(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】火花点火器の寿命検出
(51)【国際特許分類】
F02C 7/266 20060101AFI20220216BHJP
F02P 17/12 20060101ALI20220216BHJP
H01T 15/00 20060101ALI20220216BHJP
H01T 13/60 20110101ALI20220216BHJP
【FI】
F02C7/266
F02P17/12 Z
H01T15/00 B
H01T15/00 C
H01T13/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535831
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019067630
(87)【国際公開番号】W WO2020132338
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505431156
【氏名又は名称】チャンピオン・エアロスペース・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CHAMPION AEROSPACE LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロックミラー,ロバート・エイ
(72)【発明者】
【氏名】トップラニ,アミット
【テーマコード(参考)】
3G019
5G059
【Fターム(参考)】
3G019BA01
3G019CA11
3G019LA01
3G019LA07
5G059AA10
5G059BB03
5G059KK30
(57)【要約】
ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための装置。この装置は、サンプルホールド回路を形成するように配置されたホールドキャパシタとトランジスタと演算増幅器とを含む回路要素を有する評価回路を含む。点火器火花インパルス信号が評価回路の入力ノードに与えられると、トラジスタはオンし、ホールドキャパシタは点火器火花インパルス信号の持続時間にわたり部分的に放電し、ホールドキャパシタにおける放電電圧を演算増幅器が維持して出力し、放電電圧は、点火器火花インパルスの持続時間を、火花点火器の寿命の状態を表示するものとして表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための装置であって、前記装置は、
火花インパルスの持続時間を求めるように構成された評価回路を備え、前記評価回路は点火器火花インパルス信号を受ける入力ノードを含み、前記評価回路は回路要素を有し、前記回路要素は、
入力ダイオードと積分器キャパシタとの直列接続を通して前記入力ノードに作動的に結合されたホールドキャパシタを含み、前記点火器火花インパルス信号を前記入力ノードに与えることで前記ホールドキャパシタをリセットし、前記回路要素はさらに、
抵抗器を通して前記ホールドキャパシタに作動的に結合されたトランジスタを含み、前記トランジスタのゲート端子は前記入力ノードに接続され、前記トランジスタは、前記点火器火花インパルス信号が前記入力ノードに与えられるとオンし、前記点火器火花インパルス信号が終わるとオフし、前記トランジスタがオンすることで、前記ホールドキャパシタは、前記点火器火花インパルスの持続時間にわたり部分的に放電し、前記回路要素はさらに、
前記ホールドキャパシタに接続され、放電した前記ホールドキャパシタの電圧レベルに応じた電圧を出力するように構成された増幅器を含み、前記電圧は、前記点火器火花インパルスの持続時間を、前記火花点火器の寿命の状態を表示するものとして表す、装置。
【請求項2】
前記評価回路は、エキサイタ回路に接続され、前記エキサイタ回路内のオプトアイソレータを通して前記点火器火花インパルス信号を受けるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記増幅器の出力電圧を受け前記出力電圧を前記点火器火花インパルスの持続時間を表示する視覚表現に変換するように構成されたインジケータ回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記インジケータ回路はさらに、前記点火器火花インパルスの持続時間に対応する数のLEDを照明するように構成されたLEDドライバ回路を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記増幅器は、単位利得バッファとして構成された演算増幅器である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ホールドキャパシタ、前記トランジスタ、および前記演算増幅器は、サンプルホールド回路を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記評価回路はさらに、前記演算増幅器の入力における電圧がしきい値を超えないようにするために前記増幅器に接続されたダイオードを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記火花点火器の寿命の状態は、前記火花点火器における電極腐食の程度を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ホールドキャパシタは、前記抵抗器が制御するレートで放電される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための装置であって、前記装置は、
評価回路を備え、前記評価回路は回路要素を有し、前記回路要素は、サンプルホールド回路を形成するように配置されたホールドキャパシタとトランジスタと演算増幅器とを含み、点火器火花インパルス信号が前記評価回路の入力ノードに与えられると、前記トラジスタはオンし、前記ホールドキャパシタは前記点火器火花インパルス信号の持続時間にわたり部分的に放電し、前記ホールドキャパシタにおける放電電圧を前記演算増幅器が維持して出力し、前記放電電圧は、前記点火器火花インパルスの持続時間を、前記火花点火器の寿命の状態を表示するものとして表す、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンの点火システムに関し、特に、火花点火器の寿命の状態を判断するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
典型的なタービンエンジンでは、点火源がタービンの動作サイクルを開始することが必要である。この点火源は、ほとんどの場合、火花点火システムによって提供される。一般的に、典型的な点火システムは1つ以上の点火サブシステムを含み、各点火サブシステムは、エキサイタ回路と、点火リード線と、点火器(本明細書では火花点火器またはスパークプラグとも呼ぶ)とを含む。
【0003】
エキサイタ回路は、バッテリ、電力バスまたは交流電源から供給された電気エネルギを、一連の高電圧インパルスに変換する。これらのインパルスは、適切な点火リード線を通して点火器に導かれて、点火器の電極(またはチップ)間に火花を生じさせる。点火器は、通常は航空機エンジンおよび発電タービンエンジンに使用されるが、自動車の内燃機関でも使用され、この場合はスパークプラグと呼ばれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明のある局面に従い、ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための装置が提供される。この装置は、火花インパルスの持続時間を求めるように構成された評価回路を備え、評価回路は点火器火花インパルス信号を受ける入力ノードを含む。評価回路は回路要素を有し、回路要素は、
入力ダイオードと積分器キャパシタとの直列接続を通して入力ノードに作動的に結合されたホールドキャパシタを含み、点火器火花インパルス信号を入力ノードに与えることでホールドキャパシタをリセットし、回路要素はさらに、
抵抗器を通してホールドキャパシタに作動的に結合されたトランジスタを含み、トランジスタのゲート端子は入力ノードに接続され、トランジスタは、点火器火花インパルス信号が入力ノードに与えられるとオンし、点火器火花インパルス信号が終わるとオフし、トランジスタがオンすることで、ホールドキャパシタは、点火器火花インパルスの持続時間にわたり部分的に放電し、回路要素はさらに、
ホールドキャパシタに接続され、放電したホールドキャパシタの電圧レベルに応じた電圧を出力するように構成された増幅器を含み、この電圧は、点火器火花インパルスの持続時間を、火花点火器の寿命の状態を表示するものとして表す。
【0005】
上の段落の装置はさらに、以下の特徴のうちのいずれかの特徴またはそれよりも多い特徴を、技術的に可能な任意の組み合わせで含み得る。
【0006】
評価回路は、エキサイタ回路に接続され、エキサイタ回路内のオプトアイソレータを通して点火器火花インパルス信号を受けるように構成されている。
【0007】
上記装置は、増幅器の出力電圧を受け出力電圧を点火器火花インパルスの持続時間を表示する視覚表現に変換するように構成されたインジケータ回路をさらに備える。
【0008】
インジケータ回路はさらに、点火器火花インパルスの持続時間に対応する数のLEDを照明するように構成されたLEDドライバ回路を含む。
【0009】
増幅器は、単位利得バッファとして構成された演算増幅器である。
ホールドキャパシタ、トランジスタ、および演算増幅器は、サンプルホールド回路を形成する。
【0010】
評価回路はさらに、演算増幅器の入力における電圧がしきい値を超えないようにするために増幅器に接続されたダイオードを含む。
【0011】
火花点火器の寿命の状態は、火花点火器における電極腐食の程度を表す。
ホールドキャパシタは、抵抗器が制御するレートで放電される。
【0012】
ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための装置は、
評価回路を備え、評価回路は回路要素を有し、回路要素は、サンプルホールド回路を形成するように配置されたホールドキャパシタとトランジスタと演算増幅器とを含み、点火器火花インパルス信号が評価回路の入力ノードに与えられると、トラジスタはオンし、ホールドキャパシタは点火器火花インパルス信号の持続時間にわたり部分的に放電し、ホールドキャパシタにおける放電電圧を演算増幅器が維持して出力し、放電電圧は、点火器火花インパルスの持続時間を、火花点火器の寿命の状態を表示するものとして表す。
【0013】
以下、本発明の1つ以上の実施形態について、添付の図面との関連で説明するが、図面における同様の名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る、火花点火器の寿命の状態を判断するためのシステムの、具体例としての実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
ガスタービンエンジンの点火システムのモニタリングは、通常このようなシステムは航空機エンジンの燃焼を開始し維持するために使用されるので、特に注目される。ガスタービンエンジンの点火システムの動作をモニタリングすることで、このシステムが誤動作している表示を得ることができる。誤動作している点火システムの表示を提供することで、フレームアウト発生後に点火システムがエンジンを再始動できることを保証する上で、または、次のフライトに先立ってメンテナンスサイクルを開始するために、特に重要となり得る安全対策が得られる。
【0016】
ガスタービンエンジンの点火システムをモニタリングする際は、点火器プラグの健全性の状態に注目することが多い。なぜなら、点火器プラグは、通常の点火器電極の腐食が原因で平均寿命に限界がある点火システムの部品であるからである。点火器の腐食の状態(すなわち寿命の状態)を評価する手段は、オペレータにとって極めて有益である。
【0017】
一般的に、火花の持続時間は、点火器の電極の通常の腐食のために、点火器またはスパークプラグの動作寿命にわたって減少する(すなわち放電レートが高くなる)。以下で開示されるシステムおよび方法は、この火花持続時間の減少を、点火器の摩耗(すなわち腐食)または寿命の状態を判断するための手段であると認識する。このように、点火器の寿命の実際の評価は、検査のために点火器をエンジンから取り外さなくても、火花持続時間を観察することで、行うことができる。
【0018】
典型的に、ガスタービンエンジンにおける点火シーケンスは、エキサイタ回路が生成した狭い高電圧パルスによって開始される。首尾よく点火するために、点火器プラグでこの高電圧パルスを放電して火花を生じさせる。点火器の寿命の状態を判断する際に、エキサイタの特徴と点火器の特徴とを区別し、典型的にエキサイタからの「健全な放電」はインパルス持続時間の最大値または最小放電レートを有するのに対し、点火器の「健全な放電」は最小の火花持続時間または最大放電レートを有することを認識することが、好都合である。
【0019】
図面は、ガスタービン点火システムにおける火花点火器の寿命の状態をモニタリングするための、具体例としての装置を示す。この装置は、エキサイタ回路(1)の出力に接続された評価回路を含み、エキサイタ回路は、点火器への出力(2)を有する単純な形式で示されている。点火器への出力は、正常動作および異常動作中に、オプトアイソレータ(3)を通じて結合される電流または火花インパルス信号を生成することにより、評価回路(4)への入力に適したレベルおよび特徴の信号を生成する。点火器火花インパルス信号は、評価回路(4)の入力ノードに与えられ、ダイオード(5)と積分器キャパシタ(6)との直列接続を通る。ダイオード(5)および積分器キャパシタ(6)を通して与えられた火花インパルス信号は、ホールドキャパシタ(9)を瞬間的に充電またはリセットする。このリセットの期間は、火花の繰り返し期間全体と比較して、観察者が気付かないまたは観察者にとって重要ではないものにするのに十分に短い。
【0020】
点火器火花インパルス信号は、このインパルス信号の持続時間の間、入力ノードを通して電界効果トランジスタ(FET)(8)のゲート端子にも与えられる。ここでは、FET(8)は当該技術においてサンプルホールド回路として知られているものにおけるスイッチング機構として動作し、このサンプルホールド回路は、FET(8)と、ホールドキャパシタ(9)と、
図1に示されるように電圧フォロワとして構成された演算増幅器(11)との組み合わせで形成されている。この構成において、FET(8)がオンし閉じられたスイッチのように作用することにより、火花インパルス信号の持続時間の間ホールドキャパシタ(9)を放電する。ホールドキャパシタ(9)は、抵抗器(7)が制御するレートで放電される。ツェナーダイオード10が、予め定められたレベルまたはしきい値を電圧が超えないことを保証する。
【0021】
ホールドキャパシタ(9)が放電すると、同じ電圧が、単位利得バッファとして構成された演算増幅器(11)の出力に現れる。火花期間の最後に、FET(8)のゲートの電圧がゼロの場合、FET(8)はオフに切り替えられてホールドキャパシタ(9)の放電を中断する。演算増幅器(11)の入力インピーダンスが高いので、ホールドキャパシタ(9)の電圧は、演算増幅器(11)の非反転入力で保持され、これは、演算増幅器(11)の出力において、「火花シグナチャ」(12)として現れる。この電圧レベルまたは火花シグナチャは、点火器の火花の持続時間を表している。たとえば、火花の持続時間が長いほど、「火花シグナチャ」電圧は低くなり、火花持続時間が短いほど、「火花シグナチャ」電圧は高くなり、短い火花持続時間は、電極の腐食の程度が大きいことを示す。
【0022】
ある特定の実施形態において、火花シグナチャ電圧(12)を、インジケータ回路(13)で使用して、火花インパルスの持続時間を、照明されたLEDの量で表示するように、LEDアレイを設定する。そうすると、ユーザは、このLEDアレイ表示を、点火器の寿命の状態すなわち点火器の腐食の程度の視覚的インジケータとして解釈することができる。
図1に示されるLEDアレイは代表例であり、その他の方法、回路、および視覚インジケータを利用して火花インパルス信号を表現しユーザに対して表示してもよいことを、当業者は理解する。
【0023】
上述の図面および説明は、開示されている装置の、可能性のある実施形態のうちの一部を示すことを意図しているにすぎないことが、理解されるはずである。例として、構成要素のさまざまな組み合わせの周りに描かれたさまざまな破線およびボックスは、これらが表している装置の厳密なまたは具体的な境界または外周であることを意味している訳ではない。むしろ、これらは単に、具体例としての装置の、さまざまな構成要素、デバイス、断面などを示すのに役立つようにするために設けられている。
【0024】
さらに、評価回路(4)が、
図1に示される構成要素および装置の組み合わせと異なる組み合わせを、図示されているものよりも多い、少ない、またはそれと異なる構成要素を有する組み合わせを含めて、含み得ることを、当業者は理解するであろう。加えて、トランジスタの種類は、電界効果トランジスタに、または
図1に示されるトランジスタpin構成に、限定されない。
【0025】
これまでの記述は、本発明の1つ以上の実施形態の説明である。本発明は、本明細書に開示されている特定の実施形態(複数の実施形態)に限定される訳ではなく、以下の請求項によってのみ定められる。さらに、上記説明に含まれている記述は、特定の実施形態に関するものであり、用語または表現が上記説明において明確に定義されている場合を除いて、発明の範囲をまたは請求項で使用されている用語の定義を限定するものと解釈されてはならない。その他の各種実施形態、ならびに、開示されている実施形態(複数の実施形態)の各種変更および修正は、当業者には明らかになるであろう。このようなその他の実施形態、変更、および修正はすべて、添付の請求項の範囲に含まれることが意図されている。
【0026】
本明細書および請求項で使用されている、「たとえば(e.g.)」、「たとえば(for example)」、「例として(for instance)」、「~等(such as)」、および「など(like)」という用語、ならびに「備える/含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」という動詞およびそれぞれの他の動詞形は、1つ以上の構成要素またはその他のアイテムの列挙に関連して使用される場合、各々がオープンエンドと解釈されねばならないものであり、このことは、上記列挙がその他の追加の構成要素またはアイテムを除外するとみなされてはならないことを意味する。その他のアイテムは、異なる解釈を要求する文脈で使用されない限り、最も広い妥当な意味を用いて解釈されねばならない。
【国際調査報告】