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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】フィードバック式スマートシリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/178 20060101AFI20220217BHJP
   A61B 5/0538 20210101ALI20220217BHJP
【FI】
A61M5/178
A61B5/0538
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538852
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020110611
(87)【国際公開番号】W WO2021043011
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201910832459.0
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】521290865
【氏名又は名称】武漢中針智能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】燕 自保
(72)【発明者】
【氏名】陳 柳青
(72)【発明者】
【氏名】董 朝陽
(72)【発明者】
【氏名】陳 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】劉 泉
(72)【発明者】
【氏名】殷 波
【テーマコード(参考)】
4C066
4C127
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C127AA06
4C127BB05
4C127LL07
(57)【要約】
本発明は、針先と針ハブとを備えるフィードバック式スマートシリンジを提供し、針先には、人体組織のインピーダンスを検出するための第1電極および第2電極が設けられ、第1電極および第2電極は、マスター制御装置と電気的に接続され、マスター制御装置は、表示又は警告装置と電気的に接続される。上記の構成を採用することにより、皮膚、筋肉、滲出液および血液などの組織や器官のインピーダンスを正確に検出することができ、スマートな注射や吸引設定のために根拠を提供する。注射過程において、位置ズレ、塞栓などの傷害を避けて、正確に投薬する。もしくは脂肪吸引過程でモニタリングを正確に行い、吸引ミスによる傷害を避ける。又は腫瘍滲出液、脳脊髄液の吸引を行うとき、正確な走査予測および正確な位置決めを通じて医療リスクを低下させ、医者の治療効率を大幅に高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針先(3)と針ハブ(1)とを備えるフィードバック式スマートシリンジであって、
針先(3)には、人体組織のインピーダンスを検出するための第1電極(5)および第2電極(6)が設けられ、第1電極(5)および第2電極(6)は、マスター制御装置(2)と電気的に接続され、マスター制御装置(2)は、表示又は警告装置と電気的に接続され、前記針先(3)は絶縁材料であるか金属材料であり、針先(3)の外側に内側絶縁層(31)が被覆され、
第1電極(5)および第2電極(6)は、針先(3)の長手方向に沿って配置され、
第1電極(5)および第2電極(6)の外側には、外側絶縁層(12)が被覆され、第1電極(5)および第2電極(6)の一端は、針先に近い位置のみ外に露出され、
針ハブ(1)の位置には、皮膚と確実に接触するための第3電極(7)がさらに設けられ、第3電極(7)は、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置(2)と電気的に接続され、第3電極(7)は、針ハブ(1)と回転可能に接続され、第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成し、
針先(3)の先端の位置を決定するために、第1電極(5)と第2電極(6)との間に0~100Hzの低周波電流信号をアクセスし、
人体の異なる組織を走査するために、第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと第3電極(7)との間に100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスし、
前記マスター制御装置(2)では、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、バンドパスフィルタがマイクロ信号増幅回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路が、第1電極(5)および第2電極(6)と電気的に接続され、
電流検出回路(OP3)が第2電極(6)と電気的に接続され、
低周波電流信号および中低周波信号を切り替えるための切り替え回路がさらに設けられ、
前記表示又は警告装置は、ディスプレイ、LEDランプ、またはブザーを含む、ことを特徴とするフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項2】
第1電極(5)および第2電極(6)の他端は、針ハブ(1)の外壁まで延び、マスター制御装置(2)は針ハブ(1)に嵌着され、マスター制御装置(2)の内壁には第1インレット電極(13)および第2インレット電極(14)が設けられ、第1インレット電極(13)および第2インレット電極(14)はそれぞれ第1電極(5)および第2電極(6)と電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項3】
マイクロ信号増幅回路は、計測用増幅器回路であり、
基準信号は、バンドパスフィルタの出力端を介して、信号制御増幅され変調された後、マイクロ信号増幅回路の一方の入力および第1電極(5)と直接電気的に接続され、
マイクロ信号増幅回路の他方の入力は、第2電極(6)および電流検出回路(OP3)と電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項4】
マスター制御装置(2)の構造は、メイン制御システムが基準信号源と電気的に接続され、基準信号源がバンドパスフィルタと電気的に接続され、基準信号がバンドパスフィルタを通過した後、信号制御モジュールを介して第1電極(5)および第2電極(6)に検出電流を供給し、
第1電極(5)および第2電極(6)がそれぞれマイクロ信号増幅回路および電流検出回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路および電流検出回路がそれぞれ少なくとも2組のA/D変換モジュールと電気的に接続され、A/D変換モジュールがデジタル信号処理モジュールと電気的に接続され、デジタル信号処理モジュールがメイン制御システムと電気的に接続される構造である、ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項5】
針ハブ(1)の位置にはマイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置(2)と電気的に接続されたアレイ電極(8)がさらに設けられ、アレイ電極(8)は第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項6】
前記アレイ電極(8)は、複数あり、
複数のアレイ電極(8)は、可撓性の固定バンド(9)に配置され、可撓性の固定バンド(9)には、アレイ電極(8)を皮膚と確実に接触させるように、皮膚の外側から筋肉および血管の位置を判断するためのビスコースまたは端部が互いに接続された面ファスナーが設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【請求項7】
第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つとアレイ電極(8)との間には、人体の異なる組織を走査するための100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスする、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特にフィードバック式スマートシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリンジの使用過程で、注射と吸引の位置をいずれも手動判断することに依存し、これは医療スタッフに対しての長期的な教育に依存し、しかしながら、熟練した医療スタッフであっても、毎回に針先を所定の位置に位置させることを保証することは困難である。第一、吸引が必要となる操作に及ぶ場合、例えば、動脈血、腫瘍滲出液、脳脊髄液、脂肪組織などを吸引する過程で、仕事を完成させるために、ベッドサイドCT装置などの他の補助機器の補助が必要となる。第二、毎年多くの医者が人体に充填物を注射するとき、充填物を血管に注射することによる塞栓後、周辺の人体組織が迅速に壊死などの科学的に避けられない重大な医療事故を引き起こし、標的投与を正確に予定の場所に行えず、治療効果が大きく損なわれる場合がある。フィードバック式シリンジ技術は、上記の欠陥を補うことができ、全世界の医者のために注射および吸引用スマートな目を提供し、患者の病巣治療のために正確なツールを提供する。中国特許CN205163829Uには、配置された血管スキャナーにより人体部位における血管の3次元画像を走査できる血管を自動走査する全自動注射装置が開示されているが、該文献には、血管スキャナーの構成や具体的なワークフローについての詳細が開示されていなかった。中国特許CN101564294Aには、構成情報融合のインピーダンス断層撮影方法が開示され、電極に基づく生体内部組織のインピーダンスを検出することによって、人体組織画像を得る技術的手段が提供されたが、該技術的手段の構成および応用も比較的に複雑であり、臨床への使用価値を制限した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、皮膚、筋肉、体液および血液のインピーダンスを迅速かつ正確に検出して特定することができ、インピーダンスの変化に応じてスマートな注射または吸引を行うことが可能なフィードバック式スマートシリンジおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術問題を解決するために、本発明の用いる技術案は、以下のとおりである。
針先と針ハブとを備えるフィードバック式スマートシリンジであって、針先には、人体組織のインピーダンスを検出するための第1電極および第2電極が設けられ、第1電極および第2電極は、マスター制御装置と電気的に接続され、マスター制御装置は、表示又は警告装置と電気的に接続されるフィードバック式スマートシリンジ。
【0005】
好適実施形態では、前記針先は、絶縁材料であるか金属材料であり、針先の外側に内側絶縁層が被覆され、第1電極および第2電極は、針先の長手方向に沿って配置され、第1電極および第2電極の外側には、外側絶縁層が被覆され、第1電極および第2電極の一端は、針先に近い位置のみ外に露出される。
【0006】
好適実施形態では、第1電極および第2電極の他端は、針ハブの外壁まで延び、マスター制御装置は、針ハブに嵌着され、マスター制御装置の内壁には、第1インレット電極および第2インレット電極が設けられ、第1インレット電極および第2インレット電極は、それぞれ第1電極および第2電極と電気的に接続される。
【0007】
好適実施形態では、前記マスター制御装置では、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、バンドパスフィルタが、マイクロ信号増幅回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路が、第1電極および第2電極と電気的に接続され、電流検出回路が、第2電極と電気的に接続される。
【0008】
好適実施形態では、マイクロ信号増幅回路は、計測用増幅器回路であり、基準信号は、バンドパスフィルタの出力端を介して、信号制御増幅され変調された後、マイクロ信号増幅回路の一方の入力および第1電極と直接電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路の他方の入力は、第2電極および電流検出回路と電気的に接続される。
【0009】
好適実施形態では、マスター制御装置の構造は、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、基準信号がバンドパスフィルタを通過した後、信号制御モジュールを介して第1電極及び第2電極に検出電流を供給し、第1電極および第2電極が、それぞれマイクロ信号増幅回路および電流検出回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路および電流検出回路が、それぞれ少なくとも2組のA/D変換モジュールと電気的に接続され、A/D変換モジュールが、デジタル信号処理モジュールと電気的に接続され、デジタル信号処理モジュールが、メイン制御システムと電気的に接続される構造である。
【0010】
好適実施形態では、針ハブの位置には、皮膚と確実に接触するための第3電極がさらに設けられ、第3電極は、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置と電気的に接続され、第3電極は、針ハブと回転可能に接続され、且つ第1電極および第2電極のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する。
【0011】
好適実施形態では、針ハブの位置には、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置と電気的に接続されたアレイ電極がさらに設けられ、アレイ電極は、第1電極および第2電極のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する。
【0012】
好適実施形態では、前記アレイ電極は、複数あり、複数のアレイ電極は、可撓性の固定バンドに配置され、可撓性の固定バンドには、アレイ電極を皮膚と確実に接触させるように、皮膚の外側から筋肉および血管の位置を判断するためのビスコースまたは端部が互いに接続された面ファスナーが設けられる。
【0013】
好適実施形態では、針先の先端の位置を決定するために、第1電極と第2電極との間に0~100Hzの低周波電流信号をアクセスし、人体の異なる組織を走査するために、第1電極および第2電極のうちの一つと第3電極又はアレイ電極との間に100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスし、
低周波電流信号および中低周波信号を切り替えるための切り替え回路がさらに設けられ、
前記表示又は警告装置は、ディスプレイ、LEDランプ、またはブザーを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、フィードバック式スマートシリンジを提供する。上記の構成を採用することにより、皮膚、筋肉、滲出液および血液などの組織や器官のインピーダンスを正確に検出することができ、スマートな注射や吸引設定の根拠を提供する。本発明では、直流と中低周波微小電流の二重検出方式を採用し、脂肪、筋肉、体液、血液、脳脊髄液などの組織のインピーダンスの変化に基づいて、正確に検出し、柔軟設定し、針先が注射部位や吸引された組織を正確に探査することが容易であるとともに、特定のアルゴリズムにより画像を復元再構成し、又は提示を出し、注射や吸引過程をより正確にする。例えば、注射過程において、位置ズレ、塞栓などの傷害を避けて、正確に投薬する。もしくは脂肪吸引過程でモニタリングを正確に行い、吸引ミスによる傷害を避ける。又は腫瘍滲出液、脳脊髄液の吸引を行うとき、正確な走査予測および正確な位置決めを通じて医療リスクを低下させ、医者の治療効率を大幅に高める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明についてさらに説明する。
図1】本発明の概略構造図である。
図2】本発明における針先の概略構造図である。
図3】本発明における針先の断面概略図である。
図4】本発明における別の好適概略構造図である。
図5】本発明における別の好適概略構造図である。
図6】本発明におけるマスター制御装置が針ハブに接続された概略構造図である。
図7】本発明の使用時のイメージ図である。
図8】本発明の検出システムのブロック図である。
図9】本発明におけるマイクロ信号増幅回路の概略図である。
図10】本発明における人体インピーダンス検出回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例1:
図1~7に示すように、フィードバック式スマートシリンジは、針先3と針ハブ1とを備える。針先3には、人体組織のインピーダンスを検出するための第1電極5および第2電極6が設けられ、第1電極5および第2電極6は、マスター制御装置2と電気的に接続され、マスター制御装置2は、表示又は警告装置と電気的に接続される。この構成により、マスター制御装置2を介して第1電極5および第2電極6に電気信号がアクセスされ、インピーダンスに基づいて人体組織での針先の具体的な位置を判断する。
【0017】
検出結果:人体組織の直流抵抗値(Ω・m)は以下のとおりである。
脳脊髄液0.555、血清0.714、血液1.85、神経25.0、肝臓80.0、筋肉90.0、脳107、脂肪10.8×10、湿潤皮膚38.0×10、乾燥皮膚40.0×10、無膜骨20×10
【0018】
本実施例では、直流電流をアクセスすることにより、針先が位置する人体の位置を正確に判断することができる。該実施形態は、例えば、動脈血採取、リンパ液、脳脊髄液および腫瘍滲出液などの血液又は体液の吸引操作過程で比較的に高い応用価値を持っている。
【0019】
好適実施形態では、図2、3、6に示すように、前記針先3は、例えば、アルミナセラミクス製の絶縁材料であり、次に、アルミナセラミクスの表面に生体相溶性を有する塗膜をコーティングする。或いは、可撓性ガラス材質を採用し、次に、可撓性ガラスの表面に生体相溶性を有する高分子膜をコーティングする。絶縁層としては、シルクフィブロインフィルム、ポリエチレンピロリドン、クォーターニウム、テフロンとヘパリン複合物、そして、物理気相堆積法(PVD)、化学気相堆積法(CVD)により生成された他の塗膜などが挙げられる。
【0020】
または、針先3が金属材料であり、針先3の外側に内側絶縁層31が被覆されており、内側絶縁層31が生体相溶性を有する絶縁層を採用している。
第1電極5および第2電極6は、針先3の長手方向に沿って配置され、
好適実施形態では、図6に示すように、第1電極5および第2電極6の外側には、外側絶縁層12が被覆され、第1電極5および第2電極6の一端は、針先に近い位置のみ外に露出される。この構成により、針先の位置のみが針先に接触する組織に電流を伝達することができ、一方、他の位置は絶縁され、針先位置の検出結果を妨害することなく、人体組織に対する検出精度を向上させる。
【0021】
好適実施形態では、図6に示すように、第1電極5および第2電極6の他端は、針ハブ1の外壁まで延び、マスター制御装置2は、針ハブ1に嵌着され、マスター制御装置2の内壁には、第1インレット電極13および第2インレット電極14が設けられ、第1インレット電極13および第2インレット電極14は、それぞれ第1電極5および第2電極6と電気的に接続される。さらに好ましくは、第1インレット電極13および第2インレット電極14は、可撓性電極として構成され、マスター制御装置2が針ハブ1に嵌着された場合に、第1インレット電極13と第1電極5とが導通状態になり、第2インレット電極14と第2電極6とが導通状態になる。マスター制御装置2が針ハブ1に嵌着された構成を採用することにより、比較的高価なマスター制御装置2の部分を解体することによって、再利用を実現することができ、また、針先3上にめっき層だけで第1電極5および第2電極6を追加するコストも許容範囲内に納めることができる。
【0022】
好適実施形態では、図9に示すように、前記マスター制御装置2では、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、バンドパスフィルタが、マイクロ信号増幅回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路が、第1電極5および第2電極6と電気的に接続され、電流検出回路OP3が、第2電極6と電気的に接続される。
図9中の破線ブロックは、検出対象組織の等価回路15を表す。
【0023】
好適実施形態では、マイクロ信号増幅回路は、計測用増幅器回路であり、
基準信号源は、バンドパスフィルタの出力端を介して、信号制御増幅され変調された後、マイクロ信号増幅回路の一方の入力および第1電極5と直接電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路の他方の入力は、第2電極および電流検出回路OP3と電気的に接続される。
【0024】
好適実施形態では、マスター制御装置2の構造は、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、バンドパスフィルタを通過した後の信号が、信号制御モジュールを介して第1電極5および第2電極6に検出電流を供給し、第1電極5および第2電極6が、それぞれマイクロ信号増幅回路および電流検出回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路および電流検出回路が、それぞれ少なくとも2組のA/D変換モジュールと電気的に接続され、A/D変換モジュールが、デジタル信号処理モジュールと電気的に接続され、デジタル信号処理モジュールが、メイン制御システムと電気的に接続される構造である。本実施例では、デジタル信号処理モジュールは、埋め込みプロセッサstm32f103c8を採用し、A/D変換モジュールは、AD7476を採用し、メイン制御システムは、intelやARMシリーズのCPUを採用した。
【0025】
実施例2:
実施例1に加えて、好適実施形態では、図4に示すように、針ハブ1の位置には、第3電極7がさらに設けられ、第3電極7は、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置2と電気的に接続され、第3電極7は、針ハブ1と回転可能に接続され、且つ第1電極5および第2電極6のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する。第3電極7を円心として針先3の方向を回転させ、第3電極7と、針先3上の第1電極5または第2電極6も皮膚に確実に接触され、第3電極7と第1電極5および第2電極6のうちの一つとの間に交流電を印加し、インピーダンスの検出に基づいて、筋肉および血管の位置を判断し、そして、穿刺の過程において、第1電極5と第2電極6との間に直流電流を印加し、針先穿刺の組織位置を判断し、したがって、シリンジのスマートなフィードバックを達成する。
【0026】
別の好適実施形態では、図5に示すように、針ハブ1の位置には、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置2と電気的に接続されたアレイ電極8がさらに設けられ、アレイ電極8は、第1電極5および第2電極6のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する。アレイ電極8と第1電極5または第2電極6との間に交流電流を印加し、インピーダンス検出により皮下組織の位置構造(例えば、脂肪、体液、筋肉および血管の位置)を判断する。好ましくは、皮下組織の位置構造の情報は、ディスプレイ、LEDランプ、またはブザーを含む表示又は警告装置によって表示される。ディスプレイによって表示されたり、異なる色や輝度のLEDランプによって提示されたり、又はブザーによって提示される。そして、穿刺の過程において、第1電極5と第2電極6との間に印加された直流電流により針先の人体組織での位置を判断する。アレイ電極8の構成を採用することにより、走査の検出精度をさらに向上させることができる。例えば、中国特許CN101564294Aに開示されている走査方式である。
【0027】
好適実施形態では、図5に示すように、前記アレイ電極8は、複数あり、複数のアレイ電極8は、可撓性の固定バンド9に配置され、可撓性の固定バンド9には、アレイ電極8を皮膚と確実に接触させるためのビスコースまたは端部が互いに接続された面ファスナーが設けられる。該実施形態によれば、アレイ電極8と皮膚との接触不良による干渉を低減させる。
【0028】
好適実施形態では、針先3の先端の位置を決定するために、第1電極5と第2電極6との間に0~100Hzの低周波電流信号をアクセスし、人体の異なる組織を走査するために、第1電極5および第2電極6のうちの一つと第3電極7又はアレイ電極8との間に100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスする。異なる人体組織の異なる周波数電流に対する感度を利用することで、さらに検出精度が高まる。例えば、付峰、臧益民らの論文には、血液複素インピーダンス周波数特性の測定では、0.5mA、周波数100Hz~10MHzの条件下で、血液複素インピーダンス特性のパターンにより、体表にて血液の位置を走査することができ、さらに、血管が存在する位置を判断することができることが記載されている。
【0029】
低周波電流信号および中低周波信号を切り替えるための切り替え回路がさらに設けられ、切り替え回路は、ソフト切り替え回路を採用するのが望ましい。即ち、ソフトウェアによって制御される切り替え回路とする。
【0030】
実施例3:
実施例2に加えて、図7に示すように、動脈血液採取を例にとって説明を進める。使用時に、アレイ電極8を患者の皮膚10に貼り付けられ、第3電極7および第1電極5も皮膚と確実に接触させる。マスター制御装置2のメイン制御システムから指令を発し、基準信号源から交流電流を発する。好ましくは、第1電極5から周波数が100Hz~50kHzである交流電流を発する。第3電極7又は針ハブ1を円心として皮膚の表面に沿って針先3の方向を回転させ、回転過程において、第1電極5と皮膚との確実接触することを確保する。インピーダンス検出により、画像を介して筋肉と血管の位置を判断する。目標位置を決定した後、穿刺の過程において、回路を切り替え、第1電極5と第2電極6との間に直流電流をアクセスし、インピーダンスにより針先が穿刺到達した人体組織の位置を正確に判断し、シリンジのスマートなフィードバックを達成する。
【0031】
上述した実施例は、本発明の好適実施形態に過ぎず、これによって本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、矛盾しない場合、本明細書で記載された実施形態および実施形態における特徴は、互いに任意に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲に記載の技術的範囲内、および特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で技術特徴に対して同等の置き換え又は改良は、いずれも本発明の特許保護範囲内に含まれる。
【0032】
(付記)
(付記1)
針先(3)と針ハブ(1)とを備えるフィードバック式スマートシリンジであって、
針先(3)には、人体組織のインピーダンスを検出するための第1電極(5)および第2電極(6)が設けられ、第1電極(5)および第2電極(6)は、マスター制御装置(2)と電気的に接続され、マスター制御装置(2)は、表示又は警告装置と電気的に接続され、前記針先(3)は絶縁材料であるか金属材料であり、針先(3)の外側に内側絶縁層(31)が被覆され、
第1電極(5)および第2電極(6)は、針先(3)の長手方向に沿って配置され、
第1電極(5)および第2電極(6)の外側には、外側絶縁層(12)が被覆され、第1電極(5)および第2電極(6)の一端は、針先に近い位置のみ外に露出され、
針ハブ(1)の位置には、皮膚と確実に接触するための第3電極(7)がさらに設けられ、第3電極(7)は、マイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置(2)と電気的に接続され、第3電極(7)は、針ハブ(1)と回転可能に接続され、第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成し、
針先(3)の先端の位置を決定するために、第1電極(5)と第2電極(6)との間に0~100Hzの低周波電流信号をアクセスし、
人体の異なる組織を走査するために、第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと第3電極(7)との間に100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスし、
前記マスター制御装置(2)では、メイン制御システムが、基準信号源と電気的に接続され、基準信号源が、バンドパスフィルタと電気的に接続され、バンドパスフィルタがマイクロ信号増幅回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路が、第1電極(5)および第2電極(6)と電気的に接続され、
電流検出回路(OP3)が第2電極(6)と電気的に接続され、
低周波電流信号および中低周波信号を切り替えるための切り替え回路がさらに設けられ、
前記表示又は警告装置は、ディスプレイ、LEDランプ、またはブザーを含む、ことを特徴とするフィードバック式スマートシリンジ。
【0033】
(付記2)
第1電極(5)および第2電極(6)の他端は、針ハブ(1)の外壁まで延び、マスター制御装置(2)は針ハブ(1)に嵌着され、マスター制御装置(2)の内壁には第1インレット電極(13)および第2インレット電極(14)が設けられ、第1インレット電極(13)および第2インレット電極(14)はそれぞれ第1電極(5)および第2電極(6)と電気的に接続される、ことを特徴とする付記1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【0034】
(付記3)
マイクロ信号増幅回路は、計測用増幅器回路であり、
基準信号は、バンドパスフィルタの出力端を介して、信号制御増幅され変調された後、マイクロ信号増幅回路の一方の入力および第1電極(5)と直接電気的に接続され、
マイクロ信号増幅回路の他方の入力は、第2電極(6)および電流検出回路(OP3)と電気的に接続される、ことを特徴とする付記1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【0035】
(付記4)
マスター制御装置(2)の構造は、メイン制御システムが基準信号源と電気的に接続され、基準信号源がバンドパスフィルタと電気的に接続され、基準信号がバンドパスフィルタを通過した後、信号制御モジュールを介して第1電極(5)および第2電極(6)に検出電流を供給し、
第1電極(5)および第2電極(6)がそれぞれマイクロ信号増幅回路および電流検出回路と電気的に接続され、マイクロ信号増幅回路および電流検出回路がそれぞれ少なくとも2組のA/D変換モジュールと電気的に接続され、A/D変換モジュールがデジタル信号処理モジュールと電気的に接続され、デジタル信号処理モジュールがメイン制御システムと電気的に接続される構造である、ことを特徴とする付記1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【0036】
(付記5)
針ハブ(1)の位置にはマイクロ信号増幅回路を介してマスター制御装置(2)と電気的に接続されたアレイ電極(8)がさらに設けられ、アレイ電極(8)は第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つと共に周波数変換インピーダンス検出回路を形成する、ことを特徴とする付記1に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【0037】
(付記6)
前記アレイ電極(8)は、複数あり、
複数のアレイ電極(8)は、可撓性の固定バンド(9)に配置され、可撓性の固定バンド(9)には、アレイ電極(8)を皮膚と確実に接触させるように、皮膚の外側から筋肉および血管の位置を判断するためのビスコースまたは端部が互いに接続された面ファスナーが設けられる、ことを特徴とする付記5に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【0038】
(付記7)
第1電極(5)および第2電極(6)のうちの一つとアレイ電極(8)との間には、人体の異なる組織を走査するための100Hz~50kHzの中低周波信号をアクセスする、ことを特徴とする付記5又は6に記載のフィードバック式スマートシリンジ。
【符号の説明】
【0039】
1 針ハブ
2 マスター制御装置
3 針先
31 内側絶縁層
4 針筒
5 第1電極
6 第2電極
7 第3電極
8 アレイ電極
9 可撓性の固定バンド
10 皮膚
11 動脈血管
12 外側絶縁層
13 第1インレット電極
14 第2インレット電極
15 検出対象組織等価回路
OP3 電流検出回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】