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特表2022-516362(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/04 20060101AFI20220217BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C07D235/04
A61K31/4184
A61P3/10
A61P3/04
A61P29/00
A61P19/02
A61P25/00
A61P1/04
A61P11/00
A61P13/10
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539457
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CA2020050016
(87)【国際公開番号】W WO2020142842
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/789,740
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521295228
【氏名又は名称】ネオメド インスティテュート-インスティテュート ネオメド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ジーロン
(72)【発明者】
【氏名】ツェ,アラン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086ZA08
4C086ZA20
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
【課題】化合物の結晶形態に関する。
【解決手段】式Iの化合物の結晶形態が提供される。
【化1】

結晶形態Aは、同定された結晶形態の1つである。形態Aは、3.07、5.96、11.89、および17.85に
【数1】

で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、ならびに約168.9℃のピーク温度を有する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。結晶形態Aは薬学的組成物として有用であり、VR1のアンタゴニストとして使用することができる。結晶形態Aは、侵害受容性疼痛障害の治療に使用され得る。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物であって、
【化1】

結晶性であり、3.07、5.96、11.89、および17.85に
【数1】

で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、化合物。
【請求項2】
前記XRPDパターンがさらに、23.86および24.63に
【数2】

で表される特徴的なピークを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記XRPDパターンがさらに、13.35、14.90、16.67、20.08、20.83、および26.88に
【数3】

で表される特徴的なピークを有する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記XRPDパターンがさらに、8.92、13.75、22.15および39.20に
【数4】

で表される特徴的なピークを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式Iの化合物であって、
【化2】

結晶性であり、約168.9℃のピーク温度を有する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、化合物。
【請求項6】
式Iの化合物であって、
【化3】

図1に示すものと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、化合物。
【請求項7】
95%以上の純度で1つの結晶形態を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記純度が99%以上である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記純度が99.8%以上である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
実質的に純粋である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
侵害受容性疼痛障害の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
変形性関節症の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
腱炎の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
慢性腱炎の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
骨盤痛の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
神経因性疼痛の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
末梢神経障害の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
胃食道逆流症(GERD)の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
糖尿病の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
肥満の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
慢性咳嗽の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
過敏性腸症候群(IBS)の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
過活動膀胱の治療のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項27】
バニロイド受容体1(VR1)を阻害するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項28】
侵害受容性疼痛障害の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
変形性関節症の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項31】
腱炎の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
慢性腱炎の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項33】
骨盤痛の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項34】
神経因性疼痛の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項35】
末梢神経障害の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項36】
帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に与することを含む、方法。
【請求項37】
胃食道逆流症(GERD)の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項38】
糖尿病の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項39】
肥満の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項40】
慢性咳嗽の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項41】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項42】
過敏性腸症候群(IBS)の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項43】
過活動膀胱の治療のための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項44】
バニロイド受容体1(VR1)を阻害するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項46】
経口剤形として製剤される、請求項45に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記経口剤形が、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチまたは顆粒である、請求項46に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
経口懸濁液として製剤される、請求項45に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
侵害受容性疼痛障害の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項50】
慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項51】
変形性関節症の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項52】
腱炎の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項53】
慢性腱炎の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項54】
骨盤痛の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項55】
神経因性疼痛の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項56】
末梢神経障害の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項57】
PHNの治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項58】
GERDの治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項59】
糖尿病の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項60】
肥満の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項61】
慢性咳嗽の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項62】
COPDの治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項63】
IBSの治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項64】
過活動膀胱の治療のための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項65】
VR1を阻害するための、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項66】
侵害受容性疼痛障害の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項67】
慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項68】
変形性関節症の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項69】
腱炎の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項70】
慢性腱炎の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項71】
骨盤痛の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項72】
神経因性疼痛の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項73】
末梢神経障害の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項74】
PHNの治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項75】
GERDの治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項76】
糖尿病の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項77】
肥満の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項78】
慢性咳嗽の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項79】
COPDの治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項80】
IBSの治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項81】
過活動膀胱の治療のための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項82】
VR1を阻害するための方法であって、請求項45~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項83】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの塩を塩基で処理し、遊離塩基化合物を得ることと、
前記遊離塩基化合物を結晶化して、前記式Iの化合物を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項84】
前記塩が(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミド塩酸塩である、請求項83に記載のプロセス。
【請求項85】
前記塩基が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムからなる群から選択される、請求項83または84に記載のプロセス。
【請求項86】
前記塩基が重炭酸ナトリウムである、請求項85に記載のプロセス。
【請求項87】
前記塩基が水に可溶化される、請求項83~86のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項88】
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの前記塩が、メタノール、エタノール、水およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒に可溶化される、請求項83~87のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項89】
前記溶媒がメタノールと水の混合物である、請求項88に記載のプロセス。
【請求項90】
前記溶媒がメタノールである、請求項88に記載のプロセス。
【請求項91】
遊離塩基化合物を結晶化することが
加熱により前記遊離塩基化合物を可溶化して、遊離塩基溶液を得ることと、
前記遊離塩基溶液を室温に冷却して、遊離塩基スラリーを得るここと、
前記遊離塩基スラリーを濾過して、前記式Iの化合物を得ることと、を含む、請求項83~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項92】
前記遊離塩基が、水とメタノールの混合物に可溶化される、請求項91に記載のプロセス。
【請求項93】
前記遊離塩基スラリーを濾過することが、
前記遊離塩基のフィルターケーキを得ることと、
前記フィルターケーキを乾燥させて、前記式Iの化合物を得ることと、を含む、請求項91または92に記載のプロセス。
【請求項94】
前記フィルターケーキを乾燥させることが、約40℃~45℃の温度の真空下で前記フィルターケーキを乾燥させることを含む、請求項93に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年1月8日に提出された米国仮出願第62/789,740号の優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術分野は、化合物(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態、ならびに薬学的組成物、その治療的使用および製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳類の痛みの感覚は、侵害受容器として知られている感覚ニューロンの特殊な集団の末梢末端の活性化によるものである。唐辛子の有効成分であるカプサイシンは、侵害受容器の持続的な活性化を引き起こし、また、ヒトに用量依存的な痛みの感覚をもたらす。バニロイド受容体1(VR1またはTRPV1)のクローニングは、VR1がカプサイシンおよびその類似体の分子標的であることを示した。(Caterina,M.J.,Schumacher,M.A.,et.al.Nature(1997)v.389 p 816~824)。VR1を使用した機能研究は、VR1が有害な熱、組織の酸性化、およびその他の炎症性メディエーターによっても活性化されることを示している(Tominaga,M.,Caterina,M.J.et.al.Neuron(1998)v.21,p.531-543).VR1の発現は、神経因性疼痛を引き起こすタイプの末梢神経損傷後にも調節される。VR1のこれらの特性により、VR1は、痛みや炎症を伴う疾患の非常に関連性の高いターゲットになる。VR1受容体のアゴニストは侵害受容器の破壊を通じて鎮痛剤として作用できるが、カプサイシンやその類似体などのアゴニストの使用は、その辛味、神経毒性、低体温の誘発のために制限されている。代わりに、VR1の活性をブロックする薬剤の方がより便利である。アンタゴニストは鎮痛作用を維持するが、辛味と神経毒性の副作用を回避する。
【0004】
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミド(本明細書では化合物1とも呼ばれる)は、VR1受容体での活性を阻害することが見出された(WO2008/018827)。化合物1は、WO2008/018827の117~118ページに記載されている全細胞における薬物誘発性細胞内Ca2+レベルをモニターする384プレートベースのイメージングアッセイを使用して、41~49nMのIC50を有するカプサイシン応答のアンタゴニストであることが見出された。
【0005】
治療的使用に適している可能性がある、この化合物の安定した結晶形態を特定することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、式Iの化合物が提供され、
【化1】

本化合物は結晶性であり、3.07、5.96、11.89、および17.85に
【数1】

で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0007】
いくつかの実施形態において、XRPDパターンがさらに、23.86および24.63に
【数2】

で表される特徴的なピークを有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、XRPDパターンがさらに、13.35、14.90、16.67、20.08、20.83、および26.88に
【数3】

で表される特徴的なピークを有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、XRPDパターンがさらに、8.92、13.75、22.15および39.20に
【数4】

で表される特徴的なピークを有する。
【0010】
一態様において、式Iの化合物が提供され、
【化2】

本化合物は結晶性であり、約168.9℃のピーク温度を有する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0011】
一態様において、式Iの化合物が提供され、
【化3】

図1に示すものと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する。
【0012】
一態様において、式Iの化合物が提供され、
【化4】

これは結晶性である。
【0013】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は、95%以上、99%以上、または99.8%以上の純度で1つの結晶形態を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は、実質的に純粋である。
【0015】
一態様において、式Iの化合物が提供され、
【化5】

これは、
3.07、5.96、11.89、17.85、23.86、および24.63に
【数5】

で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す第1の結晶形態、および
第2の結晶形態、を含む固体である。
【0016】
いくつかの実施形態において、第2の結晶形態は、4.77、12.61、14.05、14.41、16.68および17.06に
【数6】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2の結晶形態は、3.86、4.52、6.97、12.44、13.50および13.81に
【数7】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す。
【0018】
いくつかの実施形態において、第2の結晶形態は、4.38、7.78、8.73、10.47、12.26、21.08および23.21に
【数8】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す。
【0019】
いくつかの実施形態において、第2の結晶形態は、4.24、4.92、8.15、8.44、8.73、11.98および15.31に
【数9】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す。
【0020】
いくつかの実施形態において、第2の結晶形態は、11.67、13.09、13.48、14.06、14.70および15.56に
【数10】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、第1の結晶形態は、固体の少なくとも80重量%を構成する。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の結晶形態は、固体の少なくとも95重量%を構成する。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1の結晶形態は、固体の少なくとも99重量%を構成する。
【0024】
いくつかの実施形態において、侵害受容性疼痛障害の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態において、慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0026】
いくつかの実施形態において、変形性関節症の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態において、腱炎の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0028】
いくつかの実施形態において、慢性腱炎の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態において、骨盤痛の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態において、神経因性疼痛の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態において、帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態において、胃食道逆流症(GERD)の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0034】
いくつかの実施形態において、糖尿病の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態において、肥満の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0036】
いくつかの実施形態において、慢性咳嗽の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0037】
いくつかの実施形態において、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0038】
いくつかの実施形態において、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、過活動膀胱の治療のための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0040】
いくつかの実施形態において、バニロイド受容体1(VR1)を阻害するための、本明細書に記載の化合物の使用が提供される。
【0041】
いくつかの実施形態において、侵害受容性疼痛障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、変形性関節症の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、腱炎の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、慢性腱炎の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、骨盤痛の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、神経因性疼痛の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、胃食道逆流症(GERD)の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、糖尿病の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、肥満の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、慢性咳嗽の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、過活動膀胱の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、バニロイド受容体1(VR1)を阻害するための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0059】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、経口剤形として製剤される。
【0060】
いくつかの実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチまたは顆粒である。
【0061】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、経口懸濁液として製剤される。
【0062】
いくつかの実施形態において、侵害受容性疼痛障害の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0063】
いくつかの実施形態において、慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0064】
いくつかの実施形態において、変形性関節症の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0065】
いくつかの実施形態において、腱炎の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0066】
いくつかの実施形態において、慢性腱炎の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0067】
いくつかの実施形態において、骨盤痛の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態において、神経因性疼痛の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0070】
いくつかの実施形態において、PHNの治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0071】
いくつかの実施形態において、GERDの治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0072】
いくつかの実施形態において、糖尿病の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0073】
いくつかの実施形態において、肥満の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0074】
いくつかの実施形態において、慢性咳嗽の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0075】
いくつかの実施形態において、COPDの治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0076】
いくつかの実施形態において、IBSの治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0077】
いくつかの実施形態において、過活動膀胱の治療のための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0078】
いくつかの実施形態において、VR1を阻害するための、本明細書に記載の薬学的組成物の使用が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態において、侵害受容性疼痛障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、慢性侵害受容性疼痛障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、変形性関節症の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、腱炎の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、慢性腱炎の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、骨盤痛の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、神経因性疼痛の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、PHNの治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、GERDの治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、糖尿病の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、肥満の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、慢性咳嗽の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、COPDの治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、IBSの治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、過活動膀胱の治療のための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、VR1を阻害するための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0096】
一態様において、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの塩を塩基で処理して、遊離塩基化合物を得ることと、
遊離塩基化合物を結晶化して、式Iの化合物を得ることと、を含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0097】
いくつかの実施形態において、塩は、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミド塩酸塩である。
【0098】
いくつかの実施形態において、塩基は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムからなる群から選択される。
【0099】
いくつかの実施形態において、塩基は重炭酸ナトリウムである。
【0100】
いくつかの実施形態において、塩基は水に可溶化される。
【0101】
いくつかの実施形態において、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの塩は、メタノール、エタノール、水およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒に可溶化される。
【0102】
いくつかの実施形態において、溶媒は、メタノールと水の混合物である。
【0103】
いくつかの実施形態において、溶媒はメタノールである。
【0104】
いくつかの実施形態において、遊離塩基化合物を結晶化することは、
加熱により遊離塩基化合物を可溶化して、遊離塩基溶液を得ることと、
遊離塩基溶液を室温に冷却して、遊離塩基スラリーを得ることと、
遊離塩基スラリーを濾過して、式Iの化合物を得ることと、を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、遊離塩基は、水とメタノールの混合物に可溶化される。
【0106】
いくつかの実施形態において、遊離塩基スラリーを濾過することは、
遊離塩基のフィルターケーキを得ることと、
フィルターケーキを乾燥させて、式Iの化合物を得ることと、を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、フィルターケーキを乾燥させることは、約40℃~45℃の温度の真空下でフィルターケーキを乾燥させることを含む。
【0108】
一態様において、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドを、水、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンからなる群から選択される溶媒の固気拡散に供することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0109】
一態様において、IPAまたはIPAc中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液にMTBEを蒸気拡散させ、続いて溶液を冷却または蒸発させることを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0110】
一態様において、メチルエチルケトン(MEK)中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液にn-ヘプタンを蒸気拡散させることを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0111】
一態様において、HO、EtOH、IPA、トルエン、IPAc、EtOH/HO、EtOAc/n-ヘプタン、MIBK/n-ヘプタン、EtOH/MTBE、CHCl/MTBEおよび2-MeTHF/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドのスラリーを室温で撹拌することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0112】
一態様において、HO、IPA、トルエン、IPAc、MTBE、EtOAc/n-ヘプタン、MIBK/n-ヘプタン、EtOH/MTBE、CHCl/MTBEおよび2-MeTHF/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドのスラリーを50℃で撹拌することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0113】
一態様において、MeOH、EtOH、IPAおよびアセトンからなる群から選択される溶媒中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液を蒸発させることを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0114】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドをメタノールまたはエタノールに可溶化することと、
溶液に、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)およびメチルセルロース(MC)を含むポリマーブレンドを添加することと、を含む。
【0115】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドをメタノールまたはエタノールに可溶化することと、
溶液に、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、およびメチルセルロース(MC)からなるポリマーブレンドを添加することと、を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドの重量比は1:1:1:1:1:1である。
【0117】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドをIPAまたはエタノールに可溶化することと、
溶液に、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含むポリマーブレンドを添加することと、を含む。
【0118】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドをIPAまたはエタノールに可溶化することと、
溶液に、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)からなるポリマーブレンドを添加することと、を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドの重量比は1:1:1:1:1である。
【0120】
一態様において、IPA、トルエン、MTBE、EtOH/n-ヘプタン、およびCHCl/MTBEからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液を冷却することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0121】
一態様において、アセトニトリル中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液に水を添加することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0122】
一態様において、エタノールまたは2-MeTHF中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液にMTBEを添加することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0123】
一態様において、エタノール、MIBK、またはEtOAc中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液にn-ヘプタンを添加することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0124】
一態様において、2-MeTHF中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液にトルエンを添加することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0125】
一態様において、DMSO中の(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの溶液に水を添加することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0126】
一態様において、4.77、12.61、14.05、14.41、16.68、および17.06に
【数11】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態を加熱することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0127】
一態様において、約135.1℃および163.2℃にそれぞれのピーク温度を有する2つの吸熱と、約137.1℃にピーク温度を有する発熱を示すDSCサーモグラムを有する、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態を加熱することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0128】
いくつかの実施形態において、加熱は、窒素下で、少なくとも140℃まで実施される。
【0129】
一態様において、窒素下で、3.86、4.52、6.97、12.44、13.50および13.81に
【数12】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態を少なくとも155℃に加熱することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0130】
一態様において、窒素下で、それぞれ約131.4℃、152.7℃、および164.3℃にピーク温度を有する3つの吸熱を示すDSCサーモグラムを有する、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態を少なくとも155℃に加熱することを含む、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0131】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
IPA中の、4.24、4.92、8.15、8.44、8.73、11.98および15.31に
【数13】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態のスラリーを準備することと、
室温でスラリーを撹拌することと、を含む。
【0132】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
IPA中の、約107.5℃、122.6℃、147.6℃および165.5℃にそれぞれのピーク温度を有する4つの吸熱と、約124.7℃および151.4℃に2つのピーク温度を有する発熱を示すDSCサーモグラムを有する、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態のスラリーを準備することと、
室温でスラリーを撹拌することと、を含む。
【0133】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
IPA中の、11.67、13.09、13.48、14.06、14.70、および15.56に
【数14】

で表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを示す(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態のスラリーを準備することと、
室温でスラリーを撹拌することと、を含む。
【0134】
一態様において、本明細書に記載の化合物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、
IPA中の、約153.0℃にピーク温度を有する第1の吸熱と、約162.6℃にピーク温度を有する第2の吸熱と、を示すDSCサーモグラムを有する、(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1-メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミドの結晶形態のスラリーを準備することと、
室温でスラリーを撹拌することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0135】
図1】形態AのX線粉末回折図(XRPD)。
図2】形態BのXRPD。
図3】形態CのXRPD。
図4】形態DのXRPD。
図5】形態EのXRPD。
図6】形態FのXRPD。
図7】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態Aの示差走査熱量測定(DSC)分析、および窒素パージ下で10℃/分のスキャン速度での形態Aの熱重量(TGA)分析を含む。
図8】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態BのDSC分析、および窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での形態BのTGA分析を含む。
図9】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態CのDSC分析、および窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での形態CのTGA分析を含む。
図10】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態DのDSC分析、および窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での形態DのTGA分析を含む。
図11】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態EのDSC分析、および窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での形態EのTGA分析を含む。
図12】窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での密閉されたパン内の形態FのDSC分析、および窒素パージ下10℃/分のスキャン速度での形態FのTGA分析を含む。
図13】加熱時に形態Bから形態Aに変化する一連の可変温度XRPDである。
図14】形態Cの一連の可変温度XRPDである。
図15】加熱時に形態Aと形態Fの混合物に変化する、形態Cと形態Fの混合物の一連の可変温度XRPDである。
図16】真空乾燥前後の形態DのXRPDの比較である。
図17】80℃に加熱時に形態Dから形態Eに変化する一連の可変温度XRPDである。
図18】110℃に加熱時に形態Dからアモルファス形態に変化し、124℃に加熱時にさらに形態Fに変換する一連の可変温度XRPDである。
図19】室温で48時間撹拌した後、形態Aと形態Eまたは形態Fの混合物が形態Aにスラリー変換することを示す一連のXRPDである。
図20】結晶形態間の相互変換関係を示すチャートである。
図21】様々な温度、相対湿度、および圧縮条件で記録された形態Aの一連のXRPDである。
【発明を実施するための形態】
【0136】
定義
本明細書で使用される「安定」という用語は、化学的安定性および/または固体安定性を含む。化合物は、通常の貯蔵条件下で、いずれの顕著な程度の化学的劣化または分解もなく、化合物が単離された固体形態、または薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントと混合して提供され得る固体製剤の形態で保存できるときに、化学的に安定であると考えられる。
【0137】
化合物は、通常の貯蔵下で、いずれの顕著な程度の固体状態変換(例えば、結晶化、再結晶化、結晶化度の喪失、固相相転移、水和、脱水、溶媒和または脱溶媒和)もない条件下で、単離された固体形態で、または薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントと混合して提供され得る固体製剤の形態で貯蔵され得る場合、固体安定性を有するとみなされる。
【0138】
固体化合物の結晶形態は、それらの溶解挙動(すなわち、生物学的利用能)だけでなく、それらの固体安定性にも影響を及ぼす。結晶形態の固体安定性を比較する1つの方法は、結晶形態の相対的な「熱力学的安定性」を評価することである。結晶形態の熱力学的安定性を評価するための典型的な技術には、スラリー化、ゆっくりとした蒸発、ゆっくりとした冷却、ゆっくりとした逆溶媒の添加、またはこれらの方法の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。熱量測定技術(例えば、示差走査熱量測定)を使用して、広い温度範囲にわたる熱イベントおよび相転移を測定することもでき、結晶形態間の比較により、それらの相対的な熱力学的安定性に関する指標を与えることもできる。
【0139】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体または賦形剤」という表現は、ヒトまたは家畜における医薬の使用に許容されることが知られている、任意のアジュバント、担体、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒または乳化剤を含むがこれらに限定されない。
【0140】
本明細書で使用される「薬学的組成物」という表現は、化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤の製剤を指す。
【0141】
本明細書で使用される「約」という用語は、一般に、当業者によって考慮される場合、平均の許容可能な標準誤差内を意味する。例えば、考慮される値または範囲に応じて、「約」という用語は、値または範囲の10%以内、5%以内、または1%以内を意味する場合を有する。
【0142】
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、結晶格子構造に組み込まれた水の分子をさらに含む分子の結晶形態を指す。水和物中の水分子は、規則的な配置および/または無秩序な配置で存在し得る。水和物は、化学量論的または非化学量論的量の水分子を含み得る。例えば、非化学量論的な量の水分子を含む水和物は、水和物からの水の部分的な損失から生じる可能性がある。
【0143】
本明細書で使用される場合、「無水物」または「無水」という用語は、結晶格子構造に組み込まれた水の分子をさらに含まない、分子自体の結晶形態を指す。
【0144】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、結晶格子構造に組み込まれた1種以上の溶媒の分子をさらに含む分子の結晶形態を指す。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置および/または無秩序な配置で存在し得る。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒分子を含み得る。例えば、非化学量論的な量の溶媒分子を含む溶媒和物は、溶媒和物からの溶媒の部分的な喪失から生じる可能性がある。溶媒は、様々な有機溶媒を含むことができる。「溶媒和物」は、単一の溶媒、溶媒の混合物、または溶媒(または複数の溶媒)と水の混合物を含み得ることも理解されたい。
【0145】
X線回折パターンを説明するために本明細書において使用される「実質的に同じ」という用語は、ピークが、
【数15】

の標準偏差、または参照パターンと共通の少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16のピークを含むX線回折パターン内にあるパターンを含むことを意味する。さらに、当業者は、相対的なピーク強度が、結晶化度、優先配向、調製された試料表面、および他の要因による変動性と同様に、装置間の変動性を示すことを理解するであろう。そのため、相対的なピーク強度を定性的な尺度として使用するべきである。
【0146】
式(I)の化合物の結晶形態に関して使用される場合、「実質的に純粋な」という用語は、約90%を超える純度を有する結晶形態を含むことを意味する。これは、結晶形態が約10%を超える他の化合物を含んではならず、特に、式(I)の化合物の他の結晶形態を約10%を超えて含まないことを意味する。好ましくは、「実質的に純粋な」という用語は、約95%を超える純度を有する結晶形態を意味する。これは、結晶形態が他の化合物の約5%を超えて含んではならず、特に、式(I)の化合物の他の結晶形態を約5%を超えて含まないことを意味する。より好ましくは、「実質的に純粋な」という用語は、約99%を超える純度を有する結晶形態を意味する。これは、結晶形態が他の化合物の約1%を超えて含んではならず、特に、式(I)の化合物の他の結晶形態を約1%を超えて含まないことを意味する。
【0147】
式(I)の化合物に関して使用される場合の「固体」または「固体混合物」という用語は、結晶形態の混合物を指す。例えば、固体または固体混合物は、式(I)の化合物の少なくとも2つの異なる結晶形態を含むことができる。例えば、固体混合物は、結晶形態Aと、形態B、形態C、形態D、形態Eおよび/または形態Fなどの1以上の追加の結晶形態を含むことができる。
【0148】
XRPDデータは、PANalytical X線粉末回折計を反射モードで使用して取得された。使用した放射線はCu Kα(λ=1.5418Å)であった。本明細書に記載されている
【数16】

値は、使用される放射線のタイプに依存し、当業者は、異なる放射線が使用された場合(例えば、モリブデン放射線)、所与の結晶形態のXRPDが異なる
【数17】

値を示すことを理解するであろう。
【0149】
本明細書で使用される「光学的に純粋な」という用語は、他のエナンチオマーの比率よりも大きい所望のエナンチオマーの比率を含む化合物を指す。光学的に純粋な化合物は、一般に、化合物の総重量の100重量%に基づいて、所望のエナンチオマーの少なくとも約90%、95%、または99%から構成される。
【0150】
本明細書で使用される場合、「結晶形態」または「多形」という用語は、同じ化学組成を有するが、結晶構造を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なる空間配置を有する化合物の結晶構造を指す。
【0151】
3つの無水物(形態A、形態Eおよび形態F)、および3つの溶媒和物または水和物(形態B、形態Cおよび形態D)を含む、6つの結晶形態が化合物1の多形スクリーニングから得られる。本明細書で詳細に説明するように、様々な結晶形態を他の結晶形態に変換することができる。
【0152】
形態A
化合物1の結晶形態Aは無水物であり、室温で安定している。示差走査熱量測定(DSC)によると、形態Aには、融解に対応する単一の吸熱があり、約167.9℃で開始し、約168.9℃にピークを有する。熱重量(TGA)分析は、形態Aが無水物であることを示唆している。TGA分析では、約250℃で分解を開始する前に実質的な重量損失は見られない。形態AのDSCおよびTGA分析を図7に示す。
【0153】
化合物1の形態Aは、図1に示したものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図1のXRPDパターンのピーク位置および強度を以下の表1に示す。
【表1】
【0154】
形態Aは、水、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンからなる群から選択される溶媒の固気拡散によって調製することができる。
【0155】
形態Aは、溶媒としてIPAを使用し、逆溶媒としてMTBEを使用する気液拡散によっても調製することができる。MTBEを化合物1のIPA溶液に蒸気拡散させた後に得られた透明な溶液を、5℃に冷却するか、または室温で蒸発させて、形態Aの結晶を得た。
【0156】
形態Aは、溶媒としてIPAcを使用し、逆溶媒としてMTBEを使用する気液拡散によっても調製することができる。MTBEを化合物1のIPAc溶液に蒸気拡散させた後に得られた透明な溶液を、5℃に冷却するか、または室温で蒸発させて、形態Aの結晶を得た。
【0157】
形態Aは、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を使用し、逆溶媒としてn-ヘプタンを使用する気液拡散によっても調製することができる。
【0158】
形態Aはまた、室温でHO、EtOH、IPA、トルエン、IPAc、EtOH/HO、EtOAc/n-ヘプタン、MIBK/n-ヘプタン、EtOH/MTBE、CHCl/MTBEおよび2-MeTHF/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で、化合物1のスラリーを調製および撹拌することによって調製することができる。例えば、溶媒混合物は、以下の比率(体積:体積)を有することができる:EtOH/HO(704:296)、EtOAc/n-ヘプタン(1:1)、MIBK/n-ヘプタン(1:1)、EtOH/MTBE(1:4)、CHCl/MTBE(1:4)および2-MeTHF/トルエン(1:4)。
【0159】
形態Aは、50℃で、HO、IPA、トルエン、IPAc、MTBE、EtOAc/n-ヘプタン、MIBK/n-ヘプタン、EtOH/MTBE、CHCl/MTBEおよび2-MeTHF/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で、化合物1のスラリーを調製および撹拌することによって調製することもできる。例えば、溶媒混合物は、以下の比率(体積:体積)を有することができる:EtOAc/n-ヘプタン(1:5)、MIBK/n-ヘプタン(1:5)、EtOH/MTBE(1:9)、CHCl/MTBE(1:9)および2-MeTHF/トルエン(1:9)。
【0160】
形態Aはまた、MeOH、EtOH、IPAおよびアセトンからなる群から選択される溶媒中における化合物1の溶液のゆっくりとした蒸発によって調製することができる。
【0161】
形態Aはまた、多相ポリマー系でのポリマー誘起結晶化によって調製することができる。一例において、形態Aは、MeOHおよびEtOHからなる群から選択される溶媒に化合物1を可溶化し、その溶液にポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒドロメロース(HPMC)、およびメチルセルロース(MC)(重量比が1:1:1:1:1:1)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。別の例において、形態Aは、IPAおよびEtOHからなる群から選択される溶媒に化合物1を可溶化し、その溶液にポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)(重量比は1:1:1:1:1である)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。
【0162】
形態Aは、IPA、トルエン、MTBE、EtOH/n-ヘプタンおよびCHCl/MTBEからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中の化合物1の溶液をゆっくりと冷却することによっても調製することができる。例えば、溶媒混合物は次の比率(体積:体積)を有することができる:EtOH/n-ヘプタン(1:4)およびCHCl/MTBE(1:4)。
【0163】
形態Aは、溶媒中の化合物1の溶液に逆溶媒を添加することによっても調製することができる。一例において、形態Aは、化合物1のアセトニトリル溶液に水を添加することによって調製することができる。別の例において、形態Aは、化合物1のEtOH溶液にMTBEを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1のEtOH溶液にn-ヘプタンを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1のMIBK溶液にn-ヘプタンを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1の2-MeTHF溶液にMTBEを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1の2-MeTHF溶液にトルエンを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1のEtOAc溶液にn-ヘプタンを添加することによって調製することができる。さらに別の例において、形態Aは、化合物1のDMSO溶液に水を添加することによって調製することができる。
【0164】
形態Aを調製するための別の方法は、化合物1の塩を塩基で処理して、遊離塩基化合物を得ることを含む。遊離塩基化合物を結晶化して、形態Aの結晶を得ることができる。化合物1の塩は、例えば、塩酸塩であり得る。塩基は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムからなる群から選択することができる。好ましくは、塩基は重炭酸ナトリウムであり、水に可溶化される。塩基で処理する前に、化合物1の塩を、メタノール、エタノール、水およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒に可溶化することができる。好ましくは、溶媒は、メタノールまたはメタノールと水の混合物である。いくつかのシナリオにおいて、遊離塩基化合物を結晶化することは、加熱によって遊離塩基化合物を可溶化して遊離塩基溶液を得ること、遊離塩基溶液を室温に冷却して遊離塩基スラリーを得ること、および遊離塩基スラリーを濾過して、形態Aの結晶を得ることを含む。例えば、遊離塩基は、水とメタノールの混合物に可溶化することができる。遊離塩基スラリーの濾過は、遊離塩基のフィルターケーキを得ること、およびフィルターケーキを乾燥させて形態Aの結晶を得ることを含み得る。フィルターケーキの乾燥は、約40℃~45℃の温度の真空下で実施することができる。好ましくは、形態Aの結晶は、メタノールに可溶化された化合物1の塩酸塩を重炭酸ナトリウム水溶液で処理して、in situで結晶化することができる化合物1を生成することによって形態Aの結晶を完成させることにより調製することができる。
【0165】
前述の方法によって得られた結晶は、例えば、濾過などの当技術分野で知られている技術によって回収することができる。
【0166】
形態B
化合物1の結晶形態Bは溶媒和物または水和物である。DSCによれば、形態Bは、約135.1℃にピークを有する第1の吸熱、約137.1℃にピークを有する発熱、および約163.2℃にピークを有する第2の吸熱を有する。TGA分析は、31.5℃~120.0℃の間で約6.4%の重量損失を示し、120.0℃~170.0℃の間でさらに約4.6%の重量損失を示し、形態Bが溶媒和物または水和物であることを示唆している。TGA分析では、約250℃で開始する分解の前に実質的な重量損失は見られない。形態BのDSCおよびTGA分析を図8に示す。
【0167】
化合物1の形態Bは、図2(c)に示されているものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図2(c)のXRPDパターンのピーク位置および強度を以下の表2に示す。
【表2】
【0168】
形態Bは、溶媒としてEtOHを使用し、逆溶媒としてトルエンを使用する気液拡散によって調製することができる。トルエンを化合物1のEtOH溶液に蒸気拡散させた後に得られた透明な溶液を5℃に冷却するか、または室温で蒸発させて、形態Bの結晶を得た。
【0169】
形態Bは、溶媒としてジクロロメタン(DCM)を使用し、逆溶媒としてMTBEを使用する気液拡散によっても調製することができる。
【0170】
形態Bはまた、化合物1のスラリーを、室温でアニソールおよびアセトニトリル/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で調製および撹拌することによって調製することができる。例えば、溶媒混合物は次の比率(体積:体積)を有することができる:アセトニトリル/トルエン(1:4)。
【0171】
形態Bはまた、化合物1のスラリーを、50℃でアニソールおよびアセトニトリル/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で調製および撹拌することによって調製することができる。例えば、溶媒混合物は次の比率(体積:体積)を有することができる:アセトニトリル/トルエン(1:9)。
【0172】
形態Bはまた、DCMおよびCHClからなる群から選択される溶媒中の化合物1の溶液のゆっくりとした蒸発によって調製することができる。
【0173】
形態Bは、多相ポリマー系でのポリマー誘起結晶化によっても調製することができる。一例において、形態Bは、化合物1をDCMに可溶化し、この溶液にポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、およびメチルセルロース(MC)(重量比1:1:1:1:1:1)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。別の例において、形態Bは、化合物1をCHClに可溶化し、この溶液にポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)(重量比1:1:1:1:1)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。
【0174】
形態Bはまた、溶媒中の化合物1の溶液に逆溶媒を添加することによって調製することができる。一例において、形態Bは、化合物1のDCM溶液にMTBEを添加することによって調製することができる。
【0175】
前述の方法によって得られた結晶は、例えば、濾過などの当技術分野で知られている技術によって回収することができる。
【0176】
形態C
化合物1の結晶形態Cは溶媒和物または水和物である。DSCによると、形態Cには、約131.4℃、152.7℃、および164.3℃にピークを有する3つの主要な吸熱を有する。TGA分析は、形態Cが溶媒和物または水和物であることを示唆している。TGA分析では、約250℃で分解を開始する前に実質的な重量損失は見られない。図9に形態CのDSCおよびTGA分析を示し、分析は形態Cの結晶を真空乾燥した後に実施した。
【0177】
化合物1の形態Cは、図3(b)に示されているものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図3(b)のXRPDパターンのピーク位置および強度を以下の表3に示す。
【表3】
【0178】
形態Cは、アセトン、DCMおよびアセトニトリルからなる群から選択される溶媒の固気拡散によって調製することができる。
【0179】
形態Cはまた、溶媒としてEtOAcおよび逆溶媒としてn-ヘプタンを使用する気液拡散によって調製することができる。
【0180】
形態Cはまた、EtOAc、IAPc、THFおよびアセトニトリルからなる群から選択される溶媒中の化合物1の溶液のゆっくりとした蒸発によって調製することができる。図3(a)は、化合物1のEtOAc溶液のゆっくりとした蒸発によって得られた、再調製された形態CのXRPDを示している。
【0181】
形態Cは、多相ポリマー系でのポリマー誘起結晶化によっても調製することができる。一例において、形態Cは、アセトン、THFおよびEtOAcからなる群から選択される溶媒に化合物1を可溶化し、この溶液にポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ヒプロメロース(HPMC)、およびメチルセルロース(MC)(重量比は1:1:1:1:1:1である)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。別の例において、形態Cは、MEKおよびIPAcからなる群から選択される溶媒に化合物1を可溶化し、この溶液にポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)(重量比は1:1:1:1:1である)からなるポリマーブレンドを添加することによって得ることができる。
【0182】
形態Cはまた、MIBK、EtOAc、IPAcおよびMEK/トルエンからなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中の化合物1の溶液のゆっくりとした冷却によって調製することができる。例えば、溶媒混合物は次の比率(体積:体積)を有することができる:MEK/トルエン(1:4)。溶媒または溶媒混合物がMIBK、EtOAcおよびMEK/トルエンである場合など、場合によっては、冷却後に最初にゲルが得られ、次に室温でゆっくりと蒸発させた後、ゲルが形態Cに変換する。
【0183】
形態D
化合物1の結晶形態Dは、溶媒和物または水和物である。示差走査熱量測定(DSC)によると、形態Dは、101.5℃、120.8℃、145.5℃、および164.0℃にピークを有する4つの吸熱と、123.2℃および149.7℃にピークを有する発熱と、を含む複数の熱イベントを有する。最初のTGA分析は、形態Dが40℃~90.0℃の間で3.1%の重量損失を示し、真空下での乾燥後に実施された2番目のTGA分析は29.6℃~90.0℃の間で約1.97%の重量損失を示した。これは、形態Dが溶媒和物または水和物であることを示唆している。TGA分析では、約250℃で分解を開始する前に実質的な重量損失は見られない。形態DのDSCおよび最初のTGA分析(つまり、真空下での乾燥なし)を図10に示す。
【0184】
化合物1の形態Dは、図4(b)に示されているものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図4(b)のXRPDパターンのピーク位置および強度を以下の表4に示す。
【表4】
【0185】
形態Dは、化合物1のDCM溶液にn-ヘプタンを添加する逆溶媒添加によって調製することができる。図4(a)は、化合物1のDCM溶液へのn-ヘプタンの逆溶媒添加によって再調製された形態DのXRPDを示す。
【0186】
形態Dと形態Aの混合物は、化合物1の2-MeTHF溶液にn-ヘプタンを添加する逆溶媒添加により調製することができる。
【0187】
形態Dと形態Aの混合物は、MTBE中、室温で化合物1のスラリーを調製および撹拌することによって調製することもできる。
【0188】
形態E
化合物1の結晶形態Eは、無水物である。DSCによると、形態Eは、約107.5℃、122.6℃、147.6℃、および165.5℃にピークを有する4つの吸熱と、約124.7℃および151.4℃にピークを有する2つの発熱と、を含む複数の熱イベントを特徴としている。TGA分析は、形態Eが無水物であることを示唆している。TGA分析では、90.0℃までに3.2%の重量損失が見られ、約250℃で分解を開始する前に実質的な重量損失は見られなかった。形態EのDSCおよびTGA分析を図11に示す。
【0189】
化合物1の形態Eは、図5(b)に示されているものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図5(b)のXRPDパターンのピーク位置および強度を以下の表5に示す。
【表5】
【0190】
形態Eは、化合物1のMEK溶液のゆっくりとした蒸発によって調製することができる。
【0191】
前述の方法によって得られた結晶は、例えば、濾過などの当技術分野で知られている技術によって回収することができる。
【0192】
形態F
化合物1の結晶形態Fは、無水物である。DSC分析によれば、形態Fは、約153.0℃にピークを有する第1の鋭い吸熱と、約162.6℃にピークを有する第2のより小さな吸熱と、を有する。TGAは130.0℃までに2.4%の重量損失を示し、形態Fが無水物であることを示唆している。TGA分析では、約250℃で分解を開始する前に実質的な重量損失は見られない。形態FのDSCおよびTGA分析を図12に示す。
【0193】
化合物1の形態Fは、図6に示したものと実質的に同じXRPDパターンを有する。図6(b)のXRPDパターンのピーク位置および強度を、以下の表6に示す。
【表6】
【0194】
形態Fは、以下に説明するように、形態Aまたは形態Dから開始して調製することができる。
【0195】
結晶形態の相互変換
ここで図20を参照すると、化合物1の結晶形態間の相互変換関係を示す図が示されている。
【0196】
形態Bの結晶は、形態Aの結晶に変換する(1)ことができる。例えば、形態Bの結晶は、窒素下で形態Bの結晶を140℃に加熱することにより、形態Aの結晶に変換される。加熱時に形態Bから形態Aに変化する一連の可変温度XRPDを図13に示す。
【0197】
形態Aの結晶は、形態Bの結晶に変換する(2)ことができる。例えば、形態Aの結晶は、アニソール中で形態Aの結晶のスラリーを調製し、室温で撹拌することによって、またはアセトニトリル/トルエンの混合物中の形態Aの結晶のスラリーを調製し、50℃で撹拌することによって、形態Bの結晶に変換される。図2(b)は、50℃でアニソール中の形態Aのスラリーから得られた再調製された形態BのXRPDを示す。
【0198】
形態Cの結晶は、形態Aの結晶に変換する(3)ことができる。例えば、形態Cの結晶は、窒素下で形態Cの結晶を155℃に加熱することにより、形態Aの結晶に変換される。さらに、形態Cの結晶は、形態Fの結晶に変換する(5)ことができる。例えば、形態Cの結晶は、窒素下で136℃に加熱することにより、形態Fの結晶に変換される。形態Cの一連の可変温度XRPDを図14に示し、これは、形態Cが少なくとも120℃まで安定していることを示している。図15に示すように、一連の可変温度XRPDは、形態Cの結晶を136℃に加熱した後、形態Cと形態Fの結晶の混合物が得られることを示している。この試料をさらに加熱すると、形態Aと形態Fの結晶の混合物が生成される。
【0199】
形態Aの結晶は、形態Cの結晶に変換する(4)ことができる。例えば、形態Aの結晶は、アセトン/DCM/アセトニトリル溶媒混合物を使用する固気拡散によって形態Cの結晶に変換される。
【0200】
形態Dの結晶は、形態Fの結晶に変換する(7)ことができる。例えば、形態Dの結晶は、窒素下で形態Dの結晶を124℃に加熱することによって形態Fの結晶に変換される。図18に示すように、形態Dは110℃に加熱するとアモルファス固体に変化する。この試料をさらに124℃に加熱すると、形態Fが生成される。可変温度XRPD分析では、結晶化度が温度とともに増加することも示されている。
【0201】
形態Dの結晶は、形態Eの結晶に変換する(8)ことができる。例えば、形態Dの結晶は、図17に示すように、窒素下で形態Dの結晶を80℃に加熱することによって形態Eの結晶に変換される。図5(a)は、形態Dを窒素下で80℃に加熱して得られた、再調製された形態EのXRPDも示している。
【0202】
形態Fの結晶は、形態Aの結晶に変換する(6)ことができる。同様に、形態Eの結晶は形態Aの結晶に変換する(9)ことができる。例えば、形態Eと形態Aの結晶の混合物は、室温でのIPA中の混合物のスラリー変換により形態Aの結晶に変換される。同様に、形態Fと形態Aの結晶の混合物は、IPA中の混合物の室温でのスラリー変換により形態Aの結晶に変換される。これは、形態Aが3つの無水物の中で、室温で熱力学的に安定な形態であることを示唆している。図19は、形態A、形態Aと形態Eの混合物、および形態Aと形態Fの混合物のXRPDの比較を示している。
【0203】
アモルファス形態、ゲルおよび低結晶化度形態
非結晶形態(アモルファス固体、ゲル様材料)および低結晶性材料も調製することができる。
【0204】
一例において、ゲル様材料は、溶媒としてMIBKを使用し、逆溶媒としてトルエンを使用する気液拡散によって調製することができる。
【0205】
別の例において、ゲル様材料は、化合物1のアニソール溶液のゆっくりとした冷却によって調製することができる。
【0206】
別の例において、ゲル様材料は、化合物1の2-MeTHF溶液のゆっくりとした蒸発によって調製することができる。
【0207】
別の例において、ゲル様材料は、化合物1のIPA溶液中に逆溶媒としてMTBEを添加することによって調製することができる。
【0208】
別の例において、アモルファス固体は、化合物1のアセトニトリル溶液中に、逆溶媒としてトルエンを添加することによって調製することができる。アモルファス固体は、化合物1のエタノール溶液中に、逆溶媒としてトルエンを添加することによっても調製することができる。アモルファス固体は、化合物1のMIBK溶液中に、逆溶媒としてMTBEを添加することによっても調製することができる。アモルファス固体は、化合物1のEtOAc溶液中に、逆溶媒としてトルエンを添加することによっても調製することができる。
【0209】
別の例において、低結晶性材料は、化合物1のMIBK溶液中に、逆溶媒としてトルエンを添加することによって調製することができる。低結晶性材料は、化合物1のDCM溶液中に、逆溶媒としてトルエンを添加することによっても調製することができる。低結晶性材料は、化合物1のEtOAc溶液中に、逆溶媒としてMTBEを添加することによっても調製することができる。
【0210】
別の例において、アモルファス形態は、形態Aの結晶を溶融温度より上であるが分解温度(例えば、200℃)より下で加熱し、続いて溶融物を例えばN保護下で約10℃/分の速度で室温に冷却することによって得ることができる。
【0211】
形態Dは、110℃に加熱することによってアモルファス形態に変換することができる。
【0212】
結晶形態の固体安定性
化合物1は、約250℃の分解温度まで化学的に安定しているようである。しかしながら、一部の結晶形態は、他の結晶形態と比較して、より高い固体安定性を示す。結晶形態の固体安定性は、結晶形態の相対的な「熱力学的安定性」および加熱時またはスラリー化時の結晶形態間の相互変換を評価することによって比較される。
【0213】
形態BのTGA分析は、120℃で開始する部分的な重量損失を示している。これは、形態Bが加熱時に水または溶媒分子の少なくとも部分的な損失を特徴とすることを示唆している。形態Bは加熱時に形態Aに変換されることも示され、形態Aは形態Bよりも熱力学的に安定していることが示唆される。
【0214】
DSCによると、形態Cは溶融前にいくつかの吸熱を示す。形態Cは、窒素下で136℃に加熱すると形態Fに変換され、窒素下で155℃に加熱すると形態Aに変換される。これは、形態Aおよび形態Fが形態Cよりも熱力学的に安定していることを示唆している。
【0215】
DSCによると、形態Dは溶融前にいくつかの熱イベントを示す。形態Dは、窒素下で80℃に加熱すると形態Eに変換され、窒素下で124℃に加熱すると形態Fに変換される。これは、形態Eおよび形態Fが形態Dよりも熱力学的に安定していることを示唆している。
【0216】
DSCによると、形態Eは溶融前にいくつかの熱イベントを示し、形態Fは約153.0℃で最初の鋭い吸熱を示し、約162.6℃にピークを有する2番目の小さい吸熱を示す。形態Eおよび形態Fは、スラリー変換によって形態Aに変換することができる。DSC分析およびスラリー観察は、形態Aが形態Eおよび形態Fよりも熱力学的に安定していることを示唆している。
【0217】
形態Aは、約167.9℃の融点まで安定している無水物である。形態Aは、化合物1の塩酸塩を重炭酸ナトリウムで処理して遊離塩基化合物を得て、遊離塩基化合物を直接結晶化することによって調製することができる。形態Aは、他のいくつかの結晶形態、つまり形態B、C、E、およびFから直接得ることもできる。形態Aは、他のすべての結晶形態と比較して、ほとんどのルートで得ることができるように思われる結晶形態でもある。
【0218】
したがって、上記から、形態Aは、本明細書で同定された他のすべての結晶形態、すなわち形態B、C、D、EおよびFよりも熱力学的に安定であるように思われる。
【0219】
化合物1の調製
化合物1は、例えば、以下に示すステップ1~3に従って調製することができる。ステップ3の実験手順は、実施例1に記載されている。以下の反応スキームに示される試薬は、当業者に知られているように、そして反応が依然として計画通りに進行する範囲で、同様の反応性の他の試薬で置き換えることができることを理解されたい。
【0220】
前駆体(S)-2-[4-(1-アミノエチル)フェニル)フェニル]-2-メチルプロピオニトリル(S)-マンデル酸塩11および(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾ-1-イル)酢酸13はそれぞれ、以下に示すステップ1およびステップ2を使用して調製することができる。
【化6】
【0221】
ステップ1において、塩交換によるキラル分割を使用して、対応する塩酸塩10から11を調製することができる。この塩交換操作の目的は、アミンの化学的純度および光学的純度の両方を向上させることである。10のアミン部分は、10と炭酸カリウムの水溶液との反応によって遊離し、MTBE中に抽出することができる。続いて、還流中の2-プロパノール中で遊離アミンを(S)-(+)-マンデル酸に曝露すると、対応するマンデル酸塩が得られる。
【0222】
他の条件および/または他の反応物を使用して、塩交換によるキラル分割を実施することができることを理解されたい。例えば、塩10は、臭化水素酸塩、フマル酸塩、または塩交換によるキラル分割が起こることを可能にする他の任意の好適な塩であり得る。塩基は、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、または塩10を脱プロトン化することができる他の任意の塩基からなる群から選択することができる。10のアミン部分を抽出するために使用される溶媒は、遊離アミンが十分な溶解度を有する任意の有機溶媒であり得ることも理解されたい。溶媒の非限定的な例には、ジクロロメタンおよびクロロホルムが含まれる。最後に、他のタイプのキラル分割剤を使用できることも理解されたい。キラル分割剤の非限定的な例には、光学的に純粋な酒石酸、カンファー-10-スルホン酸、ジベンゾイル酒石酸およびジトルイル酒石酸が含まれる。
【化7】
【0223】
ステップ2において、1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボニトリル12は、連続して起こる2つの酸化を介して(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾ-1-イル)酢酸13に変換することができる。12のヒドロキシル基は、最初に対応するアルデヒドに変換することができ、これは次にさらに反応してカルボン酸13を形成することができる。アルコール12をカルボン酸13に変換するために他の酸化試薬を使用できることを理解されたい。
【化8】
【0224】
化合物1(または15)の合成は、ステップ3に示すように、(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾ-1-イル)酢酸13および(S)-2-[4-(1-アミノエチル)フェニル)フェニル]-2-メチルプロピオニトリル(S)-マンデル酸塩11から誘導されたアミンから実施することができる。
【0225】
マンデル酸塩11を最初に水酸化ナトリウムで処理して対応する遊離アミンを生成し、次にこれを、T3Pをカップリング剤として使用してカルボン酸13と縮合させて、粗生成物として15を得ることができる。11を処理し、遊離アミンを生成するために他の塩基を使用することができることを理解されたい。例えば、水酸化カリウムは、遊離アミンを生成するために使用することができる。11の遊離アミンをカルボン酸13と縮合させるために、T3Pの代わりに他のカップリング剤を使用することもできる。例えば、EDCまたはDCCをカップリング剤として使用することができる。
【0226】
粗生成物15は、対応するベンズイミダゾリウム塩の形成およびその後の塩の中和を介して精製することができる。例えば、対応するベンズイミダゾリウム塩酸塩14は、イソプロパノール中の粗生成物15の混合物に塩酸を添加することによって得ることができる。その後、メタノール中のベンズイミダゾリウム塩酸塩14を重炭酸ナトリウム水溶液で処理すると、次いで精製された生成物として15を再生成することができる。
【0227】
いくつかのシナリオにおいて、精製された15は、その後、in situで結晶化して、形態Aの多形を与えることができる。他の条件は、本明細書に記載されるように、形態Aの多形を得ることを可能にする。
【0228】
方法、使用、製剤および投与
方法および使用
式(I)の化合物は、バニロイド受容体1(VR-1)のアンタゴニストである。
【0229】
式(I)の化合物は、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、急性侵害受容性疼痛、慢性侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、急性神経因性疼痛、慢性神経因性疼痛、炎症性疼痛、急性炎症性疼痛および/または慢性炎症性疼痛の治療に使用することができる。
【0230】
式(I)の化合物は、変形性関節症(膝など)、慢性腱炎、骨盤痛、神経障害性疼痛および末梢神経障害(帯状疱疹後神経痛-PHNなど)、胃食道逆流症(GERD)、過敏性腸症候群(IBS)、糖尿病、肥満、慢性咳嗽、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および過活動性膀胱の治療にも使用することができる。
【0231】
式(I)の化合物はまた、温血動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける上記の障害の治療のための薬剤の調製に使用することができる。
【0232】
そのような障害の治療は、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする温血動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与することを含み得る。
【0233】
製剤
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、例えば、研究者または臨床医によって求められている組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または薬剤の量を意味する。さらに、「治療有効量」という用語は、そのような量を投与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防、もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を含む。
【0234】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、および「治療すること」という用語は、本明細書に記載されるように、疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の発症を逆転、緩和、遅延、もしくはその進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態において、治療は、1つ以上の症状が発生した後に施され得る。他の実施形態において、治療は、症状がない状態で施され得る。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の病歴に照らして、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らして)感受性の高い個体に施され得る。症状が解消した後、例えば再発を予防または遅延させるために、治療を継続することもできる。
【0235】
本明細書で使用される「患者または対象」という用語は、哺乳動物を指す。したがって、対象は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどを指す。好ましくは、対象はヒトである。対象がヒトである場合、対象は患者または健康なヒトのいずれかであり得る。
【0236】
いくつかの実施形態において、本明細書で定義される治療有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、患者に単独で投与するか、または薬学的に許容される担体と混合することができる。
【0237】
「薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、それが製剤される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本開示の組成物に使用することができる薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂肪が含まれるが、これらに限定されない。
【0238】
「薬学的に許容される誘導体」は、レシピエントへの投与時に、直接的または間接的に、本明細書の化合物または阻害活性代謝物またはその残余物を提供することができる、本明細書の化合物の任意の非毒性塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体を意味する。
【0239】
本明細書に記載の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、鼻腔的に、頬側に、膣内に、または移植されたリザーバーを介して投与され得る。本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0240】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなど、ならびにそれらの混合物の当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
【0241】
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液のように、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液、懸濁液またはエマルジョンであり得る。使用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発油は、従来、溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌の不揮発油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注射液の調製に使用される。
【0242】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0243】
提供された化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、水溶性の低い結晶性またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。その場合、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、したがって、溶解速度は結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで化合物のマイクロカプセル化されたマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比率および使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。
【0244】
他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を封入することによっても調製される。
【0245】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、本記載の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶けて活性化合物を放出する、カカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができる坐剤である。
【0246】
経口投与用の固形剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が含まれる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性で薬学的に許容される賦形剤または担体、および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0247】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、ロゼンジ、カプセル、トローチ、丸薬、および顆粒の固形剤形は、腸溶コーティングおよび薬学製剤技術でよく知られている他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製することができる。それらは、任意選択で乳白剤を含み得、それらが腸管の特定の部分のみにおいて、または特定の部分で優先的に、任意選択で遅延して、有効成分を放出する組成物であり得る。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。
【0248】
提供される化合物はまた、上記のような1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。錠剤、糖衣錠、ロゼンジ、カプセル、トローチ、丸薬、および顆粒の固形剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、および薬学製剤技術でよく知られている他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製することができる。そのような固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。そのような剤形はまた、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。それらは、任意選択で乳白剤を含み得、また、それらが腸管の特定の部分のみにおいて、または特定の部分で優先的に、任意選択で遅延して、有効成分を放出する組成物であり得る。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
【0249】
本明細書の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが含まれる。活性成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要に応じて必要であり得る防腐剤または緩衝液と混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本記載の範囲内であると企図される。さらに、説明は、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図している。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分配することによって作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を横切る化合物の流束を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることによって制御することができる。
【0250】
本明細書で提供される薬学的に許容される組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によっても投与され得る。このような組成物は、薬学的製剤の分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0251】
本明細書で提供される薬学的に許容される組成物は、経口投与用に製剤され得る。そのような製剤は、食物の有無にかかわらず投与することができる。いくつかの実施形態において、この開示の薬学的に許容される組成物は、食物なしで投与される。他の実施形態において、この開示の薬学的に許容される組成物は、食物とともに投与される。
【0252】
単一の剤形で組成物を生成するために担体材料と組み合わせることができる提供される化合物の量は、治療される患者および特定の投与様式に応じて変化するであろう。提供される組成物は、これらの組成物を投与されている患者に、0.01~100mg/kg体重/日の阻害剤の投与量を投与できるように製剤することができる。
【0253】
特定の患者に対する特定の投与量および治療レジメンは、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、治療する医師の判断、および治療されている特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存することも理解されるべきである。組成物中に提供される化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0254】
本明細書に記載の化合物または組成物は、本明細書で企図される障害または疾患の重症度を治療または軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与することができる。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、障害または疾患の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに応じて、対象ごとに異なる。提供される化合物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために、好ましくは単位剤形で製剤される。本明細書で使用される「単位剤形」という表現は、治療される患者に適切な物理的に別個の薬剤の単位を指す。しかしながら、本開示の化合物および組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。特定の患者または生物の特定の実効用量レベルは、治療中の障害および障害の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、投与時間、投与経路、ならびに使用した特定の化合物の排泄速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医学技術でよく知られている同様の要因など、様々な要因によって異なる。
【0255】
本開示の薬学的に許容される組成物は、治療されている感染症の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、または滴剤による)、頬側、経口または鼻スプレーなどとして、ヒトおよび他の動物に投与することができる。特定の実施形態において、望ましい治療効果を得るために、提供される化合物は、1日あたり、対象の体重あたり、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kgの投与量レベルで1日に1回以上、経口または非経口的に投与され得る。
【0256】
組み合わせ
治療される特定の状態または疾患に応じて、その状態を治療するために通常投与される追加の治療薬もまた、本開示の組成物中に存在するか、または投与レジメンの一部として別々に投与され得る。本明細書で使用される場合、特定の疾患または状態を治療するために通常投与される追加の治療薬は、「治療される疾患または状態に適切である」として知られている。
【0257】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の1種または複数の化合物の組成物は、追加の治療剤と組み合わせることができる。
【0258】
しかしながら、本明細書の化合物および組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。特定の患者に対する特定の抑制用量は、治療される障害および障害の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、投与時間、投与経路、ならびに使用した特定の化合物の排泄速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医療分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に依存する。
【0259】
単回または分割用量で対象に投与される本明細書の化合物の総日用量は、例えば、0.01~50mg/kg体重、またはより通例では0.1~25mg/kg体重の量であり得る。単回用量組成物は、そのような量またはその約倍数を含み、1日用量を構成し得る。一実施形態において、本明細書による治療レジメンは、そのような治療を必要とする患者への、本記載の化合物の1日あたり約10mg~約1000mgの単回または複数回用量を含む。
【0260】
本明細書で使用される場合、「組み合わせ」、「組み合わせられた」という用語、および関連する用語は、本明細書による治療剤の同時または連続投与を指す。例えば、提供される化合物は、別の治療薬とともに、別々の単位剤形で同時にまたは連続して、または単一の単位剤形で一緒に投与され得る。したがって、本説明の実施形態は、本明細書の方法で使用するための、提供される化合物、追加の治療薬、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0261】
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる、提供される化合物および追加の治療薬(上記のような追加の治療薬を含む組成物中)の両方の量は、治療される対象および特定の投与様式に応じて変化する。好ましくは、組成物は、提供された化合物の0.01~100mg/kg体重/日の投与量を投与できるように製剤されるべきである。
【0262】
追加の治療薬を含むこれらの組成物において、その追加の治療薬および提供される化合物は相乗的に作用し得る。したがって、そのような組成物中の追加の治療薬の量は、その治療薬のみを利用する単剤療法で必要とされる量よりも少ないであろう。そのような組成物では、0.01~1,000g/kg体重/日の追加の治療薬の投与量を投与することができる。
【0263】
本開示の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の活性剤として含む組成物で通常投与される量を超えないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中の追加の治療薬の量は、唯一の治療活性剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%~100%の範囲であろう。
【0264】
式(I)の化合物は、別の1種または複数の化合物と同時に、同時に、連続して、または別々に投与することができる。組み合わせ製品の非限定的な例は、以下から選択することができる:
(i)例えば、ガバペンチン、リドダーム、プレガブリン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および薬学的に活性な異性体および代謝産物を含むがこれらに限定されない同等物を含む神経因性疼痛治療剤。
(ii)例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、パラセタモール、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および薬学的に活性な異性体および代謝産物を含むがこれらに限定されない同等物を含む侵害受容性疼痛治療剤。
(iii)例えば、ダリフェナシン、ファルボキサート、オキシブチニン、プロピベリン、ロバルゾタン、ソリフェナシン、チスピウム、トルテロジン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および薬学的に活性な異性体および代謝産物を含むがこれらに限定されない同等物を含む尿失禁治療剤。
【0265】
実験および実施例
実施例1:化合物1の形態Aの合成-ステップ3の実験手順
式(I)の化合物(S)-2-(7-シアノ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)-N-{1-[4-(1-シアノ-1メチルエチル)フェニル]エチル}アセトアミド(本明細書では15とも呼ばれる)の結晶形態Aを調製するためのプロセスを実施した。
【化9】
【0266】
温度計、機械式撹拌機、凝縮器、窒素注入口を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、20.71gの11(60.8mmol、13に対して1.02当量)および60.85mLの2M NaOH(13に対して2.04当量)溶液を入れた。得られた黄色のスラリーを20~25℃で15分間撹拌した。120mLのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、13に対して10部)を一度に添加し、得られた混合物を最低15分間撹拌して、二相性の黄色の溶液を得た。分液漏斗を使用して二相性の黄色の溶液を分離し、上部の有機層を取り置いた。水層(pH>10を有する)を60mLのMTBE(13に対して5部)で抽出した。下の水層を除去し、上の有機層を先に得られた有機層と合わせた。
【0267】
合わせた有機相(約180mL)を、温度計、機械式撹拌機、添加漏斗、および窒素注入口を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに移した。180mLの酢酸エチル(EtOAc、13に対して15部)を添加し、得られた溶液を窒素下で1時間加熱還流した。大気圧下で蒸留ブリッジを介して約108mL(13に対して9部)まで蒸留することにより溶媒を除去し、続いて遊離アミンの溶液を20~25℃に冷却した。
【0268】
温度計、機械式撹拌機、および窒素注入口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに、12.0gの13(59.6mmol、1.0当量)および120mLのEtOAc(13に対して5部)を入れた。得られたスラリーを20~25℃で15分間撹拌した。先に得られた遊離アミンの溶液を13のスラリーに移し、フラスコを24mLのEtOAc(13に対して2部)ですすいで懸濁液を得た。
【0269】
懸濁液に、T3P(プロピルホスホン酸無水物、13に対して1.25当量)のEtOAc溶液23.7gを入れ、24mLのEtOAc(13に対して2部)ですすいだ。12.6mLのトリエチルアミン(13に対して1.5当量)を懸濁液に添加し、24mLのEtOAc(13に対して2部)ですすいだ。次に、得られた黄色のスラリーを、窒素下で、適度に撹拌しながら2,5時間、55~60℃に加熱した。次に、反応混合物を20~25℃に冷却し、次に120mLの水(13に対して10部)を添加した。得られた二相混合物を最低1時間撹拌し、次に分液漏斗に移して下部の水層を除去した。
【0270】
上部の有機層を、温度計、機械式撹拌機、および窒素注入口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに戻した。120mLの2M NaOH水溶液(13に対して10部)を添加し、得られた混合物を最低1時間適度に撹拌した。二相混合物を分液漏斗に移し、下部の水層を除去した。有機層を、温度計、機械式撹拌機、および窒素注入口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに戻した。120mLの水(13に対して10部)をフラスコに添加し、混合物を最低30分間撹拌した。二相混合物を分液漏斗に移し、下部の水層を除去した。有機層を、温度計、機械式撹拌機、および窒素注入口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに戻した。120mLの水(13に対して10部)をフラスコに添加し、得られた混合物を35~40℃に温め、最低30分間撹拌した。二相混合物を、まだ温かいうちに分液漏斗で分離した。有機層を、温度計、機械式撹拌機、および窒素注入口を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに移した。
【0271】
適度に撹拌しながら、60mLのEtOAc(13に対して5部)を添加し、得られた溶液を55~60℃に加熱した。3.8M HClの溶液(イソプロピルアルコール中)(1.13に対して1当量)17.3mLを添加し、得られた混合物を加熱還流させた。約240mLの目標容量に達するまで、溶媒を大気圧下で蒸留除去した。適度に撹拌しながら温度を20~25℃に下げ、次にさらに0~5℃に下げ、0~5℃で最低1時間撹拌した。スラリーを、Whatman(商標)濾紙を使用してブフナー漏斗を通して吸引濾過した。フィルターケーキを36mLのEtOAc(2回)(13に対して3部(2回))で洗浄し、吸引下で乾燥した。フィルターケーキをペトリ皿に移し、さらに真空オーブン内で40~4℃で18時間乾燥させて、ベンズイミダゾリウム塩酸塩14を白色から淡ベージュ色の固体として得た。
【0272】
10.0gの14(24.5mmol、1.0当量)および60mLのMeOH(14に対して6部)を、温度計、機械式撹拌機、凝縮器、および窒素注入口を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに添加した。スラリーを20~25℃で10分間撹拌して溶液を形成した。15mLのMeOH(14に対して1.5部)に懸濁した1.0gの活性炭DARCO(商標)KB-G(14に対して0.1部(重量/重量))を添加した。添加装置を15mLのMeOHですすぎ、得られた懸濁液を20~25℃で最低1時間撹拌した。次に、懸濁液に、15mLのMeOHに懸濁した1.0gのCelite(商標)(14に対して0.1部(重量/重量))を入れ、添加装置を15mLのMeOHですすいだ。得られた混合物を20~25℃で最低15分間撹拌した。次に、懸濁液を、Whatman濾紙を使用してブフナー漏斗を通して吸引濾過した。フィルターケーキを20mLのMeOH(2回)(14に対して2部(2回))で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて、温度計、機械式撹拌機、添加漏斗、および窒素注入口を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに移した。溶液の体積を、蒸留ブリッジを介した大気圧蒸留により、65~67℃で約60~65mL(14に対して6~6.5部)に減らした。
【0273】
得られた溶液を2~25℃に冷却し、次に35mLの水(14に対して3.5部)に溶解した2.05gの重炭酸ナトリウム(14に対して1当量)を含む溶液を30分かけて入れた。反応混合物を40~45℃に加熱し、15mLの水(14に対して1.5部)を入れて、白色の懸濁液を生成した。懸濁液に、40~45℃でさらに15mLの水(14に対して1.5部)を入れた。混合物を適度な撹拌下で加熱還流して透明な溶液を形成し、5~10分間保持した。溶液を1時間かけて20~25℃に冷却し、20~25℃で最低1時間撹拌した。吸引下でWhatman濾紙を使用して、スラリーをブフナー漏斗を通して濾過した。フィルターケーキを30mLのMeOH-HOの混合物(2回)(2:3、体積/体積、14に対して3部、2回)で洗浄した。ケーキを40mLの水(14に対して4部)で洗浄し、次に窒素流で吸引下に維持した。フィルターケーキをペトリ皿に移し、真空オーブン内で40~45℃で18時間さらに乾燥させて、棒状構造を有する形態Aの結晶としてin-situで結晶化した生成物15を得た。ステップ3の全体としての収率は77%であり、形態Aの結晶の純度は、HPLCによって99.89%と評価された。
【0274】
実施例2:形態Aの結晶の溶解度実験
形態Aの結晶の室温(25℃±2℃)での溶解度を評価するために実験を行った。約2mgの固形物を3mLのガラスバイアルに添加した。次に、表7に記載されている溶媒を、固形物が溶解するか、総量が1mLに達するまで、バイアルに段階的に添加した。結果は表7に要約されており、多形スクリーニングでの溶媒選択の指針として使用された。
【表7】
【0275】
実施例3:固気拡散
固気拡散実験は、12種の異なる溶媒を使用して行われた。各実験では、形態Aの結晶約15mgを秤量し、3mLバイアルに入れた。3mLバイアルを、約2mLの揮発性溶媒を含む20mLバイアルに入れた。20mLバイアルをキャップで密封し、室温で2~7日間保持して、溶媒の蒸気が試料と相互作用できるようにした。固体をXRPDによって試験し、表8に要約された結果は、形態Aまたは形態Cの結晶が得られたことを示した。
【表8】
【0276】
実施例4:気液拡散
7回の気液拡散実験を行った。各実験では、形態Aの結晶約15mgを秤量し、3mLバイアルに入れた。結晶を溶媒に溶解して、3mLバイアルに透明な溶液を得た。次に、透明な溶液が入った3mLバイアルを、3mLの逆溶媒を含む20mLバイアルに入れた。20mLバイアルをキャップで密閉し、室温に保つことにより、有機蒸気が溶液と相互作用するのに十分な時間が与えられた。2~12日後、XRPD分析のために沈殿物を分離した。透明な溶液を5℃に移すか、室温でさらに蒸発させた。XRPD分析のために固形物を収集した。表9に要約された結果は、形態A、形態Bまたは形態Cの結晶、ならびにゲル様材料が得られたことを示した。
【表9】
【0277】
実施例5:室温でのスラリー実験
スラリー変換実験を、異なる溶媒システムで室温で行った。形態Aの結晶約15mgを、HPLCバイアル内の0.25~0.3mLの溶媒に懸濁した。懸濁液を750rpmの速度で室温で6日間磁気的に撹拌した後、残った固体をXRPD分析のために単離した。表10に要約された結果は、形態A、形態Bまたは形態Dの結晶が生成されたことを示す。
【表10】
【0278】
実施例6:50℃でのスラリー実験
スラリー変換実験を、様々な溶媒システムで50℃で行った。形態Aの結晶約20mgを、HPLCバイアル内の0.25の溶媒に懸濁した。懸濁液を750rpmの速度で50℃で6日間磁気的に撹拌した後、残った固体をXRPD分析のために単離した。表11に要約された結果は、形態Aまたは形態Bの結晶が生成されたことを示す。
【表11】
【0279】
実施例7:ゆっくりとした蒸発の実験
ゆっくりとした蒸発の実験は、様々な条件下で実施された。各実験では、約15mgの形態Aの結晶を3mLのガラスバイアル内の0.5~1.5mLの溶媒に溶解した。固形物が完全に溶解しなかった場合、懸濁液をPTFE膜(孔径0.45μm)を使用して濾過し、濾液を後続のステップに使用した。視覚的に透明な溶液をParafilm(登録商標)(3~5ピンホール)によって封止されたバイアルを用いて室温で蒸発させた。固形物はXRPD分析のために単離され、表12に要約された結果は、形態A、形態B、形態C、形態Eおよびゲル様材料の結晶が得られたことを示した。
【表12】
【0280】
実施例8:ポリマー誘起結晶化実験
ポリマー誘起結晶化実験は、それぞれ6種の溶媒中の2セットのポリマー混合物を使用して実施された。各実験では、約15mgの形態Aの結晶を溶媒に溶解し、3mLバイアルに透明な溶液を得た。約2mgのポリマー混合物を3mLガラスバイアルに添加した。すべての試料を室温で蒸発させて結晶化を誘起した。XRPD分析のために固形物を単離した。表13に要約された結果は、形態A、形態B、形態Cおよびゲル様材料の結晶が生成されたことを示した。
【表13】
【0281】
実施例9:徐冷実験
徐冷実験は、10種の溶媒系で行われた。各実験では、形態Aの結晶約20mgを、室温で3mLのガラスバイアル内の0.5~1mLの溶媒に懸濁した。次に、懸濁液を撹拌しながら50℃に加熱し、約2時間平衡化し、PTFE膜(孔径0.45μm)を使用して濾過した。濾液を0.1℃/分の速度で5℃までゆっくりと冷却した。得られた固形物は、XRPD分析のために分離する前に5℃で等温に保たれた。透明な溶液を室温で蒸発させた。表14に要約された結果は、形態A、形態Cおよびゲル様材料の結晶が生成されたことを示す。
【表14】
【0282】
実施例10:逆溶媒添加実験
合計20回の逆溶媒添加実験を行った。約15mgの出発物質(813908-05-A)を0.3~1.0mLの溶媒に溶解して透明な溶液を得、溶液を磁気的に撹拌した後、沈殿物が現れるまで、または逆溶媒の合計量が15mLに達するまで、0.2mLの逆溶媒を段階的に添加した。得られた沈殿物をXRPD分析のために単離した。表15の結果は、タイプA/B/D、ゲル、およびアモルファス/低結晶化度の試料が得られたことを示している。
【表15】
【0283】
実施例11:形態Eおよび形態Fから形態Aへのスラリー変換
過剰量の形態Aの結晶を2mLのIPAに添加した。混合物を750rpmの速度で室温で一晩磁気的に撹拌して、飽和溶液を得た。飽和溶液をPTFE膜(0.45μm)で濾過し、過剰な固形物を除去した。
【0284】
形態Aと形態Eの結晶の等質量の物理的混合物(各形態6mg)を0.5mLの予め飽和させたIPA溶液に添加し、750rpmの速度で48時間磁気的に撹拌した。遠心分離により懸濁液から固形物を分離し、XRPD試験を実施した(図19(b)に示す)。
【0285】
同様に、形態Aと形態Fの結晶の等質量物理混合物(各形態6mg)を0.5mLの予め飽和させた飽和IPA溶液に添加し、750rpmの速度で48時間磁気的に撹拌した。遠心分離により懸濁液から固形物を分離し、XRPD試験を実施した(図19(c)に示す)。
【0286】
両方の混合物の場合、48時間撹拌した後、形態Aの結晶のみが単離された。スラリー変換の結果に基づいて、形態Aは、3つの無水物形態(形態A、形態Eおよび形態F)の中で、室温で熱力学的に安定な形態であると考えられた。
【0287】
実施例12:示差走査熱量測定
示差走査熱量測定は、TA Instruments製TA Q200/Q2000 DSCを使用して各結晶形態に対して行われた。各分析では、DSCセル/試料チャンバーを超高純度窒素ガスでパージした。試料結晶を圧着されたアルミニウムパンの底に置き、空の参照パンに対して測定した。各サーモグラムに見られるように、室温と目的の温度の間の温度範囲で加熱速度は10℃/分であった。熱流は、測定された試料温度に対してプロットされた。データはワット/グラム(「W/g」)の単位で報告された。プロットは、吸熱ピークが下を向くように作成された。形態AからFのDSCサーモグラムが取得され、図7~12に示す。
【0288】
実施例13:熱重量分析
TGAは、TA Instruments製TA Q500/Q5000 TGAを使用して、各結晶形態に対して行われた。各分析では、TGAセル/試料チャンバーを超高純度窒素ガスでパージした。試料結晶は、開いたアルミニウムパンの底に置かれた。各サーモグラムに見られるように、室温と目的の温度との間の温度範囲で加熱速度は10℃/分であった。重量は、測定された試料温度に対してプロットされた。データは初期重量の%で報告された。形態AからFのTGAサーモグラムが取得され、図7~12に示す。
【0289】
実施例14:形態Aの安定性試験
様々な温度、相対湿度、および圧縮条件下での形態Aの安定性を評価するために実験が行われた。図21は、様々な温度、相対湿度、および圧縮条件下で記録された形態AのXRPDを示している。
【0290】
結晶構造は、合成された形態Aと比較して、応力がかかった試料で概ね類似したままであることが示され、結晶構造の安定性が示唆された。2分間の積極的な粉砕により、おそらく試料の微量がアモルファス化したために、ピークの相対強度がわずかに低下した。
【0291】
実施例15:溶融物からの凝固
形態Aの溶融物を冷却することによって得られる潜在的な結晶形態を評価するために実験を行った。形態Aの結晶を200℃に加熱し、次に窒素保護下で10℃/分の速度で室温に冷却した。冷却後に得られた固形物はアモルファス形態であった。次に、こうして得られたアモルファス形態を加熱し、110℃に加熱した後もアモルファスのままであった。さらに130℃に加熱すると、形態Fの結晶が生成された。アモルファス形態のDSCサーモグラムは、125.7℃と154.3℃にピーク温度を持つ2つの吸熱と、131.1℃にピーク温度を持つ1つの発熱を示した。
【0292】
X線回折計およびパラメータ
XRPD測定は、反射モードが使用され、PANalytical X線粉末回折計を使用して実施された。使用されたXRPDパラメータを表16に示す。
【表16】
【0293】
本発明は、1つ以上の実装に関して図示および説明されてきたが、本明細書を読んで理解すると、当業者には同等の変更および修正が想到されるであろう。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装のうちの1つのみに関して開示され得るが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途にとって望ましくかつ有利であり得る他の実装の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0294】
したがって、本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願および範囲の精神および添付のクレームの範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で言及されている刊行物、文書、特許、特許出願、または刊行物は、すべての目的のために、それぞれ全体が参照により組み込まれていると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】