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特表2022-515843分析方法およびそれにおいて使用するためのアレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】分析方法およびそれにおいて使用するためのアレイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20220215BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20220215BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220215BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20220215BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220215BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12Q1/6837 Z
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
G01N33/53 D
G01N33/53 M
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537878
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2020050049
(87)【国際公開番号】W WO2020141204
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】1900067.8
(32)【優先日】2019-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517184842
【氏名又は名称】センソシェン アクティエ ボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,スヴェン ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】グラディン,ロビン ミカエル
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA40
2G045CB01
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB01
2G045FB02
2G045FB03
2G045FB08
2G045FB12
2G045FB13
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ53
4B063QR32
4B063QR51
4B063QR55
4B063QR66
4B063QR84
4B063QS10
4B063QS14
4B063QS34
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX07
(57)【要約】
本発明は、哺乳動物において呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤を識別するための方法、ならびにそのような方法で使用するためのアレイおよび分析キットに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤を識別するための方法であって、
(a)樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団を提供するステップと、
(b)ステップ(a)で提供された前記細胞を試験薬剤に曝露するステップと、
(c)ステップ(b)の前記細胞において、表Aに定義された群から選択される2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、を含むか、またはそれらからなり、
ステップ(c)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現が、ステップ(b)の前記試験薬剤の呼吸器感作効果を示す、方法。
【請求項2】
ステップ(c)で前記発現が測定される前記バイオマーカーのうちの1つ以上が、表A(i)で定義される群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、表A(i)で定義される群から選択される2つ以上のバイオマーカー、例えば、表A(i)に列挙されるバイオマーカーのうちの3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)が、表A(i)に列挙されるバイオマーカーの全ての発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)が、表A(ii)で定義される群から選択される1つ以上のバイオマーカー、例えば、表A(ii)に列挙されるバイオマーカーのうちの2つまたは3つの発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)が、表A(ii)に列挙されるバイオマーカーの全ての発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)が、表Aで定義される群から選択されるバイオマーカーのうちの3つ以上、例えば、表Aに列挙されるバイオマーカーのうちの3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28の発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)が、表Aに列挙されるバイオマーカーの全ての発現を測定することを含むか、または測定することからなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
d)前記樹状細胞または樹状様細胞の別個の集団を、哺乳動物において呼吸器感作物質ではない1つ以上の陰性対照薬剤に曝露するステップと、
e)ステップ(d)の前記細胞において、ステップ(c)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、をさらに含み、
ステップ(e)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現がステップ(c)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現と異なる場合、前記試験薬剤が呼吸器感作物質として識別される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
f)前記樹状細胞または樹状様細胞の別個の集団を、哺乳動物において呼吸器感作物質である1つ以上の陽性対照薬剤に曝露するステップと、
g)ステップ(f)の前記細胞において、ステップ(c)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、をさらに含み、
ステップ(f)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現がステップ(c)で測定された前記2つ以上のバイオマーカーの発現に相当する場合、前記試験薬剤が呼吸器感作物質として識別される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)が、前記バイオマーカーのうちの1つ以上の核酸分子の発現を測定することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸分子が、cDNA分子またはmRNA分子である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸分子が、mRNA分子である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸分子がcDNA分子である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(c)において前記バイオマーカーのうちの1つ以上の発現を測定することが、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)、ナノアレイ、マイクロアレイ、マクロアレイ、オートラジオグラフィー、およびインサイツハイブリダイゼーションからなる群から選択される方法を用いて実施される、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(c)において前記バイオマーカーのうちの1つ以上の発現を測定することが、DNAマイクロアレイを用いて決定される、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(c)において前記バイオマーカーのうちの1つ以上の発現を測定することが、各々が表Aに識別されるバイオマーカーのうちの1つをコードする核酸分子に選択的に結合することができる1つ以上の結合部分を用いて実施される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の結合部分が、各々核酸分子を含むか、または核酸分子からなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の結合部分が、各々DNA、RNA、PNA、LNA、GNA、TNA、またはPMOを含むか、またはそれらからなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の結合部分が、各々DNAを含むか、またはそれからなる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の結合部分が、5~100ヌクレオチド長である、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の結合部分が、15~35ヌクレオチド長である、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記結合部分が、検出可能部分を含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記検出可能部分が、蛍光部分、発光部分、化学発光部分、放射性部分(例えば、放射性原子)、または酵素部分からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検出可能部分が、放射性原子を含むか、またはそれからなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記放射性原子が、テクネチウム-99m、ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、リン-32、硫黄-35、重水素、トリチウム、レニウム-186、レニウム-188、およびイットリウム-90からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記結合部分の前記検出可能部分が、蛍光部分である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(c)が、前記バイオマーカーのうちの1つ以上のタンパク質の発現を測定することを含むか、またはそれからなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(c)において前記バイオマーカーのうちの1つ以上の発現を測定することが、各々が表Aに識別される前記バイオマーカーのうちの1つに選択的に結合することができる1つ以上の結合部分を用いて実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の結合部分が、抗体またはその抗原結合断片を含むか、またはそれからなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の結合部分が、検出可能部分を含む、請求項29~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記検出可能部分が、蛍光部分、発光部分、化学発光部分、放射性部分、および酵素部分からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(c)が、アレイを用いて実施される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記アレイがビーズベースのアレイである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アレイが表面ベースのアレイである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アレイが、マクロアレイ、マイクロアレイ、ナノアレイからなる群から選択される、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、インビトロ、インビボ、エクスビボ、またはインシリコで実施される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記方法がインビトロで実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記樹状細胞の集団または前記樹状様細胞の集団が、不死の細胞および/または天然に存在しない細胞を含むか、またはそれらからなる、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記樹状細胞の集団または前記樹状様細胞の集団が樹状様細胞の集団である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記樹状様細胞が骨髄性樹状様細胞である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記骨髄性樹状様細胞が骨髄性樹状細胞に由来する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記骨髄性樹状細胞に由来する細胞が、KG-1、THP-1、U-937、HL-60、Monomac-6、AML-193、MUTZ-3、およびSenzaCellからなる群から選択されるものなどの骨髄性白血病由来細胞である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
呼吸器過敏性応答を誘発する可能性のある薬剤を識別するための、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記過敏性応答が体液性過敏性応答である、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
哺乳動物においてI型過敏性応答を誘発する可能性のある薬剤を識別するための、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
呼吸器アレルギーを誘発する可能性のある薬剤を識別するための、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(d)で提供される前記1つ以上の陰性対照薬剤が、細胞培地、ビヒクル対照、DMSO、1-ブタノール、2-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ニトロ-1,4-フェニレンジアミン、4-アミノ安息香酸、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、エチルバニリン、ホルムアルデヒド、ゲラニオール、ヘキシル桂皮アルデヒド、イソプロパノール、Kathon CG*、サリチル酸メチル、ペニシリンG、プロピレングリコール、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、Tween80、硫酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-ヒドロキシ安息香酸、ベンズアルデヒド、オクタン酸、シンナミルアルコール、フタル酸ジエチル、DNCB、オイゲノール、グリセロール、グリオキサール、イソオイゲノール、フェノール、PPD、レゾルシノール、サリチル酸、SDS、およびクロロベンゼンからなる群から選択される、請求項9~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(f)で提供される前記1つ以上の陽性対照薬剤が、ヘキサクロロ白金酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、無水マレイン酸、メチレンジフェノールジイソシアネート、フタル酸無水物、トルエンジイソシアネート、トリメリット酸無水物、クロラミンT水和物、イソホロンジイソシアネート、ピペラジン、リアクティブオレンジ16、無水マレイン酸、イソシアン酸フェニル(MDI)、無水フタル酸、トルエンジイソシアネート、およびトリメリチン酸無水物からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなる、請求項10~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、試験される試料の相対的な感作効果を示す、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、
(i)樹状細胞または樹状様細胞を培養するステップと、
(ii)(i)の細胞を1つ以上のウェル、例えば1つ以上のマルチウェルアッセイプレートのウェルに播種するステップと、
(iii)試験される薬剤(複数可)を、(ii)の1つ以上のウェルに添加するステップと、
(iv)1つ以上の陽性対照を、(ii)の1つ以上の別個のウェルに添加するステップと、
(v)1つ以上の陰性対照を、(ii)の1つ以上の別個のウェルに添加するステップと、
(vi)(iii)~(v)のウェルで細胞を、好ましくは約24時間インキュベートするステップと、
(vii)(vi)の細胞から精製された全RNAを単離し、任意選択で、mRNAをcDNAに変換するステップと、
(viii)例えば、アフィメトリクスHuman Gene 1.0 STアレイなどのアレイ、および/またはNanostringコードセットを用いて、(vii)からの個々のmRNA転写産物の発現レベルを定量化するステップと、
(ix)(viii)からの発現データのエクスポートおよび正規化をするステップと、
(x)GARD Prediction Signatureのバイオマーカー(すなわち、表Aのバイオマーカー)に由来する(ix)からデータを分離するステップと、
(xi)予測モデルを(x)からのデータに適用、例えば、過去のデータで以前に確立および訓練された凍結SVMモデルを、例えば実施例1で取得したデータに適用して、試験した薬剤(複数可)および陰性/陽性対照(複数可)の呼吸器感作効果を予測するステップと、のうちの1つ以上を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
請求項17~27および29~32のいずれか1項に定義される1つ以上の結合部分を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法で使用するためのアレイ。
【請求項53】
前記アレイが、請求項1~52のいずれか1項に定義されたバイオマーカーの各々に対する1つ以上の結合部分を含む、請求項52に記載のアレイ。
【請求項54】
呼吸器感作物質を識別するための表Aで定義された群から選択される2つ以上のバイオマーカーの使用であって、好ましくは、1つ以上のバイオマーカーが表A(i)で定義された群から選択される、使用。
【請求項55】
呼吸器感作物質を識別するための、表Aに定義された群から選択されるバイオマーカーに各々特異性を有する2つ以上の結合部分の使用であって、好ましくは、1つ以上の結合部分が表A(i)で定義された群から選択されるバイオマーカーに特異性を有する、使用。
【請求項56】
(a)請求項52~53のいずれか1項に記載のアレイと、
(b)(任意選択で)1つ以上の対照薬剤と、
(c)(任意選択で)請求項1~51のいずれか1項に定義される前記方法を実施するための使用説明書と、を含む、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法における使用のための分析キット。
【請求項57】
実質的に本明細書に記載される方法の使用、アレイ、またはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤を識別するための方法、ならびにそのような方法で使用するためのアレイおよび分析キットに関する。
【背景技術】
【0002】
化学アレルギーとも呼ばれる化学感作は、化学的感作物質に応答してヒトの免疫系によって誘発される病状である。このカテゴリーの物質(多くの場合、香料、化粧品添加物、染料、金属イオン)は、組織に浸透することが多いため、多数の複雑な細胞メカニズムを引き起こすことによって有害な影響を及ぼす。感作は、T細胞が特定の化学的感作物質を認識することを学習するときに発生する。その後の曝露後、T細胞は急速に反応して炎症状態を誘発する。これにより、皮膚に接触した場合のかゆみ、水疱、組織の損傷、吸入した場合の咳、喘鳴、喘息のような症状などの疾患に関連する症状が発生する。
【0003】
曝露経路が観察される症状に影響を与え得ることはよく認識されている(Kimber et al.,2011)。しかしながら、化合物が、それぞれ、アレルギー性接触皮膚炎(ACD)および職業性喘息(OA)とも呼ばれる、皮膚または気道の感作を優先的にもたらす固有の特性を持ち得ることもますます明らかになっている(Dearman et al.,2011)。
【0004】
どちらの場合も、化学物質の安全性評価は、歴史的に動物実験を用いて行われてきた。現在のゴールドスタンダードであるマウスの局所リンパ節アッセイ(LLNA)(TG 429)は、両方の種類の化学的感作物質を陽性として分類する傾向があり、2つを区別するには不十分である(Dearman et al.,2011)。さらに、世論、ヒトの環境衛生および経済的利益への懸念により、EU内で、化粧品およびその成分の安全性評価を行うための動物実験の使用を禁止する法律が制定された。この傾向は現在、世界的にも市場および産業セグメント全体にも広がっている。まとめると、化学的感作物質を評価するための動物を含まない方法を開発する緊急の必要性がある。
【0005】
この需要を満たすために、過去10年間の多くの研究は、いわゆるin vitro、in chemico、およびin silicoアッセイの方法の開発、すなわち、動物実験を使用することなく、試験された化学物質を使用せずに感作物質または非感作物質として分類できる予測方法に焦点を当ててきた。皮膚感作物質を評価するための多くのアッセイが提案されており、そのうちのいくつかは正式な検証を受けており、したがって産業実施が承認されている(すなわち、OECD TG 442C、442D、および442E)。化学呼吸器感作物質を正確かつ特異的に予測および分類するアッセイに対する要求は満たされていないままである。
【0006】
化学的呼吸器感作物質の予測方法が存在しないことに寄与する因子は、呼吸器感作に関与する免疫生物学的メカニズムの詳細な理解を現在妨げている大きな知識のギャップである。皮膚感作の場合と比較して、有害転帰経路(AOP)は容易に利用できない。しかしながら、このようなAOPを作成する作業は進行中であり、メカニズムの経路の多くの基本的なステップがほぼ合意されている(例えば、Kimber et al.,2014、Sullivan et al.,2017)。
【0007】
簡潔に述べると、開始分子イベントとその後の重要なイベントは、皮膚感作のAOPにほぼ類似しており、不確実性のいくつかの重要な領域、および気道の周辺への細胞イベントの臓器固有の再割り当てに関連する明らかな不一致がある。しかしながら、誘発には典型的には呼吸器への暴露が必要であるが、呼吸器感作は皮膚への暴露によっても発生し得ることに注目すべきである(Kimber et al.,2002)。これは、皮膚と呼吸器の感作物質は本質的に異なり、どちらか一方の有害な結果を優先的にもたらし、非常にまれに両方をもたらすという概念をさらに実証する。
【0008】
皮膚感作の場合と同様に、提案されたAOPは、低分子量有機化学物質への呼吸器または皮膚への曝露後の肺または皮膚におけるリジン求核試薬に結合しやすい共有結合タンパク質結合から開始することが示唆されている。このタンパク質結合は、ストレス応答経路の活性化と、酸化ストレス、サイトカイン、および上皮細胞によって放出されるケモカインを含む細胞の危険信号とを引き起こし、樹状細胞(DC)の成熟と流入領域リンパ節への遊走をもたらす。ハプテンは、DCの活性化に直接寄与することもできる。流入領域リンパ節における抗原提示DCは、感作期を特徴付けるT細胞の活性化と成熟を示し、化学的呼吸器アレルギーを引き起こす。
【0009】
したがって、化学的呼吸器感作のAOPには、分子開始イベント(キーイベント(KE)1)、肺上皮(KE 2)およびDC(KE 3)における細胞炎症応答、および臓器応答(例えば、T細胞応答(KE 4))が含まれる。呼吸器感作物質は、主に皮膚感作物質によって誘導されるTh1および細胞傷害性T細胞とは対照的に、Th2型免疫応答を優先的に誘導すると考えられているが、不確実性の重要な領域には、正確な位置、関与する細胞サブセット、およびこのTh2スキューイングが発生する分子メカニズムが含まれる(Paul&Zhu,2010)。さらに、IgE抗体が有害作用の誘発に必要かどうかは完全には理解されていない(Isola et al.,2008)。しかしながら、DCが関与し、免疫シナプスにおいてDCによって示される共刺激プロファイルを介して、Th2スキューイングが抗原提示に関連して発生するという仮説が立てられている。これらの理由から、DCのin vitro細胞システムはアッセイ開発の候補標的である。
【0010】
ゲノムアレルゲン迅速検出(GARD(商標))プラットフォームは、それぞれ300を超えるバイオマーカーに基づく異なる遺伝子シグネチャーを用いて呼吸器感作物質を分類する能力を以前に実証した(Forreryd et al.,2015、WO2013/160882、WO2016/083604)。しかしながら、呼吸器感作物質を特異的に識別するための正確かつ信頼性の高い動物を含まないin vitroアッセイを確立することが継続的かつ緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、動物実験の代替として組み合わせて使用できる、驚くべきことに新しい遺伝子の小さなセットを含む、新しいゲノムバイオマーカーシグネチャーに基づく呼吸器感作物質の評価のための新しい細胞ベースの試験戦略を作成した。本発明者らは、外部試験データセット内の試料の分類から生成された分類データを提供することによって、以後「GARDair」と呼ばれるアッセイの機能性を実証する。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様は、哺乳動物において呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤を識別するための方法であって、
(a)樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団を提供するステップと、
(b)ステップ(a)で提供された細胞を試験薬剤に曝露するステップと、
(c)ステップ(b)の細胞において、表Aに定義された群から選択される2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、を含むか、またはそれらからなり、
ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現は、ステップ(b)の試験薬剤の呼吸器感作効果を示す、方法を提供する。
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で発現が測定されるバイオマーカーのうちの1つ以上は、表A(i)で定義される群から選択される。
【0013】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、表A(i)で定義される群から選択される1つ以上のバイオマーカー、例えば、表A(i)に列挙されるバイオマーカーのうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の発現を測定することを含むか、または測定することからなる。例えば、ステップ(c)は、表A(i)に列挙された全てのバイオマーカーの発現を測定することを含むか、またはそれからなることができる。
【0014】
この方法は、CRLF2の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、FSCN1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、AESの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、ALOX5APの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、RAB27Bの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、ZFP36L1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、SLC44A2の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、ATL1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、FAM30Aの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、CTSHの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、NINJ1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、RALGAPA2の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、RNF220の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、OSBPL3の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、CACNA2D2の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、HNRNPCの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、PIK3C3の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、HOPXの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、VCANの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、RUFY1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、GNA15の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、ADAM8の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、NRIP1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、CTCFの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、PLCXD1の発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。
【0015】
この方法は、MYCNの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、IL7Rの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。この方法は、RALAの発現を測定することを含み得るか、または除外し得る。
【0016】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、表A(ii)で定義される群から選択される1つ以上のバイオマーカー、例えば、表A(ii)に列挙されるバイオマーカーのうちの2つまたは3つの発現を測定することを含むか、または測定することからなる。例えば、ステップ(c)は、表A(ii)に列挙された全てのバイオマーカーの発現を測定することを含むか、またはそれからなることができる。
【0017】
追加のまたは代替の実施形態では、CRLF2は、表A(i)ではなく表A(ii)に含まれる。
【0018】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、表Aで定義される群から選択されるバイオマーカーのうちの3つ以上、例えば、表Aに列挙されるバイオマーカーのうちの3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28の発現を測定することを含むか、または測定することからなる。例えば、ステップ(c)は、表Aに列挙された全てのバイオマーカーの発現を測定することを含むか、またはそれからなることができる。
【0019】
したがって、表A(i)で定義された全てのバイオマーカーおよび/または表A(ii)で定義された全てのバイオマーカーの発現は、ステップ(c)で測定され得る。したがって、この方法は、表Aで定義された全てのバイオマーカーをステップ(c)で測定することを含むか、またはそれからなることができる。
【0020】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1の各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0021】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AESの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0022】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5APの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0023】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27Bの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0024】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、IL7Rの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0025】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27B、MYCN、ZFP36L1、SLC44A2、ATL1、FAM30Aの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0026】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27B、MYCN、ZFP36L1、SLC44A2、ATL1、FAM30A、CTSH、NINJ1、RALGAPA2、RNF220、OSBPL3の各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0027】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27B、MYCN、ZFP36L1、SLC44A2、ATL1、FAM30A、CTSH、NINJ1、RALGAPA2、RNF220、OSBPL3、CACNA2D2、HNRNPC、PIK3C3、IL7Rの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0028】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27B、MYCN、ZFP36L1、SLC44A2、ATL1、FAM30A、CTSH、NINJ1、RALGAPA2、RNF220、OSBPL3、CACNA2D2、HNRNPC、PIK3C3、IL7R、HOPXの各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0029】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)は、バイオマーカーCRLF2、FSCN1、AES、ALOX5AP、RAB27B、MYCN、ZFP36L1、SLC44A2、ATL1、FAM30A、CTSH、NINJ1、RALGAPA2、RNF220、OSBPL3、CACNA2D2、HNRNPC、PIK3C3、IL7R、HOPX、VCAN、RALA、RUFY1、GNA15、ADAM8、NRIP1、CTCF、PLCXD1の各々の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。
【0030】
「発現」とは、バイオマーカーの存在、レベル、および/または量を意味する。
【0031】
「バイオマーカー」には、任意の生体分子、またはその成分もしくは断片が含まれ、その測定により、試験薬剤が呼吸器感作物質であるかどうかを判定するのに役立つ情報を提供できる。したがって、表Aの文脈において、バイオマーカーは、mRNAまたはcDNAなどの核酸分子であり得る。代替的に、バイオマーカーは、核酸分子によってコードされるタンパク質、または炭水化物部分、抗原性成分もしくはその断片であり得る。
【0032】
追加のまたは代替の実施形態では、この方法は、
d)樹状細胞または樹状様細胞の別個の集団を、哺乳動物において呼吸器感作物質ではない1つ以上の陰性対照薬剤に曝露するステップと、
e)ステップ(d)の細胞において、ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、をさらに含み、
ステップ(e)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現がステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現と異なる場合、試験薬剤が呼吸器感作物質として識別される。
【0033】
追加のまたは代替の実施形態では、DMSOを陰性対照として使用することができる。ビヒクル対照は、陰性対照薬剤として使用することができる。ビヒクル対照は、DMSOを含み得る。
【0034】
追加のまたは代替の実施形態では、刺激されていない細胞を陰性対照として使用することができる。「刺激されていない細胞」とは、試験薬剤に曝露されていない細胞を含むか、または意味する。換言すると、ステップ(d)における細胞の個別の集団は試験薬剤に曝露されない。追加のまたは代替の実施形態では、刺激されていない細胞を、正規化の目的でデータセットを整列させるための参照試料として使用することができる。
【0035】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現は、試験薬剤への曝露の前およびその後で、ステップ(a)で提供された細胞において測定され、試験薬剤への曝露の前およびその後の2つ以上のバイオマーカーの発現の差異は、ステップ(b)の試験薬剤の感作効果を示す。したがって、ステップ(a)で提供される細胞は、陰性対照と試験結果の両方を提供できる。
【0036】
「ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現とは異なる」および「発現の差異」には、第1の試料(例えば、試験薬剤試料)の存在および/または量が、第2の試料(例:対照薬剤試料)のものと異なることが含まれる。
【0037】
例えば、試験試料中の存在および/または量は、統計的に有意な方法で、1つ以上の陰性対照試料のものとは異なり得る。好ましくは、試験薬剤に曝露された細胞集団における2つ以上のバイオマーカーの発現は、
陰性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの80%以下、例えば、陰性対照または陰性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、もしくは0%以下、または
陰性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの少なくとも120%、例えば、陰性対照または陰性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの少なくとも121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または少なくとも500%、である。
【0038】
「ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現とは異なる」には、代替的または追加的に、試験試料が、1つ以上の陰性対照試料とは異なる群に属するものとして分類されることが含まれる。例えば、SVMが使用される場合、試験試料は1つ以上の陰性対照試料として決定しきい値の反対側にある(例えば、1つ以上の試験(またはその反復)のSVM決定値が≦0の場合、1つ以上の陽性対照試料(またはその大部分)のSVM決定値も≦0である)。
【0039】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(d)で提供される1つ以上の陰性対照薬剤は、DMSO、刺激されていない細胞、細胞培地、ビヒクル対照、蒸留水からなる群から選択される。
【0040】
追加のまたは代替の実施形態では、1つ以上の陰性対照薬剤は、DMSO、1-ブタノール、2-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ニトロ-1,4-フェニレンジアミン、4-アミノ安息香酸、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、エチルバニリン、ホルムアルデヒド、ゲラニオール、ヘキシル桂皮アルデヒド、イソプロパノール、Kathon CG*、サリチル酸メチル、ペニシリンG、プロピレングリコール、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、Tween80、硫酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-ヒドロキシ安息香酸、ベンズアルデヒド、オクタン酸、シンナミルアルコール、フタル酸ジエチル、DNCB、オイゲノール、グリセロール、グリオキサール、イソオイゲノール、フェノール、PPD、レゾルシノール、サリチル酸、SDS、およびクロロベンゼンからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなることができる
【0041】
追加のまたは代替の特定の実施形態では、1つ以上の陰性対照薬剤は、DMSOおよび/またはクロロベンゼンを含むか、またはそれらからなり得る。
【0042】
追加のまたは代替の実施形態では、1つ以上の陰性対照薬剤は、表1および/または表3に列挙されたそれらの非感作物質および/または非呼吸器感作物質からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれらからなり得る。
【0043】
陰性対照薬剤は、本発明の試験薬剤または対照薬剤とともに使用するための溶媒であり得る。
【0044】
この方法は、少なくとも2つの陰性対照薬剤(すなわち、非感作薬剤)、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または少なくとも100の陰性対照薬剤の使用を含むか、またはそれらの使用からなることができる。
【0045】
代替的または追加的に、試験薬剤曝露の前に樹状細胞または樹状様細胞のステップ(b)で測定された1つ以上のバイオマーカーの発現を陰性対照として使用する。
【0046】
追加のまたは代替の実施形態では、この方法は、
f)樹状細胞または樹状様細胞の別個の集団を、哺乳動物において呼吸器感作物質である1つ以上の陽性対照薬剤に曝露するステップと、
g)ステップ(f)の細胞において、ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現を測定するステップと、をさらに含み、
ステップ(f)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現がステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現に相当する場合、試験薬剤が呼吸器感作物質として識別される。
【0047】
「ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現に相当する」とは、試験薬剤に曝露された細胞集団における2つ以上のバイオマーカーの発現が、1つ以上の陽性対照薬剤に曝露された細胞集団のものと同一であるか、または有意に異ならないことを意味する。好ましくは、試験薬剤に曝露された細胞集団における2つ以上のバイオマーカーの発現は、1つ以上の陽性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの81%~119%、例えば、1つ以上の陽性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99以上であり、かつ1つ以上の陽性対照薬剤に曝露された細胞集団のものの101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、または119%以下である。
【0048】
「ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現に相当する」ことに、代替的または追加的に、試験試料が1つ以上の陽性対照試料と同じ群に属するものとして分類されることを含む。例えば、SVMが使用される場合、試験試料は1つ以上の陽性対照試料と同じ決定値しきい値の側にある(例えば、1つ以上の試験(またはその複製)のSVM決定値が>0の場合、1つ以上の陽性対照試料(またはその大部分)のSVM決定値も>0である必要がある)。
【0049】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(f)で提供される1つ以上の陽性対照薬剤は、ヘキサクロロ白金酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、エチレンジアミン、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、無水マレイン酸、メチレンジフェノールジイソシアネート、フタル酸無水物、トルエンジイソシアネート、トリメリット酸無水物、クロラミンT水和物、イソホロンジイソシアネート、ピペラジン、リアクティブオレンジ16、無水マレイン酸、イソシアン酸フェニル(MDI)、無水フタル酸、トルエンジイソシアネート、およびトリメリチン酸無水物からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなる。
【0050】
追加または代替の実施形態では、ステップ(f)で提供される1つ以上の陽性対照薬剤は、リアクティブオレンジ16、ピペラジン、クロラミンT、およびトリメリット酸無水物からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなる。
【0051】
追加または代替の実施形態では、ステップ(f)で提供される1つ以上の陽性対照薬剤は、リアクティブオレンジ16、およびピペラジンからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなる。
【0052】
追加のまたは代替の実施形態では、1つ以上の陽性対照薬剤は、表1および/または表3にリストされた呼吸器感作物質からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含むか、またはそれからなり得る。
【0053】
追加のまたは代替の実施形態では、1つ以上の陽性対照薬剤は、メチレンジフェノールジイソシアネートを含むか、またはそれらからなり得る。
【0054】
この方法は、少なくとも2つの陽性対照(すなわち、感作薬剤)、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または少なくとも100の陽性対照薬剤の使用を含むか、またはそれらの使用からなることができる。
【0055】
追加のまたは代替の実施形態では、この方法は、試験される薬剤の感作効果を示す。例えば、この方法を用いて、陽性対照と比較して、および/または1つ以上の追加の試験薬剤と比較して、試験薬剤の相対的な感作効果を予測することができる。
【0056】
追加のまたは代替の実施形態では、この方法は、
(h)試験薬剤が呼吸器感作物質であるかどうかを識別するステップをさらに含む。
【0057】
したがって、一実施形態では、この方法は、試験薬剤が呼吸器感作物質であるか否かを示す。代替のまたは追加の実施形態では、この方法は、試験薬剤の相対的な呼吸器感作効果を示す。
【0058】
したがって、一実施形態では、この方法は、試験薬剤の感作効果を示す(すなわち、試験薬剤は、非感作物質、弱い感作物質、中程度の感作物質、強い感作物質、または極度の感作物質のいずれかである)。好ましくは、PCAにおける決定値および距離は、感作効果と相関している。
【0059】
代替的または追加的に、試験薬剤の効果は、ステップ(d)において、
(i)1つ以上の極度の呼吸器感作物質陽性対照薬剤と、
(ii)1つ以上の強い呼吸器感作物質陽性対照薬剤と、
(iii)1つ以上の中程度の呼吸器感作物質陽性対照薬と、および/または
(iv)1つ以上の弱い呼吸器感作物質陽性対照薬剤と、を提供し、
ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試験試料中の存在および/または量が、ステップ(e)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試料の極度の陽性対照(存在する場合)における存在および/または量に対応する場合、および/またはステップ(e)および/または(g)で測定された2つ以上のバイオマーカーの強い、中程度の、弱い、および/または陰性対照試料(存在する場合)の存在および/または量とは異なる場合、試験薬剤は、極端な呼吸器感作物質として識別され、
ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試験試料中の存在および/または量が、ステップ(e)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試料の強い陽性対照(存在する場合)における存在および/または量に対応する場合、および/またはステップ(e)および/または(g)で測定された2つ以上のバイオマーカーの極度の、中程度の、弱い、および/または陰性対照試料(存在する場合)の存在および/または量とは異なる場合、試験薬剤は、強い呼吸器感作物質として識別され、
ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試験試料中の存在および/または量が、ステップ(e)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試料の中程度の陽性対照(存在する場合)における存在および/または量に対応する場合、および/またはステップ(e)および/または(g)で測定された2つ以上のバイオマーカーの極度の、強い、弱い、および/または陰性対照試料(存在する場合)の存在および/または量とは異なる場合、試験薬剤は、中程度の呼吸器感作物質として識別され、
ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試験試料中の存在および/または量が、ステップ(e)で測定された2つ以上のバイオマーカーの試料の弱い陽性対照(存在する場合)における存在および/または量に対応する場合、および/またはステップ(e)および/または(g)で測定された2つ以上のバイオマーカーの極度の、強い、中程度の、および/または陰性対照試料(存在する場合)の存在および/または量とは異なる場合、試験薬剤は、弱い呼吸器感作物質として識別される。
【0060】
したがって、ステップ(d)は、
(a)極度の、強い、中程度の、および弱い、
(b)強い、中程度の、および弱い、
(c)極度の、中程度の、および弱い、
(d)極度の、強い、および中程度の、
(e)極度の、および強い、
(f)強い、および中程度の、
(g)中程度の、および弱い、
(h)強い、および弱い、
(i)極度の、および中程度の、
(j)極度の、および弱い、
(k)極度の、
(l)強い、
(m)中程度の、
(n)弱い、のカテゴリーの呼吸器感作物質陽性対照を提供することを含むか、またはそれからなり得る。
【0061】
陰性対照と陽性対照は、ヒトでの臨床観察に基づいて、それぞれ呼吸器非感作物質または呼吸器感作物質に分類できる。
【0062】
代替的にまたは追加的に、この方法は、ステップ(c)で測定された2つ以上のバイオメーカーの発現を、ステップ(e)および/またはステップ(g)で測定された2つ以上のバイオマーカーの発現を表す1つ以上の所定の参照値と比較することを含み得る。
【0063】
任意選択に1つ以上のさらなるバイオマーカーと併せた、表Aにおけるバイオマーカーのいくつかまたは全ての適切な選択によって、本発明の方法は、呼吸器感作物質の識別について高い予測精度を示す。
【0064】
一般に、呼吸器感作物質は、少なくとも0.55のROC AUC、例えば、少なくとも0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99のROC AUC、または1.00のROC AUCで決定される。好ましくは、呼吸器感作物質は、少なくとも0.85のROCAUCで、そして最も好ましくは1のROCAUCで決定される。
【0065】
識別は、ランダムフォレスト(RF)、サポートベクターマシン(SVM)、主成分分析(PCA)、最小二乗推定法(OLS)、部分的最小二乗回帰(PLS)、直交部分的最小二乗回帰(O-PLS)、およびその他の多変量統計分析(例えば、後方段階的ロジスティック回帰モデル)など、当該技術分野で知られている任意の適切な統計手法または機械学習アルゴリズムを用いて実施できる。多変量統計分析の総説については、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Schervish,Mark J.(November 1987)”A Review of Multivariate Analysis”.Statistical Science 2(4):396-413を参照されたい。好ましくは、サポートベクターマシン(SVM)が使用される。
【0066】
典型的には、呼吸器感作物質はhttp://cran.r-project.org/web/packages/e1071/index.html(例えば、e1071 1.5-24)から入手可能なものなどの、サポートベクターマシン(SVM)を用いて識別される。しかしながら、任意の他の適切な手段もまた使用され得る。SVMはまた、本明細書で定義される1つ以上の表Aのバイオマーカーを含むか、またはそれからなるバイオマーカーシグネチャーのROC AUCを決定するために使用され得る。
【0067】
サポートベクターマシン(SVM)は、分類および回帰に使用される一連の関連教師あり学習方法である。各々2つのカテゴリーのうちの1つに属するものとしてマークされた一連の訓練例を考慮して、SVM訓練アルゴリズムは、新たな例が1つのカテゴリーまたは他方に該当するかを予測するモデルを構築する。直感的には、SVMモデルは、別々のカテゴリーの例ができるだけ広い明確なギャップで分かれるようにマッピングされた、空間における点としての例を示すものである。新たな例は次いで同じ空間にマッピングされ、それらがギャップのどちら側に該当するかに基づいてカテゴリーに属すると予測される。
【0068】
より形式的には、サポートベクターマシンは、高次元または無限次元の空間に超平面または超平面の集合を構築し、それは分類、回帰、または他のタスクに使用することができる。直感的には、一般にマージンが大きいほど分類の汎化誤差が低くなるので、任意のクラスの最も近い訓練データポイントまで最も大きな距離(いわゆる機能的マージン)を有する超平面によって、良好な分離が達成される。SVMの詳細な情報については、例えば、Burges,1998,Data Mining and Knowledge Discovery,2:121-167を参照されたい。
【0069】
本発明の一実施形態では、SVMは、既知の薬剤(すなわち、既知の呼吸器感作物質または非感作物質)のバイオマーカープロファイルを用いて本発明の方法を実施する前に「訓練」される。そのような訓練試料を実行することによって、SVMは、どのバイオマーカープロファイルが呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤と関連しているかを学習することができる。訓練プロセスが完了すると、SVMは次いで、試験されたバイオマーカー試料が呼吸器感作物質または非感作物質由来であるか否かを予測することができる。
【0070】
個々のSVMの決定値は、当業者がケースバイケースで決定できる。一実施形態では、1つ以上の試験(またはその反復)が>0のSVM決定値を有する場合、試験薬剤は呼吸器感作物質として分類される。一実施形態では、1つ以上の試験(またはその反復)が≦0のSVM決定値を有する場合、試験薬剤は非呼吸器感作物質として分類される。これにより、試験薬剤を呼吸器感作物質または非感作物質として分類できる。
【0071】
しかしながら、この訓練手順は、SVMを必要な訓練パラメータで予めプログラムすることによって回避することができる。例えば、呼吸器感作物質は、表Aに列挙されている2つ以上のバイオマーカーの測定に基づいて、実施例に記載されているSVMアルゴリズムを用いて既知のSVMパラメータに従って識別できる。
【0072】
適切なSVMパラメータは、SVMマシンを適切なデータの選択(すなわち、既知の呼吸器感作物質および/または非感作物質に曝露された細胞からのバイオマーカー測定値)で訓練することによって、表Aに列挙されるバイオマーカーの任意の組み合わせについて当業者によって決定することができることが理解されるであろう。代替的に、表Aのバイオマーカーを用いて、当該技術分野で知られている他の適切な統計的方法に従って呼吸器感作物質を識別することができる。
【0073】
代替的に、表Aのデータを用いて、当該技術分野で知られている他の適切な統計的方法(例えば、ANOVA、ANCOVA、MANOVA、MANCOVA、多変量回帰分析、主成分分析(PCA)、因子分析、正準相関分析、正準相関分析、冗長性分析対応分析(CA;相互平均)、多次元スケーリング、判別分析、線形判別分析(LDA)、クラスタリングシステム、再帰的分割、および人工ニューラルネットワーク)によって、呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤を識別することができる。
【0074】
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも60%の精度、例えば、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の精度を有する。好ましい実施形態では、本発明の方法は、少なくとも89%の精度を有する。
【0075】
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも60%の感度、例えば、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の感度を有する。好ましい実施形態では、本発明の方法は、少なくとも89%の感度を有する。
【0076】
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも60%の特異度、例えば、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の特異度を有する。好ましい実施形態では、本発明の方法は、89%の特異度を有する。
【0077】
「精度」は、方法の正確な結果の割合を意味し、「感度」によって、陽性として正確に分類される全ての膵臓癌陽性薬剤の割合を意味し、「特異度」によって、陰性として正確に分類される全ての陰性試料の割合を意味する。
【0078】
好ましい実施形態では、ステップ(c)は、1つ以上のバイオマーカーの核酸分子の発現を測定することを含むか、またはそれからなる。核酸分子は、DNA分子またはcDNA分子またはmRNA分子であり得る。好ましくは、核酸分子はmRNA分子である。しかしながら、核酸分子は、cDNA分子であり得る。
【0079】
一実施形態では、ステップ(c)においてバイオマーカーのうちの1つ以上の発現を測定することは、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)、ナノアレイ、マイクロアレイ、マクロアレイ、オートラジオグラフィー、およびin situハイブリダイゼーションからなる群から選択される方法を用いて実施される。好ましくは、1つ以上のバイオマーカー(複数可)の発現は、DNAマイクロアレイを用いて測定される。
【0080】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定された1つ以上のバイオマーカーは、アレイ(例えば、DNAアレイ)を用いて測定される。追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定される1つ以上のバイオマーカーは、全ゲノムアレイ(例えば、Affymetrix Human Gene 1.0 STアレイまたはAffymetrix Human Gene 2.0 STアレイ)を用いて測定される。代替のまたは追加の実施形態では、NanostringnCounter(登録商標)システムが使用される(例えば、全ゲノムアレイ(例えば、Affymetrix Human Gene 1.0STアレイまたはAffymetrixHuman Gene 2.0 STアレイ)からの選択に基づくカスタムNanostringnCounter(登録商標)コードセット)。このようなシステムは、推奨されるキットと試薬を用いて、製造者の使用説明書に従って使用できる。追加のまたは代替の実施形態では、コードセットは、表Aで定義された28の遺伝子のうちの1つ以上に対するプローブを含む。
【0081】
この方法は、表Aに識別されたバイオマーカーの1つをコードする核酸分子にそれぞれ選択的に結合することができる1つ以上の結合部分を用いて、ステップ(c)において1つ以上のバイオマーカーの発現を測定することを含み得る。好ましくは、この方法は、表Aに識別されたバイオマーカーの1つをコードする核酸分子にそれぞれ選択的に結合することができる2つ以上の結合部分を用いて、ステップ(c)において2つ以上のバイオマーカーの発現を測定することを含む。例えば、上述のバイオマーカーの任意の特定の組み合わせの発現は、これらのバイオマーカーのそれぞれに選択的に結合することができる結合部分の同等の組み合わせを用いて測定することができる。
【0082】
一実施形態では、1つ以上の結合部分が、各々核酸分子を含むか、または核酸分子からなる。さらなる実施形態では、1つ以上の結合部分が、各々DNA、RNA、PNA、LNA、GNA、TNA、またはPMOを含むか、またはそれらからなる。好ましくは、1つ以上の結合部分は、各々DNAを含むか、またはそれからなる。一実施形態では1つ以上の結合部分は、5~100ヌクレオチド長である。しかしながら、代替の実施形態では、それらは15~35ヌクレオチド長である。
【0083】
1つ以上の結合部分は、Human Gene 1.0 STアレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)からの1つ以上のプローブを含むか、またはそれからなり得る。プローブ識別番号は、本明細書の表Aに記載されている。
【0084】
適切な結合物質(結合分子または結合部分とも呼ばれる)は、以下で議論されるように、所与の核酸、タンパク質、またはアミノ酸モチーフに結合するそれらの能力に基づいて、ライブラリーから選択またはスクリーニングされ得る。
【0085】
好ましい実施形態では、結合部分は検出可能な部分を含む。
【0086】
「検出可能な部分」には、その存在および/または相対量および/または位置(例えば、アレイ上の位置)を直接的または間接的に決定することを可能にする部分が含まれる。
【0087】
適切な検出可能部分は、当該技術分野において周知である。
【0088】
例えば、検出可能部分は、特定の条件に曝露される場合に検出され得る、蛍光および/または発光および/または化学発光部分であり得る。例えば、蛍光部分は、蛍光部分の励起を引き起こすために特定の波長および強度で照射(すなわち、光)に曝露される必要があり得、それによって検出され得る特定の波長で検出可能な蛍光を放射することを可能にし得る。
【0089】
あるいは、検出可能部分は、(好ましくは検出不可能な)基質を可視化および/または検出することができる検出可能な生成物に変換することができる酵素であり得る。適切な酵素の例は、例えば、ELISAアッセイに関して下記により詳細に論じられる。
【0090】
検出可能部分は、放射性部分であり得、放射性原子を含むか、またはそれからなる。放射性原子は、テクネチウム-99m、ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、リン-32、硫黄-35、重水素、トリチウム、レニウム-186、レニウム-188、およびイットリウム-90からなる群から選択され得る。
【0091】
ここで、検出可能部分は、蛍光部分、発光部分、化学発光部分、放射性部分(例えば、放射性原子)、または酵素部分からなる群から選択され得る。
【0092】
明らかに、検出される薬剤(例えば、本明細書に記載の試験試料および/または対照試料中の1つ以上のバイオマーカー、および/または選択されたタンパク質の検出に使用される抗体分子など)は、検出可能部分が容易に検出可能となるために、適切な原子同位体を十分に有していなければならない。
【0093】
代替の好ましい実施形態では、結合部分の検出可能部分は蛍光部分である。
【0094】
放射性または他の標識は、既知の方法で、本発明の方法の試料および/または本発明の結合部分に存在するバイオマーカーに組み込まれ得る。例えば、結合物質がポリペプチドである場合、それは、例えば水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を用いて、生合成され得るか、または化学的アミノ酸合成によって合成され得る。99mTc、123I、186Rh、188Rh、および111Inなどの標識は、例えば、結合部分のシステイン残基を介して結合できる。イットリウム90はリジン残基を介して結合できる。IODOGEN法(Fraker et al(1978)Biochem.Biophys.Res.Comm.80,49-57)は、123Iを組み込むために使用することができる。参考文献(“Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy”,J-F Chatal,CRC Press,1989)は、他の方法を詳細に説明している。他の検出可能部分(酵素、蛍光、発光、化学発光または放射性部分など)をタンパク質に結合させるための方法は、当該技術分野でよく知られている。
【0095】
試験される試料(複数可)中のバイオマーカーは、当該タンパク質の存在、量、および/または位置を決定するのを間接的に支援する部分で標識され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、部分は、多成分検出可能部分の1つの成分を構成し得る。例えば、試験される試料(複数可)中のバイオマーカーは、ビオチンで標識され得、これは、検出可能な標識に融合または他の方法で結合されたストレプトアビジンを使用するそれらのその後の検出を可能にする。
【0096】
本発明の第1の態様で提供される方法は、ステップ(c)において、表Aで定義される1つ以上のバイオマーカーのタンパク質の発現を決定することを含むか、またはそれからなることができる。この方法は、ステップ(c)において、表Aで識別されたバイオマーカーの1つに各々選択的に結合することができる1つ以上の結合部分を用いて1つ以上の発現を測定することを含み得る。1つ以上の結合部分は、モノクローナル抗体またはその断片などの抗体またはその抗原結合断片を含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0097】
「抗体」という用語は、非限定的に、免疫グロブリン軽鎖および/または重鎖の可変領域および/または定常領域のファージディスプレイによって産生される単鎖抗体分子、または当業者に知られているイムノアッセイフォーマットにおいて抗原に結合することができる他の免疫相互作用分子などの任意の合成抗体、組み換え抗体、または抗体ハイブリッドを含む。
【0098】
また、アフィボディやアプタマーなどの抗体様結合物質の使用も含まれる。
【0099】
それらの特異的結合部位を保持する抗体断片の合成に含まれる技法の一般的な説明は、Winter&Milstein(1991)Nature 349,293-299に見出される。
【0100】
追加的に、または代替的に、第1の結合分子のうちの1つ以上は、アプタマーであり得る(Collett et al.,2005,Methods 37:4-15を参照されたい)。
【0101】
抗体ライブラリー(Clackson et al,1991,Nature 352,624-628、Marks et al,1991,J Mol Biol 222(3):581-97)、ペプチドライブラリー(Smith,1985,Science 228(4705):1315-7)、発現cDNAライブラリー(Santi et al(2000)J Mol Biol 296(2):497-508)、アフィボディなどの抗体フレームワーク以外の他のスキャフォールド上のライブラリー(Gunneriusson et al,1999,Appl Environ Microbiol 65(9):4134-40)、またはアプタマーに基づくライブラリー(Kenan et al,1999,Methods Mol Biol 118,217-31)などの分子ライブラリーが、所与のモチーフに特異的な結合分子が本発明の方法における使用について選択される供給源として使用され得る。
【0102】
分子ライブラリーは、原核細胞(Clackson et al,1991,op.cit.、Marks et al,1991,op.cit.)または真核細胞(Kieke et al,1999,Proc Natl Acad Sci USA,96(10):5651-6)においてin vivoで発現し得るか、または細胞を含まずにin vitroで発現させることができる(Hanes&Pluckthun,1997,Proc Natl Acad Sci USA 94(10):4937-42、He&Taussig,1997,Nucleic Acids Res 25(24):5132-4、Nemoto et al,1997,FEBS Lett,414(2):405-8)。
【0103】
タンパク質ベースのライブラリーが使用される場合、潜在的な結合分子のライブラリーをコードする遺伝子はしばしばウイルスにパッケージされ、潜在的な結合分子はウイルスの表面に提示される(Clackson et al,1991、前出;Marks et al,1991、前出、Smith,1985、前出)。
【0104】
おそらく最も一般的に使用されるディスプレイシステムは、それらの表面に抗体断片を提示する糸状バクテリオファージであり、抗体断片はバクテリオファージのマイナーコートタンパク質への融合物として発現される(Clackson et al,1991、前出、Marks et al,1991、前出)。しかしながら、提示に適した他のシステムには、他のウイルス(EP 39578)、細菌(Gunneriusson et al,1999、前出、Daugherty et al,1998,Protein Eng 11(9):825-32、Daugherty et al,1999,Protein Eng 12(7):613-21)、および酵母(Shusta et al,1999、J Mol Biol 292(5):949-56)を使用することが含まれる。
【0105】
さらに、いわゆるリボソームディスプレイシステムにおいて、ポリペプチド産物とそれをコードするmRNAとの結合(Hanes&Pluckthun,1997、前出、He&Taussig,1997、前出、Nemoto et al,1997、前出)、または代替的に、ポリペプチド産物とそれをコードするDNAとの結合(米国特許第5,856,090号およびWO98/37186を参照のされたい)を利用するディスプレイシステムが開発されている。
【0106】
抗体の可変重(V)および可変軽(V)ドメインは、抗原認識に関与している。これは、初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認識された事実である。げっ歯動物抗体の「ヒト化」により、さらなる確認が見出された。得られた抗体がげっ歯動物の親抗体の抗原特異性を保持するように、げっ歯動物起源の可変ドメインをヒト起源の定常ドメインに融合させることができる(Morrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,6851-6855)。
【0107】
全て1つ以上の可変ドメインを含む、抗体断片の細菌発現を伴う実験から知られるように、抗原特異性は可変ドメインによって付与され、定常ドメインとは独立している。これらの分子は、Fab様分子(Better et al(1988)Science 240,1041)、Fv分子(Skerra et al(1988)Science 240,1038)、VおよびVパートナードメインが柔軟なオリゴペプチドを介して連結される一本鎖Fv(scFv)分子(Bird et al(1988)Science 242,423、Huston et al(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,5879)、および単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Ward et al(1989)Nature 341,544)を含む。それらの特異的結合部位を保持する抗体断片の合成に含まれる技法の一般的な説明は、Winter&Milstein(1991)Nature 349,293-299に見出される。
【0108】
抗体または抗原結合断片は、インタクト抗体、Fv断片(例えば、単鎖Fvおよびジスルフィド結合Fv)、Fab様断片(例えば、Fab断片、Fab’断片およびF(ab)断片)、単一可変ドメイン(例えば、VおよびVドメイン)、ならびにドメイン抗体(dAb、単一および二重形式[すなわち、dAb-リンカー-dAb]を含む)からなる群から選択され得る。好ましくは、抗体または抗原結合断片は単鎖Fv(scFv)である。
【0109】
1つ以上の結合部分は、代替的に、抗体様結合物質、例えば、アフィボディまたはアプタマーを含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0110】
「ScFv分子」とは、VおよびVパートナードメインが柔軟なオリゴペプチドを介して連結される分子を意味する。
【0111】
完全抗体ではなく抗体断片を使用する潜在的な利点は、数倍ある。より小さいサイズの断片は、固形組織のより良好な透過性などの改善された薬理学的特性をもたらし得る。補体結合など、完全抗体のエフェクター機能が削除される。Fab、Fv、ScFv、およびdAb抗体断片は、E.coliで発現し、分泌され得るため、当該断片の容易な大量産生を可能にする。
【0112】
完全抗体、およびF(ab’)断片は「二価」である。「二価」とは、当該抗体およびF(ab’)断片が2つの抗原結合部位を有することを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFvおよびdAb断片は一価であり、1つの抗原結合部位のみを有する。
【0113】
抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。好適なモノクローナル抗体は、既知の技術、例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれる、“Monoclonal Antibodies:A manual of techniques”,H Zola(CRC Press,1988)、および“Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and applications”,J G R Hurrell(CRC Press,1982)に開示される技術によって調製され得る。
【0114】
潜在的な結合分子がライブラリーから選択される場合、定義されたモチーフを有する1つ以上のセレクターペプチドが通常使用される。構造を提供し、ペプチドの柔軟性を低下させるアミノ酸残基、または結合分子との相互作用を可能にする荷電した、極性の、または疎水性の側鎖を、セレクターペプチドのモチーフの設計に使用することができる。例えば:
(i)プロリンは、その側鎖がアルファ炭素と窒素の両方に結合しているため、ペプチド構造を安定化できる。
(ii)フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンは芳香族側鎖を持ち、疎水性が高いのに対し、ロイシンとイソロイシンは脂肪族側鎖を持ち、疎水性でもある。
(iii)リジン、アルギニン、およびヒスチジンは塩基性側鎖を持ち、中性pHで正に帯電するが、アスパラギン酸とグルタミン酸は酸性側鎖を持ち、中性pHで負に帯電する。
(iv)アスパラギンとグルタミンは中性pHで中性であるが、水素結合に関与し得るアミド基を含んでいる。
(v)セリン、トレオニン、およびチロシン側鎖には、水素結合に関与し得るヒドロキシル基が含まれている。
【0115】
典型的には、結合分子の選択は、結合分子のタイプに対応するスポットへの結合を分析するためのアレイ技術およびシステムの使用を含み得る。
【0116】
1つ以上のタンパク質結合部分は、検出可能な部分を含み得る。例えば、検出可能部分は、蛍光部分、発光部分、化学発光部分、放射性部分、および酵素部分からなる群から選択され得る
【0117】
本発明の方法のさらなる実施形態では、ステップ(c)は、1つ以上のタンパク質に結合することができる第2の結合物質を含むアッセイを用いて実施され得、第2の結合物質は、検出可能部分をも含む。適切な第2の結合物質は、第1の結合物質に関連して上述で詳細に説明されている。
【0118】
したがって、試験される試料中の目的のタンパク質は、最初に第1の結合物質を用いて単離および/または固定化され得、その後、当該バイオマーカーの存在および/または相対量は、第2の結合物質を用いて決定され得る。
【0119】
一実施形態では、第2の結合物質は、抗体またはその抗原結合断片、典型的には、組換え抗体またはその断片である。好都合にも、抗体またはその抗原結合断片は、scFv、Fab、免疫グロブリン分子の結合ドメインからなる群から選択される。適切な抗体および断片、ならびにそれらを作製するための方法は、上述で詳細に説明されている。
【0120】
代替的に、第2の結合物質は、アフィボディまたはアプタマーなどの抗体様結合物質であり得る。
【0121】
代替的に、試験される試料中のタンパク質上の検出可能部分は、特異的結合対(例えば、ビオチン)のメンバーを含むか、またはそれからなる場合、第2の結合物質は、特異的結合対(例えば、ストレプトアビジン)の相補的メンバーを含むか、またはそれからなり得る。
【0122】
検出アッセイが使用される場合、好ましくは、検出可能部分が、蛍光部分、発光部分、化学発光部分、放射性部分、酵素部分からなる群から選択される。本発明の方法で使用するのに適した検出可能な部分の例は上に記載されている。
【0123】
血清または血漿タンパク質を検出するための好ましいアッセイは、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体を用いるサンドイッチアッセイを含む、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射アッセイ(IRMA)、および免疫酵素アッセイ(IEMA)を含む。例示的なサンドイッチアッセイは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,376,110号および第4,486,530号にDavid et alによって記載されている。スライド上の細胞の抗体染色は、当業者には周知のように、細胞学検査室診断試験において周知の方法で使用され得る。
【0124】
したがって、一実施形態では、アッセイは、典型的には、通常は固相アッセイにおいて、呈色反応生成物をもたらす酵素の使用を含む、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)である。西洋ワサビペルオキシダーゼおよびホスファターゼなどの酵素が広く用いられてきた。ホスファターゼ反応を増幅する方法は、NADPを基質として用いて、ここで第2の酵素システムの補酵素として作用するNADを生成することである。Escherichia coli由来のピロホスファターゼは、酵素が組織中に存在せず、安定であり、良好な反応色を与えるので、良好な複合体を提供する。ルシフェラーゼなどの酵素に基づく化学発光システムを使用することもできる。
【0125】
ビタミンビオチンとの複合は、それが大きな特異性および親和性で結合する酵素結合アビジンまたはストレプトアビジンとのその反応によってこれを容易に検出することができるので、しばしば用いられる。
【0126】
代替の実施形態では、タンパク質検出に使用されるアッセイは、好都合には蛍光分析である。したがって、第2の結合物質の検出可能部分は、Alexaフルオロフォア(例えば、Alexa-647)などの蛍光部分であり得る。
【0127】
好ましくは、第1の態様で記載した方法のステップ(c)、(e)、および/または(g)は、アレイを用いて実施される。アレイは、ビーズベースのアレイまたは表面ベースのアレイであり得る。アレイは、マクロアレイ、マイクロアレイ、ナノアレイからなる群から選択できる。
【0128】
アレイ自体は、当該技術分野において周知である。典型的には、それらは、各々固体支持体の表面上に形成された無限の面積を有する、間隔があいた(すなわち、離散)領域(「スポット」)を有する線形または二次元構造で形成される。アレイはまた、各ビーズを分子コードもしくはカラーコードによって識別または連続流において識別することができる、ビーズ構造とすることができる。分析はまた連続して行うことができ、試料は各々溶液から分子のクラスを吸着する一連のスポット上を通過させる。固体支持体は、典型的には、ガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、ディスク、シリコンチップ、マイクロプレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、他の多孔質膜、非多孔質膜(例えば、とりわけ、プラスチック、ポリマー、パースペックス、シリコン)、複数のポリマーピン、もしくは複数のマイクロタイターウェル、またはタンパク質、ポリヌクレオチド、および他の適切な分子を固定化するため、および/またはイムノアッセイを行うための任意の他の表面の形態であり得る。結合プロセスは、当該技術分野において周知であり、一般に、タンパク質分子、ポリヌクレオチドなどを固体支持体に共有結合または物理吸着する架橋からなる。代替的に、親和性タグまたは同様の構築物を介したプローブの親和性カップリングを使用することができる。接触もしくは非接触プリント、マスキング、またはフォトリソグラフィーなどの、周知の技法を使用することによって、各スポットの位置を定義することができる。説明については、Jenkins,R.E.,Pennington,S.R.(2001,Proteomics,2,13-29)およびLal et al(2002,Drug Discov Today 15;7(18 Suppl):S143-9)を参照されたい。
【0129】
典型的には、アレイは、マイクロアレイである。「マイクロアレイ」によって、我々は、少なくとも約100/cm、好ましくは少なくとも約1000/cmの離散領域の密度を有する領域のアレイの意味を含む。マイクロアレイ内の領域は、典型的な寸法、例えば、約10~250μmの範囲の直径を有し、アレイ内の他の領域からほぼ同じ距離だけ離れている。アレイはまた、マクロアレイまたはナノアレイであり得る。
【0130】
(上記で論じられた)適切な結合分子が識別および単離されると、当業者は、分子生物学の分野で周知の方法を用いてアレイを製造することができる。
【0131】
追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定される1つ以上のバイオマーカーは、ヒト細胞によって発現される1つ以上の相同遺伝子産物を含むか、またはそれからなる。追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定される1つ以上のバイオマーカーは、タンパク質またはポリペプチドである。追加のまたは代替の実施形態では、ステップ(c)で測定される1つ以上のバイオマーカーは、核酸(例えば、DNA、mRNAまたはcDNAなど)である。
【0132】
追加のまたは代替の実施形態では、方法は、in vitro、in vivo、ex vivo、またはin silicoで行われる。例えば、この方法は、特にin vitroで実施することができる。
【0133】
「試験薬剤」には、呼吸器感作状態が決定される物質、化合物、組成物、および/または実体(またはそれらの混合物)が含まれる。
【0134】
「感作状態」とは、試験薬剤(または試験薬剤の混合物)が感作物質(例えば、呼吸器感作物質)であるか否かを含むか、または意味する。
【0135】
一実施形態では、この方法は、呼吸器過敏性応答を誘発する可能性のある薬剤を識別するためのものである。好ましくは、過敏性応答は、体液性過敏性応答、例えば、I型過敏性応答である。一実施形態では、この方法は、呼吸器アレルギーを誘発する可能性のある薬剤を識別するためのものである。
【0136】
「試験薬剤の呼吸器感作効果を示す」ことにより、試験薬が呼吸器感作物質であるか否かの決定、および/または呼吸器感作物質としての試験薬剤の効果の決定を含む。
【0137】
「呼吸器感作を誘発する可能性のある」薬剤とは、哺乳動物の気道においてI型即時型過敏性反応を誘発および引き起こす可能性のある任意の薬剤を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。好ましくは、I型即時型過敏性反応は、DC媒介性であり、および/またはT細胞のTh2細胞への分化を伴う。好ましくは、I型即時型過敏反応は、体液性免疫および/または呼吸器アレルギーをもたらす。
【0138】
哺乳類の肺の伝導ゾーンには、気管、気管支、細気管支、および終末細気管支が含まれる。呼吸ゾーンには、呼吸細気管支、肺胞管、および肺胞が含まれる。伝導ゾーンは気道で構成されており、血液とのガス交換がなく、気道を開いたままにするために軟骨で補強されている。伝導ゾーンは吸入された空気を加湿し、37℃(99°F)に暖める。また、全ての通路の壁に存在する繊毛を介して粒子を除去することにより、空気を浄化する。呼吸ゾーンは、血液とのガス交換の場所である。
【0139】
一実施形態では、「呼吸器感作を誘発する可能性のある」薬剤は、哺乳動物の肺上皮の部位でI型即時型過敏性反応を誘発および引き起こす可能性のある任意の薬剤を意味する。好ましくは、肺上皮の部位は、肺の呼吸ゾーンにあるが、代替的または追加的に、肺の伝導ゾーンにあり得る。
【0140】
哺乳動物は、任意の飼育または農用動物であり得る。好ましくは、哺乳動物は、ラット、マウス、モルモット、ネコ、イヌ、ウマ、または霊長類である。最も好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。
【0141】
樹状細胞(DC)は、哺乳動物の免疫系の一部を形成する免疫細胞である。それらの主な機能は、抗原物質を処理し、それを免疫系の他の細胞に表面に提示し(すなわち、それらは抗原提示細胞として機能し)、自然免疫系と適応免疫系を橋渡しすることである。
【0142】
樹状細胞は、皮膚(ランゲルハンス細胞と呼ばれる特殊な樹状細胞タイプが存在する)、ならびに、肺、胃、および腸の内層などの外部環境と接触している組織に存在する。それらはまた血の中で未熟な状態で見つけることができる。活性化されると、それらはリンパ節に移動し、そこでT細胞およびB細胞と相互作用して、適応免疫応答を開始および形成する。特定の発生段階で、それらは分岐した突起、樹状突起を成長させる。外観は似ているが、これらはニューロンの樹状突起とは異なる構造である。未成熟樹状細胞は、樹状突起ではなく大きな細胞質の「ベール」を持っているため、ベール細胞とも呼ばれる。
【0143】
「樹状様細胞」とは、形態学的特徴、共刺激分子およびMHCクラスII分子の発現、高分子を飲作用し、休止T細胞を活性化する能力など、樹状細胞に特有の機能的および表現型の特徴を示す非樹状細胞を意味する。
【0144】
追加のまたは代替の実施形態では、樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団は、不死の細胞を含むか、またはそれからなる。「不死」とは、分裂を続けることができなくなる点によって制限されない細胞を意味する。そうでなければ、DNA損傷またはテロメアの短縮が原因である可能性がある。
【0145】
追加のまたは代替の実施形態では、樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団は、天然に存在しない細胞を含むか、またはそれからなる。「天然に存在しない」細胞とは、細胞が自然界に見られる細胞とは異なる、改変されている、またはそのバリアントであることを意味する。換言すると、それらは通常自然界で発生する細胞ではない。例えば、細胞は、天然に存在するヒト骨髄性白血病細胞または天然に存在する樹状細胞とは異なり、それらから改変され、および/またはそのバリアントである。
【0146】
追加のまたは代替の実施形態では、樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団は、樹状様細胞の集団である。追加のまたは代替の実施形態では、樹状様細胞は骨髄性樹状様細胞である。追加のまたは代替の実施形態では、骨髄性樹状様細胞は、骨髄性樹状細胞に由来する。追加のまたは代替の実施形態では、骨髄性樹状細胞に由来する細胞は、骨髄性白血病由来の細胞である。追加のまたは代替の実施形態において、骨髄性白血病由来細胞は、KG-1、THP-1、U-937、HL-60、Monomac-6、AML-193、MUTZ-3、およびSenzaCellからなる群から選択される。
【0147】
追加のまたは代替の実施形態では、樹状様細胞はMUTZ-3細胞である。MUTZ-3細胞は、ドイツのブラウンシュヴァイクにあるDeutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)(www.dsmz.de;DMSZ No.ACC 295)から入手できるヒト急性骨髄単球性白血病細胞である。
【0148】
追加のまたは代替の実施形態では、樹状様細胞は、ATCC特許寄託指定PTA-123875による、天然に存在しない樹状様骨髄性白血病細胞である。これらの細胞は「SenzaCell」とも呼ばれる。SenzaCell(ATCC特許寄託指定PTA-123875)は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC),10801 University Blvd,Manassas,VA 20110,USAに寄託されている。
【0149】
追加のまたは代替の実施形態では、骨髄性白血病由来細胞は、MUTZ-3またはSenzaCellである。
【0150】
一実施形態では、樹状突起様細胞は、サイトカインで刺激した後、CD1d、MHCクラスIおよびIIを介して抗原を提示し、および/または特定のT細胞増殖を誘導する。
【0151】
一実施形態では、樹状様細胞は、CD34樹状細胞前駆細胞である。任意選択で、CD34樹状細胞前駆細胞は、サイトカイン刺激時に、CD1d、MHCクラスIおよびIIを介して提示する抗原の表現型を獲得し、特定のT細胞増殖を誘導し、および/または炎症性メディエーターによる刺激時に成熟した転写および表現型プロファイルを提示することができまる(すなわち、未成熟樹状細胞またはランゲルハンス様樹状細胞と同様の表現型)。
【0152】
一実施形態では、樹状様細胞は、CD54、CD86、CD80、HLA-DR、CD14、CD34、およびCD1aからなる群から選択されるマーカーの少なくとも1つ、例えば、マーカーのうちの2、3、4、5、6、または7を発現する。さらなる実施形態において、樹状様細胞は、マーカーCD54、CD86、CD80、HLA-DR、CD14、CD34、およびCD1aを発現する。
【0153】
一実施形態では、樹状細胞の集団または樹状様細胞の集団は、樹状細胞の集団である。好ましくは、樹状細胞は一次樹状細胞である。好ましくは、樹状細胞は骨髄性樹状細胞である。
【0154】
樹状細胞は、機能、表現型、および/または遺伝子発現パターン、特に細胞表面表現型によって認識され得る。これらの細胞は、その独特の形態、高レベルの表面MHCクラスII発現、およびCD4+および/またはCD8+T細胞、特にナイーブT細胞に抗原を提示する能力を特徴とする(Steinman et al.(1991)Ann.Rev.Immunol.9:271).
【0155】
樹状細胞の細胞表面は異常であり、特徴的なベールのような突起があり、細胞表面マーカーCD11cおよびMHCクラスIIの発現を特徴とする。ほとんどのDCは、T細胞、B細胞、単球/マクロファージ、および顆粒球を含む、他の白血球系統のマーカーに対して陰性である。樹状細胞の亜集団は、33D1、CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CD1a-d、CD4、CD5、CD8alpha、CD9、CD11b、CD24、CD40、CD48、CD54、CD58、CD80、CD83、CD86、CD91、CD117、CD123(IL3Ra)、CD134、CD137、CD150、CD153、CD162、CXCR1、CXCR2、CXCR4、DCIR、DC-LAMP、DC-SIGN、DEC205、E-カドヘリン、ランゲリン、マンノース受容体、MARCO、TLR2、TLR3 TLR4、TLR5、TLR6、TLR9、およびいくつかのレクチンを含む追加のマーカーも発現し得る。
【0156】
これらの細胞表面マーカーの発現パターンは、樹状細胞の成熟度、それらの起源の組織、および/またはそれらの起源の種とともに変化し得る。未成熟樹状細胞は低レベルのMHCクラスIIを発現するが、抗原タンパク質をエンドサイトーシスし、MHCクラスII分子との複合体で提示するためにそれらを処理することができる。活性化された樹状細胞は、高レベルのMHCクラス11、ICAM-1、およびCD86を発現し、例えば混合白血球反応(MLR)におけるナイーブ同種T細胞の増殖を刺激することができる。
【0157】
機能的には、樹状細胞または樹状様細胞は、抗原提示を決定するための任意の簡便なアッセイによって識別することができる。そのようなアッセイは、試験抗原の提示によって抗原感作および/またはナイーブT細胞を刺激する能力を試験し、続いてT細胞増殖、IL-2の放出などを決定することを含み得る。
【0158】
一実施形態では、樹状様細胞は、上皮細胞および/またはBEAS-2B[28]、WT 9-7、およびA549[29]などの上皮様細胞を含む。好ましくは、上皮細胞は肺上皮細胞である。好ましくは、上皮様細胞は肺上皮様細胞である。代替の実施形態では、樹状様細胞は、上皮細胞および/または上皮様細胞を含む。
【0159】
タンパク質および/または核酸の濃度を検出および/または測定する方法は、当業者に周知である。例えば、Sambrook and Russell,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0160】
タンパク質の検出および/または測定のための好ましい方法には、ウエスタンブロット、ノースウエスタンブロット、免疫吸着アッセイ(ELISA)、抗体マイクロアレイ、組織マイクロアレイ(TMA)、免疫沈降、in situハイブリダイゼーションおよび他の免疫組織化学技術、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体を使用するサンドイッチアッセイを含む、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射測定アッセイ(IRMA)および免疫酵素アッセイ(IEMA)が含まれる。例示的なサンドイッチアッセイは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,376,110号および第4,486,530号にDavid et alによって記載されている。スライド上の細胞の抗体染色は、当業者には周知のように、細胞学検査室診断試験において周知の方法で使用され得る。
【0161】
典型的には、ELISAは、通常固相アッセイで、着色反応生成物をもたらす酵素の使用を伴う。西洋ワサビペルオキシダーゼおよびホスファターゼなどの酵素が広く用いられてきた。ホスファターゼ反応を増幅する方法は、NADPを基質として用いて、ここで第2の酵素システムの補酵素として作用するNADを生成することである。Escherichia coli由来のピロホスファターゼは、酵素が組織中に存在せず、安定であり、良好な反応色を与えるので、良好な複合体を提供する。ルシフェラーゼなどの酵素に基づく化学発光システムを使用することもできる。
【0162】
ビタミンビオチンとの複合は、それが大きな特異性および親和性で結合する酵素結合アビジンまたはストレプトアビジンとのその反応によってこれを容易に検出することができるので、しばしば用いられる。
【0163】
追加のまたは代替の実施形態では、この方法は、
(i)樹状細胞または樹状様細胞を培養するステップと、
(ii)好ましくは定常状態の増殖期に、(i)の細胞を1つ以上のウェルに、例えば1つ以上のマルチウェルアッセイプレートのウェルに播種するステップと、
(iii)試験される薬剤(複数可)を、(ii)の1つ以上のウェルに添加するステップと、
(iv)(ii)陽性対照(複数可)の1つ以上の別個のウェルに、例えば、リアクティブオレンジ16、ピペラジン、クロラミンT、および/またはトリメリット酸無水物添加するステップと、
(v)(ii)陰性対照(複数可)の1つ以上の別個のウェルに、例えばDMSOを添加するステップ、および/または、培地対照を得るために、および/または正規化の目的で(ii)刺激されていない1つ以上の別個のウェルを残すステップと、
(vi)(iii)~(v)のウェルで細胞を、好ましくは約24時間インキュベートし、任意選択で、(iii)~(v)のウェルから細胞を回収し、さらに必要に応じて、上清を除去してTRIzol試薬に保存するステップと、
(vii)(vi)の細胞から精製された全RNAを単離し、任意選択で、mRNAをcDNAに変換するステップと、
(viii)アフィメトリクスHuman Gene 1.0 STアレイなどのアレイを用いて、またはNanostringコードセットなどのカスタマイズされた遺伝子発現分析プローブを用いて、(vii)からの個々のmRNA転写産物の発現レベルを定量化するステップと、
(ix)表4に記載されているような適切なアルゴリズムを用いて、(viii)からデータをエクスポートおよび正規化するステップと、
(x)GARD Respiratory Prediction Signatureのバイオマーカー(すなわち、表Aのバイオマーカー)に由来する(ix)からデータを分離するステップと、
(xi)予測モデルを(x)のデータに適用、例えば、過去のデータで以前に確立および訓練された凍結SVMモデルを、例えば実施例1で取得したデータ(表4におけるコーディングも参照されたい)に適用して、試験した薬剤(複数可)および陰性/陽性対照(複数可)の呼吸器感作状態を予測するステップと、
(xii)試験された薬剤が哺乳動物において呼吸器感作を誘発する可能性のある薬剤であるかどうかを識別するステップと、のうちの1つ以上を含む。
【0164】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による方法で使用するためのアレイを提供し、アレイは、本発明の第1の態様で定義される1つ以上の結合部分を含む。
【0165】
追加のまたは代替の実施形態では、アレイは、本発明の第1の態様で定義されるように、バイオマーカーの各々に対する1つ以上の結合部分を含む。追加または代替の実施形態では、1つ以上の結合部分が固定化されている。
【0166】
追加または代替の実施形態では、アレイはビーズベースのアレイである。追加または代替の実施形態では、アレイは表面ベースのアレイである。追加のまたは代替の実施形態では、アレイは、マクロアレイ、マイクロアレイ、ナノアレイからなる群から選択される。
【0167】
本発明の第2の態様のアレイは、1つ以上、好ましくは2つ以上の結合部分を含み得、結合部分は各々、第1の態様で定義されるバイオマーカーに選択的に結合することができる。したがって、アレイは、第1の態様で定義されたバイオマーカーのいずれかの特定の選択に相関するバイオマーカー特異的結合部分の特定の選択を含むか、またはそれからなり得る。
【0168】
例えば、追加のまたは代替の実施形態では、アレイは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28の異なる結合部分を含み、異なる結合部分は各々、表Aに列挙される異なるバイオマーカーに選択的に結合することができる。例えば、アレイは、それぞれが表Aに列挙された異なるバイオマーカーに選択的に結合することができる28の異なる結合部分を含むか、またはそれからなり得る。追加または代替の実施形態では、アレイは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の異なる結合部分を含み、異なる結合部分は各々、表A(i)に記載される異なるバイオマーカーに選択的に結合することができる。例えば、アレイは、各々が表A(i)に列挙された異なるバイオマーカーに選択的に結合することができる25の異なる結合部分を含み得るか、またはそれからなり得る。
【0169】
本発明の第3の態様は、試験薬剤の呼吸器感作効果を決定するための、本発明の第1の態様で定義された2つ以上のバイオマーカーの使用を提供する。
【0170】
追加のまたは代替の実施形態では、試験薬剤の呼吸器感作効果を決定するために、表Aで定義される群から選択される2つ以上のバイオマーカーの使用が提供され、好ましくは、1つ以上のバイオマーカーが、表A(i)で定義される群から選択される。
【0171】
追加のまたは代替の実施形態では、試験薬剤の呼吸器感作効果を決定するための、表Aに定義された群から選択されるバイオマーカーに各々特異性を有する2つ以上の結合部分の使用であって、好ましくは、1つ以上の結合部分が表A(i)で定義された群から選択されたバイオマーカーに特異性を有する、使用が提供される。
【0172】
本発明の第4の態様は、
(a)本発明の第2の態様によるアレイと、
(b)本発明の第1の態様に定義される方法を実施するための使用説明書と、を含む本発明の第1の態様による方法において使用するための分析キットを提供する。
【0173】
追加のまたは代替の実施形態では、分析キットは、本発明の第1の態様で定義されるような1つ以上の対照薬剤をさらに含む。
【0174】
本発明の第5の態様は、
(a)患者が曝露されているか、または曝露された1つ以上の試験薬を提供するステップと、
(b)本発明の第1の態様で提供される方法を用いて、ステップ(a)で提供される1つ以上の試験薬剤が呼吸器感作物質であるかどうかを決定するステップと、
(c)1つ以上の試験薬剤が呼吸器感作物質として識別される場合、1つ以上の試験薬剤への患者の曝露を低減または防止し、および/または感作の症状に適切な治療を提供するステップと、を含む、患者における呼吸型I型過敏性反応(呼吸器喘息など)を治療または予防する方法を提供する。
【0175】
好ましくは、患者が曝露されているか、または曝露された1つ以上の試験薬剤は、患者が現在少なくとも月に1回、例えば、少なくとも2週間に1回、少なくとも週に1回、または少なくとも1日1回、曝露している薬剤である。
【0176】
感作の症状の治療には、サルブタモールなどの短時間作用型ベータ2アドレナリン受容体アゴニスト(SABA)、臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬、吸入エピネフリンなどの他のアドレナリンアゴニスト、ベクロメタゾンなどのコルチコステロイド、サルメテロールおよびホルモテロールなどの長時間作用型ベータアドレナリン受容体アゴニスト(LABA)、モンテルカストおよびザフィルルカストなどのロイコトリエンアンタゴニスト、および/または、コルチコステロイドの別の非優先的な代替品である肥満細胞安定化剤(クロモリンナトリウムなど)が含まれ得る。
【0177】
好ましくは、治療の方法は、本発明の第1の態様に記載されている方法、およびそこに記載されている1つ以上の実施形態と一致している。
【0178】
本発明の第6の態様は、例えば、ステップ(c)(およびその後の発現測定ステップ)の発現データを解釈し、それによって1つ以上の試験薬剤がアレルギー誘発性であるかどうかを決定するための、本発明の方法を行うためのコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、プログラム化SVMであり得る。コンピュータプログラムは、当業者に知られる適切なコンピュータ可読キャリアに記録され得る。適切なコンピュータ可読担体は、コンパクトディスク(CD-ROM、DVD、Blue-Rayなどを含む)、フロッピーディスク、フラッシュメモリドライブ、ROM、またはハードディスクドライブを含み得る。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを実行するのに適したコンピュータにインストールされ得る。
【0179】
当業者は、競合しない全ての実施形態を組み合わせて使用できることを理解するであろう。したがって、本発明の一態様からの実施形態は、本発明の第2の態様に等しく適用することができる。本明細書における明らかに先に公開された文献の列挙または考察は、必ずしもその文書が最新技術の一部であるか、または共通の一般的知識であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0180】
本発明の特定の態様を具体化する好ましい非限定的な実施例を、以下の図面を参照してここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0181】
図1】最適化されたバイオマーカーシグネチャーに由来する、28変数の圧縮空間に設定された訓練データのPCA。
図2】完成したGARDair予測モデルを使用した試験セット1の分類結果の視覚化。平均SVM決定値(n=3)が0より大きい場合、試験物質は呼吸器感作物質として分類される。
図3】完成したGARDair予測モデルを使用した試験セット2の分類結果の視覚化。平均SVM決定値(n=3)が0より大きい場合、試験物質は呼吸器感作物質として分類される。
【0182】
実施例1
結果
予測モデルの理論的根拠
GARD(商標)は、化学的感作物質を評価するための最先端の方法論プラットフォームである。これは樹状細胞(DC)様細胞株に基づいているため、感作をもたらす応答の開始に関与する細胞型を模倣している。培養されたDCは、目的の試験物質に暴露される。インキュベーション後、細胞の活性化状態を研究するために、曝露によって誘発される転写変化を測定する。これらの変化は、自然免疫応答と適応免疫応答の橋渡し、およびin vivoでのDCの意思決定の役割、例えば、共刺激分子の上方制御、細胞および酸化ストレス経路の誘導、および遊走性性および細胞間情報伝達機能に関連している。最先端の遺伝子発現技術を使用することにより、情報量の多いデータが生成され、ユーザーは試験物質によって誘発された細胞応答の全体像を把握することができる。簡略化すると、記載されている技術により、感作物質または非感作物質としての試験物質の評価が可能になる。
【0183】
GARDは、多数のアプリケーションに基づく試験戦略プラットフォームとみなされている。本明細書での「プラットフォーム」という用語は、全てのアプリケーションが同じ実験戦略と同様の実験プロトコールに基づいていることを示す。ここでの「アプリケーション」という用語は、様々な生物学的評価項目に対する様々なアッセイを示す。
【0184】
本明細書に記載の「GARDair」アッセイは、ここで呼吸器感作物質を正確に分類する能力を有することが実証されているGARDプラットフォームに基づく新規のアッセイである。したがって、GARDairは、化学物質を呼吸器感作物質として具体的に分類する好ましい試験方法となる能力を備えており、これは検証済みの、または広く受け入れられ、使用されている予測モデルが現在存在しない評価項目である。
【0185】
GARDairバイオマーカーの発見
SenzaCells(ATCC Deposit#PTA-123875)は、入手可能な文献と専門家のコンセンサス(Chan-Yeung&Malo,1994、Dearman et al.,1997、Dearman et al.,2012、Lalko et al.,2012)によって定義されるような、10の良く特徴付けられた呼吸器感作物質と、20の非呼吸器感作物質とを含む、化学物質の参照パネルに曝露された。注目すべきことに、非呼吸器感作物質のセットには、呼吸器感作を誘発する記録された能力が一切ない皮膚感作物質が含まれている。この参照化学物質のセットは、典型的に訓練データセットと呼ばれるものを作成するために使用され、表1に列挙されている。全ての曝露は、制御された環境で3重の実験を繰り返して実施されたため、その後のバイオマーカーの発見に最適化された高い統計的検出力を備えたコヒーレントデータセットが生成された。
【0186】
化学的に曝露された細胞培養物から精製されたRNAを単離し、アフィメトリクスマイクロアレイを用いて遺伝子発現分析を実施し、訓練データセットと呼ばれる情報マイニング用の全ゲノム発現データセットを生成した。訓練データセットの統計的検出力は、サロゲート変数分析(SVA)アルゴリズムの適用によってさらに向上した。このアルゴリズムは、目的の生物学的評価項目と統計的に無関係なサロゲート変数から発生するノイズ信号を識別し、その後除去する。次に、分散分析(ANOVA)を適用して、差次的に発現する遺伝子(DEG)を識別した。統計的有意性の定義として<0.05の調整済みp値(すなわち、q値、Benjamini-Hochberg法を使用した多重仮説検定用に修正されたp値)を使用すると、28のDEGが選択基準を満たした。以下、総称してGARD呼吸器予測シグネチャー(GRPS)と呼ばれる28のDEGの識別性を表2に示す。さらに、訓練データセットは、図1の主成分分析(PCA)を用いて視覚化される。
【0187】
SVMモデルの28個の遺伝子のそれぞれの重み付けを表5に示す。SVMは、予測モデルを定義するアルゴリズムである。モデルが定義される(すなわち訓練される)と、実際の予測モデルは次のように線形方程式で表すことができる。
DV = K1 * X2 + K2 * X3 +…+ KN * XN + M
【0188】
ここで、DVは決定値(適用時のモデルの出力)、Ksは定数、Xsは独立変数、Mは切片を表す定数である。この場合、Nは28である。28個の遺伝子(すなわちX)の発現レベルを測定し、定義された方程式を28個の固定KおよびMとともに用いてDVを計算した。
【0189】
提供される重みはKs、すなわち各遺伝子発現レベルに乗算される定数である。したがって、Kが大きいほど、対応する遺伝子XがDVに与える影響が大きくなる。簡単な例として、N=1の場合を考慮する。これにより、直線の一般的に知られている方程式、すなわちY = KX + Mが得られる。
【0190】
テクノロジープラットフォームの転送と予測モデルの定義
GRPSの確立に続いて、Nanostring nCounterシステムを使用したGRPSの標準化された測定のために、ハイブリダイズするプローブが設計された(Geiss et al.,2008)。この作業は、以前に公開された進歩であるGARDskinの技術移転と非常に類似して実施された(Forreryd et al.,2016)。前述のアッセイと同一の細胞プロトコールを利用することで、堅牢で単純かつリソース効率の高いアッセイが容易になる。予測モデルは、サポートベクターマシン(SVM)に基づいて、2値の「研究中の関数」(呼吸器感作物質/非呼吸器感作物質)を従属変数として持ち、GRPSの遺伝子発現値を独立変数(すなわち予測変数)として持つ、訓練データセットのサンプルを用いて訓練および凍結された。表4も参照されたい。
【0191】
概念実証-外部試験データの分類。
最適化された予測モデルと関連するプロトコールを確立した後、試験データセットと呼ばれる2セットの外部試料でアッセイに挑戦した。試験セットに含まれる試料の化学的同一性、それらの真の群の所属(呼吸器感作物質または非呼吸器感作物質)、およびGARDair分類結果を表3に示す。生成されたGARDair決定値によって定義された分類のグラフ表示は、試験セット1と2について、それぞれ図2図3に示されている。
【0192】
入手可能なデータに基づいてGARDairの予測パフォーマンスを推定すると、予測精度は89%と計算され、感度と特異度のバランスが取れていた。さらに、独立した実験から得られた数回の反復暴露に基づくと、再現性は100%であり、堅牢なアッセイを示している。
【0193】
考察
ここに提示されたデータに基づいて、GARDプラットフォームを利用するという概念、例えば、DC様細胞を試験物質に曝露し、機械学習支援分類のために誘導された転写パターンを調べるという概念は、化学的呼吸器感作物質の評価のための機能的戦略であると結論付けられた。
【0194】
GARDairは、最新のプラットフォームで測定された、in vitroで化学的に曝露されたDC様細胞のゲノム読み出しに基づいた、最終的なアッセイをこれまでに行っている。このアッセイは、機能的で堅牢であることが実証されている。このアッセイは、自然免疫機能と適応免疫機能の橋渡しおよびTh2型免疫応答へのスキューイングに関連して、呼吸器感作物質によって特異的に誘導されるDCの転写変化をモニターするために提案されている。主に、これは、IL7RおよびCRLF2遺伝子のデータ駆動型識別によって実証される。これらは、翻訳されたタンパク質として一緒になって、チモイド間質リンホポイエチン(TSLP)の受容体を形成する。抗原提示細胞のTSLP受容体へのTSLPリガンド結合は、Th2分化を促進することが以前に示されている(Paul&Zhu,2010、Soumelis et al.,2002)。しかしながら、化学物質に対する呼吸器感作の誘発に関しては、これまでに記載されていない。
【0195】
材料および方法
細胞株の維持と刺激のための細胞の播種
ヒト樹状細胞(DC)のin vitroモデルとして機能するヒト骨髄性白血病由来細胞株SenzaCell(ATCCから入手可能)は、20%(容量/volume)ウシ胎仔血清(Life Technologies,Carlsbad,CA)および40ng/ml組換えヒト顆粒球単球コロニー刺激因子(rhGM-CSF)(Miltenyi Biotec,Germany)を補充したα-MEM(Thermo Scientific Hyclone,Logan,UT)中で維持される。拡大中の培地交換は、3~4日ごとに実施される。培養物の作業用ストックは、解凍後最大16継代または2か月間培養される。細胞を化学的刺激するために、曝露された細胞を37℃、5%CO2、95%湿度で24時間インキュベートする。
【0196】
試験物質の取り扱いと細胞毒性の評価
全ての試験物質は、試験物質の安定性を確保するために、供給者からの使用説明書に従って保管された。物性に基づいて、試験物質をDMSOまたは水に溶解した。多くの試験物質が細胞に毒性作用を有するため、試験物質の細胞毒性効果をモニターした。一部の試験物質は細胞培地への溶解が不十分であった。したがって、最大可溶性濃度も同様に評価された。試験される試験物質は、1μMから細胞培地中の最大可溶性濃度までの範囲の濃度に滴定された。溶けやすい試験物質については、滴定範囲の上限として500μMを設定した。DMSOに溶解した試験物質の場合、DMSOのウェル内濃度は0.1%であった。37℃、5%CO2、95%湿度で24時間インキュベートした後、採取した細胞を生存率マーカーであるヨウ化プロピジウム(PI)(BD Bioscience,USA)で染色し、フローサイトメトリーで分析した。PI陰性細胞は生存可能であると定義され、滴定範囲内の各濃度で刺激された細胞の相対的生存率は次のように計算された。
【0197】
相対生存率=(生存可能な刺激細胞の割合)/(生存可能な非刺激細胞の割合)100
毒性試験物質については、90%の相対生存率(Rv90)をもたらす濃度をGARDアッセイに使用した。これは、この濃度が、免疫応答を損なうことなく、刺激に使用される試験物質のバイオアベイラビリティを示すためである。非毒性の試験物質については、可能であれば500μMの濃度を使用した。細胞培地に500μMで不溶性である非毒性の試験物質については、最高の可溶性濃度が使用された。これらの3つの基準のいずれかが満たされた場合、遺伝子発現分析には1つの濃度のみが使用される。所定の化学物質に使用される濃度は、「GARD入力濃度」と呼ばれた。
【0198】
GARDの主な刺激
アッセイされる試験物質のGARD入力濃度が確立されたら、今回はGARD入力濃度のみを用いて、上述のように細胞を再度刺激した。試験物質およびベンチマーク対照の全ての評価は、生物学的に3重でアッセイされ、異なる時点で、異なる細胞培養を用いて実施された。37℃、5%CO2、95%湿度で24時間インキュベートした後、細胞培養物をTRIzol試薬(Life Technologies)で溶解し、RNAが抽出されるまで-20℃で保存した。並行して、刺激された細胞の予想される相対的生存率に到達することを確実にするために、刺激された細胞の小さな試料がPI染色およびフローサイトメトリーによる分析のために採取された。
【0199】
RNAの分離
溶解細胞からのRNA単離は、市販のキット(Direct-Zol RNA MiniPrep,Zymo Research,Irvine,CA)を用いて実施した。全RNAは、BioAnalyzer装置(Agilent,Santa Clara,CA)を用いて定量化および品質管理された。
【0200】
マイクロアレイを使用した遺伝子発現分析
cDNAの調製とHuGeneST 1.0マイクロアレイへのハイブリダイゼーションは、製造元の推奨プロトコール、キット、および試薬(Affymetrix,Santa Clara,CA)に従って、ルンド大学の統合生物学Swegeneセンター(SCIBLU,Lund,Sweden)によって実施された。
【0201】
マイクロアレイデータの取得と正規化
ハイブリダイズしたマイクロアレイを洗浄し、推奨プロトコールに従ってスキャンした。生データの.cell-filesは、統計計算のためにR環境(www.r-project.org)にインポートされた。生データは正規化され、RパッケージSCANを用いて遺伝子発現シグナルに変換された。
【0202】
データ分析-GARDair感作バイオマーカーシグネチャーの特徴選択
表1に列挙されている化学物質のパネルで刺激された生物学的3重のSenzaCell試料を含む正規化されたデータは、呼吸器感作物質と呼吸器非感作物質を区別できる、差次的に調節される遺伝子についてマイニングされた。未定義のソースからの不要なバリエーションは、RパッケージSVAから入手できるSurrogate Variable Analysisを用いて削除された。調節された遺伝子は、RパッケージLimmaからのANOVAを用いて識別された。偽発見率(すなわち、q値、Benjamini-Hochberg法を使用した多重仮説検定用に修正されたp値)<0.05の遺伝子は、統計的に有意であるとみなされた。28のユニークな遺伝子が選択基準を満たし、それらを表2に示す。
【0203】
テクノロジープラットフォームの移転
ユニークなNanostring nCounterシステム転写プローブは、Nanostring Bioinformaticsチーム(Nanostring,Seattle,WA)によって合成された。供給者(Nanostring)によるプロトコールに従って、バイオマーカーの発見、すなわち目的の28の遺伝子をカバーする訓練データセット(表1)の完全な複製のために生成されたRNA試料からNanostring遺伝子発現データが生成された。
【0204】
外部試験化学物質の予測モデルの確立と試験
サポートベクターマシン(SVM)は、訓練データセット(表1)によって生成されたナノストリング発現データで訓練された。従属変数(すなわち、予測されるパラメータ)としての「研究中の関数」、独立変数(すなわち予測変数)としてのバイオマーカーシグネチャーの28個の遺伝子を使用し、R統計環境(Rコアチーム)と追加パッケージを使用した(表4を参照されたい)。外部試験化学物質の試験のために、遺伝子発現データは上述のプロトコールに従って生成された。訓練されたSVMモデルを適用して、平均SVM決定値(n=3)によって決定されるように、各試料を呼吸器感作物質または非呼吸器感作物質として分類した。正の決定値は、正の分類を示す。
【0205】
参考文献
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【0206】

【表1-1】
【0207】
【表1-2】
【0208】
【表2】

【0209】
【表3】

【0210】
【表4】

【0211】
【表5】
【0212】
【表6-1】
【0213】
【表6-2】

図1
図2
図3
【国際調査報告】