(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】プリズマトイド光導体
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20220217BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G01T1/20 D
G01T1/20 G
G01T1/20 E
G01T1/161 A
G01T1/161 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537748
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 US2020012707
(87)【国際公開番号】W WO2020146475
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518244253
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデイション フォー ザ ステイト ユニヴァーシティ オブ ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ゴールダン アミルホセイン
(72)【発明者】
【氏名】ラベラ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルビンスキー アンソニー
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB07
2G188CC15
2G188CC16
2G188CC20
2G188CC23
2G188CC26
2G188DD05
2G188DD43
2G188DD44
2G188DD45
2G188EE33
2G188EE39
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG19
4C188JJ05
4C188KK24
4C188KK35
(57)【要約】
亜原子粒子を検出するためのデバイス、及びそれを製造する方法を提示する。デバイスは、複数のシンチレータと、これら複数のシンチレータの第1の端部の上に設けられた検出器と、これら複数のシンチレータの第2の端部の上に設けられたプリズマトイドとを含む。プリズマトイドは、複数のシンチレータのうちの隣接するシンチレータ同士の間で光を経路変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜原子粒子を検出するためのデバイスであって、
複数のシンチレータと、
前記シンチレータの第1の端部の上に設けられた少なくとも1つの検出器と、
前記シンチレータの第2の端部の上に設けられたプリズマトイドと、
を備え、
前記プリズマトイドは、前記複数のシンチレータのうちの第1の対をなす隣接シンチレータ同士の間で光を経路変更するように構成される、ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記プリズマトイドは、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの少なくとも1つのシンチレータから放出された少なくとも1つの亜原子粒子の伝播を経路変更するための少なくとも1つの反射面を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの亜原子粒子の前記伝播は、放出シンチレータから前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの別のシンチレータに向かって経路変更される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プリズマトイドは、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
第2の対をなす隣接シンチレータ、を更に備え、
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータは、前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータに隣接し、
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第1のシンチレータは、前記少なくとも1つの検出器のうちの第1の検出器を前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第1のシンチレータと共有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータは、前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータに隣接し、
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータは、前記少なくとも1つの検出器のうちの第2の検出器を前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータと共有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プリズマトイドは、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第1のシンチレータからの光を、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータ、前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第1のシンチレータ、及び前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータのうちの少なくとも1つへと経路変更するように構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の対をなす隣接シンチレータの前記シンチレータの各々は、第1の内面と、それと実質的に平行な第2の内面とを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の内面と前記第2の内面とは、前記プリズマトイドからの前記光の実質的に全てのものを前記少なくとも1つの検出器に伝送するために光をこれらの内面同士の間で反射するように構成される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの検出器は、少なくとも1つのピクセル化センサを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスであって、前記デバイスは、前記少なくとも1つのピクセル化センサと通信して少なくとも1つの光子を感知することによって陽電子放出断層撮影(PET)を実施するように構成された少なくとも1つのプロセッサを更に備える、デバイス。
【請求項12】
反射面であって、前記反射面に隣接して対をなす複数のシンチレータのうちの少なくとも1つから放出された少なくとも1つの光子の伝播を経路変更するように構成された反射面を備える、プリズマトイドであって、
前記少なくとも1つの光子の前記伝播は、第1の対をなす複数のシンチレータのうちの少なくとも1つのシンチレータから前記第1の対をなす複数のシンチレータのうちの別のシンチレータに向かって経路変更される、プリズマトイド。
【請求項13】
前記第1の対をなす複数のシンチレータの、前記反射面と反対の端部の上に少なくとも1つの検出器が設けられ、
第2の対をなす隣接シンチレータが設けられ、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータは、前記少なくとも1つの検出器のうちの第1の検出器を前記第2の対をなす隣接シンチレータの第1のシンチレータと共有する、請求項12に記載のプリズマトイド。
【請求項14】
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータが、前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータに隣接し、
前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータは、前記複数の検出器のうちの第2の検出器を前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの前記第2のシンチレータと共有する、請求項13に記載のプリズマトイド。
【請求項15】
前記プリズマトイドは、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータからの光を、前記第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータ、前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータ、及び前記第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータのうちの少なくとも1つへと経路変更するように構成される、請求項12に記載のプリズマトイド。
【請求項16】
前記対をなす複数のシンチレータのうちの少なくとも2つの隣接シンチレータの前記シンチレータの各々は、第1の内面と、それと実質的に平行な第2の内面とを備え、
前記第1の内面と前記第2の内面とは、前記プリズマトイドからの前記光の実質的に全てのものを少なくとも1つの検出器に伝送するために前記光をこれらの内面同士の間で反射するように構成される、請求項15に記載のプリズマトイド。
【請求項17】
前記プリズマトイドは、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形される、請求項12に記載のプリズマトイド。
【請求項18】
非侵襲的医療撮像のためのシステムであって、
少なくとも1つのプリズマトイドと、
少なくとも1つの検出器と、
シンチレータアレイと、を備え、
前記少なくとも1つのプリズマトイドは、前記シンチレータアレイの隣接シンチレータ同士の間で光を経路変更するように構成され、
前記少なくとも1つの検出器は、前記シンチレータアレイの、前記少なくとも1つのプリズマトイドと反対の端部の上に設けられ、
前記少なくとも1つのプリズマトイドは、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形される、ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記システムは、高い同時計数時間分解能(CTR)と高い計数率とを有する片面相互作用位置(DOI)読み出しによって陽電子放出断層撮影(PET)を実施するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記シンチレータアレイと前記少なくとも1つのプリズマトイドと前記少なくとも1つの検出器とは、非対称に整列され、
前記少なくとも1つの検出器のうちの第1の検出器が、前記少なくとも1つの検出器のうちの第2の検出器に隣接して前記PETを実施するための面積を拡張する、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許商標庁に2019年1月8日及び2020年1月7日にそれぞれ出願された米国仮特許出願第62/789,559号及び第62/957,991号に対して優先権を主張し、各々の全内容が、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(政府援助)
本発明は、認可番号第EB024849号の下で米国国立衛生研究所によって付与された政府援助を用いて作成されたものである。米国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本発明は、一般的に放射線撮像の分野に関し、具体的には陽電子放出断層撮影(PET)に関する。
【背景技術】
【0004】
PETは、生存生物内の機能プロセスを観察するための3次元(3D)画像を生成する核医学撮像様式である。PETは、臨床腫瘍学において癌を検出するため、及び心臓病及び/又は脳障害の臨床診断に向けて一般的に用いられている。陽電子を放出する放射性核種は、生物の中に導入された後に、各消滅において2つの光子を直径方向に正反対に放出しながら減衰する。電磁波が媒体を貫通してある距離だけ伝播する時間を測定するために飛行時間(TOF)の測定を利用することができる。TOF PETシステムは、光子を検出し、記録された2つの光子が時間コヒーレンス状態にあるかどうか、すなわち同じ位置の消滅事象に属するか否かをTOF情報を用いて決定する。TOF PETは、到着時間の差を用いて各消滅事象の場所を特定する。TOF場所特定データがない場合には、計算コストの高い反復的再構成アルゴリズムを用いて測定投影データとの最良一致を与える3D事象分布が推定される。最新のPET読み出しは、速度と磁気共鳴適合性とに起因してシリコン光電子増倍管(SiPM)を用いて実施される。
【0005】
PETシンチレータでは、単一の器官挿入器等の小さいリング径しか有さない検出システムにおいて特に顕著である視差及びその結果として生じる空間ぼけを低減するために高い相互作用位置(DOI)分解能が必要とされる。従来、DOI読み出しは、シンチレータアレイ毎に2つの読み出しアレイを用いる両面読み出しによって実施される。しかしながら、両面読み出しは、通常のPETシステムと比較して2倍の電子機器を必要とする。従って、最近の研究は、1つのシンチレータ及び1つの読み出しアレイしか必要としない片面読み出し技法の開発に主眼を置いてきた。1:1結合を用いることもできるが、システムコストを低減するために一般的には複数のシンチレータ結晶が単一の読み出しピクセルに結合される。
【0006】
最新のDOI技法は、光を他の読み出しピクセルに経路変更するためにシンチレータアレイの上部で実質的に平坦な反射性光導体を用いる。そうする上で、単一のガンマ線相互作用事象に関する単一のSiPMピクセル上で吸収される最大光の一部分の検知と、アレイの全ピクセルにわたって吸収された全光に対するこの検出部分とによってDOI情報を得ることができる。この測定を行うのには2つの異なる読み出しピクセルしか必要とされない。しかしながら、DOI分解能を改善するためにはより多くのピクセルを有することが有用である。
【0007】
従来の光導体幾何学構成は、光を他の結晶の中へと経路変更してピクセルを読み出すのではなく、ガンマ線吸収が発生した元のシンチレーション結晶の中へと主に光を導き戻す平坦で均一な反射性材料を用いる。それによって光のうちのほとんどが、DOI測定を行うのに必要とされる他のピクセルと共有されず、従って片面DOI読み出しを無効にすることから、準最適なDOI分解能がもたらされる高アスペクト比シンチレータ(~15~20mm厚)と均一光導体とを用いる現在の片面DOI読み出しは、~5mmの半値全幅(FWHM)DOI分解能しか達成することができない。それとは対照的に、両面読み出しは、1mmFWHM程度のDOI分解能を達成することができ、実践での使用に実現可能になる前に片面技法の改善に向けたかなりの余地を残す。従来のシステム及び方法は、PET検出器システムにおいて影響力の大きい光共有技法を実現することができない。
【0008】
従来、セントロイディングによってガンマ線相互作用の場所を結晶レベルまで細かく特定することによって全体の検出器システムを改善するアンガーロジックスキームが用いられている。従来の均一光導体の不十分な光共有に起因して、周辺結晶は共有するための結晶及びピクセルが少ないことから、検出器アレイの周辺部におけるアンガーロジック場所特定は、中心部にある結晶及び検出器のものと比較して著しく劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のシステムの欠点を解消するために、本明細書では、PET検出器システムにおけるシンチレータ結晶同士の間の光共有を改善するためのシステム及び方法が提示される。本開示は、従来のDOI読み出しのシステム及び方法の欠点を解消し、検出器アレイ全体にわたって改善されたDOI分解能及びより均一なアンガーロジック場所特定性能を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の複数の態様は、上記の問題及び欠点に対処し、下記で説明する利点をもたらす。本発明のある態様は、亜原子粒子(sub-atomic particles)を検出するためのデバイスであって、複数のシンチレータと、シンチレータの第1の端部の上に設けられた少なくとも1つの検出器と、シンチレータの第2の端部の上に設けられたプリズマトイドとを備え、プリズマトイドが、複数のシンチレータのうちで第1の対をなす隣接シンチレータ同士の間で光を経路変更するように構成されるデバイスを実現する。
【0011】
本発明のある態様は、反射面であって、この反射面に隣接して対をなす複数のシンチレータのうちの少なくとも1つから放出された少なくとも1つの光子の伝播を経路変更するように構成された反射面を備え、少なくとも1つの光子の伝播が、第1の対をなす複数のシンチレータのうちの少なくとも1つのシンチレータから第1の対をなす複数のシンチレータのうちの別のシンチレータに向かって経路変更されるプリズマトイドを実現する。
【0012】
本開示の更なる態様は、少なくとも1つのプリズマトイドと、少なくとも1つの検出器と、シンチレータアレイとを含む非侵襲的医療撮像のためのシステムを実現する。少なくとも1つのプリズマトイドは、シンチレータアレイの隣接シンチレータ同士の間で光を経路変更する。少なくとも1つの検出器は、シンチレータアレイの、少なくとも1つのプリズマトイドと反対の端部の上に設けられ、プリズマトイドは、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形される。
【0013】
本発明のある特定の実施形態の上記及びその他の態様、特徴、及び利点が、以下に続く詳細説明を添付図面と併せて理解することによって明確に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のある実施形態によるプリズマトイド光導体の斜視図である。
【
図2】本開示のある実施形態によるプリズマトイド光導体の斜視図である。
【
図3】本開示のある実施形態による、シンチレータアレイ上に位置決めされたプリズマトイド光導体の破断側面断面図である。
【
図4】本開示のある実施形態によるプリズマトイド光導体の上面図である。
【
図5a】本開示の複数の実施形態のうちの1つによるプリズマトイドの斜視図である。
【
図5b】本開示の複数の実施形態のうちの1つによるプリズマトイドの斜視図である。
【
図5c】本開示の複数の実施形態のうちの1つによるプリズマトイドの斜視図である。
【
図6】本開示のある実施形態による第2のプリズマトイドの斜視図である。
【
図7a】本開示の複数の実施形態のうちの1つによるプリズマトイドの斜視図である。
【
図7b】本開示の複数の実施形態のうちの1つによるプリズマトイドの斜視図である。
【
図8a】本開示のある実施形態による、シンチレータアレイから分解されたプリズマトイド光導体アレイを例示する図である。
【
図8b】本開示のある実施形態による、プリズマトイド光導体アレイから分解されたシンチレータアレイを例示する図である。
【
図9a】従来の平面光導体の光共有を例示する図である。
【
図9b】本開示のある実施形態によるプリズマトイドの光共有を例示する図である。
【
図10】従来の平面光導体に関する照度マップシミュレーションを提示する図である。
【
図11】本開示のある実施形態による照度マップシミュレーションを提示する図である。
【
図12】従来の平面ガラスのパーセンテージ光共有と本開示のある実施形態によるプリズマトイド光導体のパーセンテージ光共有とを比較する、隣接する複数のシリコン光電子増倍管検出器にわたるパーセンテージ光共有のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に続く本発明のある特定の実施形態の詳細説明を、添付図面を参照しながら行うことにする。本発明を説明する上で、不要な詳細によって本発明を不明瞭にすることを回避するように、当該技術分野で公知の関連の機能又は構造についての説明を明瞭化の目的で省略する。
【0016】
図1は、本開示のある実施形態によるプリズマトイド光導体の斜視図である。
図1に記載のプリズマトイド光導体100は、シンチレータアレイ200上に位置決めされ、プリズマトイド光導体100と反対の側に検出器300が位置決めされる。
図1に例示するように、プリズマトイド光導体100は、複数の第1のプリズマトイド410を含み、第1のプリズマトイド410は三角形のものとすることができ、これらを第2のプリズマトイド420及びコーナープリズマトイドが取り囲むことができ、これらの詳細を本明細書で提示する。プリズマトイド光導体100は、シンチレータアレイ120上に固定的又は取り外し可能に設けることができる。
【0017】
図2は、プリズマトイド光導体100の斜視図である。
図2に例示するように、複数の第1のプリズマトイド410は、実質的に角錐形とすることができる。第1のプリズマトイド410、第2のプリズマトイド420、及び第3のプリズマトイドは、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形することができる。
【0018】
図3は、本開示のある実施形態による、シンチレータアレイ200上に位置決めされたプリズマトイド光導体100の中心部分の幾何学配列を例示する破断側面断面図である。
図3に例示するように、プリズマトイドは、3つの面120a、120b、120cを有する角錐として実質的に成形することができる。プリズマトイド光導体100は、シンチレータアレイ200の第1の端部211d、すなわち第1の端面上又はそれに隣接するように位置決めすることができる。プリズマトイド光導体100は、光共有を高めてシンチレータ211、212、213、214の間の少なくとも4:1の結合を可能にする反射器として動作する。プリズマトイド光導体100は、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの少なくとも1つのシンチレータから放出された少なくとも1つの亜原子粒子、例えば光子の伝播を経路変更する少なくとも1つの反射面、例えば面120a、120bの内面を含む。面120a、120bの内面は、その側面に沿う反射性の改善に向けて硫酸バリウム、エポキシで被覆すること、又は強化された鏡面反射器(ESR)を設けることができる。シンチレータ対をなす複数のシンチレータの各シンチレータは、当該技術分野で公知であるように高エネルギーのX線、ガンマ線、及び同様の高エネルギー粒子を光及び/又は光子へと変換するように構成されたシンチレータ結晶とすることができる。伝播方向の変化は、少なくとも1つの亜原子粒子を少なくとも4つの隣接シンチレータのうちの少なくとも1つの他のシンチレータに向かって放出する少なくとも1つのシンチレータによるものである。提供された結合は、第2の端部211bに位置決めされた検出器300のシリコン光電子増倍管(SiPM)のピクセル380a、380b、380c…380iによる検出を向上させる。検出器300のSiPMピクセル380a…380iは、陽電子放出断層撮影(PET)検出器内における相互作用位置(DOI)読み出しの片面読み出しの高分解能を可能にするように、検出器300によって検出された少なくとも1つの光子の表示又はその他の出力を制御する少なくとも1つのプロセッサと通信する。
【0019】
各シンチレータ211、212、213、214は、第1の内面211a、212aと第2の内面211c、212cとを含むことができる。第2の内面211c、212cは、それぞれの第1の内面211a、212aと実質的に平行にすることができ、第1の内面211a、212a及び第2の内面211c、212cは、実質的に第1の端部211dから第2の端部211bまで延び、それによって、角柱光導体100のそれぞれのプリズマトイド120からの光の実質的に全てをそれぞれの検出器300に伝送するために互い同士の間で光を反射するように構成された各それぞれの第1の面211a、212aと第2の面211c、212cとの間に内部光導体211g、212gが設けられる。内部光導体は、それぞれのシンチレータ211、212、213、214の中でそれぞれのプリズマトイド120からそれぞれの検出器130まで伝播する実質的に全ての光を反射する。
図9Bに例示するように、プリズマトイド120は、第1のシンチレータの光導体からの光を隣接シンチレータの光導体へと経路変更し、光共有は、プリズマトイド120に結合されたシンチレーション結晶の中で自己完結する。
【0020】
プリズマトイド120は、シンチレータアレイ100の第1の端面211dに安定化光導体幾何学構成を与える。プリズマトイド光導体100は、高エネルギー光子検出器として機能することなく光を反射する。
図3、
図4、
図8a、及び
図8bに例示するように、シンチレータ211、212、213、214は、共有SiPMピクセルによる光子検出に向けて4:1の比で結合することができ、例えば、SiPMピクセル380a及びSiPMピクセル380bは、プリズマトイド光導体100のプリズマトイド120を介してシンチレータ211、212、213、214によって共有される。
【0021】
DOI性能に関する差動片面読み出しを可能にするために、検出器300の少なくとも2つのSiPMピクセル380a、380bが、シンチレータ結晶211、212、213、214を介してそれぞれのプリズマトイド120に結合される。
図3、
図4、
図8a、及び
図8bは、1:4のシンチレータ対読み出し結合比を例示している。プリズマトイド120は、結晶211、212、213、214の一方の端部に結合することができ、SiPMピクセル380a、380bは、反対の端部に結合することができる。様々なプリズマトイド幾何学構成において他の結合比を用いることもでき、プリズマトイド120は、少なくとも1つの角柱、少なくとも1つの反角柱、少なくとも1つの角錐台、少なくとも1つの三角形、少なくとも1つの角台塔、少なくとも1つの直方体、少なくとも1つの楔、少なくとも1つの角錐、少なくとも1つの切頭角錐、及び少なくとも1つの部分球のうちの少なくとも1つとして実質的に成形される。
【0022】
図4は、シンチレータアレイ200のエッジに沿ってより均一な方向の光共有を導入するために様々なプリズマトイド幾何学構成の場所を有するプリズマトイド光導体100の上面図である。このプリズマトイドアレイの幾何学構成は、検出器300の4つのSiPMピクセルへの各非周辺プリズマトイドの結合及び被制御光共有の改善を可能にする。
図4は、共通の検出器300を共有するシンチレータ211、212、213、214を例示している。シンチレータ211及び212は、第1の対をなす隣接シンチレータとして設けることもでき、シンチレータ213、214は、第2の対をなす隣接シンチレータとして設けることができ、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータは、第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータに隣接し、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータは、複数の検出器のうちの第1の検出器を第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータと共有する。第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータは、第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータと隣接することができ、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータは、複数の検出器のうちの第2の検出器を第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータと共有することができる。従って、プリズマトイドは、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータからの光を、第1の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータ、第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第1のシンチレータ、及び第2の対をなす隣接シンチレータのうちの第2のシンチレータのうちの少なくとも1つへと経路変更することができる。
【0023】
本開示の制御された光共有は、システムレベルの計数率を上昇させる。それとは対照的に、均一光導体では、光が全てのシンチレータにわたって共有されることが予測されることから、各シンチレーション事象は、DOIを計算してセントロイディングを実施するのに全てのSiPMピクセルからの読み出しを必要とする。一方、本発明のプリズマトイド光導体は、どのシンチレータ列が互いに光を共有することになるかの正確な識別を可能にする。シンチレータは、同じプリズマトイドに結合された列としか光を共有しない。例示するように、各非周辺プリズマトイドは、検出器アレイ幾何学構成に依存して少なくとも2つから4つまでのうちのいずれかの個数のSiPMピクセルに属する少なくとも4つのシンチレータに結合される。その結果、読み出しは、各シンチレーション事象に関して一度に小さなピクセルサブセットに対してしか必要とされず、検出器アレイの他の部分における同時読み出しを可能にし、それによって従来の均一光導体を用いる検出器システムの計数率と比較した場合にシステムレベルの計数率を上昇させる。
【0024】
図5a~
図5cは、本開示の複数の実施形態によるプリズマトイドの斜視図である。
図5aは、実質的な角錐形状の第1のプリズマトイド410の斜視図である。
図5bは、実質的な角錐形状を実質的な直方体形状と組み合わせた形状の第1のプリズマトイド410の斜視図である。
図5cは、実質的な三角形形状の第1のプリズマトイド410の斜視図である。
【0025】
図6は、第2のプリズマトイド420の斜視図である。第2のプリズマトイド420は、実質的な三角形形状を有する。
【0026】
図7a及び
図7bは、プリズマトイド430の斜視図である。
図7aは、実質的な三角形形状432、433がそれぞれ上部に張り付けられた実質的な直方体形状435、436を含むコーナープリズマトイドを例示している。直方体形状435、436を、三角形形状432、433上に一体形成することもできる。
図7bは、実質的な三角形形状430c、430dがそれぞれ上部に張り付けられた実質的な直方体形状430a、430bを含むコーナープリズマトイドを例示している。第1のプリズマトイド410、第3のプリズマトイド420、及び第3のプリズマトイド430の配列は
図2~
図4に提示される。
【0027】
光は他のピクセルに意図的に導かれることから、検出器アレイ全体にわたってアンガーロジックのセントロイディング分解能の高い均一性がもたらされる。それとは対照的に、従来の均一光導体は、光を特定の他のSiPMピクセルに特定的に結合しない又は意図的に導かない。また、従来の均一光導体は、セントロイディング分解能がシンチレータアレイのエッジに沿って急激に低下するエッジ効果を導入する。それとは対照的に、第1のプリズマトイド410、第2のプリズマトイド420、及び第3のプリズマトイド430の構成は、光共有に関してシンチレータ同士の間で完全に対称であり、従来システムにおけるエッジ効果を排除する。
図2~
図4を参照されたい。
【0028】
図8aは、本開示のある実施形態による、シンチレータアレイから分解されたプリズマトイド光導体を例示している。
図8bは、本開示のある実施形態による、プリズマトイド光導体アレイから分解されたシンチレータアレイを例示している。
図8bのシンチレータアレイ200上への
図8aのプリズマトイド光導体アレイ100の組み立ては、4:1のシンチレータ対プリズマトイド比を与える。プリズマトイド光導体アレイ100とシンチレータアレイ200とは、一体的に設けることもできる。
【0029】
図9(a)は、従来の平面光導体の光共有を例示する。
図9(b)は、本開示のある実施形態によるプリズマトイドの光共有を例示する。
図9(a)及び
図9(b)は、モンテカルロシュミレーションによって取得されたものである。
図9A及び
図9Bは、その上側部分にフラッドヒストグラムを提示しており、下側部分に結晶識別の質を表すガンマ線相互作用のx方向場所特定の1次元ヒストグラムを提示している。
図9Aはアンガーロジックセントロイディングを用いた均一ガラス光導体による、エッジ効果及びコーナー効果に起因して不均一なシンチレータ列識別を例示している。
図9bは、本開示のある態様による、光共有パターンが改善され、それによって検出器アレイ全体にわたって均一なシンチレータ列識別を可能にするエッジ効果及びコーナー効果の排除を例示している。
【0030】
図9(a)の光線軌跡と
図9(b)の光線軌跡との比較は、プリズマトイド光導体100によって可能になった隣接シンチレータ列との改善された光共有を示している。
図9(b)に示しているように、プリズマトイドは、光を隣接するシンチレータ及びSiPMピクセルの中へと経路変更し、それによって向上した隣接シンチレータ同士の間の光共有に起因してより正確なDOI読み出しを可能にする。
【0031】
図10は、従来の平面光導体に関する照度マップシミュレーションを提示している。
図11は、本開示のある実施形態による照度マップシミュレーションを提示している。
図10及び
図11の照度マップは、それぞれのSiPMピクセル上の光子流束のヒートマップである。
【0032】
図10の従来の平面均一光導体内に示しているように、ほとんどの光は、ガンマ線相互作用が発生したシンチレータに相応するピクセルの右下コーナーに入射する。しかしながら、DOI読み出しに関しては、光の大部分が隣接ピクセルと理想的に共有されてシンチレータ内の正確に何処で相互作用が発生したかについてのより多くの情報が得られるであろう。
【0033】
図11に示しているように、
図10の場合と同じシンチレータを用いるが、平面均一光導体をプリズマトイド光導体100で置き換えることによって、隣接SiPMピクセル並びに元の読み出しピクセルから斜方向にあるSiPMピクセルとのガンマ線相互作用撮影の光共有は大幅に向上する。
【0034】
図12は、従来の平面ガラスのパーセンテージ光共有をプリズマトイド光導体のパーセンテージ光共有と比較した、隣接SiPMにわたるパーセント光共有のグラフである。
図12に例示するように、プリズマトイド光導体100は、全ての相互作用位置に関して光共有の大幅な改善を可能にし、この改善は、相互作用位置の関数として高まり、PET検出器システムのDOI分解能及び空間分解能の改善を可能にするDOI場所特定正確度の向上を例示している。
【0035】
シンチレータ結晶のブロックとして準備することができるシンチレータの一方の端部の上にプリズマトイド光導体を張り付け、検出器モジュールをシンチレータの反対の端部に張り付ける段階を含む製造法を提示する。プリズマトイド120は、シンチレータアレイの一方の端部の上にスパッタリングによって堆積することができる。プリズマトイドは、シンチレータの一方の端部に取り外し可能に取り付けることもできる。シンチレータは、研磨し、続いてその側面に沿って粗化することで粗度を導入し、側面に沿う差動光共有をガンマ線相互作用位置の関数として生み出すことによってDOI分解能を改善することができる。
【0036】
本発明は、特定の態様に関して図示及び説明されるが、当業者は、添付の特許請求及びその均等物によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細の様々な変更を加えることができることを理解されたい。以下に記載の何らかの請求項の記述は、「~ための手段」又は「~ための段階」の明示的な使用なしにミーンズプラスファンクション要素として解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0037】
100 プリズマトイド光導体
200 シンチレータアレイ
300 検出器
410 第1のプリズマトイド
420 第2のプリズマトイド
【国際調査報告】