(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】器具を断熱するための複合物品、複合物品を含む器具、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/32 20060101AFI20220216BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220216BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220216BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20220216BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220216BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220216BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20220216BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
B32B5/32
C08G18/00 F
C08L75/04
C08L83/04
B32B27/00 101
B32B27/40
F16L59/02
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537088
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019068253
(87)【国際公開番号】W WO2020139805
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513128279
【氏名又は名称】ダウ ブラジル スデステ インドゥストリアル リミタダ
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アベ、ロドネイ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】アダミ、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】アルトエ、パウロ
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
3H036AA09
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4J034RA15
(57)【要約】
複合物品、および器具を断熱するための方法が開示される。一般に、器具は、主要な、家庭用(domestic)または家庭用(household)器具(例えば、オーブン、コンロ、レンジなど)の群から選択される。器具は、加熱空洞を画定する第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面と、を有する。複合物品は、第1の表面から離間した裏打ち層と、第2の表面と裏打ち層との間に挟まれた断熱層とを含む。断熱層は、加熱空洞から裏打ち層への(例えば、器具の使用中の)熱伝達を低減する。断熱層は、発泡シリコーンを含む。発泡シリコーンは、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、またはそれらの組み合わせを介して形成されたものであり得る。断熱層は、室温加硫(RTV)発泡シリコーンを含み得る。裏打ち層は、発泡ポリウレタン(PUR)、発泡ポリイソシアヌレート(PIR)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空洞を画定する第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を有する器具を断熱するための複合物品であって、
前記第1の表面から離間した裏打ち層であって、発泡ポリウレタン(PUR)、発泡ポリイソシアヌレート(PIR)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む、裏打ち層と、
前記第2の表面と前記裏打ち層との間に挟まれた断熱層であって、発泡シリコーンを含む、断熱層と、を含み、
前記断熱層が、前記加熱空洞から前記裏打ち層への熱伝達を低減する、複合物品。
【請求項2】
i)前記断熱層が、100~500kg/m
3、任意選択的に200~400kg/m
3の密度を有する、ii)前記裏打ち層が、20~100kg/m
3、任意選択的に30~60kg/m
3の密度を有する、またはiii)i)およびii)の両方、を有する、請求項1に記載の複合物品。
【請求項3】
i)前記断熱層が、0.05~0.1W/m・K、任意選択的に0.07~0.09W/m・Kの熱伝導度を有する、ii)前記裏打ち層が、0.005~0.04W/m・K、任意選択的に0.015~0.03W/m・Kの熱伝導度を有する、またはiii)i)およびii)の両方、を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項4】
前記断熱層が、室温加硫(RTV)発泡シリコーンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項5】
前記断熱層が、
A)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、
A’)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素、および
(C)触媒、のうちの少なくとも1つの反応生成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項6】
前記裏打ち層が、発泡PURまたは発泡PIR、任意選択的に発泡PURを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項7】
前記裏打ち層が、
イソシアネート成分と、
イソシアネート反応性成分と、の反応生成物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項8】
i)前記断熱層が、少なくとも2mm、任意選択的に少なくとも5mmかつ/もしくは5cm未満の平均厚さを有する、ii)前記裏打ち層が、少なくとも0.4mm、任意選択的に少なくとも10mmかつ/もしくは10cm未満の平均厚さを有する、またはiii)i)およびii)の両方、を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項9】
前記断熱層(IL)および前記裏打ち層(BL)が、少なくとも1:2、任意選択的に1:3~1:5の平均厚さ比(IL:BL)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項10】
i)前記断熱層が、前記第2の表面に接着されている、ii)前記裏打ち層が、前記断熱層に接着されている、またはiii)i)およびii)の両方である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項11】
加熱空洞を画定する表面を有する器具を断熱するための複合物品であって、
室温加硫(RTV)発泡シリコーンを含む断熱層と、
前記断熱層に接着され、発泡ポリウレタン(PUR)または発泡ポリイソシアヌレート(PIR)を含む、裏打ち層と、を含み、
前記断熱層が、100~500kg/m
3の密度、および0.05~0.1W/m・Kの熱伝導度を有し、
前記裏打ち層が、20~100kg/m
3の密度、および0.005~0.04W/m・Kの熱伝導度を有し、
前記断熱層(「IL」)および前記裏打ち層(「BL」)が、少なくとも1:2の合計平均厚さ比(IL:BL)を有する、複合物品。
【請求項12】
器具を断熱するための請求項1~11のいずれか一項に記載の複合物品の使用であって、任意選択的に、前記器具が、オーブン、コンロ(またはクックトップ)、レンジ、電子レンジ、食器洗い機、給湯器、またはボイラーである、使用。
【請求項13】
加熱空洞を画定する第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を有する器具を断熱する方法であって、
第1の組成物を前記第2の表面に適用して、前記第2の表面上に断熱層を形成することであって、前記断熱層が、発泡シリコーンを含む、断熱層を形成することと、
第2の組成物を前記断熱層に適用して、前記断熱層上に裏打ち層を形成することであって、前記裏打ち層が、発泡ポリウレタン(PUR)、発泡ポリイソシアヌレート(PIR)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む、裏打ち層を形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
器具であって、
加熱空洞を画定する第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の複合物品と、を含み、前記裏打ち層が、前記第1の表面から離間し、前記断熱層が、前記第2の表面と前記裏打ち層との間に挟まれており、
任意選択的に、前記第1および第2の表面が、金属を含み、
任意選択的に、前記断熱層が、前記第2の表面に接着され、前記裏打ち層が、前記断熱層に接着されており、
任意選択的に、前記器具が、オーブン、コンロ(またはクックトップ)、レンジ、電子レンジ、食器洗い機、給湯器、またはボイラーである、器具。
【請求項15】
前記加熱空洞に対向する前記裏打ち層に隣接する補助断熱材を実質的に含まず、任意選択的に、前記第2の表面に対向する前記複合物品の少なくとも一部の周りに配置された外皮をさらに含む、請求項14に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/785,839号の優先権およびすべての利点を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、器具を断熱するための複合物品、特に、断熱層および裏打ち層を含む複合物品、複合物品を含む器具、ならびに複合物品を形成および器具を断熱する方法に関する。複合物品は、器具と周囲との間の熱伝達の低減などの望ましい物理的特性を提供する。複合物品はまた、製造コストの低減を提供する。
【背景技術】
【0003】
グラスウールまたはミネラルウール、少なくともグラスウールは、オーブン、コンロ、またはレンジなどの器具の断熱に歴史的に使用されてきた。グラスウールはまた、グラスファイバーとも称され得、ミネラルウールはまた、ミネラルコットン、ロックウール、ストーンウール、またはスラグウール(総称して「ウール」)と称され得る。ウールは、器具から周囲への(またはその逆の)熱伝達を低減するための、器具の断熱に有用である。多くの場合、器具に使用されるウールは、輸送、保管、および取り扱いを容易にするためにブランケット(またはバット)の形状である。
【0004】
残念ながら、ウールおよびそれから形成されたブランケットは、それらの繊維の吸引、皮膚接触、または眼への接触による刺激を含む多くの問題に悩まされている。したがって、個人用保護具(「PPE」)、例えば手袋およびマスクが、多くの場合必要とされる。加えて、ブランケットを圧縮することによりその効果が低減され、ブランケットを所望の形状に切断することを困難にし得、それによりブランケットの効果を低減する間隙をもたらす。一般に、ブランケットの適切な設置は手動で行う必要があり、これには時間および労力が非常にかかる。これは、PPEの使用と共に、そのような断熱手段に依存する器具の製造コストを増加させる。
【0005】
さらに、ブランケットは、器具の製造後の工程、出荷、取り扱い、または点検中に移動する傾向がある。ブランケットがずれる、または圧縮される場合、効果が低減される。加えて、ブランケットがずれる、圧縮される、または外れる場合、器具の使用中に生じる過剰な熱により、火傷または火災の危険が生じ得る。
【0006】
前述のことを考慮すると、器具を断熱するための改善された複合物品を提供する機会が依然として存在する。加えて、そのような複合物品を形成および利用するための改善された方法を提供する機会が依然として存在する。さらに、そのような複合物品を利用して改善された器具を提供する機会が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、器具を断熱するための複合物品に関する。加えて、本開示は、器具を断熱する方法に関する。さらに、本開示は、複合物品を含む器具に関する。
【0008】
器具は、空洞、一般に加熱空洞(例えば、器具が使用されているとき)を画定する第1の表面を有する。器具はまた、第1の表面に対向する第2の表面を有する。様々な実施形態では、器具は、主要な、家庭用(domestic)または家庭用(household)器具(例えば、オーブン、コンロ、レンジなど)の群から選択される。本開示の複合物品は、器具を断熱するために使用することができる。
【0009】
複合物品は、第1の表面から離間した裏打ち層と、第2の表面と裏打ち層との間に挟まれた断熱層とを含む。断熱層は、加熱空洞から裏打ち層への(例えば、器具の使用中の)熱伝達を低減する。様々な実施形態では、裏打ち層は、断熱層に接着される、および/または断熱層は、第2の表面に接着される。
【0010】
断熱層は、発泡シリコーンを含む。様々な実施形態では、発泡シリコーンは、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、またはそれらの組み合わせを介して形成されたものである。ある特定の実施形態では、断熱層は、室温加硫(「RTV」)発泡シリコーンを含む。特定の実施形態では、RTVシリコーンは、2液型シリコーンRTV発泡配合物に基づく。
【0011】
裏打ち層は、発泡ポリウレタン(「PUR」)、発泡ポリイソシアヌレート(「PIR」)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む。ある特定の実施形態では、裏打ち層は、発泡PURまたは発泡PIRを含む。様々な実施形態では、複合物品は、ハイブリッドシリコーンおよびPUR/PIR発泡体と称され得、これは、高温(例えば、≧100℃)の断熱に有用である。本明細書で使用される場合、「PUR/PIR」は、PUR単独、PIR単独、またはPURとPIRとの組み合わせを指す場合がある。
【0012】
様々な実施形態では、断熱層は、100~500kg/m3の密度、および/または0.05~0.1W/m・Kの熱伝導度を有する。さらなる実施形態または代替的な実施形態では、裏打ち層は、20~100kg/m3の密度、および/または0.005~0.04W/m・Kの熱伝導度を有する。ある特定の実施形態では、断熱層(「IL」)および裏打ち層(「BL」)は、少なくとも1:2の合計平均厚さ比(IL:BL)を有する。
【0013】
本開示の方法は、第1の組成物を第2の表面に適用して、第2の表面上に断熱層を形成することを含む。方法は、第2の組成物を断熱層に適用して、断熱層上に裏打ち層を形成することをさらに含む。断熱層および裏打ち層は、上記のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の他の利点は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解されるように、容易に理解されるであろう。
【0015】
【
図1】コンロおよびオーブンを有するレンジの斜視図。
【
図2】
図1のレンジの線A-Aに沿った断面正面図である。
【
図3】本開示に従った複合物品を含むライナーの斜視図である。
【
図4】
図3のライナーおよび複合物品の線B-Bに沿った部分的な断面側面図である。
【
図5】ライナーおよび複合物品の部分的な断面側面図であり、複合物品の温度勾配を示している。
【
図6】第1の組成物を適用してライナー上に裏打ち層を形成する工程を示す部分的な断面側面図である。
【
図7】第2の組成物を適用して、裏打ち層上に断熱層を形成する工程を示す部分的な断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの図全体を通して同様の数字が同様の部分を示す図を参照すると、本開示に従った複合物品は、概して20で示されている。複合物品20は、本明細書では、物品20または複合材20と称され得る。
【0017】
一実施形態では、
図2および3に示されるように、物品20は、オーブン24のライナー22の少なくとも一部分を覆う。オーブン24は、レンジ26の一部分であり、レンジはまた、コンロ28も有する。レンジ26は、
図1に最も良好に示されている。
【0018】
物品20はライナー22を覆って示されているが、他の実施形態では、物品20は、主要な家庭用(domestic)または家庭用(household)器具に見られるものなどの、他の表面および/またはアセンブリを断熱するために使用することができることが理解されるべきである。一般に、物品20は、表面またはアセンブリの断熱を提供することが望まれる任意の表面またはアセンブリで有用である。様々な実施形態では、表面またはアセンブリは、家庭用器具に関連付けられている。
【0019】
器具の例としては、オーブン、コンロ(またはクックトップ)、レンジ、および電子レンジなどの調理機器、食器洗い機、洗濯機、衣類乾燥機、および乾燥キャビネットなどの洗浄および乾燥機器、ならびに給湯器およびボイラーなどの暖房機器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
ある特定の実施形態では、器具は、調理機器の群から選択される。本開示の物品20は、100℃超、200℃超、またはそれ以上であり得る典型的な動作または使用温度を考慮したそのような器具に特に好適であると考えられる。特定の実施形態では、器具は、オーブン、コンロ、またはレンジである。当該技術分野で理解されているように、レンジは、一般にコンロとオーブンとの組み合わせである。本明細書で使用される場合、レンジ26への言及は、上記の他の器具のうちの1つと交換可能であり得る。レンジ26は、単に説明を容易にするために、様々な図で示されている。言い換えれば、物品20は、レンジ、または本明細書もしくは図に具体的に示されているタイプのレンジに限定されないことが理解されるべきである。
【0021】
器具は、自立(またはスタンドアロン)型またはスライドイン(または組み込み)型であり得る。ある特定の実施形態では、器具は、自立型である。
図1のレンジ26は自立型であり、外観表面(show surface)31を有する外皮30を含む。物品20は、ライナー22と外皮30との間に配置されている。外皮30は、一般に、金属などの剛性材料を含む。金属の例としては、亜鉛メッキ鋼またはステンレス鋼が挙げられるが、これらに限定されない。外観表面31は、コーティング(例えば、クリアコートまたはベースコートペイント)または他の機能的もしくは美的特色を含み得る。
【0022】
他の実施形態(図示せず)では、器具は、スライドイン型である。スライドイン型器具は、一般に外皮を欠き、したがって外観表面を欠き(または外皮のみを部分的に有し得る)、代わりに、周囲の壁、カウンター、および/またはキャビネットに依存して器具が保持される。これらの実施形態では、物品20は、一般に、器具が設置されると、ライナー22、および周囲の壁、カウンター、および/またはキャビネットによって覆われ、それらの間に配置される。
【0023】
本開示の物品20は、電気に依存するものなどの閉鎖された系を有する器具に特に有用であると考えられる。しかしながら、物品20はまた、ガス(例えば、天然ガスまたはプロパンガス)に依存するものなどの開放された系または部分的に開放された系を有する器具にも使用することができる。
【0024】
図2および3を参照すると、ライナー22は、加熱空洞34を画定する第1の表面32と、第1の表面32に対向する第2の表面36とを含む。ライナー22、したがって表面32、36の各々は、一般に、金属などの剛性材料を含む。金属の例としては、亜鉛メッキ鋼またはステンレス鋼が挙げられるが、これらに限定されない。第1の表面32は、エナメルコーティング(例えば、アクリルエナメルまたは熱分解グラウンドコートエナメル)などのコーティングを含み得る。第2の表面36はまた、物品20との接着を促進するものなどのコーティングを有し有し得る。あるいは、第2の表面36は、コーティングを有さない、例えばむき出しの金属であり得る。他の実施形態では、第2の表面36は、第2の表面36の早期腐食を防止するものなどの、当該技術分野で理解されている従来のコーティングを有し得る。
【0025】
図4を参照すると、裏打ち層40は、第1の表面32から離間し、断熱層38は、第2の表面36と裏打ち層40との間に挟まれている。裏打ち層40は、外面41を有する。裏打ち層40と称されるが、裏打ち層40は、断熱層38とは異なる断熱層としても機能する。
【0026】
ある特定の実施形態では、断熱層38は、第2の表面36に接着され、裏打ち層40は、断熱層38に接着される。これらの実施形態では、層38、40は、一般に直接接触している。さらなる実施形態では、断熱層38は、第2の表面36と直接接触している。他の実施形態(図示せず)では、断熱層38と第2の表面36との間、および/または層38、40の間に、1つ以上の介在層が存在する。
【0027】
様々な実施形態では、器具は、裏打ち層40に隣接する、例えば、加熱空洞34に対向する裏打ち層40の外面41に、例えば隣接したまたは接触させた、補助断熱材を実質的に~完全に含まない。補助断熱材の例としては、グラスウールおよびミネラルウールが挙げられるが、これらに限定されない。
図2に示されるように、外皮30は、第2の表面36に対向して、物品20の少なくとも一部分の周りに配置される。物品20および外皮30は、離間して、(例えば、空気で満たされた)それらの間の空隙もしくは空間を画定してもよいか、物品20および外皮30は、1つ以上の場所で接触してもよいか、または物品20は、外皮30に実質的に隣接してもよく、したがって任意の空隙(複数可)および/または空間(複数可)を最小化または防止する。
【0028】
断熱層38は、一般に、独立気泡発泡体(例えば、>50%の独立気泡)である。様々な実施形態では、断熱層38は、100~500kg/m3、任意選択的に150~450kg/m3、または任意選択的に200~400kg/m3の密度を有する。一般に、裏打ち層40もまた、独立気泡発泡体である。様々な実施形態では、裏打ち層40は、20~100kg/m3、任意選択的に25~80kg/m3、または任意選択的に30~60kg/m3の密度を有する。各発泡体の密度は、当該技術分野で理解されている方法を介して決定することができる。例えば、各発泡体の密度は、天秤および密度キットを使用し、そのような天秤およびキットに関連する標準的な指示に従って、アルキメデスの原理を介して測定することができる。好適な天秤の例は、密度キットを備えたMettler-Toledo XS205DU天秤である。
【0029】
様々な実施形態では、断熱層38は、0.05~0.1W/m・K、任意選択的に0.06~0.095W/m・K、または任意選択的に0.07~0.09W/m・Kの熱伝導度を有する。様々な実施形態では、裏打ち層40は、0.005~0.04W/m・K、任意選択的に0.01~0.035W/m・K、または任意選択的に0.015~0.03W/m・Kの熱伝導度を有する。各発泡体の熱伝導度は、当該技術分野で理解されている方法を介して決定することができる。例えば、各発泡体の熱伝導度は、ASTM C518-熱流計装置による定常熱伝導特性の標準試験方法を介して測定することができる。
【0030】
様々な実施形態では、断熱層38は、少なくとも2mm、任意選択的に少なくとも5mmかつ/もしくは5cm未満、または任意選択的に2.5~25mmの平均厚さ(T1)を有する。断熱層38の厚さ(T1)は、均一であっても変動させてもよい。様々な実施形態では、裏打ち層40は、少なくとも0.4mm、任意選択的に少なくとも10mmかつ/もしくは10cm未満、または任意選択的に0.5~25mmの平均厚さ(T2)を有する。裏打ち層40の厚さ(T2)は、均一であっても変動させてもよい。ライナー22の厚さ(T4)は限定されず、オーブン24またはレンジ26についての従来どおりであり得る。
【0031】
器具の構成に応じて、器具のいくつかの領域で層38、40の一方または両方の厚さ(T1、T2)を増加させて「ホット」ゾーンを構成することが望ましい場合があることを、当業者は理解している。例えば、従来のレンジは、多くの場合、オーブンの側面および/または後部のブランケットの厚さに比べて、オーブンの上およびコンロの下に、より厚いグラスウールブランケットを有する。加えて、従来のレンジでは、オーブンの下のグラスウールブランケットが省略される場合がある。本開示の複合材20は、そのような従来のブランケットの配置/位置を手本にして模倣してもよいか、または代替的な方式で使用してもよい。例えば、複合材20の厚さ(T3、T1+T2)は、均一であってもよいか、または変動させてもよい。加えて、複合材20の厚さ(T3)は、従来のブランケットの厚さよりも薄くてもよい。複合材20は、オーブン24の上、背面、側面、および/または下で使用することができる。複合材20はまた、オーブン24またはレンジ26の正面/ドアで使用することができる。
【0032】
様々な実施形態では、断熱層38(IL)および裏打ち層40(BL)は、少なくとも1:2、任意選択的に1:2~1:10、または任意選択的に1:3~1:5の平均厚さ比(IL:BL)を有する。例えば、断熱層38は、5mmの厚さ(T1)であり得、裏打ち層40は、20mmの厚さ(T2)であり得、1:4の平均厚さ比(IL:BL)を提示する。
【0033】
物品20は、低い熱伝導性を有し、したがって器具の断熱材として有用である。具体的には、いずれの特定の理論に束縛または限定されることなく、その断熱特性および高温耐性に起因して、断熱層38は、第2の表面36と裏打ち層40との間の温度を劇的に低減することができるので、裏打ち層40は、より長い期間(または器具の使用に対する従来の期間)の間、低減された温度に耐久することができると考えられる。例えば、オーブン24の加熱空洞34が240℃である場合、断熱層38は、層38、40の間の境界、裏打ち層40が、≦100℃の温度になるであろうように温度を低減し、それにより、裏打ち層40は、長期間耐久することができる。次いで、裏打ち層40は、レンジ26が、外皮30(または物品20)を介して火傷または火災の危険をもたらさないように、温度を低減する。加えて、物品20は、器具の他の部分を高熱条件から保護することができる。例えば、新しいオーブンおよびレンジ、特に直火焼またはセルフクリーニングの設定に関連するものは、多くの場合、回路基板を含み、(一般に通常の調理温度/時間と比較して短期間ではあるが)典型的にはそれぞれ300℃および500℃に近接する高温に回路基板が曝露される場合、損傷する可能性がある。物品20の低い熱伝導性を介して、エネルギー節約をも実現することができる。例えば、物品20は、器具内の熱をより良好に保持することができ、器具の所望の使用温度を維持するためのエネルギー使用量を低減するだけでなく、器具の周囲の望ましくない加熱も低減する。この種の器具で問題が発生することはめったにないが、器具の誤作動または誤使用の場合、物品20はまた、(物品20がない場合と比較して少なくとも一定期間の間)炎、煙、および/またはガスの透過を遅延または防止することができる。
【0034】
図5は、器具、例えばオーブン24の使用中の温度勾配を示しており、ライナー22の第1の表面32が、加熱空洞34の温度によって少なくとも部分的に付与される第1の温度(Ta)にあり、ライナー22の第2の表面36が、第2の温度(Tb)にあり、層38、40の間の境界が、第3の温度(Tc)にあり、裏打ち層40の外面41が、周囲温度よって少なくとも部分的に付与され得る第4の温度(Td)にある。一般に、器具の使用中は(Ta)>(Tb)>(Tc)>(Td)である。例えば、上に例示したように、(Ta)は約240℃であり得、(Tc)は≦100℃であり得る。(Ta)から(Td)までによって定義される温度勾配は、(Ta)と(Td)との間の差に応じて変動するであろうことが理解されるべきである。例えば、温度勾配は、例えば、加熱空洞34の温度に応じて変動する傾斜のものであり得るか、または器具が使用されていないとき、実質的に平坦、すなわち、
【数1】
すなわち、(Ta)=(Td)であり得る。
【0035】
方法
上に紹介したように、第1の組成物を第2の表面36に適用して、第2の表面上に断熱層38を形成する。加えて、第2の組成物を断熱層38に適用して、断熱層上に裏打ち層40を形成する。第1および第2の組成物の各々について、以下でより詳細に説明する。
【0036】
第1の組成物は、当該技術分野で理解されている任意の好適な方式を介して適用され得る。例えば、第1の組成物は、金型空洞への噴霧、注入、シート化、浸漬、または反応性物質の射出によって(例えば、反応性物質の射出成形または「RIM」を介して)適用され得る。
図6は、第1の組成物を第2の表面36上に適用して断熱層38を形成する、噴霧ノズル42を示している。第1の組成物は、噴霧ノズル42に入る前、入りながら、および/または出た後に形成され得る。様々な実施形態では、第1の組成物は、チキソトロピー性であり、これは、水平表面および垂直と水平との間の表面に加えて、垂直表面への適用を可能にする。第1の組成物は、例えば、第1の組成物の化学的性質に応じて、高温または室温で適用され得る。以下でさらに説明するいくつかの配合物では、第1の組成物を加熱することにより、その硬化および/または発泡を加速することができる。熱は、直接および/または間接的に適用され得る。
【0037】
第2の組成物は、当該技術分野で理解されている任意の好適な方式を介して適用され得る。例えば、第2の組成物は、金型空洞への噴霧、注入、シート化、浸漬、または反応性物質の射出によって(例えば、RIMを介して)適用され得る。
図7は、第2の組成物を断熱層38上に適用して裏打ち層40を形成する、噴霧ノズル42を示している。第2の組成物は、噴霧ノズル42に入る前、入りながら、および/または出た後に形成され得る。様々な実施形態では、第2の組成物は、チキソトロピー性であり、これは、水平表面および垂直と水平との間の表面に加えて、垂直表面への適用を可能にする。第2の組成物は、例えば、第2の組成物の化学的性質に応じて、高温または室温で適用され得る。以下でさらに説明するいくつかの配合物では、第2の組成物を加熱することにより、その硬化および/または発泡を加速することができる。熱は、直接および/または間接的に適用され得る。
【0038】
ある特定の実施形態では、第2の組成物は、金型(図示せず)の使用を介して適用される。金型は、開放型または閉鎖型タイプの金型などの任意の好適な金型であり得る。加えて、金型は、任意の好適な材料、例えば金属材料から形成され得る。金型は、金型空洞を画定する表面を含む。これらの実施形態では、ライナー22は、第1の組成物の適用後または適用前のいずれかで、一般に適用後(例えば噴霧後)に金型空洞内に配置され、第2の組成物が射出されるか、あるいは適用される。例えば、衝突ミキサーを第2の組成物に使用して、裏打ち層40を形成することができる。他の好適なタイプの適用デバイスおよび方法論は、当該技術分野では理解されている。これらのうちのいくつかについて、以下でさらに説明する。
【0039】
任意選択的に、離型剤は、第2の組成物を金型空洞に適用する工程の前に、金型の表面に導入され得る。離型剤は、噴霧などの当該技術分野で理解されている任意の好適な方式によって、金型の表面に導入され得る。離型剤は、シリコーン、石鹸、ワックス、溶媒、およびそれらの組み合わせの群から選択され得る。離型剤を使用して、金型空洞からの物品20の取り外しを容易にすることができる。
【0040】
多くの実施形態では、第2の組成物は、樹脂成分およびイソシアネート成分を介して形成される。そのような成分は、PUR/PIRの当業者によって理解されている。ある特定の実施形態では、樹脂成分およびイソシアネート成分は、使用するまでタンク内で別個に保管される。樹脂およびイソシアネート成分は、発泡体分配装置内で混合され、ポリウレタン発泡体として装置から分配される。樹脂成分およびイソシアネート成分を保管するタンク、ならびに発泡体分配装置を加圧して、タンクから発泡体分配装置を通して樹脂およびイソシアネート成分を移動させる。様々な実施形態では、タンクおよび発泡体分配装置は、低圧系または高圧系のいずれかによって加圧される。
【0041】
低圧系は、ガス圧を使用してタンクおよび発泡体分配装置を加圧する。ある特定の実施形態では、低圧系は、樹脂およびイソシアネート成分の各々に対して、100~500psi(ポンド/平方インチ、1ポンド/インチ2が、約6895N/m2である)の圧力範囲で動作し、0.4~5gpmの流量を作り出す(ガロン/分、1ガロン/分が、~3.79L/分である)、すなわち、低圧系は、6~10gpmの流量でPUR/PIR発泡体を分配することができる。高圧系は、1500~6000psiの圧力範囲で動作し、4~50gpmの樹脂およびイソシアネート成分の各々の流量を作り出す、すなわち、高圧系は、8~100gpmでPUR/PIR発泡体を分配することができる。当業者は、例えば、第2の組成物およびそれから形成される発泡体の所望の特性に応じて、適用条件に対して特定の圧力系を選択することができる。当該技術分野で理解されている他の系を利用してもよい。
【0042】
レンジ26などの自立型器具では、外皮30は、物品20の形成後に物品20に被せて配置され得る。他の実施形態(図示せず)では、外皮30は、金型として機能し得る。例えば、断熱層38を、ライナー22上に形成してもよく、断熱されたライナー22、38を、器具に配置してもよい。次いで、外皮30を器具に配置してもよい。次に、例えば噴霧および/または射出を介して第2の組成物を断熱層38に適用してもよく、第2の組成物が、(外皮30によってさらに保持されながら)発泡および膨張して、断熱層38と外皮30との間に挟まれた裏打ち層40を形成する。
【0043】
図3は、参照を容易にするためにライナー22の正面/前面に層38、40の各々を示しているが、断熱層38が裏打ち層40によってカプセル化されることができるように、第2の組成物は、断熱層を実質的に~完全に覆って適用されるであろう。言い換えれば、断熱層38は、一般に、裏打ち層40の形成後には、目視可能ではないであろう。
【0044】
ある特定の実施形態では、第2の組成物は、断熱層38がまだ湿っている間に適用される(「ウェットオンウェット」)。しかしながら、多くの実施形態では、第2の組成物との混合または相互混入を防止するために、断熱層38は、一般に硬くなった状態まで硬化しているか、あるいは凝固している(「ウェットオンドライ」)。場合によっては、断熱層38の「乾燥」は、実質的に粘着性がないことによって示され得る。
【0045】
様々な実施形態では、第2の組成物の適用前に、少なくとも60秒、任意選択的に60秒~15分、任意選択的に60秒~10分、または任意選択的に60~90秒間、断熱層38を硬化させる。
【0046】
様々な実施形態では、優れた接着は、層38、40の間で達成され得る。具体的には、優れた接着は、化学的および機械的手段のうちの少なくとも1つ、または少なくとも機械的手段によって達成されると考えられる。例えば、化学的接着は、第1および第2の組成物が、互いに反応性であり、層38、40を一緒に効果的に「架橋」させる成分を有する場合に達成され得る。代替的に、層38、40は、機械的に接着される。例えば、第2の組成物は、(閉鎖型)金型内で裏打ち層40の膨張および形成中に、断熱層38に接触して浸透し、したがって、層38、40の間に機械的結合を作り出す。ある特定の実施形態では、凹凸または「小さな隆起」が裏打ち層40から断熱層38に突出し、これが、層38、40の間の接着が増加させ、それにより、その分離または層間剥離が最小限に抑えられる。
【0047】
層38、40のそれぞれの気泡構造は、均一であってもよいか、または変動させてもよいことが理解されるべきである。加えて、各層38、40の形成中に、気泡は、表面で合体および/または崩壊し得、これが、(例えば、第2の表面36と断熱層38との間、および/または層38、40の間の)接着の改善をもたらし得る、および/または、裏打ち層40の外面41などのエラストマー性外皮の形成をもたらし得る。
【0048】
様々な実施形態では、複合材20の取り扱いの前に、少なくとも60秒、任意選択的に60秒~15分、または任意選択的に60秒~10分間、裏打ち層40を硬化させる。以降、第1および第2の組成物について、より詳細に説明する。まず、一般的な定義を以下に概説する。
【0049】
定義
本明細書で使用される場合、「周囲温度」または「室温」という用語は、約15℃~約35℃、代替的に約20℃~約30℃の温度を指す。通常、室温は、約20℃~約25℃の範囲である。「周囲圧力」または「大気圧」という用語は、約101kPaの圧力を指す。
【0050】
本明細書で言及されるすべての粘度測定値は、特に明記しない限り、25℃で測定した。粘度は、当該技術分野で理解されている方法を介して決定することができる。
【0051】
以下の略語は、本明細書ではこれらの意味を有する:すなわち、「Me」はメチル、「Et」はエチル、「Pr」はプロピル、「Bu」はブチル、「g」はグラム、および「ppm」は百万分率を意味する。加えて、「Vi」または「vi」は、ビニルを意味し、「Hex」または「hex」は、ヘキセニルを意味する。
【0052】
「ヒドロカルビル」は、置換または非置換であり得る一価の炭化水素基を意味する。ヒドロカルビル基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
【0053】
「アルキル」は、非環式の分岐または非分岐の飽和一価炭化水素基を意味する。アルキルは、Me、Et、Pr(例えば、iso-Prおよび/またはn-Pr)、Bu(例えば、iso-Bu、n-Bu、tert-Bu、および/またはsec-Bu)、ペンチル(例えば、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、および/またはtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、およびドデシル、ならびに6~12個の炭素原子の分岐飽和一価炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個、代替的に1~24個、代替的に1~20個、代替的に1~12個、代替的に1~10個、代替的に1~6個の炭素原子を有し得る。
【0054】
「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非環式の分岐または非分岐の一価炭化水素基を意味する。アルケニルは、ビニル、アリル、メタリル、プロペニル、およびヘキセニルによって例示されるが、これらに限定されない。アルケニル基は、2~30個、代替的に2~24個、代替的に2~20個、代替的に2~12個、代替的に2~10個、代替的に2~6個の炭素原子を有し得る。
【0055】
「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非環式の分岐または非分岐の一価炭化水素基を意味する。アルキニルは、エチニル、プロピニル、およびブチニルにより例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、2~30個、代替的に2~24個、代替的に2~20個、代替的に2~12個、代替的に2~10個、代替的に2~6個の炭素原子を有し得る。
【0056】
「アリール」は、環式の完全に不飽和の炭化水素基を意味する。アリールは、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、およびナフチルによって例示されるが、これらに限定されない。単環式アリール基は、5~9個、代替的に6~7個、代替的に5~6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10~17個、代替的に10~14個、代替的に12~14個の炭素原子を有し得る。
【0057】
「アラルキル」とは、ペンダントアリール基および/もしくは末端アリール基を有するアルキル基、またはペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、メシチル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、およびフェニルブチルが挙げられる。
【0058】
「アルケニレン」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非環式の分岐または非分岐の二価炭化水素基を意味する。「アルキレン」とは、非環式の分岐または非分岐の飽和二価炭化水素基を意味する。「アルキニレン」とは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非環式の分岐または非分岐の二価炭化水素基を意味する。「アリーレン」とは、環式の完全に不飽和のニ価炭化水素基を意味する。
【0059】
「炭素環(carbocycle)」および「炭素環式(carbocyclic)」は、各々、炭化水素環を意味する。炭素環は、単環式であってもよく、または代替的に融合、架橋、またはスピロ多環式環であってもよい。単環式炭素環は、3~9個、代替的に4~7個、代替的に5~6個の炭素原子を有し得る。多環式炭素環は、7~17個、代替的に7~14個、代替的に9~10個の炭素原子を有し得る。炭素環は、飽和または部分的に不飽和であり得る。
【0060】
「シクロアルキル」は、飽和炭素環を意味する。単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルによって例示される。「シクロアルキレン」は、二価飽和炭素環を意味する。
【0061】
別の基、例えば、ヒドロカルビル基に関連して使用される「置換された」という用語は、特に明記しない限り、ヒドロカルビル基中の1つ以上の水素原子が、別の置換基で置き換えられていることを意味する。そのような置換基の例としては、ハロゲン原子、例えば、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素;ハロゲン原子含有基、例えば、クロロメチル、ペルフルオロブチル、トリフルオロエチル、およびノナフルオロヘキシル;酸素原子;酸素原子含有基、例えば、(メタ)アクリル酸およびカルボキシル基;窒素原子;窒素原子含有基、例えば、アミン、アミノ官能基、アミド官能基、およびシアノ官能基;硫黄原子;ならびに、硫黄原子含有基、例えば、メルカプト基が挙げられる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上で、としての大部分、またはほとんどを指す。本明細書で使用される場合、「分岐」という用語は、3つ以上の末端基を有するポリマーについて記載している。
【0063】
M、D、T、およびQ単位は、一般に、RuSiO(4-u)/2として表され、式中、M、D、T、およびQそれぞれに関して、uは、3、2、1、および0であり、Rは、独立に選択されるヒドロカルビル基である。M、D、T、Qは、残りの分子構造に結合しているケイ素原子に共有結合している1つ(Mono)、2つ(Di)、3つ(Tri)、または4つ(Quad)の酸素原子を示している。
【0064】
第1の組成物
第1の組成物は、シリコーン組成物と称され得る。様々な実施形態では、断熱層38は、A)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、およびA’)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサン、B)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素、およびC)触媒、のうちの少なくとも1つの反応生成物を含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、第1の組成物は、成分A)を含む。さらなる実施形態では、第1の組成物は、成分A)を含み、成分A’)を実質的に~完全に含まない。他の実施形態では、第1の組成物は、成分A’)を含む。さらなる実施形態では、第1の組成物は、成分A’)を含み、成分A)を実質的に~完全に含まない。これらの成分および他の任意選択的な成分について、以下で説明する。
【0066】
様々な実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの実施形態では、シリコーン組成物は、一般に、硬化条件への曝露を介して硬化可能である。当該技術分野で理解されるように、これらのシリコーン組成物は、熱への曝露、水分への曝露などの異なる硬化条件を介して硬化し得る。加えて、硬化条件への曝露は、異なるタイプのシリコーン組成物を硬化させるか、または硬化を開始させることができる。例えば、熱を利用して、ヒドロシリル化硬化性および縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させるか、または硬化を開始させることができる。第1の組成物は、ヒドロシリル化および縮合硬化性成分の両方を有する二重硬化系であり得ることが理解されるべきである。これらの実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化、縮合硬化、またはその両方のための従来の触媒を含み得る。ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が、付加硬化性シリコーン組成物とも称され得ることを、当業者は理解している。そのような反応およびその成分は、当該技術分野で理解されている。例えば、様々な縮合反応、そのメカニズムおよび成分は、米国特許第7,064,173号に示されている。
【0067】
様々な実施形態では、25℃の温度では、第1の組成物は、典型的には、断熱層38を形成する反応の前には、流動性液体である。一般に、第1の成分は、25℃では、10~30,000,000mPa・s、代替的に10~10,000,000mPa・s、代替的に100~1,000,000mPa・s、代替的に100~100,000mPa・sの粘度を有する。当該技術分野で理解されているように、粘度は、ブルックフィールドLV DV-E粘度計によって25℃で測定することができる。粘度が高すぎる場合、第1の組成物は、取り扱いまたは適用が困難であり得る。
【0068】
上で紹介したように、様々な実施形態では、断熱層38は、室温加硫(「RTV」)発泡シリコーンを含む。ある特定の実施形態では、断熱層38は、追加の硬化性RTVシリコーンを含む。
【0069】
好適なシリコーン発泡体、系、組成物、配合物、およびそれらの成分の具体例は、SILASTIC(商標)8257シリコーン発泡体、DOWSIL(商標)3-6548 RTVシリコーン発泡体、DOWSIL(商標)3-8209シリコーン発泡体、DOWSIL(商標)3-8219 RFシリコーン発泡体、およびDOWSIL(商標)3-8259 RFシリコーン発泡体などの商品名SILASTIC(商標)およびDOWSIL(商標)のThe Dow Chemical Company、Momentive RTF7000およびMomentive RTF8510などのMomentive Performance Materials Inc.、ELASTOSIL(登録商標)SC 835A/Bなどの商品名ELASTOSIL(登録商標)のWacker Chemie AG、PENSIL(登録商標)PEN200シリコーン発泡体などの商品名PENSIL(登録商標)のSpecified Technologies Inc(「STI」)、BLUESIL(商標)FR 1593 A/B発泡体などの商品名BLUESIL(商標)のElkem Silicones、商品名BISCO(登録商標)のRogers Corporation、ならびにSS-2001 Fire BarrierシリコーンRTV発泡体などのSilicone Solutionsから市販されている。
【0070】
ヒドロシリル化硬化性組成物
ある特定の実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含むか、またはヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物である。これらの実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、A)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、B)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサン、およびC)ヒドロシリル化触媒、を含むか、または本質的にそれらからなる。多くの実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つの発泡剤を含む。
【0071】
成分A)は、1分子あたり少なくとも2つの脂肪族不飽和基を含み、それは、代替的に、エチレン性不飽和と称される。成分A)は、限定されず、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有する任意の不飽和化合物であり得る。様々な実施形態では、成分A)は、1分子あたり少なくとも3つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有する。ある特定の実施形態では、成分A)は、シロキサンを含む。他の実施形態では、成分A)は、シリコーン-有機ハイブリッド、または有機ケイ素化合物を含む。成分A)の様々な実施形態および例を以下に開示する。
【0072】
成分A)の脂肪族不飽和基は、末端、ペンダント、または成分A)の両方の位置に存在することができる。例えば、脂肪族不飽和基は、アルケニル基および/またはアルキニル基であり得る。アルケニル基は、ビニル、アリル、プロペニル、およびヘキセニルにより例示されるが、これらに限定されない。アルキニルは、エチニル、プロピニル、およびブチニルにより例示されるが、これらに限定されない。
【0073】
ある特定の実施形態では、成分A)は、以下の平均式のオルガノポリシロキサンを含む:
R5
fSiO(4-f)/2
式中、各R5は、独立に選択された置換または非置換ヒドロカルビル基であり、但し、各分子において、少なくとも2つのR5基は、脂肪族不飽和基であり、fは、0<f≦3.2において選択される。
【0074】
オルガノポリシロキサンに関する上記の平均式は、代替的に、(R5
3SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)zと書くことができ、R5およびその条件は上で定義されており、w、x、y、およびzは、独立して、≧0から≦1であり、但しw+x+y+z=1である。当業者は、そのようなM、D、T、およびQ単位ならびにそれらのモル画分が上記の平均式の添字fにどのように影響を及ぼすかを理解する。添字yおよびzにより示されるTおよびQ単位は、典型的には、シリコーン樹脂中に存在するのに対し、添字xにより示されるD単位は、典型的には、シリコーンポリマー中に存在する(かつ、シリコーン樹脂中にも存在し得る)。
【0075】
上記で紹介されるように、各R5は独立して選択され、線状、分岐状、環状、またはそれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、ならびに飽和または非共役環状基を包含する。アリール基は、単環式または多環式でもよい。線状および分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和または不飽和であり得る。線状と環状ヒドロカルビル基との組み合わせの一例は、アラルキル基である。置換および非置換ヒドロカルビル基の例は、Rと関連して上で紹介されている。脂肪族不飽和基(複数可)の例もまた上で紹介されている。
【0076】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサンは、実質的に線状であるか、代替的に線状である。これらの実施形態では、実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、平均式を有し得、
R5
f’SiO(4-f’)/2
式中、各R5およびその条件は上で定義されており、式中、f’は、1.9≦f’≦2.2において選択される。
【0077】
これらの実施形態では、25℃の温度で、実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、典型的には、流動性の液体であるか、または未硬化ゴムの形態である。一般に、実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、25℃で、10~30,000,000mPa・s、代替的に10~10,000,000mPa・s、代替的に100~1,000,000mPa・s、代替的に100~100,000mPa・sの粘度を有する。当該技術分野で理解されているように、粘度は、ブルックフィールドLV DV-E粘度計によって25℃で測定することができる。
【0078】
オルガノポリシロキサンが実質的に線状または線状である具体的な実施形態では、オルガノポリシロキサンは、以下の平均式を有し得:
(R5
3SiO1/2)m’(R5
2SiO2/2)n’(R5SiO3/2)o
式中、各R5は、独立して、上で選択かつ定義されており(各分子において、少なくとも2つのR5基が脂肪族不飽和基であるという条件を含む)、m’≧2、n’≧2、およびo≧0である。特定の実施形態では、m’は、2~10、代替的に2~8、代替的に2~6である。これらまたは他の実施形態では、n’は、2~1,000、代替的に2~500、代替的に2~200である。これらまたは他の実施形態では、oは、0~500、代替的に0~200、代替的に0~100である。
【0079】
オルガノポリシロキサンが実質的に線状であるか、代替的に線状であるとき、ケイ素結合脂肪族不飽和基は、ペンダント、末端、またはペンダントと末端の両方の位置に存在することができる。ペンダントケイ素結合脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンの具体例として、オルガノポリシロキサンは、以下の平均式を有し得、
(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]n’[(CH3)ViSiO]m’Si(CH3)3
式中、n’およびとm’は、上で定義され、Viは、ビニル基を示す。この平均式に関して、当業者は、1分子あたり2つの脂肪族不飽和基が存在する限り、任意のメチル基がビニル、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基で置き換えられ得、任意のビニル基が任意のエチレン性不飽和基で置き換えられ得ることを知っている。代替的に、末端ケイ素結合脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンの具体例として、オルガノポリシロキサンは、以下の平均式を有し得、
Vi(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]n’Si(CH3)2Vi
式中、n’およびViは上で定義されている。ケイ素結合ビニル基で終端されたジメチルポリシロキサンは、単独で、または直前に上記で開示されるジメチル、メチルビニルポリシロキサンと組み合わせて利用され得る。この平均式に関して、当業者は、1分子あたり2つの脂肪族不飽和基が存在する限り、任意のメチル基がビニル、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基で置き換えられ得、任意のビニル基が任意のエチレン性不飽和基で置き換えられ得ることを知っている。少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基は、ペンダントおよび末端の両方に存在し得るため、成分A)は以下の平均式を有し得:
Vi(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]n’[(CH3)ViSiO]m’SiVi(CH3)2
式中、n’、m’、およびViは上で定義されている。
【0080】
実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたジメチルポリシロキサン、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルフェニルポリシロキサン、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルフェニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンおよびメチルフェニルシロキサンのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンおよびジフェニルシロキサンのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、およびジメチルシロキサンのコポリマー、両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンおよびメチルフェニルシロキサンのコポリマー、両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンおよびジフェニルシロキサンのコポリマー、ならびに両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、およびジメチルシロキサンのコポリマーにより例示され得る。
【0081】
これらまたは他の実施形態では、成分A)は、樹脂状オルガノポリシロキサンであり得る。これらの実施形態では、樹脂状オルガノポリシロキサンは、平均式を有し得、
R5
f’’SiO(4-f’’)/2
式中、各R5およびその条件は上で定義されており、式中、f’’は、0.5≦f’’≦1.7において選択される。
【0082】
樹脂状オルガノポリシロキサンは、分岐状または三次元ネットワーク分子構造を有する。25℃において、樹脂状オルガノポリシロキサンは、液体または固体の形態であってもよく、任意選択的に、樹脂状オルガノポリシロキサンを、可溶化および/または分散することができる担体中に分散されてもよい。
【0083】
具体的な実施形態では、樹脂状オルガノポリシロキサンは、T単位のみを含むオルガノポリシロキサン、他のシロキシ単位(例えば、M、D、および/またはQシロキシ単位)と組み合わせてT単位を含むオルガノポリシロキサン、または他のシロキシ単位(すなわち、M、D、および/またはTシロキシ単位)と組み合わせてQ単位を含むオルガノポリシロキサンにより例示され得る。典型的には、樹脂状オルガノポリシロキサンは、Tおよび/またはQ単位を含む。樹脂状オルガノポリシロキサンの具体例は、ビニル末端シルセスキオキサンである。
【0084】
オルガノポリシロキサンは、異なる構造のものを含む異なるオルガノポリシロキサンの組み合わせまたは混合物を含み得る。ある特定の実施形態では、成分A)は、過半量の成分として1つ以上の線状オルガノポリシロキサンを含む。
【0085】
上記のように、ある特定の実施形態では、成分A’)も含まれ得る。ケイ素結合ヒドロキシ基を有する好適なオルガノポリシロキサンA’)の例は、成分A)を用いて上記したとおりであるが、ケイ素結合エチレン性不飽和基がケイ素結合ヒドロキシ基で置き換えられている。
【0086】
成分B)は、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む。様々な実施形態では、成分B)は、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する。成分B)は、線状、分岐状、環式、樹脂状、またはそのような構造の組み合わせを有することができる。非環状ポリシランおよびポリシロキサンにおいて、ケイ素結合水素原子は、末端、ペンダント、または末端とペンダントとの両方の位置に位置することができる。シクロシランおよびシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、代替的に3~10個のケイ素原子、代替的に3~4個のケイ素原子を有する。
【0087】
ある特定の実施形態では、成分B)は、式R8
4-sSiHsであり、式中、R8は、独立して選択され、任意のケイ素結合基であってもよく、sは、1≦s≦4において選択される。典型的には、sは、1、2、または3、代替的に1または2である。各R8は、典型的には、独立して、置換または非置換ヒドロカルビル基である。しかしながら、R8は、成分B)がそのケイ素結合水素原子を介してヒドロシリル化を受けることができる限り、任意のケイ素結合基であり得る。例えば、R8は、ハロゲンであり得る。成分B)がシラン化合物であるとき、成分B)は、モノシラン、ジシラン、トリシラン、またはポリシランであり得る。
【0088】
これらまたは他の実施形態では、成分B)は次式:Hg’R9
3-g’Si-R10-SiR9
2Hの有機ケイ素化合物であり得、式中、各R9は、独立して選択された置換または非置換ヒドロカルビル基であり、g’は0または1であり、R10は二価の連結基である。R10は、シロキサン鎖(例えば、-R9
2SiO-,-R9HSiO-、および/または-H2SiO- Dシロキシ単位を含む)であってもよく、または二価の炭化水素基であってもよい。典型的には、二価の炭化水素基は、脂肪族不飽和を含まない。二価の炭化水素基は、線状、環状、分岐状、芳香族などであり得るか、またはそのような構造の組み合わせを有し得る。
【0089】
これらまたは他の実施形態では、成分B)は、オルガノ水素シロキサンを含み、それは、ジシロキサン、トリシロキサン、またはポリシロキサンであり得る。成分(B)として使用するのに好適なオルガノ水素シロキサンの例としては、次式:すなわち、PhSi(OSiMe2H)3、Si(OSiMe2H)4、MeSi(OSiMe2H)3、およびPh2Si(OSiMe2H)2を有し、式中、Meは、メチルであり、Phは、フェニルである、シロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。成分B)の目的に好適なオルガノ水素シロキサンの追加例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、およびジメチル水素シロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)が挙げられる。
【0090】
成分B)がオルガノ水素シロキサンを含む場合、成分B)は、成分B)が少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含む限りにおいて、M、D、T、および/またはQシロキシ単位の任意の組み合わせを含み得る。これらのシロキシ単位は、様々な様式で組み合わされて、環状、線状、分岐状、および/または樹脂状(三次元ネットワーク)構造を形成することができる。成分Bは、M、D、T、および/またはQ単位の選択に応じて、モノマー状、ポリマー状、オリゴマー状、線状、分岐状、環式、および/または樹脂状であり得る。
【0091】
成分B)は、上記のシロキシ単位に関して少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含むため、成分B)は、任意選択的に、一切のケイ素結合水素原子を含まないシロキシ単位と組み合わせて、ケイ素結合水素原子を含む次のシロキシ単位:すなわち、((R9
2HSiO1/2)、(R9H2SiO1/2)、(H3SiO1/2)、(R9HSiO2/2)、(H2SiO2/2)、および/または(HSiO3/2)(式中、R9は、独立して、上で選択かつ定義されている)のいずれかを含み得る。
【0092】
具体的な実施形態では、例えば、成分B)が線状である場合、成分B)は、以下の平均式:
(R11
3SiO1/2)e’’(R9
2SiO2/2)f’’’(R9HSiO2/2)g’’,
を有していてもよく、式中、各R11は、独立して、水素またはR9であり、各R9は、独立して、上で選択かつ定義されており、e’’≧2、f’’’≧0、およびg’’≧2である。具体的な実施形態では、e’’は、2~10、代替的に2~8、代替的に2~6である。これらまたは他の実施形態では、f’’’は0~1,000、代替的に1~500、代替的に1~200である。これらまたは他の実施形態では、g’’は2~500、代替的に2~200、代替的に2~100である。
【0093】
一実施形態では、成分B)は線状であり、2つ以上のペンダントケイ素結合水素原子を含む。これらの実施形態では、成分B)は、平均式;
(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]f’’’[(CH3)HSiO]g’’Si(CH3)3
を有するジメチル、メチル水素ポリシロキサンであり得、式中、f’’’およびg’’は上で定義されている。
【0094】
これらまたは他の実施形態では、成分B)は、線状であり、末端ケイ素結合水素原子を含む。これらの実施形態では、成分B)は、平均式:
H(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]f’’’Si(CH3)2H
を有するSiH末端ジメチルポリシロキサンであり得、式中、f’’’は、上で定義したとおりである。SiH末端ジメチルポリシロキサンは、単独で、または直前に上記で開示されるジメチル、メチル水素ポリシロキサンと組み合わせて利用され得る。さらに、SiH末端ジメチルポリシロキサンは、ケイ素結合水素原子を1つだけ有し得るように1つのトリメチルシロキシ末端を有し得る。代替的に、なお、成分B)は、ペンダントおよび末端ケイ素結合水素原子の両方を含み得る。
【0095】
これらの実施形態では、25℃の温度で、実質的に線状のオルガノ水素ポリシロキサンは、典型的には、流動性液体であるか、または未硬化ゴムの形態である。一般に、実質的に線状のオルガノ水素ポリシロキサンは、25℃において、10~30,000,000mPa・s、代替的に10~10,000,000mPa・s、代替的に100~1,000,000mPa・s、代替的に100~100,000mPa・sの粘度を有する。当該技術分野で理解されているように、粘度は、ブルックフィールドLV DV-E粘度計によって25℃で測定することができる。
【0096】
ある特定の実施形態では、成分B)は、以下の平均式のうちの1つを有し得る:すなわち、
(R11
3SiO1/2)e’’(R9
2SiO2/2)f’’’(R9HSiO2/2)g’’(R9SiO3/2)h,
(R11
3SiO1/2)e’’(R9
2SiO2/2)f’’’(R9HSiO2/2)g(SiO4/2)i,
(R11
3SiO1/2)e’’(R9
2SiO2/2)f’’’(R9HSiO2/2)g’’(R9SiO3/2)h(SiO4/2)i,
式中、各R11およびR9は、独立して、上で選択かつ定義されており、e’’、f’’’、およびg’’は、上で定義されており、h≧0であり、iは≧0である。
【0097】
成分B)の上記平均式のいくつかは、成分B)が、Tシロキシ単位(添字hによって示した)および/またはQシロキシ単位(添字iによって示した)を含むとき、樹脂状である。成分B)が樹脂状であるとき、成分B)は、典型的には、Mシロキシ単位および/またはDシロキシ単位と組み合わせて、Tシロキシ単位および/またはQシロキシ単位を含むコポリマーである。例えば、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、またはMDQ樹脂であり得る。
【0098】
成分B)が樹脂状であるか、またはオルガノポリシロキサン樹脂を含む様々な実施形態では、成分B)は、典型的には、以下の式:
(R12
3SiO1/2)j’(R12
2SiO2/2)k’(R12SiO3/2)l’(SiO4/2)m”
を有し、式中、各R12は、独立して、H、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であるが、但し、1分子中において、少なくとも1つのR12は、Hであり、その場合0≦’≦1、0≦k’≦1、0≦’≦1、および0≦m’’≦1であり、但し、j’+k’+l’+m’’=1である。
【0099】
ある特定の実施形態では、成分B)は、一般に、式(R12
2SiO)r’(R12HSiO)s’により表されるアルキル水素シクロシロキサンまたはアルキル水素ジアルキルシクロシロキサンコポリマーを含むことができ、式中、R12は、独立して、上で選択かつ定義されており、r’は、0~7の整数であり、s’は、3~10の整数である。このタイプの好適なオルガノ水素シロキサンの具体例としては、(OSiMeH)4、(OSiMeH)3(OSiMeC6H13)、(OSiMeH)2(OSiMeC6H13)2、および(OSiMeH)(OSiMeC6H13)3が挙げられ、式中、Meはメチル(-CH3)を表す。成分B)は、単一の水素化ケイ素化合物、または2つ以上の異なる水素化ケイ素化合物を含む組み合わせであり得る。
【0100】
組成物は、組成物およびそれから形成される発泡体の所望の特性に応じて、変動する量または比率で成分A)およびB)を含み得る。様々な実施形態では、組成物は、ケイ素結合水素原子の脂肪族不飽和基に対するモル比0.3~5、代替的に0.6~3を提供する量で、成分(A)および(B)を含む。
【0101】
ヒドロシリル化触媒C)は、オルガノポリシロキサンA)と有機ケイ素化合物B)との間の反応を促進する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒を含む。ヒドロシリル化触媒C)は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、およびイリジウム)または白金族金属を含有する化合物を含む、既知のヒドロシリル化触媒のいずれかであってよい。典型的には、白金族金属は、ヒドロシリル化反応における高い活性に基づいて白金である。
【0102】
(C)に好適な具体的なヒドロシリル化触媒としては、Willingによる米国特許第3,419,593号に開示されている塩化白金酸とある特定のビニル含有オルガノシロキサンとの錯体が挙げられる。このタイプの触媒は、塩化白金酸と1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0103】
ヒドロシリル化触媒C)はまた、表面に白金族金属を有する固体支持体を含む、担持ヒドロシリル化触媒であってもよい。担持触媒は、例えば、反応混合物を濾過することによって、オルガノポリシロキサンから簡便に分離できる。担持触媒の例としては、炭素上の白金、炭素上のパラジウム、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、シリカ上の白金、シリカ上のパラジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、およびアルミナ上のルテニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
触媒は、白金族金属、シリカゲルまたは粉末炭などの担体上に堆積された白金族金属、または白金族金属の化合物もしくは錯体であり得る。典型的な触媒としては、六水和物形態もしくは無水物形態のいずれかにおける塩化白金酸、および/または塩化白金酸を脂肪族不飽和オルガノケイ素化合物、例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンもしくは米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体と反応させることを含む方法によって得られる白金含有触媒が挙げられる。例は、(COD)Pt(SiMeCl2)2であり、式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである。これらのアルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtCl2を、0.045モルのCODおよび0.0612モルのHMeSiCl2と混合することによって、調製され得る。
【0105】
1つの好適な白金触媒のタイプは、Karstedtの米国特許第3,715,334号および同第3,814,730号に記載されているKarstedtの触媒である。Karstedtの触媒は、典型的には、トルエンなどの溶媒中に約1重量%の白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。別の好適な白金触媒のタイプは、塩化白金酸と、末端脂肪族不飽和を含有する有機ケイ素化合物との反応生成物である(米国特許第3,419,593号に記載されている)。
【0106】
追加的にまたは代替的に、ヒドロシリル化触媒C)はまた、熱可塑性樹脂中にカプセル化された白金族金属を含む、マイクロカプセル化白金族金属含有触媒であってもよい。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含むヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、周囲条件下で長期間、典型的には数ヶ月以上安定であるにもかかわらず、熱可塑性樹脂(複数可)の融点または軟化点より高い温度で比較的速やかに硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒およびその調製方法は当該技術分野で既知であり、米国特許第4,766,176号およびそれに引用されている参考文献、ならびに米国特許第5,017,654号に例示されている。ヒドロシリル化触媒C)は、単一触媒であってもよいし、構造、形態、白金族金属、錯体形成配位子、および熱可塑性樹脂などの少なくとも1つの特性が異なる2種以上の異なる触媒を含む混合物であってもよい。
【0107】
触媒は、触媒量、すなわち、所望の条件でその反応または硬化を促進するのに十分な量または数量で本組成物中に存在する。様々なレベルの触媒を使用して、反応速度および硬化速度(cure kinetics)を調整することができる。触媒の触媒量は、0.01ppmを超えることができ、1,000ppmを超えることができる(例えば、最大10,000ppm以上)。ある特定の実施形態では、触媒の触媒量は、5,000ppm未満、代替的に2,000ppm未満、代替的に1,000ppm未満(しかし、いずれの場合も0ppmを超える)である。具体的な実施形態では、触媒の触媒量は、組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、代替的に0.01~100ppm、代替的に0.01~50ppmの範囲の金属であり得る。その範囲は、触媒内の金属含有量のみ、または触媒全体(そのリガンドを含む)に関し得る。ある特定の実施形態では、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関する。
【0108】
縮合硬化性組成物
ある特定の実施形態では、シリコーン組成物は、縮合硬化性シリコーン組成物を含むか、または縮合硬化性シリコーン組成物である。これらの実施形態では、縮合硬化性シリコーン組成物は、(A’)1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシル基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、(B’)1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子、ヒドロキシ基、または加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、および(C’)縮合触媒、を含むか、または本質的にそれらからなる。本発明の方法またはその任意の個々の工程中、任意のパラメータまたは条件を選択的に制御すことができるが、周囲条件の相対湿度および水分含有量を選択的に制御して、縮合硬化性シリコーン組成物の硬化速度にさらなる影響を及ぼすことができる。様々な実施形態では、本明細書に記載のヒドロキシ基は、ヒドロキシル基としてさらに定義される。
【0109】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)は、1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシ基を有し、有機ケイ素化合物(B’)は、1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する。そのような成分間の反応は、一般に、発泡体の発泡剤として機能する水素ガスを生成する。
【0110】
ケイ素結合ヒドロキシ基を有する好適なオルガノポリシロキサン(A’)の例は、成分A)を用いて上記したとおりであるが、ケイ素結合エチレン性不飽和基がケイ素結合ヒドロキシル基または加水分解性基で置き換えられている。ケイ素結合水素原子を有する好適な有機ケイ素化合物(B’)の例は、成分B)を用いて上記したとおりである。
【0111】
オルガノポリシロキサン(A’)および有機ケイ素化合物(B’)は、独立して直鎖、分枝鎖、環状または樹脂性であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’)および有機ケイ素化合物(B’)は、上記のオルガノポリシロキサン(A)および有機ケイ素化合物(B)と同様に、M単位、D単位、T単位、およびQ単位の任意の組み合わせを含み得る。
【0112】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)および有機ケイ素化合物(B’)のうちの1つは、典型的には、M単位および/またはD単位と組み合わせたT単位および/またはQ単位を含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’)および/または有機ケイ素化合物(B’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、またはMDQ樹脂であってもよい。一般に、縮合硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、得られる断熱層38は、増加した剛性を有するであろう。
【0113】
代替的に、他の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)および/または有機ケイ素化合物(B’)は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位および/またはQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。代替的に、そのようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態では、得られる断熱層38は、エラストマーである。
【0114】
オルガノポリシロキサン(A’)および有機ケイ素化合物(B’)の、ケイ素結合ヒドロキシル基、ならびにケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、または加水分解性基は、それぞれ、独立して側枝、末端、または両方の位置に存在し得る。
【0115】
当該技術分野において知られているとおり、ケイ素結合ヒドロキシ基は、ケイ素結合加水分解性基を加水分解することから得られる。これらのケイ素結合ヒドロキシ基が縮合し、シロキサン結合を、副生成物としての水と共に形成し得る。
【0116】
加水分解性基の例としては、以下のケイ素結合基、すなわち、H、ハライド基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、カルボキシ基、アルキルイミノオキシ基、アルケニルオキシ基、またはN-アルキルアミド基が挙げられる。アルキルアミノ基は、環状アミノ基であってもよい。
【0117】
特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)は、一般式:
(R1R3
2SiO1/2)w’(R3
2SiO2/2)x’(R3SiO3/2)y’(SiO4/2)z’(II)
を有し、式中、各R1は上に定義されており、各R3は、独立してR1、およびヒドロキシル基、加水分解性基、またはこれらの組み合わせから選択され、ただし、R3のうちの少なくとも2個はヒドロキシル基、加水分解性基、またはそれらの組み合わせであり、w’、x’、y’、およびz’は、w’+x’+y’+z’=1となるモル分率である。当該技術分野において理解されるとおり、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’およびz’は概して0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’および/またはz’は0より大きい。w’、x’、y’、およびz’に関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態では、下付き文字w’は、0~0.9999、代替的に0~0.999、代替的に0~0.99、代替的に0~0.9、代替的に0.9~0.999、代替的に0.9~0.999、代替的に0.8~0.99、代替的に0.6~0.99の値を有してもよい。下付き文字x’は、典型的には、0~0.9、代替的に0~0.45、代替的に0~0.25の値を有する。下付き文字y’は、典型的には、0~0.99、代替的に0.25~0.8、代替的に0.5~0.8の値を有する。下付き文字z’は、典型的には、0~0.99、代替的に0~0.85、代替的に0.85~0.95、代替的に0.6~0.85、代替的に0.4~0.65、代替的に0.2~0.5、代替的に0.1~0.45、代替的に0~0.25、代替的に0~0.15の値を有する。
【0118】
有機ケイ素化合物(B’)は、直鎖、分枝鎖、環状、または樹脂性であってもよい。一実施形態では、有機ケイ素化合物(B’)は、式R1
qSiX4-qを有し、式中、R1は上記で定義されており、Xは加水分解性基であり、qは0または1である。
【0119】
有機ケイ素化合物(B’)の具体例としては、MeSi(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3、CH3Si(OCH2CH2CH3)3、CH3Si[O(CH2)3CH3]3、CH3CH2Si(OCH2CH3)3、C6H5Si(OCH3)3、C6H5CH2Si(OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH3)3、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH2OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHSi(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH2CH2OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH2OCH3)3、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、およびSi(OC3H7)4などのアルコキシシラン;CH3Si(OCOCH3)3、CH3CH2Si(OCOCH3)3、およびCH2=CHSi(OCOCH3)3などのオルガノアセトキシシラン;CH3Si[O-N=C(CH3)CH2CH3]3、Si[O-N=C(CH3)CH2CH3]4、およびCH2=CHSi[O-N=C(CH3)CH2CH3]3などのオルガノイミノオキシシラン;CH3Si[NHC(=O)CH3]3およびC6H5Si[NHC(=O)CH3]3などのオルガノアセトアミドシラン;CH3Si[NH(s-C4H9)]3およびCH3Si(NHC6H11)3などのアミノシラン;ならびにオルガノアミノオキシシランが挙げられる。
【0120】
有機ケイ素化合物(B’)は、各々が上記のとおりの、単一のシランであっても、2つ以上の異なるシランの混合物であってもよい。また、3官能性および4官能性シランを調製する方法は、当該技術分野において既知であり、これらのシランのうちの多くのものが市販されている。
【0121】
縮合硬化性シリコーン組成物中の有機ケイ素化合物(B’)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A’)を硬化(架橋)させるのに十分なものである。利用される有機ケイ素化合物(B’)の具体的な量は、所望の硬化度に応じて異なり、一般に、有機ケイ素化合物(B’)中のケイ素結合加水分解性基のモル数の、オルガノポリシロキサン(A’)中のケイ素結合ヒドロキシ基のモル数に対する比が増大するにつれて増大する。有機ケイ素化合物(B’)の最適の量は、通常の実験によって容易に求めることができる。いくつかの実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)および有機ケイ素化合物(B’)は、異なる分子であり得るが、そうでなければ同じ式/化学的性質であり得ることが理解されるべきである。
【0122】
利用される場合、縮合触媒(C’)は、典型的にはケイ素結合ヒドロキシ基(シラノール基)の縮合を促進してSi-O-Si結合を形成するために使用される、任意の縮合触媒であり得る。縮合触媒の例としては、アミン、ならびに鉛、スズ、亜鉛、および鉄とカルボン酸との錯体が挙げられるが、これらに限定されない。特に、縮合触媒(C’)は、ジラウリン酸スズ、ジオクタン酸スズ、およびテトラブチルスズなどのスズ(II)およびスズ(IV)化合物、ならびにチタンテトラブトキシドなどのチタン化合物から選択され得る。
【0123】
存在する場合、縮合触媒(C’)の濃度は、縮合硬化性シリコーン組成物中のオルガノポリシロキサン(A’)の総重量に基づいて、典型的には、0.1~10重量%、代替的に0.5~5重量%、代替的に1~3重量%である。
【0124】
縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には2部の組成物であり、オルガノポリシロキサン(A’)および縮合触媒(C’)が、別個の部の中にある。この実施形態では、有機ケイ素化合物(B’)は、典型的には縮合触媒(C’)と共に存在する。代替的にさらに、縮合硬化性シリコーン組成物は3部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A’)、有機ケイ素化合物(B’)、および縮合触媒(C’)が、別個の部の中にある。
【0125】
そのような縮合硬化性シリコーン組成物の硬化条件は、変動させてもよい。例えば、縮合硬化性シリコーン組成物は、周囲条件、および/または熱に曝露されると固化または硬化し得るが、熱は、通常、固化および硬化を促進させるために利用される。様々な実施形態では、断熱層38は、周囲温度または室温条件で形成される。
【0126】
任意選択的な添加剤(複数可)
組成物は、特に配合剤または成分が組成物の硬化および/または発泡を妨げない場合、任意選択的に、追加の配合剤または成分(または「添加剤」)をさらに含むことができる。追加の配合剤の例としては、界面活性剤、担体ビヒクルまたは担体溶媒、安定剤、接着促進剤、染料および顔料を含む着色剤、酸化防止剤、熱安定剤;難燃剤、チキソトロピー剤、流動性制御添加剤、阻害剤、増量充填剤および補強充填剤を含む充填剤、ならびに架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらおよび他の好適な添加剤は、US4026845、WO2014/099132、WO2018/024858、WO2018/024859、およびWO2018/063849に記載されている。第1の組成物に好適な成分のさらなる例は、WO2014/008322に記載されている。
【0127】
添加剤のうちの1つ以上は、組成物の約0.01重量%~約65重量%、約0.05重量%~約35重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.1重量%以下、約1重量%、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または約15重量%以上などの、組成物の任意の好適な重量パーセント(重量%)として存在し得る。当業者は、例えば、添加剤のタイプおよび所望の結果に応じて、好適な量の添加剤を容易に決定することができる。ある特定の任意選択的な添加剤については、以下で詳細に説明する。
【0128】
好適な担体ビヒクル(または希釈剤)としては、線状および環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、ならびにこれらの混合物が挙げられる。溶媒の具体例は、米国特許第6,200,581号に記載されている。
【0129】
担体ビヒクルはまた、25℃において1~1,000mm2/秒の範囲の粘度を有する、低粘度オルガノポリシロキサン、または揮発性メチルシロキサン、または揮発性エチルシロキサン、または揮発性メチルエチルシロキサンでもあり得、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデアメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、ならびにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、およびそれらの任意の混合物でもあり得る。
【0130】
好適な界面活性剤(または「発泡助剤」)としては、シリコーンポリエーテル、エチレンオキシドポリマー、プロピレンオキシドポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、他の非イオン性界面活性剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらなる好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはそのような界面活性剤の混合物を含み得る。
【0131】
様々な実施形態では、組成物は、フルオロカーボン界面活性剤またはフッ素化界面活性剤を含む。フッ素化界面活性剤は、炭素上にフッ素原子を含有し、界面活性剤でもある、当該技術分野で知られている化合物のいずれかであり得る。これらのフッ素化界面活性剤は、有機またはケイ素含有であり得る。ケイ素含有フッ素化界面活性剤は、シロキサンであり得、例えば、それに対して結合したフッ素を有する有機ラジカルを含有する。様々な実施形態では、フッ素化界面活性剤を組成物に添加すると、硬化した発泡体の密度が減少する。一般に、組成物中のフッ素化界面活性剤の量を増加させると、発泡体の密度が減少する。これは、ネットワークが形成および硬化する間に、界面活性剤が気泡を安定させる低速硬化系に特に当てはまると考えられる。
【0132】
様々な実施形態では、組成物は、オルガノポリシロキサン樹脂(「樹脂」)をさらに含む。好適な樹脂は上記のとおりである。特定の実施形態では、樹脂は、MQ樹脂である。樹脂は、発泡体を安定させるのに役立つ。
【0133】
好適な顔料は、当該技術分野で理解されている。様々な実施形態では、組成物は、カーボンブラック、例えばアセチレンブラックをさらに含む。
【0134】
組成物は、1つ以上の充填剤を含み得る。充填剤は、1つ以上の強化充填剤、非強化充填剤、またはそれらの混合物であり得る。細かく分割された強化充填剤の例としては、籾殻灰およびある程度の炭酸カルシウムを含む高表面積のヒュームドシリカおよび沈降シリカが挙げられる。細かく分割された非強化充填剤の例としては、破砕された石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタンおよびカーボンブラック、タルク、およびウォラストナイトが挙げられる。単独でまたは上記のものに加えて使用され得る他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えば、多層カーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、粘土、例えば、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(ブルーサイト)、グラファイト、炭酸銅、例えば、マラカイト、炭酸ニッケル、例えば、ザラカイト、炭酸バリウム、例えば、毒重石および/または炭酸ストロンチウム、例えば、ストロンチアナイトが挙げられる。さらなる代替的な充填剤としては、酸化アルミニウム、橄欖石族からなる群からのシリケート;石榴石族;アルミノシリケート;環状シリケート;鎖状シリケート;およびシート状シリケートが挙げられる。ある特定の実施形態では、組成物は、中空粒子、例えば、中空球を含む少なくとも1つの充填剤を含む。そのような充填剤は、発泡体の多孔性および/または全体的な空隙率に寄与するのに有用であり得る。ある特定の実施形態では、いくつかの充填剤を利用して、組成物のチキソトロピー特性を調整することができる。
【0135】
充填剤が存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理してもよい。処理剤および処理方法は当該技術分野で理解されている。充填剤(複数可)の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸または脂肪酸エステル、例えば、ステアレートと一緒に、またはオルガノシラン、オルガノシロキサン、もしくはオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキジシラザンもしくは短鎖シロキサンジオールと一緒に、行われる。一般に、表面処理により、充填剤(複数可)を疎水性にして、取り扱いを容易にし、組成物中の他の成分との均一な混合物を得る。R5
eSi(OR6)4-e(式中、R5は、6~20個の炭素原子の置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えば、アルキル基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシル、およびアラルキル基、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルであり、R6は、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、添字「e」は、1、2、または3に等しい)などのシランもまた、充填剤の処理剤として利用することができる。
【0136】
様々な実施形態では、組成物はさらに反応阻害剤を含む。例えば、アルキンアルコール、例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、または2-フェニル-3-ブチン-2-オール;エンイン化合物、例えば、3-メチル-3-ペンテン-1-インまたは3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン;または1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、またはベンゾトリアゾールを、本組成物において任意選択的な成分として組み込むことができる。
【0137】
組成物中の反応阻害剤の含有量は特に限定されない。ある特定の実施形態では、反応阻害剤の含有量は、成分(A)、(B)、および(C)の総質量100部あたり約0.0001~約5質量部である。当業者は、触媒作用をより潜在的にするために、特有のタイプの反応阻害剤(または複数の阻害剤)の量を容易に決定することができる。
【0138】
様々な実施形態では、組成物は、チキソトロピー剤をさらに含む。好適なチキソトロピー剤としては、レオロジー剤が挙げられ、そのような薬剤の具体例は、米国公開第2018/0066115(A1)号および同第2018/0208797(A1)号に見出すことができる。
【0139】
様々な実施形態では、組成物は、粘着性付与剤をさらに含む。接着性付与剤は、硬化中に接触する基材、例えば、第2の表面36への発泡体の接着を改善することができる。ある特定の実施形態では、粘着性付与剤は、分子中のケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から選択される。このアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびメトキシエトキシ基によって例示される。さらに、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合した非アルコキシ基は、置換または非置換の一価炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基;エポキシ基含有一価有機基、例えば、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、または類似のグリシドキシアルキル基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、または類似のエポキシシクロヘキシルアルキル基;および4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基、または類似のオキシラニルアルキル基;アクリル基含有一価有機基、例えば、3-メタクリロキシプロピル基など;および水素原子によって例示される。
【0140】
この有機ケイ素化合物は、一般に、ケイ素結合アルケニル基またはケイ素結合水素原子を有する。さらに、この有機ケイ素化合物は、各種基材に対して良好な接着性を付与する性能のために、一般に、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を含む一価の有機基を有する。このタイプの有機ケイ素化合物は、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、およびアルキルシリケートによって例示される。オルガノシロキサンオリゴマーまたはアルキルシリケートの分子構造は、直鎖構造、部分分岐直鎖構造、分岐鎖構造、リング状構造、および網状構造などによって例示される。典型的には、直鎖構造、分岐鎖構造、網状構造である。このタイプの有機ケイ素化合物は、シラン化合物、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど;分子中に少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基またはケイ素結合水素原子、および少なくとも1つのケイ素結合アルコキシ基を有するシロキサン化合物;分子中に少なくとも1つのケイ素結合アルコキシ基を有するシラン化合物またはシロキサン化合物と、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基および少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物との混合物;およびメチルポリシリケート、エチルポリシリケート、エポキシ基含有エチルポリシリケートによって例示される。
【0141】
組成物中の接着性付与剤の含有量は特に限定されない。ある特定の実施形態では、接着性付与剤の含有量は、成分(A/A’))および(B/B’)の総質量100部あたり約0.01~約10質量部である。
【0142】
発泡剤(複数可)
様々な実施形態では、組成物は、少なくとも1つの発泡剤を含む。発泡剤がすでに存在するか、または反応中に生成される場合、発泡剤、例えば水素ガスは、補助発泡剤と称され得るが、補助発泡剤が発泡の大部分を提供し得る。利用される場合、発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤、およびそれらの組み合わせの群から選択され得る。そのような発泡剤の例について、以下に説明する。
【0143】
利用される発泡剤の量は、所望の結果に応じて変動させてもよい。例えば、発泡剤の量は、最終的な発泡体密度および発泡体上昇プロファイルを調整するために変動させてもよい。
【0144】
化学発泡剤
様々な実施形態では、組成物は、化学発泡剤を含む。ある特定の実施形態では、化学発泡剤は、少なくとも1つのOH基、代替的に少なくとも2つのOH基、代替的に3つ以上のOH基を有する。ある特定の実施形態では、化学発泡剤は、1つまたは2つのOH基、代替的に1つのOH基を有する。OH基(複数可)は、成分B)/(B’)のSi-H基と反応し得、それにより発泡体の密度を低減するのに有用である水素ガスを発生する。
【0145】
様々な実施形態では、化学発泡剤は、低分子量アルコールの群から選択される。低分子量アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらおよび他の好適なアルコールは、1~12個の炭素原子を有する有機アルコールの群から選択することができる。
【0146】
様々な実施形態では、化学発泡剤はジオールである。好適なジオールの例としては、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ビスフェノールA、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、ジオールは、次の一般式:HO-R7-OHを有する。これらの実施形態では、R7は、アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、芳香族、およびアルキル芳香族ジラジカルから選択される。そのようなジラジカルは、一般に、最大50、最大40、最大30、最大20、もしくは最大10個の炭素原子、または1~50個の任意の数の炭素原子を有する。ジオールの骨格を構成する炭素鎖は、直鎖または分岐鎖であり得る。ある特定の実施形態では、ジオールは、その主鎖中にエーテル、チオ、またはアミン結合を有し得る。具体的な実施形態では、R7は、1~10個、2~9個、3~8個、4~7個、5または6個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である。他の実施形態では、化学発泡剤はトリオールである。
【0147】
様々な実施形態では、化学発泡剤は、低沸点アルコールの群から選択される。そのようなアルコールは、一般に約120℃よりも低い沸点を有する。アルコールは、無水であってもなくてもよい。他の好適な発泡剤は、US4550125、US6476080、およびUS2014/0024731に記載されている。
【0148】
他の実施形態では、化学発泡剤は、Si-OHポリマーの群から選択される。ある特定の実施形態では、化学発泡剤は、オルガノシランおよび少なくとも1つのシラノール(Si-OH)基を有するオルガノシロキサンからなる群から選択される。そのような化合物は、成分A’)について上記のものと同様のまたは同じ構造を有し得る。好適なOH官能性化合物の例としては、OH末端ジメチルシロキサンなどのジアルキルシロキサンが挙げられる。そのようなシロキサンは、約10~約5000、約10~約2500、約10~約1000、約10~約500、または約10~約100mPa・sなどの比較的低い粘度を有し得る。
【0149】
物理発泡剤
様々な実施形態では、組成物は、物理発泡剤を含む。物理発泡剤は、化学発泡剤に加えて、またはその代わりに使用することができる。
【0150】
様々な実施形態では、物理発泡剤は、大気圧、および≧10℃、代替的に≧20℃、代替的に≧30℃、代替的に≧40℃、代替的に≧50℃、代替的に≧60℃、代替的に≧70℃、代替的に≧80℃、代替的に≧90℃、代替的に≧100℃の温度への曝露中に液体から気体状態への相変化を受けるものである。沸点温度は、一般に、特定のタイプの物理発泡剤に依存する。
【0151】
有用な物理発泡剤としては、液体形態での、炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ハロゲン化、より具体的には塩素化および/またはフッ素化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(”HCFC”)、エーテル、ケトン、およびエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、または酢酸エチル、またはガスとしての空気、窒素もしくは二酸化炭素が挙げられる。特定の実施形態では、物理発泡剤は、ペンタンを含むか、またはペンタンである。ある特定の実施形態では、物理発泡剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。多くの実施形態では、発泡剤は、不活性な化合物を含む。これらおよび他の好適な物理発泡剤は、US5283003A、US6476080B2、US6599946B2、EP3135304A1、およびWO2018/095760A1に記載されている。
【0152】
様々な実施形態では、物理発泡剤は、ヒドロフルオロカーボン(”HFC”)を含む。「ヒドロフルオロカーボン」と「HFC」は互換性のある用語であり、水素、炭素、およびフッ素を含有する有機化合物を指している。その化合物は、フッ素以外のハロゲンを実質的に含まない。
【0153】
好適なHFCの例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1-フルオロブタン、ノナフルオロシクロペンタン、パーフルオロ-2-メチルブタン、1-フルオロヘキサン、パーフルオロ-2,3-ジメチルブタン、パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、パーフルオロヘキサン、ペルフルオロイソヘキサン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロエチルシクロヘキサン、パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、およびパーフルオロオクタン;ならびに芳香族化合物、例えば、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン;1,3,5-トリフルオロベンゼン;1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,4-テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、および1-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。ある特定の実施形態では、HFC-365mfcおよびHFC-245faは、それらの増加した利用可能性および使いやすさのために好ましい場合があり、HFC-365mfcは、ある特定の用途で有用であり得るHFC-245faよりも高い沸点を有する。例えば、HFC-365mfcなどの、30℃超の沸点を有するHFCは、発泡体処理中に液化を必要としないので、望ましい場合がある。
【0154】
第2の組成物
様々な実施形態では、25℃の温度では、第2の組成物は、典型的には、裏打ち層40を形成する反応の前には、流動性液体である。一般に、第2の成分は、25℃では、10~30,000,000mPa・s、代替的に10~10,000,000mPa・s、代替的に100~1,000,000mPa・s、代替的に100~100,000mPa・sの粘度を有する。当該技術分野で理解されているように、粘度は、ブルックフィールドLV DV-E粘度計によって25℃で測定することができる。粘度が高すぎる場合、第2の組成物は、取り扱いまたは適用が困難であり得る。
【0155】
様々な実施形態では、裏打ち層40は、イソシアネートと、イソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。これらの成分および他の任意選択的な成分について、以下で説明する。ある特定の実施形態では、裏打ち層40は、発泡PUR、発泡PIR、またはPURとPIRとの発泡した組み合わせを含む。
【0156】
好適なPUR/PIR発泡体、系、組成物、配合物、およびそれらの成分の具体例は、3M(商標)Fire Barrier Rated Foam、FIP 1-Stepなどの商品名3M(商標)のThe 3M Company、商品名ELASTOPOR(登録商標)、ELASTOCOOL(登録商標)、ELASTOCOOL PLUS(登録商標)、ELASTOFOAM(登録商標)、ELASTOPIR(商標)、ELASTOPOR(商標)、ELASTROSPRAY(登録商標)、LUPRANATE(登録商標)pMDI、MDIなどのLUPRANATE(登録商標)、およびPLURACOL(登録商標)、ならびにイソシアネート-プレポリマー、例えばLUPRANATE(登録商標)M20イソシアネート、LUPRANATE(登録商標)M20Sイソシアネート、LUPRANATE(登録商標)M70Lイソシアネート、LUPRANATE(登録商標)M70Rイソシアネート、LUPRANATE(登録商標)MP102イソシアネート、およびLUPRANATE(登録商標)M20Sイソシアネート、ならびにPLURACOL(登録商標)ポリオール、例えばPLURACOL(登録商標)P-945、PLURACOL(登録商標)1421、PLURACOL(登録商標)GP430、PLURACOL(登録商標)CASEポリオール、PLURACOL(登録商標)剛性ポリオールなどのBASF Corporation、ならびにVORATHERM(商標)CN 815ポリオール、VORATHERM(商標)CN 626触媒、およびVORANATE(商標)M 647 SHイソシアネートなどのVORATHERM(商標) AND VORANATE(商標)のThe Dow Chemical Companyから市販されている。
【0157】
当該技術分野で理解されているように、ポリウレタン(PURまたはPU)は、カルバメート(ウレタン)結合によって結合された有機単位で構成されるポリマーである。ポリウレタンポリマーは、一般に、ジ-またはトリポリ-イソシアネートをポリオールと反応させることによって形成される。ポリウレタンは、互い違いに重合する2つのタイプのモノマーを含有するので、一般に、交互コポリマーに分類される。ポリウレタンを作製するために使用されるイソシアネートおよびポリオールの両方は、1分子あたり平均して2つ以上の官能基を含有する。
【0158】
一方、ポリイソシアヌレートは、PIR、ポリイソ、またはISOとも称され、典型的には、発泡体として生成され剛性断熱材として使用される、熱硬化性プラスチックである。出発物質は、多くの場合、メチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)の割合が高く、ポリエーテルポリオールの代わりにポリエステル由来のポリオールが反応に使用されることを除いて、PURで使用されるものと同様である。得られる化学構造は顕著に異なり、MDI三量体のイソシアネート基がイソシアヌレート基を形成し、ポリオールが一緒に結合して複雑なポリマー構造を形成する。
【0159】
イソシアネート成分
第2の組成物を形成するための好適なイソシアネート成分の例としては、2つ以上のイソシアネート官能基を有し得るオルガノポリイソシアネートが挙げられ、従来の脂肪族、脂環式、アラ脂肪族(araliphatic)、および芳香族イソシアネートが挙げられる。イソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(「pMDI」)、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、シクロヘキシルジイソシアネート(「CHDI」)、およびそれらの組み合わせの群から選択され得る。ある特定の実施形態では、イソシアネート成分は、pMDIを含むか、またはpMDIである。一実施形態では、イソシアネート成分は、式OCN-R-NCOのものであり、式中、Rが、アルキル部分、アリール部分、およびアリールアルキル部分のうちの1つから選択される。この実施形態では、イソシアネート成分は、任意の数の炭素原子、典型的には4~20個の炭素原子を含み得る。
【0160】
好適なイソシアネート成分の具体例としては、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチル-1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、および好ましくは1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの、アルキレンラジカル中に4~12個の炭素を有するアルキレンジイソシアネート;1,3-および1,4-シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、4,4’-2,2’-および2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、ならびに2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-および2,2-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ならびにポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、ならびにMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物が挙げられる。
【0161】
イソシアネート成分は、修飾された多価イソシアネート、すなわち、有機ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの部分的な化学反応によって得られる生成物を含み得る。好適な修飾多価イソシアネートの例としては、エステル基、尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、および/またはウレタン基を含有するジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートが挙げられる。好適な修飾多価イソシアネートの具体例としては、ウレタン基を含有し、総重量に基づいて15~33.6重量部のNCO含有量を有する有機ポリイソシアネート、例えば、最大6000の分子量を有する低分子量のジオール、トリオール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、またはポリオキシアルキレングリコール;修飾4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートであり、個々にまたは混合物として使用することができるジ-およびポリオキシアルキレングリコールの例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、または-トリオールが挙げられる。イソシアネートの総重量に基づいて3.5~29重量部のNCO含有量を有し、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールから生成された、NCO基を含有するプレポリマー;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、2,4-および/もしくは2,6-トルエンジイソシアネート、またはポリマーMDIもまた好適である。さらに、イソシアネート成分の総重量に基づいて、例えば、4,4’-および2,4’-、および/もしくは2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに/または2,4’-および/もしくは2,6-トルエンジイソシアネートに基づいて、15~33.6重量部のNCO含有量を有するカルボジイミド基を含有する液体ポリイソシアネートもまた、好適であり得る。修飾ポリイソシアネートは、任意選択的に、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、2,4’-および/または2,6-トルエンジイソシアネートなどの未修飾有機ポリイソシアネートと一緒に混合またはこれらと混合され得る。
【0162】
イソシアネート成分は、前述のイソシアネートのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得ることが理解されるべきである。
【0163】
イソシアネート反応性成分
様々な実施形態では、イソシアネート反応性成分は、ポリオールである。ポリオールは、典型的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびそれらの組み合わせなどの従来のポリオールから選択される。他の好適なポリオールとしては、大豆油、ヒマシ油、大豆タンパク質、菜種油などのバイオポリオール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
好適なポリエーテルポリオールとしては、多官能性開始剤の存在下で、環状オキシド、例えば、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、またはテトラヒドロフランの重合によって得られる生成物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な開始剤化合物は、複数の活性水素原子を含有し、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0165】
他の好適なポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールなどのポリエーテルジオールおよびトリオール、ならびに二官能性または三官能性開始剤へのエチレンおよびプロピレンオキシドの同時または連続付加によって得られるポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオールおよびトリオールが挙げられる。ポリオール成分の重量に基づいて、約5~約90重量%のオキシエチレン含有量を有するコポリマーもまた使用することができ、それらのポリオールは、ブロックコポリマー、ランダム/ブロックコポリマー、またはランダムコポリマーであり得る。なお他の好適なポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0166】
好適なポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、もしくはポリエーテルポリオールなどの多価アルコールのヒドロキシル末端反応生成物、またはそのような多価アルコールの混合物、およびポリカルボン酸、特にジカルボン酸、またはそれらのエステル形成誘導体、例えばコハク酸、グルタル酸、およびアジピン酸、またはそれらのジメチルエステルセバシン酸、無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、またはテレフタル酸ジメチル、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ラクトン、例えばカプロラクトンをポリオールと組み合わせた重合、またはヒドロキシカルボン酸、例えばヒドロキシカプロン酸の重合によって得られるポリエステルポリオールを使用することもできる。ある特定の実施形態では、ポリオールは、ポリエステルとポリエーテルポリオールとの混合物を含む。
【0167】
好適なポリエステルアミドポリオールは、ポリエステル化混合物にエタノールアミンなどのアミノアルコールを含めることによって得ることができる。好適なポリチオエーテルポリオールとしては、チオジグリコールを単独で縮合させるか、または他のグリコール、アルキレンオキシド、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノアルコール、またはアミノカルボン酸と縮合させることによってのいずれかで得られる生成物が挙げられる。好適なポリカーボネートポリオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、またはテトラエチレングリコールなどのジオールを、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネート、またはホスゲンと反応させることによって得られる生成物が挙げられる。好適なポリアセタールポリオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはヘキサンジオールなどのグリコールをホルムアルデヒドと反応させることによって調製されたものが挙げられる。他の好適なポリアセタールポリオールもまた、環状アセタールを重合することによって調製され得る。好適なポリオレフィンポリオールとしては、ヒドロキシ末端ブタジエンホモおよびコポリマーが挙げられ、好適なポリシロキサンポリオールとしては、ポリジメチルシロキサンジオールおよびトリオールが挙げられる。
【0168】
ある特定の実施形態では、ポリオールは、ポリマーポリオールである。ある特定の実施形態では、ポリマーポリオールは、グラフトポリオールである。グラフトポリオールはまた、グラフト分散ポリオールまたはグラフトポリマーポリオールとも称され得る。グラフトポリオールとしては、多くの場合、1つ以上のビニルモノマー、例えばスチレンモノマーおよび/またはアクリロニトリルモノマーのその場での重合によって得られる生成物、すなわちポリマー粒子、ならびにポリオール中のマクロマー、例えばポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0169】
他の実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリ尿素(polyharnstoff)(PHD)ポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、およびそれらの組み合わせから選択される。イソシアネート反応性成分は、前述のポリマーポリオールの任意の組み合わせを含み得ることが理解されるべきである。PHDポリオールは、典型的には、ポリオール中でのジイソシアネートとジアミンとのその場での反応によって形成され、ポリ尿素粒子の安定した分散を与える。PIPAポリオールは、分散液が、典型的には、ジアミンの代わりにアルカノールアミンをジイソシアネートとその場で反応させて、ポリオール中のポリウレタン分散液を与えることによって形成される点を除いて、PHDポリオールと同様である。第2の組成物は、利用される場合、ポリマーポリオールを作製する任意の特定の方法に限定されない。
【0170】
イソシアネート反応性成分は、前述のポリオールのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得ることが理解されるべきである。
【0171】
任意選択的な添加剤(複数可)
第2の組成物は、添加剤成分をさらに含み得る。添加剤成分は、第1の組成物について上記したとおりであり得、かつ/あるいは触媒、発泡剤、可塑剤、架橋剤、連鎖延長剤、連鎖停止剤、湿潤剤、表面改質剤、ワックス、泡安定剤、水分スカベンジャー、乾燥剤、減粘剤、セルサイズ低減化合物、強化剤、染料、顔料、着色剤、離型剤、酸化防止剤、適合剤、紫外線安定剤、チキソトロピック剤、劣化防止剤、潤滑剤、カップリング剤、溶媒、レオロジー促進剤、接着促進剤、増粘剤、難燃剤、発煙抑制剤、帯電防止剤、抗菌剤、およびそれらの組み合わせの群から選択され得る。
【0172】
ある特定の実施形態では、添加剤成分は、触媒成分を含む。一実施形態では、触媒成分は、スズ触媒を含む。好適なスズ触媒としては、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、およびラウリン酸スズ(II)が挙げられる。一実施形態では、有機金属触媒は、有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩である、ジラウリン酸ジブチルスズを含む。好適な有機金属触媒、例えばジラウリン酸ジブチルスズの具体例は、商標DABCO(登録商標)でAir Products and Chemicals,Inc(Allentown,PA)から市販されている。有機金属触媒はまた、二酢酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、および二酢酸ジオクチルスズなどの有機カルボン酸の他のジアルキルスズ(IV)塩を含み得る。
【0173】
他の好適な触媒の例としては、塩化鉄(II);塩化亜鉛;オクタン酸鉛;トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-シェキサヒドロトリアジン(shexahydrotriazine)を含むトリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン;水酸化テトラメチルアンモニウムを含む水酸化テトラアルキルアンモニウム;水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含むアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシドおよびカリウムイソプロポキシドを含むアルカリ金属アルコキシド;ならびに10~20個の炭素原子および/または側方OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0174】
他の好適な触媒、特に三量体化触媒のさらなる例としては、N,N,N-ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、カリウム、酢酸カリウム、N,N,N-トリメチルイソプロピルアミン/ギ酸塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0175】
他の好適な触媒、特に第三級アミン触媒のなおさらなる例としては、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルピペラジン、テトラメチルイミノ-ビス(プロピルアミン)、ジメチルベンジルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルピロリドン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2-ジメチルアミノ-エチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(「DMCHA」)、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、3-(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0176】
触媒成分は、様々な量で利用することができる。触媒成分は、前述の触媒の任意の組み合わせを含み得る。
【0177】
様々な実施形態では、第2の組成物は、発泡剤を含む。発泡剤がすでに存在するか、または反応中に生成される場合、発泡剤は補助発泡剤と称され得るが、補助発泡剤が発泡の大部分を提供し得る。利用される場合、発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤、およびそれらの組み合わせの群から選択され得る。好適な発泡剤の例は、第1の組成物について上記したとおりであり、さらなる例は当該技術分野で理解されている。例えば、発泡剤は、水を含み得る。第2の組成物に好適な添加剤および/または他の成分のさらなる例は、US8101702(B2)、US9097011(B1)、US9920202(B2)、およびUS2018/0049618(A1)に記載されている。
【0178】
産業上の利用可能性
本開示の物品20は、レンジ、コンロ、給湯器、ボイラーなどの器具の断熱材料として使用される、従来のグラスウールまたはロックウールの代替品として有用である。物品20は、生産性のかなりの改善、同様に良好な断熱特性、およびより人に優しい材料の取り扱いを提供する。器具は、内部の温度を維持し、その結果、時間およびエネルギーを節約するための断熱材料を必要とする。本開示の物品20は、より人に優しい材料を使用することにより、グラスウールおよびロックウールの使用および取り扱いに関連する問題、ならびにロボット噴霧器などのシリコーンおよびPUR/PIR技術における自動処理の使用を排除する。本開示の物品20はまた、熱効率を改善することができ、したがって、より良好なエネルギー定格のよい器具を提供することができる。他の利点は、上記のとおりである。
【0179】
様々な実施形態では、本開示の物品20は、500℃のピークオーブン温度、任意選択的に300℃のピーク温度、または任意選択的に290~240℃のピーク温度を管理することができ、シリコーン発泡体が、断熱層38として機能し、裏打ち層40としてのPUR/PIR発泡体への曝露温度を100℃未満に低減する。言い換えれば、断熱層38は、最も強い熱を吸収する最初の障壁であり、次いで裏打ち層40が温度管理を完了する。当該技術分野で理解されているように、セルフクリーニングオーブンは、調理温度(例えば、471℃)をはるかに超える温度に達し得、一方で直火焼温度は、通常260~290℃の範囲であり、調理温度は、通常100~250℃の範囲である。
【0180】
組成物の成分、複合物品、および方法を説明する以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、本発明を限定することを意図していない。
【0181】
以下の等しいパートAおよびBを混合することによって、シリコーン組成物を形成する。シリコーン組成物は、反応して発泡RTVシリコーンを形成する
【0182】
【0183】
【0184】
以下の表Iに示すように、異なる材料を分析した。比較例1~4は、比較例である。実施例5は、本発明の例である。
【表3】
【0185】
シリコーン:PUR/PIR発泡体の比を、15mm:10mm(実施例6)および20mm:5mm(実施例7)に変更して、それぞれ0.39および0.04のW/(m・K)の熱伝導を有する複合物品のさらなる実施例を作製した。
【0186】
シリコーン発泡体は、上記の発泡RTVシリコーンである。
【0187】
100重量部(「pbw」)のポリオール、約3pbwの触媒、約12.5pbwの発泡剤、および約195pbwのイソシアネートを混合することによって、PUR/PIR発泡体を形成する。ポリオールは、ポリエステルポリオール(大部分)とポリエーテルポリオールとの混合物を含みを有し、234mg KOH/gの(ASTM D4274に従う)ヒドロキシル価、および20℃で1550mPa・s(ASTM 4889に従う)の粘度を有する。触媒は、2-エチルヘキサン酸カリウム塩およびジメチルシクロヘキシルアミン(「DMCHA」)を含み、259mg KOH/gのヒドロキシル価、および20℃で160mPa・sの粘度を有する。発泡剤は、ペンタンである。イソシアネートは、pMDIを含み、30.5の(ASTM D5155に従う)NCO含有量、および20℃で650mPa・sの粘度を有する。発泡体は、約13秒のクリームタイム、および約55秒の(各々SH-PM-17に従う)ゲル時間、および約41kg/m3の(SH-PM-04に従う)自由上昇密度を有する。
【0188】
本発明の実施例5、6、および7のブロックは、以下のように作製した。シリコーン組成物を開放金型に注入し、それを自由に発泡させる。次いで、シリコーン発泡体を取り出し、均一の厚さ、例えば5、15、および20mmのスライスに切断する。次いで、シリコーン発泡体スライスを金型に戻し、PUR組成物をシリコーン発泡体スライスの上に注入する。金型を閉じる。PUR組成物を発泡させ、金型を開く。PUR発泡体をシリコーン発泡体スライスに接着し、複合物品をそれぞれのブロックの最終寸法に切断する。
【0189】
シリコーン発泡体の接着試験は、実際のオーブン金属シートで実施し、良好な結果が得られた。24時間後、シリコーン発泡体は金属シートに付着し、その接着に、部分的な粘着不良を提供する。発泡体は金属シートとPUR/PIR発泡体裏打ち層との間にカプセル化され、このように顧客が適用することは重要ではないので、標準試験は実施しなかった。
【0190】
その断熱特性および高温耐性に起因して、シリコーン発泡体断熱層は、およそ100℃まで温度を下げ、PUR/PIR発泡体裏打ち層は、この温度に長期間耐久することができる。PUR/PIR発泡体裏打ち層は、この温度をオーブン表面まで劇的に下げて、エネルギー節約を生じるであろう。
【0191】
加えて、上の表Iを参照すると、実施例5は、シリコーン発泡体単独よりも低い密度を有しながら、グラスウールのピーク温度に近いピーク温度を含む、優れた特性の組み合わせを提供する。加えて、実施例5の複合物品は、ガラスウールおよびロックウールに関連する手動プロセスとは反対に、自動またはほぼ自動のプロセスを使用して形成することができる。従来のウールの使用および取り扱いに関連する問題とは対照的に、作業員または人員との接触もまた、低減または回避される。
【0192】
本明細書では、「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、「含む(including)」、「含む(include)」、「本質的に~からなる」、および「~からなる」の概念を意味および包含するために最も広い意味で使用される。実例を列挙するための「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、「など」、および「含む」の使用は、列挙された例のみに限定されない。したがって、「例えば」または「など」は、「例えば、限定されない」または「などであるが限定されない」を意味し、他の類似するまたは同等の例を包含する。本明細書で使用される「約」という用語は、機器分析によって、またはサンプル取り扱いの結果として測定される数値のわずかな変動を合理的に包含または説明するのに役立つ。そのような軽微な変動は、数値の±0~25、±0~10、±0~5、または±0~2.5%ほどであり得る。さらに、「約」という用語は、値の範囲に関連付けられている場合に、両方の数値に適用される。さらに、「約」という用語は、明確に述べられていない場合であっても、数値に適用される場合がある。
【0193】
一般に、本明細書で使用される場合、値の範囲でのハイフン「-」またはダッシュ「-」は、「から(to)」または「から(through)」であり、「>」は、「上回る」または「より大きい」であり、「≧」は、「少なくとも」または「以上」であり、「<」は、「下回る」または「未満」であり、「≦」は、「最大で」または「以下」である。個別基準で、前述した特許の出願、特許、および/または特許出願公開の各々は、参照によりその全体が1つ以上の非限定的な実施形態に明示的に組み込まれる。
【0194】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」に記載される表現および特定の化合物、組成物、または方法に限定されないことが理解されるべきであり、添付の特許請求の範囲の範疇にある特定の実施形態間で異なる場合がある。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、および/または予期しない結果が得られる場合があることを認識されたい。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。
【0195】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に該当し、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解されたい。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、かつそのような範囲および部分範囲が関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これは、個別および集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。さらに、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する文言に関して、そのような文言は部分範囲、および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個別の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個別の整数、ならびに4.1などの小数点(または小数)を含む個別の数値が含まれ、これは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。
【0196】
本明細書において、本発明を例示的な方式で説明してきたが、使用されている専門用語は、限定ではなく説明の単語の性質であることが意図されることを理解されたい。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的に説明された以外の方法で実施されてもよい。独立および従属請求項のすべての組み合わせの主題は、単一および多数従属の両方で、本明細書で明示的に企図される。
要素リスト
物品20
ライナー22
オーブン24
レンジ26
コンロ28
外皮30
外観表面31
第1の表面32
加熱空洞34
第2の表面36
断熱層38
裏打ち層40
外面41
噴霧ノズル42
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空洞を画定する第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を有する器具を断熱するための複合物品であって、
前記第1の表面から離間した裏打ち層であって、発泡ポリウレタン(PUR)、発泡ポリイソシアヌレート(PIR)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む、裏打ち層と、
前記第2の表面と前記裏打ち層との間に挟まれた断熱層であって、発泡シリコーンを含む、断熱層と、を含み、
前記断熱層が、前記加熱空洞から前記裏打ち層への熱伝達を低減する、複合物品。
【請求項2】
i)前記断熱層が、100~500kg/m
3、任意選択的に200~400kg/m
3の密度を有する、ii)前記裏打ち層が、20~100kg/m
3、任意選択的に30~60kg/m
3の密度を有する、またはiii)i)およびii)の両方、を有する、請求項1に記載の複合物品。
【請求項3】
i)前記断熱層が、0.05~0.1W/m・K、任意選択的に0.07~0.09W/m・Kの熱伝導度を有する、ii)前記裏打ち層が、0.005~0.04W/m・K、任意選択的に0.015~0.03W/m・Kの熱伝導度を有する、またはiii)i)およびii)の両方、を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項4】
前記断熱層が、室温加硫(RTV)発泡シリコーンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項5】
前記断熱層が、
A)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、
A’)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素、および
(C)触媒、のうちの少なくとも1つの反応生成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項6】
前記裏打ち層が、発泡PURまたは発泡PIR、任意選択的に発泡PURを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項7】
前記裏打ち層が、
イソシアネート成分と、
イソシアネート反応性成分と、の反応生成物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合物品。
【請求項8】
加熱空洞を画定する表面を有する器具を断熱するための複合物品であって、
室温加硫(RTV)発泡シリコーンを含む断熱層と、
前記断熱層に接着され、発泡ポリウレタン(PUR)または発泡ポリイソシアヌレート(PIR)を含む、裏打ち層と、を含み、
前記断熱層が、100~500kg/m
3の密度、および0.05~0.1W/m・Kの熱伝導度を有し、
前記裏打ち層が、20~100kg/m
3の密度、および0.005~0.04W/m・Kの熱伝導度を有し、
前記断熱層(「IL」)および前記裏打ち層(「BL」)が、少なくとも1:2の合計平均厚さ比(IL:BL)を有する、複合物品。
【請求項9】
加熱空洞を画定する第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を有する器具を断熱する方法であって、
第1の組成物を前記第2の表面に適用して、前記第2の表面上に断熱層を形成することであって、前記断熱層が、発泡シリコーンを含む、断熱層を形成することと、
第2の組成物を前記断熱層に適用して、前記断熱層上に裏打ち層を形成することであって、前記裏打ち層が、発泡ポリウレタン(PUR)、発泡ポリイソシアヌレート(PIR)、または発泡PUR/PIRハイブリッドを含む、裏打ち層を形成することと、を含む、方法。
【請求項10】
器具であって、
加熱空洞を画定する第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面と、
請求項1~8のいずれか一項に記載の複合物品と、を含み、前記裏打ち層が、前記第1の表面から離間し、前記断熱層が、前記第2の表面と前記裏打ち層との間に挟まれており、
任意選択的に、前記第1および第2の表面が、金属を含み、
任意選択的に、前記断熱層が、前記第2の表面に接着され、前記裏打ち層が、前記断熱層に接着されており、
任意選択的に、前記器具が、オーブン、コンロ(またはクックトップ)、レンジ、電子レンジ、食器洗い機、給湯器、またはボイラーであり、
任意選択的に、前記器具が、前記加熱空洞に対向する前記裏打ち層に隣接する補助断熱材を実質的に含まず、任意選択的に、前記第2の表面に対向する前記複合物品の少なくとも一部の周りに配置された外皮をさらに含む、器具。
【国際調査報告】