(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】生物製剤標識システムとその方法
(51)【国際特許分類】
A61K 49/00 20060101AFI20220216BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220216BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220216BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220216BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220216BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61K49/00
A61K9/14
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/02
A61K9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538458
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019069147
(87)【国際公開番号】W WO2020142549
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286031
【氏名又は名称】ヴィシセル メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VISICELL MEDICAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ス, マイヤ マイヤ, エス.
(72)【発明者】
【氏名】エイカース, ジョニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA30
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4C076BB13
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4C085LL01
4C085LL18
4C085LL20
(57)【要約】
細胞追跡、薬物封入、および生物学的追跡のための、ナノ粒子、組成物、ならびにナノ粒子および組成物を製造および使用するための方法が開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘパリン、プロタミン、鉄ベースの造影剤、およびコントラスト剤を含み、前記コントラスト剤が前記ヘパリンおよび/または前記プロタミンに結合している、ナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子が、約0.1フェムトグラム(fg)~約1fgの鉄含有量を有する、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記鉄ベースの造影剤が、フェルモキシトールである、請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記コントラスト剤が、蛍光プローブ、PET剤、CT剤、またはMRI剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記ナノ粒子は、サイズが均一であり、平均直径が120nm~195nmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含み、非結合のヘパリン、プロタミン、または鉄ベースの造影剤を含まないか、または実質的に含まない、組成物。
【請求項7】
前記組成物が、非結合のヘパリン-プロタミン複合体、プロタミン-鉄ベースの造影剤複合体、またはヘパリン-鉄ベースの造影剤複合体を含まないか、または実質的に含まない、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
賦形剤をさらに含む、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が凍結乾燥または凍結されている、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
細胞または細胞由来産物を標識する方法であって、前記細胞または細胞由来産物を、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物と接触させることを含み、前記組成物が、非結合のヘパリン、プロタミン、または鉄ベースの造影剤を含まないか、または実質的に含まない、方法。
【請求項11】
前記細胞または細胞由来産物を、ナノ粒子を含む前記組成物と接触させながら、磁場を印加することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、非結合のヘパリン-プロタミン複合体、プロタミン-鉄ベースの造影剤複合体、またはヘパリン-鉄ベースの造影剤複合体を含まないか、または実質的に含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞または細胞由来産物を前記組成物と接触させながら、血清含有細胞培養物中で前記細胞を標識することをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞または細胞由来産物を前記組成物と接触させながら、血清欠乏細胞培養物中で前記細胞を標識することをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞または細胞由来産物が、4時間超で標識される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞または細胞由来産物が、4時間未満で標識される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物細胞が、マウス細胞、ラット細胞、イヌ細胞、ブタ細胞、ウシ細胞、ウマ細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞が、がん細胞、免疫細胞、または血液細胞である、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が、幹細胞、胚性細胞、胎児細胞、または体細胞である、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記幹細胞が、間葉系幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、脂肪幹細胞、神経幹細胞、または成体幹細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞由来産物が小胞である、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞由来産物を細胞と接触させて、前記細胞を前記細胞由来産物で標識することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞または細胞由来粒子と接触した後、一定期間、前記細胞または前記細胞由来産物を追跡することをさらに含む、請求項10~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記追跡が、ex vivo、in vitro、またはin vivo追跡である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記追跡が、前記細胞を画像化することによって行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記画像化が、蛍光顕微鏡法、MRI、FL、in vivo光学画像化、PET、SPECT、および/または超音波によって行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記画像化が、前記細胞が前記ナノ粒子または前記組成物と接触してから、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれ以上行われる、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記細胞のin vitroまたはin vivo標識のためのものである、請求項10~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、対象に投与される、請求項10~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、哺乳動物である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が静脈内、動脈内、直接組織注射、および/または腫瘍内に投与される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ナノ粒子を含む前記組成物を前記細胞または細胞由来産物と接触させる前に、核酸を前記ナノ粒子内に封入することをさらに含む、請求項10~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
磁気的に分離されたナノ粒子を調製する方法であって、
(a)ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を混ぜ合わせることであって、前記ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤の少なくとも一部が、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を形成する、混ぜ合わせることと、
(b)前記ナノ粒子を磁場に曝露して、前記ナノ粒子の磁気モーメントに基づいて前記ナノ粒子を分離することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記溶液を前記磁場に曝露することが、複合して前記ナノ粒子を形成しなかった非結合のプロタミン、ヘパリン、または鉄ベースの標識剤をさらに分離する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ナノ粒子が、サイズに基づいてさらに分離される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記溶液を磁場に曝露することは、前記溶液に磁石を適用することを含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記磁石が、約300mT~約600mTの磁場強度を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記磁場が均一であり、前記ナノ粒子に垂直に印加される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記磁場が不均一で方向的に変化する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
細胞由来産物から細胞を標識する方法であって、
(a)第1の細胞を、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物と接触させことであって、前記接触させるステップは、前記細胞内の前記細胞由来産物を標識する、接触させることと、
(b)前記標識された細胞由来産物を前記細胞から取り出すことと、
(c)第2の細胞を前記細胞由来産物と接触させことであって、前記第2の細胞が、前記標識された細胞由来産物を取り込む、接触させることと、を含む、方法。
【請求項43】
前記第1の細胞由来の前記標識された細胞由来産物を追跡することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の細胞を追跡することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
この出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/787,042号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
細胞ベースの治療の分野が進歩し続けるにつれて、細胞ベースの治療製品および細胞由来の生物製剤(例えば、小胞)の非侵襲的モニタリングのために診療所で使用できる安全で効果的な予後および診断ツールの必要性がある。具体的には、この必要性は、これらの細胞ベースの治療用製品および細胞由来の生物製剤の生理学的特性および異物に対する感受性のために生じる、細胞ベースの治療用製品および細胞由来の生物製剤の標識および/または操作に関連する課題を克服することを必要とする。
【0003】
再生医療および免疫腫瘍学のための細胞ベースの治療薬および細胞由来の生物製剤の開発に関する重要な考慮事項は、治療戦略を導くために、細胞ベースの治療薬および細胞由来の生物製剤が患者に移植された後に、細胞に何が起こるかを理解する必要があることである。この目標を達成するための1つのアプローチは、安全で、患者に移植されたら、細胞の観察と視認性を提供する画像診断法を備えた細胞追跡ツールを開発することである。
【0004】
再生医療用途の間葉系幹細胞や、血液悪性腫瘍や最近では固形腫瘍を治療するためのキメラ抗原受容体(CAR)修飾Tリンパ球(CAR-T)細胞療法などの一般的な細胞ベースの治療薬は、研究室から市場へと進んでいる。しかしながら、これらの細胞治療開発者の製造およびポイントオブケアプロセスの標準ワークフローへの統合をさらに可能にする、臨床的に適用可能な方法でこれらの低食細胞および低感受性細胞の標識技術を開発するという未だ満たされていない重大な必要性がある。さらに、技術は、スムーズに採用され臨床画像診断実務のワークフローへの統合されるために、ほとんどの診療所で利用可能な標準的な画像診断法と従来の画像処理プロトコルを使用し、高性能化することが重要である。
[発明の概要]
【0005】
いくつかの態様において、本開示は、ヘパリン、プロタミン、鉄ベースの造影剤、およびコントラスト剤を含むナノ粒子であって、コントラスト剤が、ヘパリンおよび/またはプロタミンに結合しているナノ粒子に関する。
【0006】
別の態様では、本開示は、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物であって、組成物が、非結合ヘパリン、プロタミン、または鉄ベースの造影剤を含まないか、または実質的に含まない組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約0.1フェムトグラム(fg)~約1fgの鉄含有量を有する。特定の実施形態において、ナノ粒子は、サイズが均一であり、120nm~195nmの平均直径を有する。
【0008】
別の実施形態において、鉄ベースの造影剤はフェルモキシトールである。
【0009】
いくつかの実施形態において、コントラスト剤は、蛍光プローブ、PET剤、CT剤、またはMRI剤である。
【0010】
いくつかの実施形態において、組成物は、非結合ヘパリン-プロタミン複合体、プロタミン-鉄ベースの造影剤複合体、またはヘパリン-鉄ベースの造影剤複合体を含まないか、または実質的に含まない。
【0011】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに賦形剤を含む。別の実施形態において、組成物は凍結乾燥または凍結されている。
【0012】
一態様では、本開示は、細胞または細胞由来産物を、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物と接触させることを含み、組成物は、非結合のヘパリン、プロタミン、または鉄ベースの造影剤を含まないか、または実質的に含まない、細胞または細胞由来産物を標識する方法に関する。
【0013】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または細胞由来産物を、ナノ粒子を含む組成物と接触させながら磁場を印加することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、組成物は、非結合のヘパリン-プロタミン複合体、プロタミン-鉄ベースの造影剤複合体、またはヘパリン-鉄ベースの造影剤複合体を含まないか、または実質的に含まない。
【0015】
特定の実施形態において、方法は、細胞または細胞由来産物を組成物と接触させながら、血清含有細胞培養物中で細胞を標識することをさらに含む。別の実施形態において、方法は、細胞または細胞由来産物を組成物と接触させながら、血清欠乏細胞培養において細胞を標識することをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、細胞または細胞由来産物は、4時間未満標識される。いくつかの実施形態において、細胞または細胞由来産物は、4時間超標識される。
【0017】
一実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、マウス細胞、ラット細胞、イヌ細胞、ブタ細胞、ウシ細胞、ウマ細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である。別の実施形態において細胞は、がん細胞、免疫細胞、または血液細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、幹細胞、胚性細胞、胎児細胞、または体細胞である。さらに別の実施形態において、幹細胞は、間葉系幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、脂肪幹細胞、神経幹細胞、または成体幹細胞である。
【0018】
いくつかの実施形態において、細胞由来産物は小胞である。いくつかの実施形態において、方法は、細胞由来産物を細胞と接触させて、細胞を細胞由来産物で標識することをさらに含む。
【0019】
別の実施形態において、方法は、細胞に接触した後、一定期間、細胞または細胞由来産物を追跡することをさらに含む。一実施形態において、細胞追跡は、ex vivo、in vitro、またはin vivo追跡である。いくつかの実施形態において、追跡は、細胞を画像化することによって行われる。
【0020】
いくつかの実施形態において方法は、細胞由来産物を追跡することをさらに含み、細胞由来産物は、細胞の内側または外側のいずれかにある。
【0021】
一実施形態において、画像化は、蛍光顕微鏡、MRI、FL、in vivo光学画像化、PET、SPECT、および/または超音波によって行われる。いくつかの実施形態において画像化は、細胞がナノ粒子または組成物と接触した後、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれ以上実施される。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞のin vitroまたはin vivo標識のための方法である。
【0023】
別の実施形態において、方法は、組成物を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。さらに別の実施形態において、組成物は、静脈内、動脈内、直接組織注射、および/または腫瘍内に投与される。
【0024】
いくつかの実施形態において、方法は、ナノ粒子を含む組成物を細胞または細胞由来産物と接触させる前に、核酸をナノ粒子に封入することをさらに含む。
【0025】
本開示の別の態様は、磁気的に分離されたナノ粒子を調製する方法に関し、方法は、(a)ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を混ぜ合わせることであって、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤の少なくとも一部が、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を形成する、混ぜ合わせることと、(b)ナノ粒子を磁場に曝露して、ナノ粒子の磁気モーメントに基づいてナノ粒子を分離することと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、溶液を磁場に曝露することは、複合体形成によりナノ粒子を形成しなかった非結合のプロタミン、ヘパリン、または鉄ベースの標識剤をさらに分離する。
【0027】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、サイズに基づいてさらに分離される。
【0028】
別の実施形態において、溶液を磁場に曝露することは、溶液に磁石を適用することを含む。いくつかの実施形態において、磁石は、約300mT~約600mTの磁場強度を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、磁場は均一であり、ナノ粒子に対して垂直に印加される。別の実施形態において、磁場は不均一であり、方向的に変化する。
【0030】
細胞由来産物から細胞を標識する方法であって、方法は、(a)第1の細胞を、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物と接触させることであって、接触させるステップは、細胞内の細胞由来産物を標識する、接触させることと、(b)標識された細胞由来産物を細胞から取り出すことと、(c)第2の細胞を細胞由来産物と接触させることであって、第2の細胞は、標識された細胞由来産物を取り込む、接触させることと、を含む。いくつかの実施形態において、方法は、第1の細胞からの標識された細胞由来産物を直接追跡することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、第2の細胞を追跡することをさらに含む。
【0031】
本教示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の記述、実施例、および添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【0032】
この出願には、カラーで実行された図面が少なくとも1つ含まれている。カラー図面を含むこの申請書の複写物は、要求と必要な料金の支払いによって、特許局から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】
図1Aは、本開示の磁気分離プロセスによって調製されない、標準的なHPFナノ粒子のサイズ分布を示す代表的なグラフである。
【
図1B】
図1B、1Cは、本開示の磁気分離プロセスに従って合成されたVMI NCE 1ナノ粒子のサイズ分布を示す代表的なグラフである。
【
図1C】
図1B、1Cは、本開示の磁気分離プロセスに従って合成されたVMI NCE 1ナノ粒子のサイズ分布を示す代表的なグラフである。
【
図1D】
図1Dは、標準的なHPFナノ粒子が非結合フェルモキシトールを有するのに対して、本開示の磁気分離プロセスに従って合成されたVMI NCE 1ナノ粒子が、残留する非結合フェルモキシトールを有さないことを示す代表的な画像である。
【
図2A】
図2A、2Bは、本開示のナノ粒子で標識された細胞の鉄担持を示す、細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像である。
【
図2B】
図2A、2Bは、本開示のナノ粒子で標識された細胞の鉄担持を示す、細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像である。
【
図3A】
図3A、3Bは、標準的なHPFナノ粒子と比較して、本開示のVMI NCE 1ナノ粒子で細胞を標識したときの細胞生存率の増加を示す代表的なグラフである。
【
図3B】
図3A、3Bは、標準的なHPFナノ粒子と比較して、本開示のVMI NCE 1ナノ粒子で細胞を標識したときの細胞生存率の増加を示す代表的なグラフである。
【
図3C】
図3Cは、TEM分析により、本開示の磁気分離プロセスに従って合成されたVMI NCE 1ナノ粒子が、標準的なHPFナノ粒子と比較してより電子密度の高い磁気活性MRI応答性鉄剤を保持することを示す。
【
図4A】
図4は、本開示のナノ粒子で様々な濃度で標識した細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像である。
【
図4B】
図4は、本開示のナノ粒子で様々な濃度で標識した細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の方法による磁気分離によって調製されたVMI NCE 1ナノ粒子の細胞標識効率の違いを強調する、細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の粒子で標識された細胞の生存率を示す代表的なグラフである。
【
図5C】
図5C、5Dは、本開示の方法に従って磁気分離により作製された標準HPFおよびVMI NCE 1の粒径分布を示す代表的なグラフである。
【
図5D】
図5C、5Dは、本開示の方法に従って磁気分離により作製された標準HPFおよびVMI NCE 1の粒径分布を示す代表的なグラフである。
【
図6】
図6は、細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像であり、本開示のVMI NCE 1ナノ粒子の濃度を、非食細胞または低食細胞を標識するために必要とされる細胞生存率を低下させることなく10倍増加できることを示している。
【
図7】
図7は、細胞のプルシアンブルー染色の代表的な画像であり、血清飢餓を必要とせずに、血清含有条件下で細胞を本開示のVMI NCE 1ナノ粒子で標識できることを示している。
【
図8A】
図8A、8Bは、本開示の磁気標識システムを用いて、血清飢餓条件下および血清含有条件下において3時間未満で細胞を標識する能力を示す代表的な画像である。
【
図8B】
図8A、8Bは、本開示の磁気標識システムを用いて、血清飢餓条件下および血清含有条件下において3時間未満で細胞を標識する能力を示す代表的な画像である。
【
図9A】
図9A~9Cは、本開示の二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子のプルシアンブルー染色および蛍光活性を示す代表的な画像である。
【
図9B】
図9A~9Cは、本開示の二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子のプルシアンブルー染色および蛍光活性を示す代表的な画像である。
【
図9C】
図9A~9Cは、本開示の二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子のプルシアンブルー染色および蛍光活性を示す代表的な画像である。
【
図10A】
図10Aは、標準的な二重プローブHPF粒子と比較して、本開示の二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子で細胞を標識したときの細胞生存率の増加を示す代表的なグラフである。
【
図10B】
図10B、10Cは、本開示の方法に従って合成された二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子の平均直径を示す代表的なグラフである。
図10Cにおいて、二重プローブVMI NCE 1残留曲線は、過剰に存在し細胞に対して毒性である非結合残留成分を示し、一方、二重プローブVMI NCE 1曲線は、非結合毒性物質の除去を示す。
【
図10C】
図10B、10Cは、本開示の方法に従って合成された二重プローブVMI NCE 1ナノ粒子の平均直径を示す代表的なグラフである。
図10Cにおいて、二重プローブVMI NCE 1残留曲線は、過剰に存在し細胞に対して毒性である非結合残留成分を示し、一方、二重プローブVMI NCE 1曲線は、非結合毒性物質の除去を示す。
【
図11】
図11は、本開示のナノ粒子の取り込みを容易にして、所望の鉄担持を有する細胞を効率的かつ効果的に標識するための磁気標識システムの使用を示す代表的な画像である。
【
図12A】
図12Aおよび12Bは、従来のT2強調MRIを用いた7T小動物スキャナーおよび従来のMRI T2
*強調MRIを用いた3T臨床スキャナーにおける、本開示のナノ粒子で標識された細胞のMRI信号の代表的な画像である。
【
図12B】
図12Aおよび12Bは、従来のT2強調MRIを用いた7T小動物スキャナーおよび従来のMRI T2
*強調MRIを用いた3T臨床スキャナーにおける、本開示のナノ粒子で標識された細胞のMRI信号の代表的な画像である。
【
図13】
図13は、さまざまなMRパラメータ(例えば、(a)QSMマップ(b)T
1マップ(c)T
2マップ(d)T
2
*マップ)(上の画像)および3T臨床スキャナーにおける本開示のナノ粒子の密度およびMRパラメータ間のそれらの相関フィッティング(下の画像)の代表的なカラーマップである。
【
図14】
図14は、本開示のナノ粒子で標識された小胞の代表的なTEM画像を示す。
【
図15A】
図15A、15Bは、従来のT2およびT2
*強調MRIを用いた7T小動物スキャナーにおける本開示のナノ粒子で標識された小胞の代表的な画像である。
【
図15B】
図15A、15Bは、従来のT2およびT2
*強調MRIを用いた7T小動物スキャナーにおける本開示のナノ粒子で標識された小胞の代表的な画像である。
【
図16】
図16は、核酸が埋め込まれた本開示のナノ粒子で標識された細胞の代表的な画像である。
【
図17】
図17~19は、本明細書に開示され記載されるプロトコルの模式図である。
【
図18】
図17~19は、本明細書に開示され記載されるプロトコルの模式図である。
【
図19】
図17~19は、本明細書に開示され記載されるプロトコルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
細胞追跡、薬物封入、および生物学的追跡のためのナノ粒子および組成物を製造および使用するためのナノ粒子、組成物、および方法が本明細書で提供される。
【0035】
非侵襲的磁気共鳴画像法(MRI)検出を介して、低食細胞および非食細胞を含む多くの細胞タイプの細胞標識のための技術を開発する必要性がある。本開示は、ほとんどの臨床現場で利用可能な従来のMRIシーケンスで使用するために、MRI信号を改善するために鉄含有量が濃縮され磁気的性質が増加している(VMI NCE 1ナノ粒子)ヘパリン(H)、プロタミン(P)、フェラヘム(F)粒子(HPF粒子)の集団を合成し、生成する磁気分離プロセスを説明する。重要なことに、この研究の結果は、高い細胞標識効率と好ましい安全性プロファイルを備えた磁気的に濃縮されたHPF粒子を提供する。結果はさらに、本明細書に開示された方法を使用して生成および製造されたHPF粒子が、細胞の標識および追跡に使用できることを実証している。本開示はまた、血清状態および血清飢餓状態の両方で細胞の短縮された(例えば、3時間未満の)標識を可能にする磁気標識システムを提供する。
【0036】
この説明を読んだ後、様々な代替の実施形態および代替の用途で本発明を実施する方法が当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明のすべての様々な実施形態は、本明細書では説明されない。ここに提示された実施形態は、限定ではなく、例としてのみ提示されていることが理解されよう。したがって、様々な代替の実施形態のこの詳細な説明は、以下に記載されるように、本発明の範囲または広がりを制限するものと解釈されるべきではない。
【0037】
詳細な説明は、読者の便宜のためにのみ様々なセクションに分割されており、任意のセクションにある開示は、別のセクションの開示と組み合わせることができる。タイトルまたはサブタイトルは、本開示の範囲に影響を与えることを意図せず、読者の便宜のために本明細書で使用することができる。
【0038】
文脈が別段の指示をしない限り、本明細書に記載の本発明の様々な特徴を任意の組み合わせで使用できることが特に意図される。
【0039】
定義
すべての数値指定は、必要に応じて1.0または0.1の増分で(+)または(-)に変化する近似値であり、あるいは+/-15%、あるいは10%、あるいは5%、あるいは2%の変量で変化する。常に明示的に明言されるものではないが、すべての数値指定に「約」という単語が前に付されていることを理解されたい。このような範囲フォーマットは、便宜上および簡潔にするために使用され、あたかも各数値とサブ範囲は明示的に指定されるかのように、範囲の限界として明示的に指定された数値を含むだけでなく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または部分範囲を含むように柔軟に理解されるべきであることを理解されたい。例えば、約1~約200の範囲の割合は、約1および約200の明示的に列挙された限定を含むが、約2、約3、および約4などの個々の割合、ならびに約10~約50、約20~約100などの部分範囲も含むことが理解されるべきである。常に明示的に明言されるものではないが、本明細書に記載されている試薬は単なる例示であり、そのような等価物は当該技術分野で知られていることも理解されたい。
【0040】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量または濃度などの測定可能な値を指す場合、指定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%の変動を包含することを意味する。
【0041】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益、リスク比に見合った過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
ナノ粒子
【0042】
本開示の態様は、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子に関する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、追加の造影剤および/または核酸をさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示のナノ粒子は、ヘパリンを含む。ヘパリンは、合成または生物学的に供給されたものであり、全体的な生体適合性を改善するために、ナノ粒子を含む医学的および生物学的用途に組み込まれている。いくつかの実施形態において、ヘパリンは塩の形態である。例えば、いくつかの実施形態においてヘパリンは、ナトリウム、カルシウム、カリウム、またはリチウム塩の形態である。いくつかの実施形態においてヘパリンはヘパラン硫酸である。いくつかの実施形態においてヘパリンはヘパリンナトリウムである。いくつかの実施形態において、ヘパリンナトリウムは、ヘパラン硫酸中に存在する硫酸基の数のために、ヘパラン硫酸と比較してより好適であり、これは、ヘパリンのより高い陰イオン特性を生じさせる。いくつかの実施形態においてヘパリンは低分子量を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、ヘパリンは、ヘパリンの正確な分子量および鎖長を知る必要なしに、プロタミンおよび鉄ベースの造影剤と複合体を形成するために使用され得る(任意の製造業者から合成により、または生物学的に供給される)。ヘパリンの正確な分子量および鎖長は、その生物学的に供給される性質のために非常に変動性があり、かなりの費用と時間をかけずに取得することは不可能である。いくつかの実施形態において、割合は、標準のHPF粒子が異なる初期割合で形成された後の、所望のVMI NCE 1粒子を抽出する能力によるため、不可知論的である。いくつかの実施形態において、所望のVMI NCE 1粒子の総収率は異なる可能性があり、したがって、本明細書に開示される推奨範囲が存在する。
【0045】
いくつかの実施形態において、ヘパリンは、約0.01U/ml~約10U/mlの量で提供される。いくつかの実施形態において、ヘパリンは、約0.25U/ml、約0.5U/ml、約0.75U/ml、約1U/ml、約1.25U/ml、約1.5U/ml、約1.75U/ml、約2U/ml、約2.25U/ml、約2.5U/ml、約2.75U/ml、約3U/ml、約3.25U/ml、約3.5U/ml、約3.75U/ml、約4U/ml、約4.25U/ml、約4.5U/ml、約4.75U/ml、約5U/ml、約5.25U/ml、5.5U/ml、約5.75U/ml、約6U/ml、約6.25U/ml、約6.5U/ml、約6.75U/ml、約7U/ml、約7.25U/ml、約7.5U/ml、約7.75U/ml、約8U/ml、8.25U/ml、約8.5U/ml、約8.75U/ml、約9U/ml、約9.25U/ml、約9.5U/ml、約9.75U/ml、または約10U/mlの量である。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示のナノ粒子は、プロタミンをさらに含む。プロタミンは合成または生物学的に供給され、治療で使用され、ヘパリンと複合体を形成して安定した塩を形成することにより強く負に帯電したヘパリンを中和する。いくつかの実施形態において、プロタミンは、サケまたは他の魚種の精子から得られる。いくつかの実施形態において、プロタミンは、硫酸塩、リン酸塩、または塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態において、プロタミンは、サケからの硫酸塩である。いくつかの実施形態において、プロタミンは硫酸プロタミンである。いくつかの実施形態において、プロタミンは低分子量である。
【0047】
いくつかの実施形態において、プロタミンは、プロタミンの正確な分子量および鎖長(その生物学的に供給される性質のために非常に変動性があり、かなりの費用と時間をかけずに得ることは不可能である)を知る必要なしに、ヘパリンおよび鉄ベースの薬剤と複合体を形成するために使用され得る(任意の製造業者から合成的または生物学的に供給される)。いくつかの実施形態において標準粒子が異なる開始割合で形成された後の、所望のナノ粒子を抽出する能力のために、割合は不可知論的である。所望のナノ粒子の総収率が異なり得ることには意味がないので、本明細書に開示される推奨範囲が存在する。
【0048】
いくつかの実施形態において、プロタミンは、約1μg/ml~約200μg/mlの量で提供される。いくつかの実施形態において、プロタミンは、約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/ml、約100μg/ml、約120、μg/ml、約130μg/ml、約140μg/ml、約150μg/ml、約160μg/ml、約170μg/ml、約180μg/ml、約190μg/ml、または約200μg/mlの量で提供される。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示のナノ粒子は、造影剤をさらに含む。造影剤は、ナノ粒子自体を視覚化できるように、またはナノ粒子が例えば細胞などの生物学的材料に取り込まれると、画像診断法を介して視覚化できるように機能する。いくつかの実施形態において、造影剤は超常磁性金属錯体である。いくつかの実施形態において、造影剤は鉄ベースの薬剤である。いくつかの実施形態において、造影剤は任意の超常磁性鉄含有化合物である。いくつかの実施形態において、造影剤は超常磁性酸化鉄である。他の実施形態において、造影剤は超小型超常磁性酸化鉄である。いくつかの実施形態において、同じ鉄ベースの造影剤が、VMI NCE 1ナノ粒子の磁気分離および生成に使用される。適切な造影剤の非限定的な例には、フェルモキシトール(フェラヘム)、フェルモキシド、フェルカルボトラン、フェルモクストラン-10および酸化鉄が含まれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、鉄ベースの薬剤は、約1μg/ml~約800μg/mlの量で提供される。いくつかの実施形態において、標識剤は、約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/ml、約100μg/ml、約120、μg/ml、約130μg/ml、約140μg/ml、約150μg/ml、約160μg/ml、約170μg/ml、約180μg/ml、約190μg/ml、約200μg/ml、約210μg/ml、約220μg/ml、約230μg/ml、約240μg/ml、約250μg/ml、約260μg/ml、約270μg/ml、約280μg/ml、約290μg/ml、約300μg/ml、約310μg/ml、約320μg/ml、約330μg/ml、約340μg/ml、約350μg/ml、約360μg/ml、約370μg/ml、約380μg/ml、約390μg/ml、約400μg/ml、約410μg/ml、約420μg/ml、約430μg/ml、約440μg/ml、約450μg/ml、約460μg/ml、約470μg/ml、約480μg/ml、約490μg/ml、約500μg/ml、約510μg/ml、約520μg/ml、約530μg/ml、約540μg/ml、約550μg/ml、約560μg/ml、約570μg/ml、約580μg/ml、約590μg/ml、約600μg/ml、約610μg/ml、約620μg/ml、約630μg/ml、約640μg/ml、約650μg/ml、約660μg/ml、約670μg/ml、約680μg/ml、約690μg/ml、約700μg/ml、約710μg/ml、約720μg/ml、約730μg/ml、約740μg/ml、約750μg/ml、約760μg/ml、約770μg/ml、約780μg/ml、約790μg/ml、または約800μg/mlの量で提供される。
【0051】
当業者は、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤の各々の様々な量が、生成されるナノ粒子の所望の濃度および/または量に部分的に依存することを理解するであろう。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、異なる割合でヘパリン、プロタミン、およびフェルモキシトールを含む。いくつかの実施形態において、ヘパリンは約2U/mlの量で存在し、プロタミンは約60μg/mlの量で存在し、フェルモキシトールは約50μg/mlの量で存在する。いくつかの実施形態において、ヘパリンは約2U/mlの量で存在し、プロタミンは約40μg/mlの量で存在し、フェルモキシトールは約100μg/mlの量で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態において、ヘパリンは、約0.01~約10U/mlの量で存在し、プロタミンは、約1~約200μg/mlの量で存在し、フェルモキシトールは、約1μg~約800μg/mlの量で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態において、VMI NCE 1ナノ粒子は、造影コントラスト剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、造影コントラスト剤は、ナノ粒子に封入されるか、またはナノ粒子の1つの成分、例えば、プロタミンおよび/またはヘパリンに結合されるか、またはナノ粒子に結合される。適切な造影ントラスト剤の非限定的な例には、蛍光プローブ、陽電子放出断層撮影(PET)剤、コンピュータ断層撮影(CT)剤(例えば、金)、超音波剤、または磁気共鳴画像(MRI)剤が含まれる。
【0054】
いくつかの実施形態において、蛍光プローブは、インドシアニングリーン(ICG)、フルオレセイン、フォトフリン、または5-アミノレブリン酸(ALA)である。
【0055】
いくつかの実施形態において、PET剤は、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、ガリウム-68、ジルコニウム-89、フッ素-18、およびルビジウム-82からなる群から選択される放射性ヌクレオチド(例えば、放射性トレーサー)を含む。いくつかの実施形態において、PET剤はフルオロデオキシグルコース(FDG)である。いくつかの実施形態において、PET剤はジルコニウム-89である。
【0056】
いくつかの実施形態において、CT剤はヨウ素またはバリウムベースの化合物または金である。
【0057】
いくつかの実施形態において、超音波剤はパーフルオロカーボンまたはオクタフルオロプロパンなどのフッ素化炭化水素である。
【0058】
いくつかの実施形態において、MRI剤はガドリニウム剤、酸化鉄剤、白金鉄剤、またはマグネシウム剤である。
【0059】
いくつかの実施形態においてナノ粒子は、マルチモーダル画像化のための二重標識剤を含む。各画像診断法には独自の特性があるため、単一の画像診断法では全体的な構造、機能、および分子情報を与えない。ただし、2つの画像診断法の組み合わせは、各画像診断法の固有の特性を組み合わせることができ、それによってナノ粒子の診断および治療モニタリング能力を向上させることができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、追加の造影剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の造影剤は、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、Cy5、IRDye560、Cy7、ZW800、IRDye800、ICG、およびCH1055からなる群から選択される蛍光色素である。いくつかの実施形態において、追加の造影剤は、蛍光顕微鏡を介したナノ粒子のモニタリングを可能にする。
【0060】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、遺伝子編集ツール、例えば、核酸ベースの分子をさらに含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、ナノ粒子に封入または結合されている。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールをナノ粒子に封入または結合させることにより、遺伝子編集ツールの細胞への取り込みが可能になる。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールは、RNA、例えば、siRNA、miRNA、およびmRNAである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールは、本質的にエピソームである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールは、DNA、例えば、プラスミド、二本鎖DNA、一本鎖DNAである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールは、プラスミドベクター、例えば、CRISPR-Cas9システムである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集ツールは、特定のタンパク質または受容体、例えば、Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞などの細胞のためのキメラ抗原受容体(CAR)の発現のための遺伝物質である。
【0061】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、サイズが均一であるか、またはサイズが実質的に均一である。いくつかの実施形態においてナノ粒子は、約125nm~約195nmの平均直径を有し、平均直径は、95nm以上である。例えば、いくつかの実施形態においてナノ粒子は、約125nm~約130nm、約125nm~約180nm、約130nm~約160nm、約140nm~約160nm、約140nm~約190nm、約140nm~約150nm、約125nm~約145nm、約130nm~約140nm、約130nm~約150nm、約140nm~約160nm、約140nm~約170nm、約160nm~約175nm、または約130nm~約180nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約130nm以下、約135nm以下、約140nm以下、約145nm以下、約150nm以下、約155nm以下、約160nm以下、約165nm以下、約170nm以下、約175nm以下、約180nm以下、約190nm以下、または約195nm以下の平均粒径を有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、平均直径が約125nm~約195nmであり、合成試料では平均直径が95nm以上であるナノ粒子は、少なくとも約0.5×109粒子/mL、約1×109粒子/mL、約2x109粒子/mL、約3x109粒子/mL、約4x109粒子/mL、約5x109粒子/mL、約6x109粒子/mL、約7x109粒子/mL、約8x109粒子/mL、または約9x109粒子/mL含まれる。
【0063】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、単一または少数の磁区を有する多くの鉄ベースのナノ粒子を含む磁性ナノ粒子である。磁区は、鉄原子の磁気モーメントが互いに整列しているナノ粒子の領域である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、1000超の磁区を有する。いくつかの実施形態においてナノ粒子は、約1500超の磁区、約2000超の磁区、約2500超の磁区、約3000超の磁区、約3500超の磁区、約4000超の磁区、約4500超の磁区、または約5000超の磁区を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子の鉄含有量は、約0.1fg(フェムトグラム)超である。いくつかの実施形態において、鉄含有量は、約0.15fg、約0.20fg、約0.25fg、約0.30fg、約0.35fg、約0.40fg、約0.45fg、約0.50fg、約0.55fg、約0.60fg、約0.65fg、約0.70fg、約0.75fg、約0.80fg、約0.85fg、約0.90fg、約0.95、または約1fg超である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子の鉄含有量は、約0.1fg~約1fgの間である。例えば、いくつかの実施形態において、ナノ粒子の鉄含有量は、約0.1fg~約0.50fg、約0.1fg~約0.60fg、約0.50fg~約1fg、約0.3fg~約0.80fg、約0.4fg~約0.70fg、約0.80fg~約1fg、約0.1fg~約0.4fg、約0.1fg~約0.65fg、または約0.15fg~約0.35fgの間である。
【0065】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、鉄造影剤(すなわち、ナノ粒子に組み込まれていない遊離鉄造影剤)よりも約3~10倍大きいr1、r2、およびr2*の磁気的性質を有する。例えば、いくつかの実施形態において、フェルモキシトールで封入されたナノ粒子は、フェルモキシトールナノ粒子自体の磁気的性質の約3~10倍のr1、r2およびr2*の磁気的性質を有する(37℃の水中で、3Tで、r1=7.5およびr2=92mM-1秒-1および7Tで、r1=2およびr2=95mM-1sec-1)。
【0066】
ナノ粒子組成物
本開示の態様は、ナノ粒子を含む組成物に関する。
【0067】
いくつかの実施形態において、ヘパリン、プロタミン、および造影剤を含むナノ粒子は、組成物として配合され得る。いくつかの実施形態において、造影剤はフェルモキシトールである。
【0068】
いくつかの実施形態において、組成物は、賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体をさらに含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される塩、希釈剤、担体、ビヒクル、およびそのような他の不活性剤を含み得る。薬学的調製物に一般的に使用されるビヒクルおよび賦形剤には、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ココアバター、水性または非水性溶媒、油、パラフィン誘導体、グリコールなどが含まれる。溶液は、水、またはエタノール、1,2-プロピレングリコール、ポリグリコール、ジメチルスルホキシド、脂肪アルコール、トリグリセリド、グリセリンの部分エステルなどの生理学的に適合性のある有機溶媒を使用して調製することができる。非経口組成物は、滅菌等張食塩水、水、1,3-ブタンジオール、エタノール、1,2-プロピレングリコール、水と混合されたポリグリコール、リンゲル液などを含み得る従来の技術を使用して調製され得る。一態様では、着色剤は、組成物を目的の部位に配置し、適切に位置させることを容易にするために追加される。
【0070】
いくつかの実施形態において、組成物は、安定剤および/または防腐剤をさらに含む。保存料の非限定的な例には、メチル-、エチル-、プロピル-パラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、チメロサル、フェニル水銀塩、クロルヘキシジン、フェノール、3-クレゾール、第4級アンモニウム化合物(QAC)、クロルブタノール、2-エトキシエタノール、およびイミド尿素が含まれる。
【0071】
いくつかの実施形態において、組成物は、張性を制御するためのナトリウム塩などの生理学的塩を含むことができる。いくつかの実施形態において、生理学的塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム二水和物、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムである。いくつかの実施形態において、生理学的塩は、約1mg/ml~約20mg/mlの間の量で存在する。例えば、いくつかの実施形態において、生理学的塩は、約1mg/ml~約5mg/ml、約1mg/ml~約10mg/ml、約5mg/ml~約20mg/ml、約2mg/ml~約5mg/ml、約6mg/ml~約10mg/ml、約7mg/ml~約20mg/ml、約3mg/ml~約18mg/ml、約4mg/ml~約10mg/ml、約6mg/ml~約15mg/ml、または約5mg/ml~約15mg/mlの量で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上の緩衝液をさらに含む。緩衝液の非限定的な例には、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはクエン酸緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態において組成物は、緩衝液を含み、緩衝液は、約5mM~約20mMの範囲の濃度を有する。例えば、いくつかの実施形態において、緩衝液は、約5mM~約10mM、約10mM~約20mM、約5mM~約15mM、約10mM~約15mM、または約8mM~約20mMの濃度を有する。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約5~約8の間であろう。例えば、いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約5~約7.5の間、約6~約8、約6.5~約7.5、または7.0~7.8の間であろう。
【0073】
いくつかの実施形態において、組成物は、凍結防止剤をさらに含み得る。凍結防止剤は、氷の形成による凍結による損傷から生体組織を保護する。凍結防止剤の非限定的な例には、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセロール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、スクロース、トレハロース、デキストロース、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0074】
いくつかの実施形態において、組成物は、非結合ヘパリンを含まないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、約10%以下の非結合ヘパリン、約9%の非結合ヘパリン、約8%の非結合ヘパリン、約7%の非結合ヘパリン、約6%の非結合ヘパリン、約5%の非結合ヘパリン、約4%の非結合ヘパリン、約3%の非結合ヘパリン、約2%の非結合ヘパリン、約1%の非結合ヘパリン、約0.5%の非結合ヘパリン、約0.1%の非結合ヘパリン、約0.05%の非結合ヘパリン、約0.01%の非結合ヘパリン、またはそれ未満の総ヘパリンを組成物中に含む。いくつかの実施形態において非結合ヘパリンの割合が低いと、組成物の毒性が低下する。
【0075】
いくつかの実施形態において組成物は、非結合プロタミンを含まないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、約10%以下の非結合プロタミン、約9%の非結合プロタミン、約8%の非結合プロタミン、約7%の非結合プロタミン、約6%の非結合プロタミン、約5%の非結合プロタミン、約4%の非結合プロタミン、約3%の非結合プロタミン、約2%の非結合プロタミン、約1%の非結合プロタミン、約0.5%の非結合プロタミン、約0.1%の非結合プロタミン、約0.05%の非結合プロタミン、約0.01%の非結合プロタミン、またはそれ未満の総プロタミンを組成物中に含む。いくつかの実施形態において、非結合のプロタミンの割合が低いと、組成物の毒性が低下する。
【0076】
いくつかの実施形態において、組成物は、非結合フェルモキシトールを含まないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、約10%以下の非結合フェルモキシトール、約9%の非結合フェルモキシトール、約8%の非結合フェルモキシトール、約7%の非結合フェルモキシトール、約6%の非結合フェルモキシトール、約5%の非結合フェルモキシトール、約4%の非結合フェルモキシトール、約3%の非結合フェルモキシトール、約2%の非結合フェルモキシトール、約1%の非結合フェルモキシトール、約0.5%の非結合フェルモキシトール、約0.1%の非結合フェルモキシトール、約0.05%の非結合フェルモキシトール、約0.01%の非結合フェルモキシトール、またはそれ未満の総フェルモキシトールを組成物中に含む。いくつかの実施形態において、非結合フェルモキシトールの割合が低いと、組成物の毒性が低下する。
【0077】
いくつかの実施形態において、組成物は、非結合プロタミンおよびヘパリンを含まないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、約10%以下の非結合プロタミンおよびヘパリン、約9%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約8%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約7%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約6%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約5%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約4%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約3%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約2%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約1%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約0.5%の非結合プロタミンおよびヘパリン、約0.1%非結合プロタミンおよびヘパリン、約0.05%非結合プロタミンおよびヘパリン、約0.01%非結合プロタミンおよびヘパリン、またはそれ未満の総プロタミンおよびヘパリンを組成物中に含む。いくつかの実施形態において、非結合のヘパリン-プロタミン複合体の割合が低いと、組成物の毒性を減少させる。
【0078】
いくつかの実施形態において、水分は組成物から除去される。いくつかの実施形態において、組成物は、水分を除去するために、凍結乾燥、乾燥、凍結乾燥、および/または脱水される。
【0079】
一実施形態において、組成物中のナノ粒子の約5%未満が、200nmを超える、300nmを超える、400nmを超える、500nmを超える、600nmを超える、700nmを超える、または800nmを超える粒径を有する。組成物内のナノ粒子の約0.01%未満が、200nmを超える、300nmを超える、400nmを超える、500nmを超える、600nmを超える、700nmを超える、または800nmを超える粒径を有する。別の実施形態において、組成物内のナノ粒子の約0.5%未満が、200nmを超える、300nmを超える、400nmを超える、500nmを超える、600nmを超える、700nmを超える、または800nmを超える粒径を有する。いくつかの実施形態において組成物内のナノ粒子の約0.05%未満が、200nmを超える、300nmを超える、400nmを超える、500nmを超える、600nmを超える、700nmを超える、または800nmを超える粒径を有する。
【0080】
特定の実施形態において、組成物内のナノ粒子は、約120nm~約190nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、組成物内のナノ粒子は、約125nm~約195nmの平均直径を有し、平均直径は、95nm以上である。例えば、いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約125nm~約130nm、約125nm~約180nm、約130nm~約160nm、約140nm~約160nm、約140nm~約190nm、約140nm~約150nm、約125nm~約145nm、約130nm~約140nm、約130nm~約150nm、約140nm~約160nm、約140nm~約170nm、約160nm~約175nm、または約130nm~約180nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約130nm以下、約135nm以下、約140nm以下、約145nm以下、約150nm以下、約155nm、約160nm以下、約165nm以下、約170nm以下、約175nm以下、約180nm以下、約190nm以下、または約195nm以下の平均粒径を有する。
【0081】
キット
本開示の態様は、ナノ粒子を含むキットまたはナノ粒子を含む組成物に関する。
【0082】
いくつかの実施形態において、キットは、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物、およびナノ粒子を調製するためのプロトコルを説明する説明書を含む。いくつかの実施形態において、キットは、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物を細胞またはそれを必要とする対象に投与するための説明書をさらに含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、キットは、ナノ粒子およびナノ粒子を含む組成物を含み、ナノ粒子は、ヘパリン、プロタミン、および造影剤から構成される。いくつかの実施形態において、造影剤はフェルモキシトールである。
【0084】
いくつかの実施形態において、キットは、二重プローブナノ粒子または二重プローブ粒子を含む組成物、および二重プローブ粒子を調製するためのプロトコルを説明する説明書を含む。いくつかの実施形態において、キットは、二重プローブナノ粒子または二重プローブナノ粒子を含む組成物を、細胞またはそれを必要とする対象に投与するための説明書をさらに含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、キットは、3時間未満でナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物で細胞を標識するための磁気標識システム、およびナノ粒子を調製し、磁気標識システムと共に使用するためのプロトコルを記載する説明書を含む。いくつかの実施形態において、キットは、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物を細胞またはそれを必要とする対象に投与するための説明書をさらに含む。
【0086】
製造方法
本開示の態様は、磁気的に分離されたナノ粒子を調製する方法に関する。
【0087】
いくつかの実施形態において、方法は、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含む磁気的に分離されたナノ粒子を調製することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、(a)ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を混ぜ合わせることであって、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤複合体の少なくとも一部が複合体形成してヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を形成する、混ぜ合わせることと、(b)ナノ粒子を磁場に曝露して、ナノ粒子の磁気モーメントに基づいてナノ粒子を分離することと、を含む。いくつかの実施形態において、分離は、ナノ粒子の鉄含有量に基づいており、その結果、サイズおよび磁気モーメントに基づいてナノ粒子が分離される。
【0088】
いくつかの実施形態において、方法は、ナノ粒子を非結合材料から分離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、ヘパリン、プロタミン、および造影剤は、培地中で混ぜ合わせられ、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤の少なくとも一部が複合体形成して、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を形成する。いくつかの実施形態において、培地は、緩衝液、血清、栄養富化培養液、または基本培地である。非結合の材料には、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含む、ナノ粒子を形成するために複合体を形成しなかった任意の化合物、物質、破片、または副産物が含まれる。いくつかの実施形態において、非結合物質は、ヘパリン、プロタミン、フェルモキシトール、および/またはヘパリン-プロタミン複合体である。いくつかの実施形態において、方法は、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、非結合フェルモキシトールおよび/または非結合ヘパリン-プロタミン複合体からナノ粒子を分離することをさらに含む。磁場の印加は、ナノ粒子の鉄含有量、したがってナノ粒子の磁気的性質に基づいて、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、非結合フェルモキシトールおよび/または非結合ヘパリン-プロタミン複合体からヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を、選択的に分離する。いくつかの実施形態において、磁場の適用は、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、非結合フェルモキシトールおよび/または非結合ヘパリン-プロタミン複合体を除外し、ナノ粒子の選択的分離を可能にする。
【0089】
いくつかの実施形態において方法は、(a)ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤を混ぜ合わせることであって、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤複合体の少なくとも一部が、ヘパリンプロタミンおよび鉄ベースの造影剤を含むナノ粒子を形成する、混ぜ合わせることと、(b)ナノ粒子を磁場に曝露して、ナノ粒子を形成するために複合体を形成しなかった非結合プロタミンおよび/またはヘパリンを分離することと、を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、溶液は、磁場に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ以上曝露される。いくつかの実施形態において、溶液は、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、非結合フェルモキシトールおよび/または非結合ヘパリンプロタミン複合体が溶液中に存在しなくなる、または実質的に存在しなくなるまで、磁場に曝される。
【0091】
いくつかの実施形態において、方法は、サイズに基づいてナノ粒子を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子に関連する鉄含有量および磁気双極子モーメントの強度は、ナノ粒子のサイズと相関し、サイズに基づいてナノ粒子を選択的に分離する方法を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態において、非結合材料からナノ粒子を抽出するための代替方法は、限外濾過または透析によってナノ粒子を分離することを含む。いくつかの実施形態において、ヘパリン、プロタミン、および造影剤は、培地中で混ぜ合わせられ、ヘパリン、プロタミン、および造影剤の少なくとも一部が複合体形成してヘパリン、プロタミン、および造影剤を含むナノ粒子を形成する。いくつかの実施形態において、培地は、緩衝液、血清、栄養富化培養液、または基本培地である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子が形成された後、培地中のナノ粒子が濾液から収集されて、ナノ粒子を含む調製物を形成する。いくつかの実施形態において限外濾過または透析に続いて、培地(すなわち、上澄み)は、ナノ粒子を含む調製物からデカントされる。いくつかの実施形態において、デカントされた培地は、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、および/または非結合ヘパリン-プロタミン複合体を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を磁場に曝露することは、ナノ粒子に磁石を適用することを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、磁場強度は、約300mT~約600mTの磁束密度である。いくつかの実施形態において、磁束密度は、約300mT~約400mT、約300mT~約500mT、約400mT~約500mT、約400mT~約600mT、または約500mT~約600mTである。
【0095】
いくつかの実施形態において、印加される外部磁場は均一であり、溶液および収集表面に対して垂直である。特定の実施形態において、印加される外部磁場は不均一である。いくつかの実施形態において、分離は、永久磁石のS極および/またはN極で達成され得る。さらに別の実施形態において、分離はまた、互いに接触している2つの磁石の界面で達成され得る。別の実施形態において、分離は、所望の形状の通電ワイヤによって生成される特定の強度で外部磁場を印加することによって達成できる。
【0096】
いくつかの実施形態において、方法は、ナノ粒子あたり1,000を超える原子が封入され、鉄ベースの造影剤(例えば、フェルモキシトール)それ自体より3~10倍大きい磁気的性質(r1、r2およびr2*)を有する、鉄含有量が約0.1fgのナノ粒子を選択的に分離する。いくつかの実施形態において、方法は、約0.15fg、約0.20fg、約0.25fg、約0.30fg、約0.35fg、約0.40fg、約0.45fg、約0.50fg、約0.55fg、約0.60fg、約0.65fg、約0.70fg、約0.75fg、約0.80fg、約0.85fg、約0.90fg、約0.95、または約1fg超える鉄含有量を有するナノ粒子を選択的に分離する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子の鉄含有量は、約0.1fg~約1fgの間である。例えば、いくつかの実施形態において、ナノ粒子の鉄含有量は、約0.1fg~約0.50fg、約0.1fg~約0.60fg、約0.50fg~約1fg、約0.3fg~約0.80fg、約0.4fg~約0.70fg、約0.80fg~約1fg、約0.1fg~約0.4fg、約0.1fg~約0.65fg、または約0.15fg~約0.35fgの間である。
【0097】
いくつかの実施形態において、方法は、平均直径が約120nm~約195nmである粒子を選択的に分離する。例えば、いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約125nm~約130nm、約125nm~約180nm、約130nm~約160nm、約140nm~約160nm、約140nm~約190nm、約140nm~約150nm、約125nm~約145nm、約130nm~約140nm、約130nm~約150nm、約140nm~約160nm、約140nm~約170nm、約160nm~約175nm、または約130nm~約180nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約130nm以下、約135nm以下、約140nm以下、約145nm以下、約150nm以下、約155nm以下、約160nm以下、約165nm以下、約170nm以下、約175nm以下、約180nm以下、約190nm以下、または約195nm以下の平均粒径を有する。
【0098】
いくつかの実施形態において、磁気分離によって単離されたナノ粒子は、磁気分離によって単離されていないナノ粒子と比較して、約30%~約200%大きい鉄担持を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、磁気分離によって分離されていないナノ粒子と比較して、約30%~約100%、約50%~約200%、約40%~約80%、約60%~約200%、約50%~約150%、約40%~約120%、約100%~約200%、約150%~約200%、約100%~約180%、約90%~約190%、または約30%~約60%大きい鉄担持を有する。
【0099】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、非結合材料の量を有意に増加させることなく、約2倍~約10倍の間の量で濃縮される。いくつかの実施形態においてナノ粒子は、約0.5×105粒子/mL、約1.0×105粒子/mL、約0.5×106粒子/mL、約1.0×106粒子/mL、約0.5×107粒子/mL、約1.0×107粒子/mL、約0.5×108粒子/mL、約1.0×108粒子/mL、約0.5×109粒子/mL、約1.0×109粒子/mL、約0.5×1010粒子/mL、約1.0×1010粒子/mL、約0.5×1011粒子/mL、約1.0×1011粒子/mL、約0.5×1012粒子/mL、約1.0×1012粒子/mL、またはそれ以上に濃縮される。いくつかの実施形態において、粒子ナノ粒子は、約1.0×108~約1.0×1011粒子/mLの量に濃縮される。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、非結合物質の量を大幅に増加させることなく、特定の量に濃縮される。いくつかの実施形態において、非結合材料は、非結合ヘパリン、非結合プロタミン、非結合フェルモキシトールおよび/または非結合ヘパリン-プロタミン複合体を含む。
【0100】
使用方法
本開示の態様は、細胞をナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物と接触させることを含む、細胞を標識する方法に関する。いくつかの実施形態において、方法は、小胞などの細胞由来産物を標識することをさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞をナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物と接触させながら、血清飢餓および/または血清欠乏条件下で細胞を標識することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、接触ステップ中に血清飢餓および/または血清欠乏条件下で細胞を標識することを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、ある期間、血清飢餓状態および/または血清欠乏状態に留まり、その後、追加の期間に通常の細胞培養条件下で回復する。
【0102】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞由来産物から細胞を標識することを含み、方法は、(a)第1の細胞を、ヘパリン、プロタミン、および鉄ベースの造影剤からなるナノ粒子を含む組成物と接触させることであって、接触させるステップは、細胞内の細胞由来産物を標識する、接触させることと、(b)標識された細胞由来産物を細胞から取り出すことと、(c)第2の細胞を細胞由来産物と接触させることであって、第2の細胞は、標識された細胞由来産物を取り込む、接触させることと、を含む。いくつかの実施形態において、方法は、第2のセルを追跡することをさらに含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、方法は、組成物との接触中に血清含有培地中の細胞を標識することをさらに含む。標識プロトコルの一部として、血清飢餓を必要とせずに数時間細胞を標識する能力により、ユーザは、細胞が受ける実質的な変更なしに、既存の細胞培養標準操作手順(SOP)を順守することができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、マウス細胞、ラット細胞、イヌ細胞、ブタ細胞、ウシ細胞、ウマ細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である。
【0105】
いくつかの実施形態において、細胞は、がん細胞、免疫細胞、または血液細胞である。他の実施形態において、細胞は、幹細胞、胚性細胞、胎児細胞、または体細胞である。適切な幹細胞の非限定的な例には、間葉系幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、脂肪幹細胞、神経幹細胞、Tリンパ球、ナチュラルキラー細胞または成体幹細胞が含まれる。
【0106】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞をナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物と接触させた後、一定期間細胞を追跡することをさらに含む。いく.細胞を画像化するための非限定的な方法には、蛍光顕微鏡法、MRI、in vivo光学画像化、PETおよび/または単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)および/または超音波によるものが含まれる。
【0107】
いくつかの実施形態において、方法は、標準的なMRI画像化シーケンスを使用して一定期間細胞を追跡することをさらに含む。粒子の特定の磁気的性質(例えば、クラスター効果、高い鉄担持)により、標準のMRI画像化シーケンスを使用でき、これにより、の高効率標識が可能になる。
【0108】
いくつかの実施形態において、細胞は、磁気標識システムを使用して、約3時間未満でナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物で標識される。磁気標識システムは、磁気標識されたナノ粒子に磁場を印加することにより、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物の迅速な取り込みを促進することにより、標識時間を短縮することを可能にする。いくつかの実施形態において、急速な取り込みは、永久磁石または電流駆動の一時的な磁石をナノ粒子に適用することによって磁束密度を変化させることによって起こる。磁石によって加えられる力は、細胞を標識するための粒子の効率的な取り込みを促進する。例えば、いくつかの実施形態において、細胞は、約3時間未満、約2.5時間未満、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満、または約0.5時間未満でナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物で標識される。
【0109】
いくつかの実施形態において、画像化は、細胞がナノ粒子または組成物と接触した後、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれ以上実施される。
【0110】
いくつかの実施形態において、方法は、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト、非ヒト霊長類などの哺乳動物対象、またはマウスまたはラットなどの実験的非ヒト哺乳動物対象である。いくつかの実施形態において、哺乳動物対象はヒトである。
【0111】
いくつかの実施形態において、方法は、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物を、使用および/または治療される疾患または状態に応じて任意の適切な経路で投与することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、頭蓋内、鼻腔内または腹腔内投与によるナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物の投与を含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子またはナノ粒子を含む組成物は、静脈内、動脈内、直接組織注射、および/または腫瘍内に投与される。
【0112】
いくつかの実施形態において、方法は、対象への投与後の期間、細胞をプログラミング、遺伝子改変、および/または追跡することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追跡は、対象の少なくとも一部を画像化することによって実行される。いくつかの実施形態において、画像化は、蛍光検出、MRI、FL、in vivo光学画像化、PET/SPECT、CTおよび/または超音波によって行われる。
【0113】
いくつかの実施形態において、画像化は、対象がナノ粒子または組成物を投与された後、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約1週間、実行される。少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれ以上行われる。
【0114】
いくつかの実施形態において、細胞を標識する方法は、磁気的に分離されていないナノ粒子と比較して、ナノ粒子中の鉄担持が約30%~約300%増加するため、MRIによる画像化を可能にする。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、磁気的に分離されていない粒子と比較して、約30%~約100%、約50%~約300%、約40%~約80%、約60%~約300%、約50%~約150%、約40%~約120%、約100%~約300%、約150%~約300%、約100%~約180%、約90%~約190%、または約30%~約60%の間の鉄担持を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、方法は、ex vivo、in vitro、および/またはin vivoの細胞追跡を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞に導入する前に、ナノ粒子内に核酸を封入することをさらに含む。ナノ粒子内への核酸の封入は、核酸の細胞へのより安全でより効果的な導入を提供する。RNA、プラスミドDNA、DNA、ペプチド/タンパク質などの核酸の導入は、効率が低く困難であり、例えば、エレクトロポレーションやリポフェクタミンまたはトランスフェクション剤を介した送達などの現在利用可能な方法を使用すると、細胞に望ましくない悪影響を及ぼす。いくつかの実施形態において、方法は、封入された核酸を有するナノ粒子で細胞を改変することをさらに含む。細胞は、細胞を再プログラミングするか、細胞を分化させるか、または細胞のトランスフェクションを増加させることによって、封入された核酸を有するナノ粒子で改変することができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、小胞などの細胞由来の生物製剤の標識および追跡に使用して、それらを診断および/または治療用途でさらに使用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、3次元(3D)印刷に使用することができる。いくつかの実施形態において、3D印刷はバイオプリンティングである。いくつかの実施形態において、方法は、バイオセンシング、組織再生、環境センシング、創薬および臨床的実施に及ぶ用途のために、ナノ粒子で標識された細胞を含む3D足場を作成することを含む。
【実施例】
【0119】
上述および以下の実施例は、単に本発明の様々な実施形態を例示することを意図する。上で議論された特定の修正は、本発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な均等物、変更、および修正が実現され得ることが明らかであり、そのような均等な実施形態は本明細書に含まれることが理解されるであろう。
【0120】
非侵襲的MRI検出を介した細胞標識および追跡のための技術を開発する必要がある。この目的に向けて、磁気分離プロセスが開発され、ほとんどの診療所で利用可能な従来のMRIシーケンスで使用するためのMRI信号を改善するための、鉄含有量が濃縮され磁気的性質が向上した(VMI NCE 1ナノ粒子)ヘラピン(H)、プロタミン(P)、フェラヘム(F)粒子(HPF粒子)の集団が合成および生成される。重要なことに、この研究の結果は、高い細胞標識効率と好ましい安全性プロファイルを備えた磁気的に濃縮されたHPF粒子を提供する。結果はさらに、本明細書に開示される方法を使用して生成および製造されたHPF粒子が、細胞標識、細胞追跡、生物製剤標識、生物製剤追跡、および細胞再プログラミングに使用できることを実証する。
【0121】
実施例1:標準HPF形成のSOP
以下の研究の目的は、標準HPF(Std HPF)形成のための標準操作手順(SOP)を開発することであった。
【0122】
標準HPF粒子の調製には、次の試薬を使用した、ヘパリン(H、ナトリウム注射、USP、1000ユニット/ml)、プロタミン硫酸塩(P、注射、USP、50mg/ml)、およびフェラヘム(F、注射、USP、510mg/17ml)。
【0123】
標準HPF粒子を形成するために、最初に滅菌チューブおよび/または容器に、基本培地の30~500mLのアリコート(例、ダルベッコの改良イーグル培地/栄養混合物F-12(DMEM/F-12))を添加することにより、Hの2U/ml溶液を調製した。基本培地10mLごとに、20μLのHを、基礎培地を含む滅菌チューブおよび/または容器に加えた(例えば、30mLの基本培地に60μLのHを加えた)。次に、得られた基本培地とH溶液を完全に混合した。
【0124】
標準HPFの調製の第2のステップとして、60μLのP溶液を、各10mlの2U/mlのHを含む基礎培地に添加中にチューブを効果的に旋回させながら、ゆっくりと加え(例えば、180μLのPを30mLの溶液に加える)その時点で、溶液は曇っているように見えた。
【0125】
Pを追加してから約15~30秒以内に、16.67μLのF溶液を上記の各HP溶液10mlに加え、チューブおよび/または容器内で混合した(例えば、50.01μLのFを30mLのHP溶液に加えた)。
【0126】
上記の手順により、Std HPF粒子が形成される。
【0127】
実施例2:二重プローブ標準HPF形成のSOP
単一の画像診断法では完全な構造、機能、および分子情報が得られないため、単一のナノ粒子で2つの画像診断法を組み合わせると、ナノ粒子の診断および治療モニタリング能力を向上させることができる。したがって、以下の研究の目的は、マルチモーダル画像化用の二重標識剤を生成するためのSOPを開発することであった。この目的に向けて、FITC結合ヘパリンをプロタミンおよびフェラヘムと混合して、二重プローブ標準HPF粒子を形成した。
【0128】
二重プローブ標準HPF粒子を形成するために、1mgのH-FITCの再構成物を1mLの滅菌水に添加して、70~100U/mlのH-FITC濃度の溶液を得た。次に、200μlのH-FITC溶液を10mLの基本培地(DMEM/F-12)に移した。この手順に従って、1.4~2U/mlの濃度のH-FTIC溶液を得ることができる。
【0129】
次に、適切な量のFを有するアリコートを別の滅菌チューブおよび/または容器に加え、取り置いた。二重プローブ標準HPF粒子を調製するためには、基本培地10mLごとに、16.67μLのFが必要であった。
【0130】
次に、適切な量のPを有するアリコートを別のチューブおよび/または容器に加えた。最終溶液10mlごとに60μLのPが必要である。
【0131】
各成分の別々の溶液(例えば、H、F、およびP溶液)を調製して、最後のステップは、2U/mlのH-FITC、60μg/mlのP、50μg/mlのFの濃度比を有する二重プローブHPF粒子溶液の調製であった。P溶液の60μg/mlアリコートを10mlのH-FITC溶液にゆっくりと加えた。次に、溶液を混合(例えば、渦巻き)し、その時点で溶液は曇っているように見えた。P溶液のアリコートを加えてから約15~30秒以内に、16.67μLのF溶液を加え、チューブおよび/または容器内で混合した。
【0132】
上記の手順により、二重プローブStd HPF粒子が形成される。
【0133】
実施例3:磁気分離プロセスを使用したHPF粒子のSOP
Std HPFおよび二重プローブStd HPF粒子形成のSOPを確立したら、次のステップは、鉄含有量が濃縮され、磁気的性質が向上され、残留する非結合材料(HまたはPまたはFまたはHP)が無いHPF粒子の集団を生成/製造するために、磁気分離プロセスを介してHPF粒子を生成するためのSOPを開発することであり、これにより、得られるHPF粒子の全体的な標識効率、それらの安全性プロファイル、およびMRI活性が向上する。
【0134】
実施例1で形成されたStd HPF粒子を、15mLコニカルチューブに移した。移動後、磁気強度300mT~600mTの永久磁石をチューブの側面に室温で約25分間適用した。分離は、永久磁石のN極とS極の両方で同時に行うことができる。磁石を25分間適用している間、チューブは10分ごとに反転した。磁石を25分間適用した後、固体ペレットが形成され、次いで、VMI NCE 1残留物と呼ばれる上澄み(すなわち、固体材料の上に残っている沈殿物のない液体)が新しいチューブに移された。
【0135】
上澄みを移した後、ペレットを等量の基礎培地(DMEM/F-12)で洗浄した。次に、再構成されたペレット(ナノ粒子)を保持しているチューブの側面に、300mT~600mTの磁気強度の永久磁石を室温で約25分間再び適用して、鉄含有量が濃縮され磁気的性質が増加したHPF粒子を抽出した。分離は、永久磁石のN極とS極の両方で同時に行うことができる。25分間のVisicell製の磁気分離システムの適用中、チューブは10分ごとに反転された。次に、上澄みを除去した。次に、各ステップを3~6回繰り返した。鉄含有量が濃縮され磁気的性質が向上したHPF粒子の同様の集団は、均一または不均一に印加された外部磁場を使用して抽出できる(
図20)。
【0136】
鉄含有量が濃縮され磁気的性質が向上した新しいHPF粒子のさまざまな配合物を生成するために(例えば、さまざまな濃度の粒子(さまざまな粒子数/ml)、等体積の基礎培地をペレットに添加して、1倍の磁気濃度を有する溶液、VMI NCE 1(1倍)粒子、または基本培地の体積の1/5をペレットに添加して、5倍の磁気濃度を有するより濃縮された溶液、VMI NCE 1(5倍)粒子を形成した。同じ手順を二重造影剤の磁気分離に使用して、二重プローブVMI NCE 1(1倍)および二重プローブVMI NCE 1(5x)粒子を形成した。
【0137】
上記の手順により、Std HPFおよび二重プローブStd HPF粒子と比較して鉄含有量が濃縮された、VMI NCE 1(たとえば、VMI NCE 1(1倍)およびVMI NCE 1(5倍))粒子と二重プローブVMI NCE 1(たとえば、二重プローブVMI NCE 1(1倍)および二重プローブVMINCE1(5倍))が形成される。
【0138】
実施例4:限外ろ過精製、限外ろ過精製
上記のような磁気分離プロセスの開発に加えて、限外濾過精製プロセスも開発され、鉄含有量が増加し、所望のサイズであり、非結合材料が減少したHPF粒子を単離した。
【0139】
実施例1で形成されたStd HPF粒子は、遠心分離のために100KdaのMWCOを有するCorning製のSpinXフィルターに移された。次に、Std HPF粒子を、スイングバック遠心分離機で2,000RPMで15~20分間、または0.25mLの体積だけが残るまで遠心分離した。Corning製のSpinXフィルターでろ過した後、VMI NCE 2残留物と呼ばれる濾液を15mLのコニカルチューブに移し、VMI NCE 2と呼ばれる残余物(つまり、フィルターを通過しない材料)を等体積の基礎培地で洗浄した。次に、基本培地で洗浄した残余物を、0.25mLだけが残るまで、2,000RPMで15~20分間再遠心分離した。次に、濾液を除去した。各ステップを4~6回繰り返した。
【0140】
鉄含有量が濃縮され、所望のサイズであり、非結合物質が低減された(例えば、粒子の濃度が異なる(粒子の数が異なる/ml)新しいHPF粒子のさまざまな配合物を製造するために、等体積の基本培地をVMI NCE2に追加して、1倍の磁気濃度を有する溶液、VMI NCE 2(1倍)粒子、または基本培地の体積の1/5を残余物に添加して、5倍の磁気濃度を有する溶液、VMI NCE 2(5倍)粒子を形成した。
【0141】
上記の手順により、VMI NCE 2粒子が形成される。
【0142】
実施例5:細胞外小胞(EV)の標識。
鉄が濃縮され磁気的性質が向上したHPF粒子を単離する方法を開発されると、次のステップはHPF粒子による細胞外小胞標識の方法を開発することであった。
【0143】
間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞(NSC)、および羊水幹細胞(AFSC)を、ウシ胎児血清(FBS)の非存在下で、実施例1~3に記載のHPF粒子のいずれかと4時間インキュベートし、その後、10%のFBSを含む培地で一晩回復させた。次に、標識された細胞の培地を吸引した。吸引後、細胞をPBSで2回洗浄した。次に、EVが枯渇した培地を細胞に加えた。次に、標識された細胞を48~72時間インキュベートした。
【0144】
インキュベーション後、細胞が懸濁された培地(すなわち、馴化培地)を収集した。次に、細胞の破片を取り出すために、馴化培地を2,000xgで20分間遠心分離した。遠心分離後、上清を超遠心管に移し、120,000xgで約2時間遠心分離した。2時間の遠心分離後、上清を除去し、収集したEVをPBSに再懸濁させた。各遠心分離ステップは4℃で実行された。
【0145】
上で概説したステップに従って、細胞外小胞を実施例1~3のHPF粒子で標識した。
【0146】
実施例6:HPF粒子の標識の効率、安全性プロファイル、および物理化学的特性
単離し、次いでHPF粒子で細胞を標識したので、次のステップでは、標識の効率、安全性プロファイル、およびStd HPF、VMI NCE 1、二重プローブVMI NCE1粒子の物理化学的特性が細胞の標識能力にどのように影響するかを調べた。
【0147】
標識の効率
ナノ粒子追跡分析(NTA)を使用して、Std HPFとVMI NCE 1(1倍)の粒径分布を比較した。実施例1に記載のように調製されたStd HPFは、平均直径が121nmであった。(
図1A、表1)。比較すると、実施例3に記載のように調製されたVMI NCE 1(1倍)は、平均直径が140nmでより大きく、一方、磁気分離からの残りの上清からのVMI NCE 1残留物は、平均直径86nmであった(
図1B、表1)。実施例4に記載の限外濾過精製プロセスを介して単離されたVMI NCE2は、平均直径83nmを有するVMI NCE 2残留物と比較して、平均直径117を有していた。(
図1C、表1)。より多くの鉄を含むVMI NCE 1(1倍)は磁気分離プロセス中に濃縮されたが、非結合H、非結合P、非結合HP、およびより小さな遊離フェルモキシトールは保持されず、
図1Dに示されているように、VMI NCE 1残留画分に濃縮されると考えられ、VMI NCE1残留物の平均粒径がより小さい。
【0148】
【0149】
図2A~2Bは、磁気分離法を使用して生成および製造されたHPF粒子が、間葉系幹細胞(MSC)などの低食細胞におけるプルシアンブルー染色(すなわち、鉄シグナル)によって決定されるように、より優れた標識効率と細胞内鉄担持を有することを実証する。特に、
図2A~2Bは、非標識MSC(すなわち、Mock細胞)、Std HPF標識MSC、VMI NCE 1(1倍)標識MSC、VMI NCE 1残留物標識MSC、VMI NCE 2標識MSC、および最後にVMI NCE2残差標識MSCの標識効率を示す。
図2A~2Bに示されるように、VMI NCE 1(1倍)で標識されたMSCは、Std HPFで標識されたMSCと比較して、鉄でより効率的に標識された。
【0150】
したがって、このデータは、磁気分離法によって調製されたHPF粒子が、細胞内の鉄担持によって証明されるように、高い標識効率を有することを裏付けている。
【0151】
安全性プロファイル
次に、実施例1~4に記載の方法によって調製されたHPF粒子の安全性プロファイルを、それらの粒子でMSCを標識することによって、およびそれらのミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性によって評価した。VMI NCE 1(1倍)で標識されたMSCは、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ活性によって決定されるように、Mock標識された細胞と比較して最小限の毒性を示した。対照的に、Std HPFで標識されたMSCは、細胞生存率の中程度の低下を示したが、VMI NCE1残留物はMSCに対して最も毒性の影響を及ぼした。(
図3A)。結果は、新規VMI NCE 1(1倍)粒子が優れた安全性プロファイルを持ち、Std HPFの細胞生存率と比較して細胞生存率が約20%増加することを示している。結果はまた、VMI NCE 1残留物中の非結合H、非結合P、非結合HPなどの非結合材料が細胞における悪影響の原因であることを示している(VMI NCE 1(1倍)と比較して生存率が40%低下し、Std HPFと比較して生存率が20%低下する)。さらに、VMI NCE 1(5倍)が、Std HPFまたはVMI NCE 1残留物と比較して優れた安全性プロファイルを示すことは注目に値する。同様の結果が
図3Bに示され、VMI NCE 1(1倍)およびVMI NCE 2は、Std HPFと比較してより好ましい安全性プロファイルを示した。
図3Cはさらに、VMI NCE 1ナノ粒子がより安全であるだけでなく、Std HPFと比較して細胞標識に対してより強力であることを実証する。特に、
図3Cは、TEM分析によって、VMI NCE 1が、Std HPFと比較して、より電子密度の高い磁気的に活性なMRI応答性鉄剤を保持することを示している。
【0152】
さらに、得られたVMI NCE 1粒子の総鉄濃度は、実施例3に記載されているように、磁気分離後のペレットに添加される基礎培地の体積を変えることによって調整することができる。特に、磁気分離後のペレットに等体積の基本培地を加えると、VMI NCE 1(1倍)粒子が生成される。ただし、磁気分離後に基本培地1/5の体積をペレットに追加すると、磁気濃度が5倍のVMI NCE 1(5倍)のペレットが得られる。VMI NCE 1(5倍)で標識されたMSCは、VMI NCE 1(1倍)と比較して、鉄含有量がより高く、プルシアンブルー染色がより強く、HPF関連の毒性がわずかに増加しただけであった。(それぞれ、
図4A~4B)。HPF粒子の安定性も調べたところ、Std HPFまたはVMI NCE 1粒子を4℃で1週間、0℃で最大6ヶ月保存した後、標識効率または安全性プロファイルに大きな変化はなかった。
【0153】
このように、そして上記のように、磁気分離によって調製されたHPF粒子は、好ましい安全性プロファイルを有し、標識された細胞に対して最小限の毒性を示す。
【0154】
HPF粒子の物理化学的組成
磁気分離法によって調製されたHPF粒子は、粒子の物理化学的組成が細胞環境に適しているかどうかを判断するために評価された。
【0155】
VMI NCE 1粒子は、最初に細胞環境内での標識効率について試験され、Std HPF粒子と比較された。実施例1および3に記載されるように、2:60:50のHPFおよび2:40:100のHPFおよび磁気分離プロセスを介して調製されたVMI NCE 1粒子の様々なHPF比を有するStd HPF粒子が調製された。
図5Aは、VMI NCE 1粒子と比較して、可変HPF比を有するStd HPF粒子の細胞標識効率の違いを強調する画像を表示している。
図5Aに示すように、非標識細胞、2:60:50のHPF比を有するStd HPF標識細胞、および2:40:100のHPF比を有するStd HPF標識細胞のプルシアンブルー染色は、VMI NCE1標識細胞よりも少なく、VMI NCE 1粒子がStd HPF粒子と比較してより効率的に細胞を標識することを示唆している。
図5Bは、2:60:50のHPF比を有するStd HPF標識細胞、2:40:100のHPF比を有するStd HPF標識細胞、VMI NCE 1標識細胞、および方法1(磁気分離)を使用して生成された2:40:100のHPF粒子で標識された細胞の細胞生存率を示す。
図5Cおよび5Dは、Std HPF粒子およびVMI NCE 1粒子のサイズ分布を示している。表3に列挙されているように、磁気分離中に鉄が濃縮されたHPF粒子は、より大きな粒径を有する。
【0156】
【0157】
次に、HPF粒子を評価して、細胞に曝露された粒子の総数、つまり総鉄含有量および/または粒子濃度を、細胞の健康に影響を与えることなく調整(すなわち増加)できるかどうかを判断した。
図6は、神経幹細胞(NSC)(上の画像)およびMSCなどの低食細胞(下の画像)における開示されたHPF粒子の差次的標識を示す。重要なことに、
図6は、同程度の細胞の健康を維持しながら、細胞に導入されたHPF粒子の濃度を増加させることができることを実証する。特に、これらの結果は、HPF粒子濃度を10倍に増加させることができ、配合物中の望まれない残留毒性成分を増加させることなく、標識効率と鉄担持を増加させることができることを示している。さらに、それぞれNSCおよびMSCの各細胞タイプの細胞の健康を損なうことなく、より強いプルシアンブルー染色によって示されるように、細胞内鉄担持の増加の証拠がある(
図6を参照、標識されたVMI NCE 1の元の強度のNSC対VMI NCE1中間強度のNSCおよびVMI NCE 1の元の強度のMSC対VMI NCE 1検証済み強度のMSCの画像)。検証された強度は、MSCの場合は4倍~6倍であるが、通常は5倍がMSCの場合に良好な強度である。
【0158】
次に、HPF粒子を試験して、血清飢餓を必要とせずに、血清を含む条件下で細胞を効果的に標識できるかどうかを判断した。血清飢餓は細胞の健康に影響を及ぼしたり、すでに確立されているSOPやワークフローを混乱させたりする可能性があるため、これは重要である。
図7は、VMI NCE 1粒子濃度を調整できるだけでなく、粒子が両方の細胞タイプ、すなわちStd HPF標識NSC(上、左端の画像)およびMSC(下、右端の画像)と比較したMSC(上の画像)およびMSC(下の画像)で血清飢餓を必要とせずに血清含有条件下で細胞の効率的かつ効果的な標識を可能にすることを示している。
【0159】
VMI NCE 1粒子が血清含有条件下一晩で効果的に細胞を標識することを決定したので、VMI NCE 1粒子およびVMI磁気標識システム(
図11)を組み合わせて使用して、血清飢餓状態と血清含有条件下の両方で、標識速度を増加させる(短縮された総標識時間)能力を評価した。VMI NCE 1粒子の標識効率の程度を、標準的な血清飢餓条件下(
図8A~8B、上の画像)および血清含有条件下(
図8A~8B、下の画像)で、1~3時間の時間枠以内に各条件下でNSC(8A、上と下)およびMSC(8B、上と下)について決定された。
図8Aおよび8Bに示されるように、各時点(例えば、1時間、2時間、および3時間)での標識は、標識システムを使用しない場合(8Aおよび8Bの左端のパネル(上および下))と比較して両方のタイプの細胞の血清飢餓条件下および血清含有条件下の両方での高強度のPB染色によって示されるように成功した。
【0160】
この研究は、磁気分離によって調製されたVMI NCE 1粒子の物理化学的組成が、血清含有条件下での高効率の細胞標識に適していることを実証した。さらに、VMI磁気標識システムと組み合わせて使用すると、VMI NCE 1粒子により、標識時間が短縮されポイントオブケアでの使用に適する。
【0161】
実施例7:二重画像化VMI NCE1ナノ粒子
細胞標識のために磁気分離によって調製されたナノ粒子を使用することの効率を確立したので、研究の次のステップは、実施例2および3に記載の二重プローブナノ粒子で細胞を標識する能力をさらに調査することであった。
【0162】
実施例2および3に記載されるように、マルチモーダル画像化用の二重画像化剤は、FITC結合ヘパリンをプロタミンおよびフェラヘムと混合して二重プローブStd HPF粒子を形成することによって調製された。磁気分離後に、二重プローブVMI NCE 1が生成され、MSCの標識にその後使用された。二重プローブVMI NCE 1標識細胞は、非標識細胞と比較して、細胞生存率の統計的に有意な低下を示さなかった。
【0163】
蛍光プローブ(すなわち、FITC)により、二重プローブVMI NCE 1の標識効率は、プルシアンブルー染色を使用して鉄担持を決定するだけでなく蛍光活性によっても評価された。(
図9A~9C)。
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、二重プローブVMI NCE 1粒子のプルシアンブルー染色および蛍光活性を示し、
図9Cは、
図9Aおよび9Bの重ね合わせた画像を示す。
【0164】
図10Aは、非標識細胞、二重プローブStd HPF標識細胞、および二重プローブVMI NCE 1標識細胞の細胞生存率を示している。
図10Aに示されるように、二重プローブVMI NCE 1粒子で標識された細胞の生存率は、二重プローブStd HPF粒子で標識された細胞と比較して優れている(生存率の約25%の増加)。
図10Bおよび10Cは、標準的な二重プローブStd HPF粒子および二重プローブVMI NCE 1粒子のサイズ分布を示している。表4に列挙されているように、磁気分離中に鉄が濃縮されたHPF粒子は、より大きな粒径を有する。
【0165】
【0166】
重要なことに、データは、プルシアンブルー染色と蛍光活性によって証明されるように、二重プローブVMI NCE 1粒子が細胞を効率的に標識することを示している。
【0167】
実施例8:VMI NCE1ナノ粒子のMRI活性
次の研究の目的は、磁気共鳴画像法(MRI)用のVMI NCE 1粒子の性能を決定することであった。
【0168】
本明細書に開示される方法を使用して生成および製造されたVMI NCE 1粒子の迅速な取り込みを容易にすることにより、より短い標識時間(例えば、3時間未満)を可能にする磁気標識システムの代表的な図を
図11に示す。VMI磁気標識システムは、永久磁石または電流駆動の一時的な磁石(電磁石)によって生成される磁束密度の変化を利用して、相互作用によってVMI NCE 1磁性粒子に力を加え、懸濁液中の元の位置からの粒子の偏向を引き起こし、これらのナノ粒子の取り込みの促進を助け、3時間未満の短縮された時間枠で所望の鉄担持で細胞を効率的かつ効果的に標識するのに役立つ。磁束密度の変化(400mTを超える大きさの方向および/または大きさ)を、所望の領域の細胞を選択的に標識するために、細胞の所望の領域に曝露することができる。細胞は、適用された磁石の表面から0.00mm~5mmの間に配置するべきである。さらに、粒子収集表面は、磁気分離プロセスのために、適用された磁石の表面から0.00mm~4mm以内であるべきである。
図11は、永久磁石または電流駆動の一時的な磁石による磁束密度の変化を使用して、VMI NCE 1粒子の取り込みを促進し、細胞の望ましい比率と細胞当たりの鉄担持の両方で細胞を効率的かつ効果的に標識することを示している(
図11のステップ(i)を参照)。
図11のステップ(ii)は、VMI磁気標識システムによって誘導された標識の所望の領域での粒子蓄積および標識された細胞の画像を示している。画像のプルシアンブルーの染色は、VMI磁気標識システムを使用しながら、目的の細胞タイプに適した濃度のVMI NCE1粒子に曝露した場合の標識の強度を示している。
【0169】
次に、VMI NCE 1粒子が、Std HPF粒子と比較してMRIで強化された信号を提供する能力について評価した。MRI活性は、従来のMRIシーケンスと定量的MRIシーケンスを使用して、動物MRIスキャナー(7T Bruker PharmaScan)および臨床MRIスキャナー(3T GE-MR750)によって測定された。
図12Aに示されるように、in vitroのT
2およびT
2
* MRI信号は、(a)非標識細胞、(b)標準的なStd HPF標識細胞、(c)元の強度(1倍)のVMI NCE 1標識細胞、(d)低食MSCに対して検証された強度のVMI NCE 1標識細胞、(e)二重プローブStd HPF標識細胞、および(f)二重プローブVMI NCE 1標識細胞について決定された。
図12Bは、臨床スキャナー(3T GE-MR750でのファントム)の代表的なT
2
*強調画像を示す。
図12Bにおいて、層0は非標識幹細胞であり、層1~5は、1500細胞/ul、2500細胞/ul、5000細胞/ul、10,000細胞/ul、および20,000細胞/ulの濃度の磁気標識細胞であった。
図13は、異なるMRパラメータのカラーマップを示している(例えば、(a)QSMマップ(b)T
1マップ(c)T
2マップ(d)T
2
*マップ)(上の画像)。密度とMRパラメータ間の相関フィッティング(下の画像)。最後に、表1は、さまざまな密度での非標識幹細胞とVMI NCE 1標識幹細胞の定量的MR結果を列挙している。
【0170】
【0171】
VMI NCE 1粒子が好ましい磁気プロファイル有することを確認したので、次いで粒子を評価して、VMI NCE 1粒子が細胞由来粒子のin vivo追跡を提供できるかどうかを判断した。
図14は、NSC、MSC、および羊水幹細胞(AFSC)に由来する小胞である細胞由来粒子のHPF粒子標識のTEM画像を示す。
図14に示すように、非標識小胞のTEM分析は、非標識小胞が中空の円盤状の形状を有することを示している。対照的に、標識された小胞は丸く見え、高い電子密度を持っている。標識されていない小胞と標識された小胞の両方を神経膠芽腫細胞株(U251)に導入して、細胞が標識された小胞を取り込むかどうかを決定した。重要なことに、そして
図14に示されるように、プルシアンブルー染色による細胞内の高い鉄担持によって証明されるように、細胞は標識された小胞を効率的に取り込んだ。(
図14、右下の画像)。
【0172】
細胞由来粒子のVMI NCE 1粒子標識は、マウスの罹患した腎臓におけるMRI活性によってさらに調査された。
図15Aは、T2
*強調従来型MRIシーケンスを使用した臨床MRIスキャナー(3T GE-MR750)を用いたVMI NCE 1標識小胞を示し、
図15Bは、7TのBurker社製Pharmascanを用いた罹患した腎臓のT2強調画像中のVMI NCE 1標識小胞を示す。
【0173】
図15Aでは、コントラスト増強信号強度の差、およびVMI NCE 1標識小胞の密度の増加に伴う信号強度の増加を観察することができる。
図15Aでは、(a)および(e)はVMI NCE 1粒子(陽性対照)を示し、(b)および(f)はそれぞれNSCおよびAFSCからの2.5x10
10個の非標識小胞(陰性対照)を示し、(c)および(g)はそれぞれNSCおよびAFSCからの2.5x10
10標識小胞を示し、最後に、(d)および(h)はそれぞれNSCおよびAFSCからの1x10
11標識小胞を示す。
【0174】
図15Bにおいて、(i)は、VMI NCE 1標識小胞(左、管状)、参照(中央、円形)および非標識小胞(右、管)のファントム画像を示し、右の画像は、(j)VMI NCE 1標識小胞の注射前、(k)VMI NCE 1標識小胞の注射後20分、および(l)VMI NCE 1標識小胞の注射後3時間のマウス左腎臓を示す。(k)および(l)とラベル付けされた画像の白い矢印は、罹患した腎臓にVMI NCE 1で標識された小胞が存在することを示す低強度信号を示している。
【0175】
最後に、VMI NCE 1粒子を評価して、治療または再プログラミング用途のために、そのような核酸を細胞に安全かつより効果的に導入するために、粒子内に核酸カーゴを封入できるかどうかを判断した。核酸を封入するVMI NCE 1粒子の能力を評価するために、明視野(BF)および蛍光(すなわち、Hoescht(核)およびDY-547-核酸)アッセイを、非標識NSC(Mock)、残留するHまたはP成分により細胞に既知の毒性作用を有する核酸を運ぶ対照粒子で標識されたNSC、および核酸を運ぶVMI NCE 1粒子で標識されたNSCで行った。
図16に示されるように、VMI NCE 1粒子の物理化学的組成は、核酸の効率的な封入を可能にし、核酸を幹細胞に導入するためのより効果的かつより安全な方法を提供する。
【0176】
本出願で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献は、個々の刊行物、特許、特許出願または他の参考文献がすべての目的のためにその全体が参照により具体的かつ個別に組み込まれることが示された場合と同程度に、あらゆる目的のためにその全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。本明細書における参考文献の引用は、それが本発明の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0177】
特に本発明の範囲内にあることを意図し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるのは、以下の刊行物である。Thu MS,Bryant LH,Coppola T,Jordan EK,Budde MD,Lewis BK,Chaudhry A,Ren J,Varma NR,Arbab AS,Frank JA.Self-assembling nanocomplexes by combining ferumoxytol,heparin and protamine for cell tracking by magnetic resonance imaging.Nat Med.2012;18(3):463-7.Epub 2012/03/01.doi:10.1038/nm.2666.PubMed PMID:22366951;PMCID:PMC3296876。
【国際調査報告】