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特表2022-515966流体の発光デカンテーション装置および流体の光処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】流体の発光デカンテーション装置および流体の光処理方法
(51)【国際特許分類】
   C12H 1/16 20060101AFI20220216BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220216BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220216BHJP
   C12J 1/04 20060101ALI20220216BHJP
   C12J 1/10 20060101ALI20220216BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20220216BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C12H1/16
H01L33/50
H01L33/00 L
C12J1/04 104
C12J1/10 Z
A23L2/00 A
A23L2/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526736
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 US2019061682
(87)【国際公開番号】W WO2020102656
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/768,043
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322001314
【氏名又は名称】レヴィン,ディーン
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】デービス,サンドラ
【テーマコード(参考)】
4B117
4B128
5F142
【Fターム(参考)】
4B117LC02
4B117LG05
4B117LP20
4B117LT05
4B128AC14
4B128AC15
4B128AG05
4B128AG07
4B128AP06
4B128AT08
4B128BC03
4B128BC10
4B128BP08
5F142AA81
5F142DA02
5F142DA14
5F142DA45
5F142DA73
5F142GA40
(57)【要約】
本発明はワイン、蒸留酒またはコーヒーなどの流体を光処理する装置を開示している。装置は、電子機器を格納するための内部中空部分と、流体用容器をその上に置くためのベース部の頂部にある透明媒体と、ベース部上に配置され、流体用容器が置かれるベース部の頂部方向に位置し、発光可能な発光素子(LEE)と、LEEと通信状態にあるプロセッサと、処理される流体に関する特性を入力するためのユーザインターフェースと、を有し、プロセッサは、入力に基づいて、光を生成するLEEの強度または持続時間のうち少なくとも1つを制御する。流体の光処理のためのシステムおよび方法もまた提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の光処理を行う装置であって、
電子部品を収容する内部中空部を有するベース部と、
流体容器が置かれている前記ベース部の頂部にある透明媒体と、
前記ベース部に位置し、前記流体容器が置かれている前記ベース部の上部に向かって配置された、光を発する発光素子(LEE)と、
前記LEEと通信するプロセッサと、
処理される流体に関する特性を入力するためのユーザインターフェースと、を備え、
前記プロセッサは、入力に基づいて、前記LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御する、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記特性を保存するための更新可能なメモリを備え、前記特性の前記ユーザによる入力に応答して、前記プロセッサは、前記LEEを、流体のタイプ、ヴァラエタル、ワインの熟成またはユーザの好みを含む特性に最適な強度または持続時間に設定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体はワイン、蒸留酒、酢またはジュースを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
電源と、
無線通信インタフェースと、をさらに備え、
前記プロセッサは、ユーザのスマートデバイス上での前記ユーザが前記特性を入力することを許容するために、前記装置がネットワークを介して前記ユーザのスマートデバイスに接続可能であるように前記電源および前記無線通信インタフェースと通信する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記LEE上または前記LEEに近接して堆積される蛍光体層をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記LEEは青色光を発する第1のLEDと黄色光を発する第2のLEDとを備え、前記第1および第2のLEDは、前記青色光と前記黄色光が前記透明媒体に到達する前に交差するように配置され、交差したときに低可視光を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記透明媒体に近接した断熱層をさらに備え、前記断熱層は前記LEEからの少なくとも一部の熱が前記流体容器に到達するのを防ぎ、前記断熱層は光の特性を変更することなく入射光を通過させる、透明材料で形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記流体容器内の前記流体に渦を発生させる渦生成器をさらに備え、前記渦生成器は、
インペラと、
前記流体に渦巻効果を提供する渦生成器と通信するモータと、を備え、
前記渦巻効果は前記LEEからの光の利用と合わせて提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記インペラは、前記モータおよび前記プロセッサを動力源とする駆動シャフトに接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記LEEは、窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN)の青色光と、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)蛍光体および該Ce:YAGの発光とによって生成される白色光のスペクトルを生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記蛍光体層を介した、前記LEDからの青色光の発光スペクトルは、白色スペクトルを生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
流体を光処理するシステムであって、
ユーザと関連付けられたスマートデバイスであって、処理される流体に関する特性を入力するためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を備えるスマートデバイスと、
ワイヤレスプロトコルを介して前記スマートデバイスと通信するネットワークと、
流体を光処理する装置と、を備え、
前記装置は、
電子部品を収容する内部中空部を有するベース部と、
流体容器が置かれている前記ベース部の部分の頂部にある透明媒体と、
前記ベース部に配置されるとともに、前記流体容器が置かれている前記ベース部の頂部に向かって配置された、光を生成する発光素子(LEE)と、
前記LEEと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記GUIからの入力に基づいて、前記LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御する、システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記特性を保存するための更新可能なメモリを備え、前記特性は流体のタイプ、ヴァラエタル、ワインの熟成またはユーザの好みを含み、前記特性の前記ユーザによる入力に応答して、前記プロセッサは前記LEEを、前記特性に基づいて、前記流体の処理のために最適化された、最適な強度または持続時間に設定し、前記特性は流体のタイプ、ヴァラエタル、ワインの熟成またはユーザの好みを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記流体はワイン、蒸留酒、酢またはジュースを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
電源と、
無線通信インタフェースと、をさらに備え、
前記プロセッサは、ユーザのスマートデバイス上で前記ユーザが入力することを許容するために、前記装置がネットワークを介して前記ユーザのスマートデバイスに接続可能であるように前記電源および前記無線通信インタフェースと通信する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
流体の光処理を行う方法であって、
ベース部に近接した容器に流体を配置するステップと、
電子部品を収容するための内部中空部分を有する前記ベース部から前記容器内の流体に、発光素子(LEE)を介して光を当てるステップと、
ユーザインターフェースを介して、処理される前記流体に関する特性を入力するステップと、
プロセッサを使用して、前記LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御するステップと、を含み、
前記光を当てるステップは、青色光と黄色光とを当てることを含む、方法。
【請求項17】
前記2つのLEDは、前記青色光と前記黄色光とが前記透明媒体に到達する前に交差するように配置され、交差したときに低可視光を生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ユーザと関連付けられたスマートデバイスを介して、処理される前記流体に関する特性を、前記ネットワークを通じて通信するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
流体容器が置かれている前記ベース部の頂部にある透明媒体を通って、光を通過させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記LEEは、窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN)の青色光と、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)蛍光体および該Ce:YAGの発光とによって生成される白色光のスペクトルを生成する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月15日に出願された、「Light Emitting Fluid Decanting Device and Method of Decanting」と題された、米国仮出願第62768043の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、全般に流動体処理の分野に関し、すなわち、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒーの処理技術に関する。より具体的には、本発明は発光デカンテーションおよびエアレーション装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ワイン、蒸留酒、サイダー、混合酒、コーヒーは、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、コーヒーの熟成と、潜在的な品質向上能力により、他の多くの消耗品よりも際立っている。ワインは傷みやすく、劣化する可能性があるが、ワインの糖、酸、およびフェノール化合物(タンニンなど)を含む複雑な化学反応は、ワインの香り、色、口当たり、および味を、味わう人にとってより好ましく変えることができる。ワインの熟成能力は、ブドウのヴァラエタル(品種)、ヴィンテージ(成熟度)、ブドウ栽培の慣習、ワインの生産地、ワイン造りのスタイルなど、多くの要因に影響される。蒸留酒(混合酒を含む)の熟成能力は、原料の種類、ヴィンテージ、発酵方法、地域、蒸留酒の製造スタイルなど、多くの要因に影響される。ワイン、蒸留酒、コーヒーの瓶詰め後の保管状況も、かなりの時間と経済的投資が必要になる可能性があるワイン、蒸留酒、コーヒーの熟成に影響を与える可能性がある。
【0004】
多くのワインおよび蒸留酒の生産者は、光が製品に影響を与える化学的性質を認識している。光は、エネルギーを伝える放射線の一形態である。紫外線と、スペクトルの(エネルギーがより少ない)青色部分を含む短波長の光は、ワインや蒸留酒の色素を分解するためにより多くのエネルギーを運ぶため、例えばスペクトルの赤色部分に見られるより長い波長よりも、酸化反応を時間の経過とともに引き起こす。専門家は、すべての光はワインにとって「悪い」ものであり、これらの反応の結果が、いわゆる「感光性の(light-struck)」風味と香りを作り出すことで、ワインを通常より時期尚早に熟成させると考えてきた。特定のUV波長スペクトルの有害なフラグメントは、ワインに自然に含まれるか、生産者によってワインに加えられる硫黄化合物の化学反応を活性化する。ワインと同じように、スコッチ、ウイスキー、およびラム酒などの、ほぼすべての黒みがかった蒸留酒は、日光の影響を受ける。これらの特定の蒸留酒は、有害な太陽光や紫外線にさらされると、結果として味が変化し、色がより明るくなる。
【0005】
いくつかのワインは、ワインに含まれるタンニンに基づき、他のワインよりも光による劣化の影響を受けやすいものがある。タンニンは感光反応の天然の抑制物質であり、ほとんどのワインに含まれているが、通常、赤ワインではより高濃度で発生する。有害な反応とは検出可能な品質の低下であり、ワインが高級なワイン、繊細なワイン、デイリーワイン、または長持ちするワインであるかどうかにかかわらず、数時間のうちに発生する可能性がある。光を当てるだけで、ワインの色の変化を引き出すことができる。ワインの色と安定性に壊滅的な影響を与えるのは、高温、そして低波長および紫外線への曝露の組み合わせである。
【0006】
デカンテーションはより長い時間を要し、単純なエアレーションと比較して、一般的に、はるかに優れたテイスティング結果を生み出すことが知られている。デカンテーションは、空気中に存在する可能な限りの酸素とワインを混合させるプロセスである。酸化に最も大きな影響を与えるのは、ワインを開封して注いだ後に空気と接触するワインの表面量である。白ワインは赤ワインよりも酸化の影響を受けやすいが、赤ワインは白ワインよりも色素沈着が多い。ワインのこの余剰な色素沈着は、ワインの色、香り、風味を維持する抗酸化物質として機能する。二酸化硫黄などの化合物は、ワインを酸化から保護し、酸化生成物の一部と結合して官能(感覚)効果を減らすために、ワイン生産者によってワインに加えられることがある。ワインが酸化すると、卓上にリンゴを置いたときのように、茶色に変わる。傾けたグラスで見ると、白ワインは琥珀色を帯び始め、赤ワインは茶色の縁が現れ始めることがよくある。
【0007】
デカントすると、繊細さと複雑さが劇的に増すことに気付くだろう。時間に余裕があり、何時間にもわたってワインを味わい続けるなら、ワインは常に進化と向上を続ける。ワイン、蒸留酒、コーヒーのボトルをデカントすると、2つのことが起こる。第1に、ワイン、蒸留酒、コーヒーをデカンタに注ぐと、攪拌によってワイン、蒸留酒、コーヒーが酸素と混ざり合い、加速度的に成長し、命が吹き込まれる。第2に、従来通りに、デカンテーションプロセスをよりゆっくりすればするほど、ワイン、特に古いワインは、ワインに混ぜたままにしておくと非常に顕著な苦味と渋味を与える可能性がある沈殿物から分離することができる。
【0008】
すべてのワインは、スペクトルの上部UV端(upper UV end)で光エネルギーを強力に吸収する。例えば、通常の太陽光にはこれらの両方の波長が含まれているため、ワイン中のリボフラビンを刺激することができ、感光性の風味を引き起こす反応を促進する。ロゼワインと赤ワインは、視覚のより短い波長端(青、緑、オレンジ)で吸収する傾向があり、より赤い色だけを通過させる。
【0009】
現在では、従来のガラス製デカンタでは、ワインをデカンタでデカントするのに数時間かかる。例えば、20年以下のボトルのバローロおよびバルバレスコは6-8時間、それよりも古いワインは3-4時間、デカンテーションのプロセスに時間がかかる場合がある。ボルドーワインは、20年以下のボトルの場合、デカンテーションのプロセスに1-2時間かかる場合がある。10年以下のボトルのブルゴーニュワインは1-2時間かかる場合があり、より古いワインは提供される直前であってもよい。20年以下のボトルのカリフォルニアカベルネワインはデカンテーションのプロセスに1-2時間かかる場合があり、より古いワインは提供される直前であってもよい。10年以下のボトルのローヌワインは2-3時間かかり、より古いワインは1時間かかる場合がある。従来のガラス製デカンタは、ワインを素早くまたは完全にデカントすることができず、完全で正確な風味を得ることができない。
【0010】
ワインとスピリッツのデカンテーションのプロセスに関して、さまざまな技術が市場に出回っている。Vinturi(登録商標)などの瞬間的なエアレーションの既知の技術は、最も一般的な解決策であり、エアレーターの上部からワインを注ぐ際に、グラスの上方で、手で持って使用する必要がある。ワインがエアレーターを通過して流れるときに泡が送られ、ワインには瞬間的に空気が通される(breathe)。気泡注入は、最も販売された装置のアプローチ法の1つであり、デカンタに気泡を不規則に、強制的に供給することにより、無作為なエアレーションを提供する。課題は、気泡が非常に不規則であるため、デカントされたワインの味に、いわゆるホットスポットとコールドスポットと呼ばれるものを残すことである。他のデカンタは、デカント済みワインを作るために、(塊ではない)ばらばらの磁気玉と可変速度モータを使用してワインをかき混ぜる。しかし、既知の技術は、ワインのデカンテーションのプロセスにおいて完全に満足のいく結果をもたらすことができず、ワイン生産者の意図した個性を変えずに、完全にデカントされたワイン、蒸留酒、ビネガー、ジュース、またはコーヒーを提供することはできなかった。
【0011】
したがって、数分のうちにワインを「熟成」させる、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒーのデカンテーション装置へのニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はワイン、蒸留酒、およびコーヒーの処理技術に関する。さらに、本発明は、デカンタシステムを含む、発光ワインデカンテーション装置を開示する。
【0013】
当該装置は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒーのデカンテーション、および「熟成」を行い、また、特にジュースに関する場合にはpH値を増加するように構成されている。一実施形態では、装置は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒーの酸化、および、化学成分の蒸発を引き起こすために、デカンタ内のワイン、蒸留酒、およびコーヒーと空気中の酸素とを、運動性部品(movement component)を介して混合するように調整可能である。
【0014】
別の実施形態では、発光装置がベース部にさらに備わっており、プロセッサまたはマイクロコントローラによって制御される。当該発光装置は、極めて最小限の熱量を生成し、流体(例えばワイン)が当該最小限の熱量から断熱され、かつ、既定または所定の狭帯域の波長で放出または放射することを保証し、さらに任意の実施形態では、当該発光装置は変数または蒸留水(spirit)によって調整可能である。この装置は、光源からの有害な紫外線(UV)光を防止する。
【0015】
さらに、一実施形態では、亜硫酸塩、特に二酸化硫黄(SO)の減少を加速するために、完全かつ正確な風味を生成する装置が発光装置と組み合わせて備えられ、および、当該装置は、ワインを高波長光で処理しながら、風味から不快な臭いを取り除く。
【0016】
一実施形態では、デカンタは可視光を透過するように適合され、約90%の非UV光がデカンタを通過できるようにすることによって実現される。ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーは、腐敗することなく、必要な最大量の空気に曝露されるまで、デカンタに何時間も入れたままにしておくことができる。一実施形態では、デカンタはガラス製デカンタであってもよい。いくつかの実施形態では、デカンタは単純なカラフ(水差し)であってもよい。
【0017】
一実施形態では、装置は、電子部品を収容する内部中空部を有するベース部と、流体容器がその上に置かれているベース部の頂部にある透明媒体と、ベース部に位置し、流体容器が置かれているベース部の頂部に向かって配置された、光を発することができる発光素子(LEE)と、LEEと通信するプロセッサと、処理される流体に関する特性を入力するためのユーザインターフェースと、を備える。プロセッサは、入力に基づいて、LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御する。
【0018】
別の実施形態では、流体を光処理するシステムが提供される。このシステムは、ユーザに関連付けられたスマートデバイスであって、処理される流体に関する特性を入力するためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を備えるスマートデバイスと、ワイヤレスプロトコルを介してスマートデバイスと通信するネットワークと、流体を光処理する装置と、を備え、当該装置は、電子部品を収容する内部中空部を有するベース部と、流体容器がその上に置かれているベース部の部分の頂部にある透明媒体と、ベース部に位置し、流体容器が置かれているベース部の頂部に向かって配置された、光を発することができる発光素子(LEE)と、LEEと通信するプロセッサと、を備える。プロセッサは、GUIからの入力に基づいて、LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御する。
【0019】
別の実施形態では、流体を光処理する方法が提供される。この方法は、ベース部に近接した容器に流体を配置するステップと、電子部品を収容するための内部中空部分を有するベース部から容器内の流体に光を当てるステップと、ユーザインターフェースを介して、処理される流体に関する特性を入力するステップと、プロセッサを使用して、LEEによって生成される光の強度または持続時間の少なくとも1つを制御することと、を含む。光を当てるステップは、第1のLEDからの青色光と、第2のLEDからの黄色光とを含む。
【0020】
複数の実施形態では、変動磁界発生器によって発生された磁場が、運動性部品を、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒー内で動作するように駆動し、その結果、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒー内にガス注入口用のガスチャネルが形成され、運動性部品は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーへのガスチャネルに入る空気を打ちつける。
【0021】
一実施形態では、装置は、少なくとも1つの発光装置(LEE)および蛍光体層を備える。一実施形態では、蛍光体を備えたLEEを装置のベース部内に配置することができる。一実施形態では、LEEは青色光LEEである。一実施形態では、装置は、装置のベース部内に配置されたLEEを介して低可視光を提供する。一実施形態では、低可視光のスペクトルである。一実施形態では、LEEは、光を放射している間、最小限の熱を発生し、断熱体が提供される。一実施形態では、LEEは、光がデカンタを通過するように、所定の狭帯域の波長で放出または放射する。一実施形態において、蛍光体層がLEE上に堆積される。青色と黄色の光子の組み合わせは、白色光を生成する。蛍光体層を介したLEEからの青色光の発光スペクトルは、白色光スペクトルを生成する。一実施形態では、装置は、白色光で照明することができるが、これに限定されない。一実施形態では、黄色光と青色光の波長を組み合わせることによって白色光を生成することができる。
【0022】
一実施形態において、白色光のスペクトルは、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)蛍光体とともに、窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN)の青色光によって生成される。
【0023】
一実施形態では、装置は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーを素早くデカントし、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーに完全かつ正確な風味を与えるために、最適な速度回転(OSR)を備えた速度デカンテーション技術をさらに含む。一実施形態では、速度デカンテーション技術は、デカンタ内のワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーのデカンテーションプロセスを改善することができる。
【0024】
一実施形態において、装置の最適な速度回転を伴う速度デカンテーション技術は、最適速度でデカンタを回転させるように構成される。一実施形態において、デカンタの最適速度は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーの味を実現し、風味および品質を改善することができる。
【0025】
一実施形態では、速度デカンテーション技術は、より多くの酸素を取り入れ、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒー中の化学化合物の酸化および蒸発を引き起こすために、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、およびコーヒーの曝露時間を増加させる。
【0026】
他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、本発明の主旨および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者にとって明らかであることから、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているものの、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【0027】
前述の概要および以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより理解される。本発明を説明する目的で、本発明の例示的な構造が図面に示されている。ただし、本発明は、本明細書に開示された特定の方法および構造に限定されない。図面内の数字によって参照される方法ステップまたは構造の説明は、本明細書の後続の図面において同じ数字によって示される、その方法ステップまたは構造の説明に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、一実施形態による、デカンタを備えた発光流体デカンテーション装置の斜視図である。
【0029】
図2図2は、一実施形態による、発光流体デカンテーション装置の断面図である。
【0030】
図3図3は、一実施形態によるベース部の正面内部図である。
【0031】
図4図4は、一実施形態による、装置の上面図である。
【0032】
図5図5は、一実施形態による、ネットワークに接続された装置のシステム図である。
【0033】
図6図6は、一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェイスである。
【0034】
図7図7は、本発明の一実施形態による、青色光スペクトルと蛍光体を用いて生成された白色光のスペクトルの強度プロットである。
【0035】
図8図8は、本発明の一実施形態による、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプのスペクトルの強度プロットである。
【0036】
図9図9は、本発明の一実施形態による、白熱灯および白色LEDのスペクトルの強度プロットである。
【0037】
図10図10は、一実施形態による、ワイン、蒸留酒またはコーヒーをデカントする方法を示した段階的な方法図である。本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることが予期される。記載された実施形態は、あらゆる点で単なる例示であり、限定的ではないと考えられるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態は、図面を参照して以下に議論される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの限定された実施形態を超えて拡張されるため、これらの図に関して本明細書で与えられる詳細な説明は、説明を目的としていることを容易に理解するであろう。例えば、当業者は、本発明の教示に照らして、特定の応用の必要性に応じて、任意の所与の機能を実施するための多数の代替的かつ適切なアプローチを認識することを理解されたい。本明細書に記載される詳細は、記載される以下の実施形態における特定の実施の選択肢を超えて示される。すなわち、本発明には、列挙するには多すぎるものの、すべて本発明の範囲内に収まる多数の修正および変形が存在する。また、必要に応じて、単数形の単語を複数形に、またその逆も同様に、また男性形を女性形として、またその逆も同様に解釈する必要があり、別の実施形態は、必ずしもこの2つが相互に排他的であることを意味するものではない。
【0039】
本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、化合物、材料、製造技術、使用、および適用に限定されないことをさらに理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用され、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含むことに注意しなければならない。したがって、例えば、「要素」への言及は、1つまたは複数の要素への言及であり、当業者に知られているその等価物を含む。同様に、別の例として、「ステップ」または「手段」への言及は、1つまたは複数のステップまたは手段への言及であり、サブステップおよび従属手段を含むことができる。使用されるすべての接続詞は、可能な限り包括的な意味で理解する必要がある。したがって、「または」という言葉は、文脈上明らかに別段必要とされない限り、論理的な「排他的論理和」の定義ではなく、論理的な「または」の定義を持っていると理解されるべきある。本明細書に記載の構造は、そのような構造の機能的等価物を指すことも理解されるべきである。近似を表現すると解釈される可能性のある言語は、文脈から明確に別段の定めがない限り、そのように理解されるべきである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュース、またはコーヒーを含むがこれらに限定されない、デカンテーションされ、光または光子で処理される容器内のあらゆる食品流体を指し得る。
【0041】
図1を参照すると、デカンタ102を備えるワイン、蒸留酒またはコーヒーの発光デカンテーション装置100の斜視図が示されている。一実施形態で、装置100は、数分のうちに、ワイン、蒸留酒およびコーヒーの熟成をシミュレーションするために、ワイン、蒸留酒およびコーヒーのデカンテーションを行うよう構成されている。一実施形態で、装置100は、本明細書中で説明される流体にフォトニック効果を生成するために、発光装置が所定の波長の光を発光する間に、ワイン、蒸留酒およびコーヒー、蒸留酒およびコーヒーの、一定の化学成分の酸化および蒸発を誘発するために、運動性部品または攪拌部品を介して、ワインデカンタ102のような流体保持容器内のワイン、蒸留酒、および、コーヒー、蒸留酒およびコーヒーと、空気中の酸素とを混合するように適合可能である。
【0042】
一実施形態で、ワインデカンタ102のような流体保持容器は、装置100の頂部に位置している。デカンタ102は透明で、デカンタ102の少なくとも底部を可視光が通過できるように適合されている。一実施形態で、デカンタ102は約350nmの、またはそれよりも大きい波長の光の約90%をそれ自体に通過させるフィルムを底部に有する。ワイン、蒸留酒およびコーヒー、蒸留酒およびコーヒーは、劣化することなく何時間もデカンタ102に保存することができ、および、必要最大限の空気に曝露される状態に到達するまで保存することができる。
【0043】
一実施形態で、装置100はベース部104(より詳細には図2を参照)と、ユーザインターフェース(UI)106と、所定の量のエネルギーを有する光子110をそれ自体に通過させる透明媒体108と、を備える。一実施形態で、透明媒体108は透明、不透明、または半透明であってもよい。
【0044】
図2を参照すると、いくつかの内部部品がその中に200として示される、ベース部104の断面図が示されている。発光素子(LEE)202がマイクロコントローラ204に接続されている。LEEは、それ自体の頂部に配置された蛍光体層210を備える。発光素子202は発光ダイオード(LED)を備えることができるが、任意の実施形態においては、いかなる発光装置であってもよい。一実施形態で、蛍光体層210を伴うLEE202は装置100のベース部104内に配置される。蛍光体層210は任意でLEE202上に配置される。一実施形態で、LEE202は青色LEDである。一実施形態で、LEE202は、装置100のベース部104内に配置されたLEE202を介して、低可視光を供給する。一実施形態で、低可視光のスペクトルは450nmから600nmの範囲である。LEE202は発光の間、最小限の熱量を発生するが、熱がワインに影響しないことをさらに確証するために、LEEと媒体108の間に断熱層212が備わっている。断熱層212は、光または光子の特性を変更することなく、すべての入射光を通過させる、透明材料で形成されることができる。一実施形態で、LEE202は、ワイン、蒸留酒およびコーヒーを所望のレベルまで熟成させるために、光を蛍光体層210、断熱層212、および媒体108を通過して、デカンタ102に到達するように、所望の狭帯域波長で発光および放射する。
【0045】
マイクロコントローラまたはプロセッサ204は、LEE202、例えばバッテリ214のような電源、無線通信インタフェース216、およびUI106を制御および操作するために使用されるLEE202と電子通信する。一実施形態で、マイクロコントローラ204は単一の集積回路チップ上の小型コンピュータまたはプロセッサであり、メモリおよびプログラム可能入力/出力周辺装置を伴った、1つ以上の中央処理装置(CPU)を備える。任意の実施形態で、電子機器を操作するのに異なるコンピュータ装置が使用されてもよい。マイクロコントローラ204は、光で処理または熟成されるワインまたは蒸留酒の種類に基づいて、LEE202の強度をユーザが制御できるようにする、WIFI、Bluetooth(登録商標)、または他の無線手段を介した、ユーザのスマートフォンまたは他のスマートデバイスといった、無線通信装置と接続されることができる。さらに、マイクロコントローラ204は、ユーザがブドウのヴァラエタル(品種)を選べるように、ヴァラエタルの所定のリストに基づいた所定の値がロードされてもよく、および、その特定のヴァラエタルの味および柔らかさを最適に処理するために、マイクロコントローラはLEEを最適な強度、波長および時間に設定する。
【0046】
実施形態では、青色光(435―500nm)と黄色光(565-590nm)の組み合わせは、白色光を生成することができる。蛍光体層108を通るLEE106からの青色光の発光スペクトルは、白色光スペクトルを生成する。
【0047】
図3を参照すると、LEE202の正面図が、他の内部部品と共に示されている。この実施形態で、LEEは2つのLED302および304を備えている。一実施形態で、装置100は白色光スペクトルを照射することができ、一方で、他の実施形態では、黄色LED302と青色LED304の波長を組み合わせることにより、白色光を生成できる。LED106からの、蛍光体層108を通る青色光の発光スペクトルは、白色光スペクトルを生成する。蛍光体層は青色LEDから発せられる幾分かの青色光を吸収し、黄色光を再度発光し、その結果、青色光と黄色光の混合として、白色光が生成される。白色光の性質は、蛍光体層の厚さ、濃度および位置に対して反応しやすい。
【0048】
一実施形態で、装置は液体の光処理を、インペラ(羽根車)306を介して、デカンテーション工程と組み合わせ、および、装置100の変動磁界発生器はデカンタ102内の流体に渦を発生させる。一実施形態で、インペラ306はマイクロコントローラ214およびモータ312によって動く駆動シャフト310と接続され、渦巻効果を発生し、それによって、ワイン、蒸留酒、およびコーヒー、蒸留酒およびコーヒーと空気との間の接触を高め、素早いデカンテーション効果を実施する。インペラ306は、モータ312によって、または、渦巻効果を生成し、それによってワインと空気の間の接触を高める変動磁界を生成する、変動磁界発生器によって駆動されることができる。
【0049】
図4を参照すると、実施形態に従った、頂部にデカンタが乗っていない装置の上面図を示している。上面図から、参照番号400として、ベース部104、UI106、透明媒体108、LED302および304およびインペラ310を見ることができる。示されているように、および、操作時に、ユーザは、デカンタ102を透明媒体108上に配置し、透明媒体108は、ユーザがUIを介して開始すると、流体に渦を生成するために、駆動シャフトおよびインペラと連通する。任意の実施形態では、インペラはデカンタそのものと接続し、駆動シャフト310を介してベースと連通し、インペラの原動力を供給する。
【0050】
図5を参照すると、システム図が500として示されている。実施形態では、ユーザのスマートフォン504がネットワーク502を介して装置100と通信することができる。いくつかの実施形態で、ネットワークは、少なくとも、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、通信ネットワーク、モバイルネットワーク、Bluetoothまたはインターネットである。このように、ユーザは、装置100と接続するために、自身の携帯電話を使用し、および、流体の種類、ヴァラエタル、個人的好みなどの流体パラメータを入力するために、電話機のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)506を使用することができる。
【0051】
図6は、図5の例示的GUIを示している。操作時、ユーザが、例えばBluetoothを介して装置に接続すると、一連のパラメータを選択するために、モバイルアプリケーションストアからダウンロードされたモバイルアプリケーションを使用することができ、各パラメータは少なくとも2つの部品、すなわちモータ312およびLEE202に影響を及ぼす。いくつかの例示的パラメータが示されており、流体種類602、ヴァラエタル種類604、醸造年またはヴィンテージ606、ユーザの嗜好608が含まれる。パラメータ番号610は本発明の範囲内の、ここに示されない他のすべてのパラメータのために示されている。
【0052】
例示的実施形態において、操作時、ユーザはワインなどの流体種類、バローロなどのヴァラエタル、および2012年などの醸造年を選択することができる。ユーザの嗜好も選択することができる(一般的嗜好対独自の嗜好)。ユーザからの情報が受信されると、情報は処理され、装置マイクロコントローラに送信され、装置マイクロコントローラは次に、インペラの速度や流体がデカンタされる時間量(すなわち、最良の味を確保するために、どれくらいの時間、渦が生成されるべきか)を含むがそれらに限定されない、モータのための様々なパラメータを制御する。マイクロコントローラまたはプロセッサは、流体に応じて、時間、強度、および光の色を含むがそれらに限定されないLEEのパラメータをさらに制御することができる。
【0053】
図7を参照すると、蛍光体層を伴う青色光スペクトルで生成された白色光のスペクトルの強度プロットAが示されている。一実施形態では、白色光のスペクトルは、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)蛍光体とともに、窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN)青色光によって生成される。プロットAのピークBは、GaNまたはInGaNの発光ピーク波長が450nmから500nmの範囲にあることを表している。一実施形態では、プロットAのピークCは、Ce:YAGの発光ピーク波長が500nmから600nmの範囲にあることを表している。
【0054】
図8を参照すると、蛍光灯、白熱灯、およびハロゲンランプのスペクトルの強度プロット(D、E、およびF)が示されている。一実施形態では、スペクトルの強度プロット(D、E、およびF)は、それぞれ蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプなどの3つの異なる光源からの光の分布を示している。白熱灯とハロゲンランプは連続スペクトルを提供し、一方で蛍光灯は異なる波長の光の個別のバンド(周波数帯)を提供する。各バンドは、消費者の好みに基づいてUIまたはGUIを介して調整できる。
【0055】
図9を参照すると、白熱灯と白色LEDのスペクトルの強度プロット(GとH)が示されている。一実施形態では、スペクトルの強度プロット(GおよびH)は、それぞれ、白熱灯および白色LEDなどの2つの異なる光源からの光の分布を示している。一実施形態では、白熱灯のスペクトルは、近赤外線および460nmから560nm、1mmまでの範囲の波長を生成することができる。一実施形態では、470nmから520nmの範囲の白色LEDの波長を生成することができる。
【0056】
本発明の他の実施形態によると、装置100は、デカンタ102に配置された運動性部品の最適速度回転(OSR)を維持することにより、速度デカンテーション技術をさらに組み込んでいる。一実施形態では、速度デカンテーション技術は、デカンタ102に入ったワイン、蒸留酒およびコーヒーのデカンテーション工程を向上する。一実施形態では、装置10の最適速度回転を伴う速度デカンテーション技術は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒー、蒸留酒およびコーヒー内で、最適速度で運動性部品を回転するように構成されている。一実施形態では、最適速度および光処理が、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、および、または新しい、または開封前の蒸留酒またはコーヒーといった、ワイン、蒸留酒およびコーヒーの味を実現し、および、風味および品質を向上させる。
【0057】
重要なことだが、速度デカンテーション技術は、ワイン、蒸留酒、酢、ジュースおよびコーヒーのすべての特徴を、効果的に味わいと香りに至らせるために、光処理と共に作用する。
【0058】
ワイン、蒸留酒およびコーヒー、蒸留酒およびコーヒーをそれぞれデカンテーションするのに必要な時間は、既知の装置を使用する他のワインとは異なる。最も一般的なデカンテーションの平均時間は、ワイン、蒸留酒、ジュース、酢、コーヒーの種類に基づいている。タンニンが多く、力強い赤ワインや、カベルネソーヴィニヨン、シラー、バローロなどの閉じたワインは、ワインをデカンテーションするのに2時間かかる場合がある(20よりも経過していない場合)。ピノノワールやガメイのような若くて軽い赤ワインは、ワインをデカンテーションするのに30分から1時間かかる場合がある。テーブルワインや安価な食料品店の赤ワインは、通常、4時間ものデカンテーションと過程に耐えることもあるが、白ワインは、開き始めるまで約1時間または30分ごとに処理できる。シャルドネのような濃厚で力強い白ワインは、ワインをデカンテーションするのに約1時間かかることがある。ピノグリージョのような軽い白ワインは、ワインをデカンテーションするのに数分、最大30分かかる。シャンパンはデカンテーションするのに1時間もかからない。もちろん、これは
【0059】
必然的に、より強さのある古いワイン(例えば、カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンやボルドー)は、デカンタでの長時間の空気曝露に耐えることができるが、軽いワイン(例えば、ピノノワールやほとんどのブルゴーニュヴィンテージ)は、多くのデカンテーション過程に耐えることができない可能性がある。あるいは、より若いワイン(20年未満)は、その若々しい風味を失うことなく、デカンタ内で最大4時間耐えうる。
【0060】
一実施形態では、本発明者らは、ワイン、蒸留酒、およびコーヒーの発光デカンテーション装置100を使用して、ワインのデカンテーション工程の持続時間パラメータを発見した。一実施形態では、20年以下のボトルのカリフォルニアのカベルネワインは、デカンテーションに10分かかる場合がある。20年以下のボトルのボルドーワインは、デカンテーションに8-10分かかる場合がある。10年以下のボトルのブルゴーニュワインは、デカンテーションに1-2時間かかる場合がある。10年以下のボトルのプティシラーワインは、デカンテーションに2時間かかる場合がある。20年以下のボトルのピノノワールのワインは、デカンテーションに10分かかる場合がある。20年以下のボトルのシャルドネワインは、デカンテーションに1-5分かかる場合がある。操作中、ユーザがGUIまたはUIのいずれかに品種を入力すると、時間と強度が自動的に追加され、上記に基づいてデカンタで実行される。
【0061】
一実施形態では、ワイン、蒸留酒、およびコーヒーの発光デカンテーション装置100を使用するコーヒーのデカンテーション工程の持続時間パラメータ。一実施形態では、アイスおよびホットのブリューコーヒーは、最大1分30秒かかる場合がある。
【0062】
一実施形態では、スコッチおよびウイスキーの蒸留酒は、デカンテーションに5-10分かかる場合がある。メスカル、コニャック、ラム酒の蒸留酒は、デカンテーションに3-5分かかる場合がある。テキーラはデカンテーションに4―8分かかる場合があり、ブランコテキーラまたはアネホテキーラによって異なる。酒はデカンテーションに2-5分かかる場合がある。バーボンは長くて3分かかる場合がある。8年以下のラムは3分かかる場合がある。ウォッカおよびジンは10分かかる場合がある。12年以下のブランデーは5-10分かかる場合がある。6年以下のコニャックは3分かかる場合がある。
【0063】
一実施形態では、ワイン、蒸留酒、およびコーヒーの発光デカンテーション装置100を使用するコーヒーのデカンテーション工程の持続時間パラメータ。一実施形態では、アイスおよびホットのブリューコーヒーは、最大1分30秒かかる場合がある。
【0064】
装置100は、過剰なアルコールおよびエタノールまたは亜硫酸塩などの望ましくない化合物を極めて迅速に蒸発させながら、他の風味をワインに出現させることができる。装置100は、熟成したワインのボトルから沈殿物を除去することができる。装置100は、ワインを迅速にデカンテーションすることができ、ワインに完全かつ正確な風味を提供する。
【0065】
また、上記のヴァラエタルのそれぞれは、使用される所定の光波長を有することができる。特定の光の波長は、一定の蒸留酒にも使用可能である。
【0066】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するために本発明者らに知られている最良のモードを含めて、本明細書に記載されている。例示された実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0067】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態を含む。このように本発明の例示的な実施形態を説明したので、当業者は、開示は例示にすぎず、本発明の範囲内で他の様々な代替、適用、および修正を行うことができることに留意されたい。方法のステップを特定の順序でリストまたは番号付けするだけでは、その方法のステップの順序を限定しない。本発明の多くの修正および他の実施形態については、本発明が前述の説明の教示の利益を有することに関連する当業者が想到するであろう。本明細書では特定の用語を使用することができるが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。したがって、本発明は、本明細書に示される特定の実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】