(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】神経網膜疾患の治療および/または予防における治療活性物質として使用するための化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 263/32 20060101AFI20220216BHJP
C07D 213/40 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/421 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20220216BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220216BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220216BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220216BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220216BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C07D263/32 CSP
C07D213/40
A61K31/421
A61K31/44
A61P27/02
A61P31/04
A61P29/00
A61P43/00 107
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537220
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019068759
(87)【国際公開番号】W WO2020140043
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521278818
【氏名又は名称】エンドジーナ セラペウティクス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOGENA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーガー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】マリゴ,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】ファッシング,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】モカディ,ダフナ
【テーマコード(参考)】
4C055
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055CA01
4C055DA28
4C055DB01
4C055DB07
4C055DB08
4C055FA15
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC26
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC69
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB11
4C086ZB22
4C086ZB31
(57)【要約】
【課題】
網膜前駆細胞の増殖を刺激する新規化合物を提供すること。
【解決手段】
本発明は式(I)
【化1】
[式中
Aは、5-オキサゾリル残基またはピリジン-4-イル残基であり、R
1は、フッ素原子および塩素原子からなる群から選択され;フェニル環BのR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素原子、1乃至4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシ基およびアミノ基からなる群から選択され;そして
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち少なくとも2つが水素原子であり、ただし、R
1が塩素原子の場合、R
5はメトキシ基ではない。]で表される化合物、または、それらの薬学的に許容される塩に関する。前記化合物は神経網膜疾患の治療および/または予防、特に網膜外層の光受容体の損失または変性をもたらす神経網膜疾患の治療および/または予防に治療活性物質として有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中
Aは、5-オキサゾリル残基またはピリジン-4-イル残基であり、
R
1は、フッ素原子および塩素原子からなる群から選択され;
フェニル環BのR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素原子、1乃至4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシ基およびアミノ基からなる群から選択され;そして
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち少なくとも2つが水素原子であり、ただし、R
1が塩素原子の場合、R
5はメトキシ基ではない。]で表される化合物、または、それらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が塩素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが5-オキサゾリル残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
フェニル環Bが一置換または二置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
フェニル環Bが一置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
2が、メチル基、トリフルオロメチル基、メチルスルファニル基、メチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基、好ましくはジフルオロメトキシ基または塩素原子からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R
3またはR
4が、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、メトキシ基、好ましくはトリフルオロメチル基およびジフルオロメトキシ基からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
フェニル環Bが二置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R
2がフッ素原子、臭素原子、および塩素原子からなる群から選択され、R
3、R
4またはR
5のうちの1つがフッ素原子、臭素原子、および塩素原子からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R
2が塩素原子であり、R
5がフッ素原子であるか、またはR
2およびR
4の両方がフッ素原子である、請求項10に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が下記からなる群より選択される、前記請求項のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【請求項12】
網膜の光受容体層の光受容体喪失または分解をもたらす原発性神経網膜疾患の治療および/または予防に使用するための治療活性物質としての式(Ia)
【化2】
[式中、
Aは5-オキサゾリル残基またはピリジン-4-イル残基であり、
R
1’は、メトキシ基、水素原子、フッ素原子、塩素原子からなる群から選択され;
フェニル環BのR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素原子、1乃至4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシ基およびアミノ基からなる群から選択され;そして
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち少なくとも2つが水素原子であり、ただし、R
1’が水素原子またはメトキシ基の場合、Aはピリジン-4-イル残基である。]の化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の使用のための組成物であって、該使用が、遺伝性網膜ジストロフィー、後天性または薬物誘発性光受容体変性、感染性眼疾患および炎症性眼疾患からなる群から選択され、前記医薬組成物が、投与されると、網膜前駆細胞の増殖を誘導することによって網膜疾患を治療し、好ましくは、症候群型および非症候群型、X染色体連鎖型、劣性型、優性型並びに散発型を含む網膜色素変性症(RP)、桿体錐体ジストロフィー、アッシャー症候群、シュタルガルト病、錐体桿体ジストロフィー、錐体ジストロフィー、色覚異常、青錐体一色型色覚異常、S錐体増強症候群、桿体ジストロフィー、 先天性脈絡膜欠如、レーバー先天性黒内障、若年性X染色体連鎖網膜分離症(JXLR)、白点状眼底、白点状網膜炎、神鳥斑点網膜、ビエッティ結晶網膜ジストロフィー、有窓光沢型網膜黄斑ジストロフィー、成人発症型卵黄様黄斑ジストロフィー、バッテン病、先天性停止性夜盲、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、眼白皮症、眼皮膚白皮症、中心窩低形成、無ベータリポ蛋白血症、スティックラー症候群、網膜ジストロフィー(ボスニア型)、結晶黄斑症(薬物関連、高シュウ酸尿症、シスチン症、シェーグレン・ラルソン症候群)、西アフリカ結晶黄斑症、日光網膜症、タルク網膜症、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、黄斑部毛細血管拡張症、イールズ病、網膜剥離、網膜離断、末梢網膜分離症、網膜中心動脈閉塞症/網膜動脈分枝閉塞症(CRAO/BRAO)、網膜中心静脈閉塞症/網膜静脈分枝閉塞症(CRVO/BRVO)、出血閉塞性網膜血管炎(HORV)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、フェノチアジン、硫酸キニーネ、チオリダジン、クロファジミン、クロルプロマジン、デフェロキサミン、クロロキン誘導体、シスプラチン、カルムスチン、クロファジミンおよびビガバトリンを含む薬物誘発性黄斑症;タモキシフェン、タルク、カンタキサンチン、メトキシフルランおよびニトロフラントインを含む結晶誘発性黄斑症;エピネフリン、ラタノプロスト、ニコチン酸、進行性網膜外層壊死(PORN)、急性網膜壊死(ARN)、CMV-網膜炎、サルコイドーシス、急性梅毒性後部板状脈絡網膜炎、結核脈絡網膜炎、トキソプラズマ性脈絡網膜炎、後部ブドウ膜炎および網膜血管炎を含む類嚢胞黄斑浮腫(CME)、中間部ブドウ膜炎、扁平部炎+/-CME、眼内炎(前部および/または後部)、後部強膜炎、仮面症候群、多巣性脈絡膜炎および汎ぶどう膜炎(M
CP)、点状脈絡膜内層症(PIC)、散弾状脈絡網膜症、急性黄斑神経網膜症(AMN)並びに急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)からなる群からの網膜疾患の治療に使用される組成物。
【請求項14】
遺伝性網膜ジストロフィーの治療および/または予防、好ましくは網膜色素変性症(RP)の治療に使用するための請求項12または13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
下記からなる群から選択される、請求項11から請求項14のいずれかに記載の使用のための組成物。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【請求項16】
前記組成物が眼内注射に適している、請求項10乃至請求項15に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経網膜疾患の治療および/または予防において、特に網膜外層の光受容体の損失または変性をもたらす神経網膜疾患の治療および/または予防において治療活性物質として使用するための化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患の主な特徴は、神経細胞の減少が進み、様々な神経症状が生じることである。この疾患は、人生の様々な時期に発生し、びまん性または全身性に進行し、特定のパターンの損傷を生じる。
【0003】
特に重要なのは、目の神経変性疾患である。網膜変性は、網膜の崩壊であり、最終的に網膜の細胞の死をもたらし得る。網膜変性の最も重要な形態の1つは、いわゆる網膜色素変性症(RP)、または網膜色素変性障害とも呼ばれる。網膜の主な機能は、桿体と錐体によって光を神経信号に変換することである。網膜色素変性症は、網膜の桿体に色素の異常沈着を伴う慢性の網膜変性症である。この疾患は、周辺視野の進行性の低下を引き起こし、側方視野の機能不全をもたらす。最終的に、網膜色素変性症を有する人は、まっすぐ前方しか見ることができないので、患者は「トンネルビジョン」として知られる状態を経験する。
【0004】
網膜細胞の損傷によって引き起こされる視力喪失を治療するための治療戦略は様々だが、それらはすべて、網膜細胞を回復または再生することによって病気により引き起こされる損傷を修復させるのではなく、損傷を引き起こす病気を制御することを目的としている。
【0005】
国際公開第2016/073931号には、眼球の錐体細胞死を減少させる治療有効量のN-アセチルシステインアミド(NACA)をヒトに投与することを含む、ヒトの網膜色素変性症の治療方法が開示されている。
【0006】
欧州特許第2734202号には、α2アドレナリン受容体を調節するために、4-ブロモ-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを有効成分として含む医薬組成物が開示されている。前記化合物は、青色光による損傷を軽減し、網膜を保護することが示された。
【0007】
米国特許出願公開第2015/290215号明細書には、酸化ストレスによって引き起こされる網膜障害を治療するための、クロザピン、n-デスメチルクロザピン、オランザピンまたはそれらの誘導体を含む組成物が開示されている。
【0008】
米国特許出願公開第2016/0213671号明細書は、活性剤としてバロシン含有タンパク質の阻害剤(VCP阻害剤)を含む、タンパク質フォールディング障害に基づかない、神経変性疾患の治療または予防のための医薬組成物に関する。
【0009】
国際公開第2014/079850号には、成体神経幹細胞を刺激すると考えられている置換複素環式化合物と、該化合物が複数の異なる疾患に使用され得ることの両方が開示されている。しかし、神経幹細胞はいくつかの細胞型に分化する能力を持っているが、上記の新しい細胞型が同じ化合物によって刺激されるかどうかは予測できない。しかし、神経幹細胞を刺激するかなりの数の化合物は、網膜前駆細胞などの他の細胞型に関して、活
性がないか、弱い活性しかない。
【0010】
米国特許第6,117,675号には、哺乳動物の網膜から単離された幹細胞およびこれらの幹細胞から分化した網膜細胞、並びに哺乳動物の網膜色素上皮層から細胞を取得するための方法が開示されている。
【0011】
現在、網膜への恒久的な損傷を元に戻し、視力を回復する方法はない。薬物治療は、網膜へのさらなる損傷を防ぐために、病気とその症状を治療することに焦点を当てている。新たな網膜細胞を内因的に生成するか、または網膜細胞を移植することによって、網膜への損傷を修復させ、視力を回復させる必要がある。
【0012】
「前駆細胞」という用語は、この文脈において、目のさらに分化した機能組織を生じさせることができる幹細胞それ自体および前駆細胞などのあらゆる形態の増殖性および非増殖性細胞を包含する。そのような前駆細胞には、特に網膜前駆細胞が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、網膜前駆細胞の増殖を刺激する新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題は、式(I)および(Ia)の化合物によって解決される。さらに好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0015】
式(I)および(Ia)の化合物は、哺乳動物の網膜前駆細胞の産生を刺激することが示されている。内因性前駆細胞の選択的活性化は、網膜の制御された修復と再生を可能にする。したがって、本発明による化合物によって内因的に新しい前駆細胞を生成することによって視力を回復することが可能である。したがって、前記化合物は、神経網膜疾患の治療における治療活性物質として、すなわち薬剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
したがって、本発明は、式(I)
【化1】
[式中
Aは、5-オキサゾリル残基またはピリジン-4-イル残基であり、
R
1は、フッ素原子および塩素原子からなる群から選択され;
フェニル環BのR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素原子、1乃至4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキ
シ基、ヒドロキシ基およびアミノ基からなる群から選択され;そして
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち少なくとも2つが水素原子であり、ただし、R
1が塩素原子の場合、R
5はメトキシ基ではない。]で表される化合物、または、それらの薬学的に許容される塩に関する。
【0017】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明による化合物が形成することができる、治療的に活性で非毒性の酸性塩形態を意味する。
【0018】
基としての「アルキル」という用語は、1乃至4個の炭素原子を含む直鎖または分岐した炭化水素鎖を指す。本願明細書で使用される「アルキル基」の例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基が含まれる。
【0019】
残基Aは、式(II)の5-オキサゾリル基であってもよい。
【化2】
ここで、「*」は、分子の残りの部分への結合点を示す。
【0020】
あるいは、残基Aは、式(III)のピリジン基であってもよい。
【化3】
ここで、「*」は、分子の残りの部分への結合点を示す。
【0021】
好ましくは、本発明の化合物におけるフェニル環Bは一置換または二置換であるが、R2、R3、R4、R5およびR6の全てが水素原子であることも可能である。「一置換」という用語は、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが水素原子でないことを意味する。「二置換」という用語は、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの2つが水素原子でないことを意味する。
【0022】
好ましくは、本発明の化合物において、R1は塩素原子である。前記化合物は、優れた生物活性を示す。
【0023】
本発明の一実施形態では、R1は上記で定義された残基であり、フェニル環Bは置換されていない、すなわち、R2、R3、R4、R5およびR6のすべてが水素原子である。
【0024】
本発明の別の実施形態では、R1は上記で定義された残基であり、フェニル環Bは一置換されている、すなわち、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの1つは水素原子ではない。
【0025】
フェニル環Bが一置換である場合、R2は好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、メチルスルファニル基、メチルスルホニル基、ジフルオロメトキ基シ、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択され、最も好ましくはジフルオロメトキシ基および塩素原子であり、R2、R3、R4、R5およびR6は水
素原子である。かさ高い残基R2を有するそのような一置換フェニル環Bは、網膜前駆細胞を特に良好に刺激する結果となる。
【0026】
あるいは、フェニル環Bが一置換されている場合、R2は水素原子であり、R3、R4、R5およびR6のうちの1つは、好ましくは、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、メトキシ基、好ましくはトリフルオロメチル基およびジフルオロメトキシ基からなる群から選択される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、フェニル環Bは二置換されており、すなわち、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの2つは水素原子ではない。二置換はオルト、メタまたはパラ置換であってもよい。
【0028】
好ましくは、R2はフッ素原子、臭素原子および塩素原子からなる群から選択され、R3、R4またはR5のうちの1つはフッ素原子、臭素原子および塩素原子からなる群から選択される。水素原子と異なる2つの残基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、R2は塩素原子であり、R5はフッ素原子であり、その結果、パラ置換となるか、またはR2とR4の両方がフッ素原子であり、その結果、メタ置換となる。
【0029】
好ましくは、式(I)の化合物は、A、R1、R2、R3、R4、R5およびR6が下記のとおりである式(I)の化合物からなる群から選択される。
【0030】
【0031】
本発明による以下の化合物によって、特に良好な結果が得られた。
【0032】
【0033】
特に、式(1)、(10)、(4)、(9)、(3)および(2)の化合物は、前駆細胞、特に網膜前駆細胞の刺激に関して優れた結果を示している。1週間以内に、式(1)の化合物は103%、式(10)の化合物は58%、式(4)の化合物は57%、式(9)の化合物は49%、式(3)の化合物は43%、式(2)の化合物は42%の細胞増殖の増加を示した。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、薬学的に許容されるキャリアおよび/またはア
ジュバント;および、治療活性物質としての式(Ia)
【化4】
[式中、
Aは5-オキサゾリル残基またはピリジン-4-イル残基であり、
R
1’は、メトキシ基、水素原子、フッ素原子、塩素原子からなる群から選択され;
フェニル環BのR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素原子、1乃至4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシ基およびアミノ基からなる群から選択され;そして
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち少なくとも2つが水素原子であり、ただし、R
1’が水素原子またはメトキシ基の場合、Aはピリジン-4-イル残基である。]の化合物を含む医薬組成物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0035】
式(Ia)の化合物の定義は、フッ素原子および塩素原子からなる群からのみ選択されたR1の代わりに、R1’がメトキシ基、水素原子、フッ素原子および塩素原子からなる群から選択される点で、式(I)の化合物の定義と異なる。
【0036】
「予防」という用語は、神経網膜疾患に関連する兆候および症状、特に、疾患を発症するリスクがある被験者において、網膜の光受容体層の光受容体の損失または変性をもたらす原発性神経網膜疾患の兆候および症状の予防または軽減を指す。これらの被験者では、素因は保持されていても、疾患の兆候および/または症状は発生しないか、または発症するまでに著しく時間がかかりうる。さらに、疾患が発生した後の症状のさらなる悪化を防ぐことも含まれる。
【0037】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、疾患の治療のためにヒト患者に投与するのに適した組成物を意味する。前記医薬組成物は、患者の内因性網膜前駆細胞の増殖、遊走、または増殖と遊走の両方を効率的に刺激する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容されるキャリアおよび/またはアジュバント;および上記で定義された式(I)の化合物、特に第1表および/または第2表に開示された式(I)の化合物を含む。
【0039】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、R1、R2、R3、R4、R5およびR6が下記のとおりである式(Ia)の化合物を含む。
【0040】
【0041】
本発明による以下の化合物により、特に良好な結果を得ることができた。
【0042】
【0043】
特に、式(23)、(21)、(22)、(24)および(27)の化合物は、前駆細胞、特に網膜前駆細胞の刺激に関して、優れた結果を示している。1週間以内に、式(23)の化合物は48%、式(21)の化合物は44%、式(22)の化合物は35%、式(24)の化合物は34%および式(27)の化合物は40%の細胞増殖の増加を示した。
【0044】
すでに述べたように、本発明による化合物および本発明による組成物は、網膜前駆細胞の増殖を刺激することを示すことができた。したがって、それらは、神経網膜疾患、特に、網膜の光受容体層における光受容体の損失または変性をもたらす原発性神経網膜疾患の治療および/または予防に適している。
【0045】
本発明による化合物および組成物は、症候群型および非症候群型、X染色体連鎖型、劣性型、優性型並びに散発型を含む網膜色素変性症(RP)を含む遺伝性網膜ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィー、アッシャー症候群、シュタルガルト病、錐体桿体ジストロフィー、錐体ジストロフィー、色覚異常、青錐体一色型色覚異常、S錐体増強症候群、桿体ジストロフィー、先天性脈絡膜欠如、レーバー先天性黒内障、若年性X染色体連鎖網膜分離症(JXLR)、白点状眼底、白点状網膜炎、神鳥斑点網膜、ビエッティ結晶網膜ジストロフィー、有窓光沢型網膜黄斑ジストロフィー、成人発症型卵黄様黄斑ジストロフィー、バッテン病、先天性停止性夜盲、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、眼白皮症、眼皮膚白皮症、中心窩低形成、無ベータリポ蛋白血症、スティックラー症候群および網膜ジ
ストロフィー(ボスニア型)からなる群より選択される疾患の治療および/または予防における使用に適している。最も好ましくは、本発明の化合物は、症候群型および非症候群型、X染色体連鎖型、劣性型、優性型並びに散発型を含む網膜色素変性症(RP)の治療に使用される。
【0046】
本発明による化合物および組成物は、結晶黄斑症(薬物関連、高シュウ酸尿症、シスチン症、シェーグレン・ラルソン症候群)、西アフリカ結晶黄斑症、日光網膜症、タルク網膜症、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、黄斑部毛細血管拡張症、イールズ病、網膜剥離、網膜離断、末梢網膜分離症からなる群から選択される後天性変性の治療および/または予防における使用に適している。
【0047】
本発明による化合物および組成物は、網膜中心動脈閉塞症/網膜動脈分枝閉塞症(CRAO/BRAO)、網膜中心静脈閉塞症/網膜静脈分枝閉塞症(CRVO/BRVO)、出血閉塞性網膜血管炎(HORV)からなる群より選択される血管関連網膜変性の治療および/または予防における使用に適している。
【0048】
本発明による化合物および組成物は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、フェノチアジン、硫酸キニーネ、チオリダジン、クロファジミン、クロルプロマジン、デフェロキサミン、クロロキン誘導体、シスプラチン、カルムスチン、クロファジミンおよびビガバトリンからなる群から選択される薬物誘発性黄斑症、タモキシフェン、タルク、カンタキサンチン、メトキシフルラン、ニトロフラントインを含む結晶誘発性黄斑症、並びにエピネフリン、ラタノプロストおよびニコチン酸を含む類嚢胞黄斑浮腫(CME)の治療および/または予防における使用に適している。
【0049】
本発明による化合物および組成物は、進行性網膜外層壊死(PORN)、急性網膜壊死(ARN)、CMV-網膜炎、サルコイドーシス、急性梅毒性後部板状脈絡網膜炎、結核脈絡網膜炎、トキソプラズマ性脈絡網膜炎、後部ブドウ膜炎および網膜血管炎、中間部ブドウ膜炎、扁平部炎+/-CME、眼内炎(前部および/または後部)、後部強膜炎および仮面症候群からなる群より選択される感染性および/または炎症性眼疾患の治療および/または予防における使用に適している。
【0050】
本発明による化合物および組成物は、多巣性脈絡膜炎および汎ぶどう膜炎(MCP)、点状脈絡膜内層症(PIC)、散弾状脈絡網膜症、急性黄斑神経網膜症(AMN)および急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)からなる群から選択される白点症候群の治療および/または予防における使用に適している。
【0051】
本発明による化合物または組成物は、単独で、または1つまたは複数の追加の治療薬と組み合わせて、患者に投与することができる。本明細書で使用される「患者」には、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウサギ、ノウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシおよびブタなどの哺乳類が含まれ、好ましくはヒトである。
【0052】
本発明による医薬組成物は、1つまたは複数の追加の治療薬を含み得る。
【0053】
好ましくは、このような医薬組成物は、放出制御特性を提供する。本明細書において「放出制御医薬組成物」という用語は、本発明の化合物を含み、同量の同じ薬物を含む対応する即時放出組成物の投与後に通常経験されるよりも、剤形の投与後の薬理学的反応の持続時間が長くなるように配合された、任意の組成物または剤形を意味する。放出制御は、使用するマトリックスに応じて、数ヶ月まで延長することができる。好ましくは、本発明による化合物の放出は、最大で12ヶ月間、最も好ましくは最大で6ヶ月間行われる。このような放出制御製剤は、患者の快適性を向上させ、コストを大幅に削減することができ
る。
【0054】
本発明に係る医薬組成物に使用されるマトリックス材料は、疎水性放出制御剤を含むことができる。好ましくは、ポリ酢酸ビニル分散液、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート(低分子量、中分子量または高分子量)、酢酸セルロースプロピオネート、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)およびポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、蜜蝋、カルナバワックス、パラフィンワックス、微結晶ワックスおよびオゾケライトなどのワックス;セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールおよびミリスチルアルコールなどの脂肪アルコール;およびグリセリルモノステアレートなどの脂肪酸エステル;グリセロールモノオレエート、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、グリセリルパルミトステアレート、ベヘン酸グリセリル、または水素化植物油から選択されるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の化合物は、眼への局所的な適用、または例えば硝子体または網膜下(光受容体間)空間への眼内注射;眼を取り巻く組織への挿入または注射による局所的な適用;経口経路または皮下、静脈内、筋肉内注射による全身的な適用;またはカテーテルまたはインプラントを介した適用を含む様々な経路で眼に送達することができるが、これらに限定されない。最も好ましくは、本発明の化合物は眼内注射によって送達される。本発明の化合物は、眼の手術中など、病態の発生を予防するために、その病態の発症前、病態の発症直後、または急性もしくは遅延性病態の発生中に投与することができる。
【0056】
意図する投与方法に応じて、本発明による化合物は、例えば、溶液、懸濁液、乳液を含む液体、錠剤、坐剤、丸薬、カプセル、粉末などの薬学的に許容される任意の剤形に組み込むことができ、好ましくは、正確な投与量の単回投与に適した剤形、または連続的に制御された投与のための徐放性剤形に組み込むことができる。最も好ましいのは液体である。
【0057】
液体の薬学的に投与可能な剤形は、例えば、溶液、懸濁液または乳液であり得、好ましくは、本発明の化合物およびキャリア中の任意の薬学的アジュバント(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール、DMSOなど)を含む溶液であり得、それによって溶液または懸濁液を形成する。必要に応じて、投与される医薬組成物はまた、少量の無毒な補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など)を含み得る。そのような補助物質の典型的な例は、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンである。
【0058】
本発明はまた、光受容体の損失または網膜外層変性をもたらす神経網膜疾患を治療する方法であって、式(Ia)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、網膜疾患を有する患者に、網膜疾患を治療するのに有効な量で患者の眼に送達されるように投与することを含む方法に関する。式(Ia)の化合物は、上記で詳細に定義されている。
【実施例】
【0059】
本発明の化合物の調製
式(I)の化合物は、有機化学の分野で知られている合成方法、または当業者によく知られている修飾とともに、以下に記載の方法によって調製することができる。本明細書で
使用される出発物質は、市販されているか、または、「Compendium of Organic Synthetic Methods, Vol.I-XlN」(Wiley-lnterscience社発行、ISSN:1934-4783)などの標準的な参考書に記載されている方法など、当技術分野で知られている通常の方法で調製することができる。好ましい方法としては、以下に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
これらのスキームは、本発明の化合物および裏付けとなる実施例を合成するのに有用な方法の代表例である。それらはいずれにしても本発明の範囲を制限するものではない。
【0061】
分取HPLC
以下の実施例および調製例で反応産物を精製するために使用した分取高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)は、特定の実施例で変更されていない限り、以下の方法に従って行われた。YMC Triart C18(250×21.2mm,5μ)カラムを備えたWaters自動精製装置を、室温で16mL/分の流速で操作した。サンプルを水(移動相A)およびアセトニトリル(移動相B)中の20mM重炭酸アンモニウムで溶出し、最初に70%Aおよび30%B、次に3分間で45%Aおよび55%Bのグラジエントプロファイルを用い、20分間で20%Aおよび80%Bに適合させ、次に21分間で5%Aおよび95%Bに適合させ、2分間一定に保持した。純粋な画分を濃縮し、最終生成物を得た。
【0062】
分析用HPLC
以下の実施例および調製例で使用された分析用超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)は、特定の実施例で変更がない限り、以下の方法に従って実施した。Chromegabond WR C18(3cm×3.2mm、3μ)カラムを1.5mL/分の流速で操作した。移動相として、水中0.02%TFA(移動相C)およびCH3CN中0.02%TFA(移動相D)を、90%Cおよび10%Dから始まるグラジエントで使用し、3.0分で10%Cおよび90%Dに変化させた後、4.0分で90%Cおよび10%Dに変化させ、5.1分まで一定に保った。
【0063】
一般的な方法-合成
方法1:
スキーム1:
【化5】
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、式Iに記載されている通りである。
一般式I(スキーム1)の化合物は、当業者の化学者に知られている手順を使用して、一般式IVの化合物を一般式Vのカルボン酸と反応させることによって調製することができる。
【0064】
方法2:
スキーム2:
【化6】
ここで、R
1は式Iに記載の通りであり、Rはヒドロキシ基であるか、またはRがホウ素原子と一緒になって4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン基を形成する。
一般式IVa(スキーム2)の化合物は、一般式VIおよびVIIの化合物から、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム触媒と炭酸カリウムなどの塩基の存在下、または有機合成の技術に熟練した化学者に公知の他の鈴木宮浦カップリング反応の条件で調製することができる。
【0065】
方法3:
スキーム3:
【化7】
ここで、R
1は、式Iに記載の通りである。
一般式IVb(スキーム3)の化合物は、当業者の化学者に知られている手順を使用して、一般式Xの化合物中のニトロ基を還元することによって調製することができる。一般式Xの化合物は、(イソシアノメタン)スルホニル-4-メチルベンゼン(IX)などの試薬の存在下で、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で反応させることにより、一般式VIIIのアルデヒドから調製することができる。
【0066】
5-オキサゾリル残基を含む化合物の合成
中間体1:
【化8】
5-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)オキサゾール
メタノール(20mL)中の2-クロロ-4-ニトロベンズアルデヒド(3.00g、1
6.2mmol)の撹拌溶液に、1-(イソシアノメタン)スルホニル-4-メチルベンゼン(3.80g、19.5mmol)、続いてK
2CO
3(8.00g、58.0mmol)を加え、反応混合物を80℃に加熱し、2時間かけて室温に冷却した。反応終了後、反応産物を飽和NaHCO
3水溶液(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して粗製物を得、これをシリカ(100-200)を用いたカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチルで溶出)で精製して、5-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)1,3-オキサゾール(中間体1)(2.9g、80%)を黄色固体として得た。LCMS:225.2(M+H)。
【0067】
中間体2:
【化9】
3-クロロ-4-(1,3-オキサゾール-5-イル)アニリン
EtOH(40mL)中の5-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)-1,3-オキサゾール(中間体1)(3g、13.39mmol)の撹拌溶液に、0℃でSnCl
2二水和物(12.08g、53.57mmol)および濃塩酸(5mL)を滴下して加え、反応混合物を80℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応産物を2N NaOH水溶液で中和し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を水で十分に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して、3-クロロ-4-(1,3-オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(1.5g、57%)を黄色固体として得た。LCMS:195(M+H)。
【0068】
中間体3:
【化10】
5-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)オキサゾール
MeOH(35mL)中の2-フルオロ-4-ニトロベンズアルデヒド(5g、29.56mmol)および1-(イソシアノメタン)スルホニル-4-メチルベンゼン(7.5g、38.43mmol)の撹拌溶液に、K
2CO
3(16.3g、118.27mmol)を加え、反応混合物を2時間80℃に加熱した。反応終了後、反応産物を飽和NaHCO
3水溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、真空下で濃縮して粗製物を得、これをシリカ(100-200)を用いたカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の30%酢酸エチルで溶出)で精製して、5-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-1,3-オキサゾール(中間体3)(2.5g、40%)を黄色固体として得た。LCMS:209.2(M+H)。
【0069】
中間体4:
【化11】
3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン
EtOH(35mL)中の5-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-1,3-オキサゾール(中間体3)(700mg、3.36mmol)の撹拌溶液に、0℃で塩化スズ(II)SnCl
2二水和物(3.03g、13.46mmol)および濃塩酸(2mL)を滴下して加え、反応混合物を80℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応産物を2N
NaOH水溶液で中和し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を水で十分に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して、3-フルオロ-4-(1,3-オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(350mg、53%)を黄色固体として得た。LCMS:179(M+H)。
【0070】
化合物(1)の合成:
【化12】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)と2-(3-メトキシフェニル)酢酸(111mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)とHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド(化合物(1))(46mg、26%)を得た。UPLC Rt:1.50分;MS:343.1(M+H)。
【0071】
化合物(2)の合成:
【化13】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)と2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(137mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)とHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキ
サゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物(2))(68mg、35%)を得た。UPLC Rt:1.74分;MS:381.1(M+H)。
【0072】
化合物(3)の合成:
【化14】
2-(3-ブロモフェニル)-N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)および(2-クロロ-5-フルオロ-フェニル)酢酸(144mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)およびHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(3-ブロモフェニル)-N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(3))(62mg、31%)を得た。UPLC Rt:1.77分;MS:393.1(M+H)。
【0073】
化合物(4)の合成:
【化15】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg,0.51mmol)および(2-クロロ-5-フルオロ-フェニル)酢酸(115mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)およびHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)アセトアミド(化合物(4))(57mg、32%)を得た。UPLC Rt:1.59分;MS:349.1(M+H)。
【0074】
化合物(5)の合成:
【化16】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)および(2-クロロ-5-フルオロ-フェニル)酢酸(126mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)およびHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)アセトアミド(化合物(5))(34mg、18%)を得た。UPLC Rt:1.64分;MS:365(M+H)。
【0075】
化合物(6)の合成:
【化17】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)および(3-トリフルオロメチル-フェニル)酢酸(136mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)およびHATU(392mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物(6))(26mg、13%)を得た。UPLC Rt:1.76分;MS:381(M+H)。
【0076】
化合物(7)の合成:
【化18】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド
DMF(1mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(100mg、0.51mmol)および(4-クロロ-フェニル)酢酸(114mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.26mL)およびHATU(391.9mg、1.03mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド(化合物(7))(21mg、11%)を得た。UPLC Rt:1.68分;MS:347.2(M+H)。
【0077】
化合物(8)の合成:
【化19】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(150mg、0.77mmol)および2-(ジフルオロメトキシ)フェニル酢酸(203mg、1mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.39mL)およびHATU(588mg、1.55mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド(化合物(8))(56mg、19%)を得た。UPLC Rt:1.59分;MS:379.2(M+H)。
【0078】
化合物(9)の合成:
【化20】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(150mg、0.77mmol)およびフェニル酢酸(136.85mg、1.00mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.39mL)およびHATU(588mg、1.55mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド(化合物(9))(69mg、28%)を得た。UPLC Rt:1.46分;MS:313.2(M+H)。
【0079】
化合物(10)の合成:
【化21】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-クロロフェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(150mg、0.77mmol)および2-クロロフェニル酢酸(171mg、
1.00mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.39mL)およびHATU(588mg、1.55mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-クロロフェニル)アセトアミド(化合物(10))(73mg、27%)を得た。UPLC Rt:1.59分;MS:347.1(M+H)。
【0080】
化合物(11)の合成:
【化22】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-メトキシフェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(150mg、0.77mmol)および2-メトキシ-フェニル酢酸(167mg、1.00mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.39mL)およびHATU(588mg、1.55mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-メトキシフェニル)アセトアミド(化合物(11))(84mg、30%)を得た。UPLC Rt:1.48分;MS:343.2(M+H)。
【0081】
化合物(12)の合成:
【化23】
N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-(ジフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体2)(200mg、1.03mmol)および3-(ジフルオロメトキシ)フェニル酢酸(270.93mg、1.34mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.52mL)およびHATU(784mg、2.06mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-クロロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-(ジフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド(化合物(12))(34mg、18%)を得た。UPLC Rt:1.66分;MS:379.2(M+H)。
【0082】
化合物(13)の合成:
【化24】
2-(3-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(200mg、1.12mmol)および2-(3-(ジフルオロメトキシ)フェニル)酢酸(295.3mg、1.46mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.58mL)およびHATU(854.4mg、2.24mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(3-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(13))(104mg、25%)を得た。UPLC Rt:1.55分;MS:363.2(M+H)。
【0083】
化合物(14)の合成:
【化25】
2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(200mg、1.12mmol)および2-(ジフルオロメトキシ)フェニル酢酸(295.3mg、1.46mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.58mL)およびHATU(854.4mg、2.24mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(14))(147mg、36%)を得た。UPLC Rt:1.50分;MS:363.2(M+H)。
【0084】
化合物(15)の合成:
【化26】
2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体
4)(200mg、1.12mmol)および(2-クロロ-5-フルオロフェニル)酢酸(275.5mg、1.46mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.58mL)およびHATU(854.4mg、2.24mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(15))(137mg、34%)を得た。UPLC Rt:1.57分;MS:349.2(M+H)。
【0085】
化合物(16)の合成:
【化27】
N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド
DMF(1mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(100mg、0.56mmol)および2-フェニル酢酸(99.4mg、0.73mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.29mL)およびHATU(427mg、1.12mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド(化合物(16))(43mg、25%)を得た。UPLC Rt:1.36分;MS:297.2(M+H)。
【0086】
化合物(17)の合成:
【化28】
2-(2-クロロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(150mg、0.84mmol)および2-(2-クロロフェニル)酢酸(186.9mg、1.09mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.44mL)およびHATU(641mg、1.68mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(2-クロロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(17))(123mg、44%)を得た。UPLC Rt:1.50分;MS:331.2(M+H)。
【0087】
化合物(18)の合成:
【化29】
N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(150mg、0.84mmol)および3-メトキシ-フェニル酢酸(182.1mg、1.09mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.44mL)およびHATU(641mg、1.68mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド(化合物(18))(87mg、31%)を得た。UPLC Rt:1.37分;MS:327.2(M+H)。
【0088】
化合物(19)の合成:
【化30】
2-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(150mg、0.84mmol)および2,4-ジフルオロフェニル酢酸(188.56mg、1.09mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.44mL)およびHATU(641mg、1.68mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(19))(125mg、44%)を得た。UPLC Rt:1.52分;MS:333.2(M+H)。
【0089】
化合物(20)の合成:
【化31】
N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド
DMF(1.5mL)中の3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)アニリン(中間体4)(150mg、0.84mmol)および2-(トリフルオロメチル)フェニル
酢酸(223.6mg、1.09mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.44mL)およびHATU(641mg、1.68mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応産物を分取HPLCで精製して、N-(3-フルオロ-4-(オキサゾール-5-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物(20))(125mg、40%)を得た。UPLC Rt:1.69分;MS:365(M+H)。
【0090】
ピリジン-4-イル残基を含む化合物の合成
中間体5:
【化32】
4-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピリジン
1.4-ジオキサン(50ml)および水(10ml)中の1-ブロモ-2-メトキシ-4-ニトロベンゼン(5g、21.55mmol)の撹拌溶液に、(ピリジン-4-イル)ボロン酸(3.97g、32.32mmol)およびK
2CO
3(8.92g、64.65mmol)を加えた。窒素で10分間脱気した後、Pd(Ph
3P)
4(0.498g、0.431mmol)を加え、フラスコを窒素で再度脱気し、次いで反応混合物を85-90℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、次いで酢酸エチル層を水(2×50ml)および塩水(2×50ml)で順次洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濃縮乾固し、粗産物を15%のE.A-ヘキサンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピリジン(中間体5)(2.5g、50.4%)を白色固体として得た。LCMS:230(M+H)。
【0091】
中間体6:
【化33】
3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン
4-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピリジン(中間体5)(2.5g、10.8mmоl)を含むフラスコにN
2をフラッシュし、10%pd/c(2.3g、21.7mmоl)を加えた。 酢酸エチル(50mL)を混合物に加え、N
2供給をH
2に置き換え、黒色懸濁液をH
2下で5時間撹拌し、その後反応を完了させた。懸濁液をセライトで濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で濃縮して、3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(1.42g、65.2%)を黄色固体として得た。LCMS:200(M+H)。
【0092】
化合物(21)の合成:
【化34】
2-(2-クロロフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(3mL)中の4-(ピリジン-4-イル)アニリン(75mg、0.441mmol)および2-(2-クロロフェニル)酢酸(112.5mg、0.66mmol)の攪拌溶液に、室温でDIPEA(0.169mL)およびHATU(252.7mg、0.66mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、2-(2-クロロフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(21))(51.3mg、36%)を得た。UPLC Rt:0.92分;MS:323.2(M+H)。
【0093】
化合物(22)の合成:
【化35】
2-(3-メトキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(3mL)中の4-(ピリジン-4-イル)アニリン(75mg、0.441mmol)および2-(3-メトキシフェニル)酢酸(110mg、0.66mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.169mL)およびHATU(252.7mg、0.66mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、2-(3-メトキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(22))(56mg、40%)を得た。UPLC
Rt:0.86分;MS:319.2(M+H)。
【0094】
化合物(23)の合成:
【化36】
2-(2-クロロフェニル)-N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-(2-クロロフェニル)酢酸(96mg、0.563mmol)の攪拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、2-(2-クロロフェニル)-N-
(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(23))(20mg、15%)を得た。UPLC Rt:0.96分;MS:353.25(M+H)。
【0095】
化合物(24)の合成:
【化37】
2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)酢酸(105.7mg、0.563mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(24))(69mg、50%)を得た。UPLC Rt:1.05分;MS:371.2(M+H)。
【0096】
化合物(25)の合成:
【化38】
N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-フェニル酢酸(73.1mg、0.563mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-フェニルアセトアミド(化合物(25))(46mg、39%)を得た。UPLC Rt:0.88分;MS:319.2(M+H)。
【0097】
化合物(26)の合成:
【化39】
N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(114.9mg、0.563mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物(26))(118mg、81%)を得た。UPLC Rt:1.13分;MS:387.3(M+H)。
【0098】
化合物(27)の合成:
【化40】
N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-(3-メトキシフェニル)酢酸(93.3mg、0.563mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-2-(3-メトキシフェニル)アセトアミド(化合物(27))(68mg、52%)を得た。UPLC Rt:0.91分;MS:349.3(M+H)。
【0099】
化合物(28)の合成:
【化41】
2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド
DMF(2mL)中の3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)アニリン(中間体6)(75mg、0.375mmol)および2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)酢酸(113.6mg、0.563mmol)の撹拌溶液に、室温でDIPEA(0.144mL)およびHATU(214.8mg、0.563mmol)を加え、反応物を室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を分取HPLCで精製して、2-(2-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-N-(3-メトキシ-4-(ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド(化合物(28))(75.3mg、52%)を得た。UPLC
Rt:1.03分;MS:385.3(M+H)。
【0100】
解剖液と酵素液の調製
キヌレン酸(0.2mg/mL)、トリプシン(1.33mg/mL)、およびヒアルロニダーゼ(0.67mg/mL)を秤量し、37℃で高マグネシウム/低カルシウム人工脳脊髄液(aCSF)に溶解した。線維芽細胞成長因子2(FGF2;10ng/mL)およびヘパリン(2μg/mL)を100mLの無血清培地(SFM)に添加した。オボムコイドトリプシン阻害剤(1mg/mL)を温かいSFMに溶解し、滅菌ろ過(22μm)した。
【0101】
眼の毛様体上皮からの網膜前駆細胞の単離および一次スフィアアッセイ
解剖顕微鏡、冷光源および滅菌手術器具を滅菌生物学的安全キャビネット(BSC)内に設置した。哺乳類の眼を摘出し、低温滅菌aCSFを入れたペトリ皿に入れた。解剖顕微鏡下で、毛髪、結合組織、および背側と腹側の斜筋を、2組の鉗子で強膜/角膜の境界から除去した。次に、湾曲した、または角度のついたマイクロ解剖ハサミを使って、残っている眼球外筋組織、視神経を切断し、眼球を左右対称に切り分けた;視神経が残した穴から切り始め、切り終えた。2組の鉗子を使って角膜を把持し、2つの半分の眼球を剥離した。水晶体、視神経、硝子体を眼球から分離し、眼球を新しいペトリ皿(冷やした滅菌aCSFも含む)に移した。毛様体上皮(CE)を分離するために、眼球は右に角膜、左に網膜色素上皮(RPE)を置くようにした。真っ直ぐな鉗子を使ってRPE側の眼球を固定しながら、メスの刃をCEと虹彩の間に挿入し、圧力をかけて虹彩/角膜側を残りの眼球部分から切り離した。次に、メスをCEとRPEの境界に沿って動かし、組織の薄い片状として分離されたCEを得た。その後、CE片を2mLのジスパーゼ溶液(Sigma;T1005)を含む35mmディッシュに移し、37℃で10分間培養した。次に、該片をジスパーゼから、2mLの滅菌濾過キヌレン酸、トリプシン、およびヒアルロニダーゼ溶液を含む35mmディッシュに移し、37℃で10分間培養した。培養後、ディッシュを解剖顕微鏡に戻し、CE片を真っ直ぐな鋸歯状でない鉗子で固定し、鋸歯状でない湾曲した鉗子を使用して、下にある強膜からCEをこすり落とした。その後、剥き出しになった強膜片を廃棄し、CE細胞のみを酵素溶液中に残した。火炎研磨された綿栓付きガラスピペットを用いて、細胞と酵素溶液を15mLチューブに移し、約45回粉砕して組織を分解した。15mLのチューブ/細胞懸濁液を1500rpmで5分間遠心分離した。火炎研磨された綿栓付きガラスピペットを使用して、得られたペレットから上澄みを静かに吸引し、2mLのトリプシン阻害剤溶液をペレットに加えた。小さな穴の開いた、火炎研磨された綿栓付きガラスピペットを使用して、サンプルが単一細胞懸濁液になるまで約45回粉砕した。15mLチューブ/細胞懸濁液を1500rpmで5分間遠心分離した。得られたペレットから上澄みを静かに吸引し、FGF2およびヘパリン(平板培地)を含む1乃至2mLのSFMを加えた。均一な細胞懸濁液になるように細胞と培地を混合し、10μLのサンプルを採取して細胞密度を測定した。次いで、細胞を播種し、培養処理したプレートまたはフラスコ中で10c/μLで培養した。1週間後、約500個中1個の細胞が増殖し、直径80μm以上の自由に浮遊するクローンスフィアを形成した。
【0102】
スフィア継代とハイスループット薬物スクリーニング
キヌレン酸、トリプシン、ヒアルロニダーゼの酵素溶液に、コラゲナーゼI(0.5mg/mL)、コラゲナーゼII(0.5mg/mL)、エラスターゼ(0.1mg/mL)を加えたものを用いて、ヒト由来のスフィアを継代した。マウス由来のスフィアを、アキュターゼ溶液(Sigma;SCR005)に溶解したヒアルロニダーゼ(0.67mg/mL)、コラゲナーゼI(0.5mg/mL)、コラゲナーゼII(0.5mg/mL)を用いて継代した。培養プレートまたはフラスコからスフィアを一括して回収し、1本または複数の50mLチューブに移し、1500rpmで5分間遠心分離した。ペレットから上澄みを静かに吸引し、ペレットに2乃至5mLの酵素溶液を加えて十分に混合した。2乃至5mLの酵素およびスフィアの懸濁液を15mLのチューブに移し、37℃で
45分間自動ロッカーに水平に置いた。培養後、スフィアを含む酵素溶液を約45回粉砕して、スフィアを機械的に解離させた。細胞懸濁液を1500rpmで5分間遠心分離した。上澄みを静かに吸引し、1乃至2mLのトリプシン阻害剤溶液をペレットに加え、約45回粉砕した。細胞懸濁液を1500rpmで5分間遠心分離した。得られたペレットから上澄みを静かに吸引し、FGF2およびヘパリン(平板培地)を含む1乃至2mLのSFMを加えた。均一な細胞懸濁液になるように細胞と培地を混合し、10μLのサンプルを採取して該サンプルから細胞密度を測定した。その後、残った細胞を、0.1%DMSOまたは0.1%DMSO中に選択された濃度の薬剤を加えて調製した96ウェルプレートまたは24ウェルプレートに10c/μLにて播種して培養した。細胞を1週間増殖させた後、核を生染色した(Hoechst 33258;10μg/mL)。マウス組織については、アクチン-緑色蛍光タンパク質(GFP)トランスジェニックマウス系統(FVB.Cg-Tg(CAG-EGFP)B5Nagy/J)を使用し、核とGFPベースの定量化に基づいて細胞数の比較を行った。ヒト組織には、緑色蛍光細胞生存率色素であるカルセインAM(ThermoFisher C3100MP;2μM)を使用し、核とカルセインの蛍光ベースの定量化に基づいて細胞数の比較を行った。
【0103】
薬物スクリーニング結果の統計的評価
統計学的有意性は、薬剤を投与せず、培地にDMSOを同等の濃度で添加した対照ウェルを用いて、プレート間ベースで評価した。対照ウェルの最小数は、96ウェルプレートについては8であり、24ウェルプレートについては6であった。平均値および標準偏差を決定し、対照値周辺の3つの標準偏差の範囲外の細胞数を有する化合物ウェルをヒットとして分類した。各プレートの個々の化合物処理条件は、結果の妥当性を内部的に検証するために、常に少なくとも二重に存在していた。その後、各化合物の数値を平均した。
【0104】
結果:
【0105】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【国際調査報告】