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特表2022-516042二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法及び製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法及び製品
(51)【国際特許分類】
   C07C 27/04 20060101AFI20220216BHJP
   B01J 23/02 20060101ALI20220216BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20220216BHJP
   C07C 31/08 20060101ALI20220216BHJP
   C07C 31/10 20060101ALI20220216BHJP
   C07C 51/00 20060101ALI20220216BHJP
   C07C 53/02 20060101ALI20220216BHJP
   G21H 5/00 20060101ALI20220216BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
C07C27/04
B01J23/02 M
C07C31/04
C07C31/08
C07C31/10
C07C51/00
C07C53/02
G21H5/00 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536406
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 AU2019051431
(87)【国際公開番号】W WO2020124169
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】2018904898
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521271691
【氏名又は名称】フォスエナジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライン・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・エフ・ケリー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BB04A
4G169BB06B
4G169BB09A
4G169BC12B
4G169BC22A
4G169BC23A
4G169BC35A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC52A
4G169BC54A
4G169BC55A
4G169BC56A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC62A
4G169BC63A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BD09A
4G169BD10A
4G169CB02
4G169CB62
4G169CB70
4G169CB74
4G169CC21
4G169CC29
4G169DA08
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB01
4G169EC02Y
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169EC05Y
4H006AA02
4H006AB93
4H006BA08
4H006BA95
4H006BS10
4H006FE11
4H039CA60
4H039CA65
(57)【要約】
本開示は、二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法、システム、及び製品に関する。特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態をベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の小有機化合物が、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、メタン、メタノール、ギ酸、エタノール、アセトアルデヒド及び酢酸のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体が少なくとも2.6eVのバンドギャップを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体が、標準水素電極に対して-0.15ボルト未満の伝導帯端エネルギーを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体が、標準水素電極に対して-0.8ボルト未満の伝導帯端エネルギーを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体が、チタン酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テクネチウム酸塩、過テクネチウム酸塩、タングステン酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、クロム酸塩、ドープ酸化スズ、ドープ酸化亜鉛、ハフニウム酸塩、酸化ゲルマニウム、単純酸化物、マンガン酸化物、コバルト酸化物及び鉄酸化物、硫化物、カルコゲン化物並びに炭素同素体のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体が、ベータ粒子による連続励起を介したベータ粒子活性化を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ベータ粒子活性化半導体が、放射性核種からの放出を介したベータ粒子活性化を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性核種が、14C、90Sr、99Tc、3H、63Ni、137Cs、147Pm、151Sm、121mSn、155Eu、93Zr、210Pb及び126Snのうちの1つ又は複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ベータ粒子活性化半導体が、前記半導体から離れた場所に位置する放射性核種からの放出を介したベータ粒子活性化を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ベータ粒子活性化半導体と前記放射性核種が結合して、放射性触媒を形成する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記放射性触媒が、前記ワイドバンドギャップ半導体と接触している前記放射性核種、前記ワイドバンドギャップ半導体の近位にある前記放射性核種、前記ワイドバンドギャップ半導体と物理的に混合されている前記放射性核種、前記ワイドバンドギャップ半導体に化学的に組み込まれている前記放射性核種、前記ワイドバンドギャップ半導体に担持されている前記放射性核種、及び/又は前記放射性核種の外部に位置している前記ワイドバンドギャップ半導体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射性触媒が多孔質である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記放射性触媒が、粒子、顆粒、ビーズ、粉末、ペレット又はフリットの形態である、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2及び/又はその関連形態に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法。
【請求項16】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法。
【請求項17】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法。
【請求項18】
1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、前記CO2及び/又はその関連形態を前記1つ又は複数の小有機化合物に変換するために、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法を使用する工程を含む、方法。
【請求項19】
1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法。
【請求項20】
1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2及び/又はその関連形態に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法。
【請求項21】
1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法。
【請求項22】
1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、前記CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法。
【請求項23】
請求項18から22のいずれか一項に記載の方法によって生成される、1つ又は複数の小有機化合物。
【請求項24】
前記化合物が、メタノールである、請求項23に記載の1つ又は複数の小有機化合物。
【請求項25】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
前記CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ベータ粒子を放出する放射性核種と密接に結合したワイドバンドギャップ半導体を含む反応容器、並びに
前記CO2及び/又はその関連形態を前記ワイドバンドギャップ半導体及び前記放射性核種に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システム。
【請求項26】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
前記CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ワイドバンドギャップ半導体と、ベータ粒子を放出する放射性核種とを含む放射性触媒を含む反応容器、並びに
前記CO2及び/又はその関連形態を前記放射性触媒に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システム。
【請求項27】
前記CO2供給源が、廃棄CO2、大気中のCO2、液体CO2、分離したCO2、別の試剤と錯形成したCO2、重炭酸塩、炭酸塩、炭酸塩鉱石、又はCO2をもたらす化合物のうちの1つ又は複数を含む、請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ又は複数の小有機分子を抽出するための手段が、蒸留手段及び/若しくは凝縮手段、又は示差吸着手段を備える、請求項25から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
請求項25から28のいずれか一項に記載のシステムによって生成される、1つ又は複数の小有機化合物。
【請求項30】
CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためにワイドバンドギャップ半導体を活性化する方法であって、前記半導体が、CO2還元を可能にするために十分な伝導帯端エネルギーを有し、前記方法が、前記ワイドバンドギャップ半導体を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって前記半導体を活性化する工程を含む、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法によって活性化されたワイドバンドギャップ半導体。
【請求項32】
ベータ粒子を放出する放射性核種と結合したワイドバンドギャップ半導体を含む、放射性触媒材料。
【請求項33】
多孔質である、請求項32に記載の放射性触媒材料。
【請求項34】
粒子、顆粒、ビーズ、粉末、ペレット又はフリットを含む形態である、請求項32又は33に記載の放射性触媒材料。
【請求項35】
CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成するための、請求項32から34のいずれか一項に記載の放射性触媒材料の使用。
【請求項36】
ベータ粒子によるワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための前記半導体を識別する方法であって、
CO2及び/又はその関連形態を、候補のワイドバンドギャップ半導体と密接に結合した、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露する工程、並びに前記候補のワイドバンドギャップ半導体が前記CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する能力を決定し、それによって、ベータ粒子による前記ワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのワイドバンドギャップ半導体として、前記候補のワイドバンドギャップ半導体を識別する工程を含む、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法に従って識別された半導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年12月21日に出願された豪州特許仮出願第2018904898号に対する優先権を主張し、その内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法、システム、製品に関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素(CO2)の生成は、地球温暖化の要因であると広く考えられている。これにより、CO2の蓄積を防ぐための新技術の開発が極めて望ましいとの認識がもたらされた。
【0004】
洗浄又は高多孔質材料によるガス分離等のプロセスによるCO2の除去を含む、大気への正味の排出量を削減するためのさまざまな技術が開発されてきた。しかし、CO2を削減する別の手段は、該材料を商業的に有用な化合物、例えば、それ自体が発電に使用できるメタン等の高エネルギー化合物、又は他の商業プロセスで使用できる化合物に変換することである。
【0005】
CO2を他の商業的に有用な化合物に変換するためのプロセスが知られているが、これらのプロセスは通常、大量の投入エネルギーを要し、他の化合物の使用に依存し、及び/又はCO2の大規模変換には非効率的である。例えば、いくつかの光触媒変換システムが開発されてきたが、これらのシステムは依然として非効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2013/110368
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Modeshia及びWalton(2010)Chemical Society Reviews 39:4303~4325
【非特許文献2】Fuら (2010) Physica Scripta T139:1~4
【非特許文献3】Tzeng及びShih(2015)Journal of the American Ceramic Society 98(2): 386~391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、二酸化炭素を商業的に有用な化合物、特に発電に使用することができる高エネルギー化合物に変換するための新しいプロセスを開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法及び製品に関する。
【0010】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態をベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0011】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2及び/又はその関連形態に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0012】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0014】
本開示の特定の実施形態は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用する工程を含む、方法を提供する。
【0015】
本開示の特定の実施形態は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0016】
本開示の特定の実施形態は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2及び/又はその関連形態に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0017】
本開示の特定の実施形態は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0018】
本開示の特定の実施形態は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0019】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって生成される1つ又は複数の小有機化合物を提供する。
【0020】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ベータ粒子を放出する放射性核種と密接に結合したワイドバンドギャップ半導体を含む反応容器、並びに
CO2及び/又はその関連形態をワイドバンドギャップ半導体及び放射性核種に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システムを提供する。
【0021】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載のシステムによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を提供する。
【0022】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためにワイドバンドギャップ半導体を活性化する方法であって、該半導体が、CO2還元を可能にするために十分な伝導帯端エネルギーを有し、該方法が、ワイドバンドギャップ半導体を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによってワイドバンドギャップ半導体を活性化する工程を含む、方法を提供する。
【0023】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって活性化されたワイドバンドギャップ半導体を提供する。
【0024】
本開示の特定の実施形態は、ベータ粒子を放出する放射性核種と結合したワイドバンドギャップ半導体を含む放射性触媒材料を提供する。
【0025】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成するための、本明細書に記載の放射性触媒材料の使用を提供する。
【0026】
本開示の特定の実施形態は、ベータ粒子によるワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための該半導体を識別する方法であって、
CO2及び/又はその関連形態を、候補のワイドバンドギャップ半導体と結合した、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露する工程、並びに
候補のワイドバンドギャップ半導体がCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する能力を決定し、それによって、ベータ粒子によるワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのワイドバンドギャップ半導体として、候補のワイドバンドギャップ半導体を識別する工程を含む、方法を提供する。
【0027】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって識別されたワイドバンドギャップ半導体を提供する。
【0028】
その他の実施形態も本明細書に開示される。
【0029】
特定の実施形態は、以下の図によって示される。以下の説明は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、説明に関して限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】β放射体及びワイドバンドギャップ半導体の存在下における反応の実験セットアップを示す図である。
図2】非放射性処理のための実験セットアップを示す図である。
図3】変形例の89Sr方法論を使用するPTFE容器のセットアップを示す図である。PTFEの蓋は、圧力逃し弁(右)と手動開閉弁(上)を備えるSwagelok継手を有する。ガスマニホールドは、圧力計(上)、遮断弁、並びにCO2及び真空を導入するための双方向弁を有する。
図4】変形例の89Sr方法論を使用する活性実験のセットアップ(CO2充填中)を示す図である。
図5】気体サンプリングのセットアップを示す図であり、CO2及び真空用の双方向流入弁(左)、並びにマニホールド(右)に装着されたテドラーバッグ(気体サンプリング用)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、少なくとも部分的には、二酸化炭素を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための方法、システム、及び製品に関する。
【0032】
本開示は、少なくとも部分的には、放射性触媒システムを使用して、廃棄二酸化炭素をメタノール等の有益な有機化合物に変換することができるという認識に基づく。
【0033】
理論に拘束されるものではないが、ある種のワイドバンドギャップ半導体を、(例えば、ベータ粒子を放出する放射性核種による)エネルギーベータ粒子束に曝露することにより、ワイドバンドギャップ半導体の電子が励起して、CO2分子への電子移動を推進できる活性化状態になることが認められている。したがって、電子が励起した半導体部位(電子励起により高い還元電位が生じる)で二酸化炭素を変換することが可能である。
【0034】
本開示の特定の実施形態は、利点の1つ又は複数の組み合わせを有する方法及び製品を対象とする。例えば、本明細書に開示されるいくつかの実施形態におけるいくつかの利点には、以下のうちの1つ又は複数が含まれる。CO2を商業的に有用な化合物に変換するための新規及び/又は改善された方法、CO2をエネルギー生成に使用し得る化合物に変換するための新規及び/又は改善された方法、廃棄CO2を商業的に有用な有機化合物に変換するための新規及び/又は改善された方法、CO2の小有機化合物への変換に、ある種の放射性廃棄物を利用可能であること、以前は廃棄物と見なされていた放射性化合物に価値を与えること、「温室効果」化合物を商業的に有用な化合物の供給源へと変換すること、大気中へのCO2放出削減の助けとなること、人為的気候変動の緩和に貢献できる可能性のある方法、重炭酸塩及び/又は炭酸塩供給原料を利用して、新しい商業的に有用な化合物を生成するための方法、ある種の有機化合物生成のために排出集約H2の使用を不要とし、それによって安全性を向上させ、経済的利益及び温室効果の実績に利益をもたらすこと、1つ若しくは複数の問題に対処する、及び/若しくは1つ若しくは複数の利点を提供する、又は商業的な代替手段を提供すること。本開示の特定の実施形態における他の利点もまた、本明細書に開示される。
【0035】
本開示の特定の実施形態は、CO2を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法を提供する。
【0036】
本明細書で使用される用語「CO2」は、二酸化炭素又はその関連形態の1つ、例えば、HCO3 -、CO3 2-若しくはH2CO3等の溶媒和若しくは固体状態で存在する形態、又は別の分子と錯形成したCO2の形態を指し、その範囲内に、前述の化学物質のラジカル及びラジカルイオン、又は他の分子との錯体を含む。
【0037】
特定の実施形態において、CO2は水溶液に溶解されている、CO2は例えば水蒸気と混合された気体としての気体の形態、別の溶媒に溶解されたCO2の使用、又は液体CO2自体の使用である。
【0038】
特定の実施形態において、この方法は溶液中で実施される。特定の実施形態において、この方法は水溶液又は実質的な水溶液中で実施される。特定の実施形態において、この方法は非水溶液中で実施される。特定の実施形態において、この方法は、ジオキサン又はジオキサンと水等の、溶媒又は混合溶媒中で実施される。特定の実施形態において、この方法は気体又は蒸気の状態で実施される。前述の状態で反応を行うための方法及び装置は、当技術分野において既知である。
【0039】
特定の実施形態において、この方法は、CO2が単独で、又は他の物質と混合されて液体状態にある条件下で実施される。液体CO2中で反応を行うための方法及び装置は、当技術分野において既知である。
【0040】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態をベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0041】
特定の実施形態において、CO2は、廃棄CO2、大気中のCO2、液体CO2、分離したCO2、別の試剤と錯形成したCO2の供給源、重炭酸塩、炭酸塩、炭酸塩鉱石、又は関連形態のCO2供給源のうちの1つ又は複数を含む。その他のCO2供給源も考えられる。
【0042】
本明細書で使用される用語「小有機化合物」は、1つ又は複数の炭素原子を有し、別の炭素原子、及び/又は水素、酸素若しくは窒素等の別の元素に結合している任意の化合物を指す。この用語は、有機化合物として分類されない場合がある一酸化炭素(CO)等の化合物をその範囲内に含み、炭素含有化合物のイオン、錯体、及びラジカルもその範囲内に含むことが理解されよう。
【0043】
特定の実施形態において、1つ又は複数の小有機化合物は、一酸化炭素(CO)、メタン、H2CO(ホルムアルデヒド)、CH3OH(メタノール)、HCO2H(ギ酸若しくはその陰イオン)、CH3CHO(アセトアルデヒド)、CH3CH2OH(エタノール)、CH3COOH(酢酸若しくはその陰イオン)、CH3CH2CH2OH(プロパノール)、又は(CH3)2CHOH(イソプロパノール)のうちの1つ又は複数を含む。他の種類の小有機化合物も考えられる。小有機化合物を同定するための方法は、当技術分野において既知である。
【0044】
特定の実施形態において、該方法は、1つ又は複数の小有機化合物を精製又は抽出する工程を更に含む。小有機化合物を精製又は抽出するための方法、例えば、蒸留及び凝縮、又は示差吸着は、当技術分野において既知である。
【0045】
CO2還元を可能にするために十分な大きいバンドギャップ及び伝導帯端エネルギーを有する好適な半導体を選択することができる。
【0046】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.0eVのバンドギャップと、標準水素電極に対して-0.15V以下の(より負である)伝導帯端エネルギーとの両方の特性を有する。半導体の特性を決定するための方法は、当技術分野において既知である。
【0047】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.6eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.1eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.2eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.4eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、2.6~5.4eV、3.1~5.4eV、3.2~5.4eV、又は3.4~5.4eVの範囲のバンドギャップを有する。
【0048】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.15ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0049】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.4ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.8ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-2.0ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0050】
ワイドバンドギャップ半導体の例としては、チタン酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テクネチウム酸塩、過テクネチウム酸塩、タングステン酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、ドープ酸化スズ、ドープ酸化亜鉛、ハフニウム酸塩、酸化ゲルマニウム、マンガン酸化物、コバルト酸化物及び鉄酸化物(例えば、鉄酸塩、マンガン酸塩、コバルト酸塩)、クロム酸塩、単純酸化物、硫化物、カルコゲン化物並びに炭素同素体が挙げられる。他の種類のワイドバンド半導体も考えられる。ワイドバンドギャップ半導体は市販されているか、又は当技術分野において既知の方法によって製造することができる。
【0051】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、チタン酸塩及び/又はジルコン酸塩を含む。
【0052】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、及び酸化チタンのうちの1つ又は複数を含む。
【0053】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、以下の好ましい特性のうちの1つ又は複数を有する。低い電子正孔対再結合率、少なくとも250℃の融点、耐酸化性、硬度、強度、衝撃破壊、侵食及び/又は摩耗に対する耐性。前述の特性を評価するための方法は、当技術分野において既知である。
【0054】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、自己凝集しない流動性粉末形態に加工できる特性を含む。
【0055】
特定の実施形態において、ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体は、放射性核種からの放出を介したベータ粒子活性化を含む。これに関して、放射性核種は更に、崩壊してベータ放出放射性核種となる放射性核種であってもよいことが理解されるであろう。
【0056】
特定の実施形態において、放射性核種は更に、ガンマ(γ)線を放出し、及び/又はその崩壊生成物の1つからγ線を放出する。
【0057】
特定の実施形態において、放射性核種は、90Sr、99Tc、3H、14C、63Ni、137Cs、147Pm、151Sm、121mSn、155Eu、93Zr、210Pb及び126Snのうちの1つ又は複数を含む。放射性核種の供給源は、商業的に入手される等、当技術分野において既知である。放射性核種の製造方法もまた、当該技術分野において既知である。ベータ粒子を放出するその他の放射性核種も考えられる。
【0058】
特定の実施形態において、放射性核種は、以下の好ましい特性のうちの1つ又は複数を有する。(i)放射性核種は、1~100キロエレクトロンボルト(keV)の範囲のエネルギーを有するβ粒子を放出する、(ii)放射性核種は、1~10年の範囲、例えば~5年の半減期(交換時期を最小限に抑えるため)により支配される速度でβ粒子を放出する、及び(iii)放射性核種をワイドバンドギャップ半導体に容易に担持することができるように、該放射性核種は扱いやすい化学的特性を備える元素の同位体
である。
【0059】
単一の放射性ベータ崩壊事象は、元の崩壊原子から数十マイクロメートル(μm)に及ぶ二次電子のカスケードを引き起こし得、各二次電子が、ワイドバンドギャップ半導体内で電子励起状態を引き起こし得る可能性があると理解されよう。
【0060】
特定の実施形態において、放射性核種は、最終的に90Sr及び126Sn等の安定同位体/核に崩壊する過程で、その崩壊系列の娘放射性核種を介して多数のβ粒子放出をもたらす放射性核種である。
【0061】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体の活性化は、ワイドバンドギャップ半導体と接触している、離れて位置している、及び/又は結合している放射性核種から放出されるβ粒子への曝露を含む。
【0062】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体に物理的に組み込まれている。特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体に化学的に組み込まれている。
【0063】
ワイドバンドギャップ半導体への放射性核種の好適な担持量を選択することができる。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体には、0.1~100GBq/mm3、1.0~100GBq/mm3、又は10~100GBq/mm3の範囲の放射性核種が担持されている。その他の範囲も考えられる。
【0064】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体の近位にある、ワイドバンドギャップ半導体と物理的に混合されている、ワイドバンドギャップ半導体に化学的に組み込まれている、ワイドバンドギャップ半導体のマトリックス中に存在する、又はワイドバンドギャップ半導体の内部に位置する。その他の配置も考えられる。
【0065】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体及び放射性核種は、結合して放射性触媒を形成する。これに関して、本明細書で使用される「放射性触媒」という用語は、「放射性触媒材料」と呼ばれることもある。
【0066】
特定の実施形態において、放射性触媒は、例えば、顆粒、ビーズ、粉末としての巨視的形態であるか、又はフリット等の多孔質固体状に固結されている。
【0067】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体中に実質的に均一に分布している。
【0068】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体中に実質的に不均一に分布している。例えば、ワイドバンドギャップ半導体粒子の中心に放射性ドープゾーンがあり、外縁には放射性同位体が含まれていない場合がある。
【0069】
特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体の全部又は一部を被覆する放射性核種を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体によってカプセル化された放射性核種を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体と物理的に混合された放射性核種を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体内に放射性核種の段階的な分布を有する。特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体に担持された放射性核種を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、ワイドバンドギャップ半導体に化学的に組み込まれた放射性核種を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、放射性核種及びワイドバンドギャップ半導体を含むマトリックスを含む。その他の配置も考えられる。
【0070】
特定の実施形態において、放射性触媒は、0.1GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、1GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、10GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、100GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。
【0071】
特定の実施形態において、放射性触媒は、0.1~100GBq/mm3の範囲、1.0~100GBq/mm3、又は10~100GBq/mm3の範囲の放射能含有量を含む。その他の範囲も考えられる。
【0072】
特定の実施形態において、放射性触媒は、高表面積を有する。特定の実施形態において、放射性触媒は、1m2g-1以上、10m2g-1以上、又は100m2g-1以上の表面積を有する。表面積を評価するための方法は、当技術分野において既知である。
【0073】
特定の実施形態において、放射性触媒は巨視的形態である。特定の実施形態において、放射性触媒は、多孔質の巨視的形態である。
【0074】
特定の実施形態において、放射性触媒は多孔質であり、反応流体(液体又は気体)が高い圧力をかけずに細孔に入ること、及び/又はバルク触媒を通って流れることを可能にするために十分な開放気孔率を有する。
【0075】
特定の実施形態において、放射性触媒は複合材料である。例えば、半導体マトリックス内の14C粒子(例えばグラフェン、アモルファスカーボン、又はダイヤモンド)の分散物である。
【0076】
特定の実施形態において、放射性触媒はセラミック材料である。セラミックの製造方法は、当技術分野において既知である。
【0077】
特定の実施形態において、放射性触媒は、サーメット材料(「セラミック金属複合材料」)である。このような材料の製造方法は、当技術分野において既知である。
【0078】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2又はその関連形態に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0079】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、放射性核種から放出される高エネルギーβ粒子によってワイドバンドギャップ半導体を活性化する工程、及びワイドバンドギャップ半導体をCO2及びその関連形態に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0080】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0081】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、ワイドバンドギャップ半導体の存在下で、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0082】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する工程を含む、方法を提供する。
【0083】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する方法を使用して、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法を提供する。
【0084】
小有機化合物は、本明細書に記載される通りである。
【0085】
特定の実施形態において、本開示は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子活性化ワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0086】
特定の実施形態において、本開示は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、エネルギーベータ粒子による電子励起を受けるワイドバンドギャップ半導体をCO2及び/又はその関連形態に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0087】
特定の実施形態において、本開示は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、ワイドバンドギャップ半導体と結合したベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0088】
特定の実施形態において、本開示は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、ワイドバンドギャップ半導体の存在下で、CO2及び/又はその関連形態を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0089】
特定の実施形態において、本開示は、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法であって、CO2及び/又はその関連形態を、放射性核種からのベータ粒子により活性化されるワイドバンドギャップ半導体に曝露し、それによって、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成する工程を含む、方法を提供する。
【0090】
特定の実施形態において、これらの方法は、1つ又は複数の小有機化合物を精製又は抽出する工程を更に含む。小有機化合物を精製又は抽出するための方法は、本明細書に記載される通りである。精製/抽出の程度を決定するための方法は、当技術分野において既知である。
【0091】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって生成される1つ又は複数の小有機化合物を提供する。
【0092】
小有機化合物の例は、本明細書に記載される通りである。特定の実施形態において、小有機化合物は、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、メタン、メタノール、ギ酸、アセトアルデヒド、エタノール、酢酸、プロパノール、及びイソプロパノールのうちの1つ又は複数を含む。
【0093】
小有機化合物を精製又は抽出するための方法は、当技術分野において既知である。例えば、小有機化合物は、蒸留又は示差吸着等のプロセスを使用して分離及び精製することができる。その他の方法も考えられる。
【0094】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムを提供する。
【0095】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、並びに
CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ベータ粒子を放出する放射性核種と密接に結合したワイドバンドギャップ半導体を含む反応容器を含む、システムを提供する。
【0096】
特定の実施形態において、該システムは、1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を更に備える。
【0097】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ベータ粒子を放出する放射性核種と密接に結合したワイドバンドギャップ半導体を含む反応容器、並びに
CO2及び/又はその関連形態をワイドバンドギャップ半導体及び放射性核種に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システムを提供する。
【0098】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ワイドバンドギャップ半導体と、ベータ粒子を放出する放射性核種とを含む反応容器、並びに
CO2及び/又はその関連形態をワイドバンドギャップ半導体及び放射性核種に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システムを提供する。
【0099】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのシステムであって、
CO2及び/又はその関連形態の供給源、
CO2及び/又はその関連形態への曝露のための、ワイドバンドギャップ半導体と、ベータ粒子を放出する放射性核種とを含む放射性触媒を含む反応容器、並びに
CO2及び/又はその関連形態を放射性触媒に曝露することによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を抽出するための手段を備える、システムを提供する。
【0100】
特定の実施形態において、CO2供給源は、廃棄CO2、大気中のCO2、液体CO2、分離したCO2、別の試剤と錯形成したCO2、重炭酸塩、炭酸塩、若しくは炭酸塩鉱石、又はCO2をもたらす化合物のうちの1つ又は複数を含む。その他のCO2供給源も考えられる。
【0101】
特定の実施形態において、放射性触媒は、反応流体が通過することができる多孔質固体状を含む。
【0102】
特定の実施形態において、反応容器は、所望の化学反応が起こる流動床における顆粒状の放射性核種及びワイドバンドギャップ半導体を含む。特定の実施形態において、反応容器は、所望の化学反応が起こる流動床における顆粒状の放射性触媒を含む。
【0103】
特定の実施形態において、小有機分子を抽出するための手段は、蒸留手段及び/又は凝縮手段、又は示差吸着手段を備える。小有機化合物を抽出するための他の手段も考えられる。
【0104】
特定の実施形態において、システムは、1つ又は複数の小有機化合物、例えば、メタノールを製造するための製造プラントを含む。
【0105】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載されるように、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成するためのシステムを提供する。
【0106】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載のシステムを使用して、1つ又は複数の小有機化合物を生成する方法を提供する。
【0107】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載のシステムによって生成される1つ又は複数の小有機化合物を提供する。
【0108】
小有機化合物の例は、本明細書に記載される通りである。特定の実施形態において、小有機化合物は、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、メタン、メタノール、ギ酸、アセトアルデヒド、エタノール、酢酸、プロパノール、及びイソプロパノールのうちの1つ又は複数を含む。
【0109】
本開示の特定の実施形態は、ワイドバンドギャップ半導体を活性化する方法を提供する。
【0110】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、CO2(及び/又はその関連形態)を1つ又は複数の小有機化合物に変換するのに適している。その他の用途も考えられる。
【0111】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためにワイドバンドギャップ半導体を活性化する方法であって、該半導体が、CO2還元を可能にするために十分な伝導帯端エネルギーを有し、該方法が、ワイドバンドギャップ半導体を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによってワイドバンドギャップ半導体を活性化する工程を含む、方法を提供する。
【0112】
特定の実施形態において、本開示は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためにワイドバンドギャップ半導体を活性化する方法であって、該半導体が、CO2還元を可能にするために十分な伝導帯端エネルギーを有し、該方法が、ワイドバンドギャップ半導体を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによってワイドバンドギャップ半導体の電子を励起させ、CO2分子又はその関連形態の化学的還元を推進できる活性化状態にする工程を含む、方法を提供する。
【0113】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって活性化されるワイドバンドギャップ半導体を提供する。
【0114】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.0eVのバンドギャップと、標準水素電極に対して-0.15V以下の(より負である)伝導帯端エネルギーとの両方の特性を有する。
【0115】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.6eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.1eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.2eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.4eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、2.6~5.4eV、3.1~5.4eV、3.2~5.4eV、又は3.4~5.4eVの範囲のバンドギャップを有する。
【0116】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.15ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0117】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.4ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.8ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-2.0ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0118】
本開示の特定の実施形態は、活性化されたワイドバンドギャップ半導体を製造する方法を提供する。
【0119】
特定の実施形態において、活性化されたワイドバンドギャップ半導体は、CO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するのに適している。その他の用途も考えられる。
【0120】
特定の実施形態において、本開示は、活性化されたワイドバンドギャップ半導体を製造する方法であって、該半導体が、CO2還元を可能にするために十分な伝導帯端エネルギーを有し、該方法が、半導体を、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露し、それによって活性化されたワイドバンドギャップ半導体を製造する工程を含む、方法を提供する。
【0121】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって製造される、活性化されたワイドバンドギャップ半導体を提供する。
【0122】
本開示の特定の実施形態は、ベータ粒子を放出する放射性核種と結合したワイドバンドギャップ半導体を含む放射性触媒材料を提供する。
【0123】
本開示の特定の実施形態は、ベータ粒子を放出する放射性核種が担持されたワイドバンドギャップ半導体を含む放射性触媒材料を提供する。
【0124】
ベータ粒子を放出する放射性核種と結合したワイドバンドギャップ半導体を含む放射性触媒材料は、本明細書に記載される通りである。
【0125】
特定の実施形態において、放射性触媒材料は、0.1GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒材料は、1.0GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒材料は、10GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒は、100GBq/mm3以上の放射能含有量を含む。特定の実施形態において、放射性触媒材料は、0.1~100GBq/mm3、1.0~100GBq/mm3、又は10~100GBq/mm3の範囲の放射能含有量を含む。その他の範囲も考えられる。
【0126】
本開示の特定の実施形態は、ワイドバンドギャップ半導体によってカプセル化されたベータ粒子を放出する放射性核種を含む放射性触媒材料を提供する。
【0127】
ワイドバンドギャップ半導体によってカプセル化されたベータ粒子を放出する放射性核種を含む放射性触媒材料は、本明細書に記載される通りである。
【0128】
ワイドバンドギャップ半導体、及びベータ粒子を放出する放射性核種は、本明細書に記載される通りである。
【0129】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.0eVのバンドギャップと、標準水素電極に対して-0.15V以下の(より負である)伝導帯端エネルギーとの両方の特性を有する。
【0130】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.6eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.1eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.2eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.4eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、2.6~5.4eV、3.1~5.4eV、3.2~5.4eV、又は3.4~5.4eVの範囲のバンドギャップを有する。
【0131】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.15ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0132】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.4ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.8ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-2.0ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0133】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態から1つ又は複数の小有機化合物を生成するための、本明細書に記載の放射性触媒材料の使用を提供する。
【0134】
特定の実施形態において、放射性触媒材料は、多孔質の形態である。特定の実施形態において、放射性触媒材料は、粒子、顆粒、ビーズ、粉末、又はペレットを含む形態である。
【0135】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体中に実質的に均一に分布している。
【0136】
特定の実施形態において、放射性核種は、ワイドバンドギャップ半導体中に実質的に不均一に分布している。例えば、放射性触媒粒子の中心に放射性ドープゾーンがあり、外縁には放射性同位体が担持されていない。
【0137】
本開示の特定の実施形態は、CO2及び/又はその関連形態からの1つ又は複数の小有機化合物の生成を促進するための放射性触媒材料の使用を提供する。
【0138】
本開示の特定の実施形態は、溶解したCO2及び/又はその関連形態の溶液、ベータ粒子を放出する放射性核種、並びにワイドバンドギャップ半導体を含む組成物を提供する。
【0139】
特定の実施形態において、組成物は、水性組成物、気体組成物、又は液体溶媒若しくは液化ガスを含む液体組成物である。
【0140】
本開示の特定の実施形態は、溶解したCO2及び/又はその関連形態の溶液と、ベータ粒子を放出する放射性核種及びワイドバンドギャップ半導体を含む放射性触媒材料とを含む組成物を提供する。
【0141】
本開示の特定の実施形態は、ベータ粒子によるワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための該半導体を識別する方法を提供する。
【0142】
特定の実施形態において、本開示は、ベータ粒子によるワイドバンドギャップ半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するための該半導体を識別する方法であって、
CO2及び/又はその関連形態を、候補のワイドバンドギャップ半導体と密接に結合した、ベータ粒子を放出する放射性核種に曝露する工程、並びに候補のワイドバンドギャップ半導体がCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換する能力を決定し、それによって、ベータ粒子による半導体の活性化によってCO2及び/又はその関連形態を1つ又は複数の小有機化合物に変換するためのワイドバンドギャップ半導体として、候補のワイドバンドギャップ半導体を識別する工程を含む、方法を提供する。
【0143】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.0eVのバンドギャップと、標準水素電極に対して-0.15V以下の(より負である)伝導帯端エネルギーとの両方の特性を有する。
【0144】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも2.6eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.1eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.2eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、少なくとも3.4eVのバンドギャップを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、2.6~5.4eV、3.1~5.4eV、3.2~5.4eV、又は3.4~5.4eVの範囲のバンドギャップを有する。
【0145】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.15ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0146】
特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.4ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-0.8ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、標準水素電極に対して-2.0ボルト未満の(より負である)伝導帯端エネルギーを有する。
【0147】
候補の半導体の例としては、チタン酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テクネチウム酸塩、過テクネチウム酸塩、タングステン酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、ドープ酸化スズ、ドープ酸化亜鉛、ハフニウム酸塩、マンガン酸化物、コバルト酸化物及び鉄酸化物(例えば、鉄酸塩、マンガン酸塩、コバルト酸塩)、クロム酸塩、酸化ゲルマニウム、単純酸化物、硫化物、カルコゲン化物並びに炭素同素体が挙げられる。特定の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体は、チタン酸塩及び/又はジルコン酸塩を含む。
【0148】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の方法によって識別された、ベータ粒子活性化によってCO2及び/又はその関連形態を小有機化合物に変換するためのワイドバンドギャップ半導体を提供する。
【0149】
本開示は、以下の実施例によって更に説明される。以下の説明は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、上記の説明に関して限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0150】
放射性のイットリウム90(β粒子放射体)を使用した、二酸化炭素の炭素生成物への転換
1.概要
1つ又は複数の小有機化合物(メタノール、エタノール、プロパノール又はギ酸等)への二酸化炭素(CO2)の変換を実証するため、概念実証試験を行った。
【0151】
光触媒は、CO2を他の化合物に変換するために使用され得る。これらのタイプの技術は、H2O環境で光エネルギー(通常はUV光)を触媒材料と組み合わせてCO2のC=O結合を切断することにより、CO2を他の化合物に還元するために、光エネルギー源に依存している。生じる生成物に影響を与える可能性のある反応条件は触媒の種類、光源、及びpHを含めいくつかある。しかし、このプロセスの重要な制限の1つは、光触媒半導体のバンドギャップより大きいエネルギーを有する、適切な光量子束を供給する光源を使用する必要があることである。
【0152】
放射性崩壊中に放出される粒子のエネルギーを利用して触媒にエネルギーを与えることで光源の代替となるであろうことが認められた。概念実証試験において、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)触媒と共に、ベータ粒子の供給源としてイットリウム90(90Y)を選択し、6週間にわたりCO2の有機化合物への転換を調査した。試験の最後に、さまざまな小有機化合物の存在について液体試料を分析した。
【0153】
2.材料及び方法
(i)β放射体存在下での反応
概念実証試験は、特殊なベータ線源、すなわち「90Y担持ポリマー微粒子」と呼ばれる、イットリウム90(90Y)同位体を担持した多数の官能化ポリスチレン樹脂マイクロビーズ(直径18~30μm)の有用性及び形態を中心に設計した。このようなビーズは入手可能であり、転移性肝腫瘍を抑制するための放射線塞栓療法として使用されている。
【0154】
実験構成には、可溶性二酸化炭素の供給源としてのHCO3 -(重炭酸塩)関連溶液中で、SrTiO3半導体粒子と共にベータ放出樹脂ビーズを攪拌することが含まれた。このような溶液は、pHが約8.15になるように「自己緩衝」する。
【0155】
使用された90Yの放射能は、1.1~2.2GBqの間であった。90Y担持ポリマー微粒子は、該材料受領後直ちに容器から取り出し、NaHCO3(40gL-1)にSrTiO3粉末(5gL-1)を懸濁させた溶液100mLを含む三角フラスコに添加した。溶液を一定速度で攪拌して、溶液表面に小さな渦を維持した。実験セットアップを図1に示す。実験は10mmのパースペックスシールドの背後で行い、実験期間全体にわたり照射線量を監視及び記録した。実験は放射線承認施設で6週間にわたって行われ、この期間の終わりに試料を収集し、0.22μmのセルロースフィルターでろ過して懸濁物質を除去した。実験全体にわたり、定期的にガンマ線量率を監視及び記録した。水性試料は、認可された外部の研究所によって分析された。
【0156】
(ii)β放射体非存在下での反応
非放射性の「ブランク」反応容器(NaHCO3のみ、及びNaHCO3とSrTiO3)を対照としてセットアップし、90Y試験について概説したものと同じ条件を使用した(図2)。実験は90Y実験と並行して実行し、試料を同時に収集し、0.22μmのセルロースフィルターでろ過して懸濁物質を除去した。該試料は、認可された外部の研究所によって分析された。
【0157】
3.結果
3つの反応環境のそれぞれ、すなわち、ベータ放射体存在下及びブランクの容器において、メタノール(CH3OH)、エタノール(CH3CH2OH)、プロパノール、(CH3CH2CH2OH)及びギ酸(HCOOH)の存在について分析を行った。他の有機化合物、特にメタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、及びホルムアルデヒド(HCHO)のレベルは、実験構成中での捕捉が困難と思われたため、この実験では測定しなかった。
【0158】
【表1】
【0159】
処理に関係なく、すべての試料にギ酸が存在することが分析により示された(Table 1(表1))。しかし、90Yを含まない処理では、90Yを添加した処理と比較して、含まれるギ酸濃度が約半分であった(Table 1(表1))。90Y処理のギ酸濃度は785mgL-1であったのと比較して、90Yを含まない2つの処理のギ酸濃度は418及び487mgL-1であった。
【0160】
いずれの処理においてもエタノール及びプロパノールの存在は同定されなかったが(Table 1(表1))、90Yを含む処理において、メタノールが同定された。他の2つの非放射性ベータ線推進処理においては、メタノールは同定されなかった(Table 1(表1))。
【0161】
これらの試験により、14C、90Sr、99Tc、3H、63Ni、137Cs、147Pm、151Sm、121mSn、155Eu、93Zr、210Pb及び126Sn等のベータ粒子を放出する放射性核種により活性化されるワイドバンドギャップ半導体にCO2の関連形態を曝露することによる、メタノール及びギ酸塩等の小有機化合物へのCO2の変換が実証される。
【実施例2】
【0162】
CO2を小有機化合物へと触媒的に変換するための組成物
ベータ粒子を放出する放射性核種は、該放射性核種が廃棄物又は負債と見なされるもの等の供給源、例えば、注目すべき放射性核種が14C、90Sr、99Tc、3H、及び137Csである原子力産業処理施設から得ることができる。これらの核種は通常、吸着された塩種のように処理水流(aqueous process streams)から単離される。
【0163】
一実施形態において、ベータ放出放射性核種は、例えば、好適なオートクレーブで、当技術分野において既知である確立された水熱プロセスを使用することで、チタン酸ストロンチウム(化学物質製造業者より市販されている)等のワイドバンドギャップ半導体において、類似の陽イオンと交換され得る。得られた放射性固体は、溶解したCO2を含む溶液と容易に接触して、一酸化炭素、メタン又はメタノール等の小有機化合物を生成できるように、高表面積の形態(例えば、粉末、顆粒、フリット)に処理される。
【0164】
別の実施形態において、固体チタン酸/ジルコン酸半導体は、(i)例えば、Modeshia及びWalton(2010)Chemical Society Reviews 39:4303~4325に記載されている方法の変法を使用して、前駆体酸化物を、通常は高pHの高温水性流体(~240℃まで)中で共に反応させる「ソルボサーマル」アプローチ、(ii)例えば、Fuら (2010) Physica Scripta T139:1~4に記載されている方法の変法を使用して、前駆体相の粉末を共に混合し、高温に上げることで所望の構造変化及び固定が起こる固相反応アプローチ、等の方法を使用してベータ放出同位体を担持され得る。
【0165】
更に別の実施形態において、固体チタン酸/ジルコン酸半導体は、当技術分野において既知である、構成酸化物を所望のチタン酸塩又はジルコン酸塩に転換する高エネルギー物理的混合アプローチを使用してベータ放出同位体を担持され得る。
【0166】
別の実施形態において、ベータ粒子を放出する放射性核種を含む中空多孔質チタン酸ストロンチウム粒子は、Tzeng及びShih(2015)Journal of the American Ceramic Society 98(2): 386~391に記載されている方法の採用によって製造することができる。この方法により、表面積の大きい多孔質粉末の製造が可能となり、該粉末は、溶解したCO2を含む溶液等の、放射性触媒によるメタノール等の小有機化合物生成の元となる流体として機能する溶液と接触し得る。
【実施例3】
【0167】
メタノール等の小有機化合物の生成
本開示は、ある種の放射性粒子のエネルギーを利用して、多くの有用な工業的エンドポイントを達成する技術に関する。実施例1の試験により、廃棄二酸化炭素を有益な有機化合物に変換するための放射性触媒システムの実現可能性が実証された。二酸化炭素は、例えば、廃棄二酸化炭素及び/又は重炭酸塩供給原料でもよい。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示は、半導体の放射能含有量が範囲内、例えば、1.0~100GBq/mm3の範囲の範囲内となるように、好適な粒子放出特性を有する好適な放射性同位体を本質的に組み込む(例えば、ドープする)ことができる、ワイドバンドギャップ半導体を利用する。
【0169】
いくつかの実施形態において、例えば、放射性ドープゾーンが粒子の中心にあり、外縁に放射性同位体の担持がない場合、放射性同位体は、固体半導体粒子内に不均一に分布し得る。
【0170】
該材料は、粉末、顆粒を含む又は多孔質の「フリット」としてのさまざまな物理的形態で使用され得ることが想定される。
【0171】
該システムでは、化学反応容器であって、(i)触媒表面と、溶解した二酸化炭素を含む関連溶液との間の大きな接触をもたらすように配置された物理的放射性触媒を含み、(ii)容器内にある静的な物理的触媒からの職業放射線量を防ぐための放射線遮蔽手段を備え、且つ(iii)該容器の流出流体を補助的な有機化合物分離システムに送達する、化学反応容器を使用することができる。
【0172】
物理的触媒は、反応流体が通過することができる多孔質固体状、又は所望の化学反応が起こることができる流動床作製に使用可能な顆粒状であってもよいと想定される。
【0173】
いくつかの実施形態において、触媒は、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO3)及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)のいずれか又は両方から選択される。これらの化合物は、大きいバンドギャップ(>2.0eV)、励起された電子正孔対の強力な電気化学的還元電位をもたらす伝導帯端エネルギーを有し、且つ半減期とエネルギーに関して優れたベータ粒子放出特性を有するストロンチウム同位体(90Sr)があるため重要である。
【0174】
ベータ粒子活性化半導体の触媒活性を使用してCO2を大規模に変換するために提案されるシステムを以下に説明する。
【0175】
濃縮CO2、CO3 2-又はHCO3 -の溶液は、実施例2に記載の組成物を有するスラリーを含む反応チャンバに連続的に供給されてもよく、該溶液は、時間のオーダーでの滞留時間で一定の攪拌によって混合され、これによりCO2がメタノールを含む多くの小有機化合物へと触媒的に変換される。
【0176】
水溶液の一部を定期的に抜き取り、穏やかな遠心分離及び/又はろ過に供して溶液から懸濁した固形分を分離し、残りの水溶液を一連の蒸留チャンバ及び凝縮チャンバに供給するが、これにより高純度のメタノールの製造が可能となる。蒸留によるメタノール製造方法は、例えば、WO2013/110368に記載されているように、当技術分野において既知である。
【実施例4】
【0177】
チタン酸ストロンチウムと組み合わせた89Srの使用
1.方法論
非放射性の「ブランク」反応のために、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、1.99g)を250mLのPTFE容器に添加し、続いて、1,4-ジオキサン(97mL)、MilliQ水(3mL)及び攪拌子を加えた。図3に示すように、圧力逃し弁と手動開閉弁を含むSwagelok継手で修飾したPTFE容器の蓋を、圧力計を備えたガスマニホールドに装着し、双方向弁を介してCO2ガスボンベに接続した。CO2ガスの流れがマニホールド及びPTFEの蓋を通過し、PTFE容器を蓋にはめ込む際に該容器から空気をパージした。
【0178】
ガスマニホールドに装着すると、以下の方法を介してPTFE容器にCO2を充填した。
・圧力計が3atmを示すまで反応容器にCO2を加えた。
・次いで、CO2流入弁を閉じた。
・攪拌によりCO2が溶媒に溶解し、圧力が低下した(圧力計で監視)。
・圧力低下速度が遅くなると、圧力値を記録し、CO2弁を開いてプロセスを繰り返した。
【0179】
このようにして約11atmのCO2が10分間にわたって反応容器に加えられたが、その時点で圧力低下速度は非常に遅く、系はほぼ平衡であると見なされた。次に、容器への弁を閉じ、マニホールド内のCO2を排出し、容器をマニホールドから分離した。
【0180】
CO2を充填すると、反応容器を攪拌プレート上に置き、17日間(約600rpmで)攪拌を続けた。
【0181】
活性反応については、同じ反応条件を使用したが、SrTiO3(2.1g)をOPALリアクタで9日間照射し、続いて16日間崩壊させた。照射されたSrTiO3のガンマ分光により、Sr-85放射能48.8±4.4MBq、したがってSr-89放射能88±21MBqが示された。この反応容器に充填されたCO2ガスの量は明確に測定されなかったが、反応容器はCO2下にて3atmで15分間攪拌することにより平衡となったため、非活性実験(11atm)と同程度であると見なされた。図4に示すように、CO2充填は鉛シールドの背後で実行し、実験期間全体にわたり照射線量を監視及び記録した。
【0182】
圧力が経時的に低下することが観察されたため、3~4日ごとに、反応容器をガスマニホールドに再装着し、CO2を再充填した。空気によるヘッドスペースガスの汚染を防ぐため、マニホールドを反応容器へと開く前にCO2でパージした。各時間間隔で加えたCO2について測定された圧力及び量をTable 2(表2)に示す。
【0183】
【表2】
【0184】
17日間の実験期間の終わりに、各実験(活性及び非活性)のヘッドスペースガスを、以下の方法によってサンプリングした。
・反応容器をガスマニホールドに装着。
・テドラーバッグ(気体サンプリング用)をマニホールドの右側に装着(図5参照)。
・双方向弁に装着した真空ポンプを介してマニホールドを排気(図5参照)。
・圧力を記録するため、反応容器を排気したマニホールドに開く。
・テドラーバッグへの弁を、バッグが満たされるまで開く。
・密閉したテドラーバッグをマニホールドから取り外し、残ったCO2をドラフトチャンバ内に過圧排気。
【0185】
次に、反応容器の蓋を開け、その中のスラリーを1.5時間沈降させた。上澄み液をピペット(2mL)でサンプリングし、遠心分離(5000rpm、5分)して微粒子を除去した。
【0186】
2.結果
気体試料(活性及び非活性)は、認可された外部の研究所によってCO及びCH4について分析された。液体試料(活性及び非活性)をメタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、及びギ酸についてGC-MSで分析した。GC-MSは、スプリット注入式(10:1)及び長さ30m、内径0.32mm、df=0.5μm、注入量1μLのAT-WAXカラムでのAgilentGC3800、並びにイオン化電圧70V及び放出電流150μAでの電子イオン化MS1200を使用して行った。
【0187】
以下の分子のレベルが決定される:一酸化炭素、メタン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、及びギ酸。
【0188】
上記の反応方法論は、さまざまな小有機分子の生成をもたらすことが予想される。
【0189】
特定の実施例に関して本開示を説明してきたが、当業者は、本開示が他の多くの形態で実施され得ることを理解するであろう。
【0190】
本開示の範囲から逸脱することなく、前述の部分にさまざまな変更、追加、及び/又は修正を行うことができ、上記の教示に照らして、本開示は、当業者が理解すると思われる各種方式にて、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアで実施することができると理解すべきである。
【0191】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記しない限り、複数のものを指してもよい。
【0192】
本明細書全体を通して、文脈により他に必要でない限り、単語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等の変形は、記載された要素若しくは完全体、又は要素若しくは完全体のグループの含有を意味するが、他のいかなる要素若しくは完全体、又は要素若しくは完全体のグループの除外を意味しないと理解されよう。
【0193】
本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に特に記載がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提示される任意の及びすべての実施例又は例示的な文言(例えば、「等」)の使用は、単に例示的実施形態をよりよく明らかにすることを意図し、別に特許請求しない限り、特許請求された発明の範囲に制限を課さない。明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素を必須として示すものと解釈されるべきではない。
【0194】
本明細書で提示される説明は、共通の特性及び特徴を共有し得るいくつかの実施形態に関する。一実施形態の1つ又は複数の特徴は、他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせてもよいことを理解すべきである。加えて、実施形態の単一の特徴又は特徴の組み合わせは、追加の実施形態を構成し得る。
【0195】
本明細書で使用される主題の見出しは、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、本開示又は特許請求の範囲全体で見られる主題を限定するために使用されるべきではない。主題の見出しは、特許請求の範囲、又は請求項の限定の範囲を解釈する際に使用されるべきではない。
【0196】
本明細書における任意の先行技術への言及は、この先行技術が任意の国において通常の一般的知識の一部を形成するという承認でも、又はいかなる形での示唆でもなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0197】
将来の特許出願は、本出願に基づいて、例えば、本出願から優先権を主張することによって、分割状態を主張することによって、及び/又は継続状態を主張することによって、提出することができる。以下の特許請求の範囲は、例としてのみ提示されており、任意のそのような将来の出願において特許請求される可能性のあるものの範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。また、特許請求の範囲は、本開示の理解を制限する(又は他の理解を除外する)と見なされるべきではない。特徴は後日、例示の特許請求の範囲に追加又はそこから省略される場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】