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特表2022-516284インテリジェントエンクロージャシステムおよび計算方法
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  • 特表-インテリジェントエンクロージャシステムおよび計算方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】インテリジェントエンクロージャシステムおよび計算方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
H04Q9/00 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538759
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 US2019068894
(87)【国際公開番号】W WO2020142405
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】16/571,315
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/786,600
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.UNIX
3.Linux
4.MAC OS
(71)【出願人】
【識別番号】521288275
【氏名又は名称】ルー チ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ルー チ
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA06
5K048BA34
5K048BA51
5K048EB10
5K048EB13
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
物理的領域、デジタル領域、および融合システムを含むシステム。物理的空間要素と時間要素とを含む物理的領域。物理ファブリック、パーセプタサブシステム、およびアクチュエータサブシステムを含むフォアプレーンと、インフラストラクチャ(通信、コンピューティングおよびストレージ、電力)、冗長性、ならびにクラウド接続を含むバックプレーンとを含む融合システム。物理的領域にテザーされた人工知能システムであり、パーセプタサブシステムからのデータを受け取るように構成された観察のサブシステムと、受け取ったデータに基づいて、エンクロージャの状態を学習し、モデル化し、決定するように構成された思考のサブシステムと、エンクロージャの所定の目的に従って、エンクロージャの状態に基づいて、アクチュエータサブシステムにより決定を生成するように構成されたアクティビティのサブシステムとを含む、人工知能システムを含むデジタル領域。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェントコンピューティング機能を備えるエンクロージャを提供するためのシステムであって、前記システムが、
前記エンクロージャに関連する物理的空間要素および時間要素を含む物理的領域と、
融合システムであり、
物理ファブリック、パーセプタサブシステム、およびアクチュエータサブシステムを含むフォアプレーンと、
通信インフラストラクチャ、コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ、電力インフラストラクチャ、冗長性、ならびにクラウド接続を含むバックプレーンと
を含む、融合システムと、
前記融合システムによって前記物理的領域に結合された人工知能(「AI」)システムを含むデジタル領域であって、前記AIシステムが、
前記パーセプタサブシステムからのデータを受け取るように構成された観察のサブシステムであり、前記データが、前記物理的空間要素および前記時間要素に対応する、観察のサブシステムと、
前記受け取ったデータに基づいて、前記エンクロージャの状態を学習し、モデル化し、決定するように構成された思考のサブシステムと、
前記エンクロージャの所定の目的に従って、前記エンクロージャの前記状態に基づいて、前記アクチュエータサブシステムにより決定を生成するように構成されたアクティビティのサブシステムと
を含む、デジタル領域と
を含む、システム。
【請求項2】
前記パーセプタサブシステムが、1つまたは複数のセンサ、オンセンサコンピューティングシリコン、および組み込みソフトウェアを含む1つまたは複数のデバイスを含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項3】
前記パーセプタサブシステムが、光学、聴覚、動き、熱、湿度、および匂いセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項4】
前記パーセプタサブシステムが、電話、カメラ、ロボット、ドローン、および触覚デバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項5】
前記パーセプタサブシステムが、前記エンクロージャ内の生物学的アクタの健康状態を評価する医療機器を含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項6】
前記思考のサブシステムが、ドメインテーマに応じて、前記受け取ったデータをモデル化するようにさらに構成される、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項7】
前記ドメインテーマが、小売りフロア、学校、病院、法律事務所、取引所、およびホテルのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項8】
定義された社会的経済的目的に役立つ囲まれた物理的空間をさらに含む、請求項6に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項9】
前記生成された決定は、前記ドメインテーマに応じて、機能を達成するためのタスクを含む、請求項6に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項10】
前記思考のサブシステムが、前記物理的領域のモデルを構築するようにさらに構成され、前記モデルが、前記物理的領域のセマンティク空間および継続しているアクションの記述を含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項11】
前記AIシステムが、前記ドメインテーマに基づいて所与の目標または目的を満たすために関係および応答を学習することによって、前記モデルを訓練するように構成される、請求項10に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項12】
前記AIシステムが、設定、選択、ポリシー、規則、および法律のうちの少なくとも1つを含む構成に基づいて、前記学習した関係を較正するようにさらに構成される、請求項11に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項13】
前記思考のサブシステムが、前記モデルを改善するために、ドメイン固有の深層学習アルゴリズムおよび全生涯学習を使用するようにさらに構成される、請求項10に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項14】
前記エンクロージャの前記状態が、前記AIシステムによってモニタされる、前記物理的空間要素と前記時間要素の組合せを含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項15】
前記バックプレーンが、空間認識し、前記バックプレーンの前記通信インフラストラクチャ、前記コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ、前記電力インフラストラクチャ、前記冗長性、ならびに前記クラウド接続が、改ざんを禁止する空間署名でタグ付けされる、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項16】
前記バックプレーンは、情報が物理的エンクロージャ内に含まれることを確認する計算操作を実行する、請求項15に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項17】
前記物理的空間要素が、分離構造、前記エンクロージャの内部および外部、オブジェクト、アクタ、および環境を含む前記エンクロージャの形状に関連する機構を含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項18】
前記時間要素が、時間、イベント、および環境変化に関係する要因を含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項19】
前記アクティビティのサブシステムが、前記生成された決定に基づいて前記物理的領域の変化を引き起こすために前記アクチュエータサブシステムを使用するようにさらに構成される、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【請求項20】
前記アクチュエータサブシステムが、機器、家庭電化製品、機械的部分、および周囲のオブジェクトのためのデジタル制御部を含む、請求項1に記載のインテリジェントエンクロージャシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
本特許文書の本開示の一部は、著作権保護の対象である資料を含む。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に現れるとおりの特許文書または特許開示の何人による複製に対しても異議を唱えないが、それ以外の場合は何であれすべての著作権を留保する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月31日に出願された「INTELLIGENT ENCLOSURE SYSTEMS AND COMPUTING METHODS」と題する米国特許仮出願第62/786,600号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は、一般に、人工知能と、それによって可能になる社会インフラストラクチャとに関し、特に、人工知能によって駆動される環境を作り出すためのシステムプラットホームアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0004】
人工知能(「AI」)は、これまでに発明された最も一般的で最も有力な汎用技術のうちの1つの一例である。過去のコンピューティングシステムは、主として、人間-デジタルコンピューティング対話のためのものであったが、AIは、知識を自動的におよび効率的に取得し、その知識を適用して目標を達成する能力を有する。深層学習などのAI技術は、データから知識を効率的におよび迅速に抽出することを可能にする。AIシステムは、物理的および生物学的世界と対話することによって日常の人間生活に不可欠なものになる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AIを活用したインフラストラクチャの開発および配備により将来の仕事および生活環境にAI技術を適用する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物理的エンクロージャまたは囲まれた空間をインテリジェントコンピューティングシステムに変換するためのシステム、装置、および方法を提供する。1つの実施形態によれば、システムは、物理的領域、デジタル領域、および融合システムを含むことができる。物理的領域は、物理的空間要素と時間要素とを含むことができる。デジタル領域は、融合システムによって物理的領域に結合された人工知能(「AI」)システムを含むことができる。AIシステムは、パーセプタサブシステムからのデータを受け取るように構成された観察のサブシステムと、受け取ったデータを学習しモデル化するように構成された思考のサブシステムと、思考のサブシステムの学習およびモデル化に基づいて、アクチュエータにより決定を生成するように構成されたアクティビティのサブシステムとを含む。融合システムは、物理ファブリック、パーセプタサブシステム、アクチュエータサブシステム、および管理コンソールを含むフォアプレーンと、通信インフラストラクチャ、コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ、電力インフラストラクチャ、冗長性、ならびにクラウド接続を含むバックプレーンとを含むことができる。
【0007】
別の実施形態によれば、このシステムは、エンクロージャに関連する物理的空間要素および時間要素を含む物理的領域と、物理ファブリック、パーセプタサブシステム、およびアクチュエータサブシステムを含むフォアプレーンと、通信インフラストラクチャ、コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ、電力インフラストラクチャ、冗長性、ならびにクラウド接続を含むバックプレーンとを含む融合システムと、融合システムによって物理的領域に結合された人工知能(「AI」)システムを含むデジタル領域とを含むことができる。AIシステムは、パーセプタサブシステムからのデータを受け取るように構成された観察のサブシステムであり、データが、物理的空間要素および時間要素に対応する、観察のサブシステムと、受け取ったデータに基づいて、エンクロージャの状態を学習し、モデル化し、決定するように構成された思考のサブシステムと、エンクロージャの所定の目的に従って、エンクロージャの状態に基づいて、アクチュエータサブシステムにより決定を生成するように構成されたアクティビティのサブシステムとを含むことができる。
【0008】
パーセプタサブシステムは、1つまたは複数のセンサ、オンセンサコンピューティングシリコン、および組み込みソフトウェアを含む1つまたは複数のデバイスを含むことができる。1つの実施形態では、パーセプタサブシステムは、光学、聴覚、動き、熱、湿度、および匂いセンサのうちの少なくとも1つを含むことができる。別の実施形態では、パーセプタサブシステムは、電話、カメラ、ロボット、ドローン、および触覚デバイスのうちの少なくとも1つを含むことができる。さらなる別の実施形態では、パーセプタサブシステムは、エンクロージャ内の生物学的アクタの健康状態を評価する医療機器を含むことができる。
【0009】
エンクロージャは、定義された社会的経済的目的に役立つ囲まれた物理的空間を含むことができる。思考のサブシステムは、ドメインテーマに応じて、受け取ったデータをモデル化するようにさらに構成することができる。所与のエンクロージャは、ドメインテーマに基づいて、関連する社会的な意味/社会に関する意味、および/または自然の意味、および関係する主題の対象を有することができる。例えば、ドメインテーマは、小売りフロア、学校、病院、法律事務所、取引所、およびホテルのうちの少なくとも1つを含むことができる。1つの実施形態では、生成された決定は、ドメインテーマに応じて、機能を達成するためのタスクを含む。思考のサブシステムは、物理的領域のモデルを構築するようにさらに構成することができ、モデルは、物理的領域のセマンティク空間および継続しているアクションの記述を含む。AIシステムは、ドメインテーマに基づいて所与の目標または目的を満たすために関係および応答を学習することによって、モデルを訓練するように構成することができる。AIシステムは、設定、選択、ポリシー、規則、および法律のうちの少なくとも1つを含む構成に基づいて、学習した関係を較正するようにさらに構成することができる。思考のサブシステムは、モデルを改善するために、ドメイン固有の深層学習アルゴリズムおよび全生涯学習を使用するようにさらに構成することができる。
【0010】
エンクロージャの状態は、AIシステムによってモニタされる、物理的空間要素と時間要素の組合せを含むことができる。バックプレーンは、空間認識することができ、バックプレーンの通信インフラストラクチャ、コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ、電力インフラストラクチャ、冗長性、ならびにクラウド接続は、改ざんを禁止する空間署名でタグ付けされ得る。バックプレーンは、情報が物理的エンクロージャ内に含まれることを確認する計算操作を実行することができる。物理的空間要素は、分離構造、エンクロージャの内部および外部、オブジェクト、アクタ、および環境を含むエンクロージャの形状に関連する機構を含むことができる。時間要素は、時間、イベント、および環境変化に関係する要因を含むことができる。アクティビティのサブシステムは、生成された決定に基づいて、物理的領域の変化を引き起こすためにアクチュエータサブシステムを使用するようにさらに構成することができる。アクチュエータサブシステムは、機器、家庭電化製品、機械的部分、および周囲のオブジェクトのためのデジタル制御部を含むことができる。
【0011】
本発明は、例示的であり、限定的でないことを意図されている添付の図面の図に示され、図では、同様の参照が、同様のまたは対応する部分を指すことを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるインテリジェントエンクロージャシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるコンピューティングおよびストレージインフラストラクチャを示す図である。
図3】本発明の一実施形態による人工知能システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本明細書の一部を形成し、例として、本発明を実践することができる例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、主題が以下でより完全に説明される。しかしながら、主題は、様々な異なる形態で具現化されてもよく、それゆえに、カバーまたは特許請求される主題は、本明細書に記載されるいかなる例示の実施形態にも限定されないと解釈されることを意図されており、例示の実施形態は、単に例証するために提供される。他の実施形態が利用されてもよく、構造変更が本発明の範囲から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。同様に、特許請求またはカバーされる主題に対してかなり広い範囲が意図される。本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、用語は、明確に述べられた意味を越えて、文脈において示唆または暗示される微妙な意味を有することがある。同様に、本明細書で使用される「1つの実施形態において」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らず、本明細書で使用される「別の実施形態における」という句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らない。例えば、特許請求された主題は、全体的にまたは部分的に例示的な実施形態の組合せを含むことが意図される。とりわけ、例えば、主題は、方法、デバイス、構成要素、またはシステムとして具現化することができる。したがって、実施形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組合せ(ソフトウェア自体以外の)の形態をとることができる。それゆえに、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。
【0014】
一般に、本明細書で開示される本システムおよび方法は、デジタルコンピューティングおよび人工知能(「AI」)によって強化されたパーセプタ、アクチュエータ、および他のデバイスを含む物理的領域が、エンクロージャ空間内の物理的な世界の空間および時間と一緒に融合されるかまたは不可分に統合され得る環境を提供する。環境は、そのようなデバイスを同時に制御するために複数のデバイスにわたる規則およびアクションで構成し、および/またはそのようなデバイスを、例えば、所望の空間設定、経験、または目標に従って自動的に動作させることができる。環境は、セパレータ(例えば、壁、床、天井、オープンスペースの周囲)、機能構成要素(例えば、ドア、窓など)、内部および外部(形状、色、材料:木材、レンガなど)、オブジェクト((家具、電気製品)内に含まれ、外部に隣接する物理エンティティ)、アクタ(例えば、生物学的(人間、動物)または機械的(ロボット、ドローン))、および環境(例えば、温度、空気、照明、音響、ユーティリティ(電力、水)など)を介して、囲まれた空間の形状を構成する空間フォームファクタを適応および同化させることができる。現在、過去、イベントの履歴、アクタのアクティビティシーケンス、および環境変化を含む時間次元要因が、さらに、環境によって同化され得る。
【0015】
空間的および時間的要因は、例えば、光センサ(例えば、カメラ、深度カメラ、飛行時間(「TOF」)カメラなど)と、深層学習に基づくコンピュータビジョンアルゴリズムとを使用して、認識および追跡することができる。アクタの動きなどの他の態様は、動きセンサを介して認識および追跡することができる。温度などの物理的環境要因は、熱センサを介して追跡することができる。これらの要因の保管および捕捉は、物理的要因のセマンティクスならびにエンクロージャに関するドメイン固有モデルを捕捉することができる包括的なモデル訓練と長期および生涯学習システムとを使用して実行することができる、例えば、白いガウンを着ている人々のセマンティクスは、病院であるエンクロージャでは医師である可能性がある。
【0016】
本開示のシステムは、観察のサブシステム、思考のサブシステム、および思考のサブシステムを含むデジタル領域をさらに含むことができる。観察のサブシステムは、システムに関連する環境を観察するためにパーセプタを使用するように構成することができる。パーセプタは、例えば環境からのアナログ信号を処理し、それらをデジタル表現に組織化するために、対応するセンサおよびオンセンサコンピューティングモジュールを含むことができる。パーセプタの例は、オンセンサシリコンおよびネイティブニューラルネットワークを有するTOFカメラアレイを含むことができ、シリコンを有するマイクロホンアレイは、DSPおよびニューラルネットワークで構成される。
【0017】
思考のサブシステムは、観察のサブシステムからのデータを一般化し記憶するように構成することができる。思考のサブシステムは、環境のモデルを構築/維持する1組の「学習者」または「モデラー」コンピューティング要素を含むことができる。モデルは、システムに関連する物理的エンクロージャのためのセマンティク空間および継続しているアクション(例えば、エンクロージャの状態)を記述することができる。思考のサブシステムは、エンクロージャが意図される環境、例えば、教室、病院の手術室などに関するモデルを構築する/洗練する/改善するために、様々なドメイン固有の深層学習アルゴリズムおよび全生涯学習レジームを適用しながら、基本的なコンピューティング基体として深層学習を使用するように構成することができる。
【0018】
アクティビティのサブシステムは、物理的または生物学的世界において特定の機能を実行するために、環境に物理的に接続されたアクチュエータを使用するように構成することができる。アクティビティのサブシステムは、全AIシステムのプロビジョニングされた「目的」に基づいて制御を適用することができる。アクティビティのサブシステムは、「目的」を達成するためにアクチュエータによって環境の変化を引き起こすことができる。アクチュエータは、エンクロージャ内の照明、暖房/冷房、日除け、および様々な機器のためのデジタル制御部を含むことができる。
【0019】
本開示のシステムは、すべての既存の産業(例えば、製造業、金融サービス、健康管理、教育、小売りなど)およびすべての職業(例えば、弁護士、医師、アナリスト、顧客サービス専門家、教師など)を一変させ向上させることができる空間経験を提供するために使用することができる。1つの実施形態によれば、環境は、学校、病院、店舗、住宅、または職場などの構造的設定のためのインテリジェントエンクロージャアーキテクチャを含む。環境は、オブジェクト、イベント、および環境に加えて、環境とインタフェースするアクタ(例えば、教師、医師、顧客、主婦、労働者)に対して、構造的設定に固有の機能を実行し、経験を提供するように構成することができる。機能および目的は、構造設定のニーズおよび目的に従ってモデル化することができる。エンクロージャごとに、完全なセマンティク空間を計算および維持することができる。セマンティク空間は、所与のエンクロージャ、例えば教室のために、必要な情報およびセマンティック知識を捕捉および記述することができる。セマンティク空間は、ドメイン固有とすることができ、エンクロージャが設定されるときに提供することができる。例えば、エンクロージャが教室である場合、教室のセマンティックオントロジーを提供することができる。次いで、機械学習(例えば、深層学習)を適用して、そのようなオントロジー的なセマンティクスに準拠するモデルを構築し、その結果、モデルの意味を、例えば、教師が12人の子供のグループに物語を話している、などと解釈し、エンクロージャに固有の必要な目的を達成するために使用することができる。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるインテリジェントエンクロージャシステムを示す。図1に提示されたインテリジェントエンクロージャシステムは、物理的領域、デジタル領域、および融合システムを含む。物理的領域は、インテリジェントエンクロージャの物理的オブジェクトに関係する空間要素と、時間、イベント、および環境変化に関係する時間要素とを含むことができる。空間要素の例は、セパレータ(例えば、壁、床、天井、およびオープンスペースの周囲、ならびにドア、窓などのような機能構成要素)による囲まれた空間の形状に関連する機構、囲まれた空間の内部および外部(例えば、形状、色、材料:木材/レンガ/など)、オブジェクト(例えば、(家具、電気製品)内に含まれ、外部と隣接する物理エンティティ)、アクタ(生物学的(人間、動物)または機械的(ロボット、ドローン))、および環境(温度、空気、照明、音響、ユーティリティ(電力、水)など)を含むことができる。デジタル領域は、融合システムによって物理的領域に融合され得る人工知能(「AI」)システムを含むことができる。融合システムは、フォアプレーン102、バックプレーン104、およびエンクロージャ周囲106を含むことができる。フォアプレーン102は、物理ファブリック、パーセプタサブシステム、アクチュエータサブシステム、および管理コンソールを含むことができる。物理ファブリックは、物理的周囲(壁/床/天井)内に装着および統合されたワイヤおよび接続されたボード/モジュールなどの構成要素を含むことができる。
【0021】
パーセプタサブシステムは、環境の物理的領域をデジタル領域に投影することを可能にする。パーセプタサブシステムは、物理ファブリック要素に取り付けられたパーセプタソケットを含むことができる。パーセプタソケットは、エンクロージャ周囲106などの環境のエンクロージャの外部または内部のいずれかにあり得る。パーセプタソケットは、光学、聴覚、動き、熱、湿度、匂いなどのような様々なタイプの(スマート)センサを含むことができる。パーセプタサブシステムは、計算およびスマート機能(例えば、エネルギー効率)のためのオンセンサシリコンと、バックプレーン104への通信ファブリック(有線および無線)(例えば、パーセプタデータおよびパーセプタ制御の送信のための)とをさらに含むことができる。
【0022】
パーセプタサブシステムは、他のタイプのパーセプタ、例えば、非固定(電話、カメラ)、無線または有線(ソケットを有する)接続、無線接続によるモバイルパーセプタ(ロボット、ドローン)、および非リモート(触覚)センサなどを含むことができる。特別のパーセプタが、さらに、アクタ(人間、動物など)を感知するために使用されてもよい。例えば、特別のパーセプタは、人間および動物などの生物学的アクタの健康状態を評価する方法として、体温および血圧などを測定することができる医療機器を含むことができる。パーセプタを局在化させ(エンクロージャに関連して)、較正する(パーセプタ固有の位置および角度など)ことができ、それにより、空間認識と、エンクロージャとの統合とが可能になる一例として、高齢者の住宅のためのパーセプタサブシステムは、壁に装着されるかまたは床に配置される光学および動きセンサを含むことができる。これらのセンサは、十分なデータを検出することができ、全インテリジェントエンクロージャは、高齢者が暗闇の中でベッド上に起き上がろうとしているがどうかを判断し、そこで、インテリジェントエンクロージャは自動的に照明をオンにすることができ、または全インテリジェントエンクロージャは、高齢者が地面に倒れており、立ち上がることができないかどうかを判断し、そこで、インテリジェントエンクロージャはさらなる支援のために他人に警報を送ることができる。別の例として、光学および動きセンサは、壁、屋根に装着する、棚に配置する、小売りフロアに配置することができ、それにより、買物客の行動データ、例えば、買物客がどのようにフロアを歩くか、買物客がどのように様々な通路の様々な製品や棚の様々な製品配置の様々な製品を見るかに関するデータを捕捉することができる。これにより、インテリジェントエンクロージャは、よりよい顧客経験を作り出し売り上げを増加させるためにフロアレイアウトおよび製品配置を体系的に最適化する方法に関して、店舗の所有者が実行可能な洞察を導き出すための非常に有用な分析を提供することが可能になり得る。
【0023】
アクチュエータサブシステムは、デジタル領域から物理的領域までを意図的な目標とした制御およびアクションを可能にする。アクチュエータサブシステムは、物理的周囲(例えば、フロア、壁、天井)内に装着および統合されたワイヤおよびボードを含むことができる。アクチュエータサブシステムは、必要に応じて、内部および外部に装着された(例えば、構造物、例えば壁の中に埋め込まれた)アクチュエータソケットをさらに含むことができる。各アクチュエータソケットは、物理的制御部(照明スイッチ、日除け、ドアロック、エアフィルタ、空調装置など)、ならびに家庭電化製品などの密閉されたオブジェクトのためのコントローラ(例えば、テレビリモートコントロール)とインタフェースすることができる「コントロールバイワイヤ」(デジタルから物理へ)コネクタにプラグ接続することができる。アクチュエータサブシステムは、無線で接続される無線接続(例えば、ユニバーサルリモート、スマートフォン)による非固定アクチュエータソケットを含むことができる。アクチュエータサブシステムは、無線制御によるモバイルアクチュエータ(例えば、ロボット)をさらに含むことができる。機械および電気制御によるアクチュエータ伸張は、オブジェクト(家具/家庭電化製品)または物理的周囲(壁、床、天井、機能モジュール)の制御のために使用することができる。アクションおよび結果をモデル化しデジタル領域内で使用可能にしやすくするために(例えば、スマートフォンまたはニューラルリンクを介して)、アクチュエータサブシステムとの人間の対話のためのインタフェースを設けることができる。アクチュエータサブシステムを使用して、物理デバイスおよび人間入力によって動物を管理することもできる。一例として、高齢者住宅の先の場合には、照明を自動的にオンまたはオフすることができるように、アクチュエータは、部屋の点灯のために物理的スイッチの近くに配置することができる。アクチュエータは、高齢者の健康状態に適した部屋の温度および空気の品質を維持するために、空調装置、換気装置などの物理的制御部の近くに配置することもできる。
【0024】
管理コンソールは、インテリジェントエンクロージャシステムの構成を制御し、情報、洞察などのための出口(例えば、ディスプレイ)を提供するためのモジュールを含むことができる。
【0025】
バックプレーン104は、インテリジェントエンクロージャシステムのデジタル領域を可能にする物理システムを含むオンエンクロージャコンピューティングファブリックを含む。物理システムは、通信インフラストラクチャ(有線(設置または埋め込まれた配線による)および無線(例えば、WiFi+オンエンクロージャ基地局)、空間認識データパケット(狭帯域の「モノのインターネット」のような))、コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャ(例えば、コンピュータまたはサーバ)、電力インフラストラクチャ(例えば、エンクロージャの外からの給電、オンエンクロージャ再生可能電源または貯蔵電源)、オンエンクロージャデジタル耐久性/冗長性(ストレージ冗長性、電源冗長性)、ならびにパブリックおよび/またはプライベート(ハイブリッド)クラウドへの接続(より多くのコンピューティングリソースにアクセスするために、および/またはチェックポインティングおよびバックアップのために使用することができる)を含むことができる。通信インフラストラクチャは、任意の適切なタイプのネットワークを含み、それにわたってデータ通信の搬送を可能にすることができる。通信インフラストラクチャは、例えば、無線ネットワークを介して結合される無線デバイス間を含む、パーセプタ、サーバ、およびクライアントデバイス、または他のタイプのデバイス間などで通信を交換できるようにデバイスを結合させることができる。1つの実施形態では、通信インフラストラクチャは、通信ネットワーク、例えば、任意のローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)接続、セルラネットワーク、有線タイプ接続、無線タイプ接続、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0026】
本明細書に記載されるようなコンピューティングおよびストレージインフラストラクチャは、少なくとも1つまたは複数の中央処理装置およびメモリを含む少なくとも専用デジタルコンピューティングデバイスから成ることができる。コンピューティングおよびストレージインフラストラクチャは、大容量ストレージデバイス、有線または無線ネットワークインタフェース、入力/出力インタフェース、およびWindowsサーバ、Mac OS X、Unix、Linux、FreeBSDなどのようなオペレーティングシステムのうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。1つの実施形態によれば、データストレージインフラストラクチャは、偽造不可、出所追跡などのようなブロックチェーンのような機能で実現することができる。バックプレーン104の設計はまた、外部電源およびクラウドコネクタが単に補助構成要素としての役割を果たす自己完結型とすることができる。
【0027】
図2は、1つの実施形態による例示的なコンピューティングおよびストレージインフラストラクチャを提示する。CPU(中央処理装置)202、通信コントローラ204、メモリ206、大容量ストレージデバイス208、パーセプタ214、およびアクチュエータ216を含むシステム200が、図2に示される。パーセプタ214は、フォアプレーン102のパーセプタサブシステムからのセンサおよびオンセンサシリコーンを含むことができる。アクチュエータ216は、フォアプレーン102のアクチュエータサブシステムからのハードウェアを含むことができる。大容量ストレージデバイス208は、人工知能210と、モデル218および構成220を含むデータストア212とを含む。
【0028】
モデル218は、特定の目標または目的を満たすための関係および応答を学習するために、データセットを人工知能210に提供することによって訓練され得る。学習された関係は、構成220によりさらに較正され得る。構成は、設定、選択、ポリシー、規則、法律などを含むことができる。追加として、人工知能210は、物理的領域のリソース(例えば、通信、電力、コンピューティング、およびストレージ)を管理するために自己完結の「スマート」論理を含むことができる。例えば、カメラなどのパーセプタ214は、エンクロージャの空間区域に備えられ得る。エンクロージャのドメインは、住宅として構成することができる。モデル218は、住宅に関連する普通のオブジェクト(例えば、鍵、電話、バッグ、衣服、厨芥溜めなど)を認識および追跡することができる。ユーザ/顧客は、「メモリサービス」を呼び出し、「私の鍵はどこですか?」、「私はいつ厨芥溜めを持ち出しましたか?」などを尋ねることができる。
【0029】
バックプレーン104の1つまたは複数の要素、例えば、通信、計算、およびストレージなどは、空間的に認識することができる。例えば、バックプレーンによって実行される計算は、完全に空間認識することができ、設置および構成時の間に、コンピューティングシステムは、構成されるエンクロージャの絶対空間座標(例えば、全地球測位システム(GPS)を採用することにより、緯度、経度、および高度座標)がプロビジョニングされる。各パーセプタおよびアクチュエータは、対応するエンクロージャと関連してその相対的空間位置を追跡するように構成することができる。バックプレーン104は、あらゆる物理的要因、オブジェクト、およびアクタの表現が、それらの空間属性を正確に計算および反映させることができるようにエンクロージャのあらゆる状態の表現を作り出すことができる。
【0030】
1つの実施形態によれば、通信、ストレージ、および計算は、さらに空間テザーされ得る(固有の空間署名を用いて)。空間テザーリングは、動作するようにエンクロージャを構成するために使用することができるより強力な動作モードを含むことができる。空間的にテザーされるには、すべての計算がエンクロージャ内の局所コンピューティングリソースによって処理されなければならないことが必要とされる場合がある。空間的テザーされた動作モードの利点は、厳密なデータ閉込めおよびプライバシーを保証し、その結果、情報が、エンクロージャの外部のいかなる潜在的なデジタル媒体/デバイスにも意図的に漏れないことである。
【0031】
エンクロージャ内の各デバイスには、空間署名を与えることができる。そのような各デバイスは、空間位置を「知る」ために設置することができ、デバイスは、エンクロージャ内にあるデバイスから生じた/デバイスに向かう計算/通信ペイロードと対話し、それに操作を実行することができる。エンクロージャ内の計算デバイス/ノードは、固有の空間認識を含むように構成することができる。パーセプタ、アクチュエータ、バックプレーン構成要素(例えば、ネットワーク/Wi-Fiルータ、コンピューティングノード、ストレージノードなど)は、物理的に組み込まれた位置ビーコンを含むことができる。1つまたは複数のデバイスは、絶対空間座標(例えば、緯度、経度、高度)をもつ空間ビーコンマスターとして構成することができる。他のすべてのデバイスは、マスターを基準にして相対空間位置情報を有することができる。
【0032】
すべてのデバイスおよび計算/通信ペイロードの空間署名を考慮に入れて、そのような空間署名を改ざんできないことを保証するために、暗号手段を実装することができる。すべてのソフトウェアおよび計算は、空間認識するようにプログラムすることができる。各コンピューティング/ストレージ/通信オペレータは、物理的エンクロージャの空間的境界内にあることが分かる空間属性でタグ付けされたオペランド(ペイロード)のみを得ることができる。このようにして、情報がエンクロージャの空間的限界の外に突破しないことを計算上保証することができる。
【0033】
「インテリジェントエンクロージャ」は単独でおよびそれ自体、コンピュータ、または完全なコンピューティングシステムとすることができる。エンクロージャのいかなる状態(過去の状態または将来の望ましい状態)、エンクロージャ内でおよびエンクロージャの近くで生じた/生じ得るいかなるイベント、およびイベントのシーケンスは、「計算可能」である。いかなる状態も、パーセプタからデータを獲得し、モデルおよびセマンティク空間を更新し、制御のステップを計算し、制御信号をアクチュエータに送ることによって、計算のシーケンスとして表すことができる。情報を取得すること、情報を処理するために数学的関数を適用すること、およびエンクロージャに影響を与えるために情報を使用することは、すべて計算によって表すことができる。プログラミング言語およびツールを用いて、いかなるインテリジェントエンクロージャもプログラム可能にして、意図した目標が可能になり達成される。本質的に、囲まれた空間および時間は、インテリジェントエンクロージャへの拡大により、計算可能になり、それ自体コンピュータになる。
【0034】
別の実施形態によれば、開示されるシステムは、一時的なコンピューティングシステムとして構成されてもよい。処理されたデジタル信号は、眼球/網膜が入力を保管しない生物システムと同様に、廃棄され得る。別の手法は、開示されるシステムに揮発性メモリを実装して、センサに捕捉された生の情報を永続的には捕捉しないことを保証する。さらなる別の手法は、定期的な削除を実行する検証可能なソフトウェアによって永続的なメモリを可能にすることができる。追加の手法は、生のセンサデータを「記憶している」または「呼び出す」ことが、費用の増加/実行不可能となるように、暗号機構の適用を含むことができる。
【0035】
1つの実施形態によれば、テザーされたコンピューティングシステムの開発および配置は、クラウドコンピューティングを使用して実施することができる。顧客に仮想エンクロージャサービスを提供するために、クラウドサービスを提供することができる。物理的エンクロージャのデジタルツインが、クラウド上に作り出され操作され得る。エンクロージャのデジタル記述および仕様を提供することができ、エンクロージャのデバイスの各々(パーセプタ、アクチュエータ、計算/ストレージ/ネットワークノード)に仮想マシンをプロビジョニングすることができる。物理的バックプレーンは、最初は、仮想とすることができる(クラウド仮想マシンを介して)。エンクロージャが、関連するパーセプタ/アクチュエータにデータを送信するために、クラウドコネクタが作り出されてもよい。クラウド内のデータをすべて暗号化するために、暗号機構を適用することができ、データのアクセスには、エンクロージャの所有者に固有のデジタル署名を必要とすることができる。
【0036】
追加として、人々が物理的エンクロージャのデジタルツインの権利を購入および所有できるようにするために、マーケットプレイスを提供することができる。各デジタルツインは、対応する物理的エンクロージャにマップされる。人々は、デジタルツインの所有権を販売および/または売買することができ、ならびにデジタルツインの権利をリースすることができる。マーケットプレイスのオペレータは、対応する権利所有者のためにエンクロージャサービスを配置および運営することができる。
【0037】
本開示の実施形態は、テザーされたコンピューティングシステムに物理的エンクロージャをプロビジョニングすることに限定されない。同様の方法で、自律性アクタ(例えば、自動車)が、さらに、開示されるシステムに従って自己完結型コンピューティングシステムにプロビジョニングされてもよい。追加として、動物および植物などの生物学的エンティティは、生物学的エンティティの情報を捕捉し、処理し、実行して、所望の目標を達成するかまたは所定の状態を維持することができるテザーされたコンピューティングシステムとして構成することができる。さらに、コンピューティングシステムは、オープン環境(例えば、スマートシティ、スマートファーム)またはオープンエリア(例えば、都市、公園、コラージュキャンパス、森林、地方、国家)で実現され得る。すべての含まれるエンティティ(例えば、川、ハイウェイ)は、観察可能であり、計算可能である(例えば、学習する、モデル化する、決定する)。エンティティの一部は、能動的であることがあり(パーセプタおよびアクチュエータにより)、一部は、受動的であることがある(観察可能であるが、相互作用可能でない)。さらなる範囲では、惑星コンピューティングシステム(例えば、スペースエンデバーおよび惑星間輸送、宇宙ステーション、センサ(メガ望遠鏡など))が、さらに、開示されるシステムの特徴に従って確立され得る。
【0038】
デジタル領域は、物理的領域の空間要素および時間要素とインタフェースするデータおよび計算構造を含むことができる。図3は、物理的領域からの要素に結合されるAIシステム302を含む例示的なデジタル領域を示す。観察のサブシステム304、思考のサブシステム306、およびアクティビティのサブシステム308を含むAIシステム302。AIシステム302は、所与のアプリケーションモデルに基づいて、所望の機能および目的を実行するために互いに相互運用するように構成されたソフトウェアおよびアルゴリズムを含むことができる。サブシステムは、管理コンソールによりポリシーベース管理下で動作することができる。ポリシー有効化およびインテリジェンス動作の変更を可能にするために手動介入により、ポリシーを更新または進展させることができる。追加として、サブシステムの動作は、局限化されるかまたは広く一般に適用され得る法律、倫理、規則、社会規範、および例外から成るように構成することができる。
【0039】
AIシステムは、複数のデバイスを制御するための規則およびアクションで構成するかまたはそれを学習することができ、および/または例えば所望の空間設定、経験、または目標に従ってデバイスを自動的に動作させることができる。AIシステムは、セパレータ(例えば、壁、床、天井、オープンスペースの周囲)、機能構成要素(例えば、ドア、窓など)による囲まれた空間の形状、内部および外部(形状、色、材料:木材、レンガなど)、オブジェクト((家具、電気製品)内に含まれ、外部に隣接する物理エンティティ)、アクタ(例えば、生物学的(人間、動物)または機械的(ロボット、ドローン))、および環境(例えば、温度、空気、照明、音響、ユーティリティ(電力、水)など)を構成する空間フォームファクタに適応し同化するように訓練され得る。現在、過去、イベントの履歴、アクタのアクティビティシーケンス、および環境変化を含む時間次元要因が、さらに、AIシステムによって学習されモデル化され得る。ひとまとめにして、空間要素および時間要素は、AIシステムによってモニタされ得るエンクロージャの状態を含むことができる。1つの例示的な実施形態によれば、1組の部屋を有する職場のためのAIシステムは、従業員のニーズを満たしながらエネルギー効率のよい方法で室温を感知および制御するように構成することができる。この例示的なシナリオでは、システムは、各人のパターンを観察および学習することができる。システムは、様々な部屋の温度を変更および制御し、人間のパターンを捕捉するモデルを作り上げることができる。その知識を用いて、システムは、アクチュエータを介して、最もエネルギー効率のよい方法で部屋の温度を制御することができる。タスクを自動化することから人間の経験を豊かにすることまで様々な目標を達成するために、同じ手法を利用することができる。
【0040】
観察のサブシステム304は、構造、アクタ、アクション、シーン、環境などを含む、パーセプタサブシステム(例えば、パーセプタ214)によって感知され得るデータをモニタまたは感知するための論理を含むことができる。各パーセプタ(またはセンサ)は、はっきり定められた役割のセットを実行するように構成することができる。例えば、カメラセンサを正面扉の孔を通して設置し、外向きになるように設定して、外部のアクティビティを注視し、特定の顔を認識し、必要に応じてアラームをトリガする。一般に、センサは、特定の空間区域をカバーし、ある特定のタイプのアナログ信号(光学、音波、熱、動きなど)を「感知する」(または「モニタする」)ことができる。パーセプタサブシステムは、パーセプタ214によって受け取られた物理的信号を、観察のサブシステムのためにデジタル表現にマッピングすることができる。カバレッジ、解像度、待ち時間/頻度を含む観察のパラメータは、ニーズまたは用途に応じて構成することができる。
【0041】
思考のサブシステム306は、観測システム304からのデータを使用して、継続している学習(例えば、記憶および一般化)とモデル構築とを管理して、データと、データがどのように振る舞い互いに相互作用するかとを表すドメインモデルを確立することができる。特に、ドメインモデルは、小売りフロア、学校、病院、法律事務所、取引所、ホテルなどのようなドメインテーマをサポートする特定のオントロジー的な構造を含むことができる。一例として、学校で使用されるエンクロージャの思考のサブシステム306は、学校のドメイン知識と、学校の関連知識を表すオントロジー的な構造とを事前に得ることができる。パーセプタ(例えば、カメラアレイ、マイクロホンアレイ、動きセンサなど)から受け取ったデータは、学校オントロジー(教師、学生、クラス、ストーリーテリングなど)と一致する埋め込み空間に投影することができる。同様の手法を他のテーマおよびセマンティックドメインに適用することができる。エンクロージャの任意の態様は、デジタルで「認識可能」であり、モデル化することができる。思考のサブシステム306の目的関数(目標)は、管理コンソールを介して(または汎用人工知能)を介してプロビジョニングされ得る。
【0042】
アクティビティのサブシステム308は、思考のサブシステム306のモデル化および学習(例えば、エンクロージャの状態)に基づいて、「計算可能な」および「実行可能な」決定を行い、アクチュエータサブシステムの制御(アクチュエータ216)を介してこれらの決定に基づいて行動することができる。決定は、人間の空間的経験、またはモデル化されたアプリケーションによって定義された特定の目標を達成するためのタスクのシーケンスを含む目的関数に関係し得る。決定は、オブジェクト、アクタ、イベント、シーンなどの認識に応じたトリガに基づくことができる。一例は、所有者の顔を観測システム304で走査すること、所有者の顔を認識することを学習した思考のサブシステム306に顔の走査を送ること、および所有者の顔に反応してドアを開けるようにアクティビティのサブシステム308で決定することを含むことができる。別の例によれば、観測システム304は、誰かがベッドで起き上がろうとしていることを検出することができ、思考のサブシステム306は、アクションを認識し、照明をオンにするようにアクティビティのサブシステム308で決定することができる。追加として、AIシステム302は、機能および意志決定を改善するためにAIシステム302によって使用され得るデータを含むことができるフィードバック310をアクチュエータ216のアクションを通して受け取ることができる。
【0043】
開示されるシステムはまた、多数のエンクロージャを複合エンクロージャに構成することができるマクロエンクロージャアーキテクチャを提供することができる。それ自体の内にいかなる他のエンクロージャも含まないエンクロージャは、アトミックエンクロージャと呼ぶことができる。複合エンクロージャは、例えば、複数のエンクロージャを一緒に「結びつける」こと、1つまたは複数のエンクロージャを別のものの上に垂直に積み重ねること、または複数のエンクロージャを一緒にマージすることなどによって、別のエンクロージャ内のエンクロージャを含むことができる。この合成マクロ構造により、インテリジェントエンクロージャを、設置し、配置し、ニーズに基づいて徐々に拡張することができる。
【0044】
図1から図3は、本発明の説明を考慮に入れた概念図である。特に、記載または図示された要素の一部またはすべてを交換することによって他の実施形態が可能であるので、上記の図および例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図していない。その上、本発明の特定の要素が、既知の構成要素を使用して部分的にまたは完全に実施できる場合、本発明の理解に必要である既知の構成要素のそれらの部分のみが説明されており、そのような既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないために省略されている。本明細書では、単数の構成要素を示す一実施形態は、本明細書で特に明記しない限り、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態に必ずしも限定されるべきでなく、逆も同様である。その上、出願人は、同様に明示しない限り、本明細書または特許請求の範囲におけるいかなる用語も一般的でないまたは特別な意味を与えられることを意図していない。さらに、本発明は、本明細書において例として参照された既知の構成要素の現在既知のおよび将来知られる同等物を含む。
【0045】
本発明の実施形態の様々な態様は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実施することができることを理解されたい。そのような実施形態では、様々な構成要素および/またはステップは、本発明の機能を実行するために、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアで実施されることになる。すなわち、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアのモジュールの同じ部分は、図示のブロック(例えば、構成要素またはステップ)のうちの1つまたは複数を実行することができる。ソフトウェア実施態様では、コンピュータソフトウェア(例えば、プログラムまたは他の命令)、および/またデータは、コンピュータプログラム製品の一部として機械可読媒体に格納され、取り外し可能ストレージドライブ、ハードドライブ、または通信インタフェースを介してコンピュータシステムまたは他のデバイスもしくは機械にロードされる。コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理またはコンピュータ可読プログラムコードとも呼ばれる)は、メインメモリおよび/または二次メモリに格納され、1つまたは複数のプロセッサ(コントローラなど)によって実行されて、1つまたは複数のプロセッサに本明細書に記載されたような本発明の機能を実行させる。本明細書では、「機械可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータプログラム媒体」、および「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、取り外し可能ストレージユニット(例えば、磁気または光ディスク、フラッシュメモリデバイスなど)、ハードディスクなどのような媒体を一般に参照するために使用される。
【0046】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムは、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、またはC++などのようなオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかとすることができる。
【0047】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにしているので、他の人は、関連する技術の技能内の知識(本明細書に引用され、参照によって組み込まれる文書の内容を含む)を適用することによって、様々な用途のために、そのような特定の実施形態を、不必要な実験なしに、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、容易に変形および/または適合させることができる。それゆえに、そのような適合および変形は、本明細書で提示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあることが意図される。本明細書の語法または用語は、説明のためのものであり、限定のためのものではなく、その結果、本明細書の用語または語法は、本明細書で提示された教示およびガイダンスに照らして、当業者の知識と組み合わせて、当業者によって解釈されるべきであることを理解されたい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】