(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(54)【発明の名称】オンボード放射線感知装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/04 20060101AFI20220215BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20220215BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G01J1/04 A
G01J1/02 R
G02B5/04 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556207
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2020013178
(87)【国際公開番号】W WO2020146792
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521263249
【氏名又は名称】エムピー ハイ テク ソリューションズ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィット,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
2G065
2H042
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065AB28
2G065BA04
2G065BB06
2G065BB11
2G065BB14
2G065BB25
2G065BB49
2G065BB50
2G065DA06
2G065DA07
2G065DA15
2G065DA20
2H042CA06
(57)【要約】
放射線感知装置においてビームスプリッティングを使用して、オンボード電磁放射線感知を提供するためのシステム、方法、及び装置。本放射線感知装置は、複数の光反射面を含むマイクロミラーチップを含み得る。本装置はまた、撮像面を含むイメージセンサを含み得る。本装置はまた、マイクロミラーチップとイメージセンサとの間に配置されたビームスプリッタユニットを含み得る。ビームスプリッタユニットは、撮像面及びマイクロミラーチップに対して傾斜している部分反射性表面を含むビームスプリッタを含み得る。本装置はまた、少なくともビームスプリッタ及び光源を囲むように構成されたエンクロージャを含み得る。本装置では、光源をプリント回路基板(PCB)に取り付けることができる。また、エンクロージャは、光源からの光をビームスプリッタへ向かう方向に反射するように構成された角度付き反射性表面を有する内面を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線感知装置であって、
複数の光反射面を備えるマイクロミラーチップと、
撮像面を備えるイメージセンサと、
前記マイクロミラーチップと前記イメージセンサとの間に配置されたビームスプリッタユニットであって、前記撮像面及び前記マイクロミラーチップに対して傾斜している少なくとも1つの部分反射性表面を含むビームスプリッタを含む、前記ビームスプリッタユニットと、
エンクロージャであって、
前記ビームスプリッタと光源との少なくとも一部を囲むことであって、前記光源がプリント回路基板(PCB)に取り付けられており、前記エンクロージャが、前記光源からの光を前記ビームスプリッタへ向かう方向に反射するように構成された角度付き反射性表面を備える、前記囲むこと、または
前記ビームスプリッタの少なくとも一部を囲むことであって、前記ビームスプリッタと光源とがプリント回路基板(PCB)に取り付けられており、前記光源が可撓性コネクタによって前記PCBに取り付けられている、前記囲むこと、
を行うように構成されている、前記エンクロージャと、
を備える、前記放射線感知装置。
【請求項2】
前記エンクロージャが、前記イメージセンサを囲むようにさらに構成されている、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項3】
前記イメージセンサが、PCBに取り付けられている、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項4】
前記エンクロージャが、前記マイクロミラーチップを囲むようにさらに構成されている、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項5】
前記角度付き反射性表面が、前記撮像面から45度である45度反射性表面である、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項6】
前記光源が、z軸に沿って中心光線を放射し、前記45度反射性表面が、前記ビームスプリッタへ向かう方向に、90度の角度で前記中心光線を反射するように構成されている、請求項5に記載の放射線感知装置。
【請求項7】
前記ビームスプリッタの前記部分反射性表面が、前記撮像面から45度であり、前記マイクロミラーチップから45度である、45度部分反射性表面である、請求項5に記載の放射線感知装置。
【請求項8】
前記ビームスプリッタの前記45度部分反射性表面が、前記エンクロージャの前記角度付き反射性表面に平行である、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項9】
前記エンクロージャが、上壁と、前記上壁の外部表面から前記上壁の内部表面まで前記上壁を縦貫する開口部とを備える、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項10】
前記エンクロージャが、前記エンクロージャの前記開口部の中に放射線レンズを備える、請求項9に記載の放射線感知装置。
【請求項11】
前記開口部及び前記放射線レンズを通過する放射線が、前記マイクロミラーチップの複数の放射線吸収面上に放射されるように、前記開口部が、前記マイクロミラーチップの上方に配置される、請求項10に記載の放射線感知装置。
【請求項12】
前記放射線レンズが、円錐形のエンクロージャの中に埋め込まれる、請求項11に記載の放射線感知装置。
【請求項13】
前記エンクロージャが、前記エンクロージャの前記開口部内の、前記放射線レンズと前記マイクロミラーチップとの間に放射線フィルタを備えており、前記放射線レンズから放射される放射線が、前記放射線フィルタを通過して、前記マイクロミラーチップの前記複数の放射線吸収表面に到達するようにする、請求項11に記載の放射線感知装置。
【請求項14】
前記PCBと前記エンクロージャの前記内部表面とによってチャンバが形成される、請求項9に記載の放射線感知装置。
【請求項15】
前記チャンバが、前記マイクロミラーチップを完全に収容する、請求項14に記載の放射線感知装置。
【請求項16】
前記マイクロミラーチップが、部分的に前記エンクロージャの前記開口部内にあり、かつ部分的に前記チャンバ内にある、請求項14に記載の放射線感知装置。
【請求項17】
前記ビームスプリッタが、光線を第1の光線と第2の光線とに分割するように構成されており、前記第1の光線が、前記ビームスプリッタから前記マイクロミラーチップの前記複数の光反射面に向かって反射し、前記第2の光線が、前記ビームスプリッタを通過して前記エンクロージャの側壁に向かう、請求項1に記載の放射線感知装置。
【請求項18】
前記マイクロミラーチップの前記複数の光反射面の各光反射面が、前記ビームスプリッタの前記部分反射性表面で第3の光線と第4の光線とに分割される光線を反射して、前記第3の光線のみが前記部分反射性表面を通過して前記イメージセンサの前記撮像面に到達するようにする、請求項17に記載の放射線感知装置。
【請求項19】
放射線感知装置であって、
複数の光反射面を備えるマイクロミラーチップと、
撮像面を備えるイメージセンサと、
前記マイクロミラーチップと前記イメージセンサとの間に配置されたビームスプリッタユニットであって、前記撮像面及び前記マイクロミラーチップに対して傾斜している部分反射性表面を含むビームスプリッタを含む、前記ビームスプリッタユニットと、
チャンバを含むハウジングであって、前記チャンバが、プリント回路基板(PCB)に取り付けられる際に、前記マイクロミラーチップ、前記イメージセンサ、及び前記ビームスプリッタを囲むように構成されており、前記チャンバが、光源からの光を前記ビームスプリッタへ向かう方向に反射するように構成された角度付き反射性表面を備える、前記ハウジングと、
を備える、前記放射線感知装置。
【請求項20】
放射線感知装置であって、
複数の光反射面を備えるマイクロミラーチップと、
撮像面を備えるイメージセンサと、
前記マイクロミラーチップと前記イメージセンサとの間に配置されたビームスプリッタユニットであって、前記撮像面及び前記マイクロミラーチップに対して傾斜している部分反射性表面を含むビームスプリッタを含む、前記ビームスプリッタユニットと、
チャンバを含むハウジングであって、前記チャンバが、プリント回路基板(PCB)に取り付けられる際に、前記マイクロミラーチップ、前記イメージセンサ、及び前記ビームスプリッタを囲むように構成されており、前記チャンバが、前記撮像面及び前記マイクロミラーチップに対して傾斜していて、光源からの光を前記ビームスプリッタへ向かう方向に反射するように構成された角度付き反射性表面を備える、前記ハウジングと、
を備える、前記放射線感知装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本特許出願は、2019年5月1日に出願された「ON-BOARD RADIATION SENSING APPARATUS」と題する出願第16/400,780号、2019年1月11日に出願された「ON-BOARD RADIATION SENSING APPARATUS」と題する出願第62/791,193号、2019年1月11日に出願された「SEQUENTIAL BEAM SPLITTING IN A RADIATION SENSING APPARATUS」と題する出願第62/791,195号、及び2019年1月11日に出願された「RADIATION SENSING APPARATUS WITH A LIGHT SOURCE MOUNTED ON A FLEXIBLE PART」と題する出願第62/791,479号の優先権を主張するものであり、これらの出願を参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態は、一般にマイクロメカニカル放射線感知画素を用いるオンボード電磁放射線検出に関し、より詳細には、赤外線(IR)放射線のオンボード感知に関するが、これに限定されない。
【0003】
また、本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態は、一般にビームスプリッティングを用いる電磁放射線検出に関し、より詳細には、光源を可撓性部分に取り付けた放射線感知装置においてビームスプリッティングを用いる赤外線(IR)放射線の感知に関するが、これに限定されない。また、本明細書には、電磁放射線検出器用の可撓性部分を有するプリント回路基板構成が開示されている。
【背景技術】
【0004】
米国特許第9,857,229号は、基板上に第1のマスクを形成すること、第1のマスクを用いて基板上に構造層を形成すること、構造層の上に金属層を形成すること、第1のマスクを除去すること、基板上に第2のマスクを形成し、第2のマスクはマスク開口部を有すること、マスク開口部を用いて金属層を選択的にパターン形成すること、及び第2のマスクを除去することを含む電磁放射線検出デバイスの製造方法を開示している。米国特許第9,857,229号の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0005】
米国特許第5,929,440号は、多層カンチレバーのアレイを有する電磁放射線検出器を開示している。カンチレバーのそれぞれは、電磁放射線を吸収して熱を発生させ、この結果としてその熱のもとで、吸収した電磁放射線の量に比例して曲がるように構成されている。カンチレバーが照らされ、曲がったカンチレバーによって反射された光が感知されて、上記の電磁放射線の量が求められる。米国特許第5,929,440号の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0006】
米国特許第9,851,256号は、反射性の上面を有し、その反射性上面への入射光を感知された放射線の強度に応じて偏向させるように構成された複数のマイクロメカニカル放射線感知画素を含む放射線検出センサを開示している。このセンサは、調整可能な感度と測定範囲とを提供することができる。米国特許第9,851,256号の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0007】
米国特許第9,810,581号は、高画素密度の画素センサアレイで利用されることになる電磁放射線感知マイクロメカニカルデバイスを開示している。このデバイスのアレイは、IRイメージング検出器として利用することができる。米国特許第9,810,581号の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第9,857,229号
【特許文献2】米国特許第5,929,440号
【特許文献3】米国特許第9,851,256号
【特許文献4】米国特許第9,810,581号
【発明の概要】
【0009】
本明細書には、放射線感知装置においてビームスプリッティングを使用して、オンボード電磁放射線感知を提供するためのシステム、方法、及び装置が記載されている。ビームスプリッティングは、部分反射面、または部分的に透過性であり、かつ部分的に反射性である(光指向)光学要素などのビームスプリッタによって行われることが可能である。ビームスプリッタは、一般に光指向デバイスであるか、または光指向デバイスを含むことができることを理解されたい。例えば、ビームスプリッタは、プリズムであるか、またはプリズムを含むことができる。本放射線感知装置は、複数の光反射面を含むマイクロミラーチップを含み得る。本装置はまた、撮像面を有するイメージセンサを含み得る。本装置はまた、マイクロミラーチップとイメージセンサとの間に配置されたビームスプリッタユニットを含み得る。ビームスプリッタユニットは、撮像面及びマイクロミラーチップに対して傾斜している反射性表面を含むビームスプリッタを含み得る。本装置はまた、少なくともビームスプリッタ及び光源を囲むように構成されたエンクロージャを含み得る。本装置では、光源をプリント回路基板(PCB)に取り付けることができる。また、エンクロージャは、光源からの光をビームスプリッタへ向かう方向に反射するように構成された角度付き反射性表面を有する内面を含み得る。本装置は、人物検出、火災検知、ガス検知、温度測定、環境モニタリング、省エネルギー、行動分析、監視、情報収集、及びヒューマンマシンインタフェースに利用することができる。別の言い方をすれば、本装置は、モバイルデバイスなどのコンピュータまたはコンピュータ化されたデバイスの回路基板に組み込まれた機能または機構に結合され、あるいはその機能または機構から制御され、それによって人物検出、火災検知、ガス検知、温度測定、環境モニタリング、省エネルギー、行動分析、監視、情報収集、及びヒューマンマシンインタフェースを提供することができる。
【0010】
本開示は、以下の詳細な説明、及び本開示の様々な実施形態の添付の図面から、より完全に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】光源がプリント回路基板上にある少なくとも1つの実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された装置100を示す。
【
図2】
図1に示す装置のある部分を示し、さらに装置のマイクロミラーチップを示す。
【
図3】
図1に示す装置のある部分を示し、さらに装置のビームスプリッタユニットを示す。
【
図4】
図1に示す装置のある部分を示し、さらに装置のマイクロミラー上の電磁放射線の強度を求めるために、装置の撮像面上で反射光線を変位させるメカニズムを示す。
【
図5】光源がプリント回路基板の一部であり、ビームスプリッタユニットが順次ビームスプリッティングを実施する、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置500を示す。
【
図6】6A、6B、及び6Cは、ビームスプリッタユニットが順次ビームスプリッティングを実施する、
図5に示される実施形態などの少なくとも1つの実施形態による、ビームスプリッタユニットの構造のための構築を示す。
【
図7】信号処理ユニットが、イメージセンサと一体化しているか、またはイメージセンサに直接取り付けられている、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置700を示す。
【
図8】放射線レンズ及び放射線フィルタが、マイクロミラーチップの上方にあるエンクロージャの開口部の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置800を示す。
【
図9】放射線レンズ、放射線フィルタ、及びマイクロミラーチップが、ビームスプリッタユニットの上方にあるエンクロージャの開口部の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置900を示す。
【
図10】放射線レンズ及び放射線フィルタが、ビームスプリッタユニットの上方にあるエンクロージャの開口部の中にあり、マイクロミラーチップが部分的に開口部の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置1000を示す。
【
図11】放射線フィルタが、マイクロミラーチップの上方にあるエンクロージャの開口部の中にあり、放射線レンズ120が、別個の装置上または構造体上など、本装置の外部にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置1100を示す。
【
図12】本装置が、可撓性部分に取り付けられた光源を含む、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置1200を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明及び図面は例示であり、限定的と解釈されるべきではない。完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、特定の例では、説明を分かりにくくすることを回避するために周知のまたは従来の詳細は説明されていない。
【0013】
図1は、少なくとも1つの実施形態による、電磁放射線(赤外線放射線など)の分布を測定するように構成されたオンボード電磁放射線感知装置100を示す。本開示では、オンボード電磁放射線感知装置は、モバイルデバイスなどのコンピュータまたはコンピュータ化されたデバイスの回路基板に組み込まれた機能または機構に結合することができる、あるいはその機能または機構から制御することができるタイプの電磁放射線感知装置であることを理解されたい。
【0014】
一般に、本装置(
図1に示された装置100など)は、光源(光源126など)からの光線をマイクロミラーチップ102のマイクロミラーの光反射領域に向けるように構成された光指向デバイスを含む。さらに、マイクロミラーの光反射領域と向かい合う結像領域であって、マイクロミラーの光反射領域上に向けられた光線の反射によって形成される反射光スポットを受光するように構成された結像領域が含まれる。さらに、光指向デバイス及び結像領域がプリント回路基板(PCB)に取り付けられたときに、光指向デバイス及び結像領域を囲むように構成されたエンクロージャが含まれる。また、例示的な実施形態では、エンクロージャは、光指向デバイスの一部分である角度の付いた部分反射平面(45度の反射平面など)を有する内面を含む。光指向デバイスは、光学フィルタを含み得る。さらに、光指向デバイスは、光源に向かい合う球面を含み得、この球面がコリメータとして機能し得る。光学フィルタは、コリメータと一体化したもの、または光指向デバイスの他の平面と一体化したものであってもよい。また、いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップ102のマイクロミラーの放射線吸収面上に環境放射線を投射するために、放射線結像レンズ120が含まれ得る。放射線レンズ(赤外線放射線レンズなど)は、エンクロージャの一部分であってもよい。また、マイクロミラーチップ102のマイクロミラーから反射されて撮像面上に形成される光スポットの像を取り込むために、イメージセンサ104が含まれ得る。さらに、像上の光スポットを異なるマイクロミラーと関連付けて識別し、1つずつのマイクロミラーによって吸収される放射線強度を、イメージセンサ104によって取り込まれる対応する光スポット移動または光パターン変化を通じて計算するために、信号処理ユニットが含まれ得る。
【0015】
図1では、装置100の電子的構成要素は、PCB101上に実装されている。装置100は、モバイル機器内のPCBなど、ホストPCBまたはキャリアPCBに搭載しまたは取り付けることができ、あるいは有線または無線データ通信機能を有する別個の放射線感知デバイスを形成するために用いることができる。装置100は、マイクロミラーチップ102、イメージセンサ104、マイクロミラーチップ102とイメージセンサ104との間に配置されたビームスプリッタユニット106を含む。マイクロミラーチップ102は、
図2~
図4に詳細に示されている光反射面108を有する複数のマイクロミラーを含む。イメージセンサ104は、撮像面110を含む。ビームスプリッタユニット106は、光を部分的に透過させ、かつ部分的に反射させるビームスプリッタ112を含む。ビームスプリッタ112の長手方向は、マイクロミラーチップ及び撮像面に平行な水平軸(すなわち、y軸)に沿って整列している。水平軸(すなわち、y軸)は、垂直軸(すなわち、z軸)と、
図1~
図6に示された平面に出入りする軸(すなわち、x軸)とに垂直である。x軸は、
図1~
図5及び
図7~
図10には示されていない。
【0016】
図1では、マイクロミラーチップ102とイメージセンサ104との間には、単一のビームスプリッタ及びビームスプリッタユニットがある。ビームスプリッタ112は、yz平面において長方形の断面を有し得る。さらに、ビームスプリッタ112は、撮像面110及びマイクロミラーチップ102に対して傾斜していて、ビームスプリッタ112の高さの半分以上にわたって延在し得る部分反射性表面114を含む。
図1では、部分反射性表面114は、ビームスプリッタ112の高さにわたって延在する。
【0017】
図に示すように、マイクロミラーチップ102は、ビームスプリッタユニット106に直接固定する、及び/または配置することができ、ビームスプリッタユニット106は、イメージセンサ104に直接固定する、または取り付けることができる。
【0018】
マイクロミラーチップ102は、
図2~
図4にさらに詳細に示されるマイクロミラーのセットを含む。マイクロミラーは、放射線吸収領域と光反射領域とを含む。マイクロミラーは、放射線吸収領域に吸収される放射線に応じて向きまたは位置が変化する。例えば、マイクロミラーチップ102は、基板上に形成されたマイクロミラーのセットを含み得る。各ミラーは、基板のフレーム上に立っているバイマテリアルの脚を有するプレートとしてもよい。各ミラープレートの反射性表面は、複数の光反射面108を形成するための金属層の一部分であり得る。ミラープレートの基板層は、放射線(赤外線放射線など)を吸収してプレートの温度を上昇させる。放射線吸収面は、プレートの反射性表面とは反対側にあってもよい。バイマテリアルの脚は、プレートの温度に応じて曲がってプレートを回転させ、したがって反射性表面を回転させる。プレートの回転角度は、プレートによって吸収された放射線の温度及び/または強度に相当する。マイクロミラーチップ102のいくつかの実施形態のいくつかの追加的な態様が、米国特許第9,810,581号に開示されている。
【0019】
イメージセンサ104は、CMOS(またはCCD)ベースのイメージセンサであり得る。イメージセンサ104は、統合されたASIC、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの集積信号プロセッサに接続され得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、PCB101を介して信号プロセッサを接続することができる(例えば、
図7の信号処理ユニット702を参照)。CMOSイメージセンサは、本システムによる、赤外線(IR)放射線などのある特定の電磁放射線を検出する目的において、マイクロミラーチップから反射された光線を受光するように構成することができる。そして、マイクロミラーによって反射され、CMOSイメージセンサによって取り込まれた光ドットまたは光パターンの行及び列を分析して、光ドットの偏向された距離を測定し、結果としてマイクロミラーチップ上に形成された放射線像の放射線強度または温度を測定することができる。
【0020】
図1に示すように、放射線感知装置100はまた、ビームスプリッタ112及び光源126を囲むように構成されたエンクロージャ132を含み得る。光源126は、PCB101に取り付けられている。例えば、光源126は、PCB101上に搭載され、PCB101上に形成された回路に接続された発光ダイオード(LED)であってもよい。光源126は、青色(例えば波長450nm)、白色光、UV光、または可視もしくは近赤外スペクトルの任意の色の放射率を有するLEDであってもよい。エンクロージャ132は、光源126からの光線134、134’、及び134”を反射光線118a、118a’、及び118a”としてビームスプリッタ112に向けて反射するように構成された角度付き反射性表面136を含む内部表面を含む。反射面136は、表面136によって鏡のように反射された光源の鏡像がレンズ116の焦点に配置されるように、光源126とレンズ(116)との間に配置される。したがって、レンズ116は、表面136によって反射された点光源(126)からの平行ではなく発散する光118a、118a’、及び118a”を、撮像面及びマイクロミラーチップ102に平行なコリメート光線118b、118b’、及び118b”に変換する。コリメート光線は、(
図1に概略的に示すように)実質的に平行であり、またはわずかに集束しもしくは発散し得る。いくつかの実施形態では、レンズ116は、平らな表面を有することができ、光源がレンズの高さよりも実質的に大きい距離にある場合には、光線は、ビームスプリッタに入る際に屈折し、したがってビームスプリッタ要素内で発散する。いくつかの実施形態では、レンズの球面または非球面は必要ではなく、レンズは平らな表面を有することができ、概略的に示した平行光線は発散し得る。この反射性表面により、光源126をPCB101上に搭載できるようになり、光をPCB101に対して実質的に垂直な方向に向ける。このような配置は、装置の(例えば、y軸方向の)長さを短くすることができ、及び/または装置100の製造時に構成要素を組み立てる手順を簡略化することができる。エンクロージャ132はまた、非反射性であってもよい、及び/または表面136よりも反射性が低くてもよい内部表面144、146、及び148を含み、そしてエンクロージャ132は、外部表面150、152、及び154を有する。外部表面152及び154は、エンクロージャ132の側面であり、外部表面150は、エンクロージャ132の上部外部表面である。外部表面150は、エンクロージャ132のチャンバ156への開口部140を含む。開口部140は、上壁の外部表面150から上壁の内部表面146まで、エンクロージャ132の上壁を縦貫する。開口部140の目的は、レンズ120を位置決め及び/または固定することであり得る。
【0021】
内部表面144は、角度付き反射性表面136に隣接し、z軸に平行な側部の内部表面である。内部表面146は、角度付き反射性表面136に隣接し、z軸及び内部表面144に垂直な上部の内部表面である。角度付き反射性表面136は、表面144と表面146との間にある。内部表面148は、内部表面146に隣接する側部の内部表面であり、z軸及び内部表面144と平行に示す。内部表面148は、内部表面144及び角度付き反射性表面136と向かい合う。マイクロミラーチップ102、ビームスプリッタユニット106、及びイメージセンサ104は、内部表面144、146、及び148ならびに角度付き反射性表面136の内側に収容される。これらの内部表面とPCB101の上部表面とで、マイクロミラーチップ102、イメージセンサ104、及びビームスプリッタ106を囲むように構成されたチャンバ156が形成される。エンクロージャは、光、放射線、湿度、粒子、ガス、またはダストによる汚染からチャンバ156を隔離するために、密封または密封封止することが可能である。
【0022】
また、チャンバ156は、撮像面110及びマイクロミラーチップ102に対して傾斜していて、光源126からの光をビームスプリッタ112へ向けて反射するように構成されている角度付き反射性表面136を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、チャンバ156は、マイクロミラーチップ102、イメージセンサ104、及びビームスプリッタ106を完全に収容する。いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップ102は、一部分がエンクロージャの開口部内にあり、一部分がチャンバ156内にある。
【0024】
図1、
図5、
図7、
図8、
図9、
図10、及び
図11は、本装置のエンクロージャのいくつかの異なる実施形態を示す。これらの異なる実施形態を、本明細書ではより詳細に説明する。一般に、
図1、
図5、
図7、及び
図8に示すように、エンクロージャ132(または
図8のエンクロージャ832)は、マイクロミラーチップ102、光反射面108、撮像面110、撮像センサ104、及びビームスプリッタユニット106を囲むように構成される。
図10に示すように、エンクロージャ1032は、光反射面108、撮像面110、撮像センサ104、及びビームスプリッタユニット106を囲むように構成される。
図9に示すように、エンクロージャ932は、撮像面110、撮像センサ104、及びビームスプリッタユニット106を囲むように構成される。
【0025】
また、
図8~
図10に示すように、エンクロージャ832、932、及び1032は、エンクロージャのそれぞれの開口部840、940、及び1040内であって放射線レンズ120とマイクロミラーチップ102との間に、放射線レンズから発する放射線124bが、放射線フィルタ122を通過してマイクロミラーチップ102の複数の放射線吸収面上に進むように、放射線フィルタ122を任意選択で含むことができる。
【0026】
さらに、
図1と同様に他の図面の一部にも示されているが、エンクロージャ132は、ピン142によってPCB101に取り付けられている。この意味で、エンクロージャ132は、ピン142によってPCB101に取り付けられた、装置100のハウジングである。ピン142は、エンクロージャ132をPCB101に装着して位置合わせするように構成することができる。あるいは、位置合わせピン142を用いてエンクロージャ132をPCB101に位置合わせして固定する代わりに、これらのパーツと同様にシステム全体の他のパーツも、別の手段によって位置合わせして、接着剤で互いに固定することが可能である。ビームスプリッタとPCB101との中間にイメージセンサ104を置いて、ビームスプリッタをPCB101に位置合わせして固定するために、ビームスプリッタ上に位置合わせピンがあってもよい。
【0027】
また、
図1に図示されるように、光源126は、光線134を含む光線を、z軸の大体の方向に上向きに発する。ビームスプリッタユニット112と一体化したレンズ116へ向けて光を反射するために、エンクロージャ132は、z軸から角度138で傾斜した角度付き反射性表面136を含む。いくつかの実施形態では、角度138は45度であるので、光源126によって放射される光線の中心光線、例えば光線134は、レンズ116に向かって90度の角度で反射される。そのような実施形態では、角度付き反射性表面136は、例えば、撮像面110から45度である45度反射性表面である。また、そのような実施形態では、光源126が、z軸に沿った中心光線(光線134など)を放射する場合、45度反射性表面は、中心光線をビームスプリッタ112へ向かう方向に90度の角度で反射するように構成されている。さらに、
図1に示すように、ビームスプリッタ112の部分反射性表面114は、角度付き反射性表面136と平行にすることができる。したがって、撮像面から45度でありマイクロミラーチップから45度である45度部分反射性表面114を用いる実施形態では、角度付き反射性表面136は、同様に撮像面から45度でありマイクロミラーチップから45度であり得る。
【0028】
図1に示すように、レンズ116は、ビームスプリッタユニット106と一体化させることができる。いくつかの実施形態では、レンズ116は、平らな表面を作るためにレンズ116の右側半分を切り除いて、そのレンズをビームスプリッタユニット106の平らな表面に取り付けることによって、一体化させることができる。他のいくつかの実施形態では、レンズ116は、ビームスプリッタユニット106上に直接形成されている。
【0029】
レンズ116は、光線118a、118a’、及び118a”などの光線を、それぞれ光線118b、118b’、及び118b”としてビームスプリッタ112の部分反射面114上に向けるように構成されていることが示されている。具体的には、レンズ116は、表面136によって反射された、点光源とすることができる光源126からの光線118a、118a’、及び118a”をコリメートして、光線118a、118a’、及び118a”から平行光線を生成する。レンズ116は、非コリメート光線118a、118a’、及び118a”をコリメートして、それぞれコリメート光線118b、118b’、及び118b”にする。球体、または少なくとも部分的な球体が、光線を平行にするレンズの基盤となり得る。非コリメート光線118a、118a’、及び118a”は、エンクロージャ132の内部表面である角度付き反射性表面136から反射された反射光線である。本明細書に記載の平行光線は、実質的に平行な光線であり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、反射性表面は平らでなくてもよく、レンズの光学収差を補償して光線のより望ましいコリメーションをもたらすために、球面または非球面にすることが可能である。いくつかの実施形態では、光線は平行または実質的に平行である必要はないが、マイクロミラーのより小さい像を像表面に投射するために、わずかに集束してもよい。それでも、中心光線は、像表面平面及びマイクロミラー平面に平行または実質的に平行に進むことができ、一方、外側の光線は中心光線に向かって集束する。
【0030】
初めに、光源126が角度付き反射性表面136へ向けて光線134、134’、及び134”を発し、次いで角度付き反射性表面136から非コリメート光線118a、118a’、及び118a”が反射される。光源126としては、発光ダイオード(LED)が含まれ得る。図示するように、光源126はPCB101に直接取り付けられている。光線134、134’、及び134”は、円錐形の先端部が光源126にある円錐形として放射され得る。円錐形で放射され得、円錐形に幾分似た形で角度付き反射性表面136に反射されることもある、これらの光線を導くために、レンズ116は、光線118a、118a’、及び118a”を、ビームスプリッタ112に入るための平行光線118b、118b’、及び118b”に変換する。
【0031】
LEDを使用する例では、光源126は、ピンホール、コーン、または(反射板または開口絞りなどの)発光指向デバイスを含むか、またはそれらと一体化させることができる。そのような例では、LEDは、ピンホール及びコーンによって、PCBから上方に可視光などの光線を放射するように構成することができる。そのような例における光は、ピンホールまたは光指向デバイスによって制限及び/または画定される。
【0032】
図1に部分的に示すように、部分反射性表面114は、コリメート光線118b、118b’、及び118b”のそれぞれを2つの光線に分割する。例えば、部分反射性表面114は、入射コリメート光線118bを、マイクロミラーチップ102に向かって反射する光線118cと、部分反射性表面114を透過する光線118eとに分割する。コリメート光線は、それぞれビームスプリッタ112の部分反射性表面114で2つの光線に分かれる。光線118b、118b’、及び118b”は、ビームスプリッタ112によって反射性表面114に反射されて、マイクロミラーチップ102の複数の光反射面108に向かって進む光線118c、118c’、及び118c”となり、(
図3に示す)光線118e、118e’、及び118e”が、ビームスプリッタ112の反射性表面114を透過する。これらの最初に透過した光線118e、118e’、及び118e”は、本装置の動作原理上、何の機能性も持たない。これらの光線は、ビームスプリッタから、またはビームスプリッタの背面に出て、あるいは背面が光吸収性であるために、これらの光線はビームスプリッタの表面106aで吸収または散乱される。光線118c、118c’、及び118c”は、複数の光反射面108のうちの反射表面の3つに、それぞれ光線118d、118d’、及び118d”として反射することが示されている。光線118d、118d’、及び118d”は、部分反射性表面114によって再び分割され、そこで透過光線は、それぞれ光線118dd、118dd’、及び118dd”として、イメージセンサ104の撮像面110に向かう(例えば、
図3を参照)。光線118d、118d’、及び118d”が再び部分反射性表面114を通過する際に、これらの光線の一部がレンズ116に向かって反射されることになる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、光源からの入射光線を第1の光線と第2の光線とに分割するように構成されており、そこでは第1の光線は、マイクロミラーチップの複数の光反射面へ向けてビームスプリッタによって反射され、第2の光線は、エンクロージャの側壁(側壁148など)へ向けてビームスプリッタを通過する。好ましくは、側壁148は非反射性であり、第2の光線を吸収する。そのような実施形態では、マイクロミラーチップの複数の光反射面の各光反射面が光線を反射しており、その光線がビームスプリッタの反射性表面で再び分割されて、第3の光線と第4の光線とに分割され得ることにより、第3の光線は反射性表面を通過してイメージセンサの撮像面に到達し、第4の光線は光源126に向かって反射される。
【0034】
図1に示すように、放射線レンズ120は、放射線光線124aを任意選択の放射線フィルタ122に通して、マイクロミラーチップ102のマイクロミラーに向けるのに使用することができる。図示するように、レンズ120は、放射線フィルタ122及びマイクロミラーチップ102のハウジング128の真上にある開口部140に配置されている。この場合、エンクロージャ132は、エンクロージャの開口部140内に放射線レンズ120を含み、開口部140は、開口部及び放射線レンズ120を通過した放射線がマイクロミラーチップ102の複数の放射線吸収面(例えば、
図2に示されている放射線吸収面204)上に放射されるように、マイクロミラーチップ102の上方に配置されている。いくつかの実施形態では、放射線レンズ120は、エンクロージャの開口部に嵌め込むことができる円錐形のエンクロージャ、または光学レンズをハウジングに嵌め込むための他の何らかの嵌め込みメカニズム(例えば、接着、圧入、止め輪、ねじ山など)の中に埋め込まれる。
【0035】
図1に示すように、本装置は、光源126とビームスプリッタユニット106との間のチャンバ156内に、その断面161a及び161bに単純な板を置いて概略的に示すような、開口、開口絞り、または一般に光線を導くかもしくは制限する構造を収容し得る。このような光線誘導構造または光線制限構造の機能は、寄生性の光散乱を排除することである。例えば、光源126は、放射率の角度が180度の点光源であり得る。一部の光線は、光源からビームスプリッタユニット106の方向に向かって直接伝わる可能性があり、望まれない寄生(「迷光」)または妨害パターンを引き起こし、あるいはコリメートすべき光線を妨げることがある。他の例では、表面136の一部の反射光線が、円錐及び/または入射角の外側にあり、それらの反射光線が、表面136から表面146に向かって進み、表面146に反射してビームスプリッタに入るように配置されていて、撮像面上にいくつかの不要な光のパターンをもたらすことがある。単純な円形または他の開口部などの光線誘導構造または光線制限構造は、光線が開口部の円錐形を形成するのに役立ち、または光線を画定して開口部の円錐形を形成することができる。これには、レンズ116の開口からレンズ116の焦点などの点源まで進む光線が含まれ得る。構造161aで示すように、光線誘導構造または光線制限構造は、エンクロージャ132の一部であり得る。161bで示すように、光線誘導構造または光線制限構造をPCB101に取り付けることができる。場合によっては、光線誘導構造または光線制限構造は、チャンバ156内に配置される別個のパーツであってもよい。
【0036】
図2は、
図1に示す装置100のある部分を示し、さらに装置100のマイクロミラーチップ102を示す。
【0037】
図2に示すように、放射線フィルタ122は、放射線がマイクロミラー202によって受光される前に、方向を持った放射線にフィルタを適用することができる。具体的には、図示するように、放射線フィルタ122は、放射線がマイクロミラー202の放射線吸収面204によって受光される前に、方向を持った放射線にフィルタを適用することができる。マイクロミラーの反射性表面が、複数の光反射面108を提供する。また、図示するように、複数の光反射面108は、それぞれの放射線吸収面204に対する、それぞれの対向面にある。
【0038】
一般に、発光源(発光ダイオードであってもよい、または発光ダイオードを含んでもよい、光源126など)から発せられた光は、最終的には、複数の光反射面108の向きに応じて、マイクロミラーチップ102の複数の光反射面108に反射される。そして、その向きは、マイクロミラーチップ102の放射線吸収面204のそれぞれによって受光されたそれぞれの放射線の量に起因している。光反射面108の向きは、
図3に図示された角度312、314、及び316を生じさせる。
図2は、ある特定のマイクロミラー202の向きを変化させ、その結果、光線118c、118c’、及び118c”が、複数の光反射面108のそれぞれの表面のそれぞれに、それぞれの反射光線118d、118d’、及び118d”として反射する角度を生じさせる放射線光線124cを示す。
【0039】
図1に示すように、レンズ120は、放射線フィルタ122及びマイクロミラーチップ102のハウジング128の上方にあり得る。レンズ120は、(
図2に示すように)放射線光線124aなどの放射線の光線を放射線光線124bとして放射線フィルタ122に向けるように構成されたものとして
図1及び
図2に示される。
【0040】
放射線フィルタ122は、種々のフィルタリング特性を有し得る。例えば、放射線結像レンズは、例えば、ゲルマニウム、シリコン、ポリマー、カルコゲナイド、ガラス及びこれらに類するもので作られている赤外線レンズであってもよい。
【0041】
図2に示すように、放射線結像レンズは、マイクロミラーチップ102のマイクロミラー202との関連で配置されて、マイクロミラー202の鏡面200に放射線(例えば、赤外線放射線)の像を形成する。放射線像は、放射線光線124cから生じる。
【0042】
放射線光線124cによって提供される放射線強度は、イメージセンサ104の撮像面110上の光線変位(
図4に示すような光線変位402及び404など)に対応し得る。マイクロミラー202のそれぞれのマイクロミラーによって生成される光線変位は、それぞれのマイクロミラーの位置で放射線フィルタ122から生じる放射線像のピクセルの強度に対応する。光線変位は、一般にマイクロミラーの変位によってもたらされ得る。マイクロミラーは、放射線を吸収することによって変位し得る。場合によっては、マイクロミラーは、重力によって、及び/またはその動作温度の変動によって変位する。入射する放射線の変位と寄生性(例えば、重力または動作温度)の変位とを区別するために、放射束から隠されているが、重力または動作温度の変化からのみ偏向する参照マイクロミラー(複数可)を実装することができる。
【0043】
図1に示すように、複数の光反射面108は撮像面110を向いており、
図2に示すように、複数の光反射面108の各光反射面は、放射線吸収面204によって感知された放射線、及び/または吸収された放射線に応じて、複数の光反射面108の他のミラーとは独立して動くミラーを含んでいる。
【0044】
いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップは、像表面に向かって下を向くガラスキャップと、レンズ120に向かって上を向く放射線透過性キャップとを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップは、第1の平面内の第1の方向に沿って配置されたマイクロミラーの少なくとも1つの行を含み、マイクロミラーの行内のそれぞれの各マイクロミラーは、放射線吸収面と、放射線吸収面の反対側に配置された光反射領域とを有し、それぞれのマイクロミラーは、放射線吸収面に吸収された放射線に応答して、第1の平面内の第2の方向に沿って回転するように構成されている。そのような実施形態では、CMOSイメージセンサは、それぞれのマイクロミラーの光反射領域上に向けられたそれぞれの光線の反射光を受光するために、それぞれのマイクロミラーの光反射領域を向く撮像面を含み得、撮像面は、マイクロミラーの行における第2の方向に沿った等しい回転のために、マイクロミラーの行のうちの少なくとも2つから撮像面上に反射された光線の等しい変位を生じるように、マイクロミラーの行との関連で配置される。そのような実施形態では、CMOSイメージセンサは、行内の異なるマイクロミラーから反射された異なる光学特性の光を受光するために、それぞれのマイクロミラーの光反射領域を向く撮像面を含み得る。異なる光学特性には、異なる光強度が含まれ得る。また、異なる光学特性には、光の形状の違いも含まれ得る。さらに、マイクロミラーの変位により、像表面上に変化するパターンが投射されることになる可能性がある。
【0046】
図3は、
図1に示した装置100のある部分を示し、さらに装置のビームスプリッタユニット106を示す。
【0047】
図1及び
図3に示すように、ビームスプリッタ112の長手方向は、マイクロミラーチップ102及び撮像面110に平行な方向130に向けられている。方向130は、装置100の他の態様のための参照方向、及び装置100に関連する参照方向として、
図1~
図5及び
図7~
図10にも示されていることに留意されたい。
【0048】
図1と同様に
図3にも示すように、ビームスプリッタユニット106は、撮像面110及びマイクロミラーチップ102に対して傾斜した半反射性表面及び半透過性表面114を含むビームスプリッタ112を含む。図示するように、反射性表面114は、ビームスプリッタの高さの半分以上にわたって延在し得る。図示するように、反射性表面114は、ビームスプリッタ112の高さにわたって延在する。反射性表面114は、表面で光線の反射、透過の分割を正確に50:50にする光学フィルムでコーティングすることができる。
【0049】
図3に示すように、部分反射性表面114は、撮像面110に対して角度302で傾斜している。部分反射性表面114は、マイクロミラーチップ102に対して角度304で傾斜している。本明細書で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、角度302及び304は45度の角度である。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ112は、マイクロミラーチップ102及び/または撮像面110と平行ではない方向に配置され、角度302と角度304とは互いに異なる(図面には示されていない)。また、いくつかの実施形態では、角度302及び304は、同じであってもよいが、45度未満の角度または45度より大きい角度であり得る。
【0050】
図3に示すように、ビームスプリッタ112は、光線118b、118b’、及び118b”を、それぞれ光線118c、118c’、及び118c”と光線118e、118e’、及び118e”とに分割するように構成されている。図示するように、光線118c、118c’、及び118c”は、部分反射性表面114でビームスプリッタ112から、それぞれ角度306、308、及び310でマイクロミラーチップ102へ向けて反射される。光線118e、118e’、及び118e”は、ビームスプリッタ112を通過して、ビームスプリッタユニット106の背面に向かう。マイクロミラーチップ102の複数の光反射面108の各光反射面は、それぞれ角度312、314、及び316で光線118d、118d’、及び118d”を反射し、これらの光線118d、118d’、及び118d”は、部分反射性表面114で、それぞれイメージセンサ104に向かう透過光線118dd、118dd’、及び118dd”と、レンズ116へ向けて戻る他の光線として再び分割される(図面では示されていない)。光線118dd、118dd’、及び118dd”は、部分反射性表面114を通過して、イメージセンサ104の撮像面110に到達する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタユニットは、撮像面から45度であり、マイクロミラーチップから45度である、45度部分反射性表面を有するビームスプリッタを含む。第1の45度反射性表面は、ビームスプリッタの高さの半分以上にわたって延在し得る(例えば、45度反射性表面は、ビームスプリッタの高さ全体にわたって延在し得る)。本明細書で述べたように、角度302及び304のそれぞれは、45度であってもよい。これは、ビームスプリッタの長手方向が、マイクロミラーチップ、及びイメージセンサの撮像面と水平かつ平行に並べられている場合に発生し得る。
図3では、角度302及び204が約45度であるように見えるが、本開示では、上記の角度が変化し得ることを理解されたい。
【0052】
ビームスプリッタが45度反射性表面を有し、その長手方向がマイクロミラーチップ及び撮像面に平行に並べられている、そのような実施形態では、角度306、308、及び310は、方向130(方向130はマイクロミラーチップ102及び撮像面110に平行)に対して90度の角度となり得る。別の言い方をすれば、そのような実施形態では、角度306、308、及び310は、マイクロミラーチップ102及び撮像面110に対して90度の角度である。そのような実施形態では、光線118c、118c’、及び118c”を反射する複数の光反射面108の光反射面が、方向130と平行に並べられている場合、角度312、314、及び316は、光線118d、118d’、及び118d”がそれぞれ光線118c、118c’、及び118c”の経路に沿って直接反射して戻ってくるという点で、ゼロ度の角度となる。また、そのような実施形態では、光線118c、118c’、及び118c”を光線118d、118d’、及び118d”として反射する光反射面が方向130と平行に整列している場合、撮像面110から光線118d、118d’、及び118d”までの角度は90度の角度となる。
【0053】
また、ビームスプリッタが45度反射性表面を有し、その長手方向がマイクロミラーチップ及び撮像面と平行に並べられている、そのような実施形態では、強度100%の光線(例えば、光線118b、118b’、及び118b”)を、ビームスプリッタ(例えば、ビームスプリッタ112)によって、それぞれ50%の強度の2つの光線(例えば、光線118c、118c’、及び118c”と、光線118e、118e’、及び118e”)に分割することができる。強度が50%の2つの分割光線のうちの一方は、ビームスプリッタからマイクロミラーチップに向かって反射することができ、強度が50%のもう一方の分割光線は、ビームスプリッタを通過してビームスプリッタの背面に向かう。50%強度の光線が反射して像表面に降りてくると、像表面に向かう途中で、この光線は、ビームスプリッタ112で再び分割され得るので、元の100%強度の25%の光線(例えば、光線118dd、118dd’、及び118dd”)が撮像面によって受光される。
【0054】
図4は、
図1に示された装置100のある部分を示し、さらに装置100のマイクロミラーチップ102のマイクロミラー202の対応する位置における電磁放射線の強度を求めるために、装置100のイメージセンサ104の撮像面110上で反射光線を変位(変位404、404’、及び404”など)させるメカニズムを示す。
図4はまた、
図2と同じ詳細レベルでマイクロミラーチップ102も示しており、マイクロミラーチップ102のビームスプリッタユニット106及びイメージセンサ104との統合を図示している。
【0055】
変位のためのメカニズムに関して、
図4は、それぞれのマイクロミラー202の初期の点線位置において、それぞれのマイクロミラー202によって反射された対応する光線の位置を表す点線の矢印402、402’、及び402”を示す。マイクロミラー202が点線の位置から実線の位置まで(ミラーを回転させるのに十分な放射線を吸収し、または感知した結果として)回転した後に、回転したマイクロミラー202の光線は、実線の矢印118dd、118dd’、及び118dd”によって図示されるように、初期の位置から後続の位置へと移動する。
【0056】
光線変位404、404’、及び404”の測定値を使用して、対応するマイクロミラー202の回転角度を計算することができる。マイクロミラー202のそれぞれの1つの回転は、それぞれのマイクロミラーの放射線吸収面204のそれぞれの1つでの放射線強度の関数に比例し、したがって測定された変位404、404’、及び404”は、マイクロミラー202の放射線吸収面204での放射線強度を計算するために使用することができる。
【0057】
光線変位(例えば、変位404、404’、及び404”)の測定は、マイクロミラー202の1つ1つについて実行し、単一のマイクロミラー上またはマイクロミラーのアレイ上の放射強度の分布を求めるために使用することができる。この測定は、PCB上に実装され得るか、またはCMOSイメージセンサの一部(例えばASIC)であってもよい計算ユニットによって行われ得る。
【0058】
一実施形態では、光検出器を使用して、イメージセンサ104の撮像面110上に形成された像を取り込むこと、対応する光線から生じ、それぞれのマイクロミラー202に対応する個々の光スポットを識別すること、光スポットの位置を求めること、及び光線の変位(変位404、404’、及び404”など)に対応するそれぞれの光スポットの変位を計算することを行い、結果として、マイクロミラー202上の放射線強度に関連する光強度を計算する。
【0059】
図2及び
図4に示すように、y軸は、マイクロミラー202の行の方向であり、本明細書に記載の方向130だけでなく、撮像面110にも平行である。光線変位404、404’、及び404”、したがって撮像面110上の対応する光スポット変位は、y軸方向に沿っている。鏡面200と撮像面110とは、鏡面200及びy軸方向に直交するz軸に沿って、距離406だけ離れている。図示するように、ビームスプリッタユニット106の高さを、距離406とすることができる。
【0060】
ミラーの行に垂直な方向(すなわち、z軸)に沿った距離406には、(
図1~
図5及び
図7~
図10に示すように)ビームスプリッタユニット106を含めることができる。したがって、ビームスプリッタユニット106がマイクロミラーチップからの反射光と干渉するのを防ぐために、いくつかの実施形態では、反射光はビームスプリッタユニット106を回避する経路を進むことができる。
【0061】
図面には示していないが、いくつかの実施形態では、光線を、複数の光反射面108のうちの1つから、x-z平面内のx軸に沿った方向に、鏡面200からのある角度で反射させることができる。x-z平面は、
図1~
図5及び
図7~
図10のy-z平面に垂直である。したがって、そのような実施形態では、光線は、一般に、(マイクロミラー202によって示すような)マイクロミラーの行の方向に沿って、y-z平面内の鏡面200上を進み、マイクロミラーによって反射された後、光線は同じ方向に沿ってイメージセンサの撮像面上を進むが、x-z平面内で曲げられるか、または
図1~
図5及び
図7~
図10のy-z平面に出入りするx軸の方向に曲げられている。一実施形態では、マイクロミラーと撮像面との間の光路上に、構造的構成要素、及び/または光学構成要素が存在しない。これらの方法では、例えば、反射光は、撮像面110に向かって進む際に、ビームスプリッタユニット106を回避する経路を進むことができる。
【0062】
図4に示すように、撮像面110は鏡面200と平行である。したがって、マイクロミラー202が鏡面200と一致する初期位置にあるとき、異なるマイクロミラー202によって反射された光は、マイクロミラーの複数の光反射面108のそれぞれの光反射領域から撮像面110まで等しい距離を進む。その結果、マイクロミラー202の放射線吸収面204に印加される放射線強度が等しくなることで、マイクロミラー202の回転が等しくなると、撮像面110上での光線変位が等しくなる。この配置により、光線変位から光強度を算出するための較正が簡素化され、及び/または精度が向上し、及び/または放射線強度から光線変位への変換において、均一な信号生成及び均一な感度が確保され得る。
【0063】
図4は、一実施形態による、マイクロミラーの位置における電磁放射線の強度を求めるための、撮像面110上の反射光線の変位(例えば、変位404、404’、及び404”)の測定を示す。
【0064】
図2及び
図4は、単一のミラーの行を示す。ただし、マイクロミラーチップ102は、
図1~
図5及び
図7~
図10の2次元では示すことができない複数のミラーの行を有することができる。
【0065】
図面には示されていないが、いくつかの実施形態では、複数の光反射面108のそれぞれの光反射面上のマイクロミラー202の1つ1つが、光反射領域及び非反射性領域を有する。各マイクロミラーの光反射領域の形状及び大きさが、マイクロミラーによって撮像面上に反射される光スポットを画定する。いくつかの実施形態では、チップのマイクロミラーは、それらの光反射領域において同じ形状及び大きさを有する。あるいは、チップ内の異なるマイクロミラーは、その光反射領域において異なる形状及び/または大きさを有することができ、その結果、撮像面上に異なる形状の反射光スポットが生じる。
【0066】
この光反射領域の光学特性の違いを利用して、撮像面上の光スポットを、その光スポットの反射に係わる対応するマイクロミラーと関連付ける精度を向上させることができる。複数の光反射面108の反射面における形状、大きさ、反射率、向き、及び/または偏光などを変化させることを利用することにより、異なる光学特性を達成することができる。さらに、撮像面上の光スポットの生成に係わるマイクロミラーを、撮像面上に捕捉された対応する光スポットの形状、大きさ、向き、偏光、強度、及び/またはマーカから識別できるように、シンボルまたはグラフィックパターンを光反射領域に施して(例えば、エッチングまたはオーバーレイを行って)マイクロミラーにマークを付けてもよい。
【0067】
図5は、光源126がPCB101の一部であり、ビームスプリッタユニット502が順次ビームスプリッティングを実施する、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置を示す。
【0068】
図示するように、装置500は、
図1の装置100の要素に類似した、または
図1の装置100と相互作用する、多くの要素を含む、または多くの要素と相互作用する。装置100とは異なり、装置500は、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニット502を含む。
【0069】
光源126は、光線134を含む光線を、z軸の大体の方向に上向きに発する。ビームスプリッタユニット502と一体化したレンズ116へ向けて光を反射するために、エンクロージャ132は、z軸から角度138で傾斜した角度付き反射性表面136を含む。いくつかの実施形態では、角度138は45度であるので、光源126によって放射される光線の中心光線、例えば光線134は、レンズ116に向かって90度の角度で反射される。
【0070】
順次ビームスプリッティングは、ビームスプリッタユニット502の2つのビームスプリッタ504及び506によって実施される。第1のビームスプリッタ504は、反射性表面508を含み、第2のビームスプリッタ506は、反射性表面510を含む。
【0071】
図5に示すように、コリメート光線118bは、ビームスプリッタ504の反射性表面508で、2つの光線118c及び118eに分かれる。光線118cは、ビームスプリッタ504により、マイクロミラーチップ102の複数の光反射面108へ向けて反射され、光線118eは、ビームスプリッタ504の反射性表面を透過する。光線118cは、光線118dとして複数の光反射面108の反射表面の1つに反射することが示されている。光線118dは、ビームスプリッタ504の反射性表面を透過して、光線118ddとしてイメージセンサ104の撮像面に向かう。光線118eは、ビームスプリッタ504を透過して、光線118fとしてビームスプリッタ506の反射面510に反射される。光線118fは、ビームスプリッタ506により、マイクロミラーチップ102の複数の光反射面108へ向けて反射されるように示される。光線118fは、光線118gとして複数の光反射面108の反射表面の1つに反射することが示されている。光線118gは、ビームスプリッタ506の反射性表面510を透過して、光線118ggとしてイメージセンサ104の撮像面に向かう。
【0072】
装置500の追加の特徴とその代替形態のいくつかとは、本特許出願と同日に出願され、代理人案件番号152763-201500/U.S.を有する、当初「SEQUENTIAL BEAM SPLITTING IN A RADIATION SENSING APPARATUS」と題された関連米国特許出願にさらに記載されている。当初「SEQUENTIAL BEAM SPLITTING IN A RADIATION SENSING APPARATUS」と題された関連出願では、開示される少なくともいくつかの実施形態は、一般に順次ビームスプリッティングを用いる電磁放射線検出に関し、より詳細には、放射線感知装置において順次ビームスプリッティングを用いる赤外線(IR)放射線の感知に関するが、これに限定されない。当初「SEQUENTIAL BEAM SPLITTING IN A RADIATION SENSING APPARATUS」と題された関連出願の開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0073】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、ビームスプリッタユニットが順次ビームスプリッティングを実施する少なくとも1つの実施形態による(
図5に示されるビームスプリッタユニット502などの)ビームスプリッタユニットの構造の構築を示す。
【0074】
順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットの有利な特徴は、ビームスプリッタユニットの高さが低くなる結果、ビームスプリッタユニットを使用する装置の高さも同様に低くできることである。これは、モバイル機器を用いる用途、あるいは装置を構成要素として別の装置、製品またはシステムに組み込む際に装置の高さが重要になるような用途に特に有効である。順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニット、及びビームスプリッタユニットを収容する本装置の高さを低くすることにより、ビームスプリッタユニット及び本装置をモバイルデバイスに含めることが可能になり得る。モバイル機器は、人の片手または両手で持って操作できる程度の小さな電子デバイスであれば何であってもよい。例えば、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットは、4ミリメートル未満の高さを有することができ、これにより、多くの異なるタイプのモバイル機器内でビームスプリッタユニットを使用することが可能になる。
【0075】
順次ビームスプリッティングを実施する記述されたビームスプリッタユニットは、
図1~
図4及び
図7~
図10に示された1つのビームスプリッタなどの、1つのビームスプリッタの半分にスライスされた部分を水平に配置したものと類似させることができる。言い換えれば、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットは、1つのビームスプリッタの半分にスライスされた部分を再配置して、2つの半分にスライスされた部分が水平方向に順次に結合されたデバイスと似ている。
【0076】
図6Aは、1つのビームスプリッタ112を示す。
図6Aのビームスプリッタ112は、1つの部分反射性表面114(例えば、1つの45度反射性表面)を含む。
図7Bは、ビームスプリッタ112のスライス602及び604を示す。スライス602及び604は、ビームスプリッタ112を4つの部分に分ける。2つの部分には、ビームスプリッタ504及び506が含まれ得る。そして、
図6B及び
図6Cに示すように、ビームスプリッタ504及び506は、それぞれ
図5の反射性表面508及び510を含むことができる。
図6Cは、結合されたビームスプリッタ504及び506を示しており、これらは結合されて
図5のビームスプリッタユニット502の少なくとも一部分である構造体516にされる。図示するように、ビームスプリッタ504の前に領域606があり、ビームスプリッタ504とビームスプリッタ506との間に領域608があり、ビームスプリッタ506の後ろに領域610がある。ビームスプリッタ504及び506のそれぞれの長さ612及び614は、領域606、608、及び610の境界をさらに明確にする。
【0077】
図6Cの構造体516は、最初に、
図6Bのスライス602及び604に従ってビームスプリッタ112を切断し、次に、反射性表面508及び510を有するビームスプリッタ112の2つの部分を付けることによって形成することができる。また、
図6Cの構造体516は、3つのブロックの透明材料を加えて形成することができる。3つのブロックのうちの左側のブロックは、
図1のレンズ116と同様のレンズなどの一体型レンズを含んでもよい。
図6Cでは一体型レンズは図示していない。この3つのブロックは、領域606、608、及び610を提供し得る。左側の(統合レンズを含むことができる)ブロックと共に、ビームスプリッタ504と506との間に第2のスペーサブロックを取り付けてもよく、第3のスペーサブロックをビームスプリッタ506の右側に取り付けて、
図6Cの構造体516を得ることができる。
【0078】
領域606、608、及び610によって提供されるスペースを、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットに含めることは有益である。このスペースは、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタで発生する異なる光の屈折から生じる光線の干渉の影響を最小限に抑えることができるという点で有益である。そのような干渉する光線は、ビームスプリッタ504及び506の反射表面の間に十分なスペースがない場合には、放射線の検出に使用される光線と干渉する。したがって、領域606、608、及び610は、干渉を減らすための十分なスペースを提供することができる。
【0079】
干渉を減らす別の方法は、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットの各ビームスプリッタの長さを増やすことである。開示された装置をモバイル機器に搭載することは望ましいことであるが、モバイル機器の多くが薄型であることを考えると、干渉を減らすためにビームスプリッタの高さを高くすることは現実的な選択肢ではない。モバイル機器内で使用されることになる装置への干渉を低減するために、いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップと撮像センサとの間の距離は、撮像センサ及びマイクロミラーチップの長さのいずれか以下である。例えば、マイクロミラーチップと撮像センサとの間の距離は、撮像センサの長さの半分以下である。また、マイクロミラーチップと撮像センサとの間の距離を、マイクロミラーチップの長さの半分以下にすることも可能である。
【0080】
いくつかの実施形態では、順次ビームスプリッティングを実施するビームスプリッタユニットの各ビームスプリッタの長さ(ビームスプリッタ504及び506のそれぞれの各長さ612及び614など)は、最大でも、そのビームスプリッタユニットと共に使用される撮像センサまたはマイクロミラーチップの長さの半分である。ビームスプリッタユニットの各ビームスプリッタの長さが、撮像センサまたはビームスプリッタユニットと共に使用されるマイクロミラーチップの長さの最大でも半分である実施形態を含むいくつかの実施形態では、マイクロミラーチップと撮像センサとを同じ長さにしてもよい。
【0081】
また、ビームスプリッタユニットの長さを、撮像センサ及びマイクロミラーチップの長さよりも長く、短く、または等しくしてもよい。例えば、イメージセンサの長さとビームスプリッタユニットの全長とを同じにしてもよく、またはビームスプリッタユニットが、イメージセンサよりも長い長さ、もしくは短い長さを有してもよい。また、マイクロミラーチップの長さとビームスプリッタユニットの全長とを同じにしてもよく、またはビームスプリッタユニットが、マイクロミラーチップよりも長い長さ、もしくは短い長さを有してもよい。このような変形形態は、順次ビームスプリッティングを実施しているビームスプリッタユニットで生ずる場合があり、または実施していないビームスプリッタユニットで生ずる場合もある。
【0082】
図7は、信号処理ユニット702がPCB101を介してイメージセンサ104に接続されている少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置702を示す。
【0083】
図示するように、装置700は、
図1の装置100の要素に類似した、または
図1の装置100と相互作用する、多くの要素を含む、または多くの要素と相互作用する。装置100とは異なり、装置700は、信号処理ユニット702を含む。あるいは、コンピュータネットワークを介してイメージセンサに接続されるリモートの信号処理ユニットなど、イメージセンサ104に間接的に信号処理ユニットを接続してもよい。他の実施形態では、信号処理ユニットをPCB101に直接接続することができ、そのような例では、(
図7に示されているように)PCB101上の結合が、イメージセンサ104と信号処理ユニットとを接続してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、信号送信ユニットが、信号処理ユニット702またはその代替物と結合されて、イメージセンサ104によって取り込まれたイメージデータ、及び/または信号処理ユニット702またはその代替物によって処理された測定データを送信する。イメージセンサ104によって取り込まれたイメージデータ、及び/または信号処理ユニット702またはその代替物によって処理された測定データは、光線の変位(変位404、404’、及び404”など)、マイクロミラーの回転、及び放射線の強度(放射線光線124cの強度など)を示すものである。
【0085】
信号処理ユニット702は、指定された用途をカスタマイズして処理するようにプログラムすることができる。信号処理ユニット702は、反射光線の変位(変位404、404’、及び404”など)を処理し、対応する電気信号ゲインを生成してもよい。この信号はさらに処理され、例えば、外部ディスプレイを介してエンドユーザに表示されてもよい。一例では、信号処理ユニット702によって処理された信号は、通信ポートを介して無線で携帯機器に送信され、そこでエンドユーザは生成された信号を見ることができ、装置700または信号処理ユニット702とのユーザインタフェースを介して制御またはインタラクトする能力を有する。信号の送信及びやり取りは、例えばUSB、Bluetooth、Wi-Fiなどを使用した任意の有線または無線の伝送法を介して行うことができる。エンドユーザのディスプレイ及びインタフェースとしては、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータなど、任意のデバイスが含まれ得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、PCBは、その前面及び/または背面に、信号処理ユニットに加えて、任意の種類の表面実装電子的構成要素を、さらに収容することができる。いくつかの例では、電子的構成要素及び/または信号処理ユニットは、キャップで覆われているか、またはエポキシ樹脂で埋め込まれているか、あるいはコーンから外れた光線の散乱を減らすことができる何らかの材料で覆われているか、及び/または埋め込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、PCBは、工場での較正または操作のために、その表側及び/または裏側に電子的接触パッドを有し得る。
【0087】
さらに、PCB101の裏側149は、ピン142がこの表面から突き出ることなく、平らにすることができる。この平らな面を使用して、装置を例えばホストボード上の別の平らな面に取り付けることができる。いくつかの例では、本装置を別の装置に取り付ける方法、及び/または固定する方法として、ホストボードに取り付ける前、及び/または固定する前に、平らな表面に接着剤を使用することができる。いくつかの例では、接続ケーブルがPCBに取り付けられ、本装置から突出しているので、接続ケーブルは、本装置を別デバイスに電子的に接続する方法を提供し得る。接続ケーブルは、装置(例えば、装置100または700)とホストプロセッサ及び/またはデバイスとの間で、動作電力を供給し、データ及び信号をやり取りすることができる。いくつかの例では、コネクタは、サーマルイメージまたはCMOSイメージをストリーミングすることが可能である。
【0088】
図8は、放射線レンズ120及び放射線フィルタ122が、マイクロミラーチップ102及びマイクロミラーチップのハウジング828の上方にあるエンクロージャ832の開口部840の壁842(円筒壁など)の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置800を示す。図示するように、装置800は、
図1の装置100の要素に類似した、または
図1の装置100と相互作用する、多くの要素を含む、または多くの要素と相互作用する。装置100とは異なり、装置800は、レンズ120及びフィルタ122を収容する開口部840を含む上部の外部表面850を含む。開口部は、エンクロージャ832の上壁を、外部表面850から内部表面846まで縦貫する。ハウジング828は、チャンバ156内にあり、チャンバ内のスペースによって開口部840から分離されている。この構成は、レンズ120及びフィルタ122を、マイクロミラーチップを収容するハウジングから分離できるという点で有益であり得る。
【0089】
図9は、放射線レンズ120及び放射線フィルタ122が、エンクロージャ932の開口部940の壁942(円筒壁など)の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置900を示す。装置800とは異なり、装置900は、マイクロミラーチップ102が、開口部940の壁942の中のフィルタ122の下に存在するように構成されている。図示するように、装置900は、
図1の装置100の要素に類似した、または
図1の装置100と相互作用する、多くの要素を含む、または多くの要素と相互作用する。装置100とは異なり、装置900は、レンズ120、フィルタ122及びマイクロミラーチップ102を収容する開口部940を含む上部の外部表面950を含む。開口部940は、エンクロージャ932の上壁を、外部表面950から内部表面946まで縦貫する。マイクロミラーチップのためのハウジングはなく、チャンバ156内には、チップをフィルタ122から分離するスペースもない。両方の要素が開口部940内に収容されているためである。この構成は、マイクロミラーチップ102のための追加のハウジングを使用しないという点で有益である。また、例えば、壁942は、マイクロミラーチップ102上への放射線の誘導及び集束を容易にし得る。また、マイクロミラーチップ102は、ビームスプリッタユニット106に直接取り付けられていることが示されている。さらに、エンクロージャ932がビームスプリッタユニット106と直接接触しているそのような配置は、ビームスプリッタユニットに対してエンクロージャを位置合わせするのに使用することができ、またはその逆に使用することもできる。
【0090】
図10は、放射線レンズ120及び放射線フィルタ122が、エンクロージャ1032の開口部1040の壁1042(円筒壁など)の中にある、少なくとも1つの他の実施形態による、電磁放射線の分布を測定するように構成された別の装置1000を示す。装置800とは異なり、装置1000は、マイクロミラーチップ102が、部分的に開口部1040の壁1042の中のフィルタ122の下に存在するように構成されている。図示するように、装置1000は、
図1の装置100の要素に類似した、または
図1の装置100と相互作用する、多くの要素を含む、または多くの要素と相互作用する。装置100とは異なり、装置1000は、レンズ120及びフィルタ122を収容するとともに、マイクロミラーチップ102を部分的に収容する開口部1040を含む上部の外部表面1050を含む。開口部1040は、エンクロージャ1032の上壁を、外部表面1050から内部表面1046まで縦貫する。マイクロミラーチップのためのハウジングはなく、チャンバ156内には、チップをフィルタ122から分離するスペースもない。この構成は、マイクロミラーチップ102のための追加のハウジングを使用しないという点で有益である。また、例えば、壁1042は、マイクロミラーチップ102上への放射線の誘導及び集束を十分に容易にし得る。また、マイクロミラーチップ102は、ビームスプリッタユニット106に直接取り付けられていることが示されており、したがってチップ全体を壁1042の中に備えることが必ずしも有益であるとは限らない。別の例として、装置1032の構成の利点は、チャンバ156が異なる大きさのビームスプリッタユニットに対してより柔軟なことである。装置1032のチャンバ156の高さが、装置932のチャンバ156の高さよりも高いためである。
【0091】
いくつかの実施形態では、マイクロミラーチップはハウジングを持たず、ビームスプリッタユニットに直接接着されている。ビームスプリッタユニットは、PCB上にピンを介して位置合わせされてもよく、またはCMOS上にリセスによって位置合わせされてもよい。放射線フィルタ122は任意選択のものであり、いくつかの実施形態では省くことができる。レンズは、ハウジング内に接着可能であり、光及び/または気密性を提供できる単玉レンズで十分である。
【0092】
いくつかの例では、光指向デバイスは、プリズムである場合があり、または図面に示されているものとは異なる形状であってもよく、表面114はまた、小さなエアギャップであったり、または異なる材料で構成されていたりすることがある。表面136は、迷光を遮断するために部分的にパターン化された反射性表面とすることができる。
【0093】
また、本明細書には、電磁放射線検出器用の可撓性部分を有するプリント回路基板構成が記載されている。いくつかの実施形態では、放射線感知装置においてビームスプリッティングを用いる電磁放射線感知は、可撓性部分に取り付けられた光源を含む(例えば、
図12に図示された可撓性部分1202を参照)。言い換えれば、本明細書に記載されている装置の変形形態は、可撓性部分に取り付けられた光源を含み得る(例えば、
図12に図示された可撓性部分1202を参照)。いくつかの実施形態では、発光ダイオード(LED)などの光源が、放射線感知装置の可撓性部分、または本装置が取り付けられているPCB(プリント回路基板)の可撓性部分に取り付けられている(例えば、
図12に図示された可撓性部分1202を参照)。可撓性部分を曲げることにより、光源から発せられたビームをビームスプリッタに向けることができる(例えば、
図12参照)。
【0094】
可撓性部分を使用することで、光源(LEDなど)からの光線を、ビームスプリッタに垂直に当てることができる。また、光源をPCBに固定することも可能である。いくつかの実施形態では、光源を、PCBの可撓性部分、またはPCBに取り付けられた本装置の可撓性部分に固定することができる。また、いくつかの実施形態(図示せず)では、本装置は、反射壁(例えば、少なくとも
図1に図示された反射面136)と、可撓性部分(例えば、
図12に図示された可撓性部分1202を参照)とを含むことができる結果、可撓性部分に取り付けられた光源から反射性表面に向かってビームが放射され、そして反射性表面からビームスプリッタに向かって反射されるように、可撓性部分が屈曲される。
【0095】
いくつかの実施形態では、光源はPCBの可撓性部分に取り付けられ、可撓性部分は上向きに曲げられている。そのような例では、可撓性部分を、装置のハウジングの垂直な側(前)壁に取り付けることができる。壁には、光源が開口部からビームを放射するための小さな開口部(ピンホールなど)を設けることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、可撓性部分(フレックスPCB)はPCBの一部分である。補強材と薄型の基板対基板コネクタとで、フレックスPCBをアセンブリ内のメインPCBに接続することができる。また、レンズと本装置の外壁とは、PCB上に接着された成型プラスチックシェルを含むことができる。レンズは、
図12に示すレンズ120とすることができる。
【0097】
上記の明細書では、本開示の実施形態を、その具体的な例示の実施形態を参照して説明してきた。以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。
【国際調査報告】