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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】エアロゾルの発生
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20220217BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20220217BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20220217BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/10
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538963
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 GB2019053653
(87)【国際公開番号】W WO2020141314
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】1900125.4
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン、ワリド
(72)【発明者】
【氏名】ベル、サリー
【テーマコード(参考)】
4B043
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB01
4B043BB10
4B043BB16
4B043BB22
4B043BB25
4B043BB26
4B043BC01
4B043BC11
4B043BC12
4B043BC19
4B043BC26
4B043BC31
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AB28
4B162AC13
4B162AC17
(57)【要約】
(i)ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と、(ii)固体塩基性材料と、 (iii)湿潤剤とを含み、使用時に湿潤剤がユーザーによる混合機構の始動時に固体塩基性材料とエアロゾル化可能な材料と混合されるエアロゾル発生品が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と、
(ii) 固体塩基性材料と、
(iii) 湿潤剤と
を含むエアロゾル発生品であって、
使用時に湿潤剤がユーザーによる混合機構の始動時に固体塩基性材料とエアロゾル化可能な材料と混合されるエアロゾル発生品。
【請求項2】
エアロゾル化可能な材料はタバコ材を含むことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生品。
【請求項3】
エアロゾル化可能な材料および固体塩基性材料は混合物として供されることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生品。
【請求項4】
固体塩基性材料は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のエアロゾル発生品。
【請求項5】
湿潤剤はエアロゾル発生剤および/または水を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のエアロゾル発生品。
【請求項6】
湿潤剤は、水、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項5記載のエアロゾル発生品。
【請求項7】
湿潤剤はカプセル化されており、このカプセルは、使用の際、破裂させて湿潤剤を放出し、それが固体塩基性材料と混ぜられるようにすることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のエアロゾル発生品。
【請求項8】
湿潤剤は使用時に加熱されて蒸気および/またはエアロゾルを形成し、蒸気および/またはエアロゾルは使用時に固体塩基性材料と接触するように流れることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のエアロゾル発生品。
【請求項9】
湿潤剤はユーザーによるポンプの始動によって塩基性材料と接触するように圧送されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載のエアロゾル発生品。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル発生品とヒーターとを含むエアロゾル発生集合体。
【請求項11】
湿潤剤を含む第1の揮発性材料を保持する容器と
容器に保持された第1の揮発性材料を蒸発させるためのヒーターと、
ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と固体塩基性材料の混合物を含むチェンバーと、
出口とを含み、
使用時に湿潤剤を含む第1の揮発性材料がヒーターによって蒸発し、蒸気および/またはエアロゾルを形成するように構成され、この蒸気および/またはエアロゾルはエアロゾル化可能な材料と固体塩基性材料を含むチェンバーを通過し、エアロゾル化可能な材料の1つ以上の成分を同伴し、これにより出口を通過する吸引可能な媒体を形成することを特徴とする請求項10記載の集合体。
【請求項12】
第1の揮発性材料はエアロゾル発生剤を含むことを特徴とする請求項11記載の集合体。
【請求項13】
第1の揮発性材料は液体またはゲルを含むことを特徴とする請求項11または12記載の集合体。
【請求項14】
請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル発生品と吸引可能な媒体を発生させるために使用する装置とを含み、装置はヒーターを含むキット。
【請求項15】
湿潤剤および固体塩基性材料とニコチンを含むエアロゾル化可能な材料を混合してエアロゾル化可能な材料からニコチンを放出することと、
エアロゾル化可能な材料の成分を揮発させて吸引可能な媒体を形成することを含む吸引可能な媒体の発生方法。
【請求項16】
湿潤剤を含む第1の材料を揮発させて蒸気および/またはエアロゾルを形成することと、
蒸気および/またはエアロゾルを固体塩基性材料およびニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と接触させた結果としてエアロゾル化可能な材料からニコチンを放出し、蒸気および/またはエアロゾルにエアロゾル化可能な材料の1つ以上の成分を同伴させることを含むことを特徴とする請求項15記載の吸引可能な媒体の発生方法。
【請求項17】
湿潤剤と、固体塩基性材料とエアロゾル化可能な材料とを含む組成物を供することと、
湿潤剤と組成物を混合して塩基性溶液を形成することと、
エアロゾル化可能な材料からニコチンを解放することとを含む、ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料からニコチンを持続放出する方法。
【請求項18】
ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料からニコチンを持続的に送出するための湿潤剤の使用であって、エアロゾル化可能な材料は固体塩基性材料と混ぜられ、
湿潤剤を固体塩基性材料およびエアロゾル化可能な材料と接触させ、結果としてエアロゾル化可能な材料からニコチンを放出し、エアロゾル化可能な材料の成分は揮発させて吸引可能な媒体を形成する湿潤剤の使用。
【請求項19】
固体塩基性材料およびニコチンを含むエアロゾル化可能な材料を含み、湿潤剤の貯蔵部を含む装置に使用するために構成されるカートリッジであって、吸引可能な媒体を含むための装置に使用するためのカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生品、エアロゾル発生集合体、キットおよび吸引可能な媒体の発生方法に関するがこれらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの種の喫煙品の代替え品に吸引可能な媒体を形成するために燃焼せずに化合物を放出するものがあり、エアロゾル発生装置と言う場合もある。
【0003】
そのような製品の例としてはタバコ加熱製品またはタバコ加熱装置としても知られている非燃焼加熱製品が挙げられる。そのような装置ではタバコを含んでもよいまたは含まなくてもよい固体のエアロゾル化可能な材料を燃やさずに熱せられ、吸引可能な媒体を形成する。固体のエアロゾル化可能な材料の成分が揮発し、蒸気またはエアロゾルを形成する。吸引可能な媒体は、場合によってはニコチンを含んでもよい。
【0004】
そのような製品のさらなる例としては電子タバコハイブリッド装置または単にハイブリッド装置としても知られている電子タバコ/非燃焼加熱ハイブリッド装置が挙げられる。これらのハイブリッド装置は、蒸気またはエアロゾルを製するために加熱することによって気化する蒸気またはエアロゾル前駆体(液体またはゲルなどの)を含む。蒸気前駆体はグリセリンおよび一部の例ではニコチンなどの香味料および/またはエアロゾル発生する物質を含んでもよい。蒸気またはエアロゾルは装置内の基剤材料を通過し、吸い込まれる媒体を製するために基剤材料の1つ以上の成分を同伴する。基剤材料は、例えばタバコ、ニコチンを含んでも含まなくてもよい他の非タバコ製品またはブレンドミックスなどの組み合わせであってもよい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明する一部の実施態様では本発明は(i)ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と、(ii)固体塩基性材料と、(iii)湿潤剤とを含み、使用時に湿潤剤がユーザーによる混合機構の始動時に固体塩基性材料とエアロゾル化可能な材料と混合されるエアロゾル発生品を提供する。
【0006】
一部の実施態様では本発明はヒーターと本発明の他の実施態様によるエアロゾル発生品とを含むエアロゾル発生集合体を提供する。
【0007】
一部の実施態様において本発明は、本発明の他の態様によるエアロゾル発生品と、吸引可能な媒体を発生させるために使用され、ヒーターを含む装置とを含むキットを提供する。
【0008】
また本発明は湿潤剤および固体塩基性材料とニコチンを含むエアロゾル化可能な材料を混合してエアロゾル化可能な材料からニコチンを放出することと、エアロゾル化可能な材料の成分を揮発させて吸引可能な媒体を形成することとを含む吸引可能な媒体の発生方法を提供する。
【0009】
また本発明は、湿潤剤と、固体塩基性材料とエアロゾル化可能な材料とを含む組成物を供することと、湿潤剤と組成物を混合して塩基性溶液を形成することと、エアロゾル化可能な材料からニコチンを解放することとを含むニコチンを含むエアロゾル化可能な材料からニコチンを持続放出する方法を提供する。
【0010】
また本発明は、ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料からニコチンを持続的に放出するための湿潤剤放の使用を提供し、エアロゾル化可能な材料は固体塩基性材料と混ぜられ、湿潤剤を固体塩基性材料およびエアロゾル化可能な材料と接触させ、結果としてエアロゾル化可能な材料からニコチンを放出し、エアロゾル化可能な材料の成分は揮発させて吸引可能な媒体を形成する。
【0011】
また本発明は吸引可能な媒体を含むための装置に使用し、固体塩基性材料とニコチンを含むエアロゾル化可能な材料を含むカートリッジを提供し、カートリッジは湿潤剤の貯蔵部を含む装置に使用するために構成される。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して単に一例として挙げられる本発明の好ましい実施態様の以下の説明から明らかになる。
【0013】
本発明による吸引可能な媒体の発生装置の例を添付図面を参照し以下に説明する
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】吸引可能な媒体を発生させる装置の一例の略式長手方向断面図である。
図2】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
図3】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
図4】液体容器および固体材料用の一体容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
図5】液体容器および固形材料用の取り外し可能な容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
タバコは塩基と水で処理してタバコからニコチンを解放しやすくすることができる。ニコチンは塩基との反応によってタバコのニコチン塩から解放される。次にニコチンは使用時に低温で気化する。
【0016】
本発明者は塩基処理されたタバコを従来の電子タバコハイブリッド装置に使用した場合、使用時のパフ一回当たりのニコチン送出量が著しく減少することを発見した。塩基とニコチンの反応はすぐに起こり、その後pH処理されたニコチンはすぐに解放されてしまい、消費中の送出量はパフする毎に減少する。また本発明者は塩基pH処理されたタバコからのニコチンはその高い揮発性により使用前に装置から失われる場合があることを観察した。
【0017】
本発明はニコチンを含むエアロゾル化可能な材料(タバコ材などの)のpH処理を遅らせてパフ一回当たりのニコチン送出量の一貫性を向上させる。本発明はエアロゾル化可能な材料と一緒に湿潤剤と固体塩基性材料を使用し、使用時湿潤剤と固体塩基性材料が混ぜられ、エアロゾル化可能な材料と接触し、ニコチンを解放する塩基性溶液を形成する。場合によっては湿潤剤が固体塩基性材料と接触する速度は使用時に調整され、これによりpH処理によって解放されるニコチンの量を調整する。湿潤剤、固体塩基性材料およびエアロゾル化可能な材料の混合の前にニコチンの塩基性pH処理は行われない。
【0018】
さらにタバコの塩基性pH処理は結果としてアンモニアを解放する。塩基性pH処理の量を調整することでアンモニアの放出量が調整され、これによりタバコのタバコの感覚刺激特性が改善される(アンモニアの臭いが弱くなるので)。
【0019】
本明細書で説明する一部の実施態様では本発明は、(i)ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と、(ii)固体塩基性材料と、(iii)湿潤剤を含むエアロゾル発生品を提供し、使用時湿潤剤は、ユーザーによる混合機構の始動時に塩基性材料とエアロゾル化可能な材料と混ぜられる。
【0020】
エアロゾル化可能な材料は通常は固体である。場合によってはエアロゾル化可能な材料はタバコ材を含む。本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は、粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しタバコ、タバコ葉柄、再生タバコ、凝集タバコ、球形化タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0021】
場合によってはタバコなどのエアロゾル化可能な材料の水分量は、15wt%以下、好適には10wt%以下である。これはエアロゾル化可能な材料中に存在する水分と固体塩基性材料との反応を確実に最小限にする。
【0022】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、ヴァージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維であってもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法または押し出しによって形成してもよい。
【0023】
エアロゾル化可能な材料は追加で香味料および/またはエアロゾル発生剤を含んでもよい。
【0024】
エアロゾル化可能な材料は、転化糖、糖蜜、甘蔗糖、蜂蜜、ココア、甘草、グリセリンおよびプロピレングリコールなどのポリオールおよびリンゴ酸などの酸類などの1つ以上のケーシングを追加で含んでもよい。
【0025】
エアロゾル化可能な材料は、アルギン酸塩類、セルロース類または変性セルロース類、スターチまたは加工でんぷんまたは天然ゴムなどの1つ以上のバインダーを追加で含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸塩を含む。
【0026】
エアロゾル化可能な材料は1つ以上の充填剤を追加で含んでもよい。好適には充填材は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび炭酸マグネシウムなどの無機材料を含んでもよい。場合によっては充填材はチョークを含む。好適には充填材はウッドパルプ、セルロースおよびセルロース誘導体などの有機充填材を含んでもよい。
【0027】
場合によってはエアロゾル化可能な材料および固体塩基性材料は、混合物、好適には均一混合物として提供される。場合によっては固体塩基性材料の密度は、エアロゾル化可能な材料の密度の約10%または5%の範囲内である、これにより混合物中のこれらの部材の分離を最小限にする。
【0028】
場合によってはエアロゾル化可能な材料に対する固体塩基性材料の乾式重量基準で計算される重量比は、約0.05:1~約0.15:1、好適には0.05:1~0.1:1の範囲であってもよい。
【0029】
別の場合では固体塩基性材料はエアロゾル化可能な材料とは別個に設けてもよく、固体塩基性材料はエアロゾル化可能な材料の上流に供される(この場合、上流は使用の際のエアロゾルの流れの方向を意味する)。そのような場合には固体塩基性材料はエアロゾル化可能な材料とは別個のチェンバーに設けてもよく、または両方の成分を上流端で設けられる固体塩基性材料を有する同じチェンバーに設けてもよい。
【0030】
本明細書中では,「固体塩基性材料」なる用語は湿潤剤に溶けた際に塩基性溶液を形成するあらゆる材料を意味する。好適には材料は約8超のpHを有する塩基性溶液を形成する。好適には材料は約10未満のpHを有する塩基性溶液を形成する。好適には材料は約8未満のpHを有する塩基性溶液を形成する。場合によっては固体塩基性材料は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたはそれらの混合物を含む。
【0031】
場合によっては湿潤剤はエアロゾル発生剤および/または水を含む。場合によっては湿潤剤は水、グリセリンおよびプロピレングリコールの内の少なくとも1つを含む。
【0032】
場合によっては湿潤剤を固体塩基性材料およびニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と混ぜることはパフ始動である。これはエアロゾル化可能な材料のpH処理がパフ中のみに起き、ニコチンの解放がパフの間は最小限になる(意図しないニコチンの損失を減少させ、消費期間中のニコチンの持続的放出を供する)ことを意味する。即ち、場合によってはエアロゾル発生品はパフ検知器を含むエアロゾル発生装置に使用するために構成されている。
【0033】
場合によっては湿潤剤はカプセル化され、カプセルは使用の際、破裂させ、湿潤剤を放出し、固体塩基性材料と混ざるようにする。そのような一部の場合において、カプセルは潰すことができてもよく、湿潤剤の放出は使用の際ユーザーがカプセルを潰すことによって行われる。そのような一部の場合において、カプセルは穿孔部材によって破裂させてもよい。一例では穿孔部材はユーザーによってカプセルと接触させてもよく、例えばそのような動作はボタン始動であってもよい。別の場合には穿孔部材を物品が挿入される装置の一部として提供されてもよく、この場合穿孔部材は部材は物品が挿入されるとカプセルを破裂させる。さらに別の場合には湿潤剤は溶融、分解、反応、劣化、膨潤、溶解または変形するカプセル化する材料によってカプセル化して室温より高いが使用中に到達する温度より低い温度で湿潤剤を放出する。例えば、湿潤剤は多糖またはセルロース系バリアー材、ゼラチン、ゴム、ゲル、ワックスまたはそれらの混合物から選択されるカプセル化材料によってカプセル化されてもよい。場合によってはカプセル化材はアルギン酸塩類、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル類、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、アカシアゴム、グアーゴム、マルメロ種子ゴム、キサンタンガゴム、寒天ゲル、アガロースゲル、カラギーナン、フロイダン、ファーセレランおよびカルナウバワックスの内の1つ以上から選択される。
【0034】
場合によっては湿潤剤は使用時加熱されて蒸気および/またはエアロゾルを形成し、使用の際蒸気および/またはエアロゾルは流れて固体塩基性材料と接触する。例えば、物品は電子タバコハイブリッド装置に使用するために構成してもよく、湿潤剤は、加熱によって気化されて蒸気および/またはエアロゾルを製する蒸気またはエアロゾル前駆体(液体またはゲルなどの)の成分として設けてもよい。集合体は固体塩基性材料およびエアロゾル化可能な材料と接触するように蒸気および/またはエアロゾルを流れるように構成されている。湿潤剤を含む流れる蒸気/エアロゾルは固体塩基性材料を溶かし、塩基性溶液を形成し、これはエアロゾル化可能な材料をpH-処理し、これによりニコチンを解放する。場合によっては湿潤材料の揮発はパフによって始動される。これはエアロゾル化可能な材料pH処理がパフ中のみに起き、ニコチンの解放がパフの間は最小限になる(意図しないニコチンの損失を減少させ、消費期間中のニコチンの持続的放出を供する)ことを意味する。
【0035】
場合によっては湿潤剤はユーザーによるポンプに作動時に圧送されて塩基性材料と接触する。ポンプはエアロゾル発生品が挿入されるエアロゾル発生品の一部として供されてもよい。そのような一部の場合において、ポンプは、例えばボタンで始動してもよく、これによりユーザーはエアロゾル化可能な材料のpH処理速度を制御し、これによりニコチン放出量を制御する。一部のそれ以外の場合、ポンプはパフによって始動してもよく、これによりエアロゾル化可能な材料のpH処理がパフ中のみに起き、ニコチンの解放がパフの間は最小限になる(意図しないニコチンの損失を減少させ、消費期間中のニコチンの持続的放出を供する)。
【0036】
エアロゾル発生品は1つの部材として設けてもよい、または2つ以上の部材として設けてもよい。例えば、湿潤剤は電子タバコハイブリッド装置に使用するための液体ポッドなどの第1部材に設けてもよく、エアロゾル化可能な材料および固体塩基性材料は一緒に電子タバコハイブリッド装置に使用するためのタバコポッドなどの第2部材に設けてもよい。これらの部材は場合によっては装置内の挿入のために一緒にクリップ留めしてもよい。一部の例では、これら別個の部材を装置に個々に挿入してもよい。
【0037】
また本発明はヒーターと、本発明の実施態様によるエアロゾル発生品とを含むエアロゾル発生集合体を提供する。
【0038】
ある実施態様ではヒーターはバッテリーによって始動する。ある実施態様では該または各ヒーターは電気抵抗性ヒーターである。
【0039】
場合によっては集合体は、エアロゾル化可能な材料が使用の際、加熱されて吸引可能な媒体を発生するで非燃焼加熱集合体あってもよい。
【0040】
場合によっては集合体は電子タバコハイブリッド集合体であってもよい。そのような一部の場合において、湿潤剤は第1の揮発性材料の成分として設けてもよい。この材料を加熱すると揮発性材料が揮発し、湿潤剤を含むエアロゾルおよび/または蒸気を形成する。エアロゾルおよび/または蒸気は集合体を流れ、エアロゾル化可能な材料および固体塩基性材料と接触し、ニコチンを解放させる。一部の別の例では湿潤剤は、カプセル化された形体などのここで説明した他の方法で電子タバコハイブリッド集合体に含まれてもよい。
【0041】
一部の特定の場合には本発明は、
湿潤剤を含む第1の揮発性材料を保持する容器と、
容器に保持された第1の揮発性材料を蒸発させるためのヒーターと、
ニコチンを含むエアロゾル化可能な材料と固体塩基性材料とを含むチェンバーと、
出口とを含む集合体を提供し、
使用時に湿潤剤を含む第1の揮発性材料がヒーターによって蒸発し、蒸気および/またはエアロゾルを形成するように構成されており、この蒸気および/またはエアロゾルはエアロゾル化可能な材料と固体塩基性材料を含むチェンバーを通過し、エアロゾル化可能な材料の1つ以上の成分を同伴し、これにより出口を通過する吸引可能な媒体を形成する。
【0042】
場合によっては第1の揮発性材料は液体またはゲルを含む。第1の揮発性材料は、これとは別に蒸気/エアロゾル前駆体と称してもよい。好適には第1の揮発性材料は、液体を含む、実質的に液体からなるまたは液体からなる。好適な液体は、電子タバコの液体に従来使用されている成分を含む。
【0043】
第1の揮発性材料は、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンなどのエアロゾル発生剤を含んでもよい。加えてそれは場合によっては香味料を含んでもよい。材料は通常約150~250℃で蒸発する。
【0044】
場合によってはエアロゾル化可能な材料および/または固体塩基性材料は、エアロゾルまたは蒸気が材料を通過できるように多孔性であってもよい。これはエアロゾルおよび/または蒸気と接触するために材料に広い接触面積を供する。
【0045】
好適にはエアロゾル化可能な材料(使用する前に)は、タバコのpHを測定するためのCORESTAプロトコルに従って測定したpHは約7未満であってもよい。
【0046】
第1の揮発性材料は、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンなどのエアロゾル発生剤を含んでもよい。加えてそれは場合によっては香味料を含んでもよい。材料は通常約150~250℃で蒸発する。
【0047】
場合によっては集合体は使用時にエアロゾル化可能な材料を加熱し、それらの成分の吸い込まれる媒体内の放出を促進する。場合によっては1つのヒーターで第1の揮発性材料とエアロゾル化可能な材料の両方を熱してもよい。場合によってはエアロゾル化可能な材料加熱する第2ヒーターを設けてもよい。場合によっては装置はエアロゾル化可能な材料を熱せず、蒸気/エアロゾルによって運ばれる熱に依存して、材料を暖める(これによりその後蒸気/エアロゾル流に同伴される材料の成分を揮発させる)。
【0048】
ある実施態様では集合体はヒーターの下流でエアロゾル化可能な材料を含むチェンバーの上流にクーラーまたは冷却領域を含み、クーラーまたは冷却領域は蒸発させた材料を冷まして、使用時にエアロゾル化可能な材料のチェンバーを通過する液滴のエアロゾルを形成する。クーラーは実際に熱交換器として作用するように配置され、蒸気からの熱を回収することができる。回収された熱は、例えばエアロゾル化可能な材料を予備加熱するおよび/または第1の揮発性材料の加熱を補助するために使用することができる。
【0049】
ある実施態様ではヒーターはパフによって始動される。即ち、本発明の装置はパフ検知器を含み、パフを検知した際にだけ第1の揮発性材料を加熱する。これはパフしている間だけ蒸気/エアロゾルを装置内に形成し、これにより確実にタバコ材のpH処理がパフの間だけ起こることを意味する。これはさらにタバコのpH処理を遅らせ、意図しないニコチンの損失を減らし、消費期間中ニコチンの送出を持続させる。
【0050】
ある実施態様では第1の揮発性材料を保持する容器は取り外し可能である。容器はポットなど(一部の実施態様では例えば環状であってもよい)および/または脱脂綿などの形体であってもよい。実際には容器は、使用後に全体が交換される使い捨てアイテムであってもよい。別例としてユーザーが装置から容器を取り外し、使用済みの揮発性材料を交換するまたは揮発性材料を容器に継ぎ足し、次に容器を装置内に戻すように構成してもよい。
【0051】
場合によっては容器は装置から取り外せなくてもよい。このような実施態様ではユーザーは使用後必要に応じて使用済みの材料をただ交換または容器に注ぎ足すだけでよい。
【0052】
場合によっては容器とチェンバーは一体ユニットである。場合によってはこの一体ユニットは装置から取り外せるカートリッジである。このようなユニットは本発明の実施態様によるエアロゾル発生品である。
【0053】
場合によってはチェンバーは装置から取り外せる。チェンバーは、使用前に例えばエアロゾル化可能な材料(および任意に固体塩基性材料)を含むカートリッジなどの形体であってもよい。エアロゾル化可能な材料(および任意に固体塩基性材料)を含むチェンバー全体が実際には使用した後全体として交換される使い捨てアイテムであってもよい。別例として、ユーザーがチェンバーを装置から取り外し、そのチェンバーの使用済み材料を交換し、次にチェンバーを装置に戻すように構成してもよい。
【0054】
また本発明は吸引可能な媒体を含むための装置に使用し、固体塩基性材料とニコチンを含むエアロゾル化可能な材料を含むカートリッジを提供し、カートリッジは湿潤剤の貯蔵部を含む装置に使用するために構成される。好適にはカートリッジは、本明細書で説明する吸引可能な媒体を発生させる装置に使用するようになっている。
【0055】
また本発明は本発明の実施態様によるエアロゾル発生品と、吸引可能な媒体を発生させるために使用する装置とを含むキットを提供し、装置はヒーターを含む。集合体に関して上述した特徴は、本発明のキットの態様と組み合わせて明確に開示され、集合体に関して説明される特徴は、装置の特徴であってもよい。従って、例えば装置はパフアクチュエーター、冷却部材または冷却領域、ボタンなどの作動手段、追加のヒーター、湿潤剤用ポンプなどの内の1つ以上を含んでもよい。
【0056】
本発明のエアロゾル発生集合体に関して説明した特徴は、エアロゾル発生品と組み合わせてそしてその逆と組み合わせてそれらが矛盾しない範囲内で明確に開示されているものとする。同様にエアロゾル発生集合体またはエアロゾル発生品に関して説明する特徴は本発明のカートリッジの態様と組み合わせておよびその逆と組み合わせて明確に開示されている。
【0057】
具体的には本明細書で説明したエアロゾル化可能な材料、固体塩基性材料および湿潤剤の特徴は、本発明の各実施態様と組み合わせて明確に開示されている(それらが矛盾しない範囲で)。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様による吸引可能な媒体の発生装置の例を添付図面を参照して説明する。図1を参照すると吸引可能な媒体の発生装置1の一例が示されている。大筋において、装置1は、湿潤剤を含む液体を揮発させ、蒸気またはエアロゾルを形成し、これは固体塩基性材料とタバコ材の混合物を通過し、タバコ材から得られる1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0059】
この点に関し、第1に注目すべきことは一般に蒸気はその臨界温度より低い温度で気相の物質であり、これは例えば蒸気はその温度を下げずに圧力を上げることによって凝縮されて液体になり得ることを意味する。一方、一般にエアロゾルは、空気または別の気体中で微細固体粒子または液滴のコロイドである。「コロイド」は微視的に分散した不溶粒子が別の物質の全体に懸濁されている物質である。
【0060】
再度図1を参照するとこの例の装置1はほぼ中空の円筒状の外方ハウジング2を有する。ハウジング2は開口端部3を有する。この例では管状のマウスピース4が開口端部3に設けられている。この例のマウスピース4はユーザーがハウジング2から取り外すことができる。O-リングまたは他のシール部材5がハウジング2内でのマウスピース4の封止の補助をしている。ハウジング2の他端6または他端の方にあるのは以下にさらに述べるように装置1の種々の部材に給電するためのバッテリー7である。バッテリー7は充電可能なバッテリーまたは使い捨てバッテリーであってもよい。またコントローラー8がハウジング2に以下にさらに述べるように装置1の種々の部材の稼働を制御するために設けられている。
【0061】
ハウジング2は、本例では液体10である揮発性材料を保持するまたは含有する容器9を有する。揮発性材料は水などの湿潤剤を含む。種々の異なる形体を容器9に使用してもよい。図1の例では容器9は開口端部3と他端6の間でハウジング2に設けられた環状のチェンバー9の形体である。この特定の例ではハウジング2は2つの部分、即ち開口端部3の方にある第1部分2aと他端6の方にある第2端部2bからなる。ハウジング2の第1および第2部分2a、2bは、ねじ山、バイオネット嵌めなどによって互いに接続してもよい。使用の際、ユーザーはハウジング2の第1および第2部分2a、2bを離して、必要に応じて液体10を補充または交換できる。これとは別にマウスピース4を外して容器に触れられるようにすることも可能である。しかしながら、当然のことながら他の構成も可能である。例えば、液体10をハウジング2から全体的に取り外すことができる個別の環状のポット状容器に設けてもよい。このような個別の容器はユーザーが液体10を含む新しい容器をハウジング2に嵌めることで液体10を交換できるように使い捨てであってもよい。あるいはこのような容器を再使用可能にしてもよい。このような場合、ユーザーは、容器がハウジング2から取り外されている間に容器内の液体10を補充または交換して、この補充された容器をハウジングに戻してもよい。当然のことながらハウジング2は2つの部分から構成される必要はなく、ユーザーが触れることができるようにする他の構成、例えばその場で補充できるようにしてもよい。
【0062】
ヒーター11はハウジング2のほぼ中央、即ちこの例ではハウジングの長さと幅に沿って中央に設けられている。この例ではヒーター11はバッテリー7によって給電され、従ってバッテリー7に電気的に接続されている。ヒーター11は、例えばニクロム抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどを含む電気抵抗性ヒーターであってもよい。ヒーター11は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造である)、フィルムヒーターなどであってもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を使用してもよい。
【0063】
ヒーター11は液体10を揮発させるために設けられている。図示の例では環状の芯12がヒーター11を囲み、ヒーター11と(熱的に)接触している。環状の芯12の最外面は、液体容器9に含まれる液体10と接触する。芯12は一般的に吸収材であり、毛管作用により液体容器9から液体10を吸い込むように作用する。芯12は好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウールなどまたは例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどを含む合成材であってもよい。これについては後でより詳しく説明するが、ここで注目すべきは使用の際、芯によって吸い込まれる液体10はヒーター11によって加熱されるということである。液体10は、揮発させて液滴のエアロゾルを製してもよく、充分に加熱して蒸気を製してもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯12を出て、ユーザーのマウスピース4での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース4の方に移動する。ヒーター11と芯12は、単独の効果的に一体化された場合によっては「アトマイザー」と称されるアイテム、として供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0064】
ハウジング2は装置1内で固体基材14を保持するまたは含むチェンバー13をさらに含む。基材14はタバコ材と炭酸カルシウムなどの固体塩基性材料を含む粒状混合物である。使用時、ユーザーはマウスピース4を取り除くおよび/またはにハウジング2の2つの部分2a、2bを離すことによってハウジング2の開口端部3を介して固体基材14を交換または補充するためにチェンバー13に触れることができる。種々の異なる形状をチェンバー13に使用してもよい。例えば、チェンバー13は両端が完全に開口し、固体基材14を含む管であってもよい。別の例として、チェンバー13は1つ以上の端部壁を有する管であってもよく、これら端部壁は蒸気またはエアロゾルが通過できる貫通孔を有してもよい。チェンバー13はハウジング2内に留まったままでユーザーは固体基材14を取り除き、交換する。これとは別に固体基材14を含むチェンバー13は、使用の際に全体的にハウジング2に挿入され、取り除かれる個別のアイテムであってもよい。この種の取り外し可能なチェンバーは、ユーザーが新鮮な固体基材14を含む新しいチェンバー13をハウジング2に嵌めることによって固体基材14を交換するために使い捨てであってもよい。これとは別にチェンバー13は繰り返し使用可能であってもよい。このような場合、ユーザーはチェンバー13がハウジング2から取り外されてチェンバー13内の固体基材14を交換して、ハウジング2に補充されたチェンバー13に変えてもよい。さらに別の例ではチェンバー13は、ハウジング2の内部に設けられ、固体基材14を所定の位置に保持するクリップを含んでもよい。一部の例では固体基材14は、チェンバー13内に単に滑り嵌めすることも可能である。さらに別の例として液体10を含むための容器9それ自体を固体基材14を支持または担持するように構成してもよい。例えば、容器9は、固体基材14を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体10を含みかつ固体基材14を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器9/チェンバーまたは受け部13は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体10と固体基材14が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能であってもよい。場合によってはユーザーは充分な液体10が数回の使用に供される分の固体基材14を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体10が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器9/受け部13を廃棄し、新しいものを使用する。同様に充分な固体基材14が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体10を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。固体基材14が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器9/受け部13を廃棄し、新しいものを使用する。2つの機能を持った容器9/受け部13の具体例については以下に述べる。
【0065】
固体基材14は、エアロゾルまたは蒸気が液体10から製せられる場所の下流でハウジング2の開口端部3およびマウスピース4の上流のハウジング2内に位置する。この特定の例では固体基材14は、芯12としてハウジング2の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体10から製せられるエアロゾルまたは蒸気は、芯12を出て、矢印Aで示すようにユーザーのマウスピース4の吸い込み作用によって固体基材14の方へと移動する。特定の実施態様では固体基材14は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が材料14を通り、その後ハウジング2の開口端部3およびマウスピース4を通過する。エアロゾルまたは蒸気の形体の湿潤剤は固体塩基性材料と接触して塩基性溶液を形成する。塩基はタバコのpHを大きくし、ニコチンを遊離させ、通過する蒸気/エアロゾルにより同伴されやすくなる。
【0066】
一部の実施態様では固体基材14および/またはそのチェンバー13は、固体基材14/チェンバー13とハウジング2の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が固体基材14全体を介して流れるように構成されている。
【0067】
好適には液体10は、装置1の電力消費を抑えるのに役立つように妥当な温度、好ましくは100~300℃の範囲、より好ましくは約150~250℃で揮発可能な液体である。好適な材料は電子タバコ装置に従来から使用されている、例えばプロピレングリコールおよびグリセロール(グリセリンとして知られている)などがある。
【0068】
固体基材14は、液体10から製せられるエアロゾルまたは蒸気にエアロゾルまたは蒸気が固体基材14を通過する際に風味を付与する。エアロゾルまたは蒸気が固体基材14を通過する際、熱いエアロゾルまたは蒸気がタバコにその感覚刺激性を与える固体基材14からの有機物および他の化合物または成分を同伴し、エアロゾルまたは蒸気がマウスピース4を通過する際にエアロゾルまたは蒸気に風味を付与する。
【0069】
図1に示す例では、固体基材14から有機物および他の化合物または成分を発生させるのに必要とされる装置1で固体基材14を加熱するための唯一の熱源は、液体10から製せられる熱いエアロゾルまたは蒸気である。
【0070】
図2を参照すると吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明および図2において、図1を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが200が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら図1の例に関し上述した構成および代替えなどは図2の例にも適用可能である。ここでも大筋において図2の装置201は、液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これは固体基材214を通過して固体基材から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0071】
この例の装置201は、開口端部203と管状のマウスピース204を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング202を有する。この例のマウスピース204はユーザーがハウジング202から取り外すことができ、O-リングまたは他のシール部材205がハウジング202内でのマウスピース204の封止の補助をしている。装置201の種々の部材に給電するためのバッテリー207とコントローラー208がハウジング202の他端206または他端の方に設けられている。この例のハウジング202は2つの部分からなり、第1部分202aは開口端部203の方であり、第2部分202bは他端206の方である。
【0072】
ハウジング202はこの場合には液体210である第1の揮発性材料を保持するまたは含む容器209を有する。揮発性材料は水などの湿潤剤を含む。容器209は図1の例に関連して説明した種類のいずれであってもよい。ヒーター211が液体210を揮発させるためにハウジング202のほぼ中央(長手方向および幅方向において)に設けられている。この例ではヒーター211はバッテリー207によって給電され、従って、バッテリー207に電気的に接続されている。ヒーター211は電気抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。ヒーター211は、例えばコイル状のワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造を有する)、フィルムヒーターなどであってもよい。誘導加熱装置または非電気加熱装置などの他の加熱装置も使用してもよい。環状の芯212がヒーター211を囲み、ヒーター211と(熱)接触している。環状の芯212の最外面は液体容器209内の液体210と接触している。液体210は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯212を出て、ユーザーのマウスピース204での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース204の方に移動する。ヒーター211と芯212は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0073】
ハウジング202は装置201の固体基材214を保持するまたは含むチェンバー213をさらに含む。基材214はタバコ材と炭酸カルシウムなどの固体塩基性材料を含む粒状混合物である。チェンバー213は図1に関連して説明した種類のいずれであってもよい。固体基材214はエアロゾルまたは蒸気が液体210から製せられる位置の下流でかつハウジング202の開口端部203とマウスピース204の下流でハウジング202内に配置される。この特定の例では固体基材214は、芯212としてハウジング202の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体210から製せられるエアロゾルまたは蒸気は、芯212を出て、矢印Aで示すようにユーザーのマウスピース204の吸い込み作用によって固体基材214の方へと移動する。特定の実施態様では固体基材214は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が固体基材214を通り、その後ハウジング202の開口端部203およびマウスピース204を通過する。エアロゾルまたは蒸気の形体の湿潤剤は固体塩基性材料と接触して塩基性溶液を形成する。塩基はタバコのpHを大きくし、ニコチンを遊離させ、通過する蒸気/エアロゾルにより同伴されやすくなる。
【0074】
一部の実施態様では固体基材214および/またはそのチェンバー213は、固体基材214/チェンバー213とハウジング202の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が固体基材214全体を介して流れるように構成されている。エアロゾルまたは蒸気が固体基材214を通過する際、熱いエアロゾルまたは蒸気がタバコにその感覚刺激性を与える固体基材214からの有機物および他の化合物または成分を同伴し、エアロゾルまたは蒸気がマウスピース204を通過する際にエアロゾルまたは蒸気に風味を付与する。
【0075】
液体210を含む容器209は、それ自体が固体基材214を支持または担持するために配置されてもよい。例えば、容器209は、固体基材214を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体210を含みかつ固体基材214を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器209/チェンバーまたは受け部213は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体210と固体基材214が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能であってもよい。場合によっては、ユーザーは充分な液体210が数回の使用に供される分の固体基材214を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体210が消費されると、ユーザーはその2つの機能を有する容器209/受け部213を廃棄し、新しい物を使用する。同様に充分な固体基材214が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体210を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。固体基材214が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器209/受け部213を廃棄し、新しいものを使用する。
【0076】
図2の例の装置201ではオーブンヒーターなどの第2ヒーター215が固体基材214に熱接触した状態で設けられ、固体基材214を予備加熱するおよび/または装置201を使用している間、固体基材214を付加的に加熱する。これは使用の際、蒸気またはエアロゾルが固体基材214を通過する際に固体基材214からの成分の放出を促進させる。固体基材214の望ましい加熱を達成するために必要な加熱される液体210の量を減らしてもよい。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。ヒーター215は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造を有する)、フィルムヒーターなどであってもよい。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される誘導ヒーターであってもよい。固体基材214は誘導加熱されやすい材料を含んでもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター215に使用してもよい。
【0077】
図2の例の装置201では固体基材214を加熱するためのヒーター215は、固体基材214の外部に設けられ、固体基材214を固体基材214の外部からの熱伝導によって加熱する。この例のヒーター215は、ほぼ円筒状である。ヒーター215は、実際には装置201の一体部品であり、ハウジング202の一部として設けてもよい。これとは別にヒーター215は固体基材214を保持するまたは含むチェンバー213と一体に設けてもよい。この別例ではチェンバー213が使い捨ての場合、ヒーター215は、新鮮な固体基材を有する新しいチェンバー213がユーザーによって装置201に装填される際に交換される。
【0078】
ここで図3を参照すると吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明および図3において、図1を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが300が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら図1および図2の例に関し上述した構成および代替えなどは図3の例にも適用可能である。ここでも大筋において図3の装置301は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これは固体基材314を通過して固体基材314から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0079】
この例の装置301も開口端部303と管状のマウスピース304を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング302を有する。O-リングまたは他のシール部材305がハウジング302内でのマウスピース304の封止の補助をしている。装置301の種々の部材に給電するためのバッテリー307とコントローラー308がハウジング302の他端306または他端の方に設けられている。この例のハウジング302は2つの部分からなり、第1部分302aは開口端部303の方であり、第2部分302bは他端306の方である。
【0080】
ハウジング302は、この場合には液体310である揮発性材料を保持するまたは含むための容器309を有する。揮発性材料は水などの湿潤剤を含む。容器309は図1および2の例に関して上述した種のいずれであってもよい。ヒーター311が液体310を揮発させるためにハウジング302のほぼ中央に設けられている。ヒーター311は上述の種のいずれのものであってもよい。この例ではヒーター311はバッテリー307によって給電され、従ってバッテリー307に電気的に接続されている。環状の芯312がヒーター311を囲み、ヒーター311と(熱)接触している。環状の芯312の最外面は液体容器309内の液体310と接触している。液体310は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯312を出て、ユーザーのマウスピース304での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース304の方に移動する。ヒーター311と芯312は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0081】
ハウジング302は装置301内で固体基材314を保持するまたは含むチェンバー313をさらに含む。基材314はタバコ材と炭酸カルシウムなどの固体塩基性材料を含む粒状混合物である。チェンバー313は図1および2に関して上述した種類のいずれであってもよい。(図3の例ではチェンバー313は端壁316を有する管の形状であり、この端壁は貫通孔317を有し、そこを蒸気またはエアロゾルが通過することができ、これは上記で一選択肢として言及している。)固体基材314はエアロゾルまたは蒸気が液体310から製せられる位置の下流でかつハウジング302の開口端部303とマウスピース304の下流でハウジング302内に配置される。この特定の例では固体基材314は、芯312としてハウジング302の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体310から製せられるエアロゾルまたは蒸気は芯312を出て矢印Aで示すようにマウスピース304でのユーザーの吸い込みの作用によって固体基材314の方へと移動する。特定の実施態様では固体基材314は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が材料314を通り、その後ハウジング302の開口端部303およびマウスピース304を通過する。エアロゾルまたは蒸気の形体の湿潤剤は固体塩基性材料と接触して塩基性溶液を形成する。塩基はタバコのpHを大きくし、ニコチンを遊離させ、通過する蒸気/エアロゾルにより同伴されやすくなる。
【0082】
一部の実施態様では固体基材314および/またはそのチェンバー313は、固体基材314/チェンバー313とハウジング2の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が固体基材314全体を介して流れるように構成されている。エアロゾルまたは蒸気が固体基材314を通過する際、熱いエアロゾルまたは蒸気がタバコにその感覚刺激性を与える固体基材314からの有機物および他の化合物または成分を同伴し、エアロゾルまたは蒸気がマウスピース304を通過する際にエアロゾルまたは蒸気に風味を付与する。液体310を含む容器309は、それ自体が固体基材314を支持または担持するために配置されてもよい。例えば、容器309は、固体基材314を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体310を含みかつ固体基材314を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器309/チェンバーまたは受け部313は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体210と固体基材314が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能であってもよい。場合によっては、ユーザーは充分な液体310が数回の使用に供される分の固体基材314を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体310が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器309/受け部313を廃棄し、新しいものを使用する。同様に充分な固体基材314が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体310を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。固体基材314が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器309/受け部313を廃棄し、新しいものを使用する。
【0083】
図3の例の装置301でも第2ヒーター318が固体基材314を加熱するために固体基材314に熱接触した状態で設けられ、使用の際に蒸気またはエアロゾルが固体基材314を通過する際に固体基材314から成分の放出を促進させる。第2ヒーター318は、例えばバッテリー307によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。非電気加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター318に使用してもよい。
【0084】
図3の例の装置301では固体基材314を加熱するためのヒーター318が固体基材314の内部に設けられており、固体基材の内部からの熱伝導によって固体基材を加熱する。この例のヒーター318は、一般に固体基材314の中央長手方向軸に沿って位置する円筒状ロッドの形体である。他の構成ではヒーター318は、コイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造である)、フィルムヒーターなどであってもよい。この場合の固体基材314は、ほぼ管状であるか、ヒーター318を受けるための内部開口部を有する。ヒーター318は、実際には装置301の一体部品であり、ハウジング302の一部として設けてもよい。この例では固体基材314が装置301に装填されると(例えば固体基材314を含むチェンバー313が装置301内に装填される)、固体基材314が第2ヒーター318を囲む。別例としてヒーター318は固体基材314を保持するまたは含むチェンバー313と一体に設けてもよい。この別例ではチェンバー313が使い捨ての場合、ヒーター318は、新鮮な材料を有する新しいチェンバー313がユーザーによって装置301に装填される際に交換される。
【0085】
別の例では複数の内部ヒーター318を設けて固体基材314をより効率的に加熱するようにしてもよい。別の例では固体基材314は1つ以上の外部ヒーター(図2の例の第2ヒーター215のような)と1つ以上の内部ヒーター(図3の例の第2ヒーター318のような)によって加熱してもよい。
【0086】
ここで図4を参照するとこの場合水などの湿潤剤を含む液体602である第1の揮発性材料を保持する第1容器601と固体基材604用の受け部または容器603を有するカートリッジ600の例の略式長手方向断面が示されている。基材604はタバコ材と炭酸カルシウムなどの固体塩基性材料を含む粒状混合物である。この例では第1容器601と固体基材容器603は、最初から一体に形成されるか、あるいは最初は2つまたは3つの部品で形成し、その後実質的に永久的に組み立てられるかのいずかによって1つの一体部材として提供される。カートリッジ600は、液体602が液滴のエアロゾルを製するために気化されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てが固体基材604を通過して(i)固体基材と接触し、固体基材を溶かしてタバコのpHを上げ、ニコチンを解放する塩基性溶液を形成し、(ii)タバコ材から風味およびニコチンを捕捉するように構成されている。
【0087】
図4の例では第1容器601はカートリッジ600のほぼ中央に設けられている。図示の例の第1容器601は円錐台形状であるが、円錐状、円筒状などの異なる形状であってもよい。第1容器601は外方シェル605に囲まれており、このシェルは第1容器601の長さ方向外側で環状の流路606を画定し、第1容器601の一端から他端へと延びている。外方シェル605は、第1容器601の第1端部壁607を越えて延び、第1容器601の第1端部壁607を越えてチェンバー608を画定する。図示の例ではチェンバー608と環状の流路606は両方とも固体基材604を含み、よって共に固体基材604の容器603を供するものとみなすことができる。他の例では固体基材604はチェンバー608のみに設けてもよく、従ってこのチェンバーは固体基材604用の容器603を画定し、環状の流路606は空になる。チェンバー608は第1容器601の端部壁607から離れて位置する端部壁609によって閉じられている。端部壁609は外方シェル605の一部であってもよく、あるいは別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。さらに別の例では環状の流路606は固体基材604を含み、チェンバー608には材料が存在しないが、当然のことながらチェンバー608を省略してもよく、流路606は効果的に端部壁609で終結する。流路606および/またはチェンバー608は完全に固体基材604で満たされてもよく、あるいは固体基材604の一部または一塊だけを含んでもよい。端部壁609は、多孔性であるおよび/またはユーザーによって吸引されるようにカートリッジ600からエアロゾルまたは蒸気が出られるようにする1つ以上の貫通孔610を有する。液体容器601と固体基材容器603は、それぞれ硬質、水密かつ気密の材料、例えば金属、好適なプラスチックなどで形成してもよい。
【0088】
図4に示すカートリッジ600の例はヒーター611およびヒーター611と(熱)接触している芯612が設けられている。この例ではヒーター611と芯612は場合によっては「アトマイザー」と称される単独のユニットとして供される。この場合カートリッジ600がアトマイザーを含むと、そのようなカートリッジは「カトマイザー」と称される場合がある。ヒーター611の向きが略式に示されており、例えば、ヒーター622は、図4に示すようにカートリッジ600の長手方向軸に平行ではなく、直行する長手方向軸を有するコイルを有してもよい。
【0089】
芯612は液体602と接触している。これは例えば芯612が第1容器601の第2端部壁613の貫通穴(図示せず)に挿入されることによって行ってもよい。これとは別にまたは加えて第2端部壁613は、液体を第1容器601から通過させる多孔性部材(図4において略式に破線で示されている)であってもよく、芯612はこの多孔性の第2端部壁613と接触してもよい。第2端部壁613は、例えば多孔性セラミックディスクの形状であってもよい。この種の多孔性第2端部壁613は芯612への液体の流れを制御する役割を果たす。芯612は、通常、吸収材であり、毛管作用によって第1容器601から液体602を吸い込むように作用する。芯612は好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウールなどまたは例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどを含む合成材であってもよい。
【0090】
使用時、カートリッジ600はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター611が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター611が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯612によって第1容器601から引き込まれる液体602はヒーター611によって加熱されて液体を揮発させるまたは気化させる。ユーザーが全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように液体容器601の長さの外側周囲の環状流路606とチェンバー608内に移動する。蒸気またはエアロゾルは固体基材604のタバコ材から風味およびニコチンを捕捉する。エアロゾルまたは蒸気の形体の湿潤剤は固体塩基性材料と接触して塩基性溶液を形成する。塩基はタバコのpHを大きくし、ニコチンを遊離させ、通過する蒸気/エアロゾルにより同伴されやすくなる。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すように端部壁609を介してカートリッジ600から出ることができる。任意に一方向バルブ614を設けて、蒸気またはエアロゾルがカートリッジから出るだけしかできず、ヒーター611または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。
【0091】
ここで図5を参照するとカートリッジ700の別の例の略式長手方向断面図が示されており、これはこの場合には水などの湿潤剤を含む液体702である第1の揮発性材料を保持する第1容器701と、固体基材704を含むためのチェンバー708を画定する容器703を有する。基材704はタバコ材と炭酸カルシウムなどの固体塩基性材料を含む粒状混合物である。次の説明および図5において、図4を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが100が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。
【0092】
この例ではカートリッジ700の第1容器701と固体基材容器703は別個の部品として提供され、これらは使用時に取り外し自在に互いに接続される。第1容器701と固体基材703は、例えばクリップ留めまたは互いに取り外し自在に固定されてもよく、または例えばタバコ組成物容器703は第1容器701に単に載せるまたは密な摩擦嵌めしてもよい。カートリッジ700は、液体702が液滴のエアロゾルを製するために揮発されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てが固体基材704を通過して(i)固体基材と接触し、固体基材を溶かしてタバコのpHを上げ、ニコチンを解放する塩基性溶液を形成し、(ii)タバコ材から風味およびニコチンを捕捉するように構成されている。
【0093】
この例では第1容器701は外方シェル705に囲まれており、このシェルは第1容器701の長さ方向外側で環状の流路706を画定し、第1容器701の一端から他端へと延びている。外方シェル705は第1容器701の第1端部壁707を越えて延び、端部壁709で終結する。端部壁709は別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。端部壁709は多孔性でありおよび/または1つ以上の貫通孔710を有し、エアロゾルまたは蒸気が環状の流路706から出られるようになっている。一方向バルブ714を端部壁709の内側に設けて、蒸気またはエアロゾルがヒーター711および芯712から離れた端部で環状流路706から出るだけしかできず、ヒーター711または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。固体基材容器703は使用の際端部壁709に亘って配置され、端部壁709から出た蒸気またはエアロゾルが固体基材容器703内に移動するようになっている。固体基材容器703は出口開口部および/または多孔性端部壁715を有し、エアロゾルまたは蒸気がユーザーによって吸引されるようにカートリッジから出る。
【0094】
使用時、カートリッジ700はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター711が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター711が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯712によって第1容器701から端部壁713を介して引き込まれる液体702がヒーター711によって加熱され、液体を揮発させるまたは蒸発させる。ユーザーが全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように第1容器701の長さの外側周囲の環状流路706内へ外方シェル705の端部壁709の方へと移動する。蒸気またはエアロゾルは、それから端部壁709を介して(一方向バルブがある場合それを介して)固体基材容器703に移動し、そこで容器703に含まれる固体基材704のタバコ材から風味およびニコチンを捕捉する。エアロゾルまたは蒸気の形体の湿潤剤は固体塩基性材料と接触して塩基性溶液を形成する。塩基はタバコのpHを大きくし、ニコチンを遊離させ、通過する蒸気/エアロゾルにより同伴されやすくなる。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すように固体基材容器の端部壁715を介してカートリッジ700から出ることができる。
【0095】
図4および5に示す例は、特にカトマイザーがバッテリーセクション(図示せず)に典型的にはねじ山、バイオネット嵌めなどによって嵌装されるいわゆるモジュラーまたは「電子作動(e-go)」製品に使用するのに適している。カトマイザーは全体的に通常は使用後に廃棄され、新しい交換用のカトマイザーが使用される。別例として、必要に応じて時々ユーザーが液体を補充し、および/または固形材料を交換することも可能である。
【0096】
図4および5に示した例は、それ事態は知られている他の種の電子タバコハイブリッド装置との使用に簡単に適合される。例えば、一般に小型で、従来の紙巻きタバコに類似する形状および外観を有するいわゆる「類似電子タバコ」または「紙巻きタバコ似」なる装置がある。このような装置では第1容器は、通常液体を保持するための例えばコットンからなるなんらかの詰め物材を含む。このような従来の装置のカートリッジまたはカトマイザーは、通常全体的に使い捨てであるが、本発明の実施態様を使用する例において液体を補充するおよび/または固体基材を交換することが可能になる。別例として、一般に比較的多量の液体を保持するための大きな液体容器を有し、装置の多くの点でユーザーが調整できる進んだ機能を供するいわゆるタンク装置またはパーソナル気化器なるものがある。
【0097】
上述のカトマイザー装置のいずれかの別例として液体用のアトマイザーを液体およびタバコ容器と別個に設けてもよい。アトマイザーは、例えばカートリッジが使用時ユーザーによって取り外し自在に嵌められる装置全体のバッテリーセクションの一部として供されてもよい。
【0098】
図4および5に関連して説明した例のいずれかにおいて、固体基材を「予備加熱」するための固体基材用ヒーターを設けてもよい。このヒーターはカートリッジの一部またはカートリッジが使用の際に嵌められる装置のバッテリーセクションの一部として設けてもよい。
【0099】
本明細書中では「エアロゾル発生剤」は、エアロゾルの発生を促進させる化合物または混合物である。エアロゾル発生剤は、気体の初期の気化および/または吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。
【0100】
一般にあらゆる好適な1つ以上のエアロゾル発生剤を本発明のエアロゾル発生品に含有させてもよい。好適なエアロゾル発生剤としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書中では「風味」および「香味料」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物、息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。
【0102】
誤解を避けるために、本明細書で「含む(comprises)」が本発明または本発明の特徴の定義に使用される場合、本発明または特徴が「含む(comprises)」の代わりに「から実質的になる(consists essentially of)」または「からなる(consists of)」を使用して定義することができる実施態様も開示される。
【0103】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。さらに本発明の実施態様は想定される。当然のことながら任意の1つの実施態様について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実施態様のいずれかの1つ以上の特徴または他の実施態様のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。
【0104】
本明細書で説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】