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  • 特表-渦流量計及び流量測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】渦流量計及び流量測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/32 20220101AFI20220215BHJP
【FI】
G01F1/32 S
G01F1/32 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536379
(86)(22)【出願日】2018-12-24
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 RU2018000853
(87)【国際公開番号】W WO2020139097
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルズコフ,アレクサンドル ミハイロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】バベンコフ,アンドレイ ヴァシーリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】チェルノヴォル,アントン アレクセイェヴィチ
(57)【要約】
【課題】一方または両方のセンサに基づいて流体の流速測定を提供する渦流量計を得る。
【解決手段】渦流量計104は、ハウジング130によって支持され内部空洞140内に延在する渦発生体132と、超音波センサ134と、曲げモーメントセンサ136と、コントローラ122とを備える。超音波センサは、内部空洞を通る流体流れの流量を示す超音波流量出力を生成するように構成されている。曲げモーメントセンサは、内部空洞を通る流体流れの流量を示す曲げモーメント流量出力を生成するように構成されている。コントローラは、超音波流量出力および/または曲げモーメント流量出力に基づいて、流量を示す流量測定値を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流れの流量を測定するように構成された渦流量計であって、
中心軸を有する内部空洞を備えたハウジングと、
前記ハウジングによって支持され、前記中心軸に対して斜めである第1軸に沿って前記内部空洞内に延在する渦発生体と、
前記渦発生体の下流側に前記ハウジングによって支持され、前記内部空洞を通る前記流体流れの前記流量を示す超音波流量出力を生成するように構成され、前記内部空洞の対向側面に配置された超音波エミッタと超音波レシーバとを備えた超音波センサと、
前記渦発生体の前記下流側に前記ハウジングによって支持され、前記内部空洞を通る前記流体流れの前記流量を示す曲げモーメント流量出力を生成するように構成され、前記第1軸に沿って前記内部空洞の壁から延びるビームを備えた曲げモーメントセンサと、
前記超音波流量出力および/または前記曲げモーメント流量出力に基づいて前記流量を示す流量測定値を生成するように構成されたコントローラと、
を具備することを特徴とする渦流量計。
【請求項2】
前記中心軸に対して斜めに延びる平面が、前記ビーム、前記超音波エミッタ、および前記超音波レシーバを通って延びることを特徴とする請求項1に記載の渦流量計。
【請求項3】
前記ビームは前記中心軸からずれていることを特徴とする請求項2に記載の渦流量計。
【請求項4】
前記第1軸および前記中心軸に対して斜めである第2軸が、前記中心軸、前記超音波エミッタ、および前記超音波レシーバを通って延びることを特徴とする請求項3に記載の渦流量計。
【請求項5】
前記渦流量計は、前記流量が第1閾値流量未満のときに低流量モードを含み、前記低流量モードでは、前記流量測定値は、前記曲げモーメント流量出力に基づかず、前記超音波流量出力に基づいて前記コントローラによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の渦流量計。
【請求項6】
前記渦流量計は、前記流量が前記第1閾値流量と前記第1閾値流量よりも大きい第2閾値流量との間にあるときに中流量モードを含み、前記中流量モードでは、前記流量測定値は、前記超音波流量出力と前記曲げモーメント流量出力とに基づいて前記コントローラによって生成されることを特徴とする請求項5に記載の渦流量計。
【請求項7】
前記渦流量計は、前記流量が前記第2閾値流量よりも大きいときに高流量モードを含み、前記高流量モードでは、前記流量測定値は、前記超音波流量出力に基づかず、前記曲げモーメント流量出力に基づいて前記コントローラによって生成されることを特徴とする請求項6に記載の渦流量計。
【請求項8】
前記第1閾値流量が30m/h未満であることを特徴とする請求項7に記載の渦流量計。
【請求項9】
前記第2閾値流量が80m/hよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の渦流量計。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記超音波流量出力を前記曲げモーメント流量出力と比較し、
前記流体流れの状態、または前記流体流れを含むパイプの状態を、前記比較に基づいて検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の渦流量計。
【請求項11】
前記流体流れは液体の流体流れであり、
前記コントローラは、前記超音波流量出力と前記曲げモーメント流量出力との前記比較に基づいて前記液体の流体流れの同伴ガス状態を検出することを特徴とする請求項10に記載の渦流量計。
【請求項12】
前記流体流れは液体の流体流れであり、
前記コントローラは、前記超音波流量出力と前記曲げモーメント流量出力との前記比較に基づいて前記流体流れ中のキャビテーションを検出することを特徴とする請求項10に記載の渦流量計。
【請求項13】
前記コントローラは、前記超音波流量出力と前記曲げモーメント流量出力との前記比較に基づいて、前記流体流れを含む前記パイプにおける高振動状態を検出するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の渦流量計。
【請求項14】
渦流量計を使用して流体流れの流量を測定する方法であって、
前記渦流量計の渦発生体を前記流体流れに配置し、
前記流量が第1閾値流量未満であるときには、前記渦発生体の下流に配置された前記渦流量計の超音波センサによって生成される超音波流量出力を使用して前記流量の低流量モード測定を実行し、
前記流量が前記第1閾値流量よりも大きい第2閾値流量よりも大きいときには、前記渦発生体の下流に配置された前記渦流量計の曲げモーメントセンサによって生成される曲げモーメント流量出力を使用して前記流量の高流量モード測定を実行し、
前記流量が前記第1閾値流量と前記第2閾値流量との間にあるときには、前記超音波流量出力と前記曲げモーメント流量出力とを使用して前記流量の中流量モード測定を実行することを特徴とする流量測定方法。
【請求項15】
前記第1閾値流量が30m/h未満であることを特徴とする請求項14に記載の流量測定方法。
【請求項16】
前記第2閾値流量が80m/hよりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の流量測定方法。
【請求項17】
前記超音波流量出力を前記曲げモーメント流量出力と比較し、
前記比較に基づいて、前記流体流れの状態、または前記流体流れを含むパイプの状態を検出することをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の流量測定方法。
【請求項18】
前記流体流れは液体の流体流れであり、
前記流体流れの状態を検出することは、前記流体流れ内の同伴ガスを検出することを含むことを特徴とする請求項17に記載の流量測定方法。
【請求項19】
前記流体流れは液体の流体流れであり、
前記流体流れの状態を検出することは、前記流体流れ中のキャビテーションを検出することを含むことを特徴とする請求項17に記載の流量測定方法。
【請求項20】
前記パイプの状態を検出することは、前記パイプの高振動状態または前記パイプ内の液体状態の欠如を検出することを含むことを特徴とする請求項17に記載の流量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用流体流量測定システムに関し、さらに詳細には、一方または両方のセンサに基づいて流体の流速測定を提供するデュアルセンサ渦流量計及び流量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
渦流量計は、導管を通る流体の流量を直接測定するために、産業用プロセス制御の分野で使用される。渦流量計は、一般に、測定対象の流体を運ぶパイプまたは導管に挿入される。渦流量計の動作原理は、フォンカルマン渦列効果として知られる渦発生現象に基づいている。流体がブラッフボディまたは渦発生体を通過すると、小さな渦、または渦が、流体流れの速度に比例する発生周波数で渦発生体の両側に沿って、またそれらの後方で交互に発生する。渦流量計は、センサを利用して渦を検出し、発生周波数を決定する。そして、渦流量計は、決定された発生周波数に基づいて速度測定値を出力することができる。
【0003】
渦流量計は、異なるタイプのセンサを使用して、渦発生体から発生する渦を検出することができる。いくつかの渦流量計は、「フラッパー」としても知られる曲げモーメントセンサを利用して流体流れの速度を決定する。曲げモーメントには、渦発生体または渦発生体の下流に配置されるビームに結合できるひずみゲージが含まれる。流体流量測定の間、渦発生体から交互に発生する渦は、渦発生体またはビームの両側に高圧と低圧の交互のパターンを生成する。これにより、発生周波数に一致する周波数で渦発生体またはビームに振動歪みを発生させる。渦流量計は、ひずみゲージを使用して振動歪みパターンを検出して発生周波数を決定し、その発生周波数から流体流れの速度が決定される。
【0004】
渦流量計はまた、超音波センサを使用して発生周波数を検出してもよい。超音波センサは、渦発生体から下流の流体流れの対向側面に配置されたエミッタとレシーバとを備える。エミッタは、レシーバによって検出される発生渦を介して超音波を送信する。渦は、圧力や速度などの観察可能な流れパラメータに局所的な振動変化を生じさせる。超音波が渦を介して送信されると、渦は、送信された波とレシーバによって受信された波との間に、渦の強度と速度とに依存する位相差を生成する。検出された位相差は、流体流れの速度を計算するために流量計によって利用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、一般に、渦流量計、及び、渦流量計を使用して流体流れの流量を測定する方法を対象としている。渦流量計の一実施形態は、内部空洞を有するハウジングと、ハウジングによって支持され、空洞の中心軸に対して斜めである第1軸に沿って内部空洞内に延在する渦発生体と、超音波センサと、曲げモーメントセンサと、コントローラとを備える。超音波センサは、渦発生体の下流側にハウジングによって支持され、内部空洞を通る流体の流量を示す超音波流量出力を生成するように構成されている。超音波センサは、内部空洞の対向側面に配置された超音波エミッタと超音波レシーバとを備える。曲げモーメントセンサは、渦発生体の下流側にハウジングによって支持され、内部空洞を通る流体流れの流量を示す曲げモーメント流量出力を生成するように構成されている。曲げモーメントセンサは、第1軸に沿って内部空洞の壁から延びるビームを備える。コントローラは、超音波流量出力および/または曲げモーメント流量出力に基づいて、流量を示す流量測定値を生成するように構成されている。
【0006】
渦流量計を使用して流体流れの流量を測定する方法の一実施形態は、渦流量計の渦発生体を流体流れに配置することを含む。流量が第1閾値流量未満であるときには、渦流量計の超音波センサによって生成される超音波流量出力を使用して流量の低流量モード測定が実行される。流量が第1閾値流量よりも大きい第2閾値流量よりも大きいときには、渦流量計の曲げモーメントセンサによって生成される曲げモーメント流量出力を使用して流量の高流量モード測定が実行される。流量が第1閾値流量と第2閾値流量との間にあるときには、超音波流量出力と曲げモーメント流量出力とを使用して流量の中流量モード測定が実行される。
【0007】
この概要は、詳細な説明において以下にさらに説明する概念から選択したものを簡略化した形態で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求された主題の範囲を決定する際の助けとして使用されることを意図するものでもない。特許請求された主題は、背景技術において述べた欠点のいずれかまたは全てを解決する実施態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態にかかる例示的な産業用プロセス測定システムの簡略図である。
図2】本開示の実施形態にかかる例示的な渦流量計の簡略正面図である。
図3】本開示の実施形態にかかる、線3-3および線4-4に概略沿った図2の例示的な渦流量計の上面図である。
図4】本開示の実施形態にかかる、線3-3および線4-4に概略沿った図2の例示的な渦流量計の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態をより完全に説明する。同一または類似の参照符号を使用して特定された要素は、同一または類似の要素について言及している。本開示の種々の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全であるように、また本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0010】
図1は、本開示の実施形態にかかる例示的な産業用プロセス測定システム100の簡略図である。システム100は、液体や気体などのプロセス流体102の処理に使用され、プロセス流体102を、より価値の低い状態から、より価値のある有用な製品(石油、化学薬品、紙、食品など)に変換することができる。例えば、石油精製所は、原油を、ガソリン、燃料油、およびその他の石油化学薬品に加工できる工業プロセスを実行する。
【0011】
システム100は、本開示の実施形態にかかる渦流量計104を備える。渦流量計104は、システム100のパイプ108または別のプロセス容器を通るプロセス流体102の流れ106の速度または流量を推定または測定するように構成されている。流量計104によって推定された流量測定値は、断面積などのパイプ108のパラメータおよび温度、圧力および/または密度などのプロセス流体102のパラメータに基づく従来の技術を使ってプロセス流体102の体積流量および質量流量を決定するために使用することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、システム100は、適切な有線または無線通信リンク114を介して渦流量計104から流量情報112を受信するように構成された送信機110を備える。送信機110はまた、流量情報112を、例えば、図1に示すように制御室118に送信機110から離れて位置し得る制御ユニット116(例えば、コンピューティングデバイス)に送信するように構成されている。制御ユニット116は、二線式制御ループ120などの適切な物理的通信リンクまたは無線通信リンクを介して送信機110に通信可能に結合することができる。制御ユニット116と送信機110との間の通信は、従来のアナログおよび/またはデジタル通信プロトコルに従って制御ループ120を介して実行することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、制御ループ120は、4~20ミリアンペア制御ループを含み、それを介して、従来のアナログ通信プロトコルに従って、制御ループ120を流れるループ電流Iのレベルによって流量情報112を表すことができる。例示的なデジタル通信プロトコルには、HART(登録商標)通信規格に従うなど、二線式制御ループ120のアナログ電流レベルへのデジタル信号の変調が含まれる。フィールドバスおよびプロフィバス通信プロトコルといった、他の純粋なデジタル技術を使用することもできる。
【0014】
送信機110は、従来の無線通信プロトコルを使用して制御ユニット116と無線で通信するように構成することもできる。例えば、送信機110は、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)やISA 100.11a(IEC 62734)などの無線メッシュネットワークプロトコル、またはWiFi、LoRa、Sigfox、BLE、またはその他の適切なプロトコルなどの別の無線通信プロトコルを実行するように構成することができる。
【0015】
電力は、任意の適切な電源から送信機110および渦流量計104に供給することができる。例えば、送信機110および/または渦流量計104は、制御ループ120を流れる電流Iによって完全に電力を供給されてもよい。また、内部または外部バッテリーなど、1つまたは複数の電源を使用して送信機110および渦流量計104に電力を供給してもよい。また、発電機(例えば、ソーラーパネル、風力発電機など)を使用して送信機110または渦流量計104に電力を供給するか、それらの装置によって使用される電源を充電してもよい。
【0016】
コントローラ122は、例えば、渦流量計104、送信機110、および制御ユニット116のコントローラなど、システム100の複数のコントローラを表すことができる。コントローラ122は、非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ124にローカルに記憶することができる命令の実行を受けて本明細書に記載の1つまたは複数の機能を実行する1つまたは複数のプロセッサ(すなわち、マイクロプロセッサ、中央処理装置など)を備える。メモリ124は、制御ユニット116のメモリ、送信機110のメモリ、および/または渦流量計104のメモリを表すことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、コントローラ122のプロセッサは、制御ユニット116などの1つまたは複数のコンピュータベースのシステムのコンポーネントである。コントローラ122は、システム100のコンポーネントを制御するために、および/または本明細書に記載の1つまたは複数の機能を実行するために使用される、1つまたは複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたは複数のプログラム可能なハードウェアコンポーネントを含むことができる。コントローラ122はまた、送信機110、流量計104、および制御ユニット116の他の従来の回路を表してもよい。したがって、コントローラ122は、例えば、データ処理コンポーネント、データ通信コンポーネント、および/または他のコンポーネントなど、渦流量計104、送信機110、および/または制御ユニット116のコンポーネントを表してもよい。
【0018】
図2は、本開示の実施形態にかかる例示的な渦流量計104の中心軸142に沿った簡略正面図である。図3および図4はそれぞれ、本開示の実施形態にかかる、線3-3および線4-4に概略沿った図2の例示的な渦流量計104の上面および側面断面図である。
【0019】
渦流量計104のいくつかの実施形態は、図1に示すように、ハウジング130と、渦発生体132と、超音波センサ134と、曲げモーメントセンサ136とを備える。以下にさらに具体的に記載するように、渦流量計104のデュアルセンサ構成は、例えば、曲げモーメントセンサまたは超音波センサのいずれかといった単一のセンサのみを利用する従来の渦流量計よりも、利点を提供する。
【0020】
ハウジング130は、中心軸142を有する、筒状の内部空洞といった、内部空洞140を備える。ハウジング130は、図1に示すように、中心軸142がパイプ108の中心軸144と実質的に同軸になるように、パイプ108と同一直線上に接続することができる。
【0021】
渦発生体132は、図4に示すように、ハウジング130によって支持され、中心軸142に対して斜めである軸146に沿って内部空洞140内に延在する。いくつかの実施形態では、渦発生体132は、図1および図3に示すように、流体流れ106に応じて渦148を発生するように構成された従来の断面形状を有する。1つの例示的な実施形態では、渦発生体132は、図3に示すように、台形の断面形状を有する。渦発生体132は、図4に示すように、軸146が軸142と交差するように空洞140の中心を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態では、渦発生体132の両端部150および152は、ハウジング130に取り付けられている。あるいは、渦発生体132は、端部のうち一方150または152のみでハウジングに固定されていてもよい。
【0022】
超音波センサ134は、任意の適切な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、超音波センサ134は、図3および図4に示すように、流体流れ106に対して渦発生体132の下流側154にハウジング130によって支持されている。超音波センサ134は、内部空洞を通る流体流れ106の流量を示す超音波流量出力156(図1)を生成するように構成されている。
【0023】
超音波センサ134は、図3に示すように、内部空洞140の対向側面にハウジング130によって支持されるエミッタ160およびレシーバ162を備える。エミッタ160は、渦148を介して超音波164(図3)を送信するように構成され、超音波は、レシーバ162によって受信される。超音波164は、渦148との干渉によって、それらの送信された形態に対して位相ずれを受ける。したがって、レシーバ162によって受信された超音波164は、それらの送信された形態に対して位相差を有する。超音波センサ134によって出力された流量出力156は、この位相差を示すことができ、位相差は、通過する渦148によって経時的に変化する。変化する出力156はコントローラ122によって使用され、従来の技術に従って、発生周波数および流体流れ106の流量を決定することができる。
【0024】
エミッタ160およびレシーバ162は、軸166に沿って整列させることができる。いくつかの実施形態では、軸166は、空洞140の中心軸142を通って延びている。いくつかの実施形態では、軸166は、軸146および中心軸142に対して斜めに延び、図3および図4に示すように、中心軸142、エミッタ160、およびレシーバ162を通って延びている。
【0025】
曲げモーメントセンサ136は、任意の適切な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、曲げモーメントセンサ136は、図3および図4に示すように、渦発生体132から下流側154にハウジング130によって支持されている。いくつかの実施形態では、曲げモーメントセンサ136は、内部空洞140を通る流体流れ106の流量を示す曲げモーメント流量出力168(図1)を生成するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、曲げモーメントセンサ136は、ハウジング130の壁172から内部空洞140に平面172に沿って延びるビーム170を備え、図4に示すように、平面172は、軸146と実質的に平行になり得る。いくつかの実施形態では、ビーム170は、図4に示すように、中心軸142からずれている。いくつかの実施形態では、平面172は、図3および図4に示すように、中心軸142に対して斜めに延び、ビーム170、超音波エミッタ160、および超音波レシーバ162を通って延びている。
【0027】
曲げモーメントセンサ136はまた、従来の曲げモーメントセンサに従って、ビーム170の歪みまたはトルクを検知するために使用されるひずみまたはトルクゲージ174を備えることができる。ゲージ174からの出力168はコントローラ122によって使用され、従来の技術に従って、渦148の発生周波数を検出して流体流れ106の流量を推定することができる。
【0028】
1つの代替実施形態では、曲げモーメントセンサ136は、ビームの代わりに渦発生体132を利用することができる。ここで、ひずみまたはトルクゲージ174を使用して渦発生体132の歪みまたはトルクを測定する。そして、ゲージ174からの出力168はコントローラ122によって使用され、従来の技術に従って、渦148の発生周波数および流体流れ106の流量を検出する。
【0029】
コントローラ122のコンポーネントを使用して、超音波流量出力156および/または曲げモーメント流量出力168に基づいて流体流れ106の流量を示す流量測定値178を生成することができる。したがって、渦流量計はコントローラ122を含むものとして記載でき、これは一般的に、例えば流量測定値178を生成するコントローラ122のコンポーネントが、(例えば、ハウジングによって支持される)渦流量計104のコンポーネント、送信機110のコンポーネント、および/または制御ユニット116のコンポーネントであり得ることを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態では、渦流量計104は、低流量モード、中流量モード、および高流量モードを含む。渦流量計104は、流体流れ106の流量がメモリ124に記憶することができる第1閾値流量180未満であるときには、低流量モードで動作する。流量計104は、流体流れ106の流量が第1閾値流量180と第1閾値流量180よりも大きい第2閾値流量182との間にあるときには、中流量モードで動作する。第2閾値流量182は、図1に示すように、メモリまたは別の適切な場所に記憶することができる。渦流量計104は、流体流れ106の流量が第2閾値流量182よりも大きいときには、高流量モードで動作する。
【0031】
第1閾値流量180および第2閾値流量182は、流量計のユーザーによって設定され、メモリに記憶することができる。第1閾値流量180および第2閾値流量182は、予想される流れ状態とパイプ108の直径とに基づいて設定される。いくつかの実施形態では、第1閾値流量180は30m/時未満とすることができ、第2閾値流量182は80m/時よりも大きくすることができる。1つの例示的実施形態では、例えば内径が3インチ(DN80mm)のパイプに対して、第1閾値流量180は10m/時以下に設定でき、第2閾値流量182は100m/時以上に設定できる。したがって、この例によれば、渦流量計104は、約0~10m/hの流量に対して低流量モードで動作し、渦流量計104は、約10~100m/hの流量に対して中流量モードで動作し、渦流量計104は、約100m/hを超える流量に対して高流量モードで動作する。他の閾値流量は、異なるパイプ径および状態に使用することができる。
【0032】
低流量モード、中流量モード、および高流量モードに対応する流量範囲は、超音波センサ134および曲げモーメントセンサ136の特徴を利用するように選択される。一般に、流量が、超音波センサ134が信頼性の高い流量出力156を提供していると予想される流量である場合には、コントローラ122は超音波センサ134からの流量出力156を利用し、流体流れ106の流量が、超音波センサ134が曲げモーメントセンサ136の流量出力168と比較して信頼性の低い流量出力156を提供していると予想される流量の場合には、コントローラ122は超音波センサ134からの流量出力156を利用しない。同様に、流量流れ106の流量が、曲げモーメントセンサ136が信頼性の高い流量出力168を提供していると予想される流量である場合には、コントローラ122は曲げモーメントセンサ136からの流量出力168を利用し、流量が、曲げモーメントセンサ136が超音波センサ134によって生成される流量出力156と比較して信頼性の低い流量出力168を提供していると予想される流量である場合には、コントローラ122は曲げモーメントセンサ136からの流量出力168を利用しない。
【0033】
超音波センサ134のいくつかの利点には高感度が含まれるが、それにより、センサ134は非常に低い流体流量を測定するのに有用になる。さらに、パイプの振動は、超音波センサ134によって実行される流量測定の精度に大きく影響しない。しかしながら、超音波センサ134の、流量を正確に測定する能力は、流体流れ106内の同伴ガスによって悪影響を受ける可能性がある。さらに、流れ106中の低レベルのキャビテーションでさえ、超音波センサ134を使用する流量測定に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0034】
曲げモーメントセンサ136のいくつかの利点には、低濃度の不溶解ガスを有する流体流れ106の比較的正確な流量測定を提供する能力、および流れ106中に低レベルのキャビテーションがある状態で比較的正確な流量測定を提供する能力が含まれる。しかしながら、曲げモーメントセンサ136は、低流量を測定するには感度が十分に高くない可能性がある。さらに、パイプ108の振動は、曲げモーメントセンサ136を使用する流量測定の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0035】
第1閾値流量は、一般に、流体流れ106の比較的低レベルの流量範囲を規定するために選択され、ここでは、曲げモーメント流量出力168は、超音波流量出力156ほど信頼性が高くない。さらに、そのような低流量では、曲げモーメントセンサ136は、パイプ108の振動に極めて左右されやすく、それにより、曲げモーメント流量出力168は、超音波流量出力156よりも信頼性が低くなる可能性がある。しかしながら、第1閾値流量180未満の流量では、超音波流量出力156は比較的信頼性が高い。したがって、コントローラ122は、渦流量計104が低流量モードにあるときに流体流れ106の流量測定値を決定する際は、超音波流量出力156のみを使用し、曲げモーメント流量出力168を使用しない。
【0036】
流体流れ106の流量が第1閾値流量180と第2閾値流量182との間にあるときには、渦流量計104は中流量モードで動作し、コントローラ122によって生成される流量測定値178は、超音波流量出力156と曲げモーメント流量出力168との両方に基づく。ここで、超音波センサ134および曲げモーメントセンサ136の両方は、第1閾値流量180と第2閾値流量182との間の流量範囲に対して実質的に信頼できる流量出力156および168を生成する。いくつかの実施形態では、コントローラ122は、超音波流量出力156と曲げモーメント流量出力168とによって示される流量の平均を流量測定値178として使用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、渦流量計104が高流量モードで動作しているときには、コントローラ122は、超音波流量出力156ではなく、曲げモーメント流量出力168にのみ基づいて流量測定値178を生成する。これは、流体流れ106にキャビテーションが現れると予想される流量に対応する第2閾値流量182の選択によるものである。このようなキャビテーションは、超音波流量出力156の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があるが、曲げモーメント流量出力168は、流量測定値178の基礎とするのに十分な信頼性を維持している。したがって、コントローラ122による流量測定値178の決定から超音波流量出力156を排除することで、キャビテーションによって生じる流量測定値に関する問題は実質的に低減される。
【0038】
超音波センサ134および曲げモーメントセンサ136の両方を使用するさらなる利点には、流体流れ106とパイプ108の状態を検出する能力が含まれる。超音波流量出力156および/または曲げモーメント流量出力168に基づいてコントローラ122によって検出され得る流体流れ106の例示的な状態には、例えば、流体流れ106内の同伴ガス、流体流れ106中のキャビテーション、および流体流れ106の欠如が含まれる。超音波流量出力156および/または曲げモーメント流量出力168に基づいてコントローラ122によって検出され得るパイプ108の例示的な状態には、高振動状態が含まれる。
【0039】
コントローラ122は、超音波流量出力156と曲げモーメント流量出力168とによって示される流量を比較することで流体流れ106および/またはパイプ108の状態を検出し、検出された状態に応じて通知を発することができる。これは、流体流れの流量が第1閾値流量180と第2閾値流量182との間にあり、渦流量計104が中流量モードで動作し、超音波流量出力156および曲げモーメント流量出力168がそれぞれ、流体流れ106の流量の正常に信頼できる指標であるとき、特に効果的である。例えば、流体流れ106内の同伴ガスまたはキャビテーションの状態は、超音波センサ134が流体流れ106の同伴ガスおよびキャビテーションの状態に左右されるため、超音波流量出力156が経時的に異常に変化する一方で、曲げモーメント流量出力168が比較的安定し続けるときに、コントローラ122によって検出することができる。高振動のパイプ状態は、曲げモーメントセンサがパイプ108の高振動に左右されるため、曲げモーメント流量出力168が経時的に異常に変化する一方で、超音波流量出力156が比較的安定し続けるときに、コントローラ122によって検出することができる。
【0040】
空洞140内の液体の欠如は、超音波センサ134のレシーバ162によって検出される信号164のレベルを分析することで検出することができ、これは、出力156によって示すことができる。超音波164は、気体よりも液体を、より効率的に通過する。したがって、信号164が空気を介して送信されるとき、レシーバ162における信号(超音波164)のレベルは、信号(超音波164)が完全に液体を介して送信されるときよりも低い。したがって、空洞140における液体の欠如は、レシーバ162によって検出され超音波センサ134の出力156によって示される超音波信号164のレベルが空洞140内の液体の欠如に対応する閾値レベルと一致するかそれを下回るときに検出することができる。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ122は、出力156によって示される信号164の検出されたレベルを閾値レベルと比較し、検出されたレベルが閾値レベルと一致するかそれよりも小さい場合に空洞140内の液体の欠如を検出する。
【0041】
コントローラ122によって発された通知は、流体流れ106またはパイプ108の検出された状態を示すことができる。いくつかの実施形態では、通知には、検出された状態に関する状態情報184を制御ユニット116のディスプレイ186上などに表示すること、アラームを起動すること、および/または別のタイプの通知を提供することが含まれる。状態情報184はまた、メモリ124に記憶させることができる。
【0042】
本開示の実施形態を好適な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更を加えることができることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0043】
100 産業用プロセス測定システム
102 プロセス流体
104 渦流量計
106 流体流れ
122 コントローラ
130 ハウジング
132 渦発生体
134 超音波センサ
136 曲げモーメントセンサ
140 内部空洞
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】