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特表2022-515845バラスト軌道を処理するための方法および軌道工事機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】バラスト軌道を処理するための方法および軌道工事機械
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/17 20060101AFI20220215BHJP
【FI】
E01B27/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537905
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019083209
(87)【国際公開番号】W WO2020135973
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】A390/2018
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ シュプリンガー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB01
2D057AB25
2D057CB04
(57)【要約】
本発明は、軌道工事機械(1)によってバラスト軌道(4)を処理するための方法であって、軌道工事機械(1)は、レール(7)とまくら木(6)とから形成された軌道グリッド(8)を固持するための保持ローラ(17)と、軌道グリッド(8)を持ち上げるための持上げ駆動装置(18)とを備える持上げユニット(10)と、軌道(4)の目標位置とアライメントするための検測システム(12)とを有し、持上げユニット(10)を励振器(16)によって振動させ、振動を軌道グリッド(8)に伝達する、方法に関する。持上げユニット(10)を制御装置(20)によって制御して、持上げ工程時に持上げユニット(10)を振動させ、軌道グリッド(8)を、まず、目標位置を越えて上昇させ、次いで、目標位置に下降させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道工事機械(1)によってバラスト軌道(4)を処理するための方法であって、前記軌道工事機械(1)は、レール(7)とまくら木(6)とから形成された軌道グリッド(8)を固持するための保持ローラ(17)と、前記軌道グリッド(8)を持ち上げるための持上げ駆動装置(18)とを備える持上げユニット(10)と、前記軌道(4)の目標位置とアライメントするための検測システム(12)と、を有し、前記持上げユニット(10)を励振器(16)によって振動させ、振動を前記軌道グリッド(8)に伝達する、方法において、
前記持上げユニット(10)を制御装置(20)によって制御して、持上げ工程時に前記持上げユニット(10)を振動させ、前記軌道グリッド(8)を、まず、前記目標位置を越えて上昇させ、次いで、前記目標位置に下降させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記持上げ工程を、少なくとも一度、振動する前記持上げユニット(10)の下降によって中断させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記持上げユニット(10)は、前記軌道グリッド(8)を整正する整正駆動装置(19)を有し、整正工程中、前記持上げユニット(10)の振動を低減させることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
先行する作業工程にて前記軌道グリッド(8)上にバラスト(5)が集められることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記軌道グリッド(8)上に新規のまたはクリーニング済みのバラスト(5)が集められることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
後続の作業工程にて前記軌道グリッド(8)のまくら木(6)の下側をタンピングユニット(11)によって突き固めることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
バラスト軌道(4)を処理するための軌道工事機械(1)であって、軌道グリッド(8)を固持するための保持ローラ(17)と、前記軌道グリッド(8)を持ち上げるための持上げ駆動装置(18)とを備える持上げユニット(10)と、前記軌道(4)の目標位置とアライメントするための検測システム(12)と、を有し、前記持上げユニット(10)は、励振器(16)に連結されている、軌道工事機械(1)において、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により前記持上げユニット(10)を制御するように構成された制御装置(20)が配置されていることを特徴とする、軌道工事機械(1)。
【請求項8】
前記励振器(16)は、前記持上げユニット(10)から前記軌道グリッド(8)に作用する衝撃力を調整するための調整装置を有することを特徴とする、請求項7記載の軌道工事機械(1)。
【請求項9】
作業方向(9)で見て前記持上げユニット(10)の後方で機械フレーム(2)またはサテライトフレームにタンピングユニット(11)が配置されていることを特徴とする、請求項7または8記載の軌道工事機械(1)。
【請求項10】
作業方向(9)で見て持上げユニット(10)の後方に安定化ユニット(21)が配置されていることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の軌道工事機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道工事機械によってバラスト軌道を処理するための方法であって、軌道工事機械は、レールとまくら木とから形成された軌道グリッドを固持するための保持ローラと、軌道グリッドを持ち上げるための持上げ駆動装置とを備える持上げユニットと、軌道の目標位置とアライメントするための検測システムと、を有し、持上げユニットを励振器によって振動させ、振動を軌道グリッドに伝達する、方法に関する。さらに、本発明は、相応の軌道工事機械に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/092840号には、励振器によって振動可能な持上げ・整正ユニットを有するタンピング機が公知である。このタンピング機は、軌道を2つの作業工程で処理する方法を実施する働きをする。第1の作業工程で、軌道は持上げ・整正ユニットによって、従来の形式で目標レベルに持ち上げられ、タンピングユニットによって突き固められる。この持上げ・整正工程中に、持上げ・整正ユニットの励振器は、遮断されたままである。後続の作業工程時に、タンピング機は同じ軌道区間を2回走行する。このとき、励振器が作動し、持上げ・整正ユニットは、安定化ユニットとして使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の持上げユニットによる軌道処理を改善することである。さらに、改善された方法のために最適化された軌道工事機械を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、これらの課題は、請求項1および7の特徴によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に開示されている。
【0005】
本発明では、持上げユニットを制御装置によって制御して、持上げ工程時に持上げユニットを振動させ、軌道グリッドを、まず、目標位置を越えて上昇させ、次いで、目標位置に下降させる。持上げユニットの作用領域では、持上げ時にまくら木の下にまず空洞が発生する。これらの空洞には、既に持上げ工程中にバラストが充填される。なぜならば、軌道グリッドに伝達された振動が、バラストを流れに似た状態にするからである。特に、まくら木の側方およびまくら木の上に位置しているバラスト粒が運動し、発生している空洞内に下方に向かって移動する。この組み合わせられた持上げ運動と振動運動とは、目標位置の上方まで行われ、これによって、十分な量のバラストがまくら木の下に達する。目標位置を得るために、次いで、振動する持上げユニットは下方に向かって押圧される。空洞内に達したバラストは、締め固められ、まくら木のための安定した載置部を形成する。好ましくは、軌道横方向での水平振動が軌道グリッドに伝達され、これによって、バラストの効果的な締固めを得ることができる。本発明に係る方法によって、軌道グリッドの持上げを軌道位置の安定化と同時に簡単に実施することができる。
【0006】
方法の改善された変化形態では、持上げ工程を、少なくとも一度、振動する持上げユニットの下降によって中断させる。このとき、既にまくら木の下に移動したバラストの予備締固めが行われる。これによって、まくら木の下における空洞容積が持上げ工程の継続時に増大し、これによって、持上げ工程全体にわたって、より多くのバラストがまくら木の下に達する。
【0007】
方法の1つの発展形態では、持上げユニットは、軌道グリッドを整正する整正駆動装置を有し、整正工程中、持上げユニットの振動を低減させることが特定されている。持上げユニットは、この実施形態では、持上げ・整正ユニットの機能を果たす。昇降運動時に、振動させられるユニットの、機械フレームに対する不都合な戻り作用は、無視できる程度である。なぜならば、可動に支持された持上げ駆動装置は、振動を減衰するように作用するからである。軌道横方向に行われる整正運動では、異なった態様が現れる。整正駆動装置の作動時には、軌道横方向での持上げユニットの自由な振り子運動は不可能である。なぜならば、持上げユニットと機械フレームとの間で整正力が作用するからである。機械フレームへの不都合な振動伝達は、持上げユニットの振動が低減されることによって阻止される。理想的には、整正駆動装置の作動中に振動は完全に遮断される。
【0008】
方法の有利な発展形態では、先行する作業工程にて軌道グリッド上にバラストが集められる。このことは、同一の軌道工事機械または他の機械、例えばバラストプラウによって行われる。特に、まくら木上に予め載せられたバラストは、伝達された振動によって運動し、持上げ工程時に発生する凹部および空洞を満たす。このようにして、充填工程のために十分に補充されるバラストが存在しており、これによって、本発明に係る方法によって大きな持上げ値を得ることができる。
【0009】
このとき、好ましくは、軌道グリッド上に新規のまたはクリーニング済みのバラストが集められる。高品質のバラストは、まず、極めて運動しやすく、振動するバラスト粒の移動を促進する。しかしながら、締固め後には、汚染または摩耗によって損なわれない極めて安定した組織が存在している。これによって、バラスト内に埋め込まれたまくら木の所望の高い横方向移動抵抗が得られる。
【0010】
更なる改善形態では、後続の作業工程にて軌道グリッドのまくら木の下側をタンピングユニットによって突き固めることが特定されている。振動させられる持上げユニットによって予備締固めされたバラストは、タンピングユニットによってさらに効果的に各まくら木の下側に移動する。持上げユニットは、軌道グリッドを目標位置に保つ。バラストの予備締固めによって、従来のタンピング法に比べて良好な締固めが、僅かなタンピングサイクルによって得られる。
【0011】
バラスト軌道を処理するための本発明に係る軌道工事機械は、軌道グリッドを固持するための保持ローラと、軌道グリッドを持ち上げるための持上げ駆動装置とを備える持上げユニットを有し、持上げユニットは、励振器に連結されている。この軌道工事機械は、持上げ工程中に持上げレベルを軌道の目標位置とアライメントするための検測システムをも有する。さらに、上述した方法により持上げユニットを制御するように構成された制御装置が配置されている。持上げユニットのこの新規の制御によって、既に持上げ工程中のバラストの締固めまたは予備締固めが可能となる。
【0012】
有利には、励振器は、持上げユニットから軌道グリッドに作用する衝撃力を調整するための調整装置を有する。これによって、軌道グリッドに伝達される振動が、与えられた要求に適合可能となる。特に整正工程中には、伝達される振動を衝撃力の低減のために減らすことが好適である。さらに、調整可能な衝撃力は、軌道グリッドのコントロールされた下降のために利用可能である。荷重が同じ場合、より強い衝撃力によって、軌道グリッドの下降はより迅速になる。
【0013】
別の有利な実施形態では、作業方向で見て持上げユニットの後方で機械フレームまたはサテライトフレームにタンピングユニットが配置されている。これによって、1回の作業走行で多段階の締固めが可能になり、持上げユニットが予備締固めを行い、タンピングユニットが追加的な締固めを行う。
【0014】
他の有利な実施形態では、作業方向で見て持上げユニットの後方に安定化ユニットが配置されていることが特定されている。このような組合せは、軌道新規敷設のためにまたはバラストクリーニング後に好適である。軌道は、検測システムと、振動させられる持上げユニットとによって、所望の目標位置に持ち上げられて、予備締固めされる。次いで、バラストは、安定化ユニットによってさらに締め固められる。この層状の締固めと同時に行われる位置補正とによって、設定された許容速度に至るまでの走行クリアランスが、タンピングユニットの使用なしでも可能となる。
【0015】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】持上げユニットとタンピングユニットとを備えた軌道工事機械を示す図である。
図2】持上げユニットと安定化ユニットとを備えた軌道工事機械を示す図である。
図3】サテライトフレームを備えた軌道工事機械を示す図である。
図4】バラストを装入された軌道グリッドを示す縦断面図である。
図5】軌道グリッド上昇中の図4に示した軌道グリッドを示す図である。
図6】軌道グリッド下降中の図4に示した軌道グリッドを示す図である。
図7】持上げ工程中の運動経過を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示した軌道工事機械1は、レール走行装置3に支持されて軌道4上で走行可能な機械フレーム2を備えている。軌道4は、バラスト5に支持されたまくら木6と、まくら木6に結合されたレール7とが軌道グリッド8を形成しているバラスト軌道である。作業方向9で見て持上げユニット10の後方に、タンピングユニット11が配置されている。検測システム12は、例えば3つの検測車13を有しており、これらの検測車13は、処理中に基準システム14に対して軌道位置を検出する。基準システム14としては、機械的に張設された検測弦または光学装置が使用される。
【0018】
機械式の検測システム12は、2つのレベリング弦(それぞれのレールのために1つ)と、整正弦と備えている。これらの弦は、両方の外側の検測車13の間に張設されていて、中央の検測車には検測ピックアップ15が位置している。光学式の検測システム12では、検測車13に光源と光センサとが配置されており、これらの光源および光センサによって、検測車13相互の位置が検出される。本発明では、軌道グリッド8を、振動させられる持上げユニット10によって所望のレベルに上昇させるために、検測システム12が使用される。
【0019】
本発明によれば、持上げユニット10は、励振器16を備えている。この励振器16は、好ましくは、持上げユニット10を励振器16の作動時に機械長手方向に対して横方向に水平振動させるように構成されている。例えば、2つの回転するアンバランスマスが配置されており、両アンバランスマスの衝撃力は、水平方向で強くなり、鉛直方向で相殺される。このとき、発生する衝撃力が調整可能であると好適である。そのために、互いに調整可能な位相を有する少なくとも4つのアンバランスマス、または質量重心のそれぞれ調整可能な偏心率を有する少なくとも4つのアンバランスマスが設けられている。調整可能な衝撃力によって、持上げユニット10の振動は、遅延なしに最適化された設定値に適合可能である。
【0020】
軌道グリッド8を上昇させるために、持上げユニット10は保持ローラ17を備えており、この保持ローラ17は、使用時にレールヘッドを固持し、レール7に沿って転動可能である。保持ローラ17として、フランジ付きローラと、ローラトングに配置されたローラとが使用される。フランジ付きローラは、伸縮軸によってレール内縁部に押圧される。ローラトングは、レールヘッドを外側から把持する。
【0021】
保持ローラ17によって、持上げユニット10のあらゆる運動が、固持された軌道グリッド8に伝達される。軌道グリッド8を上昇および下降させるために、持上げユニット10は持上げ駆動装置18を備えており、この持上げ駆動装置18は、機械フレーム2に接続されていて、横方向振り子運動を実施することができる。これによって、持上げユニット10の水平方向振動は機械フレーム2に伝達されない。
【0022】
好ましくは、持上げユニット10は軌道整正の機能をも満たす。このとき、軌道4は、横方向で所望の目標位置に移動される。そのために必要な整正駆動装置19は、作動時に、機械フレーム2に対する持上げユニット10の横方向移動を生じさせる。これによって、整正工程時に、横方向の力伝達が持上げユニット10と機械フレーム2との間に存在している。機械フレーム2への不都合な振動伝達を回避するために、励振器16は軌道整正中に停止される。振動を発生させるアンバランスマスの調整による衝撃力の低減も十分である。
【0023】
持上げユニット10は、制御装置20によって制御される。この制御装置20では、持上げユニット10のための制御シーケンスが整えられている。シーケンスの実行時に、少なくとも1つのシーケンス段階において、振動させられる持上げユニット10は、軌道4の目標位置を越えて上昇する。持上げ工程中の軌道グリッド8の瞬時位置と目標位置とのアライメント(Abgleichen)は、検測システム12によって行われる。
【0024】
図2および図3には、本発明に係る方法を最適に実施することができる、軌道工事機械1の別の有利な実施形態が示してある。図2には、作業方向9で持上げユニット10の後方に安定化ユニット21が配置されている。これによって、連続的な軌道処理が行われる。持上げユニット10による軌道上昇後に、軌道4は安定化ユニット21によって安定させられる。
【0025】
図3の軌道工事機械1は、連続的に作業するタンピング機として形成されている。この軌道工事機械1は、軌道4に沿って連続的に運動する。持上げユニット10およびタンピングユニット11を備えたサテライト22は、機械フレーム2に対して周期的に前進・後退運動し、これによって、タンピングユニット11をタンピング工程のために各まくら木6の上方に位置決めすることができる。
【0026】
持上げユニット10の作業形式を別の図4図7を参照しながら説明する。まず、軌道グリッド8がバラスト5によって覆われる(図4)。例えばバラストプラウによって、バラスト5は、斜面側面(Boeschungflanke)からレール7の方向に移動している。機械前進中に軌道グリッド8は、振動させられる持上げユニット10によって上昇させられ、これによって、振動がバラスト5に伝達される。振動させられるバラスト5は、約30Hz以上の振動周波数で流動媒体に似た挙動を示す。したがって、上昇工程中にまくら木6の下に形成される空洞には、運動しているバラスト粒が直ちに充填される(図5)。
【0027】
引き続き振動させられる持上げユニット10の、次いで行われる下降運動によって、まくら木6の下に移動したバラスト5が締め固められる(図6)。従来の安定化ユニット21に比べて、小さな衝撃力で十分である。したがって、励振器16内には、安定化ユニット21よりも小さなアンバランスマスが設けられている。上昇工程時にも下降運動時にも、35Hz~50Hzの範囲内の振動周波数が最適である。
【0028】
本発明は、タンピングユニット11を伴うまたはタンピングユニット11を伴わない複数の作業法に及んでいる。タンピング工程中における持上げ・整正ユニットとしての持上げユニット10の使用時には、下記の方法ステップが使用される。作業開始時に、持上げユニット10が軌道4上に下降する。伸縮軸によって、フランジ付きローラが互いに離反方向に押圧され、ローラトングがレール7に押し付けられる。その後、励振器16が作動し、持上げユニット10および固持された軌道グリッド8が振動し始める。このとき、持上げユニット10は、検測システム12を介して、まず、軌道4の望ましくない下降を回避するために位置保持される。
【0029】
軌道工事機械1との前進走行中に、持上げユニット10は、固持された軌道グリッド8と共に複数回上昇し、その間に下降する。この脈動する持上げ工程は、持上げ駆動装置18によって実施され、検測システム12によって、設定された目標軌道位置との瞬時軌道位置の継続的なアライメントが実施される。
【0030】
図7には、持上げ工程中の軌道グリッド8のレベル変化(実線c)が、時間tに関して鉛直方向zに示してある。持上げ工程の継続d中、軌道グリッド8は出発位置aから持上げ値hで設定された目標レベルbに上昇することが望ましい。目標レベルbは、鉛直方向zにおける軌道4の目標位置に相当している。軌道工事機械1の更なる前進運動によって、持上げユニット10は軌道グリッド経過に追従し、出発位置aから出発して新たな持上げ工程を開始する。
【0031】
図示の例では、軌道上昇は3つの部分に分割されている。それぞれの部分で軌道グリッド8は、まず、仮想の線形の軌道上昇(破線e)を越えて上昇する。例えば制御装置20には、相応の過剰上昇値が格納されている。この過剰上昇の目的は、上昇したまくら木6の下にバラストを十分に集めることである。このとき、過剰上昇の程度は、バラスト特性および所望の全体上昇への適合を行うために調整可能である。
【0032】
持上げ工程は各部分で、振動する持上げユニット10の下降によって中断される。第1の部分で、線形の軌道上昇に相当するレベル(破線e)の下回りが規定されていてよい。このことは、バラスト5の中間締固めを強化し、後続の軌道グリッド上昇時における充填可能な空洞を増大させる。持上げ駆動装置18を介して、持上げユニット10が下降段階中に軌道グリッド8を押圧する荷重が調整可能である。持上げユニット10の荷重、衝撃力および振動周波数ならびに下降時間は、まくら木の下のバラスト5の締固めを決定する。これらのパラメータの適合によって、バラスト特性に関連した各締固め工程を適合させる。
【0033】
少なくとも持上げ工程の最後の部分で、目標レベルbを上回る軌道グリッド8の上昇が行われ、最後に目標位置への下降が行われる。このことは、検測システム12による継続的なアライメントによって行われる。最も簡単な例では、各レールのための目標位置として、相対的な軌道位置エラーを補償するために直線が設定されている。改善された軌道位置補正は、絶対的な目標位置の設定によって行われる。そのために、軌道処理の前に、設定された固定点に関して実際位置の検測が行われる。この検測に基づいて、幾つかの設定値および空間条件を考慮して、最適な目標位置が導き出される。
【0034】
本来のタンピング工程中に、持上げユニット10は軌道グリッド8を、検測システム12によって設定された位置に保つ。このとき、既に予備締固めされたバラスト5を、タンピングユニット11によってより効果的にまくら木6の下に移動させることができ、そこで、さらに締め固められる。バラスト5の予備締固めによって、設定された締固め率を得るために、従来のタンピング工程に比べて僅かなタンピングサイクルしか必要としない。さらに、持上げユニット10とタンピングユニット11とによる組み合わされた締固め行程によって、改善された締固め結果が得られる。
【0035】
本発明によって、特に軌道新規敷設時またはバラストクリーニング後に、タンピングユニット11の使用なしに軌道上昇が可能である。この方法変化形態は、バラストクリーニング機および軌道更新機械において提供される。目標位置とのアライメントは、ここでも検測システム12によって行われる。
【0036】
持上げユニット10は、作業開始時に軌道4上に下降する。保持ローラ17を介して持上げユニット10は、軌道グリッド8に結合される。作動した励振器16は、持上げユニット10および保持された軌道グリッド8を振動させ、検測システム12を介して望ましくない下降が回避される。軌道工事機械1が作業方向9に運動すると、持上げユニット10は、脈動する昇降下降運動を開始する。上述したように、持上げ工程は、下降段階によって中断される。したがって、継続的に上昇段階と下降段階とが交番する工程が行われる。上昇段階中に、まくら木6の下に発生している空洞にはバラスト5が充填される。このとき、軌道グリッド8は過剰上昇している。下降段階で、まくら木6の下に達したバラスト5の締固めが行われる。このようにして、軌道4は、検測システム12によるアライメントによって目標位置に上昇させられる。
【0037】
脈動する昇降下降運動は、バラスト特性および所望の持上げに適合可能である。持上げ力、衝撃力、振動周波数および荷重のような相応のパラメータは、操作員によって調整される。これらのパラメータのための予備調整も制御装置20に格納されていてよい。
【0038】
上記作業に付随して、軌道4の整正を行うことができる。整正駆動装置19を用いて軌道グリッド8を横方向に移動するために、持上げユニット10は例えばすべて1.5~2メートル振動する。
【0039】
後続の作業工程で、安定化ユニット21が使用される。そのためには、図2に示すように、複数のユニット10,21が機械1上に配置されていてよい。好ましくは、調整可能な衝撃力で安定化ユニット21が作動可能である。このような場合には、検測システム12を介して安定化ユニット21の衝撃力は、場合によって存在する長手方向高さエラーが平滑化されるように制御される。このような長手方向高さエラーは、例外的なケースでは、持上げユニット10の脈動する上昇下降運動によって生じる。さらに、安定化ユニット21によってバラスト5はさらに締め固められ、これによって、さらに高い軌道位置品質が得られる。
【0040】
上述した方法によって、タンピングユニット11の使用なしでも、ある程度の速度に至るまでの走行クリアランスに対して、バラスト5の位置ごとの締固めと、軌道幾何学形状の再形成とを実施することができる。場合によっては、最終的な作業工程として、タンピング機による処理が行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】