(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(54)【発明の名称】ヒドロキサム酸誘導体並びその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C07C 259/06 20060101AFI20220216BHJP
C07D 295/20 20060101ALI20220216BHJP
C07D 295/155 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/166 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/4453 20060101ALI20220216BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220216BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C07C259/06
C07D295/20 CSP
C07D295/155
A61K31/166
A61K31/495
A61K31/4453
A61P43/00 111
A61P31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539384
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2020115509
(87)【国際公開番号】W WO2021052353
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910885618.3
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520140844
【氏名又は名称】インスティテュート オブ メディシナル バイオテクノロジー, チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユーチォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,シュエフー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジュシィエン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,シァオナン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミンファ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ,メイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,グオニン
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC20
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA07
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB35
4C206ZC20
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB03
4H006AB20
4H006AC52
4H006BB14
4H006BC10
4H006BC19
(57)【要約】
本発明は、酵素抑制剤の技術分野に関し、特に、ヒドロキサム酸誘導体並びその調製方法及び使用に関する。本発明によって提供されるヒドロキサム酸誘導体のヒドロキサム酸基は、LpxC酵素の活性領域における活性亜鉛イオンとキレートし、且つLpxC酵素の疎水性チャネルに結合する疎水性側鎖を含み、前記2つの方面により、ヒドロキシアミック酸誘導体は、LpxCに対する良好な殺菌活性と低い毒性が保証される。本発明はまた、前記ヒドロキサム酸誘導体の調製方法を提供し、前記調製方法は、反応時間が短く、収率が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す構造を有し、
【化1】
式Iでは、Xが
【化2】
であり、
Yが
【化3】
であり、
Zが
【化4】
であり、
ここで,YとZが両方とも
【化5】
である場合,Xには
【化6】
が含まれていないこと、を特徴とするヒドロキサム酸誘導体。
【請求項2】
前記Xが
【化7】
であり、
前記Yが
【化8】
であり、
前記Zが
【化9】
であることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキサム酸誘導。
【請求項3】
式IIに示す構造を有する化合物、デス・マーチン酸化剤とジクロロメタンを混合し、酸化反応を行って、式IIIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素及びジクロロメタンを混合し、コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)を実行して、式IVに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式IVに示す構造を有する化合物、Pd
2(dba)
3を、式aに示す構造を有する化合物、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)を行って、式Vに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式Vに示す構造を有する化合物、テトラヒドロフラン及び水酸化ナトリウム溶液を混合し、加水分解反応を行い、式VIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチル、ジイソプロピルエチルアミン、2-(7
-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、縮合反応を行って、式VIIに示す構造を有する化合物を得るステップと
式VIIに示す構造を有する前記化合物、メタノール及び塩化水素ガスを混合し、Bocの脱保護反応を行って、式VIIIで表される構造を有する化合物を得るステップと、
式VIIIに示す構造を有する前記化合物、ヒドロキシルアミン水溶液及びイソプロパノールを混合し、置換反応を行って、式Iに示す構造を有する化合物を得るステップと、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の前記ヒドロキサム酸誘導体の調製方法、
【化10】
【請求項4】
式IIに示す構造を有する化合物とデス・マーチン酸化剤のモル比が1:(1.0~1.2)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項5】
前記酸化反応の温度が室温であり、前記酸化反応の時間が2~8時間であることを特徴とする請求項3又は4に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項6】
式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン及び四臭化炭素のモル比が、1:(3.8~4.2):(1.8~2.2)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項7】
前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)温度が-20~-78℃であることを特徴とする請求項3又は6に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項8】
式IVに示す構造を有する化合物、Pd
2(dba)
3、式aに示す構造を有する化合物、トリエチルアミンのモル比が1:(0.02~0.04):(1.8~2.2):(2.8~3.2)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項9】
前記園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の温度が75~85℃であり、前記園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の時間が6~10時間であることを特徴とする請求項3又は8に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項10】
式Vに示す構造を有する化合物と水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナトリウムのモル比が1:(8~12)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項11】
前記加水分解反応の温度が室温であり、前記加水分解反応の時間が6~10時間であることを特徴とする請求項3又は10に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項12】
式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチル、ジイソプロピルエチルアミンと2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェートのモル比が1:(1.1~1.3):(3.8~4.2):(1.1~1.3)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項13】
前記縮合反応の温度が室温であり、前記縮合反応の時間が3~8時間であることを特徴とする請求項3又は12に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項14】
式VIIIに示す構造を有する化合物とヒドロキシルアミン水溶液中のヒドロキシルアミンとのモル比が1:(18~22)であることを特徴とする請求項3に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法。
【請求項15】
UDP-3-O-(R-ヒドロキシテトラデカノイル)-N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼの抑制における、請求項1又は2に記載のヒドロキサム酸誘導体、又は請求項3から14のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたヒドロキサム酸誘導体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月19日に中国特許庁に提出され、出願番号が201910885618.3、発明の名称が「ヒドロキサム酸誘導体並びその調製方法及び使用」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は、参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、酵素阻害剤の技術分野に関し、特に、ヒドロキサム酸誘導体並びその調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
スーパーバクテリアと人間は互いに勝負をし、絶えずに戦ってきた。フレミングがペニシリンを発見した1930年代から、最初の抗生物質が誕生したが、細菌も進化し、戦い始めた。現在では、細菌耐性はますます深刻になってきたけど、新しい抗生物質の開発は比較的に遅れている。薬剤耐性菌感染症により、世界中で年間約70万人が死亡し、その結果、23万人の新生児が死亡していて、スーパーバグの蔓延を制御する新しい抗生物質が開発されなければ、2050年までに細菌感染症による世界の死者数が増加して約1,000に達すると推定され、すべての病気の最高点になる見込みである。
【0004】
UDP-3-O(R-ヒドロキシテトラデカノイル)-N-アセトアミドグルコースデアセチラーゼ(LpxC)は、グラム陰性細菌の外膜におけるリポ多糖の主成分である脂質Aの合成を触媒する重要な酵素であり、グラム陰性菌との相同性が高く、哺乳動物(ヒトを含む)の各種酵素との共通配列がなく、LpxCの欠失や過剰発現により、一部のグラム陰性菌が殺されるので、開発に値する抗グラム陰性細菌薬の新しいターゲットになった。
【0005】
過去20年間、科学者は多くの種類のLpxC阻害剤を設計及び合成してきて、多くの化合物は優れた前臨床データを持っていることが報告されたが、グラム陰性細菌に対して殺菌活性を有するだけでなく、許容できる毒性と耐性を有する新しいLpxC阻害剤の必要性が依然としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はヒドロキサム酸誘導体並びその調製方法及び使用を提供することを目的とし、前記ヒドロキサム酸誘導体はLpxCに対して、良好な殺菌活性と低い毒性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の技術的問題を解決するために、本発明によって採用される技術的解決策は以下のとおりである。
ヒドロキサム酸誘導体であって、式Iに示す構造を有する。
【0008】
【化1】
式Iでは,Xは
【化2】
であり、
Yは
【化3】
であり、
Zが
【化4】
であり、
ここで,YとZが両方とも
【化5】
である場合,Xには
【化6】
が含まれていない。
【0009】
好ましくは、前記Xは
【化7】
であり、
前記Yは
【化8】
であり、
前記Zが
【化9】
である。
【0010】
本発明はさらに、
式IIに示す構造を有する化合物、デス・マーチン酸化剤とジクロロメタンを混合し、酸化反応を行って、式IIIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素及びジクロロメタンを混合し、コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)を行って、式IVに示す構造を有する化合物を得るステップと、
前記式IVに示す構造を有する化合物、Pd2(dba)3を、式aに示す構造を有する化合物、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)を行って、式Vに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式Vに示す構造を有する化合物、テトラヒドロフラン及び水酸化ナトリウム溶液を混合し、加水分解反応を行い、式VIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル、ジイソプロピルエチルアミン、2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、縮合反応を行って、式VIIに示す構造を有する化合物を得るステップと
式VIIに示す構造を有する化合物、メタノール及び塩化水素ガスを混合し、Bocの脱保護反応を行って、式VIIIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式VIIIに示す構造を有する化合物、ヒドロキシルアミン水溶液及びイソプロパノー
ルを混合し、置換反応を行って、式Iに示す構造を有する化合物を得るステップと、
を含む、前記技術的解決策に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法を提供する。
【0011】
【0012】
好ましくは、前記式IIに示す構造を有する化合物とデス・マーチン酸化剤のモル比が1:(1.0~1.2)である。
【0013】
好ましくは、前記酸化反応の温度が室温であり、前記酸化反応の時間が2~8時間である。
【0014】
好ましくは、前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン及び四臭
化炭素モル比が1:(3.8~4.2):(1.8~2.2)である。
【0015】
好ましくは、前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)の温度が-20~-78℃である。
【0016】
好ましくは、前記式IVに示す構造を有する化合物、Pd2(dba)3、式aに示す構造を有する化合物とトリエチルアミンのモル比が1:(0.02~0.04):(1.8~2.2):(2.8~3.2)である。
【0017】
好ましくは、前記園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の温度が75~85℃であり、前記園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の時間が6~10時間である。
【0018】
好ましくは、前記式Vに示す構造を有する化合物と水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナトリウムのモル比が1:(8~12)である。
【0019】
好ましくは、前記加水分解反応の温度が室温であり、前記加水分解反応の時間が6~10時間である。
【0020】
好ましくは、前記式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル、ジイソプロピルエチルアミンと2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメ
チル尿素ヘキサフルオロホスフェートのモル比が1:(1.1~1.3):(3.8~4.2):(1.1~1.3)である。
【0021】
好ましくは、前記縮合反応の温度が室温であり、前記縮合反応の時間が3~8時間である。
【0022】
好ましくは、前記式VIIIに示す構造を有する化合物とヒドロキシルアミン水溶液中のヒドロキシルアミンとのモル比が1:(18~22)である。
【0023】
本発明はまた、UDP-3-O-(R-ヒドロキシテトラデカノイル)-N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼの抑制における、前記技術的解決策に記載のヒドロキサム酸誘導体、又は前記技術的解決策に記載の調製方法により調製されたヒドロキサム酸誘導体の使用を提供する。
【発明の効果】
【0024】
従来の技術に比べると、本発明によって提供される式Iに示す構造を有するヒドロキサム酸誘導体のヒドロキサム酸基は、LpxC酵素の活性領域における活性亜鉛イオンとキレート化し、且つLpxC酵素の疎水性チャネルに結合する疎水性側鎖が含まれ、前記2つの方面により、ヒドロキサム酸誘導体は、LpxCに対する良好な殺菌活性と低い毒性が保証され、
【0025】
本発明はまた、前記ヒドロキサム酸誘導体の調製方法を提供し、前記調製方法は、反応時間が短く、収率が高い。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、実施形態と併せて以下でさらに説明される。
【0027】
本発明は、式Iに示す構造を有するヒドロキサム酸誘導体を提供する。
【0028】
【化11】
式Iでは,Xは
【化12】
であり、
Yは
【化13】
であり、
Zは
【化14】
であり、
ここで,YとZが両方とも
【化15】
である場合,Xには
【化16】
が含まれない。
【0029】
本発明において、前記Xは、
【化17】
が好ましく,前記Yは
【化18】
が好ましく,前記Zは
【化19】
が好ましく、
本発明において、前記ヒドロキサム酸誘導体は、N-((S)-3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-(((1R,2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミド、(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、又は(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミドが更に好ましい。
【0030】
本発明はさらに、
式IIに示す構造を有する化合物、デス・マーチン酸化剤とジクロロメタンを混合し、酸化反応を行って、式IIIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素及びジクロロメタンを混合し、コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)を行って、式IVに示す構造を有する化合物を得るステップと、
前記式IVに示す構造を有する化合物、Pd2(dba)3、式aに示す構造を有する化合物、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)を行って、式Vに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式Vに示す構造を有する化合物、テトラヒドロフラン及び水酸化ナトリウム溶液を混合し、加水分解反応を行い、式VIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル、ジイソプロピルエチルアミン、2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート及びN,N-ジメチルホルムアミドを混合し、縮合反応を行って、式VIIに示す構造を有する化合物を得るステップと
式VIIに示す構造を有する前記化合物、メタノール及び塩化水素ガスを混合し、Bo
cの脱保護反応を行って、式VIIIに示す構造を有する化合物を得るステップと、
式VIIIに示す構造を有する前記化合物、ヒドロキシルアミン水溶液及びイソプロパノールを混合し、置換反応を行って、式Iに示す構造を有する化合物を得るステップと、
を含む、前記技術的解決策に記載のヒドロキサム酸誘導体の調製方法を提供する。
【0031】
【0032】
本発明では、特に明記しない限り、すべての原材料成分は、当業者に周知の市販の製品である。
【0033】
本発明では、式IIに示す構造を有する化合物、デス・マーチン酸化剤とジクロロメタンを混合し、酸化反応を行って、式IIIに示す構造を有する化合物を得る。
【0034】
本発明において、Xが
【化21】
であり、Yが
【化22】
である場合、本発明は、
【化23】
によって前記の式IIに示す構造を有する化合物を調製することが好ましい。
【0035】
Xが
【化24】
であり、Yが
【化25】
である場合、前記式IIに示される構造を有する化合物の特定の調製プロセスは、好ましくは式1に示されている。
【0036】
【0037】
本発明において、前記式IIに示される構造を有する化合物の具体的な調製プロセスは、好ましくは、アルゴン雰囲気中、室温で、AgOTf(12.8g、50mmol)、フッ素試薬Selectfluor(8.9g、25mmol)及びフッ化カリウム(3.9g、66mmol)の酢酸エチル溶液(30mL)を混合した後、
【化27】
(6.5g,50mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(7.1g、50mmol)を加えて、8時間反応し、濾過して濃縮し、粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1~10:1)を使用して
【化28】
(4.3g,43%)を取得する。
【0038】
Xが
【化29】
であり、Yが
【化30】
である場合、本発明は、
【化31】
によって前記の式IIに示す構造を有する化合物を調製することが好ましい。
【0039】
本発明において、前記の式IIに示される構造を有する化合物の特定の調製プロセスは、好ましくは式2に示すとおりである。
【0040】
【0041】
本発明において、前記式IIに示される構造を有する化合物の具体的な調製プロセスは、好ましくは、
アセトアミド(1.0g、17mmol)、
【化33】
(7.3g,51mmol)及びジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)ダイマー(0.3g、0.4mmol)を混合して、マイクロ波反応チューブに加えて、130℃で3時間マイクロ波反応させる。室温まで冷却し、水(10mL)を追加する。酢酸エチルで抽出し(前記酢酸エチルと前記水の比率は1:(1.0~1.5)が好ましい)(回数は3回が好ましい)、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して濃縮し、粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で精製して、化合物3(0.9g、30%)を得る。
【0042】
Xが
【化34】
であり,Yが
【化35】
である場合、本発明は、
【化36】
によって前記の式IIに示す構造を有する化合物を調製することが好ましい。
【0043】
本発明において、前記の式IIに示される構造を有する化合物の特定の調製プロセスは、好ましくは式3に示すとおりである。
【0044】
【0045】
本発明において、前記式IIに示される構造を有する化合物の特定の調製プロセスは、好ましくは、
D-(+)-カンファースルホン酸(0.9g、4mol)をピロリジン(0.7g、10mmol)のトルエン(10mL)溶液に加え、室温で1分間攪拌し、
【化38】
(4.3g,25mmol)及びルテニウム-NHC複合体(0.1mmol)を加え、120℃で10時間攪拌し、室温まで冷却し、水を加え(前記の水とトルエンの比率は1:(1.0~1.5)が好ましい)、酢酸エチルで抽出し(前記酢酸エチルと前期の水比率は、1:(1.0~1.5)が好ましい)、(回数は好ましく3回である)、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1~10:1)によって精製して、化合物3(0.8g、37%)を得える。
【0046】
前記式IIに示す構造を有する化合物が前記3つの場合以外の構造である場合、供給源は、好ましくは市販の製品であるか、又は先行技術に開示される調製方法に従って調製して得られたものでよい。
【0047】
本発明において、式IIに示す構造を有する化合物とデス・マーチン酸化剤のモル比は、好ましくは1:(1.0~1.5)であり、より好ましくは1:(1.2~1.3)であり、前記式IIに示す構造の化合物と前記ジクロロメタンとの投与比は、好ましくは1
g:(15~30)mLであり、より好ましくは1g:(18~28)mLであり、最も好ましくは1g:(21~25)mLである。
【0048】
本発明において、前記混合は好ましくは、-10℃の条件下で、まず前記式IIに示す構造を有する化合物とジクロロメタンを混合して、前記式IIに示す構造を有する化合物のジクロロメタン溶液を得た後、デス・マーチン酸化剤を数回に分けて追加し(追加プロセス中、昇温の現象が現れ得るために、添加速度を制御することにより、反応システムの温度を-7~-10℃に保つことができる)。
【0049】
本発明において、前記酸化反応は、好ましくは、撹拌しながら行われ、本発明は、前記の撹拌について特別な制限はなく、当業者に周知のプロセスによって撹拌してよく、前記酸化反応の温度は、室温が好ましく、酸化反応時間は、2~8時間が好ましく、4~6時間がより好ましい。
【0050】
酸化反応が完了した後、本発明は、好ましくは反応後の生成物体系に対して後処理を行い、前記後処理のプロセスは、好ましくは、生成物体系を氷浴に移した後、チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液と重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を順次加えて反応をクエンチし、濾過し(固形物を除去する)、層化するために静置し、得られた水相をジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合わせ、得られた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、次にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液である石油エーテル:酢酸エチル=20:1)によって分離し精製する。
【0051】
前記式IIIに示す構造を有する化合物が得られた後、本発明は前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素及びジクロロメタンを混合し、コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)を行って、式IVに示す構造を有する化合物を得る;本発明において、前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素のモル比は、好ましくは1:(3.8~4.2):(1.8~2.2)であり、より好ましくは1:(3.9~4.1):(1.9~2.1)であり、前記式IIIに示す構造を有する化合物と前記第1有機溶媒との量の比率は、好ましくは1g:(25~45)mLであり、より好ましくは1g:(30~40)mLであり、最も好ましくは1g:(34~36)mLである。
【0052】
本発明において、前記式IIIに示す構造を有する化合物、トリフェニルホスフィン、四臭化炭素及びジクロロメタンの混合は、好ましくは、
前記式IIIに示す構造を有する化合物を第1部分の第1有機溶媒と混合して、式IIIに示す構造を有する化合物の溶液を得るステップと、
トリフェニルホスフィンを第2部分の第1有機溶媒と混合して、トリフェニルホスフィンの溶液を得るステップと、
四臭化炭素を第3部分の第1有機溶媒と混合して、四臭化炭素の溶液を得るステップと、
四臭化炭素の溶液、前記トリフェニルホスフィンの溶液及び式IIIに示す構造を有する化合物の溶液を混合するステップと、
を含む。
【0053】
本発明に記載の第1部分の第1有機溶媒、第2部分の第1有機溶媒及び第3部分の第1有機溶媒の比率は、対応する溶媒をそれぞれ完全に溶解することを保証できれば、特に限定されない。前記第1部分の第1有機溶媒、第2部分の第1有機溶媒及び第3部分の第1有機溶媒の使用量の合計は、第1有機溶媒の使用量である。
【0054】
本発明において、前記四臭化炭素の溶液、前記トリフェニルホスフィンの溶液及び前記
式IIIに示す構造を有する化合物の溶液を混合する特定のプロセスは、好ましくは、アルゴン保護下、-20℃で、トリフェニルホスフィンの溶液を前記四臭化炭素溶液に滴下した後、30分間撹拌ながら反応させ、-78℃に冷却し、更に式IIIに示す構造を有する化合物の溶液を滴下し、滴下完了した後、30分間撹拌ながら反応させる。本発明は、前記滴下について特別な制限がなく、当業者に周知の滴下プロセスによって実施でき、本発明は、攪拌について特別な制限がなく、当業者に周知の攪拌プロセスによって実施できる。
【0055】
本発明において、前記トリフェニルホスフィンの機能は、反応過程中に四臭化炭素を攻撃して臭化物イオンを一つ捕捉して、ホスホニウムイオン及びフロモフォームアニオンを生成することであり、生成されたホスホニウムイオンは、同時に生成されるフロモフォームアニオンの求核性置換により、ジブロモメチレンホスホニウムイリドが形成し、次にジブロモメチレン炭素とアルデヒドカルボニル基の求核性付加後、形成された両性中間体は、オキサホス複素環ブタンであり、トリフェニルホスフィンオキシド及びジブロモアルケンをさらに除去する。
【0056】
本発明において、前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)は、好ましくは、攪拌する条件下で行われ、本発明は、攪拌に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスによって実施してよく、前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)の温度は、好ましくは-20~-78℃であり、より好ましくは-60~-70℃であり、本発明において、前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)の時間は、好ましくは20~40分間、より好ましくは25~35分間である。本発明において、前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)の時間は、式IIIに示す構造を有する化合物の溶液の滴下が完了してから計算される。
【0057】
前記コーリー・フックス反応(Corey-Fuchs反応)が完了した後、本発明は、好ましくは得られた生成物体系に対して後処理を行い、前記後処理は好ましくは以下のステップを含む。生成物体系を室温まで昇温させ、減圧蒸留により溶媒を除去した後、体積濃度40%のエタノール溶液に溶解し、n-ヘキサンを添加して、10分間激しく攪拌し、静置して層化し、n-ヘキサン層を取り、減圧下で濃縮し、精製せずに次の反応で直接使用される。
【0058】
式IVに示す構造を有する化合物が得られた後、本発明は
式IVに示す構造を有する化合物、Pd2(dba)3を、式aに示す構造を有する化合物、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を混合し、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)を行って、式Vに示す構造を有する化合物を得て、
本発明では、前記式IVに示す構造を有する化合物、Pd2(dba)3、式aに示す構造を有する化合物及びトリエチルアミンのモル比は、好ましくは1:(0.02~0.04):(1.8~2.2):(2.8~3.2)であり、より好ましくは1:(0.025~0.035):(1.9~2.1):(2.96~3.1)であり、前記式IVに示す構造を有する化合物とDMFの使用量との比は、好ましくは1g:(10~18)mL、より好ましくは1g:(12~16)mL、最も好ましくは1g:(13~15)mLである。
【0059】
本発明において、前記混合は、好ましくは、アルゴン雰囲気下で行われ、本発明は、混合に関して特別な制限がなく、当業者に周知の混合プロセスを使用できる。
【0060】
本発明において、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)は、好ましくは撹拌の条件下で行われ、本発明は、前記撹拌について特別な制限はなく、
当業者に周知のプロセスによって実施することができる。本発明において、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の温度は、好ましくは75~85℃、より好ましくは78~82℃であり、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の時間は、好ましくは6~10時間、より好ましくは8~19時間である。
【0061】
本発明において、前記Pd2(dba)3は触媒として機能し、前記トリエチルアミンは酸結合剤として機能し、DMFは溶媒として機能する。
【0062】
前記園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)が完了した後、本発明は、好ましくは得られた生成物体系に対して後処理を行い、前記後処理は、好ましくは、反応体系に酢酸エチルを添加し、水で3回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、精製する(溶離液である石油エーテル:酢酸エチルの体積比は80:1である)ことを含む。
【0063】
式Vに示す構造を有する化合物を得た後、本発明は、式Vに示す構造を有する化合物、テトラヒドロフラン及び水酸化ナトリウム溶液を混合し、加水分解反応を行って、式VIに示す構造を有する化合物を得る。本発明において、前記水酸化ナトリウム溶液は、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液であり、前記水酸化ナトリウム水溶液において、水酸化ナトリウムと水との比は、好ましくは(0.15~0.25)g:1mL、より好ましくは(0.18~0.22)g:1mLである。
【0064】
本発明において、前記式Vに示す構造を有する化合物、テトラヒドロフラン及び水酸化ナトリウム溶液の混合は、好ましくは、以下のステップを含み、
式Vに示す構造を有する化合物をテトラヒドロフランと混合して、式Vに示す構造を有する化合物のテトラヒドロフラン溶液を得た後に、水酸化ナトリウム溶液と混合する。本発明は、前記混合に関して特別な制限がなく、混合は、当業者に周知のプロセスを使用して実施することができる。
【0065】
本発明において、式Vに示す構造を有する化合物と水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナトリウムとのモル比は、好ましくは1:(8~12)、より好ましくは1:(9~11)である。式Vに示す構造を有する化合物とテトラヒドロフランの使用量の比は、好ましくは1g:(15~40)mL、より好ましくは1g:(20~30)mL、最も好ましくは1g:(35~37)mLである。
【0066】
本発明において、前記加水分解反応は、好ましくは、攪拌の条件下で実施され、本発明は、攪拌に関して特別な制限がなく、当業者の周知のプロセスによって実施されることができる。本発明において、加水分解反応の温度は、好ましくは室温であり、加水分解反応の時間は、好ましくは6~10時間、より好ましくは8~9時間である。
【0067】
前記加水分解反応が完了した後、本発明は、好ましくは、得られた生成物系を後処理し、前記後処理は、好ましくは、生成物系を減圧下で蒸留して溶媒を除去し、水を加え、1mol/L塩酸でpHを2.0に調整し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、精製せずに次の反応に直接使用する。
【0068】
式VIに示す構造を有する化合物を得た後、本発明は、式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル、ジイソプロピルエチルアミン、2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート及びN,N-
ジメチルホルムアミドを混合し、縮合反応を行って、式VIIに示す構造を有する化合物を得る。
【0069】
本発明において、前記式VIに示す構造を有する化合物、(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル、ジイソプロピルエチルアミン、2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート及びN,N-ジメチルホルムアミドの混合は、以下のステップを含む。
式VIに示す構造を有する化合物、2-(7-酸化ベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HATU)をDMFと混合して、混合溶液を得る。本発明は、混合に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスによって実施でき、
混合溶液に(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニル基アミノ基)-3-メチル酪酸メチルエステル(Boc-S)及びジイソプロピルエチルアミンを加えて混合する;本発明は、添加方法に特別な制限はなく、当業者に周知の添加方法を使用できる。
【0070】
本発明において、前記式VIに示す構造を有する化合物、Boc-S、ジイソプロピルエチルアミン及びHATUモルの比は、好ましくは、1:(1.1~1.3):(3.8~4.2):(1.1~1.3)、より好ましくは1:(1.15~1.25):(3.9~4.1):(1.15~1.25)である。本発明において、式VIに示す構造を有する化合物及びDMFの使用量の比は、好ましくは1g:(15~30)mL、より好ましくは1g:(17~28)mL、最も好ましくは1g:(20~25)mLである。
【0071】
本発明において、縮合反応は、好ましくは、撹拌の条件下で実施され、本発明は、撹拌に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスによって実施でき、前記縮合反応の温度は、好ましくは、室温であり、縮合反応の時間は、好ましくは3~8時間、より好ましくは4~6時間である。
【0072】
本発明において、前記HATUの機能は、カルボキシル基を活性化することであり、前記ジイソプロピルエチルアミンの機能は、アミノ基を活性化することである。
【0073】
前記縮合反応が完了した後、本発明は、好ましくは、得られた生成物体系に対して後処理を行い、後処理は、好ましくは、以下のステップを含む。酢酸エチルを反応体系に加え、1.2mol/L塩化リチウム水溶液で3回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液である石油エーテルと酢酸エチルの体積比は2:1)分離し精製する。
【0074】
式VIIに示す構造を有する化合物を得た後、本発明は、前記式VIIに示す構造を有する化合物、メタノール及び塩化水素ガスを混合してBocの脱保護反応を実施して、式VIIIに示す構造を有する化合物を得る。
【0075】
本発明において、前記式VIIに示す構造を有する化合物、メタノール及び塩化水素ガスの混合は、好ましくは、式VIIに示す構造を有する化合物をメタノールと混合した後、塩化水素ガスを充填する。本発明は、式VIIに示す構造を有する化合物とメタノールの混合に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスによって実施できる。本発明において、前記塩化水素ガスの供給速度は、好ましくは0.5mL/秒、より好ましくは1mL/秒であり、前記塩化水素ガスの供給時間は、好ましくは15~25分間、より好ましくは18~22分間、最も好ましくは20分間である。本発明において、前記塩化水素の導入時間は、つまりBocの脱保護反応の時間であり、前記Bocの脱保護反応の温
度は、好ましくは、室温である。
【0076】
前記Bocの脱保護反応が完了した後、本発明は、好ましくは、得られた生成物系に対して後処理を行い、後処理は、好ましくは、減圧下で溶媒を蒸留除去して、式VIIIに示す構造を有する粗化合物を得る。前記式VIIIに示す構造を有する粗化合物は、さらに精製する必要がなく、次の反応で直接使用する。
【0077】
式VIIIに示す構造を有する前記化合物を得た後、本発明は、前記式VIIIに示す構造を有する前記化合物、ヒドロキシルアミン水溶液及びイソプロパノールを混合し、置換反応を行って、式Iに示す構造を有する化合物を得る。本発明において、前記ヒドロキシルアミン水溶液の濃度は、好ましくは16~17mmol/mL、より好ましくは16.5~16.8mmol/mLである。
【0078】
本発明において、式VIIIに示す構造を有する化合物、ヒドロキシルアミン水溶液及びイソプロパノールの混合は、好ましくは、式VIIIに示す構造を有する化合物とイソプロパノールを混合した後、次にヒドロキシルアミン水溶液と混合する。本発明は、混合に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスを使用して実施できる。
【0079】
本発明において、前記式VIIIに示す構造を有する化合物とヒドロキシルアミン水溶液中のヒドロキシルアミンとのモル比は、好ましくは1:(18~22)、より好ましくは1:(19~21)、最も好ましくは1:20であり、前記式VIIIに示す構造を有する化合物とイソプロパノールの使用量の比は、好ましくは1g:(20~30)mL、より好ましくは1g:(22~28)mL、最も好ましくは1g:(24~26)mLである。
【0080】
本発明において、前記置換反応は、好ましくは、撹拌条件下で実施し、本発明は、撹拌に関して特別な制限がなく、当業者に周知のプロセスによって実施できる。前記置換反応の温度は好ましくは室温であり、本発明は好ましくは、LCMSを介して置換反応の進行を監視することにより反応が完了したかどうかを判断する。
【0081】
前記置換反応が完了した後、本発明は、好ましくは得られた生成物系に対して後処理を行い、前記後処理のステップは、好ましくは、前記生成物体系を、逆相HPLCを使用して(条件は、クロマトグラフィーカラムXDB-C18カラム(21.2mm×250mm、7μm、移動相Aはアセトニトリル(0.1%TFAを含む)、Bは水(0.1%TFAを含む)、勾配溶出(0~40分:A5%~30%)、カラム温度25℃、流量10mL/min、検出波長280nm)で分離し、精製した後、凍結乾燥する。
【0082】
本発明はまた、UDP-3-O-(R-ヒドロキシテトラデカノイル)-N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼの抑制における、前記技術的解決策に記載のヒドロキサム酸誘導体、又は前記技術的解決策に記載の調製方法により調製されたヒドロキサム酸誘導体の使用を提供する。
【0083】
本発明によって提供されるヒドロキサム酸誘導体及びそれらの調製方法及び用途は、実施例と併せて以下に詳細に記載されるが、それらは、本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0084】
[実施例1]
N-((S)-3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミドの調製:(調製プロセスは式4に示すとおりである)
【0085】
【0086】
(1S、2S)-2-メトキシシクロペンタン-1-カルボキサルデヒド(III-1)
の調製:
-10℃で、デス・マーチン酸化剤(DMP)(30.96g、73mmol)をII-1(8.85g、68mmol)のジクロロメタン(250mL)溶液に数回に分けて添加し、反応体系の温度を-7℃から-10℃の間に保つように添加速度を制御し、添加完了後、室温で4時間攪拌する。反応が終わったら、氷浴に移し、順次に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液(250mL)を加えて、反応をクエンチし、濾過して固形物を取り除き、静置して層化し、水層をジクロロメタンで3回(100mL×3)抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離及び精製し、[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比は20:1]、III-1(6.02g、69.13%)を取得する。MS-APCI(m/z):129.1[M+H]+、
(1R、2S)-1-(2,2-ジブロモビニル)-2-メトキシシクロペンタン(IV-1)の調製:
-20℃のアルゴン雰囲気で、トリフェニルホスフィン(39.09g、149mmol)のDCM(75mL)溶液を、四臭化炭素(24.71g、75mmol)のDCM(60mL)に滴下し、滴下完了後、攪拌条件下で30分間反応させる。-78℃に冷却し、III-1(4.75g、37mmol)のDCM(60mL)溶液を滴下し、滴下完
了後、攪拌条件下で30分間反応させ、室温まで昇温させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、40%エタノール溶液に溶解させて、黄色い液体が得られ、n-ヘキサンを加えて10分間激しく攪拌し、静置して層化し、減圧下でn-ヘキサン層を濃縮して粗生成物IV-1(9.2g、88.2%)を得て、精製せずに次の反応で直接使用し、少量の粗生成物IV-1を取ってシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:石油エーテルと酢酸エチルの体積比150:1]で分離し、精製して、構造を確認するために黄色の油を得る。MS-ESI(m/z):304.9[M+Na]+、
4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)安息香酸メチル(V-1)の調製:
アルゴン雰囲気中、IV-1(6.00g、21mmol)、4-エチニル安息香酸メチル(a-1)(6.89g、43mmol)、Pd2(dba)3(0.58g、0.63mmol)、(4-MeOPh)3P(0.44g、1.26mmol)及びトリエチルアミン(6.37g、63mmol)をDMF(100mL)の中に添加し、80℃で8時間撹拌し、反応させる。酢酸エチル(300L)を加え、水(150mL×3)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:石油エーテルと酢酸エチルエステルの
体積比は80:1]で、分離し、精製して、V-1(2.38g、40.16%)を得る。MS-ESI(m/z):283.1[M+H]+、
4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)安息香酸(VI-1)の調製:
水酸化ナトリウム(2.40g、60mmol)の水溶液(10mL)を6(1.70g、6mmol)のTHF(60mL)溶液に加え、室温で8時間撹拌し、反応させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、濃縮液に水(50mL)を加え、1mol/Lの塩酸でpHを約2.0に調整し、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、VI-1粗生成物(1.39g、86.1%)が得られ、精製せずに次のステップで直接使用し、構造を確認するために、少量のVI-1粗生成物を取って、分離及び精製して薄黄色の固体を得る。MS-ESI(m/z):267.1[M-H]-、
(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンゾイルアミノ)-3-イルブチレート(VII-1)の調製:
(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル酪酸メチルエステル(Boc-S)(5.81g、23.6mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、10.18g、78.8mmol)を7(5.30g、19.7mmol)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HATU、9.21g、23.6mmol)のDMF(150mL)溶液中に添加し、室温で5時間撹拌し、反応させる。酢酸エチル(300mL)を加え、1.2mol/Lの塩化リチウム水溶液(100mL×3)で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:石油エーテルと酢酸エチルの体積比が2:1]により分離し、精製して、VII-1(6.87g、70.3%)が得られる。MS-ESI(m/z):497.3[M+H]+、
(S)-3-アミノ-2-(4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンゾイルアミノ)-3-メチル酪酸メチルエステル(VIII-1)の調製:
VII-1(6.70g、13.5mmol)をメタノール(30mL)に溶解し、乾燥塩化水素ガスを20分間注ぎ、溶媒を減圧下で蒸発させて、VIII-1(4.96g、93.0%)を得て、精製せずに次のステップの反応に直接使用する。MS-ESI(m/z):396.5[M+H]+、
N-((S)-3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-(((1R、2S)-2-メトキシシクロペンチル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミド(I-1)の調製:
VIII-1(4.15g、10.5mmol)をイソプロパノール(12mL)及び16.85mol/Lのヒドロキシルアミン水溶液(12.5mL、210mmol)に溶解し、反応が完了となることをLCMSで検出するまで、室温で攪拌及び反応させる。逆相HPLCを使用し[HPLC条件は、カラムXDB-C18カラム(21.2mm×250mm、7μm、移動相Aは、アセトニトリル(0.1%TFAを含む)、Bは、水(0.1%TFAを含む)、勾配溶出(0~40分:A5%~30%)、カラム温度25℃、流量10mL/min、検出波長280nm]分離及び精製後、凍結乾燥して1-1(2.19g、52.5%)を得た。MS-ESI(m/z):398.2[M+H]+。1HNMR(500mHz、CDCl3)δ9.10(d、J=4.0Hz、1H)、8.83(d、J=4.0Hz、1H)、8.45(d、J=10.6Hz、1H)、7.78-7.72(m、2H)、7.57-7.54(m、2H)、4.34(d、J=10.6Hz、1H)、3.80-3.73(m、1H)、3.28(d、J=1.4Hz、3H)、2.95-2.88(m、1H)、2.43(s、1H)、1.87-1.79(m、1H)、1.79-1.64(m、3H)、1.23(s、2H))、1.17(
s、2H)。
【0087】
[実施例2]
(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド(I-2)の調製:(調製プロセスは式5に示す)
【0088】
【0089】
4-ニトロベンズアルデヒド(III-2)
-10℃で、デス・マーチン酸化剤(DMP)(34.10g、80mmol)をII-2(11.5g、75mmol)のジクロロメタン(250mL)溶液に数回に分けて添加し、反応体系の温度を-7℃から-10℃の間に保つように添加速度を制御し、添加完了後、室温で4時間攪拌する。反応が終わったら、氷浴に移し、順次に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(120mL)及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液(250mL)を加えて、反応をクエンチする。濾過して固形物を取り除き、静置して層化し、水層をジクロロメタンで3回(120mL×3)抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離及び精製して、[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比は30:1]、III-2(7.4g、65.2%)を取得。MS-APCI(m/z):152.0[M+H]+、
1-(2,2-ジブロモビニル)-4-ニトロベンゼン(IV-2)
-20℃のアルゴン雰囲気で、トリフェニルホスフィン(43.0g、165mmol)のDCM(80mL)溶液を、四臭化炭素(27.2g、83mmol)のDCM(70mL)に滴下し、滴下完了後、攪拌条件下で30分間反応さる。-78℃に冷却し、III-2(6.20g、41mmol)のDCM(60mL)溶液を滴下し、滴下完了後、
攪拌条件下で30分間反応させ、室温まで昇温させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、40%エタノール溶液に溶解させて、黄色い液体が得られ、n-ヘキサンを加えて10分間激しく攪拌し、静置して層化し、減圧下でn-ヘキサン層を濃縮して粗生成物IV-2(10.9g、86.9%)を得る。精製せずに次の反応で直接使用する。少量の粗生成物IV-2を取ってシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比150:1]で分離及び精製して、構造を確認するために黄色の油を得る。MS-ESI(m/z):327.9[M+Na]+、
4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボン酸メチル(V-2)
アルゴン雰囲気中、IV-2(7.0g、23mmol)、4-エチニルピペラジン-1-カルボン酸メチル(a-2)(7.7g、46mmol)、Pd2(dba)3(0.6g、0.7mmol)、(4-MeOPh)3P(0.5g、1.4mmol)及びトリエチルアミン(7.0g、70mmol)をDMF(120mL)に添加し、80℃で
8時間撹拌し、反応させる。酢酸エチル(320L)を加え、水(200mL×3)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比は80:1]で、分離及び精製して、V-2(3.1g、42.7%)を得る。MS-ESI(m/z):314.1[M+H]+、
4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(VI-2)
水酸化ナトリウム(2.40g、70mmol)の水溶液(10mL)をV-2(2.2g、7mmol)のTHF(80mL)溶液に加え、室温で8時間撹拌し、反応させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、濃縮液に水(60mL)を加え、1mol/Lの塩酸でpHを約2.0に調整し、酢酸エチル(60mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、VI-2粗生成物(1.8g、85.8%)を得て、精製せずに次のステップで直接使用する。構造を確認するために、少量のVI-2粗生成物を取って、分離及び精製して薄黄色の固体を得る。MS-ESI(m/z):298.1[M-H]-、
(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチル-2-(4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド)酪酸メチル(VII-2)
(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル酪酸メチル(Boc-S)(6.4g、26mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、11.2g、86mmol)をVI-2(6.6g、22mmol)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HATU、10.1g、26mmol)のDMF(180mL)溶液中に添加し、室温で5時間撹拌し、反応させる。酢酸エチル(350mL)を加え、1.2mol/Lの塩化リチウム水溶液(120mL×3)で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比が2:1]により分離し、精製して、VII-2(8.0g、69.4%)が得られた。MS-ESI(m/z):528.3[M+H]+、
(S)-3-アミノ-3-メチル-2-(4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド)酪酸メチル(VIII-2)
VII-2(7.9g、15mmol)をメタノール(40mL)に溶解し、乾燥塩化水素ガスを30分間注ぎ、溶媒を減圧下で蒸発させて、VIII-2(6.0g、92.3%)を得て、精製せずに次のステップの反応に直接使用した。MS-ESI(m/z):428.2[M+H]+、
(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-4-((4-ニトロフェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド(I-2)
VIII-2(5.6g、12mmol)をイソプロパノール(15mL)及び16.85mol/Lのヒドロキシルアミン水溶液(13.8mL、230mmol)に溶解し、反応が完了となることをLCMSで検出するまで、室温で攪拌及び反応させる。逆相HPLCを使用し[HPLC条件は、クロマトグラフィーカラムXDB-C18カラム(21.2mm×250mm、7μm、移動相Aは、アセトニトリル(0.1%TFAを含む)、B:水(0.1%TFAを含む)、勾配溶出(0~40分:A5%~30%)、カラム温度25℃、流量10mL/min、検出波長280nm]で分離及び精製した後、凍結乾燥して1~2(2.19g、53.2%)を得た。MS-ESI(m/z):429.2[M+H]+。1HNMR(500mHz、CDCl3)δ9.23(d、J=4.0Hz、1H)、8.72(d、J=4.2Hz、1H)、8.20~8.13(m、2H)、7.68(d、J=10.4Hz、1H)、7.75~7.72(m、2H)、4.18(d、J=10.6Hz、1H)、3.50~3.42(m、4H)、3.15~
3.06(m、4H)、2.47(s、1H)、1.24(s、2H)、1.18(s、2H)。
【0090】
[実施例3]
(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミド(I-3)調製:(調製プロセスは式6に示すとおりである)
【0091】
【0092】
4-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンズアルデヒド(III-3)
-10℃で、デス・マーチン酸化剤(DMP)(44.5g、105mmol)をII-3(19.5g、95mmol)のジクロロメタン(300mL)溶液に数回に分けて添加し、反応体系の温度を-7℃から-10℃の間に保つように添加速度を制御し、添加完了後、室温で4時間攪拌する。反応が終わったら、氷浴に移し、順次に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液(250mL)を加えて、反応をクエンチする。濾過して固形物を取り除き、静置して層化し、水層をジクロロメタンで3回(150mL×3)抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離及び精製して、[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比は20:1]、III-3(13.6g、70.6%)を取得する。MS-APCI(m/z):204.1[M+H]+、
1-(4-(2,2-ジブロモビニル)ベンジル)ピペリジン(IV-3)
-20℃のアルゴン雰囲気で、トリフェニルホスフィン(45.1g、172mmol)のDCM(90mL)溶液を、四臭化炭素(28.5g、86mmol)のDCM(80mL)に滴下し、滴下完了後、攪拌条件下で30分間反応させる。-78℃に冷却し、III-3(8.7g、43mmol)のDCM(60mL)溶液を滴下し、滴下完了後、
攪拌条件下で30分間反応させ、室温まで昇温させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、40%エタノール溶液に溶解させて、黄色い液体が得られ、n-ヘキサンを加えて10分間激しく攪拌し、静置して層化し、減圧下でn-ヘキサン層を濃縮して粗生成物IV-3(13.0g、84.7%)を得る。精製せずに次の反応で直接使用する。少量の粗生成物IV-3を取ってシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比150:1]で分離及び精製して、構造を確認するために黄色の油を得る。MS-ESI(m/z):380[M+Na]+、
2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)安息香酸メチル(V-3)
アルゴン雰囲気中、IV-3(10.7g、30mmol)、4-エチニル-2-ヒドロキシ安息香酸メチル(a-3)(10.6g、60mmol)、Pd2(dba)3(0
.81g、0.9mmol)、(4-MeOPh)3P(0.62g、1.8mmol)及びトリエチルアミン(8.92g、88mmol)をDMF(120mL)に加え、反応物を80℃で8時間撹拌した。酢酸エチル(300L)を加え、水(150mL×3)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比が80:1]で、分離及び精製して、V-3(4.23g、37.8%)を得た。MS-ESI(m/z):374.2[M+H]+、
2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)安息香酸(VI-3)
水酸化ナトリウム(3.6g、90mmol)の水溶液(20mL)をV-3(3.4g、9mmol)のTHF(60mL)溶液に加え、室温で8時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、濃縮液に水(50mL)を加え、1mol/Lの塩酸で約pH=2.0に調整し、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、VI-3粗生成物(2.8g、86.6%)を得て、精製せずに次の反応で直接使用する。構造を確認するために、少量のVI-3粗生成物を取って分離及び精製する。MS-ESI(m/z):358.2[M-H]-、
(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンゾイルアミノ)-3-メチル酪酸メチル(VII-3)
(S)-2-アミノ-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル酪酸メチルエステル(Boc-S)(8.15g、33mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、14.25g、110mmol)をVI-3(9.7g、27mmol)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HATU、12.90g、33mmol)のDMF(170mL)溶液中に添加し、室温で5時間撹拌し、反応させる。酢酸エチル(320mL)を加え、1.2mol/Lの塩化リチウム水溶液(120mL×3)で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液は、石油エーテルと酢酸エチルの体積比2:1)]により分離し、精製して、VII-3(11.2g、70.8%)が得られた。MS-ESI(m/z):588.3[M+H]+、
(S)-3-アミノ-2-(2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンゾイルアミノ)-3-メチル酪酸メチル(VIII-2)
VII-2(11.2g、19mmol)をメタノール(40mL)に溶解し、乾燥塩化水素ガスを35分間注ぐ。溶媒を減圧下で蒸発させてVIII-3(8.6g、92.6%)を得、精製せずに次のステップの反応に直接使用した。MS-ESI(m/z):488.5[M+H]+、
(S)-N-(3-アミノ-1-(ヒドロキシアミノ)-3-メチル-1-オキソブト-2-イル)-2-ヒドロキシ-4-((4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)ブタン-1,3-ジイン-1-イル)ベンズアミド(I-3)、
VIII-3(7.3g、15mmol)をイソプロパノール(15mL)及び16.85mol/Lのヒドロキシルアミン水溶液(17.5mL、295mmol)に溶解し、反応が完了となることをLCMSで検出するまで、室温で攪拌及び反応させる。逆相HPLCを使用し[HPLC条件はカラムXDB-C18カラム(21.2mm×250mm、7μm、移動相Aは、アセトニトリル(0.1%TFAを含む)、Bは水(0.1%TFAを含む)、勾配溶出(0~40分:A5%~30%)、カラム温度25℃、流量10mL/min、検出波長280nm]で分離・精製した後、凍結乾燥して1~3(3.7g、50.8%)。MS-ESI(m/z):489.2[M+H]+。1HNMR(500mHz、CDCl3)δ9.18(d、J=4.0Hz、1H)、8.74(d、J=4.0Hz、1H)、8.53(d、J=10.8Hz、1H)、7.82~7.7
5(m、1H)、7.50~7.43(m、2H)、7.30~7.26(m、2H)、7.20~7.15(m、2H)、4.28(d、J=10.8Hz、1H)、3.55~3.48(m、2H)、2.47~2.38(m、6H)、1.60~1.46(m、4H)、1.46~1.34(m、2H)、1.18(s、2H)、1.11(s、2H)。
【0093】
[テスト例]
CLSI規格を参照して、MHブロス微量希釈法を用いて薬剤感受性試験を実施し、試験菌をMHブロス又はブレインハートインフュージョンを使用して細菌を増やし、薬液は、MHブロスまたはブレインハートインフュージョンで2倍に希釈され、96ウェルプレートで必要なさまざまな濃度になる(ウェルあたり100μL)。各ウェルの薬液の最終濃度は、128、64、32、16、8、4、2、1、0.5、0.25、0.125、0.06、0.03μg/mLである。試験菌を順次接種した後(接種量は5×105CFU/mL)、35℃で18時間インキュベートした。観察結果を表1に示す。
【0094】
【0095】
表1からわかるように、化合物I-1、I-2及びI-3は、さまざまなグラム陰性細菌に対して抗菌活性を持っているほか、クレブシエラ・ニューモニエ2146(産NDM-1)及び緑膿菌ATCC27853に対する抗菌活性も、臨床の第一選択薬レボフロキサシンよりも優れている。
【0096】
18~22gの健康なICRマウスを取り、ランダムにグループに分け、各グループに3匹のマウス(雄と雌の要件なし)がある。それぞれに、1回の尾静脈注射で化合物D73-ACHN975、I-1、I-2、I-3を投与した。表2に示す量の薬剤を投与した直後に、動物の反応を観察し、死亡数と死亡時間を記録し、死亡率を求めた。死んでいない動物と正常な動物(投与されていない)の尾を取り、パラホルムアルデヒドで固定し、HE染色を行って尾の血管に病変があるかどうかを観察した。結果を表2に示すとおりである。
【0097】
【0098】
表2から分かるように、参照化合物D73-ACHN975は静脈注射で投与され、そのMTDは約75mg/kgであり、化合物I-1、I-2及びI-3は、静脈注射で投与され、そのMTD>100mg/kgである。D73-ACHN975化合物のLD50値は、マウスに静脈内投与した場合、化合物I-1、I-2、I-3のLD50値よりも低くなると推定される。具体的な値をさらに測定する必要がある。予備判断では、マウスへの静脈内投与により、化合物I-1、I-2及びI-3の急性毒性は化合物D73-ACHN975より低い。
【0099】
前記の例から、本発明によって提供されるヒドロキサム酸誘導体は、より良好な殺菌活性及びより低い毒性を有することが分かる。
【0100】
前記の実施形態の説明は、単に本発明の方法及びコアアイデアを理解ために提供されるものである。本発明の原理から逸脱することなく、当業者にとって、本発明に対していくつかの改善及び修正を行うこともでき、これらの改善及び修正もまた、本発明の特許請求の範囲内にあることに留意されたい。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態で実施することができる。したがって、本発明は、このテキストに示される実施形態に限定されないが、このテキストに開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲に適合すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
本発明において、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)は、好ましくは撹拌の条件下で行われ、本発明は、前記撹拌について特別な制限はなく、当業者に周知のプロセスによって実施することができる。本発明において、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の温度は、好ましくは75~85℃、より好ましくは78~82℃であり、園頭カップリング反応(Sonogashiraカップリング反応)の時間は、好ましくは6~10時間、より好ましくは8~9時間である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
【国際調査報告】