(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】対象を撮像するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536175
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 US2019068430
(87)【国際公開番号】W WO2020139868
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268166
【氏名又は名称】メドトロニック・ナビゲーション,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ヘルム,パトリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,ラシカ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】レディ,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,キョ・シー
(72)【発明者】
【氏名】ナム,スンフン
(72)【発明者】
【氏名】ソウザ,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】タオ,シヤオドーン
(72)【発明者】
【氏名】ガーロウ,デビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ジョン・アール
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA15
4C093EA11
4C093EC33
4C093FE14
4C093FF35
(57)【要約】
対象に関する画像データを取得する方法及びシステムが開示されている。画像データは、選択された態様において及び/又は選択された移動において、撮像システムを使用して収集することができる。対象に関する選択されたビューを生成して作成するために、2つ以上の投影を組み合わせることができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に関する長尺ビュー画像(long view image)を作成する方法であって、
対象に対する第1位置に、画像検出器を配置することと、
前記画像検出器を、前記第1位置から第2位置へと、前記対象に対しての経路に沿って移動することと、
前記第1位置と前記第2位置との間の複数の中間位置において、複数の画像データ部分を収集することと、
前記複数の画像データ部分のうちの、少なくとも複数のサブ画像データ部分どうしの間において、オーバーラップ領域を決定することと、
各画像データ部分どうしの間において前記決定されたオーバーラップに基づいて、中間画像を生成することと、
前記生成された中間画像に少なくとも部分的に基づいて、前記長尺ビュー画像を表示することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の中間位置において前記複数の画像データ部分を収集することは、
線源からX線を放出することと、
前記画像検出器のところにおいて、前記放出されたX線を、及び/又は、前記放出されたX線の減衰を、検出することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線源からX線を放出することは、単一の線源からX線を放出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象の一部を選択することと、
前記複数の中間位置において前記複数の画像データ部分を収集するための移動プロファイルを決定することと、をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記線源からの前記放出されたX線を、少なくとも第1X線ビーム部分と第2X線ビーム部分とに分割することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の中間位置において前記複数の画像データ部分を収集することは、
前記複数の中間位置のうちの各中間位置において、少なくとも、前記第1X線ビーム部分に基づく複数の第1サブ画像データ部分と、前記第2X線ビーム部分に基づく複数の第2サブ画像データ部分と、を収集することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記線源からの前記放出されたX線を少なくとも前記第1X線ビーム部分と前記第2X線ビーム部分とに分割することは、
前記放出されたX線を、スロット付きフィルタを貫通して通過させ、これにより、少なくとも前記第1X線ビーム部分と前記第2X線ビーム部分とのところにおいて、前記画像検出器上へと衝突させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記画像検出器と一緒に前記線源を移動することを、さらに含み、
前記収集された複数の画像データ部分は、前記第1X線ビーム部分に基づく複数の第1サブ画像データ部分と、前記第2X線ビーム部分に基づく複数の第2サブ画像データ部分とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記画像検出器を、前記経路に沿って前記対象に対して第1の向きに移動することと、
前記画像検出器を、前記経路に沿って前記対象に対して第2の向きで移動することと、をさらに含み、
前記第1の向きは、前記第2の向きとは異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記線源からの前記放出されたX線を少なくとも前記第1X線ビーム部分と前記第2X線ビーム部分とに分割することは、
前記放出されたX線を、少なくとも、第3ビーム部分と、前記第1ビーム部分と、前記第2ビーム部分と、に分割することと、
前記放出されたX線を、少なくとも第1スロットと第2スロットと第3スロットとを有したスロット付きフィルタを貫通して通過させることと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の中間位置のうちの各中間位置において、少なくとも、前記第1X線ビーム部分に基づく複数の第1サブ画像データ部分と、前記第2X線ビーム部分に基づく複数の第2サブ画像データ部分と、前記第3X線ビーム部分に基づく複数の第3サブ画像データ部分と、を収集することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各画像データ部分どうしの間において前記決定されたオーバーラップに基づいて前記中間画像を生成することは、
前記第1X線ビーム部分に基づく前記複数の第1サブ画像データ部分に基づいて、第1中間画像を生成することと、
前記第2X線ビーム部分に基づく前記複数の第2サブ画像データ部分に基づいて、第2中間画像を生成することと、
前記第3X線ビーム部分に基づく前記複数の第3サブ画像データ部分に基づいて、第3中間画像を生成することと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の第1サブ画像データ部分どうしを見当合わせすることと、
前記複数の第2サブ画像データ部分どうしを見当合わせすることと、
前記複数の第3サブ画像データ部分どうしを見当合わせすることと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象の長尺ビュー画像を生成するための撮像システムであって、
対象に対する第1位置と、前記対象に対する第2位置と、の間にわたって配置可能とされた画像検出器であって、前記第1位置と前記第2位置との間の複数の中間位置において、複数の画像データ部分を収集するように動作可能とされた画像検出器と、
前記画像検出器を、前記第1位置と前記第2位置との間にわたって前記対象に対しての経路に沿って移動するように動作可能とされた撮像部材移動システムと、
画像プロセッサであって、
前記複数の画像データ部分のうちの、少なくとも複数のサブ画像データ部分どうしの間のオーバーラップ領域を決定する命令と、
前記複数の画像データ部分のうちの、前記少なくとも複数のサブ画像データ部分どうしの間において前記決定されたオーバーラップに基づいて、中間画像を生成する命令と、を実行するように動作可能とされた、画像プロセッサと、
前記生成された中間画像に少なくとも部分的に基づいて画像を表示するように動作可能とされたディスプレイデバイスと、を含む、撮像システム。
【請求項15】
前記検出器に向けてX線を放出するように構成された単一の線源をさらに含み、
前記検出器は、前記放出されたX線を、及び/又は、前記放出されたX線の減衰を、検出するように動作可能とされている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも第1貫通スロットと第2貫通スロットとを有した実質的に中実の部材を、さらに含み、
前記実質的に中実(solid)の部材は、前記放出されたX線が前記検出器又は前記対象に到達することを阻止し、
実質的に前記第1貫通スロット及び前記第2貫通スロットを通過したX線のみが、前記対象又は前記検出器に到達する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
実質的に前記第1貫通スロット及び前記第2貫通スロットを通過したX線のみが、前記複数の中間位置のうちの各中間位置において、少なくとも第1画像部分と第2画像部分とを形成する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記撮像部材移動システムは、前記経路に沿って、前記単一の線源と前記画像検出器とを、実質的に互いに対向させつつ、移動するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記画像検出器は、前記対象に対しての第1の向きから、前記対象に対しての第2の向きへと、移動可能とされている、請求項14~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも第1貫通スロットと第2貫通スロットと第3貫通スロットとを有した実質的に中実の部材を、さらに含み、
前記実質的に中実の部材は、前記放出されたX線が前記検出器又は前記対象に到達することを阻止し、
実質的に前記第1貫通スロットと前記第2貫通スロットと前記第3貫通スロットとを通過したX線のみが、前記対象又は前記検出器に到達する、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも前記複数の画像データ部分又は前記中間画像を記憶するように構成されたメモリシステムをさらに含む、請求項14~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
対象に関する長尺ビュー画像を作成する方法であって、
対象に対する第1位置に、画像検出器を配置することと、
放出された単一のX線ビームを、少なくとも第1ビームと第2ビームと第3ビームとに分割することと、
前記画像検出器と、前記放出された単一のX線ビームとを、前記第1位置から第2位置へと、前記対象に対しての経路に沿って、移動することと、
前記画像検出器を、前記第1位置と前記第2位置との間の複数の中間位置へと移動した際に、前記第1ビームに基づく複数の第1画像データ部分を収集することと、
前記画像検出器を、前記第1位置と前記第2位置との間の前記複数の中間位置へと移動した際に、前記第2ビームに基づく複数の第2画像データ部分を収集することと、
前記画像検出器を、前記第1位置と前記第2位置との間の前記複数の中間位置へと移動した際に、前記第3ビームに基づく複数の第3画像データ部分を収集することと、
前記収集された複数の第1画像データ部分に基づいて、第1中間画像を生成することと、
前記収集された複数の第2画像データ部分に基づいて、第2中間画像を生成することと、
前記収集された複数の第3画像データ部分に基づいて、第3中間画像を生成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象の撮像に関し、特に、対象に関する選択されたビューを生成するために画像データを取得するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この項では、本開示に関連した、必ずしも従来技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
人間の患者などの対象は、処置を受けることができる。処置は、対象の解剖学的構造を修正又は増強するための外科的処置を含み得る。解剖学的構造の増強は、骨の移動又は増強、インプラント(すなわち、移植可能なデバイス)の挿入、又は他の適切な処置、などの様々な処置を含み得る。
【0004】
外科医は、対象の投影に基づく対象の画像を使用して、対象に対して処置を実行することができる。画像は、磁気共鳴撮像(MRI)システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム、透視法(例えば、C-アーム撮像システム)、又は他の適切な撮像システム、などの撮像システムを使用して生成し得る。
【発明の概要】
【0005】
この項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、本開示の全範囲又は本開示の特徴点のすべてを包括的に開示するものではない。
【0006】
様々な実施形態によれば、撮像システムを使用して対象に関する画像データを取得するシステムは、X線を使用してもよい。対象は、生きている患者(例えば、人間の患者)であってもよい。対象は、また、筐体やケーシング等の非生物的な対象であってもよい。撮像システムは、対象に対して移動可能であるような、移動可能な線源及び/又は検出器を含んでもよい。
【0007】
撮像システムは、対象に関する複数の投影を作成するために、移動可能な線源及び/又は検出器を含んでもよい。複数の投影は、線源及び/又は検出器に関する直線的な移動経路内において取得されてもよい。その後、複数の投影は、互いに繋ぎ合わせることなどによって組み合わされてもよく、これにより、長尺ビュー(長尺フィルムとも称される)を生成又は形成することができる。長尺ビューは、対象に関する2次元ビューであってもよい。
【0008】
様々な実施形態では、撮像システムは、対象に対しての異なる視点において、複数の投影を取得してもよい。異なる視点は、単一の線源から対象を貫通して検出器へと至るX線の異なる経路どうしの間にわたっての視差効果に基づいて生成されてもよい。視差効果により、対象に関する同じ位置に関して異なるビューを可能としてもよい。視差効果は、X線が貫通して通過し検出器上に衝突することとなる複数のスリット又はスロットを有したフィルタに基づいて形成されてもよい。したがって、対象に対しての線源及び/又は検出器の移動が、視差効果を含めて、対象を貫通した複数の投影の取得を可能としてもよい。その後、複数の投影は、線源及び/又は検出器の移動に基づく対象に関する複数の長尺ビューを形成するために、繋ぎ合わせてもよい。
【0009】
適用可能な更なる領域は、本明細書に記載された説明から明らかとなるであろう。上記の概要における説明及び特定の例は、例示の目的のみを意図するものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0010】
本明細書において説明する図面は、選択された実施形態に関する例示のみを目的とするものであって、すべての可能な実装ではなく、そして、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、手術室内において画像処理システムを含む環境を示す図である。
【
図2】
図2は、デュアルエネルギ源システムを有した撮像システムを示す詳細な概略図である。
【
図3】
図3は、様々な実施形態による、フィルタアセンブリを示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、様々な実施形態による、スロットフィルタアセンブリを示す分解図である。
【
図4B】
図4Bは、様々な実施形態による、スロットフィルタ本体を示す平面図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、線源及び検出器に対して、スロットフィルタアセンブリを示す概略図である。
【
図6】
図6は、様々な実施形態による、長尺ビュー又は長尺フィルム画像の実行を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、長尺ビュー法の一部を示す詳細なフローチャートである。
【
図8】
図8は、様々な実施形態による、複数の投影を取得して中間画像を得ることを示す概略図である。
【
図9A】
図9Aは、スロットフィルタアセンブリに対して、焦点面を示す概略図である。
【
図9B】
図9Bは、中間画像どうしの見当合わせを示す概略図である。
【
図10】
図10は、重み付け関数を使用した長尺ビューの形成を示す概略図である。
【
図11】
図11は、ファンX線を使用した検出器に対しての強度プロットを示すガウスグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
対応する参照符号は、複数の図面の様々な図示にわたって、対応する部材を示している。
【0013】
次に、例示的な実施形態について、添付図面を参照してより完全に説明する。
【0014】
図1を参照すると、処置室20の概略図が図示されている。外科医などのユーザ24は、患者28などの対象に対して処置を実行することができる。対象は、処置に関して選択された部分のために、テーブル32などの支持体上へと、配置され得る。テーブル32は、撮像システム36による画像データ取得を妨害しないものとすることができる。処置の実行時には、ユーザ12は、撮像システム36を使用することにより、患者28の画像データを取得して、選択されたシステムに、処置の実行を支援するための画像を生成又は作成させることができる。モデル(3次元(3D)画像など)、長尺ビュー、単一投影ビュー、等の、画像データを使用して生成される画像は、画像データを使用して生成し得るとともに、ディスプレイデバイス44上に画像40として表示することができる。ディスプレイデバイス44は、キーボードなどの入力デバイス52と、選択されたタイプの非一過性の及び/又は一過性のメモリ58とともに処理システム48に組み込まれた1つ又は複数のプロセッサ又はマイクロプロセッサを含み得るプロセッサ56と、を含むプロセッサシステム48の一部とすることができる、及び/又は、そのようなプロセッサシステム48に対して接続することができる。プロセッサ56とディスプレイデバイス44との間には、ディスプレイデバイス44を動作させて画像40を表示又は図示することを可能とするデータ通信のために、接続62を設けることができる。プロセッサ56は、プログラムに含まれた命令を実行する汎用プロセッサ、あるいは、特定用途向け集積回路などの特定用途向けプロセッサ、などの任意の適切なタイプのプロセッサであってよい。
【0015】
撮像システム36は、米国コロラド州ルイスビルに事業所を有したMedtronic Navigation,Inc.が販売するO-アーム(登録商標)撮像システムを含むことができる。O-アーム(登録商標)撮像システムを含む撮像システム36は、あるいは他の適切な撮像システムは、選択された処置時における使用に際しては、米国特許出願公開第2012/0250822号明細書、米国特許出願公開第2012/0099772号明細書、及び米国特許出願公開第2010/0290690号明細書、に記載されている撮像システムなどであってもよく、これらすべての特許文献は、参照により本明細書に援用される。
【0016】
例えばO-アーム(登録商標)撮像システムを含む場合には、撮像システム36は、コントローラ及び/又は制御システム64を含む移動カート60を含んでもよい。制御システム64は、プロセッサ及び/又はプロセッサシステム66(プロセッサ56と同様のもの)と、メモリ68(例えば、非一過性メモリ)と、を含んでもよい。メモリ68は、撮像システム36の様々な部分を含めて撮像システム36を制御するためにプロセッサ66によって実行される様々な命令を含んでもよい。
【0017】
撮像システム36は、線源ユニット(線源アセンブリとも称される)74と検出器ユニット(検出器アセンブリとも称される)78とが配置された撮像ガントリ70などの更なる追加的部分を含んでもよい。ガントリ70は、移動カート60に対して移動可能に接続される。ガントリ70は、O字形状又はトロイド形状であってもよく、ガントリ70は、実質的に環状であり、線源ユニット74及び検出器78が移動し得る体積を形成する壁を含む。移動カート60も、また、移動可能とされ、移動カート60は、ある手術室から別の手術室へと、あるいは別の部屋へと、移動することができる。ガントリ70は、本明細書においてさらに説明するように、カート60に対して移動することができる。これにより、撮像システム36は、対象28に対して移動可能であり、したがって、設備投資や固定された撮像システム専用のスペースを必要とすることなく、複数の場所で複数の処置に関して、使用することができる。
【0018】
プロセッサ66は、汎用プロセッサであってもよいし、特定用途向けプロセッサであってもよい。メモリシステム68は、スピニングディスク又はソリッドステート不揮発性メモリなどの非一過性メモリであってもよい。様々な実施形態では、メモリシステムは、本明細書において説明するように、機能を実行して結果を決定するために、プロセッサ66によって実行される命令を含んでもよい。
【0019】
様々な実施形態では、撮像システム36は、X線を放出するとともに、対象28に対してのX線の相互作用及び/又は減衰を検出することを使用して、画像及び/又は画像データを取得する撮像システムを含んでもよい。よって、X線撮像は、撮像モダリティであってもよい。他の撮像モダリティが可能であることは、理解されよう。
【0020】
よって、線源ユニット74を含む撮像システム36は、検出器78によって検出されることとなる患者28を通過するX線を放出し得るX線エミッタであってもよい。当業者であれば理解されるように、線源ユニット74によって放出されるX線は、
図2に示すように、選択された主ベクトル94に沿って円錐90内へと放出されることができ、検出器78によって検出されることができる。線源74及び検出器78は、また、線源/検出器ユニット98と総称されてもよく、特に、線源74は、ガントリ70内において、検出器78に対して全体的に径方向に対向している(例えば、180度だけ離間している)。
【0021】
撮像システム36は、対象28に対して、全体的に又は部分的に、移動してもよい。例えば、線源74及び検出器78は、患者28まわりにおいて、360°にわたって移動することができる。ガントリ70内における線源/検出器ユニット98の移動により、線源74は、検出器78に対して全体的に180°対向した状態(固定された内部ガントリ又はロータ又は移動システムによってなど)を維持し得る。よって、検出器78は、対象28まわりにおいて(例えば、円状に又は螺旋状に)移動すると称されてもよく、特段に他のことが開示されていない限り、線源74は、患者28に対して対向したままであることは、理解されよう。
【0022】
また、ガントリ70は、
図1に示すように、カート60を通る軸線などの軸線102まわりにおいて、全体的に矢印100の方向に、対象28に対して等角的に(「揺動」とも称される)移動することができる。ガントリ34は、また、矢印110で示すように、患者28の長軸106に対して傾斜することができる。傾斜時には、ガントリ70がなす平面は、傾斜してもよく、すなわち、対象28の軸線106に対して非直交の角度を形成してもよい。
【0023】
ガントリ70は、また、対象28及び/又はカート60に対して、ライン106に沿って矢印114の方向において長手方向に移動してもよい。また、ガントリ70を移動させるために、カート60が移動してもよい。さらに、ガントリ70は、カート30及び/又は対象28に対して、軸線106に対して全体的に横方向にかつ軸線102と平行に、全体的に矢印118の方向に上下に移動してもよい。
【0024】
撮像システム60の移動は、全体的に又は部分的に、対象28に対しての線源/検出器ユニット(SDU)98の位置決めを可能とすることである。撮像デバイス36は、対象28の正確な画像データを生成するために、SDU98を対象28に対して移動させることを正確に制御することができる。撮像デバイス36は、接続120を介してプロセッサ56に対して接続することができ、この接続120は、撮像システム36からプロセッサ56への有線又は無線の接続あるいは物理的媒体の転送を含むことができる。よって、撮像システム36によって収集された画像データは、ナビゲーション、表示、再構成、等のために、プロセッシングシステム56に対して転送することができる。
【0025】
本明細書において説明するように、線源74は、対象28を撮像するためのX線に関する1つ又は複数の線源を含んでもよい。様々な実施形態では、線源74は、異なるエネルギ特性でX線を生成及び/又は放出するために、2つ以上の電源から給電され得る単一の線源を含んでもよい。さらに、2つ以上のX線源は、選択された時間に異なるエネルギ特性のX線を放出するように給電され得る線源74であってもよい。
【0026】
様々な実施形態によれば、撮像システム36は、ナビゲートされていない処置又はナビゲートされた処置で使用することができる。ナビゲートされた処置では、光学的ローカライザ130及び/又は電磁的ローカライザ138の一方又は双方を含むローカライザ及び/又はデジタイザを使用することにより、対象28に対してのナビゲーションドメイン内にフィールドを生成したり、及び/又は、信号を受信及び/又は送信したり、することができる。対象28に対してのナビゲート空間又はナビゲーションドメインは、画像40に対して見当合わせすることができる。当該技術分野において理解されるように、相関とは、ナビゲーションドメイン内で規定されたナビゲーション空間と、画像40によって規定された画像空間と、の見当合わせを可能とすることである。画像40に対しての対象28の動的な見当合わせと、見当合わせの維持と、を可能とするために、患者追跡デバイス又は動的参照フレーム140を、対象28に対して接続することができる。
【0027】
次に、患者追跡デバイス又は動的見当合わせデバイス140及び器具144は、ナビゲートされた処置を可能とするために、対象28に対して追跡することができる。器具144は、光学的ローカライザ130又は電磁的ローカライザ138の一方又は双方を使用した器具144の追跡を可能とするために、光学的追跡デバイス148及び/又は電磁的追跡デバイス152などの追跡デバイスを含むことができる。ナビゲーション/プローブインターフェースデバイス158は、器具144に対して(例えば、通信ライン156を介して)、電磁的ローカライザ138に対して(例えば、通信ライン162を介して)、及び/又は、光学的ローカライザ60に対して(例えば、通信ライン166を介して)、通信(例えば、有線又は無線)を有してもよい。インターフェース158は、また、通信ライン168を使用してプロセッサ56に対して通信することができ、インターフェース158に対して接続されている様々なアイテムに関する情報(例えば、信号)を通信してもよい。任意の通信ラインが、有線、無線、物理的媒体の伝送又は移動、あるいは、任意の他の適切な通信、であり得ることは、理解されよう。それにもかかわらず、適切な通信システムには、処置を実行するための画像40に対しての器具144の追跡された位置の図示を可能とするよう、対象28に対しての器具144の追跡を可能とするために、それぞれのローカライザを設けることができる。
【0028】
当業者であれば、器具144が、心室ステント又は血管ステント、脊椎インプラント、神経ステント又は刺激デバイス、アブレーションデバイス、あるいは同種のもの、などの任意の適切な器具であり得ることは、理解されるであろう。器具144は、介入器具とすることができる、あるいは、移植可能なデバイスを含むことができる、あるいは、移植可能なデバイスとすることができる。器具144を追跡することにより、対象28内の器具144を直接的に視認することなく、見当合わせ済み画像40を使用することで、対象28に対しての器具144の位置(x、y、z方向の位置、及び、向きを含む)を視認することができる。
【0029】
さらに、ガントリ70などの撮像デバイス36は、それぞれの光学的ローカライザ130及び/又は電磁的ローカライザ138によって追跡されることとなる光学的追跡デバイス174及び/又は電磁的追跡デバイス178を含むことができる。したがって、撮像デバイス36は、画像40に対しての対象28の、初期的見当合わせ、自動的見当合わせ、又は継続的な見当合わせ、を可能とするために、器具144を追跡し得るのと同様に、対象28に対して追跡することができる。見当合わせ及びナビゲートされた処置は、参照により本明細書に援用される上記の米国特許第8,238,631号明細書に記載されている。器具144の見当合わせ及び追跡の際には、アイコン180を、画像40上に重ねて表示することを含めて、画像40に対して表示してもよい。
【0030】
引き続き
図2を参照すると、様々な実施形態によれば、線源74は、接続又は電力ライン200を介して第1電源198に対して相互接続し得るスイッチ194に対して接続し得る単一のX線管アセンブリ190を含むことができる。上述したように、X線は、X線管190から、全体的に円錐形状90で検出器78に向けて、また全体的に矢印、ビーム矢印、ビーム、又はベクトル94で示すように、X線管190から離間する向きに、放出されることができる。スイッチ194は、当業者であれば理解されるように、選択された特性のX線を放出するために、管190に対しての電源オン/電源オフをスイッチングすることができる。ベクトル94は、X線の円錐90内の中心ベクトル又は光線であってもよい。X線ビームは、円錐90又は他の適切な幾何形状として放出されてもよい。ベクトル94は、本明細書においてさらに説明するように、フィルタ部材との相互作用などのビームとの更なる相互作用に関連した選択されたライン又は軸線を含んでもよい。
【0031】
対象28は、検出器78へと向かうベクトル94の方向におけるX線放出時に基づいて対象28の画像データを取得し得るように、X線円錐94内に配置することができる。
【0032】
X線管190を使用することにより、検出器78としての2Dパネル検出器又はフラットパネル検出器上へと衝突するあるいはそのような検出器上で検出されるX線を考慮して、対象28の選択された部分あるいは関心のある任意のエリアや領域や体積を含めて、対象28の2次元(2D)X線投影を生成してもよい。2D X線投影は、本明細書において説明するように、対象28、対象28の選択された部分、あるいは、関心のある任意のエリアや領域や体積、に関する3次元(3D)体積モデルを生成及び/又は表示するために、再構成することができる。本明細書において説明するように、2D X線投影は、撮像システム36によって取得された画像データとすることができ、他方、3D体積モデルは、生成された画像データすなわちモデル画像データとすることができる。
【0033】
3D体積画像を再構成又は形成するために、適切な代数的技法は、当業者であれば一般的に理解されるように、期待値最大化(EM)、順序付きサブセットEM(OS-EM)、同時代数的再構成法(SART)、及び、全変動最小化(TVM)、を含む。2D投影に基づいて3D体積再構成を実行するアプリケーションにより、効率的で完全な体積再構成が可能となる。一般に、代数的技法は、画像40として表示するために対象28の再構成を実行する反復プロセスを含むことができる。例えば、「理論的な」患者のアトラス又は定型化されたモデルに基づいて又はそのようなモデルから生成されたものなどの、純粋な又は理論的な画像データ投影は、理論的な投影画像が、対象28に関して取得された2D投影画像データと一致するまで、反復的に変更することができる。その後、定型化されたモデルは、選択された対象28に関して取得された2D投影画像データの3D体積再構成モデルとして適切に変更することができ、ナビゲーションや診断やあるいは計画などの外科的介入に使用することができる。理論的なモデルを構築するために、理論的なモデルを、理論的な画像データと関連付けることができる。このようにして、モデル又は画像データ40は、撮像デバイス36によって対象28に関して取得した画像データに基づいて構築することができる。
【0034】
引き続き
図2を参照すると、線源74は、X線管190に対して移動させ得る様々な構成要素又は特徴物を含んでもよい。様々な実施形態では、例えば、コリメータ220が、対象28に対して円錐90を形成することを支援するために、X線管190に対して配置されてもよい。コリメータ220は、対象28へと到達する前に、X線の円錐90内に1つ又は複数のフィルタを配置することを支援し得る可動部材などの様々な特徴物を含んでもよい。さらに、本明細書においてさらに説明するように、様々なフィルタを使用することにより、対象28へと到達する前に、円錐90を整形することなどのように、選択された形状へとX線ビームを整形することができる。様々な実施形態では、本明細書において説明するように、X線は、対象28へと到達して対象28を通過し、検出器78によって検出されるように、薄い扇形又は薄い平面へと形成されてもよい。
【0035】
したがって、コリメータ220を含む線源74は、フィルタアセンブリ224を含んでもよい。フィルタアセンブリ224は、対象28へと到達する前にX線を整形及び/又は位置決めするために、X線管190に対してフィルタを移動させ得る1つ又は複数の部分を含んでもよい。例えば、
図3を参照すると、フィルタアセンブリ224は、ステージ228を含んでもよい。ステージ228は、X線管190に対して配置されてもよく、X線がステージ露光開口232を通過する際に、すべてのX線を実質的に遮断してもよく、及び/又は、円錐90の開始を規定してもよい。ステージ開口232は、X線がX線管190を出て円錐90を形成することを可能とするステージ228を貫通した開口又は通路であってもよい。
【0036】
図3に示すように、フィルタ保持アセンブリ240は、移動可能なフィルタホルダ又はラダー244を含んでもよい。フィルタラダー244は、本明細書においてさらに説明するように、第1開放位置246、第1フィルタ又は中実フィルタ部材250、及び、第3フィルタ部材又はスロットフィルタ部材260、などの1つ又は複数のフィルタ保持位置を含んでもよい。フィルタラダー244は、第1レール264及び第2レール266などの1つ又は複数のレール上を移動してもよい。フィルタラダー244は、第1レール264に沿って移動する第1キャリア268と、第2レール266に沿って移動する第2キャリア部材270と、を含むラダーカーなどの1つ又は複数のキャリア部材に対して接続されてもよい。フィルタラダー244の滑らかさ及び/又は選択された平面的移動を確保するために、反対側に位置した又は対向したキャリア部材も、また、設けられてもよく、したがって、第3キャリア274及び第4キャリア276を含むことは、理解されよう。第3キャリア274及び第4キャリア276は、第1キャリア268及び第2キャリア270と同様に、それぞれ対応するレール264、266上に乗っていてもよい。したがって、フィルタラダー244は、全体的に両頭矢印280の方向に移動してもよく、これにより、本明細書においてさらに説明するように、X線がビーム90を形成し得るように、あるいは、X線が対象28に対して衝突し得るように、開口又は通路開口232に対して、開放フィルタ部分246、中実フィルタ部分250、又はスロットフィルタ部分260、を選択的に位置合わせすることができる。フィルタアセンブリ224を使用することにより、本明細書においてさらに説明するように、対象28の画像又は画像データの生成を支援するために、X線管190からのX線の放出を増強することができる。
【0037】
フィルタキャリア又はフィルタラダー244は、それぞれ対応するキャリア268、270、274、276に対して関連付けられたサーボ又は駆動モータなどの選択された機構によって、あるいは他の適切な機構によって、駆動されてもよい。フィルタラダー244の移動は、手動入力、及び/又は、撮像システム26に対して提供される命令、などにより、ユーザ24によって制御されてもよい。例えば、制御システム64は、選択された命令を実行することにより、フィルタキャリア244を、選択された態様で駆動することができる。さらに、制御システム64は、対象28に関して取得すべき選択された画像又は画像データに関しての、ユーザ24からの入力などの、選択された入力に基づいて、選択された時間にフィルタキャリア244を駆動してもよい。したがって、フィルタアセンブリ224は、制御デバイス64によって、及び/又は、プロセッサシステム48などの任意の他の適切なコントローラによって、制御されてもよい。
【0038】
図4A、
図4B、及び
図4Cを参照すると、スロットフィルタアセンブリ260が、より詳細に図示されている。スロットフィルタアセンブリ260は、1つ又は複数の部材から形成されたフィルタアセンブリを含んでもよい。しかしながら、本明細書においてさらに説明するように、スロットフィルタアセンブリが、スロットフィルタ本体352のみを含む単一部材から形成されてもよいことは、理解されよう。様々な実施形態では、スロットフィルタアセンブリ260は、第1部材又は第1シート304と、第2部材又は第2シート308と、の間に挟まれ得る又はそれらの間に配置され得るスロット付き部材又はスロット付き部分300を含む。しかしながら、スロット付き部材が、第1部材304と第2部材308との間に配置されていないことは、理解されよう。第1部材304及び第2部材308は、これらの両方が単一の側に配置されてもよく、及び/又は、スロット付き部材300の単一の側に配置された単一部材内に組み込まれてもよい。しかしながら、様々な実施形態では、第1部材304及び第2部材308は、中実であり、スロット340、344、348(本明細書においてさらに説明する)が、汚染物質のない状態を確実に維持することを支援する。
【0039】
第1シート304は、実質的に純粋なアルミニウム(すなわち、当業者が一般に入手可能な純粋なアルミニウム)、アルミニウム合金、又は他の適切なアルミニウム材料、などの選択された材料から形成されてもよい。上部部材304は、第1面又は外面312と、底面又は接触面314と、を含んでもよい。2つの面又は表面312、314は、実質的に平面であってもよい。底面又は第2面314は、スロット付き部材300の第1面320に対して接触してもよい。第2面314は、接着剤転写テープなどの選択された接着剤又は結合部材を使用することなどによって、第1面320に対して接着されてもよい。厚さ、すなわち、第1面312と第2面314との間の距離は、約0.01インチ(in)~約0.05in(約0.254mm~約1.27mm)であってもよく、約0.02in(約0.5ミリメートル(mm))を含む。
【0040】
第2層又は第2部材308は、外面とされ得る第1面324と、第2面又は内面326と、を含んでもよい。第2面326は、スロット付き部材300の底面又は第2面330に対して接触してもよい。しかしながら、第2層308は、アルミニウム部分309(上述したものと同一の又は同様のアルミニウム材料から形成されている)と、銅部分310(例えば、実質的に純粋な銅)と、から形成された二重材料構造を含んでもよく、あるいは、そのような二重材料構造として形成されていてもよい。様々な実施形態では、第1部分は、Scotchブランドの接着剤924などの選択された材料によって、0.1mmの99%純銅に対して接着された0.5mm厚さの1100シリーズアルミニウムであってもよい。しかしながら、第2層の全体は、約0.01インチ(in)~約0.05in(約0.254mm~約1.27mm)の厚さを有してもよく、約0.02in(約0.5ミリメートル(mm))を含む。シート304、308は、一般的に、スロット付き部材300のエッジと全体的に同一の広がりを有したパラメータを有することとなる。
【0041】
スリット付き部材300は、本明細書においてさらに説明するように、寸法を含んでもよい。スロット付き部材300は、例えば最小で約90%のタングステンを含有するなどのようにして選択された量のタングステンを含有した炭化タングステンなどの、選択された材料から形成されてもよい。様々な実施形態では、炭化タングステンは、ANSIグレードC2の炭化タングステンである。例えば、炭化タングステンは、約94%の炭化タングステンと6%のコバルトとを含有したTECHMETグレードTMK-22の炭化タングステンであってもよい。様々な実施形態では、炭化タングステン成分の粒径は、ミクロン又はサブミクロンの程度のサイズであってよく、例えば、約0.5マイクロメートル~約2マイクロメートルであり、約1.0マイクロメートル~約1.4マイクロメートルを含み、さらに約1.2マイクロメートルを含む。スロット付き部材300は、第1スロット340、第2スロット又は中央スロット344、及び第3スロット348、などの、スロット付き部材300を貫通して形成された選択された数のスロット又はスリットをさらに含む。スロット340、344、348を使用することにより、ステージ228の開口232の上に配置された時には、ファンなどの選択されたX線ビーム、体積、又はエリアを形成することができる。上述したように、そしてさらに本明細書においてさらに説明するように、スロット付きフィルタ260を使用することにより、その画像データを収集するために、対象28に対してX線ビームを生成又は形成することができる。
【0042】
一般に、スロット付きフィルタ260は、第1シート304が対象28から離間して位置するとともに、一般にX線源(例えば、X線管190)の近くに位置するようにして、配置されてもよい。したがって、X線は、一般的に、ベクトル又は矢印94の方向において、スロット付きフィルタ部材アセンブリ260を、最初に第1層部材304に係合し、最終的に第2層シート308に係合又は通過するようにして、貫通することができる。一般に、スロット付き部材300は、スロット340、344、348を通過するX線を除いては、第1シート304を通過するすべてのX線を又は実質的にすべてのX線を遮断することとなる。したがって、スロット付きフィルタ部材260を通過する場合に検出器78に対して係合するX線は、スロット340、344、348を通過したX線のみに限定される。しかしながら、上述したように、部材304、308を、スロット付き部材300に対して任意の適切な態様で配置し得ることは、理解されよう。さらに、第1部材304及び第2部材308のために選択された材料は、フィルタアセンブリ260を通過するX線のスペクトル成分を精緻化及び/又は選択することを支援してもよい。
【0043】
スロットフィルタアセンブリ260は、上述したように、スロット付き部材300を含む。
図4B及び
図4Cに示すように、スロット付き部材300は、スロット340、344、348を含む様々な特徴物を含む。スロット付きフィルタ300は、スロット340、344、348が貫通して形成されている本体又は部材352を含む。本体352は、選択された厚さ354を有してもよく、厚さ354は、約0.01in~約1in(約0.254mm~約25.4mm)であってもよく、約0.01in~約0.1in(約0.254mm~約2.54mm)を含み、さらに約0.07in~約0.1in(約1.778mm~約2.54mm)を含み、さらに約0.09in(約2.2mm)を含む。本体352の厚さ354が、単独であるいは他のフィルタ層304、308と組み合わせた時に、フィルタアセンブリ260を通過するX線を形成又は規定するために使用され得ることは、理解されよう。本体352は、様々な目的のために更なる寸法を含んでもよいけれども、これらの寸法は、開口232のサイズ、フィルタアセンブリ224のサイズ、あるいは、他の適切な制限、に基づくものであってもよい。それにもかかわらず、様々な実施形態では、メインプレート352は、約0.5in~約2in(約12.7mm~約50.8mm)の、約1.4in(35mm)を含む、端部どうしの間の長さ寸法356を含んでもよい。幅寸法360は、約0.1in~約2in(約2.54mm~約50.8mm)とされてもよく、さらに約0.9in(22mm)を含む。スロットフィルタ部材300のメインプレート352は、本体352の端部に対して約45度の角度を形成し得る面取りされたコーナー又は角度付きコーナー364などの、様々な構成を含んでもよい。この場合にも、フィルタアセンブリ260が、撮像システム36などの選択された撮像システムに適合するための様々な構成を含んでいてもよいこと、そして、外装の特定の形状が、撮像システム36の構成に基づくものであってもよいことは、理解されよう。しかしながら、厚さ354は、X線放射が、スロット340、344、348を通過すること以外には、フィルタアセンブリ260を最小限しか通過しないようにあるいは全く通過しないように、選択されてもよい。
【0044】
図4A及び
図4Bを引き続き参照しつつ、特に
図4Cを参照すると、メインスロットフィルタ本体部材352は、厚さ354を有している。厚さ354は、2つの面320及び330によって、又はこれらの間において、規定される。様々な実施形態では、面320は、X線放射源に対して最も近くに配置された面であってもよく、他方、第2面330は、対象28に対して最も近くに配置された面である。面が、また、それぞれ上面320及び下面330とも称され得ることは、理解されよう。しかしながら、上面及び底面が、単に例示に過ぎないこと、そして、フィルタ本体部材352の絶対的な位置を規定することを意図していないことは、理解されよう。
【0045】
3つのスロットを含むフィルタ本体部材352は、中央スロット344と、2つのエッジスロット340、348と、を含む。スロットのそれぞれは、本明細書においてさらに説明するように、2つの面320、330の間において、それら2つの面320、330を貫通して、形成されている。3つのスロットのそれぞれは、放電加工あるいは他の適切なツール(例えば、ルータ又はパンチ)などの適切な態様で、部材352を貫通して形成されてもよい。さらに、スロットが、鍛造され得ること、あるいは、他の態様で部材352を切り込んで形成され得ることは、理解されよう。それにもかかわらず、第1面320の近くにおいてあるいは第1面320において、3つのスロット340、344、348のそれぞれは、それぞれ対応する2つの側壁によって形成され、例えば、第1スロット340は、側壁370、374の間に形成され、第2スロット344は、側壁378、382の間に形成され、第3スロット348は、側壁386、390の間に形成されている。
図4Cに示すように、側壁が、部材352の2つの端部357、358の間に延びていることは、理解されよう。スロット340、344、348のそれぞれに関する側壁は、全体的に等距離で離間しており、それぞれ対応するスロットの長さに沿って実質的に平行である。さらに、スロット壁は、全体的に直線状であり、互いに平行である。しかしながら、特定の工具によって、スロットの様々な部分が、スロットを開始又は終了するための入口又は出口のプランジカットなどのわずかに異なる寸法となることは、理解されよう。しかしながら、スロット340、344、348のそれぞれは、一般的に、約0.001in~約0.1in(約0.0254mm~約2.54mm)の、約0.009in~約0.03in(約0.2286mm~約0.762mm)を含む、さらに約0.025in~約0.01in(約0.635mm~約0.254mm)を含む、さらに約0.02in(約0.5mm)を含む、寸法398を有するように形成される。スロット340、344、348の幅398は、スロットのそれぞれについて実質的に同一であってもよく、一般的には、それぞれのスロットをなすそれぞれ対応する対向壁の内面どうしの間の寸法である。
【0046】
第1面320でそれぞれのスロットを形成しているそれぞれの壁は、それぞれの壁どうしの間に、中心を有していてもよい。例えば、スロット340は、中心線又は軸線400を有してもよく、第2スロット344は、中心軸線404を有してもよく、第3スロット348は、中心軸線408を有してもよい。軸線400、404、408のそれぞれは、それぞれの壁どうしの間の中心にあり、かつ、表面320に対して実質的に垂直であるポイントからなるものであってもよい。中心ポイント又は中心軸線400、404、408は、一般的に又は実質的に、面320、330に対して垂直であり、距離412などの選択された距離の分だけ離間されてもよい。距離412は、各スロット間において同じであってもよく、約0.01in~約1in(約0.254mm~約25.4mm)の分だけ、さらに約0.1in~約4in(約0.254mm~約101.6mm)の分だけ、さらに約0.318in~約0.322in(8.0mm~約8.2mm)の分だけ、離間されてもよい。距離412は、スロット付き部材352のサイズ、フィルタステージ228内の開口232のサイズ、又は他の適切な考慮事項、などの様々なパラメータに基づいて選択されてもよい。したがって、距離412は、様々なパラメータに基づいて選択されてもよい。しかしながら、それぞれのスロット340、344、348どうしの間の間隔412が、本明細書においてさらに説明するように、様々な撮像収集技法及び/又は繋ぎ合わせのために、実質的に精密に選択されてもよいことは、理解されよう。
【0047】
上述したようなそれぞれの中心軸線400、404、408は、第1面320のところにおいては、それぞれの壁どうしの間の中心に位置するとともに第1面320に対して実質的に直交したポイントによって規定され、あるいは、そのようなポイントによって規定されてもよい。中央スロット又は第2スロット344は、中心軸線404に対して実質的に平行な、かつ、面320に対して実質的に垂直な、側壁378、382を有してもよい。したがって、中心軸線404は、側壁378、382に対して実質的に平行に、プレート部材352を貫通して延びてもよい。したがって、距離又は幅398は、中心軸線404によって実質的に半分に分けられ得るあるいは分割され得る。
【0048】
しかしながら、エッジスロット340及び348は、それぞれの側壁370、374及び386、390に対して実質的に平行に延びているものの、面320に対して垂直ではない、それぞれの中心軸線420及び424を有してもよい。中心軸線420、424は、それぞれの中心ポイント軸線400、408に対して角度を形成していてもよい。例えば、中心軸線420を有した第1スロット340は、中心ポイント軸線400に対して角度428を形成してもよい。角度428は、約5度~約10度、さらに約6度~約8度、さらに約7度、であってもよい。中心軸線424は、また、中心ポイント軸線408に対して角度432を形成してもよい。角度432は、約5度~約10度、さらに約6度~約8度、さらに約7度、であってもよい。したがって、角度428、432は、それぞれの中心軸線420、424と、中心ポイント軸線400、408、との間の内角として、実質的に同様又は同一であってもよい。角度428、432は、また、中心ポイント軸線が両面320、330に対して実質的に垂直であるため、いずれの面320、330に対して形成されてもよい。
【0049】
角度428、432は、
図4Cに概略的に示すように、それぞれの側壁370、374、379、382、386、390に対しての相互作用に基づくいかなる歪み又は実質的な歪みも引き起こすことなく、X線が、線源190から、それぞれのスロット340、344、348を通って、通過し得ることを支援してもよい。
図4Cに図示して上述したように、X線は、実質的に円錐形状で線源管190から放出されてもよい。したがって、面320に対して実質的に垂直に移動するX線は、側壁378、382に対しての実質的な相互作用又はいかなる相互作用も引き起こすことなく、中心軸線404に沿って中心スロット344を通過する。また、それぞれの角度428、432のために、円錐90のエッジに近いX線は、それぞれの角度428、432に基づいてそれぞれの側壁370、374、386、390に対して実質的に相互作用を引き起こすことなく、エッジスロット340、348を通過することができる。
【0050】
様々な実施形態によるスロットフィルタアセンブリ260のスロットフィルタ部材300は、それぞれのスロット340、344、348により、第1ファン440、第2ファン444、及び第3ファン448、を含む3つのX線ファン又は3つのX線領域の形成を可能とすることができる。これら3つのファンは、メイン部材300を含むスロットフィルタ260が、スロット340、344、348の領域を除いて、線源190からのX線をフィルタリングすることによって形成される。言い換えれば、スロットフィルタ260は、線源190からのX線をフィルタリングし、X線が、スロット340、344、348を通過してファン440、444、448を形成することを可能とする。様々な実施形態では、本体300などのスロットフィルタアセンブリ260は、線源190から距離450のところに位置している。距離450は、約50mm~約100mmであってもよく、約60mm~約80mmを含み、さらに約68mm~約72mmを含む。
【0051】
本明細書においてさらに説明するように、3つのファン440、444、448は、検出器78上の撮像領域に基づいて、選択された画像投影の生成を可能とする。さらに、上述したような角度428、432により、第1ファン440及び第3ファン448は、プレート部材352に対してのX線の相互作用に起因して歪むことが、実質的にない。さらに、スロット340、344、348及びそれぞれ対応するファン440、444、448の番号付けが、単に現在の説明を明瞭にするためのものに過ぎないこと、そして、何らの特定の順序付けを要求することを意図したものではないことは、理解されよう。さらに、フィルタ部材352が、2つ以下などの又は4つ以上などの選択された数のスロットを含んでもよいこと、そして、3つが、この開示のために図示して説明されていることは、理解されよう。しかしながら、3つのスロット340、344、348が、本明細書においてさらに説明するように、効率的かつ高速な態様で長尺ビューの生成を可能とすることは、理解されよう。選択された異なる数のスロットを含むことは、本明細書において説明するように、異なる数の中間画像の生成を可能とし得るけれども、必須ではない。
【0052】
上述したように、スロットフィルタアセンブリ260は、対象28に関する画像を取得するために、撮像システム36内で使用されてもよい。
図2に戻って参照すると、SDU98は、ガントリ70内において対象28まわりに駆動されてもよい。SDU98が、任意の適切な態様で駆動され得ること、そして、撮像システム36が例示的なものであることは、理解されよう。それにもかかわらず、様々な実施形態では、SDUは、例えば約90度だけ離間した位置などの、第1位置から第2位置へと、回転駆動されてもよい。例えば、
図2に示すように、SDU98の第1位置は、検出器78のために円錐90に沿ってX線を案内する線源74を含んでもよく、これは、対象28に対しての、一般的に前後(AN)の向きとすることができる。SDU90は、線源が第2線源位置74’に位置するように、90度だけ回転駆動されてもよく、検出器は、第2検出器位置78’などの異なる位置へと移動することができる。SDU98は、いずれかの位置又は両方の位置に配置されてもよく、対象78に関するラインスキャンが形成されてもよい。
【0053】
ラインスキャンは、SDU98を含むガントリ70を、
図1に示すように、撮像システム36のZ軸又はZ方向とも称され得る対象28の長軸106に沿って、全体的に両頭矢印114の方向に移動させることを含んでもよい。したがって、検出器78は、Z軸に沿って両頭矢印114の方向にのみ移動することで、実質的に直線方向に駆動されてもよい。取得された画像データは、
図2に示すように、検出器の位置78、78’の一方又は両方で取得された画像データを使用して、対象28に関する長尺フィルム又は長尺ビューを形成するために使用されてもよい。スロットフィルタ260の使用は、本明細書においてさらに説明するように、Z軸に沿って複数のビューを生成するために使用されてもよい。
【0054】
図4Cに図示されているように、さらに
図5A及び
図5Bを参照すると、スロットフィルタアセンブリ260を使用することにより、3つのファン440、444、448を形成することができ、これらのファンは、検出器78へと到達して検出される、あるいは、減衰を有していて検出器78によって検出される。ファン440、444、448のそれぞれは、実質的に狭い位置又はエリアのところにおいて、検出器78に対して直接的に衝突又は接触する、あるいは、検出器78に対して衝突又は接触する際に減衰を有している。
図5Bに示すように、検出器78は、複数の励起可能な又は検出器領域又は部分460を含んでもよい。検出器領域460は、また、画素とも称され得るものであり、画像40内においてディスプレイ44上に図示される単一の画像要素(画素)に関連してもよい。
【0055】
線源74からの円錐90の全体は、検出器78の表面全体上へと励起又は衝突するようなエリアを有してもよい。しかしながら、個々のファン440、444、448は、一般に、画素460の狭い帯域のみに衝突する。励起される画素の数が、検出器78の幅464全体を含んでもよいけれども、検出器の選択された長さ468のみへと限定されることは、理解されよう。例えば、それぞれのファン440、444、448は、X線の経路内に物体又は対象が存在しないと仮定して(例えば、エアスキャン)、約10個~約100個の画素に衝突してもよい。しかしながら、検出器78上の寸法468内で励起される画素の数は、検出器78からのフィルタアセンブリ260の距離、スロット(340、344、348)の幅、又は他の適切な考慮事項、に応じて、増加又は調整されてもよい。それにもかかわらず、
図5A及び
図5Bに示すように、それぞれのファン440、444、448は、実質的に狭い位置で検出器78に対して衝突することとなり、検出器78の実質的に全体幅464に沿って延在し得る画素の長さ468を励起することとなる。画素の長さ468を励起させる(例えば、画像データを生成する)こととなるスロット398の幅は、本明細書において説明するように、スロットフィルタ300を使用して撮像システムによって収集される画像部分内における視差歪みを制限又は除去する。
【0056】
さらに、
図5A及び
図5Bに示すように、検出器78は、全体的に両頭矢印114の方向においてZ軸に沿って線源管190の単一の位置から、3つのファン440、444、448によって実質的に同時に衝突されてもよい。したがって、検出器78は、線源管190のそれぞれの単一位置におけるX線の3つの異なる位置に関して、3つの異なる画像又は画像データを出力してもよい。しかしながら、線源74の線源管190の、全体的に両頭矢印114の方向における移動は、本明細書においてさらに説明するように、Z軸に沿った複数の3つのビューを作成してもよい。ファン440、444、448のそれぞれは、選択された距離の分だけ離間していてもよく、これは、角度距離472であってもよい。
【0057】
撮像システム36は、様々な目的のために、対象28の画像を生成するために使用されてもよい。上述したように、画像は、脊椎固定術などの、及び/又は、脊椎固定に関連したインプラントや脊椎固定に付随したインプラントなどの、対象28に対しての処置を実行するために、対象28に関して生成してもよい。したがって、様々な実施形態では、ユーザ24は、椎弓根スクリューなどの選択されたインプラントの配置を決定するために、対象28に関する画像を見て評価することにより、対象28を評価してもよい。したがって、撮像システム36は、対象28の画像を取得するために使用されてもよい。撮像システム36は、1つ又は複数の投影を取得するために使用されてもよい。さらに上述したように、検出器78は、対象28を通過したX線を、あるいは対象28によって減衰されたX線を、検出する。しかしながら、一般的には、検出器78は、一度につき単一の投影を検出する。制御システム64を含む撮像システム36は、単独であるいはプロセッサシステム48と組み合わせて、対象28に関する複数の投影を蓄積する(例えば、繋ぎ合わせする)ことによって、対象28に関する長尺フィルム又は長尺ビューを生成してもよい。様々な実施形態では、撮像システム36は、したがって、複数の画像を取得するように動作してもよい。
【0058】
図6を参照すると、対象28に関する長尺ビューなどの画像を取得する方法500が、図示されている。方法500は、開始ブロック510を含んでもよく、あるいは、開始ブロック510において開始されてもよい。その後、方法500は、ブロック514において、対象28の配置を含んでもよい。ブロック514における対象28の配置は、人間の患者とし得る対象28を、撮像システム36に対して支持体32上に配置することを含んでもよい。また、上述したように、撮像システム36は、移動可能な撮像システムであってもよく、これにより、ブロック514における対象28の配置は、対象28に対して撮像システム36を駆動することを含んでもよい。特に、対象28の配置は、ガントリ70内などにおいて、また、線源74と検出器78との間などにおいて、撮像システム36の中心又は回転中心に対して対象28を配置することを含んでもよい。
【0059】
ブロック514において対象28を配置した後に、ブロック518においては、取得パラメータを、設定又は入力してもよい。取得パラメータの入力は、対象28のビューに関する選択された長さ、必要とされた又は選択された解像度、撮像システム36の特定の移動パラメータ、又は、他の適切な入力パラメータ、を含んでもよい。例えば、ユーザ24は、撮像されるべき椎骨の長さ又は個数を入力してもよい。その場合、コントローラ64は、患者の長軸106に沿った軸線方向における及び両頭矢印114の方向における長さなどの、移動量を決定してもよい。さらに、ユーザ24は、本明細書において説明するように、3次元モデルへと再構成され得る画像データを取得することを選択してもよい。したがって、ユーザ24は、手動で、あるいは、制御システム64又は他の適切な制御システムやプロセッサシステムを使用して自動的に、3次元モデルの再構成を可能とするために、少なくともAPビュー及び側方ビューに沿って対象28の画像取得を決定してもよい。さらに、選択された2次元ビューのみが、対象28に関して取得又は選択されてもよく、したがって、単一のラインスキャンのみが取得されてもよいことは、理解されよう。さらに、撮像システム36を使用することにより、対象28に関する任意の適切なタイプの画像が取得されてもよく、長尺ビューのためのラインスキャンが、例示的なものに過ぎないことは、理解されよう。それにもかかわらず、SDU98を、開始ポイントから終了ポイントへと全体的に直線的な態様で又は全体的に直線的な方向に移動させることによって、対象28に関するラインスキャンを取得してもよい。様々な実施形態では、APビューを、矢印114に沿った第1方向において収集し、SDU98を90度だけ回転させることにより、矢印114に沿った同じ長さに関する戻り経路上で側方ビューを収集してもよい。
【0060】
ブロック518において取得パラメータを設定した後に、ブロック522においては、対象の投影を取得する。投影の取得は、対象28のラインスキャンにおいてスロット又はファンの投影を取得することを含んでもよい。投影の取得は、対象28の長手方向軸線106に沿ったなどの、ライン経路に沿った線源及び検出器及びSDU98の複数の位置において3つのファンの投影を取得することを含んでもよい。取得の数は、適切な焦点を保証すること、歪み(例えば、エッジの歪み)を最小化又は除去すること、又は他の適切な考慮事項、を含めて、最終的な長尺ビューに関して要望される又は選択される品質に基づいて、選択されてもよい。
【0061】
ブロック522において投影を取得した後に、ブロック526においては、長尺フィルムとも称される長尺ビューの再構成が行われる。長尺ビューの再構成は、本明細書においてさらに説明するように、様々なサブステップ及びサブアルゴリズムを含んでもよく、これにより、対象28に関する長尺ビューなどの選択された再構成を形成することができる。再構成は、適切な焦点を確保すること、複数の投影を反復すること、あるいは同種のもの、などの様々な特徴点を含んでもよい。その後、複数の投影は、本明細書において説明するように、順次的にあるいは複数の長尺ビューを提供するために、長尺ビューへと互いに繋ぎ合わせてもよい。
【0062】
その後、長尺ビューは、ブロック530において、任意選択的に保存されてもよい。ブロック530における長尺ビューの保存は、撮像システムメモリ68及び/又は処理システムメモリ58などの任意の適切なメモリ内へと、長尺ビューを保存することであってもよい。長尺ビューの保存が、任意選択的であって必須ではないことは、理解されよう。その後、ブロック534においては、ディスプレイデバイス44などの選択されたディスプレイデバイス上へと、長尺ビューを表示してもよい。画像40は、ブロック536において再構成された長尺ビューを含んでもよく、あるいは、ブロック526において再構成された長尺ビューのみを含んでもよい。しかしながら、ブロック534における画像の表示は、上述した機器アイコン又は表現180によってなどのように、機器144の位置を図示するために使用されてもよい。
【0063】
その後、処置500は、終了ブロック540において終了してもよい。ブロック540において終了することは、上述したように、撮像システム36の動作を停止させることと、処置を継続できるようにすることと、を含んでもよい。様々な実施形態では、長尺ビューの取得は、処置の前などにおいて、あるいは、処置の中間ステップ時に手術室内で行われるなどのように、対象28に対する処置を計画するために使用されてもよい。さらに、長尺ビューは、処置のステップの構成(例えば、第1椎弓根スクリュー又は他の適切な数の椎弓根スクリューの配置)あるいは他のステップの構成などの、様々な目的のために取得されてもよい。したがって、ブロック540において終了することは、ユーザ24によるあるいは他の適切なユーザによる表示及び使用のために、投影の取得及び長尺ビューの再構成を終了することであってもよい。
【0064】
図1~
図6を引き続き参照しつつ、
図7を追加的に参照すると、
図6に図示されているブロック526における長尺ビューの再構成は、
図7に示すような様々なサブステップ及び/又はサブ部分を含んでもよい。したがって、
図7は、ブロック526における長尺ビューの再構成に関する詳細を図示しており、上述した方法500内に組み込まれてもよい。したがって、方法500は、
図7に図示されているようなサブステップを含んでもよい。
【0065】
引き続き
図7を参照すると、長尺ビューの再構成(本明細書では、再構成された長尺ビューとも称される)は、一般に、ブロック526に図示するような部分又はサブ部分を含む。様々な特徴点及びステップが、例えばアルゴリズムなどの、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサシステムによって実行される命令として、含まれてもよいことは、理解されよう。例えば、撮像システムプロセッサ66、及び/又は、プロセッサ56を有した処理システム48は、ブロック522からの複数の取得済み投影に基づいて長尺ビューを生成する命令を実行してもよい。上述したように、撮像システム36の動作は、スロットフィルタアセンブリ260を使用してなどのようにして、ブロック522において複数の投影を取得してもよい。したがって、撮像システム36は、検出器78によって検出されたX線に基づく投影を生成してもよい。ブロック550における取得済み投影の入力は、再構成プロセス526を開始してもよく、上述したように及び本明細書において説明するように、3つのスロットからの投影の入力は、例示的なものであり、それより多数又はそれより少数も可能である。
【0066】
X線投影は、それぞれのファン440、444、448を生成する3つのスロットのそれぞれに関して検出器78のところで取得されてもよい。
図7を引き続き参照しつつ、
図8を追加的に参照すると、3つのファン440、444、448のそれぞれは、3つの別個の一連の画像又は投影560、564、568をそれぞれ生成することとなる。一連の投影のそれぞれは、実質的に同時に取得された複数の投影を含む。例えば、第1シリーズ560は、SDU98の同じ位置でそれぞれのファン440、444、448の第1画像564i、568iと一緒に取得される第1画像スライス560iを含んでもよい。SDU98が、選択された方向に駆動された時には、例えば軸線106に沿って矢印114の方向に駆動された時には、ファン440、444、448のそれぞれによる各スロットを貫通して、複数の投影が取得される。したがって、選択されたラインスキャンに沿った撮像システム36の移動により、3つのシリーズの投影560、564、568が取得される。これらの一連の投影560、564、568は、3つのスロットのそれぞれからブロック550において入力される投影である。本明細書においてさらに説明するように、スロットのそれぞれが、及びそれぞれ対応するファン440、444、448が、一連の投影560、564、568のそれぞれを生成するために使用されるけれども、画像投影のすべては、ブロック526で再構成される長尺ビューを生成するために使用されてもよい。したがって、550における3つのスロットのすべてからのX線投影の入力は、本明細書においてさらに説明するように、526における再構成の様々な部分において、別個に分析又は評価され得るとともに、その後、最終的な長尺ビューを形成するために組み合わされ得る、3つのシリーズの投影560、564、568のすべてを入力することを含んでもよい。各シリーズに関する画像スライスのそれぞれ(例えば、560i、564i、及び569i)のそれぞれは、一般的に及び/又は実質的に、スロット398の幅に少なくとも部分的に起因した、及び、検出器上において励起される対応する長さ468に少なくとも部分的に起因した、視差歪みがない。よって、スライスは、より鮮明なものとすることができ、スライス幅398に起因した誤差又は歪みを、より小さなものとすることができる。
【0067】
処置526は、ブロック578における撮像システム36の移動プロファイルの入力をさらに含む。ブロック578における撮像システムの移動プロファイルの入力は、移動距離、移動距離に関する時間、投影の取得どうしの間の距離、及び、撮像システム36に関する他の移動情報、を含んでもよい。移動プロファイル情報は、本明細書において説明するように、再構成のために投影の相対位置を決定して評価するために使用されてもよい。
【0068】
ブロック550においてX線投影を入力した後に、ブロック590においては、焦点面(fp)=0などの選択された軸線又はラインのところにおいて、任意になどのようにして、焦点面を設定してもよい。fp=0は、撮像システム36の回転中心として規定されてもよい。引き続き
図7及び
図8を参照すると、fpは、対象28の脊椎28sなどの撮像対象部分に対して規定されてもよい。FP=0は、任意の位置であってもよく、ブロック600においては、一連の投影を、各スロットに関して選択された中間画像へと繋ぎ合わせるために又は纏めるために使用される。
【0069】
選択されたFPのところにおいて中間画像を生成することは、
図8に示すように、各シリーズ560、564、568に関して中間画像を生成してもよい。したがって、第1中間画像610は、第1シリーズの投影560に基づいて生成されてもよい。第2中間画像614は、一連の投影564に基づくものであってもよく、第3中間画像618は、第3の一連の投影568に基づくものであってもよい。中間画像610、614、618のそれぞれは、画像ブレンド、見当合わせ、及びビュー操作、などの一般的に公知の技法を使用して、一緒に繋ぎ合わされてもよい。これらは、連続性を達成するために、画像のうちの、一致に近い(例えば、同様の部分であると決定された)様々な部分をブレンドすることを含んでもよい。見当合わせは、2つ以上の画像の同の部分どうしを照合又は識別することが含まれる。操作は、本明細書において説明するように、異なる画像を、又はその一部を、変更することを可能とする。
【0070】
第1シリーズ560などの各シリーズ内において、画像データ部分とも称される複数の投影は、SDU98が対象28に対して移動する際に、選択されたレートで撮影される。
図8に示すように、対象28は、脊椎28sを含んでもよい。SDU98が移動する際には、例えば、ファン440は、投影の取得ごとに1センチメートル(cm)などの選択された距離だけ駆動される。したがって、例えば画像投影560iなどの画像投影のそれぞれは、ファン440の検出器上における幅であってもよく、第2画像投影560iiは、第1画像投影560iから1cmのものであってもよく、同様に、検出器78上におけるファン440の幅であってもよい。当該技術分野において一般的に公知なように、中間投影又は中間画像610へと繋ぎ合わせることを可能とする選択された量のオーバーラップが、2つの画像投影560i及び560iiの間に、生じてもよい。したがって、一連の投影560、564、568のそれぞれ(それぞれが画像データ部分を含んでもよい)は、中間画像610、614、618を生成するために、それぞれ対応する焦点面のところにおいて互いに繋ぎ合わされてもよい。上述したように、焦点面は、複数の投影560、564、568を取得した撮像システム36の全体的に回転中心である0のところに初期設定されてもよいし、任意に設定されてもよい。
【0071】
ブロック600において各スロットに関してFP=0のところに中間画像が生成された後に、ブロック680においては、各スロットに関する中間画像どうしの見当合わせが行われ、並進dが決定される。
図7を引き続き参照しつつ、
図9A及び
図9Bを追加的に参照すると、中間画像は、SDU98の移動に基づく複数の投影に基づいて生成される。
図9Aに示すように、第1移動又は第1距離d1に関する概略的な表現が、図示されている。d1は、上述したdであってもよい。d1は、線源74が第1位置74iから第2位置74iiへと移動し得る距離である。したがって、スロットフィルタ260も、また、第1位置260iから第2位置260iiへと移動してもよい。
図9Aに示すように、スロットフィルタ260iの第1位置における第2ファン444と、スロットフィルタ260iiの第2位置における第1ファン440とは、焦点面FP=1のところにおいて交差しても又は交わってもよい。
【0072】
図9Bに示すように、線源74は、第2位置74iiから第3位置74iiiへと移動してもよく、対応して、スロットフィルタは、第2位置260iiから第3位置260iiiへと移動してもよい。この移動では、距離d2が発生してもよい。
図9Bに示す移動は、中央ファン又は第2ファン444と第1ファン440とが第2焦点面FP=2のところにおいて交差することを含んでもよい。さらに、他のそれぞれのファンも、また、異なる位置のところにおいて交差してもよいこと、そして、2つのファンの図示が、単なる例示であり、他のファンに関する説明は繰り返されないけれども、当業者であれば理解されるであろうことは、理解されよう。
【0073】
撮像されるポイントにおけるファンどうしの交点の位置(すなわち、線源管190からの距離)は、線源管190からの、脊椎28sなどの撮像対象物体の位置に依存してもよい。当業者であれば、撮像システム36の回転中心が軸線106に沿って移動したとしても、脊椎28sが、対象28の長軸106に対して実質的に平行な直線ではなくてもよいことあるいはそのような直線に沿って延びていなくてもよいことは、理解されよう。したがって、
図9A及び
図9Bに示すように、焦点面FPは、線源74及びスロットフィルタ260の異なる位置どうしの間において移動してもよい。よって、距離d2と異なっていてもよい第1距離d1は、撮像システム36によって取得された画像又は投影の焦点面を変更することもできる。それにもかかわらず、ブロック600において生成される第1中間画像は、焦点面が撮像システム36の回転中心にあることを仮定してもよい。
【0074】
図9Aを引き続き参照しつつ、
図9Bを追加的に参照すると、第1中間画像610と第2中間画像614とが表示されている。中間画像は、中間画像610、614、618を含めてすべての中間画像を含んでもよく、第1中間画像610及び第2中間画像614のみに関する説明は、単に現在の説明を明瞭にするためのものに過ぎない。それにもかかわらず、中間画像610及び614を、互いに見当合わせすることにより、見当合わせ済み画像640を決定又は生成してもよい。
【0075】
見当合わせ済み画像640は、第1中間画像610の第1端部648に等しい第1端部644と、第2中間画像614の第2端部660に等しい第2端部654と、を含んでもよい。したがって、見当合わせ済み画像640は、第1中間画像610及び第2中間画像614の合成又はオーバーレイであってもよい。特に、第1中間画像610と第2中間画像614との間において、オーバーラップ領域664が決定又は特定されてもよい。オーバーラップ664は、特徴物ベースの見当合わせ、相互情報ベースの見当合わせ、又は、他の適切な見当合わせ又は画像マッチング法、などによって、特定されてもよい。
【0076】
図9Bに示すように、第2中間画像614は、第1中間画像610の第2端部670から距離668のところに位置した第2端部660を有している。距離668は、撮像システムの移動距離dとして使用又は特定されてもよく、中間画像のそれぞれの焦点面を、あるいは中間画像に関する相互焦点面を、変更又は決定するために使用されてもよい。したがって、第1中間画像610及び第2中間画像614を見当合わせすることによって決定された見当合わせ済み画像640に基づいて、ブロック680において、距離dが決定されてもよい。
【0077】
並進距離であってもよい距離dであり、かつ、スロットフィルタ間隔(例えば、距離412)と、焦点面と、撮像対象をなす対象の関心領域(例えば、特定の椎骨又は椎骨の棘突起などの解剖学的関心領域)と、に関連した距離dを、ブロック680において決定した後に、距離dを含む更新済み焦点面FPが、ブロック684において作成されてもよい。
図9Bに示すように、距離dは、見当合わせ済み画像640を生成するための画像610及び614などの2つ以上の中間画像どうしの間の見当合わせ要素(例えば、有棘突起)の配置を実現するための距離調整用の距離に関するものであってもよい。また、距離412などのスロットどうしの間の距離を使用することにより、見当合わせ済み画像640を実現するための並進距離dを決定してもよい。異なるスロットを貫通して取得された画像部分は、スロットフィルタ260の同じ位置であっても、対象に沿って異なる位置に位置している。
【0078】
対象内の関心部分(例えば、解剖学的な関心部分)の位置を含めて、上述した分析に基づく更新済みFPは、その後、ブロック690においては、更新済みFPを有した更新済み中間画像を生成するために、入力又は反復されてもよい。更新済み画像を生成するための反復のための更新済みFPは、2つの異なる中間画像(例えば、画像部分)どうしの間における線源74からの対象又は関心領域の位置を考慮してもよい。更新済み中間画像の生成は、焦点面が、決定された並進dに基づいて更新されたことを除いて、ブロック600における中間画像の生成と実質的に同様としてもよい。よって、中間画像の焦点は、
図9Bに示すように、上記で決定されたようにして、画像の並進を考慮した焦点面の決定に基づいて、増加又は精緻化されてもよい。その後、ブロック690において生成された更新済み画像は、ブロック700において、重み付け関数を使用した中間画像どうしの組合せにおいて組み合わされてもよい。上述したように及び本明細書において説明するように、3つのスロットに基づいて3つの中間画像を含むことは、単に例示的なものであり、それより多数又はそれより少数が許容又は使用されてもよい。
【0079】
しかしながら、ブロック700における組合せの生成の前に、ブロック692においては、中間画像をさらに更新するかどうかの決定が行われてもよい。例えば、選択された最小値に到達するかどうかを決定するために、少なくとも2回の反復が行われてもよい。最小値に達していない場合は、更なる反復が行われてもよい。決定にかかわらず、ブロック692においては、fpの更なる更新が行われるかどうかの決定が行われてもよい。更新が行われる場合には、「はい」という経路694に追従してもよく、ブロック684においてfpの位置が更新されてもよく、プロセスが反復されてもよい。更なる更新が必要とされない又は選択されない場合には、「いいえ」という経路696に追従することにより、ブロック700において、3つの中間画像が組み合わされてもよい。
【0080】
図7を引き続き参照しつつ、
図10を追加的に参照すると、ブロック690において更新される中間画像は、第1更新済み中間画像610uと、第2更新済み中間画像614uと、第3更新済み中間画像618uと、を含んでもよい。上述したように、3つの中間画像610u、614u、及び618uのそれぞれは、その後、組み合わされてもよく、これにより、第1長尺ビュー又は第1長尺フィルム画像又は初期的長尺ビュー又は初期的長尺フィルム画像704が生成される。
【0081】
3つの中間画像610u、614u、618uのそれぞれなどの、様々な中間画像の生成又は結合は、様々なステップ及び特徴物を含んでもよい。様々な実施形態では、3つの中間画像610u、614u、618uのそれぞれを生成する際に、様々な特徴物に関する初期的変形が行われてもよい。上述したように、3つの中間画像610u、614u、618uのそれぞれは、複数の投影に基づいて生成されてもよい。よって、3つの中間画像610u、614u、618uのそれぞれは、同様の又は同一の特徴物(例えば、椎骨)を含んでもよい。3つの中間画像610u、614u、618uのそれぞれを生成するための変形量を、決定してもよく、更なる結合処置において使用してもよい。
【0082】
様々な実施形態によれば、更新済み中間画像610u、614u、618uを組み合わせることによって初期的長尺ビュー画像704を生成することを支援するために、重み付け関数710が使用されてもよい。重み付け関数710は、
図10において、グラフで示されている。第1ファン440wに対する第1重み付け関数は、ファン440の位置に基づいて、画素又は画像部分が、長尺ビューの最も左側の部分に関して、より重み付けされてもよいことを示している。中間ファン又は中央ファン444は、ファン444の位置に基づいて、更新済み画像614uから、長尺ビュー704の中央部に関する画素を、より重み付けすることとなる関数444wを有してもよい。最後に、ファン448は、長尺ビュー704内におけるファン448の位置に基づいて、右に最も遠い画素又は端部の画素を、重み付けする関数448wを有してもよい。初期的長尺ビュー704を生成するために、他の適切な繋ぎ合わせ関数を使用してもよいこと、そして、重み付け関数710が単に例示的なものであることは、理解されよう。さらに、長尺ビューを生成する際に、変形が最も少ない選択された中間画像610u、614u、618uに対して、より大きな重みを与えてもよい。さらに、長尺ビューを生成する際に、幾何学的変形などの選択された変形を行ってもよい。
【0083】
様々な実施形態では、初期的長尺ビュー704は、ブロック720において、長尺ビュー又は長尺のビューとして出力されてもよい。ブロック720において出力された長尺ビューは、
図6に示すプロセス500において上述したように、ブロック530において長尺ビューを保存するなどのようにして保存されてもよく、及び/又は、ブロック532において表示されてもよい。しかしながら、様々な実施形態では、ブロック720における長尺ビューの出力の前に、画像の強調及び/又は画像の明瞭化などのために、様々な正規化及び/又は処理が、初期的長尺ビュー704に対して適用されてもよい。
【0084】
引き続き
図7を参照すると、ブロック720における最終的な2D長尺フィルム又は長尺ビュー画像の出力の前に、様々な処置が実行されてもよい。重み付け関数を使用した3つの中間画像の組合せの後には、長尺ビュー画像を表示及び/又は保存する前に、様々な処理ステップを実行してもよい。例えば、ブロック730において空気正規化を適用すること、及び/又は、ブロック740において可視化のための更なる後処理を実行すること、が挙げられる。
【0085】
空気正規化は、スロットフィルタアセンブリ260の影響を考慮又は最小化してもよい。
図5A及び
図5Bに示すように、例えばファン448などのファンは、長さ距離468において検出器78に対して接触又は衝突する。この距離468は、検出器78の小さな部分である。さらに、ファン448の寸法が狭いことのために、したがって、検出器78上で接触する画素の個数が少ないことのために、画像又は画素の強度は、ピーク強度の画素又はポイント744から、
図11に示すガウス型などのようにして、迅速に低下することがある。
【0086】
ピーク強度744は、検出器78上の画素又はポイントにおける距離468の中心などの、ファン448の中心に位置してもよい。中心画素から5画素以内(すなわち、ピーク強度画素を含めて10画素の幅)では、約25%の強度低下(例えば、6番目に離れた画素は、ピーク強度画素744の約75%の強度を有してもよい)が、ピーク強度744を有した画素を中心とした10画素の外側の画素において観察されてもよい。中心画素から10画素以内(すなわち、ピーク強度画素を含めて20画素の幅)では、約66%の強度低下が観察される(例えば、11番目に離れた画素は、ピーク強度画素744の約33%の強度を有してもよい)。したがって、狭い帯域の画素は、ファン448に基づく強度のすべてを又は実質的にすべてを含んでもよい。他のファン440、444のそれぞれが、同様の画素強度の低下を含み得る又は有し得ることは、理解されよう。
【0087】
強度低下の影響を低減させることを支援するために、マスクを適用してもよい。狭いファン幅440、444、448のために実質的に強度を有していない画素を考慮して除去するために、40画素幅のマスクを、各スロットによって取得した各画像に対して適用してもよい。これにより、取得された画像は、ブロック700における中間画像の組合せなどによる再構成において正規化され、よって、観察されていた可能性のある歪みが、低減又は除去される。例えば、正規化が行われない場合には、画像460i及び画像460iiなどの、複数の狭い画像どうしを繋ぎ合わせする際に、画像のエッジは、実質的に明るいものであってもよく、あるいは、中央の画素に対してほぼ画素強度を有していないものであってもよい。マスク及び正規化を行わない場合には、繋ぎ合わせ時に又は組合せ時に、組み合わされた画像は、「波及効果」を有してしまう可能性があり、これは、繋ぎ合わされた画像内に現れ得る。波及効果により、画素強度の低下量が画素の狭いバン又は幅にわたって実質的である複数の繋ぎ合わせ画像にわたって変化する画素強度のために、暗い帯域と明るい帯域とが交互となってしまうことがあり得る。
【0088】
視覚化のための更なる後処理を、ブロック740において行ってもよい。様々な後処理は、ブロック700からの組合せ画像の視覚化を支援するための任意の適切な後処理を含むことができる。例えば様々な実施形態では、画像の正規化又はヒストグラムの平均化(例えば、画素強度の平均化)を行ってもよい。例えば、最終的な再構成は、ブロック700からの組合せ画像内における高コントラスト領域と低コントラスト領域との間の大きな変動を低減又は最小化することを支援するために、繋ぎ合わされた画素値を累積画素値によって割算した値を有してもよい。よって、画像は、ブロック740における更なる後処理によって表示するために準備されてもよい。後処理は、解剖学的特徴物の強調、解剖学的特徴物のハイライト(例えば、マスキング)、エッジのシャープ化、等を含み得るけれども、これらに限定されない。
【0089】
したがって、上記を考慮して、撮像システム36は、対象28に関する複数の投影を取得するために使用されてもよい。対象28に関する複数の投影は、AP(前後)方向の第1ラインスキャン及び横方向の第2ラインスキャンなどのように、直線的な態様で取得されてもよい。その後、複数の投影は、対象28に関する単一の長尺ビュー又は長尺フィルムビューへと、繋ぎ合わせ又は組み合わせされてもよい。上述したような様々な中間ステップが、単一の長尺ビューの実行又は生成を支援するために実行されてもよい。例えば、フィルタ内の複数のスロットを使用することにより、複数の中間画像を生成してもよく、その後、それらを最終的に互いに繋ぎ合わせて、単一の長尺ビューを形成してもよい。それにもかかわらず、撮像システム36は、対象28の長尺ビューを生成するために使用されてもよい。
【0090】
さらに、スロットフィルタ260内のスロットのそれぞれは、対象28の走査時に対象28に関する異なる「ビュー」を取得することを可能としてもよい。例えば、3つのファン440、444、448のそれぞれは、SUD98の単一の位置において、投影を取得する。したがって、各ビューにおいて、対象28に関する視点は、異なるものであり得る。したがって、様々な公知の技法によれば、対象に対するラインスキャンであったとしてもその時に取得された対象28に関する複数のビューを使用して、対象28に関する3次元モデルが再構成されてもよい。対象に対するラインスキャンは、上述したように、対象28の長軸106に対して全体的に平行であるような、実質的に直線的な移動であってもよい。よって、SDU98は、ラインスキャンの取得時に、対象28まわりを回転しなくてもよい。それにもかかわらず、様々な視点からの複数の投影は、1つ又は2つのラインスキャン(例えば、APラインスキャン及び横方向ラインスキャン)を使用して、対象28に関する3次元モデルを再構成するために使用されてもよい。様々な視点からのこれら複数の投影は、また、骨の解剖学的構造又はインプラントなどの、高コントラスト対象物内におけるアイテム又は特徴物を位置特定するために使用されてもよい。2つ以上のスロット投影のそれぞれからの位置特定された位置は、また、画像化された対象に関する3次元モデルを生成するために使用されてもよい。当該技術分野において理解されているように、各投影内において決定された平面内の異なる位置は、3Dモデルを生成するために使用されてもよい。
【0091】
実施形態に関する上記の説明は、例示及び説明の目的で提供されたものである。網羅的であることや、本発明を限定することを、意図したものではない。特定の実施形態における個々の構成要素又は特徴点は、一般に、特定の実施形態に限定されないけれども、適用可能な場合には、互換的であり、具体的に図示していない又は説明していない場合であっても、選択された実施形態で使用することができる。また、同じものを、様々な態様で変化させることもできる。そのような変形は、本発明からの逸脱と見なされるものではなく、それらすべての変更は、本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【0092】
本明細書において開示した様々な態様が、本明細書及び添付図面において具体的に提示した組合せとは異なる組合せで組み合わせられ得ることは、理解されるべきである。また、例に応じて、本明細書において説明したプロセス又は方法のいずれかにおける特定の行為又は事象が、異なるシーケンスで実行されてもよいこと、追加されてもよいこと、結合されてもよいこと、あるいは、完全に省略されてもよいこと(例えば、説明したすべての行為又は事象は、技法を実行するのに必須ではないことがあり得る)は、理解されるべきである。加えて、本開示の特定の態様は、明瞭さの目的で、単一のモジュール又はユニットによって実行されるものとして説明しているけれども、本開示の技法が、例えば医療デバイスなどに関連したユニット又はモジュールの組合せによって実行され得ることは、理解されるべきである。
【0093】
1つ又は複数の例では、説明した技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいは、これらの任意の組合せ、で実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上における1つ又は複数の命令又はコードとして格納され、ハードウェアベースのプロセッシングユニットによって実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、あるいは、命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを格納するために使用され得る任意の他の媒体であるとともに、コンピュータがアクセスし得る任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応した、非一過性のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0094】
命令は、1つ又は複数のデジタルシグナルプロセッサ(DSPs)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGAs)、あるいは、他の同等の統合型又は離散型の論理回路、などの1つ又は複数のプロセッサによって実行されてもよい。したがって、本明細書において使用した際には、「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、あるいは、説明した技法の実装に好適な任意の他の物理的構造、を指してもよい。また、技法は、1つ又は複数の回路あるいは論理素子内において完全に実装され得る。
【国際調査報告】