IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲い▼柴動力股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 林徳液圧(中国)有限公司の特許一覧

特表2022-516145可変容量形油圧ポンプセット及びショベル
<>
  • 特表-可変容量形油圧ポンプセット及びショベル 図1
  • 特表-可変容量形油圧ポンプセット及びショベル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】可変容量形油圧ポンプセット及びショベル
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/12 20060101AFI20220216BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20220216BHJP
   E02F 3/42 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
F04B23/12
F04B53/10 K
E02F3/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538435
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(85)【翻訳文提出日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2018123851
(87)【国際公開番号】W WO2020132934
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521272506
【氏名又は名称】▲い▼柴動力股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WEICHAI POWER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】197 A,East Fushou Street High-Tech Development Zone Weifang,Shandong 261061,China
(71)【出願人】
【識別番号】521285333
【氏名又は名称】林徳液圧(中国)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LINDE HYDRAULICS(CHINA)CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】169,Weian Road,High-Tech Development Zone Weifang,Shandong 261061 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】崔凱
(72)【発明者】
【氏名】秦緒▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】楊国璽
(72)【発明者】
【氏名】楊飛
【テーマコード(参考)】
2D003
3H071
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB05
2D003DA02
3H071AA03
3H071BB02
3H071BB12
3H071BB14
3H071BB15
3H071CC33
3H071CC34
3H071DD15
3H071DD17
3H071DD27
(57)【要約】
ポンプボディユニット1及びチャージユニット2を含み、前記ポンプボディユニット1はポンプ本体11、第1のスプールバルブ12及び第1の制御弁13を含み、第1のスプールバルブ12はばね端122及びパイロットキャビティ121を含み、第1の制御弁13には給油口A、給油口B及び排油口Tが設けられ、前記ポンプ本体11は可変容量形ポンプ111及び可変容量形シリンダ112を含み、前記可変容量形ポンプ111は斜板1111を含み、前記可変容量形シリンダ112はロッド付きキャビティ1122及びロッド無しキャビティ1123を含み、前記可変容量形シリンダ112は前記ばね端122及び前記斜板1111と機械的に接続され、前記チャージユニット2は前記パイロットキャビティ121に連通している、可変容量形油圧ポンプセット。上記の設置によって、可変容量形ポンプの出力吐出量を制御する構造を可変容量形ポンプと一体に統合することができ、同時に複数種類の制御ユニットを統合し、異なる制御機能を実現することができ、構造が簡単で、体積が小さいという利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプボディユニット(1)及びチャージユニット(2)を含み、前記ポンプボディユニット(1)はポンプ本体(11)、第1のスプールバルブ(12)及び第1の制御弁(13)を含み、第1のスプールバルブ(12)は、ばね端(122)及びパイロットキャビティ(121)を含み、第1の制御弁(13)には給油口A、給油口B及び排油口Tが設けられ、
前記ポンプ本体(11)は可変容量形ポンプ(111)及び可変容量形シリンダ(112)を含み、前記可変容量形ポンプ(111)は斜板(1111)を含み、前記可変容量形シリンダ(112)はロッド付きキャビティ(1122)及びロッド無しキャビティ(1123)を含み、前記可変容量形シリンダ(112)は前記ばね端(122)及び前記斜板(1111)と機械的に接続され、前記チャージユニット(2)は前記パイロットキャビティ(121)に連通し、
前記可変容量形ポンプ(111)は前記給油口Aに連通し、チャージユニット(2)は前記給油口Bに連通し、前記排油口Tは前記ロッド付きキャビティ(1122)と連通し、前記ロッド無しキャビティ(1123)は前記第1のスプールバルブ(12)を介して前記排油口Tに連通している、
可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項2】
前記第1の制御弁(13)はシャトル弁である、
請求項1に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項3】
電気制御減圧ユニット(4)をさらに含み、前記電気制御減圧ユニット(4)には給油口(42)及び排油口(43)が設けられ、前記給油口(42)は前記チャージユニット(2)に連通し、前記排油口(43)は前記ポンプボディユニット(1)に連通し、前記電気制御減圧ユニット(4)は前記チャージユニット(2)の前記ポンプボディユニット(1)へ提供するパイロット油の圧力を制御するように設けられている、
請求項1に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項4】
前記電気制御減圧ユニット(4)はソレノイドバルブ(41)を含み、前記ソレノイドバルブ(41)はそれぞれ前記チャージユニット(2)と前記第1のスプールバルブ(12)とに連通し、前記ソレノイドバルブ(41)の出口圧力値と前記ソレノイドバルブ(41)を制御する電流値とは、線形比例関係を呈している、
請求項3に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項5】
フェールセーフユニット(5)をさらに含み、前記フェールセーフユニット(5)は前記電気制御減圧ユニット(4)と前記ポンプボディユニット(1)との間の管路に設けられ、
前記チャージユニット(2)は、前記電気制御減圧ユニット(4)が動作する時に、前記電気制御減圧ユニット(4)、前記フェールセーフユニット(5)を介して前記パイロットキャビティ(121)に給油するように設けられ、
前記チャージユニット(2)は、前記電気制御減圧ユニット(4)が動作しない時に、前記フェールセーフユニット(5)によって前記パイロットキャビティ(121)に給油するようにさらに設けられている、
請求項4に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項6】
前記フェールセーフユニット(5)は第2の制御弁(51)を含み、前記チャージユニット(2)は前記ソレノイドバルブ(41)が動作しない時に、前記第2の制御弁(51)を介して前記パイロットキャビティ(121)とノーマリーオンするように設けられ、前記チャージユニット(2)は、前記ソレノイドバルブ(41)が動作する時に、前記ソレノイドバルブ(41)を介して前記第2の制御弁(51)を動作させるように制御し前記パイロットキャビティ(121)に給油するようにさらに設けられている、
請求項5に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項7】
圧力遮断ユニット(6)をさらに含み、前記圧力遮断ユニット(6)はそれぞれ前記第1の制御弁(13)と前記第1のスプールバルブ(12)と接続され、前記圧力遮断ユニット(6)は、前記可変容量形ポンプ(111)の出力圧力が予め設定された圧力に達する時に、前記ロッド付きキャビティ(1122)と前記ロッド無しキャビティ(1123)とを連通させるように設けられている、
請求項6に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項8】
前記圧力遮断ユニット(6)は第3の制御弁(61)を含み、第3の制御弁(61)はパイロット端(611)、油口A、油口B及び油口Tを含み、前記ロッド付きキャビティ(1122)はそれぞれ前記パイロット端(611)と前記油口Aに連通し、前記油口Tは前記第1のスプールバルブ(12)に連通し、
前記ロッド付きキャビティ(1122)は、前記第3の制御弁(61)が動作する時に、前記第3の制御弁(61)及び第1のスプールバルブ(12)を介して前記ロッド無しキャビティ(1123)に連通し可能である、
請求項7に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項9】
前記チャージユニット(2)は、
チャージポンプ排油口(211)が設けられ、前記チャージポンプ排油口(211)はそれぞれ前記ポンプボディユニット(1)、前記フェールセーフユニット(5)及び前記圧力遮断ユニット(6)に接続されるチャージポンプ(21)と、
前記チャージポンプ(21)と並列連通するリリーフバルブ(22)とを含む、
請求項8に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項10】
前記可変容量形油圧ポンプセットは2セットのポンプボディユニット(1)を含み、各セットの前記ポンプボディユニット(1)はいずれも1セットの前記電気制御減圧ユニット(4)、1セットの前記フェールセーフユニット(5)及び1セットの前記圧力遮断ユニット(6)に対応し、
2セットの前記ポンプボディユニット(1)の前記可変容量形ポンプ(111)の駆動軸と前記チャージポンプ(21)の駆動軸は順に直列接続されている、
請求項9に記載の可変容量形油圧ポンプセット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の可変容量形油圧ポンプセットを含む、
ショベル。
【請求項12】
前記ショベルはクローラ式ショベルである、
請求項11に記載のショベル。
【請求項13】
油タンク(3)をさらに含み、前記ロッド無しキャビティ(1123)は前記第1のスプールバルブ(12)を介して前記排油口T及び前記油タンク(3)に連通している、
請求項11に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は油圧ポンプの技術分野に関し、例えば可変容量形油圧ポンプセット及びショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許CN105113570Aにはショベル油圧素子配置が開示されており、メインポンプが提供した作動油は主制御弁を経過した後に負流量フィードバックバルブに入り、負流量フィードバックバルブのオリフィスを介して圧力信号を生成し、この圧力信号はメインポンプの吐出量調整機構を制御し、これによりメインポンプの流量を調整する。
【0003】
特許CN104480991Aにはショベル油圧ポンプ制御回路が開示されており、第1の可変容量形ポンプは第1の可変容量形ポンプ調節機構によって出口圧力と吐出量の対応関係の変化を制御し、第2の可変容量形ポンプは第2の可変容量形ポンプ調節機構によって出口圧力と吐出量の対応関係の変化を制御する。ここで、第1の可変容量形ポンプ調節機構、第2の可変容量形ポンプ調節機構はいずれも4つの制御信号を含み、ここで、第1の可変容量形ポンプ出口圧力、第2の可変容量形ポンプ出口圧力及びパワー制御信号の3つの信号によって可変容量形ポンプのパワーカーブを制御し、4番目の制御信号は可変容量形ポンプの吐出量を制御する。ブームシリンダ変位センサ、アームシリンダ変位センサ、バケットシリンダ変位センサ及び第1の可変容量形ポンプ、第2の可変容量形ポンプの出口圧力によってブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダが所在する位置を判断し、これに基づいて第1の可変容量形ポンプ及び第2の可変容量形ポンプを制御する。
【0004】
以上の技術案においては、いずれも外部制御システムのフィードバック信号によって可変容量形ポンプの吐出量を制御するため、制御システムの構造が複雑であり、システムコストが高く、かつ後続のメンテナンスが複雑であり、システムの体積が大きく、占有空間が大きい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は可変容量形油圧ポンプセット及びショベルを提供し、可変容量形ポンプの出力吐出量を制御する構造を可変容量形ポンプと一体に統合することができ、同時に複数の種類の制御ユニットを統合し、異なる制御機能を実現することができ、構造が簡単で、体積が小さいという利点を有する。
【0006】
一実施例は、ポンプボディユニット及びチャージユニットを含み、前記ポンプボディユニットはポンプ本体、第1のスプールバルブ及び第1の制御弁を含み、第1のスプールバルブはばね端及びパイロットキャビティを含み、第1の制御弁には給油口A、給油口B及び排油口Tが設けられ、前記ポンプ本体は可変容量形ポンプ及び可変容量形シリンダを含み、前記可変容量形ポンプは斜板を含み、可変容量形シリンダはロッド付きキャビティ及びロッド無しキャビティを含み、前記可変容量形シリンダは前記ばね端及び前記斜板と機械的に接続され、前記チャージユニットは前記パイロットキャビティに連通され、ここで、前記可変容量形ポンプは前記給油口Aに連通され、チャージユニットは前記給油口Bに連通され、前記排油口Tは前記ロッド付きキャビティと連通され、前記ロッド無しキャビティは前記第1のスプールバルブによって前記排油口Tと連通される、可変容量形油圧ポンプセットを提供している。
【0007】
一実施例において、前記可変容量形油圧ポンプセットを含むショベルをさらに提供している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施例の可変容量形油圧ポンプセットの動作原理の構造模式図である。
図2】一実施例の可変容量形油圧ポンプセットの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2に示すように、本実施例では可変容量形油圧ポンプセットを提供し、当該可変容量形油圧ポンプセットはポンプボディユニット1、チャージユニット2、電気制御減圧ユニット4、フェールセーフユニット5及び圧力遮断ユニット6を含む。
【0010】
ポンプボディユニット1はポンプ本体11、第1のスプールバルブ12及び第1の制御弁13を含み、ここでポンプ本体11は可変容量形ポンプ111及び可変容量形シリンダ112を含み、本実施例において、可変容量形ポンプ111は単方向可変容量形ポンプであり、可変容量形ポンプ111の給油口は油タンク3に連通し、可変容量形ポンプ111の排油口は第1の制御弁13の給油口Aに接続され、チャージユニット2は第1の制御弁13の給油口Bに連通し、第1の制御弁13の排油口Tは1つの管路を介して可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122に連通し、可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123は第1のスプールバルブ12を介して前記排油口T及び油タンク3に連通している。
【0011】
上述のチャージユニット2の第1の制御弁13に供給した作動油を第1の制御弁13の制御パイロット油とし、可変容量形ポンプ111は同時に第1の制御弁13にも油を供給し、第1の制御弁13は選択弁として使用され、チャージユニット2が提供した作動油及び可変容量形ポンプ111が提供した作動油のうちの圧力が高いものを選択して第1の制御弁13の制御油源とする。
【0012】
上述の第1の制御弁13はシャトル弁であり、2ポート2位置ソレノイドバルブであってもよい。
【0013】
可変容量形シリンダ112は、第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ122と、可変容量形ポンプ111の斜板111とに機械的に接続されている。一実施例において、可変容量形シリンダ112のピストンロッド1121は可変容量形ポンプ111の斜板111に機械的に接続され、可変容量形ポンプ111の斜板111はフィードバックロッド14に接続され、フィードバックロッド14は第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ122に接続されている。可変容量形シリンダ112の動作はフィードバックロッド14によってパイロットキャビティ122に作用し、第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121はチャージユニット2に連通し、チャージユニット2は第1のスプールバルブ12にパイロット油を提供し、チャージユニット2が提供したパイロット油は第1のスプールバルブ12の弁体を動作させるように駆動している。
【0014】
可変容量形ポンプ111の排油口は図1におけるP1ポートを介して外部油圧制御システムに連通し、ショベルの複数種類の動作を制御する。
【0015】
上述のポンプボディユニット1が動作する時に、可変容量形ポンプ111の出力吐出量が安定値であると、第1のスプールバルブ12の弁体はプリセット位置にあり、つまり第1のスプールバルブ12の弁体の両側が受けたパイロット油からの圧力とばねからの圧力は同じであり、この時に可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123の圧力はバランスを保持する。
【0016】
第1のスプールバルブ12が初期状態にある時、第1のスプールバルブ12のばねは圧縮され、第1のスプールバルブ12の弁体は最左位置状態にある。この時、フィードバックロッド14の左への移動は、終始ばねの圧縮量を変更するため、ばねが引張状態にならない。
【0017】
可変容量形ポンプ111の吐出量を調整する必要がある場合、例えば可変容量形ポンプ111の排出量を増大させる必要がある場合、チャージユニット2が第1のスプールバルブ12の右端のパイロットキャビティ121にパイロット油を提供するように制御し、パイロットキャビティ121内の圧力が増大し、この時、第1のスプールバルブ12の弁体は左へ移動する。可変容量形ポンプ111の排油口から出力された作動油の圧力がチャージユニット2から提供した作動油の圧力よりも大きい時に、第1の制御弁13の弁体が上に移動し、可変容量形ポンプ111が提供した作動油が第1の制御弁13を経過する経路は給油口Aから排油口Tまでである。
【0018】
第1の制御弁13の排油口Tは管路を介して可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123に分流され、つまり第1の制御弁13の排油口Tは第1の分岐回路を介して直接的に可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122に連通し、第1の制御弁13の排油口Tは第2の分岐回路の第1のスプールバルブ12の内部通路を介して可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123に連通する。
【0019】
第1のスプールバルブ12がサーボ弁であるため、第1のスプールバルブ12の弁体の動作は弁ポートの開度に影響し、第1のスプールバルブ12の弁体が左に移動すると、第1のスプールバルブ12の作動油に沿ってロッド無しキャビティ1123に入る方向の油口の開度が小さくなり、ロッド無しキャビティ1123の作動油に沿って第1のスプールバルブ12から油タンク3の方向に流れる油口の開度が大きくなり、ロッド無しキャビティ1123内の圧力が低くなる。この時、可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122の作動油のピストンに対する作用力はロッド無しキャビティ1123の作動油のピストンに対する作用力よりも大きく、ピストンAが右に運動するように押動し、同時に、ピストンロッド1121によって斜板111を押動することにより、斜板111の振れ角を大きくさせ、可変容量形ポンプ111の吐出量が増大し、斜板111はフィードバックロッド14を連動し、フィードバックロッド14はパイロットキャビティ122に作用し、第1のスプールバルブ12の弁コアを右に移動させる。可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123内の圧力が絶えず調整されている間、ロッド無しキャビティ1123とロッド付きキャビティ1122は平衡状態に達し、第1のスプールバルブ12の弁体は再びプリセット位置に安定し、この時可変容量形ポンプ111の吐出量出力が安定する。
【0020】
上述の第1の制御弁13の制御油源はチャージユニット2が提供したパイロット油源及び可変容量形ポンプ111が提供した作動油のうちの圧力が高いものを制御油源としている。一般的には、可変容量形ポンプ111のP1口には外部担持が接続され、そこで可変容量形ポンプ111が動作する時に、可変容量形ポンプ111と第1の制御弁13との間の管路に生成した圧力はチャージユニット2が提供したパイロット油の圧力よりも大きく、可変容量形ポンプ111が提供した作動油を第1の制御弁13の制御油とする。
【0021】
しかしながら、可変容量形ポンプ111が動作する場合、可変容量形ポンプ111と第1の制御弁13との間の管路内に第1の制御弁13の弁体が動作するように押動する油圧を生成することができず、これにより給油口Aが給油される時に(例えば、装置が終始スリップ状態にある時に、可変容量形油圧ポンプセット内の圧力は担持によって決定されるため、この時、可変容量形ポンプ111と第1の制御弁13との間に圧力を確立できない場合)、可変容量形ポンプ111の出力吐出量を調整しようとする際に、可変容量形ポンプ111と第1の制御弁13との間の管路は圧力を確立することができず、可変容量形ポンプ111から出力された作動油は第1の制御弁13を介して可変容量形シリンダ112に流れることができず、可変容量形シリンダ112内のロッド無しキャビティ1123とロッド付きキャビティ1122内の作動油はほとんど変化せず、可変容量形ポンプ111は可変吐出量を実現することができない。この時、チャージユニット2は第1の制御弁13の制御油源とし、チャージユニット2内の作動油は第1の制御弁13の給油口B及び排油口Tを通過した後、第1の分岐回路と第2の分岐回路に分けられ、第1の分岐回路によって可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123に給油し、第2の分岐回路はロッド付きキャビティ1122に給油し、可変容量形シリンダ112が給油した後、ピストンロッド1121が動作し始め、最終的には可変容量形シリンダ112のピストンロッド1121を再び平衡状態に達成させる。可変容量形シリンダ112のピストンのバランス調整過程において、可変容量形ポンプ111の斜板111はピストンロッド1121に伴って動作し、斜板111によってフィードバックロッド14が動作するように連行し、第1のスプールバルブ12の弁体が安定状態になった場合、可変容量形ポンプ111の吐出量も再び安定を保持する。
【0022】
電気制御減圧ユニット4の給油口42はチャージユニット2に連通し、電気制御減圧ユニット4の排油口43はポンプボディユニット1に連通し、電気制御減圧ユニット4はチャージユニット2のポンプボディユニット1へ提供するパイロット油源の圧力を制御することができる。
【0023】
一実施例において、電気制御減圧ユニット4はソレノイドバルブ41を含み、ソレノイドバルブ41によってポンプボディユニット1へ出力された作動油の圧力を制御し、本実施例におけるソレノイドバルブ41は電気制御比例減圧弁である。ソレノイドバルブ41の出力端は第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に接続され、制御システムが電流信号を発信する時に、ソレノイドバルブ41が動作し始め、ソレノイドバルブ41の入口圧力はチャージユニット2から由来する。ソレノイドバルブ41の一側に制御端が設けられ、ひいては入力された電流信号によって制御端にソレノイドバルブ41内部の弁体が運動するように押動させることができ、これによりソレノイドバルブ41内の油路の開口度を調整し、ひいてはソレノイドバルブ41の出口の作動油の圧力を調整する。一実施例において、ソレノイドバルブ41の出口圧力は入力された電流信号と正比例関係になり、つまりソレノイドバルブ41の出口の作動油の圧力は電流が増大するにつれて増大し、線形比例関係を呈する。
【0024】
また、本実施例におけるフェールセーフユニット5は電気制御減圧ユニット4とポンプボディユニット1との間の管路に設けられ、フェールセーフユニット5はパイロット制御弁であり、電気制御減圧ユニット4によってフェールセーフユニット5の動作状態を制御する。電気制御減圧ユニット4が動作する時に、チャージユニット2は電気制御減圧ユニット4、フェールセーフユニット5を介して第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に給油し、電気制御減圧ユニット4が動作しない時に、チャージユニット2はフェールセーフユニット5によって第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に給油する。
【0025】
フェールセーフユニット5は、第2の制御弁51を含む。一実施例において、ソレノイドバルブ41の出力端は第2の制御弁51の油口Aに連通し、同時に第2の制御弁51のパイロットキャビティに連通し、チャージユニット2は第2の制御弁51の油口Bに連通する。電気制御減圧ユニット4が動作しない時に、チャージユニット2はフェールセーフユニット5によって第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に給油し、この時、第2の制御弁51のパイロットキャビティにはパイロット油がなく、第2の制御弁51は右位置動作状態にあり、第2の制御弁51の油口Bは第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121にノーマリーオンする。油液は油口Bから第2の制御弁51に入った後、2つの経路に分けられ、1つの経路は第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に連通し、もう1つの経路は油タンクに連通し、かつ油タンクに接続されたこの油路にオリフィスが設けられている。電気制御減圧ユニット4が動作する時に、電気制御減圧ユニット4の出口を経た作動油の一部はパイロット油として第2の制御弁51の一端に作用し、これにより第2の制御弁51が左位置動作状態になり、この時油口Bが閉じられ、チャージユニット2の油は電気制御減圧ユニット4のみによって第2の制御弁51に連通し、さらに第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121に連通する。上述の構造によって第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121がチャージユニット2に連通し、かつ第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ121の制御圧力が電気制御減圧ユニット4及びフェールセーフユニット5の異なる動作位置によって調整される。本実施例における第2の制御弁51は4ポート2位置サーボスプールバルブであり、第2の制御弁51は双方向に通油するものである。
【0026】
可変容量形ポンプ111が大吐出量で、システムの圧力が大きすぎる場合、この時可変容量形ポンプ111の吐出量を低減させる方式によって可変容量形油圧ポンプセットの出力パワーを低下させ、パワーが大きすぎることによるエンジンの故障及びエネルギーの損失を回避することができるため、圧力遮断ユニット6が設けられている。圧力遮断ユニット6は第1の制御弁13と第1のスプールバルブ12との間の管路に接続され、可変容量形ポンプ111の出力圧力が予め設定された圧力閾値に達すると、圧力遮断ユニット6が動作し、可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123とを連通させる。
【0027】
圧力遮断ユニット6は第3の制御弁61を含み、第3の制御弁61は3ポート2位置サーボスプールバルブであり、第1の制御弁13の排油口Tは同時に第3の制御弁61のパイロット端611と第3の制御弁61の油口Aに連通することができ、第3の制御弁61の油口Tは第1のスプールバルブ12に連通する。可変容量形ポンプ111が最大吐出量になく(つまり第1のスプールバルブ12が最左位置状態でない場合)、第3の制御弁61が動作しない場合、可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123は第1のスプールバルブ12及び第3の制御弁6を介して油タンク3にノーマリーオンしてする。このような動作状態では、可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123は第2の制御弁12の内部通路、第3の制御弁61の油口T及び油口Bを介して油タンク3に連通する。第3の制御弁61が動作する時に、可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122は第3の制御弁61及び第1のスプールバルブ12を介して可変容量形ポンプ111のロッド無しキャビティ1123に連通することができ、この時、第3の制御弁61の弁体が左位置動作状態に完全に位置していなければ、ロッド無しキャビティ1123は依然として油タンク3に連通したままである。
【0028】
初期位置にある場合、第3の制御弁61は右位置動作状態にあり、この時可変容量形シリンダ112のロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123とは連通しないが、この時、可変容量形ポンプ111が安定した排出量状態にあると、可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123は第1のスプールバルブ12、第3の制御弁61を介して油タンクに連通する。この可変容量形ポンプ111がショベルに適用されると、可変容量形ポンプ111の吐出量が非常に大きく、ショベルの動作が遮断されると、本実施例における可変容量形油圧ポンプセットのP1ポートは外部担持システムに接続され、外部担持システムは本実施例における可変容量形油圧ポンプセットの管路内の圧力を制御し、この圧力は外部担持システムによって決定される。可変容量形油圧ポンプセットにおける圧力が増大し、圧力が第3の制御弁61の予め設定された圧力閾値まで増大すると、圧力遮断ユニット6が作用し、つまり第3の制御弁61の弁体が動作する。第3の制御弁61の弁体が動作すると、ロッド無しキャビティ1123とロッド付きキャビティ1122とを連通させ、可変容量形シリンダ112の調整によって、可変容量形ポンプ111の吐出量を制御する。可変容量形ポンプ111の吐出量を制御することによって、可変容量形ポンプ111の出力パワーを制御する目的を達成する。一実施例において、第1の制御弁13の排油口Tを経た作動油は第3の制御弁61のパイロット油として、第3の制御弁61のパイロット端611に作用し、第3の制御弁61の弁体が右に運動するように押動する。この時、ロッド無しキャビティ1123とロッド付きキャビティ1122とは連通している。
【0029】
第3の制御弁61の弁体は作動油のロッド無しキャビティ1123へ流れる方向の開度が大きくなり、ロッド無しキャビティ1123から油タンク3に還流する開度が小さくなる。つまりロッド付きキャビティ1122を経た高圧油は第3の制御弁の油口A、油口T、及び第1のスプールバルブ12を経て可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123に流れ、ロッド付きキャビティ1122とロッド無しキャビティ1123が高圧油であるため、同時に油タンクに還流する作動油によるロッド無しキャビティ1123の圧力低下が少ない。したがって、ロッド無しキャビティ1123の作動油がピストンに作用する圧力は次第にロッド付きキャビティ1122の作動油がピストンに対する圧力よりも大きくなり、ピストンを左に移動させるように押動し、この時、斜板111の振れ角が小さくなり、可変容量形ポンプ111の出力吐出量が小吐出量になり、2つのキャビティがバランス状態になるまで調整し、可変容量形ポンプ111の出力吐出量が再び安定する。
【0030】
上述の第1のスプールバルブ12及び第3の制御弁61は可変容量形ポンプ111の可変容量形制御弁として、パイロット油の圧力に基づいて可変容量形ポンプ111の可変容量方向及び可変容量程度を制御し、第1のスプールバルブ12及び第3の制御弁61の開口の大きさと可変容量形ポンプ111の可変容量程度は比例線形関係を呈している。
【0031】
チャージユニット2はチャージポンプ21及びリリーフバルブ22を含み、チャージポンプ排油口211はポンプボディユニット1、フェールセーフユニット5及び圧力遮断ユニット6に接続され、チャージポンプ21は前記複数のユニットにパイロット油を提供する。一実施例において、チャージポンプ21はストレーナ23を介してソレノイドバルブ41、第1の制御弁13及び第2の制御弁51に連通している。
【0032】
リリーフバルブ22はチャージポンプ21と並列連通し、このチャージポンプ21は定量ギアポンプの形式であり、リリーフバルブを統合する。定量ギアポンプは一定の出力流量を有し、システム制御油は需要に応じて常時変化するため、システムに複数のユニットが必要とするパイロット油を提供することを保証した上で、残りの作動油はリリーフバルブ22を介して油タンク3にリリーフし、一部がチャージポンプ21の油吸入口を再生してリリーフし、システム冷却と省エネルギーのバランスを実現する。
【0033】
本実施例における可変容量形油圧ポンプセットは2つのポンプボディユニット1を含み、各セットのポンプボディユニット1はいずれも1つのセットの電気制御減圧ユニット4、1つのセットのフェールセーフユニット5及び1つのセットの圧力遮断ユニット6に対応し、一実施例において、各ポンプボディユニット1はいずれも1つのソレノイドバルブ41、第2の制御弁51及び第3の制御弁61に対応して接続され、2つのセットのポンプ本体11の可変容量形ポンプ111は互いに連通するが、2つのセットのポンプ本体11の可変容量形ポンプ111は互いに独立して制御されている。ここで、1つのセットのポンプ本体11の可変容量形ポンプ111の出力端には、P1ポートが設けられ、もう1つのセットのポンプ本体11の可変容量形ポンプ111の出力端にはP2ポートが設けられ、P2ポート及びP1ポートはいずれも外部油圧制御システムに連通するように設けられ、ショベルの複数種類の動作を制御する。
【0034】
ここで、2つのポンプボディユニット1の可変容量形ポンプ111と1つのチャージユニット2のチャージポンプ21は順に直列接続され、2つの可変容量形ポンプ111の駆動軸とチャージポンプ21の駆動軸は順に直列接続され、1つのエンジン(モータ)を共用して駆動され、三連ポンプ構造を構成する。ここで、2つのポンプボディユニット1、電気制御減圧ユニット4、フェールセーフユニット5及び圧力遮断ユニット6はいずれも1つのチャージユニット2を共用し、チャージユニット2によってパイロット油を提供する。2つの電気制御減圧ユニット4は単独でそれぞれ異なる油圧出力を制御することができる。
【0035】
本実施例において、ソレノイドバルブ41とスプールバルブの組み合わせによって、電気制御比例制御機能、圧力遮断機能、フェールセーフ機能及びチャージポンプ機能を含むショベル油圧メインポンプの複数機能を実現し、電気制御ユニットを結合してパワー制御を実現し、機能が健全で、構造が合理的で、制御が簡単で、信頼性が高く、ショベルの使用需要を完全に満たしている。
【0036】
本実施例においてショベルの電気制御システムに故障が発生した時に、油圧ポンプはショベルが動作及び走行機能を実行することを保証するように自動的に最大吐出量に達することができる。
【0037】
本実施例においてユニット化配置を採用し、実際の応用に基づいて機能ユニットを増減することができ、機構が簡単で、メンテナンスしやすく、配置が美しく、コストが低い。
【0038】
本実施例にでは、上述の可変容量形油圧ポンプセットを含むショベルをさらに提供している。本実施例におけるショベルは、クローラ式ショベルである。
【0039】
本実施例におけるチャージユニット2は第1のスプールバルブ12及び第1の制御弁13にパイロット油を提供し、油圧ポンプは同時に第1の制御弁13に作動油を提供し、第1の制御弁13は受けたパイロット油及び作動油の圧力の大きさに応じて、パイロット油又は作動油を選択して出力油とする。第1の制御弁13の排油口は第1のスプールバルブ12を介して可変容量形シリンダ112のロッド無しキャビティ1123に連通するため、ロッド無しキャビティ1123内の油はチャージユニット2が供給したパイロット油又は可変容量形ポンプ111が供給した作動油である。
【0040】
可変容量形ポンプ111の出力吐出量を大きくする必要がある場合、第1のスプールバルブ12の弁体が右に移動するように制御し、この時、ロッド無しキャビティ1123内の油液の第1のスプールバルブ12を経て油タンク13に還流する開口は次第に大きくなり、第1のスプールバルブ12からロッド無しキャビティ1123内に入る油口は小さくなるため、ロッド無しキャビティ1123内の油圧は次第に低減する。この時、ロッド付きキャビティ1122の油液の可変容量形シリンダ112のピストンに作用する力はロッド無しキャビティ1123の油液のピストンに作用する力よりも大きく、可変容量形シリンダ112は第1のスプールバルブ12のパイロットキャビティ122に機械的に接続されるため、この時、ピストンは右に移動し、斜板1111の振れ角が大きくなるように連行し、同時に第1のスプールバルブ12の弁体が右に移動するように連行し、可変容量形ポンプ111の出力吐出量を調整する効果を達成している。
【0041】
この可変容量形油圧ポンプセットは可変容量形ポンプ111、可変容量形シリンダ112、第1の制御弁13及び第1のスプールバルブ12を統合して設置し、構造が小さく、使用しやすく、外部制御構造を低減させ、コストを低減する。
【符号の説明】
【0042】
1 ポンプボディユニット
11 ポンプ本体
111 可変容量形ポンプ
1111 斜板
112 可変容量形シリンダ
1121 ピストンロッド
1122 ロッド付きキャビティ
1123 ロッド無しキャビティ
12 第1のスプールバルブ
121 パイロットキャビティ
122 ばね端
13 第1の制御弁
14 フィードバックロッド
2 チャージユニット
21 チャージポンプ
211 チャージポンプ排油口
22 リリーフバルブ
23 ストレーナ
3 油タンク
4 電気制御減圧ユニット
41 ソレノイドバルブ
42 給油口
43 排油口
5 フェールセーフユニット
51 第2の制御弁
6 圧力遮断ユニット
61 第3の制御弁
611 パイロット端
図1
図2
【国際調査報告】