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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】がんを処置するための薬学的組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/573 20060101AFI20220217BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A61K31/573
A61P35/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536322
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019068029
(87)【国際公開番号】W WO2020132552
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/783,911
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268598
【氏名又は名称】シーエー*ティーエックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボーマン, ブルース エム.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA60
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、結腸直腸がんおよび家族性大腸腺腫症(TAP)の処置のための組合せ治療を提供する。一態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記がんが、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが結腸直腸がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
家族性大腸腺腫症(FAP)を処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項6】
治療有効量の追加の治療剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、前記被験体に投与することをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の治療剤が、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記追加の治療剤が、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の治療剤が、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツマブエムタンシンから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記追加の治療剤が、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の治療剤が、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の治療剤がナパブカシンである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の治療剤が、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴンおよびアンタビューズから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記追加の治療剤がグルカゴン様ペプチドである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記追加の治療剤がスタチンである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の治療剤が、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記追加の治療剤がサバイビン阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記追加の治療剤がTCF-4阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記追加の治療剤が骨形成タンパク質である、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
ブデソニドおよび前記追加の治療剤が同時に投与される、請求項6から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ブデソニドおよび前記追加の治療剤が、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される、請求項6から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ブデソニドおよび前記追加の治療剤が、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される、請求項6から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ブデソニドおよび前記追加の治療剤が、医薬組成物に共に製剤化される、請求項6から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ブデソニドおよび前記追加の治療剤が、毎日、2日毎、または3日毎に投与される、請求項6から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ;
追加の治療剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ;および
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項26】
前記追加の治療剤が、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記追加の治療剤がベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記追加の治療剤が、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツマブエムタンシンから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記追加の治療剤が、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記追加の治療剤が、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記追加の治療剤がナパブカシンである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記追加の治療剤が、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記追加の治療剤がグルカゴン様ペプチドである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記追加の治療剤がスタチンである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記追加の治療剤が、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記追加の治療剤がサバイビン阻害剤である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記追加の治療剤がTCF-4阻害剤である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記追加の治療剤が骨形成タンパク質である、請求項25に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月21日に提出された米国特許仮出願第62/783,911号の利益を主張する国際出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に医学、がんの生物学および処置の分野に関し、特にがんを処置するための新規薬物および薬物組合せの方法および治療戦略、ならびにそのような組合せを含む医薬組成物、ならびにそれを作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多数のがん関連治療が、第I相または第II相臨床試験および任意の特定の時点での評価中であるが、それらのほとんどは先に進むことができない。実際には、90%より多くのがん関連治療薬が第I相または第II相臨床試験評価で失敗に終わると推定されている。第III相試験での失敗率はほぼ50%であり、発見から第III相試験までの新薬開発の費用は、8億ドルから17億ドルの間であり、8年から10年を要し得る。加えて、多くの患者が、有効であることが示されている基準薬にすら応答しない。現在、十分に理解されていないかまたは容易に評価されないという理由で、個々の患者は、標準的な薬物治療に応答しない場合がある。一部の例では、薬物の組合せの投与は、個々に投与される薬物よりがんの処置に関して有効であり得る。これらの薬物の組合せは、相乗的に作用して、薬物の抗がん活性を増強し得る。一部の例では、特に有効ではない薬物が、追加の薬物治療と組み合わせた場合に新規の予想外の用途を見出し得る。
【0004】
結腸直腸がん(CRC)は、最も一般的に診断されるがんの第3位であり、米国におけるがん関連死の原因の第3位であり、2011年に推定で141,000例が結腸直腸がんと診断された。初期の非侵襲性の腺腫の外科的切除は治癒的であるが、進行型のCRCを有する患者の有効な処置の選択肢は少なく、予後はしばしば不良である。潜伏期が長いにもかかわらず、外科的に切除できる段階で同定される病変はごくわずかである。ヒトAPC腫瘍抑制遺伝子における変異は家族性大腸腺腫症(FAP)に連鎖しており、これは大腸の上皮に多数のポリープが形成される遺伝性のがん易発性状態である。CRCの発達は、結腸上皮からの腺腫性ポリープの異常な増殖によって始まり、最終的に侵襲性の癌へと進行する。散発性の結腸直腸がんの約85%は、APC切断変異を有することが報告されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌(endotheliocarcinoma)、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫(rabdomyosarcoma)、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病(acute erythroleukemic leukemia)、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病(acute megakaryoblastic leukemia)、急性単芽球性白血病(acute monoblastic leukemia)、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病(acute nonlymphocytic leukemia)、急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia)、急性未分化型白血病(acute undifferentiated leukemia)、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択される。一部の実施形態では、がんは、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。
【0006】
一態様では、本開示は、APC変異を有する被験体における状態または障害を処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、状態または障害はがんである。一部の実施形態では、がんは、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択される。一部の実施形態では、がんは、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。一部の実施形態では、方法は、被験体におけるAPC変異を診断することをさらに含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、家族性大腸腺腫症(FAP)を処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、被験体はAPC変異を有する。
【0008】
別の態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は相乗的な量である。一部の実施形態では、がんは、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択される。一部の実施形態では、がんは、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプト(ziv-aflibercept)から選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤はスタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。
【0009】
別の態様では、本開示は、APC変異を有する被験体における状態または障害を処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は相乗的である。一部の実施形態では、状態または障害は、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択されるがんである。一部の実施形態では、状態または障害は、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択されるがんである。一部の実施形態では、状態または障害は結腸直腸がんである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。一部の実施形態では、方法は、被験体におけるAPC変異を診断することをさらに含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、家族性大腸腺腫症(FAP)を処置する方法であって、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は相乗的である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。一部の実施形態では、被験体はAPC変異を有する。
【0011】
別の態様では、本開示は、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ;追加の治療剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は相乗的である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤はTCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。
【0012】
別の態様では、本開示は、がんの処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。別の態様では、本開示は、がんの処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は、相乗的である。一部の実施形態では、がんは、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択される。一部の実施形態では、がんは、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。
【0013】
別の態様では、本開示は、APC変異に関連する状態または障害の処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。別の態様では、本開示は、APC変異に関連する状態または障害の処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は、相乗的である。一部の実施形態では、状態または障害は、聴神経腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳がん、乳がん、気管支原性癌、子宮頸がん、脊索腫、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、胎生期癌、内皮癌、上衣腫、上皮癌、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形性膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝細胞癌、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、粘液肉腫、鼻のがん、神経芽腫、乏突起神経膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮癌、胃がん、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺癌、喉のがん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液のがん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化型白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症から選択されるがんである。一部の実施形態では、状態または障害は、結腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、および尿路上皮がんから選択されるがんである。一部の実施形態では、状態または障害は結腸直腸がんである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤はTCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。
【0014】
別の態様では、本開示は、大腸腺腫症(FAP)の処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。別の態様では、本開示は、大腸腺腫症(FAP)の処置に使用するための、治療有効量のブデソニドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグ、および治療有効量の追加の治療剤またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを提供する。一部の実施形態では、ブデソニドの治療有効量および追加の治療剤の治療有効量は、相乗的である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、およびチピラシルから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびアフリベルセプトから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、およびトラスツズマブエムタンシンから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、およびアパチニブから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ナパブカシンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびアンタビューズから選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、グルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、追加の治療剤はスタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、オールトランスレチノイドまたは9-シスレチノイドである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、サバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1時間~約24時間以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、互いに約1日~約7日以内に逐次的に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、医薬組成物に共に製剤化される。一部の実施形態では、ブデソニドおよび追加の治療剤は、毎日、2日毎、または3日毎に投与される。一部の実施形態では、FAPは、APC変異FAPである。
【0015】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳しく記載されている。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ブデソニドまたはスリンダク含有飼料を8または4週間(4週齢から12週齢まで、または8週齢から12週齢まで)与えたApcMin/+マウスにおける腸腫瘍の数の減少を例証する:棒グラフは、無処置C57BL/6対照マウスと比較した腫瘍数の%変化を示す。各飼料群は、全体でマウス12匹であり、6匹は4週齢で処置を開始し(腫瘍の発生前)、6匹は8週齢で開始した(腫瘍の発生後)。
【0017】
図2図2は、ブデソニドまたはスリンダク含有飼料を8または4週間(4週齢から12週齢まで、または8週齢から12週齢まで)与えたApcMin/+マウスにおける腸腫瘍のサイズの変化を例証する:棒グラフは、無処置C57BL/6対照マウスと比較した腫瘍サイズの%変化を示す。腫瘍サイズは、ブデソニドまたはスリンダクを腺腫発生前に開始すると減少したが、腺腫発生後では減少しなかった。
【0018】
図3図3A~3Dは、スリンダクがヒトCRC細胞における抗アポトーシスタンパク質サバイビンの発現を減弱することを例証する;サバイビンおよびBcl-2発現を、スリンダク(200μM)によって処置したHT-29細胞において評価した。RNAおよびタンパク質発現をそれぞれ、RT-PCRおよびウェスタンブロットによって測定した。図3Aおよび3Bは、サバイビンおよびBcl-2 mRNA発現のエチジウムブロミド染色ゲルおよび定量化したデータのグラフを示す。図3Cおよび3Dは、サバイビンおよびBcl-2タンパク質発現のウェスタンブロットおよび定量化データのグラフを示す。
【0019】
図4図4A~4Dは、グローバルDNAメチル化を評価するために抗5-メチルシチジン抗体を使用する免疫染色を例証する。ブデソニドは、ApcMin/+マウスにおける腸組織のグローバルDNAメチル化を増加させる。免疫染色のシグナル強度は、B6対照(図4A)およびApcMin/+マウス(図4B)の正常に見える小腸の上部陰窩および絨毛領域と比較して下部陰窩領域において減少する。免疫染色のシグナル強度は、ApcMin/+マウスの小腸の腺腫において減少する(図4C)。ブデソニド処置は、5-メチルシチジン染色陽性の腺腫細胞の比率および強度の両方の増加を誘導する(図4D)。
【0020】
図5図5は、高メチル化遺伝子(平均値と比較して>2倍の増加)を赤色の文字で示し、および低メチル化遺伝子(>2倍の減少)を緑色の文字で示すメチル化量の円形模式図(circular ideogram)を示し、ブデソニドがヒトCRC細胞においてDNAメチル化を増加させることを例証する。ブデソニド曝露に応答したHT29(APC変異体)細胞について、エピジェネティックプロファイリングを行い、DNAメチル化プロファイリングにより、ブデソニド曝露後のゲノムの大きい部分にわたってメチル化の全体的な増加が起こったことが明らかとなった(ゲノム全体の1MBドメインの69.3%が、対照と比較してブデソニドに応答してメチル化の増加を示したが、CpGメチル化の統計学的に有意なシフトが、分析した1.9M中235個のユニークCpG部位で起こった)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、がん、特に結腸直腸がんまたはFAPの処置のためのブデソニド治療を提供する。本開示はまた、がん、特に結腸直腸がんまたはFAPの処置のための組合せ治療、例えばがんまたはFAPを処置するための、ブデソニドと他の治療剤、例えば抗がん剤との組合せ治療も提供する。そのような組合せは、がんまたはFAPの処置において、特に結腸直腸がんの処置において相乗効果を提供する。
定義
【0022】
本明細書で使用される一般的な用語は、特に示していない限り、好ましくは本開示の文脈において以下の意味を有する。したがって、本発明の文脈において使用される一般的用語の定義を本明細書において以下に提供する。
【0023】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本文が明らかにそれ以外であることを示していない限り、複数形を含む。
【0024】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、一般的に、当業者によって決定される特定の値の許容される誤差範囲を指し、これは値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存し得る。例えば「約」は、1または1より大きい標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」は、所定の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物系または生物プロセスに関して、この用語は、値の10倍以内、5倍以内、および2倍以内を意味し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「少なくとも1つ」は、1つまたは複数を指す。例えば、用語「少なくとも1つの抗がん剤」は、組合せが単一の抗がん剤またはそれより多くの抗がん剤を含むことを意味する。
【0026】
用語「有効量」または「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、一般的にこれらに限定されないが、疾患または状態の処置を含む、意図される、既定の、または規定の適用に影響を及ぼすために十分である本明細書に記載される化合物の量を指す。治療有効量は、適用(例えば、in vitroまたはin vivo)、または処置される被験体および疾患状態、例えば被験体の体重および年齢、疾患状態の重症度、ならびに投与様式に応じて異なり得る。用語はまた、標的細胞における特定の応答、例えば増殖の低減または標的タンパク質の活性のダウンレギュレーションを誘導する用量にも当てはまり得る。特定の用量は、選択される特定の化合物、従うべき投与レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるか否か、投与のタイミング、それが投与される組織、およびそれが運ばれる物理的送達系に応じて変化し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤、賦形剤、および/または塩が製剤の他の成分と適合性でなければならないこと、およびそのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。「薬学的に許容される」はまた、組成物または剤形が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を引き起こすことなく、妥当な利益/リスク比に釣り合って、動物またはヒトでの使用に適していることを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「組合せ」または「薬学的組合せ」は、抗がん剤の組合せ投与を指す。本開示の組合せは、ブデソニド、ならびにこれらに限定されないが、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、イリノテカンリポソーム、ロイコボリン(フォリン酸)、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トリフルリジン、チピラシル、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アフリベルセプト、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、アパチニブ、PD-1受容体またはCTLA-4受容体のチェックポイント阻害剤、ナパブカシン、スリンダク、アスピリン、セレコキシブ、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、酪酸ナトリウム、シクロソマトスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、アンタビューズ、グルカゴン様ペプチド、スタチン、オールトランスレチノイド(例えば、オールトランスレチノイン酸またはATRA)、9-シスレチノイド(例えば、9-シスレチノイン酸)、サバイビン阻害剤、TCF-4阻害剤、または骨形成タンパク質から選択される抗がん剤を含む少なくとも1つの治療剤を含み、治療剤または抗がん剤は、それを必要とする被験体に、例えば同時または逐次的に投与され得る。他の抗がん剤が本明細書において記載されるか、または当業者によって企図され得る。
【0029】
用語「相乗的」、または「相乗効果」、または「相乗作用」は、本明細書で使用される場合、一般的に組成物の組合せの1つまたは複数の効果が各々の構成要素単独の1つまたは複数の効果より高い効果、またはそれらが各々の構成要素単独の1つまたは複数の効果の総和より高くなり得る効果を指す。相乗効果は、構成要素の1つのみを有する被験体における効果または個々に投与した場合の構成要素の各々の相加効果より約5%超高い、約10%超高い、約15%超高い、約20%超高い、約25%超高い、約30%超高い、約35%超高い、約40%超高い、約45%超高い、約50%超高い、約55%超高い、約60%超高い、約65%超高い、約70%超高い、約75%超高い、約80%超高い、約85%超高い、約90%超高い、約95%超高い、約100%超高い、約110%超高い、約120%超高い、約130%超高い、約140%超高い、約150%超高い、約175%超高い、約200%超高い、約225%超高い、約250%超高い、約275%超高い、約300%超高い、約325%超高い、約350%超高い、約375%超高い、約400%超高い、約425%超高い、約450%超高い、約475%超高い、または500%超高い、またはそれより高い効果であり得る。効果は、本明細書に記載される測定可能な効果のいずれかであり得る。有利には、組み合わせた場合の薬剤間のそのような相乗効果により、1つまたは両方の薬剤のより少ない用量を使用することが可能となり得る、同じ用量でより大きい有効性を提供し得る、および多剤耐性の発達を防止または遅らせ得る。本明細書で使用される場合、「相乗的な量」は、そのような用量を指す。Chou and Talalayの併用指数(CI)方法を使用して、組み合わせて使用した薬剤の相乗性、相加性、または拮抗効果を決定してもよい。CI値が1未満である場合、組合せに使用した化合物間に相乗性が存在し、CI値が1に等しい場合、組合せに使用した化合物間に相加効果が存在し、およびCI値が1より大きい場合、拮抗効果が存在する。相乗効果は、薬学的組合せの薬剤を共に製剤化することによって達成され得る。相乗効果は、別個の製剤として同時にまたは逐次的に投与される2つまたはそれより多くの薬剤を投与することによって達成され得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「大腸腺腫症遺伝子」または「APC遺伝子」、または「APC」は、APCタンパク質をコードする哺乳動物DNA配列を指す。ヒトAPC遺伝子の例は、5番染色体上の5q21-q22に位置する、GenBank:M74088.1。ヒトAPC遺伝子の同義語としては、BTPS2、DP2、DP2.5、DP3、PPP1R46、および「タンパク質ホスファターゼ1、調節サブユニット46」が挙げられる。マウスAPC遺伝子の例は、18番染色体B1に位置する、MGI:88039。マウスAPC遺伝子の同義語としては、CC2、Min、mAPC、AI0147805、AU020952、およびAW124434が挙げられる。
【0031】
用語「大腸腺腫症タンパク質」または「APCタンパク質」、または「APC」は、本明細書で使用される場合、2843アミノ酸の哺乳動物タンパク質配列を指す。ヒトAPC配列の例は、GenBank:AAA03586である。マウスAPC配列の例は、GenBank:AAB59632である。
【0032】
用語「APC切断」または「APC切断変異体」、または「APC切断変異」は、APC遺伝子内で起こる変異に起因する切断型タンパク質産物を指す。APC切断は、例えば、これらに限定されないが、1309アミノ酸の産物または1450アミノ酸の産物であり得る。
【0033】
用語「投与すること」は、本明細書で使用される場合、in vivoでの投与ならびにex vivoでの組織への直接投与を含む。一般的に、組成物は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、佐剤、および望ましければビヒクルを含有する投薬単位製剤で、経口、頬側、非経口、局所、吸入もしくは吹送によって(すなわち口を通して、または鼻を通して)、もしくは直腸のいずれかによって全身に投与され得るか、またはこれらに限定されないが、注射、植え込み、移植、局所適用、もしくは非経口などの手段によって局所に投与され得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」、「個体」および/または「患者」は互換的に使用され、ヒトを含む哺乳動物起源の動物種のメンバーを指す。
【0035】
用語「阻害すること」は、本明細書で使用される場合、物質または化合物の化学活性または生物活性を低減またはモジュレートすることを指す。
【0036】
用語「疾患」、「障害」、および/または「状態」は、本明細書で使用される場合、健康が損なわれること、または異常に機能する状態を指す。
【0037】
用語「薬物」は、本明細書で使用される場合、疾患の防止、診断、軽減、処置、または治癒に使用される治療剤または任意の物質を指す。
【0038】
用語「治療剤」は、本明細書で使用される場合、治療効果を提供する薬物、分子、核酸、タンパク質、代謝物、組成物、または他の物質を指す。用語「活性な」は、本明細書で使用される場合、意図される治療効果に関与する記載の本発明の組成物の成分、構成要素、または構成成分を指す。用語「治療剤」および「活性剤」は、本明細書において互換的に使用される。
【0039】
用語「低減させる」または「低減すること」は、本明細書で使用される場合、障害を発症するリスクがある個体における障害の発生の制限を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」、または「個体」、または「患者」は、互換的に使用され、ヒトを含む哺乳動物起源の動物種のメンバーを指す。
【0041】
用語「症状」は、本明細書で使用される場合、特定の疾患または障害から生じ、それに伴い、それの指標として役立つ現象を指す。
【0042】
用語「治療構成要素」は、本明細書で使用される場合、集団のあるパーセンテージにおいて特定の疾患症状を除去する、低減させる、または進行を防止する治療有効投薬量(すなわち、用量および投与頻度)を指す。一般的に使用される治療構成要素の例は、ED50であり、これは集団の50%における特定の疾患症状にとって治療的に有効である特定の投薬量における用量を記載する。
【0043】
用語「治療効果」は、本明細書で使用される場合、その結果が望ましいおよび有益であると判断される処置の帰結を指す。治療効果は、直接または間接的に、疾患症状の停止、低減、または除去を含み得る。治療効果はまた、直接または間接的に、疾患症状の進行の停止、低減、または除去も含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「変異」は、親のタイプでは見出されない新規特徴もしくは形質を作り出す、生物の遺伝子もしくは染色体内でのDNA配列の変化、または遺伝子をコードするDNAのヌクレオチド配列における変更を通してもしくは染色体の物理的配置の変化のいずれかを通して、そのような変化が染色体に起こるプロセスを指す。変異の3つの機序は、置換(1つの塩基対の別の塩基対との交換)、付加(配列への1つまたは複数の塩基の挿入)、および欠失(1つまたは複数の塩基対の喪失)を含む。
【0045】
用語「変異体」および「バリアント」は、本明細書において互換的に使用され、参照ヌクレオチド配列と実質的な同一性を有するヌクレオチド配列を指す。配列の差は、配列または構造における天然のまたは設計による変化の結果であり得る。天然の変化は、通常の再現または複製の過程で特定の核酸配列の性質において生じ得る。設計された変化を特異的に設計して、特定の目的のために配列に導入してもよい。そのような特異的変化は、多様な技術を使用してin vitroで作製され得る。
【0046】
用語「医薬組成物」は、本明細書で使用される場合、医薬品、薬物、代謝物、または活性成分を含む調製物を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、および/または「処置」は、疾患、障害、または状態を廃止する、実質的に阻害する、進行を遅らせる、または逆転させること、疾患、障害、もしくは状態の臨床症状を実質的に改善すること、または疾患、障害、もしくは状態の臨床症状の出現を実質的に防止することを含む。処置することはさらに:(a)障害の重症度を低減すること;(b)処置される障害の特徴である症状の発生を制限すること;(c)処置される障害の特徴である症状の悪化を制限すること;(d)すでに障害を有する患者における障害の再発を制限すること;(e)障害に関してこれまで無症候性であった患者における症状の再発を制限すること;(f)疾患、または状態の症状を軽減する、和らげる、または改善すること;(g)追加の症状を防止すること、症状の基礎となる原因を改善または防止すること;(h)疾患または状態を阻害すること;(i)疾患または状態の発生を停止させること;(j)疾患または状態を緩和すること;(k)疾患または状態の退行を引き起こすこと;(l)疾患または状態によって引き起こされる状態を緩和すること;および/または(m)予防的および/または治療的のいずれかで疾患または状態の症状を停止させること、の1つまたは複数を達成することを指す。
【0048】
用語「状態」は、本明細書で使用される場合、多様な健康状態を指し、切断されたAPCタンパク質が発現される基礎となる機序または障害によって引き起こされる障害または疾患を含むことを意味する。それを必要とする被験体は、APC変異に関連する障害を有するまたは障害を有するリスクを有する患者である。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「治療量」および/または「治療有効量」は、所望の生物効果を実現するために必要または十分な治療剤の量を指す。本明細書に提供される教示と組み合わせると、様々な治療剤および加重要因、例えば効力、相対的生物学的利用率、患者の体重、有害な副作用の重症度および好ましい投与様式の中から選択することによって、実質的な毒性を引き起こさず、なおも特定の被験体を処置するために有効な、有効な予防的または治療的処置レジメンが計画され得る。いかなる特定の適用の有効量も、処置される疾患もしくは状態、特定の記載される治療剤、被験体のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度などの要因に応じて変化し得る。当業者は、不要な過度の実験を行うことなく、特定の記載される化合物および/または他の治療剤の治療有効量を経験的に決定することができる。一般的に、最高用量、すなわち何らかの医学的判断に従って安全な最高用量を使用することが好ましい。用語「用量」および「投薬量」は、本明細書において互換的に使用される。本明細書に記載される任意の治療剤に関して、治療有効量は、予備的なin vitro試験および/または動物モデルから最初に決定することができる。治療有効量はまた、ヒトデータからも決定することができる。適用される用量は、投与される化合物の相対的生物学的利用率および効力に基づいて調節することができる。上記の方法および他の方法に基づいて最大の有効性を達成するように用量を調節することは、当技術分野で周知であり、当業者の能力内である。治療有効量は現在では、承認された推奨投薬量および推奨量であり得る。
【0050】
詳細な説明
本開示は、がん、特に結腸直腸がん(CRC)の処置、および家族性大腸腺腫症(FAP)などの前がん性状態の処置に関する。結腸直腸がんおよびFAPは、比較的一般的である。特にCRCは、高い死亡率に関連する。本開示は、少なくともブデソニドを含む組合せ治療を使用することによってCRCおよびFAPを処置する方法を提供する。
【0051】
進行がんを有する成人患者の従来の治療は、細胞障害性化学療法剤の組合せ(例えば、CRCの場合は5-FUに基づくレジメン)からなり、これは通常、治癒的ではなく有意な毒性に関連する。がんの変更された分子経路に対して開発された一部の新規「標的化剤」は、有効性を示しているものの、予想される(>50%)腫瘍応答率および/またはがんの治癒を生じない。免疫療法剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)は、がんと闘うための体の自然防御を強化することによって有望なアプローチを提供する。しかし、免疫療法は、全てのがんのごく一部の割合(<10%)、すなわち高い変異率を有するがんに対して主に有益であるに過ぎない。CRCの場合、顕著に上昇した変異率を示すのは進行期腫瘍のわずか3%に過ぎない(DNAミスマッチ修復またはポリメラーゼ欠損により)。したがって、免疫療法からおそらく利益が得られるのは患者のほんの少数である。
【0052】
進行CRC(>80%)の大部分は、腫瘍抑制遺伝子APCの不活化を有し、APC変異は、ほとんどのCRCにおいて腫瘍成長の主な駆動因子である。古典的な腫瘍抑制因子として作用しないAPCは、Wntシグナル伝達に影響を及ぼし、それによって遺伝子転写を調節する。Wntは、胚発生の際の幹細胞の維持、増殖、および分化の調節に関係している分泌されたシステインに富む糖タンパク質ファミリーである。典型的なWntシグナル伝達は、GSK-3キナーゼ活性の受容体媒介不活化により細胞質の13-カテニンの安定性を増加させ、13-カテニンの核へのトランスロケーションを促進する。典型的なWntシグナル伝達経路はまた、細胞内13-カテニンの安定化および13-カテニン/TCF/LEF転写複合体の活性化を介して幹細胞マイトゲンとしても機能し、細胞周期調節遺伝子、例えばMyc、サイクリンDl、EPhrinB(EPhB)、およびMsxlの発現の活性化をもたらし、これらが細胞増殖を促進する。APCは、Wntシグナル伝達の負の調節因子である。この負の調節がなければ、Wnt経路はより活性であり、がんにおいて重要である。
【0053】
APC遺伝子産物は、ベータ-カテニン、アキシン、C末端結合タンパク質(CtBP)、APC刺激グアニンヌクレオチド交換因子(Asef)、Ras GTPアーゼ活性化様タンパク質(IQGAP1)、end binding-I(EB1)、および微小管を含む様々なタンパク質に結合する複数のドメインからなる312kDaタンパク質である。APCは、上皮細胞およびリンパ様細胞を含む多様な細胞タイプの腫瘍形成、発生および恒常性にとって必須である典型的なWntシグナル伝達を抑制するが、いくつかの他の基本的細胞プロセスにおいて機能する。これらの細胞プロセスは、細胞接着および遊走、アクチンおよび微小管ネットワークの組織化、紡錘糸形成、ならびに染色体分離を含む。APCにおける変異によって引き起こされるこれらのプロセスの調節解除は、結腸がんの発生および増大に関係している。APCタンパク質は、それが発癌に関連するいくつかのタンパク質と物理的に相互作用するという点においてシグナル伝達の拠点または足場として機能する。APCの喪失は、細胞接着、細胞遊走、細胞骨格、および染色体分離に影響を及ぼし、APC変異が結腸がんにおける機能喪失の変化を引き起こすと考えられている。ミスセンス変異は、APCにおいて点変異を生じるが、切断変異は、定義された調節ドメインを含むAPCタンパク質の大きい部分の喪失を引き起こす。
【0054】
APCによる機能喪失は、部分的に正確であり得るが、同様に、結腸がん患者の大きい割合が、切断される少なくとも1つのAPC遺伝子産物を有し、これは機能獲得を有すると考えられている。このように、切断されたAPCタンパク質は、劣性とは対照的に、結腸がんの発生および進行において能動的役割を果たし得、例えば切断型APCは、Asefを活性化し、細胞遊走を促進し得るが、全長のAPCにこれらの作用はない。APCにおける欠損は、結腸がん症例の高い割合で起こるが、現在、これらの欠損に起因する脆弱性を標的化する治療薬はない。
【0055】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、最も進行したCRC(>80%)は、腫瘍抑制遺伝子APCの不活化を有すると考えられる。同様に、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、いくつかの系統の証拠が、APC変異がCRCの発症および成長を駆動することを示すと考えられている:(i)APC変異は、TCF4の下流の活性化を介して構成的に活性なWNTシグナル伝達をもたらし、細胞増殖を駆動する遺伝子の転写を誘導し、WNTシグナル伝達は、主にAPC遺伝子の二対立遺伝子変異により、ヒトCRCの約95%において変更されている;(ii)APC変異は、初期CRC発生にとって十分であり;生殖系列APC変異を有する家族性大腸腺腫症(FAP)患者は、無処置のままであればCRCを発症する100%のリスクを有する;(iii)APC変異により発生する腫瘍は、DNAミスマッチ修復変異により発生する腫瘍より予後が不良である;(iv)任意の所定のAPC変異の重症度(いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、最も多くは、APCタンパク質の切断およびAPCタンパク質不活化をもたらすと考えられている)はCRCの重症度と相関する;(v)APCのセカンドヒットの特徴は、APCのファーストヒットの性質に依存する;(vi)APC変異は、結腸癌の維持にとって必要である;(vii)APCのCRC細胞へのトランスフェクションは、細胞周期停止およびアポトーシスを誘導する;(viii)CRCにおける野生型Apcの回復は、細胞分化をもたらし、陰窩の恒常性を再度確立する;(ix)CRC成長を駆動するAPC変異は、SCの集団過剰を引き起こすことによってそのようにすることが示されている。
【0056】
本開示は、APCを標的とする薬物をスクリーニングするためにApcMinマウスの使用を提供する。ApcMinマウスが有する唯一の変異は、生殖系列Apc変異であり、ApcMinマウスは、結果として複数の腸腫瘍を発生する。肺がんの発生に対して活性であるステロイド性抗炎症薬であるブデソニドを、CRCに対する治療薬として試験したところ、ApcMin変異によって誘導される腸腫瘍の発生を強く減少させる(88%)ことが見出された。ブデソニドの効果は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるスリンダク(90%減少)の効果と同等であった。
【0057】
本明細書に記載されるように、ApcMinマウスを使用して、APC変異によって破壊される機序を標的化する能力に関して薬物をスクリーニングすることができる。これらのマウスが有する唯一の変異は、生殖系列Apc変異であり、Apc変異そのものは、マウスに複数の腸腫瘍を発生させるために十分である。Minマウスは、1つの腫瘍を発生させる変異(ApcMin)のみを有し、後天性の第2のApc変異によって完全なApc不活化および腫瘍の発生が起こる。このように、腫瘍形成プロセスを阻害する薬物によるいかなる効果も、薬物が新生物組織を改変し、腫瘍成長を駆動するAPCに基づく機序を相殺する能力の結果である。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、悪性の結腸腫瘍(ヒトCRC)に対する新薬を発見するための戦略は、ApcMinマウスにおける腫瘍の発生を阻害する薬剤を評価することによると考えられるが、その理由は:1)CRCを防止することが公知の1つのクラスの薬剤が、転移性CRCに対しても活性であり;すなわち、NSAID(例えば、スリンダク、セレコキシブ、アスピリン)はApcMin腫瘍およびヒトCRCを防止し、NSAIDを投薬中の転移性CRC患者は生存が有意に増加したこと;2)APC変異は、CRC発生の初期に起こり、そのためCRC発生(がん幹細胞を含む)の間、全ての腫瘍細胞がそれらを有し、APC変異がほとんどのCRCにおける腫瘍成長の主要な駆動因子であるためである。
【0058】
本開示は、多様なAPC変異に対して作用する薬物を同定することを提供する。化学予防薬を同定するために過去に主に使用されていたApcMinモデルを使用することは、多様なAPC変異を有し得るCRCに対して活性な薬物を同定するための革新的アプローチとして適用されている。一実施形態では、このアプローチを使用して、本明細書に記載されるCRC候補薬としてブデソニドを同定する。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、ApcMinマウスが腫瘍の素因となる生殖系列Apc変異を有するが、in vivoで自然に発生して成長する腸腫瘍は、Apcのさらなる不活化(セカンドヒット)によると考えられる。同様に、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、多様なAPC変異に対して活性を有する任意の薬物が、異なるAPC変異によって障害を受ける多くのプロセスおよび経路に対して有効であることから、このモデルは有用であると考えられる。
【0059】
野生型APC遺伝子は通常、少なくとも22個の異なるタンパク質およびその関連する経路(WNTはこれらの経路の単なる1つである)と相互作用してこれを制御する7つの主要な機能的ドメインを有する大きい足場タイプのタンパク質をコードする。このように、任意の所定のAPC変異の位置に応じて、これは腫瘍の発生を異なるように促進する異なる細胞プロセスに影響を及ぼし得る。Minマウスにおけるin vivoでのGI腫瘍の発生では、Apcの第2の対立遺伝子を不活化する後天性の(体細胞)変異は多様であり、多くはApcの遺伝子配列全体に散在し得る。このように、発生する各々の異なる腫瘍は、理論的にはApcにおいて異なるセカンドヒットを有し得る。このようにMinマウスにおける複数の腸腫瘍の多様なApc遺伝子型は、ヒトCRCにおける状況を模倣するモデルを提供し、それによって異なるヒトCRCにおけるAPC変異は多様であり、APC配列全体に広く分布する。APC変異の性質(タイプおよび位置)が個々のがん患者において腫瘍によって異なり得ることを考慮すると、APCが制御する多くの細胞経路の機能、および同様にがんの成長を駆動する組織動力学に及ぼすこれらの変更の効果を障害することができるAPCにおける変更のいずれかに対して有効である薬物を同定することが重要である。このように、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本明細書に記載されるアプローチは、単に1つの経路(例えば、WNTシグナル伝達)における構成要素を標的とする薬剤を開発する、またはAPCにおける1つのみの特異的変異を必要とする薬物スクリーニングを使用するアプローチとは異なると考えられる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドは、ApcMinマウスにおけるほとんどの腸腫瘍の発生および成長の阻害において有効であることから、ブデソニドは、CRC患者における異なるAPC遺伝子型を有する腫瘍に対して有効であると考えられる。
【0060】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本開示は、大腸腺腫症(APC)変異を有する悪性のヒト結腸細胞の成長をブデソニドが優先的に阻害することに少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、この効果は、ブデソニドを非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と組み合わせると増強される。同様に、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドおよびNSAIDはいずれも抗炎症薬であるが、それらは異なる分子機序を通して作用すると考えられる。
【0061】
一部の実施形態では、ブデソニドは、多様なヒトCRC細胞株の成長を阻害する。一実施形態では、変異体APCを有する細胞は、ブデソニドによる成長阻害に対して野生型APC細胞の2倍(またはそれより高く)感受性である。分化およびアポトーシスの増加が成長阻害と並行して起こる。一部の実施形態では、NSAID、例えばスリンダクまたはアスピリンは、ブデソニドの抗腫瘍活性を増強する。一部の実施形態では、ブデソニドおよびNSAIDは、相乗効果を有する。
【0062】
本開示は、相乗的である薬物の組合せを選択することを提供する。相乗的である新規薬物の組合せを作製するために、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、薬物の選択は、i)ApcMinモデルにおける抗腫瘍活性、ii)それらの作用機序に基づき得ると考えられる。薬物の作用機序は、組み合わせて投与した場合に有効性に影響を及ぼし得る。例えば、2つの薬物が同じまたは類似の機序を通して作用する場合、それらはしばしば組み合わせた場合に相加活性を示す。相加活性は、別個に与えた2つの薬剤の効果の合計に等しいと考えられる。これに対し、およびいかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、2つの薬物が異なる機序を通して作用する場合、薬物の組合せは相乗活性を生じることができると考えられる。すなわち、共に投与される2つの薬剤の効果は、同じ用量でのその別個の効果の合計より大きい。組合せで投与した場合に、進行CRCに対して相乗活性を有する可能性がある薬物を同定するために、異なる機序を介して作用する異なる薬剤を選択した。一実施形態では、ApcMinマウスにおける腫瘍の発生に対して強い活性を有するのみならず、異なる分子作用機序をも有する2つの抗炎症薬を選択した。このように、ブデソニドおよびNSAIDは異なる作用機序を有することから、組み合わせて投与する場合、それらは相乗活性を有すると考えられる。
【0063】
本明細書で記載される場合、本開示は、ブデソニドと1つまたは複数の追加の治療剤とを含む組合せ治療を提供する。一部の実施形態では、組合せ治療は、これに限定されないが結腸直腸がんを含む様々ながんの処置のためである。一部の実施形態では、組合せ治療は、FAPの処置のためである。一部の実施形態では、組合せ治療は、PC変異を有する被験体における任意の状態の処置のためである。本明細書で使用される場合、組合せ治療は、1つまたは複数の治療剤を含む当該の処置の方法および組成物の両方を含む。
一実施形態では、治療剤はブデソニドである:
【化1】
【0064】
一部の実施形態では、ブデソニドは、直腸投与(PR)される。一部の実施形態では、ブデソニドは、1定量(2mg)PRとして1日2回2週間投与された後、1定量PRとして1日1回夕方に4週間投与される。
【0065】
一部の実施形態では、ブデソニドは、経口投与(PO)される。一部の実施形態では、ブデソニドは、カプセル剤として、例えば腸溶コーティングおよび/または徐放性カプセルとして投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、3mg錠、例えば腸溶錠および/または徐放性錠剤として投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、9mg用量として投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、9mg用量で毎朝最大8週間経口投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、9mg用量で毎朝最大8週間経口投与され、8週間の過程を繰り返してもよい。一部の実施形態では、ブデソニドは、6mg用量で毎朝経口投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、6mg用量で毎朝最大3ヶ月間経口投与される。
【0066】
一部の実施形態では、ブデソニドは、吸入投与することができる。一部の実施形態では、ブデソニドは、例えば(80mcg/4.5mcg)/作動の用量、または(160mcg/4.5mcg)/作動の用量でエアロゾルとして投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、エアロゾルとして160mcg/9mcg(80mcg/4.5mcgを2回作動)の用量で12時間毎に、または320mcg/9mcg(160mcg/4.5mcgを2回作動)の用量で12時間毎に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、エアロゾルとして160mcg/9mcg(80mcg/4.5mcgを2回作動)の用量で12時間毎、または320mcg/9mcgの用量で12時間毎に投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、160mcg/4.5mcgの用量でエアロゾルとして投与される。
【0067】
一部の実施形態では、ブデソニドは、鼻腔内に投与することができる。一部の実施形態では、ブデソニドは、32mcg/作動の用量で鼻腔内投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、鼻孔あたり1回噴霧の用量(64mcg/日)で1日1回、または鼻孔あたり4回噴霧の用量(256mcg/日)で1日1回鼻腔内投与される。一部の実施形態では、ブデソニドは、鼻孔あたり2回噴霧の用量(128mcg/日)で1日1回鼻腔内投与される。
【0068】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、5-フルオロウラシルである。一部の実施形態では、5-フルオロウラシル(5-FU)は、500mg/mの用量で1~5日目に静脈内投与されるか、または450~600mg/mの用量で毎週静脈内投与されるか、または200~400mg/mの用量で1日1回静脈内持続注入によって投与される。
【0069】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、アルブミン結合パクリタキセルである。一部の実施形態では、アルブミン結合パクリタキセルは、125mg/mの用量で各28日サイクルの1、8、および15日目に30~40分間かけて静脈内投与される。一部の実施形態では、アルブミン結合パクリタキセルは、260mg/mの用量で3週間毎に30分間かけて静脈内注入投与される。一部の実施形態では、アルブミン結合パクリタキセルは、100mg/mの用量で各21日サイクルの1、8、および15日目に30分間かけて静脈内注入投与される。
【0070】
一部の実施形態では、追加の治療剤はカペシタビンである。一部の実施形態では、カペシタビンは、1250mg/mの用量で1日2回、21日毎に2週間投与されるか、または1000~1250mg/mの用量で1日2回、21日毎に1~14日目に毎日経口投与される。
【0071】
一部の実施形態では、追加の治療剤はカルボプラチンである。一部の実施形態では、カルボプラチンは、360mg/mの用量で4週間毎に静脈内投与される。
【0072】
一部の実施形態では、追加の治療剤はシスプラチンである。一部の実施形態では、シスプラチンは、50~100mg/mの用量で、例えば1日目に静脈内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、20mg/m/日の用量で5日間/サイクルで静脈内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、50~70mg/mの用量で3~4週間毎のサイクルで静脈内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、前回の放射線療法または化学療法に応じた用量で投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、50mg/m/サイクルの用量で投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、4週間毎に繰り返される用量で投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、75~100mg/mの用量で4週間毎のサイクルで静脈内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、90~270mg/mの用量で腹腔内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、3週間毎に繰り返される用量で投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、75~100mg/mの用量で4週間毎に静脈内投与される。一部の実施形態では、シスプラチンは、100mg/mの用量で4週間毎に静脈内投与される。
【0073】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、ダカルバジンである。一部の実施形態では、ダカルバジンは、2~4.5mg/kgの用量で10日間にわたって1日1回静脈内投与される。一部の実施形態では、ダカルバジンは、繰り返し用量として4週間毎に投与される。一部の実施形態では、ダカルバジンは、250mg/mの用量で5日間にわたって1日1回静脈内投与される。一部の実施形態では、ダカルバジンは、繰り返し用量として3週間毎に投与される。一部の実施形態では、ダカルバジンは、150mg/mの用量で5日間にわたって1日1回静脈内投与され、これを4週間毎に繰り返す。一部の実施形態では、ダカルバジンは、375mg/mの用量で1日目に静脈内投与され、これを15日毎に繰り返す。
【0074】
一部の実施形態では、追加の治療剤はドセタキセルである。一部の実施形態では、ドセタキセルは、75~100mg/mの用量で1日目に静脈内投与される。一部の実施形態では、ドセタキセルは、21日毎に投与される。
【0075】
一部の実施形態では、追加の治療剤はドキソルビシンである。一部の実施形態では、ドキソルビシンは、60~75mg/mの用量で21日毎に静脈内投与される。一部の実施形態では、ドキソルビシンは、60mg/mの用量で14日毎に静脈内投与される。一部の実施形態では、ドキソルビシンは、40~60mg/mの用量で21日~28日毎に静脈内投与される。一部の実施形態では、ドキソルビシンは、20mg/m/用量の用量で毎週投与される。
【0076】
一部の実施形態では、追加の治療剤はエピルビシンである。一部の実施形態では、エピルビシンは、90mg/mの用量で1日目に、3週間毎に静脈内投与される。
【0077】
一部の実施形態では、追加の治療剤はエトポシドである。一部の実施形態では、エトポシドは、50~100mg/m/日の用量で1~5日目に静脈内投与される。一部の実施形態では、エトポシドは、100mg/m/日の用量で1、3、5日目に静脈内投与される。
【0078】
一部の実施形態では、追加の治療剤はゲムシタビンである。一部の実施形態では、ゲムシタビンは、1000mg/mの用量で週に1回30分間かけて7週間静脈内注入投与される。一部の実施形態では、ゲムシタビンの投与後、1週間休薬する。一部の実施形態では、ゲムシタビンは、1000mg/mの用量で各28日サイクルのうちの3週間、週に1回静脈内投与される。
【0079】
一部の実施形態では、追加の治療剤はイホスファミドである。一部の実施形態では、イホスファミドは、1.2g/m/日の用量で各3~4週間毎の1~5日目に30分間かけて静脈内注入投与される。
【0080】
一部の実施形態では、追加の治療剤はイリノテカンである。一部の実施形態では、イリノテカンは、21日毎の1日目に250~350mg/mの用量で静脈内投与される。一部の実施形態では、イリノテカンは、150~180mg/mの用量で14日毎の1日目に静脈内投与される。一部の実施形態では、イリノテカンは、125mg/mの用量で21日毎の1日目および8日目に静脈内投与される。
【0081】
一部の実施形態では、追加の治療剤はイリノテカンリポソームである。一部の実施形態では、イリノテカンリポソームは、70mg/mの用量で2週間毎に90分かけて静脈内注入投与される。
【0082】
一部の実施形態では、追加の治療剤はロイコボリン(フォリン酸)である。一部の実施形態では、ロイコボリンは、400mg/mの用量で1日目に静脈内投与される。
【0083】
一部の実施形態では、追加の治療剤はマイトマイシンである。一部の実施形態では、マイトマイシンは、20mg/mの用量で6~8週間毎に静脈内投与される。一部の実施形態では、マイトマイシンは、10mg/mの用量で静脈内ボーラスとして1~29日目に投与されるが、20mg/用量を超えてはならない。
【0084】
一部の実施形態では、追加の治療剤はオキサリプラチンである。一部の実施形態では、オキサリプラチンは、85mg/mの用量で静脈内投与される。
【0085】
一部の実施形態では、追加の治療剤はパクリタキセルである。一部の実施形態では、パクリタキセルは、135~250mg/mの用量で21日毎の1日目に静脈内投与される。一部の実施形態では、パクリタキセルは、80mg/m2の用量で28日毎の毎週1日目に静脈内投与される。
【0086】
一部の実施形態では、追加の治療剤はトリフルリジンである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、トリフルリジンおよびチピラシルである。一部の実施形態では、トリフルリジンおよびチピラシルは、35mg/mの用量で各28日サイクルの1~5日目および8~12日目に1日2回経口投与される。
【0087】
一部の実施形態では、追加の治療剤はナパブカシンである。一部の実施形態では、ナパブカシンは、240mgの2つの1日量として経口投与される。
【0088】
一部の実施形態では、追加の治療剤はベバシズマブである。一部の実施形態では、ベバシズマブは、5~10mg/kgの用量で2週間毎に静脈内投与される。
【0089】
一部の実施形態では、追加の治療剤はラムシルマブである。一部の実施形態では、ラムシルマブは、8mg/kgの用量で2週間毎に1時間かけて静脈内注入投与される。
【0090】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、アフリベルセプトである。一部の実施形態では、アフリベルセプトは、4mg/kgの用量で2週間毎に1時間かけて静脈内注入投与される。
【0091】
一部の実施形態では、追加の治療剤はセツキシマブである。一部の実施形態では、セツキシマブは、400mg/mの用量で2時間かけて静脈内注入投与され、その後250mg/mの用量で週に1回60分間かけて静脈内注入投与される。
【0092】
一部の実施形態では、追加の治療剤はパニツムマブである。一部の実施形態では、パニツムマブは、6mg/kgの用量で14日毎に60分間かけて(用量が>1gの場合は90分間かけて)静脈内注入投与される。
【0093】
一部の実施形態では、追加の治療剤はエルロチニブである。一部の実施形態では、エルロチニブは、100~150mg/日の用量で経口投与される。
【0094】
一部の実施形態では、追加の治療剤はトラスツズマブである。一部の実施形態では、トラスツズマブは、8mg/kgの負荷用量の用量でサイクル1の1日目に静脈内投与され、その後6mg/kgを化学療法と共に21日毎に静脈内投与されるか、または6mg/kgの負荷用量の用量でサイクル1の1日目に静脈内投与され、その後4mg/kgを化学療法と共に14日毎に静脈内投与される。
【0095】
一部の実施形態では、追加の治療剤はラパチニブである。一部の実施形態では、ラパチニブは、1250~1500mgの用量で1~21日目に1日1回経口投与される。
【0096】
一部の実施形態では、追加の治療剤はペルツズマブである。一部の実施形態では、ペルツズマブは、840mgの用量で60分間かけて静脈内注入投与され、その後420mgで3週間毎に30~60分間かけて静脈内注入投与される。
【0097】
一部の実施形態では、追加の治療剤はトラスツズマブエムタンシンである。一部の実施形態では、トラスツズマブエムタンシンは、3.6mg/kgの用量で3週間毎に静脈内注入投与される。
【0098】
一部の実施形態では、追加の治療剤はレゴラフェニブである。一部の実施形態では、レゴラフェニブは、160mg(40mg錠4個)の用量で各28日サイクルの最初の21日間、1日1回経口投与される。
【0099】
一部の実施形態では、追加の治療剤はソラフェニブである。一部の実施形態では、ソラフェニブは、400mgの用量で12時間毎に経口投与される。
【0100】
一部の実施形態では、追加の治療剤はメシル酸アパチニブである。一部の実施形態では、メシル酸アパチニブは、500mgの用量で1日1回4週間毎に経口投与される。
【0101】
一部の実施形態では、追加の治療剤はPD-1受容体のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤はCTLA-4のチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、追加の治療剤はニボルマブである。一部の実施形態では、ニボルマブは、240mgの用量で2週間毎に30分間かけて静脈内注入投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤はペムブロリズマブである。一部の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mgの用量で3週間毎に静脈内投与される。
【0102】
一部の実施形態では、追加の治療剤はスリンダクである。一部の実施形態では、スリンダクは、150~200mgの用量で12時間毎に経口投与される。
【0103】
一部の実施形態では、追加の治療剤はアスピリンである。一部の実施形態では、アスピリンは、100~300mgの用量で12時間毎に経口投与される。
【0104】
一部の実施形態では、追加の治療剤はセレコキシブである。一部の実施形態では、セレコキシブは、Celebrexの100mg用量で1日2回投与されるか、またはCelebrexの400mg用量で1日2回投与される。
【0105】
一部の実施形態では、追加の治療剤はトレチノインである。一部の実施形態では、トレチノインは、45mg/m/日の用量を12時間毎に分割して経口投与される。
【0106】
一部の実施形態では、追加の治療剤はDFMOである。一部の実施形態では、DFMOは、500mgの用量で1日1回投与される。
【0107】
一部の実施形態では、追加の治療剤は酪酸ナトリウムである。一部の実施形態では、酪酸ナトリウムは第I相試験において評価される用量で投与される。
【0108】
一部の実施形態では、追加の治療剤はサバイビン阻害剤である。一部の実施形態では、サバイビン阻害剤は、第I相試験において評価される用量で投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤はAICARである。一部の実施形態では、追加の治療剤はアルクチゲニンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はセファロクロミンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はFL118である。一部の実施形態では、追加の治療剤はフラボピリドールである。一部の実施形態では、追加の治療剤はICG-001である。一部の実施形態では、追加の治療剤はKPT-185である。一部の実施形態では、追加の治療剤はラパチニブである。一部の実施形態では、追加の治療剤はMK-2206である。一部の実施形態では、追加の治療剤はNU6140である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、パネポキシドンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はピペリンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はプルバラノールAである。一部の実施形態では、追加の治療剤はシェフェルジン(Shepherdin)である。一部の実施形態では、追加の治療剤はテラメプロコールである。一部の実施形態では、追加の治療剤はUC112である。一部の実施形態では、追加の治療剤はYM155である。
【0109】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、コルチスタチンである。一部の実施形態では、コルチスタチンは、第I相試験において評価される用量で投与される。
【0110】
一部の実施形態では、追加の治療剤はシクロソマトスタチンである。一部の実施形態では、シクロソマトスタチンは、第I相試験において評価される用量で投与される。
【0111】
一部の実施形態では、追加の治療剤はサンドスタチンである。一部の実施形態では、サンドスタチンLAR(オクトレオチド)は、100~600mcg/日の用量を6~12時間毎に分割して皮下投与される。
【0112】
一部の実施形態では、追加の治療剤はグルカゴンである。一部の実施形態では、グルカゴンは、0.2~1mg(1単位)の用量で筋肉内/皮下/静脈内投与される。
【0113】
一部の実施形態では、追加の治療剤はグルカゴン様ペプチドである。一部の実施形態では、グルカゴン様ペプチドは、第I相試験において評価される用量で投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤はソマトスタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はグルカゴンアナログである。一部の実施形態では、追加の治療剤はコルチスタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はシクロソマトスタチンである。一部の実施形態では、追加の治療剤はサンドスタチンLAR(オクトレオチド)である。一部の実施形態では、追加の治療剤はグルカゴンである。
【0114】
一部の実施形態では、追加の治療剤はアンタビューズである。一部の実施形態では、アンタビューズは、125~500mgの用量で1日1回経口投与される。
【0115】
一部の実施形態では、追加の治療剤はTCF-4阻害剤である。一部の実施形態では、TCF-4阻害剤は第I相試験において評価される用量で投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤は抗RPL29抗体である。一部の実施形態では、追加の治療剤はBHQ880である。一部の実施形態では、追加の治療剤はCGP04909である。一部の実施形態では、追加の治療剤はCWP232291である。一部の実施形態では、追加の治療剤はDKN-01である。一部の実施形態では、追加の治療剤はG007-LKである。一部の実施形態では、追加の治療剤はG244-LMである。一部の実施形態では、追加の治療剤はICG-001である。一部の実施形態では、追加の治療剤はIWR-1である。一部の実施形態では、追加の治療剤はJW55である。一部の実施形態では、追加の治療剤はLGK974である。一部の実施形態では、追加の治療剤はOMP-18R5である。一部の実施形態では、追加の治療剤はOMP-54F28である。一部の実施形態では、追加の治療剤はPKF115-584である。一部の実施形態では、追加の治療剤はPRI-724である。一部の実施形態では、追加の治療剤はRp-8-Br-cAMPSである。一部の実施形態では、追加の治療剤はXAV939である。
【0116】
一部の実施形態では、追加の治療剤は骨形成タンパク質である。一部の実施形態では、骨形成タンパク質は、第I相試験において評価される用量で投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、BMP1、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP10、BMP11、およびBMP15から選択される骨形成タンパク質である。
【0117】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、アトルバスタチンである。一部の実施形態では、アトルバスタチンは、10~80mgの用量で1日1回経口投与される。
【0118】
一部の実施形態では、追加の治療剤はフルバスタチンである。一部の実施形態では、フルバスタチンは、20~80mgの用量で1日1回経口投与される。
【0119】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、ロバスタチンである。一部の実施形態では、ロバスタチンは、10~80mgの用量で1日1回経口投与される。
【0120】
一部の実施形態では、追加の治療剤はプラバスタチンである。一部の実施形態では、プラバスタチンは、10~80mgの用量で1日1回経口投与される。
【0121】
一部の実施形態では、追加の治療剤はロスバスタチンである。一部の実施形態では、ロスバスタチンは、5~40mgの用量で1日1回経口投与される。
【0122】
一部の実施形態では、追加の治療剤はシンバスタチンである。一部の実施形態では、シンバスタチンは、5~40mgの用量で1日1回経口投与される。
【0123】
一部の実施形態では、追加の治療剤はピタバスタチンである。一部の実施形態では、ピタバスタチンは、2~4mgの用量で1日1回経口投与される。
【0124】
本開示は、本明細書に記載される任意の治療剤および/または化合物の薬学的に許容される塩を提供する。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩および塩基付加塩を含む。化合物に付加されて酸付加塩を形成する酸は、有機酸または無機酸であり得る。化合物に付加されて塩基付加塩を形成する塩基は、有機塩基または無機塩基であり得る。一部の例では、薬学的に許容される塩は金属塩である。一部の例では、薬学的に許容される塩はアンモニウム塩である。
【0125】
酸付加塩は、本明細書に記載される化合物に対する酸の付加から生じ得る。一部の例では、酸は有機酸である。一部の例では、酸は無機酸である。適した酸の非制限的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、グルコン酸、グルクロン酸(glucaronic acid)、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、グリコール酸、リンゴ酸、ケイ皮酸、マンデル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボン酸、フェニル酢酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、2-ホスホグリセリン酸、3-ホスホグリセリン酸、グルコース-6-リン酸、およびアミノ酸が挙げられる。
【0126】
金属塩は、本発明の化合物に対する無機塩基の付加から生じ得る。無機塩基は、塩基性対イオン、例えば水酸化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、またはリン酸イオンと対を形成した金属カチオンからなる。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、または典型元素金属であり得る。一部の実施形態では、金属はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウム、または亜鉛である。
【0127】
一部の実施形態では、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩、または亜鉛塩である。
【0128】
アンモニウム塩は、本明細書に記載の化合物に対するアンモニアまたは有機アミンの付加から生じ得る。適した有機アミンの非制限的な例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピラジン、ピペラジン、エチレンジアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、プロカイン、クロロプロカイン、コリン、ジシクロヘキシルアミン、およびN-メチルグルカミンが挙げられる。
【0129】
適したアンモニウム塩の非制限的な例としては、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、イミダゾール塩、ピラジン塩、ピペラジン塩、エチレンジアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、プロカイン塩、クロロプロカイン塩、コリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN-メチルグルカミン塩が挙げられる。
【0130】
適した酸付加塩の非制限的な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、重炭酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate salt)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、メチルマレイン酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、2-フェノキシ安息香酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、エンボン酸塩、フェニル酢酸塩、N-シクロヘキシルスルファミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、2-ホスホグリセリン酸塩、3-ホスホグリセリン酸塩、グルコース-6-リン酸塩、およびアミノ酸塩が挙げられる。
【0131】
本明細書に記載される化合物および治療剤は、一部の例では、ジアステレオマー、エナンチオマー、または他の立体異性体型として存在し得る。本明細書に提示される化合物および治療剤は、全てのジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー型ならびにその適切な混合物を含む。立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマーの形成および再結晶化による分離、またはクロマトグラフィーによって、またはその任意の組合せによって実施され得る(本開示に関する参照により本明細書に組み込まれている、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, ”Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley and Sons, Inc., 1981)。立体異性体はまた、立体選択的合成によっても得られ得る。
【0132】
本明細書に記載される化合物および治療剤は、非晶質形態ならびに結晶形態(多形としても公知)の使用を含む。本明細書に記載される化合物および治療剤は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。同様に、これらの化合物の活性な代謝物および同じタイプの活性を有する治療剤は、本開示の範囲に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物および治療剤は、非溶媒和形態、ならびに薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール等との溶媒和形態で存在し得る。本明細書に提示される化合物および治療剤の溶媒和形態もまた、本明細書に開示されると考慮される。
【0133】
本明細書に記載される化合物および治療剤は、その天然の同位体存在量を示す化合物および治療剤、ならびに原子の1つまたは複数が同じ原子数を有する特定の同位体において人工的に濃縮されているが、天然において主に見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する化合物および治療剤を含む。本発明の化合物および治療剤の全ての同位体変動は、放射性であるか否かによらず、本発明の範囲に包含される。例えば、水素は、H(プロチウム)、H(重水素)、およびH(トリチウム)と呼ばれる3つの天然に存在する同位体を有する。プロチウムは、自然界で最も豊富な水素の同位元素である。重水素を濃縮すると、ある特定の治療上の利点、例えばin vivo半減期および/または曝露の増加を与え得るか、または薬物の排泄および代謝のin vivo経路を調べるために有用な化合物を提供し得る。同位体濃縮化合物を調製してもよい。
【0134】
炭素-炭素二重結合または炭素-窒素二重結合を有する本明細書に記載される化合物および治療剤は、適用可能な場合、Z型またはE型(またはシス型もしくはトランス型)で存在し得る。さらに、一部の化学実体は様々な互変異性型で存在し得る。特に明記していなければ、本明細書に記載される化学実体は、全てのZ型、E型および互変異性型を同様に含むと意図される。
【0135】
ある特定の場合、本明細書に記載される化合物および治療剤は、例えば親化合物に存在するカルボン酸がエステルとして存在するプロドラッグであり得る。用語「プロドラッグ」は、生理的条件下で本開示の薬剤、すなわち親化合物に変換される化合物を包含すると意図される。プロドラッグを作製する1つの方法は、所望の分子を明らかにするために生理的条件下で加水分解される1つまたは複数の選択された部分を含めることである。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性、例えば宿主動物における特定の標的細胞における酵素活性により変換される。例えば、エステルまたはカーボネート(例えば、アルコールまたはカルボン酸のエステルまたはカーボネート)は、本開示の好ましいプロドラッグである。
【0136】
プロドラッグは、一部の状況ではそれらが親薬物より投与することが容易であり得ることから、しばしば有用である。それらは、例えば経口投与によって生物学的に利用可能となり得るが、親化合物はそうではない。プロドラッグは、親薬物と比較して化合物の細胞透過性を増強するために役立ち得る。例えば、プロドラッグは、親化合物と比較して改善された細胞透過性を有し得る。プロドラッグはまた、親薬物と比較して医薬製剤において改善された溶解度も有し得る。一部の実施形態では、プロドラッグの設計は、薬剤の親油性を増加させる。一部の実施形態では、プロドラッグの設計は、有効な水溶性を増加させる。
【0137】
本開示は、それを必要とする被験体におけるがんの再発を防止または低減する方法を提供する。本開示はまた、それを必要とする被験体におけるFAPの再発を防止または低減する方法も提供する。本開示はまた、それを必要とする被験体におけるAPC変異に関連する疾患または障害の再発を防止または低減する方法も提供する。ある特定の実施形態では、疾患または障害に関連する用語「防止する」または「防止すること」は、統計学的試料において無処置対照試料と比較して処置試料における障害もしくは状態の発生を低減させる、または無処置対照試料と比較して障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の発生を遅らせるもしくはその重症度を低減させる化合物または組合せを指し得る。方法は、最小残留疾患を処置するために、および/または維持療法として、例えば別のがんの処置の中止後の持続的または延長治療として本明細書に記載される組合せ治療を投与することを含む。例えば、組合せ治療は、別の治療、例えば化学療法、放射線療法、および/または手術の中止後に投与され得る。
【0138】
一部の態様では、本明細書に記載される組合せ、例えば本明細書に記載されるブデソニドと追加の治療剤との組合せは、がん、例えばこれに限定されないが結腸直腸がんの処置のために利用することができる。本明細書に記載される組合せ治療は、それを必要とする被験体における転移の可能性を低減させることができる。一部の実施形態では、転移は固形腫瘍である。一部の実施形態では、転移は液性腫瘍である。液性腫瘍であるがんは、例えば、血液、骨髄、およびリンパ節に起こるがんであり得、例えば、白血病、骨髄性白血病、リンパ球性白血病、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、黒色腫、および多発性骨髄腫を含み得る。白血病としては、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、およびヘアリーセル白血病が挙げられる。固形腫瘍であるがんとしては、例えば前立腺がん、精巣がん、乳がん、脳がん、膵臓がん、結腸がん、甲状腺がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、カポジ肉腫、皮膚がん、皮膚扁平上皮がん、腎臓がん、頭頸部がん、喉のがん、鼻、口、喉の湿った粘膜内層の上に形成する扁平上皮癌、膀胱癌、骨肉腫、子宮頚がん、子宮内膜がん、食道がん、肝臓がん、および腎臓がんが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって処置される状態は、黒色腫細胞、前立腺がん細胞、精巣がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、膵臓がん細胞、結腸がん細胞、甲状腺がん細胞、胃がん細胞、肺がん細胞、卵巣がん細胞、カポジ肉腫細胞、皮膚がん細胞、腎臓がん細胞、頭頸部がん細胞、喉のがん細胞、扁平上皮癌細胞、膀胱がん細胞、骨肉腫細胞、子宮頸がん細胞、子宮内膜がん細胞、食道がん細胞、肝臓がん細胞、または腎臓がんの転移である。
【0139】
本明細書に記載される方法はまた、転移性がん腫瘍の進行を阻害するためにも使用することができる。がんの非制限的な例としては、副腎皮質癌、小児副腎皮質癌、AIDS関連がん、肛門がん、虫垂がん、基底細胞癌、小児基底細胞癌、膀胱がん、小児膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、小児星細胞腫、小児脳幹神経膠腫、小児中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児中枢神経系胎児性腫瘍、小児中枢神経系胚芽腫、小児頭蓋咽頭腫脳腫瘍、小児上衣腫脳腫瘍、乳がん、小児気管支腫瘍、カルチノイド腫瘍、小児カルチノイド腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、原発不明癌、小児原発不明癌、小児心臓腫瘍、子宮頸がん、小児子宮頸がん、小児脊索腫、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、小児結腸直腸がん、肝外胆管がん、非浸潤性乳管癌(DCIS)、子宮内膜がん、食道がん、小児食道がん、小児感覚神経芽腫、眼のがん、骨悪性線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん(gastric(stomach)cancer)、小児胃がん、消化管間質腫瘍(GIST)、小児消化管間質腫瘍(GIST)、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠腫、頭頸部がん、小児頭頸部がん、肝細胞がん、下咽頭がん、腎臓がん、腎細胞腎臓がん、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、喉頭がん、小児喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(cml)、ヘアリーセル白血病、口唇がん、肝臓がん(原発性)、小児肝臓がん(原発性)、上皮内小葉癌(LCIS)、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚t細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫(CNS)、黒色腫、小児黒色腫、眼内黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、小児悪性中皮腫、原発不明転移性頸部扁平上皮がん、NUT遺伝子を伴う正中線癌(midline tract carcinoma)、口のがん、小児多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成性腫瘍、骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、鼻腔がん、鼻咽頭がん、小児鼻咽頭がん、神経芽腫、口腔がん、小児口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、小児卵巣がん、上皮卵巣がん、低悪性度腫瘍卵巣がん、膵臓がん、小児膵臓がん、小児神経内分泌腫瘍(島細胞腫瘍)、小児乳頭腫症、パラガングリオーマ、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、小児胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂移行上皮がん、網膜芽腫、唾液腺がん、小児唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、小児横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、小児皮膚がん、非黒色腫皮膚がん、小腸がん、扁平上皮癌、小児扁平上皮癌、精巣がん、小児精巣がん、喉のがん、胸腺腫および胸腺癌、小児胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、小児甲状腺がん、尿路移行上皮がん、尿道がん、子宮内膜がん、膣がん、外陰がん、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症が挙げられる。
【0140】
本明細書に記載される組合せ治療は、放射線療法などの他の治療と共に使用され得る。化学療法および放射線療法の処置レジメンは、有限サイクル数の服薬治療(on-drug therapy)、その後の休薬治療(off-drug therapy)を含み得るか、または化学療法もしくは放射線療法を投与する有限の時間枠を含み得る。プロトコールは、処置される被験体と共に臨床試験、薬物ラベル、および臨床人員によって決定され得る。化学療法もしくは放射線療法のサイクル数または化学療法もしくは放射線療法レジメンの全期間の長さは、がん治療に対する被験体の応答に依存して変化し得る。本明細書に記載される薬剤は、化学療法または放射線療法の処置レジメンが完了した後に投与され得る。
【0141】
一部の態様では、本明細書に記載される組合せは、それを必要とする被験体を処置するために利用することができる。一部の例では、本明細書に開示される方法および組成物によって処置される被験体は、ヒト被験体であり得る。本明細書に開示される方法および組成物によって処置される被験体は、非ヒト動物であり得る。非ヒト動物の非制限的な例としては、非ヒト霊長類、家畜動物、ペット、および実験動物を含み得る。
【0142】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組合せ治療は、別個の薬剤として投与され得るか、または単一の医薬組成物に組み合わせられ得る。例えば、ブデソニドと本明細書に記載される追加の治療剤との組合せは、2つの別個の医薬組成物として製剤化され得るか、または単一の医薬組成物として共に製剤化され得る。
【0143】
ある特定の実施形態では、本開示は、ブデソニドまたはその塩を含む、例えば経口または非経口投与のための医薬組成物を提供する。一部の態様では、医薬組成物は、少なくとも約1mg~約1000mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約400mg、または約250mg~約350mgの量のブデソニドまたはその塩を含む。例えば、本開示の医薬組成物は、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、または約500mgのブデソニドまたはその塩を含み得る。本明細書に記載される化合物、例えば塩の形態で医薬組成物に製剤化されるブデソニドに関して、化合物の量は、遊離の塩基の重量を反映し得、塩の形態の重量の反映ではない。ある特定の実施形態では、ブデソニドまたはその塩の医薬組成物は、追加の抗がん剤を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される追加の抗がん剤を含む。
【0144】
ブデソニドまたはその塩の治療有効量は、被験体のボディマス1kgあたりの化合物のmgとして表記することができる。一部の例では、治療有効量の用量は、少なくとも約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、または約20mg/kgであり得る。塩の形態で医薬組成物に製剤化される本明細書に記載される化合物、例えばブデソニドに関して、化合物の治療有効量は、遊離の塩基の重量を反映し得、塩の形態の重量を反映するのではない。
【0145】
ある特定の実施形態では、本開示は、例えば、ブデソニドまたはその塩を含む経口または非経口投与のための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、少なくとも約1mg~約1000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約200mg~約800mg、または約300mg~約8000mgの量のブデソニドまたはその塩を含み得る。例えば、本開示の医薬組成物は、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、約500mg、約520mg、約540mg、約560mg、約580mg、約600mg、約620mg、約640mg、約660mg、約680mg、約700mg、約720mg、約740mg、約760mg、約780mg、約800mg、約820mg、約840mg、約860mg、約880mg、約900mg、約920mg、約940mg、約960mg、約980mg、または約1000mgのブデソニドまたはその塩を含み得る。
【0146】
ある特定の実施形態では、本開示は、例えば、ブデソニドまたはその塩を含む経口または非経口投与のための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、少なくとも約0.5mg~約50mg、約1mg~約30mg、約1mg~約20mg、約1mg~約10mg、または約1mg~約5mgの量のブデソニドまたはその塩を含み得る。例えば、本開示の医薬組成物は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、または約20mgのブデソニドまたはその塩を含み得る。
【0147】
ある特定の実施形態では、本開示の製剤は、ブデソニドまたはその塩を含み、ブデソニドまたはその塩は、不純物を約70%~約99.99%、約80%~約99.9%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約97%~約99%、約98%~約99%、約98%~約99.9%、約99%~約99.99%、約99.5%~約99.99%、約99.6%~約99.99%、約99.8~約99.99%、または約99.9%~約99.99%含まない。
【0148】
ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、本明細書に記載される量などの量のブデソニドまたはその塩および追加の治療剤の両方、例えば100~400mgのブデソニドまたはその塩と、200~800mgの追加の治療剤とを有する医薬組成物を含む。ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ブデソニドまたはその塩および追加の治療剤の両方、例えば100~400mgのブデソニドまたはその塩、および1~10mgの追加の治療剤を有する医薬組成物を含む。
【0149】
本明細書に開示される医薬組成物は、液体製剤、固体製剤、またはその組合せの形態であり得る。製剤の非制限的な例としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、ゲル、ペースト剤、液体溶液およびクリームが挙げられ得る。一部の例では、ブデソニドまたはその塩は、結晶化形態であり得る。2つまたはそれより多くの治療剤を含む医薬組成物では、各薬剤は、別個に結晶化された後、組み合わせられ得るか、またはそれらは共に結晶化され得る。組成物は、1つまたは複数の物理的状態での2つまたはそれより多くの治療剤を含み得る。例えば、組成物は、固体製剤中の1つの治療剤およびゲル製剤中の別の治療剤または薬物を含む錠剤であり得る。ある特定の実施形態では、組成物は、第1の物理的状態のブデソニドまたはその塩および第2の物理的状態の追加の治療剤を含む単一の医薬組成物である。
【0150】
本開示の組成物は、賦形剤または添加剤をさらに含み得る。賦形剤は、ありとあらゆる溶媒、コーティング、キレート剤、矯味矯臭剤、着色剤、滑沢剤、崩壊剤、保存剤、甘味料、消泡剤、緩衝化剤、ポリマー、抗酸化剤、結合剤、希釈剤、およびビヒクル(例えば、担体)を含み得る。一般的に、賦形剤は、本開示の治療組成物と適合性である。
【0151】
経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、もしくは懸濁物の形態をとり得、またはそれらは使用前に水または他の適したビヒクルによって再構成するための乾燥産物として提示され得る。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは食用硬化脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン、またはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール)、保存剤(例えば、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)、および人工または天然の着色料および/または甘味料と共に従来のアプローチによって調製することができる。
【0152】
本開示は、水が一部の化合物の分解を促進し得ることから、活性成分を含む無水の組成物および剤形をさらに包含する。本開示の無水の組成物および剤形は、無水または低い水分含有量の成分および低水分または低湿度の条件を使用して調製することができる。ラクトースを含有する本開示の組成物および剤形は、製造時、包装時、および/または貯蔵時に水分および/または湿度との実質的な接触が予想される場合には、無水にすることができる。無水組成物は、その無水の性質が維持されるように調製および保存することができる。したがって、無水組成物は、それらを適した処方キットに含めることができるように、水に対する曝露を防止する材料を使用して包装することができる。適した包装の例としては、これらに限定されないが、気密ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスタパック、およびストリップパックが挙げられる。
【0153】
本明細書に記載される成分は、通常の薬学的配合技術に従って薬学的担体との密接な混合物中で組み合わせることができる。担体は、投与にとって望ましい調製物の形態に応じて広く多様な形態をとることができる。経口投与剤形のための組成物を調製する場合、通常の薬学的媒体のいずれかを、担体、例えば経口液体調製物(例えば、懸濁剤、液剤、およびエリキシル剤)またはエアロゾルの場合には水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤など;または経口固体調製物の場合には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤などの担体を使用することができ、一部の実施形態では、ラクトースを使用しない。例えば、適した担体は、固体経口調製物と共に粉末、カプセル剤、および錠剤を含む。望ましければ、錠剤は、標準的な水性技術または非水性技術によってコーティングすることができる。
【0154】
薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の一部の例としては:(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオバターおよび坐剤用ロウ;(9)油、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝化剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)薬学的製剤に使用される他の非毒性の適合性の物質が挙げられる。
【0155】
剤形において使用するために適した結合剤としては、これらに限定されないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、およびその混合物が挙げられる。
【0156】
本明細書に開示される組成物および剤形に使用するために適した増量剤の例としては、これらに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、およびその混合物が挙げられる。
【0157】
水性懸濁物および/またはエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、その中の活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびその様々な組合せなどの希釈剤と共に、様々な甘味料または矯味矯臭剤、着色材料または色素、および必要であれば乳化剤および/または懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0158】
一実施形態では、組成物は、本開示の化合物の良好な可溶化および/または溶解を確保するために、ならびに本開示の化合物の沈殿を最小限にするために可溶化剤を含み得る。これは、非経口での使用のための組成物、例えば注射用組成物では特に重要であり得る。界面活性剤などの可溶化剤はまた、親水性の薬物および/もしくは他の構成要素の溶解度を増加させるために、または安定もしくは均一な溶液もしくは分散物として組成物を維持するために添加することができる。
【0159】
本明細書に記載される医薬組成物は、それを必要とする被験体に経口投与するために適切であり得る。一部の場合、経口投与のための徐放性製剤は、消化管における体液との接触時に活性剤の制御放出を達成するように、および血漿中での活性剤の実質的に一定かつ有効なレベルを提供するように調製され得る。結晶型は、生物分解性のポリマー、水溶性ポリマー、またはその両方の混合物のポリマーマトリックス、および必要に応じて適切な界面活性剤中にこの目的のために包埋され得る。包埋は、この文脈において、微粒子をポリマーのマトリックス中に組み入れることを意味し得る。制御放出製剤もまた、公知の分散剤または乳剤コーティング技術を介して、分散された微粒子または乳化された微小液滴のカプセル化を通して得られる。
【0160】
一部の実施形態では、組成物は、食品組成物に製剤化することができる。例えば、組成物は、食品用担体を含むまたは含まない、飲料または他の液体、固形食品、半固形食品であり得る。例えば、組成物は、本明細書に記載される組成物のいずれかを追加補充した紅茶を含み得る。組成物は、本明細書に記載される組成物のいずれかを追加補充した酪農製品であり得る。一部の実施形態では、組成物は、食品組成物中で製剤化され得る。例えば、組成物は、飲料、固形食品、半固形食品、または食品用担体を含み得る。
【0161】
ある特定の実施形態では、医薬製剤は、油性または水性ビヒクル中の滅菌懸濁物、溶液、または乳剤として非経口注射にとって適した形態であり得、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの処方剤(formulation agent)を含有し得る。非経口投与のための医薬製剤は、例えば水溶性型の活性化合物の水溶液を含む。活性化合物の懸濁物は、例えば油性注射用懸濁剤として調製することができる。適した親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、または中鎖トリグリセリド、またはリポソームを含む。好ましい実施形態では、非経口投与のための製剤は水性懸濁物である。
【0162】
本明細書に記載される治療剤は、一定範囲の濃度内で組成物中に存在し得、範囲は、すでに記載した濃度のいずれかから選択される上方および下方の値によって定義される。例えば本開示の治療剤は、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、または約20mM~約30mMの濃度で製剤に存在し得る。
【0163】
本明細書に記載される治療剤を含む組成物を調製する方法は、1つまたは複数の不活性な薬学的に許容される賦形剤と共に治療剤を製剤化することを含み得る。液体組成物としては、例えば1つもしくは複数の治療剤が溶解している溶液、1つもしくは複数の治療剤を含む乳剤、または本明細書に開示される1つもしくは複数の治療剤を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含有する溶液が挙げられる。これらの組成物はまた、微量の非毒性の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤、および他の薬学的に許容される添加剤を含有し得る。
【0164】
注射用製剤は、例えば保存剤を添加したアンプルまたは複数用量容器中の単位剤形で提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液、または乳剤などの形態をとり得、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの処方剤を含有し得る。組成物は、単位用量または複数用量容器に、例えば密封アンプルおよびバイアル中に提供することができ、粉末形態、または使用直前に滅菌液体担体、例えば食塩水または滅菌の発熱物質を含まない水を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即席の注射用液剤および懸濁剤は、すでに記載される種類の滅菌粉末、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。
【0165】
非経口投与のための医薬製剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る活性化合物の水性および非水性(油性)滅菌注射液、ならびに懸濁化剤および濃化剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁物を含む。適した親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリドまたはリポソームなどの脂肪油を含む。
【0166】
本明細書に記載される組成物、例えばブデソニドまたはその塩の医薬組成物またはブデソニドもしくはその塩と追加の治療剤との共製剤は、1日1回または1回より多く投与することができる。組成物は、順次(例えば、処置レジメンの期間に中断がなく、毎日摂取する)投与され得る。一部の例では、処置レジメンは、1週間未満、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、または1ヶ月より長い期間であり得る。一部の例では、本開示の組成物は、少なくとも12週間の期間にわたって投与される。他の例では、組成物は、1日、少なくとも2連続日、少なくとも3連続日、少なくとも4連続日、少なくとも5連続日、少なくとも6連続日、少なくとも7連続日、少なくとも8連続日、少なくとも9連続日、少なくとも10連続日、または少なくとも10連続日より長い期間投与される。一部の例では、治療有効量は、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、週に7回、週に8回、週に9回、週に10回、週に11回、週に12回、週に13回、週に14回、週に15回、週に16回、週に17回、週に18回、週に19回、週に20回、週に25回、週に30回、週に35回、週に40回、または週に40回より多く投与することができる。一部の例では、治療有効量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、1日8回、1日9回、1日10回、または1日10回より多く投与することができる。一部の例では、組成物は少なくとも1日2回投与される。さらなる例では、組成物は少なくとも毎時間、少なくとも2時間毎、少なくとも3時間毎、少なくとも4時間毎、少なくとも5時間毎、少なくとも6時間毎、少なくとも7時間毎、少なくとも8時間毎、少なくとも9時間毎、少なくとも10時間毎、少なくとも11時間毎、少なくとも12時間毎、少なくとも13時間毎、少なくとも14時間毎、少なくとも15時間毎、少なくとも16時間毎、少なくとも17時間毎、少なくとも18時間毎、少なくとも19時間毎、少なくとも20時間毎、少なくとも21時間毎、少なくとも22時間毎、少なくとも23時間毎、または少なくとも毎日投与される。
【0167】
本開示の医薬組成物は、急性的または慢性的のいずれかに投与することができる。本発明の医薬組成物は、1回の処置または処置の過程として投与することができる。処置は、1日1回、1日2回、1日3回、朝、夕方、就寝前、または1日を通して連続的に投与することができる。処置は、毎日、2日毎、3日毎、週に2回、週に1回、2週間に1回、毎月、6週間毎、2ヶ月毎、3ヶ月毎、6ヶ月毎、1年に1回、2年に1回、5年に1回、または必要に応じて適用することができる。
【0168】
ある特定の実施形態では、投与される薬物の用量を、一定期間にわたって一時的に低減させてもよく、または一時的に中断してもよい。ある特定の実施形態では、患者は、一定期間薬物を投与されないまたは低減された量の薬物を投与される休薬期間を有する。休薬期間は、単なる例として、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、または28日間より長い期間を含む、例えば2日間~1年間の間であり得る。休薬期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、または約12ヶ月間であり得る。休薬期間の間の用量低減は、例えば、単なる例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、元の投与される用量の10%~100%であり得る。さらなる例として、用量低減は、10%~100%の間、20%~80%の間、30%~70%の間、50%~90%の間、80%~100%の間、または90%~100%の間であり得る。
【0169】
患者の状態の改善が起こった後、維持用量を必要に応じて投与することができる。次いで、投薬量または投与頻度、または両方を、症状の関数として改善された疾患、障害、または状態を保持することができるレベルまで低減させることができる。
【0170】
本明細書に記載される組合せおよび製剤を投与する追加の方法は、例えばこれらに限定されないが、経口、胃、または十二指腸栄養チューブを含む腸経路を介した送達、直腸坐剤、直腸浣腸、非経口経路、注射、注入、動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、前房内、硬膜外、皮下、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、局所、皮膚上、皮膚、浣腸、点耳液、鼻腔内および膣投与が挙げられる。本明細書に記載される治療剤は、処置を必要とする領域に、例えば手術の間の局所注入、クリームもしくは軟膏などの局所適用、注射、カテーテル、またはインプラントによって局所投与され得る。投与はまた、疾患組織または臓器の部位への直接注射によっても行うことができる。
【0171】
投与期間の長さおよび/または投薬量は、医師または他の任意のタイプの臨床医によって決定され得る。医師または臨床医は、投与された組成物に対する被験体の応答を観察し、被験体の成績に基づいて投薬を調節することができる。例えば、エネルギー調節において低減された効果を示す被験体の投薬を、所望の結果を達成するように増加させることができる。
【0172】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組合せ治療は、同じ経路で同時に共に投与することができ、または別個に投与することができる。一部の実施形態では、組成物中の構成要素は、同じまたは異なる投与経路を使用して投与することができる。
【0173】
一部の実施形態では、本開示はまた、本明細書に記載される組成物を製造する方法も提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物の製造は、2つまたはそれより多くの構成要素を混合または組み合わせることを含む。
【0174】
一部の実施形態では、組成物を、薬学的活性剤または治療剤、担体、および/または賦形剤と組み合わせるかまたは混合することができる。そのような構成要素の例を本明細書に記載する。組み合わせた組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、徐放性錠剤等として単位投薬量に形成することができる。
【0175】
一部の実施形態では、組成物は、1つまたは複数の構成要素の実質的に均一な混合物を含有する固体組成物が達成されるように、1つまたは複数の構成要素が組成物全体に均一に分散するように、それによって組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの等しく有効な単位剤形へと容易に細分することができるように調製される。
【0176】
単位用量は、ユーザーに移される容器に包装され得る。単位用量は、チューブ、ジャー、ボックス、バイアル、バッグ、トレイ、ドラム、ボトル、シリンジ、または缶に包装され得る。
【0177】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される組合せ組成物の指定された期間にわたる投与後に、1例または複数例の被験体において所望の効果を達成することを提供する。例えば、本明細書に記載される組成物の有益な効果は、組成物を被験体に1、2、3、4、6、8、10、12、24、または52週間にわたり投与した後に観察することができる。
【0178】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組合せ治療は、組合せ処置レジメンによって投与され得る。組合せ処置レジメンは、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、本明細書に記載される第2の薬剤による処置前、その処置中、またはその処置後に開始され、第2の薬剤による処置中または第2の薬剤による処置の終了後のいずれかの時間まで持続する処置レジメンを包含し得る。本開示はまた、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、および組み合わせて使用される第2の薬剤が、同時にまたは異なる時間で、および/または処置期間の間により短いまたはより長い間隔で投与される処置を含む。組合せ処置はさらに、患者の臨床管理を助けるために様々な時間で開始および停止する周期的処置を含む。
【0179】
ある特定の実施形態では、組合せ治療は、2つの処置モダリティに関連する毒性に差があることにより治療利益を提供することができる。例えば、ブデソニドによる処置は、追加の治療剤では認められない特定の毒性をもたらし得、その逆も同様である。そのため、この毒性の差により、各処置を前記毒性が存在しないかまたは最小限である用量で投与することができ、これにより組合せ治療は、共に組合せ薬剤の構成成分の各々の毒性を回避しながら治療用量を提供する。さらに、組合せ処置の結果として達成される治療効果が相乗的である場合、薬剤の各々の用量をなおさらに低減することができ、このように関連する毒性をさらにより大きい程度に低下させることができる。
【0180】
本明細書に記載される治療剤またはその薬学的に許容される塩ならびに組合せ治療は、疾患または状態の発生前、発生の間、または発生後に投与してもよく、治療剤、その組合せ、または治療剤を含有する組成物の投与の時期は多様である。本明細書に記載される治療剤は、予防薬として使用することができ、疾患または状態の発生を防止するために状態または疾患を発症する傾向を有する被験体に連続的に投与され得る。本明細書に記載される化合物およびその組成物は、症状の発生中または症状の発生後可能な限り早期に被験体に投与され得る。本明細書に記載される治療剤は、疾患または状態の発生が検出されるか、または疑われた後、実施可能な限り速やかにかつ疾患の処置にとって必要な期間、投与され得る。
【実施例
【0181】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証する目的のために示され、本発明をいかなる様式にも限定することを意味しない。本実施例は、本明細書に記載される方法と共に、現在の好ましい実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲の限定として意図されない。特許請求の範囲によって定義される発明の趣旨内に包含されるその変化および他の使用が、当業者に想起される。
【0182】
(実施例1:ブデソニドはApc変異によって引き起こされる腸腫瘍の発生を防止する)
ブデソニドは、肺がんの発生に対して活性であるステロイド系抗炎症薬であり、これをCRCのための薬物として試験した。ブデソニドを、ヒトにおける遺伝性CRC(FAP)のマウスモデルであるApcMin/+マウスにおいて評価したが、このモデルはFAP患者と同様に生殖系列Apc変異を有し、複数の腸腫瘍を自然発生的に発生する。ブデソニドの効果を、ApcMinマウスにおいて腫瘍の発生を阻害することが公知であるNSAID薬の「標準治療」としてのスリンダクと比較した。ApcMin/+マウスおよび対照マウス(C57BL6)に、ブデソニドまたはスリンダク含有飼料を、4週齢または8週齢時(それぞれ、腸腫瘍が発生する前および後の週齢に対応する)から開始して与えた。12週目でマウスを殺処分し、腺腫に関して腸を分析した。ブデソニドは、腸腺腫が確立される前に開始した場合、腫瘍の数を88%減少させ(P=0.009)、腺腫の発生後に開始した場合には60%減少(p=0.03)させた(図1はブデソニドまたはスリンダク含有飼料を8または4週間(4週齢から12週齢まで、または8週齢から12週齢まで)与えたApcMin/+マウスにおける腸腫瘍数の減少を例証する);棒グラフは、無処置C57BL/6対照マウスと比較した腫瘍数の%変化を示す;各飼料群は全体でマウス12匹を有し、6匹は4週齢(腫瘍の発生前)で処置を開始し、6匹は8週齢(腫瘍の発生後)で開始した。腺腫の発生前にブデソニドを開始した場合、腫瘍サイズは減少したが、発生後に開始した場合では減少しなかった(図2は、ブデソニドまたはスリンダク含有飼料を8または4週間(4週齢から12週齢まで、または8週齢から12週齢まで)与えたApcMin/+マウスにおける腸腫瘍サイズの変化を例証する);棒グラフは、無処置C57BL/6対照マウスと比較した腫瘍サイズの%変化を示す;ブデソニドまたはスリンダクを腺腫の発生前に開始した場合、腫瘍サイズは減少したが、発生後に開始した場合では減少しなかった)。ブデソニドの抗腫瘍応答は、腸腫瘍の発生前および発生後に投与したNSAIDスリンダクにより誘導される反応と同等であった(それぞれ、90%減少および90%減少;図1)。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドは多様なApc変異によってそうでなければ誘導される複数の腫瘍の発生に対して(遺伝性のファーストヒットおよび後天性のセカンドヒットの組合せ)、およびすでに発生した後の多くの腫瘍の退縮に対しても強力な活性を有すると結論付けられる。
【0183】
(実施例2:作用機序-スリンダク)
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、スリンダクは、いくつかの可能な機序によってFAP患者において腺腫の退縮を引き起こし、およびApcMinにおいて腺腫の形成を阻害すると考えられる。1つの分子機序は、スリンダクがその硫化代謝物を介してCOX-1およびCOX-2の両方の酵素活性を阻害し、それによってプロスタグランジンの合成を阻害する能力を含むように思われる。しかし、別の代謝物であるスルホン産物の効果は、COX非依存的であるように思われる。
【0184】
スリンダクの抗腫瘍効果に寄与する別の機序は、それがアポトーシスを誘導し、細胞増殖を減少させる能力である。この機序は、スリンダク(および他のNSAID)がヒトCRC細胞においてベータ-カテニンの分解、Tcf-4の不活性化、抗アポトーシスタンパク質(サバイビン;図3)の発現の減少およびアポトーシスの増加を誘導するというCOX非依存的機序を含むように思われる。図3A~3Dは、スリンダクがヒトCRC細胞において抗アポトーシスタンパク質であるサバイビンの発現を減弱させることを例証する。この目的のため、サバイビンおよびBcl-2の発現を、スリンダク(200μM)によって処置したHT-29細胞において評価した。RNAおよびタンパク質の発現をそれぞれ、RT-PCRおよびウェスタンブロットによって測定した。図3Aおよび3Bは、サバイビンおよびBcl-2のmRNA発現に関するエチジウムブロミド染色ゲルおよび定量化データのグラフを示す。図3Cおよび3DはサバイビンおよびBcl-2のタンパク質発現に関するウェスタンブロットおよび定量化データのグラフを示す;スリンダクは、HT-29細胞においてサバイビンの単調性の減少を誘導するがBcl-2発現の減少は誘導しない。これはまた、スリンダクが、HT29 CRC細胞においてサバイビン(WNT標的遺伝子)の発現を減少させることによりアポトーシスを誘導することも示している。
【0185】
(実施例3:作用機序-ブデソニド)
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドは、これらに限定されないが腺腫(図4)およびヒトCRC細胞(図5)のDNAメチル化の増加を含む、NSAIDとは異なる作用機序を有すると考えられており、このことは、ブデソニドが動物モデルにおいて肺腫瘍を防止する能力に関連して肺DNAの再メチル化を誘導するという報告と矛盾しない。無処置のApcMin/+マウス由来の腸腫瘍に関する図4に示されるように、腺腫は低メチル化されているように見え(図4)、このことはDNA低メチル化がCRCを含む多くの腫瘍の特徴であるという過去の報告と矛盾しない。このことはまた、ApcMin/+マウスをグローバルDNAメチル化の減少をもたらすDNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmtl)遺伝子の生殖系列変異を有するマウスと交配させた分子研究とも矛盾しない。そのような交雑マウスは腺腫、すなわちヘテロ接合性の喪失を通して残存する野生型Apc対立遺伝子の喪失も示す腫瘍の発生の増加を示した。処置したマウスにおいて、ブデソニドはDNAメチル化染色陽性の腺腫細胞のシグナル強度および比率を共に増加させることが見出された(図4)。このように、ブデソニドが腺腫のDNAメチル化を上昇させるという今回の知見は、ブデソニドが肺がんにおいてDNA再メチル化を誘導するという知見を確証し、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドが腸腫瘍の発生を阻害する一つの可能性がある説明を示唆している。
【0186】
図4A~4DはグローバルDNAメチル化を評価するために抗5-メチルシチジン抗体を使用する免疫染色を例証する;ブデソニドは、ApcMin/+マウスにおいて腸組織のグローバルDNAメチル化を増加させる。免疫染色のシグナル強度は、下部陰窩領域において、B6対照マウス(図4A)およびApcMin/+マウス(図4B)の正常に見える小腸の上部陰窩および絨毛領域と比較して減少する。免疫染色のシグナル強度は、ApcMin/+マウスの小腸の腺腫において減少する(図4C)。ブデソニド処置は、5-メチルシチジン染色陽性の腺腫細胞の比率および強度の両方の増加を誘導する(図4D)。ブデソニドは、これらの腺腫において5-メチルシチジン染色陽性の細胞のシグナル強度(1.9倍)および比率の両方を増加させた。
【0187】
図5は、ブデソニドがヒトCRC細胞においてDNAメチル化を増加させることを示す。ブデソニドがヒトCRC細胞においてDNAメチル化を増加させるか否かを決定するため、ブデソニド曝露に応答したHT29(APC変異体)細胞に関して、エピジェネティックプロファイリングを行った。DNAメチル化プロファイリングにより、ブデソニド曝露後に、ゲノムの大部分にわたってメチル化の全体的な増加が起こったことが明らかとなった。実際、ゲノム全体で1MBドメインの69.3パーセントが、対照と比較してブデソニドに応答してメチル化の増加を示した(図5)。CpGメチル化の統計学的に有意なシフトが、235のユニークCpG部位で起こった(分析した1.9M中)。図は、高メチル化遺伝子(平均値と比較して>2倍の増加)を赤色の文字で示し、および低メチル化遺伝子(>2倍の減少)を緑色の文字で示すメチル化量の円形模式図を示す。
【0188】
(実施例4:ブデソニドはAPC変異を有する悪性ヒト結腸細胞の成長を優先的に阻害する)
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドはAPC変異を有する悪性ヒト結腸細胞の増殖を優先的に阻害すると思われる。またいかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、この効果は、ブデソニドを、例えば、これに限定されないがNSAIDを含む追加の治療剤と組み合わせた場合に増強されると思われる。変異体または野生型のAPCを有するCRC細胞に及ぼす様々な治療剤の効果を、in vitroで分析する。ブデソニドが多様なヒトCRC細胞株のin vitro増殖を阻害する能力は確認されている。ブデソニドは、野生型APCを有する細胞と比較して変異体APCを有する細胞の成長を選択的に阻害する。ブデソニドはApc腫瘍抑制タンパク質に生殖系列変異を有するApcMinマウスにおいて腸腫瘍の発生および成長を阻害する。同様に、APC不活性化はヒトCRC成長の駆動因子である。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ApcMinマウスにおいて腸腫瘍の発生を阻害する薬物はヒトCRC成長の阻害剤の候補であると思われる。
【0189】
変異体APCおよび野生型APCを有するヒトCRC細胞に対するブデソニドの抗腫瘍活性を評価する。ホモ接合型変異体APCを有する5つのCRC細胞株(SW480、HT29、COLO320、CaCo2、DiFi)および野生型APCを有する2つのCRC細胞株(LoVoおよびHCT116)を評価する。ブデソニドの抗腫瘍効果を、細胞成長アッセイ(経時的な細胞数の計数、MCM2およびKi67の免疫染色、MTTアッセイおよびBrdU取り込み)によって評価する。二次転帰の尺度は:分化マーカー(CK20=汎分化;レクチン=パネート細胞;クロモグラニンA=腸内分泌細胞;腸アルカリフォスファターゼ=吸収細胞;Muc2=杯細胞)、およびアポトーシス(サバイビンおよびアネキシンV)を含む。薬物に対する応答を、用量反応および時間経過実験によって決定する。時間経過実験では、処置した細胞を、4時間および8時間、その後12時間間隔で48時間まで試料採取する。用量反応実験では、ブデソニドを1~25μMの用量範囲で添加する。全ての実験を、異なる日および異なる培養で少なくとも3回繰り返す。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、許容基準は以下であると考えられる:変異体APCを有する細胞は、ブデソニドによる成長阻害に対して野生型APC細胞の2倍の(またはそれより高い)感受性である。成長阻害と並行して分化およびアポトーシスの増加が起こる。
【0190】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドは野生型APCを有する細胞と比較して変異体APCを有するCRC細胞の成長を優先的に阻害すると考えられる。同様にいかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、変異体APCを有する細胞は、野生型APC細胞と比較してブデソニドの成長阻害効果に対してより感受性であると考えられる。一部の実施形態では、感受性の増加は2倍、またはそれより大きい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドはAPC変異体CRC細胞を選択的に標的とすると考えられる。一部の実施形態では、変異体APCおよび野生型APC CRC細胞はいずれも、成長阻害される(一部の実施形態では、>50)。
【0191】
(実施例5:NSAIDであるスリンダクまたはアスピリンはブデソニドの抗腫瘍活性を増強する)
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドを、他の治療剤、例えばこれに限定されないがNSAIDと組み合わせると、相乗的な抗CRC効果を有すると考えられる。同様にいかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドおよびスリンダクはいずれもMinマウスにおける腫瘍の発生および成長を阻害し、異なる機序を介して作用することから、ブデソニドは、CRC細胞に対してスリンダクまたは他のNSAIDと相乗的に作用すると考えられる。別の治療剤、例えばこれらに限定されないが、スリンダクまたはアスピリンなどのNSAIDと組み合わせる場合、ブデソニドはいずれかの薬剤単独を投与した場合と比較して抗CRC効果を増加させる。ホモ接合型変異体APCを有する5つのCRC細胞株(SW480、HT29、COLO320、CaCo2、DiFi)および野生型APCを有する2つのCRC細胞株(LoVoおよびHCT116)に対して、スリンダク(1~200μM)およびアスピリン(0.1~10mM)の用量反応分析を行う。追加の治療剤、例えばこれに限定されないがNSAIDとブデソニドのEC20用量での組合せを、相乗活性に関して試験する。より高用量(例えばEC50用量)または異なる処置または時間計画も同様に試みる。統計解析に関して、データを平均値±SEM(n=3)で表現する。スチューデントのt検定を使用して、対照試料および処置試料の間の結果を比較する;2群より多くを解析する場合、ANOVAを使用する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、許容基準は、ブデソニドとNSAIDが相乗効果を有することであると考えられる。
【0192】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ブデソニドおよび追加の治療剤、例えばこれに限定されないがスリンダクを共に投与した場合の効果は、それらの別個の効果の総和よりも大きく、相乗的効果と一貫すると考えられる。一部の実施形態では、組み合わせた薬剤の効果は、ブデソニドおよび追加の治療剤、例えば限定されないがスリンダクを別個に投与した場合の効果の総和に等しく、相加的組合せを示す。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、NSAIDはGIおよび心血管の毒性に関連すると考えられる。ブデソニドはシトクロムP-450酵素によって広範な初回通過肝代謝を受けることから、全身毒性が最小限のコルチコステロイドである。プレドニゾン(ブデソニドのようなコルチコステロイド)は通常、複数のタイプの白血病、リンパ腫および他のがんに対して治癒的である(化学療法との)組合せ処置レジメンにしばしば使用される。
【0193】
本明細書において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的および別個に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に示し、記載してきたが、そのような実施形態は、例として提供されるに過ぎないことは当業者に明白である。様々な変更、変化、および置換が本発明から逸脱することなく当業者に想起される。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物を本発明の実践において使用してもよいと理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内である方法および構造、ならびにその均等物がそれに含まれると意図される。
参考文献
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【国際調査報告】