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特表2022-516127安定化熱伝達組成物、方法、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】安定化熱伝達組成物、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20220216BHJP
   C10M 107/24 20060101ALI20220216BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20220216BHJP
   C10M 127/06 20060101ALI20220216BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20220216BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
C09K5/04 C
C10M107/24
C10M105/38
C10M127/06
C10N40:30
C10N30:00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538097
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019068931
(87)【国際公開番号】W WO2020142425
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/786,802
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】スミス、グレゴリー ローレンス
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA04C
4H104BB08C
4H104BB09C
4H104BB34A
4H104CB02A
4H104LA11
4H104LA20
4H104PA20
(57)【要約】

本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物に関し、冷媒は、約10重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、任意選択であるが好ましくは、酸枯渇部分を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物であって、前記冷媒が、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、前記潤滑剤が、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、前記安定化剤が、アルキル化ナフタレンを含み、前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で前記組成物中に存在する、熱伝達組成物。
【請求項2】
前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項4】
前記安定化剤が、酸枯渇部分(ADM)を更に含む、請求項3に記載の熱伝達組成物。
【請求項5】
前記安定化剤が、前記安定化剤の重量に基づいて、約40重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンと、0.05重量%~約50重量%のADMと、を含む、請求項4に記載の熱伝達組成物。
【請求項6】
前記安定化剤が、前記安定化剤の重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のアルキル化ナフタレンと、1重量%~約20重量%のADMと、を含む、請求項5に記載の熱伝達組成物。
【請求項7】
前記アルキル化ナフタレンが、AN5を含み、前記ADMが、ADM4を含む、請求項6に記載の熱伝達組成物。
【請求項8】
前記アルキル化ナフタレンが、AN5から本質的になり、前記ADMが、ADM4から本質的になる、請求項7に記載の熱伝達組成物。
【請求項9】
前記安定化剤が、BHTを更に含む、請求項8に記載の熱伝達組成物。
【請求項10】
安定化熱伝達組成物であって、(a)POE潤滑剤及びPVE潤滑剤から選択される、潤滑剤と、(b)安定化剤の重量に基づいて、約50重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンを含む、安定化剤と、を含む、安定化熱伝達組成物。
【請求項11】
前記潤滑剤が、ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであるネオペンチルPOE潤滑剤を含む、請求項10に記載の安定化熱伝達組成物。
【請求項12】
前記安定化剤が、前記安定化剤の重量に基づいて、0.05重量%~約50重量%のADMを更に含む、請求項11に記載の安定化熱伝達組成物。
【請求項13】
前記アルキル化ナフタレンが、AN5から本質的になり、前記ADMが、ADM4から本質的になる、請求項12に記載の安定化熱伝達組成物。
【請求項14】
前記安定化剤が、BHTを更に含む、請求項13に記載の安定化熱伝達組成物。
【請求項15】
前記アルキル化ナフタレンが、AN10から本質的になり、前記ADMが、ADM4から本質的になり、BHTを更に含む、請求項12に記載の安定化熱伝達組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調及び冷凍用途を含む、熱交換用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。特定の態様では、本発明は、冷媒R-410Aが使用されているであろうタイプの熱伝達システムにおいて有用な組成物に関する。本発明の組成物は、特に、加熱及び冷却用途のための冷媒R-410Aの代替品として、かつR-410Aとともに使用するために設計されたシステムを含む熱交換システムを追加導入することに対して有用である。
【背景技術】
【0002】
産業用、商用、及び家庭用の使用について、機械冷凍システム、並びにヒートポンプ及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが当該技術分野で周知である。クロロフルオロカーボン(Chlorofluorocarbon、CFC)は、かかるシステムのための冷媒として1930年代に開発された。しかしながら、1980年代以降、成層圏オゾン層に対するCFCの影響が多くの注目を集めるようになった。1987年には、CFC製品の段階的削減のためのタイムテーブルを定めた、地球環境を保護するためのモントリオール議定書に多くの政府が署名した。水素を含有する、より環境的に許容される材料、すなわちヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)がCFCに取って代わった。
【0003】
最も一般的に使用されたヒドロクロロフルオロカーボンの1つが、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)であった。しかしながら、モントリオール議定書のその後の改正は、CFCの段階的削減を加速させ、HCFC-22を含むHCFCの段階的削減をスケジュールした。
【0004】
CFC及びHCFCに代わる不燃性、非毒性の代替物の必要性に応じて、業界では、オゾン破壊係数がゼロであるいくつかのヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)が開発された。オゾン破壊に寄与しないため、空調及び冷却器用途におけるHCFC-22の産業用代替品としてR-410A(ジフルオロメタン(HFC-32)及びペンタフルオロエタン(HFC-125)の50:50w/wブレンド)が採用された。しかしながら、R-410Aは、R-22のドロップイン代替品ではない。したがって、R-410AでのR-22の置き換えは、R-22と比較して、R-410Aの実質的により高い動作圧力及び容積に適用させるための圧縮機の置き換え及び再設計を含む、熱交換システム内の主要な構成要素の再設計を必要とした。
【0005】
R-410Aは、R-22よりも許容されるオゾン破壊係数(Ozone Depleting Potential、ODP)を有する一方、地球温暖化係数が2088と高いため、R-410Aの継続使用には問題が伴う。したがって、より環境的に許容される代替品でのR-410Aの置き換えが当該技術分野で必要とされている。
【0006】
表1に示すように、EUは、2015以降からEU内で市販することができるHFCを制限するためのFガス規則を実装した。2030年までに、2015年に販売されたHFCの量の21%のみが利用可能となる。したがって、長期的な解決策として、GWPを427未満に制限することが所望される。
【0007】
【表1】
2015年のGWPレベルは、成長率が増加していないUNEPの2012年使用調査に基づく。
【0008】
代替の熱伝達流体が、中でも優れた熱伝達特性(特に特定の用途の必要性に十分に適合する熱伝達特性)、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性、及び/又は潤滑剤適合性を含む、達成するのが困難な特性のモザイクを保有することが非常に望ましいことが当該技術分野で理解されている。加えて、R-410Aの任意の代替品は、理想的には、システムの修正又は再設計を回避するために、R-410Aの動作条件に対して良好な一致となるものである。その多くが予測できないものであるこれらの要求の全てを満たす熱伝達流体の開発は、大きな課題である。
【0009】
使用効率に関しては、冷媒の熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加をもたらし得ることに留意することが重要である。したがって、かかる冷媒の使用は、環境に対して二次的な悪影響を有することになる。
【0010】
燃焼性は、多くの熱伝達用途について重要な特性であると考えられている。本明細書で使用される場合、「不燃性」という用語は、ASTM規格のE-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)に従って、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerants及びASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に記載されている条件で不燃性と判定される化合物又は組成物を指し、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書において便宜上、「不燃性試験」と称される。
【0011】
蒸気圧縮式熱伝達システム中を循環する潤滑剤がその意図される潤滑機能を行うために圧縮機に戻されることが、システム効率の維持及び圧縮機の適切かつ確実な稼働について非常に重要である。そうでなければ、潤滑剤が堆積し、熱伝達部品中を含む、システムのコイル及びパイプの中に留まる可能性がある。更に、潤滑剤が蒸発器の内面に堆積すると、蒸発器の熱交換効率が低下し、それによりシステムの効率が低減される。
【0012】
R-410Aは、かかるシステムの使用中に生じる温度でポリオールエステル(polyol ester、POE)と混和性であるため、R-410Aは現在、空調用途においてPOE潤滑油とともに一般的に使用されている。しかしながら、R-410Aは、低温冷凍システム及びヒートポンプシステムの動作中に典型的に生じる温度ではPOEと非混和性である。したがって、この非混和性を軽減する対策が講じられない限り、POE及びR-410Aを低温冷凍又はヒートポンプシステムに使用することはできない。
【0013】
本出願人らは、空調用途、特にルーフトップ空調、可変冷媒流(variable refrigerant flow、VRF)空調、及び冷却器空調用途を含む住宅用空調及び商用空調用途において、R-410Aの代替品として使用可能な組成物を提供できることが望ましいと理解するようになった。本出願人らはまた、本発明の組成物、方法、及びシステムが、例えば、ヒートポンプ及び低温冷凍システムにおいて、これらのシステムの動作中に生じる温度でPOEと非混和性になる欠点を解消するという利点を有することを理解するようになった。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、R-410Aの代替品として使用され得、かつ好ましい実施形態において、低い地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP)及びほぼゼロのODPと併せて、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性及び潤滑剤適合性の所望の特性のモザイクを示す、冷媒組成物を提供する。
【0015】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物1と称される場合がある。
【0016】
特定化合物のリストに基づく百分率に関して本明細書で使用される場合、「相対百分率」という用語は、列挙された化合物の総重量に基づく特定化合物の百分率を意味する。
【0017】
重量百分率に関して本明細書で使用される場合、特定成分の量に関する「約」という用語は、特定成分の量が+/-2重量%の量で変化し得ることを意味する。
【0018】
CF3I冷媒とPOE及び/又はPVEを含む潤滑剤とを含む熱伝達組成物におけるアルキル化ナフタレンを含む安定化剤の使用に関連して、本出願人らは、アルキル化ナフタレンの安定化効果が、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤に基づいて、1重量%~10重量%未満、又は好ましくは1.5重量%~8重量%未満、又は好ましくは1.5重量%~約6重量%、又は好ましくは1.5~5重量%の範囲外の安定化効果と比較して有益かつ予想外に増強される、臨界範囲が存在することを見出した。この臨界範囲内の増強した性能の理由は、アルキル化ナフタレンの安定化性能が、以下に記載される他の溶液の非存在下で、約10%を超える量で使用される場合には、いくつかの用途にとって望ましくない程度まで劣化し得るという発見から得られる。更に、本出願人らは、アルキル化ナフタレンの安定化性能が、1%未満の量で使用される場合にも、いくつかの用途にとって望ましいものに満たないと考える。この臨界範囲の存在は、予想外である。
【0019】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約10重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物2と称される場合がある。
【0020】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約5重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物3と称される場合がある。
【0021】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になり、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物4と称される場合がある。
【0022】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物5と称される場合がある。
【0023】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約10重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物6と称される場合がある。
【0024】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約5重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物7と称される場合がある。
【0025】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になり、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物8と称される場合がある。
【0026】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物9と称される場合がある。
【0027】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約10重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~8重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物10と称される場合がある。
【0028】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約10重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物11と称される場合がある。
【0029】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物12と称される場合がある。
【0030】
本発明は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物を含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になり、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、当該アルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物13と称される場合がある。
【0031】
本発明はまた、熱伝達組成物1~13のいずれかも含み、当該安定化剤は、以下に定義されるようなADMを本質的に含まない。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物13Aと称される場合がある。
【0032】
本発明はまた、熱伝達組成物1~13のいずれかも含み、当該安定化剤は、以下に定義されるようなADMを本質的に含まず、当該安定化剤は、BHTを更に含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物13Bと称される場合がある。
【0033】
本発明はまた、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含み、当該潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、当該安定化剤は、アルキル化ナフタレン及び酸枯渇部分を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物14と称される場合がある。
【0034】
本明細書で使用される場合、「酸枯渇部分」(本明細書において便宜上、「ADM」と称される場合がある)という用語は、約10重量%以上のCF3I(当該百分率は、熱伝達組成物中の全ての冷媒の重量に基づく)を含有する冷媒を含む熱伝達組成物中に存在する場合、そうでなければ熱伝達組成物中に存在するであろう酸部分を実質的に減少させる効果を有する、化合物又はラジカルを意味する。本明細書で使用される場合、熱伝達組成物中の酸部分に関して使用される「実質的に減少する」という用語は、酸部分が、少なくとも約10相対パーセントの(以下に定義されるような)TAN値の減少をもたらすのに十分に減少されることを意味する。
【0035】
アルキル化ナフタレン及びADMを含む、安定化剤の使用に関連して、本出願人らは、ある特定の材料が、アルキル化ナフタレン安定化剤を含むか、又はそれから本質的になる安定化剤の性能を、実質的かつ予想外に増強させることができることを見出した。特に、本出願人らは、ある特定の材料が、任意の本発明の熱伝達組成物を含む、CF3Iを含有する熱伝達組成物中の酸部分の枯渇を助けることができることを見出した。本出願人らは、ADMを有する熱伝達組成物を配合することにより、少なくとも本発明によるアルキル化ナフタレン安定化剤の安定性機能に対する予想外かつ相乗的な増強が提供されることを見出した。この相乗効果の理由は確実性をもって理解されるものではないが、いかなる動作理論によって、又はそれに拘束されることなく、本発明のアルキル化ナフタレン安定化剤は、本発明の冷媒のCF3Iから形成されるフリーラジカルを安定化させることによって大きく機能するが、この安定化効果は酸部分の存在下では少なくともいくらか減少すると考えられている。その結果、本発明のADMの存在は、アルキル化ナフタレン安定化剤が、予想外かつ相乗的に増強された効果を有することを可能にする。更に、本出願人らは、比較的高濃度のアルキル化ナフタレン(すなわち、約10%)で観察された性能の低下が、ADMの熱伝達組成物への(又は安定化潤滑剤への)組み込みによって中和され得ることを見出した。
【0036】
したがって、本発明は、アルキル化ナフタレン及びADMを含む、安定化剤を含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤1と称される場合がある。
【0037】
本発明はまた、安定化剤の重量に基づいて、約40重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレン及び0.05重量%~約50重量%のADMを含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤2と称される場合がある。
【0038】
本発明はまた、安定化剤の重量に基づいて、約50重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレン及び0.1重量%~約50重量%のADMを含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤3と称される場合がある。
【0039】
本発明はまた、安定化剤中のアルキル化ナフタレン及びADMの重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のアルキル化ナフタレン及び5重量%~約30重量%のADMを含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤4と称される場合がある。
【0040】
本発明はまた、安定化剤中のアルキル化ナフタレン及びADMの重量に基づいて、約40重量%~約95%のアルキル化ナフタレン及び5重量%~約20%のADMを含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤5と称される場合がある。
【0041】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤1を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物15と称される場合がある。
【0042】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤2を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物16と称される場合がある。
【0043】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤4を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物17と称される場合がある。
【0044】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤1を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約20重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物18と称される場合がある。
【0045】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤2を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約20重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物19と称される場合がある。
【0046】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤4を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約20重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物20と称される場合がある。
【0047】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤1含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物21と称される場合がある。
【0048】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤2を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物22と称される場合がある。
【0049】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤4を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約5重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物23と称される場合がある。
【0050】
冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤1であって、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物24と称される場合がある。
【0051】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤2を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物25と称される場合がある。
【0052】
本発明はまた、冷媒、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤、並びに安定化剤3を含む、熱伝達組成物も含み、当該冷媒は、約30重量%~約50重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、3~15重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約35重量%~約70重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む。本段落による熱伝達組成物は、本明細書において便宜上、熱伝達組成物26と称される場合がある。
【0053】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤1~5の各々を含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤も含む。
【発明を実施するための形態】
【0054】
定義:
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が+/-5℃の量で変動し得ることを意味する。好ましい実施形態において、約であると指定された温度は、好ましくは特定温度の+/-2℃、より好ましくは+/-1℃、更により好ましくは+/-0.5℃である。
【0055】
「能力」という用語は、冷凍システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/時)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピー(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピーは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷房システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量を送出する圧縮機のある程度の性能を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0056】
「成績係数」(以下、「COP(coefficient of performance)」)という語句は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷蔵工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有効な冷蔵又は冷却能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量を送出する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の動作条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷蔵サイクル分析技術を使用した冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0057】
「吐出温度」という語句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機部品を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0058】
「地球温暖化係数」(以下、「GWP」)という語句は、様々な気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。具体的には、ある気体の1トンの放出が、二酸化炭素の1トンの放出と比較して、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。www.epa.govを参照されたい。
【0059】
「製品寿命気候負荷」(以下、「LCCP(Life Cycle Climate Performance)」)という語句は、空調システム及び冷凍システムが、製品寿命の過程にわたる地球温暖化への影響について評価され得る方法である。LCCPは、冷媒排出の直接的な影響と、システムを動作させるために使用されるエネルギー消費、システムを製造するためのエネルギー、並びにシステムの輸送及び安全な処分の間接的な影響と、を含む。冷媒排出の直接的な影響は、冷媒のGWP値から得られる。間接排出量に関して、測定された冷媒特性を使用して、システム性能及びエネルギー消費が得られる。LCCPは、以下のような式1及び式2を使用して決定される。式1は、直接排出量=冷媒充填量(kg)×(年間漏洩率×製品寿命+製品寿命の終了による喪失)×GWPである。式2は、間接排出量=年間電力消費量×製品寿命×電力生産のkW-hr当たりのCO量である。式1によって求められるような直接排出量と、式2によって求められるような間接排出量とが共に加算されて、LCCPがもたらされる。National Renewable Laboratoryによって生成され、BinMaker(登録商標)Proバージョン4ソフトウェアで入手可能なTMY2及びTMY3データを分析に使用する。気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)の評価報告書4(Assessment Report 4、AR4)(2007年)において報告されたGWP値が算出に使用される。LCCPは、空調システム又は冷凍システムの製品寿命にわたる二酸化炭素の質量(kg-CO2eq)として表される。
【0060】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0061】
「職業暴露限界(Occupational Exposure Limit、OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0062】
本明細書で使用するとき、特定の先行冷媒「に対する代替品」として、本発明の特定の熱伝達組成物又は冷媒に関する「~に対する代替品」という用語は、これまでその先行冷媒とともに一般的に使用されていた熱伝達システムでの本発明の指定された組成物の使用を意味する。例として、住宅用空調及び商用空調(ルーフトップシステム、可変冷媒流(VRF)システム及び冷却器システムを含む)などの、これまでR410A用に設計されてきた及び/又はR410Aとともに一般的に使用されてきた熱伝達システムにおいて、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用するとき、本発明の冷媒は、そのようなシステムにおいてR410Aの代替品になる。
【0063】
「熱力学的グライド」という語句は、一定圧力での蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸冷媒混合物に適用される。
【0064】
「熱力学的グライド」という語句は、一定圧力での蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸冷媒混合物に適用される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「TAN値」という用語は、加速エージングによる熱伝達組成物の長期安定性をシミュレートするための、ASHRAE Standard 97-「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って決定される全酸価を指す。
【0066】
熱伝達組成物
本出願人らは、本明細書に記載されるような熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物が、特に熱伝達組成物をR-410Aの代替品として、特に従来の410A住宅用空調システム、及び従来のR-410A商用空調システム(従来のR-410Aルーフトップシステム、従来のR-410A可変冷媒流(VRF)システム、及び従来のR-410A冷却器システムを含む)において使用する場合、非常に有利な特性、特に使用時の安定性及び不燃性を提供することができることを見出した。
【0067】
本明細書で使用される場合、熱伝達組成物1~26への言及は、熱伝達組成物13A及び13Bを含む熱伝達組成物1~26の各々を指す。
【0068】
本発明の熱伝達組成物に含まれる冷媒の特有の利点は、不燃性試験に従って試験した場合に不燃性であることであり、上述したように、R-410Aの代替品として様々なシステムにおいて使用され得、かつ優れた熱伝達特性、低い環境影響(特に低いGWP及びほぼゼロのODPを含む)、優れた化学安定性、低毒性若しくは無毒性、及び/又は潤滑剤適合性を有し、使用時に不燃性を維持する、冷媒及び熱伝達組成物を提供することが当該技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒及び熱伝達組成物によって達成され得る。
【0069】
好ましくは、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、熱伝達組成物の40重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90%を超える量で冷媒を含む。
【0070】
好ましくは、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、冷媒、潤滑剤、及び安定化剤から本質的になる。
【0071】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは本発明に従って提供される増強された安定性を損なうことなく、組成物に対してある特定の機能性を増強させるか又は提供する目的で、他の成分を含み得る。そのような他の成分又は添加剤には、染料、可溶化剤、相溶化剤、補助安定化剤、抗酸化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗添加剤が含まれ得る。
【0072】
安定化剤:
アルキル化ナフタレン
本出願人らは、驚くべきことに、かつ予想外に、アルキル化ナフタレンが、本発明の熱伝達組成物の安定化剤として非常に有効であることを見出した。本明細書で使用される場合、「アルキル化ナフタレン」という用語は、以下の構造を有する化合物を指し、
【0073】
【化1】
式中、各R~Rは、独立して、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、及び水素から選択される。アルキル鎖の特定の長さ、並びに混合物又は分岐鎖及び直鎖及び水素は、本発明の範囲内で変化することができ、このような変化は、アルキル化ナフタレンの物理的特性、特にアルキル化化合物の粘度などに反映されることが当業者には認識及び理解されようし、このような物質の製造業者は、特定のR基の明記に代えてこのような特性のうちの1つ以上に言及することで物質を定義することが多い。
【0074】
本出願人らは、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表の列1~5にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン1(又はAN1)~アルキル化ナフタレン5(又はAN5)と称される。
【0075】
【表2】
【0076】
ASTM D467に従って測定された40℃での粘度に関連して本明細書で使用される場合、用語「約」は、+/-4cStを意味する。
【0077】
ASTM D467に従って測定された100℃での粘度に関連して本明細書で使用される場合、用語「約」は、+/-0.4cStを意味する。
【0078】
ASTM D97に従って測定された流動点に関連して本明細書で使用される場合、用語「約」は、+/-5℃を意味する。
【0079】
本出願人らはまた、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表の列6~10にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン6(又はAN6)~アルキル化ナフタレン10(又はAN10)と称される。
【0080】
【表3】
【0081】
アルキル化ナフタレン1及びアルキル化ナフタレン6の意義の範囲内のアルキル化ナフタレンの例としては、King Industriesにより商標名NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、KR-015、KR-019、KR-005FG、KR-015FG、及びKR-029FGとして販売されているものが挙げられる。
【0082】
アルキル化ナフタレン2及びアルキル化ナフタレン7の意義の範囲内のアルキル化ナフタレンの例としては、King Industriesにより商標名NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、及びKR-005FGとして販売されているものが挙げられる。
【0083】
アルキル化ナフタレン5及びアルキル化ナフタレン10の意義の範囲内のアルキル化ナフタレンの例としては、King Industriesにより商標名NA-LUBE KR-008として販売されている製品が挙げられる。
【0084】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN1である。
【0085】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN2である。
【0086】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN3である。
【0087】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN4である。
【0088】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN5である。
【0089】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN6である。
【0090】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN7である。
【0091】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN8である。
【0092】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN9である。
【0093】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN10である。
【0094】
酸枯渇部分(Acid Depleting Moiety、ADM)
当業者であれば、実験を行うことなく、本発明に従って有用な様々なADMを決定することができ、そのようなADMは全て本明細書の範囲内である。
【0095】
エポキシド
本出願人らは、エポキシド、特にアルキル化エポキシドが、アルキル化ナフタレン安定化剤と組み合わせて使用される場合、本明細書に考察される増強された安定性を生成するのに有効であることを見出しており、本出願人らは必ずしも理論に束縛されるものではないが、この相乗効果を高める茎部が、本発明の熱伝達組成物中のADMとしての有効な機能に少なくとも部分的に起因すると考えられている。
【0096】
好ましい実施形態において、エポキシドは、酸との開環反応を受けるエポキシドからなる群から選択され、それによって、システムに悪影響を及ぼすことなく酸系を枯渇させる。
【0097】
有用なエポキシドとしては、芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、及びアルケニルエポキシドが挙げられる。
【0098】
好ましいエポキシドとしては、以下の式Iのエポキシドが挙げられ、
【0099】
【化2】
式中、当該R~Rのうちの少なくとも1つは、2~15個の炭素(C2~C15)非環式基、C2~C15脂肪族基、及びC2~C15エーテルから選択される。式1によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM1と称される場合がある。
【0100】
好ましい実施形態において、式IのR1~R4のうちの少なくとも1つは、以下の構造を有するエーテルであり、
【0101】
【化3】
式中、R5及びR6の各々は、独立して、C1~C14直鎖又は分岐鎖、好ましくは非置換のアルキル基である。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM2と称される場合がある。
【0102】
好ましい実施形態において、式IのR~Rのうちの1つは、以下の構造を有するエーテルであり、
【0103】
【化4】
式中、R及びRの各々は、独立して、C1~C14直鎖又は分岐鎖、好ましくは非置換のアルキル基であり、R~Rのうちの残りの3つは、Hである。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM3と称される場合がある。
【0104】
好ましい実施形態において、エポキシドは、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM4と称される場合がある。
【0105】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN1及びADM1を含む。
【0106】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN5及びADM1を含む。
【0107】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN10及びADM1を含む。
【0108】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN1及びADM4を含む。
【0109】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN5及びADM4を含む。
【0110】
本発明は、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、組成物は、AN10及びADM4を含む。
【0111】
本発明は、AN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9及びADM1の各々を含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0112】
本発明は、AN2又はAN3又はAN4又はAN5又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9又はAN10及びADM2の各々を含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0113】
本発明は、AN2又はAN3又はAN4又はAN5又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9又はAN10及びADM3の各々を含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0114】
本発明は、AN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9及びADM4の各々を含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0115】
ADMが、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物中に存在する場合、アルキル化ナフタレンは、好ましくは、0.01%~約10%、又は約1.5%~約4.5%、又は約2.5%~約3.5%の量で存在し、これらの量は、システム中のアルキル化ナフタレン及び冷媒の量に基づく重量パーセントである。
【0116】
ADMが、熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物中に存在する場合、アルキル化ナフタレンは、好ましくは、0.1%~約20%、又は約1.5%~約10%、又は1.5%~約8%の量で存在し、これらの量は、システム中のアルキル化ナフタレン及び冷媒の量に基づく重量パーセントである。
【0117】
カルボジイミド
ADMは、カルボジイミドを含み得る。好ましい実施形態において、カルボジイミドは、以下の構造を有する化合物を含む。
【0118】
【化5】
【0119】
他の安定化剤
アルキル化ナフタレン及びADM以外の安定化剤が、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物に含まれ得ることが企図される。このような他の安定化剤の例を、以下に説明する。
【0120】
フェノール系化合物
好ましい実施形態において、安定化剤は、フェノール系化合物を更に含む。
【0121】
フェノール系化合物は、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノン、並びに好ましくはBHTから選択される1つ以上の化合物であり得る。
【0122】
フェノール化合物、特にBHTは、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0123】
フェノール化合物、特にBHTは、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各場合において、重量百分率は、熱伝達組成物中の潤滑剤の重量に基づいた重量を指す。
【0124】
本発明はまた、組成物中の全ての安定化剤成分の重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のアルキル化ナフタレン(AN1~AN10の各々を含む)と、0.1~約10重量%のBHTと、を含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤6と称される場合がある。
【0125】
本発明はまた、組成物中の全ての安定化剤成分の重量に基づいて、約40%~約95%のアルキル化ナフタレン(AN1~AN10の各々を含む)と、5重量%~約30重量%のADM(ADM1~ADM4の各々を含む)と、0.1~約10重量%のBHTと、を含む、安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤7と称される場合がある。
【0126】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、熱伝達組成物は、安定化剤6を含む。本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含み、熱伝達組成物は、安定化剤7を含む。
【0127】
本発明は、AN1及びBHTを含む、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。本発明は、AN5及びBHTを含む、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0128】
本発明は、AN10及びBHTを含む、本明細書の熱伝達組成物1~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0129】
本発明は、AN5、ADM4、及びBHTを含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0130】
本発明は、AN10、ADM4、及びBHTを含む、本明細書の熱伝達組成物1~13及び14~26の各々を含む熱伝達組成物を含む。
【0131】
ジエン系化合物
ジエン系化合物は、C3~C15ジエン、及び任意の2種以上のC3~C4ジエンの反応によって形成された化合物を含む。好ましくは、ジエン系化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、及びテルペンからなる群から選択される。ジエン系化合物は、好ましくはテルペンであり、これにはテレベン、レチナール、ゲラニオール、テルピネン、デルタ-3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン、ミルセン、ファルネセン、ピネン、ネロール、シトラル、カンフル、メントール、リモネン、ネロリドール、フィトール、カルノシン酸、及びビタミンA1が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、安定化剤は、ファルネセンである。好ましいテルペン安定化剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年12月12日に出願され、米国特許出願公開第2006/0167044(A1)号として公開された、米国特許仮出願第60/638,003号に開示されている。
【0132】
加えて、ジエン系化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0133】
リン系化合物
リン化合物は、亜リン酸化合物又はリン酸化合物であり得る。本発明の目的では、亜リン酸化合物は、ジアリール、ジアルキル、トリアリール、及び/若しくはトリアルキルホスファイト、並びに/又は混合されたアリール/アルキル二若しくは三置換ホスファイト、特にヒンダードホスファイト、トリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジ-n-オクチルホスファイト、イソ-オクチルジフェニルホスファイト、イソーデシルジフェニルホスファイト、トリ-イソ-デシルホスフェート、トリフェニルホスファイト、及びジフェニルホスファイトから選択される1種以上の化合物、特にジフェニルホスファイトであり得る。
【0134】
リン酸化合物は、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、アルキルモノ酸ホスフェート、アリール二酸ホスフェート、アミンホスフェート、好ましくはトリアリールホスフェート及び/又はトリアルキルホスフェート、特にトリ-n-ブチルホスフェートであり得る。
【0135】
リン化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0136】
窒素化合物
安定化剤が窒素化合物であるとき、安定化剤は、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、及びトリイソブチルアミンから選択される1種以上の第二級又は第三級アミンなどのアミン系化合物を含み得る。アミン系化合物は、アミン抗酸化剤、例えば、置換ピペリジン化合物、すなわち、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、又はアルキオキシピペリジニルの誘導体、特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート;ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート;アルキル化パラフェニレンジアミン、例えば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチル-ブチル)-p-フェニレンジアミン又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、並びにヒドロキシルアミン、例えば、獣脂アミン、メチルビス獣脂アミン、及びビス獣脂アミン、又はフェノール-アルファ-ナフチルアミン、若しくはTinuvin(登録商標)765(Ciba)、BLS(登録商標)1944(Mayzo Inc)、及びBLS(登録商標)1770(Mayzo Inc)から選択される1種以上のアミン抗酸化剤であり得る。本発明の目的では、アミン系化合物はまた、ビス(ノニルフェニルアミン)などのアルキルジフェニルアミン、(N-(1-メチルエチル)-2-プロピルアミンなどのジアルキルアミン、又はフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1つ以上であってもよい。好ましくは、アミン系化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1種以上、より好ましくはフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)である。
【0137】
代替的に、又は上記で特定した窒素化合物に加えて、ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロソベンゼン、及びTEMPO[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル]から選択される1種以上の化合物を安定化剤として使用してもよい。
【0138】
窒素化合物は、0を超える量で、0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0139】
イソブチレン
本発明による安定化剤として、イソブチレンを使用することもできる。
【0140】
追加の安定化剤組成物
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、フェノールとから本質的になる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤8と称される場合がある。
【0141】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、ホスフェートとからなる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤9と称される場合がある。
【0142】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、ホスフェート及びフェノールの組み合わせとを含む、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤10と称される場合がある。
【0143】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約25重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、約0.1重量%~約50重量%の量でホスフェート、フェノール、及びこれらの組み合わせから選択される追加の安定化剤とを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤11と称される場合がある。
【0144】
本発明はまた、約70重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約15重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、約0.1重量%~約25重量%の量でリン酸塩、フェノール、及びこれらの組み合わせから選択される追加の安定化剤とを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤12と称される場合がある。
【0145】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、BHTとから本質的になる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤13と称される場合がある。
【0146】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、BHTとからなる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤14と称される場合がある。
【0147】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、BHTと、ホスフェートとから本質的になる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤15と称される場合がある。
【0148】
本発明はまた、AN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4の各々を含むADMと、BHTと、ホスフェートとからなる、安定化剤も提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤16と称される場合がある。
【0149】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約10重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、約0.1重量%~約50重量%の量でBHTとを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤17と称される場合がある。
【0150】
本発明はまた、約70重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約10重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、約0.1重量%~約25重量%の量でBHTとを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤18と称される場合がある。
【0151】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約5重量%~約25重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、1重量%~約55重量%の量でBHT、ホスフェート、及びこれらの組み合わせから選択される第3の安定化剤化合物とを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤19と称される場合がある。
【0152】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量でAN1~AN10の各々を含むアルキル化ナフタレンと、約5重量%~約25重量%の量でADM1~ADM4の各々を含むADMと、約0.1重量%~約5重量%の量でBHTとを含む、安定化剤も提供し、当該重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤20と称される場合がある。
【0153】
安定化剤1~20の各々を含む本発明の安定化剤は、熱伝達組成物1~13及び14~26のいずれかを含む本発明の熱伝達組成物のいずれかにおいて使用され得る。
【0154】
安定化剤1~6の各々を含む本発明の安定化剤はまた、熱伝達組成物13A及び13Bのいずれかにおいても使用され得る。
【0155】
潤滑剤
概して、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤を含み、潤滑剤は、熱伝達組成物の重量に基づいて、好ましくは、約0.1重量%~約5%、又は0.1重量%~約1重量%、又は0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する。
【0156】
POE潤滑剤
本発明のPOE潤滑剤は、好ましい実施形態においてネオペンチルPOE潤滑剤を含む。本明細書で使用される場合、ネオペンチルPOE潤滑剤という用語は、ネオペンチルポリオール(好ましくはペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、又はネオペンチルグリコール、及びより高い粘度が好ましい実施形態では、ジペンタエリスリトール)と、直鎖又は分岐鎖カルボン酸との間の反応に由来するポリオールエステル(POE)を指す。
【0157】
市販のPOEとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコール、並びにCPI Fluid Engineeringによって商品名Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hとして販売されているものなどのペンタエリスリトール誘導体が挙げられる。Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hは、以下で特定される特性を有する好ましいネオペンチルPOE潤滑剤である。
【0158】
【表4】
【0159】
他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが含まれる。
【0160】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであり、ASTM D445に従って100℃で測定された粘度が約5cSt~約10cStであるPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書において潤滑剤1と称される。
【0161】
ASTM D467に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであるネオペンチルPOEから本質的になる潤滑剤は、便宜上、潤滑剤2と称される。
【0162】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤を含む。
【0163】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤から本質的になる潤滑剤を含む。
【0164】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤からなる潤滑剤を含む。
【0165】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物1を含む。
【0166】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物2を含む。
【0167】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物3を含む。
【0168】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物4を含む。
【0169】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物5を含む。
【0170】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物6を含む。
【0171】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物7を含む。
【0172】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物8を含む。
【0173】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物9を含む。
【0174】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物10を含む。
【0175】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物11を含む。
【0176】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物12を含む。
【0177】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物13を含む。
【0178】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物13Aを含む。
【0179】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物13Bを含む。
【0180】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物14を含む。
【0181】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物15を含む。
【0182】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物16を含む。
【0183】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物17を含む。
【0184】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物18を含む。
【0185】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物19を含む。
【0186】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物20を含む。
【0187】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物21を含む。
【0188】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物22を含む。
【0189】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物23を含む。
【0190】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物24を含む。
【0191】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物25を含む。
【0192】
好ましい熱伝達組成物は、潤滑剤が潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である、熱伝達組成物26を含む。
【0193】
PVE潤滑剤
本発明の潤滑剤は、概して、PVE潤滑剤を含むことができる。好ましい実施形態では、PVE潤滑剤は、以下の式IIによるPVEであり、
【0194】
【化6】
式中、R及びRは、各々独立して、C1~C10炭化水素、好ましくはC2~C8炭化水素であり、R及びRは、各々独立して、アルキル、アルキレングリコール、又はポリオキシアルキレングリコール単位であり、n及びmは、好ましくは、当業者の必要性に従って所望の特性を有する潤滑剤を得るように選択され、好ましいn及びmは、ASTM D467に従って測定された40℃での粘度が約30~約70cStである潤滑剤を得るように選択される。直前の説明によるPVE潤滑剤は、便宜上、潤滑剤3と称される。市販のポリビニルエーテルとしては、Idemitsuから商標名FVC32D及びFVC68Dとして販売されている潤滑剤が挙げられる。
【0195】
好ましい実施形態において、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤を含む。
【0196】
好ましい実施形態において、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤から本質的になる潤滑剤を含む。
【0197】
好ましい実施形態において、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤からなる潤滑剤を含む。
【0198】
好ましい実施形態において、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物中のPVEは、式IIによるPVEである。
【0199】
好ましい実施形態において、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、潤滑剤3から本質的になる潤滑剤を含む。
【0200】
安定化潤滑剤
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)安定化剤1~20の各々を含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤1と称される場合がある。
【0201】
本発明はまた、(a)ネオペンチルPOE潤滑剤と、(b)安定化剤1~20の各々を含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤2と称される場合がある。
【0202】
本発明はまた、(a)潤滑剤1又は潤滑剤2と、(b)安定化剤1~20の各々を含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤3と称される場合がある。
【0203】
本発明はまた、(a)潤滑剤3と、(b)安定化剤1~20の各々を含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤4と称される場合がある。
【0204】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤1と、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤5と称される場合がある。
【0205】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤2と、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤6と称される場合がある。
【0206】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤3と、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤7と称される場合がある。
【0207】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤4と、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤8と称される場合がある。
【0208】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤5と、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤9と称される場合がある。
【0209】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1重量%~10重量%未満のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤10と称される場合がある。
【0210】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1重量%~8重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤11と称される場合がある。
【0211】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1.5重量%~8重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤12と称される場合がある。
【0212】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1.5重量%~6重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤13と称される場合がある。
【0213】
本発明は、潤滑剤及び安定化剤が安定化潤滑剤1~13の各々を含む本発明の安定化潤滑剤である、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱安定組成物を含む。
【0214】
方法、使用、及びシステム
本明細書に開示される熱伝達組成物は、空調用途を含む熱伝達用途において使用するために提供され、非常に好ましい空調用途としては、住宅用空調用途、商用空調用途(ルーフトップ用途、VRF用途、及び冷却器など)が挙げられる。
【0215】
本発明はまた、空調方法を含む熱伝達を提供するための方法も含み、非常に好ましい空調方法としては、住宅用空調を提供すること、商用空調を提供すること(ルーフトップ空調を提供する方法、VRF空調を提供する方法、及び冷却器を使用する空調を提供する方法など)が挙げられる。
【0216】
本発明はまた、空調システムを含む熱伝達システムも含み、非常に好ましい空調システムとしては、住宅用空調システム、商用空調システム(ルーフトップ空調システム、VRF空調システム、及び空調冷却器システムなど)が挙げられる。
【0217】
本発明はまた、冷凍、ヒートポンプ、及び(可搬式水冷器及び集中型水冷器を含む)冷却器に関連した、熱伝達組成物の使用、熱伝達組成物を使用する方法、並びに熱伝達組成物を含むシステムも提供する。
【0218】
本発明の熱伝達組成物のいずれかへの任意の言及は、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々いずれかを指す。したがって、本発明の組成物の使用、方法、システム、又は用途の以下の考察について、熱伝達組成物は、熱伝達組成物1~26のいずれかを含み得るか、又はそれから本質的になり得る。
【0219】
圧縮機を含む本発明の熱伝達システム、及びシステム内の圧縮機用潤滑剤に関して、システムは、システム内の潤滑剤充填量が、約5重量%~60重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約30重量%~約50重量%、又は約30重量%~約40重量%であるように、冷媒及び潤滑剤の充填量を含むことができる。本明細書で使用される場合、「潤滑剤充填量」という用語は、システム内に含有される潤滑剤及び冷媒の合計の百分率として、システム内に含有される潤滑剤の総重量を指す。このようなシステムはまた、熱伝達組成物の約5重量%~約10重量%、又は約8重量%の潤滑剤充填量を含み得る。
【0220】
本発明による熱伝達システムは、互いに流体連通する圧縮機、蒸発器、凝縮器、及び膨張装置と、システム中の熱伝達組成物1~26及び封鎖材料とを含み得、当該封鎖材料は、好ましくは、i.銅若しくは銅合金、又はii.活性アルミナ、又はiii.銅、銀、鉛、若しくはこれらの組み合わせを含むゼオライトモレキュラーシーブ、又はiv.アニオン交換樹脂、又はv.水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブ、又はvi.上記のうちの2つ以上の組み合わせを含む。
【0221】
本発明はまた、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成することと、冷媒蒸気の少なくとも一部分を圧縮機で圧縮することと、複数の繰り返しサイクルにおいて冷媒蒸気を凝縮することと、を含むタイプの熱を伝達するための方法も含み、当該方法は、
(a)熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による熱伝達組成物を提供することと、
(b)任意選択であるが好ましくは、当該圧縮機に潤滑剤を提供することと、
(b)当該冷媒の少なくとも一部分及び/又は当該潤滑剤の少なくとも一部分を封鎖材料に暴露することと、を含む。
【0222】
使用、設備、及びシステム
好ましい実施形態において、住宅用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0223】
好ましい実施形態において、加熱モードで使用される住宅用空調システム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約35℃~約50℃の範囲内である。
【0224】
好ましい実施形態において、商用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0225】
好ましい実施形態において、温水システム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約50℃~約90℃の範囲内である。
【0226】
好ましい実施形態において、中温システム及び方法は、約-12℃~約0℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0227】
好ましい実施形態において、低温システム及び方法は、約-40℃~約-12℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0228】
好ましい実施形態において、ルーフトップ空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0229】
好ましい実施形態において、VRFシステム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0230】
本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物1の使用を含む。
【0231】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物2の使用を含む。
【0232】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物3の使用を含む。
【0233】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物4の使用を含む。
【0234】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物5の使用を含む。
【0235】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物6の使用を含む。
【0236】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物7の使用を含む。
【0237】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物8の使用を含む。
【0238】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物9の使用を含む。
【0239】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物10の使用を含む。
【0240】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物11の使用を含む。
【0241】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物12の使用を含む。
【0242】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物13の使用を含む。
【0243】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物13Aの使用を含む。
【0244】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物13Bの使用を含む。
【0245】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物14の使用を含む。
【0246】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物15の使用を含む。
【0247】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物16の使用を含む。
【0248】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物17の使用を含む。
【0249】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物18の使用を含む。
【0250】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物19の使用を含む。
【0251】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物20の使用を含む。
【0252】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物21の使用を含む。
【0253】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物22の使用を含む。
【0254】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物23の使用を含む。
【0255】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物24の使用を含む。
【0256】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物25の使用を含む。
【0257】
したがって、本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物26の使用を含む。
【0258】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物1の使用を含む。
【0259】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物2の使用を含む。
【0260】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物3の使用を含む。
【0261】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物4の使用を含む。
【0262】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物5の使用を含む。
【0263】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物6の使用を含む。
【0264】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物7の使用を含む。
【0265】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物8の使用を含む。
【0266】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物9の使用を含む。
【0267】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物10の使用を含む。
【0268】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物11の使用を含む。
【0269】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物12の使用を含む。
【0270】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物13の使用を含む。
【0271】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物13Aの使用を含む。
【0272】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物13Bの使用を含む。
【0273】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物14の使用を含む。
【0274】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物15の使用を含む。
【0275】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物16の使用を含む。
【0276】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物17の使用を含む。
【0277】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物18の使用を含む。
【0278】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物19の使用を含む。
【0279】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物20の使用を含む。
【0280】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物21の使用を含む。
【0281】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物22の使用を含む。
【0282】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物23の使用を含む。
【0283】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物24の使用を含む。
【0284】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物25の使用を含む。
【0285】
したがって、本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物26の使用を含む。
【0286】
一般的に使用される圧縮機の例としては、本発明の目的では、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、及び遠心式圧縮機が挙げられる。したがって、本発明は、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0287】
一般的に使用される膨張装置の例としては、本発明の目的では、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁が挙げられる。したがって、本発明は、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0288】
本発明の目的では、蒸発器及び凝縮器は、それぞれ、好ましくはフィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、及びチューブインチューブ式(tube-in-tube)熱交換器から選択される熱交換器の形態であり得る。したがって、本発明は、蒸発器及び凝縮器が、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、又はチューブインチューブ式熱交換器を一緒に形成する熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0289】
したがって、本発明のシステムは、好ましくは、本発明による冷媒の少なくとも一部分及び/又は潤滑剤の少なくとも一部分と接触する封鎖材料を含み、当該接触時の当該封鎖材料の温度及び/又は当該冷媒の温度及び/又は当該潤滑剤の温度が、好ましくは少なくとも約10℃の温度であり、封鎖材料は、好ましくは、アニオン交換樹脂、活性化アルミナ、銀を含むゼオライトモレキュラーシーブ、及び水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブの組み合わせを含む。
【0290】
本出願において使用される場合、「少なくとも一部分と接触している」という用語は、広義では、システム内の冷媒及び/又は潤滑剤の同じ部分又は別個の部分と接触している当該封鎖材料の各々及び封鎖材料の任意の組み合わせを含むことを意図し、かつ必ずしも限定されるものではないが、各種類又は特定の封鎖材料が、(i)存在する場合、各他の種類又は特定の材料と物理的に一緒に位置する、(ii)存在する場合、各他の種類又は特定の材料と物理的に別個に位置する、及び(iii)2種以上の材料が物理的に一緒であることと、少なくとも1種の封鎖材料が少なくとも1種の他の封鎖材料と物理的に別個であることと、の組み合わせである、実施形態を含むことを意図する。
【0291】
本発明の熱伝達組成物は、加熱及び冷却用途において使用され得る。
【0292】
本発明の特定の特徴において、熱伝達組成物は、熱伝達組成物を凝縮することと、その後、冷却される物品又は本体の付近で当該組成物を蒸発させることと、を含む、冷却方法において使用され得る。
【0293】
したがって、本発明は、蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を含む、熱伝達システムにおける冷却方法に関し、プロセスは、i)本明細書に記載されるような熱伝達組成物を凝縮することと、
ii)冷却される本体又は物品の付近で組成物を蒸発させることと、を含み、
熱伝達システムの蒸発器温度は、約-40℃~約+10℃の範囲内である。
【0294】
代替的に、又は加えて、熱伝達組成物は、加熱される物品又は本体の付近で熱伝達組成物を凝縮することと、その後、当該組成物を蒸発させることと、を含む、加熱方法において使用され得る。
【0295】
したがって、本発明は、蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を含む、熱伝達システムにおける加熱方法に関し、プロセスは、i)加熱される本体又は物品の付近で、本明細書に記載されるような熱伝達組成物を凝縮することと、
ii)組成物を蒸発させることと、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度は、約-30℃~約5℃の範囲内である。
【0296】
本発明の熱伝達組成物は、輸送及び定置型空調用途の両方を含む空調用途における使用のために提供される。したがって、本明細書に記載される熱伝達組成物のうちのいずれかは、以下のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
-モバイル空調、特に列車及びバス用空調を含む、空調用途、
-モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
-冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
-住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
-住宅用ヒートポンプ、
-住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
-産業用空調システム、
-パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム、
-商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム。
【0297】
本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムにおける使用のために提供される。「冷凍システム」という用語は、冷却を提供するために冷媒を用いる任意のシステム若しくは装置、又はかかるシステム若しくは装置の任意の部品若しくは部分を指す。したがって、本明細書に記載される熱伝達組成物のうちのいずれかは、以下のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
-低温冷凍システム、
-中温冷凍システム、
-商用冷蔵庫、
-商用冷凍庫、
-製氷機、
-自動販売機、
-輸送冷凍システム、
-家庭用冷凍庫、
-家庭用冷蔵庫、
-産業用冷凍庫、
-産業用冷蔵庫、及び
-冷却器。
【0298】
熱伝達組成物1~26を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、住宅用空調システム(冷却については約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱については約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために提供される。代替的に、又は追加的に、熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおける使用のために提供される。
【0299】
熱伝達組成物1~26を含む記載される熱伝達組成物の各々は、特に、空冷式冷却器(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式スクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器における使用のために提供される。
【0300】
熱伝達組成物1~26を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有するか、又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために提供される。
【0301】
熱伝達組成物1~26を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)における使用のために提供される。
【0302】
熱伝達組成物1~26を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、低温冷凍システム(約-40~約-12℃の範囲、特に約-40℃~約-23℃、又は好ましくは約-32℃の蒸発器温度を有する)における使用のために提供される。
【0303】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、例えば、夏季に、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。
【0304】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、スプリット型住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0305】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、ダクトスプリット型住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0306】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、窓用住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0307】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、可搬式住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0308】
直前の段落の住宅用空調システムを含む、本明細書に記載される住宅用空調システムは、好ましくは、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。蒸発器及び凝縮器は、丸管プレートフィン、フィンチューブ、又はマイクロチャネル熱交換器であり得る。圧縮機は、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機であり得る。膨張弁は、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁であり得る。冷媒蒸発温度は、好ましくは0℃~10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは40℃~70℃の範囲内である。
【0309】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用ヒートポンプシステムにおける使用のために提供され、住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(当該空気は、例えば、約18℃~約24℃、特に約21℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。これは、住宅用空調システムと同じシステムであり得るが、ヒートポンプモードでは冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。典型的なシステムの種類は、スプリット型及びミニスプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は通常、丸管プレートフィン、フィン式、又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張弁は通常、温度膨張弁又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20℃~約3℃、又は-30℃~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約35℃~約50℃の範囲内である。
【0310】
熱伝達組成物1~26を含む、本発明の熱伝達組成物は、商用空調システムにおける使用のために提供され、商用空調システムは、冷水(当該水は、例えば約7℃の温度を有する)をオフィス及び病院などの大きな建物に供給するために使用される冷却器であり得る。用途に応じて、冷却器システムは通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルインチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。水冷式システムは通常、冷水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約0℃~約10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約40℃~約70℃の範囲内である。
【0311】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおける使用のために提供され、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(当該水は、例えば、約50℃又は約55℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20~約3℃又は-30~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約50℃~約90℃の範囲内である。
【0312】
熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、中温冷凍システムにおける使用のために提供され、冷媒は、好ましくは約-12~約0℃の範囲内の蒸発温度を有し、このようなシステムにおいて、冷媒は、好ましくは約40~約70℃、又は約20~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0313】
したがって、本発明は、冷蔵庫又はボトルクーラーなどの食べ物又は飲み物を冷却するために使用される中温冷凍システムを提供し、冷媒は、好ましくは約-12℃~約0℃の範囲内の蒸発温度を有し、このようなシステムにおいて、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0314】
直前の段落に記載されるようなシステムを含む本発明の中温システムは、好ましくは、例えばその中に収容された食べ物又は飲み物を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復式、スクロール式若しくはスクリュー式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び熱温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。熱伝達組成物1~26を含む本発明の熱伝達組成物は、低温冷却システムにおける使用のために提供され、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0315】
したがって、本発明は、冷凍庫において冷却を提供するために使用される低温冷凍システムを提供し、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0316】
したがって、本発明はまた、クリーム製造機において冷却を提供するために使用される低温冷凍システムも提供し、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0317】
直前の段落に記載されるシステムを含む本発明の低温システムは、好ましくは、食べ物又は飲み物を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。
【0318】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物の冷却器における使用を提供し、当該アルキル化ナフタレンは、AN5であり、当該熱伝達組成物は、BHTを更に含み、AN5は、潤滑剤の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、潤滑剤の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在する。
【0319】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物の冷却器における使用を提供し、当該熱伝達組成物は、BHTを更に含み、AN5は、熱伝達組成物の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、熱伝達組成物の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在する。
【0320】
本発明の目的では、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による各熱伝達組成物は、約0℃~約10℃の範囲内の蒸発温度及び約40℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する冷却器における使用のために提供される。冷却器は、空調又は冷凍における使用のため、好ましくは商用空調のために提供される。冷却器は、好ましくは容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)である。
【0321】
したがって、本発明は、定置型空調、特に住宅用空調、産業用空調、又は商用空調における、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による各熱伝達組成物の使用を提供する。
【0322】
したがって、本発明は、定置型空調、特に住宅用空調、工業用空調、又は商用空調における、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物の使用を提供し、当該アルキル化ナフタレンは、AN5であり、当該熱伝達組成物は、BHTを更に含み、AN5は、潤滑剤の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、潤滑剤の重量に基づいて、約0.001重量%~約5%の量で存在する。
【0323】
したがって、本発明は、定置型空調、特に住宅用空調、工業用空調、又は商用空調における、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物の使用を提供し、使用を提供し、当該アルキル化ナフタレンは、AN5であり、当該熱伝達組成物は、BHTを更に含み、AN5は、熱伝達組成物の重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、熱伝達組成物の重量に基づいて、約0.001重量%~約5%の量で存在する。
【0324】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による各熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低GWP代替品として提供される。
【0325】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による各熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低GWP追加導入品として提供される。
【0326】
したがって、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物及び冷媒は、追加導入の冷媒/熱伝達組成物として、又は代替の冷媒/熱伝達組成物として使用され得る。
【0327】
したがって、本発明は、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、R-410A冷媒用に設計された及びそれを含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法を含む。
【0328】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調冷媒におけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0329】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0330】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に冷却器システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0331】
したがって、R-410A冷媒を含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部分を、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0332】
置き換え工程は、好ましくは、本発明の冷媒に適用させるためにシステムのいかなる実質的な変更も伴わずに、既存の冷媒(R-410Aであり得るが、これに限定されない)の少なくとも実質的な部分、好ましくはその実質的に全てを除去することと、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物を導入することと、を含む。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを本発明の熱伝達組成物で代替することを含む。
【0333】
代替的に、熱伝達組成物は、R410A冷媒を含有するように設計されているか、又はそれを含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法において使用することができ、システムは、本発明の熱伝達組成物とともに使用するために変更される。
【0334】
代替的に、熱伝達組成物は、R-410A冷媒を含有するように設計されているか、又はそれとの使用に好適である熱伝達システムにおいて代替品として使用することができる。
【0335】
本発明は、R-410Aの低地球温暖化代替品としての熱伝達組成物1~17の各々を含む本発明の熱伝達組成物の使用を包含するか、又は既存の熱伝達システムを追加導入する方法において使用されるか、又は本明細書に記載されるようにR-410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムにおいて使用されることが理解されよう。
【0336】
熱伝達組成物が上記のように既存の熱伝達システムを追加導入する方法で使用するために提供されるとき、この方法は、好ましくは、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部をシステムから除去することを含むことが、当業者であれば理解されよう。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出すことと、それを熱伝達組成物1~17の各々を含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることと、を含む。
【0337】
本発明の熱伝達組成物は、既存の又は新規の熱伝達システムなどの、R-410A冷媒とともに使用されるか、又はそれとの使用に好適であるシステムにおいて代替品として用いられ得る。
【0338】
本発明の組成物は、R-410Aの所望の特性の多くを示すが、R-410Aよりも実質的に低いGWPを有し、同時に、R-410Aと実質的に同様であるか又はそれと実質的に一致し、より好ましくはそれと同等に高いか又はそれよりも高い動作特性、すなわち能力及び/又は効率(COP)を有する。これにより、例えば凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の大きなシステム変更を一切必要とすることなく、既存の熱伝達システムにおいて特許請求される組成物がR-410Aに代わることが可能となる。したがって、組成物は、熱伝達システムにおけるR-410Aの直接的な代替品として使用することができる。
【0339】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の90%超である動作特性を示す。
【0340】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、能力が熱伝達システムにおいてR-410Aの能力の95~105%である動作特性を示す。
【0341】
R-410Aは、共沸様組成物であることが理解されよう。したがって、特許請求の範囲に記載される組成物がR-410Aの動作特性に匹敵するために、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物に含まれる冷媒のうちのいずれかは、望ましくは、低レベルの勾配を示す。したがって、本明細書に記載されるような本発明による熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物に含まれる冷媒は、2℃未満、好ましくは1.5℃未満の蒸発器勾配を提供し得る。
【0342】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の100~102%であり、かつ能力が熱伝達システムにおいてR-410Aの能力の92~102%である動作特性を示す。
【0343】
好ましくは、本発明の熱伝達組成物は、本発明の組成物がR-410A冷媒に代わる熱伝達システムにおいて、好ましくはR-410Aと比較して以下の動作特性を示す。
-組成物の効率(COP)が、R-410Aの効率の100~105%である、かつ/又は
-能力が、R-410Aの能力の92~102%である。
【0344】
熱伝達システムの信頼性を高めるために、本発明の熱伝達組成物は、本発明の組成物がR-410A冷媒に代わるために使用される熱伝達システムにおいて、R-410Aと比較して以下の特性を更に示すことが好ましい。
-吐出温度が、R-410Aの吐出温度よりも10℃を超えて高くない、かつ/又は
-圧縮機圧力比が、R-410Aの圧縮機圧力比の98~102%である。
【0345】
R-410Aに代わるために使用される既存の熱伝達組成物は、好ましくは、モバイル空調システム及び定置型空調システムの両方を含む空調熱伝達システムである。本明細書で使用するとき、モバイル空調システムという用語は、トラック、バス、及び列車の空調システムなどの、移動式の非乗用車用空調システムを意味する。したがって、熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載されるような熱伝達組成物の各々は、以下のうちのいずれか1つにおいてR-410Aに代わるために使用され得る。
-モバイル空調システム、特にトラック、バス、及び列車の空調システムを含む、空調システム、
-モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
-冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
-住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
-住宅用ヒートポンプ、
-住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
-産業用空調システム、並びに
-パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム、
-商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム。
【0346】
本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムにおいてR410Aに代わるために代替的に提供される。したがって、熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載されるような熱伝達組成物の各々は、以下のうちのいずれか1つにおいてR10Aに代わるために使用され得る。
-低温冷凍システム、
-中温冷凍システム、
-商用冷蔵庫、
-商用冷凍庫、
-製氷機、
-自動販売機、
-輸送冷凍システム、
-家庭用冷凍庫、
-家庭用冷蔵庫、
-産業用冷凍庫、
-産業用冷蔵庫、及び
-冷却器。
【0347】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、住宅用空調システム(冷却については約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱については約-20~約3℃又は30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。代替的に、又は追加的に、熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0348】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、空冷式冷却器(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0349】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-20~約3℃又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0350】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0351】
熱伝達組成物1~26の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、低温冷凍システム(約-40~約-12℃の範囲、特に約-40℃~約-23℃、又は好ましくは約-32℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0352】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0353】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0354】
本発明は、流体連通した圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を備えた熱伝達システム、並びに当該システム中の熱伝達組成物を更に提供し、当該熱伝達組成物は、熱伝達組成物1~26の各々を含む本発明による。
【0355】
特に、熱伝達システムは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃若しくは約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)である。
【0356】
特に、熱伝達システムは、空冷式冷却器(約0℃~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器である。
【0357】
特に、熱伝達システムは、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-20℃~約3℃又は約-30℃~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)である。
【0358】
熱伝達システムは、冷凍システム、例えば、低温冷凍システム、中温冷凍システム、商用冷蔵庫、商用冷凍庫、製氷機、自動販売機、輸送冷凍システム、家庭用冷凍庫、家庭用冷蔵庫、産業用冷凍庫、及び冷却器であり得る。
【実施例
【0359】
冷媒A1、A2、及びA3として以下の表2で特定される冷媒組成物は、本明細書に記載されるような本発明の範囲内の冷媒である。冷媒の各々を熱力学的分析に供して、様々な冷凍システムにおいてR-4104Aの動作特性と一致するための能力を判定した。組成物中に使用されている成分の様々な二成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。HFC-32及びR125の各々を含む一連の二成分対にて、CFIの蒸気/液体平衡挙動を測定し、調査した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメータを実験的に得られたデータに回帰させた。実施例では、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Databaseソフトウェア(Refprop 9.1 NIST Standard Database 2013)で入手可能な、二成分対のHFC-32及びHFC-125の蒸気/液体平衡挙動データを使用した。分析を行うために選択したパラメータは、全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機断熱効率及び容積効率であった。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0360】
【表5】
【0361】
冷媒A1は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。冷媒A1は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物からなり、不燃性である。冷媒A2は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。冷媒A2は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物からなり、不燃性である。冷媒A3は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。冷媒A3は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物からなり、不燃性である。
【0362】
実施例1-環境/GWP
R410、他の既知の冷媒、及び本発明の冷媒についてLCCPを決定し、表3に報告した。表3において、GWPが400である冷媒は、本発明の冷媒である。既知の冷媒として、GWPが1、150、250、750、及び2088の冷媒を使用した。GWPが2088である既知の冷媒は、R410Aである。
【0363】
表3は、米国、EU、中国、及びブラジルの4つの領域におけるLCCPの結果を示す。GWPが減少するにつれて、直接排出量は小さくなる。しかしながら、システム効率が低めであるため、より多くのエネルギーを消費し、間接排出量は増加する。したがって、総排出量(kg-CO2eq)は最初、減少し、その後、GWPが減少するにつれて増加する。これらの領域内の様々なエネルギー構造により、最も低い総排出量である最適GWPの値が示される。ACユニットの数はまた、これらの領域間で異なる。すなわち、USA及びEUは、中国及びブラジルよりも多くのACユニットを有する。図1及び表3の最後の列は、4つの全領域及びACユニット全数を考慮した総排出量を示す。GWPが減少するにつれて、総排出量は、GWPが400である本発明の冷媒の最低値に達するまで減少する。GWPが250~750の範囲では、総排出量は非常に類似している。しかしながら、間接排出量が著しく増加するため、GWPが150よりも小さい場合、総排出量は優位に増加する。したがって、本発明は、驚くべきかつ予想外の結果を実証している。
【0364】
【表6】
【0365】
実施例2A-住宅用空調システム(冷却)
住宅用空調システムは、夏季に冷気(26.7℃)を建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような住宅用空調システムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表4に示す。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=46℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=7℃蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0366】
【表7】
【0367】
表4は、R410Aのシステムと比較した住宅用空調システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、92%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0368】
実施例2B.-住宅用空調システム(冷却)
住宅用空調システムは、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例2Aにより冷気を供給するように構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出す。
【0369】
実施例3A-住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(21.1℃)を建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような住宅用空調システムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表5に示す。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=41℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=0.5℃、蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0370】
【表8】
【0371】
表5は、R410Aのシステムと比較した住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。冷媒A1の能力は、より大きな圧縮機で回復することができる。冷媒A2~A3は、R410Aと比較して、90%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0372】
実施例3B.-住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
ヒートポンプシステムは、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例3Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0373】
実施例4A-商用空調システム-冷却器
商用空調システム(冷却器)は、冷却水(7℃)をオフィス及び病院などの大きな建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような商用空調システムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表6に示す。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=46℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=4.5℃蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=2℃。
【0374】
【表9】
【0375】
表6は、R410Aのシステムと比較した商用空調システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、92%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0376】
実施例4B.商用空調システム-冷却器
商用空調は、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例4Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0377】
実施例5A-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(50℃)を建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような住宅用ヒートポンプシステムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表7に示す。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=60℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=0.5℃、蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=2℃。
【0378】
【表10】
【0379】
表7は、R410Aのシステムと比較した住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、93%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A2は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0380】
実施例5B.-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例5Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0381】
実施例6A-中温冷凍システム
中温冷凍システムは、冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷却するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような中温冷凍システムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表8に示す。動作条件:凝縮温度=40.6℃、凝縮器の過冷却=0℃(レシーバを備えるシステム)、蒸発温度=-6.7℃、蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、及び、吸気ラインにおける過熱度=19.5℃。
【0382】
【表11】
【0383】
表8は、R410Aのシステムと比較した中温冷房システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、94%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A2は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0384】
実施例6B.中温冷凍システム
中温冷凍システムは、冷蔵庫及びボトルクーラー内などで食品又は飲料を冷却するように構成され、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例6Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0385】
実施例7A-低温冷凍システム
低温冷凍システムは、食べ物を冷凍するために、アイスクリーム製造機及び冷凍庫などにおいて使用される。冷媒A1、A2、及びA3を、上述したような低温冷凍システムのシミュレーションにおいて使用し、性能結果を以下の表9に示す。動作条件:凝縮温度=40.6℃、凝縮器の過冷却=0℃(レシーバを備えるシステム)、蒸発温度=-28.9℃、蒸発器出口における過熱度=5.5℃、等エントロピ-効率=65%、体積効率:100%、及び、吸気ラインにおける過熱度=44.4℃。
【0386】
【表12】
【0387】
表9は、R410Aのシステムと比較した低温冷凍システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、96%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、99%又は100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0388】
実施例7B.低温冷凍システム
低温冷凍システムは、アイスクリーム製造機及び冷凍庫内などで食品を冷凍するように構成され、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例7Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0389】
実施例8A.商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成されたパッケージ式ルーフトップ商用空調システムについて試験する。実験システムは、パッケージ式ルーフトップ空調/ヒートポンプシステムを含み、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1.凝縮温度=約46℃(対応する室外周囲温度=約67℃)
2.凝縮器過冷却=約5.5℃
3.蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4.蒸発器過熱=約5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0390】
冷媒A1~A3の各々による性能は、許容可能であることを見出す。
【0391】
実施例8A.商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ
パッケージ式商用空調システムは、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例8Aにより、冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出す。
【0392】
実施例9A-商用空調システム-可変冷媒流システム
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成された可変冷媒流を用いる商用空調システムについて試験する。実験システムは、複数(4つ以上)の空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1.凝縮温度=約46℃、対応する室外周囲温度=67℃
2.凝縮器過冷却=約5.5℃
3.蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4.蒸発器過熱=約5.5℃
5.断熱効率=70%
6.積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃。冷媒A1~A3の各々の性能は、許容可能であることを見出す。
【0393】
実施例9B.商用空調システム-可変流冷媒
可変冷媒流を有する商用空調システムは、冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成され、POE潤滑剤がシステムに含まれ、かつ本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6%~約10%の量のAN4)及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)を用いて安定化される、実施例9Aにより構成される。そのように構成したシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後、潤滑剤を試験し、そのような実際の動作中に安定したままであることを見出した。
【0394】
比較例1-冷媒及び潤滑剤及びBHTを含む熱伝達組成物
本発明の熱伝達組成物を、ASHRAE Standard 97-「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って試験して、加速エージングによる熱伝達組成物の長期安定性をシミュレートする。試験冷媒は、41重量%のR-32、3.5重量%のR-125、及び55.5重量%のCF3Iからなり、冷媒中に1.7体積%の空気を有する。試験したPOE潤滑剤は、40℃で約32cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 32 POE(潤滑剤A)であった。潤滑剤は、安定化剤BHTを含むが、アルキル化ナフタレン及びADMを含まなかった。試験後、明確にするために流体を観察し、全酸価(total acid number、TAN)を決定する。TAN値は、熱伝達組成物における使用の条件下で流体中の潤滑剤の安定性を反映すると考えられる。この化合物はCF3Iの破壊の生成物であると考えられるため、冷媒安定性を反映すると考えられるトリフルオロメタン(R-23)の存在についても流体を試験する。
【0395】
50重量%のR-466a及び50重量%の示した潤滑剤(これらの各々は脱気されている)を含有する封止チューブを調製することにより、実験を実行する。各チューブは、鋼、銅、アルミニウム、及び青銅のクーポンを含む。封止チューブを約175℃に維持した炉内に14日間配置することによって安定性を試験する。結果は、以下のとおりであった。
潤滑剤の見た目-黄色から褐色
TAN->2mgKOH/g
R-23->1重量%
【0396】
実施例10-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて2重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することを除き、比較例1の試験を繰り返す。結果(E10と表記)を、比較例1(CE1と表記)からの結果とともに、以下の表10に報告する。
【0397】
【表13】
【0398】
上記データから分かるように、本発明によるアルキルナフタレン安定化剤を含まない冷媒/潤滑剤流体は、理想的な外観よりも小さく、比較的高いTAN及びR-23値を示す。この結果は、BHT安定化剤が含まれることにかかわらず達成される。対照的に、本発明による2%のアルキル化ナフタレンの添加は、TAN及びR-23濃度の両方における劇的なかつ桁違いの改善を含む、全ての試験された安定性結果における劇的なかつ予想外の改善をもたらす。
【0399】
実施例11-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて4重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することを除き、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0400】
実施例12-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて6重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することを除き、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0401】
実施例13-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて8重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することを除き、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0402】
実施例14-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて10重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することを除き、比較例1の試験を繰り返す。結果(E14と表記)を、比較例1(CE1と表記)及び実施例10(E10と表記)からの結果とともに、以下の表11に報告する。
【0403】
【表14】
【0404】
上記のデータから分かるように、10%のアルキル化ナフタレン安定化剤を有する(かつADMなしの)冷媒/潤滑剤流体は、2%のANレベルを有する流体と比較して、試験された各基準について安定化性能における実質的な劣化を予想外に示す。
【0405】
実施例15-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて10重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加することに加えて、1000重量ppm(0.1重量%)のADM(ADM4)も添加することを除き、実施例14の試験を繰り返す。結果(E15と表記)を、比較例1(CE1と表記)、実施例10(E10と表記)、及び実施例14(E14と表記)からの結果とともに、以下の表12に報告する。
【0406】
【表15】
【0407】
上記のデータから分かるように、10%のアルキル化ナフタレン安定化剤及び0.1重量%(1000ppm)のADMを有する冷媒/潤滑剤流体は、最良の性能を予想外に示し、R-23値は実施例10からの優れた結果よりも更に良好である。
【0408】
実施例16-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約74cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 74 POE(潤滑剤B)であることを除き、実施例15の試験を繰り返す。結果は、以下のとおりであった。
潤滑剤の見た目-清澄からわずかに黄色
TAN-<0.1mgKOH/g
R-23-<0.05重量%
【0409】
実施例17-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約68cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 68 PVE(潤滑剤c)であることを除き、実施例15の試験を繰り返す。結果は、以下のとおりであった。
潤滑剤の見た目-極めて清澄
TAN-<0.1mgKOH/g
R-23-0.028重量%
【0410】
実施例18-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約32cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 32 PVE(潤滑剤c)であることを除き、実施例15の試験を繰り返す。結果は、実施例17からの結果と同様であった。
【0411】
実施例19-POE油との混和性
ISO POE-32油(40℃の温度で約32cStの粘度を有する)の混和性を、R-410A冷媒に対して、並びに上記実施例1の表1に示した冷媒A1及びA3の各々に対して、潤滑剤と冷媒との異なる重量比及び異なる温度について試験する。この試験の結果を、以下の表11に報告する。
【0412】
【表16】
【0413】
上記の表から分かるように、R-410Aは、約-22℃未満でPOE油と不混和性であり、したがって蒸発器内のPOE油の蓄積を克服する対策を講じなければ、R-410Aを低温冷凍用途で使用することはできない。更に、R-410Aは、50℃超でPOE油と非混和性であり、これは、高い周囲条件でR-410Aを使用する場合に凝縮器及び送液ラインにおいて問題を引き起こす(例えば、分離したPOE油が閉じ込められて堆積する)ことになる。反対に、本出願人らは、驚くべきことに、かつ予想外に、本発明の冷媒が、-40℃~80℃の温度範囲にわたってPOE油と完全に混和性であり、したがってこのようなシステムで使用する場合、実質的かつ予想外の利点を提供することを見出した。
【0414】
本発明は、以下の番号付けした実施形態によって更に例示される。番号付けした実施形態の主題は、本明細書又は特許請求の範囲の1つ以上の主題と更に組み合わされてもよい。
【0415】
番号付けした実施形態1.約10重量%~約75重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む冷媒と、POE及び/又はPVE潤滑剤を含む潤滑剤と、アルキル化ナフタレンを含む安定化剤と、を含む、熱伝達組成物。
【0416】
番号付けした実施形態2.当該アルキル化ナフタレンが、当該アルキル化ナフタレン及び当該潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で当該熱伝達組成物中に存在する、番号実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0417】
番号付けした実施形態3.当該アルキル化ナフタレンが、1.5%~10%未満の量で組成物中に存在する、番号実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0418】
番号付けした実施形態4.当該アルキル化ナフタレンが、1.5%~8%未満の量で組成物中に存在する、番号実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0419】
番号付けした実施形態5.当該アルキル化ナフタレンが、1.5%~6%未満の量で組成物中に存在する、番号実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0420】
番号付けした実施形態6.当該アルキル化ナフタレンが、1.5%~5%未満の量で組成物中に存在する、番号実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0421】
番号付けした実施形態7.当該アルキル化ナフタレンが、AN1、又はAN2、又はAN3、又はAN4、又はAN5、又はAN6、又はAN7、又はAN8、又はAN9、又はAN10から選択される、番号実施形態1~6のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0422】
番号付けした実施形態8.当該アルキル化ナフタレンが、AN5を含む、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0423】
番号付けした実施形態9.当該アルキル化ナフタレンが、AN5から本質的になる、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0424】
番号付けした実施形態10.当該アルキル化ナフタレンが、AN5からなる、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0425】
番号付けした実施形態11.当該アルキル化ナフタレンが、AN10を含む、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0426】
番号付けした実施形態12.当該アルキル化ナフタレンが、AN10から本質的になる、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0427】
番号付けした実施形態13.当該アルキル化ナフタレンが、AN10からなる、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0428】
番号付けした実施形態14.当該安定化剤が、ADMを更に含む、番号実施形態1~13のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0429】
番号付けした実施形態15.当該ADMが、ADM4を含む、番号実施形態1~14のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0430】
番号付けした実施形態16.当該ADMが、ADM4から本質的になる、番号実施形態1~15のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0431】
番号付けした実施形態17.当該ADMナフタレンが、ADM4からなる、番号実施形態1~15のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0432】
番号付けした実施形態18.当該安定化剤が、安定化剤1、安定化剤2、安定化剤3、安定化剤4、安定化剤5、安定化剤6、安定化剤7、安定化剤8、安定化剤9、安定化剤10、安定化剤11、安定化剤12、安定化剤13、安定化剤14、安定化剤15、安定化剤16、安定化剤17、安定化剤18、安定化剤19、安定化剤20から選択される、番号実施形態1~7のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0433】
番号付けした実施形態19.当該潤滑剤が、POEを含む、番号実施形態1~18のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0434】
番号付けした実施形態20.当該潤滑剤が、POEから本質的になる、番号実施形態1~19のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0435】
番号付けした実施形態21.当該潤滑剤が、POEからなる、番号実施形態1~19のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0436】
番号付けした実施形態22.当該潤滑剤が、潤滑剤1を含む、番号実施形態1~21のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0437】
番号付けした実施形態23.当該潤滑剤が、潤滑剤1から本質的になる、番号実施形態1~21のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0438】
番号付けした実施形態24.当該潤滑剤が、潤滑剤1からなる、番号実施形態1~21のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0439】
番号付けした実施形態25.当該潤滑剤が、PVEを含む、番号実施形態1~19のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0440】
番号付けした実施形態26.当該潤滑剤が、PVEから本質的になる、番号実施形態1~20のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0441】
番号付けした実施形態27.当該潤滑剤が、PVEからなる、番号実施形態1~21のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0442】
番号付けした実施形態28.組成物が、染料、可溶化剤、相溶化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗添加剤からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、番号付けした実施形態1~27のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0443】
番号付けした実施形態29.安定化剤が、フェノール系化合物を更に含む、番号付けした実施形態1~28のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0444】
番号付けした実施形態30.安定化剤が、リン化合物を更に含む、番号付けした実施形態1~30のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0445】
番号付けした実施形態31.アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、KR-0105、KR-019、及びKR-005FGのうちの1つ以上である、番号付けした実施形態1~6及び13~30のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0446】
番号付けした実施形態32.アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、及びKR-005FGのうちの1つ以上である、番号付けした実施形態1~6及び13~30のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0447】
番号付けした実施形態33.アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-008である、番号付けした実施形態1~32のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0448】
番号付けした実施形態34.安定化剤が、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’,6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノンから選択されるフェノール系化合物を含む、番号付けした実施形態1~33のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0449】
番号付けした実施形態35.安定化剤が、BHTを含む、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0450】
番号付けした実施形態36.フェノールが、BHTから本質的になる、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0451】
番号付けした実施形態37.フェノールが、BHTからなる、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0452】
番号付けした実施形態38.当該フェノールが、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に存在し、重量百分率が、熱伝達組成物の重量を指す、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0453】
番号付けした実施形態39.当該フェノールが、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約4重量%、より好ましくは1重量%~約4重量%の量で熱伝達組成物中に存在し、重量百分率が、熱伝達組成物の重量を指す、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒、潤滑剤、及び安定化剤を含む、熱伝達組成物であって、前記冷媒が、約5重量%~100重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含み、前記潤滑剤が、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、前記安定化剤が、アルキル化ナフタレンを含み、前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で前記組成物中に存在する、熱伝達組成物。
【請求項2】
安定化熱伝達組成物であって、(a)POE潤滑剤及びPVE潤滑剤から選択される、潤滑剤と、(b)安定化剤の重量に基づいて、約50%重量~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンを含む、安定化剤と、を含む、安定化熱伝達組成物。
【請求項3】
(i)前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で前記組成物中に存在し、(ii)前記安定化剤が、酸枯渇部分(ADM)を更に含み、(iii)前記安定化剤が、前記安定化剤の重量に基づいて、約40重量%~約99.9%のアルキル化ナフタレンと、0.05重量%~約50重量%のADMと、を含み、前記アルキル化ナフタレンが、AN5から本質的になり、前記ADMが、ADM4から本質的になる、請求項1に記載の熱伝達組成物。

【国際調査報告】