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  • 特表-タイヤ用トレッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】タイヤ用トレッド
(51)【国際特許分類】
   B60C 1/00 20060101AFI20220215BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20220215BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20220215BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20220215BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220215BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
B60C1/00 A
B60C11/00 B
B60C11/00 D
C08L23/08
C08L23/26
C08K3/013
C08K3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536273
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 FR2019053123
(87)【国際公開番号】W WO2020128305
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1873875
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】メリノ ロペス ホセ
(72)【発明者】
【氏名】アラウホ ダ シルヴァ ホセ-カルロス
(72)【発明者】
【氏名】クロシェ オロール
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネベルト ギヨーム
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA03
3D131AA04
3D131BA03
3D131BA20
3D131BB01
3D131BC02
3D131BC12
3D131BC13
3D131EA02U
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EC01V
3D131EC01X
4J002BA012
4J002BB101
4J002BB201
4J002BK002
4J002CE002
4J002DA036
4J002DJ016
4J002FD016
4J002FD022
4J002GN01
(57)【要約】
第1の半径方向内側の層C1と、第2の半径方向外側の層C2とを備えるゴムトレッドを有するタイヤであって、第1層及び第2層は、新しい状態又は摩耗状態において、走行中の地面と接触することを意図しており、第1層C1のゴム組成物は、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーを50phr超と、補強用充填剤と、可塑化系とを含み、1,3-ジエンは1,3-ブタジエン又はイソプレンであり、コポリマー中のエチレン単位は、前記コポリマーの全モノマー単位の50モル%超を占める、タイヤ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有し、2つのサイドウォールと2つのビードとによって延長されたクラウンと、2つのビードに固定されたカーカス補強体と、クラウン補強体と、前記クラウン補強体から半径方向外側のゴムトレッドと、を備えるタイヤであって、前記トレッドは、第1の半径方向内側の層C1と、第2の半径方向外側の層C2とを備え、前記第1層及び第2層は、新しい状態又は摩耗状態において、走行中の地面と接触することを意図しており、前記第1層C1のゴム組成物は、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーを50phr超と、補強用充填剤と、可塑化系と、を含み、前記1,3-ジエンは1,3-ブタジエン又はイソプレンであり、前記コポリマー中のエチレン単位は、前記コポリマーの全モノマー単位の50モル%超を占めることを特徴とする、タイヤ(1)。
【請求項2】
前記1,3-ジエンは、1,3-ブタジエンである、請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項3】
前記コポリマーは、下記のような式(I)の単位若しくは式(II-1)の単位、又は式(I)の単位及び式(II-1)の単位:
【化1】
を含む、請求項1又は2に記載のタイヤ(1)。
【請求項4】
前記コポリマー中の式(I)の単位及び式(II-1)の単位のモル百分率、それぞれo及びpは、以下の数式(式1)、より優先的には数式(式2)を満足し、o及びpは、前記コポリマーの全てのモノマー単位に基づいて計算され:
0<o+p≦25 (式1)
0<o+p<20 (式2)
である、請求項3に記載のタイヤ(1)。
【請求項5】
エチレンと1,3-ジエンとの前記コポリマーは、鎖末端に、シラノール又はアルコキシシラン官能である官能基F1を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記層C1のゴム組成物の補強用充填剤は、シリカを含む補強用充填剤を35~100phr含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記層C1のゴム組成物の可塑化系は、炭化水素ベースの可塑化樹脂と炭化水素ベースの液体可塑剤とを含み、炭化水素ベースの可塑化樹脂と炭化水素ベースの液体可塑剤との総含有量は10phrを超え80phr以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記炭化水素ベースの可塑化樹脂は、20℃よりも高いガラス転移温度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記補強用充填剤含有量と前記可塑化系含有量との間の質量比は、1.1以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項10】
エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、前記第1層C1のゴム組成物の唯一のエラストマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項11】
前記第1層C1のゴム組成物は、第2のエラストマー、好ましくは高不飽和ジエンエラストマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項12】
前記第2層C2のゴム組成物は、請求項1~10のいずれか一項に記載のエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーを50phr未満含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項13】
前記第1層C1のゴム組成物の動的剪断弾性率は、1MPaと2.5MPaとの間であり、前記動的剪断弾性率は、0.7MPaの印加応力及び10Hzの周波数において、温度掃引中に60℃で測定される、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項14】
前記第1層C1のゴム組成物の動的剪断弾性率と前記第2層C2のゴム組成物の動的剪断弾性率との間の比Kは、1.1超、好ましくは1.2超であり、前記動的剪断弾性率は、0.7MPaの印加応力及び10Hzの周波数において、温度掃引中に60℃で測定される、請求項1~13のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項15】
前記トレッドは、底部を有する溝で分離されたリブを備え、前記タイヤの使用の限度は、前記底部に対する前記リブの最小半径方向高さhによって規定され、VC1及びVC2は前記最小半径方向高さhよりも大きい半径方向高さにおいて前記トレッド内に位置する材料C1及びC2の体積であり、VC1/VC2比は15%超、優先的には25%超、更により優先的には35%超である、請求項1~14のいずれか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、車両用タイヤ、特に、車両用タイヤのトレッドである。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、回転軸に関して回転対称を示す幾何学的形状を有しているため、タイヤの幾何学的形状は、タイヤの回転軸を含む子午線面で概ね記載される。所与の子午線面に関して、半径方向、軸方向、及び周方向はそれぞれ、タイヤの回転軸に垂直な方向、タイヤの回転軸に平行な方向、及び子午線面に垂直な方向を表す。「半径方向に」、「軸方向に」及び「周方向に」という表現は、それぞれ「半径方向において」、「軸方向において」及び「周方向において」を意味する。
「半径方向内側の」及び「半径方向外側の」は、それぞれ、「タイヤの回転軸により近い」、及びタイヤの回転軸により遠い」を意味する。「軸方向内側の」及び「軸方向外側の」は、それぞれ「タイヤの赤道面により近い」、及びタイヤの赤道面により遠い」を意味し、タイヤの赤道面は、タイヤのトレッド面の中央を通過し、タイヤの回転軸に垂直な平面である。
トレッドは、トレッド表面を介して地面と接触することが意図されたタイヤの一部で、半径方向には底面からトレッド表面まで伸び、軸方向にはトレッドの軸方向幅を定める第1のトレッド端から第2のトレッド端まで伸び、周方向にはタイヤの全周にわたって伸びている。トレッドには、タイヤが乗用車又は大型車両のいずれに装着されることを意図するかにかかわらず、特に、種々の主溝、縦溝又は周方向溝、横溝又は斜め溝によって区切られたパターン要素又は要素ブロックを含むトレッドパターンが設けられており、要素ブロックは、種々のより細いスリット又はサイプも含むことができる。溝は、濡れた地面を走行する際に排水するための流路を形成する。
ラジアルタイプのタイヤは、トレッドの半径方向内側に、クラウン補強体と、クラウン補強体の半径方向内側のラジアルカーカス補強体とからなる補強体を備える。クラウン補強体は、ゴム混合物で被覆された互いに平行な補強要素又は補強材からなる、少なくとも1つのクラウン層を備える。ラジアルカーカス補強体は、ゴム混合物で被覆された、互いに平行で実質的に半径方向を向く(即ち、周方向との角度が85°と95°との間である)補強材からなる、少なくとも1つのカーカス層を備える。
【0003】
タイヤトレッドのゴム組成物は、走行する地面との接触に関して性能が特化されており、これはタイヤの摩耗規制に合致する。タイヤのトレッドは、そのタイヤの転がり抵抗の大部分を担う。この寄与は、当然、タイヤの設計に応じて大きく変動し得るが、約50%のオーダーに達し得る。
通常は、特に転がり抵抗を最小にするために、例えば低ヒステリシスの下層を導入して、タイヤのクラウン補強体のプライに最も近い材料を調節する。下層は、タイヤの規定寿命の間、走行中の地面と接触しないことに注意する必要がある。
トレッドの材料を更に特化することもできる。トレッドの厚さ方向に2種類のゴム組成物が存在し得る。欧州特許出願公開第0869016号明細書(A2)は、第1の半径方向内側層と第2の半径方向外側層とを有するトレッドであって、トレッドの摩耗中に第1の半径方向内側層の走行中の地面との接触が徐々に大きくなる、トレッドを示している。この例では、第1層のゴム組成物は、第2層よりも高いグリップ性能を有する。
トレッドの転がり抵抗と耐摩耗性との間の性能の妥協は、50モル%超のエチレン単位を含有するエチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマーをゴム組成物に導入することで改善することができている。例えば、国際公開第2014114607号(A1)を参照できる。しかし、このような組成物では、特に乗用車で、トレッドに最適なグリップ性能を与えることができなくなる。
タイヤのグリップ性能は、走行している地面上のトレッドの接触表面を増大することで改善できることが公知である。1つの解決策は、高度に変形可能なトレッド、特に、走行面と接触することが意図されるトレッドの表面を構成する高度に変形可能なゴム組成物の使用である。非常に柔軟なゴム組成物の使用は、なおもグリップに有利ではあるが、タイヤの路面保持性の劣化を招き得る。
路面保持性の改善には、トレッドの剛性の増大が望ましいことが公知であり、このトレッドの剛化は、例えば補強用充填剤の含有量を増やすことによって、又は特定の補強樹脂をこれらのトレッドの成分であるゴム組成物中に添合することによって得ることができる。しかし、概して、これらの解決策は、転がり抵抗の低下を伴い得ることから、必ずしも満足できるとは限らない。
【0004】
路面保持性とグリップという2つの矛盾する要求に適合するための1つの解決策は、国際公開第02/10269号及び国際公開第2012084599号に記載のように、トレッドのゴム組成物の順応の現象によって剛性勾配を作ることも含む。この順応現象により、タイヤの回転中にトレッドが受ける変形の影響下で、トレッドの表面においてゴム組成物の剛性が低下し得る。このトレッドの表面における剛性の低下は、トレッドの内側では全く又はほとんど起こらず、その結果トレッドの表面よりも高レベルの剛性が維持される。
グリップ性能、路面保持性及び転がり抵抗性能を改善するための上記の技術的解決策は、概して、50%を大幅に超えるジエンのモル含有量を特徴とする高不飽和ジエンエラストマーに関して記載されている。
エチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマーを含むゴム組成物は、5~10phrの可塑化樹脂を導入することでその加工性が改善されることが、特開2013-185048号公報に記載されている。コポリマー中のエチレンのモル含有量が50%を大幅に下回るだけでなく、グリップ性能も取り扱われていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ゴム組成物中のエチレンのモル含有量が50%を超える共役ジエンコポリマーをタイヤトレッドに使用することには利益があり、トレッドのグリップ性能の改善も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出願人は、努力を続けて、高飽和ジエンエラストマーと特定の可塑化系とをタイヤトレッド用のゴム組成物に併用することで、タイヤのグリップ性能を改善できることを見出した。本発明の特定の実施形態は、グリップと転がり抵抗との間の性能面の妥協を改善する効果さえある。本発明の他の特定の実施形態は、グリップと路面保持性との間の性能面の妥協の改善も可能にする。
【0007】
本発明の1つの主題は、回転軸を有し、2つのサイドウォールと2つのビードとによって延長されたクラウンと、2つのビード内に固定されたカーカス補強体と、クラウン補強体と、該クラウン補強体から半径方向外側のゴムトレッドと、を備えるタイヤであって、該トレッドは、第1の半径方向内側の層C1と、第2の半径方向外側の層C2とを備え、該第1層及び第2層は、新しい状態又は摩耗状態において、走行中の地面と接触することを意図する。このタイヤは、第1層C1のゴム組成物が、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーを50phr超と、補強用充填剤と、可塑化系とを含み、1,3-ジエンは1,3-ブタジエン又はイソプレンであり、コポリマー中のエチレン単位は、コポリマーの全モノマー単位の50モル%超を占めることを特徴とする。
層C1のエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーの質量含有量又は含有量が50phr超とは、このエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーが、トレッドの第1層C1のゴム組成物中で大部分を占めるエラストマーであることを意味する。
エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーが大部分を占める含有量であることは、タイヤの良好な路面保持性を得る一因となる。これは、タイヤの転がり抵抗性能の改善にも寄与し得る。
【0008】
本発明の第1の代替形態によると、層C1のゴム組成物は、第2のエラストマー、好ましくはジエンエラストマー、即ちジエンモノマー単位を含むエラストマー、を含む。本発明の第1の代替形態の実施形態の1つによると、第2のエラストマーの含有量は、好ましくは30phr未満であり、非常に優先的には10phr未満である。
第2のエラストマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択される高不飽和ジエンエラストマーとすることができる。
本発明の第2の代替形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、第1層C1のゴム組成物の唯一のエラストマーである。
本発明によるタイヤの1つの代替的実施形態によると、第2層C2のゴム組成物は、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーを50phr未満含む。
優先的には、第1層C1のゴム組成物の動的剪断弾性率と第2層C2のゴム組成物の動的剪断弾性率との間の比Kは、1.1超、好ましくは1.2超であり、動的剪断弾性率は、0.7MPaの印加応力及び10Hzの周波数において、温度掃引中に60℃で測定される。
このトレッドの2つの層C1とC2の間の弾性率の比は、層C1がタイヤのトレッド及びクラウンを剛化することを可能にする。これは、タイヤの路面保持性を改善する。
優先的には、Kは2.5未満であり、好ましくは1.5以下である。
有利には、第1層C1のゴム組成物の動的剪断弾性率は1MPaと2.5MPaとの間であり、動的剪断弾性率は、0.7MPaの印加応力及び10Hzの周波数において、温度掃引中に60℃で測定される。
かかる比又はかかる動的弾性率の値を超えると、層C1が走行中の地面と接触したときにタイヤのグリップ性能が低下し得る。
【0009】
本発明の別の主題によると、トレッドは底部を有する溝で分離されたリブを備え、タイヤの使用の限度は、底部に対するこれらのリブの最小半径方向高さhによって規定され、VC1及びVC2は上記最小半径方向高さhよりも大きい半径方向高さにおいてトレッド内に位置する材料C1及びC2の体積であり、VC1/VC2比は15%超、優先的には25%超、更により優先的には35%超である。
15%未満では、トレッドの転がり抵抗及び剛性の改善が不十分となる。
優先的には、VC1/VC2比は75%未満である。
比が75%を超えると、トレッド表面が主に層C1となったときにタイヤのグリップ性能が低下する。
【0010】
本発明の特徴は、以下の添付図面を用いてより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】タイヤの部分的な軸方向半断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1(理解を容易にするため、正確な縮尺で示されていない)は、本発明によるタイヤ1のクラウンの子午線面における部分的断面図を示す。このタイヤ1は、特に、半径方向内側から外側に、カーカス補強体2と、クラウン補強体3と、サイドウォール5によって側方に延びるトレッド4と、を備える。トレッド4は、第1層C1と第2層C2とを備える。トレッド4は、周方向溝6も備える。新しい状態で、層C2の半径方向外側表面は、走行中の地面上のタイヤのトレッド表面を構成する。他方、トレッドが摩耗するにつれて、徐々に層C1が走行中の地面と接触するようになる。
図1は、正中面EP及び回転軸YY’も示す。
周方向溝6は、トレッドの法律上許容される最大摩耗量を図示することを意図した突起又は摩耗インジケータ―を含む。軸方向外側の周方向溝6は、かかる突起61を示す。トレッド表面が、走行中の地面に、摩耗インジケータ―のレベルで接しているとき、タイヤは摩耗しており、交換しなければならない。法的最小高さは1.6mmであり、摩耗インジケータ―は通常、それよりもわずかに高い高さhを有する。この高さは、周方向溝6の底部62から測定される。
線Lは、トレッドのトレッド表面の全体形状の円環状面Sと周方向溝の底部に対して半径方向外向きに高さhのオフセットとの間の交点に相当する。トレッドの体積Vはその「使用可能な」体積に相当する。この体積は、表面Sに対して半径方向外向きに配置された層C1の体積VC1と層C2の体積VC2の合計に等しい。これらの体積と図1の子午線面との交点は、表面SC1及びSC2に相当する。図1において、表面SC1は、層C1内で区別するためにわずかに灰色に着色されており、表面SC2も層C2内で区別するために点模様で表されている。
図1に示す例では、新しい状態における2つの体積の比は約40%である。
図1は、層C1及び層C2の2つのゴムブレンドの間の動的弾性率の比が1.1超、優先的には1.2超であるときの、タイヤのトレッド及びクラウンの剛化の効果を明らかに示す。トレッド表面が層C1の大部分であるときにタイヤのグリップを低下させないように、比は2.5を超えないこと、非常に優先的には1.5を超えないことが好ましい。
【0013】
以下において、「aとbとの間」という表現で示される値の任意の間隔は、「a」より大きく「b」より小さい値の範囲を表す(即ち、限界値a及びbは除外される)。一方、「a~b」という表現で示される値の任意の間隔は、「a」から「b」までの値の範囲を意味する(即ち、厳密な限界値a及びbを含む)。略語「phr」は、エラストマー(複数のエラストマーが存在する場合は、エラストマーの合計の)100質量部当たりの質量部を意味する。
本出願において「エラストマーのモノマー単位の全て」又は「エラストマーのモノマー単位の総量」は、重合によるエラストマー鎖へのモノマー挿入の結果得られるエラストマーの構成繰返し単位の全てを意味する。特記のない限り、高飽和ジエンエラストマー中のモノマー単位又は繰返し単位は、コポリマーのモノマー単位を基準として計算した、即ちエラストマーの全モノマー単位を基準として計算した、モル百分率として与えられる。
【0014】
本発明で述べる化合物は、化石由来でもバイオベース由来でもよい。後者の場合、化合物は、部分的に又は全体的に、バイオマスに由来するか、又はバイオマスに由来する再生可能原料から得ることができる。特に、エラストマー、可塑剤、充填剤等が関係する。
本発明の目的に有用なエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、好ましくはエチレンの重合から得られるエチレン単位を含むランダムエラストマーである。公知のように、「エチレン単位」という表現は、エラストマー鎖へのエチレンの挿入から得られる-(CH2-CH2)-単位を指す。エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーにおいて、エチレン単位は、コポリマーのモノマー単位の50モル%超を占める。好ましくは、コポリマー中のエチレン単位は、コポリマーのモノマー単位の60モル%超、有利には70モル%超を占める。優先的な代替形態変形を含めた本発明の実施形態のいずれか1つによると、高飽和ジエンエラストマーは、優先的には多くともエチレン単位の90モル%を占める。
本発明の目的に有用なコポリマーは、以下で「高飽和ジエンエラストマー」の名称でも呼ばれ、1,3-ジエンの重合から得られる1,3-ジエン単位も含み、該1,3-ジエンは1,3-ブタジエン又はイソプレンである。公知のように、用語「1,3-ジエン単位」は、イソプレンの場合1,4付加、1,2付加又は3,4付加による1,3-ジエン挿入の結果得られる単位を指す。好ましくは、1,3-ジエンは1,3-ブタジエンである。
【0015】
本発明の第1の実施形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、式(I)の単位を含む。コポリマーのモノマー単位としての飽和6員環単位、式(I)の1,2-シクロヘキサンジイルの存在は、ポリマー鎖の成長中にエチレン及び1,3-ブタジエンの一連の非常に特別な挿入の結果生じ得る。
【化1】
本発明の第2の優先的実施形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、式(II-1)又は(II-2)の単位を含む。
【化2】
本発明の第3の優先的実施形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、式(I)及び式(II-1)の単位を含む。
本発明の第4の実施形態によると、高飽和ジエンエラストマーは式(I)の単位を含まない。この第4の優先的実施形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、好ましくは式(II-1)又は(II-2)の単位を含む。
【0016】
好ましくは、高飽和ジエンエラストマーは、1,4付加による1,3-ジエン挿入から得られる単位、即ち、1,3-ジエンが1,3-ブタジエンのときは式-CH2-CH=CH-CH2-、又は1,3-ジエンがイソプレンのときは式-CH2-CMe=C-CH2-の単位を含む。
高飽和ジエンエラストマーは、式(I)の単位又は式(II-1)の単位を含み、さもなければ式(I)の単位及び式(II-1)の単位を含み、高飽和ジエンエラストマー中の式(I)の単位及び式(II-1)の単位のモル百分率(それぞれo及びp)は、好ましくは以下の数式(式1)、より優先的には数式(式2)を満足し、o及びpは、高飽和ジエンエラストマーの全てのモノマー単位を基準として計算される。
0<o+p≦25 (式1)
0<o+p<20 (式2)
第1の実施形態、本発明の第2の実施形態、第3の実施形態、及び第4の実施形態、及びこれらの優先的代替形態によると、高飽和ジエンエラストマーは、優先的にはランダムコポリマーである。
【0017】
高飽和ジエンエラストマー、特に第1の実施形態によるもの、第2の実施形態によるもの、第3の実施形態によるもの、及び第4の実施形態によるものは、当業者に公知の種々の合成方法によって、特に、意図する高飽和ジエンエラストマーのミクロ構造に応じて、得ることができる。概して、上記エラストマーは、少なくとも1,3-ジエン、好ましくは1,3-ブタジエンとエチレンとの共重合によって、公知の合成方法に従って、特にメタロセン錯体を含む触媒系の存在下で、調製されてもよい。メタロセン錯体をベースとする触媒系に関して、該触媒系は、本出願人名義の欧州特許第1092731号明細書、国際公開第2004035639号、国際公開第2007054223号及び国際公開第2007054224号に記載されている。高飽和ジエンエラストマーは、ランダムな場合を含めて、国際公開第2017093654号(A1)、国際公開第2018020122号(A1)及び国際公開第2018020123号(A1)に記載されているようなプレフォーム型の触媒系を使用した方法によって調製されてもよい。
高飽和ジエンエラストマーは、そのミクロ構造又はマクロ構造が互いに異なるエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーの混合物からなっていてもよい。
本発明の第1の実施形態、本発明の第2の実施形態、第3の実施形態、及び第4の実施形態によると、高飽和ジエンエラストマーは、好ましくはエチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマー、より優先的にはエチレンと1,3-ブタジエンとのランダムコポリマーである。
【0018】
本発明の特定の一実施形態によると、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、鎖末端に、シラノール又はアルコキシシラン官能である官能基F1を有する。この実施形態は、転がり抵抗の改善にも好都合である。
この実施形態によると、シラノール又はアルコキシシラン官能は、高飽和ジエンエラストマーの鎖の末端に位置する。本出願において、末端のうちの1つにあるアルコキシシラン又はシラノール官能は、本出願における官能基F1と呼ばれる。好ましくは、該官能基は、高飽和ジエンエラストマーの末端単位に共有結合によって直接結合し、これは、官能基のケイ素原子が、高飽和ジエンエラストマーの末端単位の炭素原子に、共有結合で直接結合していることを意味する。官能基F1が直接結合した末端単位は、好ましくはエチレン単位又は式(I)の1,2-シクロヘキサンジイル単位に結合したメチレンからなり、そのSi原子はメチレンに結合している。末端単位は、共重合によってコポリマー鎖に挿入された最後の単位を意味すると理解され、該単位の前に最後から2番目の単位があり、該単位の前の最後から3番目の単位がある。
【0019】
この実施形態の第1の代替形態によると、官能基F1は式(III-a)のものであって、
【化3】
-R1記号は、同一でも異なっていてもよく、アルキルを表し、
-R2記号は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素ベースの鎖又は化学官能基F2で置換された炭化水素ベースの鎖を表し;
-fは、0~2の範囲の整数である。
式(III-a)において、R1記号は、優先的には、多くとも6個の炭素原子を有するアルキル、より優先的にはメチル又はエチル、より優先的にはなおもメチルである。
【0020】
3-fが1より大きい場合、R1記号は有利には同一であり、特にメチル又はエチル、より具体的にはメチルである。
この実施形態の第2の代替形態によると、官能基F1は式(III-b)のものであって、
【化4】
-R2記号は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素ベースの鎖又は化学官能F2で置換された炭化水素ベースの鎖を表す。
式(III-a)及び(III-b)においてR2記号で表される炭化水素ベースの鎖として、アルキル、特に1~6個の炭素原子を有するもの、優先的にはメチル又はエチル、より優先的にはメチルが挙げられる。
式(III-a)及び(III-b)においてR2記号で表される化学官能F2で置換された炭化水素ベースの鎖として、アルカンジイル鎖、特に多くとも6個の炭素原子を有するもの、非常に具体的には1,3-プロパンジイル基が挙げられ、アルカンジイル基は置換基の化学官能F2を有する、即ち、アルカンジイル鎖の一つの原子価は官能F2、他の原子価はシラノール又はアルコキシシラン官能のケイ素原子に結合している。
式(III-a)及び(III-b)において、化学官能F2は、飽和炭化水素ベースの基とは異なる基であって、化学反応に関与し得る基を意味すると理解される。好適となり得る化学官能としては、エーテル官能、チオエーテル官能、第一級、第二級又は第三級アミン官能、チオール官能、シリル官能が挙げられる。第一級若しくは第二級アミン、又はチオール官能は保護されていても保護されていなくてもよい。アミン及びチオール官能の保護基は、例えばシリル基、特にトリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基である。好ましくは、化学官能F2は、第一級、第二級若しくは第三級アミン官能、又はチオール官能であり、第一級若しくは第二級アミン、又はチオール官能は保護基で保護されている又は未保護である。
好ましくは、R2記号は、同一でも異なっていてもよく、多くとも6個の炭素原子を有するアルキル又は多くとも6個の炭素原子を有するアルカンジイル鎖であって、式(III-a)及び(III-b)の化学官能F2で置換されているものを表す。
【0021】
官能基F1としては、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル(diethoxymethysilyl)基、ジエトキシエチルシリル(diethoxyethysilyl)基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルジメトキシシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルジエトキシシリル基、3-アミノプロピルジメトキシシリル基、3-アミノプロピルジエトキシシリル基、3-チオプロピルジメトキシシリル基、3-チオプロピルジエトキシシリル基、メトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、エトキシジメチルシリル(ethoxydimethysilyl)基、エトキシジエチルシリル(ethoxydiethysilyl)基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルメトキシメチルシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルメトキシエチルシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルエトキシメチルシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルエトキシエチルシリル基、3-アミノプロピルメトキシメチルシリル基、3-アミノプロピルメトキシエチルシリル基、3-アミノプロピルエトキシメチルシリル基、3-アミノプロピルエトキシエチルシリル基、3-チオプロピルメトキシメチルシリル基、3-チオプロピルエトキシメチルシリル基、3-チオプロピルメトキシエチルシリル基及び3-チオプロピルエトキシエチルシリル基が挙げられる。
官能基F1としては、エトキシ又はメトキシ官能を1つだけ含む上記の官能基のシラノール形態が挙げられ、該シラノール形態は、エトキシ又はメトキシ官能の加水分解から得ることができる。これに関して、ジメチルシラノール基、ジエチルシラノール基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルメチルシラノール基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルエチルシラノール基、3-アミノプロピルメチルシラノール基、3-アミノプロピルエチルシラノール基、3-チオプロピルエチルシラノール基及び3-チオプロピルメチルシラノール基が好適である。
官能基F1として、官能基がアルコキシ又はシラノール形態のいずれであるかにかかわらず、上記のもの、及びシリル基、特にトリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基で保護された形態のアミン又はチオール官能を含むものが挙げられる。
好ましくは、官能基F1は、式(III-a)[式中、fは1に等しい]のものである。この優先的代替形態に関して、R1はメチル又はエチルである基、例えばジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルジメトキシシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルジエトキシシリル基、3-アミノプロピルジメトキシシリル基、3-アミノプロピルジエトキシシリル基、3-チオプロピルジメトキシシリル基、及び3-チオプロピルジエトキシシリル基等が、特に非常に好適である。シリル基、特にトリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基で保護された、上記リストに記載の少なくとも4つの官能基を有するアミン又はチオール官能の保護形態も好適である。
より好ましくは、官能基F1は、式(III-a)[式中、fは1に等しく、R1はメチルである]のものである。この、より好ましい代替形態では、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルジメトキシシリル基、3-アミノプロピルジメトキシシリル及び3-チオプロピルジメトキシシリル基、更にはトリメチルシリル又はtert-ブチルジメチルシリルで保護された3-アミノプロピルジメトキシシリル又は3-チオプロピルジメトキシシリルの保護形態のアミン又はチオール官能も、特に非常に好適である。
【0022】
鎖末端に官能基F1(シラノール又はアルコキシシラン官能)を有するエチレンと1,3-ジエンとのコポリマーは、PCT/FR2018/051305の番号で出願された特許出願、又はPCT/FR2018/051306の番号で出願された特許出願に記載の方法によって調製でき、該方法は、下記の工程(a)及び(b)と、必要に応じて(c)とを含む:
(a)有機マグネシウム化合物とメタロセンとを含む触媒系の存在下でのモノマー混合物の共重合;
(b)官能化剤と、工程(a)で得られたポリマーとの反応;
(c)必要に応じて、加水分解反応。
工程(a)は、上記の非官能コポリマーを調製するために実施される共重合工程と共通であり、唯一の違いは、共重合反応の後に、コポリマーの官能化のための反応である工程(b)が続くことである。
工程(b)は、コポリマーを鎖末端で官能化するための、官能化剤と工程(a)で得られたコポリマーとの反応を含む。官能化剤は、式(IV)の化合物であって、
【化5】
-Fc1記号は、同一でも異なっていてもよく、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し;
-Rc2記号は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素ベースの鎖又は化学官能基Fc2で置換された炭化水素ベースの鎖を表し;
-gは、0~2の範囲の整数である。
Fc1記号がアルコキシ基を表すとき、アルコキシ基は、好ましくはメトキシ又はエトキシである。Fc1記号がハロゲン原子を表すとき、ハロゲン原子は、好ましくは塩素である。
【0023】
官能化剤は、式(IV-1)、式(IV-2)、式(IV-3)、又は式(IV-4)のものであってもよく、
【化6】
-式中、Fc1及びRc2記号は、式(IV)に定義されており;
-式(IV-1)及び(IV-2)では、gは0~2の範囲の整数であり;
-式(IV-3)では、gは0~1の範囲の整数である。
式(III)、(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)及び(IV-4)においてRc2記号で表される炭化水素ベースの鎖として、アルキル、好ましくは多くとも6個の炭素原子を有するもの、より優先的にはメチル又はエチル、更に好ましくはメチルが挙げられる。
式(IV)、(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)及び(IV-4)においてRc2記号で表される化学官能Fc2で置換された炭化水素ベースの鎖としては、アルカンジイル鎖、好ましくは多くとも6個の炭素原子を含むもの、より優先的には1,3-プロパンジイル基が挙げられ、アルカンジイル基は置換基の化学官能F2を有する、即ち、アルカンジイル鎖の一つの原子価は官能F2、他の原子価はシラノール又はアルコキシシラン官能のケイ素原子に結合している。
式(IV)、(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)及び(IV-4)において、化学官能は、飽和炭化水素ベースの基とは異なる基であって、化学反応に関与し得る基を意味すると理解される。当業者は、化学官能Fc2は、重合媒体中に存在する化学種に関して化学的に不活性な基であることを理解する。化学官能Fc2は、例えば、第一級アミン、第二級アミン又はチオール官能の場合のように、保護形態であってもよい。化学官能Fc2としては、エーテル、チオエーテル、保護第一級アミン、保護第二級アミン、第三級アミン、保護チオール、及びシリル官能が挙げられる。好ましくは、化学官能Fc2は、保護第一級アミン官能、保護第二級アミン官能、第三級アミン官能又は保護チオール官能である。第一級アミン、第二級アミン及びチオール官能の保護基として、シリル基、例えばトリメチルシリル基及びtert-ブチルジメチルシリル基が挙げられる。
gは、好ましくは0以外であり、これは官能化剤が少なくとも1つのSi-Rc2結合を含むことを意味する。
【0024】
官能化剤として、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)メチルジエトキシシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)エチルジメトキシシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)エチルジエトキシシラン、3-メトキシ-3,8,8,9,9-ペンタメチル-2-オキサ-7-チア-3,8-ジシラデカン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキリエチルシラン、(N,N-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(N-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-N-(トリメチルシリル)シランアミン、(N-(3-トリエトキシシリル)プロピル)-N-(トリメチルシリル)シランアミン、及び3,3-ジメトキシ-8,8,9,9-テトラメチル-2-オキサ-7-チア-3,8-ジシラデカン、好ましくはジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)エチルジメトキシシラン、3-メトキシ-3,8,8,9,9-ペンタメチル-2-オキサ-7-チア-3,8-ジシラデカントリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、(N,N-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-N-(トリメチルシリル)シランアミン、及び3,3-ジメトキシ-8,8,9,9-テトラメチル-2-オキサ-7-チア-3,8-ジシラデカン、より優先的にはトリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、(N,N-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-N-(トリメチルシリル)シランアミン、及び3,3-ジメトキシ-8,8,9,9-テトラメチル-2-オキサ-7-チア-3,8-ジシラデカンの化合物が挙げられる。
官能化剤は、典型的には、工程(a)から得られる重合媒体に添加される。官能化剤は、典型的には、エラストマーの所望のマクロ構造に応じて当業者が選択したモノマーの変換度において、重合媒体に添加される。工程(a)は、概して、エチレン圧下で実施され、重合反応器の脱気は、官能化剤の添加前に実施されてもよい。官能化剤は、不活性且つ無水条件下で重合媒体に添加され、重合温度に維持される。典型的には、共触媒1モル当たり0.25~10モルの官能化剤、好ましくは共触媒1モル当たり2~4モルの官能化剤が使用される。
官能化剤は、官能化反応を可能にするのに充分な時間にわたって重合媒体に接触する。この接触時間は、反応媒体の濃度及び反応媒体の温度に応じて、当業者によって賢明に選択される。典型的には、官能化反応は、撹拌下、17℃~80℃の範囲の温度において、0.01~24時間実施される。
【0025】
官能化されると、エラストマーは、特に反応媒体から単離することによって回収され得る。エラストマーを反応媒体から分離する技術は、当業者に周知であり、分離しようとするエラストマーの量、そのマクロ構造及び当業者が利用可能なツールに応じて、当業者によって選択される。例としては、メタノール等の溶媒中でエラストマーを凝固する技法、反応媒体の溶媒及び残留モノマーを、例えば減圧下で蒸発する技法がある。
官能化剤が式(IV)、(IV-1)又は(IV-2)のものであり、gが2に等しいとき、工程(b)の後に、鎖末端においてシラノール官能を有するエラストマーを形成するための加水分解反応が続いてもよい。加水分解は、エラストマーを含有する溶液を工程(b)の終了時に除去する工程によって、当業者に公知のやり方で、実施されてもよい。
官能化剤が式(IV)、(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)又は(IV-4)のものであるとき、gが0以外であるとき、及びRc2が保護形態の官能Fc2で置換された炭化水素ベースの鎖を表すとき、エラストマーの鎖の末端で官能を脱保護するために、工程(b)の後に加水分解がまた続いてもよい。加水分解反応は、官能を脱保護する工程であり、概して、脱保護しようとする官能の化学的性質に応じて、酸又は塩基媒体中で実施される。例えば、アミン又はチオール官能を保護しているシリル基、特にトリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基は、当業者に公知の方法で酸又は塩基媒体中で加水分解され得る。脱保護条件の選択は、脱保護しようとする基材の化学構造を考慮に入れて、当業者が賢明に実施する。
【0026】
工程(c)は、官能基をシラノール官能に変換することが望ましいか否か、又は保護された官能を脱保護することが望ましいか否かよって決まる任意の工程である。優先的には、工程(c)は、工程(b)の終了時に反応媒体からエラストマーを分離する前に、或いはこの分離段階と同時に、実施される。
シラノール又はアルコキシシラン官能を有するか否かにかかわらず、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーの含有量は、50phr超、優先的には70phr超である。100phrまでの残部は、任意のジエンエラストマー、例えば1,3-ブタジエンホモポリマー又はコポリマー、或いはイソプレンホモポリマー又はコポリマーであることができる。有利には、エチレンと1,3-ジエンとのコポリマーの含有量は100phrである。ゴム組成物中のコポリマーの含有量が高いことは、転がり抵抗、耐摩耗性、グリップの間の性能面の妥協にとって、より好都合である。
層C1のゴム組成物の別の本質的特徴は、補強用充填剤と可塑化系とを含むことである。可塑化系は、好ましくは炭化水素ベースである。
【0027】
有利には、補強用充填剤はシリカを含む。
補強用充填剤は、典型的にはナノ粒子からなり、その平均(質量平均)粒径が1マイクロメートル未満、概ね500nm未満、通常は20nmと200nmとの間、特に、より優先的には20nmと150nmとの間である。
層C1のゴム組成物における補強用充填剤の含有量は、有利には35phr以上且つ100phr以下、好ましくは50phr以上且つ100phr以下である。好ましくは、シリカは、補強用充填剤の50質量%超を占める。より優先的には、シリカは、補強用充填剤の85質量%超を占める。
任意選択により、層C1のゴム組成物の補強用充填剤は、シリカを含む補強用充填剤を35~100phr含む。
使用されるシリカは、当業者に公知の任意の補強用シリカ、特に、BET比表面積及びCTAB比表面積の両方が450m2/g未満、好ましくは30~400m2/gの範囲、特に60~300m2/gである、任意の沈降シリカ又はヒュームドシリカとすることができる。本書において、BET比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society」(Vol.60,page 309,February 1938)に記載されているBrunauer-Emmett-Tellerの方法を使用したガス吸着によって、より詳細には2010年6月時点のNF ISO規格5794-1,Appendix E[多点(5点)容量法-ガス:窒素-真空下脱気:160℃で1時間-相対圧力p/p0範囲:0.05~0.17]からに適合させた方法に従って、決定される。
CTAB比表面積の値は、2010年6月時点のNF ISO規格5794-1、Appendix Gに従って決定した。このプロセスは、補強用充填剤の「外部」表面上でのCTAB(N-ヘキサデシル-N,N,N-トリメチル臭化アンモニウム)の吸着に基づく。
任意の種類の沈降シリカ、特に高分散性沈降シリカ(「highly dispersible」(高分散性)又は「highly dispersible silica」(高分散性シリカ)を表す「HDS]と称される)を使用できる。これらの沈降シリカは、高分散性であり、又は高分散性でなく、当業者に周知である。例としては、国際公開第03/016215号(A1)及び国際公開第03/016387号(A1)に記載のシリカが挙げられる。市販のHDSシリカのうち、特にEvonik製のUltrasil(登録商標)5000GR及びUltrasil(登録商標)7000GRシリカ又はSolvay製のZeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1115MP、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)Premium 200MP及びZeosil(登録商標)HRS 1200 MPシリカが使用できる。非HDSシリカとして、以下の市販シリカを使用してもよい:Evonik製のUltrasil(登録商標)VN2GR及びUltrasil(登録商標)VN3GRシリカ、Solvay製のZeosil(登録商標)175GRシリカ、又はPPG製のHi-Sil EZ120G(-D)、Hi-Sil EZ160G(-D)、Hi-Sil EZ200G(-D)、Hi-Sil 243LD、Hi-Sil 210及びHi-Sil HDP 320Gシリカ。
【0028】
補強用充填剤は、特にタイヤの製造に使用できるゴム組成物を補強する能力が公知であるシリカ以外の任意の種類の「補強用」充填剤、例えばカーボンブラック、を含んでもよい。全てのカーボンブラック、特にタイヤ又はタイヤトレッドに従来使用されているカーボンブラックが、カーボンブラックとして好適である。後者として、より具体的には、100、200及び300シリーズの補強用カーボンブラック、又は500、600若しくは700シリーズのブラック(ASTM D-1765-2017グレード)、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683及びN772ブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックは、市販されているように単離された状態で、又は例えば使用されるゴム添加剤の一部の担体としてなどの他の任意の形態で、使用することができる。
好ましくは、カーボンブラックは、20phr以下、より優先的には10phr以下の含有量で使用される(例えば、カーボンブラック含有量は、0.5~20phr、特に1~10phrの範囲であってもよい)。有利には、ゴム組成物中のカーボンブラック含有量は、5phr以下である。上記の範囲内では、カーボンブラックの着色特性(黒色着色剤)及びUV安定化特性が有益であり、尚且つシリカが寄与する典型的な性能品質に悪影響を及ぼさない。
【0029】
補強用無機充填剤(この場合はシリカ)をエラストマーにカップリングさせるためには、無機充填剤(その粒子の表面)とエラストマーとの間に化学的及び/又は物理的性質の充分な連結を確保することを意図した少なくとも二官能性のカップリング剤(又は結合剤)を、周知の方法で使用することが可能であり、この場合、層C1のゴム組成物は、シリカをエラストマーに結合するためのカップリング剤を含む。特に、少なくとも二官能性のオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンを使用する。「二官能性の」という用語は、無機充填剤と相互作用できる第1の官能基と、エラストマーと相互作用できる第2の官能基とを有する化合物を意味すると理解される。
国際公開第03/002648号(A1)(又は米国特許出願公開第2005/016651号明細書(A1))及び国際公開第03/002649号(A1)(又は米国特許出願公開第2005/016650号明細書(A1))に記載のような、その特異的構造に応じて「対称」又は「非対称」と称される、シランポリスルフィドが特に使用される。以下の定義に限定するものではないが、特に好適なのは、下記の一般式(V)に相当するシランポリスルフィドである:
【化7】
式中:
-xは、2~8(好ましくは2~5)の整数であり;
-A記号は、同一でも異なっていてもよく、二価炭化水素ラジカル(好ましくはC1~C18アルキレン基又はC6~C12アリーレン基、より具体的にはC1~C10アルキレン、特にC1~C4アルキレン、特にプロピレン)を表し;
-Z記号は、同一でも異なっていてもよく、下記の3つの式に相当し:
【化8】
式中:
-Raラジカルは、置換又は非置換であり、互いに同一でも異なっていてもよく、C1~C18アルキル基、C5~C18シクロアルキル基又はC6~C18アリール基(好ましくはC1~C6アルキル、シクロヘキシル基又はフェニル基、特にC1~C4アルキル基、より具体的にはメチル及び/又はエチル)を表し;
-Rbラジカルは、置換又は非置換であり、互いに同一でも異なっていてもよく、C1~C18アルコキシル基又はC5~C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1~C8アルコキシル及びC5~C8シクロアルコキシルから選択される基、更により優先的にはC1~C4アルコキシルから選択される基、特にメトキシル及びエトキシル)、又はヒドロキシル基を表し、又は2つのRbラジカルはC3~C18ジアルコキシル基を表す。
上記式(V)に相当するアルコキシシランポリスルフィドの混合物、特に通常の市販の混合物の場合、「x」指数の平均値は、好ましくは2~5の範囲内、より優先的には約4の分数(fractional number)である。
【0030】
より具体的には、シランポリスルフィドの例として、ビス((C1~C4)アルコキシル(C1~C4)アルキルシリル(C1~C4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)又はビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが挙げられる。上記の化合物のうち、特に使用されるのは、EvonikからSi69の名前で販売されている式[(C25O)3Si(CH2322のビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)、又はEvonikからSi75の名前で販売されている式[(C25O)3Si(CH23S]2のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)である。好ましい例として、ビス(モノ(C1~C4)アルコキシジ(C1~C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、より具体的にはビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、例えば上記特許出願の国際公開第02/083782号(A1)(又は米国特許第7217751号明細書(B2))に記載のものも挙げられる。
当然、上記のカップリング剤の混合物も使用され得る。
C1層のゴム組成物中のカップリング剤の含有量は、有利には25phr以下であり、できるだけ少量を使用することが概して望ましいことが理解される。典型的には、カップリング剤の含有量は、補強用無機充填剤に対して0.5~15質量%である。カップリング剤の含有量は、優先的には0.5~20phrの範囲内、より優先的には3~15phrの範囲内である。この含有量は、本発明のタイヤのトレッドの層C1組成物に使用される補強用無機充填剤の含有量に従って、当業者によって容易に調節される。
【0031】
層C1のゴム組成物の別の本質的特徴は、可塑化系を含むことである。この可塑化系は、有利には可塑化炭化水素ベースの樹脂と炭化水素ベースの液体可塑剤とを含み、炭化水素ベースの可塑化樹脂と炭化水素ベースの液体可塑剤との総含有量は10phrを超え80phr以下、好ましくは30phr以上80phr以下であることが理解される。
炭化水素ベースの樹脂は、炭化水素ベースの可塑化樹脂としても知られ、当業者に周知のポリマーであり、本質的に炭素と水素とをベースとするが、他の種類の原子、例えば、酸素を含むことができ、特に可塑剤又は粘着付与剤としてポリマーマトリックスに使用できる。上記樹脂は、本来、意図するポリマー組成物と共に使用される含有量において、少なくとも部分的に混和性(即ち、相溶性)であり、真の希釈剤として作用する。炭化水素樹脂は、例えば、R.Mildenberg、M.Zander及びG.Collinによる「Hydrocarbon Resins」と題された書籍(New York,VCH,1997,ISBN 3-527-28617-9)に記載されており、その第5章は、とりわけタイヤゴム分野での応用に充てられている(5.5.「Rubber Tires and Mechanical Goods」)。周知のとおり、これらの炭化水素ベースの樹脂は、樹脂を加熱したときに軟化し、成型できるという意味で、熱可塑性樹脂と説明することもできる。炭化水素ベースの樹脂の軟化点は、ISO規格4625(「環球」法)に従って測定される。Tgは、ASTM規格D3418(1999)に従って測定される。炭化水素ベースの樹脂のマクロ構造(Mw、Mn及びPI)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される;溶媒テトラヒドロフラン;温度35℃;濃度1g/L;流量1mL/分;溶液を注入前に0.45μmの多孔性フィルターで濾過;ポリスチレン標準によるMoore較正;直列3本のWatersカラムセット(Styragel HR4E、HR1及びHR0.5);示差屈折計(Waters 2410)及び関連オペレーティングソフトウェア(Waters Empower)による検出。
炭化水素ベースの樹脂は、脂肪族若しくは芳香族であってもよく、或いは脂肪族/芳香族タイプ、即ち、脂肪族及び/又は芳香族モノマーをベースとしてもよい。該樹脂は、天然又は合成であることができ、石油ベース(その場合、石油樹脂の名称でも知られている)であってもなくてもよい。好ましくは、炭化水素ベースの可塑化樹脂は、20℃よりも高いガラス転移温度を有する。
有利には、炭化水素ベースの可塑化樹脂は以下の特性の少なくとも1つ、より優先的には全部を有する:
-30℃よりも高いTg;
-300g/モルと2000g/モルとの間、より優先的には400g/モルと1500g/モルとの間の数平均分子量(Mn);
-3未満、より優先的には2未満の多分散指数(PI)(注:PI=Mw/Mn、Mwは質量平均分子量)。
好ましくは、炭化水素ベースの可塑化樹脂は、シクロペンタジエンホモポリマー樹脂、シクロペンタジエンコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンホモポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンコポリマー樹脂、テルペンホモポリマー樹脂、テルペンコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマー樹脂、C5留分コポリマー樹脂、C9留分ホモポリマー樹脂、C9留分コポリマー樹脂、水素化シクロペンタジエンホモポリマー樹脂及び水素化シクロペンタジエンコポリマー樹脂からなる群から選択される。
より優先的には、炭化水素ベースの可塑化樹脂は、C9留分コポリマー樹脂又はジシクロペンタジエンコポリマー樹脂であって、水素化又は非水素化物である。例として、最も詳細にはC9留分コポリマー樹脂及び水素化ジシクロペンタジエンコポリマー樹脂が挙げられる。
【0032】
炭化水素ベースの液体可塑剤は、ゴム組成物のエラストマー及び補強用充填剤を希釈することによってゴム組成物を軟化することが知られている。可塑剤のTgは典型的には-20℃未満、優先的には-40℃未満である。ジエンエラストマーに対する可塑化特性が公知の任意の炭化水素ベースの増量剤オイル又は任意の炭化水素ベースの液体可塑剤を使用できる。周囲温度(23℃)において、これらの可塑剤又はこれらのオイルは、おおよそ粘稠であり、特に周囲温度において本来固体である炭化水素ベースの可塑化樹脂とは対照的に、液体(即ち、注釈すれば、最終的にその容器の形を取る能力を有する物質)である。
炭化水素ベースの液体可塑剤としては、液体ジエンポリマー、ポリオレフィンオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、DAEオイル、MES(中度抽出溶媒和物)オイル、TDAE(処理済み留出物芳香族抽出物)オイル、RAE(残留芳香族抽出物)オイル、TRAE(処理済み残留芳香族抽出物)オイル及びSRAE(安全残留芳香族抽出物)オイル、鉱油、及びこれらの化合物の混合物が挙げられる。
好ましくは、炭化水素ベースの液体可塑剤は、液体ジエンポリマー、脂肪族ポリオレフィンオイル、パラフィン系オイル、MESオイル、TDAEオイル、TRAEオイル、SRAEオイル、鉱油、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より優先的には、炭化水素ベースの液体可塑剤は、液体ジエンポリマー、脂肪族ポリオレフィンオイル、パラフィン系オイル、MESオイル又はこれらの混合物である。
【0033】
本発明の特定の一実施形態によると、炭化水素ベースの可塑化樹脂の含有量と炭化水素ベースの可塑化樹脂及び炭化水素ベースの液体可塑剤の総含有量との間の質量比は0.4を超える。この特定の実施形態は、トレッドがこのようなゴム組成物を含むタイヤの路面保持性の改善にも好都合である。
可塑化系は、所望の性能面の妥協が不利益に変更されない限り、本発明の必要性に有用な、炭化水素ベースの可塑化樹脂及び炭化水素ベースの液体可塑剤以外の別の可塑剤を、概して少量で、含有してもよい。この他の可塑化剤は、例えば、シリカの分散を促進するために少量で従来使用されている加工助剤等であってもよい。本発明の実施形態のいずれか1つによると、炭化水素ベースの可塑化樹脂及び炭化水素ベースの液体可塑剤は、有利には、可塑化系の実質的に主要部分を占め、即ち、炭化水素ベースの可塑化樹脂及び炭化水素ベースの液体可塑剤の含有量の、層C1のゴム組成物中の全可塑化系の含有量に対する比は、含有量をphr単位で表したとき、有利には0.8超であり、非常に有利には、0.9超である。
【0034】
層C1ゴム組成物の有利な特徴によると、補強用充填剤の含有量と炭化水素ベースの可塑化樹脂及び炭化水素ベースの液体可塑剤の総含有量との質量比は、1.1以上であり、含有量はphr単位で表される。この特定の実施形態による層C1は、トレッド内の剛化をもたらし、これはタイヤの路面保持性の改善を可能にし、そのトレッドは、地面と接触することを意図した高度に変形可能なゴム組成物の使用による高いグリップ表面を有する。
層C1のゴム組成物は、タイヤ製造用のエラストマー組成物に慣例的に使用される有用な添加剤、特に、顔料、保護剤、抗オゾンワックス、化学的オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、硫黄若しくは硫黄供与体並びに/又は過酸化物及び/若しくはビスマレイミドのいずれかをベースとし得る架橋系、加硫促進剤若しくは遅延剤、又は加硫活性剤のうちの全部又は一部も含み得る。
実際の架橋系は、優先的には、加硫系、即ち、硫黄及び一次加硫促進剤をベースとする。硫黄は、典型的には、分子状硫黄又は硫黄供与剤の形態、好ましくは分子形態で提供される。分子形態の硫黄は、「分子状硫黄」の用語でも呼ばれる。用語「硫黄供与体」は、硫黄原子を放出する任意の化合物を意味し、任意選択によりポリスルフィド鎖の形態で組み合わされており、これは加硫及びエラストマー鎖の架橋中に形成されたポリスルフィド鎖への挿入が可能である。酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等などの様々な公知の二次加硫促進剤又は加硫活性剤が加硫系に添加され、第1の非生産的段階及び/又は生産的段階の間に組み込まれる。硫黄の含有量は、好ましくは0.5~3.0phrであり、一次促進剤の含有量は、好ましくは0.5~5.0phrである。これらの好ましい含有量は、本発明の実施形態の任意の1つに該当し得る。
【0035】
(一次又は二次)加硫促進剤としては、硫黄の存在下でジエンエラストマーの加硫の促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾール型及びその誘導体の促進剤、一次促進剤に関してはスルフェンアミド型の促進剤、又は二次促進剤に関してはチウラム、ジチオカルバメート。ジチオホスフェート、チオ尿素及びキサンテート型の促進剤を使用してもよい。一次促進剤の例としては、特にN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「CBS」)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「DCBS」)、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「TBBS」)等のスルフェンアミド化合物、及びこれらの化合物の混合物が挙げられる。一次促進剤は、優先的にはスルフェンアミド、より優先的にはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミドである。二次促進剤の例としては、テトラエチルチウラム=ジスルフィド、テトラブチルチウラム=ジスルフィド(「TBTD」)、テトラベンジルチウラム=ジスルフィド(「TBZTD」)及びこれらの化合物の混合物等のチウラム=ジスルフィドが挙げられる。二次促進剤は、優先的にはチウラム=ジスルフィド、より優先的にはテトラベンジルチウラム=ジスルフィドである。
【0036】
架橋(即ち硬化)は、必要に応じて加硫であり、公知の方法で、一般的には130℃と200℃との間の温度で充分な時間にわたって実施され、該時間は、とりわけ硬化温度、使用する架橋系及び検討中の組成物の架橋速度に応じて、例えば、5分と90分との間で変動し得る。
ゴム組成物は、架橋前に、適切なミキサー内で、当業者に周知の2つの連続する調製段階を使用して製造されてもよい:110℃と190℃との間、好ましくは130℃と180℃との間の最高温度までの高温で熱機械的に加工又は混練する第1段階(「非生産」段階と呼ばれることもある)、それに続く、典型的には110℃未満、例えば、40℃と100℃との間の、より低い温度で機械加工する第2段階(「生産」段階と呼ばれることもある)、この仕上げ段階の間に硫黄又は硫黄供与体と架橋促進剤とが添合される。
例えば、第1(非生産)段階は単一の熱機械工程で実施され、この間に全ての必要な成分と、任意の追加の加工剤と、架橋系を除く様々なその他の添加剤が、標準の密閉式ミキサーなどの適切なミキサーに導入される。この非生産段階での総混練時間は、好ましくは1分と15分との間ある。このようにして第1の非生産段階で得られた混合物を、冷却後、低温で、一般的にはオープンミル等の外部ミキサー内で添合し;次いで数分間、例えば、2分間と15分間との間、全てを混合する(生産段階)。
ゴム組成物を、例えば、特に実験室での特性決定のためのシート又はスラブの形態、及びタイヤに使用できるゴム半製品(又は輪郭要素(profiled element))の形態に、カレンダー加工又は押出加工することができる。組成物は、未加工状態(架橋又は加硫前)又は硬化状態(架橋又は加硫後)のいずれかであることができ、タイヤに使用できる半製品であることができる。
【0037】
エラストマーのミクロ構造の決定:
エラストマーのミクロ構造は1H NMR分析によって決定され、1H NMRスペクトルの分解能ではすべての化学種の帰属及び定量化が不可能な場合に13C NMR分析で補正する。測定は、Bruker 500MHz NMR分光計を使用して、プロトン観測は500.43MHz、炭素観測は125.83MHzの周波数で実施する。
溶媒中で不溶であるが膨潤する能力を有するエラストマーについては、4mm z-grad HRMASプローブを使用して、プロトンデカップリングモードでプロトン及び炭素を観測する。スペクトルは、4000Hz~5000Hzの回転速度で取得される。
可溶性エラストマーの測定では、液体NMRプローブを使用して、プロトンデカップリングモードでプロトン及び炭素を観測する。
不溶性試料の調製は、分析物と、膨潤を可能にする重水素化溶媒(一般的には重水素化クロロホルム(CDCl3))とが充填されたローター内で実施する。使用する溶媒は必ず重水素化されていなければならず、その化学的性質は当業者によって適合され得る。使用する材料の量は、充分な感度と分解能を有するスペクトルが得られるように調節される。
可溶性試料は、重水素化溶媒(約1mlに約25mgのエラストマー)、一般的には重水素化クロロホルム(CDCl3)に溶解される。使用する溶媒又は溶媒ブレンドは必ず重水素化されていなければならず、その化学的性質は当業者によって適合され得る。
いずれの場合(可溶性試料又は膨潤試料)も:
プロトンNMRには、30°シングルパルスシーケンスを使用する。スペクトルウィンドウは、分析する分子に帰属する全ての共鳴線が観測されるように調節する。積算数は、各サブユニットの定量化に充分な信号対雑音比が得られるように調節する。各パルスとパルスとの間の待ち時間は、定量的測定が得られるように適合させる。
炭素NMRには、30°シングルパルスシーケンスを使用し、「核オーバーハウザー効果」(NOE)を回避するとともに定量的な状態を維持するために、取得の間だけプロトンデカップリングを行う。スペクトルウィンドウは、分析する分子に帰属する全ての共鳴線が観測されるように調節する。積算数は、各サブユニットの定量化に充分な信号対雑音比が得られるように調節する。各パルスとパルスとの間の待ち時間は、定量的測定が得られるように適合させる。
NMR測定は、25℃で実施される。
【0038】
ムーニー粘度の決定:
ムーニー粘度は、ASTM規格D-1646(1999)に従って測定される。測定は下記の原理に従って実施される:試料は、未硬化状態で(即ち硬化前に)分析され、所定の温度(100℃)に加熱した円筒形チャンバー内で成型(成形)する。1分間予熱した後、ローターを試験標本内で2回転/分で回転させ、4分間の回転後にこの動きを維持するのに必要な作動トルクを測定する。ムーニー粘度は、「ムーニー単位」(MU、ここで、1MU=0.83ニュートン・メートル)で表される。
【0039】
ゴム組成物の剛性は、動的剪断弾性率G*を決定することで評価した。加硫組成物の試料に、0.7MPaの印加応力及び10Hzの周波数の交互正弦波剪断応力を、組成物のエラストマーのTgより低い最低温度から100℃より高い最高温度までの温度掃引中に加えて、応答を記録した;G*の値は、温度60℃における値とした。
【0040】
6種のゴム組成物T1及びM1~M5(その配合の詳細を表1に示す)を以下のように調製した:
エラストマーと、補強用充填剤と、硫黄及び加硫促進剤を除く種々のその他の成分と、を密閉式ミキサーに連続的に導入し(最終的な充填度:約70体積%)、その初期容器温度は約80℃である。次いで、熱機械加工(非生産段階)を一工程で実施する。該工程は、最大「滴下」温度の165℃に達するまで、合計で約3~4分持続する。このようにして得られた混合物を回収及び冷却し、次いで硫黄及び加硫促進剤を30℃のミキサー(ホモフィニッシャー)で添合し、全てを適切な時間(例えば、約10分間)混錬する(生産段階)。
このようにして得られた組成物を、次に、カレンダー加工して物理的又は機械的性質を測定するためのゴムのプレート(厚さ2~3mm)又は薄いシートの形態のいずれかにする、又は押出加工して、例えばタイヤの輪郭要素の形態にする。
5種のゴム組成物M1~M5は、全てエチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマーを含有し、そのエチレン単位の含有量は50%超である。組成物M5において、コポリマーは鎖末端にシラノール又はアルコキシシラン官能を有する。
【0041】
組成物M1~M4に使用されるエチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマー(EBR)は、以下の手順に従って調製される。
共触媒として、ブチルオクチルマグネシウム(BOMAG)(0.00021モル/L)と、続いてメタロセン[{Me2SiFlu2Nd(μ-BH42Li(THF)}2](0.07モル/L)とを、メチルシクロヘキサンが入った反応器に添加した。Flu記号はC138基を表す。アルキル化時間は10分であり、反応温度は20℃である。次いで、エチレン/1,3-ブタジエンのモル組成:80/20の気体混合物の形態のモノマーを連続的に添加する。重合は、80℃及び8barの一定温度及び圧力の条件下で実施される。冷却によって重合反応を停止し、反応器を脱気し、エタノールを添加する。このポリマー溶液に酸化防止剤を添加する。コポリマーを、真空下のオーブン内で一定質量になるまで乾燥することで回収する。
EBRコポリマーにおいて、エチレン単位のモル含有量は79%であり、1,4単位のモル含有量は6%であり、1,2単位のモル含有量は8%であり、1,2-シクロヘキサンジイル単位のモル含有量は7%である。ムーニー粘度は85である。
【0042】
ゴム組成物M5に使用されるEBR-Fコポリマーについては、EBRコポリマーと同じ手順に従ってコポリマーを調製するが、以下の一点が異なる:
所望のモノマー変換が達成されたとき、反応器の内容物を脱気し、次いで官能化剤の(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)メチルジメトキシシランを、不活性雰囲気下で過圧により導入する。反応媒体を、15分の時間及び80℃の温度で撹拌する。反応後、媒体を脱気し、次いでメタノールから沈殿させる。ポリマーは、トルエンに再溶解した後、メタノールから沈殿させて、未グラフトの「シラン」分子を除去することで、官能基含有基量の定量化及び種々のシグナルの積分のためのスペクトルのシグナルの質を改善できる。ポリマーを酸化防止剤で処理し、次いで、一定質量になるまで60℃で真空乾燥する。
EBR-Fコポリマーにおいて、エチレン単位のモル含有量は76%であり、1,4単位のモル含有量は6%であり、1,2単位のモル含有量は9%であり、1,2-シクロヘキサンジイル単位のモル含有量は9%である。ムーニー粘度は84である。
【0043】
【表1】

(1)SBR-27%のスチレン;5%の1,2-ブタジエン;15%の1,4-cis;80%の1,4-trans;Tg-48℃;
(2)エチレンと非官能性1,3-ブタジエンとのコポリマー(EBR);
(3)エチレンと官能性1,3-ブタジエンとのコポリマー(EBR-F);
(4)ASTM規格D-1765準拠のN234;
(5)Zeosil 1165 MP、Solvay-Rhodia製、マイクロビーズの形態;
(6)Flexon 630 TDAEオイル、Shell製;
(7)Escorez 2173樹脂、Exxon社製;
(8)MES/HPD(Shell製Catenex SNR);
(9)Escorez 5600 C9/ジシクロペンタジエン 炭化水素ベースの樹脂、Exxon製(Tg=55℃);
(10)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-パラフェニレンジアミン(Flexsys製Santoflex 6-PPD);
(11)TESPT(Evonik製Si69);
(12)Pristerene 4931ステアリン、Uniqema製;
(13)酸化亜鉛、工業グレード、Umicore製;
(14)ジフェニルグアニジン;
(15)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Flexsys製Santocure CBS);
(16)テトラベンジルチウラム=ジスルフィド(Flexsys製Perkacit TBzTD)
【0044】
下の表2は、充填剤含有量と可塑化系含有量との間の比の値を示す。
【表2】
【0045】
下の表3は、表示した6種の混合物の剛性特性を示す。
【表3】
【0046】
上記表1は、第2のトレッド層の混合物として使用した国際公開第2016/202702号に示されているゴム組成物T1、及び第1のトレッド層を構成できる混合物用の本発明に従う5種の組成物も示す。
ゴム組成物T1は100phrのSBRを含み、0.9MPaの動的剪断弾性率を有し、このため、本組成物は、特に粗い地面との接触面積が大きいことによる卓越したグリップを有するタイヤの提供に好適である。
第1トレッド層用の本発明に従う最初の4種の組成物C1~C4は、100phrの上記EBRジエンエラストマーを含み、組成物C5は、100phrの上記EBR-Fジエンエラストマーを含む。
これらの5種の組成物は、1.2MPaと2.3MPaとの間の動的剪断弾性率を有することから、トレッドの剛化及びそれによるタイヤの路面保持性の改善に好適であり、一方でトレッドが摩耗状態のときに、走行中の地面との接触使用を可能にする。
充填剤含有量/可塑化系含有量の比は1.1と2との間で変動することに注意が必要である(表2)。
最後に、これらの組成物の充填剤含有量は、組成物T1よりもはるかに低く、これはそのヒステリシスの大幅な低下を可能にする。s
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
架橋(即ち硬化)は、必要に応じて加硫であり、公知の方法で、一般的には130℃と200℃との間の温度で充分な時間にわたって実施され、該時間は、とりわけ硬化温度、使用する架橋系及び検討中の組成物の架橋速度に応じて、例えば、5分と90分との間で変動し得る。
ゴム組成物は、架橋前に、適切なミキサー内で、当業者に周知の2つの連続する調製段階を使用して製造されてもよい:110℃と190℃との間、好ましくは130℃と180℃との間の最高温度までの高温で熱機械的に加工又は混練する第1段階(「非生産」段階と呼ばれることもある)、それに続く、典型的には110℃未満、例えば、40℃と100℃との間の、より低い温度で機械加工する第2段階(「生産」段階と呼ばれることもある)、この仕上げ段階の間に硫黄又は硫黄供与体と架橋促進剤とが添合される。
例えば、第1(非生産)段階は単一の熱機械工程で実施され、この間に全ての必要な成分と、任意の追加の加工剤と、架橋系を除く様々なその他の添加剤が、標準の密閉式ミキサーなどの適切なミキサーに導入される。この非生産段階での総混練時間は、好ましくは1分と15分との間ある。このようにして第1の非生産段階で得られた混合物を冷却後、低温で架橋系を、一般的にはオープンミル等の外部ミキサー内で添合し;次いで数分間、例えば、2分間と15分間との間、全てを混合する(生産段階)。
ゴム組成物を、例えば、特に実験室での特性決定のためのシート又はスラブの形態、及びタイヤに使用できるゴム半製品(又は輪郭要素(profiled element))の形態に、カレンダー加工又は押出加工することができる。組成物は、未加工状態(架橋又は加硫前)又は硬化状態(架橋又は加硫後)のいずれかであることができ、タイヤに使用できる半製品であることができる。
【国際調査報告】