(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ポリアミド酸組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
C08G73/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538708
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 KR2019014970
(87)【国際公開番号】W WO2020141710
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0000242
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519065318
【氏名又は名称】デリム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(74)【代理人】
【識別番号】100201938
【氏名又は名称】杉山 静可
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンモ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】オー,キュンオク
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043PA04
4J043PA19
4J043QB15
4J043QB26
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA14
4J043SA43
4J043SA46
4J043SA47
4J043SA51
4J043SA52
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4J043SA54
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4J043TA71
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4J043UB062
4J043UB121
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4J043UB131
4J043UB132
4J043UB152
4J043UB301
4J043UB302
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4J043UB402
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4J043VA022
4J043VA031
4J043VA041
4J043VA061
4J043VA062
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4J043XA16
4J043XA19
4J043YA06
4J043ZA12
4J043ZA52
4J043ZB11
4J043ZB24
(57)【要約】
本発明は、ポリアミド酸組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルムに関し、より具体的には、ヘテロ原子及びハロゲン原子を導入したジアミン化合物、酸二無水物化合物を含み、光学特性を向上させることができるポリアミド酸組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアミン化合物、酸二無水物化合物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、
前記ジアミン化合物は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジアミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第1ジアミン単量体;及び
塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つのグループを含む第2ジアミン単量体;を含むことを特徴とするポリアミド酸。
【請求項2】
前記第1ジアミン単量体は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、m-メチレンジアニリン(mMDA)、p-シクロヘキサンジアミン(pCHDA)、p-キシレンジアミン(pXDA)、m-キシレンジアミン(mXDA)、m-シクロヘキサンジアミン(mXDA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(BAFP)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2'-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAMF)、2,2'-ビス(3-アミノフェニル)-ヘキサフルオロプロパン(BAPF)、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド(DABF)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(BTDE)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHH)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド酸。
【請求項3】
前記第2ジアミン単量体は、下記化学式1及び化学式2の少なくともいずれか一つの単量体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド酸。
(化学式1)
【化1】
(化学式2)
【化2】
(前記化学式1で、R1は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、前記化学式2で、R2は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。)
【請求項4】
前記酸二無水物化合物は、フッ素化芳香族酸二無水物、非フッ素化芳香族酸二無水物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド酸。
【請求項5】
前記フッ素化芳香族酸二無水物は、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride,6FDA))、4,4'-(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビス-(フタル酸無水物)(4,4'-(4,4'-Hexafluoroisopropylidenediphenoxy)bis-(phthalic anhydride,6-FDPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のポリアミド酸。
【請求項6】
前記非フッ素化芳香族酸二無水物は、ピロメリト酸二無水物(pyromellitic dianhydride,PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3'4,4'-biphenyltetracarboxylic acid dianhydride,BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-benzophenonetetracarboxylic dianhydride,BTDA)、4,4'-オキシジフタル酸無水物(4,4'-oxydiphthalic anhydride,ODPA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物(2,2-Bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propane dianhydride,BPADA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(4-トリメリテート無水物)(3,3',4,4'-Diphenyl sufone tetracarboxylic dianhydride,DSDA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のポリアミド酸。
【請求項7】
ジアミン化合物及び溶媒を混合して混合物を製造する段階;及び
前記混合物に酸二無水物化合物を投入及び重合してポリアミド酸溶液を製造する段階;を含み、
前記ジアミン化合物は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジアミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第1ジアミン単量体;及び
塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第2ジアミン単量体;を含むことを特徴とするポリアミド酸製造方法。
【請求項8】
混合物を製造する段階において、前記溶媒は、極性溶媒、低沸点溶媒、低吸水性溶媒、拡がり性溶媒及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、
前記極性溶媒は、m-クレゾール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルアセテート(DEA)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、
前記低沸点溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、トリクロロメタン(クロロホルム、TCM)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、
前記低吸水性溶媒は、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、
前記拡がり性溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、エチレングリコールジメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE)、エチレングリコールジプロピルエーテル(EGDPE)、エチレングリコールジブチルエーテル(EGDBE)及びそれらの組合せからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項9】
前記低吸水性溶媒として、ガンマブチロラクトン30~70モル%及びN-メチル-2-ピロリドン30~70モル%を含む第1低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及びN,N-ジメチルプロピオンアミド30~70モル%を含む第2低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド30~70モル%を含む第3低吸水性溶媒混合物、N,N-ジメチルプロピオンアミド100モル%又は3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド100モル%を含むことを特徴とする、請求項8に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項10】
前記溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、エチレングリコールジメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE)、エチレングリコールジプロピルエーテル(EGDPE)、エチレングリコールジブチルエーテル(EGDBE)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つの拡がり性溶媒を含むことを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項11】
混合物を製造する段階において、前記第2ジアミン単量体は、ジアミン化合物基準で50~80モル%含むことを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項12】
混合物を製造する段階において、前記混合は、窒素雰囲気で25~30℃の温度で30~60分間行われ、前記重合は、10~70℃温度で6~48時間行われることを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項13】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記ジアミン化合物及び酸二無水物化合物は、前記ポリアミド酸溶液の固形分を構成し、前記固形分の含有量は、前記ポリアミド酸溶液基準で10~40重量%であることを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項14】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記酸二無水物化合物は、ジアミン化合物基準で100~105モル重量部(parts by mole weight)含むことを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド酸製造方法。
【請求項15】
請求項7のポリアミド酸製造方法において、
前記ポリアミド酸溶液を基材上にコートして透明コーティング層を形成する段階;及び
前記透明コーティング層を熱処理する段階;をさらに含み、
前記熱処理は、100~450℃温度で30~120分間行われることを特徴とするポリイミドフィルム製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド酸(polyamic acid)組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルムに関し、より具体的には、ヘテロ原子及びハロゲン原子を導入したジアミン化合物、酸二無水物化合物を含むことによって光学特性を向上させることができるポリアミド酸組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代ディスプレイ装置として注目されているフレキシブルディスプレイの基板素材は、軽くて、破れなく、可撓であり、容易な加工性によって形態の制約がないことが要求される。現在、ディスプレイ基板素材として用いられているガラス基板に比べて軽い他に、破れなく、製造しやすく、薄膜型フィルムの製造が可能な高分子材料が、フレキシブルディスプレイ具現のための最適の素材として注目されている。
【0003】
従来、フレキシブルデバイスは、一般に、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを使用し、高い工程温度(300~500℃)のTFT工程を用いている。このような高い工程温度に耐え得る高分子材料は、極めて制限されている。このため、最近では透明フレキシブルディスプレイ用プラスチック基板候補として、耐熱性及び寸法安定性に優れたポリイミド樹脂に対する活用が増加している。
【0004】
また、有機発光ダイオード技術の持続的な発展によってフレキシブルタブレットPC、ウェアラブル機器のような広範なポートフォリオを保有することになり、これによって次世代ディスプレイとして位置付けられている。同時に、固有の優れた白色光の色品質から、照明への応用にも拡大されつつある。照明応用分野では効率的な光抽出によって高効率光源具現を再現するために、優れた光特性と高い屈折率を有する高分子樹脂への関心も高まっている。
【0005】
一方、有機発光ダイオード照明応用に使用するためには、高屈折率(n=1.7以上)の高分子基板材料が要求される場合が多い。光源と高分子カプセル素材間の屈折率の格差は、特定入射角で光が光源を通ってカプセル素材を透過する際に内部全反射を誘発し、機器の光抽出効率を低下させてしまう。特に、先端光学機器への応用のためには、優れた光特性と高屈折率が要求されるが、通常のポリイミドは約1.3~1.6範囲の低い屈折率を持っているため、光抽出効率が低下する問題点がある。
【0006】
韓国登録特許第10-1704010号は、ヘテロ原子及びハロゲン原子を含む芳香族環の置換基が導入されたジアミン化合物及びこれによって製造されるポリアミド酸とポリイミドの製造に関するもので、高い屈折率と低い複屈折率を有する透明なフィルムを提供しているが、これも、1.7以上の高い屈折率を満たしながら耐熱性及び形態安定性に優れるように向上させたフィルムを提供するには限界があった。
【発明の概要】
【課題を解決するための課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、その具体的な目的は、次の通りである。
【0008】
本発明では、原子固有屈折率の高いハロゲン原子とヘテロ原子を含むジアミン化合物と酸二無水物との組合せによって、高い屈折率を有し、優れた光特性及び耐熱特性を有する高耐熱ポリイミドを発明することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ジアミン化合物、酸二無水物化合物、及びそれらの組合からなる群から選ばれる一つを含み、前記ジアミン化合物は、第1ジアミン単量体;及び塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つのグループを含む第2ジアミン単量体;を含むことを特徴とするポリアミド酸を提供する。
【0010】
前記第1ジアミン単量体は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジアミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであってよい。
【0011】
前記第1ジアミン単量体は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、m-メチレンジアニリン(mMDA)、p-シクロヘキサンジアミン(pCHDA)、p-キシレンジアミン(pXDA)、m-キシレンジアミン(mXDA)、m-シクロヘキサンジアミン(mXDA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(BAFP)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2'-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAMF)、2,2'-ビス(3-アミノフェニル)-ヘキサフルオロプロパン(BAPF)、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド(DABF)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(BTDE)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHH)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことができる。
【0012】
前記第2ジアミン単量体は、下記化学式1及び化学式2の少なくともいずれか一つの単量体を含むことができる。
【0013】
【0014】
【0015】
(前記化学式1で、R1は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、前記化学式2で、R2は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。)
【0016】
前記酸二無水物化合物は、フッ素化芳香族酸二無水物、非フッ素化芳香族酸二無水物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであってよい。
【0017】
前記フッ素化芳香族酸二無水物は、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride,6FDA))、4,4'-(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビス-(フタル酸無水物)(4,4'-(4,4'-Hexafluoroisopropylidenediphenoxy)bis-(phthalic anhydride,6-FDPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことができる。
【0018】
前記非フッ素化芳香族酸二無水物は、ピロメリト酸二無水物(pyromellitic dianhydride,PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3'4,4'-biphenyltetracarboxylic acid dianhydride,BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-benzophenonetetracarboxylic dianhydride,BTDA)、4,4'-オキシジフタル酸無水物(4,4'-oxydiphthalic anhydride,ODPA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物(2,2-Bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propane dianhydride,BPADA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(4-トリメリテート無水物)(3,3',4,4'-Diphenyl sufone tetracarboxylic dianhydride,DSDA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことができる。
【0019】
前記第2ジアミン単量体は、ジアミン化合物基準で50~80モル%含むことができる。
【0020】
前記いずれか一つのポリアミド酸は、粘度が23℃で1,000~10,000cpであってよい。
【0021】
本発明によれば、前記いずれか一つのポリアミド酸を含むことを特徴とするポリイミドフィルムを提供する。
【0022】
前記ポリイミドフィルムは、厚さが10~15μmのとき、屈折率が1.7以上、黄色度(Yellow Index,Y.I.)が10以下、100~250℃で熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion,C.T.E.)が15ppm/℃以下、ガラス転移温度が300℃以上、及び550nm波長における透過度が88%以上であってよい。
【0023】
本発明によれば、ジアミン化合物及び溶媒を混合して混合物を製造する段階;及び前記混合物に酸二無水物化合物を投入及び重合してポリアミド酸溶液を製造する段階;を含み、前記ジアミン化合物は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジイミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第1ジアミン単量体;及び塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第2ジアミン単量体;を含むことを特徴とするポリアミド酸製造方法を提供する。
【0024】
混合物を製造する段階において、前記溶媒は、極性溶媒、低沸点溶媒、低吸水性溶媒、拡がり性溶媒及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記極性溶媒は、m-クレゾール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルアセテート(DEA)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記低沸点溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、トリクロロメタン(クロロホルム、TCM)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記低吸水性溶媒は、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記拡がり性溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、エチレングリコールジメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE)、エチレングリコールジプロピルエーテル(EGDPE)、エチレングリコールジブチルエーテル(EGDBE)及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。
【0025】
前記低吸水性溶媒として、ガンマブチロラクトン30~70モル%及びN-メチル-2-ピロリドン30~70モル%を含む第1低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及びN,N-ジメチルプロピオンアミド30~70モル%を含む第2低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド30~70モル%を含む第3低吸水性溶媒混合物、N,N-ジメチルプロピオンアミド100モル%又は3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド100モル%を含むことができる。
【0026】
前記溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、エチレングリコールジメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE)、エチレングリコールジプロピルエーテル(EGDPE)、エチレングリコールジブチルエーテル(EGDBE)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つの拡がり性溶媒を含むことができる。
【0027】
混合物を製造する段階において、前記第2ジアミン単量体は、ジアミン化合物基準で50~80モル%含むことができる。
【0028】
混合物を製造する段階において、前記混合は、窒素雰囲気及び25~30℃の温度で30~60分間行われてよい。
【0029】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記混合物に可塑剤、酸化防止剤、難燃化剤、分散剤、粘度調節剤、レベリング剤及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つをさらに投入することができる。
【0030】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記重合は、10~70℃温度で6~48時間行われてよい。
【0031】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記ジアミン化合物及び酸二無水物化合物は、前記ポリアミド酸溶液の固形分を構成し、前記固形分の含有量は、前記ポリアミド酸溶液基準で10~40重量%であってよい。
【0032】
ポリアミド酸溶液を製造する段階において、前記酸二無水物化合物は、ジアミン化合物基準で100~105モル重量部(parts by mole weight)を含むことができる。
【0033】
本発明によれば、前記いずれか一つのポリアミド酸製造方法において、前記ポリアミド酸溶液を基材上にコートして透明コーティング層を形成する段階;及び前記透明コーティング層を熱処理する段階;をさらに含み、前記熱処理は、100~450℃温度で30~120分間行われることを特徴とするポリイミドフィルム製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、透明ながら高い屈折率を有するポリイミドフィルムを製造することができる。
【0035】
本発明によれば、黄色度が改善されたポリイミドフィルムを製造することができる。
【0036】
本発明によれば、熱膨張係数の低いポリイミドフィルムを製造することができる。
【0037】
本発明によれば、高効率光源の具現を目的とするいかなるデバイスにも適用できる、光学特性が向上したポリイミドフィルムを提供することができる。
【0038】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は、以下の説明から推論可能な如何なる効果も含むものと理解されるべきであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
比較例1
下記表1に示す組成物であって、ジアミン化合物としてTFMB 39.790g(0.24mole)を、溶媒であるDMPA 444.08gに溶かし、窒素雰囲気の常温で30分間溶解させた。その後、酸二無水物化合物であるBPDA 37.872g(0.129mole)を添加した後、24時間撹拌及び重合し、ポリアミド酸溶液を製造した。重合温度は30℃に維持し、固形分は、前記ポリアミド酸溶液全重量に対して15重量%となるように維持した。このとき、粘度測定装備(Brookfield DV2T,SC4-27)で測定した結果、粘度は4,800cpであった。
【0040】
比較例2
下記表1に示す組成物であって、ジアミン化合物としては第2ジアミン単量体である下記化学式3の化合物41.148g(0.120mole)を溶媒であるDMPA 444.08gに溶かし、窒素雰囲気の常温で30分間溶解させた。その後、酸二無水物化合物であるBPDA 36.514g(0.124mole)を添加して24時間撹拌及び重合し、ポリアミド酸溶液を製造した。重合温度は30℃に維持し、固形分は、前記ポリアミド酸溶液全重量に対して15重量%となるように維持した。このとき、粘度測定装備(Brookfield DV2T,SC4-27)で測定した結果、粘度は4,300cpであった。
【0041】
【0042】
比較例3
下記表1に示す組成物であって、ジアミン化合物としては第2ジアミン単量体である下記化学式4の化合物41.148g(0.120mole)を溶媒であるDMPA 444.08gに溶かし、窒素雰囲気の常温で30分間溶解させた。その後、酸二無水物化合物であるBPDA 36.514g(0.124mole)を添加して24時間撹拌及び重合し、ポリアミド酸溶液を製造した。重合温度は30℃に維持し、固形分は、前記ポリアミド酸溶液全重量に対して15重量%となるように維持した。このとき、粘度測定装備(Brookfield DV2T,SC4-27)で測定した結果、粘度は4,700cpであった。
【0043】
【0044】
実施例1
下記表1に示す組成物であって、ジアミン化合物としては第1ジアミン単量体であるTFMB 7.728g(0.024mole)及び第2ジアミン単量体である下記化学式3の化合物33.156g(0.097mole)を、溶媒であるDMPA 440.08gに溶かし、窒素雰囲気の常温で30分間溶解させた。その後、酸二無水物化合物であるBPDA 36.778g(0.125mole)を添加して24時間撹拌及び重合し、ポリアミド酸溶液を製造した。重合温度は30℃に維持し、固形分は、前記ポリアミド酸溶液全重量に対して15重量%となるように維持した。このとき、粘度測定装備(Brookfield DV2T,SC4-27)で測定した結果、粘度は4,800cpであった。
【0045】
【0046】
実施例2
下記表1に示す組成物であって、実施例2は、第1ジアミン単量体であるTFMBを19.532g(0.061mole)及び第2ジアミン単量体である化学式3の化合物20.949g(0.061mole)を溶媒に溶かし、酸二無水物化合物であるBPDAを37.180g(0.126mole)添加して、最終的に製造されたポリアミド酸溶液の粘度が4,500cpとなるように調節した以外は、前記実施例1と同一に実施した。
【0047】
実施例3
下記表1に示す組成物であって、実施例3は、第1ジアミン単量体であるTFMB 11.634g(0.036mole)及び第2ジアミン単量体である化学式3の化合物29.117g(0.085mole)を溶媒に溶かし、酸二無水物化合物であるBPDAを36.911g(0.125mole)添加して、最終的に製造されたポリアミド酸溶液の粘度が4,600cpとなるように調節した以外は、前記実施例1と同一に実施した。
【0048】
実施例4
下記表1に示す組成物であって、実施例4は、第2ジアミン単量体として下記化学式4の化合物33.156g(0.097mole)を溶媒に溶かし、酸二無水物化合物であるBPDAを36.778g(0.125mole)添加して、最終的に製造されたポリアミド酸溶液の粘度が4,700cpとなるように調節した以外は、前記実施例1と同一に実施した。
【0049】
【0050】
実施例5
下記表1に示す組成物であって、実施例5は、第1ジアミン単量体であるTFMB 19.532g(0.061mole)及び第2ジアミン単量体である化学式4の化合物20.949g(0.061mole)を溶媒に溶かし、酸二無水物化合物であるBPDAを37.180g(0.126mole)添加して、最終的に製造されたポリアミド酸溶液の粘度が4,600cpとなるように調節した以外は、前記実施例4と同一に実施した。
【0051】
実施例6
下記表1に示す組成物であって、実施例6は、第1ジアミン単量体であるTFMB 11.634g(0.036mole)及び第2ジアミン単量体である化学式4の化合物29.117g(0.085mole)を溶媒に溶かし、酸二無水物化合物であるBPDAを36.911g(0.125mole)添加して、最終的に製造されたポリアミド酸溶液の粘度が4,600cpとなるように調節した以外は、前記実施例4と同一に実施した。
【0052】
【0053】
実験例
(1)ポリアミド酸溶液の白濁現象評価
実施例1~6、比較例1~3で準備したポリアミド酸溶液をガラス板上に落とし、スピンコーターを用いて一定の厚さ(固形分15%基準、溶液の厚さ100μmのとき、熱処理後15μm)を形成し、温度25℃、湿度90%以上の雰囲気で30分間放置した後、白濁現象を観察した。白濁現象発生レベルを0~5まで数値化して評価した。(0:発生無し、5:深刻な発生)
【0054】
(2)ポリイミドフィルム物性評価
実施例1~6、比較例1~3で準備したポリアミド酸溶液をガラス板上にスピンコーターを用いてコートした後、高温対流オーブンで熱処理した。前記熱処理は窒素雰囲気下で行い、100℃/30min、350℃/30minの温度及び時間条件で最終フィルムを得た。それぞれで製造されたポリイミドフィルムを、下記のような方法で物性を測定し、結果を下記表2に示した。
【0055】
(a)透過度(Transmittance)
UV-Vis NIR分光光度計(Spectrophotometer)(Shimadsu社、UV-1800)を用いて550nmで透過度を測定した。
【0056】
(b)屈折率(Reflective Index)
屈折率測定器(Metricon社、Prism Coupler 2010M)を用いて540nmでTE(Transeverse Elictric)モードで測定した。
【0057】
(c)黄色度(Yellowness Index,YI)
色差計(LabScan XE)を用いて測定した。
【0058】
(d)濁度(haze)
ヘーズメーター(Haze meter)(TOYOSEIKI社、HAZE-GARD)を用いて測定した。
【0059】
(d)熱的特性
フィルムのガラス転移温度(Tg)、熱膨張係数(CTE)はNetzsch社のTMA 402 F3を用いて測定した。テンションモード(Tension mode)の力(Force)は0.05Nに設定し、測定温度は、30℃から5℃/minの速度で350℃まで昇温させ、100~250℃の範囲における平均値として線熱膨張係数を測定した。熱分解温度(Td、1%)はNetzsch社のTG 209 F3を用いて測定した。
【0060】
【0061】
前記表2に示したように、化学式3及び化学式4の構造のジアミン単量体を適切に使用すると、優れた光特性を有すると同時に高い屈折率を有することができる。なお、低吸水性溶媒であるDMPAを使用することによって、コーティング後硬化待機時に白濁現象も発生しなかったことが確認できる。
【0062】
そこで、本発明によって製造されたポリアミド酸溶液は、フィルムの厚さ10~15μm基準で、100~250℃の範囲における熱膨張係数が17ppm以下、540nmの波長における屈折率が1.75以上、550nmの波長における透過率が88%以上、黄色度(Yellow Index,Y.I.)が8以下である透明ポリイミドフィルムとして提供することができる。
【0063】
したがって、本発明によって製造されたポリイミドフィルムは、高い屈折率、優れた光透過度及び耐熱特性を満たし、OLED用ディスプレイ、液晶素子用ディスプレイ、TFT基板、フレキシブル印刷回路基板、フレキシブル(Flexible)OLED面照明基板、電子ペーパー用基板素材のようなフレキシブル(Flexible)ディスプレイ用基板及び保護膜に広く適用可能である。
【0064】
[発明の実施形態]
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連した以下の好ましい実施例から容易に理解されるであろう。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。却って、ここで紹介される実施例は、開示の内容が徹底且つ完全になるように、また通常の技術者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。
【0065】
各図面の説明において、類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。添付の図面において、構造物の寸法は、本発明の明確性のために、実際よりも拡大して示されている。第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素が前記用語によって限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈において特に言及しない限り、複数の表現も含む。
【0066】
本明細書において、"含む"又は"有する"などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はそれらの組合せが存在することを指定するためのものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はそれらの組合せの存在又は付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の"上に"あるとする場合、これは、他の部分の"真上に"ある場合の他、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の"下に"あるとする場合、これは他の部分の"真下に"ある場合の他、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0067】
別に断りのない限り、本明細書で用いられた成分、反応条件、ポリマー組成物及び配合物の量を表現する全ての数字、値及び/又は表現は、それらの数字が、本質的に別の物からこのような値を得る上で発生する測定における様々な不確実性が反映された近似値であることから、全ての場合において"約"という用語によって修飾されるものと理解すべきである。また、本記載で数値範囲が開示される場合、このような範囲は連続的であり、特に言及しない限り、このような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を指す場合、特に言及しない限り、最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
【0068】
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合、この変数は、当該範囲における記載された終了点を含む、記載された範囲内の全ての値を含むものとして理解すべきである。例えば、"5~10"の範囲は、5、6、7、8、9、及び10の値の他、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲も含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5及び6.5~9などのような記載された範囲の範ちゅうに妥当な整数の間の任意の値も含むものとして理解されよう。また、例えば、"10%~30%"の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値と、30%までを含む全ての整数の他、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲も含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範ちゅう内の妥当な整数の間の任意の値も含むものとして理解されよう。
【0069】
本発明は、ポリアミド酸組成物の製造方法、ポリアミド酸組成物、これを用いたポリイミドフィルムの製造方法及びその製造方法によって製造されたポリイミドフィルムに関するものであり、前記ポリアミド酸組成物、これを含むポリイミドフィルム、及びポリアミド酸組成物及びポリイミドフィルムの製造方法に区分して説明する。
【0070】
ポリアミド酸組成物
本発明のポリアミド酸は、ジアミン化合物、酸二無水物化合物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、前記ジアミン化合物は、第1ジアミン単量体;及び第2ジアミン単量体;を含むことを特徴とする。
【0071】
前記ポリアミド酸を構成する各成分について説明する。
【0072】
ジアミン化合物
本発明のジアミン化合物は、第1ジアミン単量体及び第2ジアミン単量体を含むことを特徴とする。
【0073】
前記第1ジアミン単量体は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジアミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。
【0074】
前記フッ素化芳香族ジアミン単量体は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(BAFP)、2,2'-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAMF)、2,2'-ビス(3-アミノフェニル)-ヘキサフルオロプロパン(BAPF)、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド(DABF)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(BTDE)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHH)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを使用することが好ましい。
【0075】
前記非フッ素化芳香族ジアミン単量体は、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、m-メチレンジアニリン(mMDA)、p-シクロヘキサンジアミン(pCHDA)、p-キシレンジアミン(pXDA)、m-キシレンジアミン(mXDA)、m-シクロヘキサンジアミン(mXDA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであることが好ましい。
【0076】
前記第2ジアミン単量体は、下記化学式1及び化学式2の少なくともいずれか一つの単量体を含む。
【0077】
【0078】
【0079】
このとき、前記化学式1で、R1は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、前記化学式2で、R2は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。
【0080】
前記第2ジアミン単量体は、全ジアミン化合物基準で50~80モル%含むことを特徴とする。このとき、50モル%未満である場合、屈折率特性の向上に限界があり、80モル%を超える場合、光学特性の低下による限界がある。
【0081】
酸二無水物化合物
本発明の酸二無水物化合物は、フッ素化芳香族酸二無水物、非フッ素化芳香族酸二無水物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことを特徴とする。
【0082】
前記フッ素化芳香族酸二無水物は、フッ素置換基が導入された芳香族酸二無水物であり、例えば、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride,6FDA))、4,4'-(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビス-(フタル酸無水物)(4,4'-(4,4'-Hexafluoroisopropylidenediphenoxy)bis-(phthalic anhydride,6-FDPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであってよい。
【0083】
前記非フッ素化芳香族酸二無水物は、フッ素置換基が導入されていない芳香族酸二無水物であり、例えば、ピロメリト酸二無水物(pyromellitic dianhydride,PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3'4,4'-biphenyltetracarboxylic acid dianhydride,BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-benzophenonetetracarboxylic dianhydride,BTDA)、4,4'-オキシジフタル酸無水物(4,4'-oxydiphthalic anhydride,ODPA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物(2,2-Bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propane dianhydride,BPADA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(4-トリメリテート無水物)(3,3',4,4'-Diphenyl sufone tetracarboxylic dianhydride,DSDA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであってよい。
【0084】
好ましくは、本発明のジアミン化合物として第2ジアミン単量体を含む場合、前記酸二無水物は、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4'-(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビス-(フタル酸無水物)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。
【0085】
前記ジアミン化合物及び酸二無水物化合物を含む本発明のポリアミド酸の粘度は、23℃で1,000~10,000cpであることを特徴とする。このとき、前記ポリアミド酸の粘度が1,000cp未満である場合、ポリイミドフィルムを製造するとき、適正レベルのフィルム厚が得難く、10,000cpを超える場合、均一なコーティング及び効果的な溶媒除去ができないという問題がある。
【0086】
ポリアミド酸組成物の製造方法
本発明のポリアミド酸組成物の製造方法を説明するとき、上のポリアミド酸組成物の構成において既に説明した組成物の特徴と重複する事項は、一部排除して説明する。
【0087】
本発明のポリイミドフィルムを得るためにポリアミド酸(これは、ポリアミド酸溶液と同じ表現である。)を製造するが、具体的に、ポリアミド酸製造方法は、ジアミン化合物及び溶媒を混合して混合物を製造する段階;及び前記混合物に酸二無水物化合物を投入及び重合してポリアミド酸溶液を製造する段階;を含むことを特徴とする。
【0088】
混合物を製造する段階
ジアミン化合物を、用意した溶媒に投入及び混合して混合物を形成する段階である。
【0089】
前記ジアミン化合物は、フッ素化芳香族ジアミン単量体、非フッ素化芳香族ジアミン単量体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第1ジアミン単量体;及び塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む第2ジアミン単量体;を含む。
【0090】
前記フッ素化芳香族ジアミン単量体は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(BAFP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを使用することが好ましい。
【0091】
前記非フッ素化芳香族ジアミン単量体は、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、m-メチレンジアニリン(mMDA)、p-シクロヘキサンジアミン(pCHDA)、p-キシレンジアミン(pXDA)、m-キシレンジアミン(mXDA)、m-シクロヘキサンジアミン(mXDA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つであることが好ましい。
【0092】
前記第2ジアミン単量体は、具体的に、下記化学式1、化学式2及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つの単量体を含む。
【0093】
【0094】
【0095】
このとき、前記化学式1で、R1は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含み、前記化学式2で、R2は、塩素、ブロム、ヨード、シアン、トリフルオロメチル及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含む。
【0096】
前記混合は、窒素雰囲気下で25~30℃の温度で30~60分間行われる。
【0097】
前記第2ジアミン単量体は、前記ジアミン化合物全体を基準に30~80モル%、好ましくは50~80モル%となるように調節することが好ましい。
【0098】
前記ジアミン化合物を投入する溶媒は、極性溶媒、低沸点溶媒、低吸水性溶媒、拡がり性溶媒及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。より具体的な例を、次に説明する(ただし、次に挙げられる溶媒のうち、2つ以上の特徴を含む溶媒は、重複して記載されてもよい。)。
【0099】
前記極性溶媒は、m-クレゾール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルアセテート(DEA)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。
【0100】
前記低沸点溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、トリクロロメタン(クロロホルム、TCM)及びそれらの組合せからなる群から選ぶことができる。前記低沸点溶媒は、揮発性が高いため、フィルム製造時に溶媒が除去しやすく、これは、製造されたフィルムの物性の向上を可能にする。
【0101】
前記低吸水性溶媒は、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)、N,N-ジメチルラクトアミド(DML)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。
【0102】
前記低吸水性溶媒は、フィルム製造時に水分吸収を最小化し、白濁現象の改善に重要な働きをするが、常温で溶液キャスティング時に白濁現象を改善させるために、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の第1低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)及びN,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)の第2低吸水性溶媒混合物、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)の第3低吸水性溶媒混合物を選択するか、又は3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)及びN,N-ジメチルプロピオンアミド(DPA)をそれぞれ単独で選択することが好ましい。
【0103】
前記低吸水性溶媒として前記ガンマ-ブチロラクトン及びN-メチル-2-ピロリドンの混合物を使用する場合、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及びN-メチル-2-ピロリドン30~70モル%を使用することが好ましい。より好ましくは、ガンマ-ブチロラクトン50~70モル%及びN-メチル-2-ピロリドン30~50モル%を使用する。
【0104】
前記低吸水性溶媒として前記ガンマ-ブチロラクトン及びN,N-ジメチルプロピオンアミドの混合物を使用する場合、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及びN,N-ジメチルプロピオンアミド30~70モル%を使用する。好ましくは、ガンマ-ブチロラクトン50~70モル%及びN,N-ジメチルプロピオンアミド30~50モル%を使用する。
【0105】
前記低吸水性溶媒として前記ガンマ-ブチロラクトン及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドの混合物を使用する場合、ガンマ-ブチロラクトン30~70モル%及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド30~70モル%を使用することが好ましい。より好ましくは、ガンマ-ブチロラクトン50~70モル%及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド30~50モル%を使用する。
【0106】
前記低吸水性溶媒として前記N,N-ジメチルプロピオンアミド単独又は3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドを単独で選択する場合、他の溶媒の添加無しで単独で100モル%使用することが好ましい。
【0107】
前記拡がり性溶媒としては、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、エチレングリコールジメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE)、エチレングリコールジプロピルエーテル(EGDPE)、エチレングリコールジブチルエーテル(EGDBE)及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを使用することができる。
【0108】
前記拡がり性溶媒は、濡れ性(wetting)の改善に重要な働きをするが、溶液キャスティング時に溶液の拡がり性を良くして、溶液の収縮を防止し、均一性に優れたフィルムが得られるようにする。そのために、エチレングリコールモノブチルエーテルを10~40モル%、好ましくは10~30モル%を使用することができる。
【0109】
ポリアミド酸溶液を製造する段階
前記製造された混合物に酸二無水物化合物を投入し、重合反応によってポリアミド酸溶液を製造する段階である。
【0110】
投入される酸二無水物化合物は、フッ素化芳香族酸二無水物、非フッ素化芳香族酸二無水物及びそれらの組合せからなる群から選ばれる一つを含むことができるが、具体的な例は、前述したポリアミド酸組成物で説明した内容と重複するので省略する。
【0111】
本発明において、ジアミン化合物及び酸二無水物化合物はポリアミド酸溶液中で固形分を構成するが、このとき、前記固形分の含有量は、前記ポリアミド酸溶液を基準に10~40重量%が好ましい。より好ましくは、固形分は10~25重量%含む。このとき、前記固形分の含有量が10重量%未満であると、ポリイミドフィルム製造時にフィルムの厚さを増やすのに限界があり、固形分の含有量が40重量%を超えると、ポリアミド酸溶液の粘度を調節するのに限界があるという問題がある。
【0112】
前記固形分を構成するジアミン化合物及び酸二無水物化合物は、ジアミン化合物は95~100モル%で含まれており、酸二無水物化合物は100~105モル重量部(parts by mole weight)で含まれている。
【0113】
前記重合は、10~70℃の温度で6~48時間行われることが好ましい。
【0114】
この段階で、前記酸二無水物の他に、反応性を高めるために触媒をさらに投入することができる。このとき、使用する触媒は、本発明の目的に反せず、効果を顕著に損傷させない範囲で反応性を向上させ得る如何なるものも使用可能である。例えば、トリメチルアミン(Trimethylamine)、キシレン(Xylene)、ピリジン(Pyridine)、キノリン(Quinoline)及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。本発明では、前記触媒に加えて、可塑剤、酸化防止剤、難燃化剤、分散剤、粘度調節剤、レベリング剤及びそれらの組合せからなる群から選ばれるいずれか一つをさらに含むことができるが、これも同様、本発明の目的及び効果を顕著に損傷させない範囲内で必要に応じて選択して使用することができる。
【0115】
ポリイミドフィルムの製造方法
前記製造されたポリアミド酸溶液を基材上にコートして透明コーティング層を形成し、前記透明コーティング層を熱処理して本発明のポリイミドフィルムを製造することができる。
【0116】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法を具体的に説明すると、特定の粘度を有する本発明のポリアミド酸溶液をガラスなどの用意した基材上にコートするが、この時に用いられるコーティングの方法は特に限定されない。その例として、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒キャスティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング及びそれらの組合せからなる群から選ばれてよい。
【0117】
前記熱処理は、一般のオーブンを用いて対流方式で行うことができるが、前記熱処理条件は100~450℃で30分~120分間行われる。好ましくは、前記熱処理は、100℃で30分、及び350℃で30分間の温度及び時間条件下で行うことができる。これは、適切な溶媒の除去と同時に光学フィルムとして使用される本発明のポリイミドフィルムの特性を極大化し得る条件である。
【0118】
ポリイミドフィルム
本発明のポリアミド酸組成物は、新規な特定ジアミン化合物及び酸二無水物と白濁現象が発生しない溶媒(有機溶媒)の構成及びそれらの使用量を最適化し、耐熱特性、光学特性及び屈折率特性に優れ、高透明性を有するポリイミドフィルムを提供することを特徴とする。具体的に、本発明のポリイミドフィルムは、前記ポリイミドフィルムの製造方法によって製造されるが、前記ポリイミドフィルムは、厚さが10~15μmのとき、屈折率が1.7以上、黄色度(Yellow Index,Y.I.)が10以下、100~250℃で熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion,C.T.E.)が15ppm/℃以下、ガラス転移温度が300℃以上、及び550nm波長における透過度が85%以上を示し、高い透明性を有することを特徴とする。このとき、本発明のポリイミドフィルムの透過率は、より好ましくは88%以上を示し、黄色度は8以下の値を有することができる。
【0119】
本発明のポリイミドフィルムは様々な分野に利用可能であるが、特に、高透明性及び高屈折率特性を要求する高効率光源の具現を必要とするフレキシブルデバイス、タブレットPC、ウェアラブル機器及びフレキシブルOLED照明基板素材などに有用に活用できる。
【国際調査報告】