(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル
(51)【国際特許分類】
H02S 40/44 20140101AFI20220217BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20220217BHJP
【FI】
H02S40/44
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021539159
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 ES2019070870
(87)【国際公開番号】W WO2020141241
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521293693
【氏名又は名称】アボラ エネルギー,エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デル,アモ サンチョ,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カナダ グラシア,マルタ
(72)【発明者】
【氏名】サラテ アビラ,ヴィセンテ
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA29
(57)【要約】
本発明は、電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。当該ハイブリッドソーラーパネルは、太陽光発電システムと、熱吸収体(熱が太陽光発電システムから排出され、発電効率を増加させる)と、材料または気体の中間層と、を含む。太陽光発電システムと熱吸収体との接合は、シリコーン基材を有する材料の2つの層によって行われ、第1の層は前記太陽光発電システム(6)の内側に封入シリコーンを含み、第2の層は熱接着性シリコーンを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光電池を含む太陽光発電システム(6)と、
熱伝達流体によって前記太陽光発電システム(6)から熱を排出する熱吸収体(7)と、
前記太陽光発電システムの周囲に沿って封止されている透明絶縁カバー(1)と、
前記太陽光発電システムと前記透明絶縁カバー(1)との間に位置する、真空、不活性ガスまたは空気の中間層(2)と、
前記熱吸収体(7)の下に配置された下側絶縁層(4)と、
周囲の4つの側部および後部を含む背面シートまたはケーシングを備える周囲フレーム(9)と、を備え、
前記太陽光発電システム(6)を前記熱吸収体に接合する接合部をさらに備え、
前記接合部は、シリコーン基材を有する材料の2つの層を含み、
第1の層は、前記太陽光発電システム(6)の内側に、前記太陽光発電層(6)の上に突出する封入シリコーン(3)を含み、
前記封入シリコーン(3)は、屈折率が1.45未満および光透過率が98%超であり、
第2の層は、前記熱吸収体(7)の上に隣接して配置され、熱伝導率が0.2W/m・K超である熱接着性シリコーン(8)を含むことを特徴とする、電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項2】
前記熱接着性シリコーン(8)の層が、1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項3】
前記熱接着性シリコーン(8)が、5:1~20:1の割合の白金触媒によって室温において急速硬化を示すことを特徴とする、請求項2に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項4】
前記封入シリコーン(3)が、エラストマーに加硫する注入可能な2成分シリコーンを10:1の混合比で含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項5】
前記封入シリコーン(3)は、5:1~20:1の割合の触媒を添加することにより急速硬化を示すことを特徴とする、請求項4に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項6】
封入シリコーン(3)の層の上に配置された強化ガラス(11)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項7】
前記封入シリコーン(3)の層と前記熱接着性シリコーン(8)の層との間に配置されたテドラー(10)の層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。より詳細には、本発明は、最高作動温度(maximum working temperature)ならびに発電効率および熱効率を増大させ、耐久性が増大し、層間剥離および劣化に関する問題を排除し、さらにパネルの全体の効率に影響を及ぼす余分な層を排除することを可能にするパネルを開示する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドパネルの使用は、当該技術分野において公知である。
【0003】
ハイブリッドソーラー(PVT)パネルは、定義によりまたは本質的に、吸収体として太陽光発電層を使用する太陽エネルギー収集体である。熱の形態で流体に伝達され得る太陽光発電層への入射照射量が多いほど、その熱効率は大きくなり、太陽光発電層の発電効率がさらに増加する。よって、全体の効率および冷却によって生成されるエネルギーが増加する。
【0004】
ハイブリッドソーラー技術は、電気(太陽光発電)エネルギーおよび熱エネルギー(熱収集体)を同じ1つのパネルで生成することが特徴である。ハイブリッドソーラーパネルは一般にPVT(太陽光-熱)パネルとして知られている。
【0005】
太陽光発電モジュールは、受け取るエネルギーの約85%を失う。ハイブリッド(PVT-1、WISCまたは無釉(unglazed))パネルの最初の開発は、この未使用エネルギーを利用することを求めた。目的を達成するために、太陽光発電パネルの背面に復熱装置を組み込み、周囲環境から隔離した。これらの開発により、背面で失われた熱を回収した。本技術は、作動温度が増加すると効率が著しく低下するため、その熱効率に付随する問題が存在し、5~10%の家庭用温水への適用のみである。
【0006】
国際エネルギー機関(IEA)は2002年に、太陽光発電技術の技術分野およびロードマップを作成し、この目的のための将来の作業を7つのタスクとして計画した。その後、2005年から2010年にかけて、IEAは、35のタスク(http://archive.iea-shc.org/task35/)において、現存する技術およびハイブリッドパネルの潜在的な市場の詳細な解析を進めた。この目的は、本技術の市場への導入を刺激することであった。この結論の中で、光学および熱効率の改善等の開発すべき様々な手法を提案することを指摘すべきである。
【0007】
PVTモジュール用の熱吸収体は、太陽エネルギーを使用する別の方法として、太陽電池と相補的である。PVTモジュールの全体の変換効率は、熱力学の法則に従って、その熱吸収体の効率とともに増加する。熱吸収設計のための様々な方法、すなわち、シートアンドチューブ構造、フィン/溝を有すまたは有さない方形トンネル、平板チューブ、マイクロチャネル/ヒートマット、押出熱交換器、ロールボンド、および綿芯構造が広く開発されている。(Wu、2017)。
【0008】
PVTは作動流体(空気、水、冷却剤、相変化材料、ナノ流体等)により分割し得る。また、それらは、PVモジュールの種類(平板、可撓性または集光)によって、さらに、単結晶および多結晶シリコン、アモルファスシリコン、CaTe、CIGS、有機物、ペロブスカイト等の異なる技術によって特徴付けられる。
【0009】
PVTの設計において、太陽光発電層と吸収体との一体化は、重要な要素を表す。熱効率、耐用年数、製品コストおよびPV層の冷却はその一体化に依存するであろう。その理由の一つは、PV層と熱吸収体との間の熱抵抗が、インテグレーション層に気泡または小さなエアギャップがある場合に極端に大きくなる可能性があることである。したがって、熱吸収体および使用される一体化するための方法の両方は、太陽光発電層の冷却、したがって、発電効率/熱効率/全体の効率にも直接影響するので、PVTモジュールにとって重要である。
【0010】
Jinshun Wu(Wu,2017)のレビューで比較されたすべての熱吸収体および一体化するための方法の中で、最も適しているのは、復熱装置に基づく積層方法およびエチルビニルアセテート(EVA)に基づく太陽光発電積層である。
【0011】
ハイブリッドソーラーパネルの技術分野において公知の太陽光発電積層体の製造は、エチルビニルアセテート(EVA)と呼ばれる封入剤を用いて行われる。この封入剤は光電池を所定の位置に固定し、光電池を前面のガラスと、一般にテドラー(Tedlar)および別の同等物を主成分として有するバックシートとして知られている背面層とに接着させる。
【0012】
例えば、スペイン特許ES244990B1は、電気エネルギーおよび太陽光発電エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。また、対流熱損失を減少させることによってパネルの熱効率を増加させる、気体の中間層またはある程度の減圧を開示する。前記特許出願は、導電性接着剤またはそれらの間の伝導性熱交換を可能にする任意の種類の接合システムによる、太陽光発電システムと熱吸収体との間の接合を開示している。
【0013】
同様に、特許出願DE2622511A1はハイブリッドソーラーパネルを開示する。また、中間チャンバを開示するが、本特許出願では、前記チャンバがある程度の真空を呈するか、またはガスの存在を呈するかは明記していない。いずれの場合にも、前記ハイブリッドパネルは太陽光発電システムと熱吸収体との接合部の材料または種類を開示しておらず、パネルの全体の効率および耐用年数に関して、前記特徴はこのタイプのパネルにおいて必須である。
【0014】
出願人によって公知である技術分野において、この接合は主にEVAでの積層によって行われる。直接接触、機械的固定または熱接着も知られているが、それらはあまり一般的に使用されておらず、好ましくない。
【0015】
EVAの最高作動温度は80~85℃である。この温度を超えると、EVAが使用される様々な層(ガラスを有する光電池、バックシートを有するEVAまたは電池、および復熱装置を有するバックシート)の層間剥離に関する問題が生じる。層間剥離は、美観ならびに発電効率および熱効率の両方に影響を及ぼす。
【0016】
ハイブリッドソーラーパネルは、そのよどみ点温度を上昇させ、その熱効率が高くなるので、望ましい。このことは、パネルが停滞している(内部に流体が循環していない)状態ではその温度が150℃を超える可能性があることを意味する。したがって、EVAで積層させたハイブリッドパネルにおいて、耐用年数および全体の効率に影響する技術的な実用限界がある。
【0017】
光電池を封入し、太陽光発電積層体を復熱装置に接合するために使用されるEVAは多くの理由(高温、紫外線、湿気、製造工程における架橋不良、および材料の汚染(Candida Carvalho de Oliveira, 2018))によって、その耐用年数を通して劣化を経験する。
【0018】
この劣化によって多くの影響が生じる。第一に、耐用年数全体にわたる効率は、年々徐々に低下する。また、熱エネルギーも、太陽光発電積層体と復熱装置との接合が劣化するにつれて低下する。第二に、電圧誘起劣化(PID)が起こる。これらのパネルの耐用年数は、製品および設置の作動品質が良好である場合、約25年であり、20~25%の電力損失を伴う。また、黄変、変色、気泡および層間剥離等の美的問題も生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、当該技術分野で言及された問題のいくつかを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
より詳細には、本発明は電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。当該ハイブリッドソーラーパネルは、少なくとも1つの光電池を含む太陽光発電システムと、熱伝達流体によって前記太陽光発電システムから熱を排出し、発電効率を高める熱吸収体と、前記太陽光発電システムの周囲に沿って封止されている透明絶縁カバーと、前記太陽光発電システムと前記透明絶縁カバーとの間に位置する、真空、空気または不活性ガスの中間層と、前記熱吸収体の下に配置された下側絶縁層と、周囲の4つの側部および後部を含む背面シートまたはケーシングを備える周囲フレームと、を備える。当該ハイブリッドソーラーパネルは、前記太陽光発電システムを前記熱吸収体に接合する接合部をさらに備える。前記接合部はシリコーン基材を有する材料の2つの層を含む。第1の層は前記太陽光発電システムの内側に、前記太陽光発電層の上に突出する封入シリコーン(3)を含む。前記封入シリコーンは、屈折率が1.45未満および光透過率が98%超である。第2の層は、前記熱吸収体の上に隣接して配置され、熱伝導率が0.2W/m・K超である熱接着性シリコーンを含む。
【0021】
好ましくは、熱接着性シリコーンの層は1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を含む。前記酸化物粒子負荷はシリコーン基材を有する材料が3W/m・Kまでの熱伝導率に達することを可能にする。他の分野または用途において当該技術分野において既に開示されている知識を用いて前記層の熱伝導率を増大させることを可能にし、シリコーン基材を有する材料の熱伝導率を増大させるという目的の課題を課せられた当業者には明らかである、シリコーンベースの方法または他のタイプの粒子を使用することができる。
【0022】
熱接着性シリコーンは、5:1~20:1の割合の白金触媒を添加することによって、室温において急速硬化を示し得る。好ましくは、前記割合が重量または体積で10:1であり得る。好ましくは、封入シリコーンは、軟質エラストマーに加硫する注入可能な2成分シリコーンを10:1の混合比で含む。これによって、封入シリコーンの前記層における必要な弾性特性を可能にし、パネルの各層における各材料の異なる膨張係数による膨張からアセンブリを保護する。
【0023】
封入シリコーンは、5:1~20:1の割合の触媒を添加することによって急速硬化を示し得る。混合物の量に加えて、硬化時間は、封入された成分の熱伝導率および存在するUV光等の他の要因に依存する。
【0024】
パネルは、封入シリコーンの層の上に配置された強化ガラスを含んでいてもよい。より好ましくは、パネルは、封入シリコーンの層の高光透過率および低屈折率のために、前記強化ガラスを有していなくてもよい。
【0025】
パネルは、封入シリコーンの層と熱接着性シリコーンの層との間にテドラーの層を含んでいてもよい。
【0026】
より好ましくは、金属熱吸収体はハイブリッドパネルに十分な剛性を提供することができるので、パネルは前記テドラーの層を有していなくてもよい。
【0027】
太陽光発電システムと熱吸収体とを接合する材料としてEVAを使用することによって、当該技術分野において知られていた80℃の限界に対して250℃まで損傷を受けることなく、熱接着性シリコーンの層は作動温度に達し得ることに留意されたい。
【0028】
約0.13W/m・KのEVAの熱伝導率とは対照的に、熱接着性の層の熱伝導率は、他の用途または分野において熱伝導率が高いシリコーンを得るための酸化物粒子もしくは他の粒子の添加または当該技術分野で公知の方法に応じて、0.2~3W/m・Kである。本発明によって、テドラーの層(「バックシート」としても当該技術分野で知られている)を削除し、光電池の熱伝導障壁を削除し得ることを、さらに追加で留意すべきである。上述した要素によって、熱効率が著しく増加し、太陽光発電システムの発電効率を増加させる。
【0029】
同様に、当該技術分野で公知の材料に関して、封入層におけるシリコーンの低屈折率および高光透過率により、(スペクトル全体に沿って)入射日射量が高く、光電池および復熱装置の表面の両方に到達することが可能になり、電気および熱の産生の両方の増加を可能にする。このことは、光電池で覆われた領域およびそれらの間の自由空間の両方にあてはまる。太陽光発電層から強化ガラスを除去し得るので、低反射損失、したがって全体の高効率が可能になる。
【0030】
さらに、シリコーン基材を有する層のUV放射線に対する耐性は、前記機能を実行するための当該技術分野において公知の材料に対して非常に高く、この材料はEVA(エチルビニルアセテート)である。シリコーン系材料の水分含有量は、EVAが0.3%に対して、0.03%である。
【0031】
EVAによって積層された太陽光発電パネルに存在する、酢酸等の腐食剤による腐食は、太陽光発電パネルの耐用年数を通しての太陽光発電パネルにおける故障および効率の損失の主な原因である。現在の当該技術分野において最適であると考えられる効率の損失は、20~25年にわたって20~25%のオーダーである。本発明における高温および低UV放射量における太陽光発電層のシリコン系材料の腐食は、EVAの使用と比較して無視できる。
【0032】
EVA中に酢酸等の腐食剤が存在しないこと、紫外線に対する非常に高い耐性および低水分含有量によって、本材料から誘導される劣化に関する問題を排除し、25~40年の耐用年数を増加させ、さらに、長年にわたる効率の損失がより低くなるという大きなさらなる利点を特徴とする。
【0033】
1.5~2倍のオーダーの耐用年数の増加、および、結果として生じる効率の増加による電気および熱の産生の増加は、製品の経済的効率の増加を意味する。
【0034】
指摘すべき別の重要な態様は、硬度、変形および引張強度値が低いことによって、本発明は、各材料の膨張係数が異なるにもかかわらず、接合層の柔軟な適応を与えることである。ハイブリッドソーラーパネルの場合、パネル内部の温度の変動が一定して大きく、したがって、発生する膨張のため、これらの特徴は極めて重要である。
【0035】
製造工程中に一連の層を高温の熱処理を施さないことも、第一工程での変形を防止する。太陽光発電積層体から従来のガラスを取り除くことができることも、異なる材料の膨張係数間の差によるアセンブリの屈曲を防止するために重要である。
【0036】
上記説明を補完するために、また、本発明の好ましい実用的な実施形態による本発明の特徴をより良く理解するのを助けるために、一連の図面を前記説明の不可欠な部分として添付する。以下の説明は、例示的および非限定的な態様で示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートがなく、太陽光発電システムに隣接するガラス層がないことが明らかである。
【
図2】本発明の第2の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートがなく、太陽光発電システムに隣接するガラス層が存在することが明らかである。
【
図3】本発明の第4の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートを有し、太陽光発電システムに隣接するガラス層が存在することが明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
〔本発明の好ましい実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、空気または不活性ガスの中間層(2)の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接しかつその下に、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池(6a)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン(3)の層および太陽光発電システム(6)に近接して、シリコーン基材を有する材料の第2の層が配置されている。熱接着性(8)の層の熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、一連の光電池(6a)と熱吸収体(7)との接合を可能にし、熱伝導流体への熱の移動(吸収体の通過)を容易にし、太陽光発電システム(6)の発電効率を増加させ、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率をさらに増加させる。熱接着性シリコーン(8)の層は、1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を有する。
【0039】
最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【0040】
図2は、本発明の第2の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、不活性ガスまたは空気の中間層(2)の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接して、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層によって接合された強化ガラス(11)が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池(6a)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン(3)の層および太陽光発電システム(6)に近接しかつその下に、シリコーン基材を有する材料の第2の層が配置されている。熱接着性(8)の層の熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、一連の光電池(6a)と熱吸収体(7)との接合を可能にし、熱伝導流体への熱の移動(吸収体の通過)を容易にし、太陽光発電システム(6)の発電効率を増加させ、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率をさらに増加させる。最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【0041】
図3は、本発明の第3の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、不活性ガスまたは空気(2)の中間層の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接して、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層によって接合された強化ガラス(11)が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池(6a)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン層(3)に近接しかつその下に、バックシート層(10)が配置されている。シリコーン基材を有する材料の第2の層によって、前記バックシート層は熱吸収体(7)に接合している。第2の層は熱接着性(8)の層であり、熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、熱伝導流体により高熱が移動し、太陽光発電システム(6)の発電効率が増加し、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率がさらに増加する。最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【手続補正書】
【提出日】2020-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光電池を含む太陽光発電システム(6)と、
熱伝達流体によって前記太陽光発電システム(6)から熱を排出する熱吸収体(7)と、
前記太陽光発電システムの周囲に沿って封止されている透明絶縁カバー(1)と、
前記太陽光発電システムと前記透明絶縁カバー(1)との間に位置する、真空、不活性ガスまたは空気の中間層(2)と、
前記熱吸収体(7)の下に配置された下側絶縁層(4)と、
周囲の4つの側部および後部を含む背面シートまたはケーシングを備える周囲フレーム(9)と、を備え、
前記太陽光発電システム(6)を前記熱吸収体に接合する接合部をさらに備え、
前記接合部は、シリコーン基材を有する材料の2つの層を含み、
第1の層は、前記太陽光発電システム(6)の内側に、前記太陽光発電層(6)の上に突出する封入シリコーン(3)を含み、
前記封入シリコーン(3)は、屈折率が1.45未満および光透過率が98%超であり、
前記接合部は、熱伝導率が0.2W/m・K超である熱シリコーン(8)の第2の層をさらに備え、
前記
熱シリコーン(8)は、前記熱吸収体(7)の上に隣接して配置され、
前記接合部は、前記太陽光発電システム(6)と前記熱吸収体(7)とをそれらの間にバックシート(10)を有さずに接合し、前記光電池の熱伝導障壁を削除することを特徴とする、電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項2】
それらの間に強化ガラス(11)を有さず、前記封入シリコーン(3)が低反射損失をもたらす、請求項1に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項3】
前記熱接着性シリコーン(8)の層が、1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項4】
前記熱接着性シリコーン(8)が、5:1~20:1の割合の白金触媒によって室温におい
て硬化を示すことを特徴とする、請求項2に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項5】
前記封入シリコーン(3)が、エラストマーに加硫する注入可能な2成分シリコーンを10:1の混合比で含むことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【請求項6】
前記封入シリコーン(3)は、5:1~20:1の割合の触媒を添加することによ
り硬化を示すことを特徴とする、請求項
5に記載の電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。より詳細には、本発明は、最高作動温度(maximum working temperature)ならびに発電効率および熱効率を増大させ、耐久性が増大し、層間剥離および劣化に関する問題を排除し、さらにパネルの全体の効率に影響を及ぼす余分な層を排除することを可能にするパネルを開示する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドパネルの使用は、当該技術分野において公知である。
【0003】
ハイブリッドソーラー(PVT)パネルは、定義によりまたは本質的に、吸収体として太陽光発電層を使用する太陽エネルギー収集体である。熱の形態で流体に伝達され得る太陽光発電層への入射照射量が多いほど、その熱効率は大きくなり、太陽光発電層の発電効率がさらに増加する。よって、全体の効率および冷却によって生成されるエネルギーが増加する。
【0004】
ハイブリッドソーラー技術は、電気(太陽光発電)エネルギーおよび熱エネルギー(熱収集体)を同じ1つのパネルで生成することが特徴である。ハイブリッドソーラーパネルは一般にPVT(太陽光-熱)パネルとして知られている。
【0005】
太陽光発電モジュールは、受け取るエネルギーの約85%を失う。ハイブリッド(PVT-1、WISCまたは無釉(unglazed))パネルの最初の開発は、この未使用エネルギーを利用することを求めた。目的を達成するために、太陽光発電パネルの背面に復熱装置を組み込み、周囲環境から隔離した。これらの開発により、背面で失われた熱を回収した。本技術は、作動温度が増加すると効率が著しく低下するため、その熱効率に付随する問題が存在し、5~10%の家庭用温水への適用のみである。
【0006】
国際エネルギー機関(IEA)は2002年に、太陽光発電技術の技術分野およびロードマップを作成し、この目的のための将来の作業を7つのタスクとして計画した。その後、2005年から2010年にかけて、IEAは、35のタスク(http://archive.iea-shc.org/task35/)において、現存する技術およびハイブリッドパネルの潜在的な市場の詳細な解析を進めた。この目的は、本技術の市場への導入を刺激することであった。この結論の中で、光学および熱効率の改善等の開発すべき様々な手法を提案することを指摘すべきである。
【0007】
PVTモジュール用の熱吸収体は、太陽エネルギーを使用する別の方法として、太陽電池と相補的である。PVTモジュールの全体の変換効率は、熱力学の法則に従って、その熱吸収体の効率とともに増加する。熱吸収設計のための様々な方法、すなわち、シートアンドチューブ構造、フィン/溝を有すまたは有さない方形トンネル、平板チューブ、マイクロチャネル/ヒートマット、押出熱交換器、ロールボンド、および綿芯構造が広く開発されている。(Wu、2017)。
【0008】
PVTは作動流体(空気、水、冷却剤、相変化材料、ナノ流体等)により分割し得る。また、それらは、PVモジュールの種類(平板、可撓性または集光)によって、さらに、単結晶および多結晶シリコン、アモルファスシリコン、CaTe、CIGS、有機物、ペロブスカイト等の異なる技術によって特徴付けられる。
【0009】
PVTの設計において、太陽光発電層と吸収体との一体化は、重要な要素を表す。熱効率、耐用年数、製品コストおよびPV層の冷却はその一体化に依存するであろう。その理由の一つは、PV層と熱吸収体との間の熱抵抗が、インテグレーション層に気泡または小さなエアギャップがある場合に極端に大きくなる可能性があることである。したがって、熱吸収体および使用される一体化するための方法の両方は、太陽光発電層の冷却、したがって、発電効率/熱効率/全体の効率にも直接影響するので、PVTモジュールにとって重要である。
【0010】
Jinshun Wu(Wu,2017)のレビューで比較されたすべての熱吸収体および一体化するための方法の中で、最も適しているのは、復熱装置に基づく積層方法およびエチルビニルアセテート(EVA)に基づく太陽光発電積層である。
【0011】
ハイブリッドソーラーパネルの技術分野において公知の太陽光発電積層体の製造は、エチルビニルアセテート(EVA)と呼ばれる封入剤を用いて行われる。この封入剤は光電池を所定の位置に固定し、光電池を前面のガラスと、一般にテドラー(Tedlar)および別の同等物を主成分として有するバックシートとして知られている背面層とに接着させる。
【0012】
例えば、スペイン特許ES244990B1は、電気エネルギーおよび太陽光発電エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。また、対流熱損失を減少させることによってパネルの熱効率を増加させる、気体の中間層またはある程度の減圧を開示する。前記特許出願は、導電性接着剤またはそれらの間の伝導性熱交換を可能にする任意の種類の接合システムによる、太陽光発電システムと熱吸収体との間の接合を開示している。
【0013】
同様に、特許出願DE2622511A1はハイブリッドソーラーパネルを開示する。また、中間チャンバを開示するが、本特許出願では、前記チャンバがある程度の真空を呈するか、またはガスの存在を呈するかは明記していない。いずれの場合にも、前記ハイブリッドパネルは太陽光発電システムと熱吸収体との接合部の材料または種類を開示しておらず、パネルの全体の効率および耐用年数に関して、前記特徴はこのタイプのパネルにおいて必須である。
【0014】
出願人によって公知である技術分野において、この接合は主にEVAでの積層によって行われる。直接接触、機械的固定または熱接着も知られているが、それらはあまり一般的に使用されておらず、好ましくない。
【0015】
EVAの最高作動温度は80~85℃である。この温度を超えると、EVAが使用される様々な層(ガラスを有する光電池、バックシートを有するEVAまたは電池、および復熱装置を有するバックシート)の層間剥離に関する問題が生じる。層間剥離は、美観ならびに発電効率および熱効率の両方に影響を及ぼす。
【0016】
ハイブリッドソーラーパネルは、そのよどみ点温度を上昇させ、その熱効率が高くなるので、望ましい。このことは、パネルが停滞している(内部に流体が循環していない)状態ではその温度が150℃を超える可能性があることを意味する。したがって、EVAで積層させたハイブリッドパネルにおいて、耐用年数および全体の効率に影響する技術的な実用限界がある。
【0017】
光電池を封入し、太陽光発電積層体を復熱装置に接合するために使用されるEVAは多くの理由(高温、紫外線、湿気、製造工程における架橋不良、および材料の汚染(Candida Carvalho de Oliveira, 2018))によって、その耐用年数を通して劣化を経験する。
【0018】
この劣化によって多くの影響が生じる。第一に、耐用年数全体にわたる効率は、年々徐々に低下する。また、熱エネルギーも、太陽光発電積層体と復熱装置との接合が劣化するにつれて低下する。第二に、電圧誘起劣化(PID)が起こる。これらのパネルの耐用年数は、製品および設置の作動品質が良好である場合、約25年であり、20~25%の電力損失を伴う。また、黄変、変色、気泡および層間剥離等の美的問題も生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、当該技術分野で言及された問題のいくつかを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
より詳細には、本発明は電気エネルギーおよび熱エネルギーを生成するためのハイブリッドソーラーパネルを開示する。当該ハイブリッドソーラーパネルは、少なくとも1つの光電池を含む太陽光発電システムと、熱伝達流体によって前記太陽光発電システムから熱を排出し、発電効率を高める熱吸収体と、前記太陽光発電システムの周囲に沿って封止されている透明絶縁カバーと、前記太陽光発電システムと前記透明絶縁カバーとの間の真空、空気または不活性ガスの中間層と、前記熱吸収体の下に配置された下側絶縁層と、周囲の4つの側部および後部を含む背面シートまたはケーシングを備える周囲フレームと、を備える。当該ハイブリッドソーラーパネルは、前記太陽光発電システムを前記熱吸収体に接合する接合部をさらに備える。前記接合部はシリコーン基材を有する材料の2つの層を含む。第1の層は前記太陽光発電システムの内側に、前記太陽光発電層の上に突出する封入シリコーン(3)を含む。前記封入シリコーンは、屈折率が1.45未満および光透過率が98%超である。第2の層は、前記熱吸収体の上に隣接して配置され、熱伝導率が0.2W/m・K超である熱接着性シリコーンを含む。
【0021】
好ましくは、熱接着性シリコーンの層は1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を含む。前記酸化物粒子負荷はシリコーン基材を有する材料が3W/m・Kまでの熱伝導率に達することを可能にする。他の分野または用途において当該技術分野において既に開示されている知識を用いて前記層の熱伝導率を増大させることを可能にし、シリコーン基材を有する材料の熱伝導率を増大させるという目的の課題を課せられた当業者には明らかである、シリコーンベースの方法または他のタイプの粒子を使用することができる。
【0022】
熱接着性シリコーンは、5:1~20:1の割合で白金触媒を添加することによって、室温において急速硬化を示し得る。好ましくは、前記割合が重量または体積で10:1であり得る。好ましくは、封入シリコーンは、軟質エラストマーに加硫する注入可能な2成分シリコーンを10:1の混合比で含む。これによって、封入シリコーンの前記層における必要な弾性特性を可能にし、パネルの各層における各材料の異なる膨張係数による膨張からアセンブリを保護する。
【0023】
封入シリコーンは、5:1~20:1の割合で触媒を添加することによって急速硬化を示し得る。混合物の量に加えて、硬化時間は、封入された成分の熱伝導率および存在するUV光等の他の要因に依存する。
【0024】
パネルは、封入シリコーンの層の上に配置された強化ガラスを含んでいてもよい。より好ましくは、パネルは、封入シリコーンの層の高光透過率および低屈折率のために、前記強化ガラスを有していなくてもよい。
【0025】
パネルは、封入シリコーンの層と熱接着性シリコーンの層との間にテドラーの層を含んでいてもよい。
【0026】
より好ましくは、金属熱吸収体はハイブリッドパネルに十分な剛性を提供することができるので、パネルは前記テドラーの層を有していなくてもよい。
【0027】
太陽光発電システムと熱吸収体とを接合する材料としてEVAを使用することによって、当該技術分野において知られていた80℃の限界に対して250℃まで損傷を受けることなく、熱接着性シリコーンの層は作動温度に達し得ることに留意されたい。
【0028】
約0.13W/m・KのEVAの熱伝導率とは対照的に、熱接着性の層の熱伝導率は、他の用途または分野において熱伝導率が高いシリコーンを得るための酸化物粒子もしくは他の粒子の添加または当該技術分野で公知の方法に応じて、0.2~3W/m・Kである。本発明によって、テドラーの層(「バックシート」としても当該技術分野で知られている)を削除し、光電池の熱伝導障壁を削除し得ることを、さらに追加で留意すべきである。上述した要素によって、熱効率が著しく増加し、太陽光発電システムの発電効率を増加させる。
【0029】
同様に、当該技術分野で公知の材料に関して、封入層におけるシリコーンの低屈折率および高光透過率により、(スペクトル全体に沿って)入射日射量が高く、光電池および復熱装置の表面の両方に到達することが可能になり、電気および熱の産生の両方の増加を可能にする。このことは、光電池で覆われた領域およびそれらの間の自由空間の両方にあてはまる。太陽光発電層から強化ガラスを除去し得るので、低反射損失、したがって全体の高効率が可能になる。
【0030】
さらに、シリコーン基材を有する層のUV放射線に対する耐性は、前記機能を実行するための当該技術分野において公知の材料に対して非常に高く、この材料はEVA(エチルビニルアセテート)である。シリコーン系材料の水分含有量は、EVAが0.3%に対して、0.03%である。
【0031】
EVAによって積層された太陽光発電パネルに存在する、酢酸等の腐食剤による腐食は、太陽光発電パネルの耐用年数を通しての太陽光発電パネルにおける故障および効率の損失の主な原因である。現在の当該技術分野において最適であると考えられる効率の損失は、20~25年にわたって20~25%のオーダーである。本発明における高温および低UV放射量における太陽光発電層のシリコン系材料の腐食は、EVAの使用と比較して無視できる。
【0032】
EVA中に酢酸等の腐食剤が存在しないこと、紫外線に対する非常に高い耐性および低水分含有量によって、本材料から誘導される劣化に関する問題を排除し、25~40年の耐用年数を増加させ、さらに、長年にわたる効率の損失がより低くなるという大きなさらなる利点を特徴とする。
【0033】
1.5~2倍のオーダーの耐用年数の増加、および、結果として生じる効率の増加による電気および熱の産生の増加は、製品の経済的効率の増加を意味する。
【0034】
指摘すべき別の重要な態様は、硬度、変形および引張強度値が低いことによって、本発明は、各材料の膨張係数が異なるにもかかわらず、接合層の柔軟な適応を与えることである。ハイブリッドソーラーパネルの場合、パネル内部の温度の変動が一定して大きく、したがって、発生する膨張のため、これらの特徴は極めて重要である。
【0035】
製造工程中に一連の層を高温の熱処理を施さないことも、第一工程での変形を防止する。太陽光発電積層体から従来のガラスを取り除くことができることも、異なる材料の膨張係数間の差によるアセンブリの屈曲を防止するために重要である。
【0036】
上記説明を補完するために、また、本発明の好ましい実用的な実施形態による本発明の特徴をより良く理解するのを助けるために、一連の図面を前記説明の不可欠な部分として添付する。以下の説明は、例示的および非限定的な態様で示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートがなく、太陽光発電システムに隣接するガラス層がないことが明らかである。
【
図2】本発明の第2の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートがなく、太陽光発電システムに隣接するガラス層が存在することが明らかである。
【
図3】本発明の第4の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。本実施形態では、バックシートを有し、太陽光発電システムに隣接するガラス層が存在することが明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
〔本発明の好ましい実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、空気または不活性ガスの中間層(2)の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接しかつその下に、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池
(6)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン(3)の層および太陽光発電システム(6)に近接して、シリコーン基材を有する材料の第2の層が配置されている。熱接着性(8)の層の熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、一連の光電池
(6)と熱吸収体(7)との接合を可能にし、熱伝導流体への熱の移動(吸収体の通過)を容易にし、太陽光発電システム(6)の発電効率を増加させ、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率をさらに増加させる。熱接着性シリコーン(8)の層は、1~200μmのオーダーの酸化物粒子負荷を有する。
【0039】
最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【0040】
図2は、本発明の第2の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、不活性ガスまたは空気の中間層(2)の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接して、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層によって接合された強化ガラス(11)が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池
(6)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン(3)の層および太陽光発電システム(6)に近接しかつその下に、シリコーン基材を有する材料の第2の層が配置されている。熱接着性(8)の層の熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、一連の光電池
(6)と熱吸収体(7)との接合を可能にし、熱伝導流体への熱の移動(吸収体の通過)を容易にし、太陽光発電システム(6)の発電効率を増加させ、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率をさらに増加させる。最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【0041】
図3は、本発明の第3の実施形態であるハイブリッドパネルの側面断面図を示す。パネルの上部の周囲に沿って透明絶縁カバー(1)が封止されている。前記絶縁カバー(1)は、真空、不活性ガスまたは空気(2)の中間層の直上に配置されている。前記中間層(2)に隣接して、光透過率が98%超および屈折率が1.45未満である封入シリコーン(3)の層によって接合された強化ガラス(11)が配置されている。前記封入シリコーン(3)の層は光電池
(6)間の接合を可能にし、前記電池の上方に突出する。前記封入シリコーン層(3)に近接しかつその下に、バックシート層(10)が配置されている。シリコーン基材を有する材料の第2の層によって、前記バックシート層は熱吸収体(7)に接合している。第2の層は熱接着性(8)の層であり、熱伝導率が0.2~3W/m・Kのオーダーであり、熱伝導流体により高熱が移動し、太陽光発電システム(6)の発電効率が増加し、本機能について当該技術分野において既知の材料よりも熱伝導率が高い、熱接着性シリコーン(8)の熱伝導率によって熱効率がさらに増加する。最後に、パネルの最下部に、ハイブリッド太陽光発電熱発生パネルの外側を形成する周囲フレーム(9)に接する絶縁層(4)を有する。
【国際調査報告】