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特表2022-516113外来タンパク質を発現する微生物、及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】外来タンパク質を発現する微生物、及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20220216BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20220216BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20220216BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20220216BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220216BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220216BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220216BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220216BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20220216BHJP
   C12N 15/74 20060101ALN20220216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220216BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
A61K38/22
A61K35/747
A61K35/744
A61K38/17
A61P37/02
A61P29/00
A61P1/04
C12N1/20 A
C12N15/74 Z
C12N15/12
C07K14/47
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538015
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2019018596
(87)【国際公開番号】W WO2020139014
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0173063
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521415859
【氏名又は名称】株式会社 リビオム
【氏名又は名称原語表記】LIVEOME Inc.
【住所又は居所原語表記】7F,114,Central town-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ジユン
(72)【発明者】
【氏名】ノ, ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, イレ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ソンキ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA30X
4B065AA30Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA41
4C084BA42
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA53
4C084DA53
4C084DB37
4C084MA05
4C084MA52
4C084NA10
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC55
4C087BC56
4C087BC57
4C087MA52
4C087NA10
4C087NA12
4C087NA13
4C087ZA66
4C087ZB07
4C087ZB11
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
VIP遺伝子を発現する微生物、その微生物を含む胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物、キット、及び胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりする方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物として、ラクトバチルス属である、組み換え微生物。
【請求項2】
ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビスまたはラクトバチルス・プランタルムである、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
構成的プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物であり、乳酸菌である、組み換え微生物。
【請求項4】
構成的プローモーターが、配列番号10のプローモーターである、請求項3に記載の組み換え微生物。
【請求項5】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス属またはラクトコッカス属である、請求項3に記載の微生物。
【請求項6】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・プランタルムまたはラクトコッカス・ラクチスである、請求項5に記載の微生物。
【請求項7】
前記プローモーターと前記外来遺伝子との間において、作動可能に連結されている信号配列を追加で含む、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の微生物。
【請求項8】
前記信号配列は、配列番号11のアミノ酸配列を有する信号ペプチドをコーディングする、請求項7に記載の微生物。
【請求項9】
プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物であり、乳酸菌である組み換え微生物を含む、ヒトにおいて、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物。
【請求項10】
前記疾患は、胃腸管炎症を引き起こす、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記疾患は、炎症性腸疾患(IBD)及び大腸炎からなる群から選択された1以上である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
経口投与剤形である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス属またはラクトコッカス属である、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・プランタルムまたはラクトコッカス・ラクチスである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記プローモーターは、構成的プローモーターである、請求項9ないし15のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記構成的プローモーターは、配列番号10のヌクレオチド配列によってなる、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記プローモーターと外来遺伝子との間に作動可能に連結されている信号配列を追加して含む、請求項9ないし15のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記信号配列は、配列番号11のアミノ酸配列を有する信号ペプチドをコーディングする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
胃腸管の損傷疾患を治療する他の治療薬物を追加して含む、請求項9ないし15のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記治療薬物は、ステロイド性抗炎症剤、5-アミノサリチル酸、免疫調節剤、JAK阻害剤、TNF阻害剤、インテグリン阻害剤、インターロイキン阻害剤、ケモカイン阻害剤、分化クラスタ(CD)阻害剤、インターロイキン、RIPキナーゼ阻害剤、smad7阻害剤、MadCAM阻害剤及び非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)からなる群から選択された、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記非ステロイド性抗炎症剤は、古典的NSAID、シクロオキシゲナーゼ阻害剤または一酸化窒素放出NSAIDである、請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VIP遺伝子を発現する微生物、その微生物を含む胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物、キット、及び胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管作動性腸管ペプチド(VIP:vasoactive intestinal peptide:VIP)は、腸において、血管作動性であるペプチドホルモンである。該VIPは、グルカゴン/セクレチンスーパーファミリ、クラスII Gタンパク質結合受容体の配位子に属する28アミノ酸残基を有するペプチドである。
【0003】
ヒトにおいて、ヒトゲノム上の染色体6のq25領域は、長さが170アミノ酸であるセクレチンファミリメンバーをコーディングする。長さ170アミノ酸のそのメンバーは、翻訳後に切断され、血管作動性腸管ペプチド(VIP)を形成する。VIPポリペプチドの活性形態は、血圧を低くすること、血管壁の拡張(vasodilation)を増大させること、呼吸器系統及び胃腸管組織において、平滑筋を弛緩させる(relax)こと、Th1反応の低減だけではなく、Th2の促進を介し、免疫反応を低減させること、先天的でもあり獲得されたものでもある免疫反応を調節すること、または内臓において、電解質の分泌を促進することのような機能を行う。また、該VIPは、神経伝達物質として、中枢神経系においても、リンパ球との疎通においても、活性的であることが明らかにされた。該VIPの生物活性は、知られた3種受容体を介して伝達される:VIPR、VIPR及びPACRである。これら受容体は、細胞内カルシウムの生産だけではなく、cAMP濃縮を引き起こすと知られている。該VIPのように、セクレチンに対するそれら親和度は、サブタイプ、及び配位子のアミノ酸配列によって異なる。ヒト天然VIPは、血流において、約2分の半減期を有しており、短い半減期を有している。
【0004】
米国特許9,561,262は、VIP及び抗高血圧剤を患者に投与することを含む、患者において、高血圧を治療するのに使用するための方法を開示している。
【0005】
米国2016-0045557 A1は、腸神経系改善用プロバイオティックス菌株であり、VIPレベルを上昇させるラクトバチルス菌株及びビフィズス菌株を開示しているが、それら菌株は、上皮細胞(epithelial cell)及び腸神経細胞(enteric neuronal cell)を含む共培養(co-culture)モデルでスクリーニングされた菌株であり、遺伝子組み換え菌株ではない。
【0006】
CN 10875360 Aは、多機能性複合微小生態学的製剤ナノセレニウム・組み換え発現VIP・ラクトコッカスラクチス及びその製造方法を開示しているが、抗菌性ペプチドVIPを発現させるために、ラクトコッカスラクチス、ナイシン誘導性プローモーター及びUSP45信号配列を使用するNICE(商標登録)発現システムを使用し、動物飼料添加剤としての用途を開示している。
【0007】
従来技術によっても、VIP遺伝子を発現する微生物、及びそれを炎症性腸疾患を治療するのに使用することに対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一様相は、VIPをコーディングする遺伝子の発現を増大させる遺伝的変形を含むものである組み換え微生物を提供する。
他の様相は、前記微生物を含む、ヒトにおいて胃腸管(gastrointestinal tract)の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物を提供する。
他の様相は、前記微生物及びTNF・アルファ遮断剤を含む、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するためのキットを提供する。
他の様相は、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において、用語「VIP」、「VIPタンパク質」または「VIPポリペプチド」は、本願に記述されているような生物学的活性のうち1以上を有する生物学的活性ポリペプチドを称する。本明細書に言及されたVIPは、天然VIPの機能を模倣する変異体を含む。前記変異体は、天然VIPより増大された半減期を有し、天然VIPに比べ、同等以上の生物活性を有するものを含む。
【0010】
本発明のVIPは、ヒトVIP、組み換えヒトVIP、鼠VIP及び/または組み換えマウスVIPを含むが、それらに限定されるものではない。前記VIPは、配列番号1のアミノ酸配列と、50%以上、60%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上または100%の配列同一性を有するものでもある。前記VIPは、配列番号1,2,3,4,5,6,7,8及び9のアミノ酸配列をそれぞれ有するものでもある。配列番号2のVIPは、ヒト由来天然VIPである。配列番号1,3,4,5,6,7,8及び9のアミノ酸配列を有するVIPは、ヒト由来天然VIP変異体VIP1,VIP2,VIP3,VIP4,VIP5,VIP6,VIP7及びVIP8である。
【0011】
本願で使用された前記VIPポリペプチドは、ヒト組織、または他の供給源のような多様な供給源から単離されたり組み換えられたりするか、あるいは合成方法によって製造されうる。用語「VIPポリペプチド」は、またVIPポリペプチドの変異体を含む。本発明のVIPは、また、他の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合されたVIPを含むキメラ分子を形成する方式によっても変形される。
【0012】
一様相は、VIPをコーディングする遺伝子の発現を増大させる遺伝的変形を含むものである組み換え微生物を提供する。
【0013】
前記微生物は、VIPの発現を増大させる遺伝的変形を含むものでもある。前記遺伝的変形は、VIPをコーディングする遺伝子のコピー数を増加させるものでもある。前記コピー数の増加は、外来遺伝子の微生物への導入によるものでもある。前記導入は、形質転換、形質導入、形質感染または電気穿孔によるものでもある。導入された前記外来遺伝子は、宿主細胞のゲノムに統合されるか、あるいは統合されずに存在するものでもある。
【0014】
前記微生物は、VIPをコーディングする外来遺伝子を含むものでもある。前記遺伝子は、その発現を調節する調節配列と作動可能に連結されたものでもある。前記調節配列は、プローモーター、オペレーター、ターミネーター、または信号ペプチドをコーディングするヌクレオチド配列でもある。前記プローモーターは、構成的プローモーター(constitutive promoter)でもある。前記プローモーターは、乳酸菌において、転写開始効率が従来のプローモーター、例えば、P11プローモーターと同じであるか、あるいはそれよりも高い。前記プローモーターは、また誘導性プローモーターでもある。前記誘導性プローモーターは、例えば、ナイシン誘導性プローモーター(Nisin inducible promoter)でもある。前記プローモーターは、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)由来のPR4のものでもある。前記PR4プローモーターは、配列番号10のヌクレオチド配列を有するものでもある。前記PR4プローモーターは、2018.11.8.付けで国際出願された国際公開WO 2019/132231 A1に開示されているものであり、前記国際出願の内容は、その全体として、本明細書で援用によって含まれる。前記信号ペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、外来タンパク質遺伝子とインフレームで連結される場合、細胞外に分泌させる能力が、従来の信号ペプチド、例えば、USP45信号ペプチドよりもすぐれている。前記信号ペプチドは、ラクトバチルス・パラカセイ由来のSP4のものでもある。前記SP4は、配列番号11のアミノ酸配列を有するものでもある。前記SP4は、2018.11.8.付けで国際出願された国際公開WO 2019/132231 A1に開示されているものであり、前記国際出願の内容は、その全体として、本明細書において、援用によって含まれる。前記微生物は、VIPを細胞外に分泌させることでもある。
【0015】
前記微生物は、バクテリアでもある。前記バクテリアは、グラム陽性バクテリアまたはグラム陰性バクテリアでもある。前記グラム陽性バクテリアは、乳酸菌でもある。前記乳酸菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ビフィドバクテリウム(bifidobacteria)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ワイセラ(Weissella)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属またはエンテロコッカス(Enterococcus)属に属するものでもある。前記乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)またはラクトコッカス・ラクチス(Lactoccocus lactis)でもある。前記乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9(KCTC 13421BP)、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21(KCTC 13422BP)またはラクトバチルス・ブレビスLMT1-46(KCTC 13423BP)でもある。
【0016】
他の様相は、前述の微生物を含む胃腸管(gastrointestinal tract)の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物を提供する。
【0017】
前記疾患は、胃腸管炎症を引き起こすものでもある。前記疾患は、炎症性腸疾患(IBD)及び大腸炎(colitis)からなる群から選択された1以上でもある。前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)またはクローン病(Crohn’s disease)でもある。
【0018】
前記組成物は、薬剤学的または食品的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含むものである。前記薬剤学的または食品的に許容可能な担体は、リン酸緩衝塩水溶液(phosphate buffered saline solution)、デキストロースの5%水溶液、及びエマルジョン(例えば、オイル/水または水/オイルのエマルジョン)のような任意の標準薬剤学的または食品的な担体を意味する。該賦形剤の非制限的な例は、補助剤、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、滑沢剤、甘味剤、香料及び着色剤を含む。望ましい薬学的または食品的な担体は、活性剤の意図された投与方式に依存する。典型的な投与方式は、腸内(例えば、経口)投与を含む。前記組成物は、単一投与剤形(unit dosage form)でもある。前記組成物は、経口投与剤形を有することができる。前記組成物は、食品または医薬組成物でもある。前記組成物は、前記微生物の乾燥物を含んでもよい。前記組成物は、前記微生物の培地を含んでもよい。
【0019】
本明細書において、「薬学的または食品的に許容可能な(pharmaceutically acceptable or acceptable for food)」は、個体に投与されとき、副作用(adverse reactions)を実質的に起こさないものを示す。前記副作用は、毒性、アレルギーまたは免疫反応でもある。
【0020】
他の様相は、前述の組み換え微生物、及び他の胃腸管の損傷疾患を治療する薬物を含む、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するためのキットを提供する。前記組み換え微生物については、前述の通りである。前記組み換え微生物は、前述の組成物の形態でもある。前記キットは、組み換え微生物、及び他の胃腸管の損傷疾患を治療する薬物を、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するように指示する指針書を含むものである。
【0021】
前記他の胃腸管の損傷疾患を治療する薬物は、胃腸管の損傷疾患、例えば、炎症性腸疾患を治療する薬物であるならば、いずれも含まれる。胃腸管の損傷疾患を治療する薬物は、下記薬物を含んでもよい:
(i)ステロイド性抗炎症剤
デキサメタゾン(dexamethasone)、ヘキセストロール(hexestrol)、メチマゾール(methimazole)、ベタメタゾン(betamethasone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオシノニドアセトニド(fluocinolone acetonide)、プレドニゾロン(predonisolone)、メチルプレドニゾロン(methylpredonisolone)、酢酸コルチゾン(cortisone acetate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、フルオロメトロン(fluorometholone)、ジプロピオン酸べクロメタゾン(beclomethasone dipropionate)、エストリオール(estriol)、酢酸パラメタゾン(paramethasone acetate)、酢酸フルドロコルチゾン(fludrocortisone acetate)、プロピオン酸クロベタゾール(clobetasol propionate)、酢酸ジフロラゾン(diflorasone acetate)、プロピオン酸デキサメタゾン(dexamethasone propionate)、 ジフルプレドナート(difluprednate)、ジプロピオン酸ベタメタゾン(betamethasone dipropionate)、ブデソニド(budesonide)、吉草酸ジフルコルトロン(diflucortolone valerate)、アムシノニド(amcinonide)、ハルシノニド(halcinonide)、フランカルボン酸モメタゾン(mometasone furoate)、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone butyrate propionate)、ピバル酸フルメタゾン(flumetasone pivalate)、酪酸クロベタゾン(clobetasone butyrate)、酢酸デキサメタゾン(dexametasone acetate)など。
(ii)5-アミノサリチル酸
スルファサラジン(sulfasalazine)、メサラジン(mesalazine)、オルサラジン(olsalazine)、バルサラジド(balsalazide)など。
(iii)免疫調節剤(immunomodulator)または免疫抑制剤(immunosuppressant)
メトトレキサート(methotrexate)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、MX-68、アチプリモド二塩酸塩(atiprimod dihydrochloride)、BMS-188667、CKD-461、リメキソロン(rimexolone)、シクロスポリン(cyclosporine)、タクロリムス(tacrolimus)、グスペリムス(gusperimus)、アザチオプリン(azathiopurine)、抗リンパ球血清(antilymphocyte serum)、乾燥スルホ化免疫グロブリン(freeze-dried sulfonated normal immunoglobulin)、エリスロポエチン(erythropoietin)、コロニー刺激因子(colony stimulating factor)、インターロイキン(interleukin)、インターフェロン(interferon)など。
(iV)JAK阻害剤
トファシチニブ(tofacitinib)、ルキソリチニブ(ruxolitinib)など。
(V)TNF阻害剤
組み換えTNF-α受容体IgG-Fc融合タンパク質(エタネルセプト(etanercept))、インフリキシマブ(infliximab)、アダリムマブ(adalimumab)、セルトリズマブペゴル(certolizumab pegol)ゴリムマブ(golimumab)、PASSTNF-α、溶解性(soluble) TNF-α受容体(receptor)、TNF-α結合タンパク質(binding protein、抗(anti)TNF-α抗体(antibody)、CDP571など。
(Vi)インテグリン阻害剤
ナタリズマブ(natalizumab)、ベドリズマブ(vedolizumab)、AJM300、TRK-170、E-6007など。
(Vii)インターロイキン-12/23阻害剤
ウステキヌマブ(ustekinumab)、ブリアキヌマブ(briakinumab)(抗インターロイキン-12/23抗体)など。
(Viii)非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)
(a)古典的NSAID
アルコフェナク(alcofenac)、アセクロフェナク(aceclofenac)、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、エトドラク(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、チアプロフェン酸(thiaprofenic acid)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)、テノキシカム(tenoxicam)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ナブメトン(nabumeton)、アセトアミノフェン(acetaminophen)、フェナセチン(phenacetin)、エテンザミド(ethenzamide)、スルピリン(sulpyrine)、アンチピリン(antipyrine)、ミグレニン(migrenin)、アスピリン(aspirin)、メフェナム酸(mefenamic acid)、フルフェナム酸(flufenamic acid)、ジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium)、ケトフェニルブタゾン(ketophenylbutazone)、ロキソプロフェンナトリウム.(loxoprofen sodium)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、インドメタシン(indomethacin)、イブプロフェン(ibuprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ナプロキセン(naproxen)、オキサプロジン(oxaprozin)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フェンブフェン(fenbufen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、フロクタフェニン(floctafenine)、ピロキシカム(piroxicam)、テノキシカム(tenoxicam)、エピリゾール(epirizole)、チアラミド塩酸塩(tiaramide hydrochloride)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ガベキサートメシル酸塩(gabexate mesylate)、カモスタットメシル酸塩(camostat mesylate)、ウリナスタチン(ulinastatin)、コルヒチン(colchicine)、プロベネシド(probenecid)、スルフィンピラゾン(sulfinpyrazone)、ブコローム(bucolome)、ベンズブロマロン(benzbromarone)、アロプリノール(allopurinol)、金チオリンゴ酸ナトリウム(sodium aurothiomalate)、ヒアルロン酸ナトリウム(hyaluronate sodium)、サリチル酸ナトリウム(sodium salicylate)、サリチル酸(salicylic acid)、アトロピン(atropine)、スコポラミン(scopolamine)、レボルファノール(levorphanol)、オキシモルホン(oxymorphone)またはその塩など。
(b)シクロオキシゲナーゼ阻害剤(COX-1選択的阻害剤、COX-2選択的阻害剤など)
サリチル酸誘導体(例:セレコキシブ(celecoxib)、アスピリン)、エトリコキシブ(etoricoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、ロキソプロフェン(loxoprofen)など。
(c)一酸化窒素放出NSAID(nitricoxide-releasing NSAIDs)。
それ以外にも、ケモカイン阻害剤、分化クラスタ(CD)阻害剤、インターロイキン、RIPキナーゼ阻害剤、smad7阻害剤、MadCAM阻害剤などを含んでもよい。
他の様相は、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに有効な量の前記微生物を個体に投与する段階を含む、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりする方法を提供する。
【0022】
前記方法は胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに有効な量のTNF・アルファ遮断剤を個体に投与する段階をさらに含むものでもある。前記TNF・アルファ遮断剤を個体に投与する段階は、前記微生物を個体に投与する段階と同時、あるいはその前やその後に遂行するものでもある。前記TNF・アルファ遮断剤は、前記微生物が投与される経路と同一、あるいは異なる経路にも投与される。例えば、前記TNF・アルファ遮断剤は、経口または非経口で投与されるものでもある。前記非経口は、血管注射、腹腔注射または皮下注射のような注射でもある。例えば、前記TNF・アルファ遮断剤は、腹腔内に投与され、前記微生物は、経口で投与されるものでもある。前記TNF・アルファ遮断剤は、前記微生物が経口で投与された後、腹腔内に投与されるものでもある。前記TNF・アルファ遮断剤は、1回投与当たり5mgないし100mg、5mgないし50mg、5mgないし40mg、10mgないし50mg、または20mgないし50mgの量で投与されるものでもある。
【0023】
前記方法において、前記疾患は、胃腸管炎症を引き起こすものでもある。前記疾患は、炎症性内臓疾患(inflammatory intestinal disease)、自家免疫疾患(autoimmune disease)、放射線(radiation)による胃腸管の損傷、または移植片対宿主疾患(GVHD:graft versus host disease)、炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease:IBD)、及び慢性大腸炎を含む大腸炎からなる群から選択された1以上でもある。前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病でもある。
【0024】
本明細書において、前記「投与(administeringまたはadministration)」は、前記微生物を、生理的システム(個体、インビボ細胞、インビトロ細胞またはエクスビボ細胞、組織及び器官)に、前記微生物、それを含む組成物、または治療的処置(therapeutic treatment)を与える行為を示す。従って、前記方法において、前記微生物は、前述の組成物の形態でもある。人体に投与する受容可能な経路(route)は、口または粘膜(例:腸内粘膜、経口粘膜または口腔粘膜)でもある。前記投与は、追加の治療的作用剤(therapeutic agent)と組み合わせても投与される。前記組み合わせ投与は、同時及び連続のうちいずれの順序も含まれる。
【0025】
本明細書において、用語「治療(treatment)」は、予防的治療(prophylactic treatment)または治療的治療(therapeutic treatment)を示す。特定実施様態において、「治療」は、治療目的または予防目的のために、微生物または組成物を個体に投与することを示す。
【0026】
「治療的(therapeutic)」治療は、兆候(signs)または症状(symptoms)を低減させたり除去させたりするための病理学的兆候または症状を示す個体に投与する治療である。該兆候または該症状は、生化学的、細胞性、組織学的、機能的または物理的、主観的または客観的でもlある。
【0027】
「予防的(prophylactic)」治療は、病理(pathology)発生危険を減らすために、疾病の兆候を示さないか、あるいは疾病の初期兆候のみを示す個体に投与する治療である。本明細書に記載された微生物または組成物は、病理発生の可能性(likelihood)を減らすか、あるいは生じたとするならば、前記病理の深刻性を最小化させるために、予防的治療として提供されうる。
【0028】
本明細書において、「治療的有効な量(therapeutically effective amount)」は、言及された目的を遂行するのに十分な量を示す。該有効量は、実験的にも決定される。該有効量は、例えば、前記微生物がVIPを細胞外に分泌する程度によっても決定される。例えば、60kg体重を有する人に対し、1日0.01ないし300mg、または0.5ないし100mgのVIPを分泌することができる前記微生物の数でもある。例えば、個体に対し、個体当たり1回投与当たり、1x10ないし1x1011cfu、1x10ないし1x1010cfu、1x10ないし1x1011cfu、1x10ないし1x1010cfu、2.5x10ないし7.5x10cfu、5.0x10ないし5.0x10cfu、7.5x10ないし2.5x10cfu、または約1x10cfuで投与されるものでもある。
【0029】
前記方法において、前記個体は、哺乳動物でもある。前記哺乳動物は、ヒト、馬、豚、牛、犬、猫、猿、チンパンジー、羊または山羊でもある。前記個体は、ヒトでもある。前記個体は、ヒトではない哺乳動物でもある。
【発明の効果】
【0030】
一様相による組み換え微生物は、VIPを生産及び分泌することができる。
他の様相による組成物またはキットは、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための用途にも使用される。
他の様相による胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりする方法によれば、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を効率的に予防したり治療したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】pMT447ベクターの構成を図示した図である。
図2】pMT447ベクターで形質転換されたラクトバチルス・プランタルムLMT1-9菌株、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21菌株及びラクトバチルス・ブレビスLMT1-46菌株の培養上澄み液に係わるウェスタンブロット結果を図示した図である。
図3】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで図示した図である。
図4】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで図示した図である。
図5】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで図示した図である。
図6】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAI AUCスコアで図示した図である。
図7】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、形質転換菌株由来VIPの治療効能を組織病理学的に図示した図である。
図8】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエタネルセプト(etanercept)(Enbrel、韓国ファイザー製薬)との併用治療効能をDAIスコアで図示した図である。
図9】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエンブレルとの併用治療効能をDAI AUCスコアで図示した図である。
図10】DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエンブレルとの併用治療効能を組織病理学的結果で図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1:VIP遺伝子を発現する乳酸菌細胞及びそのIBD治療効果
本実施例においては、VIP遺伝子を乳酸菌細胞に導入し、前記遺伝子が発現され、その産物が細胞外に分泌されるところを確認した。また、前記VIP遺伝子で形質転換された乳酸菌細胞が、IBD治療に効果があるか否かということを、個体に経口で投与し、その症状改善を確認した。VIPは、配列番号1のアミノ酸配列を有するヒトVIP変異体を使用した。前記VIP変異体は、配列番号2のアミノ酸配列を有するヒト天然VIPにおいて、4個アミノ酸残基が置換されたものであり、ヒト血流において、増大された半減期を有するものである。
【0034】
1.VIP遺伝子を含むベクター作製
配列番号14のヌクレオチド配列で構成されるVIP遺伝子は、マクロゼン社(韓国)でDNAを合成して使用した。合成されたVIP遺伝子切片と、乳酸菌(LAB:lactic acid bacteria)・大腸菌シャトルベクターpMT54-PR4-SP4(配列番号13)とを、それぞれSalI制限酵素及びXhoI制限酵素の存在下で接触させて切断した。反応液中で切断された遺伝子断片及びベクターを、gel purification kit(GeneAll社)を利用して精製した後、切断された遺伝子断片及びベクターを、アルカリホスファターゼの存在下でインキュベーションして脱リン酸化させ、脱リン酸化された切断されたVIP遺伝子断片、及び切断されたpMT54-PR4-SP4ベクターを得た。
【0035】
そのように準備されたベクターDNA 1μl及びVIP遺伝子DNA3μl、T4 DNAリガーゼ(Takara)0.5μl、緩衝溶液1μl及び蒸溜水5.5μlを、テストチューブ内で混合し、総体積を10μlにした後、16℃で12時間インキュベーションし、VIP遺伝子DNAとベクター断片とを連結し、VIP遺伝子を含むベクターを得た。このベクターを、サンブルックらの方法(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edn, 1989)を使用し、大腸菌Top10コンピテント菌株(TOP10 competent cells)に形質転換させた。
【0036】
形質転換された大腸菌を、クロラムフェニコール10μg/mlが含まれたLB(Luria-Bertani)寒天含有プレートに塗抹してインキュベーションした。その結果、形成されたコロニーを選抜して培養し、その培養物から前記ベクターを分離した。そのベクターをpMT447と命名した。pMT447ベクターは、VIP遺伝子が、PR4プローモーターと、SP4の信号ペプチド配列とに作動可能に連結されている。従って、pMT447ベクターによって形質転換された細胞は、VIP遺伝子を高効率で発現させ、細胞外に分泌する。
【0037】
図1は、pMT447ベクターの構成を図示した図である。図1において、promoterは、配列番号10のPR4プローモーター配列であり、SPは、配列番号11のSP4分泌信号配列をコーディングするヌクレオチド配列(配列番号12)を示し、VIPは、配列番号1のヒトVIP変異体をコーディングする遺伝子(配列番号14)を示す。HA及び6xHisは、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(human influenza hemagglutinin)タグと6個ヒスチジンとをコーディングするヌクレオチド配列を示すものであり、タンパク質の検出、分離及び精製のためのものである。E.coli ori、Rep及びCMはそれぞれ大腸菌複製原点(replication origin)、乳酸菌複製原点及びクロラムフェニコール耐性マーカー遺伝子を示す。
【0038】
2.組み換えベクターを乳酸菌細胞に導入
1.で作製された組み換えベクターpPM447ベクターを、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9(KCTC 13421BP)、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21(KCTC 13422BP)及びラクトバチルス・ブレビスLMT1-46(KCTC 13423BP)にそれぞれ導入し、VIPタンパク質が分泌されるか否かということを確認した。
【0039】
前述の各菌株を、50mLのMRS培地(Difco Co.、米国)含有フラスコ内において、OD600が0.5になるまで培養した後、4℃、7,000rpmで10分間遠心分離し、細胞ペレットを、25mL冷EPS(ice-cold electroporation solution)(1mM KHPO、1mM KHPO、pH7.4、1mM MgCl及び0.5Mスクロース含有)で2回洗浄した。MRSは、De Man,Rogosa及びSharpe寒天培地とも言う。
【0040】
洗浄後、1ml冷EPSに細胞を再懸濁し、電気穿孔法に使用されるコンピテント細胞を製造し、-80℃低温冷凍庫(deep freezer)に保管した。コンピテント細胞40μlと各ベクターDNA(1μg/μl)1μlとをキューベットに入れ、5分間氷に放置した。25μF、8kV/cm、400ohms条件で電気パルスを与えた後、直ちに1mlMRS液体培地に添加し、37℃で1時間培養した。その後、培養された細胞を、10μg/mlクロラムフェニコールが含まれたMRS培地(「MRS-CM」とも言う)に塗抹し、48時間37℃で培養した。
【0041】
そのように得られた、pMT447ベクターが導入された各菌株を、MRS液体培地において、37℃、16時間静置培養した。培養物を、MRS液体培地に、3(v/v)%になるように接種した後、8時間同一温度で静置培養した。培養物1mlを、7,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を取った。上澄み液1mlに、卜リクロロ酢酸100μlを添加し、4℃で1時間静置し、培陽成分を濃縮した。反応物を、4℃、13,000rpmで10分間遠心分離した後、ペレットを1ml冷アセトンで1回洗浄し、常温で10分間乾燥させた後、Tris-HClバッファ(pH8.8)100μlで溶出した。
【0042】
溶出液に、4xローディングバッファ(Thermo)及び10x還元剤(Thermo)を添加した後、SDS-PAGEゲルで電気泳動した。前記ゲルを、Transblot semi-dry cell(bio-rad)を利用し、ニトロセルロース膜に伝達し、ウェスタンブロッティングを行った。具体的には、前述の膜を、1%脱脂牛乳(skim milk)含有TBSTバッファで1時間遮断し、抗HA抗体(Santa cruz)を常温で2時間反応させた後、TBSTで5分ずつ3回洗浄した後、ECLで検出した。pMT447ベクターにおいて、VIP遺伝子は、その3’末端側に、ヘマグルチニン(HA:hemagglutinin)遺伝子と作動可能に連結されており、HAタグされた状態に発現される。
【0043】
図2は、pMT447ベクターで形質転換されたラクトバチルス・プランタルムLMT1-9、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21及びラクトバチルス・ブレビスLMT1-46菌株の培養上澄み液に係わるウェスタンブロット結果を示した図である。図2において、2,3及び4レーンは、pMT447ベクターで形質転換されたラクトバチルス・プランタルムLMT1-9、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21及びラクトバチルス・ブレビスLMT1-46をそれぞれ示し、1レーンは、標準タンパク質ラダーを示す。
図2に図示されているように、前記形質転換菌株は、hVIP変異体を効果的に分泌した。
【0044】
3.VIPを分泌する乳酸菌のDSS誘導されたモデルでIBDに対する効能
2.に記述された前述の形質転換されたラクトバチルス・プランタルムLMT1-9、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21及びラクトバチルス・ブレビスLMT1-46を、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS:dextran sulfate sodium salt)で誘導されたマウス腸炎モデルに経口投与した後、マウス生存率と、疾病活性指数(DAI:disease activity index)点数とを確認し、前記菌株による腸炎症治療効果を評価した。
【0045】
(1)組み換え微生物単独投与
具体的には、前記形質転換された菌株を、10μg/mlクロラムフェニコールが含まれた10mlMRS培地含有フラスコで、24時間37℃で一次静置培養した。翌日、培養された菌株を、300ないし600mlのMRS CM培地に、OD600が0.01になるように接種し、一次培養と同一条件で二次培養した。約16ないし18時間後、培養物のOD600が2ないし3になれば、培養物を7,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液を除去し、細胞を、匹当たり1回1x10cfuで投与するように、1xPBSに浮遊させた。この細胞含有PBS溶液について、個体に、経口投与(匹当たり1回1x10cfu)及び飲水投与を併行し、1日1回、総16日間行った。
【0046】
まず、実験動物としては、8ないし10週齢雄Balb/c mice(20ないし25g、各群10匹)(ORIENTBIO社)が使用された。最初菌株投与日をDay-7日に設定し、DSSは、滅菌水内に2(v/v)%で希釈し、0日から6日に、飲水でもって、PBS群を除いた全ての群に供給した。マウスは、恣意的に飲水を取るが、一般的に、1日に6ml以内を取る。9日にマウスを犠牲にした。
【0047】
DSS投与した後、2日間隔でマウス生存率を確認し、体重、毛羽立ち、動物の動き程度、及び下痢いかんを検査し、DAI点数を算定した。
【0048】
疾患活性指数(DAI:disease activity index)点数付与(scoring)は、Ameho, Gut 1997; 41:487~493とWallace, Gastroenterology 1989; 96: 29~36とを参照した。その結果を図3ないし図6に図示した。
【0049】
図3は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで示した図である。図3において、1-9 VIPは、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9に、pMT447が形質転換された菌株を示す。1-9 vectorは、ラクトバチルス・プランタルムLMT1-9に、対照群ベクター(VIP遺伝子がない親ベクター)が形質転換された菌株を示す。
【0050】
図4は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで示した図である。図4において、1-21 VIPは、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21に、pMT447が形質転換された菌株を示す。1-21 vectorは、ラクトバチルス・パラカセイLMT1-21に、対照群ベクター(VIP遺伝子がない親ベクター)が形質転換された菌株を示す。
【0051】
図5は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46形質転換菌株由来VIPの治療効能をDAIスコアで示した図である。図5において、1-46 VIPは、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46に、pMT447が形質転換された菌株を示す。1-46 vectorは、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46に、対照群ベクター(VIP遺伝子がない親ベクター)が形質転換された菌株を示す。
【0052】
図3ないし図5において、CyAは、シクスロポリン(cyclosporin)Aの略字であり、実験の陽性対照群として使用した。PBSは、菌を処理せず、DSSだけ処理した対照群グループである。正常(normal)は、菌とDSSとのいずれも処理していないグループを示す。
【0053】
図6は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、形質転換菌株由来VIPの治療効能を、DAI AUCスコアで示した図である。それぞれの菌株及び化学物質に係わる説明は、前述の通りであり、DAI AUCは、8日目までDAIスコア(score)の曲線下面積(area under the curve)を示す。
【0054】
図3ないし図6に図示されているように、VIPを発現させるように形質転換されたラクトバチルス菌株は、DSSで誘導した腸炎症モデルにおいて、治療効果があった。
図7は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、形質転換菌株由来VIPの治療効能を、組織病理学的に示した図である。図7において、正常、PBS、LMT1-9 vector、LMT1-9 VIP、LMT1-46 vector、LMT1-46 VIP、LMT1-21 vector及びLMT1-21 VIPは、図1ないし図6で説明した通りである。
【0055】
図7に図示されているように、DSSで誘導した腸炎症マウスモデルにおいて、顕微鏡を介し、大腸の組織病理学的検査を行ったが、VIPを発現するラクトバチルス菌株を投与したマウスは、対照群に比べ、治療効能があるということが確認された。
【0056】
具体的には、図7に図示されているように、DSSで誘導した腸炎症マウスモデルにおいて、顕微鏡を介し、大腸の組織病理学的検査を行ったが、単核細胞の浸潤、粘膜損傷などが、DSS群で最も深刻に示され、LMT1-9 vector投与群、LMT1-21 vector投与群及びLMT1-46 vector投与群は、病症に対する大なる改善効果を示すことができなかった。一方、LMT1-9 VIP投与群、1-21 VIP投与群及びLMT1-46 VIP投与群においては、組織学的損傷、及び炎症性浸潤の病変が低減される傾向を示した。それは、VIPを発現するラクトバチルス菌株が、DSSで誘導された炎症性腸疾患マウスモデルにおいて、炎症緩和及び保護の効能があると見ることができる。
【0057】
(2)組み換え微生物及びTNF・アルファ遮断剤の併用投与効果
図8は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエタネルセプト(etanercept)(Enbrel、韓国ファイザー製薬)との併用治療効能を、DAIスコアで示した図である。図8において、「正常」は、いずれも処理していないグループである。PBSは、DSSだけ処理したグループである。Enbrelは、DSSとエンブレルとを処理したグループである。1-46 VIPは、DSSで誘導したマウスに、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46に、pMT447が形質転換された菌株を給与したグループである。1-46 VIP+enbrelは、DSS誘導したマウスに、ラクトバチルス・ブレビスLMT1-46に、pMT447が形質転換された菌株と、エンブレルとを共に処理したグループである。
【0058】
図8は、以下のような過程によって得られた結果である。形質転換菌株由来VIPタンパク質治療効能を評価するために、形質転換菌株を、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルに経口投与させた後、生存率またはDAI点数を確認した。該形質転換菌株を、10μg/mlクロラムフェニコールが含まれた10mlのMRS培地で、1日一次培養した後、培養した菌株を、300ないし600mlのMRS CM培地に、OD600が0.01になるように接種した。16ないし18時間後、培養液のOD600が2ないし3になれば、総投与マウス個体数と給与回数とに合わせて菌株を回収した。7,000rpmで10分間遠心分離し、培養上澄み液を除去し、回収された菌株は、匹当たり1回1x10cfuで投与するように1xPBSに浮遊させた。菌株投与は、1日1回、総16日間行われた。
【0059】
最初菌株投与日をDay-7日に設定し、治療効能実験が始まり、DSSは、滅菌水中に2(v/v)%で希釈し、0日から6日に、飲水として、PBS群を除いた全群に供給した。9日に、マウスを安楽死させた。DSS処理後、2日間隔で生存率を確認し、体重、毛羽立ち、動物の動き程度、下痢いかんをチェックし、DAI点数を算定した。また、エタネルセプト(TNF blocker、Enbrel)との併用投与効能を評価するためのグループには、エンブレルを10mg/kgで、0日、2日、4日及び6日に腹膜内(IP)投与した。
【0060】
図9は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエンブレルとの併用治療効能を、DAI AUCスコアで示した図である。それぞれの菌株及び化学物質に係わる説明は、前述の通りであり、DAI AUCは、8日目までDAIスコアの曲線下面積を示す。
図8及び図9に図示されているように、VIPを発現する菌株と、エンブレルとを併用投与したとき、菌株またはエンブレルだけ処理したグループよりDAIスコアが低下した。
本実験で使用されたエンブレルは、炎症性腸疾患を治療するための例示的な薬物であり、それ以外の炎症性腸疾患を治療する薬物が、LAB形質転換菌株由来VIPと組み合わせても使用される。
【0061】
(3)組織病理学(histopathology)実験方法
実験動物を、実験9日目に安楽死させた後、2cm間隔の結腸遠位部の2部分を、0.5cmずつ摘出し、10%ホルマリン溶液に固定させた後、パラフィン包埋した。包埋された組織は、ミクロトーム(microtome)で5μm間隔で切り、スライドを作製した後、H&E染色を行った。染色された組織に対し、Erbenら(Int J Clin Exp Pathol 2014; 7(8): 4557-4576)の評価法を参照し、組織深刻度を評価し、各サンプル当たり任意の3個または4個以上の部位について評価した。
【0062】
評価方法について簡略に記述すれば、腸上皮細胞の損傷と、炎症細胞の浸潤程度とについて区分して評価し、各部分の点数を合算し、0点ないし8点で結果を示した。
まず、炎症細胞の浸潤程度は、下記基準によって評価した:
0=正常(normal)
1=硬度-腺窩基底周囲浸潤(mild-infiltrate around crypt basis)
2=中等度-粘膜筋板まで浸潤(moderate-infiltrate reaching to L. muscularis mucosae)
3=顕著-粘膜筋板まで広範囲浸潤、及び前記粘膜の厚化(marked-extensive infiltration reaching the muscularis mucosae and thickening of the mucosa)
4=深刻-前記粘膜下の浸潤(severe-infiltration of the L. submucosa)。
また、上皮細胞の損傷程度は、次の基準によって評価した:
0=正常
1=焦点浸食、さかずき細胞の喪失(focal erosions-loss of goblet cells)
2=浸食-広い領域におけるさかずき細胞の喪失
3=浸食/潰瘍化・腺窩喪失(erosion/ulceration-loss of crypts(focal))
4=延長された潰瘍化・顆粒化組織、広い領域における腺窩喪失(extended ulceration-granulation tissue, loss of crypts in large areas)。
【0063】
図10は、DSSで誘導されたマウス腸炎症モデルにおいて、LAB形質転換菌株由来VIPとエンブレルとの併用治療効能を組織病理学的結果として示した図である。図10において、正常、PBS、Enbrel、LMT1-46 VIP及びLMT1-46 VIP+Enbrelは、図9で説明した通りである。
【0064】
図10に図示されているように、VIPを発現する菌株と、エンブレルとを併用投与したとき、菌株またはエンブレルだけ処理したグループより治療効能が向上された。
【0065】
具体的には、図10に図示されているように、DSSで誘導した腸炎症マウスモデルにおいて、顕微鏡を介し、大腸の組織病理学的検査を行ったが、単核細胞の浸潤、粘膜損傷などが、DSS群において最も深刻に示され、Enbrel単独投与群は、病症に対する大なる改善効果を示すことができなかった。一方、LMT1-46 VIP単独投与群、及びLMT1-46 VIP&Enbrel併用投与群においては、陽性対照群として使用されたCyA投与群と共に、組織学的損傷及び炎症性浸潤の病変が低減される傾向を示した。それは、VIPを発現するラクトバチルス菌株が、DSSで誘導された炎症性腸疾患マウスモデルにおいて、炎症緩和及び炎症保護の効能があると見ることができる。
【0066】
特許出願のための微生物寄託の国際的承認に係わるブダペスト条約
国際的様式
下記国際寄託機関によって
規則7.1に基づいて発行された受託証原本

「To.(株)メディトックス
(株)メディトックス
京畿道水原市霊通区セントラルタウン路 114
16506 大韓民国」
特許出願のための微生物寄託の国際的承認に係わるブダペスト条約
国際的様式
下記国際寄託機関によって
規則7.1に基づいて発行された受託証原本

「To.(株)メディトックス
(株)メディトックス
京畿道水原市霊通区セントラルタウン路 114
16506 大韓民国」
特許出願のための微生物寄託の国際的承認に係わるブダペスト条約
国際的様式
下記国際寄託機関によって
規則7.1に基づいて発行された受託証原本

「To.(株)メディトックス
(株)メディトックス
京畿道水原市霊通区セントラルタウン路 114
16506 大韓民国」
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
2022516113000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物であり、ラクトバチルス属である、組み換え微生物。
【請求項2】
ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビスまたはラクトバチルス・プランタルムである、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
構成的プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物であり、乳酸菌である、組み換え微生物。
【請求項4】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス属またはラクトコッカス属である、請求項3に記載の微生物。
【請求項5】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・プランタルムまたはラクトコッカス・ラクチスである、請求項4に記載の微生物。
【請求項6】
前記プローモーターと前記外来遺伝子との間に作動可能に連結されている信号配列を追加して含む、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の微生物。
【請求項7】
プローモーター、及び前記プローモーターと作動可能に連結された血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコーディングする外来遺伝子を含む組み換え微生物であり、乳酸菌である組み換え微生物を含む、ヒトにおいて、胃腸管の損傷を引き起こす疾患を予防したり治療したりするのに使用するための組成物。
【請求項8】
前記疾患は、炎症性腸疾患(IBD)及び大腸炎からなる群から選択された1以上である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記乳酸菌は、ラクトバチルス属またはラクトコッカス属である、請求項7ないし9のうちいずれか1項に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2022516113000001.app
【国際調査報告】