(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】DCモータのためのEMIフィルタ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/026 20160101AFI20220215BHJP
H02P 7/06 20060101ALI20220215BHJP
H02K 5/14 20060101ALI20220215BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20220215BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20220215BHJP
H01F 21/00 20060101ALI20220215BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H02K11/026
H02P7/06 Z
H02K5/14 A
H02K5/22
H03H7/01 A
H01F21/00
H01F17/04 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541471
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2019072199
(87)【国際公開番号】W WO2020147073
(87)【国際公開日】2020-07-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フ ボ
【テーマコード(参考)】
5E070
5H571
5H605
5H611
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA20
5H571AA03
5H571BB05
5H571HA02
5H571JJ26
5H605AA11
5H605BB05
5H605BB09
5H605CC06
5H605CC07
5H605EC20
5H611AA03
5H611BB01
5H611BB03
5H611TT05
5J024AA01
5J024BA14
5J024DA01
5J024DA26
5J024EA01
5J024EA09
(57)【要約】
DCモータ(10)に適している電磁干渉(EMI)フィルタ(32)が提供される。前記EMIフィルタ(32)は、第1及び第2のDCモータ端子入力(36a,36b)を有するEMI抑制回路(34)と、前記第1及び第2のDCモータ端子入力(36a,36b)のうちの1つに結合されて、MW周波数帯域内のモータインダクタンスを増加させるMW帯パワーチョーク(44)と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCモータのための電磁干渉(EMI)フィルタであって、前記EMIフィルタは、
第1及び第2のDCモータ端子入力を有するEMI抑制回路と、
前記第1及び第2のDCモータ端子入力のうちの1つに結合されて、MW周波数帯域内のモータインダクタンスを増加させるMW帯パワーチョークと、
を備えることを特徴とするEMIフィルタ。
【請求項2】
2つの前記MW帯パワーチョークが、前記第1及び第2のDCモータ端子入力にそれぞれ結合されて設けられることを特徴とする、請求項1に記載のEMIフィルタ。
【請求項3】
前記MW帯パワーチョークは、調整可能インダクタンスパワーチョークであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のEMIフィルタ。
【請求項4】
前記MW帯パワーチョークは、フェライトコアコイルを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のEMIフィルタ。
【請求項5】
前記フェライトコアコイルは、MnZnフェライトロッドの周りにコイル巻線を含むことを特徴とする、請求項4に記載のEMIフィルタ。
【請求項6】
前記MW帯パワーチョークは、表面実装デバイス(SMD)型のパワーチョークを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のEMIフィルタ。
【請求項7】
前記MW帯パワーチョークは、少なくとも25μHのインダクタンスを有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のEMIフィルタ。
【請求項8】
前記MW帯パワーチョークは、少なくとも50μHのインダクタンスを有することを特徴とする、請求項7に記載のEMIフィルタ。
【請求項9】
前記MW帯パワーチョークは、25~125μHの範囲内のインダクタンスを有することを特徴とする、請求項7に記載のEMIフィルタ。
【請求項10】
前記EMI抑制回路は、複数のY-コンデンサと、複数の分路抵抗器とを含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のEMIフィルタ。
【請求項11】
第1及び第2のモータ端子と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のEMIフィルタとを備えるDCモータであって、第1及び第2のDCモータ端子入力が、前記第1及び第2のモータ端子に接続されることを特徴とするDCモータ。
【請求項12】
更に、前記第1のDCモータ端子入力と前記第1のモータ端子との間に結合されるモータパワーチョークと、前記第2のDCモータ端子入力と前記第2のモータ端子との間に結合されるモータパワーチョークとを備えることを特徴とする、請求項11に記載のDCモータ。
【請求項13】
更に、前記DCモータの整流子に接続されるバリスタを備え、前記第1及び第2のモータ端子の各々は、前記整流子とブラシ連通していることを特徴とする、請求項11又は12に記載のDCモータ。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のDCモータを備えることを特徴とするバルブアクチュエータ。
【請求項15】
DCモータのMW周波数帯域の放射を抑制する方法であって、前記方法は、
a)前記DCモータの第1及び第2のモータ端子に、第1及び第2のDCモータ端子入力を有するEMI抑制回路を取り付けるステップと、
b)前記EMI抑制回路の前記第1及び第2のDCモータ端子入力のうちの1つに、MW帯パワーチョークを結合するステップと、
c)前記DCモータの所定のMW周波数帯域の放射基準が満たされるまで、前記MW帯パワーチョークのインダクタンスを調整するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記所定のMW周波数帯域の放射基準は、前記MW周波数帯域内のCISPR25 class5基準であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、DCモータのための、特にMW周波数帯域内のモータの放射を制限するためのEMIフィルタに関する。本発明は、更に、このようなEMIフィルタを有するDCモータ、前記DCモータを利用するバルブアクチュエータ、及びDCモータのMW周波数帯域の放射を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] DCモータのフィルタは、従来、寄生ノイズの経路を形成する複雑なエンドキャップの構造のために、電磁干渉(EMI)チョーク、接地コンデンサ、及びラインコンデンサで実現される。このような解決策の性能は、国際無線障害特別委員会(CISPR)25 class5の要件を満たすには不十分である。この規格は、特に自動車電子市場において、ますます人気が高まってきている車体電子機器のベンチマーク及び要件である。
【0003】
[0003] いくつかの既存の製品は、発生源の位置でノイズを抑制するためのバリスタを使用して、CISPR25 class5基準を満たす。しかしながら、このような解決策は、通常2μFを超える大きいコンデンサを必要とし、装置は、過渡電流制御のために作動しない。過渡電流制御の用途は、通常、制限された入力容量要件(通常、数百nFに制限される)を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] 本発明は、MW(0.52~1.8MHz)、FM(76~108MHz)、RKE(300~330MHz、420~450MHz)、DAB(174~241MHz)、及びTV IV/V(420~450MHz)周波数帯域内でCISPR25 class5基準を満たすとともに、依然として過渡電流制御に適しているDCモータを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本発明の第1の態様によれば、DCモータのための電磁干渉(EMI)フィルタが提供され、前記EMIフィルタは、第1及び第2のDCモータ端子入力を有するEMI抑制回路と、前記第1及び第2のDCモータ端子入力のうちの1つに結合されて、MW周波数帯域内のモータインダクタンスを増加させるMW帯パワーチョークと、を備える。
【0006】
[0006] CISPR25 class5基準を満たすために、DCモータのEMIは、ある所定の閾値を下回らなければならない。高周波EMIは、今までのところ比較的容易に対処されてきたが、MW帯EMIを抑制するためには、高い入力容量が必要であった。本発明は、少なくとも1つのMW帯パワーチョークを提供して、ずっと低い入力容量を使用できるようにして、したがって、フィルタリングされたDCモータを過渡電流制御に適用できるようにすることによって、この問題を解決する。
【0007】
[0007] 好ましくは、2つの前記MW帯パワーチョークが、前記第1及び第2のDCモータ端子入力にそれぞれ結合されて設けられることができる。
【0008】
[0008] 好ましい実施形態では、2つのMW帯パワーチョークが設けられて、単一のMW帯パワーチョークと比較して、調整しやすさ及び/又はEMI低減を向上させることができる。
【0009】
[0009] 任意選択的に、前記MW帯パワーチョークは、調整可能インダクタンスパワーチョークとすることができる。
【0010】
[0010] 調整可能インダクタンスパワーチョークは、ユーザがインダクタンス及びしたがってMW周波数帯域のEMI抑制を所定の帯域内に調整できるようにする利点を有する。インダクタンスを必要に応じて調整するだけで、はるかに大きすぎるインダクタを使用することによるモータ性能への不利な影響のリスクを減らす。
【0011】
[0011] 1つの好ましい実施形態では、前記MW帯パワーチョークは、フェライトコアコイルを含むことができる。前記フェライトコアコイルは、MnZnフェライトロッドの周りにコイル巻線を含むことができる。
【0012】
[0012] フェライトコアコイルは、EMIフィルタに容易に組み込むことができる簡単なインダクタであり、MnZnロッドは、所与のインダクタサイズに対してMW周波数帯域内の高性能のEMI抑制を提供する。
【0013】
[0013] 任意選択的に、前記MW帯パワーチョークは、表面実装デバイス(SMD)型のパワーチョークを含むことができる。
【0014】
[0014] SMDは、関連する回路基板により容易に取り付けられ、したがって、それに応じてEMIフィルタの製造を簡単にすることができる。
【0015】
[0015] 一実施形態では、前記MW帯パワーチョークは、少なくとも25μH、より好ましくは少なくとも50μH、及び追加的に又は代替的に25~125μHの範囲内、より好ましくは50~100μHの範囲内のインダクタンスを有することができる。53μHのインダクタンスを有する1つの示唆的な実施形態が提供される。
【0016】
[0016] この規模の、好ましくはこの範囲内で調整可能なインダクタンスは、MW周波数帯域の抑制にとって理想的である。しかしながら、異なる特性のモータは異なる最適条件をもたらす場合があると理解されるであろう。
【0017】
[0017] 好ましくは、前記EMI抑制回路は、複数のY-コンデンサと、複数の分路抵抗器とを含むことができる。
【0018】
[0018] このような構造を有するEMI抑制回路は、費用効果が高い方法で高周波EMIを抑制する簡単かつ効果的な手段である。
【0019】
[0019] 本発明の第2の態様によれば、第1及び第2のモータ端子と、本発明の第1の態様によるEMIフィルタとを備えるDCモータが提供され、第1及び第2のDCモータ端子入力が、前記第1及び第2のモータ端子に接続される。
【0020】
[0020] このようなEMIフィルタを有するDCモータは、必要なCISPR基準を満たすとともに、過渡電流制御にも適し、従来のMW帯EMIフィルタよりもずっと低い入力容量要件が与えられるように作製することができる。
【0021】
[0021] 前記DCモータは、任意選択的に、前記第1のDCモータ端子入力と前記第1のモータ端子との間に結合されるモータパワーチョークと、前記第2のDCモータ端子入力と前記第2のモータ端子との間に結合されるモータパワーチョークとを備えることができる。
【0022】
[0022] このような構成は、モータに向上させたEMI抑制を提供して、EMIフィルタが大きいか又は複雑な回路を有する必要を減らすことができる。
【0023】
[0023] 更に、前記DCモータの整流子に接続されるバリスタを設けることができ、前記第1及び第2のモータ端子の各々は、前記整流子とブラシ連通している。
【0024】
[0024] バリスタは、サージ保護を更に提供することができ、したがって、DCモータのEMI抑制に対して、結果的に向上させた効果を与えることができる。
【0025】
[0025] 本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様によるDCモータを備えるバルブアクチュエータが提供される。
【0026】
[0026] このようなDCモータを使用するバルブアクチュエータは、自動車産業の規格としてますます求められている必要なCISPR基準を満たす可能性が高い。
【0027】
[0027] 本発明の第4の態様によれば、DCモータのMW周波数帯域の放射を抑制する方法が提供され、前記方法は、a)前記DCモータの第1及び第2のモータ端子に、第1及び第2のDCモータ端子入力を有するEMI抑制回路を取り付けるステップと、b)前記EMI抑制回路の前記第1及び第2のDCモータ端子入力のうちの1つに、MW帯パワーチョークを結合するステップと、c)前記DCモータの所定のMW周波数帯域の放射基準が満たされるまで、前記MW帯パワーチョークのインダクタンスを調整するステップと、を含む。
【0028】
[0028] 調整可能EMIフィルタは、MW周波数帯域内のEMIを必要な量だけ抑制することができる。これにより、モータ性能が著しく妨げられることなく、所定の基準への準拠を規定する特定の用途において、DCモータを使用することができる。
【0029】
[0029] 好ましくは、前記所定のMW周波数帯域の放射基準は、前記MW周波数帯域内のCISPR25 class5基準とすることができる。
【0030】
[0030] これらの基準を満たすようにフィルタを調整することによって、自動車の用途に含まれるのに適した装置を作成することがずっと簡単になる。
【0031】
[0031] ここで、添付図面を参照して、単なる例示として本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明と共に使用するのに適している、最新技術によるDCモータの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のDCモータを通る断面を示す図である。
【
図3】本発明の第1の態様によるEMIフィルタの第1の実施形態を有する
図1のDCモータの斜視図である。
【
図4】
図3に示すDCモータ及びEMIフィルタの示唆的な回路図である。
【
図5】本発明の第3の態様による、
図3のDCモータ及びEMIフィルタを有するバルブアクチュエータの斜視図である。
【
図6】本発明の第1の態様によるEMIフィルタの第2の実施形態を有する
図1のDCモータの斜視図である。
【
図7】本発明の第1の態様によるEMIフィルタの第3の実施形態に結合される
図1のDCモータの示唆的な回路図である。
【
図8】本発明の第1の態様によるEMIフィルタの第4の実施形態に結合される
図1のDCモータの示唆的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0040]
図1を参照すると、最新技術によるDCモータ(全体を10で示す)が示されている。DCモータ10は、ステータ及びロータを収容するモータハウジング12を含み、出力軸14がモータハウジング12から延出して、ロータと連通可能であることによって、DCモータ10から駆動できるようにする。
【0034】
[0041] エンドキャップ16が設けられて、エンドキャップ16は、モータハウジング12の一端を封止し、軸収容開口18を有し、出力軸14を貫通させるか、又は実際に出力軸14の軸受として働かせることができる。
【0035】
[0042] DCモータ10は、その内部部品に電気接続できる第1及び第2のモータ端子20a、20bを有し、ここで、これらの第1及び第2のモータ端子20a、20bは、露出した導電面を見せるようにエンドキャップ16を貫通して延在する1対の短軸として設けられる。また、第1及び第2のモータ端子20a、20bから電気的に絶縁されるエンドキャップ16に、接地ピン20cが設けられる。
【0036】
[0043]
図2は、モータハウジング12内の電気接続を示す。ロータが整流子22に接続され、また、整流子22は、好ましくはバリスタ、より好ましくはリングバリスタ24に接続される。このようなバリスタは、整流子22がDCモータ10のブラシ26a、26bに対して回転するにつれてサージ電圧によって発生するノイズを低減することができる。
【0037】
[0044] 第1及び第2のモータ端子20a、20bを整流子22にそれぞれ結合する第1及び第2のブラシ26a、26bを設けることもできる。EMI抑制の初期手段として、モータパワーチョーク28及び接地コンデンサ30が、第1のモータ端子20a及び第1のブラシ26aと第2のモータ端子20b及び第2のブラシ26bとの間に配置されることが好ましい。好ましくは、モータパワーチョーク28はフェライトコアコイルとして設けられ、接地コンデンサ30は、好ましくはY-コンデンサとして設けられる。
【0038】
[0045]
図3は、本発明のEMIフィルタ32を示す。第1及び第2のDCモータ端子20a、20bとそれぞれ係合可能である第1及び第2のDCモータ端子入力36a、36bを有するEMI抑制回路34がある。ここで、第1及び第2のDCモータ端子入力36a、36bは、EMI抑制回路34の回路基板38、好ましくはプリント回路基板を貫通して延在する導電要素にばね付きジョーとして形成される。対応する接地ピン入力36cも設けられて、DCモータ10のエンドキャップ16上へのEMI抑制回路34の取り付けやすさ又は安定性を向上させるように働くことができる。
【0039】
[0046] 回路基板38は、好ましくは、それを貫通する収容開口を含み、これにより、DCモータ10の出力軸14は、必要な場合に延在することができる。
【0040】
[0047] EMI抑制回路34は、高周波EMIを抑制するために設けられる。これは、好ましくは、複数のコンデンサ40、好ましくはY-コンデンサと、第1及び第2のDCモータ端子20a、20bに電気的に接続される複数の分路抵抗器42とを設けることによって実現される。これは、
図4の電気回路図で分かる。
【0041】
[0048] しかしながら、高周波EMI抑制に加えて、好ましくはEMI抑制回路34に対して遠位に、第1及び第2のモータ端子20a、20bにそれぞれ接続される1対のMW帯パワーチョーク44も設けられる。これらのMW帯パワーチョーク44は、MW周波数帯域内のEMIを抑制するように設計される。
【0042】
[0049] MW帯パワーチョーク44は、フェライトロッド48の周りに巻き付けられるコイル巻線46を有するフェライトコアコイルとして設けられる。フェライトロッド48は、NiZnフェライトロッドから形成することができるが、MnZnフェライトロッドは、所与のサイズのフェライトロッドに対して優れた特性を有することによって、所与のインダクタンスに対してMW帯パワーチョーク44を小型化することができる。各MW帯パワーチョーク44は、コイル巻線46の第1の端部で、対応する第1及び第2のモータ端子20a、20bに電気的に接続され、コイル巻線46の第2の端部は、更なる部品との前方の電気接続のための自由電気接点50を有し、これは、容易さのために挿入可能な導電ピンとして設けることができる。
【0043】
[0050] 適切なMW帯EMI抑制を提供するために、MW帯パワーチョーク44として53μHのインダクタを使用することが好ましいが、約25~125μHの領域内のどこでも500Hzで測定される、より好ましくは50~100μHの範囲内を通じて1kHz IVで測定されるインダクタンスを有するインダクタであれば、適切なMW帯EMI抑制を達成することができると理解されるであろう。これは、0.3~0.55mmの範囲内の直径を有する銅線から形成されるコイル巻線46を想定している。より大きいインダクタンスのパワーチョーク44が適している場合もあるので、最大インダクタンスよりも最小インダクタンスが重要である場合があると理解されるであろう。したがって、インダクタンスは、少なくとも25μH、より好ましくは少なくとも50μHであることが好ましい。
【0044】
[0051] 絶対的なインダクタンスは、測定周波数及びコイルに使用されるワイヤの直径に依存するので、当業者であれば、必要な抑制の状況に基づいてインダクタンスを調整することができると理解するであろうことに留意されたい。
【0045】
[0052] 単なる例示として、本実施形態で使用される0.55mmの直径の銅コイルは、コイル状に巻かれると、98mΩのDC抵抗、80回の巻回、及び7.6mmの外径を有することができる。この結果、500Hzで測定可能なインダクタンスは53μHであり、1kHzで測定可能なインダクタンスは69μHである。
【0046】
[0053] 対照してみると、0.45mmの直径の銅コイルは、コイル状に巻かれると、117mΩのDC抵抗、80回の巻回、及び5.9mmの外径を有することができる。この結果、500Hzで測定可能なインダクタンスは53μHであるが、1kHzで測定可能なインダクタンスは63μHである。
【0047】
[0054] 0.30mmの直径の銅コイルは、コイル状に巻かれると、217mΩのDC抵抗、85回の巻回、及び4.4mmの外径を有することができる。この結果、500Hzで測定可能なインダクタンスは53μHであるが、1kHzで測定可能なインダクタンスは57μHである。
【0048】
[0055] これらの例の各々では、70%のFe203、15%の酸化亜鉛、10%の酸化ニッケル、及び5%の酸化銅から形成される、15.6mmの長さ、3mmの直径のフェライトロッド48が使用される。
【0049】
[0056] これらのインダクタの各々は、MW帯EMI抑制を提供するのに適しており、当業者がその特定のニーズに合うようにインダクタを調整することをどのように考慮できるかを示す。必要なインダクタンスは、DCモータ10の仕様に依存するであろう。
【0050】
[0057] 所定のMW周波数帯域の放射基準、特にMW周波数帯域内のCISPR25 class5基準を満たすようにMW帯EMIを抑制するために、MW帯パワーチョーク44は調整可能であることが好ましい。
【0051】
[0058] これにより、ユーザは、DCモータ10の第1及び第2のモータ端子20a、20bに、第1及び第2のDCモータ端子入力36a、36bを有するEMI抑制回路34を取り付け、EMI抑制回路34の第1及び第2のDCモータ端子入力36a、36bのうちの1つに、1又は2以上のMW帯パワーチョーク44を結合し、DCモータ10の所定のMW周波数帯域の放射基準が満たされるまで、MW帯パワーチョーク44のインダクタンスを調整することによって、MW帯EMIを許容範囲内に抑制することができる。
【0052】
[0059]
図5に、特に自動車に関連して使用されるバルブアクチュエータ52の形態で、本発明の適切な使用を示す。このような構成では、MW周波数帯域内でCISPR25 class5基準を満たしつつ、過渡電流制御が必要であり、したがって、入力容量を理想的には数百nF以下に制限しなければならない。これは、本発明のDCモータ10及びEMIフィルタ32を使用して実現可能である。
【0053】
[0060]
図6に、本発明の第2の実施形態を示す。同一又は同様の参照番号を用いて、第1の実施形態と同一又は同様の構成要素を示し、簡潔にするために、更なる詳細な説明は省略する。
【0054】
[0061] DCモータ10及びEMIフィルタ132のEMI抑制回路34は、第1の実施形態から変わらない。しかしながら、MW帯パワーチョーク144は、第1の実施形態のフェライトコアコイルの代わりに、回路基板38に直接又は間接的に取り付けることができるケーシング又はパッケージングを有することができる表面実装デバイス(SMD)154として設けることができる。
【0055】
[0062] このようなSMD154は、適切なインダクタを含み、また、好ましくは1~100μHの範囲内のインダクタンスを有し、インダクタは、PCBに取り付け可能なケーシングに収容される。機能面から、SMD154は、フェライトコアコイルと同様に動作し、したがって、MW周波数帯域内のEMIを低減するように働くことが期待される。
【0056】
[0063]
図7及び
図8の回路図に、本発明の第3及び第4の実施形態を示す。再び、同一又は同様の参照番号を用いて、第1及び第2の実施形態と同一又は同様の構成要素を示し、簡潔にするために、更なる詳細な説明は省略する。
【0057】
[0064] 各例では、MW帯パワーチョーク244;344が1つだけ設けられる。
図7の構成は、第1のモータ端子20a、したがってEMIフィルタ232及びEMI抑制回路34の第1のDCモータ端子入力36aと電気的に結合されるMW帯パワーチョーク244を示す。
図8の構成は、第2のモータ端子20b、したがってEMIフィルタ332及びEMI抑制回路34の第2のDCモータ端子入力36bに電気的に結合されるMW帯パワーチョーク344を示す。
【0058】
[0065] いずれの実施形態でも、MW帯パワーチョーク244;344は、フェライトコアコイル、SMD、又は当業者にとって明らかになり得る代替の適切なインダクタとして形成することができる。
【0059】
[0066] このような構成は、EMIフィルタ232;332の総製造コストを低減することができるが、その結果、所定のMW周波数帯域の放射基準、好ましくはCISPR25 class5基準への準拠を達成するようにEMIフィルタ232;332を調整することがより困難になる場合がある。
【0060】
[0067] 明らかなように、本発明の現在の利点に到達するために単一のMW帯パワーチョークのみを使用することができる。例えば、1つのフェライトコアコイル及び1つのSMDを使用して、複数の異なるタイプのMW帯パワーチョークを使用することができることも明らかであろう。
【0061】
[0068] 本発明について、示唆的なEMI抑制回路の概略を説明してきたが、高周波EMIを低減するのに適した代替の回路構成も可能であり、したがって、本発明の範囲内のまま、EMI抑制回路の特定の構造を変更することができると理解されるであろう。
【0062】
[0069] したがって、MW周波数帯域内のEMIを低減することによって、1又は2以上の所定の放射基準を満たす、DCモータのための強化されたEMIフィルタを提供することができる。これは、過渡電流制御が必要な用途にとって重要である大きい入力容量を提供する必要なく、達成することができる。
【0063】
[0070] 「備える(comprises/comprising)」という語及び「有する/含む(having/including)」という語は、本発明を参照して本明細書で用いられる場合、説明する特徴、整数、工程又は部品の存在を規定するために使用され、他の1つ以上の特徴、整数、工程、部品又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0064】
[0071] 明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいものと理解される。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴を、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。
【0065】
[0072] 上記の実施形態は単なる例示であり、本明細書で定義する本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0066】
10 DCモータ
12 モータハウジング
14 出力軸
16 エンドキャップ
18 軸収容開口
20a 第1のモータ端子/第1のDCモータ端子
20b 第2のモータ端子/第2のDCモータ端子
20c 接地ピン
22 整流子
24 バリスタ/リングバリスタ
26a,26b ブラシ
28 モータパワーチョーク
30 接地コンデンサ
32 EMIフィルタ
34 EMI抑制回路
36a 第1のDCモータ端子入力
36b 第2のDCモータ端子入力
36c 接地ピン入力
38 回路基板
40 コンデンサ
42 分路抵抗器
44 MW帯パワーチョーク
46 コイル巻線
48 フェライトロッド
50 自由電気接点
52 バルブアクチュエータ
132 EMIフィルタ
144 MW帯パワーチョーク
154 表面実装デバイス(SMD)
232 EMIフィルタ
244 MW帯パワーチョーク
332 EMIフィルタ
344 MW帯パワーチョーク
【国際調査報告】