(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/385 20190101AFI20220216BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20220216BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20220216BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220216BHJP
B29C 44/20 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B29C48/385
C08J9/14 CFD
B29C48/92
B29C44/00 E
B29C44/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538466
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2019096496
(87)【国際公開番号】W WO2020134041
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811637504.9
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286237
【氏名又は名称】恒天生物基材料工程技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHTC BIO-BASED MATERIAL ENGINEERING & TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.339 binhai 4th road, Hangzhou bay new area, Ningbo City, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉偉
(72)【発明者】
【氏名】王 楽軍
(72)【発明者】
【氏名】宋 亜男
(72)【発明者】
【氏名】鄭 宗強
(72)【発明者】
【氏名】劉 怡寧
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA68
4F074AB01
4F074BA33
4F074BA53
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4F074BA58
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4F214UN76
(57)【要約】
本発明によれば、一段押出、二段押出、および発泡シート材の押出を含む高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法が提供される。原料は、重量部でポリ乳酸88~94部、核剤1~2部、発泡剤2~5部、助剤2~5部からなる。本発明によれば、工業生産において二酸化炭素の発泡倍率が低く、強度が高くない等の欠点が克服され、製造された高発泡倍率、表面性能に優れたポリ乳酸シール材は、食品包装および完全に分解可能な使い捨て弁当箱等の分野に適用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一段押出、二段押出、および発泡シート材の押出を含むことを特徴とする、高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項2】
前記一段押出において、各原料の質量部は、ポリ乳酸88~95部、核剤1~2部、発泡剤2~5部、助剤2~5部であり、前記発泡剤はフッ素含有化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項3】
前記発泡剤はクロロジフルオロメタン、トリフルオロトリクロロエタンまたはテトラフルオロジクロロエタンのいずれか1種であり、前記助剤は窒素ガスであり、前記核剤は滑石粉であることを特徴とする、請求項2に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項4】
前記発泡シート材の押出では、一段押出出口での溶融体圧力が12~15Mpa、温度が190℃~200℃に達し、二段押出出口での溶融体圧力が3~6MPa、温度が150~160℃に達したときに、一段スクリュー押出機のスクリュー回転速度を20-50r/min、二段スクリュー押出機のスクリュー回転速度を10-20r/minに設定し、シート金型により押出することにより、発泡シート材が得られることを特徴とする、請求項1に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項5】
前記一段押出では、一段スクリュー押出機のスクリュー直径が135mm、アスペクト比が36:1、スクリューの初期回転速度が5~15r/minであり、フィード口からネックまで順に第1セクション温度から第11セクション温度を設定し、温度範囲を180~200℃に制御することを特徴とする、請求項1に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項6】
前記二段押出では、二段スクリュー押出機のスクリュー直径が150mm、アスペクトが36:1、スクリュー初期回転速度が5~7r/minであり、油温1からヘッドまで8つの金型温度調節機があり、温度を150~170℃に設定し、溶融体圧力は4~6MPaであることを特徴とする、請求項1に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項7】
前記ポリ乳酸は改質された発泡ポリ乳酸原料であり、分子量が12~15万、ポリ乳酸含有量が97%以上であることを特徴とする、請求項2に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項8】
前記窒素ガスの注入圧力が10~15MPa、純度が99.9%以上であり、前記発泡剤の注入圧力が16~20MPaであることを特徴とする、請求項2に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項9】
前記方法は、冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取をさらに含み、
前記冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取において、冷却成形装置により冷却成形し、切り開き、平坦化し、さらに牽引機の牽引速度を設定して冷却牽引し、次に、巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にPLA発泡シート材が得られることを特徴とする、請求項1に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【請求項10】
前記冷却成形装置は、帯電防止冷却サイジングスリーブであり、2台の冷却ファンにより成形シート材に対して環状冷却および成形スリーブ内での水冷を行い、
前記牽引機はロール式牽引機であり、牽引速度が8~12m/minであることを特徴とする、請求項9に記載の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸発泡技術分野に属し、具体的には、高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の速達業界の爆発的な成長と、それが生み出す包装廃棄物による汚染に対して、2016年に、国家郵政局は「グリーン速達業界の包装を促進するための実施計画」を発表し、2018年2月に、品質監督検査検疫総局と国家標準委員会は、「速達包装用品」に関する一連の国家標準を発行し、削減、緑化、リサイクル性の要件に応じて、速達包装量の削減に対して、速達包装袋は白色汚染を削減するために生分解性プラスチックで作成する必要があるという新しい要求が提案された。2018年は「プラスチック制限命令」が出されてから10年である。国家発展改革委員会のウェブサイトは、「プラスチック廃棄物汚染の防止と管理のためのアドバイス」というタイトルのコラムを開き、1月5日から1月31日まで、さまざまな分野のプラスチック製品の管理要件について、あらゆる分野の人々が意見や提案を行うことができる。これは、2008年に「レジ袋の生産と販売の制限に関する国務院弁公庁の通知」が実施されて以来、「白色汚染」を防止および管理するために国レベルで講じられたさらなる措置である。社会の圧力により、美団点評と餓了麼をはじめとする注文プラットフォームは、グリーンな使い捨て食器のプロモーションに着手している。2018年2月28日、ツァイニャオとアリババチャリティー財団、中国環境保護財団、中通、円通、申通、天天、百世速達、韻達等の主な速達会社は、「中国グリーンロジスティクス研究開発資金プログラム」を共同で発表し、テクノロジーの力を利用して業界のアップグレードを支援し、中国をより環境に優しく、よりスマートに、より効率的にすることを期待している。
【0003】
ポリ乳酸は、再生可能な資源に由来する完全に生分解性の材料である。原料の乳酸は、キャッサバ、とうもろこし、甜菜など糖度の高い植物から発酵させ、重縮合して乳酸を生成した後、開環して重合させてポリ乳酸になる。ポリ乳酸は、射出成形、ブリスター成形、ボトルブロー、フィルムブロー、スピニング等の様々な方法で加工することができる。廃棄後、微生物の作用で二酸化炭素と水に分解され、土壌中の水と酸素に分解され、植物の成長に利用される。したがって、ポリ乳酸はそのライフサイクルを通じて過剰な二酸化炭素排出がなく、真にグリーンで低炭素の環境に優しい材料である。ポリ乳酸自体に毒性のある副作用や有害物質の放出がなく、食品との接触に安全な理想的な包装材料である。
【0004】
現在、ポリ乳酸の発展を制約するのは主に性能および価格である。それを発泡材料に製造することによりコストが大幅に削減でき、価格が市販されている一般的なPP食器以下になり、明確な競争上の優位性を有するため、PPとpsによって支配されている今日のプラスチック市場での場所を持っている。石油エネルギーの不足と環境へのダメージの増加、そして伝統的な石油ベースのプラスチックの生態学的汚染に伴い、国内外の生分解性材料、特にポリ乳酸フォーム材料の需要は年々増加しており、ポリ乳酸フォーム材料は大きな市場の可能性を秘めていると言える。近年、高分子材料科学の進歩により、ポリ乳酸の問題は常に解決されており、将来的には、完全に分解可能なポリ乳酸材料が、従来の石油ベースのプラスチックに完全に取って代わり、市場の主流のプラスチック製品になることが期待されている。
【0005】
CN105038161Aには、改質ハロイサイト、ポリ乳酸発泡材料およびその製造と使用が開示されている。ハロイサイトに対して表面ヒドロキシル化改質、表面有機シラン化改質を行い、そして改質されたハロイサイトに二酸化炭素およびポリ乳酸、架橋剤を吸着し、ポリ乳酸発泡材料を製造する。発泡密度は0.038g/cm3、発泡倍率は30倍以上、孔径は10~30μmである。また、発泡材料の溶融指数、溶融強度、引張強さ、曲げ強度、ノッチ付き衝撃強度等が開示されている。この特許のハロイサイトの精製は、比較的複雑であるとともに、使用される溶媒はほとんど人体に有害な危険物であるため、環境保護の要求に違反し、ポリ乳酸発泡材料の工業化に不利である。
【0006】
CN106967280Aには、高倍率で完全に生分解性発泡材料の製造方法が開示されている。ポリ乳酸、反応相溶化剤EC、ポリアジペート/ブチレンテレフタレートおよび有機改質モンモリロナイトを混練し、混合改質マスターバッチを取得し、超臨界二酸化炭素を注入し、発泡して発泡密度が0.0155~0.0205g/cm3、発泡倍率が60~80倍の生成物を得る。この特許によれば、超高倍率の発泡材料が得られるが、倍率の向上に伴い、材料の引張強さ、曲げ強度、ノッチ付き衝撃強度等の機械的特性はいずれも顕著に低下し、使い捨て弁当箱分野での使用を影響する。
【0007】
CN106750486Aには、超臨界流体によりマイクロ発泡ポリ乳酸ベース木質プラスチック複合材料を製造する方法が開示されている。ポリ乳酸、木粉、強化剤、鎖延長剤、潤滑剤、核剤を混合し、二軸スクリュー押出機によりポリ乳酸発泡材料を製造する。発泡孔は均一で、発泡倍率は5~50倍、見掛け密度は0.03~0.3g/cm3、孔径が10~200μmである。この特許において、木粉を添加することにより、発泡孔のサイズのばらつきが大きく、ポリ乳酸シート材の表面光沢に影響を与える。
【0008】
CN108409985Aには、等温前冷結晶化処理によりポリ乳酸発泡倍率を向上させる方法が開示されている。製造されたポリ乳酸発泡材料の発泡倍率は最大17.7倍に達し、発泡孔の直径が18μm、発泡孔密度が2.2×108個/cm3である。この特許では、オートクレーブにより発泡倍率を制御しにくく、ユーザに要求された倍率が安定的な発泡材料が得られない。
【0009】
従来技術の二酸化炭素発泡ガスにより製造されたポリ乳酸発泡材料は、以下の欠点を有する。
(1)発泡材料の機械的特性が保証されるが、発泡倍率が低い。発泡倍率が向上するが、製造された発泡材料の引張強さ、曲げ強度、ノッチ付き衝撃強度等の機械的特性がいずれも顕著に低下する。
(2)発泡サイズおよび発泡倍率は制御しにくく、孔径サイズが均一ではなく、シート材の厚さは均一ではない。
(3)従来技術で製造された発泡材料は、見掛け密度が小さく、機械的強度が低く、生産時に材料に穿孔、破泡が発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術に存在する不足を解決するために、本発明は、高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法を提供する。この方法は、工業化生産に適用でき、市場の需要を満たす完全に分解可能なポリ乳酸発泡シート材を効率的に生産できる。さらに、以下の発明目的を達成することができる。
(1)発泡倍率を向上させるとともに、発泡材料の引張強さ、曲げ強度を向上させる。
(2)発泡サイズおよび発泡倍率が制御されやすく、孔径が均一で、シール材の厚さが均一である。
(3)見掛け密度を向上させ、材料に穿孔、破泡現象がない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的問題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)一段押出
質量部でポリ乳酸88~95部、核剤1~2部、発泡剤2~5部、助剤2~5部を一段スクリュー押出機に注入し、一段スクリュー押出機の各セクションの温度を設定し、原料と発泡剤とが液相として均一に混合した後、初期混合溶融体が得られる。
【0012】
上記ポリ乳酸原料は、改質された発泡ポリ乳酸原料であり、分子量が12~15万、ポリ乳酸含有量が97%以上である。
【0013】
上記発泡剤はフッ素含有化合物であり、気体状態であり、クロロジフルオロメタン、トリフルオロトリクロロエタンまたはテトラフルオロジクロロエタンのいずれか1種である。
上記核剤は滑石粉、上記助剤は窒素ガスである。
フッ素含有化合物発泡剤は、それ自体の圧力だけでポリ乳酸溶融体と良好に融合することができないため、助剤である窒素ガスを使用する必要がある。上記窒素ガスは高圧、高純度の窒素ガスである。窒素ガスの注入圧力は10~15MPa、純度は99.9%以上である。
【0014】
上記発泡剤の注入圧力は16~20MPaである。
【0015】
上記一段スクリュー押出機のフィード口からネックまで順に第1セクション温度から第11セクション温度であり、それらの温度範囲は180~200℃に制御される。
上記一段スクリュー押出機において、フィード口からネックまで順に第1セクション温度が180-185℃、第2セクション温度が182-188℃、第3セクション温度が190℃、第4セクション温度が195℃、第5セクション温度が198-200℃、第6セクション温度が200℃、第7セクション温度が200℃、第8セクション温度が200℃、第9セクション温度が200℃、第10セクション温度が200℃、第11セクション温度が200℃である。
【0016】
上記一段スクリュー押出機は、スクリュー直径が135mm、アスペクト比が36:1、スクリューの初期回転速度が5~15r/minである。
【0017】
(2)二段押出
初期混合溶融体を二段スクリュー押出機に注入し、金型温度調節機により二次温度制御して混合し、各セクションの金型温度調節機の温度を設定し、溶融体がシート材生産の理想的な状態に達するように混合溶融体をさらに溶融、混練、加圧および冷却する。
【0018】
上記二段スクリュー押出機の温度設定について、油温1からヘッドまで順に8つの金型温度調節機があり、それらの温度が150~170℃に制御され、溶融体の圧力が4-6MPaに制御される。二段スクリュー押出機は、スクリュー直径が150mm、アスペクト比が36:1、スクリュー初期回転速度が5~7r/minである。
【0019】
上記二段スクリュー押出機の温度設定は、油温1からヘッドまで順に油温1が165-180℃、油温2が160-168℃、油温3が158-165℃、油温4が156-163℃、油温5が152-160℃、油温6が153-158℃、油温7が152-155℃、油温8が152-155℃である。
【0020】
(3)発泡シート材の押出
上記発泡シート材の押出において、一段押出出口での溶融体圧力が12~15Mpa、温度が190℃~200℃に達し、二段押出出口での溶融体圧力が3~6MPa、温度が150~160℃に達したときに、一段押出機の回転速度を20-50r/min、好ましくは20-30r/minに設定し、二段押出機の回転速度を10-20r/minに設定し、シート金型により発泡シート材を押出する。
【0021】
(4)冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取
冷却成形装置により冷却成形し、切り開き、平坦化し、さらに牽引機により冷却牽引し、次に巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にPLA発泡シート材が得られた。
【0022】
上記冷却成形装置は、帯電防止冷却サイジングスリーブであり、2台の冷却ファンにより成形シート材に対して環状冷却および成形スリーブ内での水冷を行う。上記牽引機はロール式牽引機であり、牽引速度は8~12m/minである。
【0023】
本発明は、二段式タンデム単軸スクリュー押出システムを採用し、一段スクリュー押出機および二段スクリュー押出機を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明では、フッ素含有化合物を物理的発泡剤として使用し、助剤である窒素ガスと併用し、二段式スクリュー押出プロセスと合わせて以下の有益な効果を達成する。
(1)本発明で製造されたポリ乳酸シート材の発泡倍率は13~16倍であり、引張強さは80-88Mpa、曲げ強度は120-128Mpaである。
(2)本発明で製造されたポリ乳酸発泡材料は、孔径が均一で、片材厚さが均一である。シート材は、厚さが2~5mm、好ましくは3.8-4.8mmであり、厚さが均一であり、誤差が±0.1mmに制御することができ、孔径が10~40μm、孔密度が1~2.7x108個/cm3である。
(3)本発明で製造されたポリ乳酸発泡材料は、見掛け密度が0.06~0.18g/cm3、好ましくは0.075-0.092g/cm3であり、材料に穿孔、破泡現象がなく、シート材の発泡孔構造が安定的である。
(4)本発明では、135/150二段式タンデム単軸スクリュー押出システムを採用し、ポリマーの物理的発泡特性に応じて、専用のスクリューCAD設計ソフトウェアにより設計を最適化し、自動油圧スクリーンチェンジャーと併用することにより、高可塑化能力で低温安定押出を実現し、この設備システムにより、幅が1080mmの発泡シート材を効率的で安定的に製造することができ、ポリ乳酸発泡の工業化生産を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の高倍率ポリ乳酸発泡シート材の製造プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
<実施例1>
(1)一段押出
質量部でポリ乳酸88部、核剤である滑石粉2部を一段スクリュー押出機に注入し、溶融体が一段押出により可塑化して混合した後、発泡剤であるクロロジフルオロメタン5部、助剤である窒素ガス5部を一段押出機に注入した。発泡剤の注入圧力は18Mpa、窒素ガスの注入圧力は11Mpaであった。一段スクリュー押出機の各セクションの温度を、フィード口からネックまで順に第1セクション温度が180℃、第2セクション温度が182℃、第3セクション温度が190℃、第4セクション温度が195℃、第5セクション温度が200℃、第6セクション温度が200℃、第7セクション温度が200℃、第8セクション温度が200℃、第9セクション温度が200℃、第10セクション温度が200℃、第11セクション温度が200℃となるように設定した。一段スクリュー押出機の押出速度を10r/minに設定した。原料と発泡剤とが液相として均一に混合した後、初期混合溶融体が得られた。
【0027】
(2)二段押出
初期混合溶融体を二段スクリュー押出機に注入し、金型温度調節機により二次温度制御を行って混合した。溶融体圧力を4~6Mpaに制御した。温度設定は、油温1からヘッドまで順に油温1が165℃、油温2が160℃、油温3が158℃、油温4が158℃、油温5が152℃、油温6が153℃、油温7が153℃、油温8が153℃であった。二段スクリュー押出機の回転速度を5r/minに設定した。
【0028】
混合溶融体をさらに溶融、混練、加圧および冷却した。
【0029】
(3)発泡シート材の押出
溶融体は、一段押出出口での圧力が15Mpa、温度が190℃であり、二段出口での圧力が4Mpa、温度が150℃であった。
【0030】
一段押出機の回転速度を24r/min、二段押出机の回転速度を13r/minに設定した。
【0031】
ダイ間隔が1.5mmとなるようにダイボルトと外ダイボルトを調節した。溶融体をシート金型により筒状に押出して発泡シート材が得られた。
【0032】
(4)冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取
冷却成形装置により成形し、切り開き、平坦化した。さらに牽引機の牽引速度を8m/minに設定し、冷却牽引し、次に巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にはPLA発泡シート材が得られた。
【0033】
得られた発泡シート材は、幅が1m、厚さ4.8mm、見掛け密度が0.075g/cm3、発泡倍率が16倍であった。孔径は30~40μm、孔密度は1x108個/cm3であった。引張強さは80Mpa、曲げ強度は128Mpaであった。
【0034】
<実施例2>
(1)一段押出
質量部でポリ乳酸90部、核剤である滑石粉2部を一段スクリュー押出機に注入し、溶融体が一段押出により可塑化して混合した後、発泡剤であるトリフルオロトリクロロエタン4部、助剤である窒素ガス4部を一段スクリュー押出機に注入した。発泡剤の注入圧力は18Mpa、窒素ガスの注入圧力は12Mpaであった。一段スクリュー押出機の各セクションの温度を、フィード口からネックまで順に第1セクション温度が182℃、第2セクション温度が182℃、第3セクション温度が190℃、第4セクション温度が195℃、第5セクション温度が200℃、第6セクション温度が200℃、第7セクション温度が200℃、第8セクション温度が200℃、第9セクション温度が200℃、第10セクション温度が200℃、第11セクション温度が200℃となるように設定した。一段スクリュー押出機の押出速度を10r/minに設定した。原料と発泡剤とが液相として均一に混合した後、初期混合溶融体が得られた。
【0035】
(2)二段押出
初期混合溶融体を二段スクリュー押出機に注入し、金型温度調節機により二次温度制御を行って混合した。溶融体圧力を4~6Mpaに制御した。温度設定は、油温1からヘッドまで順に油温1が165℃、油温2が165℃、油温3が163℃、油温4が161℃、油温5が158℃、油温6が155℃、油温7が152℃、油温8が152℃であった。二段スクリュー押出機の回転速度を5r/minに設定した。混合溶融体をさらに溶融、混練、加圧および冷却した。
【0036】
(3)発泡シート材の押出
溶融体は、一段押出出口での圧力が15Mpa、温度が195℃になり、二段出口での圧力が4Mpa、温度が155℃になったときに、一段押出機の回転速度を24r/min、二段押出机の回転速度を13r/minに設定した。ダイ間隔が1.4mmとなるようにダイボルトと外ダイボルトを調節した。溶融体をシート金型により筒状に押出して発泡シート材が得られた。
【0037】
(4)冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取
冷却成形装置により成形し、切り開き、平坦化した。さらに牽引機の牽引速度を10m/minに設定し、冷却牽引し、次に巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にはPLA発泡シート材が得られた。
【0038】
得られた発泡シート材は、幅が1m、厚さが4.2mm、見掛け密度が0.08g/cm3、発泡倍率が15であった。孔径が25~40μm、孔密度が2x108個/cm3であった。引張強さが85Mpa、曲げ強度が120Mpaであった。
【0039】
<実施例3>
(1)一段押出
質量部でポリ乳酸91部、核剤である滑石粉2部を一段スクリュー押出機に注入した。溶融体が一段押出により可塑化して混合した後、発泡剤であるテトラフルオロジクロロエタン3.5部、助剤である窒素ガス3.5部を一段スクリュー押出機に注入した。発泡剤の注入圧力は18Mpa、窒素ガスの注入圧力は14Mpaであった。一段スクリュー押出機の各セクションの温度を、フィード口からネックまで順に第1セクション温度が185℃、第2セクション温度が188℃、第3セクション温度が190℃、第4セクション温度が195℃、第5セクション温度が200℃、第6セクション温度が200℃、第7セクション温度が200℃、第8セクション温度が200℃、第9セクション温度が200℃、第10セクション温度が200℃、第11セクション温度が200℃となるように設定した。一段スクリュー押出機の押出速度を10r/minに設定した。原料と発泡剤とが液相として均一に混合した後、初期混合溶融体が得られた。
【0040】
(2)二段押出
初期混合溶融体を二段スクリュー押出機に注入し、金型温度調節機により二次温度制御を行って混合した。溶融体圧力を4~6Mpaに制御した。温度設定は、油温1からヘッドまで順に油温1が165℃、油温2が160℃、油温3が158℃、油温4が156℃、油温5が154℃、油温6が153℃、油温7が153℃、油温8が153℃であった。二段スクリュー押出機の回転速度を5r/minに設定した。混合溶融体をさらに溶融、混練、加圧および冷却した。
【0041】
(3)発泡シート材の押出
溶融体の一段押出圧力が17Mpa、温度が192℃、二段出口での圧力が5Mpa、温度が160℃になったときに、一段押出機の回転速度を24r/min、二段押出机の回転速度を13r/minに設定した。ダイ間隔が1.4mmとなるようにダイボルトと外ダイボルトを調節した。溶融体をシート専用金型により筒状に押出して発泡シート材が得られた。
【0042】
(4)冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取
冷却成形装置により成形し、切り開き、平坦化した。さらに牽引機の牽引速度を10m/minに設定し、冷却牽引し、次に巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にはPLA発泡シート材が得られた。
【0043】
得られた発泡シート材は、幅が1m、厚さが4.0mm、見掛け密度が0.086g/cm3、発泡倍率が14倍であった。孔径が10~30μm、孔密度が2.4x108個/cm3であった。引張強さが86Mpa、曲げ強度が122Mpaであった。
【0044】
<実施例4>
(1)一段押出
質量部でポリ乳酸92部、核剤である滑石粉2部を一段スクリュー押出機に注入し、溶融体が一段押出により可塑化して混合した後、発泡剤であるクロロジフルオロメタン3部、助剤である窒素ガス3部を一段スクリュー押出機に注入した。発泡剤の注入圧力が18Mpa、窒素ガスの注入圧力が15Mpaであった。一段スクリュー押出機の各セクションの温度を、フィード口からネックまで順に第1セクション温度が182℃、第2セクション温度が186℃、第3セクション温度が190℃、第4セクション温度が195℃、第5セクション温度が198℃、第6セクション温度が200℃、第7セクション温度が200℃、第8セクション温度が200℃、第9セクション温度が200℃、第10セクション温度が200℃、第11セクション温度が200℃となるように設定した。一段スクリュー押出機の押出速度を10r/minに設定した。原料と発泡剤とが液相として均一に混合した後、初期混合溶融体が得られた。
【0045】
(2)二段押出
初期混合溶融体を二段スクリュー押出機に注入し、金型温度調節機により二次温度制御を行って混合した。溶融体圧力を4~6Mpaに制御した。温度設定は、油温1からヘッドまで順に油温1が180℃、油温2が168℃、油温3が165℃、油温4が163℃、油温5が160℃、油温6が158℃、油温7が155℃、油温8が155℃であった。二段スクリュー押出機の回転速度を5r/minに設定した。混合溶融体をさらに溶融、混練、加圧および冷却した。
【0046】
(3)発泡シート材の押出
溶融体の一段押出圧力が18Mpa、温度が198℃に達し、二段出口での圧力が6Mpa、温度が153℃になったときに、一段押出機の回転速度を24r/min、二段押出机の回転速度を13r/minに設定した。ダイ間隔が1.3mmとなるようにダイボルトと外ダイボルトを調節した。溶融体をシート専用金型により筒状に押出して発泡シート材が得られた。
【0047】
(4)冷却成形、切り開き、平坦化、牽引、サイジングおよび巻取
冷却成形装置により成形し、切り開き、平坦化した。さらに牽引機の牽引速度を10.5m/minに設定し、冷却牽引し、次に巻取機によりサイジングおよび巻取することにより、最終的にはPLA発泡シート材が得られた。
【0048】
得られた発泡シート材は、幅が1m、厚さが3.8mm、見掛け密度が約0.092g/cm3、発泡倍率が13倍であった。孔径が20~30μm、孔密度が2.7x108個/cm3であった。引張強さが88Mpa、曲げ強度が128Mpaであった。
【0049】
本発明では、フッ素化物を発泡剤とすることにより、ポリ乳酸溶融体と良好に融合することができる。二段式タンデム単軸スクリュー押出システムを採用し、一段押出では電気加熱によりポリ乳酸原料を高速昇温することができ、二段押出では8つの金型温度調節機により各セクションの温度を正確に制御することにより、ポリ乳酸溶融体と発泡剤が良好に融合することができる。
【国際調査報告】