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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】蓋付き歯科部材保管トレイ
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/02 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61C19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538859
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019087201
(87)【国際公開番号】W WO2020141183
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】1900035.5
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1912961.8
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521291150
【氏名又は名称】ゲート デンタル サービシーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GATE DENTAL SERVICES LTD.
【住所又は居所原語表記】Garrynagry, Roscahill, Galway Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ポール
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052LL12
(57)【要約】
本発明の態様は、歯科部材を保管するための保管トレイに関する。保管トレイは、歯列弓を表す弓型に沿って配列された複数の区画を含み、各区画は、歯列弓上のそれぞれの歯の位置に対応する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科部材を保管するための保管トレイであって、
蓋と、
歯列弓を表す弓型に沿って配列された複数の区画であって、各区画が、前記歯列弓上のそれぞれの歯の位置に対応する、複数の区画と、を含み、
前記トレイは、前記トレイの縁の周りに延びる弾性的にバイアスされたリップをさらに含み、前記リップが、前記蓋に把持力を提供するように構成されている、保管トレイ。
【請求項2】
各区画をラベル付けするための歯科表記システムをさらに含む、請求項1に記載の保管トレイ。
【請求項3】
前記歯科表記システムが、下の歯列弓および上の歯列弓に対応する表記を含む、請求項2に記載の保管トレイ。
【請求項4】
各保管区画が、短軸よりも長い主軸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項5】
各保管区画が、楕円形である、請求項4に記載の保管トレイ。
【請求項6】
各保管区画が、凹状の側壁を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項7】
各保管区画のサイズが、前記保管区画が対応する歯に応じて変化する、請求項1~6のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項8】
複数歯用歯科部材を保管するための少なくとも1つの腎臓形の皿をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項9】
前記蓋が、前記蓋の縁の周りに延びるスカートを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項10】
前記スカートが、複数のリブを含む、請求項9に記載の保管トレイ。
【請求項11】
前記リブが、前記スカートの内向きの表面上に位置付けられ、前記リブが、前記スカートの前記表面と前記リップとの間のギャップを維持するように構成されている、請求項10に記載の保管トレイ。
【請求項12】
前記スカートが、前記リップよりも浅い、請求項9~11のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項13】
前記蓋が、前記スカートの上部を取り囲む肩を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項14】
前記リブが、前記肩の下側を横切って延びる、請求項13に記載の保管トレイ。
【請求項15】
前記トレイが、前記リップの外向きの表面上に配置された少なくとも1つの外向きに延びるタブを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項16】
前記蓋が、前記少なくとも1つの外向きに延びるタブを少なくとも部分的に受け入れるための凹部を含む、請求項15に記載の保管トレイ。
【請求項17】
前記蓋が、前記トレイに取り付けられたときに、各歯科部材をそのそれぞれの区画に保持するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項18】
前記蓋が、UV保護性である、請求項1~17のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項19】
前記トレイが、前記トレイの上面と前記蓋との間で前記トレイの前記上面上に延びるスキンを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項20】
前記スキンが、前記蓋によって前記トレイに固定される、請求項19に記載の保管トレイ。
【請求項21】
請求項10に従属する場合、前記スキンの少なくとも一部が前記リップと前記リブとの間で把持される、請求項20に記載の保管トレイ。
【請求項22】
前記スキンが、蒸気が少なくとも1つの保管区画に浸透することを可能にするための1つまたは複数の細孔を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項23】
トレイが、本体を含み、溝が、前記リップの内面と前記本体との間に画定されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項24】
前記本体が、平面を画定し、前記リップが、前記平面に対してほぼ垂直に延びている、請求項23に記載の保管トレイ。
【請求項25】
前記トレイの底面が、混合パッドを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項26】
医療グレードのシリコーンから製造されている、請求項1~25のいずれか一項に記載の保管トレイ。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の保管トレイと、少なくとも1つの歯科部材と、を含む歯科用キット。
【請求項28】
前記歯科部材が、前記歯科部材が関係する歯の位置に対応する保管区画に配置されている、請求項27に記載の歯科用キット。
【請求項29】
前記歯科用キットが、蓋を含み、ギャップが、前記蓋と前記トレイとの間に画定され、前記ギャップが、前記保管区画に保持されている少なくとも1つの歯科部材よりも小さい、請求項27または請求項28に記載の歯科用キット。
【請求項30】
歯科用保管トレイ上の保管区画内に歯科部材を保持する方法であって、
前記歯科用保管トレイの上にシート材料を置くことと、
前記歯科用保管トレイ上に蓋を位置付けることにより、前記シート材料に張力をかけることと、を含み、
前記シート材料に張力をかけることが、前記シート材料の一部を前記保管トレイと前記蓋との間に閉じ込めることを含む、方法。
【請求項31】
前記シート材料に張力をかけることにより、前記シート材料を少なくとも部分的に前記歯科部材の形状に適合させる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記シート材料に張力をかけることにより、前記シート材料が、前記歯科部材の表面を押し、それによって前記歯科部材を前記保管区画内に保持する、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記シート材料に張力をかけることが、前記蓋が下がるときに、前記シート材料に張力が与えられるように、前記蓋を前記トレイ上に下げることを含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科部材組織化デバイス、特に、限定的ではないが、歯科部材を保管するための組織化トレイに関する。本発明の態様は、保管トレイ、およびキットの形態で複数の歯科部材を含む保管トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医は、患者の口の中の損傷した、または欠けている歯を修復するために、修復作業を行う必要があることがよくある。修復作業は通常、直接修復と間接修復の2種類の修復に分類される。直接修復作業は、完全に患者の口の中で製作および完了する作業を定義するために使用される用語である。逆に、間接修復作業という用語は、ベニア、クラウン、インプラントなどの歯科部材が、装着される前に患者の口の外で製作される作業を記載するために使用される。
【0003】
多くの場合、患者は、手技中に口の中の複数の場所で間接的な修復作業を完了する必要がある。これは、修復手技の複雑さを増すだけでなく、手技を開始する前に複数の歯科部材を製作する必要があることも意味する。一般に、各歯科部材は、患者の顎または歯列弓の特定の場所で使用するために製作される。手技が複雑なため、歯科医は作業を開始する前に歯科部材を整理して、歯科部材が混同されたり、不規則に配列されたりしないようにする。歯科部材を整然と配列することは、手技の効率を改善するのに役立つ。
【0004】
様々な歯科部材は、手技を開始する前に、歯科用椅子の近くの歯科用トレイなどの平面上に並べることができる。さらに、歯科医は、紙または布材料のシートをトレイに置き、シートに注記を付けて、各歯科部材をラベル付けすることができる。これは、歯科医が患者の口の中の所望の位置に位置付けられる必要のある歯科部材を探すことによって、手技中に時間を無駄にしないので有利である。
【0005】
しかしながら、トレイおよび/またはシート材料は、歯科部材およびツールを平面上に位置付ける前に滅菌されなければならないので、前述のアプローチには衛生上の問題がある。さらに、平面がノックされると、部材の順序が乱され、それにより、手技を実行している間、歯科医を遅らせ、患者が感じ得る不快感を長引かせる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つまたは複数の不利な点に対処することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、歯科部材を保管するための保管トレイが提供され、保管トレイは、歯列弓を表す弓型に沿って配列された複数の区画を含み、各区画は、歯列弓上のそれぞれの歯の位置に対応する。
【0008】
歯科手技で使用するための歯科部材を、患者の口内の歯科部材の所望の目的地に関連する位置に保管することは、手技の効率を有益に改善し、エラーの可能性を低減する。例えば、歯科医は、保管トレイから所与の歯のための正確な歯科部材をすばやく選択できる。これは、手技の全体的な時間を短縮する効果があり、したがって、患者が口を開いたままにしなければならない時間を短縮する。
【0009】
保管トレイは、歯科医が複数の歯科部材の取り付けまたは使用を必要とする手技を実行している場合に特に役立つ。例えば、歯科医が患者の口のすべての歯に歯科部材を取り付ける必要がある患者に歯列矯正を装着している場合、保管トレイは、患者の顎に沿った所望位置に直接相関するように部材を整理する。
【0010】
一実施形態では、保管トレイは、各区画をラベル付けするための歯科表記システムを含むことができる。別の実施形態では、歯科表記システムは、下の歯列弓および上の歯列弓に対応する表記法を含み得る。
【0011】
歯科表記システムは、各保管区画を歯列弓の歯に直接リンクする認識された表記の形で、歯科医に追加のガイダンスを提供することにより、保管トレイの明瞭さをさらに改善する。保管トレイは、単一の保管トレイを使用して、下または上の歯列弓のいずれかの歯科部材を保管することができるように、下の歯列弓および上の歯列弓の両方に関連する歯科表記を有し得る。
【0012】
別の実施形態では、各保管区画は、短軸よりも長い主軸を含み得る。一実施形態では、保管区画は、楕円形または実質的に長方形であり得る。楕円形は、歯科部材が区画内で転がるのを防ぎ、通常、部材を各区画で配置された方向に維持する。
【0013】
楕円形または長方形の保管区画は、歯科部材を保管するのに十分な保管スペースを有利に提供し、また、弓状軸に沿ってスペース効率の良い方法で配列することができる。
【0014】
一実施形態では、保管区画は、凹状の側壁を含み得る。凹状の側壁は、歯科部材を上にスライドさせて、保管区画内から取り去るのを容易にするのに有利である。特に、保管区画は、歯科医が区画内から小さな歯科部材を容易に取り去ることができるように有利な形状になっている。
【0015】
別の実施形態では、保管区画は、平面の底部を有し得る。保管区画に平面の底部と湾曲した側壁を設けることにより、区画内の表面が滑らかになり、オートクレーブなどによる保管トレイと区画の清掃が容易になる。
【0016】
さらに、保管区画は、歯科医が区画を使用して染色剤またはうわ薬を混ぜることができるように形作られている。保管区画の平らな楕円形の底部により、歯科医が、染色剤またはうわ薬を混ぜて、所望の色または色のグラデーションを実現できる。さらに、楕円形により、歯科医は保管区画の主軸の長さに沿って色のグラデーションを作成できる。
【0017】
別の実施形態では、各保管区画のサイズは、保管区画が対応する歯に応じて変化する。対応する歯に応じて保管区画のサイズを変えると、保管区画の弓状の配列が歯列弓または顎により近くすることに有利に対応する。さらに、通常、より大きな歯は、より大きな歯科部材を必要とし、そのため、保管区画のサイズを変えることにより、各区画が必要な歯科部材を収容できることが保証される。
【0018】
一実施形態では、保管トレイは、複数歯用歯科部材を保管するための少なくとも1つの腎臓形の皿を含む。腎臓形の皿は、複数の歯に関連するより大きな歯科部材の保管を有益に提供する。例えば、手技を開始する前に、3ユニットのブリッジを腎臓形の皿の中に保管することができる。
【0019】
別の実施形態では、保管トレイは、蓋を含み得る。有益なことに、蓋は、保管トレイと外部環境との間に保護バリアを提供し、それによって保管トレイを清潔で無菌に維持する。蓋は、ポリカーボネートなどの硬質プラスチック材料で作製されている場合もあれば、保管トレイの上面から剥がせる薄いプラスチックシートである場合もある。
【0020】
一実施形態では、蓋は、蓋がトレイに取り付けられたときに、各歯科部材をそれぞれの区画に保持するように構成される。これは、輸送中またはトレイがノックされた場合に、歯科部材がそれらの保管区画から脱落するのを有利に防止する。
【0021】
一実施形態では、蓋はUV保護性であり得る。外部環境と保管トレイの内容物との間にUV保護バリアを有益に提供することで、トレイ内の歯科部材または化学薬品がUV光と反応してトレイの内容物が損傷する可能性を防ぐ。
【0022】
別の実施形態では、トレイは、トレイの縁の周りに延びるリップを含み得る。リップは、弾性的にバイアスされてもよく、リップは、蓋に把持力を提供するように構成されてもよい。
【0023】
リップは、蓋に把持力を有益に提供し、それによって蓋を保管トレイに固定する。リップは、トレイに対する蓋の垂直方向の動きを阻止するためのストップとして機能し、また、ユーザが蓋を取り去るのを助けるための親指タブとしても機能する、半径方向に突出したタブを含み得る。
【0024】
一実施形態では、蓋は、スカートを含み得る。スカートは、トレイの周囲または縁の周りに有利に延びることができる。別の実施形態では、スカートは、複数のリブを含み得る。リブは、トレイの外面に係合し、それによって、トレイ上の蓋を保持するための把持力を提供することができる。
【0025】
別の実施形態では、リブは、スカートの内向きの表面に位置付けることができ、リブは、スカートの内面が保管トレイに接触するのを防ぐように構成することができる。特に、リブは、トレイのリップの外面に係合し得る。リブは、スカートの内面の周りに角度的または円周方向に間隔を空けることができる。リブ間のギャップが、蒸気が流れ得る流路を提供するため、これは有益である。これにより、オートクレーブ中に蒸気がトレイの内容物に浸透し、蓋、トレイ、およびトレイの内容物が滅菌される。
【0026】
一実施形態では、スカートは、リップよりも短くても浅くてもよい。これは、スカートがトレイが置かれている表面に接触しないようにするため、蒸気がトレイの内容物に浸透するのを防ぐ可能性があるため、有益である。さらに、スカートの底部とトレイが置かれている表面との間のギャップにより、ユーザはトレイの蓋を簡単に取り去ることができる。
【0027】
一実施形態では、蓋は、スカートの上部に沿って延びるか、またはスカートの上部を取り囲む、肩または出っ張りを含み得る。出っ張りは、トレイの内面にあってもよい。リブは、出っ張りの下側を横切って、および/またはスカートの内側に面する表面を横切って延びることができる。リブが出っ張りとトレイの上面の間にギャップがあることを保証するので、これは有益である。これにより、オートクレーブでトレイを滅菌するときに、蒸気がトレイの内容物に浸透するための流路が提供される。
【0028】
別の実施形態では、リブは、トレイの上面に係合するように構成することができ、リブは、使用中に、出っ張りがトレイの上面に接触するのを防ぐように構成することができる。リブは、トレイと蓋の間のギャップを維持するために、肩の下側および/またはスカートの内面から突き出ていてもよい。
【0029】
一実施形態では、トレイは、少なくとも1つの外向きに延びるタブを含み得る。蓋は、少なくとも1つの半径方向に延びるタブを少なくとも部分的に受け入れるための凹部を含み得る。外向きにまたは半径方向に延びるタブは、歯科医が握って片手で蓋を簡単に取り去ることを可能にする表面を有益に提供する。歯科医は、トレイからの蓋の取り外しを助けるために、タブを内側に絞ることもできる。
【0030】
別の実施形態では、トレイは、トレイの上面と蓋との間でトレイの上面上に延びるスキンまたはプラスチックカバーを含み得る。スキンは、トレイの上面に位置付けられたときに、それぞれの保管区画内に歯科部材を有益に保持する。これは、トレイが歯科技工所から歯科医に輸送されるときに特に有利である。例えば、歯科部材をラボ内で適切な保管区画に追加してから、歯科医に輸送することができる。この場合、トレイの輸送中に歯科部材が区画から外れるのを防ぐために、ラボでスキンを適用することができる。さらに、歯科医は、スキンと蓋を取り付けた状態でトレイをオートクレーブにかけ、歯科手術に到着したときにトレイとその内容物を滅菌することができる。
【0031】
一実施形態では、スキンは、蓋によってトレイに固定され得る。これは、スキンをトレイの上に位置付け、次に蓋をトレイ上に位置付けできるため、有益である。蓋が、トレイ上に下がるときにスキンがトレイの上面を横切って引っ張られるように、蓋はスキンをつかんで張力を付与することができる。
【0032】
一実施形態では、スキンの少なくとも一部が、リップとリブとの間で把持され得る。リブは、蒸気がオートクレーブ内のトレイの内容物に浸透して滅菌できるように、蓋の内面とトレイのリップとの間のギャップを有益に維持する。スキンは、オートクレーブ処理に適した薄いプラスチック材料で作製されている場合がある。別の実施形態では、スキンは、一連の穴または細孔を含み得る。細孔は、蒸気がスキンに浸透し、保管区画の内容物を殺菌することを有益に可能にする。細孔は、各保管区画と整列させることができる。
【0033】
別の実施形態では、トレイは、本体を含むことができ、リップの内面と本体との間に溝を画定することができる。溝は、本体の周囲に延びてもよい。溝は、蓋がトレイ上に置かれるときにリップを変形させ、蓋に把持力を及ぼすことを有益に可能にし、それによって蓋をトレイ上に保持する。
【0034】
一実施形態では、トレイの本体が、平面を画定することができ、リップが、前記平面に対してほぼ垂直に延びることができる。リップは、一般に、トレイの上面から下向きに延びることができ、その結果、溝は、トレイの本体とリップの内面との間に画定される。
【0035】
一実施形態では、トレイの底面は、混合パッドを含み得る。これは、保管トレイの底部を使用して、手技で使用するための化学薬品を混合することができるので有利である。歯科医は、複数の保管トレイを同時に使用して、1つまたは複数の保管トレイを使用して歯科部材を保管してもよく、1つまたは複数の上向きの保管トレイが、歯科手技で使用する化学薬品を混合するための混合面を提供する。
【0036】
一実施形態では、トレイは、医療グレードのシリコーンから製造することができる。別の実施形態では、トレイは、使い捨ての処分できるプラスチック材料から製造することができる。
【0037】
本発明の別の態様によれば、本発明の前の態様による保管トレイおよび少なくとも1つの歯科部材が提供される。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1つの歯科部材は、歯科部材が関係する歯の位置に関連する保管区画に配置される。
【0039】
別の実施形態では、歯科用キットは蓋を含むことができ、蓋とトレイとの間にギャップを画定することができる。ギャップは、保管区画に保持されている少なくとも1つの歯科部材よりも小さくてもよい。蓋がトレイに固定されているとき、蓋は、保管トレイの上面と同一平面上で係合して静止し得るか、または蓋は、歯科部材の深さよりも小さいギャップを画定し、それにより、歯科部材がそれぞれ保管区画から脱落するのを防ぐことができる。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、歯科用保管トレイ上の保管区画内に歯科部材を保持する方法が提供され、この方法は、シート材料またはスキンを歯科用保管トレイの上に置くことと、歯科用保管トレイの上に蓋を位置付けることによって、シート材料に張力をかけることと、を含み、シート材料に張力をかけることが、シート材料の一部を、保管トレイと蓋との間に閉じ込めることを含む。
【0041】
保管トレイが輸送されているとき、歯科部材がシート材料、例えばエラストマープラスチックシートによって保持され得るので、これは有益である。シート材料は、歯科部材の上部に容易に配置することができ、トレイ上で蓋を下げる動作は、シート材料が歯科部材上にしっかりと引っ張られるように、シート材料またはスキンに張力を与えることができる。
【0042】
一実施形態では、シート材料に張力をかけることにより、シート材料を歯科部材の形状に少なくとも部分的に適合させることができる。別の実施形態では、シート材料に張力をかけることにより、シート材料が歯科部材の表面を押し、それによって歯科部材を保管区画内に保持することができる。
【0043】
別の実施形態では、シート材料に張力をかけることは、蓋が下げられるときにシート材料の捕捉された部分がしっかりと引っ張られるように、蓋をトレイ上に下げることを含み得る。
【0044】
本出願の範囲内で、前の段落、および/または以下の説明および図面に記載された様々な態様、実施形態、例および代替案、特にその個々の特徴は、独立してまたは任意の組み合わせでとることができることが明確に意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
次に、本発明の1つまたは複数の実施形態を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
図1】本発明の実施形態と共に使用するのに適した保管トレイの概略図である。
図2図1の保管トレイの斜視図である。
図3図1の保管トレイの保管区画の詳細な斜視図である。
図4図1の保管トレイの底面図である。
図5図1の保管トレイと共に使用する蓋の斜視図である。
図6図5の蓋の別の斜視図である。
図7】蓋が取り付けられたトレイの下側の詳細図である。
図8】蓋が取り付けられた図1のトレイの断面側面図である。
図9図1のトレイの概略図であり、トレイの上面上にスキンが位置付けられている。
図10】スキンに蓋が取り付けられた図9のトレイの断面側面図である。
図11】別の実施形態に係る蓋が取り付けられた図1のトレイの断面側面図である。
図12図11のトレイおよび蓋の拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
一般的に、本発明の実施形態は、歯科部材を保管するための保管トレイに関する。保管トレイは、弓状の経路に沿って配列された複数の保管区画またはソケットを含む。保管区画の弓状または弓状の経路は、トレイ上の各保管区画が顎の歯の位置に対応するように、歯列弓を表す。さらに、各保管区画は、例えば、ユニバーサル表記システムなどの歯科表記システムを使用して番号を付けて、各区画が関連する歯をさらに明確にすることができる。歯科医は、番号付けシステムと保管区画の弓状の配列の両方を使用して、各歯に対応する区画をすばやく特定できるため、これは有利である。
【0047】
保管区画は、歯科手技のための歯科部材を保管するために使用することができる。例えば、保管区画は、歯科手技で使用するためのベニア、クラウン、インプラント、歯列矯正または任意の他の歯科部材を保管することができる。保管トレイは、歯科医が手技を実行するときに各歯科部材の所望の位置を迅速かつ容易に識別できるように、各歯に対応する歯科部材を保管することができる。これは、患者の口の中の複数の場所で作業を完了する必要がある複雑な歯科手技を実行する場合に特に有利である。
【0048】
本発明の実施形態を適切な文脈参照において認識するために、最初に、本発明の実施形態と共に使用するのに適した保管トレイ10の概略図である図1を参照する。トレイ10は、弓状経路12に沿って配列された複数の保管区画14を含む。弓状経路12は、歯が口の中で位置する歯列弓を表す。弓状経路12は、前門歯に対応する2つの前保管区画14の間のギャップを遮断する長手方向軸21に関して対称である。
【0049】
弓型12上に配置された各保管区画14は、歯を表す。そのような歯科医は、保管トレイ10を見て、保管区画14のみの視覚的分布を通じて、各保管区画14が関連する歯を迅速に決定することができる。これは、歯科医が手技中に各歯に装着する必要のある歯科部材を迅速かつ効率的に特定できるため、有益である。これは、歯科医が歯科部材を誤って装着する可能性を減らすだけでなく、歯科医の効率を改善し、それによって、手技の全体的な時間を短縮することによって、患者への不快感を減らす。
【0050】
歯科表記システム15を使用して、各保管区画14に注記を付けて、各区画14が関連する歯を決定するさらなる手段を提供することもできる。ユニバーサル表記システムなどの認識された歯科表記システム15で各保管区画14に注記を付けることは、各区画14を患者の口の中の歯に直接関連付けるので有利である。したがって、歯科表記システム15と保管区画14の弓状レイアウトとの組み合わせにより、歯科医は、手技中に各保管区画14が関連する歯を非常に迅速かつ容易に識別することができる。
【0051】
各保管区画14は、歯科手技で使用するためのベニア、クラウン、インプラント、または歯科矯正などの歯科部材を保管するように構成される。歯科手技を実施する前に、歯科医は、手技に必要な歯科部材を、患者の口内の歯科部材の所望の位置に対応する保管区画14に配置することによって、手技の準備をすることができる。これは、複数の歯科部材を歯列弓の複数の場所で使用する必要がある手技に特に役立つ。歯科医は、弓型12上の区画14の位置および歯科表記システム15の両方によって、各歯科部材が使用される歯を容易に識別することができる。
【0052】
図2に示されるように、トレイ10は、1つの平坦な側面11と、平坦な側面11の両端から延びる1つの弓状側面13とを含む。トレイ10の弓状側面13は、歯列弓の弓形の経路に似ている。トレイ10の底面は、使用時にトレイ10が平面上に座ることができるように平坦である。トレイ10は、患者の下または上の歯列弓を表すことができる。
【0053】
トレイ10は、手技間で容易に洗浄および滅菌することができ、また必要な強度および剛性を提供する医療グレードのシリコーン材料から作製されている。オートクレーブを使用して、トレイ10を滅菌することができる。トレイ10のシリコーン本体は、5mm~20mmの厚さであり得る。医療グレードのシリコーンは、例えば、高濃度ゴム、液体シリコーンゴム、または抗菌シリコーンゴム、または任意の他の適切な材料であり得る。医療グレードのシリコーンは、他の適切な材料を使用することができるが、有利には、トレイ10を滅菌するためにオートクレーブ処理することができる。
【0054】
保管区画14は、トレイ10の上面に配置された楕円形の凹部またはソケットである。保管区画14は、平面の底面30および凹状の側壁32を有する。有益なことに、湾曲または凹状の側壁32は、保管区画14の側壁および平面の底面30からの滑らかな移行を提供し、細菌を発生させる可能性のある鋭い角がないので、保管トレイ10をより容易に洗浄および滅菌する。さらに、凹状の側壁32は、歯科医が保管区画14内から歯科部材を取り去ることを有利に容易にする。凹状の側壁32は、歯科部材を凹状の側壁32上にスライドさせて区画14から出すことを可能にする。保管区画14は、平面の底面がないボウル状の形状を形成することができる。
【0055】
保管区画14の平面の底面30はまた、染色剤またはうわ薬のための混合ウェルとして有益に使用され得る。細長い平面の底面30は、歯科医が染色剤またはうわ薬を混合することができる平坦な表面を提供する。細長い形状により、歯科医は、保管区画14の主軸の長さに沿って色のグラデーションを作成することができる。これにより、歯科医は染色剤またはうわ薬の色を患者の歯により正確に合わせることができる。
【0056】
弓状軸12に沿って配置された保管区画14は、歯科手技で使用するための歯科部材を少なくとも部分的に受け入れることができるように寸法が決められている。典型的には、区画14は、歯科部材がその中に配置され得るように、約2mm~10mmの深さである。保管区画14内に保管された歯科部材の少なくとも一部が保管区画14から突出するように保管区画14の深さを制御することは、歯科医が歯科部材を把持および取り去ることを有利に容易にする。保管区画14は、約20mm~30mmの長径および約10mm~20mmの短径を有し得る。保管区画14は、例えば、楕円または長方形の形状をとることができる。
【0057】
各保管区画14は、区画14が関係する歯のサイズに応じて異なるサイズであり得る。例えば、臼歯または小臼歯などのより大きな歯に関連する区画14は、より大きな歯で使用するためのより大きな歯科部材を収容するために、より大きくてもよい。逆に、門歯などのより小さな歯は、より小さな歯科部材を必要とし、したがって、これらの歯に関連する保管区画14は、それに応じてより小さな寸法にされる。
【0058】
前述のように、トレイ10は、各保管区画14に番号を付けるための歯科表記システム16を含む。歯科表記システム16は、添付の図に示されるように、ユニバーサルナンバリングシステムなどのナンバリングシステムであり得る。この場合、2~15までの数字は、上の歯列弓を表すように各保管区画14に隣接する弓状軸12の外側にエンボス加工される。同様に、18~31の数字は、下の歯列弓の各歯に対応する弓状軸12の内側にエンボス加工され得る。同じトレイ10が、下の弓型と上の弓型の両方での手技に使用され得るので、同じトレイ10上の下の弓型と上の弓型の両方に歯科表記システム15を提供することは、有益である。
【0059】
トレイ10は、弓状軸12の内側に配置された2つの腎臓形の皿16をさらに含む。腎臓形の皿16は、3ユニットブリッジなどのより大きな歯科部材のための保管を提供する。腎臓形の皿16は、平面の底面および丸みを帯びた側壁を含む腎臓形の凹部によって画定される。腎臓形の皿の弓状の外形は、歯列弓の外形と有益に実質的に一致する。そのため、腎臓形の皿は、3ユニットブリッジなどの複数歯用歯科部材の弓状外形を収容するために寸法が決められる。腎臓形の皿は、長手方向軸21を中心に対称的に位置付けられている。
【0060】
トレイ10はまた、長手方向軸21に沿って腎臓形の16皿の後方に位置付けられた3つの円形保管区画18を含む。円形保管区画18は、リン酸エッチング剤、フッ化水素酸、およびシランカップリングなどのエッチング剤および結合剤、または歯科手技を実施するために必要な他の任意の化学剤に使用することができる。エッチング剤および結合剤を保管するための保管区画18を提供することは、歯科手技の効率をさらに改善するので有益である。これは、修復手技に必要なすべての材料がトレイ10上に配置されてもよく、その結果として、歯科医が様々な部材を探す必要性を低減することができる。歯科医は、トレイ10から必要な歯科部材を選択し、次いで、プロセス全体を通して必要に応じて必要な薬剤を容易に適用することができる。したがって、トレイ10は、修復手技で使用するために必要な材料を保管するための1つの場所を提供する。
【0061】
図4は、トレイ10の下側を示している。トレイ10は、トレイ10の下側に混合パッド60を含む。トレイ10の平らな底部は、歯科医が歯科手技で使用するための薬剤を混合するために使用することができる。例えば、歯科医は、混合パッド60を使用して、必要に応じてエッチング剤と結合剤を混合することができる。歯科医は、手技において2つ以上のトレイ10を使用することができる。例えば、歯科医は、下の弓型の歯科部材を保管するためのトレイ、上の弓型の歯科部材を保管するためのトレイ10、および混合パッド60上の薬剤を混合するための上向きトレイ10を使用することができる。シリコーン混合パッド60は、オートクレーブなどによって容易に洗浄および滅菌することができる。トレイ10の下側はまた、ツーリングプレート51を含み得る。ツーリングプレート51は、トレイ10に関連する情報を含み得る。
【0062】
溝50は、トレイ10の周囲に走っている。コンプライアントリップ52は、溝50の外壁を画定する。リップ52は、蓋40がトレイ10上に位置付けられたときに、リップ52が溝50の中心に向かって内側に移動することができるように、順応性がある。リップ52は、弾性的にバイアスされ、蓋40に外向きの把持力を提供し、それにより、蓋40がリップ52を変形させるときに、蓋40をトレイ10に固定する。さらに、コンプライアントリップ52は、トレイ10および蓋40の製造公差を有利に説明する。
【0063】
トレイ10はさらに、2つの外向きに延びるタブ64を含む。外向きに延びるタブ64は、長手方向軸21の相互に反対側のリップ52上に位置付けられている。タブ64は、トレイ10を操作するために使用され得る。図2に示されるように、タブ64は、リップ52の反対側から外向きに延びる。外向きに延びるタブ64は、トレイ10のユーザのためのハンドルとして機能し、それにより、トレイ10をユーザが容易に把持および移動することを可能にする。さらに、タブ64は、リップ52を絞って内側に押すことを可能にし、それにより、トレイ10の蓋40の取り外しを支援する。
【0064】
図5および図6は、トレイ10の蓋40の斜視図を示している。蓋40の外部外形は、蓋40がトレイ10に取り付けられたときに、蓋40がトレイ10の上面全体を覆うように形作られる。蓋40は、蓋40の周囲の周りに延びる下向きに依存するフランジまたはスカート42を含む。蓋40は、トレイ10上に位置付けられると、スカート42が、トレイ10の周囲の周りに延びる。したがって、トレイ10は、トレイ10のスカート42の下に少なくとも部分的に受け入れられる。スカート42は、トレイ10上の蓋40を有利に配置し、トレイ10へのほこりまたは汚れの侵入をさらに低減する。
【0065】
蓋40は、トレイ10を把持し、蓋40をトレイ10に固定するための一連の隆起またはリブ70をさらに含む。リブ70は、蓋40のスカート42の内面44に位置付けられている。リブ70は、スカート42の内面44の周りに角度的に間隔を置いて配置され、スカート42の下端55に対して直交して延びて、スカート42の全高または深さを横切る。リブ70は、スカート42の内面44から内側に突出している。例えば、リブ70は、内面44から約1mm~3mm突出し得る。
【0066】
蓋40が、トレイ10上に位置付けられると、リブ70は、より柔軟で弾力性のあるリップ52の外面に係合し、わずかに変形し、把持し、それによって蓋40をトレイ10に固定する。より具体的には、蓋40が、トレイ10に固定されると、蓋40の内面44上のリブ70がリップ52と係合する。リップ52は、内面44のリブ70によって溝50の中心に向かって変形され、リップ52は、リブ70に弾力的把持力を提供し、それによって、蓋40をトレイ10に固定および保持する。
【0067】
蓋40が、トレイ10上に位置付けられると、スカート42の内面44のリブ70は、リップ52の外面と係合する。したがって、リブ70によって、スカート42とリップ52の外面との間に一連のギャップ76が作成される。スカート42とリップ52との間のリブ70によって作成されたギャップ76は、トレイ10がオートクレーブで滅菌されているときに、蒸気がそれに沿って流れることができる流路を有益に提供する。オートクレーブ内の蒸気は、リブ70間のギャップ76によって作成された流路に沿って流れることによって、トレイ10に浸透することができる。
【0068】
蓋40は、使用中、トレイ10の上面上に延びるカバー部分78をさらに含む。出っ張りまたは肩74は、蓋40のカバー部分78を取り囲み、スカート42をカバー部分78に密着させる。図6に最もよく見られるように、リブ70はそれぞれ逆L字形を有し、スカート42の内面44と交差する大部分と、肩74の下側と交差する小部分とを含む。肩部74の下の各リブ70の小部分とスカートの内面44上の各リブ70の大部分は、相互に垂直である。リブの大部分と小部分との間のこの直交関係は、有利には、リップ52とトレイ10の上面との間の直交関係に対応する。したがって、リブ70は、蓋40がトレイ10に固定されているときに、リップ52とトレイ10の上面の両方に接触することができる。
【0069】
蓋40が、トレイ10上に配置されると、肩部74の下に位置するリブ70の小部分が、トレイ10の上面に隣接し、それによって、トレイ10に対する蓋40のさらなる垂直移動を制御および阻害する。これは、オートクレーブ中に蒸気がトレイ10の内容物に浸透するためのシールを作成し、流路を遮断するので、肩74が、トレイ10の上面に載らないことを有益に保証する。同様に、スカート42の内面44に位置付けられたリブ70の大部分は、リップ52の外面に隣接して、トレイ10上の蓋40を保持し、リップ52に対するスカート42の位置を制御する。リブ70は、蓋40をトレイ10に固定するのに役立ち、また、オートクレーブ中の蒸気のために、トレイ10と蓋40との間に遮るもののない流路が維持されることを確実にする。
【0070】
蓋40は、下端55を遮るスカート42を通る2つの凹部またはノッチ72をさらに含む。ノッチ72は、蓋40がトレイ10上に位置付けられたときにノッチ72がタブ64と整列するように、長手方向軸21の周りで相互に対向してスカート42上に位置付けられる。タブ64は、蓋40がトレイ10上に配置されたときに、それぞれのノッチ72によって少なくとも部分的に受け入れられる。ノッチ72は、タブ64を収容し、それにより、蓋40がトレイ10上に位置付けられたときに、蓋40、および特にリブ70が、トレイ10の上面に係合することを有益に確実にする。
【0071】
図7は、蓋40が取り付けられたトレイ10の下側の一部の詳細図である。図7に示されるように、リブ70は、トレイ10のリップ52の外面と係合する。一連の狭いギャップ76が、蓋40のスカート42とトレイ10のリップ52との間に作り出される。上で概説したように、ギャップ76は、トレイ10がオートクレーブ処理されているときに、蒸気がトレイ10の内容物に浸透するための経路を提供するので有益である。したがって、トレイ10は、蓋40がトレイ10に固定された状態でオートクレーブ内に位置付けることができ、それにより、トレイ10、トレイ10の内容物、および蓋40が、オートクレーブ内で同時に滅菌されることを可能にする。
【0072】
溝50およびコンプライアントリップ52は、トレイ10に拡張レリーフをさらに提供する。トレイ10および蓋40のアセンブリがオートクレーブ処理されるとき、トレイ10は、蒸気からの熱の結果として膨張する可能性がある。トレイ10が膨張するとき、それは、蓋40のスカート42に半径方向に外向きの力を及ぼす。半径方向に外向きの力が、スカート42を押す。溝50およびコンプライアントリップ52のおかげで、トレイ10は、蓋40の周囲のスカート42に過度のストレスをかけることなく膨張することができる。これは、トレイ10が膨張する結果として、蓋40が損傷したりひびが入ったりするのを防ぐので有益である。さらに、コンプライアントリップ52および溝50の膨張リリーフ機能は、トレイ10が高温にあり、したがって膨張状態にあるときでさえ、ユーザが蓋40を容易に取り去ることができることを保証する。コンプライアントリップ52がないと、トレイ10がオートクレーブ処理された後、蓋40がトレイ10に引っかかったままであるか、または固くしまっているままである可能性がある。
【0073】
ここで図8に目を向けると、トレイ10が、蓋40が取り付けられた詳細な断面側面図で示されている。蓋40は、トレイ10と外部環境との間に保護バリアを提供するために、トレイ10に固定されるように構成される。これは、トレイ10およびその内容物が清潔で無菌に保たれることを確実にするのに役立つので有利である。加えて、蓋40は、トレイの内容物をそれらの選択された位置に保持するのに役立つ。
【0074】
図8は、蓋40がトレイ10上に位置付けられたときに、リブ70がトレイ10の上面およびリップ52の外面にどのように隣接するかを明らかにしている。リブ70は、肩74とトレイ10の上面との間、ならびにリップ52とスカート42との間のギャップ76を有益に維持する。ギャップ76は、蒸気が、トレイ10の内容物を浸透するための流路を画定する。さらに、図8に示されるように、スカート42は、リップ52よりも短いかまたは浅い。その結果、トレイ10が、オートクレーブ内のプラットフォームなどの表面によって支持されている間に蓋40がトレイ10上に位置付けられると、スカート42は、その表面に接触せず、代わりにその下端55がその表面から離れた状態に保たれる。これはさらに、蒸気の流路が、オートクレーブ中に蓋40によって妨害されないことを確実にする。
【0075】
蓋40は、それがトレイ10に固定されたときに、内面がトレイ10の上面に近いままであり、典型的にはトレイ10の上面から約1mmおよび20mm上にあるような寸法になっている。蓋40がトレイ10に固定されるとき、それは、それらのそれぞれの区画14内の保管区画14内に配置された任意の歯科部材を保持するように構成され得る。これは、トレイ10内に配置された歯科部材が、それらの正しい保管区画14から外れるのを防ぐので有利である。
【0076】
蓋40は、プラスチック材料、例えば、ポリカーボネートから作製され得る。蓋40は、オートクレーブ可能であるため、手技の合間に容易に洗浄および滅菌され得る。さらに、蓋40は、UV光が蓋40によって吸収または反射されるように、UV保護性であり得る。トレイ10にUV耐性蓋40を提供することは、いくつかの歯科部材がUV光に敏感であり、したがって、歯科部材をUV光から遮蔽することが望ましいので、有益である。さらに、円形保管区画18内に保管された化学エッチング剤および結合剤は、UV光によって硬化されてもよく、したがって、周囲のUV光からの遮蔽を必要とする。この状況では、歯科医は、必要な化学薬品を円形保管区画18に位置付け、次にトレイ10を蓋40で覆うことによって手技の準備をすることができる。UV耐性蓋40は、化学薬品がUV光と反応するのを防ぎ、それにより、手技で使用する前にそれらが硬化しないことを確実にするであろう。
【0077】
トレイ10は、事前に準備されたキットとして歯科医に供給され得る。例えば、歯科部材は、ラボまたは工場で患者のために特注で製造され得る。次に、特注の歯科部材を、歯科部材が設計されている歯に関連する保管区画14に位置付けることができる。
【0078】
この状況では、トレイ10は、手技前の準備が、ラボで実質的に完了するように、密封されたキットとして歯科医に送達され得る。有益なことに、これにより、歯科医が歯科手技の前に歯科部材の準備に時間を費やす必要がなくなるため、歯科医の効率がさらに向上する。トレイ10は、使い捨てのプラスチック材料から作製されてもよく、蓋40は、トレイ10の上部に接着されたプラスチック材料のシートであり得る。キットは、ラボで滅菌されており、プラスチック蓋40は、キット全体を滅菌状態に保つことができる。
【0079】
ここで図9に目を向けると、トレイ10は、蓋40が取り外され、プラスチックカバーまたはスキン90が、トレイ10の上面上に位置付けられた状態で示されている。スキン90は、歯科部材がそれぞれの保管区画14から脱落するのを防ぐことができるように、トレイ10と蓋40との間に保持されるように構成される。蓋40が、トレイ10上に位置付けられると、蓋40はスキン90と係合し、それにより、スキン90が保管区画14を囲むように、それをトレイ10の上面を横切ってしっかりと引っ張る。スキン90は、保管区画14内に位置する歯科部材がそれぞれの保管区画14から外れるのを有益に防止する。
【0080】
図10は、保管区画14内に歯科部材96、例えば、クラウンまたはベニアを保持しているスキン90の断面側面図である。当業者は、歯科部材96が、明確にするために図10に概略的に示されていることを理解するであろう。図10に示されるように、スキン90は、それが保管区画14内の歯科部材と係合するようにトレイ10の上面上に引き伸ばされ、それによって歯科部材96の一部を押し、それを保管区画14内に保持する。
【0081】
蓋40がトレイ10上に位置付けられると、リブ70は、リップ52と蓋40との間でスキン90に接触して把持または捕捉し、これにより、スキン90に張力を与え、スキン90をしっかりと引っ張る。蓋40がトレイ10上で下げられると、リブ70が、スキン90を把持し、スキンをトレイ10の上面上にしっかりと引っ張る。蓋40がトレイ10上に位置付けられると、スキン90は、リブ70とリップ52の外面との間に把持され、それにより、スキン90をトレイ10に固定する。図10に示される実施形態では、スカート42は、トレイがオートクレーブ処理されたときに、蒸気をトレイ10の内容物に浸透することを可能にするようにギャップ76が維持されるように、スキン90に接触しない。
【0082】
スキン90は、伸長するように構成され、保管区画14内に保持された歯科部材96の形状に概ね適合するように構成されたエラストマープラスチックシートである。スキン90は、トレイ10の外周の一般的な平面形状を超えて延び、それに従うように寸法が決められている。図10に示されるように、スキン90は、リップ52の高さとほぼ同じ距離だけ、トレイ10の外面を越えて延びる。これは、特大のスキン90が、リブ70とリップ52の外面との間で把持され得るので有益である。トレイ10に対する蓋40の下方への動きにより、蓋40が、スキン90がトレイ10の上面上にしっかりと引っ張られるように、トレイ10の上面に張り出したスキン90の部分に係合する。
【0083】
ギャップ76は、スキン90がトレイ10と蓋40との間に固定されているときに有益に維持される。したがって、蒸気がトレイ10の内容物を浸透するための流路は、スキン90の存在によって妨害されない。さらに、図9に最もよく見られるように、スキン90は、蒸気が各保管区画14に浸透することを可能にするように構成された一連の穴92または細孔を含む。これは、トレイ10および蓋40全体が、スキン90が所定の位置にある状態でオートクレーブ処理されてよく、その結果、トレイ10およびその内容物が、スキン90を除去する必要なしに容易に滅菌され得るので、有益である。
【0084】
ツーリングプレート51は、トレイ10の内容物を指定するラベルであってよく、トレイ10内の歯科部材が予定されている患者の詳細を含み得る。
【0085】
図11および図12は、別の実施形態による蓋40およびトレイ10の断面図を示す。図10および図11に示される実施形態では、蓋40は、ノッチ72を含まず、したがって、外向きに延びるタブ64を使用して、蓋40の垂直方向の動きを制御することができる。蓋40がトレイ10に固定されると、スカート42は、外向きに突き出たタブ64と係合することができる。外向きに突き出たタブ64は、ユーザが容易に把持し、トレイ10の位置を操作するためのトレイ10のハンドルとして機能する。半径方向に突き出たタブ64はまた、蓋40のストッパーとして機能し得る。蓋40のスカート42は、タブ60の上面62に隣接し、それにより、トレイ10に対する蓋40の垂直方向の動きを制限する。スカート42およびタブ64は、蓋40とトレイ10の上面との間のギャップのサイズを制御するように寸法決定され得る。熟練した読者は、保管区画14の凹部が歯科部材を完全に受け入れるのに十分である場合、蓋40がトレイ10の上面と同一平面上にある可能性があることを理解するであろう。
【0086】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】