(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】徹照による管腔内でのチューブの位置決め
(51)【国際特許分類】
A61B 18/22 20060101AFI20220216BHJP
A61J 15/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61B18/22
A61J15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538760
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2019069111
(87)【国際公開番号】W WO2020142518
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518150541
【氏名又は名称】アセラ・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】514283054
【氏名又は名称】株式会社ニューロシューティカルズ
(71)【出願人】
【識別番号】521288334
【氏名又は名称】フラーエン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FRAEN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】80 Newcrossing Road, Reading, MA 01867 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】三池 信也
(72)【発明者】
【氏名】ルート, トーマス, ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】エプスタイン, マイケル, エス.
(72)【発明者】
【氏名】クック, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, カールトン
【テーマコード(参考)】
4C026
4C047
【Fターム(参考)】
4C026AA08
4C026BB08
4C026DD10
4C026FF17
4C026FF18
4C026FF22
4C047NN15
(57)【要約】
【要約】
患者の体内の管腔を照明するための照明システムであって、近位端と、対向する遠位端と、内部チャンバとを備えたチューブであって、体の管腔内に配置するように構成されたチューブとを含む照明システム。このシステムは、さらに、チューブの内部チャンバ内に取り付けられるようサイズ決めされかつ構成された光ファイバーと、光ファイバーケーブルによって放射される光を発生するための光源とを含む照明サブシステムとを含む。チューブ内に装着されかつ光源が光を発生すると、光ファイバーは、患者の管腔内でチューブの遠位端の位置を確認可能とするため、チューブの遠位端で光を放射して管腔および周囲の組織を徹照する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の管腔を照明するための照明システムであって:
近位端と、対向する遠位端と、内部チャンバとを備えたチューブであって、前記体の管腔内に配置するように構成されたチューブと、
前記チューブの前記内部チャンバ内に取り付けられるようサイズ決めされかつ構成された光ファイバーと、前記光ファイバーケーブルによって放射される光を発生するための光源とを含む照明サブシステムとを含み、
前記光ファイバーが前記チューブ内に装着されて、前記光源が光を発生すると、前記光ファイバーは、前記患者の前記管腔内で前記チューブの前記遠位端の位置を確認可能とするため、前記チューブの前記遠位端で光を放射して前記管腔および周囲の組織を徹照する、システム。
【請求項2】
前記チューブは、その壁部に形成された少なくとも1つの開口部を備え、前記光ファイバーは、前記光源からの光を受けるように構成された近位端と、前記光源からの光が前記光ファイバーから出る少なくとも1つの発光セグメントが形成された遠位端とを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光ファイバーは、前記少なくとも1つの発光セグメントが前記チューブの前記壁部の前記少なくとも1つの開口部に実質的に隣接して配置されるように、前記チューブに結合され、前記少なくとも1つの開口部を介して前記光ファイバーを出る前記光の少なくとも一部が、前記管腔内で前記チューブの配置を案内するために外部で検出可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記発光セグメントおよび前記開口部が互いに位置合わせして配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記チューブは、その壁部に形成された複数の開口部を備え、前記光ファイバーは、前記光源から受け取られる光を放射するための少なくとも1つの発光セグメントを含み、前記発光セグメントは、前記複数の開口部の1つと位置合わせして配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューブは、その壁部に形成された複数の開口部を備え、前記光ファイバーは、前記光源から受け取られる光を放射するための複数の発光セグメントを含み、前記発光セグメントのぞれぞれは、前記複数の開口部の1つと位置合わせして配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記チューブは、その壁部に形成された少なくとも1つの開口部を含み、前記システムは、前記開口部に取り付けられた窓要素をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記チューブが、個人に栄養を投与するための通路を備えた鼻腔栄養供給チューブを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ファイバーが少なくとも1つの発光セグメントを含み、当該セグメントが、それ自体を出る光の側部放射を可能とするよう配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光ファイバーが少なくとも1つの発光セグメントを含み、当該セグメントが、その遠位端からの光の軸方向放射を可能とするよう配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光ファイバーの遠位端は、そこから放射される光を前記チューブの前記少なくとも1つの開口部に向けて送出するよう屈曲している、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記チューブは、その壁部に形成された少なくとも1つの開口部を前記チューブの遠位端に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記光ファイバーが前記チューブの内表面に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記チューブの壁部が、前記光ファイバーによって放射される光に対して実質的に透明である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記チューブは、光学シリコーンゴム、ポリエチレン、またはポリカーボネートから構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記光源が可視光源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記可視光は実質的に単色である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記可視光は白色光である、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記光源が赤外線源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記近赤外線光源は、約810 nmから約850 nmまでの範囲の1つまたは複数の波長を持つ放射光を発する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記光源が、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記チューブの前記遠位端で放射される前記光が、前記管腔および周囲の組織を徹照して、前記患者の前記管腔内で前記チューブの前記遠位端の位置を視覚的に確認可能とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記光源からの光を前記光ファイバーに結合するレンズをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記光ファイバーが、単一モードファイバーまたは多モードファイバーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記光ファイバーが、約0.5 mmと約2 mmとの間の範囲の直径を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記光を前記患者の前記組織を通過した後に検出するための検出器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記検出器がカメラまたは赤外線検出器を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
鼻腔システムであって:
光を発生する光源と、
前記光源から受け取られる光を放射するために前記光源に結合された光ファイバーと、
前記光ファイバーに結合され、近位端および遠位端を備え、患者の胃腸管内に配置されるよう構成されたチューブであって、前記光源からの前記光をその近位端で受け取るよう構成された管状側壁をさらに備えたチューブとを含み、
前記管状壁は前記光に対して実質的に透明であり、前記光は、前記管状壁に沿って部分的に伝達され、胃腸管内での前記チューブの展開と配置を案内するため、前記患者の周囲組織を通過した後に外部で検出されるように、前記管状壁の外表面の通過を介して外部環境に部分的に伝達される、鼻腔システム。
【請求項29】
前記チューブは、前記患者に薬剤または栄養を投与するよう構成されている、請求項28に記載の鼻腔システム。
【請求項30】
前記チューブはシリコーンゴムを含む、請求項28に記載の鼻腔システム。
【請求項31】
前記光源は、電磁スペクトルの可視、近赤外線、または赤外線領域の何れかの光を放射する、請求項28に記載の鼻腔システム。
【請求項32】
前記光源は実質的に単色光を放射する、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
鼻腔システムであって:
近位端および遠位端を備え、患者の胃腸管内に配置されるよう構成されたチューブと、
前記チューブに結合された発光ダイオード(LED)とを含み、
前記LEDにより放射された光の少なくとも一部が、組織を通過し、前記胃腸管内で前記チューブの展開および配置を案内するために外部で検出される、鼻腔システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、引用してその内容を本明細書に援用する、「徹照による管腔内での鼻腔チューブの位置決め」と題した2019年1月2日付けの米国特許仮出願第62/787,688号の優先権を主張する。
【0002】
背景技術
本発明は、概して、患者内の管腔を照明するためのシステムおよび方法に関するものであり、特に、本発明は、照明チューブであって、当該チューブに結合された光源から放射される光を監視することにより、例えば胃腸管などの患者の管腔に沿って安全に誘導することができる照明チューブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
米国では毎年、約120万本の鼻腔チューブが患者体内に留置され、それらチューブのかなりの割合が小児患者体内に留置される。鼻腔チューブの一例として、患者に水、栄養、および/または薬剤を投与するための鼻腔栄養供給チューブがある。例えば、所謂ドブホフ栄養チューブ(Dobbhoff feeding tube)は、患者の鼻から胃まで、そして胃から小腸の最初の部分(十二指腸)まで挿入することができる小さな口径の柔軟なチューブである。これは、X線または螢光透視鏡を使って配置できるように、放射線不透過性の高分子材料で作られている。鼻腔チューブは、他の目的でも使用できる。例えば、鼻腔チューブは、手術のためや吐き気/嘔吐の防止のための胃の減圧など、さまざまな目的で使用できる大口径のチューブ形状とすることができる。
【0004】
鼻腔チューブを患者に挿入することは比較的日常的な業務であるが、各挿入にはリスクが伴う。鼻腔チューブが誤って配置されると、重篤で時には致命的な合併症に至ることもある。鼻腔チューブの留置を確認するための従来の方法として、胃の吸引物の酸度を測定するものがある。他の方法では、鼻腔チューブの位置を確認するために放射線透視撮影を使用する。しかし、これらの従来の方法にはいくつかの欠点がある。例えば、酸度を測定は、鼻腔チューブの配置を誤確認してしまうことがある。さらに、小児患者では、放射線透視撮影に伴う放射線被曝が非常に懸念される。
【0005】
従って、鼻腔栄養供給装置の改善や、患者の胃腸管への挿入方法の改善の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、光ファイバーケーブルおよび付属の光源によって患者の内側または内部の管腔を光で照明して、前記光の少なくとも一部が、例えば、裸眼またはカメラを介して外部で観察可能とする機能に関する。観察された光は、診断および/または治療チューブ(例えば、カテーテル)を前記管腔内で案内するために使用できる。前記内部管腔は、鼻腔の通路、心臓の通路などの任意の適切な管腔でよい。
【0007】
一実施例によれば、本発明は、患者の体内の管腔を照明するための照明システムに関するもので、当該システムは、近位端と、対向する遠位端と、内部チャンバとを備えたチューブであって、前記体の管腔内に配置するように構成されたチューブと、前記チューブの前記内部チャンバ内に取り付けられるようサイズ決めされかつ構成された光ファイバーと、前記光ファイバーケーブルによって放射される光を発生するための光源とを含む照明サブシステムとを含む。前記光ファイバーが前記チューブ内に装着されて、前記光源が光を発生すると、前記光ファイバーは、前記患者の前記管腔内で前記チューブの前記遠位端の位置を確認可能とするため、前記チューブの前記遠位端で光を放射して前記管腔および周囲の組織を徹照する。
【0008】
前記チューブは、その壁部に形成された少なくとも1つの開口部を備え、前記光ファイバーは、前記光源からの光を受けるように構成された近位端と、前記光源からの光が前記光ファイバーから出る少なくとも1つの発光セグメントが形成された遠位端とを有する。前記光ファイバーは、前記少なくとも1つの発光セグメントが前記チューブの前記壁部の前記少なくとも1つの開口部に実質的に隣接して配置されるように、前記チューブに結合され、前記少なくとも1つの開口部を介して前記光ファイバーを出る前記光の少なくとも一部が、前記管腔内で前記チューブの配置を案内するために外部で検出できる。前記発光セグメントおよび前記開口部は、互いに位置合わせして配置できる。
【0009】
一実施例では、前記チューブは、その壁部に形成された複数の開口部を備えることができ、前記光ファイバーは、前記光源から受け取られる光を放射するための少なくとも1つの発光セグメントを含み、前記発光セグメントは、前記複数の開口部の1つと位置合わせして配置されている。
【0010】
前記チューブは、その壁部に形成された複数の開口部を備えることができ、前記光ファイバーは、前記光源から受け取られる光を放射するための複数の発光セグメントを含むことができ、前記発光セグメントのぞれぞれは、前記複数の開口部の1つと位置合わせして配置されている。
【0011】
一実施形態では、前記照明システムは、前記チューブが鼻腔装置に対応するよう構成できる。前記チューブは、近位端および遠位端を備え、個人の胃腸管内に配置されるよう構成されており、前記チューブは、その壁部に形成された少なくとも1つの開口部を備えている。前記鼻腔装置は、ファイバーオプチック(ここでは以降、光ファイバーともいう)をさらに含み、当該ファイバーオプチックは、光源からの光を受け取るように構成された近位端から前記光が前記ファイバーオプチックを出る遠位端まで延在し、前記ファイバーオプチックは、光が当該ファイバーオプチックを出る少なくとも1つの発光セグメントを備え、前記光ファイバーは、前記ファイバーオプチックの前記少なくとも1つの発光セグメントが、前記チューブの壁部の前記少なくとも1つの開口部に実質的に隣接して配置されるように、前記チューブに結合され、前記少なくとも1つの開口部を介して前記ファイバーオプチックを出る前記光の少なくとも一部が、前記開口部を通過し、組織を伝播し、前記個人の胃腸管内での前記鼻腔栄養供給チューブの展開および配置を案内するために外部で検出される。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記鼻腔装置は鼻腔栄養供給チューブとすることができ、患者に栄養および/または薬剤を投与するための通路を含む。別の実施形態では、本教示による鼻腔装置は他の目的で使用できる。例えば、前記鼻腔装置は、手術のためかつ/または吐き気/嘔吐を防ぐことを目的として胃を減圧するために負圧を印加できる通路を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックの1つまたは複数の発光セグメントは、前記ファイバーの遠位領域に配置させることができる。いくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックの1つまたは複数の発光セグメントは、前記光を側部から放射するよう構成できる。いくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックの1つまたは複数の発光セグメントは、前記ファイバーオプチックの前記遠位端から光を照射するよう構成できる。いくつかのそのような実施形態では、前記光は、前記ファイバーオプチックの軸方向に沿って放射され、その際に当該放射光が発散され、その結果、前記患者の胃腸管内で前記チューブを案内可能な態様で、前記光の少なくとも一部が外部で観察される。さらに、前記ファイバーオプチックの前記遠位端から前記光が放射されるいくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックの前記遠位領域は、前記チューブの開口部と実質的に位置合わせされるよう屈曲され、その結果、前記ファイバーによって放射される前記光と前記開口部との間の光学結合を向上させる。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明による鼻腔装置の前記チューブは、複数の開口部を含むことができ、前記ファイバーオプチックは、複数の発光セグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックは、前記複数の発光セグメントのそれぞれが、前記チューブの前記開口部の1つと実質的に位置合わせされるように前記チューブ内に配置されており、患者の胃腸管内での前記チューブの配置を容易にするために、複数の方向に光を放射するようになっている。いくつかの実施形態では、前記チューブが患者の胃腸管に沿って案内される際に、その回転方向に関係なく前記チューブを監視できるよう、前記複数の開口部が前記チューブ内で配置されている。例えば、前記複数の開口部は、前記チューブの断面円周上に実質的に均一に分散させることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記ファイバーオプチックは、前記チューブの壁部の内表面に例えば接着などにより取り付けできる。前記ファイバーオプチックをこのように配置することによって、有利なことに、徹照による前記チューブの監視が容易になる。
【0016】
前記チューブは、様々な異なる高分子材料で形成できる。一般的に、任意の適切な高分子材料が使用できる。このような材料の例としては、シリコーンゴム、ポリウレタンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
前記鼻腔装置は、前記光ファイバーに光学的に結合され、前記ファイバーに光を提供する光源をさらに含むことができる。例えば、光を前記光ファイバーに送出するため、前記ファイバーの前記近位端に前記光源を結合すればよい。本発明のこの実施例では、様々な光源を採用することができる。適切な光源の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、白熱光源などが含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、前記光源は可視光線を放射することができる一方で、他の実施形態では、前記光源は、電磁スペクトルの近赤外領域の光を放射することができる。さらに、いくつかの実施形態では、前記放射された光は白色光でよいが、他の実施形態では、前記光源は、実質的に単色光、例えば赤色光を放射することができる。いくつかの実施形態では、前記光源は、約810 nmから約850 nmの範囲の波長を持つ光を放射することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記光ファイバーは単一モードであるが、他の実施形態では、多モードファイバーでもよい。前記光ファイバーは、例えば、約0.5 mmから約2 mmの範囲の直径を備えることができ、前記鼻腔チューブ内に挿入可能であれば、他の直径を使用することもできる。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記ファイバーを前記患者の胃腸管内で案内可能にするため、外部検出器を使用して前記光ファイバーから放射される光を外部で検出できる。例えば、いくつかの実施形態では、前記組織を通過した前記光を検出するために、カメラを使用することができる。幾つかの実施形態では、前記カメラは、可視または赤外線カメラとすることができる。
【0020】
関連した側面では、鼻腔装置が開示されており、当該装置は、近位端および遠位端を備えたチューブであって、個人の胃腸管内に配置されるよう構成されたチューブを含む。前記チューブは、その近位端で光源からの受け取るよう構成された管状側壁を含むことができる。前記管状側壁は前記受け取られた光に対して実質的に透明であり、前記光は、前記管状壁に沿って部分的に伝達され、前記個人の胃腸管内での前記鼻腔栄養供給チューブの展開と配置を案内するため、組織を通過した後に外部で検出されるように、前記管状壁の外表面の通過を介して外部環境に部分的に伝達される。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記鼻腔装置は鼻腔栄養供給チューブとすることができ、患者に薬剤および/または栄養を投与するための通路を含むことができる。別の実施形態では、本教示による鼻腔装置は他の目的で使用できる。例えば、前記鼻腔装置は、手術のためかつ/または吐き気/嘔吐を防ぐことを目的として胃を減圧するために負圧を印加できる通路を含むことができる。
【0022】
一例として、前記管状壁は、透明なシリコーンゴムまたは他の適切な任意の材料で形成することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記管状壁の実質的な全体が確実に照明されるように、複数の光源が前記管状壁の前記近位端に光学的に結合され、複数の点から前記管状壁に光を送出する。これにより、前記個人の胃腸管内での前記チューブの回転方向に関わらず、前記チューブを外部から監視できるようになる。
【0024】
関連した側面では、鼻腔栄養供給装置が開示されており、当該装置は、近位端および遠位端を備えたチューブであって、個人の胃腸管内に配置されるよう構成されたチューブを含む。発光セグメント(LED)が、当該LEDによって発光された光の少なくとも一部が前記開口部を通過するように前記チューブに結合されている。前記開口部を通過する前記光の少なくとも一部は、前記周囲の組織の少なくとも一部を通過して、前記個人の胃腸管への前記鼻腔チューブの展開および配置を案内するために、外部から検出することができる。例えば、前記LEDは、この栄養供給チューブの前記遠位領域の前記開口部に近接して(好ましくは実質的に位置合わせして)前記チューブの前記遠位領域に配置することで、前記LEDが発する前記光を前記チューブの開口部に効率的に結合することができる。また、前記チューブ内に延在する複数の導体を前記LEDに接続して前記LEDに電力を供給することもできる。幾つかの実施形態では、前記導体は電気絶縁スリーブ内に配置することができる。
【0025】
関連した側面では、鼻腔栄養供給装置が開示されており、当該装置は、近位端および遠位端を備えた栄養供給チューブを含んでいる。前記チューブの前記遠位端にレンズが結合されている。さらに、前記チューブ内には光ファイバーが配置されており、その遠位端が前記レンズに光学的に結合されている。光源を用いて、光を前記光ファイバーの近位端に送出することができる。前記光は、前記光ファイバーによってその遠位端で放射され、前記レンズに結合させることができる。いくつかの実施形態では、発散レンズを採用することができ、このレンズは前記光ファイバーから受け取られた前記光を発散させて、前記光の少なくとも一部が周囲の組織の一部を透過して外部で検出されるようにすることができる(例えば、視覚化および/または外部検出器(カメラなど)を介して)。前記レンズは、様々な適切な高分子材料などの様々な異なる材料で形成できる。
【0026】
関連した側面では、鼻腔装置が開示されており、当該装置は、近位端および遠位端を備え、個人の胃腸管内に配置されるよう構成されたチューブであって、その壁部に窓を備えたチューブと、光源からの光を受け取るように構成された近位端と、遠位端とを含む少なくとも1つのファイバーオプチックとを含み、当該ファイバーオプチックは少なくとも1つの発光セグメントを備えている。前記ファイバーオプチックは、前記ファイバーオプチックの前記少なくとも1つの発光セグメントが、前記チューブの壁部の前記少なくとも1つの開口部に実質的に隣接して配置されるように、前記チューブに結合され、前記少なくとも1つの開口部を介して前記ファイバーオプチックを出る前記光の少なくとも一部は、前記個人の胃腸管内でこの鼻腔チューブの配置を案内するために外部で検出できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記窓は、前記ファイバーオプチックによって放射される前記光に対して実質的に透明である。いくつかの実施形態では、前記チューブは複数の窓を含み、それらの1つまたは複数を介して前記ファイバーオプチックが放射する前記光が、前記チューブを囲む前記組織の少なくとも一部を徹照する。実施形態によっては、前記窓はカラーフィルターを含むことができる。いくつかの実施形態では、前記鼻腔装置は、患者に薬剤および/または栄養のいずれかを投与するように構成されている。いくつかの実施形態では、前記鼻腔装置は、患者の胃に吸引力を印加するように構成されている。
【0028】
本発明の様々な側面のさらなる理解は、以下に簡単に説明する関連する図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の上記及びその他の特徴及び利点は、次の詳細な説明と添付の図面を参照すればより完全に理解されるはずであり、図面の中の類似した参照記号は、これら複数の図面を通して類似の部材を示す。これら図面は本発明の原理を表すもので、縮尺は一定ではないが、相対的寸法を示す。
【
図1】
図1Aは、光ファイバーに結合された胃腸栄養供給装置の形式のチューブを含む本発明の照明システムを概略的に示している。
図1Bは、光ファイバーの発光セグメントであって、チューブに設けられた複数の開口部のうち、当該光ファイバーが発する光が通過して外部で検出可能となる少なくとも1つの開口部に近接して配置された光ファイバーの発光セグメントを概略的に示したものである。
図1Cは、光ファイバをチューブの内壁に接着することができることを概略的に示す。
図1Dは、本発明の様々な実施形態で使用するのに適した3つの異なる種類の光ファイバーを示す。
図1Eは、いくつかの実施形態において、光ファイバーを使い捨てであることを概略的に示す。
【
図2】
図2Aは、
図1Aに示した手持ち形の光源の一部を概略的に示したもので、光源のハウジングに設けられた封入容器にLEDが配置されていることを示している。
図2Bは、
図1Aに図示した手持ち形光源の一部の別の図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の教示に従って、胃腸栄養供給装置で使用される光ファイバーを、光を受け取るためにレーザーダイオードに結合する一例を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の教示による、光ファイバーの発光セグメントの、胃腸栄養供給装置のチューブに設けられた開口部への光結合を概略的に示す。
【
図5】
図5Aは、本発明の一実施形態による胃腸栄養供給装置のチューブを概略的に示しており、ここで栄養チューブはその遠位端に開口部を有し、光ファイバーは、栄養チューブの遠位開口部に光学的に結合された発光セグメントを含む。
図5Bは、丸みを帯びた発光遠位端を有する光ファイバーを備えた胃腸栄養供給装置の栄養チューブを概略的に示しており、発光遠位端は、このチューブに設けられた遠位開口部に光学的に結合されている。
【
図6】
図6は、実施形態による胃腸栄養供給装置のチューブを概略的に示し、この栄養供給装置は、チューブの側壁に配置された開口部に光結合された屈曲した発光遠位端を備えた光ファイバを有する。
【
図7】
図7Aは、光ファイバーが内部に配置され本教示の一実施形態に係るチューブを概略的に示しており、ここでは、患者の管腔内でのチューブの配置および誘導を容易にするために、光ファイバーの遠位端から放射された光が、チューブの周囲の組織の少なくとも一部を徹照して、チューブに設けられた複数の開口部のうち2つの開口部を通過するようになっている。
図7Bは、複数の開口部を有するチューブと、チューブ内に配置されると共に、それぞれがチューブ内に配置された開口部の1つと光学的に結合する複数の発光セグメントを有する光ファイバーを概略的に示している。
図7Cは、チューブ内に配置された光ファイバーによって照射された光がチューブから出て周囲の組織の少なくとも一部を徹照可能な2つの窓を有し、さらに複数の開口部を有する本発明の照明システムの一実施形態を概略的に示す。
図7Dは、本発明の照明システムの一実施形態を概略的に示しており、チューブが窓要素を取り付ける開口部を有し、チューブ内に配置された光ファイバーによって放射された光が、窓要素を介してチューブから出て、周囲の組織の少なくとも一部を徹照可能できる。
【
図8】
図8は、本発明の照明システムの一実施形態を概略的に示し、ここでは、チューブが、チューブ内に配置された光ファイバーからの光を受け取るためにその遠位端に配置されたレンズを含む。
【
図9】
図9は、本発明の照明システムの一実施形態を概略的に示しており、ここでは、チューブに設けられた開口部に近接して配置された光源(例えば、LED)が、患者の組織を徹照して、患者の胃腸管内での装置の安全な位置決めを可能にする。
【
図10】
図10は、チューブがその近位端で1つまたは複数の光源からの光を受け取るように構成されている、本発明の照明システムの一実施形態を概略的に示す。
【
図11】
図11は、本発明の照明システムの概略図であり、チューブが、心臓処置の際に患者の静脈などの管腔内に取り付けるためのカテーテルとして構成されている。
【
図12】
図12は、血管形成術を行うための一実施形態による本発明の照明システムの概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、一般に、人体内の管腔を照明するためのシステム、方法、および装置に関するものであり、例えば、患者の管腔内で位置決めするチューブを含むことができ、チューブは、その遠位領域に少なくとも開口部および/または窓を含む。このような装置は、光をチューブに送出する照明システムまたはサブシステムを含むことができ、送出された光の少なくとも一部が、開口部および/または窓を通って外部から(視覚化などによって)検出されるようになっており、それによって、ユーザが、管腔内でのチューブの配置を案内できるようになっている。本明細書では、「管腔(lumen)」という用語は、人体内の任意の内部通路または開口部を含むことが意図されており、鼻腔、胃の通路および空洞、腸管および開口部、食道の通路、心臓の通路、静脈、毛細管および大動脈の通路、気管支の通路、子宮管および開口部などを含むことができる。本発明の一実施形態によれば、本発明により、徹照を介して胃腸チューブや心管の位置決めが可能となる。いくつかの実施形態では、この照明サブシステムは、遠隔光源から受け取った光をチューブの遠位領域に配置された開口部(および/または窓)に伝達するために、チューブ内に配置された光ファイバーを含むことができる。他の実施形態では、チューブ内に光源を配置して、開口部(および/または窓)に光を送出することができる。さらに、いくつかの実施形態では、チューブの遠位端にレンズを結合して、チューブ内に配置された光ファイバーからの光を受け取ることができる。いくつかのそのような実施形態では、レンズは、光の少なくとも一部が周囲の組織の一部を出て外部で検出されるように、それ自身に入射する光の発散を引き起こす発散レンズとすることができる。本教示による鼻腔装置は、様々な異なる目的で使用できる。例えば、いくつかの実施形態では、鼻腔装置は、患者に薬剤および/または栄養を投与するように構成することができる。他の実施形態では、本教示による鼻腔装置を使用して、手術のためかつ/または吐き気/嘔吐を防ぐために胃を減圧することができる。以下に説明するいくつかの実施形態では、本教示による鼻腔装置は、患者に栄養および/または薬を投与するための鼻腔栄養供給装置として構成されているが、本発明の教示は、他の種類の鼻腔装置、例えば、患者の胃を減圧するように構成されたものにも同様に適用可能であることを理解されたい。
【0031】
本明細書では、特に断りのない限り、さまざまな用語がそれらの通常の意味で使用されている。本明細書では、「光」および「放射(radiation)」という用語を互換的に使用し、可視光放射だけでなく、近赤外などの電磁スペクトルの他の領域の放射も指す。さらに、本明細書では、「ファイバーオプチック」および「光ファイバー」という用語が互換的に使用されており、電磁放射を伝送することができる導波管を指す。ここでいう「可視光」とは、約400 nmから約700 nmの範囲の波長を持つ放射光を指し、「近赤外線」とは、約750 nmから約2500 nmの範囲の波長を持つ放射を指す。本明細書で用いる「徹照(transillumination)」とは、例えば、体の管腔の中でチューブを誘導するために、体の一部に光を通過させることをいう。
【0032】
図1A-
図1Eは、体の管腔内の特定の場所や部位に光を送出することができる照明システムを概略的に示したものである。一実施例によれば、この照明システムは、例えば経腸栄養剤の投与または胃の圧迫のために、胃腸管のような患者の管腔に配置するように構成されたチューブ12を含む鼻腔システム10として構成することができる。チューブ12は、近位端12aおよび遠位端12bを含むことができる。いくつかの実施形態では、チューブ12は、出口ポート18で終端している。入口ポート14は、チューブ区間16を介して、チューブ12の近位端に流体的に結合されている。入口ポート14は、サンプポート(sump port)のような任意の適切なポートとして構成することができる。鼻腔システム10が、患者に栄養および/または薬剤を投与するように構成されたいくつかの実施形態では、出口ポート18は、そのような栄養および/または薬剤を患者の胃腸管に導入するために使用することができる。他の実施形態では、例えば、患者の胃から空気を除去してチューブ12から放射される任意の光の視認性を高めるようにするために、出口ポート18を用いてチューブをポンプに接続することができる。チューブ12は、チューブ12の遠位端12bに配置された複数の開口部30a、30b、30c、および30d(ここでは総称して開口部30と呼ぶ)を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、開口部30の少なくとも1つは、チューブ12が患者の胃腸管などの管腔内に挿入されて案内されているときに、例えば視覚化または検出器を介した検出などによるチューブの追跡を可能にするように、チューブの内部チャンバ12dに組み込まれた光ファイバーから放射される光の通過を可能にすることができる。
【0033】
より具体的には、鼻腔システム10は、チューブ12の内壁12cに取り付けられると共にチューブ12の近位端12aから遠位端12bまで延伸できる光ファイバー20を含む。いくつかの実施形態では、光ファイバー20は、様々な異なる方法でチューブの内壁12cに取り付けることができる。一例として、
図1Cに模式的に示すように、光ファイバー20は、チューブ12の内壁12cに接着することができる。
【0034】
他の実施形態では、光ファイバー20はチューブ12内に配置でき、チューブ12が患者の胃腸管内に配置された後、例えば、チューブ12の遠位領域12bが患者の胃および/または十二指腸内に配置された後に、光ファイバー20を挿入または抽出できる。例えば、光ファイバー20をチューブに接着または他の方法で取り付けることなく、光ファイバーをチューブ12に挿入することができる。図示した光ファイバー20は、近位端20aと遠位端20bとを有する。光ファイバー20の近位端20aは、光源22に光学的に結合されている。光源22は、任意の選択されたサイズ、形状または構成を有することができ、光を発生するための任意の適切な種類の放射または光要素を採用することができ、任意の適切な種類の電源に結合することができる。一実施形態によれば、光源22は、光を発生させることができる手持ち形の電池式光源として構成することができる。電磁スペクトルの可視および/または赤外線領域を発する様々な光源が使用できる。この実施形態では、手持ち形光源22は、発光ダイオード(LED)を含む。いくつかの実施形態では、最小で約5000 CCT(相関色温度)から約6200 CCTまでの400-700 nmの範囲の波長を持つ白色光を使用することができる。また、単色光(例えば、赤色光)や非可視光(例えば、波長が700 nmを上回る)、すなわち近赤外線(700 nm-1400 nm)を採用することも可能である。他の実施形態では、電磁スペクトルの赤外線部分、例えば、約600 nmから2500 nmの波長範囲の発光を行うLEDを採用することができる。このようなLEDの例としては、CREE社がPhoto Red LED (XQEEPR)という商品名で販売しているものがある。また、光ファイバーは、プラスチックなどの任意の適切な材料で構成することができる。
【0035】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、光源22は、当該光源のハウジング28に設けられた封入容器26に配置されたLED24などの光素子を含む。また、封入容器26にはレンズ30が設けられており、LED24と光学的に結合してその光を受け取る。また、ハウジングには、封入容器26内に設けられた肩部29に着座可能なカラー31aを含むレンズ31が取り付けられており、それによってレンズ31を当該封入容器内に保持すると共に、LED24と光学的に結合または連通させている。ファイバーオプチックアダプタ32が、ハウジング28の上部中空円筒部34に取り外し可能かつ交換可能に収容されており、光ファイバー20をLED24に結合することができる。この実施形態では、ファイバーオプチックアダプタ32は、上部中空円筒部34の内壁に設けられた複数の嵌合ネジ山37と係合できる複数のネジ山35を含むことができる。
【0036】
レンズ31は、近位部40と遠位部42とを含む。レンズの近位部40は、LED24からの光がレンズに入射できる凹部33を含む。近位部40は、入射した光を全内反射を介して遠位部に向けて反射するように構成された側方表面40aを含む。凹部33を介してレンズに入る光の一部は、その側方表面40aで反射されることなく、レンズの近位部を通過してレンズの遠位部に到達する。この光は、レンズの遠位部を通過し、レンズの出力面44から出る。本実施形態では、レンズの出力面44を覆って光学窓50が配置されている。光学窓50は、レンズの出力面を保護することができ、また、いくつかの実施形態では、光学窓50は、レンズを出る光の1つ以上の特性を調整することができる。例として、光学窓50は、レンズから出る特定の波長の光を通過させる一方で、他の波長を遮断するフィルター、例えば、帯域フィルターとして機能するように選択することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、レンズ31は、LED24から受け取った光を、光ファイバーの入力面に近接する外部焦点に集束するように構成して、焦点から光ファイバー20の入力へと伝播する光の発散角を、光ファイバーの開口数と実質的に一致させて、光ファイバーへの光の効率的な結合を可能にすることができる。
【0038】
他の実施形態では、光ファイバー20は、他の機構を用いて光源22に光学的に結合させることができる。例えば、
図3を参照すると、光源22は、ハウジング54を備えたレーザーダイオード52とすることができ、このハウジングには、レーザーダイオードからの光を受けるように光ファイバー20が結合できるファイバーオプチック結合部53を、例えば摩擦嵌めを介して収容するための開口部54aが形成されている。場合によっては、フランジ(図示せず)を使用して、ファイバー結合部53の近位端が、光源のハウジングの開口部に確実に結合されるようにすることができる。
【0039】
図1A、
図1B、および
図4を参照すると、ファイバーの発光セグメント20cが、チューブ12の遠位部分12bにおける1つ以上の開口部30(例えば、開口部30a)と実質的に位置合わせされるように、光ファイバー20がチューブ12内に配置されている。他の実施形態では、チューブ12は、光ファイバーからの光を受け取るように構成された単一の開口部30を含むことができる。この実施形態では、光ファイバー20は、放射された光がチューブの開口部30aに向けて送出されるように、その発光セグメントが光ファイバーの軸に対して約45度の角度を付けられた側部放射型ファイバーである。周囲の組織の一部を通過し、鼻腔チューブを胃腸管内で案内するために(例えば、視覚的におよび/または適切な検出器を介して)、開口部30aを通って放射された光の少なくとも一部を監視することができる。
【0040】
光ファイバー20を介して放射され、周囲の組織を通過した光は、外部から視覚的にまたは適切な検出器を介して検出し、監視することができる。例えば、
図1に概略的に示すように、胃腸管内でチューブの位置を判別するために、カメラ60を使用してチューブ12の遠位部12bの画像を取得することができる。
【0041】
本発明のこの実施例においては、様々な異なる方法で光を発する様々な異なるファイバーを使用することができる。例えば、
図1Dは、本発明の様々な実施形態で使用するのに適した3つの異なる種類の光ファイバー70、72、および74を示している。光ファイバー70は、遠位端70aを有し、内部チャンバ70cを通過する光線70bは、遠位端70aに形成された端部領域で放射される。具体的には、開口部が傾斜すなわち角度を付けて形成されているため、光はファイバーの長手方向に対して45度の角度で放射される。同様に、光ファイバー72は、丸みを帯びた遠位発光端72aを有しており、内部チャンバ72cを通過した光線72bは、より分散したパターンで遠位端領域72aから放射されることになる。同様に、光ファイバー74は、実質的に平坦な遠位発光端74aを有しており、内部チャンバ72bを通過した光線72bは、比較的平行なパターンで遠位端70aから放射されることになる。また、他の光ファイバー構成も使用でき、例えば、複数の発光セグメントをそれらの長さに沿って配置したファイバーなどがあり、各発光セグメントは、以下に詳述するように、チューブの遠位領域に配置された複数の開口部の1つと実質的に位置合わせした状態で配置することができる。
図1Eを参照すると、光ファイバー20は使い捨て可能として、使用後に光源22から取り外すことができる。チューブも廃棄してもよい。
【0042】
再び
図1Aを参照すると、照明システムは、チューブ12および関連する光ファイバー20を使用する鼻腔システムとして構成することができる。チューブ12の遠位端12Bは患者の食道内に配置し、患者の胃に到達するように案内できる。光ファイバー20は光源22に結合されており、よって、光が光源22からファイバーを介して、光ファイバーの遠位端、つまりチューブに伝達される。光ファイバを介して放射された光の一部は、鼻腔チューブ12を取り囲む組織の少なくとも一部を徹照することができ、これにより、鼻腔チューブの位置が明らかになり、それによって、ユーザは、チューブを(視覚的にまたは検出器を介して)監視することができ、したがって、チューブ12を患者の胃まで安全に導くことができる。
【0043】
他の実施形態では、光ファイバー20は、遠位端20bで軸方向に光を放射するように構成することができ、あるいは、光ファイバー20は、複数の発光セグメント20cを含むことができ、それらセグメントの各々は、外部での検出のため複数の異なる方向で光を放射するように、チューブ12の複数の開口部30の1つと実質的に位置合わせして配置されるようになっている。
【0044】
上述したように、いくつかの実施形態では、患者の胃腸管内に鼻腔チューブ12を配置した後に、チューブ12を所定の位置に案内するために使用される光ファイバー20を安全かつ容易に取り外すことができ、チューブ12をその意図された目的、例えば、患者に栄養および/または薬剤を投与するため、または胃を圧迫するため、またはその他の目的のために使用することができる。
【0045】
例として、
図5Aは、本発明の教示による鼻腔システム100の一実施形態の部分図を概略的に示し、ここでは、チューブ12が遠位端12bに開口部102aを含み、光ファイバー20が開口部102aを介して光106を放出するようにチューブ12内に配置されている。光ファイバー20は、遠位端20bに実質的に平坦な発光セグメント20cを含み、この発光セグメントを介して、光ファイバー20から光が放射され、かつ、外部での検出のために開口部102aを介した放射光106の通過を許容するように、発光セグメントが開口部102aと実質的に位置合わせされている。開口部102aを出る光106の発散により、患者の胃腸管内で展開され案内される際にチューブ12を監視できるような態様で、開口部102aを出る光の少なくとも一部が、周囲の組織の少なくとも一部を確実に透照できる。
図5Bは、チューブ12が、丸みを帯びた発光セグメント20cを有する遠位端20bを備えた光ファイバー20を取り付けまたは装着する別の実施形態110を概略的に示しており、この光ファイバー20は、光ファイバーの遠位端20bが開口部102aと実質的に位置合わせされるようにチューブ12内に配置されて、開口部102aから放射される光106が、周囲または隣接する組織を徹照することを可能にし、それによって、患者の胃腸管内で胃腸チューブ12を追跡することができる。
【0046】
図6は、本発明の教示による鼻腔システム120の別の実施形態を示す。このシステムは、内部に光ファイバー20が配置されたチューブ12(例えば、栄養チューブ)を含む。図示されたシステム120では、チューブ12は、その遠位端12bに側部開口部30、122を含み、光ファイバー20は、光106がその光ファイバーから放射される発光セグメント20cを遠位端20bに含む。この実施形態では、光ファイバー20bの遠位端は、遠位発光セグメント20cをチューブの開口部30、122と実質的に位置合わせした状態で配置するように、角度が付けられたり、曲げられたりしている。
【0047】
さらに例示的に説明すると、
図7Aは、複数の開口部30が形成された、鼻腔栄養供給機器として機能するチューブ12を含む鼻腔システム130のさらに別の実施形態を示している。開口部30は、開口部132a、132b、および132cを含む。また、このシステムは、チューブ12の内部チャンバ12d内に装着される光ファイバー20であって、単一の発光セグメント20cを有する光ファイバー20を含む。チューブ12内に配置されている光ファイバー20は、遠位端20bで光106を放射し、放射された光106が開口部132cを介してチューブ12から出て、周囲の組織の少なくとも一部を徹照するようにして、この鼻腔システム、特にチューブ12を、視覚的にまたは光検出装置を介して外部から監視可能としている。この実施形態では、他の開口部132aおよび132bは、例えば、患者に栄養および/または薬剤を投与するために、または、胃に吸引力をかけるために使用できる。
【0048】
図7Bは、複数の開口部30が形成された、栄養チューブなどのチューブ12を有するさらに別の鼻腔システム140を示している。これら開口部は、開口部142a、142b、および142cを含む。本実施形態では、光ファイバー20は、複数の発光セグメント144a、144b、および144cを含み、各発光セグメントは、開口部142a、142b、および142cのうちの1つと実質的に位置合わせされている。以前の実施形態と同様に、発光セグメント144cは、光ファイバーの遠位端20bに配置されている。発光セグメント144aおよび144bは、光ファイバーのクラッドの一部を除去することで、光ファイバーの長さに沿ってに配置されている。本実施形態では、発光セグメント144aおよび144bは、円形の帯状の照明となっているが、他の実施形態では、他のパターンの照明を採用することも可能である。これら発光セグメントは、開口部30を通過する光線を照射する。
【0049】
図7Cは、本発明の教示による鼻腔システム150のさらに別の実施形態を示す。図示されたシステム150は、複数の開口部30が形成されたチューブ12を含んでいる。これら開口部は、開口部152a、152b、および152cを含む。チューブ12は、チューブチャンバ12dに光ファイバー20を取り付けまたは装着する。光ファイバーは、発光セグメント154を含む遠位端20bを備えている。光ファイバー20は、発光セグメント154が、チューブ12の遠位部12bに形成されている開口部152cに近接して配置されるように、チューブ12内に配置されている。開口部152cには、光ファイバから発せられる放射光の波長に対して実質的に透明な材料で形成できる窓要素156が設けられている。一例として、窓要素154は、透明なシリコーンゴムで形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、窓156の少なくとも1つは、特定の放射光波長を選択的な通過させるカラーフィルターとして機能することができる。例えば、カラーフィルターとして機能するように適切な1種以上の染料を含浸させた透明なシリコーンゴムで窓を形成することができる。チューブの遠位領域に形成された開口部152aおよび152bは、患者に薬剤および/または栄養を投与するために使用することができる。他の実施形態では、開口部を使用して、患者の胃に吸引力を印加すること、例えば、胃を圧迫することができる。
【0050】
図7Dは、チューブ12と、チューブ12内に配置された光ファイバー20とを含む、鼻腔システム160のさらに別の実施形態を概略的に示している。チューブ12には複数の開口部30が形成されている。これら開口部は、開口部162a、162b、および162cを含む。この実施形態では、チューブ12は、複数の窓要素166a、166b、および166cも含む。光ファイバー20は、遠位端20bに複数の発光セグメント3002a、3002b、および3002cが形成されており、発光セグメント164aが窓166aを照明し、発光セグメント164bが窓166bを照明し、発光セグメント164cが窓166cを照明する。これら窓を通過した光106は、外部から(例えば、視覚化および/または検出によって)監視できるように、患者の管腔および周囲の組織の少なくとも一部を徹照することができる。いくつかの実施形態では、窓要素166a、166b、および166cは、カラーフィルターとして機能できる。さらに、このような実施形態では、異なる窓を、異なる色の光を選択的に透過させるカラーフィルターとして構成することができる。例として、いくつかの実施形態では、窓166aは青色光を選択的に透過させることができ、窓166bは緑色光を選択的に透過させることができ、窓166cは赤色光を選択的に透過させることができる。例えば、こうした実施形態は白色光を発する光源と組み合わせて使用して、異なる窓に対応する鼻腔チューブの異なるセグメントを、異なる色で視覚化(または検出)することができるようになっている。
【0051】
図8は、本発明の別の実施形態による鼻腔システム170、例えば鼻腔栄養供給装置の部分概略図である。システム170は、光ファイバー20が内部に配置された鼻腔チューブ12を含むことができる。レンズ176が、チューブ12の遠位端12bに取り付けられていると共に、光ファイバ20の遠位端20bと光学的に連通していて、そこからの光を受け取るようになっている。レンズ176は、半球状の先端部176bまで延びる実質的に円筒状のシャフト176aを含む。半球状の先端部176bは入射光に対して凹面を呈し、したがって、入射光106の発散を引き起こして、胃腸管内で鼻腔チューブを案内するために、入射光の少なくとも一部が栄養チューブを囲む組織から出て、外部から(例えば、視覚化を介して、または検出器によって)監視されるようにする。いくつかの実施形態では、レンズ176は、例えば、光学シリコーンゴム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネートなどの適切なポリマー、またはガラスで形成することができる。鼻腔チューブ12は、さらに、開口部172を含んでいる。いくつかの実施形態では、開口部172は、患者に薬剤および/または栄養を投与するために使用することができる。他の実施形態では、開口部172は、患者の胃への吸引力の印加を可能にすることができる。
【0052】
図9は、例えば、栄養チューブなどのチューブ12を含む、鼻腔栄養供給装置などの鼻腔システム180の別の実施形態の部分概略図である。チューブ12は、その遠位領域に配置された開口部182を含む。本実施形態では、光源からの光をチューブの遠位領域に伝達するために光ファイバーを使用するのではなく、チューブ12を例えば胃腸管などの管腔内で案内するために、光源22、例えばLEDが開口部182に近接してチューブの内部チャンバ12dの中に配置されていて、光源が発する光の少なくとも一部が開口部を通過して外部から(例えば、視覚化または検出器を介して)監視されるようになっている。
図9に概略的に示すように、一対の導体188a/188bが、外部電圧源(図示せず)などの外部源からの電力を光源22に伝達するために、チューブ12を通って光源22まで延在することができる。本実施形態では、導体188a/188bは、電気絶縁スリーブ186内に配置されている。さらに、本実施形態では、光源22と開口部182との間の光結合を最適化するために、光源は開口部に向かって傾斜している。本実施形態では、開口部182は、例えば、患者に薬および/または栄養を投与したり、患者の胃に吸引力を印加したり、あるいはその他の目的のために使用することもできる。さらに、鼻腔システム180のいくつかの実施態様では、単一の開口部ではなく、複数の開口部/窓を、例えば、これまでの実施態様に関連して上述した方法で使用することができる。
【0053】
図10は、本発明による鼻腔システム190の別の実施形態を示す。システム190は、形状が環状であるチューブ12、例えば栄養チューブと、当該チューブのハウジングに形成された複数の光源196(例えば、複数のLED)とを含み(図示したように)、チューブのハウジングの周方向に配置されている。これら光源は、栄養チューブの環状部分に、その近位端で光学的に結合することができる。これまでの実施形態と同様に、光源196は、電磁スペクトルの可視部、近赤外線部、または赤外線部の放射光を発することができる。本実施形態では、鼻腔チューブ12は、光源196が発する放射光に対して実質的に透明な材料で形成されている。一例として、いくつかの実施形態では、このチューブは、透明なシリコーンゴムで形成されている。いくつかの実施形態では、鼻腔装置190は、鼻腔栄養供給装置として構成することができるが、他の実施形態では、鼻腔装置190は、他の目的、例えば、患者の胃を圧迫することを目的として構成することができる。
【0054】
光源196によって放出された光の少なくとも一部は、チューブの環状部に沿って伝達され、この光の少なくとも一部は、チューブの近位端から遠位端へと伝播する際に環状部から出る。さらに、光の一部は、環状部の遠位端で環状部から出る。環状部を出る光の少なくとも一部は、周囲の組織を透過し、例えば、上述の方法で外部から(可視化などで)監視することができる。
【0055】
上述したように、本発明の教示に従った鼻腔装置には、様々な光源を採用することができる。例として、いくつかの場合では、光源は、放射光の反復的閃光を発することができるストロボ光源(例えば、ストロボLED)とすることができる。このような放射光の点滅は、装置の操作者の注意を引くのに有効である。
【0056】
本教示による鼻腔装置は、いくつかの利点をもたらす。特に、患者を有害な放射線に暴露することを必要とすることなく、鼻腔チューブを患者の胃腸管内に安全に設置することができる。これは、小児科患者にとって特に有利である。さらに、本教示による鼻腔栄養供給装置は、容易に使用できる。
【0057】
本発明の照明システムを使用して、患者体内に存在する他の種類の管腔や領域を照明または徹照することができる。例えば、上記の実施形態は、体内の鼻腔や胃の通路または管腔を照明することに関する。同様に、本発明の照明システムは、例えば、静脈、大動脈、毛細血管の管腔または通路を含む心臓の通路または管腔を含んだ、身体の他の領域の管腔を照明するために使用することができる。例えば、本発明の照明システムは、患者の心臓領域の管腔に挿入された装置の位置を特定したり、視覚的に示したりするためにも用いることができる。
図11は、患者の体内に存在する動脈や静脈208などの管腔を示す。静脈208は、本発明で使用するのに適した静脈チューブ12を収容させる内部チャンバ208aを有する。チューブ12は、挿入されると最終的には患者の心臓領域内に配置されるようにサイズ決めされかつ構成されたカテーテルなどとすることができる。チューブ12は、既知の技術に従って、患者の体内に挿入しかつ配置することができる。これまでの実施形態で示したように、本発明の照明システムは、光源22に結合した光ファイバー20を含む。光源22は、患者の体外に遠隔配置してもよいし、患者体内に配置してもよい。光ファイバー20は、体内の1つ以上の管腔208に挿入される際に、チューブ12のチャンバ12d内に配置することができる。光ファイバー20は、チューブ12の遠位端の領域を照らすように、付属の光源22から受けた光を放出するが、この遠位端は、実質的に透明な材料で形成することができ、それを通して光はチューブ12から出ると共に外部から観察でき、医者は、チューブが体内を慎重に移動するまたは通過する際に、その正確な位置を特定することができる。この照明システムにより、医者はチューブの正確な位置を視覚的に確認することができ、その結果、医者は、管腔内の選択された部位にチューブを正確に配置し、位置決めすることができる。他の実施形態では、チューブ12の他の部分は、光ファイバ20によって放射された光を通過させるために、実質的に透明(前の実施形態に関連して上述した部分など)とすることができる。
【0058】
チューブ12が身体の管腔208の中に適切に配置されると、光ファイバー20をチューブ12のチャンバ12dから取り出すことができる。その後、さらに医療機器をチューブに挿入して、手術部位で特定の機能や動作を実行することができる。例えば、このチューブ・照明システムは、心臓の機能を評価したり、心臓の状態を診断したりするために、心臓カテーテル処置の際に使用することができる。この手順では、チューブまたはカテーテル20を患者の腕、首、鼠径部の静脈に挿入し、その後、照明システムの助けを借りて、チューブを体内に通し、心臓の選択された部位または位置に到達させることができる。この照明システムは、医者が人体内でカテーテルの位置を確認する手助けとなるように、赤色光の範囲で光を発生し放射するために使用することができる。
【0059】
別の実施例によれば、チューブ12および照明システムは、血管造影または動脈造影の手順の一部として使用することができる。血管造影手順の間、チューブまたはカテーテル20は、患者の静脈または動脈(例えば、大腿動脈)などの管腔に挿入することができ、照明システム(例えば、光源22および光ファイバ20)は、動脈内で光を照射して、動脈および周囲の組織を徹照するのに役立つ。この光は、医者がチューブを心臓内の適切な場所に配置したり、通したりするのに役立つ。一旦チューブが適切に配置されると、光ファイバーはチューブから除去してよい。この血管造影手順は、血管や身体臓器の内部すなわち管腔を可視化するために用いられ、特に動脈、静脈、心室が対象となる。これは、X線不透過性の造影剤を血管内に注入し、X線透視などのX線技術を用いて画像化することによって従来から行われている。
【0060】
さらに別の実施態様によれば、この照明システムは、血管形成術の手順を支援するために使用することができる。例えば、チューブまたはカテーテル12を静脈内に挿入し、光ファイバー20をチューブ内に挿入することができる。光ファイバー20を介した照明システムは、チューブの遠位端で発光させ、体内でのチューブの位置を確認しやすくする。一旦チューブが適切に位置決めされると、光ファイバーをチューブから除去できる。血管形成術は、狭くなった動脈や静脈を広げる低侵襲の血管内処置であり、典型的には動脈硬化症の治療に用いられる。カテーテル(バルーンカテーテルなど)に取り付けられた収縮したバルーンを、ガイドワイヤーを軸として狭くなった血管内に通し、一定の大きさまで膨張させる。バルーンが血管およびその周囲の筋肉壁を強制的に拡張させ、血流を改善する。その後、ステントなどの構造的支持体をバルーン膨張時に挿入することで、血管を確実に開いた状態に維持することができ、その後、バルーンは収縮されて引き抜かれる。
【0061】
さらに説明すると、
図12は、血管形成術を行うための実施形態によるシステム500を概略的に示している。システム500は、近位端から遠位端まで延びるチューブ(例えば、カテーテル)502を含んでいる。チューブの遠位端には、本発明の技術分野では周知の技術を使用して、収縮状態から膨張状態へと移行可能な膨張式バルーン504が取り付けられている。光ファイバー506は、チューブの管腔内に配置され、光源(図示せず)からの光を受け取る。光ファイバーによって受け取られた光の少なくとも一部は、その遠位端から出て、カテーテルの透明な窓508を通過し、組織を通過して外部から観察され、施術者が閉塞物、例えば、動脈閉塞物の近くにバルーンを配置できるようにする。前述の通り、バルーンの膨張により心房の通路が広がり、血流を改善する助けとなる。
【0062】
通常の技能を備えた当業者であれば、上記の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく様々に変更できることは理解するはずである。
【国際調査報告】