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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】新型マイクロカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220215BHJP
【FI】
A61M25/00 624
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536400
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2018122658
(87)【国際公開番号】W WO2020124551
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】201811556875.4
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521271440
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲業▼聚▲實▼▲業▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】向 ▲東▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】王 平
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】肖 建平
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB06
4C267BB07
4C267BB13
4C267BB15
4C267BB16
4C267BB52
4C267BB63
4C267CC08
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG22
4C267GG34
4C267HH03
4C267HH04
(57)【要約】
本発明は新型マイクロカテーテルを開示し、管状構造であり、遠位端から近位端まで順に設置されたヘッド端、チューブ本体、拡散応力チューブ及びハブを含み、ここで、前記ヘッド端内に現像性材料がドーピングされ、前記ヘッド端と前記チューブ本体との間に現像リングが設置され、前記チューブ本体は外から内まで順に外側シース層、編組補強層、編組層及びインナーライナー層を含み、及び前記チューブ本体の近位端は前記ハブに固定接続され、前記チューブ本体の近位端と前記ハブとの接続部に前記拡散応力チューブが嵌設される。本発明の新規マイクロカテーテルは強いプッシュ性能、抗折性能及び追跡性能を有し、同時にカテーテルは遠位端から近位端まで徐々に硬くなり、このように遠位端の柔軟性及び形状保持性能を保証することができ、マイクロカテーテルが手術過程で患者の病変部に正確に到達しかつ曲がりくねった病変血管を貫通することを確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状構造である新型マイクロカテーテルであって、
遠位端から近位端まで順に設置されたヘッド端(1)、チューブ本体(2)、拡散応力チューブ(8)及びハブ(3)を含み、
前記ヘッド端(1)内に現像性材料がドーピングされ、前記ヘッド端(1)と前記チューブ本体(2)との間に現像リング(9)が設置され、
前記チューブ本体(2)は外から内へ順に外側シース層(4)、編組補強層(7)、編組層(6)及びインナーライナー層(5)を含み、及び
前記チューブ本体(2)の近位端は前記ハブ(3)に固定接続され、前記チューブ本体(2)の近位端と前記ハブ(3)との接続部に前記拡散応力チューブ(8)が嵌設される
ことを特徴とする新型マイクロカテーテル。
【請求項2】
前記ヘッド端(1)の外径が遠位端から近位端まで徐々に大きくなる
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項3】
前記ヘッド端(1)の材質が軟質ポリアミド又は軟質ポリウレタンである
ことを特徴とする請求項2に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項4】
前記現像性材料がタングステン粉末、硫酸バリウム、三酸化二ビスマス、次炭酸ビスマス及びタングステン酸カルシウムのうちの一種又は複数種の組み合わせである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項5】
前記ヘッド端(1)の近位端面は編組層(6)に重ねて溶接され、かつ前記チューブ本体(2)の遠位端の前記編組層(6)及びインナーライナー層(5)は前記チューブ本体(2)から突出する
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項6】
前記現像リング(9)が前記ヘッド端(1)内に嵌設され、かつ前記現像リング(9)が前記編組層(6)の遠位端面を完全に被覆する
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項7】
前記現像リング(9)の材質が白金イリジウム合金又は黄金又は白金である
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項8】
前記インナーライナー層(5)の厚さが0.008~0.02mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項9】
前記インナーライナー層(5)の材質が高密度ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンである
ことを特徴とする請求項8に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項10】
前記インナーライナー層(5)の内径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記インナーライナー層(5)の遠位端の内径は0.41~0.45mmであり、前記インナーライナー層(5)の近位端の内径は0.48~0.53mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項11】
前記編組層(6)はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、前記編組糸は丸糸又は平糸又は楕円糸である
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項12】
前記編組層(6)の編組糸数は16~32本であり、前記編組層(6)の編組密度PPIは遠位端から近位端まで徐々に小さくなり、前記編組層(6)の遠位端の編組密度PPIは220~280であり、前記編組層(6)の近位端の編組密度PPIは50~100である
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項13】
前記編組補強層(7)は前記チューブ本体(2)の近位端に設置され、前記編組補強層(7)の長さは800~1100mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項14】
前記編組補強層(7)はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、前記編組補強層(7)の編組糸数は20~36本であり、前記編組補強層(7)内に複数の編組補強糸(10)が水平に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項15】
前記拡散応力チューブ(8)の近位端面は係止により前記ハブ(3)の遠位端面に固定接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項16】
前記外側シース層(4)の硬度は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記外側シース層(4)の硬度の変化範囲は30~71Dである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項17】
前記外側シース層(4)は様々な硬度の異なるポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィン材料で構成される
ことを特徴とする請求項16に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項18】
前記外側シース層(4)の外径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記外側シース層(4)の遠位端の外径は0.05~0.066mmであり、前記外側シース層(4)の近位端の内径は0.81~0.92mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【請求項19】
前記外側シース層(4)の外表面に親水性コーティングが塗布される
ことを特徴とする請求項1に記載の新型マイクロカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロカテーテルに関し、特に新型マイクロカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
社会経済の発展に伴い、国民生活様式に深刻な変化が発生し、特に人口高齢化及び都市化プロセスの加速に伴って、中国心血管疾患の危険因子の流行傾向が明らかであり、心血管疾患の発症人数が増加し続けることをもたらす。現在中国の冠状動脈慢性完全閉塞病変を患う患者は約220万である。
【0003】
臨床的には、慢性完全閉塞病変又は血管中間層の血管に対して低侵襲的介入治療を行う場合、ガイドワイヤの通過の成功率を向上させるために、一般的にマイクロカテーテルとガイドワイヤを組み合わせて使用する必要があり、まずマイクロカテーテルはガイドワイヤに対して微小な血管内に追加の支持力を提供し、かつ両者が交互に前進し、ガイドワイヤが閉塞病変を通過する能力を大幅に向上させる。
【0004】
ガイドワイヤが病変位置を通過することを完了した後、さらにガイドワイヤが血管の真腔内にあることを確認する必要があり、確認した後に次の治療操作を行うことができ、その治療操作として、例えばバルーン拡張、ステント移植等の技術手段である。血管の遠位端に造影剤を注入して造影学によりガイドワイヤが血管の真腔にあるか否かを評価する。
【0005】
手術過程において、マイクロカテーテルを体外から病変位置にプッシュする必要があり、これはマイクロカテーテルが強いプッシュ性能、抗折性能及び追跡性能等を有することを要求し、マイクロカテーテルが手術過程において患者の病変部位に正確に到達しかつ病変血管を通過すると共に、健康な血管を損傷せず、同時にガイドワイヤの通過及び退出を容易にすることを確保する。
【0006】
従来のマイクロカテーテルは、一般的にカテーテルのサイズが小さいこと、及びプッシュ性能、抗折性能及び追跡性能に優れることを同時に満たすことができず、このようにガイドワイヤが閉塞病変を貫通する難度を増加させ、同時に医者に対する操作要求を増大させ、カテーテルが患者の体内にある時間を延長し、患者の身体への影響を大きくする。
【0007】
CN 107376101 Aは経カテーテル動脈化学塞栓術TACEに用いられるマイクロカテーテルを説明し、該マイクロカテーテルは、チューブベース、拡散応力チューブ、チューブ本体及びヘッド端を含み、拡散応力チューブはチューブベースとチューブ本体との接続部の外部に嵌着され、かつアンダーカットの方式でチューブベースと一体に固定され、チューブ本体はインナーライナー層、補強層及び外套層を含み、補強層は編組セグメント、当接セグメント及び螺旋セグメントを含み、ここで編組セグメントはチューブベースに近接し、螺旋セグメントはヘッド端に近接し、当接セグメントは編組セグメントと螺旋セグメントとの間に位置し、螺旋セグメントは単一の螺旋糸でコイルばねの構造を製造し、該特許で表記されたマイクロカテーテルのヘッド端は良好な柔軟性を有し、同時にヘッド端は良好な形状保持能力を有し、しかし、プッシュ性能が低く、近位端に一層のみの編組層が補強されるため、プッシュ性能を向上させようとするとカテーテルの壁厚を増大させ、このようにカテーテルのサイズを増大させ、カテーテルのサイズを増大させると曲がりくねった血管を通過する難度を増大させ、同時に手術のリスク及び難度を増加させる。
【0008】
US 7507229B2は人体の奥に挿入するための多層カテーテルを説明し、インナーライナー層、編組層及び外側シース層を含む。カテーテルは、血管系を通過するために必要な高い柔軟性と高い強度を提供する。外側シース層は7種の徐々に硬くなるポリマー材料で構成され、中間編組層の編組密度は一回のみ変化し、マイクロカテーテルの硬度が遠位端から近位端まで徐々に硬くなる過程を実現することができない。
【0009】
以上をまとめると、従来のマイクロカテーテルは一般的に以下の問題が存在する。マイクロカテーテルは優れた寸法及び優れた物理的特性を兼ね備えることが困難であり、マイクロカテーテルはカテーテル本体が遠位端から近位端まで徐々に硬くなることを保証することができなく、柔軟性が高いが、プッシュ性能が低く、折れやすくなり、先端形状の保持能力が低く、血管分岐部位にスムーズに入ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願公開第107376101号明細書
【特許文献2】米国特許第7507229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は従来のマイクロカテーテルに存在する上記技術的問題を解決するために、良好なサイズを有するだけでなく、良好な物理的特性を有し、同時にヘッド端に良好な形状保持能力を有する新規マイクロカテーテルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
新型マイクロカテーテルを提供し、管状構造であり、遠位端から近位端まで順に設置されたヘッド端、チューブ本体、拡散応力チューブ及びハブを含み、ここで、
前記ヘッド端内に現像性材料がドーピングされ、前記ヘッド端と前記チューブ本体との間に現像リングが設置され、
前記チューブ本体は外から内へ順に外側シース層、編組補強層、編組層及びインナーライナー層を含み、及び
前記チューブ本体の近位端は前記ハブに固定接続され、前記チューブ本体の近位端と前記ハブとの接続部に前記拡散応力チューブが嵌設される。
さらに、前記ヘッド端の外径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなる。
さらに、前記ヘッド端の材質は軟質ポリアミド又は軟質ポリウレタンである。
さらに、前記現像性材料はタングステン粉末、硫酸バリウム、三酸化二ビスマス、次炭酸ビスマス及びタングステン酸カルシウムのうちの一種又は複数種の組み合わせである。
さらに、前記ヘッド端の近位端面が編組層に重ねて溶接され、かつ前記チューブ本体の遠位端の前記編組層及びインナーライナー層が前記チューブ本体から突出する。
さらに、前記現像リングは前記ヘッド端内に嵌設され、かつ前記現像リングは前記編組層の遠位端面を完全に被覆する。
さらに、前記現像リングの材質は白金イリジウム合金又は金又は白金である。
さらに、前記インナーライナー層の厚さは0.008~0.02mmである。
さらに、前記インナーライナー層の材質は高密度ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンである。
さらに、前記インナーライナー層の内径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記インナーライナー層の遠位端の内径は0.41~0.45mmであり、前記インナーライナー層の近位端の内径は0.48~0.53mmである。
さらに、前記編組層はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、前記編組糸は丸糸又は平糸又は楕円糸である。
さらに、前記編組層の編組線数は16~32本であり、前記編組層の編組密度PPIは遠位端から近位端まで徐々に小さくなり、前記編組層の遠位端の編組密度PPIは220~280であり、前記編組層の近位端の編組密度PPIは50~100である。
さらに、前記編組補強層は前記チューブ本体の近位端に設けられ、前記編組補強層の長さは800~1100mmである。
さらに、前記編組補強層はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、前記編組補強層の編組線数は20~36本であり、前記編組補強層内に複数の編組補強糸10が水平に設置される。
さらに、前記拡散応力チューブの近位端面は係止により前記ハブの遠位端面に固定接続される。
さらに、前記外側シース層の硬度は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記外側シース層の硬度の変化範囲は30~71Dである。
さらに、前記外側シース層は様々な硬度の異なるポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィン材料で構成される。
さらに、前記外側シース層の外径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、前記外側シース層の遠位端の外径は0.05~0.066mmであり、前記外側シース層4の近位端の内径は0.81~0.92mmである。
さらに、前記外側シース層の外表面に親水性コーティングが塗布される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記技術的手段を採用し、従来の技術に比べて、以下の技術的効果を有する。
本発明の新型マイクロカテーテルは、強いプッシュ性能、抗折性能及び追跡性能を有し、同時にカテーテルは遠位端から近位端まで徐々に硬くなり、遠位端の柔軟性及び形状保持性能を保証し、マイクロカテーテルが手術過程で患者の病変部位に正確に到達しかつ曲がりくねった病変血管を貫通することを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】新型マイクロカテーテルの全体構造概略図である。
図2】新型マイクロカテーテルの編組構造概略図である。
図3】新型マイクロカテーテルのチューブ本体及びヘッド端の断面構造概略図である。
図4】新型マイクロカテーテルの編組層の編組構造概略図である。
図5】新型マイクロカテーテルにおけるA-A断面の断面図である。
図6】新型マイクロカテーテルにおける編組層の編組構造概略図である。
図7】新型マイクロカテーテルにおける編組補強層の編組構造概略図である。
図8】新型マイクロカテーテルにおけるB-B断面の断面図である。
図9】新型マイクロカテーテルの外側シース層の構造概略図である。
図10】新型マイクロカテーテルにおけるヘッド端の構造概略図である。
図11】新型マイクロカテーテルが血管に入る状態概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、各図面符号は以下のとおりである。
1:ヘッド端、2:チューブ本体、3:ハブ、4:外側シース層、5:インナーライナー層、6:編組層、7:編組補強層、8:拡散応力チューブ、9:現像リング、10:編組補強糸、11:架設突起、12:架設凹溝。
【0016】
以下に具体的な実施例により本発明を詳細かつ具体的に説明することにより、本発明をよりよく理解するが、下記実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
図1~11に示すように、本発明の実施例は新型マイクロカテーテルを提供し、管状構造であり、遠位端から近位端まで順に設置されたヘッド端1、チューブ本体2、拡散応力チューブ8及びハブ3を含み、ここで、ヘッド端1内に現像性材料がドーピングされ、ヘッド端1とチューブ本体2との間に現像リング9が設置され、チューブ本体2は外から内まで順に外側シース層4、編組補強層7、編組層6及びインナーライナー層5を含み、チューブ本体2の近位端はハブ3に固定接続され、チューブ本体2の近位端とハブ3との接続部に拡散応力チューブ8が嵌設される。
【0018】
本実施例の一態様では、図1~3、9~11に示すように、ヘッド端1の外径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、ヘッド端1は流線型設計を採用し、マイクロカテーテルのヘッド端が人体の血管にスムーズに挿入することを保証する。
【0019】
本実施例の一態様において、ヘッド端1の材質は軟質ポリアミド又は軟質ポリウレタンであり、好ましくはポリエーテルブロックポリアミドである。ポリエーテルブロックポリアミドはその独特な化学構造のため、熱可塑性エラストマーの性能を備え、ポリエーテルブロックポリアミドは最も軽いエンジニアリング熱可塑性エラストマーであり、繰り返して変形する場合に機械的性能の損失がなく、かつ耐疲労性がよく、同時にポリエーテルブロックポリアミドは正確な寸法安定性を有し、マイクロカテーテルが異なる環境条件下で寸法を不変に保持することを保証し、ポリエーテルブロックポリアミドが反発性及び弾性回復に優れ、マイクロカテーテルが人体血管から抽出される場合、マイクロカテーテルが変形しないことを保証することができる。
【0020】
本実施例の一態様では、図1~3、9~11に示すように、現像性材料はタングステン粉末、硫酸バリウム、三酸化二ビスマス、次炭酸ビスマス及びタングステン酸カルシウムのうちの一種又は複数種であり、ヘッド端は軟質のポリエーテルブロックポリアミド材料を基材として同時に現像用の補助材料を添加して形成された押出管であり、溶接プロセスによりヘッド端とチューブ本体を緊密に結合させる。
【0021】
本実施例の一態様では、図10に示すように、ヘッド端1の近位端面は編組層6に重ねて溶接され、かつチューブ本体2の遠位端の編組層6及びインナーライナー層5はチューブ本体2から伸び出し、ヘッド端1の近位端面に架設突起11が設置され、チューブ本体2の遠位端に編組層6の上端面及び外側シース層4の側端面で構成された架設凹溝12が設置され、架設突起11は架設凹溝12と嵌合して接続され、架設突起11は架設凹溝12と溶接により接続される。
【0022】
本実施例の一態様において、図1~2、10~11に示すように、現像リング9はヘッド端1内に嵌設され、かつ現像リング9は編組層6の遠位端面を完全に被覆し、現像リング9の一端は架設突起11と架設凹溝12との接続部に位置し、現像リング9は編組層6を内層に緊密に拘束し、同時に現像の作用を提供し、次に現像性を有するヘッド端1の押出チューブは現像リング9に嵌設され、溶接によりそれを内部に被覆し、このようにしてヘッド端の二重現像作用を実現することができ、術者に優れた現像効果を提供する。
【0023】
本実施例の一態様では、図3、5、8、10に示すように、インナーライナー層5の厚さは0.008~0.02mmであり、インナーライナー層5の力学的強度を保証すると同時に、インナーライナー層5の厚さを0.008~0.02mm以内に制御することによりマイクロカテーテルの人体血管へのスムーズな挿入を確保し、インナーライナー層5の力学的強度を強化するためにマイクロカテーテルの全体的な厚さを犠牲にすることはない。
【0024】
本実施例の一態様において、現像リング9の材質は白金イリジウム合金又は黄金又は白金であり、白金イリジウム合金、黄金及び白金はX線下で現像が明瞭であり、医療従事者がマイクロカテーテルの血管における位置を位置決めすることに役立つことができる。
【0025】
本実施例の一態様において、インナーライナー層5の材質は高密度ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンであり、高密度ポリエチレン及び高密度ポリテトラフルオロエチレンはいずれも体積が小さく、力学的強度が高いという特徴を有し、インナーライナー層として高密度ポリエチレン及び高密度ポリテトラフルオロエチレンを選択して使用し、マイクロカテーテル全体の力学的強度を向上させると同時に、マイクロカテーテルの直径が小さいことを保証することによりマイクロカテーテルが人体血管にスムーズに入る。
【0026】
本実施例の一態様において、図3、5、8、10に示すように、インナーライナー層5の内径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、インナーライナー層5の遠位端の内径は0.41~0.45mmであり、インナーライナー層5の近位端の内径は0.48~0.53mmであり、インナーライナー層5はガイドワイヤに安定支持を提供することができる。
【0027】
本実施例の一態様において、図2~6、10に示すように、編組層6はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、編組糸は丸糸又は平糸又は楕円糸であり、二重糸で編まれるとマイクロカテーテルの柔軟性及び折れ防止能力を向上させることができる。
【0028】
本実施例の一態様において、図2~6、10に示すように、編組層6の編組糸数は16~32本であり、編組層6の編組密度PPIは遠位端から近位端まで徐々に小さくなり、編組層6の遠位端の編組密度PPIは220~280であり、編組層6の近位端の編組密度PPIは50~100であり、カテーテルの硬度変化が徐々に変化し、また二重糸で編まれることを採用し、マイクロカテーテルの柔軟性及び折れ防止能力を向上させることができる。
【0029】
本実施例の一態様において、図2~3、7~8、11に示すように、編組補強層7はチューブ本体2の近位端に設けられ、編組補強層7の長さは800~1100mmであり、編組補強層7が編組層6に全面的に配置されない理由は以下のとおりである。マイクロカテーテルのヘッド端が先に人体血管に入るため、高い柔軟性能を必要とし、編組補強層7はある程度で一部のカテーテルの柔軟性を低下させ、マイクロカテーテルが人体血管に入りにくいことを回避するために、編組補強層7はチューブ本体2の近位端のみに配置される。
【0030】
本実施例の一態様において、図2~3、7~8、11に示すように、編組補強層7はステンレス鋼編組糸又はニッケルチタン編組糸の二重糸で編まれ、編組補強層7の編組糸数は20~36本であり、編組補強層7内に複数の編組補強糸10が水平に設置され、編組補強層7を増加させるとチューブ本体2のプッシュ性能及びねじり性能を向上させることができ、同時にマイクロカテーテルは小さいサイズを有し、血管の通過性を向上させ、特に病変が高度に曲がりくねった側枝部位に発生する場合、このように設計されたマイクロカテーテルの臨床上の利点は非常に明らかである。
【0031】
本実施例の一態様において、図1に示すように、拡散応力チューブ8の右端面は係止によりハブ3の左端面に固定接続され、ハブ3は硬質で透明なPC材料で、マイクロカテーテル本体2の近位端の接続端をベルマウスに拡張し、その後にそれをハブ3に挿入し、その後にUV紫外線硬化接着剤でそれをチューブ本体2に接続し、拡散応力チューブ8は軟質の弾性体TPE材料で形成され、拡散応力チューブ8はアンダーカットによりハブ3に接続される。
【0032】
本実施例の一態様において、図9に示すように、外側シース層4の硬度は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、外側シース層4の硬度の変化範囲は30~71Dであり、カテーテルの硬度変化は徐々に変化し、マイクロガイドの折れ防止能力を向上させると同時に一定の柔軟性を兼ね備えることができる。
【0033】
本実施例の一態様において、図9に示すように、外側シース層4は様々な硬度の異なるポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィン材料で構成され、ポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィンの三種類の高分子材料において、ポリアミドの硬度が最も低く、ポリオレフィンの硬度が最も高く、異なる材質のそれ自体の硬度性能により外側シース層4の硬度徐変効果を実現する。
【0034】
本実施例の一態様において、図9に示すように、外側シース層4の外径は遠位端から近位端まで徐々に大きくなり、外側シース層4の遠位端の外径は0.05~0.066mmであり、外側シース層4の近位端の内径は0.81~0.92mmであり、外側シース層4は流線型構造設計であり、このような構造設計はマイクロカテーテルが人体血管にスムーズに入ることに役立つ。
【0035】
本実施例の一態様において、外側シース層4の外表面に親水性コーティングが塗布され、マイクロカテーテル全体の摩擦係数を大幅に低下させ、その通過性能をさらに向上させる。
【0036】
本発明は従来のマイクロカテーテルが良好な寸法及び良好な物理的特性を兼ね備えることが困難であり、カテーテル本体の遠位端から近位端まで徐々に硬くなり、柔軟性が良好であることを保証することができなく、プッシュ性能が低く、折れやすくかつヘッド端の形状保持能力が低く、血管分岐部位にスムーズに入ることができない等の問題に対して、本発明は強いプッシュ性能、抗折性能及び追跡性能を有し、同時にカテーテルが遠位端から近位端まで徐々に硬くなり、このように遠位端の柔軟性及び形状保持性能を保証することができ、マイクロカテーテルが手術過程で患者の病変部位に正確に到達しかつ曲がりくねった病変血管を貫通することを保証する。
【0037】
以上は本発明のマイクロカテーテルの具体的な実施例を詳細に説明したが、それは単に例示であり、本発明は以上に説明した具体的な実施例に限定されるものではない。当業者にとって、本発明に対して行われた任意の同等の修正及び代替も本発明の範囲内にある。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われた均等変換及び修正は、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 ヘッド端
2 チューブ本体
3 ハブ
4 外側シース層
5 インナーライナー層
6 編組層
7 編組補強層
8 拡散応力チューブ
9 現像リング
10 編組補強糸
11 架設突起
12 架設凹溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】