエアロゾルの形態であり得る。
【0143】
薬学的組成物は、投与直後に、または投与後の任意の所定時間もしくは期間に活性薬物を実質的に放出するように製剤化され得る。
【0144】
徐放性製剤には、(i)長期間にわたって体内で薬物(複数可)の実質的に一定の濃度を作り出す製剤、(ii)所定のラグタイム後、長期間にわたって体内で薬物(複数可)の実質的に一定の濃度を作り出す製剤、(iii)活性原薬の血漿中レベルの変動に関連する望ましくない副作用を同時に最小化しながら体内で比較的一定の有効な薬物レベルを維持することにより、所定期間の間、薬物(複数可)作用を持続する製剤、(iv)例えば、疾患組織もしくは器官に隣接するかまたはその中にある徐放性組成物の空間配置によって、薬物(複数可)作用を局在化する製剤、及び(v)特定の標的細胞型に薬物を送達するために担体または化学誘導体を使用することによって、薬物(複数可)作用を標的とする製剤が挙げられる。
【0145】
徐放性製剤の形態での薬物の投与は、薬物が、(i)狭い治療指数(すなわち、有害な副作用または毒性反応をもたらす血漿濃度と、治療効果をもたらす血漿濃度との差が小さい;一般に、治療指数(「TI」)は、中央値の致死量(LD50)と中央値の有効量(ED50)の比として定義される)、(ii)胃腸管の狭い吸収ウィンドウ、または(iii)血漿レベルを治療レベルに維持するために日中の頻繁な投与が必要とされるような非常に短い生物学的半減期、を有する場合に特に好ましい。
【0146】
制御放出を得る、すなわち、対象薬物の放出速度が代謝速度を超えるために、いくつかの戦略のうちのいずれかを遂行することができる。制御放出は、例えば、様々な種類の制御放出組成物及びコーティングを含む、様々な製剤パラメータ及び成分の適切な選択によって得ることができる。したがって、薬物は、投与されると薬物を制御された様式で放出する薬学的組成物に適切な賦形剤とともに、製剤化される(単一もしくは複数単位の錠剤またはカプセル組成物、油性溶液、懸濁液、乳剤、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソーム)。
【0147】
したがって、投与は、経口、局所、経皮、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内注入によって、腔内もしくは膀胱内注入によって、眼内、動脈内、病変内、または粘膜への適用によって実施され得る。化合物は、単独で、または好適な薬学的担体とともに投与することができ、錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、または乳剤などの固体または液体形態であり得る。
【0148】
対象は、哺乳動物対象であり得る。一実施形態では、対象は、ヒト対象である。好適なヒト対象には、ベータ細胞及び/インスリン欠乏を有する小児、成人、及び高齢者対象が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ネコ、ウマ、ネズミ、イヌ、ウサギなどであり得る。
【0150】
投与ステップは、対象における増殖性膵臓ベータ細胞の数を少なくとも約5%、6%、7%、またはそれ以上増加させ得る。
【0151】
投与は、対象の膵臓ベータ細胞におけるグルコース刺激インスリン分泌を増加させ得る。
【0152】
化合物の指定は、化合物自体、ならびにその任意の薬学的に許容される塩、水和物、異性体、ラセミ体、エステル、またはエーテルを指定することを意味する。化合物の指定は、それ自体具体的に指定された化合物、ならびにその任意の薬学的に許容される塩を指定することを意味する。
【0153】
本開示の文脈内で、「治療する」とは、予防的または治癒的治療を意味する。
【0154】
治療は、特に、グルコース恒常性障害の修正、変化率の低減、または低減を指定し得る。血液中のグルコースのレベルは、1日を通して変動する。グルコースレベルは、通常、朝、1日の最初の食事の前はより低く、食後に数時間上昇する。その結果、治療という用語は、正常なグルコースレベルに到達するために、対象の状態に応じて及び昼間に血中グルコースレベルを増加または減少させることによる血中グルコースレベルの制御を含む。より具体的には、治療という用語は、糖尿病または関連障害を有する対象における血中グルコースレベルの一時的または持続的な低減を含む。「治療」または「治療する」という用語はまた、インスリン放出の改善(例えば、膵臓ベータ細胞による)を指定する。
【0155】
本明細書で使用される場合、「血中グルコースレベルの制御」という語句は、異常なレベル(すなわち、正常なグルコース恒常性を有する対応する対象の既知の基準値、中央値、または平均値より下または上にあるレベル)を有する対象における血中または血漿グルコースレベルの正常化または調節を指す。
【0156】
実施例において本明細書で言及される化合物は、名称及び番号(例えば、1a)によっても参照される。数字に対応する構造を図1~6に特定する。例えば、化合物(1a)を図1に示す。
【実施例
【0157】
実施例1 ピリジン系DYRK1A阻害剤の合成
一般的な実験条件。空気感受性試薬を伴う全ての反応は、特に明記しない限り、磁気撹拌を用いて、かつアルゴン下でゴム隔壁を有するオーブン乾燥ガラス器具中で実施した。全て市販の化学物質及び試薬グレードの溶媒は、特に明記しない限り、さらに精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィー(TLC)を、UV光(254及び365nm)検出または視覚化剤(ニンヒドリンまたはホスホモリブジン酸染色)を使用して、Baker-flex(登録商標)シリカゲルプレート(IB2-F)上で実施し、フラッシュクロマトグラフィーを、Teledyne Isco CombiFlash(登録商標)Rfを使用してシリカゲル(230~400メッシュ)上で実施した。NMRスペクトルを、Bruker DRX-600分光計を使用して、Hについては600MHz、及び13Cについては150MHzにて室温で取得した。化学シフト(δ)は、溶媒シグナル
への言及とともに百万分率で示す。シグナルパターンは、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、quin(クインテット)、sex(セクステット)、sep(セプテット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)、dd(ダブレットのダブレット)、dt(トリプレットのダブレット)、td(ダブレットのトリプレット)、及びtt(トリプレットのトリプレット)として報告する。カップリング定数(J)は、Hzで示す。LCMS分析を、Agilent Technologies 1200 HPLCシステムに接続されたAgilent Technologies G1969A高分解能API-TOF質量分析計で行った。試料は、正イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)によりイオン化し、分子イオン[M]についてm/z(相対強度)として報告した。
【0158】
実施例2 N-ベンジルハロピリジンアミンの調製の一般的な手順-方法A
N-ベンジル-5-ヨードピリジン-2-アミン(3a)
無水1,2-ジクロロエタン(8mL)中の5-ヨードピリジン-2-アミン(1a)(200.0mg、0.91mmol)の溶液に、ベンズアルデヒド(2a)(0.09mL、0.91mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(250.5mg、1.18mmol)、及び酢酸(0.16mL、2.73mmol)を窒素下で添加した。得られた混合物を60℃で6.5時間撹拌した。HO(5mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85から30:70)により精製して、3a(103.8mg、37%)を白色の固体として得た。
【0159】
N-(4-フルオロベンジル-5-ヨードピリジン-2-アミン(3b)
上記化合物(3b)を、方法Aに従って1a及び2bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85から30:70)により精製して、3b(43%)を黄色の固体として得た。
【0160】
6-ブロモ-N-(4-フルオロベンジル)ピリジン-3-アミン(3c)
上記化合物(3c)を、方法Aに従って1b及び2bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85から30:70)により精製して、3c(36%)を褐色の油として得た。
【0161】
実施例3 N-ベンジルハロピリミジン-アミンの調製の一般的な手順-方法B
N-ベンジル-5-ブロモピリジン-3-アミン(5a)
無水アセトニトリル(10mL)中の5-ブロモピリジン-3-アミン(4a)(330.0mg、1.91mmol)の溶液に、ベンズアルデヒド(2a)(0.19mL、1.91mmol)、トリエチルシラン(1.62mL、10.11mmol)、及びトリフルオロ酢酸(0.82mL、10.68mmol)を窒素下で添加した。得られた混合物を16時間還流した。飽和NaHCO(5mL)でクエンチした後、水及びEtOAcを添加した。層を分離した。組み合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、5a(377.5mg、75%)を黄色の固体として得た。
【0162】
5-ブロモ-N-(4-フルオロベンジル)ピリジン-3-アミン(5b)
上記化合物(5b)を、方法Bに従って4a及び2bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、淡黄色の固体として5b(92%)を得た。
【0163】
N-ベンジル-5-ブロモ-2-メチルピリジン-3-アミン(5c)
上記化合物(5c)を、方法Bに従って4b及び2aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、5c(45%)を黄色の油として得た。
【0164】
5-ブロモ-N-(4-フルオロベンジル)-2-メチルピリジン-3-アミン(5d)
上記化合物(5d)を、方法Bに従って4b及び2bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、5d(34%)を黄色の油として得た。
【0165】
前述の中間体3a~b及び5a~dの合成スキームを図1に示す。
【0166】
ジ-tert-ブチル5-ブロモ-2-オキソ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,3(2H)-ジカルボキシレート(7)
THF(10mL)中の5-ブロモ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(0.5g、2.36mmol)の溶液に、(Boc)O(2.1g、9.44mmol)及びDMAP(0.3g、2.44mmol)を添加した。得られた混合物を室温で12時間撹拌した。HO(5mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、25:75)により精製して、7(0.95g、98%)を白色の固体として得た。
【0167】
5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オントリフルオロ酢酸塩(8a)
1,4-ジオキサン(15mL)中のジ-tert-ブチル5-ブロモ-2-オキソ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,3(2H)-ジカルボキシレート(7)(0.9g、2.18mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.1g、4.36mmol)、及びPd(dppf)Cl(90mg、0.11mmol)の溶液に、窒素下でKOAc(0.65g、6.54mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で12時間撹拌した。反応物を室温に冷却させ、セライトパッドを通して濾過した。EtOAc及び水を添加した。層を分離した。組み合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90)により精製して、中間体ジ-tert-ブチル2-オキソ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,3(2H)-ジカルボキシレートを白色の固体として得た。CHCl(10mL)中の中間体の溶液に、TFA(2.5mL)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、生成物(8a)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0168】
実施例4 フェニルボロン酸ピナコールエステルの調製の一般的な手順-方法C
5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール(10a)。
9a(150.0mg、0.76mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(291.4mg、1.15mmol)、KOAc(225.2mg、2.30mmol)、及びPdCl(dppf)・CHCl(65.5mg、0.07mmol)の混合物に、無水1,4-ジオキサン(5mL)を窒素下で添加した。反応物を予熱した油浴(80℃)に入れ、16時間撹拌した。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×15mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85)により精製して、10a(149.4mg、80%)を黄色の固体として得た。
【0169】
6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール(10b)
上記化合物(10b)を、方法Cに従って9bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85)により精製して、10b(72%)を白色の固体として得た。
【0170】
1-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(10c)
上記化合物(10c)を、方法Cに従って9cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、10c(64%)を淡褐色の固体として得た。
【0171】
1-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(10d)
上記化合物(10d)を、方法Cに従って9dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、10d(75%)を白色の固体として得た。
【0172】
5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリン-2-オン(10e)
上記化合物(10e)を、方法Cに従って9eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50)により精製して、10e(94%)を褐色の固体として得た。
【0173】
前述の中間体7、8a、及び10a~eの合成スキームを図2に示す。
【0174】
実施例5 ベンジミダゾロニル/インドリルベンジル複素環式アミンの調製の一般的な手順-方法D
5-(6-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(11a)
8a(26.6mg、0.07mmol)、3a(20.0mg、0.06mmol)、及びPd(PPh(7.4mg、0.006mmol)の混合物に、無水アセトニトリル(1mL)及び無水DMF(1mL)を窒素下で添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで1MのNaCO(0.19mL、0.19mmol)を添加した。混合物を予熱した油浴(90℃)に入れ、16時間撹拌した。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から10:90)により精製して、11a(5.6mg、25%)を黄色の固体として得た。
【0175】
5-(6-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(11b)
上記化合物(11b)を、方法Dに従って8a及び3bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から10:90)により精製して、11b(48%)を白色の固体として得た。
【0176】
5-(5-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(11c)
上記化合物(11c)を、方法Dに従って8a及び3cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、11c(38%)を黄色の固体として得た。
【0177】
N-(4-フルオロベンジル)-5-(1H-インドール-5-イル)ピリジン-2-アミン(11d)
上記化合物(11d)を、方法Dに従って10a及び3bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から80:20)により精製して、11d(39%)を白色の固体として得た。
【0178】
N-(4-フルオロベンジル)-5-(1H-インドール-6-イル)ピリジン-2-アミン(11e)
上記化合物(11e)を、方法Dに従って10b及び3bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、11e(46%)を白色の固体として得た。
【0179】
実施例6 ベンジミダゾロニル/インドリルベンジル複素環式アミンの調製の一般的な手順-方法E
5-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-N-(4-フルオロベンジル)ピリジン-2-アミン(12a)
マイクロ波反応バイアル中の10f(30.0mg、0.12mmol)、3b(40.3mg、0.12mmol)、及びPd(PPh(13.9mg、0.01mmol)の混合物に、無水アセトニトリル(1mL)及び無水DMF(1mL)、ならびに1MのNaCO(0.25mL、0.25mmol)を窒素下で添加した。反応混合物をマイクロ波条件下、160℃で10分間照射した。水の添加によってクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、12a(8.3mg、21%)を白色の固体として得た。
【0180】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(12b)
上記化合物(12b)を、方法Eに従って10d及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、12b(82%)を白色の固体として得た。
【0181】
5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(12c)
上記化合物(12c)を、方法Eに従って10c及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、12c(70%)を白色の固体として得た。
【0182】
5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(13a)
上記化合物(13a)を、方法Eに従って8b及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、13a(24%)を黄色の固体として得た。
【0183】
5-(5-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(13b)
上記化合物(13b)を、方法Eに従って8b及び5bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、13b(26%)を黄色の固体として得た。
【0184】
5-(5-(ベンジルアミノ)-6-メチルピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(13c)
上記化合物(13c)を、方法Eに従って8b及び5cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、13c(28%)を黄色の固体として得た。
【0185】
5-(5-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-メチルピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(13d)
上記化合物(13d)を、方法Eに従って8b及び5dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、13d(29%)を黄色の固体として得た。
【0186】
5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)インドリン-2-オン(13e)
上記化合物(13e)を、方法Eに従って10e及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、13e(69%)を淡黄色の固体として得た。
2つのプロトンピークは、メタノール-dピークに隠されている。
【0187】
前述の化合物11a~e、12a~c、及び13a~eの合成スキームを図3に示す。
【0188】
5-ブロモ-N-(ピリジン-2-イルメチル)ピリジン-3-アミン(15a)
上記化合物(15a)を、方法Bに従って4a及び14aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、15a(70%)を黄色の油として得た。
【0189】
5-ブロモ-N-(ピリジン-3-イルメチル)ピリジン-3-アミン(15b)
上記化合物(15b)を、方法Bに従って4a及び14bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、15b(78%)を黄色の固体として得た。
【0190】
5-ブロモ-N-(ピリジン-4-イルメチル)ピリジン-3-アミン(15c)
上記化合物(15c)を、方法Bに従って4a及び14cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、15c(29%)を黄色の油として得た。
【0191】
5-ブロモ-N-(2-フルオロベンジル)ピリジン-3-アミン(17a)
上記化合物(17a)を、方法Bに従って4a及び16aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、17a(98%)を黄色の油として得た。
【0192】
5-ブロモ-N-(3-フルオロベンジル)ピリジン-3-アミン(17b)
上記化合物( 17b)を、方法Bに従って4a及び16bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、17b(82%)を黄色の油として得た。
【0193】
5-ブロモ-N-(2-クロロベンジル)ピリジン-3-アミン(17c)
上記化合物(17c)を、方法Bに従って4a及び16cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、17c(96%)を黄色の固体として得た。
【0194】
5-ブロモ-N-(3-クロロベンジル)ピリジン-3-アミン(17d)
上記化合物(17d)を、方法Bに従って4a及び16dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、17d(94%)を黄色の油として得た。
【0195】
5-ブロモ-N-(4-クロロベンジル)ピリジン-3-アミン(17e)
上記化合物(17e)を、方法Bに従って4a及び16eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、17e(88%)を淡黄色の固体として得た。
【0196】
3-(((5-ブロモピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(17f)
上記化合物(17f)を、方法Bに従って4a及び16fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、17f(88%)を黄色の油として得た。
【0197】
4-(((5-ブロモピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(17g)
上記化合物(17g)を、方法Bに従って4a及び16gから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、17g(89%)を黄色の固体として得た。
【0198】
N-([1,1’-ビフェニル]-4-イルメチル)-5-ブロモピリジン-3-アミン(17h)
上記化合物(17h)を、方法Bに従って4a及び16hから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、17h(84%)を黄色の固体として得た。
【0199】
5-ブロモ-N-(4-メトキシベンジル)ピリジン-3-アミン(17i)
上記化合物(17i)を、方法Bに従って4a及び16iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、17i(71%)を淡黄色の固体として得た。
【0200】
3-(((5-ブロモピリジン-3-イル)アミノ)メチル)フェノール(17j)
上記化合物(17j)を、方法Bに従って4a及び16jから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、17j(79%)を淡黄色の固体として得た。
【0201】
5-ブロモ-N-(3-メトキシベンジル)ピリジン-3-アミン(17k)
上記化合物(17k)を、方法Bに従って4a及び16kから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、17k(95%)を黄色の油として得た。
【0202】
5-ブロモ-N-(3-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)ピリジン-3-アミン(17l)
上記化合物(17l)を、方法Bに従って4a及び16lから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、17l(99%)を黄色の油として得た。
【0203】
5-ブロモ-N-(ナフタレン-1-イルメチル)ピリジン-3-アミン(19a)
上記化合物(19a)を、方法Bに従って4a及び18aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から50:50)により精製して、19a(89%)を白色の固体として得た。
【0204】
5-ブロモ-N-(ナフタレン-2-イルメチル)ピリジン-3-アミン(19b)
上記化合物(19b)を、方法Bに従って4a及び18bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、19b(78%)を黄色の固体として得た。
【0205】
実施例7 N-ナフチルヨードピリミジン-アミンの調製の一般的な手順-方法F
5-ヨード-N-(ナフタレン-1-イルメチル)ピリジン-2-アミン(21a)
MeOH(2mL)中の5-ヨードピリジン-2-アミン(20a)(0.16g、0.64mmol)、1-ナフタルアルデヒド(18a)(0.1g、0.64mmol)、及び酢酸(4mg、0.064mmol)の溶液を、65℃で4時間撹拌した。室温に冷却した後、次いでNaBHCN(0.1g、1.96mmol.)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。2NのNaOH(1mL)を添加することによって反応物をクエンチし、CHClで抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、21aを固体(80mg、34%)として得た。
【0206】
6-ヨード-N-(ナフタレン-1-イルメチル)ピリジン-3-アミン(21b)
上記化合物(21b)を、方法Fに従って20b及び18aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、21b(44%)を固体として得た。
【0207】
5-ブロモ-N-フェニルピリジン-3-アミン(23)
化合物4a(100.0mg、0.58mmol)、フェニルボロン酸(22)(77.5mg、0.64mmol)、及び酢酸銅(II)(10.5mg、0.06mmol)を、無水1,2-ジクロロエタン(4mL)中に溶解した。反応物を室温で1時間撹拌し、開放バイアル中で16時間、次いで、追加量のフェニルボロン酸(22)(77.5mg、0.64mmol)を添加した。反応混合物を室温でさらに24時間撹拌した。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過した。水を添加し、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、23(64.4mg、45%)を黄色の固体として得た。
【0208】
5-ブロモ-N-(1-フェニルエチル)ピリジン-3-アミン(25)
無水DMF(3mL)中の4a(100.0mg、0.58mmol)の溶液に、60%のNaH(30.0mg、0.75mmol)を窒素下、0℃で添加し、30分間撹拌した。24(0.09mL、0.69mmol)を添加した。反応物を0℃で撹拌し、ゆっくりと室温に上昇させ、次いで50℃で16時間加熱した。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)より精製して、25(87.5mg、55%)を黄色の油として得た。
【0209】
実施例8 N-フェニルベンズアミド;N-(3-ブロモフェニル)ベンズアミド(27)の調製の一般的な手順-方法G
N-(3-ブロモフェニル)ベンズアミド(27)
無水DMF(6mL)中の4a(150.0mg、0.867mmol)、HATU(310.0mg、0.815mmol)、及び安息香酸(26)(70mg、0.570mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.18mL、1.01mmol)を窒素下で添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで1MのNaCO(0.19mL、0.19mmol)を添加した。反応混合物を80℃で16時間撹拌した。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、27(104.8mg、66%)を黄色の固体として得た。
【0210】
5-ブロモ-N-フェネチルピリジン-3-アミン(29a)
上記化合物(29a)を、方法Bに従って4a及び28から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、29a(24%)を黄色の固体として得た。
【0211】
5-ブロモ-N-(3-フェニルプロピル)ピリジン-3-アミン(29b)
上記化合物(29b)を、方法Bに従って4a及び28bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、29b(44%)を黄色の固体として得た。
【0212】
前述の中間体15a~c、17a~l、及び19a~b、21a~b、23、25、27、及び29a~bの合成スキームを図4に示す。
【0213】
5-(5-((2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30a)
上記化合物(30a)を、方法Eに従って8b及び17aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30a(19%)を黄色の固体として得た。
【0214】
5-(5-((3-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30b)
上記化合物(30b)を、方法Eに従って8b及び17bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30b(29%)を黄色の固体として得た。
【0215】
5-(5-((2-クロロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30c)
上記化合物(30c)を、方法Eに従って8b及び17cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30c(17%)を黄色の固体として得た。
【0216】
5-(5-((3-クロロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30d)
上記化合物(30d)を、方法Eに従って8b及び17dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30c(26%)を黄色の固体として得た。
【0217】
5-(5-((4-クロロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30e)
上記化合物(30e)を、方法Eに従って8b及び17eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30d(29%)を黄色の固体として得た。
【0218】
3-(((5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(30f)
上記化合物(30f)を、方法Eに従って8b及び17fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30f(29%)を黄色の固体として得た。
【0219】
4-(((5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(30g)
上記化合物(30g)を、方法Eに従って8b及び17iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30g(33%)を黄色の固体として得た。
【0220】
5-(5-(([1,1’-ビフェニル]-4-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30h)
上記化合物(30h)を、方法Eに従って8b及び17jから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30h(18%)を黄色の固体として得た。
【0221】
5-(5-((4-メトキシベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30i)
上記化合物(30i)を、方法Eに従って8b及び17kから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30i(22%)を淡黄色の固体として得た。
【0222】
5-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30j)
上記化合物(30j)を、方法Eに従って8b及び25から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30j(30%)淡黄色の固体として得た。
【0223】
5-(5-(フェネチルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30k)
上記化合物(30k)を、方法Eに従って8b及び29から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30k(36%)を黄色の固体として得た。
【0224】
N-(5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド(30l)
上記化合物(30l)を、方法Eに従って8b及び27から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、30l(36%)を黄色の固体として得た。
【0225】
5-(5-(フェニルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30m)
上記化合物(30m)を、方法Eに従って8b及び23から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、30m(27%)を褐色の固体として得た。
【0226】
1-メチル-6-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30n)
上記化合物(30n)を、方法Eに従って10d及び25から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、30n(68%)を淡黄色の固体として得た。
【0227】
1-メチル-6-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30o)
上記化合物(30o)を、方法Eに従って10e及び25から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、30o(58%)を淡褐色の固体として得た。
【0228】
5-(5-((3-フェニルプロピル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30p)
上記化合物(30p)を、方法Eに従って8b及び29bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、30p(28%)を淡褐色の固体として得た。
【0229】
6-(5-((2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30q)
上記化合物(30q)を、方法Eに従って10e及び17aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、30q(84%)を白色の固体として得た。
【0230】
6-(5-((2-クロロベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(30r)
上記化合物(30r)を、方法Eに従って10e及び17cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、30r(58%)を黄色の固体として得た。
【0231】
5-(5-((ピリジン-2-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31a)
上記化合物(31a)を、方法Eに従って8b及び15aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、31a(12%)を黄色の固体として得た。
【0232】
5-(5-((ピリジン-3-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31b)
上記化合物(31b)を、方法Eに従って8b及び15bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90:15:85)により精製して、31b(5%)を黄色の固体として得た。
【0233】
5-(5-((ピリジン-4-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31c)
上記化合物(31c)を、方法Eに従って8b及び15cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、31c(8%)を黄色の固体として得た。
【0234】
5-(5-((ナフタレン-1-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31d)
上記化合物(31d)を、方法Eに従って8b及び19aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、31d(24%)を黄色の固体として得た。
【0235】
5-(5-((ナフタレン-2-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31e)
上記化合物(31e)を、方法Eに従って8b及び19bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、31e(22%)を黄色の固体として得た。
【0236】
5-(5-アミノピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(31f)
上記化合物(31f)を、方法Eに従って8b及び4aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90から15:85)により精製して、31f(7%)を褐色の固体として得た。
【0237】
実施例9 5-(((ナフタレン-1-イルメチル)アミノ)ピリジニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オンの調製の一般的な手順-方法H
5-(6-((ナフタレン-1-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(32a)
DMF(2mL)及びHO(0.5mL)中の21a(40mg、0.11mmol)、8b(30mg、0.11mmol)、及びPd(dppf)Cl(10mg、0.011mmol)の溶液に、KPO(75mg、0.33mmol)を添加した。混合物を窒素下、90℃で12時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、20:80)により精製して、32aを得た。
【0238】
5-(5-((ナフタレン-1-イルメチル)アミノ)ピリジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(32b)
上記化合物(32b)を、方法Hに従って8b及び19aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、32bを淡黄色の固体として得た。
【0239】
前述の化合物30a~r、31a~f、及び32a~bの合成スキームを図5に示す。
【0240】
実施例10 (((5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンズアミドの調製の一般的な手順-方法I
3-(((5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド(33a)
無水DMF(0.2mL)中の30f(8.0mg、0.023mmol)及びKCO(1.0mg、0.007mmol)の混合物に、50%の過酸化水素(0.01mL)を0℃で添加した。反応物を0℃から室温で16時間撹拌した。反応物を濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物をエーテル及びヘキサンで洗浄して、33a(8.3mg、定量収率)を褐色の固体として得た。
【0241】
4-(((5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド(33b)
上記化合物(33b)を、方法Iに従って30gから調製し、33b(99%)を黄色の固体として得た。
【0242】
前述の化合物33a~bの合成スキームを図6に示す。
【0243】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)アニリン(36)
上記化合物(36)を、方法Bに従って34及び35から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80)により精製して、36(86%)を黄色の油として得た。
【0244】
5-ブロモ-N-フェニルニコチンアミド(38)
上記化合物(38)を、方法Gに従って37及び35から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、38(95%)を淡黄色の固体として得た。
【0245】
前述の中間体36及び38の合成スキームを、図7に示す。
【0246】
実施例11 ベンズイミダゾロニルベンジル複素環式アミンの調製の一般的な手順-方法J
5-(5-((フェニルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(39a)
マイクロ波反応バイアル中の8b(35mg、0.13mmol)、36(35mg、0.13mmol)、及びPd(PPh(16mg、0.01mmol)の混合物に、無水DMF(1mL)、無水アセトニトリル(1mL)、及び1M NaCO(0.27mL、0.27mmol)を窒素下で添加した。反応混合物をマイクロ波条件下、160℃で15分間照射した。水の添加によってクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、39a(14.5mg、34%)を淡黄色の固体として得た。
【0247】
5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-N-フェニルニコチンアミド(39b)
上記化合物(39b)を、方法Jに従って8b及び38から調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、39b(37%)を黄色の固体として得た。
【0248】
前述の化合物39a~bの合成スキームを図8に示す。
【0249】
3-ブロモ-2-メチル-6-ニトロアニリン(41)
酢酸(25mL)中の40(500mg、3.29mmol)の溶液に、NBS(585mg、3.29mmol)を添加した。反応混合物を2時間還流した。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90から15:85)により精製し、41(661.1mg、87%)をオレンジ色の固体として得た。
【0250】
4-ブロモ-3-メチルベンゼン-1,2-ジアミン(42a)
41(600mg、2.60mmol)、鉄(725mg、13.0mmol)、及び塩化アンモニウム(736mg、13.8mmol)の混合物に、エタノール(20mL)及び水(4mL)を添加した。反応混合物を3時間還流した。冷却後、反応物を、セライトパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で除去した。EtOAc及び水を添加した。水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50)により精製して、42a(449.2mg、86%)を褐色の油として得た。
【0251】
実施例12 ベンズイミダゾロンの調製の一般的な手順-方法K
5-ブロモ-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(43a)
無水ジクロロメタン(10mL)中の42a(200mg、1.00mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.36mL、2.59mmol)を添加した。反応物を窒素でパージし、氷浴中で撹拌した。トリホスゲン(148mg、0.497mmol )を窒素下、0℃で添加した。反応混合物を0℃で40分間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムの添加によってクエンチした後、水層をEtOAc(2×15mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をヘキサン及びエーテルで洗浄して、43a(168.2mg、74%)を淡褐色の固体として得た。
【0252】
5-ブロモ-6-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(43b)
上記化合物(43b)を、方法Kに従って42bから調製して、43b(76%)を淡褐色の固体として得た。
【0253】
4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(44a)
上記化合物(44a)を、方法Cに従って43aから調製した。1,4-ジオキサン及びDMF(4:1)の混合物を溶媒として使用し、混合物を80℃で67時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、44a(36%)を淡褐色の固体として得た。
【0254】
5-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(44b)
上記化合物(44b)を、方法Cに従って43bから調製した。1,4-ジオキサン及びDMF(4:1)の混合物を溶媒として使用し、混合物を80℃で67時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、44b(30%)を褐色の固体として得た。
【0255】
5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(45a)
上記化合物(45a)を、方法Jに従って44a及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、45a(51%)を淡黄色の固体として得た。
【0256】
5-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-6-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(45b)
上記化合物(45b)を、方法Jに従って44b及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、45b(69%)を淡褐色の固体として得た。
【0257】
前述の化合物45a~bの合成スキームを図9に示す。
【0258】
5-(5-((3-ヒドロキシベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(46a)
上記化合物(46a)を、方法Jに従って8b及び17jから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90)により精製して、46a(30%)を黄色の固体として得た。
【0259】
5-(5-((3-メトキシベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(46b)
上記化合物(46b)を、方法Jに従って8b及び17kから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、46b(38%)を黄色の固体として得た。
【0260】
5-(5-((3-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(46c)
上記化合物(46c)を、方法Jに従って8b及び17lから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、46c(40%)を黄色の固体として得た。
【0261】
前述の化合物46a~cの合成スキームを図10に示す。
【0262】
5-ブロモ-N-(フラン-2-イルメチル)ピリジン-3-アミン(48a)
上記化合物(48a)を、方法Bに従って4a及び47aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、48a(56%)を褐色の固体として得た。
【0263】
5-ブロモ-N-(チオフェン-2-イルメチル)ピリジン-3-アミン(48b)
上記化合物(48b)を、方法Bに従って4a及び47bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、48b(68%)を黄色の固体として得た。
【0264】
N-((1H-イミダゾール-2-イル)メチル)-5-ブロモピリジン-3-アミン(48c)
上記化合物(48c)を、方法Bに従って4a及び47cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、48c(37%)を褐色の固体として得た。
【0265】
N-((1H-イミダゾール-4-イル)メチル)-5-ブロモピリジン-3-アミン(48d)
上記化合物(48d)を、方法Bに従って4a及び47dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90~15:95)により精製して、48d(87%)を淡黄色の固体として得た。
【0266】
N-((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-5-ブロモピリジン-3-アミン(48e)
上記化合物(48e)を、方法Bに従って4a及び47eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、48e(63%)を淡黄色の固体として得た。
【0267】
5-ブロモ-N-(オキサゾール-2-イルメチル)ピリジン-3-アミン(48f)
上記化合物(48f)を、方法Bに従って4a及び47fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、30:70から90:10)により精製して、48f(84%)を淡黄色の固体として得た。
【0268】
5-(5-((フラン-2-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49a)
上記化合物(49a)を、方法Eに従って8b及び48aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、49a(30%)を淡褐色の固体として得た。
【0269】
5-(5-((チオフェン-2-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49b)
上記化合物(49b)を、方法Eに従って8b及び48bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、49b(27%)を淡褐色の固体として得た。
【0270】
5-(5-(((1H-イミダゾール-2-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49c)
上記化合物(49c)を、方法Eに従って8b及び48cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から20:80)により精製して、49c(40%)を淡褐色の固体として得た。
【0271】
5-(5-(((1H-イミダゾール-4-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49d)
上記化合物(49d)を、方法Eに従って8b及び48dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、15:85から20:80)により精製して、49d(15%)を淡褐色の固体として得た。
【0272】
5-(5-(((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49e)
上記化合物(49e)を、方法Eに従って8b及び48eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、49e(17%)を淡褐色の固体として得た。
【0273】
5-(5-((オキサゾール-2-イルメチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(49f)
上記化合物(49f)を、方法Eに従って8b及び48fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、49f(12%)を淡褐色の固体として得た。
【0274】
前述の化合物49a~fの合成スキームを図11に示す。
【0275】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-2-フルオロアニリン(51a)
上記化合物(51a)を、方法Bに従って34及び50aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、20:80)により精製して、51a(91%)を黄色の油として得た。
【0276】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-3-フルオロアニリン(51b)
上記化合物(51b)を、方法Bに従って34及び50bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、15:85)により精製して、51b(88%)を黄色の油として得た。
【0277】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-4-フルオロアニリン(51c)
上記化合物(51c)を、方法Bに従って34及び50cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、15:85)により精製して、51c(89%)を黄色の油として得た。
【0278】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-2-クロロアニリン(51d)
上記化合物(51d)を、方法Bに従って34及び50dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、20:80)により精製して、51d(97%)を黄色の油として得た。
【0279】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-3-クロロアニリン(51e)
上記化合物(51e)を、方法Bに従って34及び50eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、30:70)により精製して、51e(21%)を黄色の油として得た。
【0280】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-4-クロロアニリン(51f)
上記化合物(51f)を、方法Bに従って34及び50fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、51f(82%)を黄色の固体として得た。
【0281】
実施例13 N-ブロモピリジニルメチルアニリンの調製の一般的な手順-方法L
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-2-メトキシアニリン(51g)
無水1,2-ジクロロエタン(8mL)中の2-メトキシアニリン(50g)(0.05mL、0.45mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(256mg、2.7mmol)の溶液に、5-ブロモニコチンアルデヒド(34)(200.0mg、0.91mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.10mL、1.3mmol)を窒素下で添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。トリアセトキシホウ素化ナトリウム(256mg、2.7mmol)を添加し、次いで反応物を室温で17時間撹拌した。飽和NaHCO(3mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、51g(121.5mg、93%)を黄色の油として得た。
【0282】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-3-メトキシアニリン(51h)
上記化合物(51h)を、方法Lに従って34及び50hから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、30:70から45:55)により精製して、51h(82%)を褐色の油として得た。
【0283】
N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-4-メトキシアニリン(51i)
上記化合物(51i)を、方法Lに従って34及び50iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン、40:60から50:50)により精製して、51i(72%)を黄色の油として得た。
【0284】
5-(5-(((2-フルオロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52a)
上記化合物(52a)を、方法Eに従って8b及び51aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52a(35%)を黄色の固体として得た。
【0285】
5-(5-(((3-フルオロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52b)
上記化合物(52b)を、方法Eに従って8b及び51bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52b(37%)を淡黄色の固体として得た。
【0286】
5-(5-(((4-フルオロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52c)
上記化合物(52c)を、方法Eに従って8b及び51cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52c(35%)を黄色の固体として得た。
【0287】
5-(5-(((2-クロロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52d)
上記化合物(52d)を、方法Eに従って8b及び51dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52d(38%)を黄色の固体として得た。
【0288】
5-(5-(((3-クロロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52e)
上記化合物(52e)を、方法Eに従って8b及び51eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52e(26%)を淡褐色の固体として得た。
【0289】
5-(5-(((4-クロロフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52f)
上記化合物(52f)を、方法Dに従って8b及び51fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、52f(66%)を白色の固体として得た。
【0290】
5-(5-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52g)
上記化合物(52g)を、方法Eに従って8b及び51gから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52g(34%)を黄色の固体として得た。
【0291】
5-(5-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52h)
上記化合物(52h)を、方法Eに従って8b及び51hから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52h(39%)を黄色の固体として得た。
【0292】
5-(5-(((4-メトキシフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(52i)
上記化合物(52i)を、方法Eに従って8b及び51iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、52i(40%)を黄色の固体として得た。
【0293】
前述の化合物52a~iの合成スキームを図12に示す。
【0294】
実施例14 tert-ブチル(2-(3-ニトロフェノキシ)アルキル)カルバメートの調製の一般的な手順-方法M
tert-ブチル(2-(3-ニトロフェノキシ)エチル)カルバメート(54a)
無水THF(5mL)中の3-ニトロフェノール(53)(300mg、2.16mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(735mg、2.80mmol)及びtert-ブチル(2-ヒドロキシエチル)カルバメート(452mg、2.80mmol)を窒素下、0℃で添加した。ジイソプロピル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート(0.55mL、2.80mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃で撹拌し、21時間かけてゆっくりと室温に上昇させた。水(5mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90から15:85)により精製して、54a(567.2mg、93%)を黄色の油として得た。
【0295】
tert-ブチル(2-(2-(3-ニトロフェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(54b)
上記化合物(54b)を、方法Mに従って53及びtert-ブチル(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバメートから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から40:60)により精製して、54b(94%)を黄色の油として得た。
【0296】
実施例15 tert-ブチル(2-(3-アミノフェノキシ)アルキル)カルバメートの調製の一般的な手順-方法N
tert-ブチル(2-(3-アミノフェノキシ)エチル)カルバメート(55a)
無水MeOH(15mL)中の54a(540mg、1.91mmol)の溶液に、10%のパラジウム炭素(54mg)を添加した。得られた混合物を水素でパージし、次いで室温で16時間撹拌した。反応物を、セライトパッドを通して濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をEtOAc(2×30mL)及び水(10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、55a(365.9mg、76%)を褐色の油として得た。
【0297】
tert-ブチル(2-(2-(3-アミノフェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(55b)
上記化合物(55b)を、方法Nに従って54bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、54b(81%)を褐色の油として得た。
【0298】
実施例16 5-ブロモ-N-アルキル-2-ニトロアニリンの調製の一般的な手順-方法O
5-ブロモ-N-エチル-2-ニトロアニリン(57a)
無水DMF(5mL)中の4-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロベンゼン(56)(500mg、2.27mmol)及び炭酸カリウム(628mg、4.55mmol)の溶液に、THF(2.3mL、4.55mmol)中の2Mのエタンアミンを添加した。得られた混合物を80℃で22時間撹拌した。水(10mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57a(520.0mg、93%)を黄色の固体として得た。
【0299】
5-ブロモ-N-イソプロピル-2-ニトロアニリン(57b)
上記化合物(57b)を、方法Oに従って56及びイソプロピルアミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57b(99%)をオレンジ色の固体として得た。
【0300】
5-ブロモ-N-シクロプロピル-2-ニトロアニリン(57c)
上記化合物(57c)を、方法Oに従って56及びシクロプロピルアミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57c(99%)を黄色の固体として得た。
【0301】
5-ブロモ-N-シクロペンチル-2-ニトロアニリン(57d)
上記化合物(57d)を、方法Oに従って56及びシクロペンチルアミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57d(97%)を黄色の固体として得た。
【0302】
5-ブロモ-2-ニトロ-N-フェニルアニリン(57e)
上記化合物(57e)を、方法Oに従って56及びアニリンから調製した。反応物を80℃で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57e(70%)をオレンジ色の固体として得た。
【0303】
実施例17 5-ブロモ-N-フェニル-2-ニトロアニリンの調製の一般的な手順-方法P
N-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)ピリジン-2-アミン(57f)
無水THF(5mL)中のピリジン-2-アミン(257.0mg、2.73mmol)の溶液に、tert-ブトキシドカリウム(408mg、3.64mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を窒素でパージし、0℃で1時間撹拌した。4-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロベンゼン(56)(400mg、1.82mmol)を添加し、反応物を0℃で1時間撹拌した。水(10mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、5:95から10:90)により精製して、57f(418.3mg、78%)をオレンジ色の固体として得た。
【0304】
N-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)ピリジン-3-アミン(57g)
上記化合物(57g)を、方法Pに従って56及びピリジン-3-アミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60)により精製して、57g(63%)をオレンジ色の固体として得た。
【0305】
N-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)ピリジン-4-アミン(57h)
上記化合物(57h)を、方法Pに従って56及びピリジン-4-アミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、57h(60%)を褐色の固体として得た。
【0306】
5-ブロモ-N-(2-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-2-ニトロアニリン(57i)
上記化合物(57i)を、方法Pに従って56及び2-(2-メトキシエトキシ)アニリンから調製した。反応物を0℃から室温で2時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90から20:80)により精製して、57h(40%)をオレンジ色の液体として得た。
【0307】
5-ブロモ-N-(3-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-2-ニトロアニリン(57j)
上記化合物(57j)を、方法Pに従って56及び3-(2-メトキシエトキシ)アニリンから調製した。反応物を0℃から室温で4時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90から20:80)により精製して、57j(42%)をオレンジ色の固体として得た。
【0308】
5-ブロモ-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-2-ニトロアニリン(57k)
上記化合物(57k)を、方法Pに従って56及び4-(2-メトキシエトキシ)アニリンから調製した。反応物を0℃から室温で4時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10:90から20:80)により精製して、57k(30%)をオレンジ色の液体として得た。
【0309】
tert-ブチル(2-(3-((5-ブロモ-2-ニトロフェニル)アミノ)フェノキシ)エチル)カルバメート(57l)
上記化合物(57l)を、方法Oに従って56及び55aから調製した。反応物を80℃で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、57e(32%)をオレンジ色の油として得た。
【0310】
tert-ブチル(2-(2-(3-((5-ブロモ-2-ニトロフェニル)アミノ)フェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(57m)
上記化合物(57m)を、方法Oに従って56及び55bから調製した。反応物を80℃で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から60:40)により精製して、57e(35%)をオレンジ色の油として得た。
【0311】
実施例18 5-ブロモ-N-アルキルベンゼン-1,2-ジアミンの調製の一般的な手順-方法Q
5-ブロモ-N-エチルベンゼン-1,2-ジアミン(58a)
エタノール(10mL)及び水(2mL)中の57a(438mg、1.79mmol)の溶液に、塩化アンモニウム(507mg、9.47mmol)及び鉄(499mg、8.94mmol)を添加した。得られた混合物を24時間還流した。反応物を、セライトパッドを通して濾過し、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をEtOAc(2×40mL)及び水(15mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85から20:80)により精製して、58a(343.1mg、89%)を褐色の液体として得た。
【0312】
5-ブロモ-N-イソプロピルベンゼン-1,2-ジアミン(58b)
上記化合物(58b)を、方法Qに従って57bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、58b(90%)を淡褐色の液体として得た。
【0313】
実施例19 5-ブロモ-N-アルキルベンゼン-1,2-ジアミンの調製の一般的な手順-方法R
5-ブロモ-N-シクロペンチルベンゼン-1,2-ジアミン(58d)
エタノール(10mL)及び水(6mL)中の57c(174mg、0.61mmol)の溶液に、ジチオナイトナトリウム(850mg、4.88mmol)を添加した。得られた混合物は4時間室温であった。反応物を、セライトパッドを通して濾過し、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をEtOAc(2×40mL)及び水(15mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85)により精製して、58d(106.5mg、68%)を褐色の液体として得た。
【0314】
5-ブロモ-N-フェニルベンゼン-1,2-ジアミン(58e)
上記化合物(58e)を、方法Qに従って57eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、58e(88%)を淡紫色の固体として得た。
【0315】
5-ブロモ-N-(ピリジン-2-イル)ベンゼン-1,2-ジアミン(58f)
上記化合物(58f)を、方法Rに従って57fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から40:60)により精製して、58f(45%)を褐色の液体として得た。
【0316】
5-ブロモ-N-(ピリジン-3-イル)ベンゼン-1,2-ジアミン(58g)
上記化合物(58g)を、方法Rに従って57gから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、58g(42%)を黄色の固体として得た。
【0317】
実施例20 6-ブロモ-1-アルキル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オンの調製の一般的な手順-方法S
6-ブロモ-1-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59a)
無水ジクロロメタン(4mL)中の58a(103.0mg、0.48mmol)の溶液に、トリホスゲン(71.0mg、0.24mmol)及びトリエチルアミン(0.17mL、1.24mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を窒素でパージし、次いで、0℃で1時間撹拌した。水(5mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から40:60)により精製して、59a(95.8mg、83%)をオフソリッドの固体として得た。
【0318】
6-ブロモ-1-イソプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59b)
上記化合物(59b)を、方法Sに従って58bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から40:60)により精製して、59b(54%)を淡ピンク色の固体として得た。
【0319】
6-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59c)
上記化合物(59c)を、方法Q及びSに従って57cから調製した。第1のステップからの粗生成物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から60:40)により精製して、59c(2ステップにわたって44%)を淡褐色の固体として得た。
【0320】
6-ブロモ-1-シクロペンチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59d)
上記化合物(59d)を、方法Sに従って58dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から40:60)により精製して、59d(53%)を白色の固体として得た。
【0321】
6-ブロモ-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59e)
上記化合物(59e)を、方法Sに従って58eから調製した。反応物を0℃から室温で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、59e(78%)をオフホワイトの固体として得た。
【0322】
6-ブロモ-1-(ピリジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59f)
上記化合物(59f)を、方法Sに従って58fから調製した。反応物を0℃から室温で1.5時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、35:65から70:30)により精製して、59f(44%)を白色の固体として得た。
【0323】
6-ブロモ-1-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59g)
上記化合物(59g)を、方法Sに従って58gから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、59g(59%)を褐色の固体として得た。
【0324】
6-ブロモ-1-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59h)
上記化合物(59h)を、方法R及びSに従って57hから調製した。第1のステップからの粗生成物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、59h(2ステップにわたって20%)を淡黄色の固体として得た。
【0325】
6-ブロモ-1-(2-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59i)
上記化合物(59i)を、方法Sに従って58iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、59i(61%)を白色の固体として得た。
【0326】
6-ブロモ-1-(3-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59j)
上記化合物(59j)を、方法Sに従って58jから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50)により精製して、59j(68%)を白色の固体として得た。
【0327】
6-ブロモ-1-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(59k)
上記化合物(59k)を、方法Sに従って58kから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、淡黄色の固体として59k(37%)を得た。
【0328】
tert-ブチル(2-(3-(6-ブロモ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エチル)カルバメート(59l)
上記化合物(59l)を、方法Sに従って58lから調製した。反応物を0℃から室温で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、59l(85%)を淡褐色の固体として得た。
【0329】
tert-ブチル(2-(2-(3-(6-ブロモ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(59m)
上記化合物(59m)を、方法Sに従って58lから調製した。反応物を0℃から室温で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から60:40)により精製して、59l(52%)を黄色の固体として得た。
【0330】
1-エチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60a)
上記化合物(60a)を、方法Cに従って59aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、60a(86%)を淡ピンク色の固体として得た。
【0331】
1-イソプロピル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60b)
上記化合物(60b)を、方法Cに従って59bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、60b(99%)を淡褐色の固体として得た。
【0332】
1-シクロプロピル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60c)
上記化合物(60c)を、方法Cに従って59cから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から60:40)により精製して、60c(88%)を黄色の固体として得た。
【0333】
1-シクロペンチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60d)
上記化合物(60d)を、方法Cに従って59dから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から60:40)により精製して、60d(99%)を白色の固体として得た。
【0334】
1-フェニル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60e)
上記化合物(60e)を、方法Cに従って59eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製して、60e(84%)を淡褐色の固体として得た。
【0335】
1-(ピリジン-2-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60f)
上記化合物(60f)を、方法Cに従って59fから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から35:75)により精製して、60f(57%)を白色の固体として得た。
【0336】
1-(ピリジン-4-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60h)
上記化合物(60h)を、方法Cに従って59hから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から35:75)により精製して、60h(90%)を黄色の固体として得た。
【0337】
1-(2-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60i)
上記の化合物(60i)を、方法Cに従って59iから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、35:75から70:30)により精製して、60i(72%)を淡黄色の固体として得た。
【0338】
1-(3-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60j)
上記化合物(60j)を、方法Cに従って59jから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70~35:65)により精製して、60j(70%)を黄色の固体として得た。
【0339】
1-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(60k)
上記化合物(60k)を、方法Cに従って59kから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から70:30)により精製して、60k(60%)を淡黄色の固体として得た。
【0340】
tert-ブチル(2-(3-(2-オキソ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エチル)カルバメート(60l)
上記化合物(60l)を、方法Cに従って59lから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、70:30)により精製して、60l(92%)を黄色の油として得た。
【0341】
tert-ブチル(2-(2-(3-(2-オキソ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(60m)
上記化合物(60m)を、方法Cに従って59mから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、70:30)により精製して、60m(84%)を黄色の油として得た。
【0342】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61a)
上記化合物(61a)を、方法Eに従って60a及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、61a(77%)を淡褐色の固体として得た。
【0343】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61b)
上記化合物(61b)を、方法Eに従って60b及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61b(71%)を淡黄色の固体として得た。
【0344】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61c)
上記化合物(61c)を、方法Eに従って60c及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61c(72%)を黄色の固体として得た。
【0345】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-シクロペンチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61d)
上記化合物(61d)を、方法Eに従って60d及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、40:60から80:20)により精製して、61d(47%)を黄色の固体として得た。
【0346】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61e)
上記化合物(61e)を、方法Eに従って60e及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61e(70%)をオフホワイトの固体として得た。
【0347】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(ピリジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61f)
上記化合物(61f)を、方法Eに従って60f及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5)により精製して、61f(87%)を白色の固体として得た。
【0348】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61g)
上記化合物(61g)を、方法Cに従って59gから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から35:75)により精製して、中間体60gの混合物を褐色の固体として得た。混合物を、次のステップ、方法Eで使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61g(34%)を灰色の固体として得た。
【0349】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61j)
上記化合物(61j)を、方法Eに従って60j及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61j(65%)を淡黄色の固体として得た。
【0350】
6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(61k)
上記化合物(61k)を、方法Eに従って60k及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、2.5:97.5から5:95)により精製して、61j(89%)を淡黄色の固体として得た。
【0351】
tert-ブチル(2-(3-(6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エチル)カルバメート(61l)
上記化合物(61l)を、方法Eに従って60l及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、61l(62%)を黄色の固体として得た。
【0352】
tert-ブチル(2-(2-(3-(6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)フェノキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(61m)
上記化合物(61m)を、方法Eに従って60m及び5aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、61m(53%)を褐色の固体として得た。
【0353】
実施例21 1-(3-(2-アミノアルコキシ)フェニル)-6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン塩酸塩の調製の一般的な手順-方法T
1-(3-(2-アミノエトキシ)フェニル)-6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン塩酸塩(61n)
1,4-ジオキサン(1.5mL)中の61l(14.5mg、0.03mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(0.5mL)中の4NのHClを添加した。反応物を室温で16時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。トルエン(2mL)を添加し、真空中で除去した。粗生成物をEtOで洗浄して、61n(12.6mg、91%)を淡黄色の固体として得た。
【0354】
1-(3-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)フェニル)-6-(5-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン塩酸塩(61o)
上記化合物(61o)を、方法Tに従って60mから調製して、61o(99%)を淡褐色の固体として得た。
【0355】
前述の化合物61a~oの合成スキームを図13に示す。
【0356】
(R,E)-N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチレン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(62a)
無水THF(2.0mL)中の34(100mg、0.54mmol)の溶液に、チタンエトキシド(0.56mL、2.69mmol)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、次いで(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(78.2mg、0.64mmol)でパージした。反応物を室温で5時間撹拌した。ブライン(2mL)を混合物に添加し、10分間撹拌した。水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物(145.0mg、93%)を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0357】
(S,E)-N-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチレン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(62b)
無水1,2-ジクロロエタン(4.0mL)中の34(200mg、1.08mmol)の溶液に、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(143mg、1.18mmol)及び硫酸銅(II)(343mg、2.15mmol)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、50℃で42時間撹拌した。反応物を、セライトパッドを通して濾過した。溶媒を真空中で除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70)により精製して、62b(84%)を淡黄色の固体として得た。
【0358】
実施例22 N-(1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドの調製の一般的な手順-方法U
(R)-N-((R)-1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(63a)
無水THF(2.0mL)中の62a(145mg、0.50mmol)の溶液に、窒素下、-40℃で、2Mの塩化ベンジルマグネシウム(0.4mL、0.75mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を-40℃で5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(3mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から80:20)により精製し、63a(63%)を黄色の固体として得た。
【0359】
(S)-N-((S)-1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(63b)
上記化合物(63b)を、方法Uに従って62bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から80:20)により精製して、63b(77%)を黄色の固体として得た。
【0360】
実施例23 1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエタンアミンの調製の一般的な手順-方法V
(S)-1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエタンアミン(64b)
無水MeOH(3.0mL)中の63b(64.2mg、0.17mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(0.2mL、0.67mmol)中の4NのHClを添加した。得られた混合物を室温で4時間撹拌した。飽和NaHCO(2mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、64b(39.6mg、85%)を透明な油として得た。
【0361】
(R)-1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-フェニルエタンアミン(64a)
上記化合物(64a)を、方法Vに従って63aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、64a(98%)を黄色の油として得た。
【0362】
(R)-5-(5-(1-アミノ-2-フェニルエチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(65a)
上記化合物(65a)を、方法Eに従って64a及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90から15:85)により精製して、65a(27%)を淡褐色の固体として得た。
【0363】
(S)-5-(5-(1-アミノ-2-フェニルエチル)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(65b)
上記化合物(65b)を、方法Eに従って64b及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、65b(23%)を淡黄色の固体として得た。
【0364】
前述の化合物65a~bの合成スキームを図14に示す。
【0365】
実施例24 5-クロロ-N-(1-フェニルエチル)ピリジン-3-アミンの調製の一般的な手順-方法W
(R)-5-クロロ-N-(1-フェニルエチル)ピリジン-3-アミン(67a)
無水トルエン(5.0mL)中の66(250mg、1.3mmol)の溶液に、(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン(0.2mL、1.56mmol)、XPhos(60.6mg、0.13mmol)、Pd(dba)(119mg、0.13mmol)、及びCsCO(1.27g、3.90mmol)を添加した。得られた混合物を窒素でパージし、95℃で20時間撹拌した。水(5mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、30:70から40:60)により精製し、67a(61.6mg、20%)をオレンジ色の固体として得た。
【0366】
(S)-5-クロロ-N-(1-フェニルエチル)ピリジン-3-アミン(67b)
上記化合物(67b)を、方法Wに従って66及び(S)-(-)-1-フェニルエチルアミンから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、20:80から30:70)により精製して、67b(46%)を淡褐色の固体として得た。
【0367】
(R)-5-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(68a)
上記化合物(68a)を、方法Eに従って67a及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、68a(18%)を黄色の固体として得た。
【0368】
(S)-5-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(68b)
上記化合物(68b)を、方法Eに従って67b及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、68b(16%)を黄色の固体として得た。
【0369】
(S)-1-メチル-6-(5-((1-フェニルエチル)アミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(68c)
上記化合物(68c)を、方法Eに従って67b及び10eから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、68c(15%)を淡黄色の固体として得た。
【0370】
前述の化合物68a~cの合成スキームを図15に示す。
【0371】
実施例25 3-(ベンジルアミノ)-5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン1-オキシドの調製の一般的な手順-方法X
3-(ベンジルアミノ)-5-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン1-オキシド(69a)
1,2-ジクロロエタン(1mL)及びMeOH(0.5mL)中の12c(8.2mg、0.025mmol)の溶液に、m-CPBA(17mg、0.10mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、0℃で1時間撹拌し、次いで80℃で20時間撹拌した。飽和NaS(1mL)でクエンチした後、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、10:90から15:85)により精製して、69a(3.2mg、37%)を黄色の固体として得た。
【0372】
3-(ベンジルアミノ)-5-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン1-オキシド(69b)
上記化合物(69b)を、方法Xに従って13aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、69b(31%)を黄色の固体として得た。
【0373】
前述の化合物69a~bの合成スキームを図16に示す。
【0374】
N-ベンジル-5-ブロモ-6-メチルピリジン-3-アミン(71a)
上記化合物(71a)を、方法Bに従って70a及び2aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、71a(24%)を淡黄色の固体として得た。
【0375】
N-ベンジル-4-ブロモピリジン-3-アミン(71b)
上記化合物(71b)を、方法Bに従って70b及び2aから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95)により精製して、71b(44%)を淡黄色の固体として得た。
【0376】
N-ベンジル-3-ブロモピリジン-4-アミン(73)
無水DMF(5mL)中の72(200.0mg、1.16mmol)の溶液に、60%のNaH(46.0mg、1.16mmol)を窒素下、0℃で添加し、30分間撹拌した。臭化ベンジル(0.14mL、1.16mmol)を添加した。反応物を0℃で撹拌し、3時間かけてゆっくりと室温に上昇させた。水を添加することによってクエンチした後、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、50:50から30:70)により精製して、73(76.6mg、25%)を黄色の油として得た。
【0377】
5-(5-(ベンジルアミノ)-2-メチルピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(74a)
上記化合物(74a)を、方法Eに従って71a及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、74a(41%)を褐色の固体として得た。
【0378】
5-(3-(ベンジルアミノ)ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(74b)
上記化合物(74b)を、方法Eに従って71b及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、5:95から10:90)により精製して、74b(42%)を褐色の固体として得た。
【0379】
5-(4-(ベンジルアミノ)ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(74c)
上記化合物(74c)を、方法Eに従って73及び8bから調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl中の1NのNH、15:85)により精製して、74c(36%)を褐色の固体として得た。
【0380】
前述の化合物74a~cの合成スキームを図17に示す。
【0381】
実施例26 DYRK1A結合アッセイ/IC50アッセイ
化合物を、DiscoverXにおいてDYRK1A結合活性について試験した。DiscoverXは、独自のKINOMEscan(登録商標)アッセイを使用する(Fabian et al.,”A Small Molecule-kinase Interaction Map for Clinical Kinase Inhibitors,”Nat.Biotechnol.23(3):329-336(2005))。化合物を、2つ組で、3μMの単一濃度でDYRK1A活性についてスクリーニングした。同様に、初期スクリーニングからのヒット化合物の解離定数Kを、それらの独自のKINOMEscan(登録商標)アッセイを使用して、DiscoverXにおいて測定した。K値を、最高濃度60μMの11回連続3倍希釈を使用して測定した。結合アッセイの結果を表1に示す。
【0382】
いくつかの化合物を、Reaction Biology Corp.が提供するDYRK1/DYRK1Aアッセイを使用してIC50(nM)活性についても試験し、その結果も表1に示す。
【0383】
(表1)DYRK1A結合活性
TBD:未決定
【0384】
本明細書では好ましい実施形態を示し、詳細に説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがってこれらが添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内であることが考慮されることは当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
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図10
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図16
図17
【国際調査報告】