(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するための輸送装置
(51)【国際特許分類】
H02K 21/22 20060101AFI20220215BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20220215BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H02K21/22 M
H02K7/14 C
B60K7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538421
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2019087170
(87)【国際公開番号】W WO2020141164
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】102018133718.3
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202018006054.2
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285229
【氏名又は名称】ヘンク・ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】HENK,B.V.
【住所又は居所原語表記】Gardermoenbaan 25, 3045 AX Rotterdam, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】ポポフスキー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ナセキ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】リツォフ、タシコ
(72)【発明者】
【氏名】ポエルツ、ヘイコ
【テーマコード(参考)】
3D235
5H607
5H621
【Fターム(参考)】
3D235AA21
3D235AA22
3D235AA23
3D235AA28
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3D235HH43
3D235HH44
5H607AA12
5H607BB01
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5H607BB14
5H607BB17
5H607CC01
5H607CC05
5H607DD02
5H607FF12
5H621GA04
5H621HH01
5H621JK13
(57)【要約】
少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するために、少なくとも1つの転動装置(3)により床の上を移動可能である輸送装置を提供する。少なくとも間接的に転動装置(3)により回転させることが可能な駆動要素(4)が設けられている。駆動要素(4)は、少なくとも2つの駆動磁石(12)を備えている。少なくとも2つの出力磁石(15)を有する出力要素(7)が設けられている。駆動磁石(12)の数は、出力磁石(15)の数とは相違する。駆動要素(4)と出力要素(7)との間に配置される磁界の向きを変えるために、少なくとも1つの非磁性の遮蔽要素(5)が設けられている。出力要素(7)は回転させることが可能である。少なくとも1つの固定子巻線(8)が配置されており、その中で、出力要素(7)が電流を生成するために回転軸(11)の周りを回転可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するために、少なくとも1つの転動装置(3)によって床の上を移動可能な輸送装置(23)であって、
少なくとも間接的に転動装置(3)によって回転させることが可能な駆動要素(4)を備える輸送装置(23)において、
前記駆動要素(4)は、少なくとも2つの駆動磁石(12)を含み、
少なくとも2つの出力磁石(15)を有する出力要素(7)が設けられており、
前記駆動磁石(12)の数は、前記出力磁石(15)の数とは相違し、
前記駆動要素(4)と前記出力要素(7)との間に配置される磁界の向きを変えるために、少なくとも1つの非磁性の遮蔽要素(5)が設けられており、
前記出力要素(7)は回転させることが可能であり、
少なくとも1つの固定子巻線(8)が配置されており、前記少なくとも1つの固定子巻線(8)の中で、前記出力要素(7)は電流を生成するために回転軸(11)の周りを回転可能であることを特徴とする、輸送装置(23)。
【請求項2】
前記駆動要素(4)及び/又は前記出力要素(7)及び/又は前記遮蔽要素(5)及び/又は前記固定子巻線(8)は、前記転動装置(3)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項3】
前記駆動要素(4)は、前記転動装置(3)であることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項4】
前記転動装置(3)は、車輪(2)を含むことを特徴とする、請求項1、2、又は、3の1項以上に記載の輸送装置(23)。
【請求項5】
前記駆動磁石(12)及び/又は前記出力磁石(15)は、永久磁石として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項6】
前記駆動要素(4)は、リング状に形成されており、並列に配置された複数の駆動磁石(12)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の輸送装置(23)。
【請求項7】
前記出力要素(7)の回転速度は、前記駆動要素(4)の回転速度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項8】
前記遮蔽要素(5)は、少なくとも2つの金属片(6)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項9】
前記出力要素(7)は、回転軸(11)の周りを、自由に回転可能に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項10】
前記駆動磁石(12)の数は、前記出力磁石(15)の数よりも多いことを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項11】
前記駆動要素(4)及び/又は前記出力要素(7)及び/又は前記遮蔽要素(5)及び/又は前記固定子巻線(8)は、非接触に並べて配置されていることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の輸送装置(23)。
【請求項12】
前記転動装置(3)は、前記駆動要素(4)に接続可能であることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の輸送装置(23)。
【請求項13】
電流を前記固定子巻線(8)から電池に伝送可能であることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項14】
電流を電池に輸送することを、スリップリングコンタクト(19)によって実施可能であることを特徴とする、請求項1に記載の輸送装置(23)。
【請求項15】
請求項1に記載の輸送装置(23)によって電流を生成するための方法において、
前記転動装置(3)を、床の上で移動させ、
前記駆動要素(4)を、少なくとも間接的に前記転動装置(3)によって回転させ、
ここで、前記駆動要素(4)には少なくとも2つの駆動磁石(12)が配置されており、
前記駆動磁石(12)の数は、出力磁石(15)の数とは相違し、
前記駆動要素(4)と前記出力要素(7)との間に配置される磁界の向きを変えるために、少なくとも1つの非磁性の遮蔽要素(5)が設けられており、
ここで、前記出力要素(7)は回転され、
少なくとも1つの固定子巻線(8)が配置されており、前記少なくとも1つの固定子巻線(8)の中で、前記出力要素(7)が電流を生成するために回転することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するために、少なくとも1つの転動装置によって床の上を移動可能な輸送装置に関する。
【0002】
少なくとも間接的に転動装置により回転させることが可能な駆動要素が設けられている。
【背景技術】
【0003】
ドイツ第20 2016 000 172 U1号から、エネルギー生成器が一体化された輸送手段が知られている。
【0004】
このエネルギー生成器は、輸送手段の両側に設けられた車輪に接続されて、電気エネルギーを生成するようになっている。
【0005】
しかしながら、この公知の従来技術は、エネルギー生成器が、輸送される物体又は輸送される人によって損傷を受けるような態様で輸送装置内に配置されているため、好ましくないことが分かっている。
【0006】
このエネルギー生成器の構成は、輸送装置の物体用の収容体積も減少させる。
【0007】
特に、人を輸送するために利用可能な面積は、エネルギー生成器の配置により少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ第20 2016 000 172 U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を解消する、少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するための輸送装置を提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる課題は、技術的に複雑でなく、したがって安価に製造可能な輸送装置を提供することにある。
【0011】
電流を生成するために必要な構成部品の数を減らすことが可能なはずであり、小型の構成に組み立てられるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、少なくとも1つの物体及び/又は少なくとも1人の人を輸送するために、少なくとも1つの転動装置によって床の上を移動可能な輸送装置により解決される。
【0013】
少なくとも間接的に転動装置により回転させることが可能な駆動要素が設けられている。
【0014】
駆動要素は、少なくとも2つの駆動磁石を備えている。
【0015】
さらに、少なくとも2つの出力磁石を備える出力要素が設けられている。
【0016】
駆動磁石の数は、出力磁石の数とは相違する。
【0017】
駆動要素と出力要素との間に配置される磁界の向きを変えるために、少なくとも1つの非磁性の遮蔽要素が設けられている。
【0018】
出力要素は回転させることが可能である。
【0019】
少なくとも1つの固定子巻線が配置されており、その中で、出力要素は電流を生成するために回転軸の周りを回転可能である。
【0020】
上記課題はまた、この輸送装置により電流を生成するための方法により解決される。
【0021】
[輸送装置]
【0022】
本発明では、輸送手段とは、物体及び/又は人を輸送するための操作手段であると理解される。
【0023】
本発明は、人によって押したり引いたりされる輸送装置を含む。さらに、筋力、好ましくは人間の筋力によって駆動される輸送装置が提供される。
【0024】
好ましくは、輸送装置は、乳母車、スポーツタイプ乳母車、多機能乳母車、バギー、又は、託児用カートであるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明はまた、リハビリテーション用バギー、及び、リハビリテーション用カート及び/又は車椅子を含む。
【0026】
輸送装置という概念は、足載せ機能を有する乳母車も含む。
【0027】
輸送装置という概念には、ショッピングカート、ハンドカート、及び/又は、一輪車も含まれる。
【0028】
本発明はまた、好ましくは、移動中に人の両足が常に輸送装置の上に位置することによって、人によって駆動される一軸又は多軸のさらなる輸送装置を含む。
【0029】
ここで、輸送装置は、一輪車、又は、二輪車、又は、少なくとも3つの軸を有する自転車であり得る。
【0030】
本発明はまた、人が少なくとも一時的に輸送装置を足で床に押し付けることにより、人によって動かされる輸送装置を含む。
【0031】
本発明は、輸送装置として、具体的にはホバーボード、ローラ、ショッピングカート、スケートボード、及び/又は、セグウェイを含む。
【0032】
上に述べたものは単なる例示であり、決してこれらが全てではないことは、明らかであろう。
【0033】
以下において、輸送装置はトロリースーツケースであると仮定する。トロリースーツケースは、少なくとも1つの転動装置によって床の上を移動する。
【0034】
[転動装置]
【0035】
転動装置は、好ましくは輸送装置の車輪の全周を包囲する物体を示す。車輪は、転動装置を介して床の上を転動する。
【0036】
転動装置は、好ましくはリング状に形成されている。転動装置の内周部に、好ましくは車輪のリム及び/又は車輪環を挿入可能である。
【0037】
転動装置は、少なくとも部分的に、ゴム又はプラスチックから成る。
【0038】
転動装置のゴムは、特定の形状を有している。ゴムは、駆動要素に接続可能である。転動装置は、駆動要素と共に流し込み成形されることが可能である。
【0039】
転動装置は、例えば、木や金属といった他の原料から構成することも可能である。
【0040】
転動装置は、少なくとも1つの回転可能に搭載された車輪を包囲することが可能である。
【0041】
[駆動要素]
【0042】
本発明によれば、駆動要素とはリング状の環を指す。
【0043】
ここで、リング状の環は、少なくとも2つの磁石を備える。
【0044】
駆動要素は、少なくとも間接的に転動装置に接続されている。
【0045】
駆動要素は、転動装置に、摩擦結合的、及び/又は、材料結合的、及び/又は、形状結合的に接続されていることが可能である。駆動要素が転動装置に接着されていることも想定可能である。
【0046】
駆動要素は、回転可能に配置されている。駆動要素の回転速度は、転動装置の回転速度と一致する。
【0047】
駆動要素は、転動装置と同一の方向又は反対方向に回転することが可能である。
【0048】
駆動要素は、好ましくは2つ、しかし特に複数の、異なる極性の磁石を備えている。
【0049】
異なる極性の磁石は、駆動要素を形成するために、円形に、互いに連結されている。
【0050】
駆動要素内に配置された磁石を、駆動磁石と呼ぶ。
【0051】
[出力要素]
【0052】
本発明では、出力要素という概念は、リング状構造体であると理解される。出力要素は、互いに極性が異なる少なくとも2つの磁石を含む。
【0053】
出力要素に配置された磁石の数は、駆動要素に設置された磁石の数よりも少ない。
【0054】
出力要素において並列に配置された磁石を、出力磁石と呼ぶ。
【0055】
出力要素は、リング状に形成されている。出力要素は、特に駆動要素に対して自由に、回転軸の周りを回転可能である。
【0056】
出力要素は、高品質のネオジム磁石を含む。この磁石は、世界一強力な磁石である。出力要素は、単純な形状を有している。これらは市場で入手可能であり、多少の変形を加えて使用可能である。
【0057】
出力要素は、駆動要素と同一の材料から構成可能である。出力要素は、特定の形状を有している。したがって出力要素は、より高い製造精度を必要とする。
【0058】
[遮蔽要素]
【0059】
好ましくは、遮蔽要素は非磁性のリングを含むが、これには限定されない。
【0060】
以下では、リング状の非磁性体の単なる一例として、鳥かごの形のものを説明する。非磁性体は、少なくとも部分的に金属から構成されている。
【0061】
遮蔽要素は、複数の金属片を含む。
【0062】
金属片は、少なくとも部分的に鋼から成ることが可能である。
【0063】
遮蔽要素は、好ましくは、駆動要素と出力要素との間に配置されるが、これには限定されない。
【0064】
駆動要素、及び/又は、遮蔽要素、及び/又は、出力要素は、いずれもリング状に形成されていることが可能である。
【0065】
遮蔽要素は、リング状に形成された駆動要素の内側に配置されることが可能である。
【0066】
リング状に形成された出力要素は、リング状に形成された遮蔽要素の内側に配置されることが可能である。
【0067】
遮蔽要素は、高品質なチタン(等級1)から成る。遮蔽要素は、従来の材料除去技術を使用することにより製造される。
【0068】
[金属片]
【0069】
金属片は、フェライト系ステンレス鋼から成る。
【0070】
これらは比較的単純な形状及び比較的小型の寸法を有している。金属片は、高い製造精度を必要とする。
【0071】
[固定子巻線を有する固定子]
【0072】
出力要素は、固定子の領域に配置される。固定子は、少なくとも2つの電気巻線を含む。
【0073】
これらの電気巻線は、互いに接続されて1つのリングの形を形成している。電気巻線は、リング状の固定子を形成する。
【0074】
出力要素は、固定子の電気巻線によって包囲された領域において電気巻線の間に配置される。
【0075】
出力要素は、固定子として形成されていることが可能である。
【0076】
固定子巻線を備える固定子は、好ましくは120巻きの金属コイルを含むが、これには限定されない。
【0077】
コイルは、好ましくは、互いの周りに巻き付けられている。
【0078】
例えば、20巻きのコイルが、転動装置の幅と同じ幅で互いに巻き付けられていることが可能であるが、これに限定されない。
【0079】
好ましくは、6巻きのコイルを含む層が重なりあっていることが可能であるが、これに限定されない。
【0080】
この輸送装置は、電流を生成するための効率が90%以上であり得るため、極めて有利であることが分かった。
【0081】
この電流を生成するための輸送装置は、極めて信頼性が高いことが分かった。
【0082】
駆動要素、及び/又は、出力要素、及び/又は、遮蔽要素、及び/又は、固定子巻線の間には、機械的摩擦は生じない。
【0083】
機械的摩擦が生じないことは、永久磁石、及び、遮蔽要素の金属片の使用に基づくものである。
【0084】
電流を生成するための輸送装置は、具体的には、構成部品間の機械的摩擦がないことにより、メンテナンスが極めて容易である。
【0085】
固定子の製造には、高耐食性の合金が使用される。合金は、従来の製造方法に基づき容易に製造可能である。合金は、13軸のCNC機械上で製造可能である。合金は、研磨及びコーティング可能である。
【0086】
固定子巻線の製造には、市販の銅線が使用される。組み立て前に、この銅線にさらなる加工を行う必要はない。
【0087】
[電流を生成するための輸送装置]
【0088】
人間の筋力を介した輸送装置の運動により、少なくとも1つの転動装置が床の上を転動する。
【0089】
少なくとも間接的に転動装置により、駆動要素を回転させることができる。
【0090】
簡単に言うと、転動装置の回転速度は、駆動要素の回転速度と一致するものと仮定するが、これに限定されない。
【0091】
さらに、駆動要素はリング状に形成されていると仮定する。
【0092】
駆動要素は、並列に配置された複数の磁石を含む。駆動磁石は、リング状の駆動要素を形成する。
【0093】
複数の駆動磁石を有する駆動要素の回転により、磁界が発生する。
【0094】
磁界は、交互に並列に配置された複数のN極及びS極を含む。
【0095】
駆動要素が回転軸の周りを回転することにより、N極及びS極として交互に配置された磁石も回転軸の周りを回転する。
【0096】
駆動要素の領域内に、出力要素が配置されている。
【0097】
駆動要素は、それぞれN極とS極とを形成する、少なくとも2つの磁石を含む。
【0098】
出力要素の磁石の数は、駆動要素の磁石の数よりも少ない。
【0099】
駆動要素と出力要素との間に、磁界が配置される。
【0100】
遮蔽要素は、好ましくは、駆動要素と出力要素との間に配置される。
【0101】
遮蔽要素は、駆動要素と出力要素との間に形成可能な磁界を変動させる。
【0102】
駆動要素及びそれに関連付けられた磁石の回転により、出力要素は、回転軸の周りを回転可能になる。
【0103】
ここで出力要素は、それぞれ2つのN極及び2つのS極の2つの磁石を備えている。
【0104】
出力要素は、駆動要素の回転速度よりも高い回転速度で、回転軸の周りを回転する。
【0105】
遮蔽要素の金属片は、駆動要素と出力要素との間に配置される磁界を変動させる。
【0106】
駆動要素と出力要素との間の磁界の変動により、出力要素の回転軸周りの回転数と、駆動要素の回転軸周りの回転数とが乗算される。
【0107】
駆動要素と出力要素との間の磁界が、遮蔽要素の金属片により変動することにより、出力要素の回転軸周りの回転速度が上昇する。
【0108】
遮蔽要素の金属片は、遮蔽要素内で保持される。
【0109】
単なる一例として、遮蔽要素は機械的リング構造であると仮定するが、これに限定されない。金属片は、好ましくは回転軸の方向をなして、遮蔽要素のリング形状にわたって分散されている。
【0110】
出力要素は、固定子巻線の領域において、その回転軸の周りを回転する。
【0111】
出力要素の出力磁石が少なくとも2つの固定子巻線の内部において回転することにより、固定子巻線において電圧が発生する。
【0112】
電圧の発生は、電気エネルギーの生成に相当する。
【0113】
輸送装置によって生成可能な電気エネルギーは、電気エネルギーの貯蔵装置に、好ましくは電池に伝送可能である。
【0114】
[本発明の実施形態]
【0115】
本発明の一実施形態では、駆動要素及び/又は出力要素及び/又は遮蔽要素及び/又は固定子巻線が、転動装置内に配置されている。
【0116】
このように、電流を生成するための輸送装置に配置される全ての構成部品が、転動装置内に配置されている。
【0117】
これによって、電気エネルギーの生成に寄与する輸送装置の構成部品は、さらなる損傷から保護される。
【0118】
輸送装置の物体を収容するための収容空間は、電流生成用の構成部品には占領されない。
【0119】
好ましくは、輸送装置内及び/又は輸送装置上の、人の利用面積は縮小されない。
【0120】
本発明のさらなる実施形態は、駆動要素が転動装置であることが規定される。
【0121】
輸送装置の電流生成用の構成部品は、少なくとも1つの駆動要素及び/又は少なくとも1つの転動装置及び/又は少なくとも1つの出力要素及び/又は少なくとも1つの遮蔽要素及び/又は少なくとも1つの固定子巻線を含む。
【0122】
輸送装置の電流生成用の構成部品は、空間的に転動装置内に囲まれている。
【0123】
この際、転動装置は、駆動要素と同一であってもよい。
【0124】
駆動要素は、直接的又は少なくとも間接的に転動装置によって、回転軸の周りを回転させることができる。
【0125】
本発明のさらなる一実施形態によれば、輸送装置の転動装置は1つの車輪を含む。
【0126】
この車輪は、その寸法及び/又は幅及び/又は周長が、輸送装置の寸法及び/又は空間の周長に適合している。
【0127】
車輪は、ハブを収容するための開口部を有していることが可能である。
【0128】
車輪はまた、円盤として形成され、貯蔵装置を有していることも可能である。
【0129】
車輪は、少なくとも部分的に金属から成る。車輪の外周に径方向に、転動装置が設けられる。転動装置を介して、車輪は床の上を転動する。
【0130】
本発明のさらなる一実施形態は、少なくとも1つの駆動磁石及び/又は少なくとも1つの出力磁石が永久磁石として形成されていることを規定する。
【0131】
さらに、駆動磁石の数は、出力磁石の数よりも多いことが規定される。
【0132】
より多い数の駆動要素の磁石、及び、より少ない数の出力要素の磁石は、磁気歯車として機能する。
【0133】
磁気歯車は、駆動要素の回転速度と出力要素の回転速度との間に大きな差分を有する。
【0134】
駆動要素の回転速度は、転動装置から駆動要素に伝達される。
【0135】
これに対して、出力要素の回転速度は、固定子の巻線を介して電気エネルギーに変換される。
【0136】
これによって、輸送装置による電流の生成時に、高い効率が実現される。この高い効率は、機械的摩擦によって損なわれない。互いに対して運動する機械部品に潤滑を行う必要はない。
【0137】
本発明の別の実施形態では、駆動要素はリング状に形成されていることが規定される。リング状の駆動要素には、並列に配置された複数の駆動磁石が備えられている。
【0138】
これらがリング状に形成されていることにより、駆動要素は、1つの車輪内に配置可能である。しかしながら、駆動要素は、他の形状に形成された転動装置の中に配置されていてもよい。
【0139】
複数の駆動磁石の並列に配置されたN極及びS極により、出力要素が出力要素の回転軸周りに回転する回転速度は、特に大きく上昇する。
【0140】
したがって、回転数の上昇を駆動要素から出力要素に伝達することは、摩擦損失によって損なわれずに実施可能である。
【0141】
本発明の別の実施形態では、駆動要素及び/又は出力要素及び/又は遮蔽要素及び/又は固定子巻線が、非接触に並べて配置される。
【0142】
輸送装置における電気エネルギーの生成は、このように、特に摩擦の形のさらなる機械的損失を受けることなく生成可能である。
【0143】
加えて、機械的に作用し合う構成部品を潤滑することによるメンテナンスや補修を行う必要はない。
【0144】
電気エネルギーを生成するための本発明は、どのような形に変形された輸送装置であっても適用可能である。輸送装置の寸法、重量、及び、周長に応じて、電気エネルギーの生成のために設けられた構成部品の寸法を、大きくしても小さくしてもよい。
【0145】
寸法を調節すること、及び/又は、出力要素の回転速度の上昇を調節することは、駆動要素内の駆動磁石の数を増やすこと又は減らすことによって行われる。
【0146】
加えて、遮蔽要素内の金属片の数を増やすこと又は減らすことも可能である。
【0147】
さらに、転動装置を駆動要素に接続可能であることが規定される。
【0148】
電流を生成するために設けられた輸送装置の構成部品は、互いに対して自由に運動可能である。
【0149】
構成部品が互いに対して自由に運動可能であることは、いずれも、空隙によって確保される。
【0150】
転動装置が床の上を移動することによって転動装置にもたらされる運動エネルギーを駆動要素に伝達するために、駆動要素は、少なくとも間接的に転動装置に接続されている。
【0151】
転動装置の駆動要素との接続は、摩擦結合的、及び/又は、材料結合的、及び/又は、形状結合的に行われることが可能である。
【0152】
駆動要素は、ゴムから成る転動装置の中に流し込み成形されることが可能である。
【0153】
駆動要素は、転動装置に堅固に接続可能である。
【0154】
本発明の別の実施形態は、輸送装置において生成された電流を、固定子巻線から電気エネルギー用の貯蔵装置に移送可能であることを規定している。
【0155】
電気エネルギー用の貯蔵装置は、好ましくは電池である。
【0156】
電気エネルギーを伝送するために、転動装置には、好ましくは導体が配置されている。
【0157】
導体は、直流又は交流用のケーブルである。
【0158】
このケーブルは、転動装置の、回転軸周りに回転可能でない領域、好ましくはハブにケーブル出力部を介して接続されている。
【0159】
固定子巻線から電流貯蔵装置までの導体の接続は、各転動装置に伝達されることが可能である。
【0160】
単なる一例として、電流は、固定子から電流貯蔵装置まで少なくとも1つのスリップリングコンタクトを介して伝送されるが、これに限定されない。
【0161】
追加的な機械軸受け用の要件は存在しない。
【0162】
電池は、電池への容易なアクセスが確保された状態が維持されるように、輸送装置に配置されている。
【0163】
電池は、電池セルとして形成されていることが可能である。人がこの電池セルを輸送装置から取り外して、可動式の電流源として使用することが可能である。
【0164】
輸送装置により生成された電気エネルギーは、電池に一時的に貯蔵されることが可能である。輸送装置において生成された電気エネルギーは、具体的には、携帯電話及び/又はラップトップ及び/又は他の電子機器を充電するために使用される。
【0165】
[計算及びシステムの説明]
【0166】
好ましくは、永久磁石として、ネオジム磁石が使用される。
【0167】
永久磁石は、好ましくは、14000ガウスの強度を有している。これは、磁気誘導に相当する。
【0168】
B=1.4T-磁気誘導
e
p=B
*1
*V-導体内に誘導された電圧
e
m=2
*e
p-コイルのうちの1つに誘導された電圧
e
nom=w
*e
m-全誘導電圧
w=120-コイルの全数
l=15[mm]-コイルの有効長
V-コイル(又は転動装置)の直線速度
V=w
*R-転動装置の回転数
*転動装置の外半径
R=40[mm]-外半径
n=250[min
-1]-転動装置の回転毎分
e
p=B
*l
*V=1.4
*0.015
*1=0.022[V]
e
m=2
*e
p=0.022=0.044[V]
e
nom=w
*e
m=5.28[V]
【0169】
この電荷は、直列に接続されたコイルに関する。この電荷は、交流電圧に相当し、直流電圧に変換される必要がある。この変換は、簡単なダイオードを使用して行われる。電荷は直流電流に変換される。電荷を直流電流に変換することは、例えば、携帯電話を充電するためには、必要である。
【0170】
他にも、追加的な電子装置が電池に集積されている。
【0171】
電池としては、リチウムポリマー(Lipol)電池が使用される。
【0172】
この種類の電池は、求められるあらゆる形状に流し込み成形可能である。
【0173】
電池の寸法は、全ての電子装置を含めて、80×50×10mmを超えてはならない。
【0174】
(好ましくは車輪内の)転動装置の摩擦が生じない構成により、生成される電気エネルギーは、輸送装置(好ましくはトロリースーツケース)の重量に比例する。
【0175】
これは、より重たいスーツケースの方が、電気エネルギーの生成にはより効率がよいことを意味している。
【0176】
一旦、トロリースーツケースが動きだすと、電気エネルギーを生成している間、トロリースーツケースを動いている状態で維持することは難しくない。
【0177】
P=(φ*Fμ
*d*)/318310=(0.5*22.5*80*1000)/318310=22.92[W]-生成器の潜在的強度
φ=0.5-効率係数
Fμ=μ*F=0.9*25=22.05[N]-個々の車輪の摩擦力
μ=0.9-摩擦係数
F=0.25*G*g=25[N]-転動装置(好ましくは、個々の車輪)に対するトロリースーツケースの力
d[mm]-転動装置の外周(車輪)
【0178】
値1000は、上述のKWの単位を変換するための数式においてWに変換される。
【0179】
P=l*U-生成器の電気エネルギー
U=5[V]-電池を充電するための直流電圧
l=P/U=4.5[A]-電池まで流れる電流
【0180】
車輪によって生成される電気エネルギーの理論計算に応じて、本発明に係る機構は、好ましくは2つの車輪のそれぞれに組み込まれる。これによって、急速充電又は短時間充電にとって十分な量の電気エネルギーが生成される。
【0181】
本発明に係るシステムは、さらなる車輪にも採用されることが可能である。4つの車輪を使用する場合、本発明に係るシステムを、ラップトップの充電に使用することも想定可能である。
【0182】
[転動装置の部品-重量及び材料]
【0183】
【0184】
[材料特性]
【0185】
1.アルミニウム合金5052は、成分として好ましくはマグネシウム及びクロムを含むアルミニウム合金である。アルミニウム合金5052は、極めて高耐食性及び良好な成形性を有する。また、合金は加工性も良好である。
【0186】
2.直径0.5mmの銅線は、広く普及しており、さらに説明する必要はない。
【0187】
3.チタン(等級1)は、優れた成形性を有する。チタンは、優れた耐食性及び高い衝撃強さを有している。
【0188】
4.第5群のフェライト系ステンレス鋼(446、445、及び、447)。この特殊なステンレス鋼の群は、クロムの含有量が比較的高い。このクロム含有量により、優れた耐食性が得られる。上述したように磁界が変動されるため、オーステナイト系のステンレス鋼の代わりに、磁性ステンレス鋼が使用される。
【0189】
5.ネオジム磁石は、市販されるものの中で最も強力な磁石である。ネオジム磁石は、輸送装置において電流を生成するための効率及び性能を最適化するために必要である。
【0190】
6.転動装置の製造には、従来のゴムが使用される。
【0191】
[他の構成部品]
【0192】
【表2】
本発明のさらなる実施例及び実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【
図1】
図1は、輸送装置の、電流を生成するための構成部品を示す図である。
【
図2】
図2は、電流を電池に伝送するための接点を備える転動装置を示す図である。
【
図3】
図3は、電流を電池に転送するためのスリップリングコンタクトを示す図である。
【
図4】
図4は、転動装置を案内するためのヨークを備える転動装置を示す図である。
【実施例】
【0194】
図1は、右から左の順に、輸送装置23(図示せず)用の車輪2のゴム外装1を示す。
【0195】
転動装置3は、構成部品群18として、ゴム外装1、駆動要素4、及び、遮蔽要素5を含む。
【0196】
遮蔽要素5は、少なくとも2つの金属片6を含む。
【0197】
転動装置3は、さらなる構成部品として、少なくとも1つの出力要素7及び固定子巻線8を含む。
【0198】
図1には、さらに、転動装置3のリム9が示されている。
【0199】
参照番号10によって、生成された電気エネルギーを伝送するように機能する電気接点が示されている。
【0200】
参照番号11によって、駆動要素4及び出力要素7の回転のための回転軸が示されている。
【0201】
駆動要素4は、駆動磁石12を含み、各駆動磁石12は、1つのN極13及び1つのS極14を含む。
【0202】
出力要素7は、出力磁石15を含み、各出力磁石15は、1つのN極16及び1つのS極17を含む。
【0203】
図2は、転動装置3を備える車輪2を示す。転動装置3の径方向内側には、リム9が示されている。
【0204】
接点10は、構成部品群18によって生成された電気エネルギーを伝送するように機能する。
【0205】
図3は、転動装置3の構成部品群18によって生成された電気エネルギーを転動装置3の接点10から電池(図示せず)まで運ぶスリップリングコンタクト19を示している。
【0206】
参照番号20及び21により、電流が転動装置から来る電線(20)と、電池に向かう電線(21)とが示されている。
【0207】
【0208】
参照番号22によって、ヨークが示されている。このヨークによって、転動装置3又は車輪2が輸送装置23に固定される。
【0209】
参照番号24によって、電流の消費機器(例えば携帯電話)が示されており、この消費機器は、転動装置3の領域において構成部品群18によって生成された電流で充電可能である。
【符号の説明】
【0210】
1 ゴム外装
2 車輪
3 転動装置
4 駆動要素
5 遮蔽要素
6 金属片
7 出力要素
8 固定子巻線
9 リム
10 接点
11 回転軸
12 駆動磁石
13 N極
14 S極
15 出力磁石
16 N極
17 S極
18 構成部品群
19 スリップリングコンタクト
20 電線
21 電線
22 ヨーク
23 輸送装置
24 携帯電話
【国際調査報告】