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特表2022-5158883D成形パルプ製品を製造するための工具および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】3D成形パルプ製品を製造するための工具および方法
(51)【国際特許分類】
   D21J 7/00 20060101AFI20220215BHJP
   D21J 3/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
D21J7/00
D21J3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538392
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020050059
(87)【国際公開番号】W WO2020141208
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】1950005-7
(32)【優先日】2019-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517214150
【氏名又は名称】セルワイズ・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアス、デイビッド
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055BF06
4L055CJ06
4L055EA03
4L055EA15
4L055EA17
4L055EA20
4L055EA23
4L055EA24
4L055EA40
4L055FA11
4L055FA30
4L055GA05
(57)【要約】
本文献は、パルプスラリから3D成形製品を製造するための工具であって、互いに向き合い、その間でパルプ層をプレスするように構成された、それぞれの製品面を有する1対の金型を備え、前記製品面は3D成形製品を成形するための3D形状を提供し、前記製品面はそれぞれの外側製品端面を呈し、金型の形成領域の最外限界を画定する、工具に関する。製品面のうちの少なくとも1つは、製品端面から製品面の重心に向かって内向きに見て、事実上多孔度のない外側ゾーン(Z1)と、40~75%の多孔度を有する内側ゾーン(Z4)とを呈し、第1の中間ゾーン(Z2)は、外側ゾーン(Z1)と内側ゾーン(Z4)との間に配置され、外側ゾーン(Z1)の多孔度より高く内側ゾーン(Z4)の多孔度よりも低い多孔度を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプスラリから3D成形製品を製造するための工具であって、
互いに向き合い、その間でパルプ層をプレスするように構成された、それぞれの製品面を有する1対の金型を備え、
前記製品面は前記3D成形製品を成形するための3D形状を提供し、
前記製品面はそれぞれの外側製品端面を呈し、前記金型のうちの少なくとも一方の形成領域の最外限界を画定し、
前記製品面のうちの少なくとも1つは、前記製品端面から前記製品面の重心に向かって内向きに見て、
事実上多孔度のない外側ゾーン(Z1)と、
40~75%の多孔度を有する内側ゾーン(Z4)と
を呈し、
前記外側ゾーン(Z1)と前記内側ゾーン(Z4)との間に配置され、前記外側ゾーン(Z1)の多孔度より高く前記内側ゾーン(Z4)の多孔度よりも低い多孔度を有する第1の中間ゾーン(Z2)を特徴とする、工具。
【請求項2】
前記外側ゾーン(Z1)は、1%未満、好ましくは0.5%未満または0.1%未満の多孔度を呈する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記第1の中間ゾーン(Z2)は、前記内側ゾーンの多孔度の25~75%の多孔度を呈する、請求項1または2に記載の工具。
【請求項4】
前記製品面は、前記第1の中間ゾーンの多孔度よりも高いが前記内側ゾーンの多孔度よりも低い多孔度を有する第2の中間ゾーン(Z3)を呈する、請求項1から3のいずれか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記第2の中間ゾーン(Z3)は、前記内側ゾーンの多孔度の40~85%の多孔度を呈する、請求項4に記載の工具。
【請求項6】
前記多孔質製品面は、0.1~0.7mm、好ましくは0.25~0.6mmの最大断面幅を有する細孔を呈する、請求項1から5のいずれか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記第1の中間ゾーン(Z2)は、前記内側ゾーン(Z4)によって呈される前記細孔よりも小さい平均最大断面積を有する細孔を呈する、請求項6に記載の工具。
【請求項8】
前記第2の中間ゾーン(Z3)は、前記第1の中間ゾーン(Z2)によって呈される前記細孔よりも大きい平均最大断面積を有する細孔を呈する、請求項7に記載の工具。
【請求項9】
前記金型は、前記金型の周囲に伸び、前記金型の相対移動方向に対して60度を超える、好ましくは75度を超える、または85~90度の角度を呈する縁部分(302、402)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の工具。
【請求項10】
前記外側ゾーン(Z1)は、前記縁部分(302、402)に形成される、請求項9に記載の工具。
【請求項11】
前記外側ゾーン(Z1)は、前記金型の前記相対移動方向に対して50度未満、好ましくは30度未満、または0~10度の角度で延在する壁(303、403)によって外側が区切られる、請求項9または10に記載の工具。
【請求項12】
前記外側ゾーン(Z1)は、前記壁(303、403)と前記縁部分(302、402)との間の仮想交点から、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満の距離だけ内向きに延在する、請求項9から11のいずれか一項に記載の工具。
【請求項13】
パルプスラリから3D成形製品を製造する方法であって、
第1の金型の多孔質製品面にパルプスラリ層を適用するステップと、
第1の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層を加熱し、前記第1の金型の前記多孔質製品面を通じて真空を引いている間に、前記第1の金型の前記多孔質製品面に対して前記パルプスラリ層をプレスするステップと
を備え、
前記第1の金型の前記多孔質製品面を通じて引かれた前記真空は、前記工具の形成領域の最外限界を画定する外側製品端面に向かって徐々に低下し、
前記低下は、前記多孔質製品面の多孔度の漸進的な減少を通じて達成される、方法。
【請求項14】
第2の金型の多孔質形成面に前記パルプスラリ層を移送するステップと、
第2の後続の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層を加熱し、前記第2の金型の前記多孔質形成面を通じて真空を引いている間に、前記第2の金型の前記多孔質形成面に対して前記パルプスラリ層をプレスするステップと
をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の形成ステップにおいて、前記第1の金型の前記形成面は、約150~400℃、好ましくは200~300℃に加熱される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層は、約390~1570kPa、好ましくは580~1170kPaの圧力で、前記第1の金型の前記形成面に対してプレスされる、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第1のプレス時間の間、前記第1の金型の前記形成面に対してプレスされる、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層の初期含水量は70~90重量%であり、最終含水量は45~65重量%、好ましくは約50~60重量%である、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の金型の前記形成面の裏側での真空レベルは、50~99kPa、好ましくは65~85kPaである、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第3の金型の多孔質形成面に前記パルプスラリ層を移送するステップと、第3の後続の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層を加熱し、前記第3の金型の前記多孔質形成面を通じて真空を引いている間に、前記第3の金型の前記多孔質形成面に対して前記パルプスラリ層をプレスするステップとをさらに備え、前記第2の形成ステップにおける真空レベルが前記第3の形成ステップにおける真空レベルよりも高い、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第3の金型の前記形成面の裏側での第3の真空レベルは、50~99kPa、好ましくは65~85kPaである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第3の形成ステップにおいて、前記第3の金型の前記形成面は、約100~300℃、好ましくは200~280℃に加熱される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記第3の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層は、約390~1570kPa、好ましくは580~1170kPaの圧力で、前記第3の金型の前記形成面に対してプレスされる、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第3のプレス時間の間、前記第3の金型の前記形成面に対してプレスされる、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第3の形成ステップにおいて、前記パルプスラリ層の初期含水量は約25~45重量%または25~40重量%、好ましくは約30~40重量%または30~35重量%であり、最終含水量は約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満である、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の金型は、パルプスラリが液体状態から適用されるピックアップ金型であり、前記パルプスラリは、0.5重量%未満、好ましくは0.49%未満、または0.005~0.025%のパルプ濃度を有する、請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形パルプ製品を製造するための工具および方法に関する。方法は、パルプスラリからの製品の3D成形に特に適している。このような製品は、トレイ、カップ、プレート、および包装用の様々な容器を含み得る。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016101976号パンフレットより、スラリ層を多孔質金型に適用し、その反対側がスラリ層と接触している金型壁を通じて真空を引いている間にスラリ層を同時に加熱およびプレスすることでスラリから水を除去することによって、パルプスラリから製品を製造する方法が知られている。
【0003】
国際公開第2016101976号パンフレットに開示されるように、成形プロセスは、2つ以上の連続するプレスステップで実行されてもよく、これは、単一のプレスステップのプロセスと比較して、サイクル時間を短縮し、こうして製造プロセスのスループットを増加させるので、有利である。
【0004】
多孔質金型を使用するパルプ製品の製造は、多孔質金型と相互作用したときのパルプの挙動に起因する様々な課題に関連している。
【0005】
ここで対処される1つの特定の問題は、金型の内部コーナーの「ヒゲ」の形成である。このような「ヒゲ」は、過剰な量のパルプの蓄積の結果である。このようなヒゲは、後続の形成ステップ、ならびに最終製品の外観に悪影響を及ぼす。
【0006】
このような「ヒゲ形成」を低減する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016101976号パンフレット
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、3D成形パルプ製品を形成する、改良された工具および方法を提供することである。
【0009】
本発明は、添付の独立請求項によって定義され、実施形態は、添付の従属請求項、ならびに以下の説明および図面に明記されている。
【0010】
第1の態様によれば、パルプスラリから3D成形製品を製造するための工具であって、互いに向き合い、その間でパルプ層をプレスするように構成された、それぞれの製品面を有する1対の金型を備え、前記製品面は3D成形製品を成形するための3D形状を提供し、前記製品面はそれぞれの外側製品端面を呈し、金型のうちの少なくとも一方、好ましくは両方の形成領域の最外限界を画定し、製品面のうちの少なくとも1つは、製品端面から製品面の重心に向かって内向きに見て、事実上多孔度のない外側ゾーンと、40~75%の多孔度を有する内側ゾーンとを呈し、第1の中間ゾーンが、外側ゾーンと内側ゾーンとの間に配置され、外側ゾーンの多孔度より高く内側ゾーンの多孔度よりも低い多孔度を有する、工具が提供される。
【0011】
「多孔度」という用語は、ゾーンの所与の領域の総面積に対する細孔表面の比として定義される。
【0012】
縁領域における多孔度を徐々に低下させることにより、金型の最も外側の部分に形成された真空が徐々に低減され、したがって金型の最も外側の部分の過剰な量のパルプの蓄積を防止または排除することができる。
【0013】
外側ゾーンは、1%未満、好ましくは0.5%未満または0.1%未満の多孔度を呈することができる。
【0014】
第1の中間ゾーンは、内側ゾーンの多孔度の25~75%の多孔度を呈することができる。
【0015】
製品面は、第1の中間ゾーンの多孔度よりも高いが内側ゾーンの多孔度よりも低い多孔度を有する第2の中間ゾーンを呈することができる。
【0016】
第2の中間ゾーンは、内側ゾーンの多孔度の40~85%の多孔度を呈することができる。
【0017】
多孔質製品面は、0.1~0.7mm、好ましくは0.25~0.6mmの最大断面幅を有する細孔を呈することができる。
【0018】
第1の中間ゾーンは、内側ゾーンによって呈される細孔よりも小さい平均最大断面積を有する細孔を呈することができる。
【0019】
第2の中間ゾーンは、第1の中間ゾーンによって呈される細孔よりも大きい平均最大断面積を有する細孔を呈することができる。
【0020】
金型は、金型の周囲に伸び、金型の相対移動方向に対して60度を超える、好ましくは75度を超える、または85~90度の角度を呈する縁部分を備えることができる。
【0021】
外側ゾーンは、縁部分に形成されることが可能である。
【0022】
外側ゾーンは、金型の相対移動方向に対して50度未満、好ましくは30度未満、または0~10度の角度で延在する壁によって外側が区切られることが可能である。
【0023】
外側ゾーンは、壁と縁部分との間の仮想交点から、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満の距離だけ内向きに延在することができる。
【0024】
したがって、金型の壁と縁部分との間には、柔軟な移行部が存在し得る。
【0025】
「仮想交点」は、壁および縁部分に対して垂直な切断面で見たときに、壁に沿った仮想線が縁部分に沿った仮想線と交差する点として定義される。
【0026】
本開示の第2の態様によれば、パルプスラリから3D成形製品を製造する方法であって、方法は、第1の金型の多孔質製品面にパルプスラリ層を適用するステップと、第1の形成ステップにおいて、パルプスラリ層を加熱し、第1の金型の多孔質形成面を通じて真空を引いている間に、第1の金型の多孔質製品面に対してパルプスラリ層をプレスするステップとを備え、第1の金型の多孔質製品面を通じて引かれた真空は、工具の形成領域の最外限界を画定する外側製品端面に向かって徐々に低下し、前記低下は、多孔質形成面の多孔度の漸進的な減少を通じて達成される、方法が提供される。
【0027】
第1の金型は、上述の内容にしたがって金型セットの一部を形成し得る。
【0028】
方法は、第2の金型の多孔質形成面にパルプスラリ層を移送するステップと、第2の後続の形成ステップにおいて、パルプスラリ層を加熱し、第2の金型の多孔質形成面を通じて真空を引いている間に、第2の金型の多孔質金型に対してパルプスラリ層をプレスするステップとを、さらに備え得る。
【0029】
第1の形成ステップにおいて、第1の金型の形成面は、約150~400℃、好ましくは200~300℃に加熱されることが可能である。
【0030】
第1の形成ステップにおいて、パルプスラリ層は、約390~1570kPa、好ましくは580~1170kPaの圧力で、第1の金型の形成面に対してプレスされることが可能である。
【0031】
第1の形成ステップにおいて、パルプスラリ層は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第1のプレス時間の間、第1の金型の形成面に対してプレスされることが可能である。
【0032】
第1の形成ステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は70~90重量%であり得、最終含水量は、45~65重量%、好ましくは約50~60重量%であり得る。
【0033】
第2の金型の形成面の裏側での真空レベルは、50~99kPa、好ましくは65~85kPaであり得る。
【0034】
方法は、第3の金型の多孔質形成面にパルプスラリ層を移送するステップと、第3の後続の形成ステップにおいて、パルプスラリ層を加熱し、第3の金型の多孔質形成面を通じて真空を引いている間に、第3の金型の多孔質形成面に対してパルプスラリ層をプレスするステップとを、さらに備えることができ、第2の形成ステップにおける真空レベルは、第3の形成ステップにおける真空レベルよりも高い。
【0035】
第3の金型の形成面の裏側での第3の真空レベルは、50~99kPa、好ましくは65~85kPaであり得る。
【0036】
第3の形成ステップにおいて、第3の金型の形成面は、約100~300℃、好ましくは200~280℃に加熱されることが可能である。
【0037】
第3の形成ステップにおいて、パルプスラリ層は、約390~1570kPa、好ましくは580~1170kPaの圧力で、第3の金型の形成面に対してプレスされることが可能である。
【0038】
第3の形成ステップにおいて、パルプスラリ層は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第3のプレス時間の間、第3の金型の形成面に対してプレスされることが可能である。
【0039】
第3の形成ステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は、約25~45重量%または25~40重量%、好ましくは約30~40重量%または30~35重量%であり得、最終含水量は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満であり得る。
【0040】
第1の金型は、パルプスラリが液体状態から適用されるピックアップ金型であってもよく、前記パルプスラリは、0.5重量%未満、好ましくは0.49%未満、または0.005~0.025%のパルプ濃度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1a】成形装置を示す概略図である。
図1b】成形装置を示す概略図である。
図1c】成形装置を示す概略図である。
図2】製造プロセスを示す概略図である。
図3】1対の金型30、40の縁部分を示す概略図である。
図4】雌型40の縁部分の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1aは、パルプスラリ2を保持する容器1内に部分的に浸漬されたピックアップ工具10を概略的に示す。ピックアップ工具は工具ホルダ11に取り付けられており、これはピックアップ工具とともに、圧力調節器P1に接続された真空チャンバ12を画定する。圧力調節器は、少なくとも部分真空(すなわち、周囲空気圧よりも低い空気圧)および/または周囲空気圧よりも高い空気圧を選択的に生成する能力を有し得る。
【0043】
ピックアップ工具がパルプスラリ2に浸漬されている間、圧力調節器P1は真空を生成し、パルプ繊維3をピックアップ工具10の製品面に付着させてもよい。
【0044】
図1bは、パルプ繊維3を移送工具20に移送するピックアップ工具10を概略的に示す。移送工具は第2の圧力調節器P2に接続されてもよく、これは真空または空気圧を生成することができる。移送工具はまた、第2の圧力調節器に接続された真空チャンバ22を画定するように、移送工具ホルダ21に取り付けられてもよい。
【0045】
ピックアップ工具から移送工具へのパルプ繊維3の移送中に、ピックアップ工具からパルプ繊維を解放させるために、周囲圧力よりも高い空気圧が第1の圧力調節器P1によって生成され得る。
【0046】
あるいは、または補足として、第2の圧力調節器P2によって真空が生成され、パルプ繊維が移送工具20によって受け取られるようにしてもよい。
【0047】
図1cは、雄プレス工具30および雌プレス工具40を備えるプレス構成を概略的に示す。プレス工具の一方または両方は、それぞれの工具ホルダ31、41に取り付けられてもよく、それぞれの真空チャンバ32、42に接続されてもよい。真空チャンバは、それぞれの圧力調節器P3、P4に接続されてもよい。
【0048】
プレス工具の一方または両方には、エネルギー供給源E1、E2によってエネルギー供給され、任意選択的にコントローラCによって制御される、加熱要素33、43が設けられてもよい。加熱は、熱風または液体、または誘導などの電気加熱要素によって達成され得る。
【0049】
プレス工具、およびこれらの関連する工具ホルダは、部分的に成形されたパルプ製品が挿入され得る開放位置と、プレス工具が互いに向かって押しつけられ、こうしてそれぞれの工具30、40の製品面の間で製品3’’がプレスされるプレス位置との間で、互いに対して移動可能であり得る。
【0050】
プレス位置にあるとき、ヒータ33、43の一方または両方によって熱が供給され得る。
【0051】
プレスステップの間、一方または両方の圧力調節器P3、P4は、製品3’’からの水蒸気の排出を支援するために、真空を提供し得る。
【0052】
代替として、圧力調節器の一方は真空を提供し、他方は周囲空気圧よりも高い圧力を提供してもよい。
【0053】
任意選択的に、プレスプロセス中に金型を通じて熱風または湯気が導入されてもよい(図1c)。
【0054】
たとえば製品3’’の全てまたは一部を徐々に形成するため、および/またはコーティング、装飾などのような追加の特徴を製品に適用するために、2つ以上の連続するプレスステップが使用され得ることに留意されたい。
【0055】
一実施形態では、図1a、図1b、および図1cに関して記載された内容にしたがってステップが実行される。
【0056】
ここで、図2を参照して、製造プロセスについて説明される。
【0057】
第1のステップ101において、たとえば図1aを参照して記載されたように、パルプスラリ層が提供され、多孔質ピックアップ工具は、ピックアップ工具の裏側に真空を適用しながらパルプスラリ内に沈められてもよい。
【0058】
あるいは、パルプスラリは、スプレーコーティングなどのコーティング操作によってピックアップ工具に適用されてもよい。
【0059】
第2のステップ102において、パルプスラリ層は、ピックアップ工具から第1のプレス工具に移送される。移送は、ピックアップ工具によって、または多孔質の移送工具壁部分を有し得る別個の移送工具によって実行され得る。移送ステップの間、パルプスラリ層が移送工具壁に保持されるように、移送工具壁の裏側に真空が適用され得る。移送工具壁からパルプスラリ層を解放するために、代わりに移送工具壁の裏側に加圧空気を適用することが可能である。
【0060】
あるいは、パルプスラリ層は、第1のプレス工具に直接適用されてもよい。つまり、パルプスラリ層は、第1のプレス工具の多孔質形成面へのパルプスラリの適用により、第1のプレス工具上に直接形成され得る。パルプスラリ層は、多孔質壁部分の裏側に真空を適用しながら多孔質壁部分を呈する第1のプレス工具の工具部品をパルプスラリに沈めることにより、第1のプレス工具に直接適用され得る。あるいは、パルプスラリは、スプレーコーティングなどのコーティング操作によって第1のプレス工具の多孔質形成面に適用されてもよい。
【0061】
第3のステップ103において、パルプスラリ層は第1のプレス工具内でプレスされることが可能であり、これは1対の嵌合する工具部品を備えてもよく、そのうちの1つは、パルプスラリ層と接触し、真空が引かれ得る多孔質壁部分を有し得る。
【0062】
この第1のプレスステップ103において、周りの周囲圧力よりも低い圧力が多孔質壁部分の裏側に印加され、こうして多孔質壁部分の裏側に真空をもたらし、工具を通じて湯気などの溶剤蒸気が引き込まれる。
【0063】
多孔質壁部分の裏側に印加される圧力は、低レベルまたは中レベルほどの真空であり得る。つまり、圧力は、1Paより高くてもよいが、周囲圧力より低くてもよい。好ましくは、圧力は、1kPaから周囲圧力程度であり得る。
【0064】
第1のプレスステップにおいて、第1の金型の形成面の裏側での第1の真空レベルは、約50~99kPa、典型的には65~85kPaであり得る。
【0065】
第1のプレスステップにおいて、第1の金型の形成面の裏側での第1の圧力は、200~900mbarA(絶対ミリバール)、好ましくは300~800mbarAであり得る。
【0066】
第1の金型の形成面は、約150~500℃、好ましくは150~400℃、200~500℃、200~400℃、または200~300℃、およびほとんどの場合には240~280℃に加熱され得る。典型的には、パルプスラリと接触する全ての金型面が加熱される。
【0067】
金型面の間のプレス圧は、約390~1570kPa、およびほとんどの場合には580~1170kPa程度であり得る。
【0068】
プレス圧は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第1のプレス時間の間に印加され得る。ほとんどの設定では、0.5~1.5秒程度のプレス時間で十分であり、多くの場合、0.5~1.0秒でもよい。
【0069】
典型的には、この第1のステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は70~90重量%であり、プレスステップが実行された後、最終含水量は45~65重量%、典型的には約50~60重量%であり得る。
【0070】
第1のプレスステップ103の後、今やその溶剤の相当量が除去されたパルプスラリ層は、第2のプレス工具に移送104され得る。移送104は、第1の移送ステップ102と同じ方法で、同様の機器を用いて実行され得る。第2のプレス工具は、本質的に第1のプレス工具として設計され得る。
【0071】
第2のプレスステップ105において、パルプスラリ層は第2のプレス工具内でプレスされることが可能であり、これは1対の嵌合する工具部品を備えてもよく、そのうちの1つは、パルプスラリ層と接触し、真空が引かれ得る多孔質壁部分を有し得る。
【0072】
この第2のプレスステップ105において、周りの周囲圧力よりも低い圧力が多孔質壁部分の裏側に印加され、こうして多孔質壁部分の裏側に真空をもたらし、工具を通じて湯気などの溶剤蒸気が引き込まれる。
【0073】
第2のプレスステップにおいて、第2の金型の形成面の裏側での第2の真空レベルは、約50~99kPa、典型的には65~85kPaであり得るが、常に第1のプレスステップの場合よりも低い真空レベルである。
【0074】
第2のプレスステップにおいて、第2の金型の形成面の裏側での第2の圧力は、200~900mbarA(絶対ミリバール)、好ましくは300~800mbarAであり得る。
【0075】
第2の金型の形成面は、約110~500℃、好ましくは110~400℃、150~500℃、150~400℃、200~500℃、200~400℃、または200~300℃、およびほとんどの場合には240~280℃に加熱され得る。典型的には、第2の金型を構成し、パルプスラリ層と接触する全ての金型面が加熱され得る。
【0076】
金型面の間のプレス圧は、約390~1570kPa、およびほとんどの場合には580~1170kPa程度であり得る。
【0077】
プレス圧は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第2のプレス時間の間に印加され得る。ほとんどの設定では、0.5~1.5秒程度のプレス時間で十分であり、多くの場合、0.5~1.0秒でもよい。
【0078】
典型的には、この第2のプレスステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は、約45~65重量%、典型的には約50~60重量%であり得る。
【0079】
最終含水量は、約25~40重量%、好ましくは約30~35重量%であり得る。
【0080】
第2のプレスステップ105の後、今やその溶剤の相当量が除去されたパルプスラリ層は、第3のプレス工具に移送106され得る。移送106は、第1の移送ステップ102および/または第2の移送ステップ104と同じ方法で、同様の機器を用いて実行され得る。第3のプレス工具は、本質的に第1のプレス工具として設計され得る。
【0081】
第3のプレスステップ107において、パルプスラリ層は第3のプレス工具内でプレスされることが可能であり、これは1対の嵌合する工具部品を備えてもよく、そのうちの1つは、パルプスラリ層と接触し、真空が引かれ得る多孔質壁部分を有し得る。
【0082】
この第3のプレスステップ107において、周りの周囲圧力よりも低い圧力が多孔質壁部分の裏側に印加され、こうして多孔質壁部分の裏側に真空をもたらし、工具を通じて湯気などの溶剤蒸気が引き込まれる。
【0083】
第3のプレスステップにおいて、第3の金型の形成面の裏側での第3の真空レベルは、約50~99kPa、典型的には65~85kPaであり得るが、常に第2のプレスステップの場合よりも低い真空レベルである。
【0084】
第3のプレスステップにおいて、第3の金型の形成面の裏側での第3の圧力は、200~900mbarA(絶対ミリバール)、好ましくは300~800mbarAであり得る。
【0085】
第3の金型の形成面は、約100~400℃、好ましくは100~300℃、150~400℃、150~300℃、200~300℃、または200~280℃、およびほとんどの場合には240~280℃に加熱され得る。典型的には、第3の金型を構成し、パルプスラリ層と接触する全ての金型面が加熱され得る。
【0086】
金型面の間のプレス圧は、約390~1570kPa、およびほとんどの場合には580~1170kPa程度であり得る。
【0087】
プレス圧は、0.1~4.0秒、好ましくは0.5~2.0秒の第3のプレス時間の間に印加され得る。ほとんどの設定では、0.5~1.5秒程度のプレス時間で十分であり、多くの場合、0.5~1.0秒でもよい。
【0088】
典型的には、この第3のプレスステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は、約25~45重量%または25~40重量%、好ましくは約30~40重量%または30~35重量%であり得、最終含水量は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満であり得る。
【0089】
第3のプレスステップ107の後、今やその溶剤のほとんどが除去されたパルプスラリ層は、機械から移送108され得る。
【0090】
任意選択的に、こうして本質的に乾燥した製品に対して、表面処理、切断、または印刷などの追加ステップが実行されてもよい。製品はその後、包装、保管、および出荷され得る。
【0091】
第3のプレスステップ107、ひいてはその関連する移送ステップ106もまた任意選択的であることに留意されたい。したがって、直後に出力ステップ108が続く第2のプレスステップ105の後にプロセスが終了してもよい。
【0092】
したがって、第1のプレスステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は70~90重量%であり得、最終含水量は、25~50重量%、好ましくは約30~35重量%であり得る。
【0093】
第2のプレスステップにおいて、パルプスラリ層の初期含水量は、約25~50重量%、好ましくは約30~35重量%であり得、最終含水量は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満であり得る。
【0094】
図3および図4を参照して、工具セットの縁部分が示される。
【0095】
図3は、それぞれの面外部分301、401と、それぞれの面外部分301、401を包囲するそれぞれの縁部分302、402とを有する、雄型30および雌型40を示している。縁部分は、縁302、402の最も外側の部分に形成された、それぞれの外部縁壁303、403も含んでもよいが、必ずしも含まなくてもよい。
【0096】
縁302、402は、実質的に平面状であってもよく、面外部分301、401を包囲してもよい。
【0097】
縁部分は実質的に平面状であり、プレス操作の最終部分の間の金型の相対移動方向に対して実質的に垂直に延在し得るが、縁壁303、403は、縁部分302、402に対して実質的に垂直に延在してもよい。
【0098】
実際には、縁部分302、402は、移動方向に対して60~90度、好ましくは75~90度、85~90度、または89~90度で延在し得る。
【0099】
同様に、壁部分303、403は、移動方向に対して0~60度、好ましくは0~45度、0~30度、0~15度、0~5度、または0~1度で延在し得る。
【0100】
縁部分は、壁部分303、403の表面と縁部分302、402の表面との間の仮想交点から延在し得る。したがって、各金型について、それぞれ壁303、403と縁部分302、402との間には柔軟な移行部が存在することができ、「仮想交点」は、壁および縁部分に対して垂直な切断面で見たときに、壁に沿った仮想線が縁部分に沿った仮想線と交差する点である。
【0101】
縁部分の範囲は合計1~15mmであり得、各ゾーンは1mm未満、好ましくは0.5mm未満、または0.3mm未満にわたって延在する。
【0102】
上述のように、金型30、40の一方または両方は、多孔質形成面を有し得る。図示される例では、雌型40は、多孔質形成面を有するように示されているが、これはさらに、または代わりに、多孔質形成面を有する雄型30であってもよい。
【0103】
金型30、40の中心部分には、所定の公称多孔度があってもよく、これは中心部分にわたって一定であってもよく、または異なってもよい。
【0104】
中心部分は、縁部分の内側の任意のものであってもよく、縁部分から壁への任意の移行部であってもよい。
【0105】
縁部分402には、徐々に減少する多孔度があってもよく、縁部分402の最も外側の部分でゼロ多孔度となる。
【0106】
図示される例では、縁部分402は、3つのゾーン、すなわちゼロまたは非常に低い多孔度を有する第1のゾーンZ1、より高い多孔度を有する第2のゾーンZ2、任意選択的であって第2のゾーンZ2よりもさらに高い多孔度を有する第3のゾーンZ3、次いで公称多孔度を有する内側ゾーンZ4に分割されている。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
【国際調査報告】