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特表2022-515792シート状のワークピースの形状を変化させるための方法および構成
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  • 特表-シート状のワークピースの形状を変化させるための方法および構成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】シート状のワークピースの形状を変化させるための方法および構成
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/01 20060101AFI20220215BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20220215BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20220215BHJP
   B29C 65/44 20060101ALI20220215BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20220215BHJP
   B21D 53/92 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
B21D5/01 Q
B29C43/34
B29C59/02 Z
B29C65/44
B21D22/20 G
B21D53/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536330
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019050955
(87)【国際公開番号】W WO2020147935
(87)【国際公開日】2020-07-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268783
【氏名又は名称】デハルデ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルケン,アイレルト
(72)【発明者】
【氏名】ラウテンバッハ,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】フレリヒス,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ハルムス,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラツェク,インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブレストリッヒ,マルク
【テーマコード(参考)】
4E063
4E137
4F204
4F209
4F211
【Fターム(参考)】
4E063AA02
4E063BA02
4E063DA02
4E063MA30
4E137AA15
4E137BA05
4E137BB01
4E137BC01
4E137BC09
4E137CA09
4E137CB01
4E137GB20
4E137HA08
4F204AA13
4F204AD03
4F204AD05
4F204AD08
4F204AG01
4F204AG03
4F204AH31
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FN11
4F204FQ15
4F209AA13
4F209AC03
4F209AD03
4F209AD08
4F209AD24
4F209AG03
4F209AG27
4F209AH31
4F209PA08
4F209PB02
4F209PN06
4F211AA13
4F211AD03
4F211AD08
4F211AD24
4F211AG03
4F211AH31
4F211TA13
4F211TC05
4F211TD02
4F211TD11
4F211TQ06
(57)【要約】
本発明は、材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する、シート状のワークピース(10)の形状を変化させるための方法に関し、ワークピース(10)を、機械ベッド(13)の少なくとも2つの離間した支持要素(12)上に配置することと、ワークピース(10)を段階的な自由曲げによって最終形状に形成することとを備え、ここでは、上部ダイ(14)を、支持要素の間で、待機位置から形成位置(15)まで下降させることによって、ワークピース(10)の一部を曲げ、上部ダイ(14)を待機位置まで上げ、機械ベッド(13)に対するワークピース(10)の位置を、少なくとも1つの送り方向へ移動させる各ステップが、反復的に実行され、ワークピース(10)が最終形状に形成される前に、モールド凹部に適合し、材料の厚さを補うように設計された充填要素(18)が製造され、モールド凹部の領域に配置されることを特徴とする。本発明はまた、そのような構成に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する、シート状のワークピース(10)の形状を変化させるための方法であって、
前記ワークピース(10)を、機械ベッド(13)の少なくとも2つの離間した支持要素(12)上に配置することと、
前記ワークピース(10)を、段階的な自由曲げによって最終形状に形成することとを備え、ここでは、
- 上部ダイ(14)を、前記支持要素の間で、待機位置から形成位置(15)まで下降させることによって、前記ワークピース(10)の一部を曲げ、
- 前記上部ダイ(14)を前記待機位置まで上げ、
- 前記機械ベッド(13)に対する前記ワークピース(10)の位置を、少なくとも1つの送り方向へ移動させる各ステップが、反復的に実行され、
前記ワークピース(10)が前記最終形状に形成される前に、前記モールド凹部に適合し、前記材料の厚さを補うように設計された充填要素(18)が製造され、前記モールド凹部の領域に配置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記充填要素(18)は、少なくとも実質的に、前記モールド凹部のネガ型として製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料の厚さが減少した前記モールド凹部の領域(11)において、前記充填要素(18)は、おのおのの場合において、この領域における前記ワークピース(10)の前記材料の厚さの減少量に少なくとも対応する最小の厚さを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記充填要素(18)は、前記モールド凹部に配置されたときに、前記ワークピース(10)の上面(20)と面一になり、少なくとも実質的に滑らかな圧力面(19)を形成するように製造されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記充填要素(18)は、所定の隆起領域において前記圧力面(19)に対して突出するように製造されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記隆起領域を製造するために、耐圧性フォイルは、前記充填要素(18)の前記圧力面(19)上に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フォイルが接着されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記充填要素(18)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製であることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記充填要素(18)は、機械加工によって製造されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機械ベッド(13)の前記支持要素(12)と、前記ワークピース(10)との間に、弾性支持面要素(21)が配置されることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する、シート状のワークピース(10)の形状を変化させるための構成であって、
前記ワークピース(10)を、機械ベッド(13)上に配置するために設計された、少なくとも2つの離間した支持要素(12)と、
前記ワークピースの一部を曲げるために、待機位置から形成位置(15)まで制御可能に下降できるように設計された、上部ダイ(14)を用いた段階的な反復的な自由曲げによって、前記ワークピース(10)を最終形状に形成するように設計された形成デバイスのみならず、
前記機械ベッド(13)に対する前記ワークピース(10)の位置を、少なくとも1つの送り方向へ移動させるように設計された位置決め手段を備え、
前記構成はさらに、前記モールド凹部に適合し、前記材料の厚さを補うように設計され、前記ワークピース(10)が前記最終形状に形成される前に、前記モールド凹部の領域に配置されるように設計された、充填要素(18)をさらに備えることを特徴とする、構成。
【請求項12】
前記充填要素(18)は、少なくとも実質的に、前記モールド凹部のネガ型として設計されることを特徴とする、請求項11に記載の構成。
【請求項13】
前記材料の厚さが減少した前記モールド凹部の領域(11)において、前記充填要素(18)は、おのおのの場合において、この領域における前記ワークピース(10)の前記材料の厚さの減少量に少なくとも対応する最小の厚さを有することを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の構成。
【請求項14】
前記充填要素(18)は、前記モールド凹部に配置されたときに、前記ワークピース(10)の上面(20)と面一になり、少なくとも実質的に滑らかな圧力面(19)を形成するように設計されることを特徴とする、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の構成。
【請求項15】
前記充填要素(18)は、所定の隆起領域において、前記圧力面(19)に対して突出するように設計されることを特徴とする、請求項14に記載の構成。
【請求項16】
前記隆起領域を製造するために、耐圧性フォイルが前記圧力面(19)上に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の構成。
【請求項17】
前記フォイルは、接着剤結合によって前記圧力面(19)に接合されることを特徴とする、請求項16に記載の構成。
【請求項18】
前記充填要素(18)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製であることを特徴とする、請求項11から請求項17のいずれか一項に記載の構成。
【請求項19】
前記機械ベッド(13)の前記支持要素(12)と、前記ワークピース(10)との間に、弾性支持面要素(21)が配置されることを特徴とする、請求項11から請求項18のいずれか一項に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する、シート状のワークピースの形状を変化させるための方法であって、ワークピースを、機械ベッドの少なくとも2つの離間した支持要素上に配置することと、ワークピースを、段階的な自由曲げによって最終形状に形成することとを備え、ここでは、上部ダイを、支持要素の間で、待機位置から形成位置まで下降させることによって、ワークピースの一部を曲げ、上部ダイを待機位置まで上げ、機械ベッドに対するワークピースの位置を、少なくとも1つの送り方向へ移動させる各ステップが、反復的に実行される。
【0002】
それに加えて、本発明は、材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する、シート状のワークピースの形状を変化させるための構成に関し、ワークピースを、機械ベッド上に配置するために設計された、少なくとも2つの離間した支持要素と、ワークピースの一部を曲げるために、待機位置から形成位置まで制御可能に下降できるように設計された、上部ダイを用いた段階的な反復的な自由曲げによって、ワークピースを、最終形状に形成するように設計された形成デバイスのみならず、機械ベッドに対するワークピースの位置を、少なくとも1つの送り方向へ移動させるように設計された位置決め手段を備えている。
【0003】
そのような方法および構成は、特に、航空機の外板として機能する大型シートの処理に使用される。シートは、胴体の外形にしたがって成形する必要があり、ワークピースは、しばしば、複数の異なる半径で製造する必要がある。シートは、多くの場合、ロール形成によって、すなわち、様々なロールの間を通過することによって形成され、所望の最終形状に形成される。
【0004】
その後、形成されたシートを定期的に機械加工して、すでに形成されたワークピースに、リベット穴、ポケット、および切り抜きを挿入する。
【背景技術】
【0005】
独国特許出願公開第10 2011 114 927(A1)号は、大型シートを目標半径まで円形に曲げる方法を開示している。丸ポンチで数回エッジングを行い、ベンダを用いて円弧曲げ加工が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2011 114 927(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この欠点は、既知の方法および構成を使用して、表面のワークピースしか処理できないことである。ワークピース内のそのようなモールド凹部は、既知の形成方法を使用する場合、これらのモールド凹部の領域において、ワークピースの制御不能な変形をもたらすので、たとえば、すでにポケット、リベット穴、または窓用の切り抜きがある機械加工されたワークピースは、既知の方法および構成では満足に処理できない。
【0008】
このため、最初に曲げ加工でワークピースを成形し、その後、それらを機械加工して、所望のモールド凹部を製造する必要がある。曲げ加工後に得られるワークピースの形状は、空間的に広がるため、その後の機械加工のために5軸ポータルフライス盤の使用が避けられず、これには大きなスペース要件と高額な取得およびメンテナンスの費用を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、すでに機械加工されたシート状のワークピースを、段階的な自由曲げによって、コスト効率よく、高精度かつ非常に高い繰り返し精度で形成できる方法を提案することである。この目的はさらに、対応する構成を提案することである。
【0010】
この目的は、ワークピースが最終形状に形成される前に、モールド凹部に適合し、材料の厚さを補うように設計された充填要素が製造され、モールド凹部の領域に配置される、前述の特徴を備えた方法によって達成される。本発明による方法は、従来技術で知られている方法に勝る多くの利点を提供する。このように、本発明により、すでに機械加工されたワークピースの曲げ加工を最初に可能にする方法が作成される。ワークピースはシート状の形状のため、曲げ加工の前に機械加工できる。このためには、3軸金属切削機を使用するだけで十分である。これは、すでに曲げられたワークピースに5軸ポータルフライス盤を使用する複雑な機械加工と比較して、ワークピースをクランプするのに必要な労力を大幅に軽減することもできる。このようにして、ワークピースを大幅にコスト効率よく機械加工することができる。それに加えて、充填要素を使用すると、特に、モールド凹部の領域において、すなわち、フライス加工されたポケット、リベット穴、窓の開口部などの領域で、高精度の曲げ加工が保証されるので、したがって、曲げ加工全体の非常に良好な繰り返し精度を達成する。
【0011】
本発明の好ましい展開は、充填要素が、少なくとも実質的にモールド凹部のネガ型として製造されることを特徴とする。言い換えれば、充填要素は、モールド凹部にポジ固定するか、または実質的にポジ固定するように設計される。したがって、充填要素は、上部ダイとワークピースとの間に配置された再利用可能な中間層を形成する。充填要素は、曲げプロセス中に作用する力の、ワークピースへの均一の導入を保証し、材料の厚さによって異なる曲げプロセス中の形成挙動を補償する。したがって、既存のモールド凹部にも関わらず、ワークピース全体が正確に、高い精度と繰り返し精度で曲げられる。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、材料の厚さが減少したモールド凹部の領域において、充填要素は、おのおのの場合において、この領域におけるワークピースの材料の厚さの減少量に少なくとも対応する最小の厚さを有する。したがって、充填要素は、形成プロセス中に、上部ダイとワークピース、または配置された充填要素との間で常に実質的に平坦な接点が存在するように、ワークピースに対して以前に実行された機械加工プロセスによって除去された材料を正確に補う補償要素として設計される。本発明のさらなる好都合な実施形態によれば、充填要素は、モールド凹部に配置されたときに、ワークピースの上面と面一になり、少なくとも実質的に滑らかな圧力面を形成するように製造される。
【0013】
さらに好ましい実施形態によれば、充填要素は、所定の隆起領域において圧力面に対して突出するように製造される。その結果、形成プロセス中に、対応する隆起領域におけるワークピースに、局所的に高い曲げ力が作用する。このようにして、おのおのの場合において、ワークピースの局所的な材料厚さに依存する材料の反発動作が補償され、ワークピースの材料厚さが異なる領域でも、非常に高い精度で曲げ加工が実行される。言い換えれば、充填要素の隆起領域は、反発動作を補償するように設計および構成される。
【0014】
代替的または追加的に、隆起領域は、充填要素の圧力面に配置された耐圧性フォイルによって形成される。したがって、特に単純かつ費用効果の高い手法で、ワークピース領域の望ましくない反発動作の補償を達成することが可能である。フォイルは、この目的のために有利に接着され、このようにして、望ましくない滑りに対して固定される。
【0015】
本発明の好ましい展開は、充填要素が、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製であることを特徴とする。ABSは機械加工が可能で、比較的安価で、形成プロセスに必要な物理的特性を有している。一方、ABSは、曲げ加工後に元の形状に戻るために必要な柔軟性を有している。一方、ABSは、形成プロセス中に発生した力を、特に変形することなく、上部ダイから、形成対象のワークピースに伝達するために必要な硬度を有している。充填要素は、機械加工によって製造されることが好ましい。このようにして、充填要素は、費用効果が高く、高精度で製造することができる。
【0016】
本発明の好都合な実施形態は、弾性支持面要素が、機械ベッドの支持要素とワークピースとの間に配置されることを特徴とする。弾性支持面要素は、弾性機械ベッドを形成する。形成プロセス中、支持面要素は、弾性的に共変形し、ワークピースの全面支持を提供する。有利なことに、一方では、材料の厚さが薄いワークピースを形成することができ、他方では、ワークピースの端部領域も形成中に常に支持されるので、高精度でワークピースの端部領域を形成することも可能である。
【0017】
この目的は、モールド凹部に適合し、材料の厚さを補うように設計され、ワークピースが最終形状に形成される前に、モールド凹部の領域に配置されるように設計された、充填要素をさらに備えることを特徴とする、前述した構成によっても達成される。関連する利点の繰り返しを避けるために、本発明による方法に関する上記の注釈を参照する。上記の利点は、本発明による構成、および以下で参照される本発明による構成のさらに有利な実施形態にも同様に当てはまる。
【0018】
本発明のさらなる好都合な実施形態は、充填要素が、少なくとも実質的にモールド凹部のネガ型として設計されることを特徴とする。
【0019】
さらなる好ましい実施形態によれば、材料の厚さが減少したモールド凹部の領域において、充填要素は、それぞれの場合において、この領域におけるワークピースの材料の厚さの減少量に少なくとも対応する最小の厚さを有する。
【0020】
本発明のさらなる好都合な実施形態は、充填要素が、モールド凹部に配置されたときに、ワークピースの上面と面一になり、少なくとも実質的に滑らかな圧力面を形成するように設計されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の好ましい展開は、充填要素が、所定の隆起領域において圧力面に対して突出するように設計されていることを特徴とする。
【0022】
本発明のさらなる好都合な実施形態は、隆起領域を製造するために、耐圧性フォイルが圧力面上に配置されることを特徴とする。
【0023】
さらに好ましい実施形態によれば、フォイルは、接着剤結合によって圧力面に接合される。
【0024】
本発明のさらなる好都合な実施形態は、充填要素がアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製であることを特徴とする。
【0025】
本発明のさらなる好都合な実施形態は、弾性支持面要素が、機械ベッドの支持要素とワークピースとの間に配置されることを特徴とする。
【0026】
本発明のさらに好ましいおよび/または好都合な特徴および実施形態は、付帯する請求項および詳細説明から明らかになる。特に好ましい実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。図面は、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第1の実施形態による本発明による装置の概略図である。
図2図2は、本発明による構成を用いた形成プロセスの概略図である。
図3図3は、支持面要素を有する本発明による構成のさらに有利な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による方法および本発明による構成は、好ましい実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。方法と構成との間の類似性により、方法に関しておのおのの場合になされた所見は、本発明による構成にも等しく適用され、逆もまた同様である。
【0029】
図1は、材料の厚さを減少させることによって、モールド凹部が形成されたシート状のワークピース10を示す。たとえば、ワークピースは、航空機の外板として使用するためのシートまたは大型シートであり、特に、400から450N/mm2の高い引張強度を有する銅および/またはマグネシウムを含むアルミニウム合金製である。そのようなシートは、たとえば、800×800mmから6000×6000mmまでの寸法を有する。ワークピース10の最大材料厚さは、用途に応じて0.5~16mmの間で変化する。本発明による方法および本発明による構成は、プラスチック製または、アルミニウム板および鋼鉄板などの金属製のワークピース10を形成するのに適している。
【0030】
ワークピース10は、材料の厚さを減少させることによって形成されたモールド凹部を有する。図1の概略図から分かるように、ワークピース10は、材料の厚さが減少した領域11を有する。これらの領域11は、モールド凹部を形成する。航空機産業において、「スキン」とも呼ばれる、航空機の外板として、ワークピース10を使用する場合、これらの領域11は、たとえば、リベット穴、軽量化のためのポケット、窓用の切り抜きなどによってワークピース10に導入される。モールド凹部を導入するためのワークピースの加工は、たとえばシート状の、すなわち、平坦なワークピース10に対して、3軸切断機を用いて機械加工することにより行われる。
【0031】
たとえば、ワークピース10を所望の航空機の輪郭に適合させるように形状を変更するために、ワークピースは、好ましくは、機械ベッド13の少なくとも2つの離間した支持要素12上に配置される。最終形状への形成プロセスは、段階的な自由曲げによって行われる。この目的のために、支持要素12間で上部ダイ14を下降させることにより、ワークピース10の一部は、図示されていない待機位置から形成位置15に降ろされる。
【0032】
次に、上部ダイ14が上昇する、すなわち、Z方向16において待機位置に移動する。ここで、ワークピース10の機械ベッドに対する位置は、少なくとも1つの送り方向17へ移動される。図2は、1つまたは複数の形成プロセス後のワークピース10を概略的に示す。複数の形成によって所望の最終形状が達成されるまで、前述のステップが繰り返し実行される。
【0033】
より好ましくは、図示しない位置決め手段は、ワークピース10を、図示された送り方向17だけでなく、送り方向17に垂直なさらなる方向にもさらに移動させるように設計および構成されている。このように、ワークピースは、XY平面内で自由に位置決めおよび移動される。それに加えて、上部ダイ14は、Z方向16に対して傾斜可能である。このようにして、形成中にワークピースをある程度捻ることができる。
【0034】
下降経路によって決定される上部ダイ14の沈み込み深さを指定することにより、各形成工程に求められる局所曲げ半径が予め定められる。この形成工程を繰り返すことにより、ワークピース10は所望の最終形状に形成される。曲げ作業ごとに個別の沈み込み深さを指定することにより、ワークピース10に異なる半径を導入することができる。
【0035】
ワークピース10が最終形状に形成される前に、モールド凹部に適合し、材料の厚さを補うように設計された充填要素18が製造され、モールド凹部の領域に配置される。図1および図2に示すように、充填要素18は、形成対象のワークピース10上に配置され、したがって、特に、モールド凹部の材料厚さが減少した領域11を充填する。
【0036】
これにより、すでにワークピース10に導入されている、材料の厚さが減少した領域のために、指定された厳密な公差に反するこれらの領域で、形成結果を得ることなく、前述のモールド凹部を用いた自由曲げによって、すでに機械加工されたワークピース10を、引き続き形成することが初めて可能になる。
【0037】
有利なことに、上部ダイ14は、ワークピース10または充填要素18と接触する剣端22を有する。これは、プラスチック製であることが好ましく、大きな半径、好ましくは50mmより大きな半径を有し、一方では、ワークピース10を緩やかに曲げ、他方では、曲げ半径の可能な限りスムーズな移行を保証する。
【0038】
充填要素18は、好ましくは、モールド凹部のネガ型または少なくとも実質的にネガ型として製造される。言い換えれば、充填要素18は、材料の厚さが減少した領域11の形状に対応する形状を有しており、ワークピース10上に配置された充填要素18は、好ましくは、モールド凹部の表面全体を充填し、モールド凹部の領域におけるワークピース10の除去された材料を完全に補償する。したがって、ワークピース10とともに、充填要素18は、上部ダイ側に平坦な、または滑らかな圧力面19を形成する。ワークピース10の、選択された領域のみを部分的に覆うように、充填要素18を設計することも可能である。
【0039】
より好ましくは、材料の厚さが減少したモールド凹部の領域11において、充填要素18は、おのおのの場合において、この領域におけるワークピース10の材料の厚さの減少量に少なくとも対応する最小の厚さを有する。したがって、充填要素18とともに、ワークピース10は、上部ダイ14と、ワークピース10または充填要素18との間の平坦な接点が、形成プロセス中に基本的に保証されるように、前述の平坦な圧力面19を形成する。
【0040】
したがって、充填要素18は、モールド凹部に配置されたときに、ワークピース10の上面20と面一になり、少なくとも実質的に滑らかな圧力面19を形成するように製造される。
【0041】
本発明の好ましい展開によれば、図示されていないが、充填要素は、所定の隆起領域において圧力面19に対して突出するように製造される。ワークピース10は、おのおのの場合、局所的な材料の厚さに応じて、異なる反発動作を有する。おのおのの場合の局所的な材料の厚さと、選択された曲げ半径に応じて、形成プロセス後にワークピースの材料が、様々な程度に戻る。
【0042】
本発明によれば、この反発動作は、形成工程前にシミュレーションによって決定され、このシミュレーションに基づいて、形成対象のワークピース10全体の反発動作が予測される。この予測に基づき、対応して、充填要素がより広く作られる隆起領域は、充填要素が前記隆起領域を有するように決定される。したがって、これらの隆起領域では、充填要素の残りの領域に対して、沈み込み深さの増加が達成され、このようにして、曲げプロセス中に、残りの領域に対して、隆起領域においてワークピースに加えられる力が増加する。その結果、ワークピース10は、材料の反発動作が補償される程度に、隆起領域のエリアで局所的により強く曲げられ、ワークピース10は、すべての領域で所望の最終形状に正確に形成される。
【0043】
たとえば、有限要素法(FEM)解析プログラムを使用したプロセスシミュレーションを使用して、隆起領域が決定される。曲げ加工は、上部ダイ14と機械ベッド13の形状、およびワークピース10と充填要素18の材料特性をモデル化することでシミュレートでき、したがって、充填要素18の全体的な形状は、前記の正確な形成結果が達成されるように決定できる。
【0044】
すでに説明したように、充填要素18の決定された形状に基づいて、充填要素18は、好ましくは、固体からミリングされる。代替的または追加的に、隆起領域を製造するために充填要素の圧力面19上に耐圧性フォイルを配置することによって、関連する隆起領域における充填要素18の材料厚さを適宜調整することが可能である。より好ましくは、このフォイルは、充填要素18の圧力面19上に接着され、したがって、望ましくない滑りに対して固定される。
【0045】
充填要素18は、好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製である。この材料の弾性率は2400MPaであるため、一方では形成プロセス中に弾性的に共変形し、他方では形成プロセスの終了後に、元の形状に戻るための必要な柔軟性を有する。このようにして、充填要素18は、複数の形成プロセスのために使用できる。ABSプラスチックは、硬度が90ショアで、機械加工に適している。
【0046】
代替的に、充填要素18は、他のプラスチック、繊維複合材、鋳造樹脂、またはばね鋼製とすることができる。機械加工に加えて、使用する材料に応じて、鋳造または積層プロセスも、充填要素18を製造するために使用される。
【0047】
図3は、本発明による構成のさらに有利な実施形態を示しており、それに基づいて本発明による方法も以下に説明される。機械ベッド13の支持要素12と、ワークピース10との間には、弾性支持面要素21が配置されている。したがって、ワークピース10は、弾性支持面要素21を介して、少なくとも2つの支持要素12上に支持される。したがって、支持面要素21は、弾性機械ベッドとして設計され、ワークピース10の形成プロセス中に弾性的に共変形するが、曲げプロセスの完了後、自動的に元の形状に戻る。支持面要素21は、ワークピース10の全面支持を提供する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
【国際調査報告】